JP2001207014A - 軟質ゴム変性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

軟質ゴム変性熱可塑性樹脂組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性に優れ、かつポリオレフィン系樹脂と
の共押し出し性に優れた、非ハロゲン系の軟質樹脂を得
ること。 【解決手段】 下記(A−1)または(A−2)のゴム
変性熱可塑性樹脂10〜90重量%と下記(B)水添ブ
ロック共重合体90〜10重量%を主成分とする軟質ゴ
ム変性熱可塑性樹脂組成物。 (A−1);(C)エチレン−α−オレフィン系共重合
体の存在下に、スチレン、アクリロニトリルおよび(メ
タ)アクリル酸エステルの群から選ばれた少なくとも1
種からなる単量体成分を重合して得られるゴム変性熱可
塑性樹脂。 (B);共役ジエン系化合物と芳香族ビニル化合物とか
らなるブロック共重合体の不飽和部分の70モル%以上
を水素添加した水添ブロック共重合体。 (A−2);上記(B)水添ブロック共重合体の存在下
に、スチレン、アクリロニトリルおよび(メタ)アクリ
ル酸エステルの群から選ばれた少なくとも1種からなる
単量体成分を重合して得られるゴム変性熱可塑性樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非ハロゲン系の軟
質樹脂を目的として設計された、耐候性に優れ、またポ
リオレフィン系樹脂との共押し出し性に優れる軟質ゴム
変性熱可塑性樹脂組成物、ならびにその積層成形品に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来のスチレン系樹脂は、耐衝撃性、剛
性、寸法精度、成形品表面外観に優れ、幅広い分野に使
用されている。また、エチレン−α−オレフィン系共重
合体や水添ブロック共重合体をゴム成分として使用して
いるゴム変性スチレン系樹脂(ゴム変性熱可塑性樹脂)
は、耐候性が良いことが知られている。一方、ポリオレ
フィン系樹脂は、一般に耐薬品性に優れており、かつ低
比重であるという、スチレン系樹脂には備わっていない
特徴を有し、また、スチレン系樹脂に比べて安価なこと
もあり、幅広い分野に使用されている。しかしながら、
スチレン系樹脂との相溶性(接着性)が悪い。そこで、
スチレン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂の両樹脂の優れ
た特性を維持しながら、両樹脂の欠点を解消する試みも
なされているが、実用に耐え得るものは数少ない。近
年、非ハロゲン化により、塩化ビニル系樹脂から非ハロ
ゲン系樹脂への代替が進むなかで、軟質塩化ビニル系樹
脂と同様の物性を有し、かつ耐候性に優れた樹脂が要求
されている。また、ポリオレフィン系樹脂の耐候性向上
を目的として、耐候性樹脂で被覆する要求もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐候性に優
れ、かつポリオレフィン系樹脂との共押し出し性に優れ
た、非ハロゲン系の軟質樹脂を得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(A−
1)ゴム変性熱可塑性樹脂10〜90重量%と下記
(B)水添ブロック共重合体90〜10重量%〔ただ
し、(A−1)+(B)=100重量%〕を主成分とす
る軟質ゴム変性熱可塑性樹脂組成物(以下「組成物
(1)」ともいう)に関する。 (A−1);(C)エチレン−α−オレフィン系共重合
体の存在下に、スチレン、アクリロニトリルおよび(メ
タ)アクリル酸エステルの群から選ばれた少なくとも1
種からなる単量体成分を重合して得られるゴム変性熱可
塑性樹脂。 (B);共役ジエン系化合物と芳香族ビニル化合物とか
らなるブロック共重合体の不飽和部分の70モル%以上
を水素添加した水添ブロック共重合体。また、本発明
は、下記(A−2)ゴム変性熱可塑性樹脂10〜90重
量%と上記(B)水添ブロック共重合体90〜10重量
%〔ただし、(A−2)+(B)=100重量%〕を主
成分とする軟質ゴム変性熱可塑性樹脂(以下「組成物
(2)」ともいい、組成物(1)と組成物(2)を総称
して、「本発明の組成物」ともいう)に関する。 (A−2);上記(B)水添ブロック共重合体の存在下
に、スチレン、アクリロニトリルおよび(メタ)アクリ
ル酸エステルの群から選ばれた少なくとも1種からなる
単量体成分を重合して得られるゴム変性熱可塑性樹脂。
ここで、上記(C)成分は、下記〜の要件を満足す
ることが好ましい。 ポリスチレン換算の分子量が100万以上の成分の含
有率が10重量%以下。 ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が40以下。ま
た、上記(A−1)成分、あるいは、(A−2)成分
の、グラフト率は10〜150%、アセトン可溶分の固
有粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)
は0.2〜1.0dl/gである。さらに、本発明の組
成物から得られる成形品の曲げモジュラスは、100〜
2,300MPaであることが好ましい。次に、本発明
は、本発明の軟質ゴム変性熱可塑性樹脂組成物とポリオ
レフィン系樹脂との積層成形品に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】組成物(1) 組成物(1)は、(A−1);(C)エチレン−α−オ
レフィン系共重合体の存在下に、スチレン、アクリロニ
トリルおよび(メタ)アクリル酸エステルの群から選ば
れた少なくとも1種からなる単量体成分を重合して得ら
れるゴム変性熱可塑性樹脂10〜90重量%と、
(B);共役ジエン系化合物と芳香族ビニル化合物とか
らなるブロック共重合体の不飽和部分の70モル%以上
を水素添加した水添ブロック共重合体90〜10重量%
〔ただし、(A−1)+(B)=100重量%〕を主成
分とする。 (A−1)ゴム変性熱可塑性樹脂;ゴム成分となる
(C)エチレン−α−オレフィン系共重合体は、例え
ば、エチレン/炭素数3〜20のα−オレフィン=5〜
95/95〜5重量%の混合比からなる単量体成分を、
重合して得られる共重合体である。上記炭素数3〜20
のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、
1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ド
デセンなどが挙げられるが、好ましくはプロピレン、1
−ブテン、1−オクテン、さらに好ましくはプロピレン
である。これらのα−オレフィンは、1種単独であるい
は2種以上を併用することができる。α−オレフィンの
炭素数は、3〜20であるが、好ましくは3〜12、さ
らに好ましくは3〜8である。炭素数が20を超える
と、共重合性が極端に低下するため、ゴムとしての性質
が乏しくなり、これを用いたゴム変性熱可塑性樹脂組成
物の衝撃強度が不充分となる。
【0006】上記エチレン/α−オレフィンの重合比
は、5〜95/95〜5、好ましくは50〜90/50
〜10、さらに好ましくは55〜85/45〜15、特
に好ましくは55〜82/45〜18である。α−オレ
フィンの重量比が95を超えると、耐候性が劣り、一
方、5未満では、共重合体のゴム弾性が充分でないた
め、耐衝撃性が発現しない。なお、(C)エチレン−α
−オレフィン系共重合体として、上記エチレンおよびα
−オレフィンのほかに、アルケニルノルボルネン類、環
状ジエン類、脂肪族ジエン類などの非共役ジエンを、3
0重量%以下程度、共重合してもよい。
【0007】(C)エチレン−α−オレフィン系共重合
体は、ポリスチレン換算の分子量が100万以上の成
分の含有率が好ましくは10重量%以下、さらに好まし
くは8重量%以下である。10重量%を超えると、これ
をゴム成分として得られる(A−1)ゴム変性熱可塑性
樹脂を用いた成形品中に、ゲル異物が発生し、成形外観
が悪化する。この分子量は、分子量調節剤の種類や量、
触媒の種類や量を変更することにより、容易に調整する
ことができる。また、(C)エチレン−α−オレフィン
系共重合体は、ムーニー粘度(ML 1+4 ,100℃)
が好ましくは40以下、さらに好ましくは15〜35で
ある。40を超えると、これをゴム成分として得られる
(A−1)ゴム変性熱可塑性樹脂を用いた成形品中に、
ゲル異物が発生し、成形外観が悪化する。このムーニー
粘度は、分子量調節剤の種類や量、モノマー濃度および
反応温度を変更することにより、容易に調整することが
できる。
【0008】(C)エチレン−α−オレフィン系共重合
体の重合反応は、通常、不活性な炭化水素溶媒中で行わ
れる。この不活性炭化水素溶媒としては、例えば、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカ
ンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシク
ロヘキサンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
これらの炭化水素溶媒は、少なくとも1種を用い、原料
の単量体も、炭化水素溶媒として利用することができ
る。
【0009】(C)エチレン−α−オレフィン系共重合
体を製造するには、重合開始剤として、不均一系、均一
系のいずれの触媒も使用できる。ここで、不均一系触媒
としては、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウ
ム化合物とを組み合わせたバナジウム系触媒を挙げるこ
とができ、均一系触媒としては、例えば、メタロセン系
触媒を挙げることができる。特に、炭素数6〜20のα
−オレフィンを用いた上記共重合体を製造するには、メ
タロセン系触媒が有効である。
【0010】本発明の(A−1)ゴム変性熱可塑性樹脂
は、上記(C)エチレン−α−オレフィン系共重合体の
存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物
および(メタ)アクリル酸エステルの群から選ばれた少
なくとも1種の単量体成分を重合して得られる。ここ
で、上記単量体成分に用いられる芳香族ビニル化合物
は、下記(D)ブロック共重合体に使用される芳香族ビ
ニル化合物と同様である。その使用量は、単量体成分中
に、好ましくは5〜100重量%である。また、シアン
化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリルなどが挙げられ、好ましくはアクリロニトリ
ルである。その使用量は、単量体成分中に、好ましくは
0〜40重量%である。さらに、上記(メタ)アクリル
酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミ
ル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸
オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル
酸フェニルなどが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリ
ル酸メチルである。その使用量は、単量体成分中に、好
ましくは0〜95重量%である。
【0011】上記単量体成分の組成は、特に限定されな
いが、下記に示す組成割合が好ましい。 スチレン/アクリロニトリル=85〜55/15〜4
5重量% スチレン/メタクリル酸メチル=80〜20/20〜
80重量% スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル=
65〜20/15〜45/20〜80重量%
【0012】なお、上記単量体成分には、上記単量体の
ほかに、他のビニル系単量体を併用してもよい。この共
重合可能な他のビニル系単量体としては、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和無
水物、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸、マレ
イミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミ
ド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェ
ニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどの
α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物、グリシジ
ルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエ
ポキシ基含有不飽和化合物、アクリルアミド、メタクリ
ルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド、アクリルアミ
ン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエ
ーテル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレン
などのアミノ基含有不飽和化合物、3−ヒドロキシ−1
−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス,トラ
ンス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−
2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒド
ロキシスチレンなどの水酸基含有不飽和化合物、ビニル
オキサゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物な
どが挙げられる。これらの他のビニル系単量体は、上記
単量体成分中に、通常、50重量%未満用いられる。
【0013】なお、(A−1)ゴム変性熱可塑性樹脂中
のゴム成分〔(C)成分〕と上記単量体成分の割合は、
ゴム成分が5〜70重量%、好ましくは10〜65重量
%、単量体成分が95〜30重量%、好ましくは90〜
35重量%である。ゴム成分が5重量%未満では、耐衝
撃性が劣り、一方、70重量%を超えると、重合安定性
が劣る。
【0014】本発明に用いられる(A−1)ゴム変性熱
可塑性樹脂のグラフト率は、好ましくは10〜150
%、さらに好ましくは20〜100%、特に好ましくは
25〜80%である。10%未満では、共重合体(ゴム
成分)と樹脂成分(マトリックス成分)との相溶性が悪
く、耐衝撃強度が劣り、一方、150%を超えると、ゴ
ム的性質が損なわれることから、耐衝撃強度が低くなり
好ましくない。このグラフト率は、重合開始剤の種類・
量、重合温度を変えることにより、さらには単量体成分
の濃度などにより、調整・制御することできる。
【0015】また、本発明の(A−1)ゴム変性熱可塑
性樹脂のマトリックス成分である、アセトン可溶分の固
有粘度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中で測定)
は、好ましくは0.2〜1.0dl/g、さらに好まし
くは0.2〜0.7dl/g、特に好ましくは0.22
〜0.66dl/g、最も好ましくは0.25〜0.6
0dl/gである。0.2dl/g未満では、耐衝撃強
度が低く好ましくなく、一方、1.0dl/gを超える
と、成形加工性が悪く、使用範囲が限定される。この固
有粘度〔η〕は、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、重
合溶媒などの種類や量、さらに重合時間、重合温度など
を変えることにより、調整・制御することができる。
【0016】上記(A−1)ゴム変性熱可塑性樹脂は、
ゴム成分である、(C)エチレン−α−オレフィン系共
重合体の存在下に、上記単量体成分を溶液重合、塊状重
合、懸濁重合、乳化重合などでのラジカルグラフト重合
で製造することができ、その重合法は、目的に応じて適
宜選択することができる。単量体成分は、上記ゴム成分
の存在下に、一括、分割、連続と、添加方法を選択で
き、これらを組み合わせてもよい。また、上記ゴム成分
の全量または一部を、重合途中に添加してもよい。この
ラジカルグラフト重合には、通常、使用されている重合
溶媒(溶液重合の場合)、重合開始剤、連鎖移動剤、乳
化剤(乳化重合の場合)などが用いられ、グラフト重合
の温度は、10〜160℃、好ましくは30〜120℃
である。上記溶液重合法で使用する重合溶媒は、通常の
ラジカル重合で使用される不活性な炭化水素溶媒であ
り、例えば、エチルベンゼン、トルエンなどの芳香族炭
化水素、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン
類、ジクロロメチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭
化水素などが用いられる。その使用量は、上記ゴム成分
および単量体成分の合計量100重量部に対し、好まし
くは20〜200重量部、さらに好ましくは50〜15
0重量部である。
【0017】上記重合開始剤は、それぞれの重合法の種
類に適した一般的な重合開始剤が使用される。溶液重合
の重合開始剤は、例えば、ケトンパーオキサイド、ジア
ルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロ
パーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられ、重合系
に、一括、分割、連続的と、添加方法を自由に選択でき
る。その使用量は、単量体成分に対し、通常、0.05
〜2.00重量%、好ましくは0.2〜0.8重量%で
ある。また、乳化重合法の重合開始剤は、例えば、クメ
ンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハ
イドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキ
サイドなどの有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロ
リン酸処方、スルホキシレート処方などの還元剤との組
み合わせによるレドックス系、あるいは、過硫酸塩、ア
ゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド
などの過酸化物が使用され、好ましくはレドックス系の
油溶性開始剤である。上記油溶性開始剤と水溶性開始剤
とを組み合わせてもよいが、水溶性開始剤の添加比率
は、全添加量の好ましくは50重量%以下、さらに好ま
しくは25重量%以下で、重合系に一括、分割、連続
と、添加方法を自由に選択できる。その使用量は、単量
体成分に対し、通常、0.1〜1.5重量%、好ましく
は0.2〜0.7重量%である。
【0018】上記連鎖移動剤は、オクチルメルカプタ
ン、n−,t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシ
ルメルカプタン、n−,t−テトラデシルメルカプタン
などのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィ
ド、四塩化炭素、臭化エチレン、ペンタフェニルエタン
などの炭化水素類、アクロレイン、メタクロレイン、ア
リルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレー
ト、α−メチルスチレンのダイマーなどが挙げられ、こ
れらは、少なくとも1種で使用することができ、重合系
に、一括、分割、連続と、添加方法を自由に選択するこ
とができる。その使用量は、単量体成分に対し、通常、
2.0重量%以下である。
【0019】上記乳化重合法で使用する乳化剤は、アニ
オン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活
性剤などが挙げられる。アニオン性界面活性剤として
は、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系
塩、脂肪酸塩などが、また、ノニオン性界面活性剤とし
ては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステ
ル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル
型などが、さらに、両性界面活性剤としては、アニオン
部分にカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、
リン酸エステル塩を、カチオン部にアミン塩、第4級ア
ンモニウム塩などを有するものが挙げられる。これらの
界面活性剤の使用量は、単量体成分に対し、通常、0.
3〜5.0重量%程度である。
【0020】(B)水添ブロック共重合体;(B)水添
ブロック共重合体は、共役ジエン系化合物と芳香族ビニ
ル化合物とからなる(D)ブロック共重合体の不飽和部
分(共役ジエン部分の二重結合)の70モル%以上を水
素添加したものである。(D)ブロック共重合体の構造
は、(a−b)n 型(nは1以上、以下同じ)、(a−
b)n −a型、(a−c)n−dm 型(mは1以上、以
下同じ)などのあらゆる構造を有するブロック構造が含
まれ、一般的なブロック共重合体、マルチブロック共重
合体、星型ブロック共重合体でもよい。また、テーパー
型、ラジアルテレブロック型でもよい。上記(D)ブロ
ック共重合体のうち、好ましい例は、(a−b)n 型、
(a−b)n −a型、(a−c)n −dm 型である。
【0021】ここで、上記ブロックaは、芳香族ビニル
化合物からなる重合体ブロックであり、上記ブロックb
は、共役ジエン系化合物、または共役ジエン系化合物お
よび芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックであ
る。また、上記ブロックcは、共役ジエン系化合物およ
び芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックで、共役
ジエン部分の1,2−ビニル結合含量が好ましくは30
〜90モル%、さらに好ましくは30〜80モル%の重
合体ブロックである。30モル%未満では、ゴム的性質
が失われ、一方、90モル%を超えると、耐薬品性が発
現せず好ましくない。さらに、ブロックdは、共役ジエ
ン系化合物からなる重合体ブロックで、共役ジエン部分
の1,2−ビニル結合含量は好ましくは0〜30モル
%、さらに好ましくは0〜20モル%、特に好ましくは
0〜10モル%である。30モル%を超えると、耐薬品
性が悪く好ましくない。
【0022】上記ブロックa,b,cの製造に用いられ
る芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチル
スチレン、o−,m−,p−メチルスチレン、エチルス
チレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレ
ン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、ビニルピ
リジン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロ
ロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、
トリブロモスチレン、フルオロスチレン、p−,t−ブ
チルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。好
ましくは、スチレン、またはスチレンが50重量%以上
の芳香族ビニル化合物である。
【0023】また、上記ブロックb,c,dの製造に使
用される共役ジエン系化合物としては、1,3−ブタジ
エン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジ
エン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペ
ンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル
−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタ
ジエン、クロロプレンなどが挙げられる。工業的に利用
でき、物性の優れた(B)水添ブロック共重合体を得る
には、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0024】上記の共役ジエン系化合物と芳香族ビニル
化合物とからなる(D)ブロック共重合体を製造するた
めの重合反応は、通常、不活性な炭化水素溶媒中で行わ
れる。このような不活性炭化水素溶媒としては、例え
ば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環
族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、デカン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙
げられる。また、重合開始剤としては、例えば、n−ブ
チルリチウムなどの有機リチウム化合物のほか、その他
のアルカリ金属化合物が挙げられる。さらに、ビニル結
合含量の調節剤としては、例えば、テトラヒドロフラ
ン、ヘキサメチルホスホリルトリアミド、チオエーテ
ル、その他の第3級アミンなどの極性有機化合物が挙げ
られる。また、このビニル結合含量は、重合温度によっ
ても制御することができる。上記(D)ブロック共重合
体は、上記製造方法で得られた活性末端を有するブロッ
ク共重合体鎖を、四塩化ケイ素、四塩化スズなどの多官
能性化合物によってカップリングするなどして得られる
分岐状のブロック共重合体であってもよい。
【0025】(B)水添ブロック共重合体は、上記の
(D)ブロック共重合体の不飽和部分、すなわち共役ジ
エン部分の二重結合の70モル%以上、好ましくは80
モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好
ましくは95モル%以上を常法により水素添加して得ら
れる。ここで、ブロックごとの水素添加率は、ブロック
b,c,dに関しては70モル%以上であり、70モル
%未満では、重合中にゲルの発生を招きやすく、結果と
して、安定して重合を行ない難く、好ましくない。この
水素添加は、例えば、触媒の種類や量、添加する水素の
量、さらに重合時間、重合温度などを変更することによ
り、実施される。
【0026】本発明の組成物(1)は、上記(A−1)
ゴム変性熱可塑性樹脂と上記(B)水添ブロック共重合
体とを、10〜90重量%/90〜10重量%、好まし
くは10〜50重量%/90〜50重量%、さらに好ま
しくは10〜30重量%/90〜70重量%〔ただし、
(A−1)+(B)=100重量%〕の組成比で配合し
た組成物であり、これにより、(A−1)ゴム変性熱可
塑性樹脂が軟質化した軟質ゴム変性熱可塑性樹脂組成物
が得られる。本発明の組成物(1)において、(A−
1)成分が10重量%未満では、成形加工性が劣り、一
方、90重量%を超えると、(B)成分による軟質効果
が少なく、またポリオレフィン系樹脂との相溶性(接着
性)が悪く、共押し出し性が劣る。
【0027】組成物(2) 組成物(2)は、(A−2)上記(B)水添ブロック共
重合体の存在下に、スチレン、アクリロニトリルおよび
(メタ)アクリル酸エステルの群から選ばれた少なくと
も1種からなる単量体成分を重合して得られるゴム変性
熱可塑性樹脂10〜90重量%と上記(B)水添ブロッ
ク共重合体90〜10重量%〔ただし、(A−2)+
(B)=100重量%〕を主成分とする。すなわち、組
成物(2)は、組成物(1)における(A−1)ゴム変
性熱可塑性樹脂を構成するゴム成分として、(C)エチ
レン−α−オレフィン系共重合体の代わりに、(B)水
添ブロック共重合体を用いた以外は、組成物(1)と同
様である。したがって、(A−2)ゴム変性熱可塑性樹
脂に用いられる、(B)水添ブロック共重合体、および
単量体成分の種類や量、(A−2)成分のグラフト率
や、アセトン可溶分の固有粘度、(A−2)成分の重合
方法、(A−2)ゴム変性熱可塑性樹脂にブレンドされ
る(B)水添ブロック共重合体なども、すべて組成物
(1)における場合と同様であるので、省略する。な
お、上記ゴム変性熱可塑性樹脂である(A−1)成分と
(A−2)成分とは、併用してもよい。
【0028】本発明の軟質ゴム変性熱可塑性樹脂組成物
は、各成分〔(A−1)および/または(A−2)と
(B)成分〕を、各種押し出し機、バンバリーミキサ
ー、ニーダー、ロール、フィーダー、フィーダールーダ
ーなどを用い、混練り温度180〜280℃で混練りす
ることにより製造することができる。好ましくは、押し
出し機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練り方
法である。ペレット化は、混練りの押し出し機での多段
添加式でも、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練
り後に押し出し機でペレット化することもできる。
【0029】なお、本発明の軟質ゴム変性熱可塑性樹脂
組成物には、難燃剤、フィラー(炭酸カルシウム、タル
ク、ガラスなど)、可塑剤(オイル、流動パラフィンな
ど)、加工助剤(メタブレンなど)、酸化防止剤(イオ
ウ系、リン系、ヒンダードフェノール系など)、光安定
剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、抗菌剤などの
通常用いられる添加剤を添加することができる。また、
本発明の軟質ゴム変性熱可塑性樹脂組成物には、要求さ
れる性能に応じて、他の重合体、例えば、ポリプロピレ
ン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエ
チレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボ
ネートなどの樹脂や、他の熱可塑性エラストマー(TP
E)、例えばTPO、TPEE、TPU、TPS、PA
E、RBなどのエラストマーを適宜ブレンドすることが
できる。
【0030】このようにして得られる本発明の軟質ゴム
変性熱可塑性樹脂組成物は、共押し出しのみでなく、押
し出し成形、真空成形、発泡成形、プレス成形、ブロー
成形、射出成形などにより、各種成形品に成形すること
ができる。また、一般のスチレン系樹脂は、スチレン系
樹脂に備わっていない、優れた耐薬品性、耐熱性、かつ
低比重という特徴を有する一般のポリオレフィン系樹脂
との相溶化(接着性)が悪いが、本発明の軟質ゴム変性
熱可塑性樹脂組成物は、その相溶化性を改良し、ポリオ
レフィン系樹脂との共押し出しに優れる。したがって、
近年、耐候性向上に要求されているポリオレフィン系樹
脂に対し、耐候性樹脂としての被覆が可能である。さら
に、近年、環境問題により、非ハロゲン化が進むなか
で、塩化ビニル系樹脂代替が比較的可能なスチレン系樹
脂の軟質化した本発明の軟質ゴム変性熱可塑性樹脂組成
物は、一般に、スチレン系樹脂に対して軟質である軟質
塩化ビニル系樹脂の代替にかなり有効である。
【0031】以上のようにして得られる本発明の軟質ゴ
ム変性熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品の曲げモ
ジュラスは、好ましくは100〜2,300MPa、さ
らに好ましくは150〜2,000MPaである。10
0MPa未満では、ゴム質感が強く好ましくない。一
方、2,300MPaを超えると、硬質感が強く、軟質
材料と言い難い。この曲げモジュラスは、(A−1)成
分や(A−2)成分であるゴム変性熱可塑性樹脂中のゴ
ム成分の量により、容易に調整することができる。
【0032】本発明の軟質ゴム変性熱可塑性樹脂組成物
は、特にポリオレフィン系樹脂との積層成形品に有用で
ある。ここで、積層成形品に用いられるポリオレフィン
系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂が挙げら
れ、その具体例としては、日本ポリケム(株)製のノバ
テックHC30Tなどが挙げられる。本発明の積層成形
品を得るには、例えば、ダイ部にフィードダイを用いた
2シリンダーの単軸押し出し機を用い、一方にポリオレ
フィン系樹脂を、もう一方に本発明の組成物を投入し、
シリンダーおよびダイ温度を160〜220℃で、ポリ
オレフィン系樹脂と本発明の組成物を、好ましくは9対
1〜5対5の容積比で共押し出しする方法が挙げられ
る。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以
下の実施例になんら制約されるものではない。なお、実
施例中、部および%は、特に断らない限り、重量基準で
ある。また、実施例中の各種評価は、次のようにして測
定されたものである。
【0034】重量平均分子量(Mw)、およびMw10
0万以上の成分の含有率 ウオーターズ(WATERS)社製、150型ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置を用
い、カラムとして東ソー(株)製のHタイプ、溶媒とし
てo−ジクロロベンゼン、流速1ml/分、温度120
℃で測定した。なお、重量平均分子量100万以上の含
有率は、ポリスチレン換算の分子量分布曲線より測定し
た。ムーニー粘度 JIS K6300に準拠し、測定温度100℃、予熱
1分、測定4分の条件で測定した。水添率 四塩化エチレンを溶媒として用い、15%濃度で測定し
た。100MHzの 1H−NMRスペクトルの不飽和結
合部のスペクトル減少から算出した。
【0035】グラフト率 グラフト共重合体(ゴム変性熱可塑性樹脂)の一定量
(x)を、アセトン中に投入し、振とう機で2時間振と
うし、遊離の共重合体を溶解させ、遠心分離機を用いて
この溶液を15,000rpmで30分間、遠心分離
し、不溶分を得た。次に、真空乾燥機を用いて120℃
で1時間乾燥し、乾燥した不溶分(y)を得た。下記式
により、グラフト率を算出した。 グラフト率(%)={〔(y)−(x)×グラフト共重
合体のゴム分率〕/〔(x)×グラフト共重合体のゴム
分率〕}×100
【0036】固有粘度〔η〕 ゴム変性熱可塑性樹脂のマトリックス成分である、アセ
トン可溶分の固有粘度〔η〕を、メチルエチルケトン
中、30℃で測定した。
【0037】シャルピー衝撃強度 ISO 179に準拠して測定した。単位は、kJ/m
2 である。ロックウェル硬度 ASTM D785(R スケール)に準拠して測定し
た。
【0038】曲げモジュラス ASTM D790に準拠して測定した。単位は、MP
aである。共押し出し性 ダイ部にフィードダイを用いた単軸押し出し機を用い、
ポリプロピレン樹脂と本発明の組成物とを、ダイ温度2
20℃で共押し出しし、剥離のし易さを測定した。評価
は、「コート樹脂密着性試験」にて実施した。 コート樹脂密着性試験;試験片に2mm×2mmの基材
に達する碁盤目傷を入れ、セロハンテープを貼り合わせ
たのち、テープを強く引き剥がし、剥離の度合いを下記
の基準で判断した。 ◎;剥離割合が0% ○;剥離割合が1〜20% △;剥離割合が21〜50% ×;剥離割合が51%以上
【0039】成形外観 上記で共押し出しした押し出し成形品の外観を、以下の
目視判定で評価した。 ○;成形品表面にゲル異物が全く観察されない。 △;成形品表面に僅かにゲル異物が観察される。 ×;成形品表面にゲル異物が観察される。
【0040】耐候性 黒色配合したペレット(配合樹脂100部、カーボンブ
ラック0.5部、ステアリン酸カルシウム0.3部)に
よる成形品を、カーボンアークを光源とするサンシャイ
ンウェザーメーター〔スガ試験機(株)製、WEL−6
XS−DC〕に1,000時間曝露し、以下の目視判定
で評価した。 試験条件; ブラックパネル温度 63±3℃ 槽内湿度 60±5%RH 降雨サイクル 2時間毎に18分 カーボン交換サイクル 60時間 ○;変色および光沢低下がほとんどない。 △;光沢の低下が僅かに見られる。 ×;白化、光沢低下などの劣化が見られる。
【0041】参考例1〔水添ブロック共重合体(B−
1)の調製〕 オートクレーブに、脱気・脱水したシクロヘキサン40
0部、スチレン5部、n−ブチルリチウム0.04部を
投入し、60℃で4時間重合し、さらにブタジエン45
部とスチレン15部を加え、60℃で4時間重合し、最
後にブタジエン35部とテトラヒドロフラン0.05部
を加え、60℃で4時間重合した。得られた活性重合体
をメタノールで失活させ、重合体溶液をジャケット付き
の反応器に移し、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ
ールを0.15部と、水添触媒として、ビス(シクロペ
ンタジエニル)チタニウムジクロライド0.07部と、
n−ブチルリチウム0.15部、およびエチルアルミニ
ウムクロライド0.28部を添加し、100℃で10k
gf/cm2 の水素ガス圧力にて1時間水素化反応を行
なった。スチームストリッピングにより、溶剤を除去
し、水添ブロック共重合体B−1を得た。結果を表1に
示す。
【0042】参考例2〔水添ブロック共重合体(B−
2)の調製〕 オートクレーブに、脱気・脱水したシクロヘキサン40
0部、スチレン15部、テトラヒドロフラン0.05
部、n−ブチルリチウム0.04部を投入し、60℃で
4時間重合し、さらにブタジエン70部を加え、60℃
で4時間重合した。得られた活性重合体をメタノールで
失活させ、重合体溶液をジャケット付きの反応器に移
し、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを0.1
5部と、水添触媒として、ビス(シクロペンタジエニ
ル)チタニウムジクロライド0.07部と、n−ブチル
リチウム0.15部、およびエチルアルミニウムクロラ
イド0.28部を添加し、100℃で10kgf/cm
2 の水素ガス圧力にて1時間水素化反応を行なった。ス
チームストリッピングにより、溶剤を除去し、水添ブロ
ック共重合体B−2を得た。結果を表1に示す。
【0043】参考例3〔水添ブロック共重合体(B−
3)の調製〕 水添触媒のビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ
クロライドの添加部数を0.05部にした以外は、上記
B−1と同様の方法で水添ブロック共重合体B−3を得
た。結果を表1に示す。
【0044】参考例4〔エチレン−α−オレフィン系共
重合体(C−1)〜(C−2)の調製〕 表1の(C−1)から(C−2)のJSR(株)製、共
重合ゴムを使用した。
【0045】参考例5〔ゴム変性熱可塑性樹脂(A−
1)の調製〕 リボン型攪拌機を備えた内容量10リットルのステンレ
ス製オートクレーブに、水添ブロック共重合体B−1を
25部、スチレン50部、トルエン150部を仕込み、
攪拌を続けながら昇温し、65℃に達した時点で、アク
リロニトリル25部、t−ドデシルメルカプタン0.1
部、ジベンゾイルパーオキサイド0.5部を添加し、1
00℃に達した後は温度一定に制御しながら、攪拌回転
数200rpmにて重合反応を行なった。約2時間で相
転移し、重合転化率は60%であった。重合反応を継続
し、開始から4時間後に昇温を始め、120℃に達した
後は温度一定に制御しながら、2時間保持したのち、冷
却を開始した。反応終了時の重合転化率は、98%であ
った。90℃まで冷却したのち、2,2−メチレンビス
−4−メチル−6−ブチルフェノールを0.3部添加し
たのち、良く混合し、反応混合物をオートクレーブより
抜き出し、水蒸気蒸留により、未反応物と溶媒を留去し
て、細かく粉砕したのち、40mmφの真空ベント付き
押し出し機(220℃、700mmHg真空)にて、実
質的に揮発分を留去するとともに、ゴム変性熱可塑性樹
脂のペレットを得た。得られたペレットを用い、上記評
価に供した。結果を表2に示す。
【0046】参考例6〔ゴム変性熱可塑性樹脂(A−
2)の調製〕 ゴム成分として、エチレン−α−オレフィン系共重合体
C−1を30部使用し、共重合する単量体の種類・量を
変更する以外は、上記A−1と同様の方法でゴム変性熱
可塑性樹脂A−2を得た。得られたペレットを用い、上
記評価に供した。結果を表2に示す。
【0047】参考例7〔ゴム変性熱可塑性樹脂(A−
3)の調製〕 リボン型攪拌機を備えた内容量10リットルのステンレ
ス製オートクレーブに、水添ブロック共重合体B−1/
2を23/3部、メタクリル酸メチル50部、スチレン
10部、アクリロニトリル14部、トルエン120部を
仕込み、攪拌により溶解させ均一溶液を得たのち、t−
ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.5部、
t−ドデシルメルカプタン0.1部を添加し、攪拌を続
けながら昇温し、100℃に達した後は温度一定に制御
しながら、攪拌回転数200rpmにて重合反応を行な
った。反応を6時間行なって終了した。重合転化率は8
5%であった。100℃まで冷却したのち、2,2−メ
チレンビス−4−メチル−6−ブチルフェノールを0.
2部添加したのち、良く混合し、反応混合物をオートク
レーブより抜き出し、水蒸気蒸留により、未反応物と溶
媒を留去して、細かく粉砕したのち、40mmφの真空
ベント付き押し出し機(220℃、700mmHg真
空)にて、実質的に揮発分を留去するとともに、ゴム変
性熱可塑性樹脂のペレットを得た。得られたペレットを
用い、上記評価に供した。結果を表2に示す。
【0048】参考例8〔ゴム変性熱可塑性樹脂(A−
4)の調製〕 ゴム成分として、水添ブロック共重合体B−3を25部
使用し、上記A−1と同様の方法でゴム変性熱可塑性樹
脂A−4を得た。得られたペレットを用い、上記評価に
供した。結果を表2に示す。
【0049】参考例9〔ゴム変性熱可塑性樹脂(A−
5)の調製〕 ゴム成分として、エチレン−α−オレフィン系共重合体
C−2を30部使用し、共重合する単量体の種類・量を
変更する以外は、上記A−1と同様の方法でゴム変性熱
可塑性樹脂A−5を得た。得られたペレットを用い、上
記評価に供した。結果を表2に示す。
【0050】参考例10〔ゴム変性熱可塑性樹脂(A−
6)の調製〕 テクノポリマー(株)製のTECHNO ABS 11
0を使用した。このゴム変性熱可塑性樹脂(A−6)
は、共役ジエン系共重合体の存在下に、スチレンおよび
アクリロニトリルを重合して得られたABS樹脂であ
る。
【0051】実施例1〜8、比較例1〜3 上記ゴム変性熱可塑性樹脂および水添ブロック共重合体
を、押し出し機にて220℃で混練りして得た軟質ゴム
変性熱可塑性樹脂組成物である実施例1〜8、比較例1
〜3の配合処方および評価結果を表3〜4に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【発明の効果】本発明の軟質ゴム変性熱可塑性樹脂組成
物は、非ハロゲン化した軟質樹脂として、スチレン系樹
脂(ゴム変性熱可塑性樹脂)で設計したものであり、特
に耐候性に優れるため、外装用途を中心とした産業の幅
広い分野で多くの利用が可能である。また、ポリオレフ
ィン系樹脂との共押し出し性に優れるため、ポリオレフ
ィン系樹脂の被覆材としての使用が可能であり、スチレ
ン系/ポリオレフィン系の両樹脂の特性を維持できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 53/02 C08L 53/02 (72)発明者 栗本 英幸 東京都中央区京橋一丁目18番1号 テクノ ポリマー株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AK03B AK12A AK12J AK25A AK25J AK27A AK27J AK28A AK62A AK62J AK74 AL02A AL04A AL04J AL05A AL09A AN02A BA02 BA15 GB07 JA06A JA07A JB16A JB20A JK04A JK07A JK13 JK13A JL00 JL09 4J002 BN06W BN21W BP01X

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A−1)ゴム変性熱可塑性樹脂1
    0〜90重量%と下記(B)水添ブロック共重合体90
    〜10重量%〔ただし、(A−1)+(B)=100重
    量%〕を主成分とする軟質ゴム変性熱可塑性樹脂組成
    物。 (A−1);(C)エチレン−α−オレフィン系共重合
    体の存在下に、スチレン、アクリロニトリルおよび(メ
    タ)アクリル酸エステルの群から選ばれた少なくとも1
    種からなる単量体成分を重合して得られるゴム変性熱可
    塑性樹脂。 (B);共役ジエン系化合物と芳香族ビニル化合物とか
    らなるブロック共重合体の不飽和部分の70モル%以上
    を水素添加した水添ブロック共重合体。
  2. 【請求項2】 下記(A−2)ゴム変性熱可塑性樹脂1
    0〜90重量%と請求項1記載の(B)水添ブロック共
    重合体90〜10重量%〔ただし、(A−2)+(B)
    =100重量%〕を主成分とする軟質ゴム変性熱可塑性
    樹脂組成物。 (A−2);請求項1記載の(B)水添ブロック共重合
    体の存在下に、スチレン、アクリロニトリルおよび(メ
    タ)アクリル酸エステルの群から選ばれた少なくとも1
    種からなる単量体成分を重合して得られるゴム変性熱可
    塑性樹脂。
  3. 【請求項3】 (C)成分が、下記〜の要件を満足
    する請求項1記載のゴム変性熱可塑性樹脂組成物。 ポリスチレン換算の分子量が100万以上の成分の含
    有率が10重量%以下。 ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が40以下。
  4. 【請求項4】 (A−1)成分のグラフト率が10〜1
    50%、アセトン可溶分の固有粘度〔η〕(メチルエチ
    ルケトン中、30℃で測定)が0.2〜1.0dl/g
    である請求項1記載のゴム変性熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (A−2)成分のグラフト率が10〜1
    50%、アセトン可溶分の固有粘度〔η〕(メチルエチ
    ルケトン中、30℃で測定)が0.2〜1.0dl/g
    である請求項2記載のゴム変性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 組成物の曲げモジュラスが100〜2,
    300MPaである請求項1〜5いずれか1項記載の軟
    質ゴム変性熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれか1項記載の軟質ゴ
    ム変性熱可塑性樹脂組成物とポリオレフィン系樹脂との
    積層成形品。
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