JP2001210831A - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JP2001210831A JP2000341732A JP2000341732A JP2001210831A JP 2001210831 A JP2001210831 A JP 2001210831A JP 2000341732 A JP2000341732 A JP 2000341732A JP 2000341732 A JP2000341732 A JP 2000341732A JP 2001210831 A JP2001210831 A JP 2001210831A
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  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 しきい値電圧が小さく、かつ、動作電圧範囲
の広いMISトランジスタとして機能する半導体装置を
提供する。 【解決手段】 HDTMOSは、Si基板10と、埋め
込み酸化膜11と、半導体層30とを有している。半導
体層30は、上部Si膜12と、各々エピタキシャル成
長されたSiバッファ層13,SiGe膜14,Si膜
15とから構成されている。また、高濃度のn型Siボ
ディ領域22と、n- Si領域23と、低濃度のn型不
純物を含むSiGeチャネル領域24と、低濃度のn型
Siキャップ層25と、ゲート電極17とSiボディ領
域22とを電気的に接続する導体部材であるコンタクト
26とが設けられている。チャネル層にボディ領域を構
成する材料よりもキャリアが走行するバンド端のキャリ
アに対するポテンシャルが小さい材料を導入することに
より、しきい値電圧を小さく維持しつつ、動作範囲を拡
大する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘテロ接合型の活
性領域を有するDTMOSあるいはMISFETとして
機能する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電池駆動による携帯情報端末装置
は広く使用されている。このような装置においては、電
池寿命を延ばすために、高速動作を犠牲にすることなく
電源電圧を低減化することが強く望まれている。低電源
電圧においても高速動作を実現するためには、しきい値
電圧を下げることが有効であるが、この場合、ゲートオ
フ時のリーク電流が大きくなるため、おのずとしきい値
電圧には下限が存在する。
【0003】そこで、例えば文献(F. Assaderaghi et.
al., "A Dynamic Threshold Voltage MOSFET(DTMOS) f
or Ultra-Low Voltage Operation," IEDM94 Ext. Abst.
p.809)に開示されているように、このような問題を解
決し、低電圧時にもリーク電流が小さくかつ、高駆動能
力を有するデバイスとして、DTMOS(Dynamic Thre
shold Voltage MOSFET)と呼ばれる素子が提案されてい
る。
【0004】図1及び図2は、従来のDTMOSの構造
を模式的に示す断面図及び平面図である。図1に示すよ
うに、従来のDTMOSは、p型シリコン基板(p-Si S
ub)上に埋め込み酸化膜層(Buried Oxide)と基板活性
領域となる半導体層とを有するSOI基板を用いてい
る。そして、従来のDTMOSは、基板活性領域の上に
設けられたゲート絶縁膜(SiO2 )と、ゲート(n+
poly−Si)と、基板活性領域のうちゲートの両側方に位
置する領域に設けられたソース・ドレイン領域(n+
層)と、基板活性領域のうちソース・ドレイン領域間に
位置する領域に設けられたチャネル領域(p層のうちの
表面部)とを備えている。そして、チャネル領域の下方
や側方に位置する基板領域(ボディ)とゲート電極とが
配線により電気的に短絡するように接続されている。こ
のように、ゲートとボディとが短絡された状態で、ゲー
トにバイアス電圧Vgが印加されると、ボディを介して
チャネル領域にゲートバイアス電圧Vgと同じ大きさの
順方向バイアス電圧が印加されることになる。これによ
り、ゲートバイアスオフ時には通常のMOSトランジス
タと同じ状態となり、また、ゲートバイアスオン時に
は、ゲートバイアス電圧Vgの増大にともなってボディ
が順方向にバイアスされていくため(図1に示すnチャ
ネル型MOSトランジスタでは、チャネル領域の伝導帯
端のエネルギーレベルが低下するため)、しきい値電圧
Vtが低下していく。
【0005】このようなDTMOSは、SOI基板に形
成された通常のMOSトランジスタ(ゲートとボディー
とが短絡されていないトランジスタ)と比較すると、ゲ
ートバイアスオフ時には、そのリーク電流は通常のトラ
ンジスタのリーク電流と同等となる。一方、ゲートバイ
アスオン時には、前述したようにしきい値が減少するの
で、ゲートオーバードライブ効果が増大し、駆動力が著
しく増大する。また、DTMOSでは、ゲートとチャネ
ル領域との電位差がほとんどないため、基板表面での縦
方向電界が通常のトランジスタに比べて著しく小さくな
る。その結果、縦方向電界の増大にともなうキャリアの
移動度の劣化が抑制されるので、駆動力が著しく増大す
る。
【0006】このように、DTMOSは、n型のゲート
−p型のボディ(ベース)−n型のソース領域(エミッ
タ)・ドレイン領域(コレクタ)間に発生する横方向の
寄生バイポーラトランジスタがオンしてボディ電流が実
用上問題となる程度に大きくなるまでの動作電圧範囲に
おいては、低しきい値電圧つまり低電源電圧で高速動作
が可能なトランジスタとして機能することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなDTMOS構造の場合、スタンバイ電流を抑制する
ためには、ゲートに印加する電圧は、横方向の寄生バイ
ポーラトランジスタがオンする電圧の0.6V程度以下
に制限する必要がある。これは、横方向寄生バイポーラ
トランジスタのベース電流(DTMOSにおけるゲート
−ボディ間に流れるゲート電流またはボディ電流)がシ
リコンのビルトインポテンシャルによりほぼ決まるた
め、ゲートバイアス電圧Vg(ベース電圧)が0.6V
程度となるとゲート電流又はボディ電流(ベース電流)
が非常に大きくなるためである。
【0008】図7は、ドレイン電流及びボディ電流のゲ
ートバイアス電圧依存性をシミュレーションした結果を
示す図である。同図の太い破線は従来のDTMOSのド
レイン電流Idを示し、細い破線は従来のDTMOSの
ボディ電流Ibを示す。ただし、同図においては、pチ
ャネル型MOSトランジスタとして動作するDTMOS
についてシミュレーションしているので、ゲートバイア
ス電圧は負の値となっているが、nチャネル型のDTM
OSの場合には、ゲートバイアス電圧が正である。ま
た、このシミュレーションは、ボディの不純物濃度が1
×1018atoms ・cm-3、ゲート長が0.5μm、ゲー
ト絶縁膜の厚みToxが10nmであるとして得られたも
のである。同図の各破線の曲線からわかるように、図1
に示す従来のDTMOSでは、ゲートバイアス電圧が
0.6V以上になるとボディ電流Ibが実用上問題とな
る値(約10-9A)以上に大きくなるので、これを回避
すべく、動作電圧範囲が極めて狭く限定されることにな
る。
【0009】また、従来のDTMOSにおいては、しき
い値電圧を低くする必要上、ボディの不純物濃度を高く
することができない。実際に、上記文献においては、ボ
ディのp型不純物の濃度が1.5〜3×1017cm-3
度と記載されている。その結果、ボディの抵抗が非常に
高くなり、ボディにおける電圧降下のためチャネル領域
にゲートの電位が効率よく伝わらず、CR遅延がダイナ
ミックな動作に支障を与え、高速動作の妨げとなるとい
う問題点があった。
【0010】さらに、ボディの不純物濃度が低いため
に、ゲート長を短くしていった場合に生じるショートチ
ャネル効果が顕著となるという問題点があった。これ
は、ゲート長が短い場合には、ソース・ドレイン領域間
において、ボディに空乏層が広がることでパンチスルー
を起こしやすくなるためである。つまり、従来のDTM
OSでは、トランジスタのサイズの微細化(ゲート長の
微細化)による素子性能の向上や集積度の向上を図るこ
とが実際上困難であった。
【0011】本発明の目的は、しきい値電圧の低い,高
速動作が可能な動作範囲の広いDTMOSとして機能す
る半導体装置の提供を図ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置は、
基板と、上記基板の一部に設けられた半導体層と、上記
半導体層の上に設けられたゲート絶縁膜と、上記ゲート
絶縁膜の上に設けられたゲート電極と、上記半導体層の
うち上記ゲート電極の両側方に設けられた第1導電型の
ソース・ドレイン領域と、上記半導体層のうち上記ソー
ス・ドレイン領域間に位置する領域に設けられた第1の
半導体からなるチャネル領域と、上記半導体層のうち上
記チャネル領域の下方に設けられ、上記第1の半導体よ
りもキャリアが走行するバンド端のキャリアに対するポ
テンシャルが大きい第2の半導体からなる第2導電型の
ボディ領域と、上記ゲート電極と上記ボディ領域とを電
気的に接続するための導体部材とを備えている。
【0013】これにより、ゲート電極とボディ領域とが
電気的に接続されているので、ゲート電極に電圧が印加
されてもボディ領域がゲート電極とほぼ同じ電位に維持
されるために、半導体層のうちチャネル領域以外の領域
において反転層が生じることがなく、寄生チャネルの発
生が抑制される。そして、チャネル領域がボディ領域を
構成する第2の半導体よりもキャリアが走行するバンド
端のキャリアに対するポテンシャルが小さい第1の半導
体により構成されているので、チャネル領域が反転する
ために必要なゲートバイアス,つまりしきい値電圧を小
さくすることができる。したがって、ドレイン電流が増
大し、チャネルを流れるドレイン電流とボディ(ゲー
ト)電流との差が拡大するので、動作電圧範囲の拡大を
図ることができる。これは、バイポーラトランジスタに
おいて、ベース層にバンドギャップの小さい材料を用い
ることにより、ベース電流を同程度に保ったまま、コレ
クタ電流の増大を図ったヘテロバイポーラトランジスタ
と同じ原理である。
【0014】上記半導体層のうち上記チャネル領域と上
記ゲート絶縁膜との間に設けられ、上記第1の半導体よ
りもキャリアが走行するバンド端のキャリアに対するポ
テンシャルが大きい酸化膜形成用半導体からなるキャッ
プ層をさらに備えることにより、ゲート絶縁膜を電気的
特性のよい酸化膜よって構成することが可能となる。一
方、ゲート電極とボディ領域とが電気的に接続されてい
るので、ゲートバイアスを高くしてもゲート絶縁膜とキ
ャップ層との間に寄生チャネルが生じることがない。
【0015】上記基板の少なくとも最上部は絶縁体によ
り構成されていることにより、寄生容量が小さくなるの
で、半導体の動作速度がさらに高くなる。
【0016】上記チャネル領域が上記ボディ領域よりも
1/10以下の低濃度の不純物を含むことにより、しき
い値の上昇が抑制されるとともに、不純物散乱が抑制さ
れるので、キャリアの走行速度の低下が抑制される。
【0017】上記ゲート電極が、第1導電型不純物を含
むポリシリコン又はポリシリコンゲルマニウムにより構
成されていることにより、チャネル領域との間でビルト
インポテンシャルが形成されるので、キャリアを閉じ込
めるのに適したバンド構造が得られる。
【0018】上記チャネル領域を構成する第1の半導体
は、少なくともSiを成分元素として含んでおり、上記
半導体層の一部には、チャネルへの不純物の拡散を防止
するための領域であって、0.01%以上で2%以下の
濃度の炭素を含む領域をさらに備えていることにより、
高濃度の不純物を含むボディ領域からチャネル領域への
不純物の拡散が抑制され、チャネル領域における不純物
散乱の少ない高速動作が可能な半導体装置が得られる。
【0019】上記第1の半導体はSi(シリコン)及び
Ge(ゲルマニウム)を成分元素として含む半導体であ
り、上記第2の半導体はSiであることにより、第1の
半導体対の価電子帯端に生じるバンドオフセットを利用
して、ホールが走行するpチャネルに適したチャネル領
域が得られる。
【0020】上記ゲート絶縁膜とチャネル領域の間に設
けられ、Siからなるキャップ層をさらに備えることに
より、チャネル領域のうちキャップ層−チャネル領域間
に生じるバンドオフセットに接する領域をチャネルとし
て利用することが可能になるとともに、ゲート絶縁膜を
キャップ層の表面を酸化して得られる電気的特性のよい
シリコン酸化膜によって構成することが可能になる。
【0021】上記ソース・ドレイン領域はp型ソース・
ドレイン領域であり、上記チャネル領域はpチャネル用
のチャネル領域であり、上記ボディ領域はn型ボディ領
域であってもよいし、上記ソース・ドレイン領はn型ソ
ース・ドレイン領域であり、上記チャネル領域はnチャ
ネル用のチャネル領域であり、上記ボディ領域はp型ボ
ディ領域であってもよい。そして、これらを備えること
で、相補型のトランジスタを形成することができる。
【0022】上記第1の半導体はSi,Ge及びCを成
分元素として含む半導体であり、上記第2の半導体はS
iであることにより、Si/SiGeC接合部に形成さ
れる伝導帯端及び価電子帯端のバンドオフセットを利用
して、nチャネルとしてもpチャネルとしても利用でき
るチャネル領域が得られる。
【0023】上記第1の半導体は、引っ張り歪みを受け
たSiであり、上記第2の半導体は、格子歪みが緩和し
たSiGeであってもよい。
【0024】本発明の第2の半導体装置は、基板と、上
記基板の一部に設けられた半導体層と、上記半導体層の
上に設けられたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上
に設けられたゲート電極と、上記半導体層のうち上記ゲ
ート電極の両側方に設けられたn型のソース・ドレイン
領域と、上記半導体層のうち上記ソース・ドレイン領域
間に位置する領域に設けられ、Si及びGeを成分元素
として含む第1の半導体からなり、かつ、p型不純物を
含むnチャネル用のチャネル領域と、上記半導体層のう
ち上記チャネル領域の下方に設けられ、Siを成分元素
として含み上記第1の半導体よりもキャリアが走行する
バンド端のキャリアに対するポテンシャルが大きい第2
の半導体からなり、p型不純物を含むボディ領域とを備
えている。
【0025】上記半導体層のうち上記チャネル領域と上
記ゲート絶縁膜との間に設けられ、Siを成分元素とし
て含み、p型不純物を含むキャップ層をさらに備えるこ
とにより、キャップ層とチャネル領域との間に形成され
る伝導帯端のバンドオフセットを利用して、電子を閉じ
込めるのに適したくぼみを形成することが可能になる。
そして、Si/SiGe接合を利用したnチャネル型M
ISトランジスタが得られる。
【0026】上記ゲート電極と上記ボディ領域とを電気
的に接続するための導体部材をさらに備えていることに
より、DTMOSとして機能する半導体装置が得られ
る。
【0027】上記基板の少なくとも最上部は絶縁体によ
り構成されていることにより、いわゆるSOI基板を利
用した寄生容量の小さい,高速動作が可能なトランジス
タが得られる。
【0028】上記ゲート電極は、第1導電型不純物を含
むポリシリコン又はポリシリコンゲルマニウムにより構
成されていることが好ましい。
【0029】上記第1の半導体はSiGeCであり、上
記第2の半導体はSiであってもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)本実施形態
では、チャネル領域を構成する材料としてSiGeを用
い、Si/SiGeヘテロ接合を利用したDTMOS
(以下、ヘテロDTMOS又はHDTMOSという)の
実施例について説明する。
【0031】図3(a),(b),(c)は、それぞれ
順に、本実施形態のHDTMOSの構造を模式的に示す
平面図、図3(a)で示すIIIb−IIIb線における断面
図、図3(a)で示すIIIc−IIIc線における断面図であ
る。図3(a)〜(c)に示すように、本実施形態のH
DTMOSは、p型のSi基板10と、Si基板に酸素
イオンを注入するなどの方法により形成された埋め込み
酸化膜11と、埋め込み酸化膜11の上に設けられた半
導体層30とを有している。半導体層30は、SOI基
板の上部を構成する上部Si膜12と、上部Si膜12
の上にUHV−CVD法によりエピタキシャル成長され
たSiバッファ層13と、Siバッファ層13の上にU
HV−CVD法によりエピタキシャル成長されたSiG
e膜14と、SiGe膜14の上にUHV−CVD法に
よりエピタキシャル成長されたSi膜15とから構成さ
れている。さらに、HDTMOSは、Si膜15の上に
設けられたシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜16
と、ゲート絶縁膜16の上に設けられたゲート電極17
とを備えている。そして、半導体層30,つまり上部S
i膜12,Siバッファ層13,SiGe膜14及びS
i膜15のうちゲート電極17の両側方に位置する領域
には高濃度のp型不純物を含むソース領域20a及びド
レイン領域20bが設けられている。また、上部Si膜
12のうちソース領域20aとドレイン領域20bとの
間の領域は、高濃度のn型不純物を含むSiボディ領域
22となっており、Siバッファ層13のうちSiボデ
ィ領域22の直上に位置する領域は、低濃度のn型不純
物を含むn- Si領域23となっている。そして、Si
Ge膜14のうちソース領域20aとドレイン領域20
bとの間の領域は、比較的低濃度のn型不純物を含むS
iGeチャネル領域24となっており、Si膜15のう
ちゲート絶縁膜16の直下に位置する領域は低濃度のn
型不純物を含むSiキャップ層25となっている。ま
た、ゲート電極17とSiボディ領域22とを電気的に
接続する導体部材であるコンタクト26が設けられてい
る。
【0032】また、図4は、本実施形態のHDTMOS
の構造をさらに詳細に示す断面図である。ここで、埋め
込み酸化膜11の厚さは約100nmであり、上部Si
膜12の厚みは約100nmであり、Siバッファ層1
3の厚みは約10nmであり、SiGe膜14の厚みは
約15nmであり、Si膜15の厚みは約5nmであ
る。Siボディ領域22には、Siバッファ層13のエ
ピタキシャル成長の前に、濃度が約1×1019atoms ・
cm-3のn型不純物(例えばヒ素又はリン)がイオン注
入により導入されている。n- Si領域23には、低濃
度のn型不純物(たとえばヒ素又はリン)が導入されて
いる。SiGeチャネル領域24のGe含有率は約40
%であり、SiGeチャネル領域24には、低濃度のn
型不純物(例えばヒ素又はリン)が導入されている。ま
た、Siキャップ層25には、低濃度のn型不純物(例
えばヒ素又はリン)が導入されている。ゲート絶縁膜1
6は、Si膜15を熱酸化することにより形成されたも
のである。ゲート電極17には、濃度が約1×1020at
oms ・cm-3のp型不純物(例えばボロン)がドープさ
れている。なお、ゲート電極17の側面上には、シリコ
ン酸化膜からなるサイドウォール27が設けられてい
る。
【0033】図5は、Siキャップ層25,SiGeチ
ャネル領域24及びn- Si領域23を通過する断面に
おけるバンドアライメントを示すエネルギーバンド図で
ある。Ge含有率が40%のSiGeチャネル領域24
のバンドギャップは、Siキャップ層25及びn- Si
領域23に比べて、約300meVだけ小さくなるの
で、SiGeチャネル領域24とSiキャップ層25及
びn- Si領域23との間には、ホールを閉じこめるこ
とが可能な価電子帯端のヘテロ障壁が形成される。
【0034】図6は、ゲート電極17,ゲート絶縁膜1
6,Siキャップ層25,SiGeチャネル領域24,
- Si層23及びSiボディ領域22を通過する断面
におけるビルトインバンド構造を示すエネルギーバンド
図である。同図に示すように、ゲート電極17にp型不
純物をドープしておくことにより、バイアスが印加され
ていない状態で、SiGeチャネル領域24のSiキャ
ップ層25に接する部分の価電子帯端のエネルギーが特
に高くなり、ヘテロ障壁との間にホールの閉じこめに適
した凹部が形成される。そして、ゲート電極17とSi
ボディ領域22とが電気的に接続された状態で、ゲート
電極17にゲートバイアス電圧が印加されても、ゲート
電極17とSiボディ領域22とはほぼ同じ電位に維持
されるので、図6に示すバンド形状は変わることなく、
全体のポテンシャルがソース・ドレイン領域に対して変
化するだけである。したがって、従来のSi/SiGe
−ヘテロMOSFETにおいてSiキャップ層25のゲ
ート絶縁膜16に接する部分に生じる反転層は、本発明
のHDTMOSにおいては生じることがない。その結
果、SiGeチャネル領域24とは別の部分に生じる,
いわゆる寄生チャネルの発生を有効に防止することがで
きるのである。
【0035】図7は、本発明のSi/SiGeヘテロ接
合構造を有するpチャネル型HDTMOSと、Siホモ
接合構造を有する従来のpチャネル型DTMOSとのド
レイン電流Id,ボディ電流Ibのゲートバイアス依存
性をシミュレーションした結果を示す図である。ドレイ
ン電流Id,ボディ電流Ib共に、Siボディ領域にお
ける不純物濃度nb を1×1018cm-3にしている。同
図の太い破線は従来のDTMOSのドレイン電流Idを
示し、細い破線は従来のDTMOSのボディ電流Ibを
示し、太い実線は本発明のHDTMOSのドレイン電流
Idを示し、細い実線は本発明のHDTMOSのボディ
電流Ibを示す。このシミュレーションは、ドレイン電
流Id,ボディ電流Ib共に、Siボディの不純物濃度
nb が1×1018atoms ・cm-3、ゲート長が0.5μ
m、ゲート絶縁膜の厚みToxが10nmであるとして得
られたものである。
【0036】同図に示すように、チャネル領域をバンド
ギャップの小さいSiGeによって構成することで、細
い実線で示されるボディ電流(ゲート電流)が立ち上が
るゲートバイアス値はあまり大きく変化しないが、ドレ
イン電流Idが立ち上がるゲートバイアス値であるしき
い値電圧が0.2V程度低くなっている。つまり、図6
に示すようなSiGeチャネル領域24における価電子
帯端のエネルギーレベルが従来のDTMOSに比べ高く
なることで、しきい値電圧が低下するのである。一方、
Siボディ領域22の価電子帯端のエネルギーレベルは
従来のDTMOSと同じであるので、寄生バイポーラト
ランジスタが動作することでボディ電流Ibが立ち上が
るゲートバイアス値は従来のDTMOSと変わらない。
その結果、本発明のHDTMOSにおいては、従来のS
iホモ接合型のDTMOSに比べて、動作電圧範囲が拡
大されていることがわかる。なお、本発明のHDTMO
Sのボディ電流Ibの立ち上がり後の値は、従来のDT
MOSのボディ電流Ibに比べて低くなっている。
【0037】図8は、本発明のSi/SiGe−HDT
MOSと上記従来のSiホモ接合型DTMOSとでしき
い値電圧を等しくするために、ボディ領域の不純物濃度
nbをそれぞれ調整したときのドレイン電流Id,ボデ
ィ電流Ibのゲートバイアス依存性をシミュレーション
した結果を示す図である。同図の太い破線は従来のDT
MOSのドレイン電流Idを示し、細い破線は従来のD
TMOSのボディ電流Ibを示し、太い実線は本発明の
HDTMOSのドレイン電流Idを示し、細い実線は本
発明のHDTMOSのボディ電流Ibを示す。このシミ
ュレーションは、ドレイン電流Id,ボディ電流Ib共
に、ゲート長が0.5μm、ゲート絶縁膜の厚みToxが
10nmであるとして得られたものである。ただし、本
発明のSi/SiGe−HDTMOSにおけるSiボデ
ィ領域の不純物濃度nb は1×1019atoms ・cm
-3で、従来のSiホモ接合型DTMOSのボディ領域の
不純物濃度nb は2×1017cm-3としている。
【0038】同図に示すように、本発明のHDTMOS
と従来のDTMOSとでドレイン電流Idのゲートバイ
アス依存性をほぼ等しくした場合、本発明のHDTMO
Sにおいてはボディ電流Ibが実用上問題となる値に達
するゲートバイアス値が、従来のDTMOSにおける値
よりも約0.2Vだけ低くなる。つまり、本発明のHD
TMOSによると、チャネル領域をバンドギャップの小
さいSiGeによって構成することで、不純物濃度の調
整により、約0.2Vだけ動作電圧範囲が拡大する。し
たがって、しきい値電圧を低くすることによる低電圧化
と、しきい値電圧はあまり変えずにボディ電流を抑制す
ることによる低消費電力化とのいずれかを選択すること
ができる。
【0039】図9は、本発明のSi/SiGe−HDT
MOSにおいて、ゲート長Lgを変化させたときのドレ
イン電流Id,ボディ電流Ibのゲートバイアス依存性
示す図である。ここで、ゲート長Lgに対するゲート幅
Wgの比Wg/Lgは20としている。同図に示される
ように、本発明のHDTMOSにおいては、ゲート長L
gを短くしても、ドレイン電流Id及びボディ電流1b
共にそれほど目立った変化が生じていない。
【0040】図10は、従来のSiホモ接合型DTMO
Sにおいて、ゲート長Lgを変化させたときのドレイン
電流Id,ボディ電流Ibのゲートバイアス依存性を示
す図である。同図に示すように、従来のSiホモ接合型
DTMOSにおいては、ゲート長Lgが0.25μm以
下になると、しきい値電圧が著しく低下していることが
わかる。
【0041】図11は、図9,図10のデータから求め
られる本発明のSi/SiGe−HDTMOSと、従来
のSiホモ接合型DTMOSとのしきい値電圧のゲート
長依存性を示す図である。同図に示すように、従来のD
TMOSに比べると、本発明のHDTMOSにおいて
は、ゲート長Lgを短くしていっても、しきい値電圧の
低下はほとんどみられない。
【0042】図9,図10及び図11から以下のことが
わかる。従来のSiホモ接合型DTMOSにおいては、
ゲート長Lgが0.25μm以下になるとしきい値電圧
が急激に変化するが、本発明のHDTMOSにおいて
は、ゲート長Lgが0.1μm以下のショートチャネル
デバイスでも、しきい値電圧の変化が小さく、ショート
チャネル効果が十分抑制されている。これは、以下の理
由によるものと考えられる。本発明のHDTMOSにお
いては、チャネル領域をバンドギャップの小さいSiG
eによって構成することにより、Siボディ領域の不純
物濃度を高くしてもしきい値電圧を従来のSiホモ接合
型DTMOSと同等に保つことができる。したがって、
本発明においては、Siボディ領域24における不純物
濃度を高くして、空乏層の伸びを抑制することができる
ので、ゲート長の短いHDTMOSにおいても、パンチ
スルーが抑制され、いわゆるショートチャネル効果が抑
制されるからである。
【0043】また、図9を見てもわかるが、ゲート長L
gを短くし、ゲート幅Wgを短くすると、ボディ電流I
bが低減される傾向がある。これは、ボディ電流Ibは
ゲート幅Wgに比例しているためである。したがって、
本発明のHDTMOSによると、チャネル領域をバンド
ギャップの小さいSiGeによって構成することで、ボ
ディ領域の不純物濃度を高くしつつ、短チャネル化を図
ることによって、ボディ電流Ibをより低減し、動作電
圧範囲をさらに拡大することができる。
【0044】図12は、本発明のHDTMOSのゲート
バイアス−ボディ電流Ib,ドレイン電流Id特性のS
iGeチャネル領域の不純物濃度依存性を示す図であ
る。同図に示すように、SiGeチャネル領域の不純物
濃度が約1×1018atoms ・cm-3に達するほどに高い
場合には、ドレイン電流Idが大きく変化して、しきい
値電圧が大きくなっていく。その結果、ドレイン電流I
dとボディ電流Ibとの差が小さくなり、動作電圧範囲
が著しく小さくなる。一方、SiGeチャネル領域の不
純物濃度が約1×1017atoms ・cm-3以下であれば、
ドレイン電流Idの変化が小さくてしきい値電圧の変動
も小さく、かつ、ドレイン電流Idとボディ電流Ibと
の差が十分大きく保たれるので、動作電圧範囲を十分に
確保できることがわかる。
【0045】以上の各図に示すシミュレーション結果を
まとめると、本発明のSi/SiGe−HDTMOSに
おいては、Siボディ領域22の不純物濃度を高く、S
iGeチャネル領域24の不純物濃度を低くすることに
より、ショートチャネル効果の抑制や、動作電圧範囲の
拡大に対して有効であるといえる。
【0046】ただし、Siボディ領域22の不純物濃度
が高く、かつ、SiGeチャネル領域24の不純物濃度
が低くなるようにHDTMOSを作製するためには、S
iGeチャネル領域24を構成するSiGe膜14をエ
ピタキシャル成長させる際や、エピタキシャル成長後の
プロセスにおいて、Siボディ領域22内の不純物がS
iGeチャネル領域24に拡散しないように工夫するこ
とが重要である。
【0047】図13は、本実施形態の変形例に係る拡散
防止層を設けたHDTMOSの例を示す断面図である。
同図に示すように、この変形例のHDTMOSにおいて
は、図4に示すHDTMOSの構造に加えて、Siバッ
ファ層13と、SiGe膜14との間に、C(カーボ
ン)を約0.1%含むSi膜18と、スペーサ用Si膜
19とが下方から順に積層されている。そして、SiG
eチャネル領域24の下方には、Cを約0.1%含むn
- Si層28と、低濃度のn型不純物を含むn-Siス
ペーサ層29とが下方から順に設けられている。
【0048】この変形例によると、Cを0.01%〜2
%例えば0.1%程度含むn- Si層28が存在するこ
とにより、Siボディ領域22からSiGeチャネル領
域24への不純物の拡散が抑制されるので、非常に微細
な領域内で、Siボディ領域22の不純物濃度が高く、
SiGeチャネル領域24の不純物濃度が低いという急
峻な不純物濃度プロファイルを形成することができる。
そして、このような急峻な不純物濃度プロファイルを形
成することができる結果、上述のような本実施形態のシ
ョートチャネル効果の抑制や、動作電圧範囲の拡大とい
う効果をより確実に発揮することができる。
【0049】次に、本実施形態のSi/SiGeヘテロ
接合型DTMOSと、従来のSi/SiGeヘテロ接合
型MOSFETとの機能の相違について説明する。
【0050】図14は、従来のSi/SiGeヘテロ接
合を有するpチャネル型MOSFETの基本的な構造を
示す断面図である。同図に示すように、従来のSi/S
iGeヘテロ接合を有するMOSFETは、Si基板
と、Si基板内に高濃度の不純物を導入して形成された
+ Si層と、n+ Si層の上にエピタキシャル成長さ
れたn- Siバッファ層と、n- Siバッファ層の上に
エピタキシャル成長された低濃度のn型不純物を含むS
iGeチャネル層と、SiGeチャネル層の上にエピタ
キシャル成長された低濃度のn型不純物を含むSiキャ
ップ層と、Siキャップ層の上に形成されたゲート酸化
膜と、ゲート酸化膜の上に形成されたゲート電極と、ゲ
ート電極の側面上に設けられた酸化膜からなるサイドウ
ォールスペーサとを備えている。
【0051】ヘテロ接合を用いない従来のSiホモ接合
構造を有するMOSFETにおいては、シリコン層のゲ
ート酸化膜に接する界面領域に生じる反転層をチャネル
として利用する。つまり、キャリアは、シリコン層のゲ
ート酸化膜に接する界面領域を走行する。それに対し、
図14に示す従来のSi/SiGeヘテロ接合型MOS
FETにおいては、SiGeチャネル層のSiキャップ
層に接する界面領域に形成されるチャネルをキャリアが
走行する。つまり、従来のSi/SiGeヘテロ接合型
MOSFETにおいては、チャネルはゲート酸化膜直下
のSiキャップ層から離れた領域に形成される。
【0052】一般的に、Si/SiGeなどのヘテロ接
合型MOSFETにおいては次のようなメリットがあ
る。
【0053】第1に、チャネル層にSiGeなどのSi
よりもキャリアの移動度が高くなる材料を用いることが
できるので、トランジスタ動作の高速化が可能である。
【0054】第2に、SiGe−Si間の格子不整合に
よって生じる歪によるバンド構造の変調を利用して、谷
間におけるキャリアの散乱によるキャリア移動度の低下
を抑制することができるので、トランジスタ動作の高速
化が可能である。
【0055】第3に、ゲート酸化膜に対してSiGeチ
ャネル層が離れているために、ゲート酸化膜−Siキャ
ップ層間の界面のラフネスによるキャリアの散乱が抑制
されるので、トランジスタ動作の高速化が可能であると
ともに、界面におけるキャリアの散乱による雑音の低減
が可能である。
【0056】このように、ヘテロ接合型MOSFET
も、将来の高速ロジックデバイスや高周波アナログデバ
イスとして、有望なデバイスであるが、ヘテロ接合型M
OSFETにおいては、寄生チャネルが生じやすいとい
う不具合もある。
【0057】図15(a),(b)は、一般的なSi/
SiGeヘテロ接合型MOSFETの低ゲートバイアス
時,高ゲートバイアス時におけるバンド構造を示すエネ
ルギーバンド図である。図15(a)に示すように、ゲ
ートバイアスが小さい状態においては、キャリアは主に
SiGe層のヘテロ障壁付近の部分に蓄積されるが、図
15に示すように、ゲートバイアスが大きい状態におい
ては、Siキャップ層のゲート酸化膜に接する部分にお
いて、価電子帯端のエネルギーレベルが電界によって上
昇するので、SiGeチャネル層の他にSiキャップ層
のゲート酸化膜に接する部分(上端部)にもキャリアが
蓄積される。そして、トランジスタの動作時には、この
Siキャップ層の上端部に蓄積されたキャリアも走行す
るので、寄生チャネルが生じていることになる。そし
て、図15(b)に示す状態においては、Siキャップ
層を走行するキャリアは、従来のMOSFETにおける
と同様に、ゲート酸化膜による散乱を受けたり、キャリ
アの移動度の大きいSiGe層を走行する場合に比べる
と移動度が当然に小さいので、ヘテロ接合型MOSFE
Tの利点であるトランジスタ動作の高速性を十分に発揮
することができないことになる。つまり、従来のヘテロ
接合型MOSFETにおいては、図15(b)に示すよ
うに、ゲートバイアスを高くしていくと、半導体層とゲ
ート電極との電位差が大きくなることから、半導体層の
バンドが激しくベンディングすることにより生じる現象
である。
【0058】それに対して、本発明のヘテロ接合型DT
MOSにおいては、図6に示すように、ゲート電極とS
iボディ領域とが電気的に接続されているため、ゲート
バイアスを高くしていっても、Siボディ領域とゲート
電極との電位差がほぼ一定に保持されるので、キャリア
は常にSiGeチャネル領域に蓄積され、寄生チャネル
が形成されることはない。よって、ヘテロ接合型MOS
FETが本来的に有するトランジスタ動作の高速性とい
う利点を確実に発揮することができる。
【0059】図16は、本発明のSi/SiGe−HD
TMOSと、従来のヘテロ接合型SOIMOSFETに
おけるヘテロチャネルおよび寄生チャネルそれぞれに蓄
積されるピークキャリア濃度の比のゲートバイアス依存
性を示す図である。同図に示すように、本発明のSi/
SiGe−HDTMOSにおいては、高いバイアス条件
においても寄生チャネルの形成が抑制されていることが
わかる。
【0060】したがって、本発明のHDTMOSは、従
来のヘテロ接合型MOSFETにおいて課題であった寄
生チャネルの問題を解決することができる。よって、本
発明のHDTMOSは、将来の高速ロジックデバイスや
高周波アナログデバイスとして有望なデバイスである。
【0061】なお、本実施形態では、SOI基板上に形
成したHDTMOSについて示したが、SOI基板を用
いず、バルク半導体基板を用いた場合にも同様の効果が
得られることは言うまでもない。
【0062】また、本発明のHDTMOSは、ゲート電
極とボディ領域とのコンタクトを形成する必要がある分
だけ従来のMOSFETよりも面積が大きくなるが、駆
動電流が大きくなる分、ゲート幅を小さくすることがで
きるので、トータルとしては微細化に有利な構造である
といえる。
【0063】(第2の実施形態)本実施形態では、チャ
ネル領域を構成する材料としてSiGeを用いたnチャ
ネルのHDTMOSの実施例について説明する。
【0064】図17(a),(b),(c)は、それぞ
れ順に、本実施形態のHDTMOSの構造を模式的に示
す平面図、図17(a)で示すXVIIb−XVIIb線における
断面図、図17(a)で示すXVIIc−XVIIc線における断
面図である。図17(a)〜(c)に示すように、本実
施形態のHDTMOSは、p型のSi基板50と、Si
基板に酸素イオンを注入するなどの方法により形成され
た埋め込み酸化膜51と、埋め込み酸化膜51の上に設
けられた半導体層80とを有している。半導体層80
は、SOI基板の上部を構成する上部Si膜52と、上
部Si膜52の上にUHV−CVD法によりエピタキシ
ャル成長されたSiバッファ層53と、Siバッファ層
53の上にUHV−CVD法によりエピタキシャル成長
されたSiGe膜54と、SiGe膜54の上にUHV
−CVD法によりエピタキシャル成長されたSi膜55
とから構成されている。さらに、HDTMOSは、Si
膜55の上に設けられたシリコン酸化膜からなるゲート
絶縁膜56と、ゲート絶縁膜56の上に設けられたゲー
ト電極57とを備えている。そして、半導体層52,つ
まり上部Si膜52,Siバッファ層53,SiGe膜
54及びSi膜55のうちゲート電極57の両側方に位
置する領域には高濃度のn型不純物を含むソース領域6
0a及びドレイン領域60bが設けられている。また、
上部Si膜52のうちソース領域60aとドレイン領域
60bとの間の領域は、高濃度のp型不純物を含むSi
ボディ領域62となっており、Siバッファ層53のう
ちSiボディ領域62の直上に位置する領域は、低濃度
のp型不純物を含むp- Si領域63となっている。そ
して、SiGe膜54のうちソース領域60aとドレイ
ン領域60bとの間の領域は、比較的低濃度のp型不純
物を含むSiGeチャネル領域64となっており、Si
膜55のうちゲート絶縁膜56の直下に位置する領域は
低濃度のp型不純物を含むSiキャップ層65となって
いる。また、ゲート電極57とボディ領域62とを電気
的に接続する導体部材であるコンタクト66が設けられ
ている。
【0065】また、図18は、本実施形態のHDTMO
Sの構造をさらに詳細に示す断面図である。ここで、埋
め込み酸化膜51の厚さは約100nmであり、上部S
i膜52の厚みは約100nmであり、Siバッファ層
53の厚みは約10nmであり、SiGe膜54の厚み
は約15nmであり、Si膜55の厚みは約5nmであ
る。Siボディ領域62には、Siバッファ層53のエ
ピタキシャル成長の前に、濃度が約1×1019atoms ・
cm-3のp型不純物(例えばボロン)がイオン注入によ
り導入されている。p- Si領域63には、in-situ ド
ープにより濃度が約1×1017atoms ・cm-3のp型不
純物(たとえばボロン)が導入されている。SiGeチ
ャネル領域64のGe含有率は約40%であり、SiG
eチャネル領域64には、in-situ ドープにより濃度が
約1×1017atoms ・cm-3のp型不純物(例えばボロ
ン)が導入されている。また、Siキャップ層65に
は、in-situ ドープにより濃度が約1×1017atoms ・
cm-3の低濃度のp型不純物(例えばボロン)が導入さ
れている。ゲート絶縁膜56は、Si膜55を熱酸化す
ることにより形成されたものである。ゲート電極57に
は、濃度が約1×10 20atoms ・cm-3のn型不純物
(例えばヒ素又はリン)がドープされている。なお、ゲ
ート電極57の側面上には、シリコン酸化膜からなるサ
イドウォール67が設けられている。
【0066】図19は、Siキャップ層65,SiGe
チャネル領域64及びp- Si領域63を通過する断面
におけるバンドアライメントを示すエネルギーバンド図
である。バンドオフセットが主として価電子帯に形成さ
れるSi/SiGeヘテロ接合部においても、Si層と
SiGe層とをp型にドーピングしておくことにより、
伝導帯端にバンドの飛びによるポテンシャルのくぼみが
生じるので、電子をSiGeチャネル領域64に閉じ込
めることが可能となる。
【0067】図20は、ゲート電極57,ゲート絶縁膜
56,Siキャップ層65,SiGeチャネル領域6
4,p- Si層63及びSiボディ領域62を通過する
断面におけるビルトインバンド構造を示すエネルギーバ
ンド図である。同図に示すように、ゲート電極57にn
型不純物をドープしておくことにより、バイアスが印加
されていない状態で、SiGeチャネル領域64のSi
キャップ層65に接する部分の価電子帯端のエネルギー
が特に低くなり、電子の閉じこめに適した凹部が形成さ
れる。そして、ゲート電極57とSiボディ領域62と
が電気的に接続された状態で、ゲート電極57にゲート
バイアス電圧が印加されても、ゲート電極57とSiボ
ディ領域62とはほぼ同じ電位に維持されるので、図2
0に示すバンド形状は変わることなく、全体のポテンシ
ャルがソース・ドレイン領域に対して変化するだけであ
る。したがって、通常のMOSFETにおいてSiキャ
ップ層65のゲート絶縁膜56に接する部分に生じる反
転層は、本実施形態のnチャネル型HDTMOSにおい
ても生じることがない。その結果、SiGeチャネル領
域64とは別の部分に生じる,いわゆる寄生チャネルの
発生を有効に防止することができ、上記第1の実施形態
と同じ効果を発揮することができるのである。
【0068】図21は、本発明のHDTMOSと上記従
来のSiホモ接合型DTMOSとでしきい値電圧を等し
くするために、ボディ領域の不純物濃度pb をそれぞれ
調整したときのドレイン電流Id,ボディ電流Ibのゲ
ートバイアス依存性をシミュレーションした結果を示す
図である。同図の太い破線は従来のDTMOSのドレイ
ン電流Idを示し、細い破線は従来のDTMOSのボデ
ィ電流Ibを示し、太い実線は本発明のHDTMOSの
ドレイン電流Idを示し、細い実線は本発明のHDTM
OSのボディ電流Ibを示す。このシミュレーション
は、ドレイン電流Id,ボディ電流Ib共に、ゲート長
が0.5μm、ゲート絶縁膜の厚みToxが10nmであ
るとして得られたものである。ただし、本発明のSi/
SiGe−HDTMOSにおけるSiボディ領域の不純
物濃度pb は1×1019atoms ・cm-3で、従来のSi
ホモ接合型DTMOSのボディ領域の不純物濃度pb は
2×1017cm-3としている。また、本発明HDTMO
SのSiGeチャネル領域における不純物濃度は、約1
×1017atoms ・cm-3である。
【0069】同図に示すように、本発明のHDTMOS
と従来のDTMOSとでドレイン電流Idのゲートバイ
アス依存性をほぼ等しくした場合、本発明のHDTMO
Sにおいてはボディ電流Ibが実用上問題となる値に達
するゲートバイアス値が、従来のDTMOSにおける値
よりも約0.2Vだけ高くなる。つまり、本発明のHD
TMOSによると、チャネル領域をバンドギャップの小
さいSiGeによって構成することで、不純物濃度の調
整により、約0.2Vだけ動作電圧範囲が拡大する。し
たがって、しきい値電圧を低くすることによる低電圧化
と、しきい値電圧はあまり変えずにボディ電流を抑制す
ることによる低消費電力化とのいずれかを選択すること
ができる。
【0070】(第3の実施形態)本実施形態では、チャ
ネル領域を構成する材料としてSiGeを用いた相補型
HDTMOSの実施例について説明する。
【0071】図22は、本実施形態の相補型HDTMO
Sの構造を示す断面図である。同図に示すように、本実
施形態のHDTMOSは、p型のSi基板10と、Si
基板に酸素イオンを注入するなどの方法により形成され
た埋め込み酸化膜11と、埋め込み酸化膜11の上に設
けられたpチャネル型HDTMOS(p−DTMOS)
用の半導体層30と、埋め込み酸化膜11の上に設けら
れたnチャネル型HDTMOS(n−DTMOS)用の
半導体層80とを有している。半導体層30,80は、
すでに説明した第1,第2の実施形態における各膜によ
って構成されている。また、HDTMOSは、半導体層
30,80の上にそれぞれ設けられたシリコン酸化膜か
らなるゲート絶縁膜16,56と、ゲート絶縁膜16,
56の上にそれぞれ設けられたゲート電極17,57
と、ゲート電極17,57の側面上にそれぞれ設けられ
たサイドウォール18,58とを備えている。そして、
半導体層30のうちゲート電極17の両側方に位置する
領域には高濃度のp型不純物を含むソース領域20a及
びドレイン領域20bが設けられている。また、半導体
層80のうちゲート電極57の両側方に位置する領域に
は高濃度のn型不純物を含むソース領域60a及びドレ
イン領域60bが設けられている。また、半導体層30
のうちソース・ドレイン領域20a,20b間に位置す
る領域には、高濃度のn型不純物を含むSiボディ領域
22と、低濃度のn型不純物を含むn-Si領域23
と、低濃度のn型不純物を含むSiGeチャネル領域2
4と、低濃度のn型不純物を含むSiキャップ層25と
が設けられている。また、半導体層80のうちソース・
ドレイン領域60a,60b間に位置する領域には、高
濃度のp型不純物を含むSiボディ領域62と、低濃度
のp型不純物を含むp- Si領域63と、低濃度のp型
不純物を含むSiGeチャネル領域64と、低濃度のp
型不純物を含むSiキャップ層65とが設けられてい
る。
【0072】さらに、基板上には、層間絶縁膜90と、
層間絶縁膜90を貫通してソース・ドレイン領域20
a,20b,60a,60bに接触するコンタクト(図
示せず)と、コンタクトに接続されて層間絶縁膜90の
上に延びるソース・ドレイン電極92とが設けられてい
る。
【0073】ここで、埋め込み酸化膜11や半導体層を
構成する各部の成分,厚さ,不純物濃度などは、上記第
1,第2の実施形態と同じである。
【0074】本実施形態の相補型HDTMOSの製造工
程においては、SOI基板の一部である上部Si膜は、
結晶成長前にあらかじめイオン注入により濃度が約1×
10 19atoms ・cm-3の不純物がドープされたn+ Si
層(p−DTMOS領域)とp+ Si層(n−DTMO
S領域)とになっており、UHV−CVD法によりエピ
タキシャル成長されたSiバッファ層、SiGeチャネ
ル領域、Siキャップ層は、いずれもas−grown
の状態では、不純物がドープされていないアンドープ層
となっている。この時、Siバッファ層の厚みは10n
mであり、SiGeチャネル層の厚みは15nmであ
り、Siキャップ層の厚みは5nmである。また、Si
Geチャネル領域におけるGe含有率は40%である。
SiGe膜,Siキャップ層の結晶成長が終了した後
に、n−DTMOS領域のSiGeチャネル領域付近に
は、濃度が約1×1017atoms ・cm-3のp型不純物が
イオン注入によりドープされる。また、p−DTMOS
領域のSiGeチャネル領域の付近には、濃度が約1×
1017atoms ・cm-3のn型不純物がイオン注入により
ドープされる。ただし、SiGe膜,Siキャップ層は
アンドープ層でもよい。そして、最上層のSiキャップ
層を熱酸化することにより得られるシリコン酸化膜をゲ
ート絶縁膜とし、その上には高濃度のn型不純物がドー
プされたポリシリコンからなるn+ 型のゲート電極と、
高濃度のp型不純物がドープされたポリシリコンからな
るp+ 型のゲート電極とが形成される。その後、各ゲー
ト電極の両側には、高濃度のn型不純物がイオン注入さ
れたn+ 型のソース・ドレイン領域と、高濃度のp型不
純物がドープされたp+ 型のソース・ドレイン領域とが
形成され、その上方にソース電極・ドレイン電極がそれ
ぞれ形成される。また、ゲート電極とSiボディ領域と
がコンタクトによって接続されて、HDTMOS構造が
得られる。
【0075】このような、製造方法を用いることで、簡
単な製造方法で、高性能のHDTMOSを用いたCMO
Sデバイスを作製することができる。
【0076】本実施形態では、チャネル領域をSiGe
により構成したが、チャネル領域をC(カーボン)の含
有率が0.01%〜2%(例えば約0.1%)であるS
1- x-y Gexy により構成してもよい。SiGe結
晶はイオン注入によって結晶構造の好ましくない変化を
引き起こす傾向が強いが、チャネル領域をSi1-x-y
xy によって構成することにより、イオン注入に起
因する結晶構造の好ましくない変化を抑制することがで
きる。
【0077】図23は、本実施形態の変形例であるチャ
ネル領域をSi1-x-y Gexy によって構成した相補
型のHDTMOSの断面図である。同図に示す構造は、
p−DTMOS,n−DTMOSにおいて、図22に示
すSiGe膜に代えてSiGeC膜を設け、SiGeチ
ャネル領域24,64に代えてSiGeCチャネル領域
29,69を設けたものである。その他の部分の構造
は、図22に示す相補型HDTMOSの構造と同じであ
る。
【0078】図22に示す構造においては、チャネル領
域がSiGeにより構成されているので、イオン注入に
伴い生じる歪を緩和するためにSiGe結晶の格子緩和
を起こしたり、不純物の拡散が増殖されたりするおそれ
があるが、チャネル領域をSiGeCによって構成した
場合には、格子緩和が抑制され、不純物の増殖拡散も抑
制されるので、イオン注入に起因する結晶構造の好まし
くない変化を抑制することができる。これは、C原子
が、格子緩和や不純物の増殖拡散の原因となる原子空孔
を埋めるからと考えられる。
【0079】ただし、本変形例において、チャネル領域
にCが含まれている必要はなく、チャネル領域の上方又
は下方にCを含む層を設けることにより、本変形例と同
じ効果を得ることができる。特に、チャネル領域の近く
に高濃度ドープ層が存在する場合には、高濃度ドープ層
とチャネル領域との間にCを含む層を設けることが好ま
しい。
【0080】(第4の実施形態)次に、nチャネル型H
DTMOSのチャネル領域をSi1-yy により構成し
た例である第4の実施形態について説明する。
【0081】図24は、Si/SiGeヘテロ接合部の
エネルギーバンド図である。同図に示すように、Si/
SiGeヘテロ接合を利用した場合には、価電子帯端に
は大きなバンドオフセット部(ヘテロ障壁)が生じるも
のの、伝導帯端にはほとんどバンドオフセット部(ヘテ
ロ障壁)が現れない。このために、nチャネル型HDT
MOSを構成しようとすると、第2の実施形態のごとく
不純物濃度の調整により、電子を閉じこめるためのくぼ
みを形成する必要があった。しかし、SiGe以外の化
合物半導体を用いることで、伝導帯端側にバンドオフセ
ット部(ヘテロ障壁)が現れるような構成を実現するこ
とは可能である。
【0082】図25は、Si/SiC(Si1-yy
y≒0.02)ヘテロ接合部のエネルギーバンド図であ
る。同図に示すように、Si/SiC(Si1-yy
y≒0.02)ヘテロ接合を利用した場合には、伝導帯
端に大きなバンドオフセット部(ヘテロ障壁)が生じる
ので、これを利用して電子を閉じこめるのに適したnチ
ャネルを形成することができる。
【0083】図26は、本実施形態のnチャネル型HD
TMOSの断面図である。同図に示すように、本実施形
態のHDTMOSは、p型のSi基板110と、Si基
板に酸素イオンを注入するなどの方法により形成された
埋め込み酸化膜111と、埋め込み酸化膜111の上に
設けられた半導体層180とを有している。半導体層1
80は、SOI基板の上部を構成する上部Si膜152
と、上部Si膜152の上にUHV−CVD法によりエ
ピタキシャル成長されたSiバッファ層153と、Si
バッファ層153の上にUHV−CVD法によりエピタ
キシャル成長されたSiC(Si1-yy :y≒0.0
2)膜154と、SiC膜154の上にUHV−CVD
法によりエピタキシャル成長されたSi膜155とから
構成されている。さらに、HDTMOSは、Si膜15
5の上に設けられたシリコン酸化膜からなるゲート絶縁
膜156と、ゲート絶縁膜156の上に設けられたゲー
ト電極157とを備えている。そして、半導体層18
0,つまり上部Si膜152,Siバッファ層153,
SiC膜154及びSi膜155のうちゲート電極15
7の両側方に位置する領域には高濃度のn型不純物を含
むソース領域160a及びドレイン領域160bが設け
られている。また、上部Si膜152のうちソース領域
160aとドレイン領域160bとの間の領域は、高濃
度のp型不純物を含むSiボディ領域162となってお
り、Siバッファ層153のうちSiボディ領域162
の直上に位置する領域は、低濃度のp型不純物を含むp
- Si領域163となっている。そして、SiC膜15
4のうちソース領域160aとドレイン領域160bと
の間の領域は、比較的低濃度のp型不純物を含むSiC
チャネル領域164となっており、Si膜155のうち
ゲート絶縁膜156の直下に位置する領域は低濃度のp
型不純物を含むSiキャップ層165となっている。ま
た、ゲート電極157とSiボディ領域162とを電気
的に接続する導体部材であるコンタクト(図示せず)と
が設けられ、ゲート電極157の側面上にはシリコン酸
化膜からなるサイドウォール167が設けられている。
【0084】ここで、埋め込み酸化膜111の厚さは約
100nmであり、上部Si膜152の厚みは約100
nmであり、Siバッファ層153の厚みは約10nm
であり、SiC膜154の厚みは約15nmであり、S
i膜155の厚みは約5nmである。Siボディ領域1
62には、Siバッファ層153のエピタキシャル成長
の前に、濃度が約1×1019atoms ・cm-3のp型不純
物(例えばボロン)がイオン注入により導入されてい
る。p- Si領域163には、低濃度のp型不純物(た
とえばボロン)が導入されている。SiCチャネル領域
164のC含有率は約2%であり、SiCチャネル領域
164には、低濃度のp型不純物(例えばボロン)が導
入されている。また、Siキャップ層165には、低濃
度のp型不純物(例えばボロン)が導入されている。ゲ
ート絶縁膜156は、Si膜155を熱酸化することに
より形成されたものである。ゲート電極157には、濃
度が約1×1020atoms ・cm-3のn型不純物(例えば
ヒ素又はリン)がドープされている。
【0085】本実施形態によると、チャネル領域をSi
よりもバンドギャップが小さくかつ電子親和力がSiよ
りも大きいSi1-yy (本実施形態ではy≒0.0
2)によって構成することにより、図25に示すよう
に、電子の閉じ込めに対して有利なヘテロ構造が得られ
る。その結果、Si/SiCヘテロ接合を有するnチャ
ネル型HDTMOSが可能となるとともに、ボディ領域
の不純物濃度を高くしてもしきい値電圧をSiホモ接合
型DTMOSと同等に保つことができる。また、本発明
のSi/SiC−HDTMOSによると、上記第1,第
2の実施形態と同様に、ボディ電流Ib(ゲート電流)
が小さく抑えられ、動作電圧範囲が拡大される。
【0086】さらに、チャネル領域を構成するSi1-y
y は、Cの含有率が5%程度を越えない範囲において
は、シリコンに比べて格子定数が小さく、Si層の上に
エピタキシャル成長されると引っ張り歪を受けた状態と
なっている。そして、引っ張り歪を受けることにより、
バンドが変調されて電子,ホール共に移動度が向上する
ため、さらにトランジスタの高速動作が可能となる。
【0087】なお、第2の実施形態において、不純物濃
度を調整することにより、Si/SiGe接合部の伝導
帯端に電子を閉じこめることが可能なくぼみを形成し、
これを利用したnチャネル型HDTMOSについて説明
したが、同様に、不純物濃度を調整することにより、S
i/SiC接合部の価電子帯端にくぼみを形成すること
ができる。そして、このSi/SiCヘテロ接合部を利
用して、価電子帯端のくぼみをホールが走行するpチャ
ネル型HDTMOSを構成することが可能である。
【0088】(第5の実施の形態)次に、チャネル領域
をSiGeC(Si1-x-y Gexy )により構成した
相補型HDTMOSの例である第5の実施形態について
説明する。
【0089】図27は、Si/SiGeCヘテロ接合部
におけるバンド構造を示すエネルギーバンド図である。
Si/SiGeヘテロ接合部においては、バンドオフセ
ット(ヘテロ障壁)は図24に示すごとくホールの閉じ
込めに有利な価電子帯端に主にあらわれ、Si/SiC
ヘテロ接合部においては、バンドオフセット(ヘテロ障
壁)は図25に示すごとく電子の閉じ込めに有利な伝導
帯端に主にあらわれる。それに対し、Si/SiGeC
(Si1-x-y Gexy )ヘテロ接合部においては、G
e,Cの含有率x,yを適宜調整することにより、伝導
帯端、価電子帯端の両方にバンドオフセット(ヘテロ障
壁)が形成される。すなわち、単一のSiGeC(Si
1-x-y Gexy )層を利用して、電子がSiGeC層
内に閉じ込められてSiGeC層内を走行するnチャネ
ルと、ホールがSiGeC層内に閉じ込められてSiG
eC層内を走行するpチャネルとを形成することが可能
となる。
【0090】図28は、本実施形態のHDTMOSの構
造を示す断面図である。同図に示すように、本実施形態
のHDTMOSは、p型のSi基板210と、Si基板
に酸素イオンを注入するなどの方法により形成された埋
め込み酸化膜211と、埋め込み酸化膜211の上に設
けられたpチャネル型HDTMOS(p−DTMOS)
用の半導体層230と、埋め込み酸化膜211の上に設
けられたnチャネル型HDTMOS(n−DTMOS)
用の半導体層280とを有している。半導体層230,
280は、それぞれ同時に形成された共通の膜によって
構成されている。
【0091】半導体層230,280は、SOI基板の
上部を構成する上部Si膜212と、上部Si膜212
の上にUHV−CVD法によりエピタキシャル成長され
たSiバッファ層213と、Siバッファ層213の上
にUHV−CVD法によりエピタキシャル成長されたS
iGeC(Si1-x-y Gexy :x≒0.1,y≒
0.04)膜214と、SiGeC膜214の上にUH
V−CVD法によりエピタキシャル成長されたSi膜2
15とから構成されている。ここで、埋め込み酸化膜2
11の厚さは約100nmであり、上部Si膜212の
厚みは約100nmであり、Siバッファ層213の厚
みは約10nmであり、SiGeC膜214の厚みは約
15nmであり、Si膜215の厚みは約5nmであ
る。
【0092】さらに、p−DTMOSは、Si膜215
の上に設けられたシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜
216と、ゲート絶縁膜216の上に設けられたゲート
電極217とを備えている。そして、半導体層230の
うちゲート電極217の両側方に位置する領域には高濃
度のp型不純物を含むソース領域220a及びドレイン
領域220bが設けられている。また、上部Si膜21
2のうちソース領域220aとドレイン領域220bと
の間の領域は、高濃度(約1×1010atoms ・cm-3
のn型不純物を含むSiボディ領域222となってお
り、Siバッファ層213のうちSiボディ領域222
の直上に位置する領域は、低濃度のn型不純物を含むn
- Si領域223となっている。そして、SiGeC膜
214のうちソース領域220aとドレイン領域220
bとの間の領域は、比較的低濃度(約1×1017atoms
・cm-3)のn型不純物を含むSiGeCチャネル領域
224となっており、Si膜215のうちゲート絶縁膜
216の直下に位置する領域は低濃度のn型不純物を含
むSiキャップ層225となっている。また、ゲート電
極217とSiボディ領域222とを電気的に接続する
導体部材であるコンタクト(図示せず)とが設けられ、
ゲート電極217の側面上にはシリコン酸化膜からなる
サイドウォール227が設けられている。
【0093】また、n−DTMOSは、Si膜215の
上に設けられたシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜2
56と、ゲート絶縁膜256の上に設けられたゲート電
極257とを備えている。そして、半導体層280のう
ちゲート電極257の両側方に位置する領域には高濃度
のn型不純物を含むソース領域260a及びドレイン領
域260bが設けられている。また、上部Si膜212
のうちソース領域260aとドレイン領域260bとの
間の領域は、高濃度(約1×1019atoms ・cm-3)の
p型不純物を含むSiボディ領域262となっており、
Siバッファ層213のうちSiボディ領域262の直
上に位置する領域は、低濃度のp型不純物を含むp-
i領域226となっている。そして、SiGeC膜21
4のうちソース領域260aとドレイン領域260bと
の間の領域は、比較的低濃度(約1×1017atoms ・c
-3)のp型不純物を含むSiGeCチャネル領域26
4となっており、Si膜215のうちゲート絶縁膜25
6の直下に位置する領域は低濃度のp型不純物を含むS
iキャップ層265となっている。また、ゲート電極2
57とSiボディ領域262とを電気的に接続する導体
部材であるコンタクト(図示せず)とが設けられ、ゲー
ト電極257の側面上にはシリコン酸化膜からなるサイ
ドウォール267が設けられている。
【0094】さらに、基板上には、層間絶縁膜290
と、層間絶縁膜290を貫通してソース・ドレイン領域
220a,220b,260a,260bに接触するコ
ンタクト291と、コンタクト291に接続されて層間
絶縁膜290の上に延びるソース・ドレイン電極292
とが設けられている。
【0095】本実施形態の相補型HDTMOSの製造工
程においては、SOI基板の一部である上部Si膜は、
結晶成長前にあらかじめイオン注入により濃度が約1×
10 19atoms ・cm-3の不純物がドープされたn+ Si
層(p−DTMOS領域)とp+ Si層(n−DTMO
S領域)とになっており、UHV−CVD法によりエピ
タキシャル成長されたSiバッファ層、SiGeC膜、
Siキャップ層は、いずれもas−grownの状態で
は、不純物がドープされていないアンドープ層となって
いる。SiGeC膜,Siキャップ層の結晶成長が終了
した後に、n−DTMOS領域のSiGeCチャネル領
域付近には、濃度が約1×1017atoms・cm-3のp型
不純物がイオン注入によりドープされる。また、p−D
TMOS領域のSiGeCチャネル領域の付近には、濃
度が約1×1017atoms ・cm-3のn型不純物がイオン
注入によりドープされる。そして、最上層のSi膜を熱
酸化することにより得られるシリコン酸化膜をゲート絶
縁膜とし、その上には高濃度のn型不純物がドープされ
たポリシリコンからなるn+ 型ゲート電極と、高濃度の
p型不純物がドープされたポリシリコンからなるp+ 型
ゲート電極とが形成される。その後、各ゲート電極の両
側には、高濃度のn型不純物がイオン注入されたn+ 型
ソース・ドレイン領域と、高濃度のp型不純物がドープ
されたp+ 型ソース・ドレイン領域とが形成され、その
上方にソース電極・ドレイン電極がそれぞれ形成され
る。また、ゲート電極とSiボディ領域とがコンタクト
によって接続されて、HDTMOS構造が得られる。
【0096】本実施形態によると、チャネル領域をSi
GeC(Si1-x-y Gexy )によって構成すること
により、単一のSiGeC(Si1-x-y Gexy )層
を利用して、電子がSiGeC層内に閉じ込められてS
iGeC層内を走行するnチャネルと、ホールがSiG
eC層内に閉じ込められてSiGeC層内を走行するp
チャネルとを形成することが可能となり、Si/SiG
eCヘテロ接合を有する相補型のHDTMOSを実現す
ることができる。その場合、第1の実施形態において説
明したように、HDTMOS構造においては、従来のヘ
テロ接合を用いたMOSFETで発生しやすい寄生チャ
ネルがほとんど生じることがない。したがって、SiG
eCによって構成されるチャネル領域を有するHDTM
OSにおいて、バンドオフセット値(ヘテロ障壁の高
さ)が多少小さくても、寄生チャネルによるトランジス
タ動作の低速化などの不具合を招くことなく、ヘテロ接
合構造を利用した高速で電流駆動力の大きいトランジス
タを得ることができる。
【0097】また、上述のような製造法を用いることに
より、簡単な製造方法で、高性能の相補型HDTMOS
を作製することができる。
【0098】本実施形態においては、相補型のHDTM
OSについて説明したが、本発明は本実施形態に限定さ
れるものではなく、Si/SiGeCヘテロ接合部を有
するnチャネル型HDTMOSやpチャネル型HDTM
OSのみを備えた半導体装置を設けることができること
は言うまでもない。
【0099】(第6の実施形態)次に、Si/SiGe
/SiCヘテロ接合を有する相補型HDTMOSの例で
ある第6の実施形態について説明する。本実施形態にお
いては、pチャネル用のチャネル領域をSi/SiGe
ヘテロ接合部により構成し、nチャネル用のチャネル領
域をSiGe/SiCヘテロ接合部により構成する。
【0100】図29は、Si/SiGe/SiCヘテロ
接合部におけるバンド構造を示すエネルギーバンド図で
ある。同図に示すように、Si/SiGeヘテロ接合部
には、価電子帯端に大きなバンドオフセット(ヘテロ障
壁)が形成されるので、SiGe層をpチャネル用のチ
ャネル領域として利用することができる。一方、SiG
e/SiCヘテロ接合部には、伝導帯端に大きなバンド
オフセット(ヘテロ障壁)が形成されるので、SiC層
をnチャネル用のチャネル領域として利用することがで
きる。このように、電子,正孔それぞれに対して、最も
バンドオフセット値(ヘテロ障壁の高さ)が大きくなる
ヘテロ接合構造を用いることにより、nチャネル,pチ
ャネル両方において、ヘテロ接合の特徴を十分に引き出
すことができる。
【0101】図30は、本実施形態の相補型HDTMO
Sの構造を示す断面図である。同図に示すように、本実
施形態のHDTMOSは、p型のSi基板310と、S
i基板に酸素イオンを注入するなどの方法により形成さ
れた埋め込み酸化膜311と、埋め込み酸化膜311の
上に設けられたpチャネル型HDTMOS(p−DTM
OS)用の半導体層330と、埋め込み酸化膜311の
上に設けられたnチャネル型HDTMOS(n−DTM
OS)用の半導体層380とを有している。半導体層3
30,380は、それぞれ同時に形成された共通の膜に
よって構成されている。
【0102】半導体層330,380は、SOI基板の
上部を構成する上部Si膜312と、上部Si膜312
の上にUHV−CVD法によりエピタキシャル成長され
たSiバッファ層313と、Siバッファ層313の上
にUHV−CVD法によりエピタキシャル成長されたS
iC(Si1-yy :y≒0.015)膜314aと、
SiC膜314aの上にUHV−CVD法によりエピタ
キシャル成長されたSiGe膜314bと、SiGe膜
314bの上にUHV−CVD法によりエピタキシャル
成長されたSi膜315とから構成されている。ここ
で、埋め込み酸化膜311の厚さは約100nmであ
り、上部Si膜312の厚みは約100nmであり、S
iバッファ層313の厚みは約10nmであり、SiC
膜314aの厚みは約15nmであり、SiGe膜31
4bの厚みは約15nmであり、Si膜315の厚みは
約5nmである。
【0103】さらに、p−DTMOSは、Si膜315
の上に設けられたシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜
316と、ゲート絶縁膜316の上に設けられたゲート
電極317とを備えている。そして、半導体層330の
うちゲート電極317の両側方に位置する領域には高濃
度のp型不純物を含むソース領域320a及びドレイン
領域320bが設けられている。また、上部Si膜31
2のうちソース領域320aとドレイン領域320bと
の間の領域は、高濃度(約1×1019atoms ・cm-3
のn型不純物を含むSiボディ領域322となってお
り、Siバッファ層313のうちSiボディ領域322
の直上に位置する領域は、低濃度のn型不純物を含むn
- Si領域323となっている。そして、SiGe膜3
14a,SiC膜314bのうちソース領域320aと
ドレイン領域320bとの間の領域は、比較的低濃度
(約1×1017atoms ・cm-3)のn型不純物を含むS
iCチャネル領域324a,SiGeチャネル領域32
4bとなっており、Si膜315のうちゲート絶縁膜3
16の直下に位置する領域は低濃度のn型不純物を含む
Siキャップ層325となっている。また、ゲート電極
317とSiボディ領域322とを電気的に接続する導
体部材であるコンタクト(図示せず)とが設けられ、ゲ
ート電極317の側面上にはシリコン酸化膜からなるサ
イドウォール327が設けられている。
【0104】また、n−DTMOSは、Si膜315の
上に設けられたシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜3
56と、ゲート絶縁膜356の上に設けられたゲート電
極357とを備えている。そして、半導体層380のう
ちゲート電極357の両側方に位置する領域には高濃度
のn型不純物を含むソース領域360a及びドレイン領
域360bが設けられている。また、上部Si膜312
のうちソース領域360aとドレイン領域360bとの
間の領域は、高濃度(約1×1019atoms ・cm-3)の
p型不純物を含むSiボディ領域362となっており、
Siバッファ層313のうちSiボディ領域362の直
上に位置する領域は、低濃度のp型不純物を含むp-
i領域326となっている。そして、SiGe膜314
a,SiC膜314bのうちソース領域360aとドレ
イン領域360bとの間の領域は、比較的低濃度(約1
×1017atoms ・cm-3)のp型不純物を含むSiCチ
ャネル領域324a,SiGeチャネル領域324bと
なっており、Si膜315のうちゲート絶縁膜356の
直下に位置する領域は低濃度のp型不純物を含むSiキ
ャップ層365となっている。また、ゲート電極357
とSiボディ領域362とを電気的に接続する導体部材
であるコンタクト(図示せず)とが設けられ、ゲート電
極357の側面上にはシリコン酸化膜からなるサイドウ
ォール367が設けられている。
【0105】さらに、基板上には、層間絶縁膜390
と、層間絶縁膜390を貫通してソース・ドレイン領域
320a,320b,360a,360bに接触するコ
ンタクト391と、コンタクト391に接続されて層間
絶縁膜390の上に延びるソース・ドレイン電極392
とが設けられている。
【0106】本実施形態の相補型HDTMOSの製造工
程においては、SOI基板の一部である上部Si膜は、
結晶成長前にあらかじめイオン注入により濃度が約1×
10 19atoms ・cm-3の不純物がドープされたn+ Si
層(p−DTMOS領域)とp+ Si層(n−DTMO
S領域)とになっており、UHV−CVD法によりエピ
タキシャル成長されたSiバッファ層、SiC膜,Si
Ge膜、Siキャップ層は、いずれもas−grown
の状態では、不純物がドープされていないアンドープ層
となっている。SiC膜,SiGe膜,Siキャップ層
の結晶成長が終了した後に、n−DTMOS領域のチャ
ネル領域付近には、濃度が約1×1017atoms ・cm-3
のp型不純物がイオン注入によりドープされる。また、
p−DTMOS領域のチャネル領域の付近には、濃度が
約1×1017atoms ・cm-3のn型不純物がイオン注入
によりドープされる。ただし、各チャネル領域には不純
物がドープされていなくてもよい。
【0107】そして、最上層のSiキャップ層を熱酸化
することにより得られるシリコン酸化膜をゲート絶縁膜
とし、その上には高濃度のn型不純物がドープされたポ
リシリコンからなるn+ 型ゲート電極と、高濃度のp型
不純物がドープされたポリシリコンからなるp+ 型ゲー
ト電極とが形成される。その後、各ゲート電極の両側に
は、高濃度のn型不純物がイオン注入されたn+ 型ソー
ス・ドレイン領域と、高濃度のp型不純物がドープされ
たp+ 型のース・ドレイン領域とが形成され、その上方
にソース電極・ドレイン電極がそれぞれ形成される。ま
た、ゲート電極とSiボディ領域とがコンタクトによっ
て接続されて、DTMOS構造が得られる。
【0108】本実施形態によると、チャネル領域をSi
/SiGe/SiCヘテロ接合部によって構成すること
により、価電子帯端に大きなバンドオフセット(ヘテロ
障壁)が形成されるSi/SiGeヘテロ接合部に近接
するSiGe層をpチャネル用のチャネル領域として、
伝導帯端に大きなバンドオフセット(ヘテロ障壁)が形
成されるSiGe/SiCヘテロ接合部に近接するSi
C層をnチャネル用のチャネル領域として、それぞれ利
用することができる。そして、電子,正孔それぞれに対
して、最もバンドオフセット値(ヘテロ障壁の高さ)が
大きくなるヘテロ接合構造を用いることにより、nチャ
ネル,pチャネル両方において、ヘテロ接合の特徴を十
分に引き出すことができる。その場合、第1の実施形態
において説明したように、HDTMOS構造において
は、従来のヘテロ接合を用いたMOSFETで発生しや
すい寄生チャネルがほとんど生じることがない。したが
って、SiGe,SiCによって構成されるチャネル領
域を有するHDTMOSにおいて、バンドオフセット値
(ヘテロ障壁の高さ)が多少小さくても、寄生チャネル
によるトランジスタ動作の低速化などの不具合を招くこ
となく、ヘテロ接合構造を利用した高速で電流駆動力の
大きいトランジスタを得ることができる。
【0109】また、上述のような製造方法を用いること
により、簡単な製造方法で、高性能のヘテロ接合部を有
する相補型TMOSを形成することができる。
【0110】次に、図31は、Si/SiGe接合部
と、Si/SiC接合部とを有する本実施形態の変形例
における相補型のHDTMOSのバンド構造を示すエネ
ルギーバンド図である。この場合、図30に示す構造に
おいて、SiC膜314aとSiGe膜314bとの間
にSi膜を介在させればよいことになる。このような構
造によっても、上述のような本実施形態の効果を発揮す
ることができる。
【0111】(第7の実施形態)次に、pチャネルをS
i/SiGe接合部のヘテロ障壁を利用し、nチャネル
をSi/SiGe接合部の不純物濃度の調整によるバン
ドオフセットを使用した相補型ヘテロCMOSデバイス
の例である第7の実施形態について説明する。本実施形
態においては、ゲート電極とボディ領域とは接合されて
おらず、一般的なMISFET構造を有していることが
前提である。
【0112】図32は、本実施形態のCMOSデバイス
の構造を示す断面図である。同図に示すように、本実施
形態のCMOSデバイスは、p型のSi基板410と、
Si基板410の上に設けられたpチャネル型MOSF
ET(p−MOSFET)用の半導体層430,nチャ
ネル型MOSFET(n−MOSFET)用の半導体層
480とを有している。ここで、半導体層430,48
0は、それぞれ同時に形成された共通の膜によって構成
されている。
【0113】半導体層430,480は、Si基板41
0の上部に形成された上部Si層412と、上部Si層
412の上にUHV−CVD法によりエピタキシャル成
長されたSiバッファ層413と、Siバッファ層41
3の上にUHV−CVD法によりエピタキシャル成長さ
れたSiGe膜414と、SiGe膜414の上にUH
V−CVD法によりエピタキシャル成長されたSi膜4
15とから構成されている。ここで、上部Si層412
の厚みは約50nmであり、Siバッファ層413の厚
みは約10nmであり、SiGe膜414の厚みは約1
5nmであり、Si膜415の厚みは約5nmである。
【0114】そして、p−MOSFETは、Si膜41
5の上に設けられたシリコン酸化膜からなるゲート絶縁
膜416と、ゲート絶縁膜416の上に設けられたゲー
ト電極417とを備えている。そして、半導体層430
のうちゲート電極417の両側方に位置する領域には高
濃度のp型不純物を含むソース領域420a及びドレイ
ン領域420bが設けられている。また、上部Si層4
12のうちソース領域420aとドレイン領域420b
との間の領域は、高濃度(約1×1010atoms・c
-3)のn型不純物を含むSiボディ領域422となっ
ており、Siバッファ層413のうちSiボディ領域4
22の直上に位置する領域は、低濃度のn型不純物を含
むn- Si領域423となっている。そして、SiGe
膜414のうちソース領域420aとドレイン領域42
0bとの間の領域は、比較的低濃度(約1×1017atom
s ・cm-3)のn型不純物を含むSiGeチャネル領域
424となっており、Si膜415のうちゲート絶縁膜
416の直下に位置する領域は低濃度のn型不純物を含
むSiキャップ層425となっている。また、ゲート電
極417の側面上にはシリコン酸化膜からなるサイドウ
ォール427が設けられている。
【0115】また、n−MOSFETは、Si膜415
の上に設けられたシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜
456と、ゲート絶縁膜456の上に設けられたゲート
電極457とを備えている。そして、半導体層480の
うちゲート電極457の両側方に位置する領域には高濃
度のn型不純物を含むソース領域460a及びドレイン
領域460bが設けられている。また、上部Si層41
2のうちソース領域460aとドレイン領域460bと
の間の領域は、高濃度(約1×1019atoms ・cm-3
のp型不純物を含むSiボディ領域462となってお
り、Siバッファ層413のうちSiボディ領域462
の直上に位置する領域は、低濃度のp型不純物を含むp
- Si領域426となっている。そして、SiGe膜4
14のうちソース領域460aとドレイン領域460b
との間の領域は、比較的低濃度(約1×1017atoms ・
cm-3)のp型不純物を含むSiGeチャネル領域46
4となっており、Si膜415のうちゲート絶縁膜45
6の直下に位置する領域は低濃度のp型不純物を含むS
iキャップ層465となっている。また、ゲート電極4
57の側面上にはシリコン酸化膜からなるサイドウォー
ル467が設けられている。
【0116】さらに、基板上には、層間絶縁膜490
と、層間絶縁膜490を貫通してソース・ドレイン領域
420a,420b,460a,460bに接触するコ
ンタクト491と、コンタクト491に接続されて層間
絶縁膜490の上に延びるソース・ドレイン電極492
とが設けられている。また、基板には、半導体層43
0,480を互いに分離するためのトレンチ分離493
が設けられている。
【0117】図33(a),(b)は、それぞれpチャ
ネル用のSi/SiGeヘテロ接合部及びnチャネル用
のSi/SiGeヘテロ接合部におけるバンド構造を示
すエネルギーバンド図である。図33(a)に示すよう
に、pチャネル用のSi/SiGeヘテロ接合部におい
ては、一般的には、バンドオフセット(ヘテロ障壁)は
ホールの閉じ込めに有利な価電子帯端に主にあらわれ
る。一方、図33(b)に示すように、バンドオフセッ
トが主として価電子帯に形成されるSi/SiGeヘテ
ロ接合部においても、Si層とSiGe層とをp型にド
ーピングしておくことにより、伝導帯端にバンドの飛び
によるポテンシャルのくぼみが生じるので、電子をSi
Geチャネル領域464に閉じ込めることが可能とな
る。よって、Si/SiGe接合を利用して、電子がS
iGe層内に閉じ込められてSiGe層内を走行するn
チャネルと、ホールがSiGe層内に閉じ込められてS
iGe層内を走行するpチャネルとを形成することが可
能となる。
【0118】本実施形態の相補型CMOSデバイスの製
造工程においては、Si基板の一部である上部Si層
は、結晶成長前にあらかじめイオン注入により濃度が約
1×1019atoms ・cm-3の不純物がドープされたn+
Si層(p−MOSFET領域)とp+ Si層(n−M
OSFET領域)とになっている。また、p−MOSF
ET領域とととMOSFET領域とを互いに分離するた
めのトレンチ分離493が基板面よりも上方に突出する
ように設けられている。その後、UHV−CVD法によ
りエピタキシャル成長されたSiバッファ層、SiGe
膜、Siキャップ層は、いずれもas−grownの状
態では、不純物がドープされていないアンドープ層とな
っている。SiGe膜,Siキャップ層の結晶成長が終
了した後に、n−MOSFET領域のSiGeチャネル
領域付近には、濃度が約1×1017atoms ・cm-3のp
型不純物がイオン注入によりドープされる。また、p−
MOSFET領域のSiGeチャネル領域の付近には、
濃度が約1×1017atoms ・cm-3のn型不純物がイオ
ン注入によりドープされる。そして、最上層のSi膜を
熱酸化することにより得られるシリコン酸化膜をゲート
絶縁膜とし、その上には高濃度の不純物を含むポリシリ
コンからなるゲート電極が形成される。その後、各ゲー
ト電極の両側には、高濃度のp型不純物がイオン注入さ
れたp+ 型ソース・ドレイン領域と、高濃度のn型不純
物がドープされたn+ 型ソース・ドレイン領域とが形成
される。さらに、層間絶縁膜,コンタクト及びソース・
ドレイン電極がそれぞれ形成される。
【0119】本実施形態のSi/SiGe接合部を有す
るCMOSデバイスによると、Si/SiGe接合部に
p型不純物濃度を導入すると、伝導帯端に電子を閉じ込
めるのに有利なくぼみが形成されることに着目し、Si
/SiGe接合を利用して高速動作が可能で電流駆動力
の大きいn−MOSFETを得ることができる。そし
て、このn−MOSFETを利用して、従来から知られ
ているSi/SiGe接合部を有するp−MOSFET
とを共通のSi基板上に設けることで、高速動作が可能
で電流駆動力の大きいn−MOSFET及びp−MOS
FETを有するCMOSデバイスを得ることができる。
【0120】なお、本実施形態のSiGeチャネル領域
の代わりに,Cを0.01%〜2%(例えば0.1%程
度)含むSiGe,つまりSiGeC層を用いてもよ
い。
【0121】(実験データ)次に、本発明に関する実測
データについて説明する。
【0122】図34(a)は、SiGeチャネル領域の
Ge含有率を0%,10%,20%,30%に変えて測
定したドレイン電流IdのゲートバイアスVg依存性の
データである。同図に示すように、従来のSiホモ接合
型DTMOS(同図の左端参照)に比べて、Ge含有率
が高くなるにつれて同じゲートバイアスに対するしきい
値電圧が小さくなっている。
【0123】図34(b)は、本発明のHDTMOSと
従来のMOSとについて、相互コンダクタンスのゲート
オーバードライブ依存性を、Ge含有率をパラメータと
して示すデータである。同図に示されるように、本発明
のHDTMOSにより、従来のMOSよりも大幅に相互
コンダクタンスgmが向上している。
【0124】図35(a)は、Siボディ領域のn型不
純物濃度ND を2×1017cm-3,5×1017cm-3
1×1018cm-3に変えて測定したドレイン電流Idの
ゲートバイアスVg依存性のデータである。同図に示す
ように、Siボディ領域の不純物濃度が高くなるにつれ
て、同じゲートバイアスに対するドレイン電流Idが低
減している。これは、しきい値電圧の上昇によるものと
考えられる。
【0125】図35(b)は、本発明のHDTMOSと
従来のMOSとについて、相互コンダクタンスのゲート
オーバードライブ依存性を、チャネル領域の不純物濃度
をパラメータとして示すデータである。図34(b)に
示されると同様に、本発明のHDTMOSにより、従来
のMOSよりも大幅に相互コンダクタンスgmが向上し
ている。
【0126】図36は、本発明のHDTMOSについ
て、ボディ効果係数γとしきい値電圧との相関関係を、
Ge含有率とSiボディ領域の不純物濃度とをパラメー
タとして示すデータである。同図に示すように、従来問
題とされていた,しきい値を低下させるとボディ効果係
数γが増大するというトレードオフを緩和することがで
きる。
【0127】一方、DTMOSにおいては、ボディ効果
係数γが大きい方が好ましい。ボディ効果係数γは、下
記式 γ=|ΔVth|/|ΔVbs| によって表される。ただし、ΔVthはしきい値電圧のシ
フト量、ΔVbsはボディ−ソース間電圧のシフト量であ
る。
【0128】DTMOSにおいては、ボディ領域とゲー
ト電極とが互いに電気的に接続されているために、ゲー
ト電圧を高くしていくと、ボディ領域の電圧もそれに伴
って上昇する。ゲート電圧が電源電圧Vddのとき、しき
い値電圧のシフト量ΔVthは、式 ΔVth=γ・Vddに
よって表される。
【0129】従来のMOSFETは、ゲートオーバード
ライブ量は、(Vdd−Vth)によって表される。ところ
が、DTMOSの場合には、ゲートオーバードライブ量
は、(Vdd−Vth−ΔVth=Vdd−Vth−γVdd)にな
り、γが大きいほど電流駆動力が大きくなる。
【0130】図36をみると、Ge含有率が同じである
複数のHDTMOSのγを比べると、HDTMOSのボ
ディ領域における不純物濃度が高いものほど、γが大き
くなるが、しきい値電圧Vthも上昇するという従来のS
iホモ接合型のDTMOSにおけるトレードオフ関係が
HDTMOSにもみられる。
【0131】一方、ボディ領域における不純物濃度が同
じである複数のHDTMOSのγを比べると、HDTM
OSのGe含有率を多くするほど、しきい値電圧が低下
し、しかも、γも大きくなっている。これは、SiGe
チャネルが埋め込みチャネル構造となっていることに起
因する。
【0132】したがって、SiGeチャネルを用い、か
つ、ボディ領域における不純物濃度Nd を高くしたHD
TMOSにより、Siホモ接合型のDTMOSとしきい
値電圧が同程度であっても、より大きなγが得られるこ
とになる。これは、例えば、図36中のGe:30%,
D :1×1018cm-3のγ値と、Ge:0%,ND
2×1017cm-3のγ値とを比べるとわかる。
【0133】図37は、MOS(○印のデータ),Si
/SiGe−MOS(Ge含有率30%)(●印のデー
タ),Siホモ接合型DTMOS(□印のデータ),S
i/SiGe−HDTMOS(Ge含有率30%)(■
印のデータ)のId,Ib−Vg特性を示す図である。
ここで、MOSとSiホモ接合型DTMOSとのボディ
領域における不純物濃度は2×1017cm-3であり、S
i/SiGe−MOSとSi/SiGe−HDTMOS
とのボディ領域における不純物濃度は1×10 18cm-3
である。図37の矢印の部分に示すように、Siホモ接
合型DTMOS(□印のデータ)と、Si/SiGe−
HDTMOS(■印のデータ)とを比べると、ゲート電
圧が動作電圧になる範囲では、Si/SiGe−HDT
MOSの方がドレイン電流Idが多いことがわかる。
【0134】図38は、Siホモ接合型DTMOS(□
印のデータ),Si/SiGe−HDTMOS(Ge含
有率30%)(■印のデータ)のId−Vd特性をより
詳細に比較する図である。同図に示すように、Siホモ
接合型DTMOS(□印のデータ)と、Si/SiGe
−HDTMOS(■印のデータ)とを比べると、両者の
(Vg−Vt(Vth))がおなじ値の時には、Si/S
iGe−HDTMOSの方がドレイン電流Idが多いこ
とがわかる。
【0135】図39は、Siホモ接合型DTMOS(□
印のデータ)と、Si/SiGe−HDTMOS(Ge
含有率30%)(■印のデータ)とのしきい値電圧のゲ
ート長依存性を比較するための図である。同図に示すよ
うに、ゲート長が0.5μm以下の領域では、Si/S
iGe−HDTMOS(■印のデータ)の方がSiホモ
接合型DTMOS(□印のデータ)よりもしきい値電圧
Vthが高く維持されており、Si/SiGe−HDTM
OSにおいては、短チャネル効果に対する耐性が向上し
ていることがわかる。
【0136】(第8の実施形態)上記第1〜第6の実施
形態においては、Si層とSiGe層又はSiGeC層
とのバンドギャップ差に着目して、しきい値電圧を低下
させる工夫をしているが、本実施形態においては、歪み
を受けたSi層と格子歪みが緩和したSiGe層との間
に生じるキャリアが走行するバンド端のキャリアに対す
るポテンシャルの差に着目して、しきい値電圧を低下さ
せ、電流駆動力を高めるように構成する。
【0137】図40は、本実施形態におけるnチャネル
型トランジスタとして機能するHDTMOSの断面図で
ある。同図に示すように、本実施形態のHDTMOSは
p型のSi基板510と、Si基板510の上にUH
V−CVD法によりエピタキシャル成長された傾斜Si
Ge膜513と、傾斜SiGe膜513の上にUHV−
CVD法によりエピタキシャル成長され格子歪みが緩和
された緩和SiGe膜514と、緩和SiGe膜514
の上にUHV−CVD法によりエピタキシャル成長され
引っ張り歪みを受けるSi膜515とから構成されてい
る。さらに、HDTMOSは、Si膜515の上に設け
られたシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜516と、
ゲート絶縁膜516の上に設けられたゲート電極517
とを備えている。そして、緩和SiGe膜514及びS
i膜515のうちゲート電極517の両側方に位置する
領域には高濃度のn型不純物を含むソース領域520a
及びドレイン領域520bが設けられている。また、緩
和SiGe膜514のうちソース領域520aとドレイ
ン領域520bとの間の領域は、高濃度のp型不純物を
含むSiGeボディ領域524となっている。そして、
Si膜515のうちソース領域520aとドレイン領域
520bとの間の領域は、引っ張り歪みを受けて縮退が
解け,実効質量が小さい高い移動度で走行するSiチャ
ネル領域525(nチャネル)となっている。また、ゲ
ート電極517と緩和SiGeボディ領域524とを電
気的に接続する導体部材であるコンタクト526が設け
られている。
【0138】ここで、傾斜SiGe膜513は、下端部
におけるGeの含有率が0%で上端部におけるGe含有
率が30%である傾斜組成を有し、緩和SiGe膜51
4はGeの含有率が30%の均一組成を有している。ま
た、緩和SiGe膜514の厚みは格子歪みが緩和する
臨界厚み以上の厚み例えば30nmであり、Si膜51
5の厚みは約20nmである。SiGeボディ領域52
4には、濃度が約1×1019atoms ・cm-3のp型不純
物(例えばボロン)がイオン注入により導入されてい
る。傾斜SiGe膜513の上部には、SiGeボディ
領域524,ソース・ドレイン領域520a,520b
から拡散した不純物が低濃度で含まれているが、傾斜S
iGe膜513の下部はアンドープ層となっている。ま
た、Siチャネル領域525には、低濃度のp型不純物
(例えばボロン)が導入されている。ただし、Siチャ
ネル領域525はアンドープ層であってもよい。ゲート
絶縁膜516は、Si膜515を熱酸化することにより
形成されたものである。ゲート電極517には、濃度が
約1×1020atoms ・cm-3のn型不純物(例えばヒ素
又はリン)がドープされている。なお、ゲート電極51
7の側面上には、シリコン酸化膜からなるサイドウォー
ル527が設けられている。
【0139】図41は、緩和SiGe膜からなるボディ
領域524と、引っ張り歪みを受けたSi膜からなるS
iチャネル領域525とに亘るバンド構造を示すエネル
ギーバンド図である。同図に示すように、Siチャネル
領域525の伝導帯端のキャリアに対するポテンシャル
は、ボディ領域524の伝導帯端のキャリアに対するポ
テンシャルよりも低いので、キャリアを電子とするnチ
ャネルにおけるしきい値が低下する。
【0140】すなわち、nチャネルにおいては本実施形
態のごとくキャリアが走行するバンド端である伝導帯端
のポテンシャルをボディ領域よりも小さく、pチャネル
においてはキャリアが走行するバンド端である価電子帯
端のポテンシャルをボディ領域よりも小さくする(つま
りエネルギーレベルを高くする)ことにより、上記各実
施形態と同様に、寄生チャネルの発生を抑制しつつ、し
きい値電圧を低下させることができる。
【0141】図42は、本実施形態の変形例におけるH
DTMOSの断面図である。同図に示すように、本変形
例のHDTMOSは、p型のSi基板510と、上記図
40におけると同じ構造を有する傾斜SiGe膜513
と、傾斜SiGe膜53の上に設けられ上記図40にお
けると同じ構造を有する緩和SiGe膜514と、緩和
SiGe膜514の上にUHV−CVD法によりエピタ
キシャル成長され引っ張り歪みを受けるSi膜515と
を備えている。そして、本実施形態においては、緩和S
iGe膜514の中に酸素イオンを注入するなどの方法
により形成された埋め込み酸化膜511を形成する。そ
して、引っ張り歪みを受けるSi膜515の上には、上
記図40に示すとおなじ構造が設けられている。この変
形例においても、上記図40に示す第8の実施形態とお
なじ効果を発揮することができ、加えて、寄生容量の低
減による動作速度の向上を図ることができる。
【0142】
【発明の効果】本発明によれば、チャネル層にボディ領
域を構成する材料のバンドギャップよりもバンドギャッ
プの小さい材料を導入することにより、ドレイン電流を
増大し(しきい値電圧を低減し)、チャネルを流れるド
レイン電流とボディ(ゲート)電流との差を拡大するこ
とにより、トランジスタ動作の高速性を維持しながら動
作電圧範囲の拡大を図ることができる。
【0143】また、チャネル領域とその周囲の半導体層
との不純物濃度を適宜変更することにより、伝導帯端,
価電子帯端のいずれにおいてもキャリアの閉じ込めに有
利なくぼみを形成することができ、動作が高速で電流駆
動力の高いヘテロ接合型CMOSデバイスを得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のDTMOSの構造を模式的に示す断面図
である。
【図2】従来のDTMOSの構造を模式的に示す平面図
である。
【図3】(a),(b),(c)は、それぞれ順に、第
1の実施形態のHDTMOSの構造を模式的に示す平面
図、図3(a)で示すIIIb−IIIb線における断面図、図
3(a)で示すIIIc−IIIc線における断面図である。
【図4】第1の実施形態のHDTMOSの構造をさらに
詳細に示す断面図である。
【図5】Siキャップ層,SiGeチャネル領域及びn
- Si領域を通過する断面におけるバンドアライメント
を示すエネルギーバンド図である。
【図6】第1の実施形態におけるゲート電極からSiボ
ディ領域までを通過する断面におけるビルトインバンド
構造を示すエネルギーバンド図である。
【図7】本発明のpチャネル型HDTMOSと、従来の
pチャネル型DTMOSとのドレイン電流,ボディ電流
のゲートバイアス依存性をシミュレーションした結果を
示す図である。
【図8】本発明のHDTMOSと従来のDTMOSとで
しきい値電圧を等しくするために、ボディ領域の不純物
濃度をそれぞれ調整したときのドレイン電流,ボディ電
流のゲートバイアス依存性をシミュレーションした結果
を示す図である。
【図9】本発明のHDTMOSにおいて、ゲート長を変
化させたときのドレイン電流,ボディ電流のゲートバイ
アス依存性を示す図である。
【図10】従来のSiホモ接合型DTMOSにおいて、
ゲート長を変化させたときのドレイン電流,ボディ電流
のゲートバイアス依存性を示す図である。
【図11】図9,図10のデータから求められる本発明
のHDTMOSと、従来のDTMOSとのしきい値電圧
のゲート長依存性を示す図である。
【図12】本発明のHDTMOSのゲートバイアス−ボ
ディ電流,ドレイン電流特性のチャネル領域の不純物濃
度依存性を示す図である。
【図13】第1の実施形態の変形例に係る拡散防止層を
設けたHDTMOSの例を示す断面図である。
【図14】従来のSi/SiGeヘテロ接合を有するp
チャネル型MOSFETの基本的な構造を示す断面図で
ある。
【図15】(a),(b)は、一般的なSi/SiGe
ヘテロ接合型MOSFETの低ゲートバイアス時,高ゲ
ートバイアス時におけるバンド構造を示すエネルギーバ
ンド図である。
【図16】本発明のHDTMOSと、従来のヘテロ接合
型SOIMOSFETにおけるヘテロチャネルおよび寄
生チャネルそれぞれに蓄積されるピークキャリア濃度の
比のゲートバイアス依存性を示す図である。
【図17】(a),(b),(c)は、それぞれ順に、
第2の実施形態のHDTMOSの構造を模式的に示す平
面図、図17(a)で示すXVIIb−XVIIb線における断面
図、図17(a)で示すXVIIc−XVIIc線における断面図
である。
【図18】第2の実施形態のHDTMOSの構造をさら
に詳細に示す断面図である。
【図19】Siキャップ層,SiGeチャネル領域及び
- Si領域を通過する断面におけるバンドアライメン
トを示すエネルギーバンド図である。
【図20】第2の実施形態におけるゲート電極からSi
ボディ領域までを通過する断面におけるビルトインバン
ド構造を示すエネルギーバンド図である。
【図21】本発明のHDTMOSと従来のDTMOSと
でしきい値電圧を等しくするために、ボディ領域の不純
物濃度をそれぞれ調整したときのドレイン電流,ボディ
電流のゲートバイアス依存性をシミュレーションした結
果を示す図である。
【図22】第3の実施形態の相補型HDTMOSの構造
を示す断面図である。
【図23】第3の実施形態の変形例であるチャネル領域
をSi1-x-y Gexy によって構成した相補型のHD
TMOSの断面図である。
【図24】Si/SiGeヘテロ接合部におけるバンド
構造を示すエネルギーバンド図である。
【図25】Si/SiC(Si1-yy :y≒0.0
2)ヘテロ接合部のエネルギーバンド図である。
【図26】第4の実施形態のnチャネル型HDTMOS
の断面図である。
【図27】Si/SiGeCヘテロ接合部におけるバン
ド構造を示すエネルギーバンド図である。
【図28】第5の実施形態のHDTMOSの構造を示す
断面図である。
【図29】Si/SiGe/SiCヘテロ接合部におけ
るバンド構造を示すエネルギーバンド図である。
【図30】第6の実施形態の相補型HDTMOSの構造
を示す断面図である。
【図31】Si/SiGe接合部とSi/SiC接合部
とを有する第6の実施形態の変形例における相補型HD
TMOSのバンド構造を示すエネルギーバンド図であ
る。
【図32】第7の実施形態のCMOSデバイスの構造を
示す断面図である。
【図33】(a),(b)は、それぞれpチャネル用の
Si/SiGeヘテロ接合部及びnチャネル用のSi/
SiGeヘテロ接合部におけるバンド構造を示すエネル
ギーバンド図である。
【図34】(a),(b)は、チャネル領域のGe含有
率を変えて測定したドレイン電流Idのゲートバイアス
Vg依存性、本発明のHDTMOSと従来のMOSとの
護送後コンダクタンスのゲートオーバードライブ依存性
をそれぞれ示すデータである。
【図35】(a),(b)は、チャネル領域の不純物濃
度を変えて測定したドレイン電流Idのゲートバイアス
Vg依存性、本発明のHDTMOSと従来のMOSとの
相互コンダクタンスのゲートオーバードライブ依存性を
それぞれ示すデータである。
【図36】本発明のHDTMOSについて、ボディ効果
係数γとしきい値電圧との相関関係を、Ge含有率とチ
ャネル領域の不純物濃度とをパラメータとして示すデー
タである。
【図37】MOS,Si/SiGe−MOS(Ge含有
率30%),Siホモ接合型DTMOS,Si/SiG
e−HDTMOS(Ge含有率30%)のId,Ib−
Vg特性を示す図である。
【図38】Siホモ接合型DTMOS,Si/SiGe
−HDTMOS(Ge含有率30%)のId−Vd特性
をより詳細に比較する図である。
【図39】Siホモ接合型DTMOSと、Si/SiG
e−HDTMOS(Ge含有率30%)との短チャネル
効果を比較するための図である。
【図40】第8の実施形態におけるnチャネル型トラン
ジスタとして機能するHDTMOSの断面図である。
【図41】緩和SiGe膜からなるボディ領域と、引っ
張り歪みを受けたSi膜からなるSiチャネル領域とに
亘るバンド構造を示すエネルギーバンド図である。
【図42】第8の実施形態の変形例におけるHDTMO
Sの断面図である。
【符号の説明】
10 Si基板 11 埋め込み酸化膜 12 上部Si膜 13 Siバッファ層 14 SiGe膜 15 Si膜 16 ゲート絶縁膜 17 ゲート電極 20a ソース領域 20b ドレイン領域 22 ボディ領域 23 n- Si領域 18 S ソース G ゲート D ドレイン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/78 613A 618B 618E 626Z

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、 上記基板の一部に設けられた半導体層と、 上記半導体層の上に設けられたゲート絶縁膜と、 上記ゲート絶縁膜の上に設けられたゲート電極と、 上記半導体層のうち上記ゲート電極の両側方に設けられ
    た第1導電型のソース・ドレイン領域と、 上記半導体層のうち上記ソース・ドレイン領域間に位置
    する領域に設けられた第1の半導体からなるチャネル領
    域と、 上記半導体層のうち上記チャネル領域の下方に設けら
    れ、上記第1の半導体よりもキャリアが走行するバンド
    端のキャリアに対するポテンシャルが大きい第2の半導
    体からなる第2導電型のボディ領域と、 上記ゲート電極と上記ボディ領域とを電気的に接続する
    ための導体部材とを備えている半導体装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体装置において、 上記半導体層のうち上記チャネル領域と上記ゲート絶縁
    膜との間に設けられ、上記第1の半導体よりもキャリア
    が走行するバンド端のキャリアに対するポテンシャルが
    大きい半導体からなるキャップ層をさらに備えているこ
    とを特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の半導体装置におい
    て、 上記基板の少なくとも最上部は絶縁体により構成されて
    いることを特徴とする半導体装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載
    の半導体装置において、 上記チャネル領域は上記ボディ領域よりも1/10以下
    の低濃度の不純物を含むことを特徴とする半導体装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載
    の半導体装置において、 上記ゲート電極は、第1導電型不純物を含むポリシリコ
    ン又はポリシリコンゲルマニウムにより構成されている
    ことを特徴とする半導体装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載の半導体装置におい
    て、 上記チャネル領域を構成する第1の半導体は、少なくと
    もSiを成分元素として含んでおり、 上記半導体層の一部には、チャネルへの不純物の拡散を
    防止するための領域であって、0.01%以上で2%以
    下の濃度の炭素を含む領域をさらに備えていることを特
    徴とする半導体装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のうちいずれか1つに記載
    の半導体装置において、 上記第1の半導体はSi(シリコン)及びGe(ゲルマ
    ニウム)を成分元素として含む半導体であり、 上記第2の半導体はSiであることを特徴とする半導体
    装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の半導体装置において、 上記ゲート絶縁膜とチャネル領域の間に設けられ、Si
    からなるキャップ層をさらに備えていることを特徴とす
    る半導体装置。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8記載の半導体装置におい
    て、 上記ソース・ドレイン領域はp型ソース・ドレイン領域
    であり、 上記チャネル領域はpチャネル用のチャネル領域であ
    り、 上記ボディ領域はn型ボディ領域であることを特徴とす
    る半導体装置。
  10. 【請求項10】 請求項7又は8記載の半導体装置にお
    いて、 上記ソース・ドレイン領はn型ソース・ドレイン領域で
    あり、 上記チャネル領域はnチャネル用のチャネル領域であ
    り、 上記ボディ領域はp型ボディ領域であることを特徴とす
    る半導体装置。
  11. 【請求項11】 請求項9記載の半導体装置において、 上記基板上に設けられたもう1つの半導体層と、 上記もう1つの半導体層の上に設けられたもう1つのゲ
    ート絶縁膜と、 上記もう1つのゲート絶縁膜の上に設けられたもう1つ
    のゲート電極と、 上記もう1つの半導体層のうち上記もう1つのゲート電
    極の両側方に設けられたn型ソース・ドレイン領域と、 上記もう1つの半導体層のうち上記n型ソース・ドレイ
    ン領域間に位置する領域に設けられ、Si及びGeを成
    分元素として含むnチャネル用のチャネル領域と、 上記もう1つの半導体層のうち上記nチャネル用のチャ
    ネル領域の下方に設けられ、Siからなるp型ボディ領
    域と、 上記もう1つのゲート電極と上記p型ボディ領域とを電
    気的に接続するためのもう1つの導体部材とをさらに備
    え、 相補型デバイスとして機能することを特徴とする半導体
    装置。
  12. 【請求項12】 請求項1〜5のうちいずれか1つに記
    載の半導体装置において、 上記第1の半導体はSi及びC(カーボン)を成分元素
    として含む半導体であり、 上記第2の半導体はSiであることを特徴とする半導体
    装置。
  13. 【請求項13】 請求項1〜5のうちいずれか1つに記
    載の半導体装置において、 上記第1の半導体は、引っ張り歪みを受けたSiであ
    り、 上記第2の半導体は、格子歪みが緩和したSiGeであ
    ることを特徴とする半導体装置。
  14. 【請求項14】 請求項12又は13記載の半導体装置
    において、 上記ゲート絶縁膜とチャネル領域の間に設けられ、Si
    からなるキャップ層をさらに備えていることを特徴とす
    る半導体装置。
  15. 【請求項15】 請求項12〜14記載の半導体装置に
    おいて、 上記ソース・ドレイン領域はp型ソース・ドレイン領域
    であり、 上記チャネル領域はpチャネル用のチャネル領域であ
    り、 上記ボディ領域はn型ボディ領域であることを特徴とす
    る半導体装置。
  16. 【請求項16】 請求項12〜14記載の半導体装置に
    おいて、 上記ソース・ドレイン領域はn型ソース・ドレイン領域
    であり、 上記チャネル領域はnチャネル用のチャネル領域であ
    り、 上記ボディ領域はp型ボディ領域であることを特徴とす
    る半導体装置。
  17. 【請求項17】 請求項15記載の半導体装置におい
    て、 上記基板上に設けられたもう1つの半導体層と、 上記もう1つの半導体層の上に設けられたもう1つのゲ
    ート絶縁膜と、 上記もう1つのゲート絶縁膜の上に設けられたもう1つ
    のゲート電極と、 上記もう1つの半導体層のうち上記もう1つのゲート電
    極の両側方に設けられたn型ソース・ドレイン領域と、 上記もう1つの半導体層のうち上記n型ソース・ドレイ
    ン領域間に位置する領域に設けられ、Si及びCを成分
    元素として含む第1の半導体からなるnチャネル用のチ
    ャネル領域と、 上記もう1つの半導体層のうち上記nチャネル用のチャ
    ネル領域の下方に設けられたSiからなるp型ボディ領
    域と、 上記もう1つのゲート電極と上記p型ボディ領域とを電
    気的に接続するためのもう1つの導体部材とをさらに備
    え、 相補型デバイスとして機能することを特徴とする半導体
    装置。
  18. 【請求項18】 請求項1〜5のうちいずれか1つに記
    載の半導体装置において、 上記第1の半導体はSi,Ge及びCを成分元素として
    含む半導体であり、 上記第2の半導体はSiであることを特徴とする半導体
    装置。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の半導体装置におい
    て、 上記ゲート絶縁膜とチャネル領域の間に設けられ、Si
    からなるキャップ層をさらに備えていることを特徴とす
    る半導体装置。
  20. 【請求項20】 請求項18又は19記載の半導体装置
    において、 上記ソース・ドレイン領域はp型ソース・ドレイン領域
    であり、 上記チャネル領域はpチャネル用のチャネル領域であ
    り、 上記ボディ領域はn型ボディ領域であることを特徴とす
    る半導体装置。
  21. 【請求項21】 請求項18又は19記載の半導体装置
    において、 上記ソース・ドレイン領域はn型ソース・ドレイン領域
    であり、 上記チャネル領域はnチャネル用のチャネル領域であ
    り、 上記ボディ領域はp型ボディ領域であることを特徴とす
    る半導体装置。
  22. 【請求項22】 請求項20記載の半導体装置におい
    て、 上記基板上に設けられたもう1つの半導体層と、 上記もう1つの半導体層の上に設けられたもう1つのゲ
    ート絶縁膜と、 上記もう1つのゲート絶縁膜の上に設けられたもう1つ
    のゲート電極と、 上記もう1つの半導体層のうち上記もう1つのゲート電
    極の両側方に設けられたn型ソース・ドレイン領域と、 上記もう1つの半導体層のうち上記n型ソース・ドレイ
    ン領域間に位置する領域に設けられ、Si,Ge及びC
    を成分元素として含むnチャネル用のチャネル領域と、 上記もう1つの半導体層のうち上記チャネル領域の下方
    に設けられ,Siからなるp型ボディ領域と、 上記もう1つのゲート電極と上記p型ボディ領域とを電
    気的に接続するためのもう1つの導体部材とをさらに備
    え、 相補型デバイスとして機能することを特徴とする半導体
    装置。
  23. 【請求項23】 請求項1〜5のうちいずれか1つに記
    載の半導体装置において、 上記ソース・ドレイン領域はp型ソース・ドレイン領域
    であり、 上記チャネル領域はSi及びGeを成分元素として含む
    pチャネル用のチャネル領域であり、 上記ボディ領域はSiからなるn型ボディ領域であり、 上記pチャネル用のチャネル領域の上面又は下面のうち
    いずれか一方の面に接して設けられ、Si及びCを成分
    元素として含むSiC層と、 上記基板上に設けられたもう1つの半導体層と、 上記もう1つの半導体層の上に設けられたもう1つのゲ
    ート絶縁膜と、 上記もう1つのゲート絶縁膜の上に設けられたもう1つ
    のゲート電極と、 上記もう1つの半導体層のうち上記もう1つのゲート電
    極の両側方に設けられたn型ソース・ドレイン領域と、 上記もう1つの半導体層のうち上記n型ソース・ドレイ
    ン領域間に位置する領域に設けられ、Si及びCを成分
    元素として含むnチャネル用のチャネル領域と、 上記nチャネル用のチャネル領域の上面又は下面のうち
    いずれか一方の面に接して設けられ、Si及びGeを成
    分元素として含むSiGe層と、 上記もう1つの半導体層のうち上記nチャネル用のチャ
    ネル領域の下方に設けられ、Siからなるp型ボディ領
    域と、 上記もう1つのゲート電極と上記p型ボディ領域とを電
    気的に接続するためのもう1つの導体部材とをさらに備
    えていることを特徴とする半導体装置。
  24. 【請求項24】 請求項23記載の半導体装置におい
    て、 上記ゲート絶縁膜と上記pチャネル用のチャネル領域と
    の間に設けられたSiからなるキャップ層と、 上記もう1つのゲート絶縁膜と上記nチャネル用のチャ
    ネル領域との間に設けられたSiからなるもう1つのキ
    ャップ層とをさらに備えていることを特徴とする半導体
    装置。
  25. 【請求項25】 基板と、 上記基板の一部に設けられた半導体層と、 上記半導体層の上に設けられたゲート絶縁膜と、 上記ゲート絶縁膜の上に設けられたゲート電極と、 上記半導体層のうち上記ゲート電極の両側方に設けられ
    たn型のソース・ドレイン領域と、 上記半導体層のうち上記ソース・ドレイン領域間に位置
    する領域に設けられ、Si及びGeを成分元素として含
    む第1の半導体からなり、かつ、p型不純物を含むnチ
    ャネル用のチャネル領域と、 上記半導体層のうち上記チャネル領域の下方に設けら
    れ、Siを成分元素として含み上記第1の半導体よりも
    キャリアが走行するバンド端のキャリアに対するポテン
    シャルが大きい第2の半導体からなり、p型不純物を含
    むボディ領域とを備えている半導体装置。
  26. 【請求項26】 請求項25記載の半導体装置におい
    て、 上記半導体層のうち上記チャネル領域と上記ゲート絶縁
    膜との間に設けられ、Siを成分元素として含み、p型
    不純物を含むキャップ層をさらに備えていることを特徴
    とする半導体装置。
  27. 【請求項27】 請求項25又は26記載の半導体装置
    において、 上記ゲート電極と上記ボディ領域とを電気的に接続する
    ための導体部材をさらに備えていることを特徴とする半
    導体装置。
  28. 【請求項28】 請求項25〜27のうちいずれか1つ
    に記載の半導体装置において、 上記基板の少なくとも最上部は絶縁体により構成されて
    いることを特徴とする半導体装置。
  29. 【請求項29】 請求項25〜28のうちいずれか1つ
    に記載の半導体装置において、 上記ゲート電極は、第1導電型不純物を含むポリシリコ
    ン又はポリシリコンゲルマニウムにより構成されている
    ことを特徴とする半導体装置。
  30. 【請求項30】 請求項29に記載の半導体装置におい
    て、 上記第1の半導体はSiGeであり、 上記半導体層の一部には、チャネルへの不純物の拡散を
    防止するための領域であって、0.01%以上で2%以
    下の濃度の炭素を含む領域をさらに備えていることを特
    徴とする半導体装置。
  31. 【請求項31】 請求項25〜30のうちいずれか1つ
    に記載の半導体装置において、 上記第1の半導体はSiGeであり、 上記第2の半導体はSiであることを特徴とする半導体
    装置。
  32. 【請求項32】 請求項31記載の半導体装置におい
    て、 上記基板上に設けられたもう1つの半導体層と、 上記もう1つの半導体層の上に設けられたもう1つのゲ
    ート絶縁膜と、 上記もう1つのゲート絶縁膜の上に設けられたもう1つ
    のゲート電極と、 上記もう1つの半導体層のうち上記もう1つのゲート電
    極の両側方に設けられたp型ソース・ドレイン領域と、 上記もう1つの半導体層のうち上記p型ソース・ドレイ
    ン領域間に位置する領域に設けられ、SiGeからなる
    pチャネル用のチャネル領域と、 上記半導体層のうち上記pチャネル用のチャネル領域の
    下方に設けられ、n型不純物を含むSiからなるn型ボ
    ディ領域とをさらに備え、 相補型デバイスとして機能することを特徴とする半導体
    装置。
  33. 【請求項33】 請求項25〜30のうちいずれか1つ
    に記載の半導体装置において、 上記第1の半導体はSiGeCであり、 上記第2の半導体はSiであることを特徴とする半導体
    装置。
  34. 【請求項34】 請求項32記載の半導体装置におい
    て、 上記基板上に設けられたもう1つの半導体層と、 上記もう1つの半導体層の上に設けられたもう1つのゲ
    ート絶縁膜と、 上記もう1つのゲート絶縁膜の上に設けられたもう1つ
    のゲート電極と、 上記もう1つの半導体層のうち上記もう1つのゲート電
    極の両側方に設けられたp型ソース・ドレイン領域と、 上記もう1つの半導体層のうち上記p型ソース・ドレイ
    ン領域間に位置する領域に設けられ、SiGeCからな
    るpチャネル用のチャネル領域と、 上記半導体層のうち上記pチャネル用のチャネル領域の
    下方に設けられ、n型不純物を含むSiからなるn型ボ
    ディ領域とをさらに備え、 相補型デバイスとして機能することを特徴とする半導体
    装置。
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