JP4207346B2 - 燃料電池を備える移動体およびその制御方法 - Google Patents

燃料電池を備える移動体およびその制御方法 Download PDF

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    • Y02T90/00Enabling technologies or technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02T90/40Application of hydrogen technology to transportation, e.g. using fuel cells

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える移動体およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジンと電動機とを搭載したハイブリッド車両が提案されている。ハイブリッド車両の一形態として、電動機とエンジンの双方の動力を駆動軸に出力可能なパラレルハイブリッド車両と呼ばれる構成がある。パラレルハイブリッド車両は、機械的動力および電力の双方を含めた意味でのエネルギ出力源として、エンジンおよびバッテリの2種類を備えている。即ち、パラレルハイブリッド車両は、エンジンから動力を出力して走行する他、バッテリから供給される電力で電動機をして走行することもできる。このように2種類のエネルギ出力源を適宜使い分けることによって、エンジンを効率の良い領域で運転させることができる。また、電動機による回生制動を行うことにより、車両の運動エネルギを電力としてバッテリに回収することができる。これらの作用に基づき、パラレルハイブリッド車両は、燃費および環境性に優れるという特性を有する。
【0003】
ハイブリッド車両には、他の形態として、シリーズハイブリッド車両と呼ばれる構成がある。シリーズハイブリッド車両は、駆動軸に結合された電動機から出力される動力で走行する。エンジンは駆動軸と切り離されて設けられており、発電機を駆動して電力を発生させる。駆動軸に結合された電動機は、こうして発電された電力、およびバッテリから供給される電力の少なくとも一方により駆動される。シリーズハイブリッド車両も、2種類のエネルギ出力源を有するとともに、両者を適宜使い分けることができ、燃費および環境性に優れる特性を有する。
【0004】
こうしたパラレルハイブリッド車両の中には、エネルギ出力源の一つとして、燃料電池を搭載した車両も提案されている(例えば、特開平3−148330記載の車両)。燃料電池とは、燃料として最終的に供給される水素の酸化により発電を行う装置をいう。燃料電池から排出されるのは、水蒸気であり、有害な成分が含まれないため環境性に非常に優れるという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、燃料電池は、昨今開発が行われている装置である。従って、燃料電池の出力特性と熱機関その他のエネルギ出力源の有する特性の長所どうしを最適に組みあわせる点でまだ不十分であった。特に、燃料電池は電気的エネルギを出力する点で二次電池と共通するものの、二次電池と異なり不可逆的なエネルギ出力源である特徴がある。二次電池はハイブリッド車両の走行中においても充電によりエネルギ状態を回復することができるのに対し、燃料電池は燃料を外部から補給しないことには、発電能力を回復することができない。また、燃料電池は応答性が低いという特性も有している。
【0006】
従来、提案されていた燃料電池を備えるハイブリッド車両では、かかる特徴を踏まえて燃料電池をエネルギ出力源としていかに使うかという点について十分検討されてはいなかった。かかる課題は、ハイブリッド車両のみならず、燃料電池を含む複数のエネルギ出力源を備える移動体に共通の課題であった。本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、燃料電池を搭載した移動体において、燃料電池をエネルギ出力源として有効活用し、さらに燃費および環境性に優れた移動体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題を解決するために、本発明は次の構成を採った。
本発明の移動体は、
燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える移動体であって、
前記エネルギ出力源の少なくとも一部について、出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記各エネルギ出力源からのエネルギの出力状態を該検出結果に応じて調整しつつ、要求に応じた総エネルギを出力する出力制御手段を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の移動体は、燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える。エネルギ出力源とは、機械的エネルギおよび電気的エネルギなど種々の形態でエネルギを出力する源を意味する。燃料電池は電気的エネルギを出力するエネルギ出力源である。2種類以上のエネルギ出力源とは、必ずしもエネルギの形態が異なる必要はなく、例えば、燃料電池と二次電池など同種のエネルギを出力するものであってもよい。
【0009】
上記移動体は、出力持続能力に応じて複数備えられたエネルギ出力源それぞれの出力状態を制御することができる。例えば、燃料電池については出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方に応じた出力となるように制御することができる。ここで、出力持続能力とは、各エネルギ出力源が継続的にエネルギを出力可能な総エネルギ量を意味する。燃料電池について具体的に説明すれば、燃料電池が継続的に発電することができる能力、即ち、燃料電池が出力可能な電力を時間積分した物理量に相当する。具体的には、要求された電力を出力可能な場合であっても、その電力を維持できる時間が短い場合には出力持続能力は低いことになる。
【0010】
例えば、出力持続能力が低い場合に燃料電池から高いエネルギを出力し続けると、その後、燃料電池は発電不能となりエネルギ出力源として活用できなくなる可能性がある。かかる状態では、移動体は燃料電池以外のエネルギ出力源を利用して走行せざるを得なくなる。複数のエネルギ出力源を搭載した移動体は、これらのエネルギ出力源を適宜使い分けることにより、高効率での運転を実現するから、燃料電池をエネルギ出力源として活用できなくなって以降は、かかる使い分けに制約が生じ、運転効率の低下を招く。燃料電池の出力を出力持続能力に応じて制御すれば、燃料電池を長時間に亘り発電可能な状態に維持することができる。出力持続能力の変化率は将来的な出力持続能力を間接的に表すパラメータといえるから、長時間に亘り発電可能な状態に維持する制御を、この変化率に応じて実現することも可能である。もちろん、出力持続能力とその変化率の双方を考慮して制御することもできる。本発明の移動体は、このようにして燃料電池の出力を制御する結果、走行中の長時間に亘ってエネルギ出力源の適切な使い分けを実現することができ、運転効率および環境性を向上することができる。換言すれば、本発明の移動体は、燃料電池の発電能力を有効に活用できる場面で燃料電池を使用するよう、適宜FC燃料の消費を抑制することで、燃料電池の有効活用を図り、運転効率および環境性を向上するのである。ここでは、燃料電池の出力を制御する場合を例にとって説明したが、その他のエネルギ出力源についても同様に出力持続能力に応じて、エネルギ出力源の効率的な使い分けを実現することが可能となる。
【0011】
なお、移動体においては、単位時間当たりのエネルギを考慮して運転の制御がなされることが多い。従って、本明細書において、エネルギという用語は、特に断らない限り、単位時間当たりのエネルギを意味するものとする。従って、本明細書では、エネルギは、原則として動力および電力と同義の用語である。
【0012】
なお、本明細書にいう移動体には、車両、船舶、航空機、飛行船その他の飛翔体など動力を利用して移動する種々の移動体が含まれる。必ずしも人や物を輸送するものに限られない。また、乗員が搭乗するものにも限らない。
【0013】
本発明の移動体において、
前記検出手段は、前記燃料電池用の残燃料量に基づいて、前記燃料電池の出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方を検出する手段であるものとすることができる。
かかる構成によれば、最も簡易な方法により、確実に出力持続能力およびその変化率を検出することができる。燃料電池は、燃料(以下、FC燃料と呼ぶ)を一旦消耗すると、外部から燃料を補給しない限り発電を行うことはできない不可逆的なエネルギ出力源である。FC燃料の残容量をパラメータとして出力持続能力を検出するものとすれば、燃料電池の不可逆性を最も適切に評価することができる。従って、燃料電池の特徴を踏まえた適切な制御を実現することができる。なお、出力持続能力の変化率を検出する場合には、必ずしも残燃料量の絶対値を検出する必要はなく、その変化率のみを検出するものとしても構わない。同様に、例えば、熱機関をエネルギ出力源として備えている場合には、該熱機関に供給する燃料の残量に基づいて該熱機関の出力持続能力を検出するものとすることができる。
【0014】
また、前記検出手段は、前記検出手段は、前記燃料電池の負荷状態に基づいて、前記燃料電池の出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方を検出する手段であるものとしてもよい。負荷状態は、燃料電池から出力される電力、燃料電池によって駆動される電動機などの出力をパラメータとすることができる。出力持続能力は燃料電池に負荷をかけることによって変化するから、一例として、こうした負荷状態を継続的に監視することにより、出力持続能力やその変化率を検出することができる。同様に、例えば、熱機関をエネルギ出力源として備えている場合には、該熱機関の負荷状態に基づいて該熱機関の出力持続能力を検出するものとすることができる。
【0015】
出力持続能力およびその変化率は、その他にも種々のパラメータにより表すことができる。例えば、燃料電池の温度で判定するものとしてもよい。燃料電池の温度が異常に高くなった場合には、温度を下げるために発電を中断する必要が生じるから、出力持続能力が低下したものと判断することができる。また、燃料電池の温度が十分発電できる程度にまで上昇していない場合も出力持続能力が低下したものと判断することができる。もちろん、燃料電池の温度を用いた場合には、一旦出力持続能力が低下したものと判断されても、その後の温度変化に応じて出力持続能力が向上したと判断される場合もあり得る。出力持続能力は、この他、種々のパラメータを用いて検出することができ、燃料電池が故障しているか否かの判断結果を出力持続能力の評価に用いるものとしてもよい。
【0016】
本発明の移動体において、
前記エネルギ出力源は、燃料電池と熱機関であるものとすることができる。
燃料電池は電気的エネルギの出力源であり、熱機関は機械的エネルギの出力源である。このように形態の異なる2種類のエネルギを出力するエネルギ出力源を、備えることにより、運転効率の低い領域を相互に補完することができ、全体として高効率の運転を実現することができる利点がある。もちろん、エネルギ出力源は、これら2つに限定されるものではない。
【0017】
燃料電池と熱機関とをエネルギ出力源として備える移動体においては、
前記検出手段は、前記熱機関の出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方を検出する手段であり、
前記出力制御手段は、熱機関をエネルギ出力源として使用すべき運転領域において、該熱機関の出力持続能力が所定値よりも低い場合、該熱機関に代えて前記燃料電池をエネルギ出力源として使用する手段であるものとすることができる。
【0018】
熱機関の出力持続能力が低下した場合に、熱機関から燃料電池にエネルギ出力源を切り替えることにより、熱機関の使用を抑制することができ、出力持続能力の更なる低下を回避することができる。この結果、例えば、熱機関を使用可能な状態に保持することができ、他の運転状態において燃料電池と熱機関との使い分けを実現可能な状態を確保することができる。なお、上記制御を行う基準となる所定値は任意に設定可能であり、移動体の運転状態に応じて変化する値としてもよい。また、上記制御は、出力持続能力が所定値よりも現実に低くなったことが検出された時点で実行してもよいし、所定値よりも低くなることが予測される時点で実行するものとしてもよい。
【0019】
このように本発明は、種々のエネルギ出力源を備える移動体に適用することができ、また燃料電池の制御も種々の態様で実現することができる。以下に制御の態様を例示する。
例えば、本発明の移動体が、
動力を出力する駆動軸と、
前記各エネルギ出力源から出力されたエネルギをそれぞれ機械的エネルギの形で該駆動軸に出力する機械的エネルギ出力機構とを備える場合には、
前記総エネルギは該駆動軸から出力される単位時間当たりの機械的エネルギであるものとすることができる。
【0020】
即ち、駆動軸に出力される機械的エネルギに基づいて制御を行う態様である。上述の機械的エネルギ出力機構としては、例えば燃料電池のように電気的エネルギを出力するエネルギ出力源の場合は、電動機を用いることができる。熱機関のように機械的エネルギを出力するエネルギ出力源の場合には、出力されたエネルギを駆動軸に伝達するための機構が機械的エネルギ出力機構に該当する。もちろん、熱機関などの出力軸を駆動軸に直結する態様を採るものとしてもよい。上記構成によれば、出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方に応じて燃料電池の出力を制御することにより、各エネルギ出力源を適切に使い分けつつ駆動軸から動力を出力することができる。移動体の場合、かかる動力は主として移動に使用される。従って、上記移動体によれば、高効率な移動を実現することができる。
【0021】
駆動軸から出力される動力を制御する移動体においては、
前記出力制御手段は、所定の一のエネルギ出力源を主として用いて前記総エネルギを出力する前記移動体の所定の運転領域において、該エネルギ出力源の出力持続能力の低下に伴い、前記所定の運転領域を狭める手段であるものとすることができる。
一のエネルギ出力源を燃料電池とした場合について具体的に示せば、
前記出力制御手段は、燃料電池を主として用いて前記総エネルギを出力する前記移動体の所定の運転領域において、該燃料電池の出力持続能力の低下に伴い、前記所定の運転領域を狭める手段となる。
【0022】
かかる移動体によれば、燃料電池の出力持続能力が低下するにつれて、燃料電池を主として用いる運転領域が狭まり、FC燃料を消費する機会が減る。運転領域とは、移動に要する駆動力および移動速度などをパラメータとして表される範囲をいう。上記移動体によれば、運転領域を狭めることにより、FC燃料の消費を抑制することができる。なお、上述の運転領域は出力持続能力の低下に伴い、段階的に狭めるものとしてもよいし、連続的に狭めるものとしてもよい。燃料電池以外のエネルギ出力源についても同様の制御を適用することができる。
【0023】
また、駆動軸から出力される動力を制御する移動体において、
前記出力制御手段は、所定の一のエネルギ出力源の出力持続能力の低下に伴い、該エネルギ出力源を利用して出力されるトルクを低減する手段であるものとしてもよい。例えば、燃料電池を所定のエネルギ出力源とするときは、出力持続能力の低下に伴い、前記燃料電池を利用して出力されるトルクを低減する手段とすることになる。こうすることにより、所定のエネルギ出力源として選択されたエネルギ出力源、例えば燃料電池の負荷を低減することができるから、その出力持続能力の更なる低下、例えばFC燃料の消費を抑制することができる。
【0024】
駆動軸から出力される動力を制御する移動体のより具体的な態様としては、
前記エネルギ出力源として、熱機関、燃料電池、および二次電池を備え、
少なくとも前記機械的エネルギ出力機構として、燃料電池および二次電池の電力により回転可能な電動機を備え、
前記燃料電池出力制御手段は、前記燃料電池の出力持続能力に応じて、前記移動体の運転領域における該電動機の運転領域および該電動機の出力トルクの少なくとも一方を変更する手段であるものとすることが望ましい。
【0025】
かかる移動体によれば、電動機の運転領域および出力トルクの少なくとも一方を変更することにより、先に述べた作用に基づき、FC燃料の消費を抑制することができる。更に、上記移動体では、電動機を駆動する電源として二次電池をも備えるため、燃料電池の負荷を低減した分を二次電池からの電力で補うことができ、エネルギ出力源からのエネルギをより高い自由度で使い分けることができる。従って、移動体の乗り心地や応答性の低下をもたらすことなく、燃料電池の負荷を低減することができる。
【0026】
駆動軸に出力される動力を制御する態様の他、移動体が、
電力を充放電する蓄電手段と、
前記各エネルギ出力源から出力されたエネルギをそれぞれ電気的エネルギの形で前記蓄電手段の充電に供する電気的エネルギ出力機構とを備える場合には、
前記総エネルギは該蓄電手段の充電量を所定値まで増加させるために要する電気的エネルギであるものとすることもできる。
【0027】
即ち、蓄電手段の充電に供される電気的エネルギに基づいて制御を行う態様である。二次電池やキャパシタなどの蓄電手段に蓄えられた電力は、電動機を介して移動体の走行に用いるものとしてもよいし、その他種々の補機を駆動するのに用いるものとしてもよい。上述の電気的エネルギ出力機構は、例えば燃料電池のように電気的エネルギを出力するエネルギ出力源の場合については出力された電力を伝達する導電線等が出力機構に該当する。熱機関のように機械的エネルギを出力するエネルギ出力源の場合には、該エネルギを用いて駆動される発電機を電気的エネルギ出力機構として適用することができる。上記構成によれば、出力持続能力に応じて燃料電池の出力を制御することにより、各エネルギ出力源を適切に用いて蓄電手段の充電制御を行うことができる。
【0028】
蓄電手段の充電制御を実行する移動体においては、
前記出力制御手段は、前記蓄電手段を充電する電力を主として出力するエネルギ出力源の出力持続能力の低下に伴い、前記蓄電手段の充電量の目標値である前記所定値を低減させる手段であるものとすることができる。
【0029】
蓄電手段に蓄えておくべき電力の目標値を低下させれば、当然、エネルギ出力源から蓄電手段に出力すべき電力全体が低減する。従って、燃料電池から出力すべき電力も低下する。上記移動体によれば、出力持続能力に応じて電力の目標値を低減させることにより、FC燃料の消費を抑制することができる。
【0030】
また、蓄電手段の充電制御を実行する移動体においては、
前記出力制御手段は、前記蓄電手段を充電する電力を主として出力するエネルギ出力源の出力持続能力の低下に伴い、前記総エネルギ中のうち該エネルギ出力源による出力を低減させる手段であるものとすることもできる。
【0031】
この場合は、蓄電手段に蓄えられる電力の目標値は維持しつつ、エネルギ出力源を使い分ける。上記移動体では、出力持続能力が低下すると、燃料電池の出力を低減し、その他のエネルギ出力源からのエネルギでこれを補償することにより、蓄電手段の充電を行う。この結果、FC燃料の消費を抑制することができる。
【0032】
このように燃料電池の出力を低下させる場合において、
前記出力制御手段は、前記蓄電手段を充電する電力を主として出力するエネルギ出力源の出力持続能力の低下に伴い、前記蓄電手段の充電量の目標値である前記所定値を増大させる手段であるものとすることが望ましい。
【0033】
出力持続能力が低下している場合には、蓄電手段の充電以外の場面でも燃料電池の出力を抑制することが好ましい。かかる観点から、蓄電手段の電力を高い値に維持しておくことが望ましい。上記構成によれば、出力持続能力が低下した場合には、燃料電池の出力を低下させるとともに、他のエネルギ出力源からの出力によって蓄電手段に多くの電力を蓄えることができる。従って、電力が要求される種々の状態においてFC燃料の消費を抑制することができる。
【0034】
なお、充電制御を実行する移動体においては、上述の2つの制御を組み合わせて適用することもできる。即ち、出力持続能力の低下に伴い、前記出力エネルギ設定手段における前記所定値を低減させるとともに、前記総エネルギ中の前記燃料電池による割合を低減させることも可能である。これら種々の態様において、出力持続能力の低下に伴い、所定値および出力の割合を段階的に低減させるものとしてもよいし、連続的に低減させるものとしてもよい。
【0035】
本発明の移動体においては出力持続能力自体に基づいて上述の制御を行うものとしてもよいし、前記検出手段が、少なくとも前記エネルギ出力源の少なくとも一部について、出力持続能力の変化率を検出する手段である場合には、変化率に応じた変更速度で該出力持続能力の検出対象となっているエネルギ出力源の出力を変更するものとしてもよい。例えば、出力持続能力が急激に低下している場合には、それに応じて燃料電池の出力を急激に低減させることによって、FC燃料の過剰な消費を抑制することができる。かかる制御によれば、移動中における出力持続能力の変化に追随してFC燃料の消費を制御することができるのである。なお、かかる制御を行う場合、燃料電池の出力の変更速度は、出力持続能力の変化率に応じて連続的に変化させるものとしてもよいし、段階的に変化させるものとしてもよい。
【0036】
本発明の移動体においては、
前記出力制御手段は、該移動体の運転状態に応じて前記エネルギ出力源を切り替えて前記総エネルギを出力させる手段であり、かつ、いずれかのエネルギ出力源について出力持続能力が所定値以下の状態にあると判断される場合には、該エネルギ出力源への切り替えを禁止する手段とすることもできる。燃料電池と熱機関を備える移動体について例示すれば、熱機関の燃料が所定値以下に低減した場合には、通常であれば、燃料電池から熱機関にエネルギ出力源を切り替えるべき運転状態に至っても、こうした切り替えを行わずに燃料電池を継続的に運転し続ける態様が相当する。
【0037】
また、前記出力制御手段は、該移動体の運転状態に応じて前記エネルギ出力源を切り替えて前記総エネルギを出力させる手段であり、かつ、いずれかのエネルギ出力源について出力持続能力が所定値以下の状態にあると判断される場合には、該エネルギ出力源を使用すべき運転状態にあっても、該エネルギ出力源から他のエネルギ出力源への切り替えを行う手段とすることもできる。燃料電池と熱機関を備える移動体について例示すれば、熱機関の燃料が所定値以下に低減した場合には、熱機関の運転を停止し、燃料電池の運転に切り替える態様が相当する。
【0038】
これらの制御態様によれば、出力持続能力の低いエネルギ出力源の使用を抑制することができる。出力持続能力が低い状態にあるにも関わらず、そのエネルギ出力源を継続的に使用し続ければ、結果として運転効率の低下を招くばかりでなく、そのエネルギ出力源が出力不能となった時点で、出力される総エネルギの急変を招く可能性があり、移動体の運転感覚を大きく損ねる可能性もある。上記制御によれば、こうした運転感覚の急激な変動を回避することができる。
【0039】
後者の制御態様、即ち、あるエネルギ出力源の出力持続能力の低下時には、他のエネルギ出力源への切り替えを行う態様において、
前記エネルギ出力源は、それぞれ該移動体の駆動軸に回転動力を出力する機構である場合には、
前記出力制御手段は、さらに、前記エネルギ出力源から他のエネルギ出力源への切り替えは、双方のエネルギ出力源により前記駆動軸に出力可能なトルクが所定範囲内に収まる運転状態において行う手段であるものとすることが望ましい。こうすれば、切り替え時のトルク変動を所定範囲内に抑制することができ、ショックを低減することができる。所定範囲は、移動体の種類などに応じて、許容される範囲で任意に設定可能である。
【0040】
本発明の移動体においては、
該移動体の運転状態に関する所定のパラメータを入力する運転状態入力手段を備え、
前記出力制御手段は、さらに、前記検出結果に応じて前記各エネルギ出力源からのエネルギの出力状態を制御する際に用いられる基準値を前記パラメータに応じて変化させる手段を備えるものとすることができる。
こうすることにより、運転状態に応じてエネルギ出力源の柔軟な使い分けを実現することができ、運転感覚により適合した高効率な運転を実現することができる。運転状態に関するパラメータとしては、移動体の移動速度、要求動力を指示するアクセルの開度など移動体の運転状態を直接表すパラメータを用いることができる。また、移動体の進路に関する情報を与えるシステムが備えられている場合には、かかるシステムから得られる種々の情報をパラメータとして利用することもできる。
【0041】
本発明は、以上で説明した移動体と主要部を同一にする発明として、以下に示す駆動装置の態様で構成することもできる。
即ち、本発明の駆動装置は、
燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える移動体の駆動装置であって、
前記エネルギ出力源の少なくとも一部について出力残量およびその変化率の少なくとも一方を推定する推定手段と、
前記エネルギ出力源から出力すべき総エネルギのうち各エネルギ出力源から出力すべきエネルギの配分を前記推定手段による推定結果に応じて制御する出力配分制御手段とを備える駆動装置である。
かかる駆動装置によれば、移動体で説明したのと同様の作用により、高効率および環境性に優れた運転を実現することができる。
【0042】
ここで、出力残量とは、エネルギ出力源から出力可能な電力を時間積分した物理量に相当する。出力残量は、種々のパラメータによって推定することができ、例えば、
前記推定手段は、前記燃料電池の燃料または燃料電池の燃料を生成する原料の残量に基づいて前記燃料電池についての出力残量およびその変化率の少なくとも一方を推定する手段であるものとすることができる。
【0043】
また、本発明の駆動装置において、
前記出力配分制御手段は、前記燃料電池を除く少なくとも一つのエネルギ出力源の出力エネルギが負の値となることを許容して前記配分を制御する手段であるものとしてもよい。
【0044】
出力エネルギを負の値に設定するとは、エネルギを受け入れる状態を採ることを意味する。例えば、エネルギ出力源の一つに充放電可能な蓄電手段が含まれている場合には、その充電を行うことが相当する。このように設定することにより、上記駆動装置は、エネルギを受け入れる状態に設定されたエネルギ出力源のエネルギ状態を、燃料電池を含む各エネルギ出力源から出力されたエネルギで回復することができる。
【0045】
上記駆動装置においても、移動体と同様、種々の制御を適用することができ、例えば、
前記出力配分制御手段は、該駆動装置の運転状態に応じて前記エネルギ出力源を切り替えて前記総エネルギを出力させる手段であり、かつ、いずれかのエネルギ出力源について出力残量が所定値以下の状態にあると判断される場合には、該エネルギ出力源への切り替えを禁止する手段であるものとすることができる。
【0046】
また、前記出力配分制御手段は、該駆動装置の運転状態に応じて前記エネルギ出力源を切り替えて前記総エネルギを出力させる手段であり、かつ、いずれかのエネルギ出力源について出力残量が所定値以下の状態にあると判断される場合には、該エネルギ出力源を使用すべき運転状態にあっても、該エネルギ出力源から他のエネルギ出力源への切り替えを行う手段であるものとすることもできる。
この場合には、
前記出力配分制御手段は、さらに、前記エネルギ出力源から他のエネルギ出力源への切り替えは、双方のエネルギ出力源により該駆動装置の駆動軸に出力可能なトルクが所定範囲内に収まる運転状態において行う手段であるものとすることが望ましい。
【0047】
さらに、
該駆動装置の運転状態に関する所定のパラメータを入力する運転状態入力手段を備え、
前記出力配分制御手段は、さらに、前記検出結果に応じて前記各エネルギ出力源からのエネルギの出力状態を制御する際に用いられる基準値を前記パラメータに応じて変化させる手段を備えるものとしてもよい。
【0048】
これらの制御態様によれば、移動体で説明したのと同様の作用により、それぞれエネルギ出力源の効率的な使い分けを実現することができる。また、運転感覚に適合した使い分けを実現することができる。
【0049】
本発明は、以下に示す制御方法として構成することもできる。
即ち、本発明の制御方法は、
燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える移動体の運転を制御する制御方法であって、
(a) 前記エネルギ出力源の少なくとも一部について、出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方を検出する工程と、
(b) 前記エネルギ出力源から出力すべき総エネルギを設定する工程と、
(c) 前記工程(a)における検出結果に基づいて各エネルギ出力源のエネルギを調整しつつ、前記各エネルギ出力源を制御して、設定された総エネルギを出力する工程とを備える制御方法である。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をハイブリッド車両に適用した場合の実施例に基づいて、以下の順序で説明する。
A.装置の構成:
B.一般的動作:
C.EV走行制御処理:
D.補機駆動制御処理:
E.充電制御処理:
F.第2実施例:
G.第3実施例:
H.第4実施例:
H1.第4実施例における第1変形例:
H2.第4実施例における第2変形例:
I.その他の変形例:
【0051】
A.装置の構成:
図1は実施例としてのハイブリッド車両の概略構成図である。本実施例のハイブリッド車両の動力源は、エンジン10とモータ20である。図示する通り、本実施例のハイブリッド車両の動力系統は、上流側からエンジン10、入力クラッチ18、モータ20、トルクコンバータ30、および変速機100を直列に結合した構成を有している。即ち、エンジン10のクランクシャフト12は、入力クラッチ18を介してモータ20に結合されている。入力クラッチ18をオン・オフすることにより、エンジン10からの動力の伝達を断続することができる。モータ20の回転軸13は、また、トルクコンバータ30にも結合されている。トルクコンバータの出力軸14は変速機100に結合されている。変速機100の出力軸15はディファレンシャルギヤ16を介して車軸17に結合されている。以下、それぞれの構成要素について順に説明する。
【0052】
エンジン10は通常のガソリンエンジンである。但し、エンジン10は、ガソリンと空気の混合気をシリンダに吸い込むための吸気バルブ、および燃焼後の排気をシリンダから排出するための排気バルブの開閉タイミングを、ピストンの上下運動に対して相対的に調整可能な機構を有している(以下、この機構をVVT機構と呼ぶ)。VVT機構の構成については、周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。エンジン10は、ピストンの上下運動に対して各バルブが遅れて閉じるように開閉タイミングを調整することにより、いわゆるポンピングロスを低減することができる。この結果、エンジン10をモータリングする際にモータ20から出力すべきトルクを低減させることもできる。ガソリンを燃焼して動力を出力する際には、VVT機構は、エンジン10の回転数に応じて最も燃焼効率の良いタイミングで各バルブが開閉するように制御される。
【0053】
モータ20は、三相の同期モータであり、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ22と、回転磁界を形成するための三相コイルが巻回されたステータ24とを備える。モータ20はロータ22に備えられた永久磁石による磁界とステータ24の三相コイルによって形成される磁界との相互作用により回転駆動する。また、ロータ22が外力によって回転させられる場合には、これらの磁界の相互作用により三相コイルの両端に起電力を生じさせる。なお、モータ20には、ロータ22とステータ24との間の磁束密度が円周方向に正弦分布する正弦波着磁モータを適用することも可能であるが、本実施例では、比較的大きなトルクを出力可能な非正弦波着磁モータを適用した。
【0054】
モータ20の電源としては、バッテリ50と燃料電池システム60とが備えられている。但し、主電源は燃料電池システム60である。バッテリ50は燃料電池システム60が故障した場合や十分な電力を出力することができない過渡的な運転状態にある場合などに、これを補完するようモータ20に電力を供給する電源として使用される。バッテリ50の電力は、主としてハイブリッド車両の制御を行う制御ユニット70や、照明装置などの電力機器に主として供給される。
【0055】
モータ20と各電源との間には、接続状態を切り替えるための切替スイッチ84が設けられている。切替スイッチ84は、バッテリ50,燃料電池システム60,モータ20の3者間の接続状態を任意に切り替えることができる。ステータ24は切替スイッチ84および駆動回路51を介してバッテリ50に電気的に接続される。また、切替スイッチ84および駆動回路52を介して燃料電池システム60に接続される。駆動回路51,52は、それぞれトランジスタインバータで構成されており、モータ20の三相それぞれに対して、ソース側とシンク側の2つを一組としてトランジスタが複数備えられている。これらの駆動回路51,52は、制御ユニット70と電気的に接続されている。制御ユニット70が駆動回路51,52の各トランジスタのオン・オフの時間をPWM制御するとバッテリ50および燃料電池システム60を電源とする擬似三相交流がステータ24の三相コイルに流れ、回転磁界が形成される。モータ20は、かかる回転磁界の作用によって、先に説明した通り電動機または発電機として機能する。
【0056】
図2は燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。燃料電池システム60は、メタノールを貯蔵するメタノールタンク61、水を貯蔵する水タンク62、燃焼ガスを発生するバーナ63、空気の圧縮を行なう圧縮機64、バーナ63と圧縮機64とを併設した蒸発器65、改質反応により燃料ガスを生成する改質器66、燃料ガス中の一酸化炭素(CO)濃度を低減するCO低減部67、電気化学反応により起電力を得る燃料電池60Aを主な構成要素とする。これらの各部の動作は、制御ユニット70により制御される。
【0057】
燃料電池60Aは、固体高分子電解質型の燃料電池であり、電解質膜、カソード、アノード、およびセパレータとから構成されるセルを複数積層して構成されている。電解質膜は、例えばフッ素系樹脂などの固体高分子材料で形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜である。カソードおよびアノードは、共に炭素繊維を織成したカーボンクロスにより形成されている。セパレータは、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンなどガス不透過の導電性部材により形成されている。カソードおよびアノードとの間に燃料ガスおよび酸化ガスの流路を形成する。
【0058】
燃料電池システム60の各構成要素は次の通り接続されている。メタノールタンク61は配管で蒸発器65に接続されている。配管の途中に設けられたポンプP2は、流量を調整しつつ、原燃料であるメタノールを蒸発器65に供給する。水タンク62も同様に配管で蒸発器65に接続されている。配管の途中に設けられたポンプP3は、流量を調整しつつ、水を蒸発器65に供給する。メタノールの配管と、水の配管とは、それぞれポンプP2,P3の下流側で一つの配管に合流し、蒸発器65に接続される。
【0059】
蒸発器65は、供給されたメタノールと水とを気化させる。蒸発器65には、バーナ63と圧縮機64とが併設されている。蒸発器65は、バーナ63から供給される燃焼ガスによってメタノールと水とを沸騰、気化させる。バーナ63の燃料は、メタノールである。メタノールタンク61は、蒸発器65に加えてバーナ63にも配管で接続されている。メタノールは、この配管の途中に設けられたポンプP1により、バーナ63に供給される。バーナ63には、また、燃料電池60Aでの電気化学反応で消費されずに残った燃料排ガスも供給される。バーナ63は、メタノールと燃料排ガスのうち、後者を主として燃焼させる。バーナ63の燃焼温度はセンサT1の出力に基づいて制御されており、約800℃から1000℃に保たれる。バーナ63の燃焼ガスは、蒸発器65に移送される際にタービンを回転させ、圧縮機64を駆動する。圧縮機64は、燃料電池システム60の外部から空気を取り込んでこれを圧縮し、この圧縮空気を燃料電池60Aの陽極側に供給する。
【0060】
蒸発器65と改質器66とは配管で接続されている。蒸発器65で得られた原燃料ガス、即ちメタノールと水蒸気の混合ガスは、改質器66に搬送される。改質器66は、供給されたメタノールと水とからなる原燃料ガスを改質して水素リッチな燃料ガスを生成する。なお、蒸発器65から改質器66への搬送配管の途中には、温度センサT2が設けられており、この温度が通常約250℃の所定値になるようにバーナ63に供給するメタノール量が制御される。なお、改質器66における改質反応では酸素が関与する。この改質反応に必要な酸素を供給するために、改質器66には外部から空気を供給するためのブロワ68が併設されている。
【0061】
改質器66とCO低減部67とは配管で接続されている。改質器66で得られた水素リッチな燃料ガスは、CO低減部67に供給される。改質器66での反応課程において、通常は燃料ガスに一酸化炭素(CO)が一定量含まれる。CO低減部67は、この燃料ガス中の一酸化炭素濃度を低減させる。固体高分子型の燃料電池では、燃料ガス中に含まれる一酸化炭素が、アノードにおける反応を阻害して燃料電池の性能を低下させてしまうからである。CO低減部67は、燃料ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素へと酸化することにより、一酸化炭素濃度を低減させる。
【0062】
CO低減部67と燃料電池60Aのアノードとは配管で接続されている。一酸化炭素濃度が下げられた燃料ガスは、燃料電池60Aの陰極側における電池反応に供される。また、先に説明した通り、燃料電池60Aのカソード側には圧縮された空気を送り込むための配管が接続されている。この空気は、酸化ガスとして燃料電池60Aの陽極側における電池反応に供される。
【0063】
以上の構成を有する燃料電池システム60は、メタノールと水を用いた化学反応によって電力を供給することができる。本実施例では、メタノールタンク61,水タンク62内のメタノールおよび水の残量に応じて、燃料電池の運転状態を制御する。かかる制御を実現するため、それぞれのタンクには、容量センサ61a、62aが設けられている。なお、本実施例では、メタノールおよび水を用いる燃料電池システム60を搭載しているが、燃料電池システム60は、これに限定されるものではなく、種々の構成を適用することができる。
【0064】
なお、以下の説明では燃料電池システム60をまとめて燃料電池60と称するものとする。また、燃料電池での発電に使用されるメタノールおよび水を総称してFC燃料と呼ぶものとする。両者の容量は常に同一とは限らない。以下の説明においてFC燃料量というときは、燃料電池での発電に制約を与える側の容量を意味するものとする。つまり、メタノールおよび水のうち、発電を継続した場合に先に不足する側の容量を意味するものとする。
【0065】
トルクコンバータ30は、流体を利用した周知の動力伝達機構である。トルクコンバータ30の入力軸、即ちモータ20の出力軸13と、トルクコンバータ30の出力軸14とは機械的に結合されてはおらず、互いに滑りをもった状態で回転可能である。両者の末端には、それぞれ複数のブレードを有するタービンが備えられており、モータ20の出力軸13のタービンとトルクコンバータ30の出力軸14のタービンとが互いに対向する状態でトルクコンバータ内部に組み付けられている。トルクコンバータ30は密閉構造をなしており、中にはトランスミッション・オイルが封入されている。このオイルが前述のタービンにそれぞれ作用することで、一方の回転軸から他方の回転軸に動力を伝達することができる。しかも、両者はすべりをもった状態で回転可能であるから、一方の回転軸から入力された動力を、回転数およびトルクの異なる回転状態に変換して他方の回転軸に伝達することができる。トルクコンバータ30には、両回転軸の滑りが生じないよう、所定の条件下で両者を結合するロックアップクラッチも設けられている。ロックアップクラッチのオン・オフは制御ユニット70により制御される。
【0066】
変速機100は、内部に複数のギヤ、クラッチ、ワンウェイクラッチ、ブレーキ等を備え、変速比を切り替えることによってトルクコンバータ30の出力軸14のトルクおよび回転数を変換して出力軸15に伝達可能な機構である。図3は変速機100の内部構造を示す説明図である。本実施例の変速機100は、大きくは副変速部110(図中の破線より左側の部分)と主変速部120(図中の破線より右側の部分)とから構成されており、図示する構造により前進5段、後進1段の変速段を実現することができる。
【0067】
変速機100の構成について回転軸14側から順に説明する。図示する通り、回転軸14から入力された動力は、オーバードライブ部として構成された副変速部110によって所定の変速比で変速されて回転軸119に伝達される。副変速部110は、シングルピニオン型の第1のプラネタリギヤ112を中心に、クラッチC0と、ワンウェイクラッチF0と、ブレーキB0により構成される。第1のプラネタリギヤ112は、遊星歯車とも呼ばれるギヤであり、中心で回転するサンギヤ114、サンギヤの周りで自転しながら公転するプラネタリピニオンギヤ115、更にプラネタリピニオンギヤの外周で回転するリングギヤ118の3種類のギヤから構成されている。プラネタリピニオンギヤ115は、プラネタリキャリア116と呼ばれる回転部に軸支されている。
【0068】
一般にプラネタリギヤは、上述の3つのギヤのうち2つのギヤの回転状態が決定されると残余の一つのギヤの回転状態が決定される性質を有している。プラネタリギヤの各ギヤの回転状態は、機構学上周知の計算式(1)によって与えられる。
Ns=(1+ρ)/ρ×Nc−Nr/ρ;
Nc=ρ/(1+ρ)×Ns+Nr/(1+ρ);
Nr=(1+ρ)Nc−ρNs;
Ts=Tc×ρ/(1+ρ)=ρTr;
Tr=Tc/(1+ρ);
ρ=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数 ・・・(1);
【0069】
ここで、
Nsはサンギヤの回転数;
Tsはサンギヤのトルク;
Ncはプラネタリキャリアの回転数;
Tcはプラネタリキャリアのトルク;
Nrはリングギヤの回転数;
Trはリングギヤのトルク;
である。
【0070】
副変速部110では、変速機100の入力軸に相当する回転軸14がプラネタリキャリア116に結合されている。またこのプラネタリキャリア116とサンギヤ114との間にワンウェイクラッチF0とクラッチC0とが並列に配置されている。ワンウェイクラッチF0はサンギヤ114がプラネタリキャリア116に対して相対的に正回転、即ち変速機への入力軸14と同方向に回転する場合に係合する方向に設けられている。サンギヤ114には、その回転を制止可能な多板ブレーキB0が設けられている。副変速部110の出力に相当するリングギヤ118は回転軸119に結合されている。回転軸119は、主変速部120の入力軸に相当する。
【0071】
かかる構成を有する副変速部110は、クラッチC0又はワンウェイクラッチF0が係合した状態ではプラネタリキャリア116とサンギヤ114とが一体的に回転する。先に示した式(1)に照らせば、サンギヤ114とプラネタリキャリア116の回転数が等しい場合には、リングギヤ118の回転数もこれらと等しくなるからである。このとき、回転軸119は入力軸14と同じ回転数となる。またブレーキB0を係合させてサンギヤ114の回転を止めた場合、先に示した式(1)においてサンギヤ114の回転数Nsに値0を代入すれば明らかな通り、リングギヤ118の回転数Nrはプラネタリキャリア116の回転数Ncよりも高くなる。即ち、回転軸14の回転は増速されて回転軸119に伝達される。このように副変速部110は、回転軸14から入力された動力を、そのままの状態で回転軸119に伝える役割と、増速して伝える役割とを選択的に果たすことができる。
【0072】
次に、主変速部120の構成を説明する。主変速部120は三組のプラネタリギヤ130,140,150を備えている。また、クラッチC1,C2、ワンウェイクラッチF1,F2およびブレーキB1〜B4を備えている。各プラネタリギヤは、副変速部110に備えられた第1のプラネタリギヤ112と同様、サンギヤ、プラネタリキャリアおよびプラネタリピニオンギヤ、並びにリングギヤから構成されている。三組のプラネタリギヤ130,140,150は次の通り結合されている。
【0073】
第2のプラネタリギヤ130のサンギヤ132と第3のプラネタリギヤ140のサンギヤ142とは互いに一体的に結合されており、これらはクラッチC2を介して入力軸119に結合可能となっている。これらのサンギヤ132,142が結合された回転軸には、その回転を制止するためのブレーキB1が設けられている。また、該回転軸が逆転する際に係合する方向にワンウェイクラッチF1が設けられている。さらにこのワンウェイクラッチF1の回転を制止するためのブレーキB2が設けられている。
【0074】
第2のプラネタリギヤ130のプラネタリキャリア134には、その回転を制止可能なブレーキB3が設けられている。第2のプラネタリギヤ130のリングギヤ136は、第3のプラネタリギヤ140のプラネタリキャリア144および第4のプラネタリギヤ150のプラネタリキャリア154と一体的に結合されている。更に、これら三者は変速機100の出力軸15に結合されている。
【0075】
第3のプラネタリギヤ140のリングギヤ146は、第4のプラネタリギヤ150のサンギヤ152に結合されるとともに、回転軸122に結合されている。回転軸122はクラッチC1を介して主変速部120の入力軸119に結合可能となっている。第4のプラネタリギヤ150のリングギヤ156には、その回転を制止するためのブレーキB4と、リングギヤ156が逆転する際に係合する方向にワンウェイクラッチF2とが設けられている。
【0076】
変速機100に設けられた上述のクラッチC0〜C2およびブレーキB0〜B4は、それぞれ油圧によって係合および解放する。図1中に示す通り、変速機100には電動式の油圧ポンプ102から、これらのクラッチおよびブレーキを作動させるための作動油が供給されている。詳細な図示は省略したが、変速機100には作動を可能とする油圧配管および油圧を制御するためのソレノイドバルブ等が設けられた油圧制御部104により、油圧を制御することができる。本実施例のハイブリッド車両では、制御ユニット70が油圧制御部104内のソレノイドバルブ等に制御信号を出力することによって、各クラッチおよびブレーキの作動を制御する。
【0077】
本実施例の変速機100は、クラッチC0〜C2およびブレーキB0〜B4の係合および解放の組み合わせによって、前進5段・後進1段の変速段を設定することができる。また、いわゆるパーキングおよびニュートラルの状態も実現することができる。図4は各クラッチ、ブレーキ、およびワンウェイクラッチの係合状態と変速段との関係を示す説明図である。この図において、○印はクラッチ等が係合した状態であることを意味し、◎は動力源ブレーキ時に係合することを意味し、△印は係合するものの動力伝達に閑係しないことを意味している。動力源ブレーキとは、エンジン10およびモータ20による制動をいう。なお、ワンウェイクラッチF0〜F2の係合状態は、制御ユニット70の制御信号に基づくものではなく、各ギヤの回転方向に基づくものである。
【0078】
図4に示す通り、パーキング(P)およびニュートラル(N)の場合には、クラッチC0およびワンウェイクラッチF0が係合する。クラッチC2およびクラッチC1の双方が解放状態であるから、主変速部120の入力軸119から下流には動力の伝達がなされない。
【0079】
第1速(1st)の場合には、クラッチC0,C1およびワンウェイクラッチF0,F2が係合する。また、エンジンブレーキをかける場合には、さらにブレーキB4が係合する。この状態では、変速機100の入力軸14は第4のプラネタリギヤ150のサンギヤ152に直結された状態に等しくなり、動力は第4のプラネタリギヤ150の変速比に応じた変速比で出力軸15に伝達される。リングギヤ156は、ワンウェイクラッチF2の作用により逆転しないように拘束され、事実上回転数は値0となる。
【0080】
第2速(2nd)の場合には、クラッチC1、ブレーキB3、ワンウェイクラッチF0が係合する。また、エンジンブレーキをかける場合には、さらにクラッチC0が係合する。この状態では、変速機100の入力軸14は第4のプラネタリギヤ150のサンギヤ152および第3のプラネタリギヤ140のリングギヤ146に直結された状態に等しい。一方、第2のプラネタリギヤ130のプラネタリキャリア134は固定された状態となる。第2のプラネタリギヤ130および第3のプラネタリギヤ140について見れば、両者のサンギヤ132、142の回転数は等しい。また、リングギヤ136とプラネタリキャリア144の回転数は等しい。これらの条件下で、先に説明した式(1)に照らせば、プラネタリギヤ130、140の回転状態は一義的に決定される。出力軸15の回転数Noutは第1速(1st)の回転数よりも高くなり、トルクToutは第1速(1st)のトルクよりも低くなる。
【0081】
第3速(3rd)の場合には、クラッチC0,C1、ブレーキB2、ワンウェイクラッチF0,F1が係合する。また、エンジンブレーキをかける場合には、さらにブレーキB1が係合する。この状態では、変速機100の入力軸14は第4のプラネタリギヤ150のサンギヤ152および第3のプラネタリギヤ140のリングギヤ146に直結された状態に等しい。一方、第2および第3のプラネタリギヤ130、140のサンギヤ132、142はブレーキB2およびワンウェイクラッチF1の作用により逆転が禁止された状態となり、事実上回転数は値0となる。かかる条件下で、第2速(2nd)の場合と同様、先に説明した式(1)に照らせば、プラネタリギヤ130、140の回転状態は一義的に決定され、出力軸15の回転数も一義的に決定される。出力軸15の回転数Noutは第2速(2nd)の回転数よりも高くなり、トルクToutは第2速(2nd)のトルクよりも低くなる。
【0082】
第4速(4th)の場合には、クラッチC0〜C2およびワンウェイクラッチF0が係合する。ブレーキB2も同時に係合するが、動力の伝達には無関係である。この状態では、クラッチC1,C2が同時に係合するため、入力軸14は第2のプラネタリギヤ130のサンギヤ132、第3のプラネタリギヤ140のサンギヤ142およびリングギヤ146、第4のプラネタリギヤ150のサンギヤ152に直結された状態となる。この結果、第3のプラネタリギヤ140は入力軸14と同じ回転数で一体的に回転する。従って、出力軸15も入力軸14と同じ回転数で一体的に回転する。従って第4速(4th)では、出力軸15は第3速(3rd)よりも高い回転数で回転する。出力軸15の回転数Noutは第3速(3rd)の回転数よりも高くなり、トルクToutは第3速(3rd)のトルクよりも低くなる。
【0083】
第5速(5th)の場合には、クラッチC1、C2、ブレーキB0が係合する。ブレーキB2も係合するが、動力の伝達には無関係である。この状態では、クラッチC0が解放されるため、副変速部110で回転数が増速される。つまり、変速機100の入力軸14の回転数は、増速されて主変速部120の入力軸119に伝達される。一方、クラッチC1,C2が同時に係合するため、第4速(4th)の場合と同様、入力軸119と出力軸15とは同じ回転数で回転する。先に説明した式(1)に照らせば、副変速部110の入力軸14と出力軸119の回転数、トルクの関係を求めることができ、出力軸15の回転数、トルクを求めることができる。出力軸15の回転数Noutは第4速(4th)の回転数よりも高くなり、トルクToutは第4速(4th)のトルクよりも低くなる。
【0084】
リバース(R)の場合には、クラッチC2、ブレーキB0、B4が係合する。このとき、入力軸14の回転数は副変速部110で増速された上で、第2のプラネタリギヤ130のサンギヤ132、第3のプラネタリギヤ140のサンギヤ142に直結された状態となる。既に説明した通り、リングギヤ136、プラネタリキャリア144、154の回転数は等しくなる。リングギヤ146とサンギヤ152の回転数も等しくなる。また、第4のプラネタリギヤ150のリングギヤ156の回転数はブレーキB4の作用により値0となる。これらの条件下で先に説明した式(1)に照らせば、プラネタリギヤ130、140、150の回転状態は一義的に決定される。このとき出力軸15は負の方向に回転し、後進が可能となる。
【0085】
以上で説明した通り、本実施例の変速機100は、前進5段、後進1段の変速を実現することができる。入力軸14から入力された動力は、回転数およびトルクの異なる動力として出力軸15から出力される。出力される動力は、第1速(1st)から第5速(5th)の順に回転数が上昇し、トルクが低減する。これは入力軸14に負のトルク、即ち制動力が付加されている場合も同様である。入力軸14にエンジン10およびモータ20により、一定の制動力が付加された場合、第1速(1st)から第5速(5th)の順に出力軸15に付加される制動力は低減する。なお、変速機100としては、本実施例で適用した構成の他、周知の種々の構成を適用可能である。変速段が前進5速よりも少ないものおよび多いもののいずれも適用可能である。
【0086】
変速機100の変速段は、制御ユニット70が車速等に応じて設定する。運転者は、車内に備えられたシフトレバーを手動で操作し、シフトポジションを選択することによって、使用される変速段の範囲を変更することが可能である。図5は本実施例のハイブリッド車両におけるシフトポジションの操作部160を示す説明図である。この操作部160は車内の運転席横のフロアに車両の前後方向に沿って備えられている。
【0087】
図示する通り、操作部としてシフトレバー162が備えられている。運転者はシフトレバー162を前後方向にスライドすることにより種々のシフトポジションを選択することができる。シフトポジションは、前方からパーキング(P)、リバース(R)、ニュートラル(N)、ドライブポジション(D)、4ポジション(4)、3ポジション(3)、2ポジション(2)およびローポジション(L)の順に配列されている。
【0088】
パーキング(P)、リバース(R)、ニュートラル(N)は、それぞれ図4で示した係合状態に対応する。ドライブポジション(D)は、図4に示した第1速(1st)から第5速(5th)までを使用して走行するモードの選択を意味する。以下、4ポジション(4)は第4速(4th)まで、3ポジション(3)は第3速(3rd)まで、2ポジション(2)は第2速(2nd)までおよびローポジション(L)は第1速(1st)のみを使用して走行するモードの選択を意味する。
【0089】
操作部160には、この他、スポーツモードスイッチ163が設けられている。スポーツモードスイッチ163は、頻繁に加減速を行う場合などに運転者により操作される。通常、変速機100の変速段は車速とアクセル開度に応じて設定されたマップに従って切り替えられる。スポーツモードスイッチ163がオンになっている場合は、全体に低速段側の変速段が使用されるようにマップが変更される。
【0090】
なお、シフトポジションの選択および目標減速度の設定を行うための操作部は、本実施例で示した構成(図5)以外にも種々の構成を適用することが可能である。また、スポーツモードスイッチ163に代えて、またはスポーツモードスイッチ163とともに運転者が変速段をマニュアルで切り替えられるモードを設けるものとしてもよい。変速段をマニュアルで切り替えるモードを設けた場合、シフトレバー162で変速段を切り替えるものとしてもよいし、これとは別の操作部を設けるものとしてもよい。後者としては、例えば、ステアリング部に変速段をアップ・ダウンするためのスイッチを設ける構成が挙げられる。
【0091】
本実施例のハイブリッド車両では、エンジン10などの動力源から出力される動力は、補機の駆動にも用いられる。図1に示す通り、エンジン10には補機駆動装置82が結合されている。補機には、エアコンのコンプレッサやパワーステアリング用のポンプ等が含まれる。ここでは、エンジン10の動力を利用して駆動される補機類をまとめて補機駆動装置82として示した。補機駆動装置82は、具体的にはエンジン10のクランクシャフトに補機クラッチ19を介して設けられたプーリにベルトを介して結合されており、クランクシャフトの回転動力によって駆動される。
【0092】
補機駆動装置82には、また、補機駆動用モータ80も結合されている。補機駆動用モータ80は、切替スイッチ83を介して燃料電池60およびバッテリ50に接続されている。補機駆動用モータ80は、モータ20と同様の構成を有しており、エンジン10の動力によって運転され、発電を行うことができる。補機駆動用モータ80で発電された電力はバッテリ50に充電することができる。また、補機駆動用モータ80は、バッテリ50および燃料電池60から電力の供給を受けて力行することもできる。本実施例のハイブリッド車両は、後述する通り、所定の条件下では、エンジン10の運転が停止される。補機駆動用モータ80を力行すれば、エンジン10が停止している時でも補機駆動装置82を駆動することができる。もちろん、エンジン10が停止している場合に、入力クラッチ18をオンにして、モータ20の動力で補機駆動装置82を駆動するものとしてもよい。補機駆動用モータ80で補機を駆動する際には、負担を軽減するために、エンジン10と補機駆動装置82との間の補機クラッチ19を解放する。
【0093】
本実施例のハイブリッド車両は、主なエネルギ出力源としてエンジン10と燃料電池60とを備える。バッテリ50の電力は主として走行に使用されるものではないため、ここでは主なエネルギ出力源には含めない。燃料電池60からは電気的エネルギを出力することができ、また、モータ20を力行することにより駆動軸15に機械的エネルギを出力することもできる。エンジン10は駆動軸15に機械的エネルギを出力することができ、また、モータ20または補機駆動用モータ80を発電機として駆動することにより電気的エネルギを出力することもできる。本実施例では、後述する通り、これら2つのエネルギ出力源を使い分けて走行する。両者の使い分けは、FC燃料に応じて変動する。本実施例では、運転者が違和感なく運転できるよう、両者のいずれをエネルギ源として走行しているかを運転者に知らせるための表示部が設けられている。
【0094】
図6は本実施例におけるハイブリッド車両の計器板を示す説明図である。この計器板は、通常の車両と同様、運転者の正面に設置されている。計器板には、運転者から見て左側にガソリンの燃料計202、燃料電池用の燃料計203、速度計204が設けられており、右側にエンジン水温計208、エンジン回転計206が設けられている。燃料電池用の燃料計203は、図示する通り、メタノールの残量と、改質に用いられる水の残量とを左右の指針でそれぞれ示すように構成されている。中央部にはシフトポジションを表示するシフトポジションインジケータ220が設けられており、その左右に方向指示器インジケータ210L、210Rが設けられている。また、EV走行インジケータ222がシフトポジションインジケータ220の上方に設けられている。EV走行インジケータ222は、モータ20を力行している場合に点灯する。
【0095】
本実施例のハイブリッド車両では、エンジン10、モータ20、トルクコンバータ30、変速機100、補機駆動用モータ80等の運転を制御ユニット70が制御している(図1参照)。制御ユニット70は、内部にCPU、RAM,ROM等を備えるワンチップ・マイクロコンピュータであり、ROMに記録されたプログラムに従い、CPUが後述する種々の制御処理を行う。制御ユニット70には、かかる制御を実現するために種々の入出力信号が接続されている。図7は制御ユニット70に対する入出力信号の結線を示す説明図である。図中の左側に制御ユニット70に入力される信号を示し、右側に制御ユニット70から出力される信号を示す。
【0096】
制御ユニット70に入力される信号は、種々のスイッチおよびセンサからの信号である。かかる信号には、例えば、FC燃料残量、燃料電池温度、エンジン10の回転数、エンジン10の水温、イグニッションスイッチ、バッテリ残容量SOC、バッテリ温度、車速、トルクコンバータ30の油温、シフトポジション、サイドブレーキのオン・オフ、フットブレーキの踏み込み量、エンジン10の排気を浄化する触媒の温度、アクセル開度、スポーツモードスイッチ163のオン・オフ、車両の加速度センサなどがある。制御ユニット70には、その他にも多くの信号が入力されているが、ここでは図示を省略した。
【0097】
制御ユニット70から出力される信号は、エンジン10,モータ20,トルクコバータ30,変速機100等を制御するための信号である。かかる信号には、例えば、エンジン10の点火時期を制御する点火信号、燃料噴射を制御する燃料噴射信号、補機駆動用モータ80の運転を制御する補機駆動用モータ制御信号、モータ20の運転を制御するモータ制御信号、変速機100の変速段を切り替える変速機制御信号、変速機100の油圧を制御するためのATソレノイド信号およびATライン圧コントロールソレノイド信号、エンジン10からモータ20側への動力の伝達をオン・オフする入力クラッチ18を制御する入力クラッチ18コントロールソレノイド、トルクコンバータ30のロックアップを行うためのATロックアップコントロールソレノイド、モータ20の電源の切替スイッチ84の制御信号、補機駆動用モータ80の電源の切替スイッチ83の制御信号、燃料電池システム60の制御信号などがある。制御ユニット70からは、その他にも多くの信号が出力されているが、ここでは図示を省略した。
【0098】
B.一般的動作:
次に、本実施例のハイブリッド車両の一般的動作について説明する。先に図1で説明した通り、本実施例のハイブリッド車両は動力源としてエンジン10とモータ20とを備える。制御ユニット70は、車両の走行状態、即ち車速およびトルクに応じて両者を使い分けて走行する。両者の使い分けは予めマップとして設定され、制御ユニット70内のROMに記憶されている。
【0099】
図8は車両の走行状態と動力源との関係を示す説明図である。図中の領域MGはモータ20を動力源として走行する領域である。領域MGの外側の領域は、エンジン10を動力源として走行する領域である。以下、前者をEV走行と呼び、後者をエンジン走行と呼ぶものとする。図1の構成によれば、エンジン10とモータ20の双方を動力源として走行することも可能ではあるが、本実施例では、かかる走行領域は設けていない。なお、EV走行の領域は、エンジン10およびモータ20の運転効率と、各動力源から出力可能な動力の範囲とを考慮して、運転効率が高くなるように設定されている。
【0100】
図示する通り、本実施例のハイブリッド車両は、まずEV走行で発進する。かかる領域では、入力クラッチ18をオフにして走行する。EV走行により発進した車両が図8のマップにおける領域MGと領域EGの境界近傍の走行状態に達した時点で、制御ユニット70は、入力クラッチ18をオンにするとともに、エンジン10を始動する。入力クラッチ18をオンにすると、エンジン10はモータ20により回転させられる。制御ユニット70は、エンジン10の回転数が所定値まで増加したタイミングで燃料を噴射し点火する。また、VVT機構を制御して、吸気バルブおよび排気バルブの開閉タイミングをエンジン10の運転に適したタイミングに変更する。
【0101】
こうしてエンジン10が始動して以後、領域EG内ではエンジン10のみを動力源として走行する。かかる領域での走行が開始されると、制御ユニット70は駆動回路51,52のトランジスタを全てシャットダウンする。この結果、モータ20は単に空回りした状態となる。
【0102】
制御ユニット70は、このように車両の走行状態に応じて動力源を切り替える制御を行うとともに、変速機100の変速段を切り替える処理も行う。変速段の切り替えは動力源の切り替えと同様、車両の走行状態に予め設定されたマップに基づいてなされる。マップは、シフトポジションによっても相違する。図8にはDポジション、4ポジション、3ポジションに相当するマップを示した。このマップに示す通り、制御ユニット70は、車速が増すにつれて変速比が小さくなるように変速段の切り替えを実行する。
【0103】
ドライブポジション(D)では、図8に示す通り、第5速(5th)までの変速段を用いて走行する。4ポジションでは、このマップにおいて、第4速(4th)までの変速段を用いて走行する。4ポジションでは、図8における5thの領域であっても第4速(4th)が使用される。同様に3ポジションの場合には、図8のマップにおいて、第3速(3rd)までの変速段を用いて走行する。
【0104】
2ポジション、Lポジションでは、マップを各シフトポジションに固有のものに変更して変速段の制御を行う。図9は2ポジションにおける変速段の切り替えの様子を示す説明図である。2ポジションでは、第1速および第2速の変速段が使用される。2ポジションのマップ(図9)において、第1速と第2速の切り替えを行う境界は、Dポジションのマップ(図8)と同じである。2ポジションでは、Dポジションに比較して領域MGの範囲が相違する。
【0105】
2ポジションでは、第3速が使用されないため、領域MGについて、Dポジションのマップ(図8)中の第3速を使用する領域(ハッチングを付した部分)を領域MGから除外する設定とすることも可能である。本実施例では、かかる領域よりも広い範囲で2ポジションにおける領域MGを設定した。図9中の破線は、Dポジションのマップとの対比のために示したものであり、Dポジションのマップ中の第2速と第3速との境界に対応する曲線である。このように領域MG中で第2速に対応する領域を広げることにより、2ポジションにおいても十分にモータ20を動力源として活用することができ、ハイブリッド車両の燃費を向上することができる。なお、第2速に対応する領域の設定に当たっては、モータ20の定格を考慮して、広げた領域(図9中のハッチングを付した領域)における走行感覚がDポジションにおける該当領域と大差ないよう設定することが望ましい。
【0106】
図10はLポジションにおける変速段の切り替えの様子を示す説明図である。Lポジションでは、第1速のみが使用される。2ポジションにおけるマップの設定で説明したのと同様の理由により、Lポジションでは、2ポジションに比較して領域MGの範囲が相違する。Lポジションにおける領域MGは、2ポジションのマップにおいて、領域MG中の第1速に対応する領域よりも広い範囲に設定されている。図11はRポジションにおける変速段の切り替えの様子を示す説明図である。Rポジションでは後進するため、領域MGの広さは前進方向のシフトポジションにおけるマップとは個別に設定した。
【0107】
変速段の切り替えはこのマップによる切り替えの他、運転者がアクセルペダルを急激に踏み込むことにより一段変速比が高い側に変速段を移す、いわゆるキックダウンと呼ばれる切り替えも行われる。また、スポーツモードが選択されている場合には、変速比の低い変速段を使用する領域をそれぞれ拡張して設定したマップに基づいて変速が行われる。これらの切り替え制御は、エンジンのみを動力源とし、自動変速装置を備えた周知の車両と同様である。なお、変速段と車両の走行状態との関係は、図8〜図11に示した他、変速機100の変速比に応じて種々の設定が可能である。
【0108】
なお、図8〜図11では、車両の走行状態に応じてEV走行とエンジン走行とを使い分ける場合のマップを示した。本実施例の制御ユニット70は、全ての領域をエンジン走行で行う場合のマップも備えている。かかるマップは、図8〜図11において、EV走行の領域(領域MG)を除いたものとなっている。但し、この場合でも、燃費の向上を図るため、停車中には原則としてエンジン10の運転を停止する。
【0109】
このように2種類のマップを備える理由について説明する。EV走行には電力が必要である。制御ユニット70は燃料電池システム60から電力を確保できる場合には、走行領域ごとにEV走行とエンジン走行とを使い分けて運転を行う。十分な電力を確保できない場合には、EV走行を行うことが妥当ではないため、全ての領域をエンジン走行で運転する。EV走行で発進を開始した場合でも、発進後に電力が十分確保できない状況に至った場合には、車両の走行状態が領域MG内にあってもエンジン走行に切り替えられる。かかる使い分けの制御については後述する。
【0110】
次に、本実施例のハイブリッド車両の制動について説明する。本実施例のハイブリッド車両は、ブレーキペダルを踏み込むことによって付加されるホイールブレーキと、エンジン10およびモータ20からの負荷トルクによる動力源ブレーキの2種類のブレーキによる制動が可能である。モータ20の負荷トルクによるブレーキとは、いわゆる回生制動であり、ハイブリッド車両の運動エネルギをモータ20で電力として回収する制動方法である。回収された電力はバッテリ50に充電される。動力源ブレーキによる制動は、アクセルペダルの踏み込みを緩めた場合に行われる。ブレーキペダルを踏み込めば、車両には動力源ブレーキとホイールブレーキの総和からなる制動力が付加される。
【0111】
本実施例のハイブリッド車両は、制御ユニット70が、エンジン10、モータ20等を制御することによって、上述した走行を可能としている。制御は、車両の種々の運転モードごとに用意された所定の制御処理を実行することにより、行われる。以下では、本実施例のハイブリッド車両について、代表的な運転モードに対し、それぞれ制御処理の内容を説明する。
【0112】
C.EV走行制御処理:
図12はEV走行制御処理ルーチンのフローチャートである。制御ユニット70内のCPUが所定の時間間隔で周期的に実行する処理である。この処理が開始されると、CPUは車両の運転状態を入力する(ステップS10)。図7で示した種々のセンサからの入力がなされるが、特に、シフトポジション、車速、アクセル開度、FC燃料の残量FCLが以後の処理に関与する。
【0113】
次に、CPUはFC燃料の残量FCLに基づいて運転モードの選択を行う(ステップS20)。即ち、残量FCLが所定の値F1以上である場合には、燃料電池を走行に使用することができると判断し、ハイブリッドモードを選択する(ステップS30)。所定の値F1の設定については後述する。ハイブリッドモードとは、図8〜図11に示した通り、モータ20の動力によって走行する領域MGを設けたモードをいう。一方、残量FCLが所定の値F1よりも少ない場合には、燃料電池を走行に使用すべきでないと判断し、非ハイブリッドモードを選択する(ステップS40)。非ハイブリッドモードが選択されると、全走行領域でエンジン10を動力源とする走行が行われる。但し、停車中は原則としてエンジン10の運転を停止する。非ハイブリッドモードは、図8等に示した領域MGを停車中(車速、アクセル開度ともに0)の範囲にまで狭めた設定と等価である。本実施例では、非ハイブリッドモードが選択された場合には、図8〜図11の各マップを、領域MGが停車中の範囲のみに狭められたマップに置換することで各モードの使い分けを実現している。非ハイブリッドモードで使用されるマップの領域MGを図8中に破線で領域MG’として示した。非ハイブリッドモードでは、この領域MG’が各シフトポジションで適用される。
【0114】
こうして残量FCLに基づいて運転モードを設定すると、CPUは車両の運転状態がMG領域に該当するか否かを判定する(ステップS50)。MG領域は、図8〜図11に示した通り、シフトポジションに応じて車速およびアクセル開度との関係で特定されている。ハイブリッドモードが選択されている場合には、ステップS10で入力された諸量に基づいて、運転状態がMG領域に該当するか否かを判定するのである。非ハイブリッドモードが選択されている場合、上述の通り、図8〜図11のマップに代えて、領域MGの範囲が狭められたマップを用いるものとしている(図8の領域MG’参照)。従って、非ハイブリッドモードが選択されている場合には、停車中のみが領域MGに該当すると判断されることになる。
【0115】
ステップS50において、領域MGに該当すると判断された場合、CPUはEV走行を実行するため、モータ20を動力源として運転する処理を行う(ステップS60)。モータ20を駆動するための処理は次の通りである。電源の切替スイッチ84を制御して、燃料電池60とモータ20とを接続する。また、モータ20の運転の可否を示すフラグをオンにするとともに、モータ20の目標運転状態、即ち目標回転数と目標トルクとを特定する。本実施例では、モータ20の運転自体は、別途用意されたルーチンで実行するものとしているため、ここでは、該ルーチンに受け渡すデータの設定を行うのである。目標回転数は、ステップS10で入力された車速に変速機100の変速比およびディファレンシャルギヤの変速比などを乗じることで特定される。目標トルクは、車速とアクセル開度とに応じて予め設定されたマップによって特定される。これらの目標運転状態が、別途用意された制御処理に受け渡されることにより、モータ20は該目標運転状態で運転される。
【0116】
モータ20を駆動する制御処理について説明する。図13はモータ駆動制御ルーチンを示すフローチャートである。この処理が開始されると、CPUはモータ20の駆動を許可する運転フラグがオンになっているか否かを判定する(ステップS1)。運転フラグがオンでない場合には、モータ20を駆動すべきでないと判断して、何も処理を行うことなくモータ駆動制御ルーチンを終了する。
【0117】
モータ20の運転フラグがオンになっている場合には、次に、モータ20の目標運転状態、即ち目標回転数および目標トルクを入力する(ステップS2)。目標運転状態は、上述のEV走行制御処理などの運転制御処理でそれぞれ設定されている。こうして入力された目標運転状態に基づき、CPUはモータ20に印加すべき電圧Vd、Vqを設定する(ステップS3)。Vd,Vqとは、それぞれモータ20のd軸電圧、q軸電圧を意味する。本実施例では、同期モータの制御方法として周知の技術であるベクトル制御を適用する。ベクトル制御では、ロータの回転とともに回転するd軸およびq軸方向の電圧がモータ20の出力トルクを制御する本質的なパラメータとして扱われる。これらの電圧は、目標回転数および目標トルクに応じて予め設定され、テーブルとして記憶されている。CPUはステップS2で入力された目標運転状態に基づき、このテーブルを参照して、印加電圧Vd,Vqを設定するのである。
【0118】
こうしてd軸方向、q軸方向の電圧を設定すると、CPUはそれらの電圧をモータ20のU,V,W相の各コイルに印加すべき電圧に変換する(ステップS4)。かかる変換は、2相/3相変換と呼ばれる。d軸方向およびq軸方向の電圧値に、ロータの回転位置に応じた周知のマトリックスを乗じることで変換することができる。こうして設定された各相の電圧に基づき、CPUはトランジスタをPWM制御する(ステップS5)。即ち、各相に接続されたそれぞれのトランジスタのオン・オフの割合を電圧に応じて調整する制御を行う。以上の処理により、CPUはモータ20の運転を制御することができる。
【0119】
図12に戻り、EV走行制御処理について再び説明する。MG領域内では、モータ20のみを動力源として走行する。従って、上記処理によってモータ20が動力源として指定された場合は、エンジンの運転を停止する(ステップS70)。ここでは、エンジンの運転可否を特定するフラグをオフにする。実際には、別途用意されたエンジンの運転の制御処理で、その運転が停止される。なお、EV走行が行われる場合には、運転者にそのことを報知するため、EV走行インジケータ222を点灯する。
【0120】
なお、本実施例では、燃料電池60の特性を考慮し、ステップS60において、燃料電池60の運転開始当初にはバッテリ50を過渡的に使用する制御を行っている。燃料電池60は化学反応を利用しているため、発電の指示を出してから実際に所望の電力が得られるまで時間遅れが存在するのが通常である。従って、燃料電池60の運転を開始した当初は、走行に必要な電力が十分に得られない可能性がある。本実施例では、かかる時間遅れによる影響を抑制するために、燃料電池60の電力が不足する分を補償するようにバッテリ50を用いる。燃料電池60から所望の電力が出力されるようになった時点で完全に燃料電池60を電源とする。かかる制御は、モータ20をバッテリ50および燃料電池60の双方と常に接続された状態にし、各駆動回路51,52のスイッチングをそれぞれ制御して、各電源から供給される電圧を徐々に変更することにより実現可能である。もちろん、時間遅れが生じるか否かに関わらず、当初から燃料電池60のみを電源としても構わない。
【0121】
一方、ステップS50において、車両の走行状態がMG領域に該当しないと判断された場合には、エンジンを動力源として走行し、モータ20の運転を停止する処理を行う(ステップS80、S90)。つまり、モータ20の運転可否を示すフラグをオフにするとともに、エンジンの運転可否を示すフラグをオンにする。エンジンの目標運転状態は、車速とアクセル開度によって設定される。CPUは、以上の処理を繰り返し実行することでEV運転の制御を行う。
【0122】
ここで、上述の処理で用いられた所定の値F1の設定について説明する。所定の値F1は、燃料電池60を電源として使用するか否かの基準となる値である。所定の値F1については、値0以上の範囲で任意に設定可能である。値0に設定すれば、燃料が残っている限り、燃料電池60を電源として使用することになる。EV走行のみを考慮すれば、値0として設定するのが運転効率および環境性の観点から好ましい。しかし、値0にした場合には、他の運転モードで燃料電池を使用する必要性が生じた場合に、EV走行で既に燃料が消費されており、燃料電池を使用し得ない可能性も生じる。
【0123】
本実施例では、他の運転モードを考慮して、正の所定値に設定した。即ち、EV走行制御処理では、燃料電池用の燃料を完全に消費することがないように設定した。本実施例のハイブリッド車両は、EV走行以外の運転モードにおいても、種々のモードで電源を必要とする。運転効率および環境性の観点から、EV走行よりも電源の必要性が高い運転モードも存在する。かかるモードで燃料電池を電源として確保しやすくするため、本実施例では、EV走行時には、燃料電池用の燃料の使用を抑制するものとした。換言すれば、所定の値F1以上の燃料が存在し、燃料に比較的余裕がある場合にのみ燃料電池を電源とすることにしているのである。
【0124】
上記制御処理によれば、FC燃料の残量に応じてハイブリッドモードと非ハイブリッドモードとを切り替えて車両を運転することができる。FC燃料の残量は、燃料電池60が発電を持続する能力を表すパラメータの一つである。上記実施例の制御によれば、FC燃料の残量が所定値F1よりも低くなり、燃料電池60の出力持続能力が低下したと判断された場合には、非ハイブリッドモードに切り替えることによって、燃料電池60を使用する機会を抑制する。従って、EV走行時にFC燃料を過度に消費することを抑制することができ、他の運転モードにおける燃料電池60の活用機会を確保することができる。この結果、燃料電池60をより有用性が高い運転モードで使用することができ、ハイブリッド車両の運転効率および環境性を向上することができる。
【0125】
なお、上記制御処理では、ハイブリッドモードと非ハイブリッドモードとを選択的に使用する場合を例示した。これに対し、FC燃料の残量に応じて領域MGを徐々に狭めるものとしてもよい。例えば、FC燃料の残量が所定値以下に低減した場合には、一旦、図8中に一点鎖線で示す範囲に領域MGを狭め、残量が更に低減した場合には、領域MGを更に狭めるものとしてもよい。一般にエンジンは発進時の燃費が低い特徴があるから、こうすれば、発進時に可能な限りEV走行を行いつつ、FC燃料の消費を抑制することができる。領域MGは、FC燃料の残量に応じて段階的に狭めるものとしてもよいし、連続的に狭めるものとしてもよい。いずれの場合においても、FC燃料の残量が低下するに連れて、従前の領域MG内でエンジン10の運転効率が比較的高い領域をエンジン走行領域に置換する態様で、領域MGを狭めていくことが運転効率の観点からは好ましい。
【0126】
D.補機駆動制御処理:
図14は補機駆動制御処理ルーチンのフローチャートである。図1に示した通り、本実施例のハイブリッド車両は、エンジン10および補機駆動用モータ80の動力で補機駆動装置を駆動することができる。補機駆動制御処理ルーチンとは、補機駆動装置を駆動する際の動力源の使い分けを制御する処理である。この処理も、制御ユニット70内のCPUが所定の時間間隔で周期的に実行する処理である。この処理が開始されると、CPUは車両の運転状態を入力する(ステップS110)。図7で示した種々のセンサからの入力がなされるが、特に、シフトポジション、車速、アクセル開度、FC燃料の残量FCLが以後の処理に関与する。
【0127】
次に、CPUは車両の運転状態がMG領域に該当するか否かを判定する(ステップS120)。判定方法は、EV走行処理ルーチンの場合と同様である。運転状態がMG領域に該当しない場合には、エンジン10が運転中であることを意味する。かかる場合には、エンジン10の動力によって補機を駆動することが可能である。従って、CPUは何も処理を行わずに補機駆動制御処理ルーチンを終了する。
【0128】
ステップS120において、運転状態がMG領域に該当すると判断された場合には、原則としてエンジン10の運転が停止される。エンジン10の運転が停止された場合でも、エアコンやパワーステアリング等の補機は駆動する必要がある。MG領域では、利用可能な電源があれば、補機駆動用モータ80によって補機駆動装置82を駆動する。従って、CPUは燃料電池60を補機駆動に使用可能であるか否かを判定するため、FC燃料の残量FCLが所定の値F2以上であるか否かを判定する(ステップS130)。所定の値F2の設定については後述する。
【0129】
残量FCLが所定の値F2以上である場合には、燃料電池60を電源として、補機駆動用モータ80を駆動するための処理を行う(ステップS140)。まず、電源の切替スイッチ83を制御して、燃料電池60と補機駆動用モータ80とを接続する。また、補機駆動用モータ80の運転の可否を示すフラグをオンにするとともに、補機駆動用モータ80の目標運転状態、即ち目標回転数と目標トルクとを予め設定された値に特定する。さらに、補機駆動用モータ80の負担を軽減するために、エンジン10と補機駆動装置とを結合する補機クラッチ19を解放する。
【0130】
本実施例では、補機駆動用モータ80の運転自体は、別途用意されたルーチンで実行するものとしているため、ここでは、該ルーチンに受け渡すデータの設定を行う。目標回転数および目標トルクは、駆動すべき補機に応じて予め設定されている。これらの目標運転状態が、別途用意された制御処理に受け渡されることにより、補機駆動用モータ80は該目標運転状態で運転される。補機駆動用モータ80の制御処理は、モータ20について図13で示した処理と同じである。補機駆動用モータ80で補機駆動装置82を駆動する場合には、エンジンの運転を停止する(ステップS150)。ここでは、エンジンの運転可否を特定するフラグをオフにする。実際には、別途用意されたエンジンの運転の制御処理で、その運転が停止される。
【0131】
なお、燃料電池60を電源として使用する場合、補機駆動制御処理ルーチンにおいても、EV走行制御処理と同様、燃料電池60からの電力の立ち上がり遅れを考慮し、バッテリ50を補助的に使用する。つまり、燃料電池60の電力が不足する分を補償するようにバッテリ50を用い、燃料電池60から所望の電力が出力されるようになった時点で完全に燃料電池60を電源とするように切替スイッチ83を制御する。
【0132】
ステップS130において、FC燃料の残量FCLが所定の値F2よりも低い場合には、燃料電池60を電源として使用することを回避する。かかる場合には、使用可能な電源が存在しないことになる。従って、CPUはエンジンを動力源として補機駆動装置82を駆動する処理を行う(ステップS160)。つまり、補機駆動用モータ80の運転可否を示すフラグをオフにするとともに、エンジンの運転可否を示すフラグをオンにするのである。また、エンジン10からの動力を補機駆動装置82に伝達するための補機クラッチ19を結合する。CPUは、以上の処理を繰り返し実行することで補機駆動装置82の駆動を制御する。
【0133】
なお、ステップS160の処理では、エンジン10を運転するとはいえ、必ずしもエンジン10の動力を車軸に出力する必要がある訳ではない。例えば、停車中においては、車軸に動力を出力する必要はないが、補機駆動装置82は停車中でも駆動する必要がある。本実施例では、補機駆動処理のステップS160において、エンジン10とモータ20との間に設けられた入力クラッチ18の制御をも実行する。即ち、エンジン10の動力を車軸に出力する必要があるか否かを判定し、出力する必要がある場合には入力クラッチ18を結合状態とする。出力する必要がない場合には、入力クラッチ18を解放状態とする。もちろん、かかる制御は、エンジン10による補機の駆動を効率的に行うためのものであり、車軸への動力の出力要求に関わらず、入力クラッチ18を結合状態に維持するものとしても構わない。
【0134】
ここで、上述の処理で用いられた所定の値F2の設定について説明する。所定の値F2は補機駆動時に燃料電池60を電源として使用するか否かの基準となる値であり、値0以上の範囲で任意に設定可能である。値0に設定すれば、燃料が残っている限り、燃料電池60を電源として使用することになる。本実施例では、EV走行制御処理における所定の値F1との関係を考慮して以下の通り設定した。
【0135】
EV走行制御において非ハイブリッドモードが選択される場合は、FC燃料の残量は所定の値F1に満たない。本実施例では、かかる場合でも可能な限り運転効率の向上を図るため、停車中はエンジン10の運転を停止するものとしている。換言すれば、非ハイブリッドモードでも停車中はMG領域に該当するものと判断される。このとき、所定の値F2をF1よりも大きな値に設定すると、ステップS130の条件は必ず満たされないことになり、エンジン10で補機駆動を行うことになる(ステップS160)。つまり、非ハイブリッドモードにおいて停車中にエンジン10を停止することによる運転効率の向上を図るためには、F2<F1である必要がある。
【0136】
F2<F1で設定した場合に対し、ハイブリッドモードでの制御について検討する。EV走行制御においてハイブリッドモードが選択された場合は、FC燃料の残量は所定の値F1以上あることになる。従って、補機駆動制御処理ルーチンのステップS130の条件は必ず満たされることになる。この結果、EV走行可能な程度にFC燃料が残っている場合には、補機駆動も燃料電池60の電力を使用して行われる。これはハイブリッド車両の運転効率を向上する観点から好ましい。
【0137】
以上で示した通り、本実施例では、所定の値F2はEV走行制御処理における所定の値F1よりも小さい範囲で設定した。換言すれば、補機駆動制御処理ではEV走行制御処理よりも燃料電池60を優先的に使用するものとした。こうすることにより、上述の通り、非ハイブリッドモードが選択された場合でも、FC燃料が所定の値F2以下になる程に消費されるまでの間は、燃料電池60から出力される電力により補機を駆動することができる。従って、エンジン10の運転を抑制することができ、ハイブリッド車両の運転効率および環境性を向上することができる。もちろん、所定の値F2は、F1の値に関わらず設定しても差し支えない。
【0138】
以上で説明した補機駆動制御処理ルーチンによれば、FC燃料の残量に応じて補機を駆動するためのエネルギ出力源を燃料電池60とエンジン10とに切り替えて使用することができる。即ち、燃料電池60の出力持続能力が低下したと判断された場合には、エンジン10により補機を駆動することによって、燃料電池60を使用する機会を抑制する。従って、補機を駆動する際にFC燃料を過度に消費することを抑制することができ、他の運転モードにおける燃料電池60の活用機会を確保することができる。この結果、燃料電池60をより有用性が高い運転モードで使用することができ、ハイブリッド車両の運転効率および環境性を向上することができる。
【0139】
なお、上記制御処理では、燃料電池60とエンジン10とを選択的に使用する場合を例示した。これに対し、FC燃料の残量に応じて両者の出力割合を徐々に移行するものとしてもよい。例えば、FC燃料の残量が所定値以下に低減した場合には、燃料電池60の出力を低減しつつ、エンジン10の運転を開始して、補機駆動用モータ80とエンジン10の双方の動力で補機を駆動するものとしてもよい。残量が更に低減した場合には、燃料電池60の出力を徐々に低減し、最終的にエンジン10の動力のみで補機を駆動するものとしてもよい。かかる移行は、FC燃料の残量に応じて段階的に狭めるものとしてもよいし、連続的に狭めるものとしてもよい。
【0140】
E.充電制御処理:
図15は充電制御処理ルーチンのフローチャートである。充電制御処理ルーチンとは、バッテリ50の充電量が所定の状態となるよう制御する処理をいう。本実施例のハイブリッド車両は、モータ20を回生運転することにより、制動時に車両の運動エネルギを電力として回生することができる。回生された電力はバッテリ50に充電される。しかしながら、バッテリ50の電力は制御ユニット70の稼働や、照明などの電力機器の使用、自然放電などによって常に消費される。充電制御処理ルーチンは、かかる環境下で、バッテリ50の充電量が不足した場合には、燃料電池60またはエンジン10をエネルギ出力源としてバッテリ50を充電する制御処理をいう。
【0141】
充電制御処理が開始されると、CPUは車両の運転状態を入力する(ステップS210)。図7で示した種々のセンサからの入力がなされるが、特に、シフトポジション、バッテリ残容量SOC、車速、アクセル開度、FC燃料の残量FCLなどが以後の処理に関与する。次に、CPUはFC燃料の残量FCLが所定の値F3以上であるか否かを判定する(ステップS220)。これは、残量FCL、即ち燃料電池60の出力持続能力に応じてバッテリ50の充電方法を切り替えるためである。所定の値F3の設定については後述する。
【0142】
残量FCLが所定の値F3以上である場合は、燃料電池60の出力持続能力が十分あると判断し、以下に示す通り、燃料電池60によりバッテリ50を充電する処理を実行する。まず、CPUはバッテリ50の充電を行うか否かの判定基準となる変数SLOに値LO1を代入する(ステップS230)。LO1の設定については後述する。その後、バッテリ50の残容量SOCが上記変数SLOよりも低いか否かを判定する(ステップS240)。残容量SOCが変数SLOの値に満たない場合には、切替スイッチ84を制御して、燃料電池60とバッテリ50とを接続するとともに、燃料電池60で発電してバッテリ50を充電する(ステップS250)。バッテリ50の残容量SOCが変数SLOの値以上である場合には、CPUは、バッテリ50の充電を行うことなく充電制御処理ルーチンを終了する。
【0143】
変数SLOおよび値LO1の意味等について説明する。上述の通り、バッテリ50の充電は、残容量SOCが変数SLOの値に満たない場合に行われる。かかる制御によりバッテリ50の残容量SOCは、常にSLO以上の値となるように制御される。そして、燃料電池60を用いて充電する場合には、残容量SOCがLO1以上となるように制御される。ハイブリッド車両に搭載されるバッテリ50の充電状態は、車両のエネルギ効率の観点から、以下に示す通り、必ずしも高い値に維持することが好ましいとは言えない。
【0144】
図16はバッテリ50の充電状態と回生電力の活用との関係を示す説明図である。ここでは、バッテリ50の充電状態をCASE1〜CASE3の3通りに変化させた場合の状態をそれぞれ示した。CASE1は比較的高い充電状態値SOC1にある場合に対応する。バッテリ50には、図中のハッチングで示す容量が残っている。かかる状態でハイブリッド車両を回生制動した場合を考える。回生制動によって得られる電力(以下、回生電力と呼ぶ)は制動前後の車速や車両の重量に応じて変動するが、ここでは平均的な回生電力を図示した。基準値LO1を高い値に設定したCASE1では、バッテリSOCの残容量が比較的高い状態に保たれる結果、バッテリ50の充電限界内で回生電力を全て充電することができなくなる。従って、CASE1では回生電力の一部(図中の塗りつぶした部分)が廃棄される。この分、ハイブリッド車両は、車両の運動エネルギを活用できなくなるため、エネルギ効率が低下する。
【0145】
CASE2は中程度の充電状態SOC2にある場合に対応する。かかる状態では、回生電力を充電限界内でバッテリ50に充電することができる。CASE3は低い充電状態SOC3にある場合に対応する。かかる状態でも、回生電力を十分にバッテリ50に充電することができる。これらの設定であれば、ハイブリッド車両の運動エネルギを効率的に活用することが可能となる。このように回生電力を有効に活用する観点からは、バッテリ50の充電量は低い値に維持しておくことが望ましい。
【0146】
一方、バッテリ50の充電量は、要求される電力を十分出力することができる値以上に維持する必要がある。先に説明した通り、バッテリ50の電力は、燃料電池60の運転開始当初の立ち上がり遅れを補償するのに使用される。この場合は、比較的多くの電力を出力する必要がある。本実施例では、上述の点を考慮して、バッテリ50の充電状態の目標値に相当するLO1を、図16中のSOC3に相当する値に設定した。
【0147】
本実施例では、バッテリ50の充電状態をLO1以上に適切に維持するため、ステップS250での燃料電池60の発電量をバッテリ50の充電状態に応じて変化させている。図17はバッテリ50のSOCと充電電力との関係を示す説明図である。充電電力とは、バッテリ50の充電のために供給される電力をいう。燃料電池60による充電電力を図中に実線C1で示した。図示する通り、バッテリ50の残容量SOCが値LO1よりも低い場合に充電が行われる。ここで、充電電力は、残容量SOCと目標値LO1との偏差に応じて設定される。即ち、SOCが低い場合には充電電力を高くし、SOCが目標値LO1に近づくにつれて充電電力を低下させる。但し、バッテリ50の充電可能な電力の最大値CHmaxの範囲内で充電を行う。こうすることにより、バッテリ50のSOCが速やかに目標値LO1になるよう制御することができる。なお、図17に示した設定は、一例に過ぎず、SOCに応じて充電電力を曲線的に変化させるものとしてもよいし、段階的に変化させるものとしてもよい。また、SOCと値LO1との偏差のみならず、FC燃料の残量FCLをも考慮して充電電力を設定するものとしてもよい。
【0148】
図15に戻り、充電制御処理ルーチンについて説明する。ステップS220において、残量FCLが所定の値F3に満たない場合には、燃料電池60の出力持続能力が不十分であると判断し、燃料電池60を用いないでバッテリ50を充電する処理を実行する。まず、CPUはバッテリ50の充電を行うか否かの判定基準となる変数SLOに値LO2を代入する(ステップS260)。
【0149】
LO2は基本的に任意に設定可能であるが、本実施例では、回生電力により充電可能な範囲で(図16参照)、LO1よりも高い値に設定した。図17に値LO1とLO2との関係を示した。LO2は、燃料電池60の出力持続能力が低下している状態で行われる充電に関与する値である。先に説明した値LO1は、燃料電池60が十分発電可能な状態における充電目標値であり、照明その他の電力機器で必要となる電力に対し、バッテリ50の電力が不足する場合には、燃料電池60からの電力で補充することができる状態での目標値である。従って、値LO1は比較的低い値に設定可能である。これに対し、値LO2は電力機器からの要求に十分対応可能な電力をバッテリ50に常に蓄えておくことができるよう設定することが望ましい。本実施例では、かかる観点から、値LO2を比較的高い値に設定した。
【0150】
こうして変数SLOに値LO2を代入した後、CPUは、バッテリ50の残容量SOCが上記変数SLOよりも低いか否かを判定する(ステップS270)。残容量SOCが変数SLOの値に満たない場合には、燃料電池60を使用せずにバッテリ50の充電を行う発電機運転制御処理を実行する(ステップS300)。バッテリ50の残容量SOCが変数SLOの値以上である場合には、CPUは、バッテリ50の充電を行うことなく充電制御処理ルーチンを終了する。
【0151】
ステップS300における発電も、燃料電池60による発電(ステップS250)と同様、バッテリ50のSOCと目標値LO2との偏差に基づいて充電電力を変更する。図17の破線C2に示す通り、バッテリ50の残容量SOCが目標値LO2よりも低くなるにつれて充電電力を増やす。但し、充電電力の設定は、バッテリ50に充電できる電力の最大値CHmaxの範囲内で行われる。
【0152】
発電機運転制御処理では、充電電力の変更を発電機の使い分けも含めて実現している。図18は車両の運転状態による発電機の使い分けについて示す説明図である。本実施例のハイブリッド車両は、バッテリ50を充電可能な発電機を2つ搭載している。図1中に示したモータ20と補機駆動用モータ80である。いずれのモータもエンジン10の動力で回生運転することにより発電を行うことができる。モータ20には駆動軸15の回転を伝達することが可能であるため、制動時に回生運転することにより、車両の運動エネルギを電力に変換することもできる。
【0153】
本実施例では、図18に示す通り、モータ20および補機駆動用モータ80を使い分けて発電を行う。なお、ここでは燃料電池60に依らない発電全般をまとめて示した。従って、バッテリ50の残容量SOCが値LO2以上の場合も含まれている。かかる発電は、図15に示した充電制御処理とは別の処理に基づいて、バッテリ50の電力を急激に消費する程の大きな電力が要求された場合などに行われる。また、非駆動時、即ち回生制動時に行われる発電も含まれている。
【0154】
図18に示した発電機の使い分けは、発電機運転制御処理ルーチンで制御される。図19は発電機運転制御ルーチンのフローチャートである。この処理が開始されると、CPUは車両の運転状態を入力する(ステップS305)。図18に示した使い分けに関与する入力として、シフトポジション、車速、アクセル開度、AT油温、バッテリ残容量SOCなどが挙げられる。
【0155】
CPUはこれらの入力に基づいて、シフトポジションがN,Pポジションであるか否かを判定する(ステップS310)。Nはニュートラルポジションであり、Pはパーキングポジションである。いずれも、駆動軸15に動力を出力しない場合に用いられるシフトポジションである。かかるシフトポジションにある場合は、停車中であると判断される。シフトポジションに加えて、またはシフトポジションに代えて、車速に基づき停車中であるか否かを判定するものとしてもよい。
【0156】
ステップS310でN,Pポジションであると判定された場合は、バッテリ50の残容量SOCに応じて発電機の使い分けを行う。まず、残容量SOCが充電の目標値LO2よりも小さいか否かを判定する(ステップS315)。目標値LO2よりも小さい場合には比較的高い充電電力で充電を行うため、補機駆動用モータ80を主発電機として使用しつつ、モータ20を副発電機として使用して充電を行う(ステップS325)。目標値LO2よりも大きい場合には、それほど高い充電電力は要求されないと考えられるから、補機駆動用モータ80のみを用いて発電を行う(ステップS320)。なお、いずれの場合も図17に示した通り、残容量SOCと目標値LO2との偏差に応じた充電電力を出力するよう、エンジン10の運転およびモータ20,80の運転を制御される。
【0157】
補機駆動用モータ80による発電は、エンジン10の動力を補機駆動用モータ80に伝達するための補機クラッチ19を結合して行われる。モータ20による発電は、エンジン10の動力をモータ20に伝達するための入力クラッチ18を結合して行われる。なお、N,Pポジションでは、変速機100は、駆動軸15に動力が出力されない状態となっている。補機駆動用モータ80のみを用いて発電する場合には、エンジン10から出力される動力を有効に活用するため、入力クラッチ18は解放される。
【0158】
ステップS310においてN,Pポジションでないと判断された場合は、次に駆動中であるか否かを判定する(ステップS330)。この判定は、アクセル開度によって判断される。つまり、アクセル開度が全閉状態にある場合は、駆動中でないと判断され、その他の場合は駆動中と判断される。駆動中でないと判断される場合には、制動している状態と、N,Pポジション以外のシフトポジションで停車している状態とが含まれる。
【0159】
駆動中でないと判断された場合、CPUはバッテリ50の残容量SOCが値LO2よりも低いか否かを判定する(ステップS335)。残容量SOCが値LO2以上である場合には、原則としてバッテリ50の充電は不要である。CPUはハイブリッド車両のエネルギ効率を向上するために、制動中におけるモータ20の回生運転のみを実行する(ステップS340)。
【0160】
バッテリ50の残容量SOCが値LO2よりも低い場合には、バッテリ50の充電状態を回復するための発電を行う必要がある。従って、CPUは補機駆動用モータ80で発電を行う(ステップS345)。また、モータ20の回生運転も併せて行う(ステップS345)。補機駆動用モータ80での発電は、先にステップS320およびS325で説明した通り、エンジン10の動力を用いて行われる。但し、ステップS345は、車両が走行中に実行される処理であるため、エンジン10とモータ20との間の入力クラッチ18は走行中の状態を維持する。つまり、車両がEV走行している場合には、入力クラッチ18を解放状態とし、エンジン走行している場合には、入力クラッチ18を結合状態とする。
【0161】
ステップS345における充電電力も残容量SOCと目標値LO2との偏差に応じて設定される。この際、モータ20において得られる回生電力を補償する電力が補機駆動用モータ80で得られるように、エンジン10および補機駆動用モータ80の運転が制御される。
【0162】
ステップS330において、駆動中であると判断された場合には、モータ20を発電に使用する必要があるか否かの判断に加えて、モータ20を発電に使うことができる状態にあるか否かに応じて発電機の使い分けを行う。このための判断として、まずCPUは車両がEV走行しているか否かを判定する(ステップS350)。EV走行とは、モータ20を動力源とする走行である。従って、EV走行中にはモータ20を発電機として使用することはできない。このため、EV走行中であると判断された場合には、補機駆動用モータ80による発電を実行する。即ち、エンジン10の動力を用いて補機駆動用モータ80を駆動して発電するのである。この場合、EV走行中であるにも関わらず、エンジン10は発電のために運転されることになる。
【0163】
EV走行中でないと判断された場合、次にCPUは変速中であるか否かを判定する(ステップS355)。変速機100の結合を切り換える過渡期においては、駆動軸15に出力されるトルクが変動しやすい。詳細な説明を省略したが、本実施例では、変速段の切り換えを滑らかに行うための種々の制御を行っている。例えば、切り換え中には、駆動軸15に出力されるトルクが急変しないようにモータ20のトルクで微調整する。また、切り換え前後で駆動軸15に要求される回転数にンジン10の回転数を同期させるよう、モータ20の動力でエンジン10の回転数を増減する。また、回転数を一定に保つようモータ20のトルクを制御すれば、そのトルク指令値に基づいてエンジン10から出力されているトルクを推定することができ、エンジン10の制御にフィードバックすることができる。このように本実施例では、滑らかに変速を行うためにモータ20を活用する。変速中にモータ20で発電を行うものとすれば、かかる活用を図ることができなくなる。従って、本実施例では、変速中は補機駆動用モータ80のみで発電するものとしている(ステップS375)。変速中にモータ20を活用しない場合には、モータ20を発電に使用しても構わない。
【0164】
変速中でない場合には、CPUはAT油温が所定値よりも高いか否かを判定する(ステップS360)。AT油温とは、主としてトルクコンバータ30の油温である。モータ20を発電機として使用する場合、トルクコンバータ30の入出力軸間で滑りを生じる可能性が高い。かかる滑りは更にAT油温を向上させる。本実施例では、AT油温が所定値よりも高い場合には、トルクコンバータ30での滑りを抑制し、温度上昇を抑制するため、入出力をロックアップする。従って、かかる状態ではモータ20を発電機として十分活用できないため、補機駆動用モータ80のみで発電を行う(ステップS375)。
【0165】
AT油温が所定値に至らない場合には、バッテリ50の残容量SOCが所定の値LOSSよりも低いか否かを判定する(ステップS365)。値LOSSは、先に示したLO2よりも低い値に設定されており、バッテリ50の急速な充電が必要か否かの判断基準となる値である(図17参照)。残容量が値LOSSよりも低い場合には、バッテリ50を急速に充電する必要があるため、モータ20および補機駆動用モータ80の双方を用いて発電を行う(ステップS370)。
【0166】
他の運転モードでは、残容量SOCが値LO2よりも低い場合に補機駆動用モータ80およびモータ20の双方を用いて発電を行っている(ステップS325,S370)。これに対し、ここでは、残容量SOCがLO2よりも更に低い値LOSSに満たない場合に初めて補機駆動用モータ80およびモータ20の双方を用いるものとしている。これは、走行中はモータ20での発電を回避することが望ましいからである。走行中にモータ20で発電を行えば、その負荷によるトルク変動が駆動軸15に出力され、車両の乗り心地を損ねる可能性がある。従って、本実施例では、残量SOCがLO2よりも更に低くなり、バッテリ50の急速充電の必要性が高まった時点で、モータ20を発電に使用するものとしている。もちろん、他の運転モードの場合と同様、残量SOCが値LO2よりも低い場合にはモータ20を発電に用いるものとしてもよい。
【0167】
以上で説明した充電制御処理によれば、燃料電池60の出力持続能力に応じて、エネルギ出力源である燃料電池60とエンジン10とを使い分けてバッテリ50の充電を行うことができる。ここで、本実施例の充電制御処理によれば、燃料電池60を用いて充電する際には、バッテリ50の目標電力LO1を低い値に設定する。この結果、燃料電池60から出力すべき電力を抑制することができ、FC燃料の消費を抑制することができる。また、FC燃料の残量が少なくなった場合には、エンジン10を用いてバッテリ50を充電する。従って、FC燃料の消費を抑制することができる。かかる使い分けによりバッテリ50の充電時にFC燃料が過度に消費されるのを抑制し、ハイブリッド車両の運転効率および環境性を向上することができる。
【0168】
また、上記制御処理では、バッテリ50の充電を行う際に、バッテリ50の残容量SOCと目標値LO1またはLO2との偏差に応じて充電電力を制御する。この結果、バッテリ50の充電状態を速やかに目標値に回復することができる。さらにエンジン10の動力を用いて発電する場合には、必要な充電電力その他の条件に応じて補機駆動用モータ80とモータ20とを使い分けることができ、適切かつ速やかな充電を実現することができる。
【0169】
上記充電制御処理ルーチンでは、FC燃料の残量FCLに応じて燃料電池60とエンジン10とを選択的に使うものとした。これに対し、残量FCLに応じて両者の出力割合を徐々に変化させるものとしてもよい。つまり、燃料電池60とエンジン10の双方の出力でバッテリ50の充電を行い、残量FCLが低下するにつれて燃料電池60の出力を低下しつつ、エンジン10の出力を増大するものとしてもよい。また、上記制御処理では、エネルギ出力源の選択に応じて充電の目標値LO1,LO2を変更するものとした。これに対し、目標値を各エネルギ出力源ごとに連続的または段階的に変化させるものとしてもよい。例えば、燃料電池60で充電を行う場合に、FC燃料の残量FCLが低くなるにつれて目標値が徐々に低下するように設定することもできる。
【0170】
F.第2実施例:
次に、第2実施例としてのハイブリッド車両について説明する。第1実施例およびその変形例では、一の車軸にのみ動力を出力して走行するハイブリッド車両を例示した。本発明はかかる場合に限らず、二の車軸に動力を出力して走行するハイブリッド車両、いわゆる四輪駆動するハイブリッド車両に適用することもできる。四輪駆動するハイブリッド車両に適用した場合を第2実施例として以下に示す。
【0171】
図20は第2実施例のハイブリッド車両の概略構成を示す説明図である。第2実施例では2つの車軸17、17Aの双方に動力を出力可能な構成になっている点で第1実施例と相違する。第2実施例では、車軸17Aへの動力の出力を運転者が任意に操作することができるものとした。つまり、シフトレバー160近傍に図5で示したスポーツモードスイッチ163に代えて四輪駆動を指定するための4WDモードスイッチを設け、該スイッチがオンになった場合のみ車軸17,17Aの双方に動力が出力されるものとした。4WDモードスイッチがオフの場合には第1実施例の車両と同様、車軸17にのみ動力が出力される。もちろん、かかる構成は必須ではなく、車軸17、17Aの双方に常時動力が出力される構成とすることも可能である。
【0172】
車軸17に動力を出力するための構成は、第1実施例と同じである。即ち、エンジン10、モータ20、トルクコンバータ30および変速機100が直列に結合された構成となっている。モータ20への電力は第1実施例と同様、バッテリ50および燃料電池60のそれぞれから供給可能となっている。
【0173】
車軸17Aに動力を出力するための構成は次の通りである。車軸17Aにはディファレンシャルギヤ16Aを介してモータ20Aが結合されている。モータ20Aはモータ20と同様、三相同期モータである。モータ20Aにはバッテリ50、燃料電池60および補機駆動用モータ80の3種類から電力を供給することができる。バッテリ50および燃料電池60の電力は、それぞれ駆動回路51A,52Aを介してモータ20Aに供給される。駆動回路51A,52Aは駆動回路51,52と同様、トランジスタインバータで構成されている。補機駆動用モータ80はエンジン10の動力によって発電することができる。モータ20Aには補機駆動用モータ80で発電された電力を直接供給することが可能となっている。
【0174】
モータ20Aに電力を供給する電源は、切替スイッチ85,86の接続状態により切り替えることができる。図示する通り、切替スイッチ86を切り替えることにより、バッテリ50および燃料電池60側と補機駆動用モータ80側との間で電源を切り替えることができる。切替スイッチ85を切り替えることにより、バッテリ50と燃料電池60との間で電源を切り替えることができる。なお、第2実施例においてもバッテリ50は燃料電池60の立ち上がり遅れ時などにおいて補完的電源として使用される。
【0175】
なお、車軸17、17Aはいずれを前車軸および後車軸としても構わない。エンジン10が車両の前方に搭載されている場合、車軸17側を後車軸として構成すれば、エンジン10からの機械的な動力を車体を縦断して後車軸に伝達するためのプロペラシャフトが必要となる。これに対し、車軸17A側を後車軸として構成すれば、プロペラシャフトが不要となる。従って、エンジン10と車軸17とを近接させる構成を採ることにより、動力系統の構成を比較的簡易なものにすることができる利点がある。
【0176】
第2実施例では、第1実施例で説明した種々の制御処理をそのまま適用することができる。例えば、EV走行制御処理ルーチンの内容は第1実施例(図12)と同じである。但し、第2実施例では、EV走行時にモータ20、20Aの双方を駆動するため、消費電力が大きい。従って、燃料電池60の出力持続能力が十分に残っている場合にEV走行を行うことが望ましい。かかる観点から、第2実施例においては、図12の制御処理中のステップS20における所定の値F1を第1実施例よりも高い値に設定することが望ましい。
【0177】
補機駆動制御処理(図14)および充電制御処理(図15)の内容も第1実施例と同様である。充電制御処理(図15)においては、モータ20に加えてモータ20Aによる回生も可能である。従って、発電機運転制御処理(図19)中のステップS345では、モータ20に加えて、モータ20Aも回生運転することが望ましい。
【0178】
第2実施例に固有の制御処理である4WD制御について説明する。4WD制御とは、FC燃料の残量に応じて4WDモードと2WDモードとを使い分ける制御処理をいう。図21は4WD制御処理ルーチンのフローチャートである。この処理が開始されるとCPUは車両の運転状態を入力する(ステップS410)。ここでは、車速、アクセル開度、FC燃料の残量が関与する。
【0179】
次に、CPUは車両の運転状態がMG領域に該当するか否かを判定する(ステップS420)。この判定は、EV走行制御(図12)と同様、車速とアクセル開度に基づいて行われる。MG領域に該当する場合は、モータ20およびモータ20Aを駆動するため、CPUは何も処理を行うことなく4WD制御処理ルーチンを終了する。
【0180】
MG領域に該当しない場合は、FC燃料の残量に応じて4WD走行するか否かの判定を行う。まず、CPUはFC燃料の残量FCLが所定の値F4以上であるか否かを判定する(ステップS430)。所定の値F4以上である場合には、燃料電池60の出力持続能力が十分あると判断し、4WDモードでの走行を行う(ステップS440)。ここでは、MG領域ではないため、一方の車軸からはエンジン10より動力を出力する。これと共に他方の車軸に結合されたモータ20Aを燃料電池60の電力で駆動するのである。
【0181】
一方、FC燃料の残量FCLが所定の値F4に満たない場合には、燃料電池60の出力持続能力が不十分であると判断し、2WDモードでの走行を行う(ステップS450)。即ち、モータ20Aの駆動を停止する。なお、運転者が違和感なく運転できるよう、ステップS450で2WDモードでの走行が行われる場合には、運転者に報知するための表示を行うことが望ましい。
【0182】
所定の値F4は、モータ20Aの駆動に電力を消費することが許可されるか否かの判断基準となる値であり、任意の値に設定することができる。本実施例では、モータ20Aを駆動しない場合でもエンジン10の動力によって走行可能であることを考慮し、所定の値F4を比較的高い値に設定した。即ち、FC燃料の残量に十分余裕がある場合にのみ4WDモードでの走行が行われるように設定した。
【0183】
以上で示した4WD走行制御によれば、FC燃料の残量に応じて4WDモードと2WDモードとを使い分けることができる。2WDモードではモータ20Aを駆動しないため、FC燃料の消費を抑制することができる。従って、上記制御処理によれば、4WDモードでの走行によってFC燃料が過度に消費されることを抑制し、ハイブリッド車両の運転効率および環境性を向上することができる。
【0184】
なお、上述の制御処理では、4WDモードと2WDモードとを選択的に実行するものとした。これに対し、FC燃料の残量の低下に応じてモータ20Aの出力を徐々に低減するものとしてもよい。出力の低下は段階的に変化させてもよいし、連続的に変化させてもよい。こうすれば、それぞれのFC燃料で許容される範囲で4WDとしての特長を活かしつつ、FC燃料の消費を抑制することができる。
【0185】
以上で説明した第2実施例のハイブリッド車両によれば、第1実施例のハイブリッド車両と同様、FC燃料の消費を抑制しつつ、運転効率および環境性に優れた運転を実現することができる。なお、第2実施例においては、モータ20を省略した構成を採ることも可能である。
【0186】
G.第3実施例:
第3実施例としてのハイブリッド車両について説明する。図22は第3実施例としてのハイブリッド車両の概略構成を示す説明図である。第3実施例では、エンジン10およびモータ20Bの動力を車軸17に伝達する機構が、第1実施例と相違する。第3実施例では、伝達機構に、無段変速機180(以下、CVTという)を用い、CVT180に伝達される動力の変速を行う副変速機170を、CVTの上流側に設けてある。
【0187】
CVT180は、回転軸が平行になるように二対のプーリ181a、181bおよび182a、182b間を配置し、両者間の動力伝達をベルト183で行う周知の機構である。対になったプーリ181a、181bおよび182a、182bの間隔を油圧により変化させることにより、ベルト183とプーリとが接触する部分の径が変化する。CVT180は、かかる機構によりエンジ10、モータ20Bなどの動力源から伝達される動力を下流側の車軸17に無段階に変速して伝達することができる。
【0188】
第3実施例では、動力の変速範囲を広げるために、CVT180の上流側に副変速機170を設けている。副変速機170は、次に示す通り、2組のプラネタリギヤと、動力の入力経路を切り替えるクラッチ171,172とを組み合わせた構成をなしている。第1のプラネタリギヤに相当するのは、サンギヤ174、ピニオンギヤ175、177であり、第2のプラネタリギヤに相当するのは、サンギヤ176、ピニオンギヤ177、リングギヤ178である。双方のプラネタリギヤにおいて、ピニオンギヤ177は共通のギヤとして構成されている。第1のプラネタリギヤには、ピニオンギヤ175、177の回転を制止するブレーキ173が設けられている。
【0189】
かかる副変速機170への動力の入力経路は次の通りである。モータ20Bは第1のプラネタリギヤのサンギヤ174に結合されており、サンギヤ174に動力を伝達する。エンジン10は、クラッチ171,172を介してサンギヤ174、176にそれぞれ結合されている。クラッチ171をオフにすると、エンジン10の動力は副変速機170には伝達されない。クラッチ171をオンにすると、エンジン10の動力はサンギヤ176に伝達される。クラッチ171、172の双方をオンにすると、エンジン10の動力は、サンギヤ174、176の双方に伝達される。副変速機170は、クラッチ171、172およびブレーキ173のオン・オフを切り替えることによって、エンジン10、モータ20Bの動力を変速してCVT180に伝達する。
【0190】
図23は副変速機の係合状態を示す説明図である。図中の「○」はクラッチおよびブレーキを係合することを意味し、「△」はスリップさせることを意味し、「×」は解放することを意味している。図示する通り、クラッチ171,172およびブレーキ173を係合することによって、CVT180に入力される動力をそれぞれ対応するギヤ比で変速することができる。なお、ρ1およびρ2は、それぞれ次式で表される値である。
ρ1=リングギヤ177の歯数/サンギヤ174の歯数;
ρ2=リングギヤ177の歯数/サンギヤ176の歯数;
【0191】
第3実施例には、モータ20Bおよび穂機駆動用モータ80の電源としてバッテリ50、燃料電池60およびそれぞれの駆動回路51、52が設けられている。これらの構成は、第1実施例と同じであるため、説明を省略する。また、駆動回路51、52、エンジン10、副変速機170およびCVT180などの各要素の動作は、第1実施例と同様、制御ユニット70により制御される。但し、図22では、図の煩雑化を避けるため、制御ユニットからの制御信号の出力に関しては、図示を省略した。
【0192】
第3実施例のハイブリッド車両は、第1実施例と同様、モータ20Bを動力源として発進する。このときは、クラッチ171が解放されており、エンジン10の動力は車軸17に伝達されない。車速が所定の速度に達すると、クラッチ171をスリップ状態で係合し、エンジン10の動力を用いて走行するようになる(図23中の2nd(低速)に相当)。更に、高速になると、クラッチ171を完全に係合し、エンジン10の動力で走行する(図23中の2ndに相当)。かかる走行状態では、エンジン10の動力のみで走行することができるが、アクセル開度が比較的大きい場合には、モータ20Bから動力を出力し、エンジン10をアシストすることもできる。
【0193】
上述した副変速機170の制御は、第1実施例と同様のマップに従って行われる。図24は副変速機170の切り替えの様子を示す説明図であり、図25は、後進時、即ちRポジションにおける副変速段170の切り替えの様子を示す説明図である。図中のMG領域は、クラッチ171をオフにしてモータ20Bの動力のみで走行する領域である。その他の領域は、エンジン10の動力も利用して走行するエンジン走行領域である。図24において、ハッチングを付した領域は、両者の中間領域に相当し、クラッチ171をスリップさせて走行する領域である。各領域の境界に当たる速度V1,V2,V3は、適正な運転感覚が得られるよう、車両ごとに調整すればよい。
【0194】
CVT180は、アクセル開度に基づいて設定される要求トルクに応じて所定のマップに従って変速比が制御される。第3実施例のハイブリッド車両では、CVT180の変速比を、シフトレバーの操作によって、運転者がマニュアルで調整することができる。図26は第3実施例におけるシフトレバーを示す説明図である。第3実施例では、第1実施例と同じPポジション,Rポジション,Nポジション,Dポジションに加えて、BポジションおよびMポジションが設けられている。Bポジションでは、最後方の位置から、やや前方の位置までの範囲でシフトレバー162Aを動かすことができるようになっており、より後方に引くほど出力トルクが大きくなるように、シフトレバー162Aの位置に応じてCVT180の変速パターンを調整できる。
【0195】
Mポジションは、Dポジションからシフトレバー162Aを右方向にスライドさせることで選択できる。Mポジションでは、シフトレバー162Aは中央を基準位置として、前(+位置)または後(−位置)に動かすことができ、それぞれ「+スイッチ」「−スイッチ」として機能する。運転者がシフトレバー162Aから手を離した状態では、その位置は中央の基準位置に保持される。Mポジションでは、運転者がシフトレバー162Aを操作して、「+スイッチ」をオンにすると、その回数に応じて出力トルクが大きくなり、「−スイッチ」をオンにすると、その回数に応じて出力トルクが小さくなるようにCVT180の変速パターンを段階的に調整することができる。
【0196】
図27はCVT180の変速パターンを示す説明図である。第3実施例では、要求トルク、即ちアクセル開度が大きくなるにつれて、出力トルクが大きくなるようにCVT180の変速比を小さくするパターンを設定した。ここでは、直線的に変化させるパターンを例示したが、運転者の感覚に適合するよう、種々のパターンで設定できることはいうまでもない。さらに、本実施例では、上述の通り、運転者がマニュアルでCVT180の変速パターンを調整することができる。図27では、かかる調整幅をハッチングで示した。出力トルクが大きくなる側に調整されている場合にはCVT180は図27中の直線L1で示すパターンで制御され、出力トルクが小さくなる側に調整されている場合にはCVT180は直線L2で示すパターンで制御される。Bポジションでは、直線L1,L2でパターンを連続的に変更することができ、Mポジションでは段階的に変更することができるのである。直線L1,L2の間の変速パターンは、運転者の調整に応じて両者の変速比を比例配分するようにして設定してもよいし、直線L1またはL2を平行移動するようにして設定してもよい。
【0197】
第3実施例のハイブリッド車両は、モータ20Bの動力によってエンジンをアシストすることができる。図28はエンジン走行領域における出力トルクを示す説明図である。エンジン10はアクセル開度に応じて、図中の曲線CT1で示されるトルクを出力する。モータ20Bは図中のハッチングを付した領域TMGに相当するトルクを出力し、エンジン10をアシストする。両者を合わせたトルクは図中の曲線CT2で示される値となる。
【0198】
なお、第3実施例では、後述する制御に従い、モータ20BのアシストトルクがFC燃料の残容量に応じて変化する。エンジン10とモータ20Bとを合わせた出力トルクは、この制御に従い、図28中のハッチングを付した領域TMG内で変化する。なお、車軸に出力されるトルクに大きな変動が生じることを回避するために、アシストトルクの変化を補償するようにCVT180の変速比を併せて制御するものとしてもよい。
【0199】
第3実施例では、モータ20BのアシストトルクをFC燃料の残容量に応じて変化させるのみならず、後述する制御により、モータ20Bで走行するMG領域の広さをもFC燃料の残容量に応じて変化させる。図29はFC燃料に応じてMG領域を変更する様子を示す説明図である。図25のMG領域近傍を拡大して示した。領域MG0が図25に示したMG領域に相当する。図示する通り、第3実施例では、FC燃料の残容量が少なくなるにつれて、モータ20Bで走行する領域をMG0からMG1,MG2と狭くする。モータ20Bで走行する領域を狭くすることによって、FC燃料の消費を抑制するのである。FC燃料とMG領域との関係は、予めマップで設定されている。
【0200】
図30はFC燃料に応じてMG領域を変化させるマップの一例を示す説明図である。ここでは、図29において、一定のアクセル開度APに対応するMG領域の最大速度(以下、MG領域限界車速と呼ぶ)がFC残燃料に応じて変化する様子を例示した。実際には、かかるマップがアクセル開度に応じて複数用意されている。
【0201】
図示する通り、第3実施例では、FC残燃料が所定の値FLIM以上であり、十分残っていると判断される場合には、MG走行領域が最も広い範囲に設定される。即ち、MG領域限界車速は、図29中の領域MG0に相当する値となる。FC残燃料が値FLIMよりも低くなると、モータ20Bの使用を控えてFC燃料の消費を抑制すべく、MG走行領域が狭くなる。従って、FC残燃料の低下に応じて、MG領域限界車速は直線LP1に沿って低下する。なお、ここではMG領域限界車速がFC残燃料に応じて直線的に変化する場合を例示したが、曲線的に変化させる設定としても構わない。
【0202】
第3実施例では、MG領域の狭め方を、FC残燃料の変化率にも応じて変えている。上述の説明では、直線LP1に沿ってMG領域を狭める場合を示した。第3実施例では、FC残燃料の変化率に応じて図30に示すマップを用意しておくことで、変化率に応じた狭め方でMG領域を変化させるのである。FC残燃料が急激に低減する場合には、図30中に直線LP2,LP3で示すように、FC残燃料が比較的高い状態から、MG領域を狭め始める。FC残燃料が急激に低減している場合、即ちFC燃料を急激に消費している場合には、速やかにMG領域を狭めてその消費を抑制する必要があるからである。FC残燃料の変化率とMG領域の狭め方との対応関係は、FC燃料を抑制しつつ、運転者の感覚に沿った運転が実現できるよう種々設定可能である。
【0203】
FC燃料の低下に伴ってMG領域を狭くするのと同じ目的から、第3実施例では、FC残燃料に応じてモータ20Bのアシストトルクも変化させる。アシストトルクは、予めマップで設定されている。図31はアシストトルクとFC残燃料との関係を示す説明図である。MG領域の変化と同様、FC残燃料が値FLIMよりも低くなると、アシストトルクは、直線LT1に沿って100%から徐々に低減する。第3実施例では、アシストトルクの値自体は、先に図28に示したマップで設定されている。アシストトルク100%とは、アクセル開度に応じて図28におけるハッチング領域に相当するトルクを出力することを意味しており、エンジン10とモータ20Bとを合わせた総出力トルクが図28中の曲線CT2に相当するトルクが出力される。アシストトルクが0%になると、総出力トルクは図28中の曲線CT1に相当する値となる。
【0204】
なお、MG領域を狭めるのと連動してアシストトルクが低減するよう、図30と図31で共通の値FLIMを用いているが、MG領域を狭め始めるFC残燃料の値と、アシストトルクを低減させ始めるFC残燃料の値とは必ずしも一致する必要はなく、図30と図31のマップを独立に設定しても構わない。
【0205】
第3実施例では、MG領域の変更と同様、アシストトトルクの変化のパターンもFC残燃料の変化率に応じて変化する。FC残燃料が急激に低減している場合には、図31の直線LT2,LT3に示すように比較的高い残燃料の状態にあっても、アシストトルクを低減させる。MG領域の制御と同様、FC燃料を急激に消費している場合には、モータ20Bの出力を早期に低減させることによって、FC燃料の消費を抑制するのである。かかる制御は、FC残燃料とアシストトルクとのマップを、FC残燃料の変化率ごとに用意しておくことで実現される。FC残燃料の変化率とアシストトルクを変化させるパターンとの関係は、FC燃料を抑制しつつ、運転者の感覚に沿った運転が実現できるよう種々設定可能である。
【0206】
以上で概説した制御は、制御ユニット70のCPUが以下の制御処理を実行することによって実現される。図32は第3実施例におけるEV走行制御処理ルーチンのフローチャートである。CPUは車両の運転状態を入力する(ステップS500)。第1実施例と同様、図7で示した種々のセンサからの入力がなされるが、特に、シフトポジション、車速、アクセル開度、FC燃料の残量FCLが以後の処理に関与する。
【0207】
次に、CPUは燃料電池が使用可能な状態にあるか否かを、次の2つの条件によって判断する(ステップS502)。一つ目の条件は、FC燃料の残燃料FCLが所定の値F1以上であるか否かである。値F1は、第1実施例と同様、燃料電池の使用が許可される下限のFC燃料である。残燃料FCLが値F1よりも低い場合には、燃料電池は使用できないものと判断される。2つ目の条件は、燃料電池の温度Tfcが所定の温度Tuよりも低いか否かである。温度Tuは、燃料電池を安定して運転可能な上限の温度である。検出された温度Tfcが所定の温度Tu以上である場合には、燃料電池は使用できないものと判断される。以上の2つの条件の少なくとも一方の条件が満たされない場合には、燃料電池は使用できないとの判断がなされる。従って、燃料電池を電源とするモータ20Bを動力源として使用するのを避け、エンジン10のみを動力源として走行する(ステップS512)。この場合は、シフトポジション、アクセル開度に応じて要求されたトルクを出力するよう、エンジン10の運転および副変速機170、CVT180の変速比を制御する。
【0208】
ステップS502において、燃料電池を使用可能と判断された場合、CPUは、FC残燃料の変化率を算出し(ステップS504),これに基づいてMG領域およびアシストトルクの設定を行う(ステップS506)。先に説明した通り、第3実施例では、FC残燃料およびその変化率に応じてMG領域およびアシストトルクを変更するものとしているため、ステップS504,S506でその設定を行うのである。具体的には、図30および図31に例示したマップを、FC残燃料およびその変化率に基づいて参照してMG領域およびアシストトルクを設定するのである。マップはFC残燃料およびその変化率の離散的な値に対して用意されているため、適宜マップを補間して設定を行う。
【0209】
なお、FC残燃料に応じてMG領域およびアシストトルクを一旦設定した後、FC燃料の変化率に応じて補正する態様をとるものとしてもよい。この場合は、演算量が増えるものの、マップの記憶に要する容量が節約できる利点がある。また、FC残燃料を直接パラメータとして用いるのではなく、燃料電池にかかる負荷状態に基づいてステップS506の処理を行うものとしてもよい。例えば、燃料電池から出力される電力を継続的に監視すれば、その積分値に基づいてステップS506の処理を行うことができる。また、燃料電池から出力される電力は、燃料電池の負荷の変化率に他ならず、FC燃料の変化率と等価なパラメータと見ることができるから、燃料電池から出力される電力の検出をステップS504の処理に置換してもよい。燃料電池にかかる負荷状態は、必ずしも電力を用いて評価する必要はなく、燃料電池を電源として駆動するモータ20Bから出力される動力を用いて評価してもよい。
【0210】
次に、CPUは、現在の車速および要求トルクに基づいて車両の走行状態が、こうして設定されたMG領域に該当するか否かを判定する(ステップS508)。MG領域に該当する場合には、モータ20Bを動力源として走行する(ステップS510)。即ち、シフトポジションおよびアクセル開度に応じて、要求トルクが出力されるよう、エンジン10の運転および副変速機170、CVT180の変速比を制御する。
【0211】
車両の走行状態がMG領域に該当しないと判断された場合には、エンジン10を主動力源とし、モータ20Bでエンジン10をアシストする走行を行う(ステップS514)。この場合は、図28に示したトルクがアクセル開度に応じて出力されるよう、エンジン10、モータ20Bおよび副変速機170、CVT180の変速比を制御する。かかる制御処理によって、第3実施例のハイブリッド車両は、動力源を適宜切り替えつつ、またモータ20Bのアシストトルクの割合を適宜調整しながら、走行することができる。
【0212】
以上で説明した第3実施例のハイブリッド車両によれば、FC残燃料に応じて動力源を切り替えることにより、第1実施例および第2実施例と同様、FC燃料の消費を抑制することができる。さらに、第3実施例では、FC残燃料の変化率に応じてMG領域の広さ、モータ20Bのトルクを制御することにより、FC燃料の消費をより適切に制御することが可能となる。例えば、FC燃料を急激に消費している場合には、速やかにモータ20Bの出力を低減し、燃料電池の出力を低下させることによって、FC燃料が過剰に消費されることを抑制できる。また、FC燃料が緩やかに消費されている場合には、燃料電池を十分に活用することにより、高効率かつ環境性に優れた運転を実現することができる。つまり、第3実施例では車両の走行状態に伴って生じるFC燃料の消費の動的変化に十分に追随して燃料電池の出力を制御することが可能となるのである。この結果、燃料電池をより広範囲で有効に活用することが可能となる。
【0213】
第3実施例では、CVT180を用いた構成のハイブリッド車両を例示した。かかる構成では、モータ20Bの出力をFC燃料およびその変化率に応じて柔軟に変化させることができる利点がある。もちろん、FC燃料およびその変化率に応じてモータの出力を変化させる制御はCVT180の搭載を必須とするものではなく、第1実施例に示した有段の変速機を搭載した構成でも適用可能である。逆に、CVT180を搭載した第3実施例の構成において、第1実施例、第2実施例と同様、FC燃料の変化率を考慮しない制御を適用することも可能である。この場合には、制御処理が比較的容易になるという利点がある。また、第3実施例ではEV走行制御を例示したが、FC燃料およびその変化率に応じて燃料電池の出力を変えるという考え方は、その他にも充電制御処理など、第1実施例で説明した各種の処理に適用可能であることはいうまでもない。
【0214】
H.第4実施例:
次に本発明の第4実施例について説明する。第4実施例としてのハイブリッド車両の構成は、第1実施例と同様である(図1参照)。基本的な動作も第1実施例と同様であり、先に図8〜図12に示したマップに従って、エンジン10およびモータ20を使い分けて走行する。モータ20は、燃料電池60の電力で駆動される。第1実施例では、FC燃料の残量に応じてモータ20の駆動を抑制する場合を例示した。これに対し、第4実施例では、エンジン10の燃料、即ち、ガソリン残量に応じてエンジン10の運転を抑制する制御処理について例示する。
【0215】
図33は第4実施例における走行制御処理ルーチンのフローチャートである。第1実施例と同様、制御ユニット70が繰り返し実行する処理である。走行中にエンジン10とモータ20との使い分けを制御するための処理である。
【0216】
この処理では、まず信号が入力される(ステップS600)。ガソリン残燃料を表す信号など、先に図7に示した種々の信号が入力される。この入力信号に基づき、ガソリン残量が所定の基準値Loよりも大きいか否か、即ち、車両の走行に支障がない程、十分なガソリンが残っているか否かを判断する(ステップS602)。基準値の設定については、後述する。残量がLoよりも多い場合、即ち、ガソリンが十分に残っていると判断される場合には、基本的動作として設定されている通り、図8〜12のマップに従ってエンジン10、モータ20の動力源の使い分けがおこなわれる(ステップS608)。また、このときは車両が通常の制御で走行していることを車内のインジケータに表示する(ステップS610)。インジケータは、例えば、先に図6に示した計器板に設けることができる。
【0217】
ステップS602において、ガソリンが十分残っていないと判断された場合には、次に示す処理によって、エンジン10の運転を抑制する制御を行う。かかる制御を行うために、まず、現在の車両の走行状態、即ち、車速およびトルクが、「トルク変動領域」に含まれているか否かを判定する(ステップS604)。トルク変動領域とは、エンジン10で出力可能なトルクとモータ20で出力可能なトルクの間に運転者にとって看過し得ない程の偏差がある領域をいう。図8に示したマップから推定される通り、モータ20は低速領域での走行に適しているため、高速、高トルクの領域は、トルク変動領域に含まれる。トルク変動領域は、燃料電池60などからモータ20に供給可能な電力量や選択されているギヤ比などによっても影響を受ける。この実施例では、ギヤ比が図8〜12のマップに従って切り替えられることを前提にして、トルク変動領域を予めマップで設定しておくものとした。
【0218】
車両の走行状態がトルク変動領域に含まれていない場合は、エンジン10とモータ20のいずれを動力源として選択しても、運転者にとって違和感のない走行感覚を実現可能であることになる。従って、ガソリンの残量が比較的少ないという事情を考慮して、エンジン10の使用を避け、モータ20を動力源としてMG走行する(ステップS616)。図8等のマップに従えば、本来、エンジン10を動力源として走行すべき領域として設定されている走行状態にある場合でも、エンジン10を動力源とせず、モータ20を動力源とする走行を継続するのである。かかる動作は通常の動作と異なるため、ガソリン残量が少ないため、MG走行していることをインジケータに表示する。表示方法としては、異なる色での表示、点滅表示など種々の方法を適用可能である。
【0219】
ステップS604において、車両の走行状態がトルク変動領域に入っていると判断される場合には、動力源をエンジン10、モータ20で切り替えることによって運転者に違和感を感じさせることになる。かかる場合には、可能な限り基本的動作に沿った走行を継続することが運転感覚を維持する上で好ましい。本実施例では、かかる観点から、ガソリンが完全に消費されているか否かを判断し(ステップS606)、ガソリンがわずかでも残っている場合には、図8等のマップに従った切り替えを実行する(ステップS612)。但し、ガソリンの残量が少ないことを運転者に知らせるための表示を行う。この表示は、ステップS618と同じ表示を適用することができる。なお、ステップS606においてガソリンが完全に消費された状態とは、車両の運転に有効に活用することができる利用可能燃料がほとんどなくなった状態をいう。必ずしも燃料タンク内のガソリンが0リットルになった状態とは限らない。
【0220】
このように第4実施例では、ガソリン残量に応じて、エンジン10の運転を抑制する制御を行う。エンジン10の運転を抑制するか否かの判断は、上述の通り、基準値Loとガソリン残量との比較に基づいて行われる。ここで、上記判断基準となる基準値Loについて説明する。図34はガソリン残量の判断基準値の設定方法について示す説明図である。図34にはガソリン消費率と基準値との関係を示した。基本的に基準値Loは任意の値に設定可能である。従って、図中の実線で示すように、基準値Loはガソリン消費率と無関係の一定値として設定することもできる。また、破線で示すように、ガソリン消費率につれて変化する態様で設定するものとしてもよい。図示した例では、ガソリン消費率が増大する程、基準値Loも高くなる設定となっている。ガソリン消費率が大きいときは、エンジン10の運転を抑制する制御処理が適用がわずかに遅れるだけでガソリンが過度に消費されやすいことを意味しているから、基準値を大きくすることにより、ガソリンの過度な消費を回避することができる。図34では、ガソリンの消費率に対して基準値Loが直線状に変化する場合を例示したが、曲線状に変化させてもよいし、段階的に変化させても構わない。
【0221】
基準値Loの値は、第1実施例において燃料電池60の使用を抑制するか否かの判断基準としてのFC燃料値を設定したのと同じ考え方により設定することができる。基準値Loを高い値に設定する程、エンジン10の使用が抑制されやすい傾向になり、低い値に設定する程、エンジン10を積極的に使用する傾向となる。例えば高速、高トルクでの走行が要望されている場合には、基準値Loを低い値に設定して、エンジン10を積極的に使用するよう設定すればよい。
【0222】
また、基準値Loは、ガソリンの残量が少なくなってから、実際にエンジン10の運転が抑制されるまでの時間的余裕に関与したパラメータとしての意味もある。先に説明した制御処理によれば、ガソリンの残量が基準値Loを下回った場合でも、車両の走行状態がトルク変動領域にあるときは、エンジン10の使用が継続される。基準値Loが高い値に設定されていれば、ガソリンの残量が少ない旨の表示に応じて車速を下げるなどの対応をとることにより、違和感なくモータ20での運転に移行することができる。基準値Loが低い値に設定されている場合にはトルク変動領域から脱する前に、ガソリンが完全に消費された状態に至り強制的にモータ20への駆動に切り替えられる可能性がある。かかる切り替えでは、駆動トルクが大きく変動するため、大きな違和感、ショックを伴い、車両の乗り心地を損ねる可能性がある。基準値Loは、上述した種々の要素を総合的に勘案して、違和感のない効率的な使い分けを実現可能な値を設定すればよい。
【0223】
以上で説明した第4実施例のハイブリッド車両によれば、ガソリンの残量に応じてエンジン10とモータ20とを使い分けて走行することができる。ガソリンの残量が少なくなると、エンジン10の使用を抑制することができ、モータ20に動力源を切り替えることができる。この切り替えは、駆動トルクが極端に変動しない走行状態で行われる。従って、第4実施例のハイブリッド車両によれば、運転者に違和感を与えることなく、またガソリンの消耗によって車両が停止してしまうなどの不具合を招くことなく、動力源の効率的な使い分けを実現することができる。
【0224】
H1.第4実施例における第1変形例:
第4実施例では、エンジン10とモータ20との使い分けを実現する制御として汎用的なものを例示した。ハイブリッド車両は、低速走行時はモータ20で走行し、所定以上の速度になったときにエンジン10での走行に切り替わる。従って、ガソリン残量に応じて、この切り替えを行うか否かを制御してもエンジン10の過度の使用、即ち、ガソリンの過度の消費を抑制する制御を実現することができる。かかる態様による制御処理を第1変形例として説明する。
【0225】
図35は、第4実施例の第1変形例としての走行制御処理ルーチンのフローチャートである。この処理は、車両が低速から徐々に加速されている時に実行されるものとする。このルーチンでは、入力信号処理を行い(ステップS700)、車両の走行状態がMG走行からエンジン走行への切り替え領域に至ったか否かを判定する(ステップS702)。切り替え領域か否かの判断は、図8〜12などのマップに基づいて行われる。この領域に至っていない場合には、現状の運転、即ち、MG走行を継続すればよいため、制御ユニット70は何も処理をすることなく走行制御処理ルーチンを終了する。
【0226】
MG走行からエンジン走行への切り替え領域に至ったものと判断された場合には、ガソリンの残量に基づいて、この切り替えを実行するか否かを判断する。ガソリンの残量が基準値Loよりも大きい否かを判断し(ステップS704)、十分にガソリンが残っていると判断される場合には、基本的な動作状態、即ち、図8〜12に示したマップに従ってエンジン10とモータ20との切り替えを実行する(ステップS706)。この場合には、第4実施例と同様、通常の運転が行われていることをインジケータに表示する(ステップS708)。
【0227】
一方、ステップS704において、ガソリンの残量が基準値Lo以下であると判断された場合には、エンジン10の使用が抑制される。従って、図8等のマップによれば、エンジン10への切り替えを行うべき走行状態にあるとしても、エンジン10への切り替えを中止し、MG走行を継続する(ステップS710)。このときは、第4実施例と同様、ガソリンの残量が少ないために、MG走行が継続されていることをインジケータに表示する(ステップS712)。
【0228】
以上で説明した第1変形例の制御処理によれば、ガソリンの残量に応じてエンジン10への切り替えを抑制することができる。従って、第4実施例と同様、ガソリンの過度な消費を回避して、動力源の効率的な使い分けを実現することができる。また、第1変形例では、ガソリンの残量が少ない場合には、エンジン10への切り替えを禁止するため、第4実施例と異なり、エンジン10とモータ20との駆動トルクの偏差を考慮しなくても運転感覚の急激な変動や不測のショックを招かないという利点もある。
【0229】
なお、第1変形例でも基準値Loの値は、第4実施例と同様の要素を考慮して任意に設定可能である。第1変形例の制御は、ガソリンの残量が不足することによってエンジン10を継続して運転できなくなることを未然に防ぐために、エンジン10への切り替えを抑制するという効果もある。従って、基準値Loは、若干高めの値に設定することが望ましい。こうすることにより、エンジン10を十分継続的に運転可能な程度にガソリンが残っている場合にのみエンジン10への切り替えが行われることになり、より運転者の感覚に適合した運転を実現することができる。もちろん、基準値は、一定値としてもよいし、車両の走行に関連する種々のパラメータに応じて変更してもよい。
【0230】
第1変形例では、ガソリンの残量が基準値よりも低くなると、再びガソリンが補給されない限りエンジン10での運転は行われない内容の処理を例示した。ガソリンが基準値Loよりも少ない場合の処理は、これに限らず種々の処理が適用可能である。例えば、アクセルを所定以上に踏み込み、高いトルクの出力が真に必要とされる意思表示がなされた場合には、エンジン10への切り替えを実行するものとしてもよい。
【0231】
H2.第4実施例における第2変形例:
第1変形例では、ガソリンの残量にのみ基づいてエンジン10への切り替えを制御する場合を例示した。エンジン10、モータ20の駆動トルクをも考慮して切り替えを制御することも可能である。かかる態様での制御処理を第2変形例として説明する。
【0232】
図36は、第4実施例の第2変形例としての走行制御処理ルーチンのフローチャートである。このルーチンも、第1変形例と同様、低速から徐々に加速されている状態で実行されるものとする。このルーチンが開始されると、制御ユニット70のCPUは、処理に必要な信号を入力し(ステップS800)、これに基づいて駆動力変化領域を算出する(ステップS802)。
【0233】
駆動力変化領域とは、第4実施例で示したトルク変動領域と同義である。但し、第4実施例では、予めマップで設定された比較的固定された領域を表していたのに対し、第2変形例では、車両の各装置の作動状態に応じて動的に変化する領域を示すため、異なる用語を用いた。先に説明した通り、駆動力変化領域は、エンジン10とモータ20の駆動トルクに所定以上の偏差がある領域に相当し、基本的には図8などに示したマップ中のエンジン走行領域とほぼ一致する。但し、この領域は、燃料電池60などからモータ20に供給可能な電力量、燃料電池60、エンジン10の暖機状態、走行に使用されている変速比などによって変動する。ステップS802では、これらの変動を考慮して駆動力変化領域を算出する。第2変形例では、種々の条件に対応して駆動力変化領域を設定したマップを用意し、このマップを適宜補間することによって、駆動力変化領域を算出するものとした。
【0234】
次に、こうして設定された駆動力変化領域に車両の走行状態が含まれているか否かを判断する(ステップS804)。車両が低速から徐々に加速されていくとき、最初、車両の走行状態はモータ20とエンジン10で同等の駆動トルクが出力可能な領域(「駆動力均等領域」と呼ぶ)にある。加速されていくにつれて、走行状態は駆動力変化領域に移行する。ステップS804では、車両の走行状態が駆動力均等領域から駆動力変化領域に移行したか否かを判定する。走行状態が、駆動力変化領域に入っていない場合、つまり、駆動力均等領域にある場合には、エンジン10への切り替えは不要であるから、CPUは何も処理をすることなく、走行制御処理ルーチンを終了する。
【0235】
走行状態が駆動力変化領域に含まれていると判断される場合には、第1変形例と同様、ガソリン残量に応じてエンジン10への切り替えを制御する。即ち、ガソリン残量と基準値Loとを比較し(ステップS806)、ガソリン残量の方が多い場合には、図8等のマップに従ってエンジン10への切り替えを実行する(ステップS808)。この場合には、第4実施例と同様、通常の運転が行われていることをインジケータに表示する(ステップS810)。
【0236】
一方、ステップS806において、ガソリンの残量が基準値Lo以下であると判断された場合には、エンジン10の使用が抑制される。従って、図8等のマップによれば、エンジン10への切り替えを行うべき走行状態にあるとしても、エンジン10への切り替えを中止し、MG走行を継続する(ステップS812)。このときは、第4実施例と同様、ガソリンの残量が少ないために、MG走行が継続されていることをインジケータに表示する(ステップS814)。
【0237】
以上で説明した第2変形例の制御処理によれば、第1変形例と同等の利点を有する。また、走行状態が駆動力変化領域に移行しない限り、エンジン10への切り替えが行われないため、モータ20をより積極的に使用する制御となり、ガソリン消費をより抑制するとともに、環境性、運転効率に優れた使い分けを実現することができる。
【0238】
I.その他の変形例:
以上の実施例では、燃料電池60およびバッテリ50の双方を電源として搭載するハイブリッド車両を例示した。本発明は、燃料電池60のみを電源として搭載するハイブリッド車両に適用することも可能である。なお、かかる構成のハイブリッド車両では、燃料電池の電力の立ち上がり時間の遅れを考慮して、走行に多大な影響を与えないように各制御に使用されるパラメータを設定することが望ましい。
【0239】
また、燃料電池の立ち上がり時間の遅れを補償するための付加的な要素を備えることも望ましい。例えば、実施例におけるバッテリ50に変えてキャパシタを備えるものとしてもよい。キャパシタは燃料電池の電力を過渡的に補償する目的で使用する。つまり、燃料電池からの電力や回生電力によって予めキャパシタに電力を蓄えておき、燃料電池の立ち上がり遅れが生じるときには、キャパシタからの放電によって不足分の電力を補償するのである。このような構成を採れば、バッテリ50を構成から省略した場合でも電力の極端な変動を抑制することができる。
【0240】
上述の実施例は、いずれも燃料電池60の出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方に応じて燃料電池60の出力特性を制御し、全体としてハイブリッド車両の運転効率および環境性を向上するものである。上述の実施例では、燃料電池60の出力持続能力を判断するパラメータとしてFC燃料の残量を用いた。出力持続能力は、これに限らずその他種々のパラメータを用いることができる。例えば、燃料電池60の温度によって燃料電池60の運転を継続してもよい状態にあるか否かを判定するものとしてもよい。
【0241】
以上の実施例では、ハイブリッド車両を例にとって説明した。本発明は、エネルギの出力源を効率的に使い分けることを実現するものであり、必ずしもモータとエンジンとを搭載した車両に限定はされない。例えば、上述の実施例においてエンジンにより動力を出力する部分を、バッテリによるモータの駆動に置換すれば、電力の出力源、即ち燃料電池とバッテリとを効率的に使い分ける制御を実現することができる。従って、本発明は、モータのみを動力源とする車両にも適用することができる。
【0242】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、更に種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例えば、本実施例のハイブリッド車両では、エンジンとしてガソリンエンジン150を用いたが、ディーゼルエンジンその他の動力源となる装置を用いることができる。また、本実施例では、モータとして全て三相同期モータを適用したが、誘導モータその他の交流モータおよび直流モータを用いるものとしてもよい。また、車両以外の移動体に適用することも可能である。本実施例では、種々の制御処理をCPUがソフトウェアを実行することにより実現しているが、かかる制御処理をハード的に実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としてのハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。
【図3】変速機100の内部構造を示す説明図である。
【図4】各クラッチ、ブレーキ、およびワンウェイクラッチの係合状態と変速段との関係を示す説明図である。
【図5】本実施例のハイブリッド車両におけるシフトポジションの操作部160を示す説明図である。
【図6】本実施例におけるハイブリッド車両の計器板を示す説明図である。
【図7】制御ユニット70に対する入出力信号の結線を示す説明図である。
【図8】車両の走行状態と動力源との関係を示す説明図である。
【図9】2ポジションにおける変速段の切り替えの様子を示す説明図である。
【図10】Lポジションにおける変速段の切り替えの様子を示す説明図である。
【図11】Rポジションにおける変速段の切り替えの様子を示す説明図である。
【図12】EV走行制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図13】モータ駆動制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】補機駆動制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図15】充電制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図16】バッテリ50の充電状態と回生電力の活用との関係を示す説明図である。
【図17】バッテリ50のSOCと充電電力との関係を示す説明図である。
【図18】車両の運転状態による発電機の使い分けについて示す説明図である。
【図19】発電機運転制御ルーチンのフローチャートである。
【図20】第2実施例のハイブリッド車両の概略構成を示す説明図である。
【図21】4WD制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図22】第3実施例としてのハイブリッド車両の概略構成を示す説明図である。
【図23】副変速機170の係合状態を示す説明図である。
【図24】副変速機170の切り替えの様子を示す説明図である。
【図25】Rポジションにおける副変速段170の切り替えの様子を示す説明図である。
【図26】第3実施例におけるシフトレバーを示す説明図である。
【図27】CVT180の変速パターンを示す説明図である。
【図28】エンジン走行領域における出力トルクを示す説明図である。
【図29】FC燃料に応じてMG領域を変更する様子を示す説明図である。
【図30】FC燃料に応じてMG領域を変化させるマップの一例を示す説明図である。
【図31】アシストトルクとFC残燃料との関係を示す説明図である。
【図32】第3実施例におけるEV走行制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図33】第4実施例における走行制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図34】ガソリン残量の判断基準値の設定方法について示す説明図である。
【図35】第4実施例の第1変形例としての走行制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図36】第4実施例の第2変形例としての走行制御処理ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10…エンジン
12…クランクシャフト
13、13A、14,14A、15…回転軸
16,16A…ディファレンシャルギヤ
17,17A…車軸
18…入力クラッチ
19…補機クラッチ
20,20A、20B…モータ
22…ロータ
24…ステータ
30…トルクコンバータ
50…バッテリ
51,51A,52,52A…駆動回路
60,60A…燃料電池
61a…容量センサ
61…メタノールタンク
62…水タンク
63…バーナ
64…圧縮機
65…蒸発器
66…改質器
68…ブロワ
70…制御ユニット
80…補機駆動用モータ
82…補機駆動装置
83〜86…切替スイッチ
100…変速機
102…油圧ポンプ
104…油圧制御部
110…副変速部
112…第1のプラネタリギヤ
114…サンギヤ
115…プラネタリピニオンギヤ
116…プラネタリキャリア
118…リングギヤ
119…出力軸
120…主変速部
122…回転軸
130,140,150…プラネタリギヤ
132、142,152…サンギヤ
134、144,154…プラネタリキャリア
136、146,156…リングギヤ
160…操作部
162…シフトレバー
163…スポーツモードスイッチ
170…副変速機
171、172…クラッチ
173…ブレーキ
174、176…サンギヤ
175、177…ピニオンギヤ
178…リングギヤ
180…無段変速機(CVT)
181a,181b,182a,182b…プーリ
183…ベルト
202、203…燃料計
204…速度計
206…エンジン回転計
208…エンジン水温計
210…方向指示器インジケータ
220…シフトポジションインジケータ

Claims (24)

  1. 燃料電池と熱機関を含2種類以上のエネルギ出力源と蓄電手段とを備える移動体であって、
    前記燃料電池の出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方を検出する第1の検出手段と、
    前記熱機関の出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方を検出する第2の検出手段と、
    前記各エネルギ出力源からのエネルギの出力状態を該第1および第2の検出手段の検出結果に応じて調整しつつ、要求に応じた総エネルギを出力する出力制御手段を備える移動体。
  2. 請求項1に記載の移動体において、
    前記出力制御手段は、
    前記熱機関を主として用いて前記総エネルギを出力する第1の運転領域において、前記熱機関の出力持続能力の低下に伴い、前記第1の運転領域を狭め、
    前記燃料電池を主として用いて前記総エネルギを出力する第2の運転領域において、前記燃料電池の出力持続能力の低下に伴い、前記第2の運転領域を狭める、移動体。
  3. 請求項2に記載の移動体において、
    前記出力制御手段は、熱機関をエネルギ出力源とする運転領域において、該熱機関の出力持続能力が所定値よりも低く、かつ、その時点での該熱機関の出力を前記燃料電池で代替できる場合に、該熱機関に代えて前記燃料電池をエネルギ出力源として使用し、該熱機関の出力持続能力が所定値よりも低く、かつ、その時点での該熱機関の出力を前記燃料電池で代替できない場合に、前記熱機関をエネルギ出力源として継続使用する移動体。
  4. 前記第1の検出手段は、前記燃料電池用の残燃料量に基づいて、前記燃料電池の出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方を検出する手段である請求項1記載の移動体。
  5. 前記第1の検出手段は、前記燃料電池の負荷状態に基づいて、前記燃料電池の出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方を検出する手段である請求項1記載の移動体。
  6. 請求項1記載の移動体であって、
    動力を出力する駆動軸と、
    前記各エネルギ出力源から出力されたエネルギをそれぞれ機械的エネルギの形で該駆動軸に出力する機械的エネルギ出力機構とを備え、
    前記総エネルギは該駆動軸から出力される単位時間当たりの機械的エネルギである移動体。
  7. 請求項2に記載の移動体であって、
    前記出力制御手段は、所定の一のエネルギ出力源の出力持続能力の低下に伴い、該エネルギ出力源を利用して出力されるトルクを低減する手段である移動体。
  8. 請求項6記載の移動体であって、
    前記エネルギ出力源として、熱機関、燃料電池、および二次電池を備え、
    少なくとも前記機械的エネルギ出力機構として、燃料電池および二次電池の電力により回転可能な電動機を備え、
    前記出力制御手段は、前記燃料電池の出力持続能力に応じて、前記移動体の運転領域における該電動機の運転領域および該電動機の出力トルクの少なくとも一方を変更する手段である移動体。
  9. 請求項1記載の移動体であって、
    電力を充放電する蓄電手段と、
    前記各エネルギ出力源から出力されたエネルギをそれぞれ電気的エネルギの形で前記蓄電手段の充電に供する電気的エネルギ出力機構とを備え、
    前記総エネルギは該蓄電手段の充電量を所定値まで増加させるために要する電気的エネルギである移動体。
  10. 請求項記載の移動体であって、
    前記出力制御手段は、前記蓄電手段を充電する電力を主として出力するエネルギ出力源の出力持続能力の低下に伴い、前記蓄電手段の充電量の目標値である前記所定値を低減させる手段である移動体。
  11. 請求項記載の移動体であって、
    前記出力制御手段は、前記蓄電手段を充電する電力を主として出力するエネルギ出力源の出力持続能力の低下に伴い、前記総エネルギ中のうち該エネルギ出力源による出力を低減させる手段である移動体。
  12. 請求項1記載の移動体であって、
    前記出力制御手段は、前記蓄電手段を充電する電力を主として出力するエネルギ出力源の出力持続能力の低下に伴い、前記蓄電手段の充電量の目標値である前記所定値を増大させる手段である移動体。
  13. 請求項1記載の移動体であって、
    前記出力制御手段は、該移動体の運転状態に応じて前記エネルギ出力源を切り替えて前記総エネルギを出力させる手段であり、かつ、いずれかのエネルギ出力源について出力持続能力が所定値以下の状態にあると判断される場合には、該エネルギ出力源への切り替えを禁止する手段である移動体。
  14. 請求項1記載の移動体であって、
    前記出力制御手段は、該移動体の運転状態に応じて前記エネルギ出力源を切り替えて前記総エネルギを出力させる手段であり、かつ、いずれかのエネルギ出力源について出力持続能力が所定値以下の状態にあると判断される場合には、該エネルギ出力源を使用すべき運転状態にあっても、該エネルギ出力源から他のエネルギ出力源への切り替えを行う手段である移動体。
  15. 請求項1記載の移動体であって、
    前記エネルギ出力源は、それぞれ該移動体の駆動軸に回転動力を出力する機構であり、
    前記出力制御手段は、さらに、前記エネルギ出力源から他のエネルギ出力源への切り替えは、双方のエネルギ出力源により前記駆動軸に出力可能なトルクが所定範囲内に収まる運転状態において行う手段である移動体。
  16. 請求項1記載の移動体であって、
    該移動体の運転状態に関する所定のパラメータを入力する運転状態入力手段を備え、
    前記出力制御手段は、さらに、前記検出結果に応じて前記各エネルギ出力源からのエネルギの出力状態を制御する際に用いられる基準値を前記パラメータに応じて変化させる手段を備える移動体。
  17. 燃料電池と熱機関を含2種類以上のエネルギ出力源と蓄電手段とを備える移動体の駆動装置であって、
    前記燃料電池の出力残量およびその変化率の少なくとも一方を推定する第1の推定手段と、
    前記熱機関の出力残量およびその変化率の少なくとも一方を推定する第2の推定手段と、
    前記エネルギ出力源から出力すべき総エネルギのうち各エネルギ出力源から出力すべきエネルギの配分を前記第1および第2の推定手段による推定結果に応じて制御する出力配分制御手段とを備える駆動装置。
  18. 請求項1記載の駆動装置であって、
    前記第1の推定手段は、前記燃料電池の燃料または燃料電池の燃料を生成する原料の残量に基づいて前記燃料電池についての出力残量およびその変化率の少なくとも一方を推定する手段である駆動装置。
  19. 請求項1記載の駆動装置であって、
    前記出力配分制御手段は、前記燃料電池を除く少なくとも一つのエネルギ出力源の出力エネルギが負の値となることを許容して前記配分を制御する手段である駆動装置。
  20. 請求項17記載の駆動装置であって、
    前記出力配分制御手段は、該駆動装置の運転状態に応じて前記エネルギ出力源を切り替えて前記総エネルギを出力させる手段であり、かつ、いずれかのエネルギ出力源について出力残量が所定値以下の状態にあると判断される場合には、該エネルギ出力源への切り替えを禁止する手段である駆動装置。
  21. 請求項17記載の駆動装置であって、
    前記出力配分制御手段は、該駆動装置の運転状態に応じて前記エネルギ出力源を切り替えて前記総エネルギを出力させる手段であり、かつ、いずれかのエネルギ出力源について出力残量が所定値以下の状態にあると判断される場合には、該エネルギ出力源を使用すべき運転状態にあっても、該エネルギ出力源から他のエネルギ出力源への切り替えを行う手段である駆動装置。
  22. 請求項2記載の駆動装置であって、
    前記出力配分制御手段は、さらに、前記エネルギ出力源から他のエネルギ出力源への切り替えは、双方のエネルギ出力源により該駆動装置の駆動軸に出力可能なトルクが所定範囲内に収まる運転状態において行う手段である駆動装置。
  23. 請求項19記載の駆動装置であって、
    該駆動装置の運転状態に関する所定のパラメータを入力する運転状態入力手段を備え、
    前記出力配分制御手段は、さらに、前記検出結果に応じて前記各エネルギ出力源からのエネルギの出力状態を制御する際に用いられる基準値を前記パラメータに応じて変化させる手段を備える駆動装置。
  24. 燃料電池と熱機関を含2種類以上のエネルギ出力源と蓄電手段とを備える移動体の運転を制御する制御方法であって、
    (a) 前記燃料電池の出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方を検出する工程と、
    b) 前記熱機関の出力持続能力およびその変化率の少なくとも一方を検出する工程と、
    ) 前記エネルギ出力源から出力すべき総エネルギを設定する工程と、
    ) 前記工程(a)および(b)における検出結果に基づいて各エネルギ出力源のエネルギを調整しつつ、前記各エネルギ出力源を制御して、設定された総エネルギを出力する工程とを備える制御方法。
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