JP2001226481A - ヘキサフルオロプロペンオキシド重合体の製造方法 - Google Patents

ヘキサフルオロプロペンオキシド重合体の製造方法

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JP2001226481A
JP2001226481A JP2000366443A JP2000366443A JP2001226481A JP 2001226481 A JP2001226481 A JP 2001226481A JP 2000366443 A JP2000366443 A JP 2000366443A JP 2000366443 A JP2000366443 A JP 2000366443A JP 2001226481 A JP2001226481 A JP 2001226481A
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Japan
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polymer
hfpo
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hexafluoropropeneoxide
monofunctional
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Yasunori Sakano
安則 坂野
Noriyuki Koike
則之 小池
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 下記一般式(1)又は(2)で示される
パーフルオロジカルボン酸フロリド又はパーフルオロジ
ケトンと金属フッ化物とを非プロトン性極性溶媒に混合
して溶液を調製し、得られた溶液にヘキサフルオロプロ
ペンオキシドを供給することを特徴とするヘキサフルオ
ロプロペンオキシド重合体の製造方法。 【化1】 (式中、Rfは結合途中に酸素原子を介在させてもよい
パーフルオロアルキレン基である。R1は炭素数1〜8
のパーフルオロアルキル基であり、R1は互いに同一で
あっても異種の基であってもよい。) 【効果】 本発明によれば、比較的安価に入手でき、ア
ルカリ金属フッ化物と非プロトン性極性溶媒中で定量的
にアルコラートを生成し、かつ、一官能性の不純物を含
まないパーフルオロジカルボン酸フロリド及びパーフル
オロジケトンを原料として用いるため、一官能性HFP
O重合体及び低分子成分の含有率の極めて低い高純度の
二官能性HFPO重合体を確実に製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はヘキサフルオロプロ
ペンオキシド(以下、HFPOと略す)重合体の製造方
法に関する。更に詳しくは、一官能性HFPO重合体の
含有率の低い二官能性のHFPO重合体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
二官能性HFPO重合体の製造方法としては、米国特許
第3,250,807号公報に記載の方法が知られてい
る。
【0003】即ち、米国特許第3,250,807号公
報には、FOC−(CF2n−COF(n=0〜6)を
アルカリ金属フッ化物或いは活性炭などの触媒存在下、
非プロトン性極性溶媒中でHFPOと反応させることに
より、下記式の二官能性HFPO重合体が得られること
が記述されている。
【0004】
【化2】
【0005】この場合、一般には、上記のように予め用
意された−COF基にHFPOを付加しようとすると、
下記式のように連鎖移動によって片方の末端にヘキサフ
ルオロプロピル基を有するHFPO重合体(一官能性H
FPO重合体)が副生するという問題がある。
【0006】
【化3】
【0007】このような連鎖移動を防ぎ、純粋な二官能
性HFPO重合体を製造するための改良方法が特公昭5
3−5360号公報、米国特許第3,660,315号
公報に記述されている。これは、 FOCCF(CF3)OCF2CF2OCF(CF3)COF (3) 及びフッ化セシウムをテトラエチレングリコールジメチ
ルエーテル中で混合して、 CsOCF2CF(CF3)OCF2CF2OCF(CF3)CF2OCs (4) とし、得られた溶液から過剰のフッ化セシウムを分離し
て均一な溶液を調製し、その均一溶液を開始剤として用
いることにより、HFPO重合体を製造するものであ
る。ここでは、過剰のフッ化セシウムを分離し、かつ重
合を−60〜−30℃の低温で行うことによって、数平
均重合度約50の純粋な二官能性HFPO重合体を得て
いる。
【0008】しかし、J.Macromol.Sci.
Chem.,A8(3),499(1974)には、重
合度の高い二官能性HFPO重合体を得ようとして、上
記開始剤に対するHFPOのモル比を増加させると、一
官能性HFPO重合体の副生が増大し、二官能性HFP
O重合体の純度が低下することが述べられている。
【0009】また、特開昭57−175185号公報、
米国特許第4,356,291号公報には、上記開始剤
に加えて、高度に精製したHFPOを用いることによ
り、数平均重合度445のHFPO重合体を得たことが
述べられている。
【0010】即ち、米国特許第4,356,291号公
報には、一般にHFPOにはフッ化水素、酸フッ化物、
水などの不純物が含まれており、これらの物質は重合に
よって得られるポリマーの最大重合度を制限する問題点
があることが述べられ、このため高度に精製されたHF
POを重合に使用することで、分子量の高いHFPOポ
リマーを得ているものである。
【0011】しかし、ここには、副生する一官能性HF
PO重合体及び得られた二官能性HFPO重合体の純度
に関しては言及されていない。
【0012】以上のように、従来の二官能性HFPO重
合体に関する検討は、連鎖移動により副生する一官能性
HFPO重合体を低減すること、及び重合度の高いHF
PO重合体を得ることを主な目的として行われてきた。
【0013】しかしながら、これらいずれの方法におい
ても、上記化合物(3)自体に一官能性の不純物を含有
しているという欠点を有していた。即ち、化合物(3)
は、一般に下記の方法にて製造される。
【0014】
【化4】
【0015】このように、シュウ酸フロリドとHFPO
の反応時には、目的物(化合物(3))だけでなく、H
FPOのオリゴマー(化合物(3’)、(3”))が生
成し、これらのオリゴマーは目的物と分離するためには
精密な蒸留操作が必要になる。
【0016】ところが、このようにして精密な蒸留操作
を行って得られた目的物にも、上記式(5)に示される
環状構造を有する一官能の成分が4〜6重量%程度含有
されてしまう。
【0017】やっかいなことに、この副生物(5)は、
目的物(3)と同一の分子量であるため、更なる蒸留で
分離することは実際上殆ど不可能である。
【0018】従って、ここで得られた留分を開始剤に用
いると、HFPOを重合する前にすでに一官能成分を含
有していることになる。
【0019】一方、パーフルオロジカルボン酸フロリド
としては、パーフルオロアジピン酸フロリド、パーフル
オログルタル酸フロリド、パーフルオロこはく酸フロリ
ド等がよく知られているが、これらの化合物は、上記式
(3)の化合物と同様にして重合開始剤を調製しようと
すると、エステル化などの副反応を起こすため、加えた
パーフルオロジカルボン酸フロリドと当量のアルコラー
トを得ることができない。このような重合開始剤を用い
てHFPOの重合を行った場合には、低分子の成分を多
量に含むため、分子量分布の広い重合体を生成すること
になり、重合開始剤として不適である。
【0020】このような事情に鑑み、比較的安価に入手
でき、アルカリ金属フッ化物と非プロトン性極性溶媒中
で定量的にアルコラートを生成し、かつ、一官能性の不
純物を含まない原料を用いて重合開始剤を調製し、HF
PO重合体を製造する方法が望まれていた。
【0021】本発明は、上記要望に応えるためになされ
たもので、比較的安価に入手できる原料から重合開始剤
を調製し、一官能性HFPO重合体含有率の低い二官能
性HFPO重合体を有利に製造する方法を提供すること
を目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行っ
た結果、下記一般式(1)又は(2)で示されるパーフ
ルオロジカルボン酸フロリド又はパーフルオロジケトン
をアルカリ金属フッ化物と非プロトン性極性溶媒中で混
合すると、定量的にアルコラートが生成して均一溶液が
得られ、この溶液を重合開始剤としてHFPOを重合す
ると、上記式(5)の化合物に基づく末端エーテル構造
を実質的に含まず、分子量分布が狭く、一官能性HFP
O重合体含有率の著しく低い二官能性HFPO重合体が
得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0023】従って、本発明は、下記一般式(1)又は
(2)で示されるパーフルオロジカルボン酸フロリド又
はパーフルオロジケトンと金属フッ化物とを非プロトン
性極性溶媒に混合して溶液を調製し、得られた溶液にヘ
キサフルオロプロペンオキシドを供給することを特徴と
するヘキサフルオロプロペンオキシド重合体の製造方法
を提供する。
【0024】
【化5】 (式中、Rfは結合途中に酸素原子を介在させてもよい
パーフルオロアルキレン基である。R1は炭素数1〜8
のパーフルオロアルキル基であり、R1は互いに同一で
あっても異種の基であってもよい。)
【0025】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明のHFPO重合体の製造方法において、重合開始剤
としては、上記一般式(1)又は(2)で示されるパー
フルオロジカルボン酸フロリド又はパーフルオロジケト
ンとアルカリ金属フッ化物を非プロトン性極性溶媒中で
混合して調製した溶液が用いられる。重合開始剤の調製
は、非プロトン性極性溶媒中にアルカリ金属フッ化物を
懸濁させておき、そこにパーフルオロジカルボン酸フロ
リド又はパーフルオロジケトンを添加して撹拌混合する
ことにより行うことができる。
【0026】この場合、アルカリ金属フッ化物としては
フッ化セシウムが好ましい。また、非プロトン性極性溶
媒としては、グライム類、テトラヒドロフラン、1,4
−ジオキサン等があるが、特にはモノグライム、テトラ
グライム、トリグライム、ジグライム等のグライム類が
好ましい。
【0027】本発明で使用するパーフルオロジカルボン
酸フロリド及びパーフルオロジケトンは、下記一般式
(6)及び(7)で示される安価な炭化水素系ジカルボ
ン酸及び炭化水素系ジエステルを公知のフッ素化方法
(直接フッ素化、電解フッ素化)でフッ素化することに
より、それぞれ対応する下記一般式(1)及び(2)に
示されるパーフルオロ化合物を得ることができる。
【0028】
【化6】 (但し、式中R2は結合途中に酸素原子を介在させても
よいアルキレン基であり、RfはR2の水素原子の全部
をフッ素原子で置換したパーフルオロアルキレン基であ
る。R3は炭素数1〜8のアルキル基であり、R3は互い
に同一であっても異種の基であってもよく、R1はR3
水素原子の全部をフッ素原子で置換した炭素数1〜8の
パーフルオロアルキル基である。R4は非置換又は置換
の一価炭化水素基であり、R4は互いに同一であっても
異種の基であってもよい。)
【0029】上記一般式(1)又は(2)において、R
fは結合途中に酸素原子を介在させてもよいパーフルオ
ロアルキレン基であり、具体的には下記式で示されるも
のが挙げられる。
【0030】
【化7】
【0031】また、上記一般式(2)において、R1
炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基であり、具体的
には下記式で示されるものが挙げられる。 Cc2c+1− (c=1〜8) これらは、直鎖状でも分岐状であってもよい。
【0032】本発明においては、上記化合物(1)又は
(2)を非プロトン性極性溶媒とアルカリ金属フッ化物
の混合物に添加して重合開始剤溶液を調製する。重合開
始剤溶液中では、カルボニル基を有する化合物はアルカ
リ金属フッ化物と反応して対応するアルコラートにな
る。アルコラートヘの変換の確認は、混合液の赤外吸収
スペクトルを測定することにより確認できる。なお、化
合物(1)又は(2)の種類によっては、アルコラート
が室温では固形分として溶液中で析出してくるおそれが
ある。この場合、系内の温度を5℃以下に維持すると、
意外なことに、通常の場合とは反対に、アルコラートが
析出せず、アルコラートが溶液中に溶解した状態とな
る。従って、このような場合には、系内の温度を5℃以
下に維持することが好ましい。
【0033】
【化8】 (Rf,R1は上記と同じ)
【0034】なお、上記式で示される重合開始剤の重合
開始剤溶液中における濃度は10〜60重量%、特に2
5〜45重量%であることが望ましい。
【0035】重合開始剤溶液には、低温での流動性を良
好にする目的で、調製時に用いた溶媒とは異なる第二の
溶媒を添加してもよい。第二の溶媒は、−30℃以下の
低温においても重合開始剤溶液と均一に混合する溶媒で
あって、凝固点が−50℃以下のものがよい。望ましく
は分子内に1〜3のエーテル結合を有する炭化水素化合
物がよく、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテ
ル、エチルメチルエーテル、メチルプロピルエーテル、
エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン等が好適に使用できる。これらの溶媒は、開始剤溶
液の重合温度領域(−40〜−30℃)における粘度を
低下させ、撹拌効率を高めるために添加される。添加量
は、開始剤溶液100重量部に対して20〜60重量部
である。なお、これらの溶媒は予め脱水しておくことが
よく、好ましくは水分量を50ppm以下にすることが
よい。
【0036】次に、重合開始剤溶液又はこれと第二の溶
媒との混合物にヘキサフルオロプロペン(HFP)等の
パーフルオロオレフィンを反応させ、そのオリゴマーを
生成させる。この操作は、重合開始剤溶液と第二の溶媒
中に存在する連鎖移動を引き起こす原因物質を除去し、
引き続き行うHFPOの供給時に重合開始を円滑に行わ
せるために必要である。
【0037】ここで、パーフルオロオレフィンとして
は、炭素原子数2〜9、特に炭素原子数3〜6のものが
使用され、例えば下記のものを例示することができる。
【0038】
【化9】
【0039】これらの中では、特に下記のものが好まし
い。
【0040】
【化10】
【0041】このパーフルオロオレフィンの使用量は特
に制限されないが、通常、重合開始剤溶液100重量部
に対して0.5〜100重量部、特に3〜30重量部が
使用される。
【0042】パーフルオロオレフィンを添加して反応を
行う場合の温度は、通常−30℃〜50℃で行うことが
できるが、好ましくは−25℃〜30℃である。反応温
度が低すぎると反応時間に長時間を要し、また高温すぎ
ると開始剤の分解が生じるおそれがある。反応時間は特
に制限されないが、−25℃〜30℃の反応温度におい
てはパーフルオロオレフィンの添加に要する時間を含め
て通常10分〜2時間、特に20分〜1時間である。
【0043】上記開始剤溶液及び好ましくは第二の溶媒
を加えて反応器内で撹拌しながら冷却し、HFPOを供
給することにより二官能性HFPO重合体を得ることが
できる。このときヘキサフルオロプロペン(HFP)を
同時に添加してもよい。HFPの添加は、重合の進行に
伴い次第に増粘する反応液を希釈するので、更に流動性
を高めることができる。重合時には反応液の温度を−4
5〜−30℃に保つことが好ましい。−45℃よりも低
い温度では反応液の粘度及びチキソ性が増加し、その結
果効率的な撹拌が困難になる。このような状況では、反
応器内壁或いは撹拌翼の一部に流動性の失われた反応物
が付着して均一な撹拌が困難になり、生成する重合体の
分子量分布が広くなる。また、−30℃よりも高い温度
では、連鎖移動反応が起こり易くなり、一官能性HFP
O重合体が生成してしまう。
【0044】撹拌は、反応液全体が均一な流動性を維持
するために重要である。但し、反応器の形状と大きさに
よってそれぞれ異なり、一般的には、アンカー型、パド
ル型、スパイラルリボン型、インペラー型などを用いる
ことができる。回転数は特に制限はなく、撹拌翼の形状
に合わせて最適の撹拌効率が得られるように調整すれば
よい。
【0045】HFPOの供給は、マスフローコントロー
ラー等の流量調節器を用いて連続的に行うことが好まし
い。HFPO供給を安定した速度で行うことは、反応液
の温度を適度な範囲に保つために必要である。供給速度
は開始剤のモル数に対して3〜15倍モル/時間、好ま
しくは5〜10倍モル/時間が適当である。供給量は所
望の分子量に応じて適宜設定することができ、開始剤1
モルに対して30〜400倍モルの範囲で実施できる
が、HFPOの倍率を高めると得られたHFPO重合体
に無視できない量の一官能性ポリマーが混入するので、
通常は30〜200倍モル程度である。
【0046】HFP供給は、HFPOの1/4〜3/4
量(重量)をHFPOと同時に供給するとよい。HFP
Oの供給が終了したならば、1〜2時間程度撹拌を継続
したのちに反応液を昇温し、目的物を分取すれば、下記
式(8)又は(9)の二官能性HFPO重合体を得るこ
とができる。
【0047】
【化11】 (Rf,R1は上記と同じ、x,yは正の整数)
【0048】このとき、得られた二官能性HFPO重合
体(8)及び(9)は、反応の過程で生成された若干の
一官能性HFPO重合体を含むとしても、出発原料のパ
ーフルオロジカルボン酸フロリド及びパーフルオロジケ
トンは、一官能性の不純物を殆ど含まないので、二官能
性HFPO重合体(8)及び(9)の最終的な一官能性
不純物の含有率を飛躍的に低く抑えることができる。
【0049】このようにして得られた二官能性HFPO
重合体は末端が−COF基であり、これを別の官能基に
変換することによって、種々の有用な誘導体を合成する
ことができる。これらの誘導体は、液状ゴム、コーティ
ング材、シーリング材などに有効に利用することができ
る。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、比較的安価に入手で
き、アルカリ金属フッ化物と非プロトン性極性溶媒中で
定量的にアルコラートを生成し、かつ、一官能性の不純
物を含まないパーフルオロジカルボン酸フロリド及びパ
ーフルオロジケトンを原料として用いるため、一官能性
HFPO重合体及び低分子成分の含有率の極めて低い高
純度の二官能性HFPO重合体を確実に製造することが
できる。
【0051】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。
【0052】〔実施例1〕開始剤の調製 2Lのガラス製のフラスコを乾燥窒素で十分置換した
後、フッ化セシウム31.0g及びテトラグライム11
5.3gを入れ、乾燥窒素雰囲気中で0℃で撹拌しなが
ら下記式(10)に示すパーフルオロジカルボン酸フロ
リド(純度99.0%)33.3gをシリンジを用いて
添加した。添加後、直ちに発熱が認められた。ここで得
られるアルコラートは、室温では固形分として溶液中で
析出してくる。そのため、系内の温度は5℃以下に維持
した。約5時間撹拌した後に撹拌を止め静置した。内容
物は0℃では過剰のフッ化セシウムが僅かに沈殿してい
る以外は均一な淡黄色透明の液体であった。この溶液の
一部を取り出し、赤外吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、−COF基に由来する1880cm-1付近の吸収は
観測されなかった。また、この溶液を水に溶かして加水
分解して生成したカルボン酸及びフッ酸をアルカリ滴定
で定量し、元の溶液に含まれるアルコラートの量を−C
2OCs濃度(mmol/g)として算出したとこ
ろ、1.09mmol/gであった。これらの測定結果
を−CF2OCs濃度の理論値(加えたパーフルオロジ
カルボン酸フロリド(純度100%と仮定)と当量のア
ルコラート量)と共に表1に示す。
【0053】
【化12】
【0054】HFPOの重合 アンカー型の撹拌翼を備えた内容積0.5Lの反応器に
上記にて調製した開始剤溶液12.9g及びエチレング
リコールジメチルエーテル3.7gを入れ、毎分180
回転の速度で撹拌しながら−10℃に調節された冷媒浴
を用いて反応器を冷却した。 (ステップ1)反応器の内部温度が−7℃になった時点
でHFPを4.2g/時間の速度で2.1g供給した。 (ステップ2)次に、冷媒浴温度を−40℃に設定し、
反応器内部の液体の温度が−38℃に達した時点で更に
HFPを4.2g/時間の速度で2.1g供給した。 (ステップ3)次に、HFPOを7.6g/時間の速度
で114g及びHFPを3.8g/時間の速度で57
g、約15時間かけて供給した。
【0055】供給速度の調節にはマスフローコントロー
ラーを用いた。HFPO供給中の反応器内部の液体の温
度は−38〜−35℃の範囲であった。
【0056】HFPO供給終了後、更に1時間撹拌し、
冷媒浴を徐々に室温付近まで昇温した。このとき若干の
発熱が認められると共にHFPが蒸発する様子が観察さ
れた。
【0057】反応器内容物を100gのエタノール中に
あけ、よく撹拌した後、下層を更にエタノール100g
を用いて洗浄し、静置して相分離した下層を取り出し、
固形分を濾過してから120℃、10mmHgにて揮発
分を除去し、無色透明の末端エチルエステル化したHF
PO重合体118gを得た。
【0058】得られたオイル状HFPO重合体について
粘度測定(25℃)を行うと共に、下記の要領で19F−
NMR測定を行って、数平均重合度及び一官能性ヘプタ
フルオロプロピル基(−C37基)の含有率を求めた。
結果を表2に示す。
【0059】19F−NMR 数平均重合度及び重合時に生成したヘプタフルオロプロ
ピル基末端の含有率は下記の方法により求めた。
【0060】
【化13】 数平均重合度=2r/(s+t/2) −C37基含有率=t/(s+t/2)×100(mo
l%) ケミカルシフト(ppm) 積分比 −145.4 r −132.3 s −130.7 t
【0061】〔実施例2〕開始剤の調製 2Lのガラス製のフラスコを乾燥窒素で十分置換した
後、フッ化セシウム31.0g及びテトラグライム11
5.3gを入れ、乾燥窒素雰囲気中で撹拌しながら下記
式(11)に示すパーフルオロジケトン(純度98.7
%)40.2gをシリンジを用いて添加した。添加後、
直ちに発熱が認められた。約5時間撹拌した後に撹拌を
止め静置した。内容物は過剰のフッ化セシウムが僅かに
沈殿している以外は均一な淡黄色透明の液体であった。
この溶液の一部を取り出し、赤外吸収スペクトルを測定
したところ、−COF基に由来する1880cm-1付近
の吸収は観測されなかった。また、この溶液を水に溶か
して加水分解して生成したカルボン酸及びフッ酸をアル
カリ滴定で定量し、元の溶液に含まれるアルコラートの
量を−CF2OCs濃度(mmol/g)として算出し
たところ、1.06mmol/gであった。これらの測
定結果を−CF2OCs濃度の理論値(加えたパーフル
オロジケトン(純度100%と仮定)と当量のアルコラ
ート量)と共に表1に示す。
【0062】
【化14】
【0063】HFPOの重合 アンカー型の撹拌翼を備えた内容積0.5Lの反応器に
上記にて調製した開始剤溶液13.2g及びエチレング
リコールジメチルエーテル3.7gを入れ、毎分180
回転の速度で撹拌しながら−10℃に調節された冷媒浴
を用いて反応器を冷却した。 (ステップ1)反応器の内部温度が−7℃になった時点
でHFPを4.2g/時間の速度で2.1g供給した。 (ステップ2)次に、冷媒浴温度を−40℃に設定し、
反応器内部の液体の温度が−38℃に達した時点で更に
HFPを4.2g/時間の速度で2.1g供給した。 (ステップ3)次に、HFPOを7.6g/時間の速度
で114g及びHFPを3.8g/時間の速度で57
g、約15時間かけて供給した。
【0064】供給速度の調節にはマスフローコントロー
ラーを用いた。HFPO供給中の反応器内部の液体の温
度は−38〜−35℃の範囲であった。
【0065】HFPO供給終了後、更に1時間撹拌し、
冷媒浴を徐々に室温付近まで昇温した。このとき若干の
発熱が認められると共にHFPが蒸発する様子が観察さ
れた。
【0066】反応器内容物を100gのエタノール中に
あけ、よく撹拌した後、下層を更にエタノール100g
を用いて洗浄し、静置して相分離した下層を取り出し、
固形分を濾過してから120℃、10mmHgにて揮発
分を除去し、無色透明の末端エチルエステル化したHF
PO重合体120gを得た。
【0067】得られたオイル状HFPO重合体について
粘度測定(25℃)を行うと共に、上記の要領で19F−
NMR測定を行って、数平均重合度及び一官能性ヘプタ
フルオロプロピル基(−C37基)の含有率を求めた。
結果を表2に示す。
【0068】19F−NMR 数平均重合度及び重合時に生成したヘプタフルオロプロ
ピル基末端の含有率は上記の方法により求めた。
【0069】〔比較例1〕開始剤の調製 不純物として環状の一官能成分(化合物(5))を5.
3mol%含有する下記式(3)のパーフルオロジカル
ボン酸フロリド52.8g及びフッ化セシウム37.7
g、テトラグライム140.1gを使用して、実施例1
と同様の操作を行い、重合開始剤を調製した。内容物は
過剰のフッ化セシウムが僅かに沈殿している以外は均一
な淡黄色透明の液体であった。この溶液の一部を取り出
し、赤外吸収スペクトルを測定したところ、−COF基
に由来する1880cm-1付近の吸収は観測されなかっ
た。また、実施例1と同様に元の溶液に含まれるアルコ
ラートの量を−CF2OCs濃度として算出したとこ
ろ、1.02mmol/gであった。これらの測定結果
を−CF2OCs濃度の理論値と共に表1に示す。
【0070】
【化15】
【0071】HFPOの重合 次いで、実施例1のHFPOの重合にて使用した反応器
に上記にて調製した開始剤溶液14.5g及びエチレン
グリコールジメチルエーテル4.3gを入れ、毎分18
0回転の速度で撹拌しながら−10℃に調節された冷媒
浴を用いて反応器を冷却した。 (ステップ1)反応器の内部温度が−7℃になった時点
でHFPを4.3g/時間の速度で2.1g供給した。 (ステップ2)次に、冷媒浴温度を−40℃に設定し、
反応器内部の液体の温度が−38℃に達した時点で更に
HFPを4.3g/時間の速度で2.1g供給した。 (ステップ3)次に、HFPOを8.3g/時間の速度
で125g及びHFPを4.2g/時間の速度で63
g、約15時間かけて供給した。
【0072】HFPO供給中の反応器内部の液体の温度
は−38〜−35℃の範囲であった。
【0073】HFPO供給終了後、実施例1と同様の処
理を行い、末端エチルエステル化したHFPO重合体1
25gを得た。この重合体に対して実施例1と同様の分
析を行った結果を表2に示す。
【0074】〔比較例2〕重合開始剤の調製 パーフルオロアジピン酸フロライド30.0g、フッ化
セシウム36.5g、テトラグライム135.7gを用
いて実施例1と同様にして重合開始剤溶液を調製した。
この溶液は約5時間の撹拌の後も液相が分離していて、
フッ化セシウムが十分溶解していない様子が観察され
た。また、上部の液相の赤外吸収スペクトルからは、1
820cm-1付近にカルボニル基に由来する強い吸収が
観測され、実施例1と同様のアルカリ滴定により、アル
コラートの量を−CF2OCs濃度として算出したとこ
ろ、0.74mmol/gと理論値の64%にすぎなか
った。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】以上の結果から明らかなように、二官能性
HFPO重合体の製造の反応過程において生じる一官能
性HFPO重合体の含有率(表2における−C37基含
有率)は、実施例1,2と比較例1において大差はない
が、重合開始剤の一官能性不純物の含有率は、実施例
1,2の方が著しく低いため、実施例1,2は、最終生
成物における一官能性不純物の含有割合を著しく低減す
ることができた。また、重合開始剤の調製においては、
原料のパーフルオロジカルボン酸フロリド、パーフルオ
ロジケトンとほぼ当量のアルコラートの生成がみられ、
従って実施例1,2においては、得られる二官能性HF
PO重合体の重合度分布がシャープである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)又は(2)で示される
    パーフルオロジカルボン酸フロリド又はパーフルオロジ
    ケトンと金属フッ化物とを非プロトン性極性溶媒に混合
    して溶液を調製し、得られた溶液にヘキサフルオロプロ
    ペンオキシドを供給することを特徴とするヘキサフルオ
    ロプロペンオキシド重合体の製造方法。 【化1】 (式中、Rfは結合途中に酸素原子を介在させてもよい
    パーフルオロアルキレン基である。R1は炭素数1〜8
    のパーフルオロアルキル基であり、R1は互いに同一で
    あっても異種の基であってもよい。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014105227A (ja) * 2012-11-26 2014-06-09 Shin Etsu Chem Co Ltd 末端に酸フロライド基を有する含フッ素化合物の製造方法

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