JP3292072B2 - ヘキサフロロプロペンオキシドの重合方法 - Google Patents
ヘキサフロロプロペンオキシドの重合方法Info
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Description
ペンオキシド(以下、HFPOと略す)を重合してフッ
素化ポリエーテルを製造する方法に関する。
HFPOの重合方法として、いくつかの提案が知られて
いる。例えば、米国特許第3,660,315号及び特
公昭53−5360号公報に記載された方法は、下記式
(1a)の化合物のテトラグライム溶液を重合開始剤と
して用い、下記式(2a)の二官能性ポリマーを得るも
のである。
ラグライム及びFOCCF(CF3)OCF2CF2OC
F(CF3)COFを混合し、過剰のフッ化セシウムを
分離した均一溶液を用いてHFPOの重合を行うことで
ある。これにより過剰のフッ化セシウムによるHFPO
の単独重合を防ぎ、結果的に一官能性(即ち、片末端官
能性の)HFPOポリマーの生成を低く抑えることがで
きるものである。
CHEM.,48(3),499−520(1974)
には、HFPO重合時に、ヘキサフロロプロペン(以下
HFPと略す)を存在させることにより連鎖移動を防
ぎ、生成ポリマーの重合度を増加させることができると
の記述がなされている。この場合、HFPの効果とは、
遊離のフッ素アニオンをトラップすることにより連鎖移
動を防ぐことにあるとの説明がなされている。
すなわち開始剤以外の化学種からの重合の開始を抑える
ような条件のもとで実施することが重要であって、その
ためには重合温度をできるだけ低く保つ必要がある。
すれば反応の選択性が増加し、連鎖移動が抑制され、生
成するポリマー重合度は増加し、二官能開始剤を用いる
場合は一官能性ポリマー(副生成物)が減少するという
傾向はよく知られている。
も、生成物がポリマーである以上、重合系は粘稠になり
がちであり、温度を低くすれば更に増粘するため、実施
可能な温度の範囲は限られてくる。実験スケールの小さ
な反応器であれば高粘度の内容物でも冷却することは可
能であるが、生産規模の大きな反応器では相対的に伝熱
面積が減少するから、よほど特殊な工夫をして伝熱面積
を増やさない限り、小さな反応器と同じ冷却効率を得る
ことは不可能である。つまり、通常の円筒形の反応器に
おいて、器壁を冷却する方式では、反応器の内容積では
なく、有効な伝熱面積によって単位時間当たりに重合で
きるHFPOの量が規制される。しかも、器壁における
伝熱係数は内容物の粘度が増加すると極端に低下するか
ら、HFPOの供給速度を低下させて発熱量(重合熱)
を減らさないと内部温度が上昇してしまうことになる。
このことは、スケールアップを行う上で、HFPOの供
給時間の増大、重合温度の上昇による生成物の品質低下
など大きな障害となることが明らかである。
る方法の開発が望まれていた。
PO重合時の粘度を低下させることが可能になり、これ
によって撹拌効率、熱交換効率が向上し、片末端官能性
重合物が少なく、高品質の両末端官能性HFPOポリマ
ーを得ることができるHFPOの重合方法を提供するこ
とを目的とする。
発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った
結果、下記一般式(1) CsOCF2−Rf−CF2OCs (1) (式中、Rfは炭素数1〜4のパーフルオロアルキレン
基又は炭素数2〜10のエーテル結合を有するパーフル
オロアルキレン基を示す。)で示される重合開始剤と分
子内に5つ以上のエーテル結合を有する鎖状又は環状の
炭化水素化合物とからなる重合開始剤溶液中でヘキサフ
ロロプロペンオキシド(HFPO)を重合してフッ素化
ポリエーテルを製造する方法において、上記重合開始剤
溶液中に更に常圧下で融点が−40℃以下の非プロトン
系極性溶媒を添加することにより、重合粘度が低下し、
重合時の撹拌効率、熱交換効率が向上するため、重合時
間の短縮、スケールアップが可能となることを見出し、
本発明をなすに至ったものである。
と、本発明のHFPOの重合方法は、下記一般式(1) CsOCF2−Rf−CF2OCs (1) (式中、Rfは炭素数1〜4のパーフルオロアルキレン
基又は炭素数2〜10のエーテル結合を有するパーフル
オロアルキレン基を示す。)で示される重合開始剤と分
子内に5つ以上のエーテル結合を有する鎖状又は環状の
炭化水素化合物とからなる重合開始剤溶液中でヘキサフ
ロロプロペンオキシド(HFPO)を重合してフッ素化
ポリエーテルを製造する方法に係るものである。
えば米国特許第3,660,315号公報に記載された
公知の方法によって行うことができる。即ち、下記一般
式(2) FOC−Rf−COF (2) (式中、Rfは上記と同様の意味を示す。)で示される
パーフロロジカルボン酸フロライドとフッ化セシウム及
び分子内に5つ以上のエーテル結合を有する鎖状又は環
状の炭化水素化合物とを混合撹拌した後、過剰のフッ化
セシウムを沈殿させて、上澄み液を分取することにより
調製することができる。
どを挙げることができる。
有する鎖状又は環状の炭化水素化合物としては、テトラ
グライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテ
ル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5、18−
クラウン−6)などを挙げることができる。
液中における濃度は1〜80重量%、特に10〜50重
量%であることが好ましい。
始剤溶液に、常圧下で融点が−40℃以下の非プロトン
系極性溶媒を添加することを特徴とするもので、これに
よって重合粘度を低下させたものである。
トン系極性溶媒としては、HFPOの重合反応に影響を
与えるものでなければいずれのものも使用することがで
きるが、−25℃以下の低温においても重合開始剤溶液
との相溶性に優れているものがよい。
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿
素、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミ
ド、アセトニトリル、テトラメチルスルホン、炭酸プロ
ピレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ジメチルシア
ナミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ピリジンな
どが挙げられ、常圧下で融点が−40℃以下のものであ
れば使用可能であるが、好ましくは、融点が−40℃以
下で、かつ分子内に少なくとも1つ、望ましくは1〜3
のエーテル結合を有する炭化水素化合物がよく、特にエ
チルメチルエーテル(融点−70℃以下)、ジエチルエ
ーテル(融点−116℃)、モノグライム(エチレング
リコールジメチルエーテル,融点−58℃)、ジグライ
ム(ジエチレングリコールジメチルエーテル,融点−6
4℃)、テトラヒドロフラン(融点−108℃)が好ま
しく、中でもジエチルエーテル、モノグライム、ジグラ
イムが好適である。
極性有機溶媒は、誘電率εが大きく、プロトン供与性の
グループをもっていないという特徴があるが、一般に会
合性に富んでおり、プロトン変容能が大きいために有機
イオン反応の溶剤として使用されると、自己会合を解い
てさらに安定な溶媒和状態を作るので、イオン反応活性
種に対して著しい相互作用を示す。
極性溶媒の添加量としては、重合開始剤溶液に対し3〜
50重量%、好ましくは5〜25重量%がよい。3重量
%より少ないとHFPO重合時に粘度低下の効果が十分
に得られない場合がある。また、50重量%より多いと
HFPOの重合が安定に進行せず、副生成物(1官能性
ポリマー)の生成が増加するおそれがある。
に脱水することが望ましいが、本発明においては水分量
は100ppm以下、特に50ppm以下にすれば十分
である。
溶液中にHFPOを供給し、HFPOの重合を行う。こ
の場合、連鎖移動反応防止の手段の一つとして、先に述
べたように、ヘキサフロロプロペン(HFP)を同時に
供給してもよい。
始剤1モルに対して10〜400倍モルの範囲で実施で
きるが、通常は20〜200倍モル程度である。供給は
ガス状、液体状のいずれでも可能である。ただし、内温
を一定に保てるような条件下で行うことが好ましい。ま
た、供給時間は3〜120時間で行うことが好ましい。
ができ、また重合終了後、内温を−40℃〜−25℃に
保ち、1〜10時間程度熟成させ、昇温し、内容物を分
取してポリマーを回収すればよい。
Oとの反応で、下記のフッ素化ポリエーテルが得られ
る。
イム等の分子内に5つ以上のエーテル係合を有する鎖状
又は環状の炭化水素化合物の単独溶媒系ではなく、これ
に更にジエチルエーテル、モノグライム、ジグライム、
テトラヒドロフラン等の常圧下で融点が−40℃以下の
非プロトン系極性溶媒を添加した混合溶媒系でHFPO
の重合を行うものであり、単独溶媒系に比べ、上記混合
溶媒系では重合粘度が下がるため、撹拌効率、熱交換効
率が向上し、片末端官能性重合物の生成が少なく、両末
端官能性HFPOポリマーが効率よく重合、製造し得る
ものである。
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
ー及び撹拌トルク計を備えた500mlの4つ口フラス
コにCsOCF2CF(CF3)OCF2CF2OCF(C
F3)CF2OCs4.80gを含有するテトラグライム
溶液13.11g、ジエチルエーテル1.97gを仕込
んだ。次いで、フラスコを冷媒浴を用いて冷却し、内温
を−35℃、コンデンサーを−50℃に設定し、毎分1
50回転で撹拌した。次いで、HFP10.9gを1時
間かけて仕込み、更にHFPO109.0g、HFP5
8.9gを15時間かけて供給した。この間、内温は−
37℃〜−35℃の範囲であった。供給終了時にトルク
計から算出される粘度は4200cpであった。供給終
了後、−37℃〜−35℃にて2時間撹拌を続けた。そ
の後、冷媒浴を取り除き、内温を20℃まで昇温した。
この時、未反応のHFPはガス化してパージされた。フ
ラスコの内容物は白濁した粘稠な液体であり、回収量は
128.3gであった。
0g、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン40g
を加え、20℃〜25℃にて30分撹拌し、更にメタノ
ールを50g加えて静置した後、層分離した下層を取り
出し、20℃、3mmHgにて揮発分を除去し、下記式
(A)で示される2官能性HFPOポリマー及び下記式
(B)で示される1官能性HFPOポリマーの無色透明
なオイル状混合物45gを得た。19F−NMRによる測
定の結果、平均重合度は102であり、また(A)/
(B)=88/12(モル比)であった。下記に19F−
NMRによる測定結果及び平均重合度とモル比の算出方
法を示す。
ー及び撹拌トルク計を備えた500mlの4つ口フラス
コにCsOCF2CF(CF3)OCF2CF2OCF(C
F3)CF2OCs4.92gを含有するテトラグライム
溶液13.36g、モノグライム2.31gを仕込ん
だ。次いで、フラスコを冷媒浴を用いて冷却し、内温を
−35℃、コンデンサーを−50℃に設定し、毎分15
0回転で撹拌した。次いで、HFP11.1gを1時間
かけて仕込み、更にHFPO111.2g、HFP5
9.1gを15時間かけて供給した。この間、内温は−
37℃〜−35℃の範囲であった。供給終了時にトルク
計から算出される粘度は4800cpであった。供給終
了後、−37℃〜−35℃にて2時間撹拌を続けた。そ
の後、冷媒浴を取り除き、内温を20℃まで昇温した。
この時、未反応のHFPはガス化してパージされた。フ
ラスコの内容物は白濁した粘稠な液体であり、回収量は
130.5gであった。
0g、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン40g
を加え、20℃〜25℃にて30分撹拌し、更にメタノ
ールを50g加えて静置した後、層分離した下層を取り
出し、20℃、3mmHgにて揮発分を除去し、前記式
(A)で示される2官能性HFPOポリマー及び前記式
(B)で示される1官能性HFPOポリマーの無色透明
なオイル状混合物44gを得た。19F−NMRによる測
定の結果、平均重合度は106であり、また(A)/
(B)=89/11(モル比)であった。
ー及び撹拌トルク計を備えた500mlの4つ口フラス
コにCsOCF2CF(CF3)OCF2CF2OCF(C
F3)CF2OCs4.85gを含有するテトラグライム
溶液13.35gのみを仕込んだ。次いで、フラスコを
冷媒浴を用いて冷却し、内温を−35℃、コンデンサー
を−50℃に設定し、毎分150回転で撹拌した。次い
で、HFP10.6gを1時間かけて仕込み、更にHF
PO106.5g、HFP58.3gを15時間かけて
供給した。この間、内温は−37℃〜−35℃の範囲で
あった。供給終了時にトルク計から算出される粘度は2
8700cpであり、実施例1及び2に比べ高粘度であ
った。供給終了後、−37℃〜−35℃にて2時間撹拌
を続けた。その後、冷媒浴を取り除き、内温を20℃ま
で昇温した。この時、未反応のHFPはガス化してパー
ジされた。フラスコの内容物は白濁した粘稠な液体であ
り、回収量は124.4gであった。
0g、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン40g
を加え、20℃〜25℃にて30分撹拌し、更にメタノ
ールを50g加えて静置した後、層分離した下層を取り
出し、20℃、3mmHgにて揮発分を除去し、前記式
(A)で示される2官能性HFPOポリマー及び前記式
(B)で示される1官能性HFPOポリマーの無色透明
なオイル状混合物44gを得た。19F−NMRによる測
定の結果、平均重合度は99であり、また(A)/
(B)=83/17(モル比)であった。
ー及び撹拌トルク計を備えた500mlの4つ口フラス
コにCsOCF2CF(CF3)OCF2CF2OCF(C
F3)CF2OCs4.89gを含有するテトラグライム
溶液13.29g、n−ヘキサン1.84gを仕込ん
だ。次いで、フラスコを冷媒浴を用いて冷却し、内温を
−35℃、コンデンサーを−50℃に設定し、毎分15
0回転で撹拌した。次いで、HFP10.8gを1時間
かけて仕込み、更にHFPO108.1g、HFP5
2.8gを15時間かけて供給した。この間、内温は−
37℃〜−35℃の範囲であった。供給終了時にトルク
計から算出される粘度は13500cpであった。供給
終了後、−37℃〜−35℃にて2時間撹拌を続けた。
その後、冷媒浴を取り除き、内温を20℃まで昇温し
た。この時、未反応のHFPはガス化してパージされ
た。フラスコの内容物は白濁した粘稠な液体であり、回
収量は128.3gであった。
0g、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン40g
を加え、20℃〜25℃にて30分撹拌し、更にメタノ
ールを50g加えて静置した後、層分離した下層を取り
出し、20℃、3mmHgにて揮発分を除去し、前記式
(A)で示される2官能性HFPOポリマー及び前記式
(B)で示される1官能性HFPOポリマーの無色透明
なオイル状混合物45gを得た。19F−NMRによる測
定の結果、平均重合度は103であり、また(A)/
(B)=85/15(モル比)であった。
にまとめて示す。表1の結果より、本発明の方法は、重
合時の粘度を低下させ、かつ従来法に比べ副生成物(1
官能性HFPOポリマー)の量を同レベル以下にするこ
とが可能であることがわかる。
を低減させることが可能になり、これにより重合時の撹
拌効率、熱交換効率が向上するため、重合時間の短縮及
びスケールアップが可能となる。
Claims (4)
- 【請求項1】 下記一般式(1) CsOCF2−Rf−CF2OCs (1) (式中、Rfは炭素数1〜4のパーフルオロアルキレン
基又は炭素数2〜10のエーテル結合を有するパーフル
オロアルキレン基を示す。)で示される重合開始剤と分
子内に5つ以上のエーテル結合を有する鎖状又は環状の
炭化水素化合物とからなる重合開始剤溶液中でヘキサフ
ロロプロペンオキシドを重合してフッ素化ポリエーテル
を製造する方法において、上記重合開始剤溶液中に常圧
下で融点が−40℃以下の非プロトン系極性溶媒を添加
して重合を行うことを特徴とするヘキサフロロプロペン
オキシドの重合方法。 - 【請求項2】 融点が−40℃以下の非プロトン系極性
溶媒が、分子内に少なくとも1つ以上のエーテル結合を
有する炭化水素化合物である請求項1記載の重合方法。 - 【請求項3】 融点が−40℃以下の非プロトン系極性
溶媒が、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モ
ノグライム、ジグライム、テトラヒドロフランから選ば
れるものである請求項2記載の重合方法。 - 【請求項4】 融点が−40℃以下の非プロトン系極性
溶媒の添加量が、ヘキサフロロプロペンオキシドの供給
前における重合開始剤溶液に対して3〜50重量%であ
る請求項1,2又は3記載の重合方法。
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