JPH11245080A - アルミニウム材ろう付け用ペースト及びアルミニウム材 - Google Patents

アルミニウム材ろう付け用ペースト及びアルミニウム材

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JPH11245080A
JPH11245080A JP7349698A JP7349698A JPH11245080A JP H11245080 A JPH11245080 A JP H11245080A JP 7349698 A JP7349698 A JP 7349698A JP 7349698 A JP7349698 A JP 7349698A JP H11245080 A JPH11245080 A JP H11245080A
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brazing
paste
aluminum material
binder resin
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JP7349698A
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English (en)
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Noboru Soga
昇 曽我
Takenobu Dokou
武宜 土公
Koji Okada
光司 岡田
Yoshihisa Ota
義久 太田
Tomoharu Nakano
智治 中野
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Furukawa Electric Co Ltd
Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ろう付け性及び貯蔵安定性を阻害することな
く、耐溶剤性を向上させる。 【解決手段】 アルミニウム材をろう付けするためのろ
う材粉末と;バインダー樹脂と;溶媒と;から成り、バ
インダー樹脂が、水分により架橋反応可能な官能基
(a)を有する高分子重合体(A)とされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム合金
から成る材料、即ち、アルミニウム材のろう付け(ブレ
ージング)に使用されるアルミニウム材ろう付け用ペー
スト及び、該ペーストが塗布されたアルミニウム材に関
する。更に詳しくは、自動車及び各種産業用アルミニウ
ム合金製エバポレーター、コンデンサー、ラジエター等
の熱交換器等を接合組立する際のろう付けに適するろう
付け用ペースト及び、該ペーストが塗布されたアルミニ
ウム材に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金製熱交換器の組立製造
は、一般に、下記のように行われる。即ち、押出形成さ
れた多穴管から成るチューブに対し、ろう(ろう材)を
母材にクラッドしたブレージングシートが使用されて、
フィンがろう付けされている。
【0003】しかし、近年では、熱交換器の小型化、軽
量化のために、特開平9−85483号公報に示すよう
に、薄肉化に限界があるろう材を母材にクラッドしたク
ラッドフィンを、ベアフィンに置き換えて、薄肉化する
と共に、チューブ外面に、塗布により、ろう材粉末とバ
インダー樹脂から成る被膜を形成して、チューブとフィ
ンをろう付けすることが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記バインダー樹脂と
しては、従来、多数の高分子化合物が提案されている。
しかしながら、これら高分子化合物は、何れも、有機溶
剤に対して可溶であった。そのため、熱交換器の製造工
程において、何らかの原因で、有機溶剤が上記被膜に付
着した際には、高分子化合物が溶出して、被膜、即ち、
ろう材粉末がチューブから剥離し易かった。このため、
ろう付け性が悪く、フィンをチューブに良好にろう付け
できないとの問題があった。
【0005】本発明者は、上記問題点を解決するために
鋭意検討した結果、バインダー樹脂の基本骨格をなす高
分子重合体を、特定の官能基により、架橋して、高分子
重合体を3次元的な網目状とすることで、有機溶剤によ
るバインダー樹脂の溶出を防止できることを見い出し、
本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のアルミニウム材
ろう付け用ペーストの特徴とするところは、アルミニウ
ム材をろう付けするためのろう材粉末と;バインダー樹
脂と;溶媒と;から成るアルミニウム材ろう付け用ペー
ストにおいて、バインダー樹脂が、水分により架橋反応
可能な官能基(a)を有する高分子重合体(A)とされ
た点にある。尚、高分子重合体(A)が、水分により架
橋反応可能な官能基(a)を有するエチレン性不飽和単
量体(α)と上記官能基(a)を有しないエチレン性不
飽和単量体(β)を必須構成単量体とする高分子共重合
体とされることもある。又、エチレン性不飽和単量体
(β)が、メタクリル酸アルキルエステル単量体とされ
ることもある。更に、官能基(a)が、加水分解性シリ
ル基とされることもある。又、官能基(a)が、アルコ
キシシリル基とされることもある。更に、本発明のアル
ミニウム材の特徴とするところは、上記アルミニウム材
ろう付け用ペーストにおける、ろう材粉末とバインダー
樹脂から成る被膜により被覆され、被覆1m2 当たりの
重量が10〜100gとされた点にある。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアルミニウム材ろう付け用ペースト(ろう付け
用組成物、ろう付け用スラリー)は、アルミニウム材を
ろう付けするためのろう材粉末と、バインダー樹脂と、
溶媒とから成るが、ペーストの主な構成成分は、ろう材
粉末と、バインダー樹脂とされている。
【0008】本発明のろう材粉末には、単独でろう材
として使用可能な金属や、アルミニウム材の表面と反
応し、低融点合金層を形成して、ろう材として寄与する
金属等が使用されるが、通常、各種アルミニウム合金が
使用される。このアルミニウム合金には、珪素(元素)
を通常よりも多量、即ち、10〜50wt%(重量%)
含有するものが望ましい。その理由は、ろう材粉末とし
て、通常よりも多量の珪素を含有するアルミニウム合金
を使用すれば、ろう付けされるアルミニウム材(被作業
材、被ろう付け材)に塗布するペースト量(即ち、ろう
材粉末、バインダー樹脂等)を低減でき、本発明の効果
を十分に発揮できるからである。尚、ろう材粉末を、珪
素を含有するアルミニウム合金とせずに、珪素粉単体と
する場合もある。
【0009】尚、ろう材粉末には、耐食性改善等の目的
で、珪素以外の亜鉛、鉄、銅、マンガン、スズ、インジ
ウム等の元素を、ろう付け性に悪影響を与えない量の範
囲で、添加してもよい。例えば、亜鉛は40wt%程度
まで添加しても、ろう付け性に悪影響を与える等の問題
はない。
【0010】又、ろう材粉末の粒径は5〜100μm程
度が望ましい。ろう材粉末の粒径を下限の5μm以下に
すると、ろう材粉末の製造コストが高くつくと共に、ろ
う材粉末に酸化被膜が形成され易くなり、ろう付け性が
阻害される。又、ろう材粉末の粒径を上限の100μm
以上にすると、アルミニウム材に塗布されたペーストか
ら溶媒(有機溶剤及び/又は水)を実質上除去する乾燥
工程で、ろう材粉末がアルミニウム材上に留まらずに、
バインダー樹脂と共に落下し易くなり、その結果、アル
ミニウム材上にろう材粉末を所定量付着させることが困
難となる。
【0011】本発明のバインダー樹脂は、ろう材粉末を
アルミニウム材上に保持して、アルミニウム材上に、ろ
う材粉末とバインダー樹脂から成る均一な被膜を形成す
るためのものである。本発明のろう付け用ペーストにお
いて、ろう材粉末100重量部に対するバインダー樹脂
の配合量は、通常2〜200重量部、好ましくは、5〜
100重量部とされる。バインダー樹脂は、水分により
架橋反応可能な官能基(a)を有する高分子重合体
(A)とされている。
【0012】高分子重合体(A)の重量平均分子量は、
塗布性の点から、2,000〜1,000,000が好
ましい。高分子重合体(A)の溶解度パラメータ(以
下、単にSP値という)は、耐食性の点から、50.0
以下とされ、好ましくは、8.5〜30.0とされる。
尚、SP値はFedors法[Polym.Eng.S
ci.14(2)152,(1974)]によって算出
される値である。高分子重合体(A)は、水分により架
橋反応可能な官能基(a)を有するものであれば、特に
その種類は限定されないが、好ましくは、水分により架
橋反応可能な官能基(a)を有するエチレン性不飽和単
量体(α)と上記官能基(a)を有しないエチレン性不
飽和単量体(β)を必須構成単量体とする高分子共重合
体である。高分子重合体(A)中の官能基(a)の含有
量は、耐溶剤性及び耐ブロッキング性の点から、好まし
くは、0.2〜5.0mmol/g、更に好ましくは、
0.4〜2.0mmol/gである。
【0013】官能基(a)は特に限定されないが、官能
基(a)として、例えば、イソシアネート基、ケチミン
基、オキサゾリジン基、加水分解性シリル基等が挙げら
れる。この内、好ましくは、ケチミン基、オキサゾリジ
ン基、加水分解性シリル基であり、特に好ましくは加水
分解性シリル基である。
【0014】加水分解性シリル基としては、ハロゲノシ
リル基、アシロシリル基、アミドシリル基、アミノキシ
シリル基、アルケニルオキシシリル基、アミノシリル
基、オキシムシリル基、アルコキシシリル基、チオアル
コキシシリル基等が挙げられる。この内、好ましくはア
ルコキシシリル基である。
【0015】官能基(a)の高分子重合体(A)への導
入方法は、特に限定されないが、例えば、下記の方法が
挙げられる。即ち、上記導入方法には、官能基(a)
を有するエチレン性不飽和単量体(α)と、官能基
(a)を有しないエチレン性不飽和単量体(β)を共重
合する方法と、有機過酸化水素系ラジカル重合開始剤
[例えば、ターシャリブチルパーオキシラウレート、タ
ーシャリブチルパーオキシアセテート等]を用いて、高
分子重合体にエチレン性不飽和単量体(α)をグラフト
重合する方法等が挙げられる。
【0016】官能基(a)を有するエチレン性不飽和単
量体(α)としては、例えば、特開平5−25354
号公報に示すような、ビニルシラン[例えば、ビニルメ
チルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ
エトキシ)シラン等]、(メタ)アクリロキシアルキル
シラン[例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等]
等や、末端又は側鎖に1個以上のビニル基と1個以上
の加水分解性シリル基を有するオリゴマー等が挙げられ
る。上記オリゴマーは、ビニル基と加水分解性シリル基
との間に、ポリウレタン鎖、ポリアミド鎖、エポキシ
鎖、ポリエステル鎖等の比較的分子量の低い重合体を有
するものである。これらの内、好ましいものは、(メ
タ)アクリロキシアルキルシランである。
【0017】官能基(a)を有しないエチレン性不飽和
単量体(β)としては、例えば、官能基(a)を有しな
い(1)オレフィン[例えば、炭素数2〜20のα−オ
レフィン等]、(2)共役ジエン[例えば、ブタジエ
ン、イソプレン等]、(3)ビニル芳香族[例えば、ス
チレン、α−メチルスチレン等]、(4)ビニルエステ
ル[例えば、酢酸ビニル等]、(5)(メタ)アクリル
酸アルキルエステル[例えば、炭素数2〜20のアルキ
ル基を有する(メタ)アクリレート等]、(6)ビニル
ピリジン[例えば、N−ビニルピリジン等]、(7)ビ
ニルラクタム[例えば、N−ビニルピロリドン、3−メ
チル−N−ビニルピロリドン等]、(8)ビニルイミダ
ゾール[例えば、N−イミダゾール、2−メチル−2−
イミダゾール等]、(9)(メタ)アクリル酸、(1
0)ポリアルキレングリコールノモ(メタ)アクリレー
ト[例えば、付加モル数1〜20のエチレングリコール
モノメタクリレート、付加モル数1〜20のプロピレン
グリコールモノメタクリレート]及び(11)上記2種
以上の混合物が挙げられる。この内、低温揮発分解性の
点から好ましいのは、(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル及び共役ジエンであり、更に好ましいのは、メタク
リル酸アルキルエステルである。
【0018】本発明のろう付け用ペーストの構成成分と
される、有機溶剤、水等の溶媒の配合量(含有量)は、
特に限定されないが、ろう付け用ペーストが塗布(例え
ば、刷毛塗布、スプレー塗布、ロールコーター塗布、浸
積塗布等)のために適当な粘度を有するように、上記配
合量は調整される。溶媒は、特に限定されないが、乾燥
性の点から、沸点250℃以下のものが好ましい。
【0019】本発明のろう付け用ペーストには、ペース
トに付与する各機能に応じて、以下のものを添加しても
よい。例えば、ペーストに平滑性を付与する場合には、
ペーストに、低分子潤滑剤[例えば、メチルピロリド
ン、イソプロピルアルコール等]、高分子潤滑剤[例え
ば、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタ
ン、コロイダルシリカ等]等を添加してもよい。
【0020】又、ろう付け用ペーストに防菌性や防かび
性を付与する場合には、ペーストに、防菌剤[例えば、
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン等]や、防か
び剤[例えば、2−チアゾール−4−(メチルスルホニ
ル)ピリジン等]を添加してもよい。
【0021】更に、ろう付け用ペーストに、塗布時の均
一塗布性を付与する場合には、ペーストに、レベリング
剤として、界面活性剤[例えば、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル等のノニオン活性剤、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル硫酸エステル等のアニオン
活性剤、アルキルアミン塩等のカチオン活性剤、N,
N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニ
ウムベタイン等の両性活性剤]を添加してもよい。
【0022】又、ろう付け時において、アルミニウム材
に対するフラックス塗布工程を省略する場合には、ろう
付け用ペーストに、フッ素系やセシウム系等のフラック
スを添加してもよい。
【0023】更に、ろう付け用ペーストを予熱炉で十分
に分解させ、ろう付け炉でのガス発生を防止する場合に
は、ペーストに、酸触媒[例えば、パラトルエンスルホ
ン酸、リン酸ジブチルのような有機酸等]、アルカリ触
媒[例えば、トリブチルアミンのような有機アミン等]
を添加してもよい。
【0024】本発明のろう付け用ペーストを製造する際
には、ろう材粉末、バインダー樹脂及び必要により添加
される各種添加剤を、有機溶剤等の溶媒に、溶解、可溶
化、分散、懸濁させることで、容易に製造できる。又、
ペースト製造時に、水を溶媒として使用する場合には、
保護コロイド等を用いて、官能基(a)と水とを遮断
し、この状態で、ろう材粉末、バインダー樹脂及び必要
により添加される各種添加剤を、水中に分散、懸濁させ
ることで、容易に製造できる。
【0025】本発明のろう付け用ペーストの使用方法に
は、例えば、ペーストをアルミニウム材に塗布して、
ペーストから溶媒を実質上除去した後に、加湿(例え
ば、自然放置による空気中の湿気曝露や、恒温恒湿器や
加湿器等の装置による加湿)により、ペーストを硬化さ
せる方法と、ペーストからの溶媒の除去と、ペースト
の硬化を、スチーム吹き付けによる加熱加湿により同時
に行う方法等がある。ろう付け用ペーストから溶媒を実
質上除去する方法には、特に限定はなく、加熱除去、減
圧除去、自然乾燥除去等が挙げられる。ペーストから溶
媒を実質上除去した際には、アルミニウム材上に、ろう
材粉末とバインダー樹脂等から成る被膜が形成される
が、この被膜1m2 当たりの重量は10〜100gとす
ることが好ましい。
【0026】本発明のろう付け用ペーストを使用して、
アルミニウム材、即ち、アルミニウム合金から成る材料
がろう付けされる。尚、ろう付け用ペーストから溶媒
(有機溶剤及び/又は水)を実質上除去した際に形成さ
れる被膜の、アルミニウム材に対する付着性や密着性を
良好にし、被膜の厚さを均一にして、被膜の剥離や被膜
の厚さの不均一(ばらつき)によるろう付け後の局部的
な未着部(ろう付けされていない部分)の発生を防止す
るためには、アルミニウム材の表面が10〜60μm程
度の凹凸を有することが望ましい。
【0027】又、上記アルミニウム合金の材質は、ろう
付けが行え、且つ、このアルミニウム合金により構成さ
れる製品や部品に要求される機能、用途及び目的等に適
合するものであればよい。例えば、押出しチューブの場
合には、チューブを構成するアルミニウム合金の材質
を、押出し性が良好なものとすればよく、又、熱交換器
の場合には、熱交換器を構成するアルミニウム合金の材
質を、耐食性等が良好なものとすればよい。
【0028】
【実施例】次に、本発明の実施例を、比較例と比較しな
がら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。
【0029】<製造例>還流器のついた4つ口コルベン
に、メチルエチルケトン500部を入れて、攪拌しなが
ら、72℃(表1の「A−1」の欄の「反応温度」の項
目参照)に加熱し、この温度を保持した。次に、不飽和
重合性高分子重合体(A)の構成成分として、下記の反
応性単量体(モノマー)を選択し、これら単量体の内、
NBM、MAA及びMPSを、表1の「A−1」の欄の
「組成」の項目に示す割合で配合し、この配合したもの
を1000部、重合開始剤である2,2−アゾビス(2
−アミジプロパン)ハイドロクロリド(以下AHC)5
部(表1の「A−1」の欄の「AHC量」の項目参
照)、トルエン500部を混合して、混合液を得た。こ
の混合液を、上記コルベン内に3時間かけて滴下し、5
時間同条件で攪拌後、AHC0.1部を添加して、更に
3時間攪拌した。次に、コルベン内からメチルエチルケ
トンを減圧除去して、高分子重合体(A−1)を得た。
【0030】次に、表1の「A−2」〜「A−5」及
び、表2の「B−1」〜「B−3」の欄に示すように、
反応性単量体の種類と配合割合、反応温度、AHC(重
合開始剤)の配合量のみを変更して、上記同様の操作を
行い、高分子重合体(A−2)〜(A−5)及び、比較
重合体(B−1)〜(B−3)を得た。
【0031】[反応性単量体] NBM :ノーマルブチルメタクリレート IBM :イソブチルメタクリレート MAA :メタクリル酸 MPS :γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】<実施例1>JISA1050で規定され
るアルミニウム製円筒状ビレットを、多穴偏平管(高さ
1.8mm、幅16mm、19孔)に押出形成した後、
表面にブラスト処理を施して、チューブを得た。次に、
下記の表3の「実施例1」の欄に示すように、バインダ
ー樹脂を構成する高分子重合体(A)として、上記高分
子重合体(A−1)を選択し、触媒を使用せずに、バイ
ンダー樹脂を製造した。
【0035】このバインダー樹脂に、ろう材粉末である
平均粒径40μmのAl−25Si合金粉末と、有機溶
剤であるトルエンを配合して、ろう付け用ペーストを製
造した。尚、ペースト中のアルミニウム合金粉末、バイ
ンダー樹脂、トルエンの重量比率は40:6:54とし
た。このペースト中に上記チューブを浸積して、チュー
ブにペーストを付着させた後、150℃による加熱処理
を1分間行い、チューブ上のペーストからトルエンを実
質上除去した。更に、チューブを恒温恒湿器(温度30
℃、湿度75%)に5日間入れて、加湿し、チューブ上
に、ペーストの合金粉末とバインダー樹脂から成る被膜
を形成した。尚、被膜1m2 当たりの重量は30gであ
った。
【0036】<実施例2〜5>次に、表3の実施例2〜
5の欄に示すように、高分子重合体(A)成分のみを変
更して、実施例1と同一条件の処理を行い、実施例2〜
5のろう付け用ペーストと、該ペーストの被膜が形成さ
れた実施例2〜5のチューブを得た。
【0037】<実施例6>バインダー樹脂の製造時に、
触媒として、0.5wt%のリン酸ジブチルを使用した
こと以外は、実施例1と同一条件の処理を行い(表3の
実施例6の欄参照)、ろう付け用ペーストと、該ペース
トの被膜が形成されたチューブを得た。
【0038】<実施例7〜10>次に、表3の実施例7
〜10の欄に示すように、高分子重合体(A)成分のみ
を変更して、実施例6と同一条件の処理を行い、実施例
7〜10のろう付け用ペーストと、該ペーストの被膜が
形成された実施例7〜10のチューブを得た。
【0039】<比較例1〜3>表3の比較例1〜3の欄
に示すように、バインダー樹脂を比較重合体(B−1)
〜(B−3)の何れかのみから構成したこと以外は、実
施例1と同一条件の処理を行い、比較例1〜3のろう付
け用ペーストと、該ペーストの被膜が形成された比較例
1〜3のチューブを得た。
【0040】<比較例4〜6>表3の比較例4〜6の欄
に示すように、バインダー樹脂を比較重合体(B−1)
〜(B−3)の何れかのみから構成したこと以外は、実
施例6と同一条件の処理を行い、比較例4〜6のろう付
け用ペーストと、該ペーストの被膜が形成された比較例
4〜6のチューブを得た。
【0041】次に、上記実施例及び各比較例のろう付け
用ペースト及びチューブについて、下記に示すように、
ろう付け性、耐溶剤性、貯蔵安定性(経時安定性)の各
試験を行った。結果を表3に示す。
【0042】<試験方法> (1)ろう付け性 チューブを60mmに切り出した。次に、波形(コルゲ
ート)加工された板厚0.07mmのAl−0.5Si
−1Fe−0.5Ni−2Zn合金製フィンの20波分
(尚、1波は、山と谷から成る。)と、上記切り出され
たチューブを組み合わせて、ミニコアを作成した。この
コアにフッ素系のフラックスを塗布した後、窒素雰囲気
下で、コアを、600℃の温度で3分間加熱して、チュ
ーブ上における、合金粉末とバインダー樹脂から成る被
膜からバインダー樹脂を揮発させ、フィンとチューブを
20箇所(即ち、フィンにおける、各波のチューブ側に
突出する山部分)でろう付けした。次に、上記20箇所
全部のろう付け部分で、チューブからフィンを剥離させ
て、ろう付け部分を観察し、20箇所のろう付け部分の
内、完全に接合(ろう付け)されている箇所の数を数え
て、(完全に接合(ろう付け)されている箇所数)/2
0を、フィン接合率として、評価した。フィン接合率が
95%以上のものを○、それ以下を×とした。
【0043】(2)耐溶剤性 チューブを温度30℃のトルエン中に10分間浸積する
「浸積試験」を行って、チューブ上の被膜の溶出状況を
観察した後、チューブをトルエン中から取り出し、チュ
ーブ表面にトルエンが残存する状態で、チューブをガー
ゼにより擦る「剥離試験」を行って、被膜の剥離状況を
観察した。そして、剥離試験後でも被膜の剥離が認めら
れないものを◎、浸積試験では被膜が溶出しないが剥離
試験では被膜が一部剥離するものを○、浸積試験で被膜
が一部溶出するものを△、浸積試験で被膜が完全に溶出
するものを×とした。
【0044】(3)貯蔵安定性 ろう付け用ペーストを45℃の温度で保存して、使用不
能になるまでの日数を求めた。
【0045】
【表3】
【0046】表3を見れば、実施例では、全ての試験結
果が良好であるが、比較例では、耐溶剤性の試験結果が
悪いことが分かる。
【0047】
【発明の効果】以上記述したように、本発明によれば、
バインダー樹脂を、水分により架橋反応可能な官能基を
有する高分子重合体とすることにより、ろう付け用ペー
ストのろう付け性及び貯蔵安定性を阻害することなく、
耐溶剤性を向上でき、これにより、熱交換器メーカーの
製造時における、ろう付け用ペーストの取り扱いを極め
て容易化でき、産業上顕著な効果を奏することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 光司 栃木県日光市清滝町500番地 古河電気工 業株式会社日光事業所内 (72)発明者 太田 義久 京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋 化成工業株式会社内 (72)発明者 中野 智治 京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋 化成工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム材をろう付けするためのろ
    う材粉末と;バインダー樹脂と;溶媒と;から成るアル
    ミニウム材ろう付け用ペーストにおいて、 バインダー樹脂が、水分により架橋反応可能な官能基
    (a)を有する高分子重合体(A)とされたアルミニウ
    ム材ろう付け用ペースト。
  2. 【請求項2】 高分子重合体(A)が、水分により架橋
    反応可能な官能基(a)を有するエチレン性不飽和単量
    体(α)と上記官能基(a)を有しないエチレン性不飽
    和単量体(β)を必須構成単量体とする高分子共重合体
    とされた請求項1記載のアルミニウム材ろう付け用ペー
    スト。
  3. 【請求項3】 エチレン性不飽和単量体(β)が、メタ
    クリル酸アルキルエステル単量体とされた請求項2記載
    のアルミニウム材ろう付け用ペースト。
  4. 【請求項4】 官能基(a)が、加水分解性シリル基と
    された請求項1〜3の何れかに記載のアルミニウム材ろ
    う付け用ペースト。
  5. 【請求項5】 官能基(a)が、アルコキシシリル基と
    された請求項1〜4の何れかに記載のアルミニウム材ろ
    う付け用ペースト。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載のアルミニ
    ウム材ろう付け用ペーストにおける、ろう材粉末とバイ
    ンダー樹脂から成る被膜により被覆され、被覆1m2
    たりの重量が10〜100gとされたアルミニウム材。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008508103A (ja) * 2004-07-30 2008-03-21 ヴァレオ システム テルミク 表面処理を含む熱交換器の製法及びこのようにして得られた熱交換器
JP2009269042A (ja) * 2008-05-01 2009-11-19 Mitsubishi Alum Co Ltd 耐湿ろう付性に優れるアルミニウム合金ろう付用塗料、ろう付用アルミニウム合金板及びそれを用いた自動車熱交換器用アルミニウム合金部材、並びに自動車熱交換器
US8238007B2 (en) 2001-02-16 2012-08-07 Electro Scientific Industries, Inc. On-the-fly laser beam path error correction for specimen target location processing
JP2013111601A (ja) * 2011-11-28 2013-06-10 Mitsubishi Alum Co Ltd アルミニウム材のろう付方法

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