JP2001232931A - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Abstract
インクジェット記録用紙を提供する。 【解決手段】 パルプをアルカリ処理して得られるマー
セル化パルプを繊維原料として使用することにより、イ
ンク吸収速度が速くしかもインク発色濃度の高いインク
ジェット記録用紙となる。紙自体が優れたインク吸収速
度を有しているため、インク吸収性を向上させるための
塗工を施す必要がなく、非塗工タイプのインクジェット
記録用紙として使用することが可能である。
Description
録用紙に係り、より詳しくは高速インクジェットプリン
ターに対応可能なインク高速吸収速度をもち且つインク
発色濃度の高いインクジェット記録用紙に関するもので
ある。
を用い微少な液滴を形成させ、被記録体へ様々な方法に
よって吹き付けて画像を形成させる方式である。近年、
このインクジェット記録方式が飛躍的な伸びを見せてい
る理由として、水性インクを使用するために有機溶剤の
不快臭がしない、低騒音、低ランニングコストなどの理
由が挙げられる。特に家庭でカラー印刷が容易にできる
ために、年賀状の印刷をはじめ簡単な印刷がパーソナル
レベルで可能となっている。
を採用すると印字速度に限界があることが大きな欠点と
なっている。すなわち、高速カラー印刷を実現させるた
めには複数のインクが被記録体に吹き付けられた後に、
瞬時にインクが吸収されることが必要である。その吸収
速度が遅い場合には、にじみが発生したり、先に吹き付
けられたインクが吸収される前に次のインクが吹き付け
られて混合される結果、鮮やかな発色が得られなくなっ
てしまう。
性のある物質を塗工層に混合させた記録用紙が種々提案
されている。例えば、特開平11−34481号公報に
は塗工層のバインダーにゼラチン質を使用した記録用
紙、特開平11−34484号公報にはインク吸収性の
良い填料を用いた記録材料等が開示されている。しか
し、このような塗工方式で紙を製造した場合にはコスト
アップは避けられない。従って、低コストで高性能イン
クジェット記録用紙を製造するためには塗工工程を経な
いで一工程で製造できる非塗工タイプの記録用紙である
ことが望ましい。
紙は一般的に上質紙タイプまたは普通紙タイプとして市
販されている。市販品の普通紙タイプのインクジェット
記録用紙は文字印刷時の文字太りを解消するために過剰
のサイズ剤が配合されており、インクの吸収速度が遅く
なっている。このような記録用紙を高速インクジェット
プリンターにて文字のみの印字を行うと十分な機能は発
揮できるが、多色のカラー印刷を行うと、画像ににじみ
が発生し、鮮明な画像が得られないのが現状である。
ンターに対応可能なインク高速吸収速度をもち且つイン
ク発色濃度の高いインクジェット記録用紙を提供するこ
とを目的としてなされたものである。
ェット記録用紙に用いられる原材料について鋭意検討し
た結果、用紙の繊維原料として特定のパルプを用いるこ
とでインク吸収速度が速く且つ発色濃度の高いインクジ
ェット記録用紙が得られることを見いだした。
は、繊維原料としてマーセル化パルプを使用したことを
特徴とするものである。
を用紙の繊維原料として使用してもよく、あるいはマー
セル化パルプを他のパルプと混合して使用してもよい。
クラフトパルプ化法やサルファイトパルプ化法のような
通常の漂白方法により得られたパルプを強アルカリ溶液
に浸漬処理した後に、残留アルカリを除去するために十
分に水洗して得られたパルプのことをいう。このような
マーセル化パルプは、セルロースパルプ中のヘミセルロ
ース等が溶出し、吸湿量の増加、短繊維強度の増加のよ
うな特性を発現することが知られており、また、セルロ
ース中の水酸基のほとんどがアルカリ処理によりナトリ
ウムで置換されるため繊維間の水素結合がしにくくなる
結果、マーセル化パルプを使用した紙は嵩高な低密度の
紙となる。
を用いた用紙が、高速インクジェットプリンターに対応
可能なインク高速吸収速度をもち、しかもインク発色濃
度の高いインクジェット記録用紙として使用できること
は、従来全く報告されていない。
体が優れたインク吸収速度を有しているため、インクの
吸収性を向上させるための塗工を施す必要がなく、非塗
工タイプのインクジェット記録用紙として使用すること
ができるものである。しかしながら、紙自体のインク吸
収性を阻害させない程度であれば、必要に応じて塗工を
施してもよい。
プの原材料としては、広葉樹材、針葉樹材あるいは非木
材などのパルプ材料全般が用いられ、特に限定されるも
のではない。具体的なパルプ材料としては、一般に製紙
用繊維として使用される広葉樹未晒クラフトパルプ(L
UKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉
樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹晒クラフト
パルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイト(NBS
P)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、麻パルプ、
竹パルプ、ワラパルプ、ケナフパルプ等の単独あるいは
混合物が使用できる。
マーセル化パルプを使用することが不可欠であり、その
使用割合は繊維原料全体の10〜100重量%とする。
すなわち、マーセル化パルプのみを用いてもよいし、あ
るいはマーセル化パルプを非マーセル化パルプ(アルカ
リ処理していないパルプ)と混合して用いてもよく、混
合使用する場合にはマーセル化パルプの使用割合を繊維
原料全体の10重量%以上とする。非マーセル化パルプ
としては、マーセル化パルプの原材料として述べた前述
のパルプ材料の1種または2種以上を配合して使用でき
るが、これら以外にも必要に応じて合成パルプ、レーヨ
ン、ビニロン、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維も
使用できる。
吸収性等のインクジェット記録適性を更に向上させるた
めに、従来からインクジェット記録用紙に用いられてい
る公知の無機材料あるいは有機材料も必要に応じて使用
できる。具体的には、無機材料としては、軽質炭酸カル
シウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸
カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫
化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、ケイ酸アルミニウ
ム、ケイ酸マグネシウム、合成無定形シリカ、シリカゾ
ル、コロイダルシリカ、アルミナゾル、コロイダルアル
ミナ、ベーマイト、擬ベーマイト、水酸化アルミニウ
ム、アルミナなどが使用できる。一方、有機材料として
は、PVA、ゼラチン、ニカワ、ポリビニルピロリド
ン、水溶性セルロース誘導体、スチレン・ブタジエン共
重合体、耐水化水溶性高分子、メチルメタックリレート
・ブタジエン共重合体などが挙げられる。
法としては、抄造前に原料に混合して抄紙する内添方
法、抄造中にサイズプレス液に混合して紙に塗工する方
法、抄紙後に塗工機により塗工する方法などが採用でき
るが、どの方法を採用していかなる材料を使用する場合
でも、用紙のインク吸収速度を極端に低下させるような
処方は避けなければならない。すなわち、例えば過剰に
バインダーなどを配合した塗工液を用紙面に塗工する
と、インキ吸収速度が低下する結果、インキを重ねて吹
き付けた箇所ににじみが発生してしまうからである。ま
た、コスト面から一工程で製造できる非塗工タイプの用
紙とすることが望ましいので、内添方法またはサイズプ
レス液に混合して紙に塗工する方法を採用することが好
ましい。
減少させるために必要に応じてサイズ剤、ワックスなど
を原料中に添加することもできるが、用紙のインク吸収
性を阻害するような量の添加は避けるべきである。過剰
に添加した場合には、先に印字されたインクが乾く前に
次のインクが記録用紙に飛翔してしまうとこれらのイン
クが混合するため、鮮明な画像がでなくなってしまうか
らである。
に応じて、印刷仕上がりを良好にするために蛍光増白
剤、シートフィードによる静電気を防止するために帯電
防止剤等も使用できる。
るインクは一般的に水溶性のインクであるため、インク
ジェットプリンター用インクの高速吸収性を備えた用紙
とするには、水を高速で吸収する性質を備えた用紙とす
ればよい。
P 8122「紙のステキヒト・サイズ度試験法」に
規定されるサイズ度が知られており、インクジェット記
録用紙としては一般的にサイズ度5秒以下であることが
望ましい。
Tappi No.51−87に規定されている「紙及
び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)」があ
る。ブリストー法は、短時間で高速吸収する紙の評価方
法として活発に採用されている方法であり、特に弱サイ
ズの紙の吸収性を評価する方法として適していることが
知られている。かようなブリストー法により本発明のイ
ンクジェット記録用紙の吸水速度を評価した場合には、
スリット幅1mm、スリット長さ15mmのヘッドボッ
クスに蒸留水を50μL(マイクロリットル)、試験片
の移動速度を5.0mm/secに設定したときの液転
移長さが100mm以下となり、現在市販されている普
通紙や専用紙のインクジェット記録用紙に比較して本発
明のインクジェット記録用紙は優れた吸水速度を示すこ
とが判明している。
て、インクの発色濃度および吸水速度を評価した結果を
示す。なお、“部”および“%”は重量部および重量%
を示す。
き紙に、インクジェットプリンター(「BJC−42
0」、キャノン(株)製)を用いて、シアン、マゼンダ、
イエロー(「BCI−21Color」、キャノン
(株)製)及びブラック(「BCI−21Blac
k」、キャノン(株)製)の単色インクでそれぞれベタ
印刷し、濃度計(「MODEL No.1155」、マ
クベス社製)を用いて発色濃度を測定した結果を表1に
示した。
い、水酸化ナトリウム10%水溶液にパルプ濃度が5%
となるようにパルプを分散し、その後20℃にて1時間
浸漬してアルカリ処理を行ってマーセル化パルプを調製
した。このパルプを用いて100g/m2の手抄き紙を
作成した。
化パルプを叩解度が400mL(ミリリットル)C.
S.F.になるように叩解し、このパルプを用いて10
0g/m2 の手抄き紙を作成した。
あるLBKPをアルカリ処理せずにそのまま用いて10
0g/m2 の手抄き紙を作成した。
解度が400mLC.S.F.になるように叩解し、こ
のパルプを用いて100g/m2 の手抄き紙を作成し
た。
き紙に、発色濃度の評価(1)と同様にしてインクジェ
ットプリンターを用いてベタ印刷し、その発色濃度を測
定した結果を表2に示した。
い、水酸化ナトリウム10%水溶液にパルプ濃度が5%
となるようにパルプを分散し、その後20℃にて2時間
浸漬してアルカリ処理を行ってマーセル化パルプを調製
した。このパルプを用いて100g/m2の手抄き紙を
作成した。
化パルプを叩解度が400mLC.S.F.になるよう
に叩解し、このパルプを用いて100g/m2 の手抄き
紙を作成した。
あるLBKPをアルカリ処理せずにそのまま用いて10
0g/m2 の手抄き紙を作成した。
解度が400mLC.S.F.になるように叩解し、こ
のパルプを用いて100g/m2 の手抄き紙を作成し
た。
き紙に、発色濃度の評価(1)と同様にしてインクジェ
ットプリンターを用いてベタ印刷し、その発色濃度を測
定した結果を表3に示した。
い、水酸化ナトリウム10%水溶液にパルプ濃度が5%
となるようにパルプを分散し、その後20℃にて2時間
浸漬してアルカリ処理を行ってマーセル化パルプを調製
した。このパルプを用いて100g/m2の手抄き紙を
作成した。
化パルプを叩解度が400mLC.S.F.になるよう
に叩解し、このパルプを用いて100g/m2 の手抄き
紙を作成した。
あるNBSPをアルカリ処理せずにそのまま用いて10
0g/m2 の手抄き紙を作成した。
解度が400mLC.S.F.になるように叩解し、こ
のパルプを用いて100g/m2 の手抄き紙を作成し
た。
で得られる液の転移長さを吸水速度の指標として、下記
の実施例7と8で得られた紙および比較例7と8の紙に
ついて吸水速度を評価した。この試験方法は、既知量の
液体を添加したヘッドボックスを、任意の一定速度で移
動している試験片(紙)に接触させ、ヘッドボックスの
スリットを通して紙面に液を完全に吸収させ、液体がす
べて紙面に転移し終わるまでに液体が残した転移跡の長
さ(mm)を測定するものであり、この長さが短いほど
紙の液体吸収性が良いことになる。測定機として動的浸
透性試験機((株)東洋精機製作所製)を使用し、スリ
ット幅1mm、スリット長さ15mmのヘッドボックス
に蒸留水(蒸留水に可視効果を付与するために染料を蒸
留水の接触角に影響のない範囲の濃度(0.1%)で混
合したもの)を50μL添加し、試験片の移動速度を
2.5、5.0、12.5および25.0mm/sec
に設定したときの液転移長さ(mm)を測定した。測定
結果を表4に示した。
(「サルファテートHJ」、米国レオニア社製)30重
量部、アルカリ処理していないNBKP40重量部およ
びアルカリ処理していないLBKP30重量部を混合
し、このパルプ混合物を叩解度が500mLC.S.
F.になるように叩解し、常法により長網抄紙機にて8
0g/m2 の紙を抄造した。
(「サルファテートHJ」)45重量部、アルカリ処理
していないNBKP35重量部およびアルカリ処理して
いないLBKP20重量部を混合し、このパルプ混合物
を叩解度が500mLC.S.F.になるように叩解
し、常法により長網抄紙機にて80g/m2 の紙を抄造
した。
として、市販の上質普通紙(「KA4250NP」、セ
イコーエプソン(株)社製)を使用した。
記録用専用紙として、市販のスーパーファイン専用紙
(「MJA4SP1」、セイコーエプソン(株)社製)
を使用した。
した。 (a) パルプをアルカリ処理したマーセル化パルプを用い
た本発明の用紙は、非マーセル化パルプを用いた用紙に
比べてインクジェットプリンター用インクの発色濃度が
向上した。 (b) 上記したインク発色濃度の向上は、供試した全ての
色のインクにおいて認められた。 (c) 叩解したパルプを用いた場合でも、非マーセル化パ
ルプよりもマーセル化パルプを用いた紙の方が高い発色
濃度が得られた。 (d) マーセル化パルプを用いた本発明の用紙は、J.T
APPI No.51−87に規定される「ブリストー
法」により試験片の移動速度を2.5〜25.0mm/
secに設定したときの液転移長さを測定した場合、い
ずれの移動速度においても液転移長さが100mm以下
を示し、市販のインクジェット記録用紙に比べて優れた
インク吸収速度を有している。
繊維原料としてマーセル化パルプを使用した本発明のイ
ンクジェット記録用紙は、高速インクジェットプリンタ
ーに対応可能なインク高速吸収速度を備え、しかもイン
ク発色濃度の高い記録用紙を提供できる。
しているため、インクの吸収性を向上させるための塗工
を施す必要がなく、非塗工タイプのインクジェット記録
用紙として使用することが可能である。
Claims (3)
- 【請求項1】 繊維原料としてマーセル化パルプを使用
したことを特徴とするインクジェット記録用紙。 - 【請求項2】 マーセル化パルプの使用割合が繊維原料
全体の10〜100重量%であることを特徴とする請求
項1記載のインクジェット記録用紙。 - 【請求項3】 J.Tappi No.51−87に規
定されるブリストー法にて、スリット幅1mm、スリッ
ト長さ15mmのヘッドボックスに蒸留水50μL、試
験片の移動速度を5.0mm/secに設定したときの
液転移長さが100mm以下であることを特徴とする請
求項1または2記載のインクジェット記録用紙。
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