JP2001226540A - アルミニウムろう付用フラックス組成物、その塗膜、及びろう付方法 - Google Patents
アルミニウムろう付用フラックス組成物、その塗膜、及びろう付方法Info
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Abstract
付部(フィレット)の外観が良好であり、低コストで作
業環境も良好であり、しかも複雑形状の部品へも塗布可
能な新規アルミニウムろう付用ペースト状組成物を提供
する。 【解決手段】 a)弗化物系フラックス:10重量%〜
50重量% b)ポリエチレン樹脂、ブチルゴムとポリエチレン樹脂
の混合物、石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物、ブチ
ルゴムと石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物の群から
選ばれる1種のバインダー:0.1重量%〜10重量%
を含み残部実質的に有機溶剤からなる(ただし、合計量
は100重量%)アルミニウムろう付用フラックス組成
物。
Description
ろう付接合する際に使用するフラックス組成物に関す
る。尚、本明細書においては、アルミニウムとは、断わ
りのない限り純アルミニウムおよびアルミニウム合金を
含む。
は、ブレージングシートが多用されており、これは例え
ば、3003合金(以下4ケタの番号/記号はJISで
定められているものである)や3N03合金等の心材の
片面あるいは両面に4343合金や4045合金等のろ
う材をクラッドさせたものが用いられている。これらを
ろう付する際には、ろう付部にフラックスを塗布する必
要があり、従来フラックスを水に混合させた懸濁液をス
プレー等で塗布・乾燥後にろう付作業(工程)を行うの
が通常であった。しかしながらスプレーでの塗布では、
必要箇所以外にもフラックスが飛び散り、作業環境・衛
生面ですこぶる好ましいものではなかった。また、水を
使用した場合には、完全に乾燥させた状態では容易にフ
ラックスが剥離、脱落するためろう付前の長時間の保存
や運搬、および加工・組立等が不可能であった。一方完
全に乾燥していない状態でろう付を行った場合には、ろ
う付雰囲気中の水分量が多くなり、ろう付性を低下させ
たり、ろう付部の欠陥の原因になる恐れがあった。さら
には、水を媒体とした場合ブレージングシートとの密着
性が低く、容易に塗りムラが生じ、フラックスの多く付
着している部分は、過剰のフラックスが灰色あるいは白
色のシミを形成する恐れがあり、他方フラックスの少な
い部分では、ろう付性が低下する恐れがあった。
285682等に開示されているように水溶性の樹脂を
バインダーとして添加する方法もあるが、ろう付の際に
バインダーとフラックス間で反応が起こり、ろう付部が
黒変化する等意匠的に製品価値がすこぶる低いものであ
った。また、これらの水溶性の樹脂を使用しても、十分
な成膜性はなく、容易に剥離・脱落するためフラックス
塗布後の加工・組立等が実質的に不可能であった。従来
の溶剤系の樹脂を使用した場合では、乾燥させても、乾
燥させなくてもろう付部が変色したり、欠陥の発生する
恐れがあり工業生産に適していなかった。
夫を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち
本発明は、次の組成物、塗膜およびろう付方法よりな
る。
の混合物、石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物、ブチ
ルゴムと石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物の群から
選ばれる1種のバインダー:0.1重量%〜10重量%
を含み残部実質的に有機溶剤からなる(ただし、合計量
は100重量%)アルミニウムろう付用フラックス組成
物。
F,KAlF4−K3AlF6,K3AlF6及びKA
lF4から選ばれる少なくとも1種以上である前記1記
載のアルミニウムろう付用フラックス組成物。
アルミニウム製ブレージングシートの表面の少なくとも
1部以上に塗布後乾燥して得られる塗膜。
アルミニウム製ブレージングシートの表面の少なくとも
1部以上に塗布して得られる未乾燥塗膜。
とも1部以上に有するアルミニウム製ブレージングシー
ト。
の混合物、石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物、ブチ
ルゴムと石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物の群から
選ばれる1種のバインダー:0.1重量%〜10重量%
を含み残部実質的に有機溶剤からなる(ただし、合計量
は100重量%)アルミニウムろう付用フラックス組成
物をアルミニウム製ブレージングシートの表面の少なく
とも1部以上に塗布、乾燥後、他のアルミニウム材とろ
う付を行うことを特徴とするアルミニウム材のろう付方
法。
う上記6記載のろう付方法。
の混合物、石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物、ブチ
ルゴムと石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物、ブチル
ゴム、石油樹脂、ブチルゴムと石油樹脂の混合物の群か
ら選ばれる少なくとも1種のバインダー:0.1重量%
〜10重量%を含み残部実質的に有機溶剤からなる(た
だし、合計量は100重量%)アルミニウムろう付用フ
ラックス組成物をアルミニウム製ブレージングシートの
表面の少なくとも1部以上に塗布後未乾燥で、他のアル
ミニウム材とろう付を行うことを特徴とするアルミニウ
ム材のろう付方法。
う上記8記載のろう付方法。
AlF3−KF、KAlF4−K3AlF6、K3Al
F6およびKAlF4等の弗化物系フラックス等が例示
されるが、K3AlF6とKAlF4の混合物である市
販品の「ノコロック(商品名)」(アルキャン社製)が
特に好適である。弗化物系フラックスの量は組成物全体
を100重量%としたとき、10〜50重量%が適当
で、好ましくは20〜40重量%とするのがよい。10
重量%未満の場合には、フラックスの作用が乏しくなる
恐れがあり、50重量%を超えても過剰となり、コスト
アップとなる。
は、ポリエチレン樹脂、ブチルゴムとポリエチレン樹脂
の混合物、石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物、ブチ
ルゴムと石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物の群から
選ばれる1種のバインダーが用いられる。また、塗膜を
乾燥させる必要がない場合は、さらにブチルゴム、石油
樹脂、ブチルゴムと石油樹脂の混合物等をバインダーと
して用いることもできる。バインダーの配合量は組成物
全体を100重量%としたとき、0.1重量%〜10重
量%が適当で、より好ましくは0.5重量%〜5重量%
である。0.1重量%未満では、フラックス組成物の粘
度が低く、アルミニウム材に塗布した際にダレが生じ、
アルミニウム材との密着性が悪くなるので好ましくな
い。一方10重量%を超えても過剰で、コストアップに
なる恐れがある。ここでブチルゴムは、イソブチレンと
イソプレンの共重合体である分子量25万〜55万のも
のが好ましい。石油樹脂としては、C5系石油樹脂、C
9系石油樹脂およびC5C9共重合石油樹脂の1種以上
が使用でき、特に好ましくはC5C9共重合石油樹脂を
使用するのが好ましい。またこれらの石油樹脂の好まし
い分子量は600〜2000程度である。
可溶であれば、特に限定されず、トルエン、ヘキサン、
オクタン、シクロヘキサン、エチレングリコールモノヘ
キシルエーテル等を単独、あるいは2種以上を混合して
用いることができる。有機溶剤の量は残部とすればよ
く、要求される粘度に調整するにはバインダーの量を前
記範囲内で調整すればよい。
知の添加物を添加しても差し支えなく、例えば、酸化防
止剤、腐食抑制剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、分散剤、
タックファイヤー等を必要に応じて添加できる。
ム材(好ましくはアルミニウム製ブレージングシート)
の表面の少なくとも一部以上、すなわちろう付しようと
する部分に必要量塗布して使用することができ、乾燥後
の平均膜厚は好ましくは0.5〜50μm、より好まし
くは1.5〜20μmである。平均膜厚が0.5μm未
満の場合は、フラックス不足によって十分なろう付性が
望められず、50μmを超えると過剰で、フラックス残
分による外観不良、およびコストアップになる恐れがあ
る。乾燥させない場合の塗布量は、1〜300g/m2
が適当で、好ましくは3〜100g/m2がよい。1g
/m2未満では、塗布量が不足で、十分なフラックス作
用が得られない恐れがあり、300g/m2を超えても
過剰でろう付後のフィレットの外観が損なわれる恐れが
ある。
け塗り、スプレー塗装、ロールコーター、バーコータ
ー、ドクターブレード等で塗布することができる。これ
らの方法以外にも単にフラックス組成物にアルミニウム
製ブレージングシート等を浸漬する等の方法でもよい。
も必要ではないが、通常室温乾燥、必要に応じて30〜
150℃程度の温度で乾燥させてもよい。ろう付の方法
は、特に限定されず、公知の方法が採用できるが、炉中
ろう付による方法が好ましい。ろう付の温度は組成にも
よるが、通常450℃〜630℃程度である。雰囲気に
ついては、真空、Ar、窒素等の雰囲気が好ましい。ろ
う付雰囲気中の酸素濃度については200ppm以下、
好ましくは100ppm以下が望ましく、200ppm
を超える場合にはフラックス作用の低下のためろう付け
不良が発生する恐れがある。
なアルミニウム材およびアルミニウム製ブレージングシ
ートに適用することができ、例えばヒーターコア、エバ
ポレータ、コンデンサ等の熱交換器を構成するフィン・
ピン・パイプ・チューブ・プレート等のろう付接合に使
用することができる。また、熱交換器に限定されること
はなく、各種機械部品、構造部品、スポーツ用品、OA
機器、日用品等に適用可能である。
ム製ブレージングシート等のアルミニウム材への密着性
が良好で、乾燥前あるいは乾燥後の塗膜は容易に剥離・
脱落が起こらない。従って該ペースト組成物の塗布後に
加工や切断作業を容易に行うことができる。
チルゴム、石油樹脂、ポリエチレン樹脂は、ろう付を行
う際の昇温中に熱分解するため、ろう付後のろう付部
(フィレット)の外観が良好であり、黒変化や白色残さ
を生じない。
有機溶剤の選定により室温でも乾燥させることができ、
余分なコストがかからず、乾燥後も良好な塗膜状態であ
るので、粉塵等が発生せず、作業環境が良好である。
配合量等により適度な粘度に調整できるので、複雑形状
の部品や凹凸屈曲等のある部材へも塗布可能である。
機器が不要であるので、既存の設備で実施可能である。
も乾燥させる必要がない工程を選択することができ、塗
布後未乾燥のままでろう付しても、ろう付部が黒変する
等の問題もなくろう付する事が出来る。
とにより、開放状態および密閉状態のいずれでも、ま
た、その塗膜の乾燥・未乾燥にかかわらず良好なろう付
けを実施することができる。
ス組成物を作製した。作製したフラックス組成物を刷毛
で4045/3003/4045ブレージングシート
(60×50×2mm)の片面に(乾燥後平均膜厚5μ
m、乾燥させないものは約5g/m2)塗布後、乾燥塗
膜を得る場合には希釈用有機溶剤(トルエンまたはエチ
レングリコールモノヘキシルエーテル)を完全に蒸発さ
せるために、105℃5分間加熱した。ただし、未乾燥
塗膜の場合は塗布のみで乾燥しなかった。得られた塗板
を下記の評価に供した。
ない。 D→たたくと塗膜ははがれ落ちる。 E→評価外(成膜できず)
180°折り曲げて塗膜のはく離や亀裂なし △→直径10mmの丸棒で塗板を180°折り曲げて塗
膜の亀裂はあるが、剥離なし ×→直径10mmの丸棒で塗板を180°折り曲げて塗
膜の亀裂および剥離あり
付を行い次の評価を行った。 ・ろう付後の残炭状態の評価 塗板をそのまま(開放状態:Open)、あるいはアル
ミニウム箔で包み(密閉状態:Close)窒素ガス雰
囲気炉(窒素ガスフロー4m3/hr)中にて塗板の実
体温度が590℃に達してから2分間経過後、炉から取
り出しろう付部表面を目視にて評価した。 A:全く黒変化していない。 B:若干黒変化しているが気にならない。 C:黒変部が全体の半分未満あり、非常に気になる。 D:黒変部が半分以上あり、商品価値がほとんどない。 E:全体が黒変化しており、商品価値がない。
るガスの臭いをかいで評価した。 A→ほとんど臭わない、気にならない。 B→臭いが認識できるが、作業には影響しない。 C→異様な臭気があり、やや気になる。 D→不快臭であり、作業しにくい。 E→悪臭で、作業できない。
た塗板の塗布面中央に3003アルミニウム板を垂直に
立て、ステンレスワイヤーで仮留めした後、上記と同様
開放状態(Open)と密閉状態(Close)で窒素
ガス雰囲気(窒素ガスフロー4Nm3/h、炉内酸素濃
度50ppm)の炉にて600℃で3分間保持してろう
付を行った。冷却した後、炉から取り出しろう付部のフ
ィレットの形成状況を目視にて観察を行った。
周辺に均一にフィレットが形成されている。) B→フィレットは形成されているが、やや不均一であ
る。 C→フィレットは形成されているが、かなり不均一であ
る。 D→フィレットが十分に形成されておらず、切れがあ
る。 E→ろう付できていない。
物を使用したろう付は、上記すべての評価に満足するも
のである。
Claims (9)
- 【請求項1】 a)弗化物系フラックス:10重量%〜
50重量% b)ポリエチレン樹脂、ブチルゴムとポリエチレン樹脂
の混合物、石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物、ブチ
ルゴムと石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物の群から
選ばれる1種のバインダー:0.1重量%〜10重量%
を含み残部実質的に有機溶剤からなる(ただし、合計量
は100重量%)アルミニウムろう付用フラックス組成
物。 - 【請求項2】 弗化物系フラックスがAlF3−KF,
KAlF4−K3AlF6,K3AlF6及びKAlF
4から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1記載
のアルミニウムろう付用フラックス組成物。 - 【請求項3】 請求項1〜2記載のフラックス組成物を
アルミニウム製ブレージングシートの表面の少なくとも
1部以上に塗布後乾燥して得られる塗膜。 - 【請求項4】 請求項1〜2記載のフラックス組成物を
アルミニウム製ブレージングシートの表面の少なくとも
1部以上に塗布して得られる未乾燥塗膜。 - 【請求項5】 請求項3〜4記載の塗膜を表面の少なく
とも1部以上に有するアルミニウム製ブレージングシー
ト。 - 【請求項6】 a)弗化物系フラックス10重量%〜5
0重量% b)ポリエチレン樹脂、ブチルゴムとポリエチレン樹脂
の混合物、石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物、ブチ
ルゴムと石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物の群から
選ばれる1種のバインダー:0.1重量%〜10重量%
を含み残部実質的に有機溶剤からなる(ただし、合計量
は100重量%)アルミニウムろう付用フラックス組成
物をアルミニウム製ブレージングシートの表面の少なく
とも1部以上に塗布、乾燥後、他のアルミニウム材とろ
う付を行うことを特徴とするアルミニウム材のろう付方
法。 - 【請求項7】 ろう付を密閉状態または開放状態で行う
請求項6記載のろう付方法。 - 【請求項8】 a)弗化物系フラックス10重量%〜5
0重量% b)ポリエチレン樹脂、ブチルゴムとポリエチレン樹脂
の混合物、石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物、ブチ
ルゴムと石油樹脂とポリエチレン樹脂の混合物、ブチル
ゴム、石油樹脂、ブチルゴムと石油樹脂の混合物の群か
ら選ばれる少なくとも1種のバインダー:0.1重量%
〜10重量%を含み残部実質的に有機溶剤からなる(た
だし、合計量は100重量%)アルミニウムろう付用フ
ラックス組成物をアルミニウム製ブレージングシートの
表面の少なくとも1部以上に塗布後未乾燥で、他のアル
ミニウム材とろう付を行うことを特徴とするアルミニウ
ム材のろう付方法。 - 【請求項9】 ろう付を密閉状態または開放状態で行う
請求項8記載のろう付方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000039922A JP5041619B2 (ja) | 2000-02-17 | 2000-02-17 | アルミニウムろう付用フラックス組成物、その塗膜、及びろう付方法 |
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JP2001226540A true JP2001226540A (ja) | 2001-08-21 |
JP5041619B2 JP5041619B2 (ja) | 2012-10-03 |
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ID=18563410
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