JP2014141773A - 印刷用塗工紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原紙の少なくとも一方の面に顔料とバインダーを主成分とする塗工層を設けた印刷用塗工紙において、塗工層中の顔料として無機顔料100質量部に対して有機顔料を0.1〜12.0質量部含有し、緊度0.75g/cm2以上とし、更に無機顔料100質量部に対してバインダーを8.0〜23.0質量部含有する印刷用塗工紙。
【選択図】図1
Description
そのため従来のオフセット印刷用塗工紙を水性グラビア印刷に採用すると、水性グラビアインクの定着性や吸収性が悪いために、印刷ムラや印刷滲み(吸収されなかったインクが塗工紙面上を流れるインク泳ぎ)が発生するなどの問題があった。
特許文献2はオフセット印刷用コート紙の様な外観を示し、かつ優れたインクジェット適性を有する低コストで製造可能なインクジェット用記録紙を提供することを課題として、シート状基材の少なくとも片面に無機顔料とバインダーを主体とした塗工層を設けた記録紙であり、表面近傍の塗工層の熱重量測定にて求めた無機分/有機分の比がいずれも97/3〜70/30の範囲にあることを特徴とするインクジェット用記録紙を開示した。
これに対し特許文献3〜特許文献6はいずれも印刷用塗工紙の剛度を向上することを課題とし、罫入れ適性や曲げ適性に関する検討は特には行われていない。特に印刷用塗工紙は嵩高紙であるため、原紙層に空隙が多く罫線を入れたときに空隙があるため、つぶれやすく、剛度を向上するという一方向の検討では良好な罫入れ適性を得ることはできない。
図3にこの様な従来の印刷用塗工紙を罫入れ部分で曲げた状態の断面写真を示す。図に示すように罫入れ部分で曲げた状態で層厚方向に均一に空隙は入らず、2カ所の大きな空隙が生じており、この部分に力が集中し、クラックが生じていることが分かる。
また吹付け澱粉添加量を1.0〜1.5%とし、一方、内添澱粉添加量を0.2〜0.6%としてもよい。表裏層と中層との層間強度を200〜500mN/cmに調整するのがよい。
これによって印刷用塗工紙の用途としては不足のない剛度を備えかつ高速打ち抜き時における製品と抜き粕の円滑な分離が可能で高効率な生産を行うことが可能となる。
また罫入れ適性及び曲げ適性を向上することが可能となる。
本発明の印刷用塗工紙は、原紙上に顔料およびバインダーを主成分とする塗工層を有する。塗工層を設けることによって、印刷品質および外観の点で未塗工紙と差別化することができる。
バインダーの総含有量が8.0質量部未満では塗工層の強度が不足する。23.0質量部を超えると光沢が過度に低下する。
さらに好ましくは塗工層中の顔料の総和100質量部に対して12.8〜18.5±5質量部含有させるのが良く、最も好ましくは13.0〜19.0質量部、特にコスト的な観点からは16.0質量部含有させるのが良い。
この有機顔料としてはポリスチレン系プラスチックピグメント、ポリアクリル系プラスチックピグメント、スチレン−アクリル系プラスチックピグメント、スチレン−ブタジエン系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。有機顔料を含有させることで塗工板紙の光沢・白色度を向上させる。印刷適性、後加工適性(ニス引き、糊付け、ブリスターパック適性)の向上に効果がある。
前項のバインダーによって低下した光沢は、有機顔料を含有することで補うことができる。有機顔料含有量が0.1質量部未満では有機顔料添加による塗工層の光沢向上が充分ではなく、12.0質量部を超えて含有させる場合には過剰な有機顔料によって、コストに見合う特性の向上は認められない。さらに好ましくは有機顔料を2.0〜7.0質量部含有するのが良く、コスト的な観点からは2.0質量部含有するのが最善である。
40質量部を超える場合にはコストに見合う特性の向上は認められない。軽質炭酸カルシウムは30質量部程度含有するのが良い。
塗工層が20〜40質量部の重質炭酸カルシウムと、20〜40質量部の軽質炭酸カルシウムとを含有することによって、炭酸カルシウムの粒子間に形成される空隙によって、水性グラビアインクを吸収することができ、オフセット印刷適性を損なわず、水性グラビア印刷適性を有することができる。塗工層中の炭酸カルシウムが重質炭酸カルシウムのみ含有の場合には塗工層の空隙の形成が不十分となり、水性グラビア印刷適性が得られない。
重質炭酸カルシウムは30質量部程度含有するのが良い。
中層のNパルプ配合量を5.0〜15.0質量部にすることによって紙の引裂強度のバランスが図られ、製品としての使用時における必要な印刷適性を備え、かつ抜き適性やピン刺し適性を向上することができる。また中層の繊維の密度を低くし、同量の繊維でより厚みを出し、軽量化によるコストダウンが輸送・持ち運びの効率を向上する。
吹付け澱粉濃度が1.0%未満であると、使用時における引裂強度、層間強度が不足する。
吹付け澱粉濃度が1.5%を超えると製造加工工程における加熱時の引裂強度、層間強度が過剰となり、抜き適性やピン刺し適性が悪化する。
内添澱粉添加量が0.2%未満であると、繊維間の結合が過度に弱まり、使用時における引裂強度、層間強度が不足する。
内添澱粉添加量が0.6%を超えると繊維間の結合が過剰になり、抜き適性やピン刺し適性が悪化する。
層間強度が200mN/cm未満ではオフセット印刷時に表裏層と中層との層間剥離が生じる。層間強度が500mN/cmを超えると抜き適性、ピン刺し適性、罫入れ適性及び曲げ適性が悪化する。
その場合、表層のフリーネスを390〜470ml、中層のフリーネスを430〜530mlとする。表裏層に叩解を進めた細かい繊維を配合し、引裂強度が高くなるのを抑え、原紙の塗工面側の表層部を緻密な構造とすることで印刷適性の向上にも繋がる。一方中層は表裏層より叩解を粗くすることで適度な引裂強度を備え、抜き適性やピン刺し適性の最適化が可能となる。
表層のフリーネスが390ml未満では引裂強度が低下する。
表層のフリーネスが470mlを超えると緻密な表層を得ることができなく、印刷適性も低下する。
表層のフリーネスはさらに好ましくは420〜435ml、最も好ましくは430mlとする。
これに応じて中層のフリーネスをさらに好ましくは480〜500ml、最も好ましくは480mlとする。
中層への嵩向上剤の添加量が0.7重量%未満では嵩高が不十分となる。中層への嵩向上剤の添加量が1.7重量%を超えると強度低下を生じる。さらに好ましくは中層への嵩向上剤の添加量を1.2重量%程度とする。
図1に示すように従来の原紙ではその断面写真及び断面模式図に示されるように全体として空隙が多い。その結果として表面性状を階調80%(一定の面積の80%にインキが乗っている)で観察すると吸収されなかったインクが塗工紙面上を流れるインク泳ぎが発生していることが表面写真に示されている。
これに対して本発明の印刷用塗工紙で用いられる原紙では、その断面写真及び断面模式図に示されるように、表面と空隙が多い層との間に緻密な層が有り、ただ単に全体として空隙が多い従来の原紙とは異なる。その結果として表面性状を階調80%で観察するとインク泳ぎは発生しない。
本発明に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とする。広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ等の化学パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプや古紙パルプを任意に組合せて、または単独で用いられる。紙料は、嵩向上剤、澱粉、カチオン澱粉、ポリアクリルアマイド等の紙力増強剤、ロジンサイズ、アルキルケテンダイマー、合成サイズ等のサイズ剤、タルク、炭酸カルシウム、チタン等の填料、コロイダルシリカ、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキサイド等の歩留向上剤、濾水剤等の抄紙薬品が含まれる。
表裏層、中層の各層毎に原料の配合を調整したパルプスラリーを指定のフリーネスに調整する。内添抄紙薬品として、指定の添加量の嵩向上剤、または嵩高填料、カチオン化タピオカ澱粉を添加し、抄造する。
サイズプレス装置で両面あたり澱粉を塗布し、カレンダー処理を行い、坪量215〜235g/m2の原紙1を製作した。原紙の構造を表1に示す。
本発明に用いられる塗料は、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリンを組合せた無機顔料、有機顔料、ラテックスなどで構成され、その他に澱粉、カルボキシメチルセルロース(CMC)、潤滑剤、消泡剤、分散剤、保水剤、pH調整剤、蛍光染料、染料、防腐剤等を含む。
また選択的に無機顔料100質量部に対してバインダーを8.0〜23.0質量部含有させ、またカオリンを含む無機顔料100質量部中に20〜40質量部の軽質炭酸カルシウムを含み、さらにはカオリンを含む無機顔料100質量部中に20〜40質量部の重質炭酸カルシウムを含むようにすることができる。
塗工層の塗工液における無機顔料、有機顔料、バインダーの配合部数は表2に記載したものとして調整した。顔料は重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製)、軽質炭酸カルシウム(矢橋工業社製)、カオリン(カダム社、白石カルシウム社製)とし、バインダーとしてラテックス(JSR社製)を使用した。有機顔料としては(日本ゼオン社製)を使用した。
以上の原紙及び塗工液を用い、実施例1〜4および比較例1〜4の印刷用塗工紙を以下の手順により製作した。
A〜Fの原紙の表面に、湿式重質炭酸カルシウムとカオリンを配合した下塗りの塗工量を10.5g/m2塗工した上にa〜gのいずれかの塗工液の塗工量を11.5g/m2として片面塗工し、乾燥させた後、カレンダー処理をして印刷用塗工紙を製作した。
その測定結果を表3に示す。
その結果を表5に示す。
5:色のミスドットがない。
4:色のミスドットがほとんどない。
3:色のミスドットがあるものの、少ない。
2:色のミスドットがやや多い。
1:色のミスドットが多い。
5:印刷ムラが認められない。
4:僅かに印刷ムラが認められる。
3:軽度な印刷ムラが認められる。
2:印刷ムラが認められる。
1:明瞭な印刷ムラが認められる。
表5より、実施例1〜4で示される印刷用塗工紙は、オフセット印刷適性、印刷再現性、印刷ムラに優れる。
また表5に示されるように本発明の印刷用塗工紙は、片面塗工ではいずれも緊度0.75g/cm2以上であり、軽量化による効率向上が図られると同時に過度の軽量化による印刷適性の悪化が防止されていることが分かる。
しかも表5に示されるように、実施例1〜4及び比較例1〜4のそれぞれについて特に大きな単位価格の違いはなく、本発明の実施例1〜4では特に大きなコストをかけることなく特性の大幅な向上を実現することができたことがわかる。
Claims (15)
- 原紙の少なくとも一方の面に顔料とバインダーを主成分とする塗工層を設けた印刷用塗工紙において、塗工層中の顔料として無機顔料100質量部に対して有機顔料を0.1〜12.0質量部含有し、緊度0.75g/cm2以上であることを特徴とする印刷用塗工紙。
- 無機顔料100質量部に対してバインダーを8.0〜23.0質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の印刷用塗工紙。
- カオリンを含む無機顔料100質量部中に20〜40質量部の軽質炭酸カルシウムを含む請求項1または請求項2に記載の印刷用塗工紙。
- さらにカオリンを含む無機顔料100質量部中に20〜40質量部の重質炭酸カルシウムを含む請求項1〜請求項3のいずれか一に記載の印刷用塗工紙。
- 30〜50質量部のカオリンを含む請求項1〜請求項4に記載のいずれか一に記載の印刷用塗工紙。
- 原紙が表裏層と中層とからなり、パルプの叩解度は表層が中層よりも低いフリーネス(CSF)を有する請求項1〜請求項5のいずれか一に記載の印刷用塗工紙。
- 表層のパルプの叩解度はカナダ標準濾水度(CSF)でフリーネスが390〜470mlCSFとされる請求項6に記載の印刷用塗工紙。
- 中層のパルプの叩解度はカナダ標準濾水度(CSF)でフリーネスが430〜530mlCSFとされる請求項6または請求項7に記載の印刷用塗工紙。
- 表層への嵩向上剤の添加量が0.3〜1.3重量%又は嵩向上剤に代えて嵩高填料の添加量が3.0〜13.0重量%とされる請求項6〜請求項8のいずれか一に記載の印刷用塗工紙。
- 中層への嵩向上剤の添加量が0.7〜1.7重量%又は嵩向上剤に代えて嵩高填料の添加量が7.0〜17.0重量%とされる請求項6〜請求項9のいずれか一に記載の印刷用塗工紙。
- 全層のNパルプ配合量が1.0〜10.0質量部とされ、中層に針葉樹パルプ(NBKP)が5.0〜15.0重量%配合される請求項6〜請求項10のいずれか一に記載の印刷用塗工紙。
- 105℃、30秒加熱した時の引裂強度が1500mN以下であり、常温引裂強度が1000mN以上である請求項6〜請求項11のいずれか一に記載の印刷用塗工紙。
- 吹付け澱粉添加量が1.0〜1.5%とされた請求項6〜請求項12のいずれか一に記載の印刷用塗工紙。
- 内添澱粉添加量が0.2〜0.6%とされた請求項6〜請求項13のいずれか一に記載の印刷用塗工紙。
- 表裏層と中層との層間強度が200〜500mN/cmに調整される請求項6〜請求項14のいずれか一に記載の印刷用塗工紙。
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