JP2001244139A - 薄膜コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

薄膜コンデンサ及びその製造方法

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JP2001244139A
JP2001244139A JP2000052938A JP2000052938A JP2001244139A JP 2001244139 A JP2001244139 A JP 2001244139A JP 2000052938 A JP2000052938 A JP 2000052938A JP 2000052938 A JP2000052938 A JP 2000052938A JP 2001244139 A JP2001244139 A JP 2001244139A
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electrode
dielectric
capacitor
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Yusuke Tsutsumi
祐介 堤
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】誘電体薄膜の結晶相の不均一性を解消して、コ
ンデンサの静電容量のばらつきを解消でき、、低コスト
で、大容量化できる薄膜コンデンサ及び簡単、且つ確実
に形成することができる薄膜コンデンサの製造方法を提
供する。 【解決手段】Auを有する下部電極2と上部電極4との
間に、金属元素としてPb、Mg、Nb、TiおよびZ
rを含有する誘電体薄膜3を介在させて成る薄膜コンデ
ンサにおいて、前記上部電極4は、誘電体薄膜3と接触
するAuからなる第1の電極層41と、該第1の電極層
41上に被着形成される第2の電極層42とからなる薄
膜コンデンサである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば1μm以下
の誘電体薄膜を用いた薄膜コンデンサ及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、2種以上の金属からなる複合
ペロブスカイト酸化物、特にPb(Mg1/3Nb2/3)O
3(以下、PMNという)は室温で大きな比誘電率を有
するため、コンデンサ材料として有用であることが知ら
れている。
【0003】このようなPMN焼結体として、従来、P
bO粉末とMgCO3粉末とNb3 5粉末とを一括して
混合粉砕し、焼結する固相焼結法が知られている。しか
しながら、このような一括して混合粉砕する固相焼結法
によるPMN焼結体の作製では、ほぼペロブスカイト単
相からなる焼結体を得るのは困難であり、低温で安定な
パイロクロア相が生成し易く、また生成したパイロクロ
ア相は比誘電率が低いため、結果として焼結体の比誘電
率が低くなり、コンデンサを構成する誘電体材料として
不適当であると考えられていた。
【0004】このため、従来、固相焼結法では、MgN
b酸化物(MgNb26)とPb原料、およびTi原料
を反応させるコランバイト法による合成が行われ、ほぼ
ペロブスカイト単相の焼結体を得ている。
【0005】一方、近年、電子機器の小型、薄形化に伴
い、電子部品の小型化、薄膜化が要求されている。特に
受動部品であるコンデンサの小型、薄形化は必須となっ
ている。PMN等の高誘電率材料を薄膜化し、薄膜コン
デンサに応用しようとされているが、従来の固相焼結法
では膜厚はせいぜい10μm程度であった。
【0006】そこで、本出願人は、先に、絶縁基板上
に、下部電極を被着形成し、この下部電極上に、Pb、
Mg、Nb、TiおよびZrを有する前駆体溶液を塗布
・乾燥し、加熱処理してぺロブスカイト結晶構造を有す
る誘電体薄膜を形成し、この誘電体薄膜上に上部電極を
構成した薄膜コンデンサを提案した。そして、誘電体薄
膜を形成すべく加熱処理して、比誘電率が低いパイロク
ロア相が形成されても、誘電体薄膜の特性を劣化させな
いように、ぺロブスカイト粒子やパイロクロア粒子の粒
径などを制御していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の薄膜コ
ンデンサは、ぺロブスカイト粒子やパイロクロア粒子の
粒径などを制御することは非常に難しく、前駆体溶液の
組成などを高精度に管理しなくてはならなかった。
【0008】また、誘電体薄膜の形成において、前駆体
溶液を塗布・乾燥し、直ちに加熱処理している。このた
め、誘電体薄膜の下部電極側と上部表面側では、ぺロブ
スカイト結晶相が均一に形成されず、その結果、誘電体
薄膜の厚み方向でし比誘電率が相違してしまい、実質的
に異なる比誘電率の層が直列的接続されたことになり、
逆に誘電体薄膜の比誘電率を最大に引き出すことができ
なかった。
【0009】これは、下部電極側ではその電極層の結晶
面に応じて、安定的にペロブスカイト相が生成されやす
く、逆に表面側は、前駆体溶液の塗布膜が大気に晒され
て加熱処理されるため、ペロブスカイト相が安定して形
成されにくいことに起因する。
【0010】本発明は、上述の課題に鑑みて案出された
ものであり、その目的は、誘電体薄膜の結晶相の不均一
性を解消して、コンデンサの静電容量のばらつきを解消
するとともに、低コストで、大容量化できる薄膜コンデ
ンサを提供するものである。
【0011】また、このようなコンデンサを簡単、且つ
確実に形成することができる薄膜コンデンサの製造方法
を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、Auからなる
下部電極と上部電極との間に、金属元素としてPb、M
g、Nb、TiおよびZrを含有する誘電体薄膜を介在
させて成る薄膜コンデンサにおいて、前記上部電極は、
誘電体薄膜と接触するAuからなる第1の電極層と、該
第1の電極層上に被着形成される第2の電極層とからな
ることを特徴とする薄膜コンデンサである。
【0013】好ましくは、前記第2の電極層は、Agま
たはCuである。
【0014】また、本発明は、上述の薄膜コンデンサの
製造方法であり、絶縁基板上に、Auからなる下部電極
を被着形成する工程、前記下部電極上に、Pb、Mg、
Nb、TiおよびZrを有する前駆体溶液を塗布・乾燥
し、誘電体塗布膜を形成する工程と、前記誘電体塗布膜
上に、上部電極を構成するAuからなる第1の電極層を
被着形成する工程と、前記誘電体塗布膜を加熱処理し
て、ぺロブスカイト結晶構造を有する誘電体薄膜を形成
する工程と、前記上部電極を構成する第1の電極層の上
面に、該上部電極を構成する第2の電極層を被着形成す
るを工程とから成る特徴とする薄膜コンデンサの製造方
法である。
【作用】本発明の薄膜コンデンサでは、上部電極が多層
構造となっており、好くなとも誘電体薄膜と接触するA
uからなる第1の電極層となっている。そしてこの第1
の電極層上に、第2の電極層が形成されている。
【0015】従って、誘電体薄膜の上部電極において、
高価な材料であるAuの消費を減少させることができ、
低コスト化が可能となる。
【0016】また、上部電極の第2の電極層として、A
gやCuなどを用いることにより、第1の電極層との合
金化を有効に抑えることができ、合金により抵抗率の悪
化に伴う上部電極の高抵抗化を防止できる。
【0017】また、製造方法、誘電体塗布膜を形成した
後、Auからなる第1の電極層を被着形成した後、この
誘電体塗布膜を加熱処理している。即ち、誘電体塗布膜
の加熱処理時には、ペロブスカイト型結晶相の成長の成
長起点となるAuからなる電極層が被着されているた
め、安定したペロブスカイト型結晶層の成長が可能とな
る。また、この加熱処理時に、誘電体塗布膜は、実質的
に大気に晒されることがないことからも、安定してペロ
ブスカイト型結晶相を形成させることができる。
【0018】従って、このような製法方法によって形成
された薄膜コンデンサでは、誘電体薄膜のペロブスカイ
ト型結晶相は、誘電体薄膜の下部電極側及び上部電極側
ともに安定成長し、もって、誘電体薄膜に均一な比誘電
率を有するようにすることができる。
【0019】よって、誘電体薄膜の厚み方向で、異なる
比誘電率を有する結晶相が直列接続されることを有効に
抑えることができ、静電容量を最大限に導出することが
できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の薄膜コンデンサ及
びその製造方法を図面に基づいて詳説する。
【0021】図1は、本発明の薄膜コンデンサの断面図
を示す。
【0022】図において、1は絶縁基板であり、2は下
部電極であり、3は誘電体薄膜であり、4は上部電極で
ある。下部電極2は、基板側の第1の電極層21と、誘
電体薄膜3と接触する側の第2の電極層22とから構成
される。また、上部電極4は、誘電体薄膜3と接触する
側の第1の電極層41と、第2の電極層42とから構成
される。そして、誘電体薄膜3は、厚み方向に渡って略
均一に分布するペロブスカイト型結晶粒子とからなって
いる。
【0023】絶縁基板1は、アルミナなどのセラミック
基板、サファイアなどの単結晶基板である。
【0024】絶縁基板1表面には、下部電極2が被着形
成されている。この下部電極2は、例えば、0.3μm
の厚みを有し、第1の電極層21と第2の電極層22と
からなっている。第1の電極層21は、例えば、Tiな
どから成り、その厚みは、例えば、0.1〜2μmであ
る。また、第2の電極層22はAuからなり、その厚み
は、例えば0.1〜2μmであり、いずれも、スパッタ
りングなどの薄膜技法によって形成される。ここで、第
1の電極層21は、Auから成る第2の電極層22を安
定的に形成するための下地層として作用する。また、第
2の電極層22は、その表面の結晶面を(111)にす
ることが望ましく、これにより、誘電体薄膜3の所定結
晶層を安定的に形成することができる。
【0025】このような下部電極2上には、誘電体薄膜
3が被着形成されている。この誘電体薄膜3は、金属元
素としてPb、Mg、Nb、TiおよびZrを含有する
有機化合物から成る前駆体溶液を塗布し、乾燥し、加熱
料によって形成される。その厚みは、例えば、0.5〜
1μmである。
【0026】このような誘電体薄膜3上には、下部電極
2と対向するように、上部電極4が被着形成されてい
る。この上部電極4は、例えば、0.3μmの厚みを有
し、第1の電極層41と第2の電極層42とからなって
いる。第1の電極層41は、Auからなり、その厚み
は、〜0.1μmの厚み、例えば、100〜数100Å
である。また、第2の電極層22は、Ag、Cuなどか
らなり、その厚みは、この上部電極と実質に同じ厚みと
なっている。第1の電極層41、第2の電極層42は、
いずれも、スパッタリングなどの薄膜技法によって形成
される。
【0027】ここで、第1の電極層41は、誘電体薄膜
3の所定結晶相を上部側から安定的に成長されること、
さらに、誘電体薄膜3の製造するための加熱処理時、大
気を遮断するためである。また、第2の電極層42は、
上部電極4として安定的な厚みを得るものであり、しか
も、AgやCuで形成することにより、第1の電極層
(Au)との合金反応を抑制して、上部電極4の抵抗を
大きくすることを防止している。また、上部電極4全体
を高価なAuを用いることをなくし、低コスト化を達成
するためである。
【0028】このような構造の薄膜コンデンサは、以下
の製造工程によって形成される。
【0029】第1の工程では、絶縁基板1上に、Auを
有する下部電極2を被着形成する工程である。
【0030】実際には、第1の電極層21として、Ti
を例えば300℃でスパッタ蒸着により形成する。続い
て、第2の電極層22として、Auを例えば300℃で
スパッタ蒸着により形成する。ここで、絶縁基板1上に
形成された下部電極2の表面となる電極層は、その結晶
表面が(111)となるように形成する。即ち、Auを
有する下部電極2とは、少なくとも、誘電体薄膜3に接
触する電極層22がAuで構成されていることであり、
例えば、第1の電極層21及び第2の電極層22の概念
をなくして、下部電極2全体をAuで形成しても構わな
い。
【0031】第2の工程は、下部電極2上に、Pb、M
g、Nb、TiおよびZrを有する前駆体溶液を塗布・
乾燥し、誘電体薄膜3となる誘電体塗布膜を形成する工
程である。
【0032】例えば、前駆体溶液は、Pb、Mg、N
b、TiおよびZrの有機金属化合物が均一に溶解した
前駆体溶液を調製する。
【0033】具体的には、Mg及びNbの有機酸塩、無
機塩、アルコキシドから選択される少なくとも1種のM
g化合物、Nb化合物を、Mg:Nbを所定モル比で、
R1OH、R2 OC2 H4 OH、R3 COOH(R1 、
R2 、R3 :炭素数1以上のアルキル基)で示される溶
媒に混合する。混合後、所定の操作を行い、IRスペク
トルにおいて656cm-1付近に吸収を有し、他の求核
性の有機金属化合物の存在下においても安定なMg−O
−Nb結合を有するMgNb複合アルコキシド分子を合
成する。尚、IRスペクトルにおいて656cm-1付近
に吸収を有するMgNb複合アルコキシド分子を得るに
は、以下のような方法がある。
【0034】第1の方法として、MgおよびNbのアル
コキシド原料を溶媒に混合し、溶媒の沸点まで溶液の温
度を上昇させ、例えば酸等の触媒の共存下で還流操作を
行うことにより、分子内での脱エーテル反応を促進する
方法。
【0035】第2の方法として、上記のようにMgおよ
びNbのアルコキシド原料を溶媒に混合し、溶媒の沸点
まで溶液の温度を上昇させ、還流操作による複合化を行
った後、無水酢酸、エタノールアミン、アセチルアセト
ン等に代表される安定化剤を添加する方法。
【0036】第3の方法として、Mgのカルボン酸塩と
Nbのアルコキシドとの還流操作により、分子内での脱
エステル反応を促進する方法。
【0037】第4の方法として、Mgの水酸化物とNb
のアルコキシド、あるいはMgのアルコキシドとNbの
水酸化物の還流操作により、分子内での脱アルコール反
応を促進する方法。
【0038】第5の方法として、鉛前駆体の求核性を小
さくする為、前述の無水酢酸,エタノールアミン、アセ
チルアセトン等の安定化剤を添加する方法。
【0039】以上のいずれかの手法を用いることによ
り、他の求核性有機金属化合物の存在下においても安定
なMg−O−Nb結合を有するMgNb複合アルコキシ
ド分子を合成できる。これらのうちでも、第2の還流操
作後に安定化剤を添加する方法が最も望ましい。
【0040】また、合成した上記MgNb複合アルコキ
シド溶液に水と溶媒の混合溶液を適下し、部分加水分解
を行い、前述のMgNb複合アルコキシドが重縮合した
MgNbゾルを形成させる。部分加水分解とは、分子内
のアルコキシル基の一部を水酸基と置換し、置換された
分子内での脱水、あるいは脱アルコール反応により、重
縮合させる方法である。
【0041】次に、鉛(Pb)の有機酸塩、無機塩、ア
ルコキシドから選択される少なくとも1種の鉛化合物を
R1 OH、R2 OC2 H4 OH、R3 COOH
(R1、R2、R3:炭素数1以上のアルキル基)で示さ
れる溶媒に混合する。この時、鉛化合物が結晶水を含む
場合には、作製したPb前駆体溶液中に水が存在しない
ように脱水処理する。
【0042】作製したPb前駆体溶液とMgNb複合ア
ルコキシド溶液、あるいはMgNbゾルをPb:(Mg
+Nb)を所定モル比で混合し、PMN前駆体溶液とす
る。
【0043】Tiの有機酸塩、アルコキシド等から選択
される1種のTi化合物と前述したPb前駆体溶液とを
Pb:Tiを所定モル比で混合した後、還流操作を行い
PT前駆体溶液を合成する。
【0044】同様にZrの有機酸塩、アルコキシド等か
ら選択される1種のZr化合物と前述したPb前駆体溶
液とをPb:Zrを所定モル比で混合した後、還流操作
を行いPZ前駆体溶液を合成する。
【0045】前述のPMN前駆体溶液とPT前駆体溶液
とPZ前駆体溶液をモル比でPMN:PT:PZを所定
比率になる(1−x−y):x:yとなる様に混合し、
(1−x−y)PMN−xPT−yPZ前駆体溶液とす
る。
【0046】または、Tiの有機酸塩、アルコキシド等
から選択される1種のTi化合物をR1 OH、R2 OC
2 H4 OH、R3 COOH(R1 、R2 、R3 :炭素数
1以上のアルキル基)で示される溶媒に混合し、Ti溶
液を作製する。同様にZr溶液を作製する。作製したT
i溶液、Zr溶液をMgNb複合アルコキシド溶液、あ
るいはMgNbゾルと混合した後、アセチルアセトン等
のキレート剤を加え混合する。
【0047】作製したPb前駆体溶液もしくは酢酸Pb
・3水和物のような鉛(Pb)の有機酸塩と混合し、
(1−x−y)PMN−xPT−yPZ前駆体溶液とす
る。
【0048】そして、上述のように形成した前駆体溶液
を、下部電極2上にスピンコート法、ディップコート
法、スプレー法等の手法により塗布する。
【0049】塗布した後、360〜400℃の間の温度
で1分間乾燥処理を行い、膜中に残留した有機物を燃焼
させゲル膜とする。1回の膜厚は0.1μm以下が望ま
しい。そして、上述の塗布−乾燥処理を繰り返して所定
の膜厚の誘電体塗布膜を形成する。尚、誘電体塗布膜の
膜厚は、後の加熱処理後、2μm以下となるようにする
ことが望ましい。
【0050】第3の工程は、誘電体薄膜3となる誘電体
塗布膜上に、上部電極を構成するAuからなる第1の電
極層を被着形成する工程である。
【0051】実際には、第1の電極層41として、Au
をターゲットとして、例えば、300℃でスパッタ蒸着
により形成する。その膜厚は、例えば、〜200Åであ
る。これにより、実質的に誘電体塗布膜は、表面が大気
に晒されることが防止できる。
【0052】第4の工程は、前記誘電体塗布膜を加熱処
理して、ぺロブスカイト結晶構造を有する誘電体薄膜を
形成する工程である。
【0053】即ち、表面側に上部電極4の第1の電極層
41が被着形成された誘電体塗布膜を、820〜860
℃で加熱処理を行う。これにより、誘電体塗布膜は、主
にペロブスカイト型結晶相を有する誘電体薄膜3とな
る。この誘電体薄膜3の膜厚は、上述のように2μm以
下とすることが望ましい。即ち、これより厚くなると、
上述の前駆体溶液の塗布−乾燥処理の工程数が増加する
ばかりでなく、薄膜コンデンサを構成した場合、容量が
小さくなるからである。
【0054】第5の工程は、上部電極を構成する第2の
電極層42を被着形成する工程である。
【0055】第2の電極層42は、AgやCuなどのよ
うに、低抵抗材料で、且つ第1の電極層であるAuと合
金反応を起こしにくい材料が選択される。そして、例え
ば、Cuを例えば300℃でスパッタ蒸着により形成す
る。
【0056】これにより、本発明の図1に示す薄膜コン
デンサが製造される。
【0057】上述の製造方法において、第2の工程で、
前駆体溶液を塗布、乾燥して、誘電体塗布膜(乾燥ゲ
ル)を形成して、その後、第3の工程でAuからなる上
部電極4の第1の電極層41を被着形成し、その後、第
4の工程で、誘電体塗布膜を加熱(焼成処理)してペロ
ブスカイト型結晶層を有する誘電体薄膜3を形成してい
る。
【0058】ここで、第4の工程である加熱処理によ
り、誘電体塗布膜(乾燥ゲル)は誘電体薄膜3となる
が、誘電体塗布膜は、上下面がAuで挟持された状態で
結晶化する。即ち、従来において、下部電極2側の電極
層のみが結晶生成の反応種(面)として作用していた
が、本発明では、誘電体塗布膜の上下面が夫々結晶生成
の反応種(面)となるため、誘電体薄膜3の厚み方向で
安定してペロブスカイト型結晶相を生成することができ
る。これは、本発明の誘電体塗布膜の上面側が大気に晒
されることなく加熱焼成されることにも起因する。
【0059】従って、本発明では、誘電体薄膜3の下部
側も上部側も結晶相が均一して成長し、部分的に比誘電
率が異なるようになることが有効に抑えられ、誘電体薄
膜3内で2種類のことなる比誘電率の層が直列接続され
るようなことが解消される。
【0060】これにより、誘電体薄膜3において、その
静電容量を最大限に向上させることができ、薄型とあい
まって、大容量の薄膜コンデンサを得ることができる。
【0061】また、誘電体塗布膜3の上部電極4のAu
かち成る第1の電極層41において、その膜厚が極端に
薄い。これは、高価なAu材料の使用を削減するだけで
なく、誘電体塗布膜を加熱(焼成)した時に、誘電体塗
布膜の焼結収縮に対応できるようにするためである。こ
の収縮によって、第1の電極層41にはクラックが発生
して、誘電体薄膜3内に収縮応力に伴う内部応力を残存
させないようにしている。特に、残存応力が内在する
と、薄膜コンデンサを実装基板に実装した時に、また、
長期的に使用した時、熱衝撃などにより変形してしま
う。本発明では、このような問題を解決できる。
【0062】同時に、第5の工程で、第2の電極層42
を形成している。これは、上部電極4として充分な厚み
を確保するものであり、これより、外部回路と安定的に
接続する事できる。
【0063】また、上述したように、第1の電極層41
でクラックが発生しても、この第2の電極層42でクラ
ックを充填するようにして、安定した容量が得られるよ
うにしている。
【0064】本発明者は、本発明の薄膜コンデンサと、
従来の薄膜コンデンサとにおいて、誘電体薄膜3部分の
断層SEM写真を取り、また、X線回折測定により分析
した。その結果、本発明では、誘電体薄膜3の上部側に
生成されやすいパイロクロア型結晶相(低温で生成しや
すく低誘電体率)の存在率が、従来に比較して大幅に減
少したことを確認した。
【0065】即ち、誘電体薄膜3内に均一に、ペロブス
カイト型結晶粒子が全量中70〜90体積%存在し、前
記パイロクロア型結晶粒子が全量中10〜30体積%存
在するものとなり、比誘電率を2500以上、例えば、
2800以上とすることができた。
【0066】
【発明の効果】以上のように、薄膜コンデンサでは、誘
電体薄膜の結晶相の不均一性を解消して、コンデンサの
静電容量のばらつきを解消でき、、低コストで、大容量
化できる薄膜コンデンサとなる。
【0067】また、このような薄膜コンデンサを簡単、
且つ確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜コンデンサの断面図である。
【符号の説明】
1・・・絶縁基板 2・・・下部電極 21・・・第1の電極層 22・・・第2の電極層 3・・・誘電体薄膜 4・・・上部電極 41・・・第1の電極層 42・・・第2の電極層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Auからなる下部電極と上部電極との間
    に、金属元素としてPb、Mg、Nb、TiおよびZr
    を含有する誘電体薄膜を介在させて成る薄膜コンデンサ
    において、 前記上部電極は、誘電体薄膜と接触するAuからなる第
    1の電極層と、該第1の電極層上に被着形成される第2
    の電極層とからなることを特徴とする薄膜コンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記第2の電極層は、AgまたはCuで
    あることを特徴とする請求項1記載の薄膜コンデンサ。
  3. 【請求項3】絶縁基板上に、Auからなる下部電極を被
    着形成する工程、 前記下部電極上に、Pb、Mg、Nb、TiおよびZr
    を有する前駆体溶液を塗布・乾燥し、誘電体塗布膜を形
    成する工程と、 前記誘電体塗布膜上に、上部電極を構成するAuからな
    る第1の電極層を被着形成する工程と、 前記誘電体塗布膜を加熱処理して、ぺロブスカイト結晶
    構造を有する誘電体薄膜を形成する工程と、 前記上部電極を構成する第1の電極層の上面に、上部電
    極を構成する第2の電極層を被着形成するを工程とから
    成る特徴とする薄膜コンデンサの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014157822A (ja) * 2010-05-24 2014-08-28 Mitsubishi Materials Corp 強誘電体薄膜の製造方法

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