JP2003128778A - ヘキサフルオロプロペンオキシド重合体の製造方法 - Google Patents

ヘキサフルオロプロペンオキシド重合体の製造方法

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JP2003128778A
JP2003128778A JP2001328666A JP2001328666A JP2003128778A JP 2003128778 A JP2003128778 A JP 2003128778A JP 2001328666 A JP2001328666 A JP 2001328666A JP 2001328666 A JP2001328666 A JP 2001328666A JP 2003128778 A JP2003128778 A JP 2003128778A
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hfpo
polymer
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fluoride
polymerization
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JP2001328666A
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Yasunori Sakano
安則 坂野
Noriyuki Koike
則之 小池
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 下記一般式(1)で示されるパーフルオ
ロジカルボン酸フロリドと金属フッ化物とを非プロトン
性極性溶媒に混合して溶液を調製し、得られた溶液にヘ
キサフルオロプロペンオキシドを供給することを特徴と
するヘキサフルオロプロペンオキシド重合体の製造方
法。 【化1】 【効果】 本発明によれば、比較的安価に入手でき、金
属フッ化物と非プロトン性極性溶媒中で定量的にアルコ
ラートを生成し、かつ、一官能性の不純物を含まないパ
ーフルオロジカルボン酸フロリドを原料として用いるた
め、一官能性HFPO重合体含有率の極めて低い高純度
の二官能性HFPO重合体を確実に製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はヘキサフルオロプロ
ペンオキシド(以下、HFPOと略す)重合体の製造方
法に関する。更に詳しくは、一官能性HFPO重合体の
含有率の低い二官能性のHFPO重合体の製造方法に関
する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
二官能性HFPO重合体の製造方法としては、米国特許
第3,250,807号公報に記載の方法が知られてい
る。 【0003】即ち、米国特許第3,250,807号公
報には、FOC−(CF2n−COF(n=0〜6)を
アルカリ金属フッ化物或いは活性炭などの触媒存在下、
非プロトン性極性溶媒中でHFPOと反応させることに
より、下記一般式(2)の二官能性HFPO重合体が得
られることが記述されている。 【0004】 【化2】 【0005】この場合、一般には、上記のように予め用
意された−COF基にHFPOを付加しようとすると、
下記一般式のように連鎖移動によって片方の末端にヘプ
タフルオロプロピル基を有するHFPO重合体(一官能
性HFPO重合体)が副生するという問題がある。 【0006】 【化3】 【0007】このような連鎖移動を防ぎ、純粋な二官能
性HFPO重合体を製造するための改良方法が特公昭5
3−5360号公報、米国特許第3,660,315号
公報に記述されている。これは、 FOCCF(CF3)OCF2CF2OCF(CF3)COF (3) 及びフッ化セシウムをテトラエチレングリコールジメチ
ルエーテル中で混合して、 CsOCF2CF(CF3)OCF2CF2OCF(CF3)CF2OCs (4) とし、得られた溶液から過剰のフッ化セシウムを分離し
て均一な溶液を調製し、その均一溶液を開始剤として用
いることにより、HFPO重合体を製造するものであ
る。ここでは、過剰のフッ化セシウムを分離し、かつ重
合を−60〜−30℃の低温で行うことによって、数平
均重合度約50の純粋な二官能性HFPO重合体を得て
いる。 【0008】しかし、J.Macromol.Sci.
Chem.,A8(3),499(1974)には、重
合度の高い二官能性HFPO重合体を得ようとして、上
記開始剤に対するHFPOのモル比を増加させると、一
官能性HFPO重合体の副生が増大し、二官能性HFP
O重合体の純度が低下することが述べられている。 【0009】また、特開昭57−175185号公報、
米国特許第4,356,291号公報には、上記開始剤
に加えて、高度に精製したHFPOを用いることによ
り、数平均重合度445のHFPO重合体を得たことが
述べられている。 【0010】即ち、米国特許第4,356,291号公
報には、一般にHFPOにはフッ化水素、酸フッ化物、
水などの不純物が含まれており、これらの物質は重合に
よって得られるポリマーの最大重合度を制限する問題点
があることが述べられ、このため高度に精製されたHF
POを重合に使用することで、分子量の高いHFPOポ
リマーを得ているものである。 【0011】しかし、ここには、副生する一官能性HF
PO重合体及び得られた二官能性HFPO重合体の純度
に関しては言及されていない。 【0012】以上のように、従来の二官能性HFPO重
合体に関する検討は、連鎖移動により副生する一官能性
HFPO重合体を低減すること、及び重合度の高いHF
PO重合体を得ることを主な目的として行われてきた。 【0013】しかしながら、これらいずれの方法におい
ても、上記化合物(3)自体に一官能性の不純物を含有
しているという欠点を有していた。即ち、化合物(3)
は、一般に下記の方法にて製造される。 【0014】 【化4】 【0015】このように、シュウ酸フロリドとHFPO
の反応時には、目的物(化合物(3))だけでなく、H
FPOのオリゴマー(化合物(3’)、(3”))が生
成し、これらのオリゴマーは目的物と分離するためには
精密な蒸留操作が必要になる。 【0016】ところが、このようにして精密な蒸留操作
を行って得られた目的物にも、上記一般式(5)に示さ
れる環状構造を有する一官能の成分が4〜6重量%程度
含有されてしまう。 【0017】やっかいなことに、この副生物(5)は、
目的物(3)と同一の分子量であるため、更なる蒸留で
分離することは実際上殆ど不可能である。 【0018】従って、ここで得られた留分を開始剤に用
いると、HFPOを重合する前にすでに一官能成分を含
有していることになる。 【0019】一方、パーフルオロジカルボン酸フロリド
としては、パーフルオロアジピン酸フロリド、パーフル
オログルタル酸フロリド、パーフルオロこはく酸フロリ
ド等がよく知られているが、これらの化合物は、上記化
合物(3)と同様にして重合開始剤を調製しようとする
と、エステル化などの副反応を起こすため、加えたパー
フルオロジカルボン酸フロリドと当量のアルコラートを
得ることができない。このような重合開始剤を用いてH
FPOの重合を行った場合には、低分子の成分を多量に
含むため、分子量分布の広い重合体を生成することにな
り、重合開始剤として不適である。 【0020】このような事情に鑑み、比較的安価に入手
でき、アルカリ金属フッ化物と非プロトン性極性溶媒中
で定量的にアルコラートを生成し、かつ、一官能性の不
純物を含まない原料を用いて重合開始剤を調製し、HF
PO重合体を製造する方法が望まれていた。 【0021】本発明は、上記要望に応えるためになされ
たもので、比較的安価に入手できる原料から重合開始剤
を調製し、一官能性HFPO重合体含有率の低い二官能
性HFPO重合体を有利に製造する方法を提供すること
を目的とする。 【0022】 【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行っ
た結果、下記一般式(1)で示されるパーフルオロジカ
ルボン酸フロリドを、金属フッ化物と非プロトン性極性
溶媒中で混合すると、定量的にアルコラートが生成して
均一溶液が得られ、この溶液を重合開始剤としてHFP
Oを重合すると、分子量分布が狭く、一官能性HFPO
重合体含有率の著しく低い二官能性HFPO重合体が得
られることを見出し、本発明をなすに至った。 【0023】従って、本発明は、下記一般式(1)で示
されるパーフルオロジカルボン酸フロリドと金属フッ化
物とを非プロトン性極性溶媒に混合して溶液を調製し、
得られた溶液にヘキサフルオロプロペンオキシドを供給
することを特徴とするヘキサフルオロプロペンオキシド
重合体の製造方法を提供する。 【0024】 【化5】 【0025】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のHFPO重合体の製造方法において、重合開始
剤は、上記一般式(1)で示されるパーフルオロジカル
ボン酸フロリドと金属フッ化物を非プロトン性極性溶媒
中で混合して調製した溶液が用いられる。重合開始剤の
調製は、非プロトン性極性溶媒中に、金属フッ化物を懸
濁させておき、そこにパーフルオロジカルボン酸フロリ
ドを添加して撹拌混合することにより行うことができ
る。 【0026】本発明で、重合開始剤の原料とするパーフ
ルオロジカルボン酸フロリドは、下記一般式(1) 【化6】 で示される化合物である。なお、A、Bの数や配列が異
なる混合物であってもよい。上記一般式(1)で示され
るパーフルオロジカルボン酸フロリドは、m=1〜1
0、n=1〜10の整数であるが、特にm=1〜5、n
=1〜5が好ましい。また、分子量300〜1200の
範囲であることが好ましい。 【0027】本発明においては、上記一般式(1)中に
おける、A、Bの繰り返し配列を有するパーフルオロジ
カルボン酸フロリドを原料とすることにより、定量的に
アルコラートを生成し、かつ、一官能性の不純物を含ま
ないパーフルオロジカルボン酸フロリドを原料とし、一
官能性HFPO重合体含有率の極めて低い高純度の二官
能性HFPO重合体を確実に製造することができるとい
う著しい効果をもたらすものである。 【0028】本発明で使用するパーフルオロジカルボン
酸フロリド(上記一般式(1))は、下記一般式(6)
で示される安価な炭化水素系ジカルボン酸及び炭化水素
系ジエステルを公知のフッ素化方法(直接フッ素化、電
解フッ素化)でフッ素化することにより得ることができ
る。 【0029】 【化7】 【0030】一方、金属フッ化物としては、アルカリ金
属フッ化物が好ましく、特に、フッ化セシウムが好まし
い。また、非プロトン性極性溶媒としては、テトラグラ
イム、トリグライム、ジグライム等のグライム類が好ま
しい。 【0031】本発明においては、非プロトン性極性溶媒
中に、金属フッ化物を懸濁させておき、そこに上記一般
式(1)で示される化合物を添加して撹拌混合すること
により、重合開始剤溶液を調製する。重合開始剤溶液中
では、パーフルオロジカルボン酸フロリドはアルカリ金
属フッ化物と反応して対応するアルコラートになる。以
下に反応を示す。アルコラートへの変換の確認は、混合
液の赤外吸収スペクトルを測定することにより確認でき
る。 【化8】 (但し、m=1〜10、n=1〜10の整数であり、各
繰り返し単位の配列はランダムである。) 【0032】ここで、上記一般式で示される重合開始剤
の重合開始剤溶液中における濃度は10〜60重量%、
特に25〜45重量%であることが望ましい。 【0033】なお、一般式(1)で示される化合物の種
類によっては、アルコラートが室温では固形分として溶
液中で析出してくるおそれがある。この場合、系内の温
度を5℃以下に維持すると、意外なことに、通常の場合
とは反対に、アルコラートが析出せず、アルコラートが
溶液中に溶解した状態になる。従って、このような場合
には、系内の温度を5℃以下に維持することが好まし
い。 【0034】重合開始剤溶液には、低温での流動性を良
好にする目的で、調製時に用いた溶媒とは異なる第二の
溶媒を添加してもよい。第二の溶媒は、−30℃以下の
低温においても重合開始剤溶液と均一に混合する溶媒で
あって、凝固点が−50℃以下のものがよい。望ましく
は分子内に1〜3のエーテル結合を有する炭化水素化合
物がよく、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテ
ル、エチルメチルエーテル、メチルプロピルエーテル、
エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン等が好適に使用できる。これらの溶媒は、開始剤溶
液の重合温度領域(−40〜−30℃)における粘度を
低下させ、撹拌効率を高めるために添加される。添加量
は、開始剤溶液100重量部に対して20〜60重量部
である。なお、これらの溶媒は予め脱水しておくことが
よく、好ましくは水分量を50ppm以下にすることが
よい。 【0035】第二の溶媒を用いる場合は、重合開始剤溶
液またはこれと第二の溶媒との混合物にヘキサフルオロ
プロペン(HFP)等のパーフルオロオレフィンを反応
させ、そのオリゴマーを生成させる。この操作は、重合
開始剤溶液と第二の溶媒中に存在する連鎖移動を引き起
こす原因物質を除去し、引き続き行うHFPOの供給時
に重合開始を円滑に行わせるために必要である。 【0036】ここで、パーフルオロオレフィンとして
は、炭素数2〜9、特に3〜6のものが使用され、例え
ば下記のものを例示することができる。 【0037】 【化9】 これらの中では、特に下記のものが好ましい。 【化10】 【0038】このパーフルオロオレフィンの使用量は特
に制限されないが、通常、重合開始剤溶液100重量部
に対して0.5〜100重量部、特に3〜30重量部が
使用される。 【0039】パーフルオロオレフィンを添加して反応を
行う場合の温度は、通常−30〜50℃で行うことがで
きるが、好ましくは−25〜30℃である。反応温度が
低すぎると反応時間に長時間を要し、また高温すぎると
開始剤の分解が生じるおそれがある。反応時間は特に制
限されないが、−25〜30℃の反応温度においてはパ
ーフルオロオレフィンの添加に要する時間を含めて通常
10分〜2時間、特に20分〜1時間である。 【0040】上記開始剤溶液及び好ましくは第二の溶媒
を加えて、反応器内で撹拌しながら冷却し、HFPOを
供給することにより二官能性HFPO重合体を得ること
ができる。このときヘキサフルオロプロペン(HFP)
を同時に添加してもよい。HFPの添加は、重合の進行
に伴い次第に増粘する反応液を希釈するので、更に流動
性を高めることができる。重合時には反応液の温度を−
45〜−30℃に保つことが好ましい。−45℃よりも
低い温度では反応液の粘度及びチキソ性が増加し、その
結果効率的な撹拌が困難になる。このような状況では、
反応器内壁或いは撹拌翼の一部に流動性の失われた反応
物が付着して均一な撹拌が困難になり、生成する重合体
の分子量分布が広くなる。また、−30℃よりも高い温
度では、連鎖移動反応が起こり易くなり、一官能性HF
PO重合体が生成してしまう。 【0041】撹拌は、反応液全体が均一な流動性を維持
するために重要である。但し、反応器の形状と大きさに
よってそれぞれ異なり、一般的には、アンカー型、パド
ル型、スパイラルリボン型、インペラー型などを用いる
ことができる。回転数は特に制限はなく、撹拌翼の形状
に合わせて最適の撹拌効率が得られるように調整すれば
よい。 【0042】HFPOの供給は、マスフローコントロー
ラー等の流量調節器を用いて連続的に行うことが好まし
い。HFPO供給を安定した速度で行うことは、反応液
の温度を適度な範囲に保つために必要である。供給速度
は開始剤のモル数に対して3〜15倍モル/時間、好ま
しくは5〜10倍モル/時間が適当である。供給量は所
望の分子量に応じて適宜設定することができ、開始剤1
モルに対して30〜400倍モルの範囲で実施できる
が、HFPOの倍率を高めると、得られたHFPO重合
体に無視できない量の一官能性ポリマーが混入するの
で、通常は30〜200倍モル程度である。 【0043】HFP供給は、HFPOの1/4〜3/4
量(重量)をHFPOと同時に供給するとよい。HFP
Oの供給が終了したならば、1〜2時間程度撹拌を継続
したのちに反応液を昇温し、目的物を分取すれば、下記
一般式(7)で示される二官能性HFPO重合体を得る
ことができる。 【化11】 (但し、m=1〜10、n=1〜10の整数であり、各
繰り返し単位の配列はランダムである。なお、x+yは
0〜3000、特に0〜1000の整数である。) 【0044】このとき、得られた上記一般式(7)で示
される二官能性HFPO重合体は、出発原料のパーフル
オロジカルボン酸フロリドが、一官能性の不純物を殆ど
含まないので、二官能性HFPO重合体の最終的な一官
能性不純物の含有率を飛躍的に低く抑えることができ
る。 【0045】このようにして得られた二官能性HFPO
重合体は、末端が−COF基であり、これを別の官能基
に変換することによって、種々の有用な誘導体を合成す
ることができる。これらの誘導体は、液状ゴム、コーテ
ィング材、シーリング材などに有効に利用することがで
きる。 【0046】 【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。なお、下記の例において部は重量部を示
す。 【0047】[実施例1] 開始剤の調製−[1] 500mLのガラス製のフラスコを乾燥窒素で十分置換
した後、フッ化セシウム22.6g及びテトラグライム
76.7gを入れ、乾燥窒素雰囲気中25℃で撹拌しな
がら、数平均分子量443、酸フロリド濃度が4.51
mmol/gであり、nの平均値が1、mの平均値が
1.44である上記一般式(1)の構造を持つパーフル
オロジカルボン酸フロリド混合物30.0gをシリンジ
を用いて添加した。 【0048】添加後、直ちに発熱が認められた。約5時
間撹拌した後に、撹拌を止め静置した。内容物は過剰の
フッ化セシウムが僅かに沈殿している以外は均一な淡黄
色透明の液体であった。 【0049】この溶液の一部を取り出し赤外吸収スペク
トルを測定したところ、−COF基に由来する1880
cm-1付近の吸収は観測されなかった。また、この溶液
を水に溶かして加水分解して生成したカルボン酸及びフ
ッ酸をアルカリ滴定で定量し、元の溶液に含まれるアル
コラートの量を−CF2OCs濃度(mmol/g)と
して算出したところ、1.02mmol/gであった。
これらの測定結果を、−CF2OCs濃度の理論値(加
えたパーフルオロジカルボン酸フロリド(純度100%
と仮定)と当量のアルコラート量)と共に表1に示す。 【0050】HFPOの重合−[1] アンカー型の撹拌翼を備えた内容積0.5Lの反応器に
上記開始剤の調製−[1]にて調製した開始剤溶液1
6.6g及びエチレングリコールジメチルエーテル4.
92gを入れ、毎分180回転の速度で撹拌しながら−
10℃に調節された冷媒浴を用いて反応器を冷却した。 (ステップ1)反応器の内部温度が−7℃になった時点
で、HFPを5.0g/時間の速度で2.5g供給し
た。 (ステップ2)次に、冷媒浴温度を−40℃に設定し、
反応器内部の液体の温度が−38℃に達した時点で更に
HFPを5.0g/時間の速度で2.5g供給した。 (ステップ3)次に、HFPOを9.7g/時間の速度
で146g及びHFPを5.1g/時間の速度で76
g、約15時間かけて供給した。 【0051】供給速度の調節には、マスフローコントロ
ーラーを用いた。HFPO供給中の反応器内部の液体の
温度は−38〜−35℃の範囲であった。 【0052】HFPO供給終了後、更に1時間撹拌し、
冷媒浴を徐々に室温付近まで昇温した。このとき若干の
発熱が認められると共にHFPが蒸発する様子が観察さ
れた。 【0053】反応器内容物を150gのエタノール中に
あけ、よく撹拌した後、下層を更にエタノール150g
を用いて洗浄し、静置して相分離した下層を取り出し、
固形分をろ過してから120℃、10mmHgにて揮発
分を除去し、無色透明の末端エチルエステル化したHF
PO重合体142gを得た。 【0054】得られたオイル状HFPO重合体につい
て、粘度測定(25℃)を行うと共に、19F−NMRを
行い、下記の要領で、数平均重合度及び一官能性ヘプタ
フルオロプロピル基(−C37基)の含有率(一官能性
HFPO重合体含有率)を求めた。結果を表2に示し
た。 【0055】19F−NMR 数平均重合度及び重合時に生成した一官能性ヘプタフル
オロプロピル基(−C 37基)の含有率は、下記の方法
により求めた。 【0056】 【化12】 Fの位置 ケミカルシフト(ppm) 積分比 −145.4 r −132.3 s −130.7 t 数平均重合度=2r/(s+t/2) −C37基含有率=t/(s+t/2)×100(mo
l%) 【0057】[実施例2] 開始剤の調製−[2] 500mLのガラス製のフラスコを乾燥窒素で十分置換
した後、フッ化セシウム18.0g及びテトラグライム
60.8gを入れ、乾燥窒素雰囲気中25℃で撹拌しな
がら、数平均分子量559、酸フロリド濃度が3.58
mmol/gであり、nの平均値が1.28、mの平均
値が2.28であるような上記一般式(1)の構造を持
つパーフルオロジカルボン酸フロリド混合物30.0g
をシリンジを用いて添加した。約5時間撹拌した後に撹
拌を止め静置した。内容物は過剰のフッ化セシウムが僅
かに沈殿している以外は均一な淡黄色透明の液体であっ
た。 【0058】この溶液の一部を取り出し赤外吸収スペク
トルを測定したところ、−COF基に由来する1880
cm-1付近の吸収は観測されなかった。また、この溶液
を水に溶かして加水分解して生成したカルボン酸及びフ
ッ酸をアルカリ滴定で定量し、元の溶液に含まれるアル
コラートの量を−CF2OCs濃度(mmol/g)と
して算出したところ、0.98mmol/gであった。
これらの測定結果を、−CF2OCs濃度の理論値と共
に表1に示す。 【0059】HFPOの重合−[2] アンカー型の撹拌翼を備えた内容積0.5Lの反応器
に、上記開始剤の調製−[2]にて調製した開始剤溶液
17.6g及びエチレングリコールジメチルエーテル
4.92gを入れ、毎分180回転の速度で撹拌しなが
ら−10℃に調節された冷媒浴を用いて反応器を冷却し
た。 (ステップ1)反応器の内部温度が−7℃になった時点
で、HFPを5.0g/時間の速度で2.5g供給し
た。 (ステップ2)次に冷媒浴温度を−40℃に設定し、反
応器内部の液体の温度が−38℃に達した時点でさらに
HFPを5.0g/時間の速度で2.5g供給した。 (ステップ3)次に、HFPOを9.7g/時間の速度
で147g及びHFPを5.1g/時間の速度で76
g、約15時間かけて供給した。 【0060】供給速度の調節にはマスフローコントロー
ラーを用いた。HFPO供給中の反応器内部の液体の温
度は−38〜−35℃の範囲であった。 【0061】HFPO供給終了後、さらに1時間撹拌
し、冷媒浴を徐々に室温付近まで昇温した。このとき若
干の発熱が認められるとともにHFPが蒸発する様子が
観察された。 【0062】反応器内容物を150gのエタノール中に
あけ、よく撹拌した後、下層をさらにエタノール150
gを用いて洗浄し、静置して相分離した下層を取り出
し、固形分をろ過してから120℃、10mmHgにて
揮発分を除去し、無色透明の末端エチルエステル化した
HFPO重合体145gを得た。 【0063】得られたオイル状HFPO重合体につい
て、粘度測定(25℃)を行うと共に、19F−NMRを
行い、上記の要領で、数平均重合度及び一官能性ヘプタ
フルオロプロピル基(−C37基)の含有率(一官能性
HFPO重合体含有率)を求めた。結果を表2に示し
た。 【0064】[比較例1] 開始剤の調製−[3] 不純物として環状の一官能成分を5.3mol%含有す
る下記式(8)で示されるパーフルオロジカルボン酸フ
ロリド52.8g及びフッ化セシウム37.7g、テト
ラグライム140.1gを使用して、実施例1と同様の
操作を行い、重合開始剤を調製した。内容物は過剰のフ
ッ化セシウムが僅かに沈殿している以外は均一な淡黄色
透明の液体であった。この溶液の一部を取り出し赤外吸
収スペクトルを測定したところ、−COF基に由来する
1880cm-1付近の吸収は観測されなかった。また、
実施例1と同様に元の溶液に含まれるアルコラートの量
を、−CF2OCs濃度(mmol/g)として算出し
たところ、1.02mmol/gであった。これらの測
定結果を、−CF2OCs濃度の理論値と共に表1に示
す。 【0065】 【化13】 【0066】HFPOの重合−[3] 実施例1にて使用した反応器に、開始剤の調製−[3]
にて調製した開始剤溶液14.5g及びエチレングリコ
ールジメチルエーテル4.3gを入れ、毎分180回転
の速度で撹拌しながら−10℃に調節された冷媒浴を用
いて反応器を冷却した。 (ステップ1)反応器の内部温度が−7℃になった時点
で、HFPを4.3g/時間の速度で2.1g供給し
た。 (ステップ2)次に冷媒浴温度を−40℃に設定し、反
応器内部の液体の温度が−38℃に達した時点でさらに
HFPを4.3g/時間の速度で2.1g供給した。 (ステップ3)次に、HFPOを8.3g/時間の速度
で125g及びHFPを4.2g/時間の速度で63
g、約15時間かけて供給した。 【0067】HFPO供給中の反応器内部の液体の温度
は、−38〜−35℃の範囲であった。 【0068】HFPO供給終了後、実施例1と同様の処
理を行い、末端エチルエステル化したHFPO重合体1
25gを得た。この重合体に対して実施例1、2と同様
の分析を行った結果を表2に示す。 【0069】 【表1】 【0070】 【表2】 【0071】以上の結果から明らかなように、二官能性
HFPO重合体の製造の反応過程において生じる一官能
性HFPO重合体の含有率(表2における−C37基含
有率)は、実施例1,2は、比較例1に比べ著しく低い
ため、実施例1,2は、最終生成物における一官能性不
純物の含有割合を著しく低減することが分かった。ま
た、重合開始剤の調製においては、実施例1,2では、
原料のパーフルオロジカルボン酸フロリドとほぼ当量の
アルコラートの生成がみられ(表1における−CF2
Cs濃度)、従って実施例1,2においては、得られる
二官能性HFPO重合体の重合度分布が狭いことが分か
った。 【発明の効果】本発明によれば、比較的安価に入手で
き、金属フッ化物と非プロトン性極性溶媒中で定量的に
アルコラートを生成し、かつ、一官能性の不純物を含ま
ないパーフルオロジカルボン酸フロリドを原料として用
いるため、一官能性HFPO重合体含有率の極めて低い
高純度の二官能性HFPO重合体を確実に製造すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 則之 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内 Fターム(参考) 4J005 AA11 BA00 BB01 BD00

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記一般式(1)で示されるパーフルオ
    ロジカルボン酸フロリドと金属フッ化物とを非プロトン
    性極性溶媒に混合して溶液を調製し、得られた溶液にヘ
    キサフルオロプロペンオキシドを供給することを特徴と
    するヘキサフルオロプロペンオキシド重合体の製造方
    法。 【化1】
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