JP2001224105A - 燃料電池を備える車両およびその制御方法 - Google Patents

燃料電池を備える車両およびその制御方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電源として燃料電池とバッテリとを備えるハ
イブリッド車両において、電源の適切な使い分けを行
う。 【解決手段】 車両の動力系統を、エンジン10,モー
タ20,トルクコンバータ30,変速機100および車
軸17を直列に結合した構成とする。モータ20に電力
を供給する電源としてバッテリ50と燃料電池60とを
設ける。バッテリの残容量が高い場合には、バッテリを
電源とし、残容量が低くなった場合に燃料電池を電源と
してモータ20を駆動する。燃料電池は電力を出力する
までに長時間を要するため、電源切替の過渡期において
は不足分の電力をバッテリ等で補償する。充電により走
行中にも電力を回復可能なバッテリを優先して使用する
ことにより、燃料電池の燃料消費を抑え、幅広い運転状
態で燃料電池を活用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発電手段を備える
車両に関し、その一態様として燃料電池を備える車両お
よびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンと電動機とを動力源とす
るハイブリッド車両が提案されている。ハイブリッド車
両の一形態として、電動機とエンジンの双方の動力を駆
動軸に出力可能なパラレルハイブリッド車両と呼ばれる
構成がある。パラレルハイブリッド車両は、電動機を適
宜動力源として用いることにより、エンジンを効率の良
い領域で運転させることができる。また、電動機による
回生制動を行うことにより、車両の運動エネルギを電力
として回収することができる。これらの作用に基づき、
ハイブリッド車両は、燃費および環境性に優れるという
特性を有する。
【0003】こうしたパラレルハイブリッド車両の中に
は、電動機の電源として燃料電池を搭載した車両も提案
されている(例えば、特開平3−148330記載の車
両)。燃料電池とは、燃料として最終的に供給される水
素の酸化により発電を行う装置をいう。燃料電池から排
出されるのは、水蒸気であり、有害な成分が含まれない
ため環境性に非常に優れるという利点がある。
【0004】但し、燃料電池は、昨今開発が行われてい
る装置である。従って、燃料電池の出力特性と従来の熱
機関の有する特性の長所どうしを最適に組みあわせる点
でまだ不十分であった。燃料電池を搭載したハイブリッ
ド車両の提案は、かかる状況を踏まえてなされたもので
あり、広く普及しているエンジンの特性と、燃料電池の
特性との活用を図ったものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、燃料電池を搭
載した従来のハイブリッド車両では、燃料電池が限定的
に用いられているに過ぎず、燃料電池の特性が十分に活
かされていなかった。また、燃費に優れるというハイブ
リッド車両としての特性も十分に活かされていなかっ
た。一般に燃料電池で発電を行う際には、十分に暖機す
る必要があり、その意味で発電要求に対する応答性が低
い特性があるが、かかる特性を補償して要求電力を出力
する方法についても十分な検討がなされていなかった。
【0006】エンジンは、出力トルクに脈動その他の変
動を生じるのが通常である。駆動軸にトルクを出力する
機関として、エンジンの他に電動機を備える車両では、
電動機のトルクを制御することにより、エンジンから駆
動軸に出力されるトルク変動を抑制することができる。
トルク変動を抑制する制御において、燃料電池を電動機
の電源としてどのように活用すべきかという点について
も十分に検討されていなかった。
【0007】エンジンからのトルクが要求トルクよりも
大きいときは、電動機を回生運転し、負荷を与えること
により、要求トルクを実現できる。エンジンからのトル
クが要求トルクに満たない場合には、電動機を力行運転
することにより、要求トルクを実現できる。このよう
に、トルク変動の抑制には、電動機との間で電力の抽出
および供給の双方を伴うのが通常である。従来は、二次
電池を用いてかかる制御がなされていたが、燃料電池は
発電のみを行う発電手段の一種であるため、二次電池を
置換することはできない。
【0008】二次電池を用いてトルク変動を抑制する場
合、電動機との間での電力の抽出および供給の収支がと
れず、二次電池の電力を過度に消費することが多いとい
う課題が指摘されていた。電動機から回生する電力を二
次電池に充電する際に生じる充電効率、二次電池に蓄え
られた電力を放電する際に生じる放電効率に起因して、
トルク変動を抑制するための機械的動力と二次電池の電
力との変換に損失が生じるためである。ここで生じる損
失を他の電源で補償する提案がなされており、燃料電池
をかかる補償用の電源として利用することは可能であ
る。例えば、制振のために電動機を力行する際に、二次
電池の放電は、先に回生で得られた電力までに留め、不
足分の電力を燃料電池から供給する態様が挙げられる。
しかしながら、二次電池から供給される電力は、充電時
の損失および放電時の損失の双方の影響を受けた低効率
の電力である。かかる電力を主として使用することは、
制振時のエネルギ効率の低下を招く。このような利用
は、発電効率に優れる燃料電池の利点を十分に活用した
ものとは言えない。同様の課題は、トルク変動を抑制す
るための電源として、二次電池と何らかの発電手段を備
える車両において共通の課題であった。
【0009】本発明は、かかる課題を解決するためにな
されたものであり、燃料電池を搭載したハイブリッド車
両において、燃料電池の有する特性およびハイブリッド
車両の有する特性をさらに有効活用する技術を提供する
ことを目的とする。また、熱機関から出力されるトルク
変動を電動機のトルクにより効率的に抑制する技術を提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
述の課題を解決するために、本発明は次の構成を採っ
た。本発明のハイブリッド車両は、電動機と熱機関とを
動力源として備えるハイブリッド車両であって、前記電
動機の電源として燃料電池と、二次電池とを備えるとと
もに、両者から電動機に供給される電力をそれぞれ調整
可能な調整手段を備え、車両の運転状態に応じて、前記
電源および動力源の作動を制御する制御手段を備えるこ
とを要旨とする。
【0011】かかるハイブリッド車両によれば、電源と
して燃料電池と二次電池とを備える。既に説明した通
り、燃料電池は環境性に優れた高効率のエネルギ源であ
るという特性を有している。その一方で、燃料電池は、
燃料の酸化反応によって発電するため、燃料を消費した
後は十分な発電を行うことができない短所がある。ま
た、反応が進み、発電が開始されるまでに時間遅れが生
じるという短所もある。これに対し、二次電池は、電力
を消費した後でも、充電によって電力状態を回復するこ
とができる可逆的なエネルギ源であり、速やかに電力を
供給することができるという特性を有している。
【0012】上記ハイブリッド車両は、このように特性
の異なる2種類の電源を搭載し、制御手段によって両者
を適宜使い分けることによって、それぞれの電源の特性
を活かした運転を実現することができる。燃料電池のみ
を電源として搭載したハイブリッド車両では、燃料電池
用の燃料を消費した後は電動機を動力源として使用する
ことができないという制約が生じる。これに対し、本発
明のハイブリッド車両では、2種類の電源を搭載し、両
者を使い分けることによって、電源に起因する制約を抑
えて柔軟に電動機を駆動することが可能となる。従っ
て、上記ハイブリッド車両によれば、電動機と熱機関と
いう2種類の動力源の特性をそれぞれ活かした運転を実
現することができる。さらに、二次電池を搭載している
ため、回生制動により車両の運動エネルギを電力として
回収することも可能である。これらの作用により、本発
明のハイブリッド車両は、燃料電池としての特性、およ
びハイブリッド車両としての特性を活かし、燃費および
環境性に優れた運転を実現することができる。なお、熱
機関とは、内燃機関および外燃機関など熱を利用して動
力を出力する種々の機関を含む。本明細書にいう動力と
は、ハイブリッド車両の走行に直接利用される動力に限
らないことはいうまでもない。例えば、発電のみに利用
する態様で熱機関から動力を出力する場合も含まれる。
【0013】本発明のハイブリッド車両において、前記
電源および動力源の使い分けについては、車両の運転状
態に応じて以下に示す種々の設定が可能である。例え
ば、本発明のハイブリッド車両において、前記二次電池
の残容量を検出する残容量検出手段を備え、前記制御手
段は、前記運転状態が前記電動機を動力源とするよう予
め設定された状態にある場合において、前記残容量が予
め設定された所定値以上の場合に、前記二次電池を電源
として該電動機を駆動する手段であるものとすることが
できる。
【0014】かかるハイブリッド車両によれば、二次電
池の残容量が所定値以上の高い状態にある場合には、二
次電池を電源として電動機を駆動する。先に説明した通
り、二次電池は充電することにより残容量を回復するこ
とができる。また、回生制動によって車両の運動エネル
ギを回収するためには、二次電池の満充電に対して余裕
のある充電状態までに留めることが好ましい。残容量が
十分残っている場合に、二次電池を積極的に利用するこ
とにより、二次電池についての上述の特性を活用するこ
とができる。
【0015】上記ハイブリッド車両において、二次電池
の残容量が所定値よりも小さい場合には、熱機関を動力
源として使用するものとしてもよいが、かかる場合に
は、さらに、前記残容量が前記所定値よりも小さい場合
には、前記燃料電池を電源として前記電動機を駆動する
手段であるものとすることも好ましい。
【0016】このように制御することにより、二次電池
の残容量が低い場合でも、電動機を駆動することができ
る。その分、電動機を広い範囲で活用することができ
る。電動機は熱機関よりも環境性に優れる動力源であ
る。また、燃料電池も環境性に優れる電源である。従っ
て、上記ハイブリッド車両のように、二次電池の残容量
が比較的少ない場合に燃料電池を活用すれば、燃料電池
用の燃料の消費を抑えつつ、環境性に優れた運転を実現
することができる。これらの制御は、電源について二次
電池を燃料電池よりも優先的に使用する制御とほぼ同義
である。
【0017】以上で説明した電源の使い分けの基準とな
る所定値は、燃料電池の発電能力、燃料電池用の燃料の
搭載量、二次電池の充電容量などに基づいて、車両を円
滑かつ効率よく運転可能な範囲で適宜設定することがで
きる。例えば、所定値については、次の設定を行うもの
としてもよい。即ち、前記制御手段が、さらに、前記燃
料電池を電源とする場合において、該燃料電池から前記
電動機の駆動に必要な電力の十分な供給が行われるまで
の過渡期では、不足分の電力を前記二次電池からの電力
で補償する手段である場合には、前記所定値は、前記補
償を実現可能な電力に基づいて設定された残容量である
ものとすることができる。
【0018】燃料電池は、発電を開始してから、実際に
所望の電力が得られるまでに時間遅れが生じるのが通常
である。上述の制御によれば、燃料電池から所望の電力
が得られるまでの過渡期においては、二次電池により電
力の不足を補償することができる。上述の所定値の設定
によれば、かかる補償を実現可能な電力量を二次電池に
残した状態で燃料電池への電源の切り替えが行われる。
従って、上記電力の補償を確実に行うことができ、電力
の極端な変動を伴うことなく、円滑に電源を切り替える
ことができる。
【0019】本発明のハイブリッド車両において、動力
源の使い分けも種々の設定が可能である。例えば、高ト
ルクを要求する状態として予め設定された条件を具備す
るか否かを判定する高トルク判定手段を備え、前記制御
手段は、高トルクを要求する状態に該当すると判定され
た場合に、前記熱機関と前記電動機の双方を動力源とし
て駆動する手段であるものとすることができる。こうす
れば、双方の動力源を併用して、非常に高いトルクを出
力することができる。
【0020】ここで、高トルクを要求する状態に対応し
た条件も種々の設定が可能である。例えば、車両がアク
セル開度を検出するアクセル開度検出手段を備える場合
には、前記条件は、アクセル開度の変化率が予め設定さ
れた所定値以上となる条件であるものとすることができ
る。急加速を行うために、運転者がアクセルを急激に踏
み込むことにより、高トルクが要求されたものと判定さ
れることになる。
【0021】また、別の条件として、要求トルクを入力
する要求トルク入力手段を備え、前記条件は、要求トル
クが予め設定された所定値以上となる条件であるものと
することもできる。
【0022】要求トルクは直接入力するものとしてもよ
いし、例えば、アクセル開度と車速とに基づいて設定す
るものとしてもよい。かかる条件では、例えば、登坂路
などでアクセルの踏み込み量の絶対値が大きくなること
により、高トルクが要求されたものと判定されることに
なる。
【0023】さらに、別の条件として、高トルクを要求
する運転モードを、該車両の運転者が選択するためのス
イッチを備え、前記高トルク判定手段は、該スイッチの
操作状態に基づいて前記判定を行う手段であるものとす
ることができる。こうすれば、運転者の操作に応じて高
トルクを出力することが可能となり、ハイブリッド車両
の利便性が向上する。
【0024】スイッチとしては、上記運転モードの選択
に固有のスイッチとすることもできるし、その他の機能
を兼用するスイッチとすることもできる。例えば、熱機
関および電動機からの動力を、自動変速機を介して出力
するよう構成されている場合を考える。自動変速機は車
速等に応じて所定のマップに従ってギヤ比を変更する。
かかる構成の車両においては、自動変速機の変速モード
を変更するスイッチを上述の運転モードを選択するため
のスイッチとして兼用することができる。例えば、車速
に対し、通常よりもギヤ比の大きい変速段を使用する変
速モードが設定されている場合には、スイッチの操作に
よって該モードが選択された場合に、高トルクが要求さ
れているものと判定することができる。また、自動変速
を解除し、手動での変速モードが選択された場合に、高
トルクが要求されているものと判定することもできる。
【0025】高トルクが要求された場合において電動機
を駆動するための電源の使い分けについても種々の設定
が可能であるが、前記二次電池の残容量を検出する残容
量検出手段を備え、前記制御手段は、前記残容量が予め
設定された所定値以上の場合に、前記二次電池を電源と
して該電動機を駆動する手段であるものとすることが望
ましい。また、かかる場合においては、さらに、前記残
容量が前記所定値よりも小さい場合には、前記燃料電池
を電源として前記電動機を駆動する手段であるものとす
ることが望ましい。
【0026】即ち、二次電池を燃料電池よりも優先して
使用することが望ましい。こうすることにより、先に説
明した通り、燃料電池と二次電池のそれぞれの特性を活
かした電源の使い分けが可能となる。なお、上記所定値
についても、先に説明したのと同様、二次電池の容量な
どに応じて適切な値を設定することができる。
【0027】本発明のハイブリッド車両においては、前
記燃料電池および二次電池とを電源として駆動する第2
の電動機と、前記燃料電池および二次電池から該第2の
電動機に供給される電力をそれぞれ調整可能な調整手段
と、前記熱機関および前記第2の電動機に結合された補
機とを備え、前記制御手段は、さらに、前記熱機関の運
転が停止している場合に、前記第2の電動機を駆動する
手段であるものとすることもできる。
【0028】ここで、補機とは、エアコン、パワーステ
アリングなど、走行のための動力の出力に直接関与はし
ないが、車両の運転中に駆動する必要がある種々の機器
をいう。補機は、走行に用いられる動力源の種類に関わ
らず駆動する必要があるのが通常である。上記ハイブリ
ッド車両によれば、補機を駆動可能な動力源として、熱
機関の他、第2の電動機を搭載する。従って、熱機関が
停止している場合でも、第2の電動機により補機を駆動
することができ、ハイブリッド車両を円滑に運転するこ
とができる。
【0029】補機を駆動するために第2の電動機に供給
する電源の使い分けも種々の設定が可能であるが、前記
二次電池の残容量を検出する残容量検出手段を備え、前
記制御手段は、前記残容量が予め設定された所定値以上
の場合に、前記二次電池を電源として前記第2の電動機
を駆動する手段とすることが望ましい。また、かかる場
合には、さらに、前記残容量が前記所定値よりも小さい
場合には、前記燃料電池を電源として前記第2の電動機
を駆動する手段とすることが望ましい。
【0030】即ち、二次電池を燃料電池よりも優先して
使用することが望ましい。こうすることにより、先に説
明した通り、燃料電池と二次電池のそれぞれの特性を活
かした電源の使い分けが可能となる。なお、上記所定値
についても、先に説明したのと同様、二次電池の容量な
どに応じて適切な値を設定することができる。
【0031】本発明のハイブリッド車両においては、電
動機と熱機関の動力を共通の駆動軸に出力するものとし
て構成することもできるし、それぞれ異なる駆動軸に結
合して構成することもできる。電動機と熱機関とを異な
る駆動軸に結合すれば、いわゆる四輪駆動車両を構成す
ることができる。なお、かかる場合において、熱機関を
結合した駆動軸にさらに電動機を結合しても構わないこ
とはいうまでもない。
【0032】四輪駆動可能な構成において、電動機を駆
動するための電源の使い分けも種々の設定が可能である
が、前記二次電池の残容量を検出する残容量検出手段を
備え、前記制御手段は、前記残容量が予め設定された所
定値以上の場合に、前記二次電池を電源として前記電動
機を駆動する手段であるものとすることが望ましい。ま
た、かかる場合においては、さらに、前記残容量が前記
所定値よりも小さい場合には、前記燃料電池を電源とし
て前記電動機を駆動する手段であるものとすることが望
ましい。
【0033】即ち、二次電池を燃料電池よりも優先して
使用することが望ましい。こうすることにより、先に説
明した通り、燃料電池と二次電池のそれぞれの特性を活
かした電源の使い分けが可能となる。なお、上記所定値
についても、先に説明したのと同様、二次電池の容量な
どに応じて適切な値を設定することができる。
【0034】以上で説明した種々の制御により、燃料電
池と二次電池との適切な使い分けを行うことができる。
例えば、燃料電池は、二次電池の残容量が比較的低い場
合に運転される。ここで、燃料電池は、運転を開始して
から、所望の電力が出力されるまでに時間遅れが生じる
のが通常である。従って、本発明のハイブリッド車両に
おいては、かかる時間遅れを補償可能な手段を備えてお
くことが望ましい。
【0035】かかる補償手段としては、先に説明したよ
うに、燃料電池から十分な電力が出力されていない間
は、二次電池によって電力の不足を補うものとすること
も可能である。また、前記燃料電池から前記電動機への
電力の供給が要求されていない場合においても、該燃料
電池を作動させ、予め設定された所定の電力を出力させ
る制御を行う手段とすることも可能である。
【0036】もっともかかる制御を実行した場合には、
燃料電池用の燃料の浪費につながる可能性がある。そこ
で、上記ハイブリッド車両においては、前記動力源が出
力すべき動力を増大すべき可能性が低い状態として予め
設定された所定の条件を具備するか否かを判断する動力
予測判断手段を備え、前記制御手段は、前記所定の条件
を具備すると判定された場合には、前記所定の電力を抑
制する制御を行う手段であるものとすることが望まし
い。
【0037】燃料電池での時間遅れが影響を与えるの
は、燃料電池からの電力で電動機を駆動する必要が生じ
る場合である。ハイブリッド車両が停車している場合や
制動している場合など、動力を出力して駆動している状
態に該当しない走行状態にある場合には、電動機を速や
かに駆動する必要が生じる可能性は比較的低い。即ち、
燃料電池への発電要求が生じる可能性は比較的低い。上
記ハイブリッド車両によれば、燃料電池への発電要求が
生じる可能性が低いと判断される場合には、燃料電池か
ら出力される電力を抑制する。従って、燃料電池用の燃
料が浪費されるのを抑制することができる。電力の抑制
の一態様として、燃料電池の運転を完全に停止するもの
としても構わない。
【0038】発電要求が生じる可能性が低いと判断され
る条件は、種々の設定が可能である。例えば、前記動力
源の動力を車両の運転状態に応じて変速して駆動軸に出
力する変速機と、該変速機の作動状態を操作する操作手
段とを備える場合には、前記所定の条件は、該操作手段
により前記変速機の作動状態が非駆動状態に設定されて
いる条件であるものとすることができる。非駆動状態と
は、動力の伝達を行わないニュートラル状態にある場合
や、停車時に使用される状態にある場合が該当する。
【0039】また、別の条件として、前記車両が制動中
であるか否かを判定する制動判定手段を備え、前記所定
の条件は、前記車両の制動が行われている条件であるも
のとすることもできる。制動の判定は、車速の変化率に
基づいて行うものとしてもよいし、ブレーキペダルの踏
み込みの有無、アクセルが全閉状態にあるか否かなどの
操作状況に応じて判断するものとしてもよい。
【0040】さらに、別の条件として、該車両が走行す
る経路が渋滞しているか否かに関する情報を取得する情
報取得手段を備え、前記所定の条件は、前記経路が渋滞
している条件であるものとしてもよい。その他、種々の
条件を設定することができる。
【0041】本発明は、以上で説明した通り、燃料電池
および二次電池という2種類の電源と、電動機および熱
機関という2種類の動力源とを適切に使い分けるハイブ
リッド車両として構成することが望ましいが、必ずしも
かかる構成にのみ限定されるものではない。つまり、燃
料電池のみを電源としつつ、動力源を適切に制御するハ
イブリッド車両として構成することも可能である。即
ち、電動機と熱機関とを駆動軸に動力を出力するための
動力源として備えるハイブリッド車両であって、少なく
とも前記熱機関から出力される動力を前記駆動軸に伝達
する際の変速比を変更可能な変速機と、前記電動機に電
力を供給する燃料電池とを備え、車両の運転状態に応じ
て、前記燃料電池、動力源、および変速機の作動を制御
する制御手段を備えるハイブリッド車両とすることもで
きる。
【0042】かかるハイブリッド車両は、電源は1種類
であるが、2種類の動力源を備える。しかも、動力源か
ら出力される動力を伝達する際の変速比を変速可能な変
速機を備える。かかる構成において、変速機を制御しつ
つ、電動機と熱機関とを使い分けることにより、両者の
特性を活かした制御を実現することができる。ここで適
用される制御は、2種類の電源を備えるハイブリッド車
両において説明した種々の制御のうち、動力源の使い分
けや燃料電池の運転状態の制御に関与する内容を適用可
能であるが、特に、次の態様からなる制御を適用するこ
とが望ましい。
【0043】第1の制御態様として、高トルクを要求す
る状態として予め設定された条件を具備するか否かを判
定する高トルク判定手段を備え、前記制御手段は、高ト
ルクを要求する状態に該当すると判定された場合に、前
記熱機関と前記電動機の双方を動力源として駆動する手
段であるものとすることができる。
【0044】第2の制御態様として、高トルクを要求す
る運転モードを、該車両の運転者が選択するためのスイ
ッチを備える場合には、前記制御手段は、該スイッチが
所定の操作状態にある場合に、前記熱機関と前記電動機
の双方を動力源として駆動する手段であるものとするこ
とができる。
【0045】第3の制御態様として、前記制御手段は、
前記燃料電池から前記電動機への電力の供給が要求され
ていない場合においても、該燃料電池を作動させ、予め
設定された所定の電力を出力させる制御を行う手段であ
るものとすることができる。
【0046】第3の制御態様においては、前記動力源が
出力すべき動力を増大すべき可能性が低い状態として予
め設定された所定の条件を具備するか否かを判断する動
力予測判断手段を備え、前記制御手段は、前記所定の条
件を具備すると判定された場合には、前記所定の電力を
抑制する制御を行う手段であるものとすることが望まし
い。
【0047】この場合において、所定の条件は種々の設
定が可能であり、前記変速機の作動状態を操作する操作
手段とを備える場合には、前記所定の条件は、該操作手
段により前記変速機の作動状態が非駆動状態に設定され
ている条件であるものとすることができる。
【0048】また、前記車両が制動中であるか否かを判
定する制動判定手段を備え、前記所定の条件は、前記車
両の制動が行われている条件であるものとすることもで
きる。
【0049】さらに、該車両が走行する経路が渋滞して
いるか否かに関する情報を取得する情報取得手段を備
え、前記所定の条件は、前記経路が渋滞している条件で
あるものとすることもできる。
【0050】以上で説明した種々の態様の制御を適用す
れば、2種類の電源を備えるハイブリッド車両について
説明したのと同様、動力源の適切な使い分け、燃料電池
の運転状態の適切な制御をすることができる。
【0051】本発明を、燃料電池および二次電池という
2種類の電源と、電動機および熱機関という2種類の動
力源とを備えるハイブリッド車両として構成する場合に
は、以下に示す通り、電力を発生するための動力源とし
て熱機関を活用する態様も採ることができる。即ち、前
記電動機の電源として、さらに前記熱機関から出力され
る動力を電力に変換する発電機を備え、前記制御手段
は、該ハイブリッド車両の運転状態が、前記燃料電池の
発電を開始すべき状態にあるか否かを判定する運転状態
判定手段と、該燃料電池を使用すべき状態にあると判定
された場合において、該燃料電池が発電可能になるまで
の期間に、燃料電池を除く電源により該燃料電池からの
電力を補償して、要求された電力を出力する電力補償手
段とを備え、該電力補償手段は、前記燃料電池が発電可
能になるまでの期間に補償すべき電力量を推定する電力
量推定手段と、前記二次電池の残容量を検出する残容量
検出手段と、前記推定された電力量が前記二次電池から
出力可能か否かを該残容量に基づいて判定する二次電池
電力量判定手段と、前記推定された電力量を前記二次電
池から出力不能と判断された場合には、前記熱機関を運
転して前記発電機による発電を行う熱機関制御手段とを
備えるハイブリッド車両とすることができる。
【0052】先に説明した通り、燃料電池は、発電要求
が出されてから実際に十分な電力を供給可能になるまで
の応答遅れが生じることがあるが、上記構成によれば、
二次電池と熱機関に結合された発電機とを使い分けて要
求電力を安定して出力することができる。この場合にお
いて、二次電池の電力を発電機よりも優先的に使用す
る、即ち、二次電池の電力が不足する場合にのみ熱機関
を運転するように制御することにより、上記ハイブリッ
ド車両は、燃費および環境性を向上することができる。
【0053】このように熱機関の動力を電力の発電に利
用するハイブリッド車両においては、その動力をさらに
走行にも利用可能な態様を採ることもできるが、前記熱
機関は、前記発電機を駆動する動力のみを出力する態様
を採ることが望ましい。かかる態様では、熱機関は、燃
料電池が発電可能な状態になるまでの補助的な動力源と
して位置づけられるため、非常に小型の機関で足りる。
従って、動力系統全体の小型化を図ることができるとと
もに、燃費および環境性を向上することもできる。
【0054】燃料電池による発電の遅れを、常に二次電
池および発電機で補償する制御を行うものとしてもよい
が、前記燃料電池の温度状態を検出する温度状態検出手
段と、該燃料電池の温度が所定以下の冷間時であると判
断される場合に、前記電力補償手段を有効に機能せしめ
る冷間時制御手段とを備えるものとしてもよい。燃料電
池の応答遅れは冷間時に特に顕著であるから、かかる遅
れによる影響を回避することができる。この場合、燃料
電池が冷間時でなければ応答遅れを十分に補償できる電
力が二次電池に残されている状態で、燃料電池の発電要
求を出す制御を併せて実行することが望ましい。こうす
れば、通常は二次電池で応答遅れを補償し、冷間時は二
次電池と発電機とを利用して応答遅れを補償することが
可能となる。仮に、冷間時まで含めて二次電池で補償可
能な状態で燃料電池の発電要求を出す制御を行うものと
すれば、発電要求を出す判断基準となる二次電池の残容
量が非常に高くなり二次電池の有効活用が図れないが、
燃料電池の運転開始までに特に時間を要する冷間時には
発電機も使用するものとすれば、判断基準となる残容量
を低減させることができるため、二次電池をより有効に
活用することができる。
【0055】燃料電池の応答遅れを熱機関の動力で発電
して補償する場合、熱機関は、前記二次電池で不足する
電力量を少なくとも補償可能な範囲で運転すれば足りる
が、更に運転効率を優先して設定された運転状態で該熱
機関を運転する制御を行うことが、燃費および環境性の
向上という観点から好ましい。このように運転効率を優
先して運転状態を設定すれば、二次電池で不足する電力
量を補償する範囲を超える動力が出力される場合もあ
る。かかる場合には、余剰の電力を二次電池に充電すれ
ばよい。また、二次電池への充電を併せて行った結果、
二次電池の残容量が燃料電池の応答遅れを補償可能な程
度に増加した場合には、その時点で熱機関の運転を停止
する制御を併せて行うことも好適である。
【0056】本発明は、次の構成を採ることも可能であ
る。駆動軸に動力を出力する動力源としての熱機関と、
該熱機関から駆動軸に出力されるトルクの変動を相殺可
能な部位にトルクを付与する電動機とを備える車両であ
って、前記電動機と電力をやりとりする電力系統とし
て、電力を充電する蓄電手段と、発電手段とを備え、前
記熱機関のトルク変動を相殺するトルクを前記電動機の
目標トルクとして設定する目標トルク設定手段と、該目
標トルクの符号に応じて前記蓄電手段と発電手段とを使
い分けて、該電動機を前記目標トルクで運転する制御手
段とを備える車両としての構成である。
【0057】かかる車両によれば、以下に示す作用に基
づき、トルク変動を抑制する制御を行う際のエネルギ効
率を向上することができる。熱機関から出力されるトル
クの変動は、電動機のトルクを制御することにより抑制
することができる。要求トルクよりも実際に熱機関から
出力されている実トルクが大きい場合には、電動機で負
のトルクを与えることによりトルク変動を相殺すること
ができる。要求トルクよりも実トルクが小さい場合に
は、電動機で正のトルクを与えることによりトルク変動
を相殺することができる。この制御において、上記構成
の車両では、電動機の目標トルクの正負に応じて電源系
統の使い分けを行う。目標トルクが負の場合には、電動
機で回生された電力を蓄電手段に蓄え、目標トルクが正
の場合には、発電手段から電力を供給して電動機を力行
する。目標トルクが正の場合には、蓄電手段から電動機
への電力の供給は行わない。電動機の力行時には、発電
手段から電力を供給するため、この期間のエネルギ効率
を向上することができる。例えば蓄電手段から電力を供
給するものとすれば、その電力は、主として熱機関が過
去に出力した余剰の動力に基づくものであり、その動力
に対して蓄電手段への充電時に生じる損失および放電時
に生じる損失の双方が含まれている。これに対し、発電
手段から電力を供給する場合には、蓄電手段への充放電
を経ないため、電力を高い効率で供給することができる
のである。
【0058】本発明の有効性は、蓄電手段の充放電特性
にも影響を受ける。蓄電手段の充放電効率は、やりとり
される電力、蓄電状態に応じて非線形な特性を示す場合
がある。また、二次電池のように化学変化により電力を
充放電する蓄電手段においては、充放電の周期によって
効率が影響を受ける場合もある。熱機関のトルク変動
は、比較的高い周期で生じるため、蓄電手段の電力で、
トルク変動を相殺しようとすれば、効率が特に低い状態
での放電が頻繁に行われる可能性がある。本発明は、高
効率の発電手段を用いてトルク変動を相殺することによ
り、放電効率が低い状態で蓄電手段が放電を行うことを
回避することができる。この結果、蓄電手段の電力は、
放電効率が高い運転状態で利用することが可能となり、
トルク変動を抑制する制御時のみならず、車両の運転効
率全体を向上することができる。
【0059】蓄電手段には、一例として二次電池やキャ
パシタを用いることができる。発電手段には、一例とし
て、燃料電池や発電機を用いることができる。燃料電池
は運転効率の面で有用である。発電機は、熱機関により
駆動する態様で適用することができる。この場合、発電
機が熱機関に与える負荷は電動機に必要とされる電力に
関わらず一定となるよう制御されることが望ましい。
【0060】トルク変動を抑制する車両の構成として
は、上述の通り、トルク変動を相殺する電動機の目標ト
ルクの正負に応じて蓄電手段と発電手段とを切り替えて
使う構成の他、前記駆動軸にトルクを付加する第1およ
び第2の電動機と、前記駆動軸に出力すべきトルクを保
持する条件、前記トルク変動を相殺する条件、前記第1
の電動機のトルクが0以下となる条件、前記第2の電動
機のトルクが0以上となる条件を満足する範囲で、前記
第1および第2の電動機の目標トルクをそれぞれ設定す
る目標トルク設定手段と、第1の電動機と前記蓄電手段
との間でやりとりされる電力、第2の電動機と前記発電
手段との間でやりとりされる電力を制御して、それぞれ
の電動機を前記目標トルクで運転する制御手段とを備え
る構成を採ることもできる。つまり、トルク変動を相殺
するために付加されるべきトルクの値に応じて、電源の
みならず電動機をも使い分ける構成に相当する。かかる
構成によっても、電源を使い分ける構成と同様、高い効
率でトルク変動の抑制を行うことができる。
【0061】トルク変動を抑制する本発明の車両におい
ては、前記蓄電手段の蓄電状態を検出する蓄電状態検出
手段を備え、前記制御手段は、さらに前記蓄電手段の蓄
電状態に応じて前記蓄電手段と発電手段とを使い分けて
前記電動機の運転を行う手段とすることが望ましい。一
例として、該蓄電手段の蓄電量が所定以下の蓄電状態に
ある場合にのみ、前記符号に応じた使い分けを伴う制御
を実行する態様を採ることができる。こうすることによ
り、蓄電手段の過充電を回避することができる。
【0062】本発明は、以下に示すハイブリッド車両の
制御方法として構成することもできる。即ち、本発明の
制御方法は、動力源として、燃料電池と二次電池とを電
源とする電動機と、熱機関とを備えるハイブリッド車両
の運転を制御する制御方法であって、(a) 前記二次
電池の残容量を検出する工程と、(b) 前記車両の運
転状態が前記電動機を動力源とするよう予め設定された
所定の状態にあるか否かを判定する工程と、(c) 前
記所定の状態にあると判定された場合において、前記残
容量が予め設定された所定値以上の場合に、前記二次電
池を電源として該電動機を駆動する工程とを備える制御
方法である。
【0063】かかる制御方法においては、さらに、
(d) 前記所定の状態にあると判定された場合におい
て、前記残容量が前記所定値よりも小さい場合には、前
記燃料電池を電源として前記電動機を駆動する工程を備
えるものとしてもよい。
【0064】また、本発明は、燃料電池、二次電池、発
電機を備えた熱機関を電源として備えるハイブリッド車
両において、各電源の運転を制御する制御方法であっ
て、(A) 該ハイブリッド車両の運転状態が、前記燃
料電池の発電を開始すべき状態にあるか否かを判定する
工程と、(B) 該燃料電池を使用すべき状態にあると
判定された場合において、該燃料電池が発電可能になる
までの期間に、燃料電池を除く電源により該燃料電池か
らの電力を補償して、要求された電力を出力する工程と
を備え、前記工程(B)は、(B1) 前記燃料電池が
発電可能になるまでの期間に補償すべき電力量を推定す
る工程と、(B2) 前記二次電池の残容量を検出する
工程と、(B3) 前記推定された電力量が前記二次電
池から出力可能か否かを該残容量に基づいて判定する工
程と、(B4) 前記推定された電力量を前記二次電池
から出力不能と判断された場合には、前記熱機関を運転
して前記発電機による発電を行う工程とを備える制御方
法として構成することもできる。
【0065】また、駆動軸に動力を出力する動力源とし
ての熱機関と、該熱機関から駆動軸に出力されるトルク
の変動を相殺可能な部位にトルクを付与する電動機とを
備える車両の運転を制御する制御方法であって、前記熱
機関のトルク変動を検出する工程と、該トルク変動を相
殺するトルクを前記電動機の目標トルクとして設定する
工程と、該電動機を前記目標トルクで運転する際に、前
記電動機と電力をやりとりする電力系統として備えられ
た蓄電手段と、発電手段とを、該目標トルクの符号に応
じて使い分ける工程とを備える制御方法として構成して
もよい。
【0066】これらの制御方法によれば、先にハイブリ
ッド車両または車両について説明したのと同様の作用に
より、燃料電池の特性およびハイブリッド車両としての
特性の双方を十分に活用して、ハイブリッド車両を運転
することが可能となる。また、熱機関のトルク変動を効
率的に抑制することが可能となる。なお、制御方法とし
て構成する場合においても、先にハイブリッド車両等で
説明した種々の付加的要素を含めることができることは
言うまでもない。
【0067】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例に基
づいて以下の順序で説明する。 A.第1実施例: A1.装置の構成: A2.一般的動作: A3.EV走行制御処理: A4.補機駆動制御処理: A5.パワーアシスト制御処理: A6.停車・減速制御処理: A7.第1変形例: A8.第2変形例: B.第2実施例: C.第3実施例: C1.装置の構成: C2.EV走行制御処理ルーチン: C3.燃料電池起動処理ルーチン: D.その他の変形例: E.第4実施例: E1.制振制御処理ルーチン: E2.第1変形例:
【0068】A.第1実施例: A1.装置の構成:図1は実施例としてのハイブリッド
車両の概略構成図である。本実施例のハイブリッド車両
の動力源は、エンジン10とモータ20である。図示す
る通り、本実施例のハイブリッド車両の動力系統は、上
流側からエンジン10、入力クラッチ18、モータ2
0、トルクコンバータ30、および変速機100を直列
に結合した構成を有している。即ち、エンジン10のク
ランクシャフト12は、入力クラッチ18を介してモー
タ20に結合されている。入力クラッチ18をオン・オ
フすることにより、エンジン10からの動力の伝達を断
続することができる。モータ20の回転軸13は、ま
た、トルクコンバータ30にも結合されている。トルク
コンバータの出力軸14は変速機100に結合されてい
る。変速機100の出力軸15はディファレンシャルギ
ヤ16を介して車軸17に結合されている。以下、それ
ぞれの構成要素について順に説明する。
【0069】エンジン10は通常のガソリンエンジンで
ある。但し、エンジン10は、ガソリンと空気の混合気
をシリンダに吸い込むための吸気バルブ、および燃焼後
の排気をシリンダから排出するための排気バルブの開閉
タイミングを、ピストンの上下運動に対して相対的に調
整可能な機構を有している(以下、この機構をVVT機
構と呼ぶ)。VVT機構の構成については、周知である
ため、ここでは詳細な説明を省略する。エンジン10
は、ピストンの上下運動に対して各バルブが遅れて閉じ
るように開閉タイミングを調整することにより、いわゆ
るポンピングロスを低減することができる。この結果、
エンジン10をモータリングする際にモータ20から出
力すべきトルクを低減させることもできる。ガソリンを
燃焼して動力を出力する際には、VVT機構は、エンジ
ン10の回転数に応じて最も燃焼効率の良いタイミング
で各バルブが開閉するように制御される。
【0070】モータ20は、三相の同期モータであり、
外周面に複数個の永久磁石を有するロータ22と、回転
磁界を形成するための三相コイルが巻回されたステータ
24とを備える。モータ20はロータ22に備えられた
永久磁石による磁界とステータ24の三相コイルによっ
て形成される磁界との相互作用により回転駆動する。ま
た、ロータ22が外力によって回転させられる場合に
は、これらの磁界の相互作用により三相コイルの両端に
起電力を生じさせる。なお、モータ20には、ロータ2
2とステータ24との間の磁束密度が円周方向に正弦分
布する正弦波着磁モータを適用することも可能である
が、本実施例では、比較的大きなトルクを出力可能な非
正弦波着磁モータを適用した。
【0071】モータ20の電源としては、バッテリ50
と燃料電池システム60とが備えられている。モータ2
0と各電源との間には、電源の使い分けをするための切
替スイッチ84が設けられている。ここでは模式的にモ
ータ20をバッテリ50および燃料電池システム60に
選択的に接続可能なスイッチ84を示したが、切替スイ
ッチ84はモータ20をバッテリ50および燃料電池6
0の双方に接続可能な構成のスイッチを用いることが望
ましい。
【0072】ステータ24は切替スイッチ84および駆
動回路51を介してバッテリ50に電気的に接続され
る。また、切替スイッチ84および駆動回路52を介し
て燃料電池システム60に接続される。駆動回路51,
52は、それぞれトランジスタインバータで構成されて
おり、モータ20の三相それぞれに対して、ソース側と
シンク側の2つを一組としてトランジスタが複数備えら
れている。これらの駆動回路51,52は、制御ユニッ
ト70と電気的に接続されている。制御ユニット70が
駆動回路51,52の各トランジスタのオン・オフの時
間をPWM制御するとバッテリ50および燃料電池シス
テム60を電源とする擬似三相交流がステータ24の三
相コイルに流れ、回転磁界が形成される。モータ20
は、かかる回転磁界の作用によって、先に説明した通り
電動機または発電機として機能する。
【0073】図2は燃料電池システムの概略構成を示す
説明図である。燃料電池システム60は、メタノールを
貯蔵するメタノールタンク61、水を貯蔵する水タンク
62、燃焼ガスを発生するバーナ63、空気の圧縮を行
なう圧縮機64、バーナ63と圧縮機64とを併設した
蒸発器65、改質反応により燃料ガスを生成する改質器
66、燃料ガス中の一酸化炭素(CO)濃度を低減する
CO低減部67、電気化学反応により起電力を得る燃料
電池60Aを主な構成要素とする。これらの各部の動作
は、制御ユニット70により制御される。
【0074】燃料電池60Aは、固体高分子電解質型の
燃料電池であり、電解質膜、カソード、アノード、およ
びセパレータとから構成されるセルを複数積層して構成
されている。電解質膜は、例えばフッ素系樹脂などの固
体高分子材料で形成されたプロトン伝導性のイオン交換
膜である。カソードおよびアノードは、共に炭素繊維を
織成したカーボンクロスにより形成されている。セパレ
ータは、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カ
ーボンなどガス不透過の導電性部材により形成されてい
る。カソードおよびアノードとの間に燃料ガスおよび酸
化ガスの流路を形成する。
【0075】燃料電池システム60の各構成要素は次の
通り接続されている。メタノールタンク61は配管で蒸
発器65に接続されている。配管の途中に設けられたポ
ンプP2は、流量を調整しつつ、原燃料であるメタノー
ルを蒸発器65に供給する。水タンク62も同様に配管
で蒸発器65に接続されている。配管の途中に設けられ
たポンプP3は、流量を調整しつつ、水を蒸発器65に
供給する。メタノールの配管と、水の配管とは、それぞ
れポンプP2,P3の下流側で一つの配管に合流し、蒸
発器65に接続される。
【0076】蒸発器65は、供給されたメタノールと水
とを気化させる。蒸発器65には、バーナ63と圧縮機
64とが併設されている。蒸発器65は、バーナ63か
ら供給される燃焼ガスによってメタノールと水とを沸
騰、気化させる。バーナ63の燃料は、メタノールであ
る。メタノールタンク61は、蒸発器65に加えてバー
ナ63にも配管で接続されている。メタノールは、この
配管の途中に設けられたポンプP1により、バーナ63
に供給される。バーナ63には、また、燃料電池60A
での電気化学反応で消費されずに残った燃料排ガスも供
給される。バーナ63は、メタノールと燃料排ガスのう
ち、後者を主として燃焼させる。バーナ63の燃焼温度
はセンサT1の出力に基づいて制御されており、約80
0℃から1000℃に保たれる。バーナ63の燃焼ガス
は、蒸発器65に移送される際にタービンを回転させ、
圧縮機64を駆動する。圧縮機64は、燃料電池システ
ム60の外部から空気を取り込んでこれを圧縮し、この
圧縮空気を燃料電池60Aの陽極側に供給する。
【0077】蒸発器65と改質器66とは配管で接続さ
れている。蒸発器65で得られた原燃料ガス、即ちメタ
ノールと水蒸気の混合ガスは、改質器66に搬送され
る。改質器66は、供給されたメタノールと水とからな
る原燃料ガスを改質して水素リッチな燃料ガスを生成す
る。なお、蒸発器65から改質器66への搬送配管の途
中には、温度センサT2が設けられており、この温度が
通常約250℃の所定値になるようにバーナ63に供給
するメタノール量が制御される。なお、改質器66にお
ける改質反応では酸素が関与する。この改質反応に必要
な酸素を供給するために、改質器66には外部から空気
を供給するためのブロワ68が併設されている。
【0078】改質器66とCO低減部67とは配管で接
続されている。改質器66で得られた水素リッチな燃料
ガスは、CO低減部67に供給される。改質器66での
反応課程において、通常は燃料ガスに一酸化炭素(C
O)が一定量含まれる。CO低減部67は、この燃料ガ
ス中の一酸化炭素濃度を低減させる。固体高分子型の燃
料電池では、燃料ガス中に含まれる一酸化炭素が、アノ
ードにおける反応を阻害して燃料電池の性能を低下させ
てしまうからである。CO低減部67は、燃料ガス中の
一酸化炭素を二酸化炭素へと酸化することにより、一酸
化炭素濃度を低減させる。
【0079】CO低減部67と燃料電池60Aのアノー
ドとは配管で接続されている。一酸化炭素濃度が下げら
れた燃料ガスは、燃料電池60Aの陰極側における電池
反応に供される。また、先に説明した通り、燃料電池6
0Aのカソード側には圧縮された空気を送り込むための
配管が接続されている。この空気は、酸化ガスとして燃
料電池60Aの陽極側における電池反応に供される。
【0080】以上の構成を有する燃料電池システム60
は、メタノールと水を用いた化学反応によって電力を供
給することができる。本実施例では、メタノールタンク
61,水タンク62内のメタノールおよび水の残量に応
じて、燃料電池の運転状態を制御する。かかる制御を実
現するため、それぞれのタンクには、容量センサ61
a、62aが設けられている。なお、本実施例では、メ
タノールおよび水を用いる燃料電池システム60を搭載
しているが、燃料電池システム60は、これに限定され
るものではなく、種々の構成を適用することができる。
なお、以下の説明では燃料電池システム60をまとめて
燃料電池60と称するものとする。
【0081】トルクコンバータ30は、流体を利用した
周知の動力伝達機構である。トルクコンバータ30の入
力軸、即ちモータ20の出力軸13と、トルクコンバー
タ30の出力軸14とは機械的に結合されてはおらず、
互いに滑りをもった状態で回転可能である。両者の末端
には、それぞれ複数のブレードを有するタービンが備え
られており、モータ20の出力軸13のタービンとトル
クコンバータ30の出力軸14のタービンとが互いに対
向する状態でトルクコンバータ内部に組み付けられてい
る。トルクコンバータ30は密閉構造をなしており、中
にはトランスミッション・オイルが封入されている。こ
のオイルが前述のタービンにそれぞれ作用することで、
一方の回転軸から他方の回転軸に動力を伝達することが
できる。しかも、両者はすべりをもった状態で回転可能
であるから、一方の回転軸から入力された動力を、回転
数およびトルクの異なる回転状態に変換して他方の回転
軸に伝達することができる。トルクコンバータ30に
は、両回転軸の滑りが生じないよう、所定の条件下で両
者を結合するロックアップクラッチも設けられている。
ロックアップクラッチのオン・オフは制御ユニット70
により制御される。
【0082】変速機100は、内部に複数のギヤ、クラ
ッチ、ワンウェイクラッチ、ブレーキ等を備え、変速比
を切り替えることによってトルクコンバータ30の出力
軸14のトルクおよび回転数を変換して出力軸15に伝
達可能な機構である。図3は変速機100の内部構造を
示す説明図である。本実施例の変速機100は、大きく
は副変速部110(図中の破線より左側の部分)と主変
速部120(図中の破線より右側の部分)とから構成さ
れており、図示する構造により前進5段、後進1段の変
速段を実現することができる。
【0083】変速機100の構成について回転軸14側
から順に説明する。図示する通り、回転軸14から入力
された動力は、オーバードライブ部として構成された副
変速部110によって所定の変速比で変速されて回転軸
119に伝達される。副変速部110は、シングルピニ
オン型の第1のプラネタリギヤ112を中心に、クラッ
チC0と、ワンウェイクラッチF0と、ブレーキB0に
より構成される。第1のプラネタリギヤ112は、遊星
歯車とも呼ばれるギヤであり、中心で回転するサンギヤ
114、サンギヤの周りで自転しながら公転するプラネ
タリピニオンギヤ115、更にプラネタリピニオンギヤ
の外周で回転するリングギヤ118の3種類のギヤから
構成されている。プラネタリピニオンギヤ115は、プ
ラネタリキャリア116と呼ばれる回転部に軸支されて
いる。
【0084】一般にプラネタリギヤは、上述の3つのギ
ヤのうち2つのギヤの回転状態が決定されると残余の一
つのギヤの回転状態が決定される性質を有している。プ
ラネタリギヤの各ギヤの回転状態は、機構学上周知の計
算式(1)によって与えられる。 Ns=(1+ρ)/ρ×Nc−Nr/ρ; Nc=ρ/(1+ρ)×Ns+Nr/(1+ρ); Nr=(1+ρ)Nc−ρNs; Ts=Tc×ρ/(1+ρ)=ρTr; Tr=Tc/(1+ρ); ρ=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数 ・・・(1);
【0085】ここで、Nsはサンギヤの回転数;Tsは
サンギヤのトルク;Ncはプラネタリキャリアの回転
数;Tcはプラネタリキャリアのトルク;Nrはリング
ギヤの回転数;Trはリングギヤのトルク;である。
【0086】副変速部110では、変速機100の入力
軸に相当する回転軸14がプラネタリキャリア116に
結合されている。またこのプラネタリキャリア116と
サンギヤ114との間にワンウェイクラッチF0とクラ
ッチC0とが並列に配置されている。ワンウェイクラッ
チF0はサンギヤ114がプラネタリキャリア116に
対して相対的に正回転、即ち変速機への入力軸14と同
方向に回転する場合に係合する方向に設けられている。
サンギヤ114には、その回転を制止可能な多板ブレー
キB0が設けられている。副変速部110の出力に相当
するリングギヤ118は回転軸119に結合されてい
る。回転軸119は、主変速部120の入力軸に相当す
る。
【0087】かかる構成を有する副変速部110は、ク
ラッチC0又はワンウェイクラッチF0が係合した状態
ではプラネタリキャリア116とサンギヤ114とが一
体的に回転する。先に示した式(1)に照らせば、サン
ギヤ114とプラネタリキャリア116の回転数が等し
い場合には、リングギヤ118の回転数もこれらと等し
くなるからである。このとき、回転軸119は入力軸1
4と同じ回転数となる。またブレーキB0を係合させて
サンギヤ114の回転を止めた場合、先に示した式
(1)においてサンギヤ114の回転数Nsに値0を代
入すれば明らかな通り、リングギヤ118の回転数Nr
はプラネタリキャリア116の回転数Ncよりも高くな
る。即ち、回転軸14の回転は増速されて回転軸119
に伝達される。このように副変速部110は、回転軸1
4から入力された動力を、そのままの状態で回転軸11
9に伝える役割と、増速して伝える役割とを選択的に果
たすことができる。
【0088】次に、主変速部120の構成を説明する。
主変速部120は三組のプラネタリギヤ130,14
0,150を備えている。また、クラッチC1,C2、
ワンウェイクラッチF1,F2およびブレーキB1〜B
4を備えている。各プラネタリギヤは、副変速部110
に備えられた第1のプラネタリギヤ112と同様、サン
ギヤ、プラネタリキャリアおよびプラネタリピニオンギ
ヤ、並びにリングギヤから構成されている。三組のプラ
ネタリギヤ130,140,150は次の通り結合され
ている。
【0089】第2のプラネタリギヤ130のサンギヤ1
32と第3のプラネタリギヤ140のサンギヤ142と
は互いに一体的に結合されており、これらはクラッチC
2を介して入力軸119に結合可能となっている。これ
らのサンギヤ132,142が結合された回転軸には、
その回転を制止するためのブレーキB1が設けられてい
る。また、該回転軸が逆転する際に係合する方向にワン
ウェイクラッチF1が設けられている。さらにこのワン
ウェイクラッチF1の回転を制止するためのブレーキB
2が設けられている。
【0090】第2のプラネタリギヤ130のプラネタリ
キャリア134には、その回転を制止可能なブレーキB
3が設けられている。第2のプラネタリギヤ130のリ
ングギヤ136は、第3のプラネタリギヤ140のプラ
ネタリキャリア144および第4のプラネタリギヤ15
0のプラネタリキャリア154と一体的に結合されてい
る。更に、これら三者は変速機100の出力軸15に結
合されている。
【0091】第3のプラネタリギヤ140のリングギヤ
146は、第4のプラネタリギヤ150のサンギヤ15
2に結合されるとともに、回転軸122に結合されてい
る。回転軸122はクラッチC1を介して主変速部12
0の入力軸119に結合可能となっている。第4のプラ
ネタリギヤ150のリングギヤ156には、その回転を
制止するためのブレーキB4と、リングギヤ156が逆
転する際に係合する方向にワンウェイクラッチF2とが
設けられている。
【0092】変速機100に設けられた上述のクラッチ
C0〜C2およびブレーキB0〜B4は、それぞれ油圧
によって係合および解放する。図1中に示す通り、変速
機100には電動式の油圧ポンプ102から、これらの
クラッチおよびブレーキを作動させるための作動油が供
給されている。詳細な図示は省略したが、変速機100
には作動を可能とする油圧配管および油圧を制御するた
めのソレノイドバルブ等が設けられた油圧制御部104
により、油圧を制御することができる。本実施例のハイ
ブリッド車両では、制御ユニット70が油圧制御部10
4内のソレノイドバルブ等に制御信号を出力することに
よって、各クラッチおよびブレーキの作動を制御する。
【0093】本実施例の変速機100は、クラッチC0
〜C2およびブレーキB0〜B4の係合および解放の組
み合わせによって、前進5段・後進1段の変速段を設定す
ることができる。また、いわゆるパーキングおよびニュ
ートラルの状態も実現することができる。図4は各クラ
ッチ、ブレーキ、およびワンウェイクラッチの係合状態
と変速段との関係を示す説明図である。この図におい
て、○印はクラッチ等が係合した状態であることを意味
し、◎は動力源ブレーキ時に係合することを意味し、△
印は係合するものの動力伝達に閑係しないことを意味し
ている。動力源ブレーキとは、エンジン10およびモー
タ20による制動をいう。なお、ワンウェイクラッチF
0〜F2の係合状態は、制御ユニット70の制御信号に
基づくものではなく、各ギヤの回転方向に基づくもので
ある。
【0094】図4に示す通り、パーキング(P)および
ニュートラル(N)の場合には、クラッチC0およびワ
ンウェイクラッチF0が係合する。クラッチC2および
クラッチC1の双方が解放状態であるから、主変速部1
20の入力軸119から下流には動力の伝達がなされな
い。
【0095】第1速(1st)の場合には、クラッチC
0,C1およびワンウェイクラッチF0,F2が係合す
る。また、エンジンブレーキをかける場合には、さらに
ブレーキB4が係合する。この状態では、変速機100
の入力軸14は第4のプラネタリギヤ150のサンギヤ
152に直結された状態に等しくなり、動力は第4のプ
ラネタリギヤ150の変速比に応じた変速比で出力軸1
5に伝達される。リングギヤ156は、ワンウェイクラ
ッチF2の作用により逆転しないように拘束され、事実
上回転数は値0となる。
【0096】第2速(2nd)の場合には、クラッチC
1、ブレーキB3、ワンウェイクラッチF0が係合す
る。また、エンジンブレーキをかける場合には、さらに
クラッチC0が係合する。この状態では、変速機100
の入力軸14は第4のプラネタリギヤ150のサンギヤ
152および第3のプラネタリギヤ140のリングギヤ
146に直結された状態に等しい。一方、第2のプラネ
タリギヤ130のプラネタリキャリア134は固定され
た状態となる。第2のプラネタリギヤ130および第3
のプラネタリギヤ140について見れば、両者のサンギ
ヤ132、142の回転数は等しい。また、リングギヤ
136とプラネタリキャリア144の回転数は等しい。
これらの条件下で、先に説明した式(1)に照らせば、
プラネタリギヤ130、140の回転状態は一義的に決
定される。出力軸15の回転数Noutは第1速(1s
t)の回転数よりも高くなり、トルクToutは第1速
(1st)のトルクよりも低くなる。
【0097】第3速(3rd)の場合には、クラッチC
0,C1、ブレーキB2、ワンウェイクラッチF0,F
1が係合する。また、エンジンブレーキをかける場合に
は、さらにブレーキB1が係合する。この状態では、変
速機100の入力軸14は第4のプラネタリギヤ150
のサンギヤ152および第3のプラネタリギヤ140の
リングギヤ146に直結された状態に等しい。一方、第
2および第3のプラネタリギヤ130、140のサンギ
ヤ132、142はブレーキB2およびワンウェイクラ
ッチF1の作用により逆転が禁止された状態となり、事
実上回転数は値0となる。かかる条件下で、第2速(2
nd)の場合と同様、先に説明した式(1)に照らせ
ば、プラネタリギヤ130、140の回転状態は一義的
に決定され、出力軸15の回転数も一義的に決定され
る。出力軸15の回転数Noutは第2速(2nd)の
回転数よりも高くなり、トルクToutは第2速(2n
d)のトルクよりも低くなる。
【0098】第4速(4th)の場合には、クラッチC
0〜C2およびワンウェイクラッチF0が係合する。ブ
レーキB2も同時に係合するが、動力の伝達には無関係
である。この状態では、クラッチC1,C2が同時に係
合するため、入力軸14は第2のプラネタリギヤ130
のサンギヤ132、第3のプラネタリギヤ140のサン
ギヤ142およびリングギヤ146、第4のプラネタリ
ギヤ150のサンギヤ152に直結された状態となる。
この結果、第3のプラネタリギヤ140は入力軸14と
同じ回転数で一体的に回転する。従って、出力軸15も
入力軸14と同じ回転数で一体的に回転する。従って第
4速(4th)では、出力軸15は第3速(3rd)よ
りも高い回転数で回転する。出力軸15の回転数Nou
tは第3速(3rd)の回転数よりも高くなり、トルク
Toutは第3速(3rd)のトルクよりも低くなる。
【0099】第5速(5th)の場合には、クラッチC
1、C2、ブレーキB0が係合する。ブレーキB2も係
合するが、動力の伝達には無関係である。この状態で
は、クラッチC0が解放されるため、副変速部110で
回転数が増速される。つまり、変速機100の入力軸1
4の回転数は、増速されて主変速部120の入力軸11
9に伝達される。一方、クラッチC1,C2が同時に係
合するため、第4速(4th)の場合と同様、入力軸1
19と出力軸15とは同じ回転数で回転する。先に説明
した式(1)に照らせば、副変速部110の入力軸14
と出力軸119の回転数、トルクの関係を求めることが
でき、出力軸15の回転数、トルクを求めることができ
る。出力軸15の回転数Noutは第4速(4th)の
回転数よりも高くなり、トルクToutは第4速(4t
h)のトルクよりも低くなる。
【0100】リバース(R)の場合には、クラッチC
2、ブレーキB0、B4が係合する。このとき、入力軸
14の回転数は副変速部110で増速された上で、第2
のプラネタリギヤ130のサンギヤ132、第3のプラ
ネタリギヤ140のサンギヤ142に直結された状態と
なる。既に説明した通り、リングギヤ136、プラネタ
リキャリア144、154の回転数は等しくなる。リン
グギヤ146とサンギヤ152の回転数も等しくなる。
また、第4のプラネタリギヤ150のリングギヤ156
の回転数はブレーキB4の作用により値0となる。これ
らの条件下で先に説明した式(1)に照らせば、プラネ
タリギヤ130、140、150の回転状態は一義的に
決定される。このとき出力軸15は負の方向に回転し、
後進が可能となる。
【0101】以上で説明した通り、本実施例の変速機1
00は、前進5段、後進1段の変速を実現することがで
きる。入力軸14から入力された動力は、回転数および
トルクの異なる動力として出力軸15から出力される。
出力される動力は、第1速(1st)から第5速(5t
h)の順に回転数が上昇し、トルクが低減する。これは
入力軸14に負のトルク、即ち制動力が付加されている
場合も同様である。入力軸14にエンジン10およびモ
ータ20により、一定の制動力が付加された場合、第1
速(1st)から第5速(5th)の順に出力軸15に
付加される制動力は低減する。なお、変速機100とし
ては、本実施例で適用した構成の他、周知の種々の構成
を適用可能である。変速段が前進5速よりも少ないもの
および多いもののいずれも適用可能である。
【0102】変速機100の変速段は、制御ユニット7
0が車速等に応じて設定する。運転者は、車内に備えら
れたシフトレバーを手動で操作し、シフトポジションを
選択することによって、使用される変速段の範囲を変更
することが可能である。図5は本実施例のハイブリッド
車両におけるシフトポジションの操作部160を示す説
明図である。この操作部160は車内の運転席横のフロ
アに車両の前後方向に沿って備えられている。
【0103】図示する通り、操作部としてシフトレバー
162が備えられている。運転者はシフトレバー162
を前後方向にスライドすることにより種々のシフトポジ
ションを選択することができる。シフトポジションは、
前方からパーキング(P)、リバース(R)、ニュート
ラル(N)、ドライブポジション(D)、4ポジション
(4)、3ポジション(3)、2ポジション(2)およ
びローポジション(L)の順に配列されている。
【0104】パーキング(P)、リバース(R)、ニュ
ートラル(N)は、それぞれ図4で示した係合状態に対
応する。ドライブポジション(D)は、図4に示した第
1速(1st)から第5速(5th)までを使用して走
行するモードの選択を意味する。以下、4ポジション
(4)は第4速(4th)まで、3ポジション(3)は
第3速(3rd)まで、2ポジション(2)は第2速
(2nd)までおよびローポジション(L)は第1速
(1st)のみを使用して走行するモードの選択を意味
する。
【0105】操作部160には、この他、スポーツモー
ドスイッチ163が設けられている。スポーツモードス
イッチ163は、頻繁に加減速を行う場合などに運転者
により操作される。通常、変速機100の変速段は車速
とアクセル開度に応じて設定されたマップに従って切り
替えられる。スポーツモードスイッチ163がオンにな
っている場合は、全体に低速段側の変速段が使用される
ようにマップが変更される。
【0106】なお、シフトポジションの選択および目標
減速度の設定を行うための操作部は、本実施例で示した
構成(図5)以外にも種々の構成を適用することが可能
である。また、スポーツモードスイッチ163に代え
て、またはスポーツモードスイッチ163とともに運転
者が変速段をマニュアルで切り替えられるモードを設け
るものとしてもよい。変速段をマニュアルで切り替える
モードを設けた場合、シフトレバー162で変速段を切
り替えるものとしてもよいし、これとは別の操作部を設
けるものとしてもよい。後者としては、例えば、ステア
リング部に変速段をアップ・ダウンするためのスイッチ
を設ける構成が挙げられる。
【0107】スポーツモードが選択された場合には、車
内の計器板に表示される。図6は本実施例におけるハイ
ブリッド車両の計器板を示す説明図である。この計器板
は、通常の車両と同様、運転者の正面に設置されてい
る。計器板には、運転者から見て左側にガソリンの燃料
計202、燃料電池用の燃料計203、速度計204が
設けられており、右側にエンジン水温計208、エンジ
ン回転計206が設けられている。燃料電池用の燃料計
203は、図示する通り、メタノールの残量と、改質に
用いられる水の残量とを左右の指針でそれぞれ示すよう
に構成されている。中央部にはシフトポジションを表示
するシフトポジションインジケータ220が設けられて
おり、その左右に方向指示器インジケータ210L、2
10Rが設けられている。また、スポーツモードインジ
ケータ222がシフトポジションインジケータ220の
上方に設けられている。スポーツモードインジケータ2
22は、スポーツモードスイッチ163がオンになって
いる場合に点灯する。
【0108】本実施例のハイブリッド車両では、エンジ
ン10などの動力源から出力される動力は、補機の駆動
にも用いられる。図1に示す通り、エンジン10には補
機駆動装置82が結合されている。補機には、エアコン
のコンプレッサやパワーステアリング用のポンプ等が含
まれる。ここでは、エンジン10の動力を利用して駆動
される補機類をまとめて補機駆動装置82として示し
た。補機駆動装置82は、具体的にはエンジン10のク
ランクシャフトにプーリやベルトを介して結合されてお
り、クランクシャフトの回転動力によって駆動される。
【0109】補機駆動装置82には、また、補機駆動用
モータ80も結合されている。補機駆動用モータ80
は、切替スイッチ83を介して燃料電池60およびバッ
テリ50に接続されている。補機駆動用モータ80は、
モータ20と同様の構成を有しており、エンジン10の
動力によって運転され、発電を行うことができる。補機
駆動用モータ80で発電された電力はバッテリ50に充
電することができる。また、補機駆動用モータ80は、
バッテリ50および燃料電池60から電力の供給を受け
て力行することもできる。本実施例のハイブリッド車両
は、後述する通り、所定の条件下では、エンジン10の
運転が停止される。補機駆動用モータ80を力行すれ
ば、エンジン10が停止している時でも補機駆動装置8
2を駆動することができる。もちろん、エンジン10が
停止している場合に、入力クラッチ18をオンにして、
モータ20の動力で補機駆動装置82を駆動するものと
してもよい。
【0110】本実施例のハイブリッド車両では、エンジ
ン10、モータ20、トルクコンバータ30、変速機1
00、補機駆動用モータ80等の運転を制御ユニット7
0が制御している(図1参照)。制御ユニット70は、
内部にCPU、RAM,ROM等を備えるワンチップ・
マイクロコンピュータであり、ROMに記録されたプロ
グラムに従い、CPUが後述する種々の制御処理を行
う。制御ユニット70には、かかる制御を実現するため
に種々の入出力信号が接続されている。図7は制御ユニ
ット70に対する入出力信号の結線を示す説明図であ
る。図中の左側に制御ユニット70に入力される信号を
示し、右側に制御ユニット70から出力される信号を示
す。
【0111】制御ユニット70に入力される信号は、種
々のスイッチおよびセンサからの信号である。かかる信
号には、例えば、燃料電池用の燃料残量、燃料電池温
度、エンジン10の回転数、エンジン10の水温、イグ
ニッションスイッチ、バッテリ残容量SOC、バッテリ
温度、車速、トルクコンバータ30の油温、シフトポジ
ション、サイドブレーキのオン・オフ、フットブレーキ
の踏み込み量、エンジン10の排気を浄化する触媒の温
度、アクセル開度、スポーツモードスイッチ163のオ
ン・オフ、車両の加速度センサなどがある。制御ユニッ
ト70には、その他にも多くの信号が入力されている
が、ここでは図示を省略した。
【0112】制御ユニット70から出力される信号は、
エンジン10,モータ20,トルクコバータ30,変速
機100等を制御するための信号である。かかる信号に
は、例えば、エンジン10の点火時期を制御する点火信
号、燃料噴射を制御する燃料噴射信号、補機駆動用モー
タ80の運転を制御する補機駆動用モータ制御信号、モ
ータ20の運転を制御するモータ制御信号、変速機10
0の変速段を切り替える変速機制御信号、変速機100
の油圧を制御するためのATソレノイド信号およびAT
ライン圧コントロールソレノイド信号、エンジン10か
らモータ20側への動力の伝達をオン・オフする入力ク
ラッチを制御する入力クラッチコントロールソレノイ
ド、トルクコンバータ30のロックアップを行うための
ATロックアップコントロールソレノイド、モータ20
の電源の切替スイッチ84の制御信号、補機駆動用モー
タ80の電源の切替スイッチ83の制御信号、燃料電池
システム60の制御信号などがある。制御ユニット70
からは、その他にも多くの信号が出力されているが、こ
こでは図示を省略した。
【0113】A2.一般的動作:次に、本実施例のハイ
ブリッド車両の一般的動作について説明する。先に図1
で説明した通り、本実施例のハイブリッド車両は動力源
としてエンジン10とモータ20とを備える。制御ユニ
ット70は、車両の走行状態、即ち車速およびトルクに
応じて両者を使い分けて走行する。両者の使い分けは予
めマップとして設定され、制御ユニット70内のROM
に記憶されている。
【0114】図8は車両の走行状態と動力源との関係を
示す説明図である。図中の領域MGはモータ20を動力
源として走行する領域である。領域MGの外側の領域
は、エンジン10を動力源として走行する領域である。
以下、前者をEV走行と呼び、後者をエンジン走行と呼
ぶものとする。図1の構成によれば、エンジン10とモ
ータ20の双方を動力源として走行することも可能では
あるが、本実施例では、かかる走行領域は設けていな
い。
【0115】図示する通り、本実施例のハイブリッド車
両は、まずEV走行で発進する。かかる領域では、入力
クラッチ18をオフにして走行する。EV走行により発
進した車両が図8のマップにおける領域MGと領域EG
の境界近傍の走行状態に達した時点で、制御ユニット7
0は、入力クラッチ18をオンにするとともに、エンジ
ン10を始動する。入力クラッチ18をオンにすると、
エンジン10はモータ20により回転させられる。制御
ユニット70は、エンジン10の回転数が所定値まで増
加したタイミングで燃料を噴射し点火する。また、VV
T機構を制御して、吸気バルブおよび排気バルブの開閉
タイミングをエンジン10の運転に適したタイミングに
変更する。
【0116】こうしてエンジン10が始動して以後、領
域EG内ではエンジン10のみを動力源として走行す
る。かかる領域での走行が開始されると、制御ユニット
70は駆動回路51,52のトランジスタを全てシャッ
トダウンする。この結果、モータ20は単に空回りした
状態となる。
【0117】制御ユニット70は、このように車両の走
行状態に応じて動力源を切り替える制御を行うととも
に、変速機100の変速段を切り替える処理も行う。変
速段の切り替えは動力源の切り替えと同様、車両の走行
状態に予め設定されたマップに基づいてなされる。マッ
プは、シフトポジションによっても相違する。図8には
Dポジション、4ポジション、3ポジションに相当する
マップを示した。このマップに示す通り、制御ユニット
70は、車速が増すにつれて変速比が小さくなるように
変速段の切り替えを実行する。
【0118】ドライブポジション(D)では、図8に示
す通り、第5速(5th)までの変速段を用いて走行す
る。4ポジションでは、このマップにおいて、第4速
(4th)までの変速段を用いて走行する。4ポジショ
ンでは、図8における5thの領域であっても第4速
(4th)が使用される。同様に3ポジションの場合に
は、図8のマップにおいて、第3速(3rd)までの変
速段を用いて走行する。
【0119】2ポジション、Lポジションでは、マップ
を各シフトポジションに固有のものに変更して変速段の
制御を行う。図9は2ポジションにおける変速段の切り
替えの様子を示す説明図である。2ポジションでは、第
1速および第2速の変速段が使用される。2ポジション
のマップ(図9)において、第1速と第2速の切り替え
を行う境界は、Dポジションのマップ(図8)と同じで
ある。2ポジションでは、Dポジションに比較して領域
MGの範囲が相違する。
【0120】2ポジションでは、第3速が使用されない
ため、領域MGについて、Dポジションのマップ(図
8)中の第3速を使用する領域(ハッチングを付した部
分)を領域MGから除外する設定とすることも可能であ
る。本実施例では、かかる領域よりも広い範囲で2ポジ
ションにおける領域MGを設定した。図9中の破線は、
Dポジションのマップとの対比のために示したものであ
り、Dポジションのマップ中の第2速と第3速との境界
に対応する曲線である。このように領域MG中で第2速
に対応する領域を広げることにより、2ポジションにお
いても十分にモータ20を動力源として活用することが
でき、ハイブリッド車両の燃費を向上することができ
る。なお、第2速に対応する領域の設定に当たっては、
モータ20の定格を考慮して、広げた領域(図9中のハ
ッチングを付した領域)における走行感覚がDポジショ
ンにおける該当領域と大差ないよう設定することが望ま
しい。
【0121】図10はLポジションにおける変速段の切
り替えの様子を示す説明図である。Lポジションでは、
第1速のみが使用される。2ポジションにおけるマップ
の設定で説明したのと同様の理由により、Lポジション
では、2ポジションに比較して領域MGの範囲が相違す
る。Lポジションにおける領域MGは、2ポジションの
マップにおいて、領域MG中の第1速に対応する領域よ
りも広い範囲に設定されている。図11はRポジション
における変速段の切り替えの様子を示す説明図である。
Rポジションでは後進するため、領域MGの広さは前進
方向のシフトポジションにおけるマップとは個別に設定
した。
【0122】変速段の切り替えはこのマップによる切り
替えの他、運転者がアクセルペダルを急激に踏み込むこ
とにより一段変速比が高い側に変速段を移す、いわゆる
キックダウンと呼ばれる切り替えも行われる。また、ス
ポーツモードが選択されている場合には、変速比の低い
変速段を使用する領域をそれぞれ拡張して設定したマッ
プに基づいて変速が行われる。これらの切り替え制御
は、エンジンのみを動力源とし、自動変速装置を備えた
周知の車両と同様である。なお、変速段と車両の走行状
態との関係は、図8〜図11に示した他、変速機100
の変速比に応じて種々の設定が可能である。
【0123】なお、図8〜図11では、車両の走行状態
に応じてEV走行とエンジン走行とを使い分ける場合の
マップを示した。本実施例の制御ユニット70は、全て
の領域をエンジン走行で行う場合のマップも備えてい
る。かかるマップは、図8〜図11において、EV走行
の領域(領域MG)を除いたものとなっている。EV走
行には電力が必要である。制御ユニット70は、バッテ
リ50および燃料電池システム60から電力を確保でき
る場合には、EV走行とエンジン走行とを使い分けて運
転を行う。十分な電力を確保できない場合には、エンジ
ン走行で運転する。EV走行で発進を開始した場合で
も、発進後に電力が十分確保できない状況に至った場合
には、車両の走行状態が領域MG内にあってもエンジン
走行に切り替えられる。かかる使い分けの制御について
は後述する。
【0124】次に、本実施例のハイブリッド車両の制動
について説明する。本実施例のハイブリッド車両は、ブ
レーキペダルを踏み込むことによって付加されるホイー
ルブレーキと、エンジン10およびモータ20からの負
荷トルクによる動力源ブレーキの2種類のブレーキによ
る制動が可能である。モータ20の負荷トルクによるブ
レーキとは、いわゆる回生制動であり、ハイブリッド車
両の運動エネルギをモータ20で電力として回収する制
動方法である。回収された電力はバッテリ50に充電さ
れる。動力源ブレーキによる制動は、アクセルペダルの
踏み込みを緩めた場合に行われる。ブレーキペダルを踏
み込めば、車両には動力源ブレーキとホイールブレーキ
の総和からなる制動力が付加される。
【0125】本実施例のハイブリッド車両は、制御ユニ
ット70が、エンジン10、モータ20等を制御するこ
とによって、上述した走行を可能としている。制御は、
車両の種々の運転モードごとに用意された所定の制御処
理を実行することにより、行われる。以下では、本実施
例のハイブリッド車両について、代表的な運転モードに
対し、それぞれ制御処理の内容を説明する。
【0126】A3.EV走行制御処理:図12はEV走
行制御処理ルーチンのフローチャートである。制御ユニ
ット70内のCPUが所定の時間間隔で周期的に実行す
る処理である。この処理が開始されると、CPUは車両
の運転状態を入力する(ステップS10)。図7で示し
た種々のセンサからの入力がなされるが、特に、シフト
ポジション、車速、アクセル開度、バッテリ残容量SO
C、燃料電池用の残燃料量FCLが以後の処理に関与す
る。
【0127】次に、CPUは車両の運転状態がMG領域
に該当するか否かを判定する(ステップS20)。MG
領域は、図8〜図11に示した通り、シフトポジション
に応じて車速およびアクセル開度との関係で特定されて
いる。ステップS10で入力された諸量に基づいて、運
転状態がMG領域に該当するか否かを判定するのであ
る。運転状態がMG領域に該当しない場合には、EV走
行は実行しない。従って、かかる場合には、CPUは以
後の処理を行わずにEV走行制御処理ルーチンを終了す
る。
【0128】ステップS20において、運転状態がMG
領域に該当すると判断された場合には、CPUはバッテ
リ50と燃料電池60とを使い分けるための処理を行
う。これら2つの電源の使い分けを行うために、CPU
は、バッテリ50の残容量SOCが所定の値LO1以上
であるか否かを判定する(ステップS30)。所定の値
LO1の設定については後述する。
【0129】残容量SOCが所定の値LO1以上である
場合には、バッテリ50の充電状態が高いため、バッテ
リ50を電源として、モータ20を駆動するための処理
を行う(ステップS50)。まず、電源の切替スイッチ
84を制御して、バッテリ50とモータ20とを接続す
る。また、モータ20の運転の可否を示すフラグをオン
にするとともに、モータ20の目標運転状態、即ち目標
回転数と目標トルクとを特定する。本実施例では、モー
タ20の運転自体は、別途用意されたルーチンで実行す
るものとしているため、ここでは、該ルーチンに受け渡
すデータの設定を行うのである。目標回転数は、ステッ
プS10で入力された車速に変速機100の変速比およ
びディファレンシャルギヤの変速比などを乗じることで
特定される。目標トルクは、車速とアクセル開度とに応
じて予め設定されたマップによって特定される。これら
の目標運転状態が、別途用意された制御処理に受け渡さ
れることにより、モータ20は該目標運転状態で運転さ
れる。
【0130】モータ20を駆動する制御処理について説
明する。図13はモータ駆動制御ルーチンを示すフロー
チャートである。この処理が開始されると、CPUはモ
ータ20の駆動を許可する運転フラグがオンになってい
るか否かを判定する(ステップS1)。運転フラグがオ
ンでない場合には、モータ20を駆動すべきでないと判
断して、何も処理を行うことなくモータ駆動制御ルーチ
ンを終了する。
【0131】モータ20の運転フラグがオンになってい
る場合には、次に、モータ20の目標運転状態、即ち目
標回転数および目標トルクを入力する(ステップS
2)。目標運転状態は、上述のEV走行制御処理などの
運転制御処理でそれぞれ設定されている。こうして入力
された目標運転状態に基づき、CPUはモータ20に印
加すべき電圧Vd、Vqを設定する(ステップS3)。
Vd,Vqとは、それぞれモータ20のd軸電圧、q軸
電圧を意味する。本実施例では、同期モータの制御方法
として周知の技術であるベクトル制御を適用する。ベク
トル制御では、ロータの回転とともに回転するd軸およ
びq軸方向の電圧がモータ20の出力トルクを制御する
本質的なパラメータとして扱われる。これらの電圧は、
目標回転数および目標トルクに応じて予め設定され、テ
ーブルとして記憶されている。CPUはステップS2で
入力された目標運転状態に基づき、このテーブルを参照
して、印加電圧Vd,Vqを設定するのである。
【0132】こうしてd軸方向、q軸方向の電圧を設定
すると、CPUはそれらの電圧をモタ20のU,V,W
相の各コイルに印加すべき電圧に変換する(ステップS
4)。かかる変換は、2相/3相変換と呼ばれる。d軸
方向およびq軸方向の電圧値に、ロータの回転位置に応
じた周知のマトリックスを乗じることで変換することが
できる。こうして設定された各相の電圧に基づき、CP
UはトランジスタをPWM制御する(ステップS5)。
即ち、各相に接続されたそれぞれのトランジスタのオン
・オフの割合を電圧に応じて調整する制御を行う。以上
の処理により、CPUはモータ20の運転を制御するこ
とができる。
【0133】図12に戻り、EV走行制御処理について
再び説明する。MG領域内では、モータ20のみを動力
源として走行する。従って、上記処理によってモータ2
0が動力源として指定された場合は、エンジンの運転を
停止する(ステップS70)。ここでは、エンジンの運
転可否を特定するフラグをオフにする。実際には、別途
用意されたエンジンの運転の制御処理で、その運転が停
止される。
【0134】ステップS30において、バッテリ50の
残容量SOCが所定の値LO1よりも小さい場合には、
充電状態が低いと判断し、バッテリ50の電力の使用を
回避する。従って、CPUは燃料電池60が電源として
使用可能であるか否かの判断を行う。この判断として、
CPUは燃料電池用の残燃料量FCLが所定の値F1以
上であるか否かを判断する(ステップS40)。所定の
値F1の設定については後述する。残燃料量FCLが値
F1以上である場合には、燃料電池60が電源として使
用可能であると判断し、CPUは燃料電池60を電源と
して、モータ20を駆動するための処理を行う(ステッ
プS60)。同時にモータ20の目標運転状態を設定す
る。モータ20の目標運転状態の設定方法は、ステップ
S50と同じである。また、モータ20のみを動力源と
して走行するため、エンジンの運転を停止する処理を行
う(ステップS70)。
【0135】ステップS60では、電源の切替スイッチ
84を制御して燃料電池60とモータ20とを接続す
る。もちろん、切替スイッチ84は燃料電池60とバッ
テリ50とを完全に選択的に使用するように切り替える
ことも可能である。但し、本実施例では、燃料電池60
の特性を考慮し、バッテリ50と燃料電池60とを徐々
に切り替える制御を行っている。燃料電池60は化学反
応を利用しているため、発電の指示を出してから実際に
所望の電力が得られるまで時間遅れが存在するのが通常
である。従って、ステップS60において電源を瞬時に
燃料電池60に切り替えると、走行に必要な電力が十分
に得られない可能性がある。本実施例では、かかる時間
遅れを考慮して、燃料電池60の電力が不足する分を補
償するようにバッテリ50を用い、燃料電池60から所
望の電力が出力されるようになった時点で完全に燃料電
池60を電源とするように切替スイッチ84を制御す
る。かかる制御は、切替スイッチ84がバッテリ50と
燃料電池60にそれぞれ接続される時間を変更すること
で実現可能である。また、モータ20をバッテリ50お
よび燃料電池60の双方と常に接続された状態にして、
各駆動回路51,52のスイッチングをそれぞれ制御し
て、各電源から供給される電圧を徐々に変更するものと
してもよい。
【0136】ステップS40において、燃料電池の残燃
料量FCLが所定の値F1よりも低い場合には、燃料電
池60を電源として使用することを回避する。かかる場
合には、使用可能な電源が存在しないことになる。従っ
て、CPUはMG領域内であるとはいえ、モータ20を
動力源とするEV走行を断念し、エンジンを動力源とし
て走行する処理を行う(ステップS80)。つまり、モ
ータ20の運転可否を示すフラグをオフにするととも
に、エンジンの運転可否を示すフラグをオンにする。エ
ンジンの目標運転状態は、車速とアクセル開度によって
設定される。CPUは、以上の処理を繰り返し実行する
ことでMG領域における運転を制御する。
【0137】図14はEV走行制御処理における各動力
源および電源の出力の変化を示す説明図である。停車し
ている状態からEV走行が開始された場合を例にとっ
て、モータ出力、バッテリ出力、燃料電池出力およびエ
ンジン出力の時間変化を示した。時刻a0において、E
V走行が開始されるとする。また、この時点では、バッ
テリ50の残容量SOCがLO1以上残っているものと
する。かかる状態では、バッテリ50を電源としてEV
走行が開始されるから、時刻a0以降で、モータ出力お
よびバッテリ出力が所定の状態まで上昇する。燃料電池
およびエンジンは使用されないため、出力は値0のまま
である。
【0138】時刻a1において、モータ出力は要求値に
達したものとする。この時点に達して以降もバッテリ5
0の残容量が十分に残っている場合を図中に実線で示し
た。モータ出力は要求値で一定となり、バッテリ出力も
一定値となる。燃料電池およびエンジンは使用されない
ため、値0を維持する。
【0139】一方、時刻a1に達した時点で、バッテリ
50の残容量が所定の値LO1よりも低くなった場合を
図中に一転鎖線で示した。この場合には、バッテリ50
から燃料電池60に電源を切り替えてモータ20が駆動
される。燃料電池60は時刻a1から運転が開始される
が、電力の立ち上がりは比較的遅く、十分な電力を出力
するのは時刻a2に至ってからである。先に説明した通
り、燃料電池が十分に電力を出力するようになるまでの
遅れ時間Td1では、電力の不足を補償するようにバッ
テリ50の電力が使用される。従って、図示する通り、
バッテリ50の電力は時刻a1において不連続的に値0
に低減するのではなく、時刻a2までかけて徐々に低減
する。時刻a2に至った後は、燃料電池のみを電源とし
てモータ20が駆動される。
【0140】時刻a4において燃料電池用の残燃料量が
所定の値F1よりも低くなったものとする。かかる状態
では、モータ20の駆動を停止し、エンジン走行に切り
替える。図示する通り、時刻a4からa5にかけてモー
タ20の出力が低下するとともに、エンジンの出力が増
加する。なお、ここで示したのは、一例に過ぎず、モー
タ20を動力源とするEV走行中にモータ出力が変動す
る場合など、各出力は種々の態様で変化し得ることは言
うまでもない。
【0141】ここで、上述の処理で用いられたF1(ス
テップS40)の設定について説明する。所定の値F1
はステップS40で説明した通り、燃料電池60を電源
として使用するか否かの基準となる値である。所定の値
F1については、値0以上の範囲で任意に設定可能であ
る。値0に設定すれば、燃料が残っている限り、燃料電
池60を電源として使用することになる。EV走行のみ
を考慮すれば、値0として設定するのが運転効率および
環境性の観点から好ましい。しかし、値0にした場合に
は、他の運転モードで燃料電池を使用する必要性が生じ
た場合に、EV走行で既に燃料が消費されており、燃料
電池を使用し得ない可能性も生じる。
【0142】本実施例では、他の運転モードを考慮し
て、正の所定値に設定した。即ち、EV走行制御処理で
は、燃料電池用の燃料を完全に消費することがないよう
に設定した。本実施例のハイブリッド車両は、後述する
通り、EV走行以外の運転モードにおいても、種々のモ
ードで電源を必要とする。運転効率および環境性の観点
から、EV走行よりも電源の必要性が高い運転モードも
存在する。かかるモードで燃料電池を電源として確保し
やすくするため、本実施例では、EV走行時には、燃料
電池用の燃料の使用を抑制するものとした。換言すれ
ば、所定の値F1以上の燃料が存在し、燃料に比較的余
裕がある場合にのみ燃料電池を電源とすることにしてい
るのである。
【0143】次に、上述の処理で用いられたLO1(ス
テップS30)の設定について説明する。所定の値LO
1はステップS30で説明した通り、バッテリ50を電
源として使用するか否かの基準となる値である。所定の
値LO1については、値0以上の範囲で任意に設定可能
である。値0に設定すれば、バッテリ50に電力が残っ
ている限り、バッテリ50を電源として使用することに
なる。本実施例では、燃料電池60を電源として使用す
る場合の過渡的な状態を考慮して所定値LO1を設定し
た。先に説明した通り、燃料電池60への電源の切り替
え時には、燃料電池60から十分な電力が出力されるま
での遅れを考慮して、バッテリ50を過渡的に使用する
ものとしている。従って、本実施例では、かかる遅れ時
間において、燃料電池60の電力を補償し得る電力をバ
ッテリ50から十分に出力できるように所定の値LO1
を設定した。
【0144】なお、バッテリ50の電力は一旦消費して
も走行中に再び充電することが可能である。例えば、ハ
イブリッド車両の制動時にモータ20を回生運転するこ
とにより、運動エネルギを電力として回収し、バッテリ
50の充電を行うことができる。これに対し、燃料電池
60による電力は、一過性のものである。つまり、一旦
燃料を消費すると、外部から燃料補給しない限り増加す
ることはない。かかる観点から、燃料電池60よりもバ
ッテリ50の電力を積極的に使用することが望ましい。
本実施例では、バッテリ50の電力を積極的に使用する
ため、値LO1は上述の過渡的な使用を可能とする下限
値に若干の余裕を見込んだ値に設定した。
【0145】基準値LO1の設定について具体的に説明
する。図15はバッテリ50を使用する判断基準値の設
定方法について示す説明図である。ここでは、判断基準
値をCASE1〜CASE3の3通りに変化させた場合
の状態をそれぞれ示した。CASE1は上述の所定値L
O1を比較的高い値SOC1に設定した場合に対応す
る。かかる場合には、SOC1に相当する残容量を残し
て燃料電池60の使用が開始されることになる。電源が
燃料電池60に完全に移行した後は、バッテリ50に
は、図中のハッチングで示す容量が残っている。かかる
状態でハイブリッド車両を回生制動した場合を考える。
回生制動によって得られる電力(以下、回生電力と呼
ぶ)は制動前後の車速や車両の重量に応じて変動する
が、ここでは平均的な回生電力を図示した。基準値LO
1を高い値に設定したCASE1では、バッテリSOC
の残容量が比較的高い状態に保たれる結果、バッテリ5
0の充電限界内で回生電力を全て充電することができな
くなる。従って、CASE1では回生電力の一部(図中
の塗りつぶした部分)が廃棄される。この分、ハイブリ
ッド車両は、車両の運動エネルギを活用できなくなるた
め、エネルギ効率が低下する。
【0146】CASE2は基準値LO1を中程度の値S
OC2に設定した場合に対応する。かかる設定にすれ
ば、回生電力を充電限界内でバッテリ50に充電するこ
とができる。CASE3は基準値LO1を低い値SOC
3に設定した場合に対応する。かかる設定でも、回生電
力を十分にバッテリ50に充電することができる。これ
らの設定であれば、ハイブリッド車両の運動エネルギを
効率的に活用することが可能となる。
【0147】一方、CASE2とCASE3とを比較す
れば、CASE2の方が電源が早く燃料電池60に切り
替えられる。EV走行に要する総電力がCASE2とC
ASE3で同じであるとすれば、CASE2の方が燃料
電池60を長時間使用することになり、燃料電池用の燃
料を多大に消費することになる。既に説明した通り、燃
料電池用の燃料は一旦消費すれば、外部からの供給を受
けない限り回復し得ない。従って、燃料電池の燃料消費
は抑制することが好ましい。
【0148】また、所定値LO1を極端に低くすれば、
燃料電池60に電源を切り替える過渡期においてバッテ
リ50で電力を補償することができなくなる。過渡期に
必要となる電力は、要求される電力によっても変動する
が、燃料電池60の特性に応じて概ね設定することがで
きる。本実施例では、これらの観点から、図中のSOC
3に示す通り、過渡期の出力に要するSOCに対して若
干余裕を見込んだ上で、可能な限り低い値に基準値LO
1を設定した。
【0149】以上で説明したEV走行制御処理によれ
ば、MG領域においてバッテリ50と燃料電池60とを
使い分けてEV走行することができる。バッテリ50の
充電量が高い場合には、燃料電池60の残燃料量FCL
の値に関わらずバッテリ50を電源として使用すること
になる。換言すれば、バッテリ50を電源として優先的
に使用することになる。また、双方の電源が共に使用す
べきでない状態にある場合には、エンジンを動力源とし
てエンジン走行することができる。
【0150】バッテリ50の電力は走行中に充電するこ
とで、消費前の状態に復元可能である。上記制御処理に
よれば、このように可逆的な電源を積極的に使用するこ
とにより、一過性の電源である燃料電池の使用を抑制す
ることができる。換言すれば、燃料電池の使用が望まれ
る運転状態に備えて燃料を確保しておくことができる。
従って、上記処理によれば、幅広い運転状態で、電源を
適切に使用することができる。従って、運転効率および
環境性に優れる動力源を十分に活用することが可能とな
る。
【0151】また、上記制御処理によれば、バッテリ5
0の電力を積極的に使用することで、車両のエネルギ効
率を向上することもできる。本実施例のハイブリッド車
両は、モータ20を回生運転することにより、制動時に
車両の運動エネルギを電力として回生することができ
る。ここで、例えば、バッテリ50が満充電に近い場合
には、回生した電力を十分に蓄えることができないた
め、車両の運動エネルギを効率的に活用することができ
ない。これに対し、上記制御を実行すれば、バッテリ5
0の電力を積極的に活用する結果、回生した電力をバッ
テリ50に蓄えることができ、その後の走行に活用する
ことができる。従って、上記制御処理によれば、ハイブ
リッド車両のエネルギ効率を向上することができる。
【0152】A4.補機駆動制御処理:図16は補機駆
動制御処理ルーチンのフローチャートである。図1に示
した通り、本実施例のハイブリッド車両は、エンジン1
0および補機駆動用モータ80の動力で補機駆動装置を
駆動することができる。補機駆動制御処理ルーチンと
は、補機駆動装置を駆動する際の動力源および電源の使
い分けを制御する処理である。この処理も、制御ユニッ
ト70内のCPUが所定の時間間隔で周期的に実行する
処理である。この処理が開始されると、CPUは車両の
運転状態を入力する(ステップS110)。図7で示し
た種々のセンサからの入力がなされるが、特に、シフト
ポジション、車速、アクセル開度、バッテリ残容量SO
C、燃料電池用の残燃料量FCLが以後の処理に関与す
る。
【0153】次に、CPUは車両の運転状態がMG領域
に該当するか否かを判定する(ステップS120)。判
定方法は、EV走行処理ルーチンのステップS20と同
様である。運転状態がMG領域に該当しない場合には、
エンジン10が運転中であることを意味する。かかる場
合には、エンジン10の動力によって補機を駆動するこ
とが可能である。従って、CPUは以後の処理を行わず
に補機駆動制御処理ルーチンを終了する。
【0154】ステップS120において、運転状態がM
G領域に該当すると判断された場合には、原則としてエ
ンジン10の運転が停止される。エンジン10の運転が
停止された場合でも、エアコンやパワーステアリング等
の補機は駆動する必要がある。MG領域では、利用可能
な電源があれば、補機駆動用モータ80によって補機駆
動装置82を駆動する。従って、CPUは補機駆動用の
電源として、バッテリ50と燃料電池60とを使い分け
るための処理を行う。これら2つの電源の使い分けを行
うために、CPUは、バッテリ50の残容量SOCが所
定の値LO2以上であるか否かを判定する(ステップS
130)。所定の値LO2の設定については後述する。
【0155】残容量SOCが所定の値LO2以上である
場合には、バッテリ50の充電状態が高いため、バッテ
リ50を電源として、補機駆動用モータ80を駆動する
ための処理を行う(ステップS150)。まず、電源の
切替スイッチ83を制御して、バッテリ50と補機駆動
用モータ80とを接続する。また、補機駆動用モータ8
0の運転の可否を示すフラグをオンにするとともに、補
機駆動用モータ80の目標運転状態、即ち目標回転数と
目標トルクとを予め設定された値に特定する。本実施例
では、補機駆動用モータ80の運転自体は、別途用意さ
れたルーチンで実行するものとしているため、ここで
は、該ルーチンに受け渡すデータの設定を行う。目標回
転数および目標トルクは、駆動すべき補機に応じて予め
設定されている。これらの目標運転状態が、別途用意さ
れた制御処理に受け渡されることにより、補機駆動用モ
ータ80は該目標運転状態で運転される。補機駆動用モ
ータ80の制御処理は、モータ20について図13で示
した処理と同じである。
【0156】補機駆動用モータ80で補機駆動装置82
を駆動する場合には、エンジンの運転を停止する(ステ
ップS170)。ここでは、エンジンの運転可否を特定
するフラグをオフにする。実際には、別途用意されたエ
ンジンの運転の制御処理で、その運転が停止される。な
お、エンジン10の運転を停止する際には、次にエンジ
ン10から車軸に動力を出力する必要が生じた場合に備
え、入力クラッチ18を結合する処理を行う。
【0157】ステップS130において、バッテリ50
の残容量SOCが所定の値LO2よりも小さい場合に
は、充電状態が低いと判断し、バッテリ50の電力の使
用を回避する。従って、CPUは燃料電池60が電源と
して使用可能であるか否かの判断を行う。この判断とし
て、CPUは燃料電池用の残燃料量FCLが所定の値F
2以上であるか否かを判断する(ステップS140)。
所定の値F2の設定については後述する。残燃料量FC
Lが値F2以上である場合には、燃料電池60が電源と
して使用可能であると判断し、CPUは燃料電池60を
電源として、補機駆動用モータ80を駆動するための処
理を行う(ステップS160)。補機駆動用モータ80
の目標運転状態の設定方法は、ステップS150と同じ
である。また、エンジンの運転を停止する処理を行う
(ステップS170)。
【0158】ステップS160では、電源の切替スイッ
チ83を制御して燃料電池60と補機駆動用モータ80
とを接続する。本実施例では、EV走行制御処理と同
様、燃料電池60からの電力の立ち上がり遅れを考慮
し、バッテリ50と燃料電池60とを徐々に切り替え
る。つまり、燃料電池60の電力が不足する分を補償す
るようにバッテリ50を用い、燃料電池60から所望の
電力が出力されるようになった時点で完全に燃料電池6
0を電源とするように切替スイッチ83を制御する。か
かる制御は、切替スイッチ83がバッテリ50と燃料電
池60にそれぞれ接続される時間を変更することで実現
可能である。また、補機駆動用モータ80をバッテリ5
0および燃料電池60の双方と常に接続された状態にし
て、各駆動回路51,52のスイッチングをそれぞれ制
御して、各電源から供給される電圧を徐々に変更するも
のとしてもよい。
【0159】ステップS140において、燃料電池の残
燃料量FCLが所定の値F2よりも低い場合には、燃料
電池60を電源として使用することを回避する。かかる
場合には、使用可能な電源が存在しないことになる。従
って、CPUはエンジンを動力源として補機駆動装置8
2を駆動する処理を行う(ステップS180)。つま
り、補機駆動用モータ80の運転可否を示すフラグをオ
フにするとともに、エンジンの運転可否を示すフラグを
オンにするのである。CPUは、以上の処理を繰り返し
実行することで補機駆動装置82の駆動を制御する。
【0160】なお、ステップS180の処理では、エン
ジン10を運転するとはいえ、必ずしもエンジン10の
動力を車軸に出力する必要がある訳ではない。例えば、
停車中においては、車軸に動力を出力する必要はない
が、補機駆動装置82は停車中でも駆動する必要があ
る。本実施例では、補機駆動処理のステップS180に
おいて、エンジン10とモータ20との間に設けられた
入力クラッチ18の制御をも実行する。即ち、エンジン
10の動力を車軸に出力する必要があるか否かを判定
し、出力する必要がある場合には入力クラッチ18を結
合状態とする。出力する必要がない場合には、入力クラ
ッチ18を解放状態とする。もちろん、かかる制御は、
エンジン10による補機の駆動を効率的に行うためのも
のであり、車軸への動力の出力要求に関わらず、入力ク
ラッチ18を結合状態に維持するものとしても構わな
い。
【0161】ステップS180においてエンジン10を
運転する場合、エンジンの目標運転状態としては、駆動
すべき補機に応じた要求動力に加え、バッテリ50を充
電するための動力が設定される。ステップS180にお
いてエンジン10を駆動する必要が生じた場合には、バ
ッテリ50の電力が値LO2よりも低くなっており、燃
料電池60の残燃料量が値F2よりも少なくなっている
ことを意味する。つまり、バッテリ50と燃料電池60
の双方の電源共に使用できない状態にあることを意味す
る。従って、エンジン10を運転しつつ電力を回復可能
なバッテリ50を充電し、後の運転に利用可能な電源の
確保を行う。エンジン10の動力は補機駆動装置82を
介して補機駆動用モータ80に伝達される。従って、エ
ンジン10の動力によって補機駆動用モータ80を運転
し発電することにより、バッテリ50を充電することが
できる。この際、電源の切替スイッチ83は当然バッテ
リ50側に接続される。
【0162】かかる処理の結果、一旦エンジン10によ
り補機の駆動が開始された後でも、所定時間経過してバ
ッテリ50の充電状態が回復すれば、再びバッテリ50
を電源とする補機駆動用モータ80による駆動に切り替
えられる。但し、エンジン10と補機駆動用モータ80
との切り替えが頻繁に行われることを回避し、バッテリ
50の充電状態が十分に回復してから補機駆動用モータ
80への切り替えを行うため、ステップS130の処理
が実行されると、ステップS130の判断基準となる値
LO2は所定時間継続して補機駆動用モータ80を運転
可能な程度に高い値に変更される。もちろん、ステップ
S130で一旦変更された値LO2は、再びバッテリ5
0を電源とする運転が再開された時点で、当初の値に戻
される。
【0163】図17は補機駆動制御処理における動力源
の切り替えの様子を示す説明図である。ここでは、エン
ジン10を動力源として補機を駆動している状態から補
機駆動用モータ80を動力源として補機を駆動する状態
への切り替えを例にとって、エンジンクランクシャフト
の回転数、トルクコンバータ30のロックアップクラッ
チ、入力クラッチ18および補機駆動用モータの動力の
時間変化を示した。時刻b1において、補機駆動用の動
力をエンジン10から補機駆動用モータ80に切り替え
るべき判断がなされたものとする。上記フローチャート
のステップS130の判断の結果、ステップS150の
処理が実行される場合に相当する。
【0164】エンジン10を動力源として補機を駆動し
ている間は、先に説明した通り、入力クラッチ18は解
放されている。一方、補機駆動用モータ80により補機
を駆動する場合には、車軸への動力の出力に備え、入力
クラッチを結合する。従って、図示するとおり、時刻b
1以降で入力クラッチ油圧が上昇し、エンジン10はモ
ータ20側に結合される。但し、この結合時にはエンジ
ン10が回転中であるため、直接モータ20側に結合す
れば、車軸に予期しないトルクが出力されるなどの可能
性がある。従って、入力クラッチ18を結合すると同時
にトルクコンバータ30のロックアップクラッチの油圧
を低減し、クラッチを解放する。ロックアップクラッチ
を解放すれば、トルクコンバータ30の入出力軸間で滑
りが生じるから、上述の弊害を回避することができる。
こうして、時刻b2において入力クラッチ18の結合お
よびロックアップクラッチの解放が完了すると、エンジ
ン10の運転を停止するとともに、補機駆動用モータ8
0の運転を開始する。以降、補機駆動用モータ80の動
力によって補機を駆動する。
【0165】ここで、上述の処理で用いられたF2(ス
テップS140)の設定について説明する。所定の値F
2は燃料電池60を電源として使用するか否かの基準と
なる値であり、値0以上の範囲で任意に設定可能であ
る。値0に設定すれば、燃料が残っている限り、燃料電
池60を電源として使用することになる。EV走行制御
処理における値F1と同様、本実施例では、他の運転モ
ードを考慮して、正の所定値に設定した。即ち、補機駆
動制御処理では、燃料電池用の燃料を完全に消費するこ
とがないように設定した。但し、補機駆動制御処理では
燃費および環境性の観点から、EV走行に比較して燃料
電池を用いる必要性が高いと考えられる。従って、本実
施例では、補機駆動制御処理で用いる値F2は、EV走
行制御処理における値F1よりも若干低い値に設定し
た。
【0166】次に、上述の処理で用いられたLO2(ス
テップS130)の設定について説明する。所定の値L
O2はステップS130で説明した通り、バッテリ50
を電源として使用するか否かの基準となる値である。所
定の値LO2については、値0以上の範囲で任意に設定
可能である。値0に設定すれば、バッテリ50に電力が
残っている限り、バッテリ50を電源として使用するこ
とになる。先に説明した通り、本実施例では、補機駆動
に用いられる動力源に応じて判断基準となる値LO2を
変更している。エンジン10が動力源として用いられる
場合には、バッテリ50の充電を行うために、基準値L
O2を高い値に設定する。バッテリ50を電源とする補
機駆動用モータ80が動力源として用いられる場合に
は、基準値LO2を低い値に設定する。低い値は、燃料
電池60を電源として使用する場合の過渡期における電
力の補償が可能な範囲で設定した。高い値は、満充電に
対し、回生制動で充電する程度の余裕を持った範囲で設
定した。
【0167】基準値LO2の設定について図13を用い
て具体的に説明する。先にEV走行制御処理で説明した
のと同様、回生制動時の充電余裕、燃料電池に電源を切
り替える際の過渡期に必要な電力、および燃料電池用の
燃料消費の抑制を考慮して、基準値LO2は図15中の
低い値SOC3相当に設定した。補機駆動制御処理で
は、これに加えてエンジン10で補機を駆動する際に
は、バッテリ50への充電が行われるよう基準値LO2
を変更している。この場合の基準値は図15中の高い値
SOC1に設定した。
【0168】補機駆動制御処理ルーチンは周期的に繰り
返し実行される処理である。使用可能な電源がないと判
断され、一旦エンジン10による補機の駆動が開始され
た後、再び補機駆動制御処理ルーチンが実行されれば、
バッテリ50が使用できるか否かの判断(ステップS1
30)が実行される。この時、判断の基準値LO2が当
初の設定、即ち図15中のSOC3のままの場合を考え
る。エンジン10の動力によってバッテリ50がわずか
に充電されると、バッテリ50の残容量は、基準値SO
C3を超える。この結果、ステップS130において、
バッテリ50が電源として使用可能であると判断され
る。従って、エンジン10による補機の駆動およびバッ
テリ50の充電は終了され、バッテリ50を電源とする
補機用モータ80により補機が駆動される。しかし、バ
ッテリ50の残容量は基準値SOC3をわずかに超えた
程度であるため、補機用モータ80を駆動して電力を消
費すると、ごく短期間の間に残容量は再びSOC3以下
に低減する。このように、基準値LO2を値SOC3で
一定にしておくと、エンジン10の運転とバッテリ50
を用いた補機用モータ80の運転とが頻繁に切り替えら
れる現象が生じる。
【0169】これに対し、本実施例では、エンジン10
によるバッテリ50の充電が開始された時点で基準値L
O2を図15中の低い値SOC3から高い値SOC1に
変更する。こうすることで、バッテリ50の残容量がS
OC1を超えるまで充電が継続される。残容量がSOC
1を超えると、ステップS130の判断の結果、再びバ
ッテリ50を電源とする補機用モータ80の駆動が開始
される。補機用モータ80の駆動が開始された時点で基
準値LO2は、図15中の低い値SOC3に戻される。
従って、バッテリ50の残容量がSOC3以下になるま
で、補機用モータ80の駆動は継続される。このように
基準値LO2の設定に一種のヒステリシスを持たせるこ
とによって、本実施例では、エンジン10の運転と補機
用モータ80の駆動との切り替えを円滑に行っている。
【0170】なお、充電時に用いられる高い値は充電限
界を用いることも可能ではある。但し、充電時の基準値
を高くすれば、エンジン10の運転時間が長くなるた
め、燃費および環境性の面で不利益が生じる。また、充
電途中で補機駆動処理ルーチンが終了し、ハイブリッド
車両が走行を開始する場合もある。充電時の基準値を高
く設定した場合には、走行を開始した後、回生電力を充
電する余裕が少なくなる可能性も生じる。本実施例で
は、これらの面を考慮し、充電時の基準値を充電限界よ
りも若干低い値に設定した。
【0171】以上で説明した補機駆動制御処理によれ
ば、MG領域においてバッテリ50と燃料電池60とを
使い分けて補機を駆動することができる。バッテリ50
の充電量が高い場合には、燃料電池60の残燃料量FC
Lの値に関わらずバッテリ50を電源として使用するこ
とになる。換言すれば、バッテリ50を電源として優先
的に使用することになる。また、双方の電源が共に使用
すべきでない状態にある場合には、エンジンを動力源と
して補機を駆動することができる。エンジンを動力源と
する場合には、同時にバッテリ50の充電を行うことも
できる。
【0172】このようにバッテリ50を燃料電池60よ
りも優先して使用することにより、一過性の電源である
燃料電池の使用を抑制することができる。換言すれば、
燃料電池の使用が望まれる運転状態に備えて燃料を確保
しておくことができる。従って、上記処理によれば、幅
広い運転状態で、電源を適切に使用することができる。
また、バッテリ50の電力を積極的に使用することで、
回生制動時に充電するための余裕を確保しやすくなり、
車両のエネルギ効率を向上することもできる。
【0173】A5.パワーアシスト制御処理:図18は
パワーアシスト制御処理ルーチンのフローチャートであ
る。図1に示した通り、本実施例のハイブリッド車両
は、エンジン走行している際に、さらにモータ20を駆
動することにより、エンジン10の出力を補助し、高ト
ルクを出力して走行することができる。パワーアシスト
制御処理ルーチンとは、このように高トルクが要求され
た場合に、エンジン10とモータ20の双方を動力源と
して走行する際の動力源および電源の使い分けを制御す
る処理である。この処理も、制御ユニット70内のCP
Uが所定の時間間隔で周期的に実行する処理である。こ
の処理が開始されると、CPUは車両の運転状態を入力
する(ステップS210)。図7で示した種々のセンサ
からの入力がなされるが、特に、シフトポジション、車
速、アクセル開度、バッテリ残容量SOC、燃料電池用
の残燃料量FCLが以後の処理に関与する。
【0174】次に、CPUはアクセル開度の変化率Δ
θ、即ち単位時間当たりのアクセル開度の変化が所定の
値Δθ1以上であるか否かを判定する(ステップS22
0)。一般に高トルクは車両を急加速する場合などに要
求される。かかる場合には、アクセルが急激に踏み込ま
れるのが通常である。従って、本実施例では、アクセル
開度の変化率に基づいて高トルクが要求されているか否
かを判定している。アクセル開度率Δθが所定の値Δθ
1よりも小さい場合には、高トルクが要求されていない
ことを意味する。かかる場合には、さらにモータ20を
駆動するパワーアシストは要求されていないことにな
る。従って、CPUは以後の処理を行わずにパワーアシ
スト制御処理ルーチンを終了する。
【0175】ステップS220において、アクセル開度
Δθが所定の値Δθ1以上である場合には、高トルクが
要求されていると判断し、原則としてモータ20による
パワーアシストを実行する。従って、CPUはモータ2
0を駆動するための電源として、バッテリ50と燃料電
池60とを使い分けるための処理を行う。これら2つの
電源の使い分けを行うために、CPUは、バッテリ50
の残容量SOCが所定の値LO3以上であるか否かを判
定する(ステップS230)。所定の値LO3の設定に
ついては後述する。
【0176】残容量SOCが所定の値LO3以上である
場合には、バッテリ50の充電状態が高いため、バッテ
リ50を電源として、モータ20を駆動するための処理
を行う(ステップS260)。まず、電源の切替スイッ
チ83を制御して、バッテリ50とモータ20とを接続
する。また、モータ20の運転の可否を示すフラグをオ
ンにするとともに、モータ20の目標運転状態、即ち目
標回転数と目標トルクとを予め設定された値に特定す
る。目標回転数は、ステップS210で入力された車速
に変速機100の変速比およびディファレンシャルギヤ
の変速比などを乗じることで特定される。目標トルク
は、車速とアクセル開度の変化率とに応じて予め設定さ
れたマップによって特定される。これらの目標運転状態
が、別途用意された制御処理に受け渡されることによ
り、モータ20は該目標運転状態で運転される。なお、
この場合、エンジン10は従前の状態での運転を継続す
る。
【0177】ステップS230において、バッテリ50
の残容量SOCが所定の値LO3よりも小さい場合に
は、充電状態が低いと判断し、バッテリ50の電力の使
用を回避する。従って、CPUは燃料電池60が電源と
して使用可能であるか否かの判断を行う。この判断とし
て、CPUは燃料電池用の残燃料量FCLが所定の値F
3以上であるか否かを判断する(ステップS240)。
所定の値F3の設定については後述する。残燃料量FC
Lが値F3以上である場合には、燃料電池60が電源と
して使用可能であると判断し、CPUは燃料電池60を
電源として、モータ20を駆動するための処理を行う。
但し、本実施例では、燃料電池によりバッテリ50を充
電し(ステップS250)、バッテリ50の電力を用い
てモータ20を駆動するものとした(ステップS26
0)。
【0178】燃料電池60によりバッテリ50を充電す
るものとしたのは、燃料電池60の特性を考慮したもの
である。既に説明した通り、燃料電池60は発電を開始
してからの電力の立ち上がり遅れが生じる。パワーアシ
スト制御処理では、モータ20から出力すべき動力は頻
繁に変動する可能性が高く、当然、電源から出力すべき
電力も頻繁に変動する可能性が高い。電源は、かかる変
動に十分追随して電力を出力する必要がある。燃料電池
60のみを電源として使用した場合は、かかる変動に十
分追随することができない。本実施例では、かかる観点
から、応答性の高いバッテリ50を電源として使用する
ため、燃料電池60によりバッテリ50を充電するもの
としたのである。もちろん、かかる処理に代えて、燃料
電池60とバッテリ50の双方をモータ20の電源とし
て接続し、駆動回路51,52のスイッチングを制御す
ることにより、要求に応じた応答性で電力を出力するよ
う、双方の電源から出力される電力を制御するものとし
てもよい。
【0179】ステップS240において、燃料電池の残
燃料量FCLが所定の値F3よりも低い場合には、燃料
電池60を電源として使用することを回避する。かかる
場合には、使用可能な電源が存在しないことになる。従
って、CPUはパワーアシストされた状態に相当する範
囲までエンジン10の出力を増大する(ステップS27
0)。電源が使用できない場合にはパワーアシストの中
止、即ち高トルクの出力を中止することも可能ではあ
る。しかし、高トルクの出力を中止した場合には電源の
状態によってアクセル操作に対する車両の応答が相違す
ることになる。かかる相違は、運転者に操作上の多大な
違和感を与えるため、好ましくない。本実施例では、電
源のいかんに関わらず、ほぼ一定の応答性が得られるよ
う、エンジン10の出力を増大するものとしているので
ある。CPUは、以上の処理を繰り返し実行することで
パワーアシストを実行する。
【0180】図19はパワーアシスト制御処理における
電源の切り替えの様子を示す説明図である。パワーアシ
ストが要求された場合を例にとって、モータ出力、バッ
テリ出力および燃料電池出力の時間変化を示した。時刻
c0において、パワーアシストの要求がなされたものと
する。上記フローチャートのステップS230におい
て、アクセル開度の変化率Δθが所定値Δθ1以上であ
ると判断された場合に相当する。
【0181】パワーアシストが要求されると、時刻c0
以降に図示する通り、モータ20の出力が増大する。実
際には、アクセルの踏み込み状態に応じてモータ20の
出力は変動するが、ここでは一定値まで出力が増大する
ものとして示した。時刻c0の時点では、バッテリ50
の電力が十分であったものとする。この時点では、燃料
電池出力値は0のままである。
【0182】時刻c1において、バッテリ50の残容量
が値LO3よりも低くなったものとする。この時点で、
燃料電池60の運転が開始され、図中に一点鎖線で示す
ように燃料電池から電力が出力される。なお、ステップ
S250で説明した通り、本実施例では、燃料電池60
の電力によりバッテリ50を充電した上で、バッテリ5
0の電力でモータ20を駆動するものとしている。従っ
て、時刻c1以降で燃料電池60の出力が増大した後も
バッテリ50の出力はモータ20の出力に応じた値を維
持する。バッテリ50から出力される電力は実質的には
燃料電池60から出力されていることになる。
【0183】時刻c7においてパワーアシスト要求が終
了したものとする。即ち、アクセル開度の変化率Δθが
所定の値θ1よりも低くなったものとする。この結果、
エンジン走行に移行するため、モータ20の出力は値0
に低下する。これに伴い、バッテリ50の出力および燃
料電池60の出力も低下する。なお、図中に実線で示し
た通り、バッテリ50の残容量SOCが十分高い場合に
は、燃料電池の出力は値0で維持される。
【0184】ここで、上述の処理で用いられたF3(ス
テップS240)の設定について説明する。所定の値F
3は燃料電池60を電源として使用するか否かの基準と
なる値であり、値0以上の範囲で任意に設定可能であ
る。値0に設定すれば、燃料が残っている限り、燃料電
池60を電源として使用することになる。EV走行制御
処理における値F1と同様、本実施例では、他の運転モ
ードを考慮して、正の所定値に設定した。パワーアシス
ト制御処理では燃料電池を用いる必要性が低いと考えら
れるため、本実施例では、パワーアシスト制御処理で用
いる値F3は、EV走行制御処理における値F1よりも
高い値に設定した。
【0185】次に、上述の処理で用いられたLO3(ス
テップS230)の設定について説明する。所定の値L
O3はステップS230で説明した通り、バッテリ50
を電源として使用するか否かの基準となる値である。所
定の値LO3については、値0以上の範囲で任意に設定
可能である。値0に設定すれば、バッテリ50に電力が
残っている限り、バッテリ50を電源として使用するこ
とになる。但し、基準値LO3を極端に低い値に設定す
ると、燃料電池60での発電に切り替えられた直後の車
両の応答性が低下する可能性がある。モータ20でパワ
ーアシストを行う際には、比較的高い電力が要求され
る。基準値LO3を極端に小さい値に設定した場合に
は、燃料電池60での電力の立ち上がり遅れを補償して
十分な電力をモータ20に供給できなくなる可能性があ
る。本実施例では、かかる点を考慮して、基準値LO3
をEV走行制御における基準値LO1よりも高い値に設
定した。
【0186】以上で説明したパワーアシスト制御処理に
よれば、エンジン走行領域においてバッテリ50と燃料
電池60とを使い分けてモータ20を駆動し、パワーア
シストを行うことができる。この際、バッテリ50を燃
料電池60よりも電源として優先的に使用することによ
り、一過性の電源である燃料電池の使用を抑制すること
ができる。従って、上記処理によれば、幅広い運転状態
で、電源を適切に使用することができる。また、バッテ
リ50の電力を積極的に使用することで、回生制動時に
充電するための余裕を確保しやすくなり、車両のエネル
ギ効率を向上することもできる。
【0187】さらに、上述のパワーアシスト制御処理に
よれば、バッテリ50の充電量が低くなった場合、燃料
電池60のみを電源とするのでなく、バッテリ50と燃
料電池60とを併用する。両者を併用することにより、
燃料電池60における低応答性をバッテリ50で補償す
ることができ、運転者の要求に応じた高い応答性でモー
タ20の駆動を実現することができる。
【0188】また、上述のパワーアシスト制御処理で
は、燃料電池用の残燃料量が所定値F3よりも低くなっ
た場合には、エンジン10の出力を増加する。かかる処
理を行うことにより、電源の有無による運転者への違和
感を抑制することができる。また、電源が使用できない
場合に、補機駆動用モータ80を用いた発電およびバッ
テリ50の充電は実行しない。こうすることにより、電
源が使用できない場合でも、エンジン10から十分なト
ルクを出力することができる。また、エンジン10の動
力を直接車軸に出力することにより、エンジン10から
出力される動力を一旦電力に置換した上で、モータ20
により再び動力に変換して出力する場合に比べて高効率
での運転が可能となる。
【0189】A6.停車・減速制御処理:図20は停車
・減速制御処理ルーチンのフローチャートである。停車
・減速制御処理ルーチンとは、車両が停車または減速中
において、燃料電池60を適切な運転状態に制御する処
理である。この処理も、制御ユニット70内のCPUが
所定の時間間隔で周期的に実行する処理である。この処
理が開始されると、CPUは車両の運転状態を入力する
(ステップS310)。図7で示した種々のセンサから
の入力がなされるが、特に、シフトポジション、車速、
アクセル開度、フットブレーキ、サイドブレーキ、燃料
電池温度、エンジン温度が以後の処理に関与する。
【0190】次に、CPUは停車・減速中であるか否か
を判定する(ステップS320)。停車・減速中である
か否かは種々の条件によって判断される。本実施例で
は、以下の諸条件のうち少なくとも一つが満足されるこ
とにより、停車・減速中であるものと判断している。つ
まり、「シフトポジションがNまたはPポジションであ
ること」、「フットブレーキまたはサイドブレーキがオ
ンになっていること」、「アクセル開度が全閉状態であ
ること」、「車速が低減していること」、「車速がほぼ
値0とみなせる範囲であること」の諸条件である。
【0191】これらの条件を全て満足していない場合に
は、車両は定常走行中または加速中であると判断され
る。従って、CPUは燃料電池60の運転状態を発電対
応モードに設定し(ステップS370)、停車・減速制
御処理ルーチンを終了する。発電対応モードとは、燃料
電池60に発電要求があった場合に速やかに発電を開始
できるよう、予め一定の電力を発電しておく運転モード
をいう。発電対応モードで出力すべき電力は、燃料電池
60に発電が要求された後、燃料電池の特性、実際に電
力が出力されるまでの立ち上がり遅れとして許容される
時間、燃料電池用の燃料量などに応じてそれぞれ適切な
値を設定することができる。本実施例のハイブリッド車
両では、既に説明した通り、それぞれの運転制御処理に
おいて、燃料電池60を必ずしも使用するとは限らない
ため、ステップS370を省略することもできる。
【0192】ステップS320において、停車・減速中
であると判定された場合、CPUは次に燃料電池の暖機
が必要であるか否かを判定する(ステップS330)。
燃料電池の温度が低い場合には、発電するまでに長時間
を要する。かかる状態では、燃料電池60を走行中に十
分活用することができない。従って、ステップS330
において、燃料電池60の温度が所定以下であり、暖機
が必要であると判定された場合には、燃料電池60の電
力の立ち上がり遅れが所定の範囲に入るよう、燃料電池
60の暖機処理を実行する(ステップS350)。具体
的には燃料電池60を一旦フル発電モードに設定して運
転を行う。なお、ここで出力される電力は、バッテリ5
0の充電や車両に搭載された種々の電力機器の稼働に使
用することができる。
【0193】ステップS330において燃料電池の暖機
が必要ないと判断された場合、CPUは次にエンジン1
0の暖機が必要であるか否かを判定する(ステップS3
40)。暖機の必要性は、エンジン10の水温が所定の
温度以上であるか否かによって判断される。エンジン1
0の暖機が必要であると判断された場合には、エンジン
10の暖機を行う。通常の車両では、エンジン10を所
定のアイドル回転数で運転することにより暖機を行う。
一般にかかる暖機方法は、燃費を低下させるとともにエ
ミッションを排出し環境面でも好ましくない。本実施例
では、エンジン10をモータ20でモータリングさせ、
エンジン10のシリンダで生じる摩擦およびポンピング
による発熱を利用してエンジン10の暖機を行う。この
ためには、モータ20を駆動する電力が必要である。従
って、CPUはステップS340においてエンジン10
の暖機が必要であると判断した場合には、電源確保のた
め、燃料電池をフル発電モードで駆動する(ステップS
350)。
【0194】一方、ステップS340においてエンジン
10の暖機が必要でないと判断された場合は、しばらく
の間は、電力が要求されないと判断される。従って、C
PUは燃料電池60をスタンバイモードで運転する(ス
テップS360)。スタンバイモードとは、発電対応モ
ード(ステップS370)と同様、所定の電力を出力す
るように燃料電池を運転するモードであるが、出力され
る電力を非常に小さい値に抑制したモードをいう。即
ち、燃料電池用の燃料の消費を抑制しつつ、燃料電池6
0の温度が低下し再び暖機が必要となることを防止する
程度の電力を出力するよう運転する。具体的な電力は、
燃料電池60の特性を考慮して、設定することができ
る。
【0195】なお、上記フローチャートでは、ステップ
S360において燃料電池60をスタンバイモードで運
転するものとして例示した。これに対し、ステップS3
60において、バッテリ50の残容量に応じて、燃料電
池60をスタンバイモードで運転する場合と運転を停止
する場合とを使い分けるものとしてもよい。即ち、バッ
テリ50の残容量が所定値以上である場合には、燃料電
池60の電力が早急に必要とされる可能性が低いため、
ステップS360において燃料電池を停止することがで
きる。バッテリ50の残容量が所定値よりも低い場合に
は、燃料電池60の電力が早急に必要とされる可能性が
あるため、ステップS360において燃料電池をスタン
バイモードで運転する。かかる使い分けの様子を以下に
具体的に示す。
【0196】図21は停車・減速制御処理における電源
の切り替えの様子を示す明図である。ここでは、バッテ
リ50の残容量に応じて燃料電池の運転状態を切り替え
る場合を例示した。所定のアクセル開度で走行中にアク
セルが全閉になった場合を例にとって、燃料電池出力、
バッテリ出力およびアクセル開度の時間変化を示した。
図中の実線はバッテリ50の残容量が所定値以上である
場合に対応し、一点鎖線はバッテリ50の残容量が所定
値よりも低い場合に対応する。
【0197】時刻d0において、アクセルが全閉になっ
たものとする。これにより、ステップS320において
停車・減速中であるとの判断条件が満足されたものとす
る。燃料電池60およびエンジン10の暖機は必要ない
状態にあるものとすると、先に示した制御処理に従っ
て、ステップS360の処理が実行される。
【0198】まず、バッテリ50の残容量が高い場合、
即ち図中の実線で示した状態について説明する。バッテ
リ50の残容量が高い場合、既に種々の運転モードで説
明した通り、バッテリ50が燃料電池60よりも優先的
に使用されるから、時刻d0以前はバッテリ50の出力
のみが所定値となっている。燃料電池60の出力は値0
のままである。時刻d0において停車・減速中であると
の判断条件が満足されると、電力が要求されなくなるか
ら、バッテリ50の出力は値0に低減する。一方、燃料
電池60も電力を要求される可能性が低いため、ステッ
プS360の処理として運転が停止される。従って、燃
料電池60の出力は値0を維持する。
【0199】時刻d1に至り、再びアクセルが踏み込ま
れると、ステップS340の停車・減速中であるとの判
断条件が満足されなくなる。従って、ハイブリッド車両
は、モータ20から動力を出力して走行する。バッテリ
50の残容量が高い場合には、モータ20はバッテリ5
0を電源として駆動される。従って、図示する通り、時
刻d1以降では、バッテリ出力が所定の値まで上昇す
る。燃料電池60の電力は使用されないため、値0を維
持する。
【0200】次にバッテリ50の残容量が低い場合につ
いて説明する。図中の一点鎖線に該当する。残容量が低
いため、バッテリ50の電力は使用されない。時刻d0
以前では、燃料電池60から所定の電力が出力され、バ
ッテリ50の出力は値0となる。
【0201】時刻d1においてアクセルが全閉となり、
停車・減速中であると判断されると、先に示したフロー
チャート(図20)のステップS360の処理が実行さ
れる。バッテリ50の残容量が低い場合には、燃料電池
60から電力を速やかに出力する必要が生じる可能性が
あるため、燃料電池60はスタンバイモードで運転され
る。即ち、燃料電池60は微少な電力を出力し続ける。
バッテリ50の出力は値0が維持される。
【0202】時刻d1において、再びアクセルが踏み込
まれると、ハイブリッド車両はモータ20を駆動して走
行する。モータ20は燃料電池60を電源として駆動さ
れる。従って、図示する通り、燃料電池60の出力は時
刻d1以降で所定の値まで増加する。バッテリ50の電
力は使用されないため、値0を維持する。燃料電池60
は時刻d0〜d1の間でスタンバイモードで運転されて
いるため、電力を比較的速やかに出力することができ
る。なお、ここでは、バッテリ50の電力を一切使用し
ない場合を例示した。これに対し、先に説明した種々の
運転モードに準じて、燃料電池60から十分な電力が出
力されるまでの過渡期において、残容量で許容される範
囲でバッテリ50の電力を併用するものとしてもよい。
【0203】以上で説明した停車・減速制御処理によれ
ば、走行中など燃料電池60の電力が要求される可能性
が高い場合には、発電対応モード(図20のステップS
370)で運転することができる。この結果、燃料電池
60の電力の立ち上がり遅れを短縮することができる。
【0204】一方、上述の停車・減速制御処理では、燃
料電池60の電力が要求される可能性が低い場合には、
燃料電池60をスタンバイモードで運転する(図20の
ステップS360)。この結果、燃料電池用の燃料の浪
費を回避できる。また、燃料電池60の運転状態をバッ
テリ50の残容量に応じて停止またはスタンバイモード
で切り替えることもできる。こうすれば、さらに燃料電
池用の燃料の浪費を回避することができる。
【0205】図20のフローチャートでは、停車・減速
中であると判断された場合に燃料電池60をスタンバイ
モードで運転する例を示した。上記制御処理は、燃料電
池60の電力が要求され得る場合には速やかに対応可能
な状態で燃料電池60を運転し、電力が要求される可能
性が低い場合には燃料の消費を抑えた状態で燃料電池6
0を運転するものである。上述のフローチャートでは、
電力が要求される可能性が低い場合の一例として停車・
減速中を挙げたに過ぎない。かかる場合に限らず、出力
する動力を増大する可能性が低いと予測される場合には
同様の処理を適用することができる。
【0206】例えば、ハイブリッド車両が走行する予定
経路の交通情報を取得するシステムを搭載している場合
には、かかる制御を停車・減速中に限らず走行中にまで
実行することも可能である。近年では、人工衛星からの
信号に基づき車両の位置を地図上で特定するとともに、
外部から送信される交通情報に基づき走行する予定経路
が渋滞しているか否かを検知することが可能なシステム
が提案されている。走行する予定経路が渋滞していると
判断される場合には、ハイブリッド車両の動力を急激に
増大する要求が生じる可能性は低い。従って、図20の
処理のステップS320において、「予定経路が渋滞し
ていること」という判定条件を加えるものとしてもよ
い。こうすれば、渋滞している場合には、燃料電池60
をスタンバイモードで運転することができ、燃料の消費
を抑制することができる。その他、予定経路が降坂路で
ある場合など種々の条件に応じて、燃料電池60をスタ
ンバイモードとすることができる。
【0207】以上で説明した本実施例のハイブリッド車
両によれば、それぞれの制御処理で説明した通り、バッ
テリ50および燃料電池60という2種類の電源を運転
状態に応じて適切に使い分けることができる。また、モ
ータ20およびエンジン10という2種類の動力源を適
切に使い分けることができる。この結果、燃費および環
境性に優れた運転を実現することができる。
【0208】A7.第1変形例:上述の実施例では、エ
ンジン10とモータ20とを動力源として選択的に使用
する場合を例示した。両者を共に駆動するのは、アクセ
ルが急激に踏み込まれた場合に実行するパワーアシスト
制御処理(図18)のみであった。これに対し、予めア
クセル開度が所定以上の場合にはエンジン10とモータ
20とを共に駆動するよう制御することも可能である。
かかる場合の制御処理を第1変形例として説明する。
【0209】第1変形例では、動力源および変速段の関
係につき、図8〜図11で示したマップと異なる設定の
マップを使用する。図22は第1変形例について変速段
の切り替えの様子を示す説明図である。シフトポジショ
ンが、Dポジション、4ポジション、3ポジションの場
合に対応するマップである。モータ20を動力源として
走行するEV領域の設定および変速機100の変速段の
設定は、図8の場合と同じである。第1変形例のマップ
では、アクセル開度が高い所定の範囲でMGアシスト領
域が設定されている点で、実施例のマップと相違する。
MGアシスト領域とは、エンジン10およびモータ20
の双方を駆動して高トルクを出力する領域をいう。実施
例におけるパワーアシストに相当する運転状態である。
第1変形例では、マップに予め設定されているため、ア
クセルが急激に踏み込まれているか否かに関わらず、所
定以上の開度で踏み込まれた場合にMGアシスト運転が
実行される。
【0210】MGアシスト領域は、それぞれのシフトポ
ジションで設定されている。図23は第1変形例につい
て2ポジションにおける変速段の切り替えの様子を示す
説明図である。MG領域および変速段の設定は、実施例
の場合(図9)と同じである。第1変形例のマップで
は、2ポジションにおいても、アクセル開度が高い所定
の範囲でMGアシスト領域が設定されている。MGアシ
スト領域の設定は、Dポジション等(図22)の場合と
同じに設定した。もちろん、シフトポジションに応じて
異なる範囲に設定することも可能である。
【0211】図24は第1変形例についてLポジション
における変速段の切り替えの様子を示す説明図である。
MG領域および変速段の設定は、実施例の場合(図1
0)と同じである。LポジションにおけるMGアシスト
領域も、Dポジション等(図22)の場合と同じに設定
した。図25は第1変形例についてRポジションにおけ
る変速段の切り替えの様子を示す説明図である。MG領
域および変速段の設定は、実施例の場合(図9)と同じ
である。第1変形例のマップでは、Rポジションにおい
ても、アクセル開度が高い所定の範囲でMGアシスト領
域が設定されている。Rポジションでは高トルクが要求
される可能性は低いため、RポジションではMGアシス
ト領域を設けない設定とすることも可能である。
【0212】図26は第1変形例におけるパワーアシス
ト制御処理ルーチンのフローチャートである。図22〜
図25中のMGアシスト領域において電源の使い分けお
よび動力源の制御を行う処理である。この処理も、実施
例と同様、制御ユニット70内のCPUが所定の時間間
隔で周期的に実行する処理である。この処理が開始され
ると、CPUは車両の運転状態を入力する(ステップS
410)。図7で示した種々のセンサからの入力がなさ
れるが、特に、シフトポジション、車速、アクセル開
度、バッテリ残容量SOC、燃料電池用の残燃料量FC
Lが以後の処理に関与する。
【0213】次に、CPUはアクセル開度θが所定の値
θL以上であるか否かを判定する(ステップS42
0)。所定の値θLは、シフトポジションに応じて設定
された図22〜図25のマップ中のMGアシスト領域に
おける下限のアクセル開度で一般に高トルクは登坂路や
高速走行時などに要求される。かかる場合には、アクセ
ル開度が大きくなる。第1変形例における図22〜図2
5のマップでは、かかる場合に高トルクが出力されるよ
うにMGアシスト領域が設定されている。アクセル開度
θが所定の値θLよりも小さい場合には、高トルクが要
求されていないことを意味する。かかる場合には、さら
にモータ20を駆動するパワーアシストは要求されな
い。従って、CPUは以後の処理を行わずにパワーアシ
スト制御処理ルーチンを終了する。
【0214】ステップS420において、アクセル開度
θが所定の値θL以上である場合には、MGアシスト領
域に該当し、高トルクが要求されていると判断する。C
PUは原則としてモータ20によるパワーアシストを実
行する。CPUはモータ20を駆動するための電源とし
て、バッテリ50と燃料電池60とを使い分けるための
処理を行う。これら2つの電源の使い分けを行うため
に、CPUは、バッテリ50の残容量SOCが所定の値
LO4以上であるか否かを判定する(ステップS43
0)。所定の値LO4の設定については後述する。
【0215】残容量SOCが所定の値LO4以上である
場合には、バッテリ50の充電状態が高いため、バッテ
リ50を電源として、モータ20を駆動するための処理
を行う(ステップS450、S470)。まず、電源の
切替スイッチ83を制御して、バッテリ50とモータ2
0とを接続する。また、モータ20の運転の可否を示す
フラグをオンにするとともに、モータ20の目標運転状
態、即ち目標回転数と目標トルクとを予め設定された値
に特定する。目標回転数は、ステップS410で入力さ
れた車速に変速機100の変速比およびディファレンシ
ャルギヤの変速比などを乗じることで特定される。目標
トルクは、車速とアクセル開度の変化率とに応じて予め
設定されたマップによって特定される。これらの目標運
転状態が、別途用意された制御処理に受け渡されること
により、モータ20は該目標運転状態で運転される。な
お、この場合、エンジン10は従前の状態での運転を継
続する。
【0216】ステップS430において、バッテリ50
の残容量SOCが所定の値LO4よりも小さい場合に
は、充電状態が低いと判断し、バッテリ50の電力の使
用を回避する。従って、CPUは燃料電池60が電源と
して使用可能であるか否かの判断を行う。この判断とし
て、CPUは燃料電池用の残燃料量FCLが所定の値F
4以上であるか否かを判断する(ステップS440)。
所定の値F4の設定については後述する。残燃料量FC
Lが値F4以上である場合には、燃料電池60が電源と
して使用可能であると判断し、CPUは燃料電池60を
電源として、モータ20を駆動するための処理を行う
(ステップS460,S470)。まず、電源の切替ス
イッチ83を制御して、燃料電池60とモータ20とを
接続する。また、モータ20の運転の可否を示すフラグ
をオンにするとともに、モータ20の目標運転状態、即
ち目標回転数と目標トルクとを予め設定された値に特定
する。目標運転状態の設定についてはバッテリ50を電
源とする場合と同じである。また、この場合も、エンジ
ン10は従前の状態での運転を継続する。
【0217】ここで、第1変形例では、燃料電池60を
直接電源として使用するものとして説明した。先に実施
例で説明したパワーアシスト制御処理(図18)と同
様、燃料電池60でバッテリ50を充電するものとして
もよい。第1変形例において燃料電池60を直接電源と
して使用するものとしたのは、モータ20の動力の変動
が比較的緩やかであるためである。つまり、第1変形例
のパワーアシスト処理は、予め設定された所定以上の開
度でアクセルが踏み込まれている場合に実行される処理
である。これは、定常的に高トルクが要求されている場
合に相当する。かかる場合には、モータ20から定常的
なトルクを出力してエンジン10をアシストすればよ
い。従って、燃料電池60の応答性が低い点が車両の応
答性に与える影響は比較的低い。一方、燃料電池60の
電力は、一旦バッテリ50に蓄えてからモータ20の駆
動に使用するよりも、直接モータ20の駆動に使用した
方が効率がよい。第1変形例では、車両の応答性と運転
効率の双方に鑑み、燃料電池60の電力を直接モータ2
0の駆動に使用するものとした。
【0218】ステップS440において、燃料電池の残
燃料量FCLが所定の値F4よりも低い場合には、燃料
電池60を電源として使用することを回避する。かかる
場合には、使用可能な電源が存在しないことになる。従
って、CPUはエンジン10から出力されるトルクを増
大するための処理を行う。第1変形例では変速段を低速
側に変速するものとした(ステップS480)。可能で
あれば、エンジン10の出力を増大するものとしてもよ
い。但し、第1変形例のパワーアシスト制御は、既にエ
ンジン10から高い動力が出力されている状態で実行さ
れるため、エンジン10の出力には余裕がない可能性が
高い。第1変形例では、かかる観点から変速段の切り替
えによって高トルクを出力させるものとした。電源を使
用できない場合にかかる制御を行うのは、電源のいかん
に関わらず、ほぼ一定の応答性が得られるようにするた
めである。CPUは、以上の処理を繰り返し実行するこ
とでパワーアシストを実行する。
【0219】図27はパワーアシスト制御処理における
電源の切り替えの様子を示す説明図である。エンジン走
行中にアクセルが所定以上の開度で踏み込まれた場合を
例にとって、モータ出力、バッテリ出力および燃料電池
出力の時間変化を示した。時刻e0において、パワーア
シストの要求がなされたものとする。上記フローチャー
トのステップS430において、アクセル開度θが所定
値θL以上であると判断された場合に相当する。
【0220】パワーアシストが要求されると、時刻e0
以降に図示する通り、モータ20の出力が増大する。実
際には、アクセルの踏み込み状態に応じてモータ20の
出力は変動するが、ここでは一定値まで出力が増大する
ものとして示した。時刻e0の時点では、バッテリ50
の電力が十分であったものとする。この時点では、燃料
電池出力は値0のままである。
【0221】時刻e2において、バッテリ50の残容量
が値LO4よりも低くなったものとする。この時点で、
燃料電池60の運転が開始され、図中に一点鎖線で示す
ように燃料電池から電力が出力される。燃料電池60の
出力が増大するにつれて、バッテリ50の出力は低下す
る。時刻e3では、電源は完全に燃料電池60に切り替
わる。バッテリ50の残容量が高い場合の様子を実線で
示した。バッテリ50の出力はモータ20の動力に応じ
た値で維持され、燃料電池60の出力は値0で維持され
る。
【0222】ここで、上述の処理で用いられたF4(ス
テップS440)の設定について説明する。所定の値F
4は燃料電池60を電源として使用するか否かの基準と
なる値であり、値0以上の範囲で任意に設定可能であ
る。値0に設定すれば、燃料が残っている限り、燃料電
池60を電源として使用することになる。EV走行制御
処理における値F4と同様、ここでは他の運転モードを
考慮して、正の所定値に設定した。パワーアシスト制御
処理では燃料電池を用いる必要性が低いと考えられるた
め、パワーアシスト制御処理で用いる値F4は、EV走
行制御処理における値F1よりも高い値に設定した。
【0223】次に、上述の処理で用いられたLO4(ス
テップS430)の設定について説明する。所定の値L
O4はステップS430で説明した通り、バッテリ50
を電源として使用するか否かの基準となる値である。所
定の値LO4については、値0以上の範囲で任意に設定
可能である。値0に設定すれば、バッテリ50に電力が
残っている限り、バッテリ50を電源として使用するこ
とになる。但し、基準値LO4を極端に低い値に設定す
ると、燃料電池60での発電に切り替えられた直後の車
両の応答性が低下する可能性がある。モータ20でパワ
ーアシストを行う際には、比較的高い電力が要求され
る。基準値LO4を極端に小さい値に設定した場合に
は、燃料電池60での電力の立ち上がり遅れを補償して
十分な電力をモータ20に供給できなくなる可能性があ
る。変形例では、かかる点を考慮して、基準値LO4を
EV走行制御における基準値LO1よりも高い値に設定
した。
【0224】以上で説明したパワーアシスト制御処理に
よれば、エンジン走行領域においてバッテリ50と燃料
電池60とを使い分けてモータ20を駆動し、パワーア
シストを行うことができる。この際、バッテリ50を燃
料電池60よりも電源として優先的に使用することによ
り、一過性の電源である燃料電池の使用を抑制すること
ができる。従って、上記処理によれば、幅広い運転状態
で、電源を適切に使用することができる。また、バッテ
リ50の電力を積極的に使用することで、回生制動時に
充電するための余裕を確保しやすくなり、車両のエネル
ギ効率を向上することもできる。
【0225】また、上述のパワーアシスト制御処理で
は、燃料電池用の残燃料量が所定値F4よりも低くなっ
た場合には、エンジン10の出力を増加する。かかる処
理を行うことにより、電源の有無による運転者への違和
感を一定の範囲で抑制することができる。電源が使用で
きない場合に、補機駆動用モータ80を用いた発電およ
びバッテリ50の充電は実行しない。こうすることによ
り、電源が使用できない場合でも、エンジン10から十
分なトルクを出力することができる。また、エンジン1
0の動力を直接車軸に出力することにより、エンジン1
0から出力される動力を一旦電力に置換した上で、モー
タ20により再び動力に変換して出力する場合に比べて
高効率での運転が可能となる。
【0226】A8.第2変形例:上述の実施例および第
1変形例では、アクセル操作に基づいてパワーアシスト
制御処理を実行する場合を例示した。これに対し、スイ
ッチにより、パワーアシスト制御を実行するか否かを、
運転者が任意に選択できるように制御することも可能で
ある。かかる場合の制御処理を第2変形例として説明す
る。
【0227】第2変形例では、動力源および変速段の関
係につき、2種類のマップを使用する。一つは図8〜図
11に示した通常のマップである。もう一つは、パワー
モードに対応したマップである。パワーモードとは、各
車速およびアクセル開度で通常よりも高いトルクを出力
するように設定された運転モードをいう。図8〜図11
1の各マップにおいて、低速側の変速段を使用する範囲
をそれぞれ広げて設定されたマップがパワーモードに対
応する。パワーモードでの運転は、運転者がシフトレバ
ー近傍のスポーツモードスイッチ161がオンになった
場合に実行される。第2変形例では、パワーモードがオ
ンになった場合には、エンジン10の動力をモータ20
でアシストするものとした。かかる場合における電源お
よび動力源の使い分けについて説明する。なお、ここで
は変速機100がスポーツモードで変速される場合にパ
ワーモード制御処理を実行するものとしているが、この
他、変速機100を運転者がマニュアルで切り替え可能
な運転モードが選択された場合にパワーモード制御処理
を実行するものとしてもよい。
【0228】図28はパワーモード制御処理ルーチンの
フローチャートである。スポーツモードスイッチ161
がオンになった場合に電源の使い分けおよび動力源の制
御を行う処理である。この処理も、実施例と同様、制御
ユニット70内のCPUが所定の時間間隔で周期的に実
行する処理である。この処理が開始されると、CPUは
車両の運転状態を入力する(ステップS510)。図7
で示した種々のセンサからの入力がなされるが、特に、
シフトポジション、車速、アクセル開度、バッテリ残容
量SOC、燃料電池用の残燃料量FCLが以後の処理に
関与する。
【0229】次に、CPUはパワーモードが選択されて
いるか否かを判定する(ステップS520)。この判定
は、スポーツモードスイッチ161がオンになっている
か否かに基づいて行われる。パワーモードが選択されて
いない場合には、モータ20を駆動するパワーアシスト
は実行されない。従って、CPUは以後の処理を行わず
にパワーモード制御処理ルーチンを終了する。
【0230】ステップS520において、パワーモード
が選択されていると判断された場合には、CPUはモー
タ20によるパワーアシストを実行する。このための処
理として、CPUはモータ20を駆動する電源として、
バッテリ50と燃料電池60とを使い分けるための処理
を行う。これら2つの電源の使い分けを行うために、C
PUは、バッテリ50の残容量SOCが所定の値LO5
以上であるか否かを判定する(ステップS530)。所
定の値LO5の設定については後述する。
【0231】残容量SOCが所定の値LO5以上である
場合には、バッテリ50の充電状態が高いため、バッテ
リ50を電源として、モータ20を駆動するための処理
を行う(ステップS550、S570)。まず、電源の
切替スイッチ83を制御して、バッテリ50とモータ2
0とを接続する。また、モータ20の運転の可否を示す
フラグをオンにするとともに、モータ20の目標運転状
態、即ち目標回転数と目標トルクとを予め設定された値
に特定する。目標回転数は、ステップS510で入力さ
れた車速に変速機100の変速比およびディファレンシ
ャルギヤの変速比などを乗じることで特定される。目標
トルクは、車速とアクセル開度の変化率とに応じて予め
設定されたマップによって特定される。これらの目標運
転状態が、別途用意された制御処理に受け渡されること
により、モータ20は該目標運転状態で運転される。な
お、この場合、エンジン10は従前の状態での運転を継
続する。
【0232】ステップS530において、バッテリ50
の残容量SOCが所定の値LO5よりも小さい場合に
は、充電状態が低いと判断し、バッテリ50の電力の使
用を回避する。従って、CPUは燃料電池60が電源と
して使用可能であるか否かの判断を行う。この判断とし
て、CPUは燃料電池用の残燃料量FCLが所定の値F
5以上であるか否かを判断する(ステップS540)。
所定の値F5の設定については後述する。残燃料量FC
Lが値F5以上である場合には、燃料電池60が電源と
して使用可能であると判断し、CPUは燃料電池60を
電源として、モータ20を駆動するための処理を行う
(ステップS560,S570)。まず、電源の切替ス
イッチ83を制御して、燃料電池60とモータ20とを
接続する。また、モータ20の運転の可否を示すフラグ
をオンにするとともに、モータ20の目標運転状態、即
ち目標回転数と目標トルクとを予め設定された値に特定
する。目標運転状態の設定についてはバッテリ50を電
源とする場合と同じである。また、この場合も、エンジ
ン10は従前の状態での運転を継続する。
【0233】ステップS540において、燃料電池の残
燃料量FCLが所定の値F5よりも低い場合には、燃料
電池60を電源として使用することを回避する。かかる
場合には、使用可能な電源が存在しないことになる。従
って、CPUはパワーモードを解除する(ステップS5
80)。実施例および第1変形例のパワーアシスト処理
(図18,図26)と異なり、エンジン10の出力を増
大する処理を行わないのは、パワーモードが運転者の意
志によって選択されたモードであることを考慮したもの
である。パワーアシストモード(図18、図26)は、
アクセル操作に応じて運転者の意図に関わらず実行され
る運転モードである。従って、電源の有無に関わらず、
一定の応答性を実現する必要がある。これに対し、パワ
ーモードは運転者が任意に選択するモードである。従っ
て、電源が使用できない場合には、パワーモードの選択
が許可されない旨を運転者に報知することにより、違和
感のない運転を実現することができる。第2変形例で
は、ステップS580でパワーモードを解除すると同時
に、運転席正面の計器板のスポーツモードインジケータ
222を点滅させることで、該モードの解除を報知す
る。もちろん、ステップS580においてエンジン10
から出力されるトルクを増大する処理を実行するものと
しても構わない。
【0234】図29はパワーモード制御処理における電
源の切り替えの様子を示す説明図である。走行中にスポ
ーツモードスイッチ161が操作された場合を例にとっ
て、燃料電池出力、バッテリ出力およびアクセル開度の
時間変化を示した。時刻f0において、スポーツモード
スイッチがオンにされ、パワーモードが設定されたもの
とする。パワーモードが設定されると燃料電池60は電
力が要求される可能性があるため、スタンバイモードと
して、図中の時刻f0以降に示すように少量の電力を出
力する状態で運転される。
【0235】時刻f1以降でアクセルが踏み込まれる
と、これに伴い、モータ20の要求出力が増大する。こ
の時点でバッテリ50の残容量が高い場合には、モータ
20に電力を供給するため、バッテリ50の出力も増大
する。バッテリ50が電源として使用されるため、燃料
電池60はスタンバイモードでの運転を維持する。
【0236】時刻f4以降でもバッテリ50の残容量が
高い場合には、図中の実線で示すようにバッテリ50の
出力はアクセル開度に応じた値を維持し、燃料電池60
はスタンバイモードでの運転を維持する。一方、時刻f
4以降でバッテリ50の残容量が低くなった場合を一点
鎖線で示した。バッテリ50の残容量が低下すると、電
源は燃料電池60に切り替えられる。図示する通り、時
刻f4以降で燃料電池60の出力が増大する。これに伴
いバッテリ50の出力は値0まで低下する。
【0237】ここで、上述の処理で用いられたF5(ス
テップS540)の設定について説明する。所定の値F
5は燃料電池60を電源として使用するか否かの基準と
なる値であり、値0以上の範囲で任意に設定可能であ
る。値0に設定すれば、燃料が残っている限り、燃料電
池60を電源として使用することになる。EV走行制御
処理における値F5と同様、ここでは他の運転モードを
考慮して、正の所定値に設定した。パワーモード制御処
理では燃料電池を用いる必要性が低いと考えられるた
め、パワーモード制御処理で用いる値F5は、EV走行
制御処理における値F1よりも高い値に設定した。
【0238】次に、上述の処理で用いられたLO5(ス
テップS530)の設定について説明する。所定の値L
O5はステップS530で説明した通り、バッテリ50
を電源として使用するか否かの基準となる値である。所
定の値LO5については、値0以上の範囲で任意に設定
可能である。値0に設定すれば、バッテリ50に電力が
残っている限り、バッテリ50を電源として使用するこ
とになる。但し、基準値LO5を極端に低い値に設定す
ると、燃料電池60での発電に切り替えられた直後の車
両の応答性が低下する可能性がある。モータ20でパワ
ーアシストを行う際には、比較的高い電力が要求され
る。基準値LO5を極端に小さい値に設定した場合に
は、燃料電池60での電力の立ち上がり遅れを補償して
十分な電力をモータ20に供給できなくなる可能性があ
る。変形例では、かかる点を考慮して、基準値LO5を
EV走行制御における基準値LO1よりも高い値に設定
した。
【0239】以上で説明したパワーモード制御処理によ
れば、エンジン走行領域において運転者の意志に応じ
て、バッテリ50と燃料電池60とを使い分けてモータ
20を駆動し、パワーアシストを行うことができる。図
30はパワーモードにおいて出力される動力の様子を示
す説明図である。図示する通り、アクセル開度に応じて
エンジン10からのトルクに上乗せして、モータ20の
トルクが出力される。駆動軸には図中の実線で示したト
ルクが出力されることになる。実施例および第1変形例
で示したパワーアシストに対し、全アクセル開度におい
てモータ20からのトルクが上乗せされる点が相違す
る。このようにモータ20からのトルクを付加すること
により、運転者の意志に応じて加速性を向上することが
でき、ハイブリッド車両の操作性を高めることができ
る。
【0240】また、パワーアシストをする際、バッテリ
50を燃料電池60よりも電源として優先的に使用する
ことにより、一過性の電源である燃料電池の使用を抑制
することができる。従って、上記処理によれば、他の運
転モードにおける燃料電池60の使用を確保することが
でき、幅広い運転状態で、電源を適切に使用することが
できる。また、バッテリ50の電力を積極的に使用する
ことで、回生制動時に充電するための余裕を確保しやす
くなり、車両のエネルギ効率を向上することもできる。
【0241】また、上述のパワーモード制御処理では、
燃料電池用の残燃料量が所定値F5よりも低くなった場
合には、パワーモードを解除する(ステップS58
0)。また、これと同時にパワーモードの解除を運転者
に報知する。かかる処理を行うことにより、動力の浪費
を抑えて燃費を向上することができるとともに、運転者
にとって違和感のない運転を実現することができる。電
源が使用できない場合に、補機駆動用モータ80を用い
た発電およびバッテリ50の充電は実行しない。こうす
ることにより、電源が使用できない場合でも、エンジン
10から十分なトルクを出力することができる。また、
エンジン10の動力を直接車軸に出力することにより、
エンジン10から出力される動力を一旦電力に置換した
上で、モータ20により再び動力に変換して出力する場
合に比べて高効率での運転が可能となる。
【0242】B.第2実施例:次に、第2実施例として
のハイブリッド車両について説明する。第1実施例およ
びその変形例では、一の車軸にのみ動力を出力して走行
するハイブリッド車両を例示した。本発明はかかる場合
に限らず、二の車軸に動力を出力して走行するハイブリ
ッド車両、いわゆる四輪駆動するハイブリッド車両に適
用することもできる。四輪駆動するハイブリッド車両に
適用した場合を第2実施例として以下に示す。
【0243】図31は第2実施例のハイブリッド車両の
概略構成を示す説明図である。第2実施例では2つの車
軸17、17Aの双方に動力を出力可能な構成になって
いる点で第1実施例と相違する。第2実施例では、車軸
17Aへの動力の出力を運転者が任意に操作することが
できるものとした。つまり、シフトレバー160近傍に
図5で示したスポーツモードスイッチ163に代えて四
輪駆動を指定するための4WDモードスイッチを設け、
該スイッチがオンになった場合のみ車軸17,17Aの
双方に動力が出力されるものとした。4WDモードスイ
ッチがオフの場合には第1実施例の車両と同様、車軸1
7にのみ動力が出力される。もちろん、かかる構成は必
須ではなく、車軸17、17Aの双方に常時動力が出力
される構成とすることも可能である。
【0244】車軸17に動力を出力するための構成は、
第1実施例と同じである。即ち、エンジン10、モータ
20、トルクコンバータ30および変速機100が直列
に結合された構成となっている。モータ20への電力は
第1実施例と同様、バッテリ50および燃料電池60の
それぞれから供給可能となっている。
【0245】車軸17Aに動力を出力するための構成は
次の通りである。車軸17Aにはディファレンシャルギ
ヤ16Aを介してモータ20Aが結合されている。モー
タ20Aはモータ20と同様、三相同期モータである。
モータ20Aにはバッテリ50、燃料電池60および補
機駆動用モータ80の3種類から電力を供給することが
できる。バッテリ50および燃料電池60の電力は、そ
れぞれ駆動回路51A,52Aを介してモータ20Aに
供給される。駆動回路51A,52Aは駆動回路51,
52と同様、トランジスタインバータで構成されてい
る。補機駆動用モータ80はエンジン10の動力によっ
て発電することができる。モータ20Aには補機駆動用
モータ80で発電された電力を直接供給することが可能
となっている。
【0246】モータ20Aに電力を供給する電源は、切
替スイッチ85,86の接続状態により切り替えること
ができる。図示する通り、切替スイッチ86を切り替え
ることにより、バッテリ50および燃料電池60側と補
機駆動用モータ80側との間で電源を切り替えることが
できる。切替スイッチ85を切り替えることにより、バ
ッテリ50と燃料電池60との間で電源を切り替えるこ
とができる。
【0247】なお、車軸17、17Aはいずれを前車軸
および後車軸としても構わない。エンジン10が車両の
前方に搭載されている場合、車軸17側を後車軸として
構成すれば、エンジン10からの機械的な動力を車体を
縦断して後車軸に伝達するためのプロペラシャフトが必
要となる。これに対し、車軸17A側を後車軸として構
成すれば、プロペラシャフトが不要となる。従って、エ
ンジン10と車軸17とを近接させる構成を採ることに
より、動力系統の構成を比較的簡易なものにすることが
できる利点がある。
【0248】第2実施例において、車軸17側の動力源
および電源の使い分けに関しては、第1実施例で説明し
た種々の制御処理をそのまま適用することができる。こ
こでは、車軸17A側に動力を出力するモータ20Aの
駆動に使用される電源の使い分けについて説明する。
【0249】図32は四輪駆動制御処理ルーチンのフロ
ーチャートである。制御ユニット70内のCPUが所定
の時間間隔で周期的に実行する処理である。この処理が
開始されると、CPUは車両の運転状態を入力する(ス
テップS610)。図7で示した種々のセンサからの入
力がなされるが、特に、4WDモードスイッチ、シフト
ポジション、車速、アクセル開度、バッテリ残容量SO
C、燃料電池用の残燃料量FCLが以後の処理に関与す
る。
【0250】次に、4WDモードが選択されているか否
かを判定する(ステップS620)。この判定は、4W
Dモードスイッチのオン・オフに基づいてなされる。4
WDモードが選択されていない場合には、モータ20A
は駆動しない。従って、かかる場合には、CPUは以後
の処理を行わずに四輪駆動制御処理ルーチンを終了す
る。
【0251】ステップS620において、4WDモード
が選択されていると判断された場合には、CPUはモー
タ20Aの電源を使い分けるための処理を行う。先に説
明した通り、モータ20Aには3種類の電源が存在す
る。これら3つの電源の使い分けを行うために、CPU
は、バッテリ50の残容量SOCが所定の値LO6以上
であるか否かを判定する(ステップS630)。所定の
値LO6の設定については後述する。
【0252】残容量SOCが所定の値LO6以上である
場合には、バッテリ50の充電状態が高いため、バッテ
リ50を電源として、モータ20Aを駆動するための処
理を行う(ステップS650)。まず、電源の切替スイ
ッチ85,86を制御して、バッテリ50とモータ20
Aとを接続する。また、モータ20Aの運転の可否を示
すフラグをオンにするとともに、モータ20Aの目標運
転状態、即ち目標回転数と目標トルクとを特定する。本
実施例では、モータ20Aの運転自体は、別途用意され
たルーチンで実行するものとしているため、ここでは、
該ルーチンに受け渡すデータの設定を行うのである。目
標回転数は、ステップS610で入力された車速に変速
機100の変速比およびディファレンシャルギヤの変速
比などを乗じることで特定される。目標トルクは、車速
とアクセル開度とに応じて予め設定されたマップによっ
て特定される。これらの目標運転状態が、別途用意され
た制御処理に受け渡されることにより、モータ20Aは
該目標運転状態で運転される。
【0253】ステップS630において、バッテリ50
の残容量SOCが所定の値LO6よりも小さい場合に
は、充電状態が低いと判断し、バッテリ50の電力の使
用を回避する。従って、CPUは燃料電池60が電源と
して使用可能であるか否かの判断を行う。この判断とし
て、CPUは燃料電池用の残燃料量FCLが所定の値F
6以上であるか否かを判断する(ステップS640)。
所定の値F6の設定については後述する。残燃料量FC
Lが値F6以上である場合には、燃料電池60が電源と
して使用可能であると判断し、CPUは燃料電池60を
電源として、モータ20Aを駆動するための処理を行う
(ステップS660〜S680)。同時にモータ20A
の目標運転状態を設定する。モータ20Aの目標運転状
態の設定方法は、ステップS650と同じである。
【0254】燃料電池60を電源としてモータ20Aを
駆動する場合には、燃料電池60の電力の立ち上がり遅
れを考慮し、バッテリ50と燃料電池60とを徐々に切
り替える制御を行っている。処理の内容自体は第1実施
例とほぼ同等であるが、ここでは改めてフローチャート
を示す。燃料電池60を電源とする場合、CPUは燃料
電池60から十分な電力が出力されるまでの過渡期に該
当するか否かを判定する(ステップS660)。この判
定は、燃料電池60に対する電力の要求値と、実際に燃
料電池60から出力される電力との偏差に基づいて行わ
れる。この偏差が、所定の範囲よりも大きい場合には、
過渡期と判断されるし、小さい場合には過渡期ではない
と判断される。
【0255】燃料電池60からの出力が過渡期に該当す
ると判断された場合には、CPUは燃料電池60および
バッテリ50の双方を電源としてモータ20Aを駆動す
る(ステップS670)。既に第1実施例でも説明した
通り、要求電力と、実際に燃料電池60から出力される
電力との偏差をバッテリ50からの電力で補償するので
ある。これに対し、燃料電池60の運転が過渡期でない
と判断された場合には、燃料電池60から十分な電力が
出力可能であるから、燃料電池60のみを電源としてモ
ータ20Aを駆動する(ステップS680)。
【0256】ステップS640において、燃料電池の残
燃料量FCLが所定の値F6よりも低い場合には、燃料
電池60を電源として使用することを回避する。かかる
場合には、発電機、即ち補機駆動用モータ80を電源と
してモータ20Aを駆動する(ステップS690)。こ
のため、補機駆動用モータ80を回生すべき電力に応じ
た運転状態で運転する。負のトルクで運転が行われるこ
とになる。補機駆動用モータ80はエンジン10の動力
で駆動されるから、同時にエンジン10の要求動力を増
大する。CPUは、以上の処理を繰り返し実行すること
で4WDモードでの運転を制御する。
【0257】図33は四輪駆動制御処理における各動力
源および電源の出力の変化を示す説明図である。走行中
に4WDモードが指定された場合を例にとって、モータ
出力、バッテリ出力、燃料電池出力および発電機出力の
時間変化を示した。時刻g0において、4WDモードが
選択されたとする。また、この時点では、バッテリ50
の残容量SOCがLO6以上残っているものとする。か
かる状態では、バッテリ50を電源としてモータ20A
の駆動が行われるから、時刻g0以降で、モータ出力お
よびバッテリ出力が所定の状態まで上昇する。燃料電池
60および発電機は使用されないため、出力は値0のま
まである。
【0258】時刻g1に達した時点で、バッテリ50の
残容量が所定の値LO6よりも低くなったとする。この
場合には、バッテリ50から燃料電池60に電源を切り
替えてモータ20Aが駆動される。燃料電池60は時刻
g1から運転が開始されるが、電力の立ち上がりは比較
的遅く、十分な電力を出力するのは時刻g2に至ってか
らである。時刻g1〜g2の区間が過渡期となる。過渡
期では、燃料電池60の電力の不足を補償するようにバ
ッテリ50の電力が使用される。従って、図示する通
り、時刻g1〜g2の区間で燃料電池60の出力が徐々
に増大するとともに、バッテリ50の電力は徐々に低減
する。時刻g2に至った後は、燃料電池60のみを電源
としてモータ20Aが駆動される。
【0259】時刻g4において燃料電池用の残燃料量が
所定の値F6よりも低くなったものとする。かかる状態
では、電源を燃料電池60から発電機に切り替えてモー
タ20Aを駆動する。図示する通り、時刻g4からg5
にかけて燃料電池60の電力が低下するとともに、発電
機の出力が増加する。時刻g5以降では、発電機のみを
電源としてモータ20Aが駆動される。なお、ここで示
したのは、一例に過ぎず、モータ20Aを動力源とする
四輪駆動中にモータ出力が変動する場合など、各出力は
種々の態様で変化し得ることは言うまでもない。
【0260】ここで、上述の処理で用いられたF6(ス
テップS640)の設定について説明する。所定の値F
6はステップS640で説明した通り、燃料電池60を
電源として使用するか否かの基準となる値である。所定
の値F6については、値0以上の範囲で任意に設定可能
である。値0に設定すれば、燃料が残っている限り、燃
料電池60を電源として使用することになる。本実施例
では、他の運転モードを考慮して、正の所定値に設定し
た。また、4WDモードは運転者が任意に選択するモー
ドであることから、このモードで燃料電池60の電力に
よりモータ20Aを駆動する必要性は比較的低いと考
え、基準値F6は他の制御処理における基準値よりも高
い値に設定した。
【0261】次に、上述の処理で用いられたLO6(ス
テップS630)の設定について説明する。所定の値L
O6はステップS630で説明した通り、バッテリ50
を電源として使用するか否かの基準となる値である。所
定の値LO6については、値0以上の範囲で任意に設定
可能である。値0に設定すれば、バッテリ50に電力が
残っている限り、バッテリ50を電源として使用するこ
とになる。本実施例では、燃料電池60を電源として使
用する場合の過渡的な状態を考慮して所定値LO6を設
定した。つまり、燃料電池60から十分な電力が出力さ
れるまでの過渡期において、燃料電池60の電力を補償
し得る電力をバッテリ50から十分に出力できるように
所定の値LO6を設定した。
【0262】以上で説明した四輪駆動制御処理によれ
ば、4WDモードが選択された場合においてバッテリ5
0、燃料電池60および発電機の3種類の電源を使い分
けて四輪駆動することができる。バッテリ50、燃料電
池60、発電機の優先順序で電源を使用する。
【0263】バッテリ50の電力は走行中に充電するこ
とで、消費前の状態に復元可能である。上記制御処理に
よれば、このように可逆的な電源を積極的に使用するこ
とにより、一過性の電源である燃料電池の使用を抑制す
ることができる。換言すれば、燃料電池の使用が望まれ
る運転状態に備えて燃料を確保しておくことができる。
従って、上記処理によれば、幅広い運転状態で、電源を
適切に使用することができる。従って、運転効率および
環境性に優れる動力源を十分に活用することが可能とな
る。また、バッテリ50の電力を積極的に使用すること
により、回生制動時に得られた電力をバッテリ50に充
電しやすくなる。従って、ハイブリッド車両の運転効率
を向上することができる。
【0264】また、上述の制御によれば、燃料電池60
を発電機よりも優先して使用する。発電機の電力を使用
する際には、エンジン10の出力増大が必要であり、燃
費および環境性の不利益を伴う。上記制御処理では、燃
料電池60を優先的に使用することにより、かかる弊害
を回避することができる。
【0265】以上で説明した第2実施例のハイブリッド
車両は、上述の制御および第1実施例で説明した種々の
制御を実行することにより、複数の電源および動力源を
適切に使い分けることができる。従って、燃費を抑制す
るとともに環境性に優れた運転を実現することができ
る。
【0266】C.第3実施例: C1:装置の構成:第1実施例、第2実施例では、エン
ジンの動力を駆動軸に直接伝達可能な構成のハイブリッ
ド車両を例示した。本発明は、エンジンの動力を発電の
みに利用する態様で構成することも可能である。かかる
場合のハイブリッド車両を第3実施例として以下に説明
する。
【0267】図34は第3実施例としてのハイブリッド
車両の概略構成を示す説明図である。このハイブリッド
車両では、機械的な動力を出力する動力源としてエンジ
ン224、モータ226を備える。モータ226の電源
として燃料電池260、バッテリ250を備え、これら
はそれぞれ駆動回路252,251を介してモータ22
6に結合されている。これらの各要素の構成は、それぞ
れ第1実施例におけるエンジン10、モータ20、燃料
電池60,バッテリ50、駆動回路52,51と同じで
ある。但し、第3実施例では、後述する通り、エンジン
224を補助的な動力源として活用するため、排気量5
0cc程度の比較的小型なエンジンを搭載した。
【0268】エンジン224の出力軸は、発電機280
に結合されており、その動力を直接車軸217に伝達す
ることはできない。エンジン224から出力された動力
は、発電機280で電力に変換され、バッテリ250の
充電およびモータ226の駆動に使用される。この意味
で、モータ226は、燃料電池260、バッテリ250
に加えてエンジン224および発電機280のユニット
を第3の電源として備えることになる。これらの電源の
使い分けは切替スイッチ284、駆動回路252,25
1の作動によって制御される。
【0269】モータ226は変速機構となるプラネタリ
ギヤ230、無段変速機(以下、CVTと呼ぶ)18
0、ディファレンシャルギヤ216を介して車軸217
に結合されている。プラネタリギヤ230との結合状態
は次の通りである。モータ226のロータはプラネタリ
ギヤ230のサンギヤ231に結合されている。また、
クラッチ240を介してプラネタリキャリア232にも
結合されている。プラネタリキャリア232は、CVT
180の入力側のプーリ181a,181bに結合され
ており、プラネタリギヤ230の出力軸として機能す
る。リングギヤ233には、その回転を制止可能なブレ
ーキ241が備えられている。クラッチ240を係合
し、ブレーキ241を解放すると、モータ226のロー
タはCVT180に直結された状態となる。クラッチ2
40を解放し、ブレーキ241を係合すると、第1実施
例で説明したプラネタリギヤ230の作用に基づき、モ
ータ226の動力はプラネタリギヤ230のギヤ比に応
じて回転数が減速されてCVT180に伝達される。
【0270】CVT180は、入力側のプーリ181
a,181bと出力側のプーリ182a,182bの間
にベルト183を架けた構造をなしている。入力側のプ
ーリ181a,181bおよび出力側のプーリ182
a,182bはそれぞれ油圧により軸方向の間隔が可変
に構成されている。プーリの間隔を変更すると、ベルト
183がプーリに架かる部位の有効半径が変わるため、
無段階に変速して動力を伝達することができる。第3実
施例のハイブリッド車両は、このようにクラッチ24
0,241およびCVT180の動作を制御すること
で、幅広い範囲でモータ226の出力トルクを変速して
車軸217に出力する。これらの動作は、第1実施例と
同様、制御ユニット270により種々のマップに従って
制御される。
【0271】C2.EV走行制御処理ルーチン:第3実
施例では、モータ226の電源としてバッテリ250,
燃料電池260、発電機280の3種類を備える。これ
らの使い分けは、以下に示すEV走行制御処理に従って
制御される。図35は第3実施例におけるEV走行制御
処理ルーチンのフローチャートである。制御ユニット2
70のCPUが繰り返し実行する処理である点は第1実
施例、第2実施例と同様である。また、電源の使い分け
に関する基本的な考え方も、第1実施例と同様である。
バッテリ250、燃料電池260、発電機280の優先
順位で電源を使用する。つまり、バッテリ250の残容
量が不足した場合に、燃料電池260での発電を行い、
更に燃料電池260が燃料不足などの理由により発電不
能である場合に発電機280を使用するのである。この
意味で、エンジン224および発電機280は補助的な
電源といえる。
【0272】かかる制御を実現するために、EV走行制
御処理が開始されると、第1実施例における処理(図1
2参照)と同様、CPUは車両の運転状態を入力し(ス
テップS700)、バッテリ250の残容量SOCが所
定の値LO1以上である場合には、バッテリ250を電
源としてモータ226を駆動する(ステップS702,
S706)。バッテリ250の残容量SOCがLO1に
満たない場合において、FC燃料の残量が値F1以上で
ある場合には、燃料電池を電源とする(ステップS70
4,S710)。FC燃料の残量が少なく、燃料電池を
使用できない場合には、エンジン224を駆動して発電
機280で発電し電源とする(ステップS708)。こ
れらの処理における値LO1,F1などの設定方法は、
第1実施例と同様である。
【0273】C3.燃料電池起動処理ルーチン:第3実
施例では、EV走行制御処理ルーチンにおいて、燃料電
池260が電源として選択された場合において、燃料電
池260が暖機前である等の理由により十分な電力を供
給できない状態にある場合には、燃料電池起動処理とし
て、バッテリ250および発電機280の電力で不足分
の電力を補償する処理を行う。
【0274】図36は第3実施例における燃料電池起動
処理ルーチンのフローチャートである。EV走行制御処
理ルーチンのステップS710で燃料電池260の発電
要求が出された場合に実行される。なお、ステップS7
10で発電要求が出された場合に必ず実行するものとし
てもよいし、燃料電池260が暖機前の冷間時にのみ実
行するものとしてもよい。
【0275】燃料電池起動処理ルーチンでは、CPUは
まず燃料電池260がスタンバイ状態にあるか否かを判
定する(ステップS712)。ここでは、燃料電池26
0の温度が発電可能な程度に高いか否かで判断する。ス
タンバイ状態にある場合には、直ちに発電可能であるた
め、その他の処理を行うことなく、燃料電池260によ
る電力の出力を開始する(ステップS750)。
【0276】燃料電池260がスタンバイ状態にない場
合には、発電可能に燃料電池260が暖機されるまで、
以下に示す通り、バッテリ250および発電機280を
用いて電力を補償する処理を実行する。まず、燃料電池
260が発電を開始する状態に至るまでに必要な消費電
力Estを予測する(ステップS714)。消費電力E
stには、モータ226を駆動して車両を走行するため
に必要な電力の他、空調機器や照明機器などで消費され
る電力が含まれる。また、ヒータに通電して燃料電池2
60の暖機を行う場合には、その電力も含まれる。
【0277】本実施例では、消費電力Estは燃料電池
260の温度に基づくマップで求めるものとした。図3
7は消費電力Estを与えるマップを示す説明図であ
る。上段には、燃料電池260の温度に基づいて運転開
始までの所要時間を与えるマップを示した。図中に破線
で示す通り、燃料電池260の温度がTfcである場合
には、このマップを参照することにより、所要時間がt
stと求められる。当然、燃料電池260の温度が高く
なるほど所要時間は短くなる。なお、ここでは、温度と
所要時間が直線的に変化する場合を例示したが、このマ
ップは燃料電池260の構成に応じて実験、解析などに
よって設定可能であり、曲線的に設定されることもあり
得る。
【0278】図37の下段には、所要時間と消費電力量
との関係を与えるマップを示した。本実施例では、空調
機器(A/C)、照明機器(H/L)のオン・オフに応
じて3通りのマップを使い分けるものとした。「CAS
E A」は空調機器、照明機器の双方がオンの場合であ
る。「CASE B」は照明機器のみがオンの場合であ
る。「CASE C」は空調機器のみがオンの場合であ
る。図中に破線で示す通り、所要時間がtstの場合
は、各ケースに対して消費電力量をEa,Eb,Ecと
それぞれ求めることができる。ここでは、3つのケース
についてマップを用意しているが、空調機器、照明機器
以外の電力機器のオン・オフに応じて更に多数のマップ
を用意するものとしてもよい。曲線的に設定されたマッ
プを用いることも可能である。通常は、消費電力量は所
要時間に比例するから、マップを用いるまでなく演算で
求めるものとしてもよい。なお、消費電力量はモータ2
26が出力すべきトルクなど車両の走行状態に応じて変
動するが、本実施例では、各ケースごとに想定される最
大値を設定した。
【0279】図36の制御処理について引き続き説明す
る。上述の処理によって消費電力量Estが設定される
と、CPUは次にバッテリ250から出力可能な電力量
Ebtを算出する(ステップS716)。出力可能な電
力量Ebtは、バッテリ250の残容量から求めること
ができる。
【0280】次に、CPUは消費電力量Estとバッテ
リ250が出力可能な電力量Ebtとを比較する(ステ
ップS718)。消費電力量Estが電力量Ebtより
も大きい場合には、バッテリ250のみで電力を補償で
きないと判断してエンジン224を運転するとともに発
電機280による発電を行い(ステップS722)、バ
ッテリ250および発電機280の双方から要求電力を
出力する(ステップS750)。消費電力量Estが電
力量Ebt以下の場合にはバッテリ250で電力を補償
可能と判断し、エンジン224の運転および発電機28
0による発電を停止して(ステップS720)、バッテ
リ250から要求電力を出力する(ステップS75
0)。
【0281】第3実施例で示した燃料電池起動制御処理
による利点を具体例で説明する。図38は燃料電池を起
動する際のバッテリ250の残容量の推移を示す説明図
である。燃料電池260の発電要求が出されてから、発
電可能な状態になるまでの所要時間をtstとする。ま
た、発電要求が出された時点でのバッテリ250の残容
量をSoc1とする。
【0282】燃料電池260の応答遅れをバッテリ25
0の電力のみによって補償する場合の残容量の変化を図
中に実線で示した。ハイブリッド車両の走行状態、バッ
テリ250の残容量Soc1の値にも依るが、常にバッ
テリ250で補償するものとすれば、実線で示すように
燃料電池260が運転を開始するまでにバッテリ250
の電力を完全に消費してしまう可能性がある。かかる可
能性を回避するためには、初期のバッテリ残容量Soc
1を非常に高い値にしておく必要がある。これは、EV
走行制御処理ルーチンのステップS702における値L
O1を高くすることにつながる。この結果、バッテリ2
50の電力をわずかに消耗した時点で電源が燃料電池2
60に切り替えられるから、燃料電池260の過度の使
用を招くことにもなる。
【0283】本実施例での制御処理を行った場合の様子
を図38中に破線で示した。バッテリ250の初期の残
容量Soc1だけでは、燃料電池260の運転開始まで
電力を補償することができないと判断された場合には、
エンジン224および発電機280の運転が行われる。
従って、バッテリ250の残容量の低減を抑制すること
ができ、電力を完全に消費する前に燃料電池260の運
転を開始することができる。燃料電池260の運転が開
始されれば、バッテリ250を充電することが可能とな
るから、残容量は徐々に増加する。
【0284】ここで、エンジン224および発電機28
0を用いて電力の補償を行う場合のエンジン224の運
転ポイントの設定方法について説明する。エンジン22
4の運転ポイントは、燃料電池260が運転を開始する
時間tstまでの間にバッテリ250の電力が完全に消
費されることを回避可能な動力を出力できるように設定
する必要がある。かかる動力を出力しさえすれば、エン
ジン224の運転ポイントは任意に設定可能であり、図
38中に一点鎖線で示すようにバッテリ250の電力消
費を更に抑制できるように高い動力を出力するものとし
てもよい。このように高い動力を出力しておけば、ある
時刻tcにおいてエンジン224の運転を中断し、その
後はバッテリ250のみで電力を補償することも可能と
なる。かかる制御は、図36の燃料電池起動処理を燃料
電池の運転が開始されるまで所定のタイミングで繰り返
し実行することにより、容易に実現することができる。
エンジン224を早期に停止することができれば、その
分、燃費および環境性を向上することができる場合もあ
る。この他、エンジン224の運転ポイントは、バッテ
リ250の電力を一切消費しない動力を出力してもよい
し、バッテリ250を充電可能な動力を出力するものと
してもよい。
【0285】運転ポイントは、このように最低限の動力
を出力しさえすれば、任意に設定可能であり、予め定め
た一定の運転ポイントを選択することもできるが、本実
施例では、以下に示す考え方に基づいて、運転効率を優
先してエンジン224の運転ポイントを設定するものと
した。図39はエンジンの運転ポイント設定処理ルーチ
ンのフローチャートである。燃料電池起動処理(図3
6)のステップS722においてエンジン224の運転
が指示された時に実行されるルーチンである。
【0286】このルーチンが開始されると、CPUは、
まず消費電力量Estおよび燃料電池の運転開始までの
所要時間tstを入力し(ステップS730)、これら
の値に基づき「Preq=Est/tst」なる演算式
に従って、要求動力Preqを算出する(ステップS7
32)。要求動力Preqは、消費電力量Estをts
tの時間で平均的に出力すると考えた場合の動力に相当
する。種々の損失や消費電力量の変動などを考慮して、
若干の余裕を見込んだ設定してもよい。
【0287】こうして設定された要求動力Preqに基
づいて、次の考え方に従ってエンジン224の運転ポイ
ントを設定する。図40はエンジンの運転ポイントと運
転効率との関係を示す説明図である。図中の曲線Bはエ
ンジン224が運転可能な回転数、トルクの限界を示し
ている。曲線α1,α2・・・α6は等運転効率線であ
り、この順に運転効率が低下する。曲線C1,C2,C
3は、出力される動力、即ちエンジン224の「回転数
×トルク」が一定の曲線である。エンジン224の運転
効率は、回転数、トルクに応じて変化し、出力すべき動
力C1,C2,C3を設定すると、それに応じて最も効
率のよい運転ポイントA1,A2,A3が定まる。この
ように各動力に対して運転効率が最も高い点の集合が曲
線Aである。この曲線Aを動作曲線と呼ぶ。
【0288】図41は動作曲線上でエンジンを運転した
場合の動力と運転効率との関係を示す説明図である。図
示する通り、運転効率は、所定の動力Pthを出力する
運転ポイントDP1で最大となり、動力がPthから外
れるにつれて運転効率が徐々に低下する。この意味でP
thは最適動力と言える。実際には、いくつかの極値が
現れる場合もあるが、運転効率が最大となる最適動力P
thが存在する点に変わりはない。
【0289】本実施例では運転効率を優先するため、基
本的には、最適動力Pthをエンジン224の運転ポイ
ントに設定する。従って、バッテリ250の不足分を補
償するために最低限必要な要求動力Preqが図41中
のC2のように最適動力Pthよりも低い場合には、エ
ンジン224からはPch分だけ余剰に動力が出力され
ることになるから、この分、バッテリ250を充電する
ことができる。要求動力Preqが最適動力Pthより
も低い場合には、要求動力に見合った運転ポイントDP
2で運転するよりも、余剰の動力を出力しつつ運転ポイ
ントDP1で運転した方が効率が高くなる。
【0290】一方、最低限必要な要求動力Preqが図
41中のC4のように最適動力Pthよりも高い場合に
は、運転ポイントDP1で運転したのではエンジン22
4から出力される動力が不足する。従って、エンジン2
24は運転効率が若干低下するものの要求動力に見合っ
た運転ポイントDP3で運転する必要が生じる。この場
合、バッテリ250の充電を図るために、更に余剰の動
力Pchを出力しようとすれば、エンジン224の運転
ポイントは図41中の運転ポイントDP4に移行するた
め、運転効率は更に低下する。従って、要求動力Pre
qが最適動力Pthよりも高い場合には、エンジン22
4は余剰の動力を出力することなく、要求動力Preq
に見合った運転ポイントで運転することが好ましい。
【0291】本実施例では、上述の考え方に基づいてエ
ンジン224の運転ポイントを設定する。従って、図3
9に示す通り、CPUはエンジン224の要求動力Pr
eqが最適動力Pthよりも高い場合には、最適動力P
thに対応する運転ポイントDP1を選択し(ステップ
S734,S736)、その他の場合には、動作曲線A
上で要求動力Preqに見合った運転ポイントを選択す
る(ステップS738)。こうして設定された運転ポイ
ントでエンジン224を運転することにより、効率よく
電力の補償を行うことができる。
【0292】以上で説明した第3実施例のハイブリッド
車両によれば、燃料電池260に発電要求が出された場
合に、バッテリ250と発電機280とを使い分けて、
燃料電池260の発電の遅れを補償し、要求電力を安定
して出力することができる。バッテリ250の電力が不
足する場合には、発電機280で補償することができる
ため、より安定して電力を供給することが可能となる。
また、電力を補償する際、発電機280よりもバッテリ
250を優先的に使用することにより、燃費および環境
性を向上することができる。
【0293】D.その他の変形例:以上で説明した種々
の実施例および変形例に含まれる処理は、その一部を他
の運転制御処理に適用するものとしても構わない。例え
ば、第1実施例の補機駆動制御処理(図16)では、バ
ッテリ50の残容量が低下した場合にエンジン10で充
電を行う処理を示した。かかる処理を他の運転制御処理
で適用するものとしてもよい。第3実施例で示した燃料
電池起動制御処理(図36)は、第1実施例および第2
実施例に適用することも可能である。逆に、第1実施
例、第2実施例で示した種々の処理を第3実施例のよう
にエンジンの動力を直接車軸に出力できないタイプのハ
イブリッド車両に適宜適用することも可能である。
【0294】以上の実施例では、燃料電池60およびバ
ッテリ50の双方を電源として搭載するハイブリッド車
両を例示した。本発明は、燃料電池60のみを電源とし
て搭載するハイブリッド車両に適用することも可能であ
る。かかる場合の制御処理としては、上述した実施例に
おいてバッテリ50の残容量を0とみなしたのと等価な
制御処理を適用することができる。かかる構成のハイブ
リッド車両およびその制御処理でも、動力源の適切な使
い分け、燃料電池の運転状態の適切な制御を実現するこ
とができる。なお、かかる構成のハイブリッド車両で
は、燃料電池の電力の立ち上がり時間の遅れを考慮し
て、走行に多大な影響を与えないように各制御に使用さ
れるパラメータを設定することが望ましい。
【0295】また、燃料電池の立ち上がり時間の遅れを
補償するための付加的な要素を備えることも望ましい。
例えば、実施例におけるバッテリ50に変えてキャパシ
タを備えるものとしてもよい。キャパシタは燃料電池の
電力を過渡的に補償する目的で使用する。つまり、燃料
電池からの電力や回生電力によって予めキャパシタに電
力を蓄えておき、燃料電池の立ち上がり遅れが生じると
きには、キャパシタからの放電によって不足分の電力を
補償するのである。このような構成を採れば、バッテリ
50を構成から省略した場合でも電力の極端な変動を抑
制することができる。
【0296】E.第4実施例:第4実施例として、エン
ジンから出力される動力のトルクの変動を抑制する構成
について説明する。第4実施例における車両の構成は、
第1実施例と同じである(図1参照)。最初に、エンジ
ンから出力される動力のトルク変動を抑制する制御の考
えかたについて説明し、その後、具体的な処理内容を説
明する。
【0297】図42はトルク変動を抑制する制御の原理
を示す説明図である。エンジン10から出力されるトル
クの変動を、クランクシャフト12に結合されたモータ
20で相殺する様子を示した。図示する通り、エンジン
10から出力されるトルクは、目標トルク近傍で脈動す
ることが多い。ここでは、実際に出力されるトルクとエ
ンジン10が出力すべき目標トルクとの差分をトルク変
動として図示した。実際に出力されるトルクは、目標ト
ルクよりも大きくなる期間もあれば、小さくなる期間も
ある。なお、図42では、周期的にトルク変動が生じる
状態を図示したが、更に不規則なトルク変動が生じる場
合もある。
【0298】モータ20では、エンジン10のトルク変
動を相殺するトルク(以下、制振トルクと呼ぶ)を出力
する。制振トルクは、エンジン10から出力される実ト
ルクを補償して目標トルクを出力するためのトルクに相
当し、トルク変動の位相を逆転したトルク、エンジン1
0の目標トルクから実トルクを引いたトルクに相当す
る。モータ20がエンジン10に直接結合されている場
合には、制振トルクがモータ20の要求トルクとなる。
モータ20が変速機構を介してエンジン10に結合され
ている場合には、変速機構の変速比を制振トルクに反映
した値がモータ20の要求トルクとなる。
【0299】エンジン10の実トルクが目標トルクより
も大きくなる期間では、制振トルクは負の値となり、モ
ータ0は回生運転される(図中のハッチングを付した領
域)。エンジン10の実トルクが目標トルクに満たない
期間では、制振トルクは正の値となり、モータ20は力
行される。
【0300】図42の下段には、制振時にモータ20と
の電力のやりとりをバッテリ50で行ったと仮定した場
合の充放電量の推移を模式的に示した。制振トルクが負
となる期間では、モータ20が回生運転されるため、バ
ッテリ50が充電される。この際、エンジン10から出
力された余剰の動力を100%の効率で電力として回生
することはできない。従って、現実の充電量は図中にハ
ッチングを付した領域Eaに相当する値となり、本来の
充電量よりも低くなる。一方、制振トルクが正となる期
間では、モータ20を力行運転するため、バッテリ50
の電力が消費される。この際、バッテリ50の電力を1
00%の効率で力行トルクに変換することはできない。
従って、バッテリ50の現実の消費電力は図中にハッチ
ングを付した領域Ebに相当する値となり、本来の消費
量よりも大きくなる。このようにバッテリ50の充放電
時の効率が100%に満たないことに起因して、バッテ
リ50の充電量は、制振制御に伴って徐々に低下する。
モータ20の力行時に使用される電力は、バッテリ50
への充電効率と、バッテリ50からの放電効率に起因す
る損失の双方を含んでおり、非効率的でもある。
【0301】本実施例の制振制御は、このようにバッテ
リ50の充電量の低下を回避するとともに、制振制御時
の効率向上のため、モータ20を回生運転する期間と、
力行運転する期間とで電源の切り替えを行う。回生運転
する際には、モータ20をバッテリ50に接続し、バッ
テリ50への充電を行う。力行運転する際には、モータ
20を燃料電池60と接続し、燃料電池60から出力さ
れる電力を利用する。両者の切り替えは切替スイッチ8
4の制御によって行われる。このように電源の使い分け
を行った場合、制振制御中には、バッテリ50は充電の
みが行われるため、制振制御が長期間に亘って実行され
ると、バッテリ50が過充電となる可能性がある。本実
施例では、かかる状態を回避するため、制振制御中の電
源の切り替えを行うか否かを、バッテリ50の充電状態
に応じて使い分けている。これらの制御は、次に示すフ
ローチャートに従って実現される。
【0302】E1.制振制御処理ルーチン:図43は制
振制御処理ルーチンのフローチャートである。制御ユニ
ット70内のCPUが他の制御処理とともに繰り返し実
行する処理である。この処理が開始されるとCPUは、
シフトポジションを検出し、ニュートラル(N)ポジシ
ョンまたはパーキング(P)ポジションであるか否かを
判定する(ステップS800)。これらのポジションに
ある場合には、CPUは制振制御を中止する(ステップ
S810)。パーキングポジションは、停車中に使われ
るポジションであり、エンジン10にトルク変動が生じ
たとしても、車両の乗り心地に影響を与えるものではな
いからである。ニュートラルポジションは原則として停
車中に使われるポジションであることに加え、エンジン
10のトルク変動が車軸に伝達されないため、トルク変
動は車両の乗り心地に影響を与えないからである。
【0303】シフトポジションが、ニュートラル(N)
およびパーキング(P)以外にあるときは、車両が運転
中であることを意味する。つまり、走行している状態お
よび信号待ちなど一時的な停車状態にあることを意味す
る。かかる場合には、次のFC燃料の残量が所定値以上
である条件(ステップS802)、およびエンジンが駆
動中である条件(ステップS806)の双方を満足する
場合に、エンジン10からのトルク変動の制振制御を実
行する。
【0304】FC燃料の残量を検出し、その残量が任意
に設定された所定値以上残っている条件(ステップS8
02)は、制振制御中にモータ20を力行するための電
源として、燃料電池60を利用することによるものであ
る。FC燃料が所定値に満たない場合、即ち、FC燃料
に十分な余裕がないと判断される場合には、CPUは、
エンジン10のアイドル回転数を増大する処理を行うと
ともに(ステップS804)、制振制御を中止する(ス
テップS810)。エンジン10のアイドル回転数を増
大するのは、エンジン10のアイドル回転中に生じるト
ルク変動に起因して車両が共振するのを回避するためで
ある。かかる観点から、ステップS804では、アイド
ル回転数の目標値を、車両の共振帯域を回避できる程度
に増大する。
【0305】エンジン10が駆動中であるという条件
(ステップS806)は、エンジン10が停止中であれ
ば制振制御の必要性がないからである。エンジン10が
駆動中でないと判断された場合には、CPUは制振制御
を中止する(ステップS810)。なお、制振制御を実
行するか否かの条件判断(ステップS800,S80
2,S806)は、図43に示した順序に限らず、種々
の順序または並行して行うものとして構わない。
【0306】以上の条件判断により、制振制御を実行す
ると判断された場合、CPUはバッテリ50の充電状態
に応じて制振制御時の電源の使い分けを行う。このた
め、CPUはバッテリ50の残量SOCを検出し、SO
Cと所定の値Mi%との大小を比較する(ステップS8
08)。所定の値Mi%はバッテリ50の過充電を回避
できる範囲で任意に設定可能である。
【0307】残量SOCが所定値Mi%に満たない場合
には、CPUはモータ20の回生時にバッテリ50に電
力を充電し、モータ20の力行時に燃料電池60を電源
として使用する態様でモータ20の駆動を制御する(ス
テップS812)。残量SOCが所定値Mi%以上であ
る場合、CPUはモータ20の回生時にバッテリ50に
電力を充電するが、過充電を回避するため、モータ20
の力行時の電源としてバッテリ50を使用する態様でモ
ータ20の駆動を制御する(ステップS814)。な
お、電源の使い分け制御の頻繁な切り替えを回避するた
め、ステップS808の判断にはヒステリシスを設ける
ことが好ましい。
【0308】モータ20の制御は、次の処理によって行
われる。図44は制振制御におけるモータ制御処理ルー
チンのフローチャートである。CPUはまず、エンジン
10から実際に出力されている実トルクからエンジン1
0の目標トルクを引いた、トルク偏差ΔTを検出する
(ステップS830)。次に、このトルク偏差ΔTを相
殺するように、モータ20の目標トルクTmtを設定す
る(ステップS832)。第4実施例では、モータ20
がクランクシャフト12に直結されているため、目標ト
ルクTmtは「−ΔT」と設定される。モータ20が変
速機を介してクランクシャフト12に結合されている場
合には、「−ΔT」に変速比を反映して、目標トルクT
mtが設定される。
【0309】次に、CPUは電源の切り替え制御を行
う。制振制御処理(図43)において、回生時および力
行時ともにバッテリ50を電源とする設定がなされてい
る場合(図43のステップS814)には、電源の切り
替えを実行する必要がないと判断し(ステップS83
4)、バッテリ50を電源として使用するように切替ス
イッチ84を制御する。制振制御処理において回生時と
力行時で電源の使い分けを行う設定がなされている場合
(図43のステップS812)には、モータ20の目標
トルクTmtの符号に応じて電源を使い分ける。即ち、
目標トルクTmtが0よりも大きい場合には、燃料電池
60を電源とするよう切替スイッチ84を制御する(ス
テップS840)。目標トルクTmtが0以下の場合に
は、バッテリ50を電源とするよう切替スイッチ84を
制御する(ステップS838)。
【0310】こうして電源が設定されると、CPUは目
標トルクTmtでモータ20を駆動する制御を行う(ス
テップS842)。この制御は、先に図13で説明した
処理を適用できる。なお、燃料電池50を電源として使
用する場合、CPUは併せて燃料電池60の運転状態も
制御する。本実施例では、燃料電池60に要求される最
大電力を十分に発電可能な燃料ガスを、実際の要求電力
に関わらず供給するよう制御するものとした。燃料電池
60への燃料ガスの供給遅れが生じると、要求された電
力を速やかに出力することができない。エンジン10の
トルク変動は比較的高い周波数で生じるから、適切な制
振制御を実現するためには、トルク変動に相当する応答
性で燃料電池60から電力を出力する必要が生じる。本
実施例では、要求電力に対して十分な量の燃料ガスを常
に燃料電池60に供給しつつ、駆動回路52のスイッチ
ングによって、要求電力に見合った発電を行わせること
により、高い応答性での発電を実現している。燃料電池
60の要求電力が低い場合、供給された水素はそのまま
燃料電池60から排出されるが、排出された水素を燃料
電池60内に循環する配管を設けることにより、燃料の
浪費を回避することができる。
【0311】以上で説明した第4実施例の車両によれ
ば、エンジン10のトルク変動を抑制することができ、
乗り心地を向上することができる。モータ20の回生時
と力行時とで電源を使い分けることにより、制振制御中
の効率を向上することができる。図42の下段に示した
通り、バッテリ50の電力を利用してモータ20の力行
を行うものとすれば、力行時に低効率のエネルギを利用
することになるが、本実施例では、エネルギ源である燃
料電池60を電源として力行することにより、力行時に
おけるモータ20の運転効率を向上することができ、制
振制御におけるエネルギ効率を向上することができる。
【0312】第4実施例では、バッテリ50の残量SC
Oに応じて、力行時の電源を切り替える。従って、高効
率での制振制御を実行しつつ、バッテリ50の過充電を
回避することもできる。
【0313】E2.第1変形例:第4実施例では、モー
タ20のみを用いて制振制御を行う場合を例示した。本
実施例の車両は、エンジン10にトルクを付加できる電
動機を2つ備えている。モータ20と補機駆動用モータ
80である。制振制御は、これらの2つの電動機を力行
時と回生時とで使い分ける態様で行ってもよい。このよ
うな使い分けを第4実施例の第1変形例として以下に説
明する。
【0314】図45は第1変形例における制振制御の原
理を示す説明図である。上段に示すようにエンジン10
からのトルクに変動が生じていたものとする。エンジン
10の実際の目標値は、図中に破線で示す値であるが、
第1変形例では、エンジン10から出力されるトルクの
最低値を仮の目標トルクとして設定する。この結果、図
示する通り、エンジン10のトルク変動は正の値、即
ち、仮の目標トルクよりも大きい側で生じる。
【0315】第1変形例では、このトルク変動を補機駆
動用モータ80で相殺する。従って、補機駆動用モータ
80の制振トルクは、図45の中段に示す通り、常に負
の値となる。一方、このように制振トルクを付加する
と、クランクシャフト12の出力トルクは仮の目標トル
クに相当する値となり、本来の目標トルクに満たない。
第1変形例では、モータ20を力行して、この不足分の
トルクを出力する。モータ20のトルクは、図中の下段
に示す通り、力行側の一定値となる。
【0316】こうした原理による制振制御は、次の処理
に従って実現される。図46は第4実施例の第1変形例
における制振制御処理ルーチンのフローチャートであ
る。制御ユニット70のCPUが繰り返し実行する処理
である。この処理が開始されると、CPUはシフトポジ
ション、FC燃料、エンジン駆動状態に基づき制振制御
を行うか否かを判断する(ステップS820,S82
2,S826)。これらの判断内容および制振制御を行
わないと判断された場合の処理(ステップS824,S
832)は、第4実施例と同様である。
【0317】第1変形例では、上記判定の結果、制振制
御を行う場合の処理内容が第4実施例と相違する。ま
ず、CPUは補機駆動用モータ80の目標トルクを全域
で回生となるよう設定し、トルク変動を相殺する(ステ
ップS828)。ここでは、図45に示した通り、エン
ジン10から出力されるトルクの最低値よりも低い範囲
に仮目標トルクを設定し、エンジン10から出力される
実トルクと仮目標トルクとの差分がトルク変動ΔTに相
当するものとみなして、図44のステップS830,S
832で説明したのと同様の方法によって補機駆動用モ
ータ80の目標トルクを設定する。こうして設定された
目標トルクは常に負の値となるため、通常通り補機駆動
用モータ80を制御すれば、回生運転が行われる。
【0318】図45で説明した通り、補機駆動用モータ
80を回生運転し続けると、クランクシャフト12に出
力されるトルクは本来の目標値に満たなくなる。CPU
は、この不足分のトルクをモータ20で補償する制御を
実行する。ここで、第1変形例では、バッテリ50の残
量SOCに基づいてモータ20を力行するための電源を
使い分ける。CPUはバッテリ50の残量SOCが検出
し、所定の値Mi2%との大小を比較する(ステップS
830)。所定の値Mi2%は、バッテリ50の過充電
を回避できる範囲で任意に設定可能な値である。CPU
は残量SOCが所定の値Mi2%に満たない場合、即
ち、バッテリ50に過充電のおそれがないと判断される
場合には、燃料電池60を電源としてモータ20を駆動
する(ステップS836)。残量SOCが所定の値Mi
2%以上である場合には、バッテリ50の過充電を回避
するため、バッテリ50を電源としてモータ20を駆動
する(ステップS834)。それぞれにおけるモータ2
0の制御方法は、ステップS828の制御時に設定され
た仮目標トルクとエンジン10から出力すべき目標トル
クとの差分をモータ20の要求トルクに設定することに
より行われる。
【0319】以上で説明した第1変形例の制振制御によ
っても、第4実施例と同様、制振用のトルクが負になる
場合と、正になる場合とで電源を使い分けることにより
効率的に制振することができる。第1変形例では、電源
と電動機とをセットにして使い分ける態様に相当する。
つまり、補機駆動用モータ80はバッテリ50との組み
合わせで負の制振トルクの付加に供される。モータ20
は燃料電池60との組み合わせで正のトルクの付加に供
される。いずれにしても、エンジン10から出力された
動力が、本来の目標値よりも大きい場合に余剰の動力を
電力として抽出する抽出先と、動力が不足する際にその
不足分を補償する電力の供給源とが使い分けられている
点では第4実施例と同様である。そして、かかる使い分
けにより、正のトルクを付加する時の運転効率を向上す
ることができ、制振制御中の運転効率を向上することが
できる。
【0320】第1変形例では、補機駆動用モータ80で
トルク変動を相殺し、モータ20で不足分のトルクを補
償する態様を例示した。補機駆動用モータ80とモータ
20の目標トルクは、前者が負のトルク、後者が正のト
ルクとなる範囲で、エンジン10のトルク変動を相殺す
るように任意に設定することができる。一例として、図
45において仮目標トルクを、エンジン10から出力さ
れるトルクの最大値相当に設定してもよい。この場合に
は、エンジン10のトルク変動は常に仮目標トルクより
も小さい範囲で生じるから、モータ20で不足分のトル
クを出力することになる。この結果、クランクシャフト
12からは本来の目標トルク以上のトルクが出力される
から、補機駆動用モータ80で負荷をかけて余剰のトル
クを低減させる。補機駆動用モータ80の負荷トルクは
一定値となる。かかる態様によっても、エンジン10の
制振制御を実現することができる。
【0321】もちろん、第4実施例と同様、エンジン1
0のトルク変動ΔTは、実トルクと本来の目標トルクと
の差分で設定してもよい。この場合トルク変動ΔTが負
の期間はモータ20でその変動を相殺し、トルク変動Δ
Tが正の期間は補機駆動用モータ80でその変動を相殺
する。
【0322】第4実施例および第1変形例では、バッテ
リ50と燃料電池60とを使い分けて制振制御を行う場
合を例示した。バッテリ50は電力を充電可能な種々の
蓄電手段に置換可能である。例えば、バッテリ50に代
えて、キャパシタを適用するものとしてもよい。燃料電
池60は、種々の発電手段に置換可能である。例えば、
燃料電池60に代えて、発電機を使用するものとしても
よい。第4実施例のように補機駆動用モータ80を制振
の制御に適用しない場合には、これを発電手段として用
いることも可能である。この場合は、補機駆動用モータ
80の発電量が、エンジン10のトルク変動の原因とな
らないよう、発電量を制御することが望ましい。一例と
して、制振制御に必要とされる電力に関わらず補機駆動
用モータ80の発電量をほぼ一定に維持する制御が挙げ
られる。制振制御に供されなかった電力はバッテリ50
に蓄電したり、その他の電力機器で消費すればよい。
【0323】第4実施例および第1変形例では、図1に
示したハードウェア構成の車輌を前提として説明した。
ここで例示した制振制御は、かかる構成に限定されず、
種々の車両に適用可能である。例えば、図1の構成から
モータ20を削除した構成の車輌に適用してもよい。こ
の場合は、モータ20に代えて補機駆動用モータ80を
用いることにより、第4実施例で例示した制御を実現す
ることができる。先に図34で示した構成の車輌に適用
することも可能である。この場合には、図34中の発電
機280を用いて制振制御することができる。制振制御
に使用される電動機は、必ずしも車両の動力源である必
要はない。エンジン10からの動力の伝達経路におい
て、トルク変動を相殺できるトルクを付加可能な構成で
あれば、本発明の制振制御は、いかなる車両にも適用可
能である。
【0324】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、更に種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
例えば、本実施例のハイブリッド車両では、エンジンと
してガソリンエンジン150を用いたが、ディーゼルエ
ンジンその他の動力源となる装置を用いることができ
る。また、本実施例では、モータとして全て三相同期モ
ータを適用したが、誘導モータその他の交流モータおよ
び直流モータを用いるものとしてもよい。また、本実施
例では、種々の制御処理をCPUがソフトウェアを実行
することにより実現しているが、かかる制御処理をハー
ド的に実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としてのハイブリッド車両の概略構成図
である。
【図2】燃料電池システムの概略構成を示す説明図であ
る。
【図3】変速機100の内部構造を示す説明図である。
【図4】各クラッチ、ブレーキ、およびワンウェイクラ
ッチの係合状態と変速段との関係を示す説明図である。
【図5】本実施例のハイブリッド車両におけるシフトポ
ジションの操作部160を示す説明図である。
【図6】本実施例におけるハイブリッド車両の計器板を
示す説明図である。
【図7】制御ユニット70に対する入出力信号の結線を
示す説明図である。
【図8】車両の走行状態と動力源との関係を示す説明図
である。
【図9】2ポジションにおける変速段の切り替えの様子
を示す説明図である。
【図10】Lポジションにおける変速段の切り替えの様
子を示す説明図である。
【図11】Rポジションにおける変速段の切り替えの様
子を示す説明図である。
【図12】EV走行制御処理ルーチンのフローチャート
である。
【図13】モータ駆動制御ルーチンを示すフローチャー
トである。
【図14】EV走行制御処理における各動力源および電
源の出力の変化を示す説明図である。
【図15】バッテリ50を使用する判断基準値の設定方
法について示す説明図である。
【図16】補機駆動制御処理ルーチンのフローチャート
である。
【図17】補機駆動制御処理における動力源の切り替え
の様子を示す説明図である。
【図18】パワーアシスト制御処理ルーチンのフローチ
ャートである。
【図19】パワーアシスト制御処理における電源の切り
替えの様子を示す説明図である。
【図20】停車・減速制御処理ルーチンのフローチャー
トである。
【図21】停車・減速制御処理における電源の切り替え
の様子を示す明図である。
【図22】第1変形例について変速段の切り替えの様子
を示す説明図である。
【図23】第1変形例について2ポジションにおける変
速段の切り替えの様子を示す説明図である。
【図24】第1変形例についてLポジションにおける変
速段の切り替えの様子を示す説明図である。
【図25】第1変形例についてRポジションにおける変
速段の切り替えの様子を示す説明図である。
【図26】第1変形例におけるパワーアシスト制御処理
ルーチンのフローチャートである。
【図27】パワーアシスト制御処理における電源の切り
替えの様子を示す説明図である。
【図28】パワーモード制御処理ルーチンのフローチャ
ートである。
【図29】パワーモード制御処理における電源の切り替
えの様子を示す説明図である。
【図30】パワーモードにおいて出力される動力の様子
を示す説明図である。
【図31】第2実施例のハイブリッド車両の概略構成を
示す説明図である。
【図32】四輪駆動制御処理ルーチンのフローチャート
である。
【図33】四輪駆動制御処理における各動力源および電
源の出力の変化を示す説明図である。
【図34】第3実施例としてのハイブリッド車両の概略
構成を示す説明図である。
【図35】第3実施例におけるEV走行制御処理ルーチ
ンのフローチャートである。
【図36】第3実施例における燃料電池起動処理ルーチ
ンのフローチャートである。
【図37】消費電力Estを与えるマップを示す説明図
である。
【図38】燃料電池を起動する際のバッテリ250の残
容量の推移を示す説明図である。
【図39】エンジンの運転ポイント設定処理ルーチンの
フローチャートである。
【図40】エンジンの運転ポイントと運転効率との関係
を示す説明図である。
【図41】動作曲線上でエンジンを運転した場合の動力
と運転効率との関係を示す説明図である。
【図42】トルク変動を抑制する制御の原理を示す説明
図である。
【図43】制振制御処理ルーチンのフローチャートであ
る。
【図44】制振制御におけるモータ制御処理ルーチンの
フローチャートである。
【図45】第1変形例における制振制御の原理を示す説
明図である。
【図46】第4実施例の第1変形例における制振制御処
理ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10…エンジン 12…クランクシャフト 13,14,15…出力軸 16,16A…ディファレンシャルギヤ 17,17A…車軸 18…入力クラッチ 20、20A…モータ 22…ロータ 24…ステータ 30…トルクコンバータ 50…バッテリ 51,51A,52,52A…駆動回路 60…燃料電池システム 60A…燃料電池 61…メタノールタンク 62…水タンク 61a,62a…容量センサ 63…バーナ 64…圧縮機 65…蒸発器 66…改質器 68…ブロワ 70…制御ユニット 80…補機駆動用モータ 82…補機駆動装置 83,84,85,86…切替スイッチ 100…変速機 102…電動オイルポンプ 104…油圧制御部 110…副変速部 112…第1のプラネタリギヤ 114…サンギヤ 115…プラネタリピニオンギヤ 116…プラネタリキャリア 118…リングギヤ 119…出力軸 120…主変速部 122…回転軸 130,140,150…プラネタリギヤ 132、142,152…サンギヤ 134、144,154…プラネタリキャリア 136、146,156…リングギヤ 160…操作部 161…スポーツモードスイッチ 162…シフトレバー 163…スポーツモードスイッチ 202…燃料計 203…燃料計 204…速度計 206…エンジン回転計 208…エンジン水温計 210…方向指示器インジケータ 220…シフトポジションインジケータ 222…スポーツモードインジケータ 224…エンジン 226…モータ 230…プラネタリギヤ 231…サンギヤ 232…プラネタリキャリア 233…リングギヤ 240…クラッチ 240,241…クラッチ 241…ブレーキ 250…バッテリ 250,燃料電池260…バッテリ 252,251…駆動回路 260…燃料電池 270…制御ユニット 280…発電機 284…切替スイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 29/02 F16H 61/02 F16H 61/02 H01M 8/00 Z H01M 8/00 A 8/04 P 8/04 T 8/06 A 8/06 B60K 9/00 E Fターム(参考) 3D041 AA19 AA21 AA31 AA66 AB01 AC01 AC14 AC30 AD00 AD01 AD02 AD10 AD12 AD14 AD31 AD41 AD42 AD51 AE02 AE03 AE31 3G093 AA05 AA07 AA16 BA02 BA15 CA03 DA06 DB09 DB12 DB15 DB19 DB22 EA02 EB01 EB09 EC01 3J552 MA02 MA07 MA12 NA01 NB08 PA59 QA30C QB02 SA01 SA31 SB02 UA02 UA07 VA48Z VA62Z VB01Z VC01Z VC03Z VD11Z 5H027 AA02 AA06 BA01 BA09 BC11 DD00 DD01 DD03 KK46 MM26 5H115 PC06 PG04 PI16 PI18 PI24 PI29 PO02 PU10 PU22 PU24 PU25 PV09 PV23 QA01 QA10 QE10 QE20 QI04 QI07 QN03 RB22 RB26 RE01 RE07 SE04 SE05 SE06 SE08 TI01 TI10 TO21 TO22 TO23

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動機と熱機関とを動力源として備える
    ハイブリッド車両であって、 前記電動機の電源として燃料電池と、二次電池とを備え
    るとともに、両者から電動機に供給される電力をそれぞ
    れ調整可能な調整手段を備え、 車両の運転状態に応じて、前記電源および動力源の作動
    を制御する制御手段を備えるハイブリッド車両。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のハイブリッド車両であっ
    て、 前記二次電池の残容量を検出する残容量検出手段を備
    え、 前記制御手段は、前記運転状態が前記電動機を動力源と
    するよう予め設定された状態にある場合において、前記
    残容量が予め設定された所定値以上の場合に、前記二次
    電池を電源として該電動機を駆動する手段であるハイブ
    リッド車両。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のハイブリッド車両であっ
    て、 前記制御手段は、さらに、前記残容量が前記所定値より
    も小さい場合には、前記燃料電池を電源として前記電動
    機を駆動する手段であるハイブリッド車両。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のハイブリッド車両であっ
    て、 前記制御手段は、さらに、前記燃料電池を電源とする場
    合において、該燃料電池から前記電動機の駆動に必要な
    電力の十分な供給が行われるまでの過渡期では、不足分
    の電力を前記二次電池からの電力で補償する手段であ
    り、 前記所定値は、前記補償を実現可能な電力に基づいて設
    定された残容量であるハイブリッド車両。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のハイブリッド車両であっ
    て、 高トルクを要求する状態として予め設定された条件を具
    備するか否かを判定する高トルク判定手段を備え、 前記制御手段は、高トルクを要求する状態に該当すると
    判定された場合に、前記熱機関と前記電動機の双方を動
    力源として駆動する手段であるハイブリッド車両。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のハイブリッド車両であっ
    て、 アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段を備え、 前記条件は、アクセル開度の変化率が予め設定された所
    定値以上となる条件であるハイブリッド車両。
  7. 【請求項7】 請求項5記載のハイブリッド車両であっ
    て、 要求トルクを入力する要求トルク入力手段を備え、 前記条件は、要求トルクが予め設定された所定値以上と
    なる条件であるハイブリッド車両。
  8. 【請求項8】 請求項5記載のハイブリッド車両であっ
    て、 高トルクを要求する運転モードを、該車両の運転者が選
    択するためのスイッチを備え、 前記高トルク判定手段は、該スイッチの操作状態に基づ
    いて前記判定を行う手段であるハイブリッド車両。
  9. 【請求項9】 請求項5記載のハイブリッド車両であっ
    て、 前記二次電池の残容量を検出する残容量検出手段を備
    え、 前記制御手段は、前記残容量が予め設定された所定値以
    上の場合に、前記二次電池を電源として該電動機を駆動
    する手段であるハイブリッド車両。
  10. 【請求項10】 請求項5記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記制御手段は、さらに、前記残容量が前記所定値より
    も小さい場合には、前記燃料電池を電源として前記電動
    機を駆動する手段であるハイブリッド車両。
  11. 【請求項11】 請求項1記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記燃料電池および二次電池とを電源として駆動する第
    2の電動機と、 前記燃料電池および二次電池から該第2の電動機に供給
    される電力をそれぞれ調整可能な調整手段と、 前記熱機関および前記第2の電動機に結合された補機と
    を備え、 前記制御手段は、さらに、前記熱機関の運転が停止して
    いる場合に、前記第2の電動機を駆動する手段であるハ
    イブリッド車両。
  12. 【請求項12】 請求項11記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記二次電池の残容量を検出する残容量検出手段を備
    え、 前記制御手段は、前記残容量が予め設定された所定値以
    上の場合に、前記二次電池を電源として前記第2の電動
    機を駆動する手段であるハイブリッド車両。
  13. 【請求項13】 請求項11記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記制御手段は、さらに、前記残容量が前記所定値より
    も小さい場合には、前記燃料電池を電源として前記第2
    の電動機を駆動する手段であるハイブリッド車両。
  14. 【請求項14】 前記電動機と熱機関とは、それぞれ異
    なる駆動軸に結合された請求項1記載のハイブリッド車
    両。
  15. 【請求項15】 請求項14記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記二次電池の残容量を検出する残容量検出手段を備
    え、 前記制御手段は、前記残容量が予め設定された所定値以
    上の場合に、前記二次電池を電源として前記電動機を駆
    動する手段であるハイブリッド車両。
  16. 【請求項16】 請求項14記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記制御手段は、さらに、前記残容量が前記所定値より
    も小さい場合には、前記燃料電池を電源として前記電動
    機を駆動する手段であるハイブリッド車両。
  17. 【請求項17】 請求項1記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記制御手段は、前記燃料電池から前記電動機への電力
    の供給が要求されていない場合においても、該燃料電池
    を作動させ、予め設定された所定の電力を出力させる制
    御を行う手段であるハイブリッド車両。
  18. 【請求項18】 請求項17記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記動力源が出力すべき動力を増大すべき可能性が低い
    状態として予め設定された所定の条件を具備するか否か
    を判断する動力予測判断手段を備え、 前記制御手段は、前記所定の条件を具備すると判定され
    た場合には、前記所定の電力を抑制する制御を行う手段
    であるハイブリッド車両。
  19. 【請求項19】 請求項18記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記動力源の動力を車両の運転状態に応じて変速して駆
    動軸に出力する変速機と、 該変速機の作動状態を操作する操作手段とを備え、 前記所定の条件は、該操作手段により前記変速機の作動
    状態が非駆動状態に設定されている条件であるハイブリ
    ッド車両。
  20. 【請求項20】 請求項18記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記車両が制動中であるか否かを判定する制動判定手段
    を備え、 前記所定の条件は、前記車両の制動が行われている条件
    であるハイブリッド車両。
  21. 【請求項21】 請求項18記載のハイブリッド車両で
    あって、 該車両が走行する経路が渋滞しているか否かに関する情
    報を取得する情報取得手段を備え、 前記所定の条件は、前記経路が渋滞している条件である
    ハイブリッド車両。
  22. 【請求項22】 電動機と熱機関とを駆動軸に動力を出
    力するための動力源として備えるハイブリッド車両であ
    って、 少なくとも前記熱機関から出力される動力を前記駆動軸
    に伝達する際の変速比を変更可能な変速機と、 前記電動機に電力を供給する燃料電池とを備え、 車両の運転状態に応じて、前記燃料電池、動力源、およ
    び変速機の作動を制御する制御手段を備えるハイブリッ
    ド車両。
  23. 【請求項23】 請求項22記載のハイブリッド車両で
    あって、 高トルクを要求する状態として予め設定された条件を具
    備するか否かを判定する高トルク判定手段を備え、 前記制御手段は、高トルクを要求する状態に該当すると
    判定された場合に、前記熱機関と前記電動機の双方を動
    力源として駆動する手段であるハイブリッド車両。
  24. 【請求項24】 請求項22記載のハイブリッド車両で
    あって、 高トルクを要求する運転モードを、該車両の運転者が選
    択するためのスイッチを備え、 前記制御手段は、該スイッチが所定の操作状態にある場
    合に、前記熱機関と前記電動機の双方を動力源として駆
    動する手段であるハイブリッド車両。
  25. 【請求項25】 請求項22記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記制御手段は、前記燃料電池から前記電動機への電力
    の供給が要求されていない場合においても、該燃料電池
    を作動させ、予め設定された所定の電力を出力させる制
    御を行う手段であるハイブリッド車両。
  26. 【請求項26】 請求項25記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記動力源が出力すべき動力を増大すべき可能性が低い
    状態として予め設定された所定の条件を具備するか否か
    を判断する動力予測判断手段を備え、 前記制御手段は、前記所定の条件を具備すると判定され
    た場合には、前記所定の電力を抑制する制御を行う手段
    であるハイブリッド車両。
  27. 【請求項27】 請求項26記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記変速機の作動状態を操作する操作手段とを備え、 前記所定の条件は、該操作手段により前記変速機の作動
    状態が非駆動状態に設定されている条件であるハイブリ
    ッド車両。
  28. 【請求項28】 請求項26記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記車両が制動中であるか否かを判定する制動判定手段
    を備え、 前記所定の条件は、前記車両の制動が行われている条件
    であるハイブリッド車両。
  29. 【請求項29】 請求項26記載のハイブリッド車両で
    あって、 該車両が走行する経路が渋滞しているか否かに関する情
    報を取得する情報取得手段を備え、 前記所定の条件は、前記経路が渋滞している条件である
    ハイブリッド車両。
  30. 【請求項30】 請求項1記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記電動機の電源として、さらに前記熱機関から出力さ
    れる動力を電力に変換する発電機を備え、 前記制御手段は、 該ハイブリッド車両の運転状態が、前記燃料電池の発電
    を開始すべき状態にあるか否かを判定する運転状態判定
    手段と、 該燃料電池を使用すべき状態にあると判定された場合に
    おいて、該燃料電池が発電可能になるまでの期間に、燃
    料電池を除く電源により該燃料電池からの電力を補償し
    て、要求された電力を出力する電力補償手段とを備え、 該電力補償手段は、 前記燃料電池が発電可能になるまでの期間に補償すべき
    電力量を推定する電力量推定手段と、 前記二次電池の残容量を検出する残容量検出手段と、 前記推定された電力量が前記二次電池から出力可能か否
    かを該残容量に基づいて判定する二次電池電力量判定手
    段と、 前記推定された電力量を前記二次電池から出力不能と判
    断された場合には、前記熱機関を運転して前記発電機に
    よる発電を行う熱機関制御手段とを備えるハイブリッド
    車両。
  31. 【請求項31】 請求項30記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記熱機関は、前記発電機を駆動する動力のみを出力す
    る動力源であるハイブリッド車両。
  32. 【請求項32】 請求項30記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記燃料電池の温度状態を検出する温度状態検出手段
    と、 該燃料電池の温度が所定以下の冷間時であると判断され
    る場合に、前記電力補償手段を有効に機能せしめる冷間
    時制御手段とを備えるハイブリッド車両。
  33. 【請求項33】 請求項30記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記熱機関制御手段は、前記二次電池で不足する電力量
    を少なくとも補償可能な範囲で、運転効率を優先して設
    定された運転状態で該熱機関を運転する手段であるハイ
    ブリッド車両。
  34. 【請求項34】 駆動軸に動力を出力する動力源として
    の熱機関と、該熱機関から駆動軸に出力されるトルクの
    変動を相殺可能な部位にトルクを付与する電動機とを備
    える車両であって、 前記電動機と電力をやりとりする電力系統として、電力
    を充電する蓄電手段と、発電手段とを備え、 前記熱機関のトルク変動を相殺するトルクを前記電動機
    の目標トルクとして設定する目標トルク設定手段と、 該目標トルクの符号に応じて前記蓄電手段と発電手段と
    を使い分けて、該電動機を前記目標トルクで運転する制
    御手段とを備える車両。
  35. 【請求項35】 請求項34記載の車両であって、 前記蓄電手段の蓄電状態を検出する蓄電状態検出手段を
    備え、 前記制御手段は、さらに前記蓄電手段の蓄電状態に応じ
    て前記蓄電手段と発電手段とを使い分けて前記電動機の
    運転を行う手段である車両。
  36. 【請求項36】 駆動軸に動力を出力する動力源として
    の熱機関と、該熱機関から駆動軸に出力されるトルクの
    変動を抑制する抑制機構とを備える車両であって、 前記抑制機構は、 前記駆動軸にトルクを付加する第1および第2の電動機
    と、 該電動機と電力をやりとりする電力系統として、電力を
    充電する蓄電手段と、発電手段とを備え、 前記駆動軸に出力すべきトルクを保持する条件、前記ト
    ルク変動を相殺する条件、前記第1の電動機のトルクが
    0以下となる条件、前記第2の電動機のトルクが0以上
    となる条件を満足する範囲で、前記第1および第2の電
    動機の目標トルクをそれぞれ設定する目標トルク設定手
    段と、 第1の電動機と前記蓄電手段との間でやりとりされる電
    力、第2の電動機と前記発電手段との間でやりとりされ
    る電力を制御して、それぞれの電動機を前記目標トルク
    で運転する制御手段とを備える車両。
  37. 【請求項37】 前記発電手段として、燃料電池を備え
    る請求項34または請求項36記載の車両。
  38. 【請求項38】 請求項34または請求項36記載の車
    両であって、 前記蓄電手段の蓄電状態を検出する蓄電状態検出手段を
    備え、 前記制御手段は、該蓄電手段の蓄電量が所定以下の蓄電
    状態にある場合にのみ、前記制御手段による制御を実行
    する手段である車両。
  39. 【請求項39】 動力源として、燃料電池と二次電池と
    を電源とする電動機と、熱機関とを備えるハイブリッド
    車両の運転を制御する制御方法であって、(a) 前記
    二次電池の残容量を検出する工程と、(b) 前記車両
    の運転状態が前記電動機を動力源とするよう予め設定さ
    れた所定の状態にあるか否かを判定する工程と、(c)
    前記所定の状態にあると判定された場合において、前
    記残容量が予め設定された所定値以上の場合に、前記二
    次電池を電源として該電動機を駆動する工程とを備える
    制御方法。
  40. 【請求項40】 請求項39記載の制御方法であって、
    さらに、(d) 前記所定の状態にあると判定された場
    合において、前記残容量が前記所定値よりも小さい場合
    には、前記燃料電池を電源として前記電動機を駆動する
    工程を備える制御方法。
  41. 【請求項41】 燃料電池、二次電池、発電機を備えた
    熱機関を電源として備えるハイブリッド車両において、
    各電源の運転を制御する制御方法であって、(A) 該
    ハイブリッド車両の運転状態が、前記燃料電池の発電を
    開始すべき状態にあるか否かを判定する工程と、(B)
    該燃料電池を使用すべき状態にあると判定された場合
    において、該燃料電池が発電可能になるまでの期間に、
    燃料電池を除く電源により該燃料電池からの電力を補償
    して、要求された電力を出力する工程とを備え、前記工
    程(B)は、(B1) 前記燃料電池が発電可能になる
    までの期間に補償すべき電力量を推定する工程と、(B
    2) 前記二次電池の残容量を検出する工程と、(B
    3) 前記推定された電力量が前記二次電池から出力可
    能か否かを該残容量に基づいて判定する工程と、(B
    4) 前記推定された電力量を前記二次電池から出力不
    能と判断された場合には、前記熱機関を運転して前記発
    電機による発電を行う工程とを備える制御方法。
  42. 【請求項42】 駆動軸に動力を出力する動力源として
    の熱機関と、該熱機関から駆動軸に出力されるトルクの
    変動を相殺可能な部位にトルクを付与する電動機とを備
    える車両の運転を制御する制御方法であって、 前記熱機関のトルク変動を相殺するトルクを前記電動機
    の目標トルクとして設定する工程と、 該電動機を前記目標トルクで運転する際に、前記電動機
    と電力をやりとりする電力系統として備えられた蓄電手
    段と、発電手段とを、該目標トルクの符号に応じて使い
    分ける工程とを備える制御方法。
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