JP4404969B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のEP(D)Mおよび芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の不飽和結合部分を水素添加したゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物を主とした単量体成分をグラフト重合して得られる、着色性に優れ、かつフローマークなどの不良現象が著しく改良され、そして耐候性、耐衝撃性、耐薬品性および成形加工性に優れたゴム変性熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
主鎖に実質的に不飽和結合を含まないEPMやEPDMをゴム成分として用い、スチレン、アクリロニトリルなどをグラフト重合して得られるグラフト共重合体(AES樹脂)は、共役ジエン系ゴムを用いたABS樹脂に比べ、紫外線、酸素およびオゾンに対する抵抗性が大きく、格段に耐候性が良いことが知られている。
しかしながら、AES樹脂は、耐薬品性に劣るため、ゴム量を低減するなどの対策が必要であり、その結果、強度が低下し、使用部位や使用方法などに制約を受ける場合がある。
そこで、この耐薬品性を改良するために、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂をブレンドすることが行われているが、AES樹脂は、これらのポリオレフィン系樹脂と相溶性が良いとはいえず、これらの樹脂とブレンドすることにより、耐衝撃性の低下や成形外観の低下などの問題が生じている。
また、SEBSなどのトリブロック型の水添ゴム質重合体をゴム成分としたグラフト共重合体をポリオレフィン系樹脂とブレンドする方法も知られているが、SEBSなどの硬質なブロックを両末端に持つブロック共重合体を使用すると、ゴムが拘束されやすく、ポリオレフィン系樹脂との相溶性が充分とはいえない。このため、これらのブレンド樹脂組成物は、耐衝撃性が発現されず、使用方法などに制約を受ける。
さらに、SEBSなどの水添ゴムをゴム成分とした場合、スチレンブロックにより、耐薬品性が低下するという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、着色性、耐薬品性、衝撃強度に著しく優れた耐候性のゴム変性熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(I)下記ゴム変性熱可塑性樹脂2〜70重量部、(II)ポリオレフィン系樹脂1〜50重量部、および(III)上記(I)成分以外の他の(ゴム変性)熱可塑性樹脂0〜50重量部〔ただし、(I)+(II)+(III)=100重量部〕を主成分とする熱可塑性樹脂組成物に関する。
(I)ゴム変性熱可塑性樹脂;
エチレン60〜95重量%、炭素数3〜18のα−オレフィン40〜5重量%および非共役ジエン0〜20重量%(ただし、エチレン+α−オレフィン+非共役ジエン=100重量%)からなり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.2〜5であるゴム質重合体(イ)90〜10重量%、芳香族ビニル化合物および共役ジエン系化合物からなるブロック共重合体の不飽和結合部分を95モル%以上水素添加した下記ゴム質重合体(ロ)10〜90重量%〔ただし、(イ)+(ロ)=100重量%〕を10〜100重量%、ならびに芳香族ビニル化合物および共役ジエン系化合物からなるブロック共重合体の不飽和結合部分を95モル%以上水素添加した下記ゴム質重合体(ハ)90〜0重量%〔ただし、(イ)+(ロ)+(ハ)=100重量%〕の存在下に、芳香族ビニル化合物8〜85重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/またはシアン化ビニル化合物からなる共重合可能な他のビニル系単量体92〜15重量%(ただし、芳香族ビニル化合物+共重合可能な他のビニル系単量体=100重量%)からなる単量体成分をグラフト重合してなり、グラフト率が20%以上45%未満、アセトン可溶分の固有粘度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中で測定)が0.2〜0.7dl/gであるゴム変性熱可塑性樹脂。
ゴム質重合体(ロ);
(A−B)nAm
(式中、Aは芳香族ビニル化合物重合体ブロック、Bは共役ジエン系化合物の水添重合体ブロックを示し、n≧2、mは0または1である。)
ゴム質重合体(ハ);
A−B−Am
(式中、A,B,mは上記に同じ。)
ここで、(I)ゴム変性熱可塑性樹脂を構成するゴム質重合体(ロ)〜(ハ)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは、それぞれ、6万〜30万である。
また、(I)ゴム変性熱可塑性樹脂中のゴム質重合体重合体(イ)〜(ハ)の合計の使用量は、好ましくは、12〜40重量%である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、特定のエチレン−α−オレフィン−(非共役ジエン)共重合体〔EP(D)M〕(以下「エチレン−α−オレフィン系共重合体」ともいう)と水添ゴム(水添ブロック共重合体)の存在下に、芳香族ビニル化合物を主体とする単量体成分をグラフト重合させることにより、着色性、耐薬品性、衝撃強度に著しく優れた耐候性のゴム変性熱可塑性樹脂を得るものである。
本発明のゴム変性熱可塑性樹脂は、上記特定のゴム質重合体(イ)〜(ロ)、さらにこれらと必要に応じてゴム質重合体(ハ)の存在下に、芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分をグラフト重合して得られる。
【0006】
本発明に使用されるゴム質重合体(イ)は、エチレン−α−オレフィン−(非共役ジエン)共重合体である。
ここで、α−オレフィンは、炭素数3〜18、好ましくは3〜10、特に好ましくは3〜8である。好ましいα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルペンテン−1、オクテン−1などが挙げられる。特に好ましくは、ブテン−1、オクテン−1である。
また、必要に応じて用いられる非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。
特に好ましいゴム質重合体(イ)は、ブテン−1、オクテン−1とエチレンの共重合体である、エチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴムである。
ゴム質重合体(イ)としては、ゴム構造として、室温でゴム状の性質を示すものであれば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、あるいはこれらの組み合わせのいずれもでもよい。
【0007】
上記ゴム質重合体(イ)は、エチレン/α−オレフィンの比率が、エチレン60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%、α−オレフィン40〜5重量%、好ましくは30〜10重量%、非共役ジエン0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が、1.2〜5、好ましくは1.4〜3.5、特に好ましくは1.5〜3である。
エチレン含量が60重量%未満、あるいはα−オレフィン含量が40重量%を超えると、成形加工性が悪化し、一方、エチレン含量が95重量%を超え、あるいはα−オレフィン含量が5重量%未満では、ゴム的性質が低下し、耐衝撃性が悪化するため好ましくない。また、非共役ジエン含量が20重量%を超えると、グラフト重合中にゲルの発生などを招き、結果的に樹脂の外観悪化につながるため好ましくない。
また、上記分子量分布Mw/Mnが1.2未満では、耐衝撃性と流動性のバランスが悪くなり好ましくなく、一方、5 を超えると、重合中にゲルの発生などを招き、結果的に成形品の外観低下が生じ好ましくない。
【0008】
次に、本発明に使用されるゴム質重合体(ロ)、(ハ)は、芳香族ビニル化合物重合体ブロックAと、共役ジエン系化合物重合体ブロックの不飽和結合部分を95モル%以上水素添加して得られるブロックBからなる水添ブロック共重合体である。
ゴム質重合体(ロ)におけるnは、2以上である。nが1の場合には、ゴム質重合体(ハ)と同一のブロック構造となり、耐温灯油性やオレフィン系樹脂との相溶性が低下し好ましくない。
【0009】
ゴム質重合体(ロ)〜(ハ)における芳香族ビニル化合物重合体ブロックAの割合は、ブロック共重合体中に10〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは、13〜40重量%である。10重量%未満では、樹脂の表面外観が低下し好ましくなく、一方、50重量%を超えると、耐衝撃性が発現されず、好ましくない。
また、ゴム質重合体(ロ)〜(ハ)におけるブロックBは、共役ジエン系化合物重合体ブロックの水添部分からなり、その水素添加率は、95モル%以上、好ましくは97%以上である。水素添加率が95モル%未満では、グラフト重合中にゲルの発生を招来し、安定的な重合ができず、好ましくない。
なお、ブロックBの1,2−ビニル結合含量は、10〜90モル%が好ましく、30〜80モル%がさらに好ましい。1,2−ビニル結合含量が10モル%未満では、ゴム的性質が失われ、耐衝撃性の低下を招き好ましくなく、一方、90モル%を超えると、耐薬品性が発現されず好ましくない。
【0010】
ゴム質重合体(ロ)〜(ハ)に用いられる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル化合物は、単独であるいは2種以上混合して用いられる。
【0011】
また、ゴム質重合体(ロ)〜(ハ)に用いられる共役ジエン系化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、工業的に利用でき、物性の優れた水添ジエン系ゴム質重合体を得るには、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0012】
なお、ゴム質重合体(ロ)〜(ハ)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)(以下「分子量」ともいう)は、6万〜30万が好ましく、さらに好ましくは、7万〜25万である。6万未満では、耐衝撃性が発現せず、一方、30万を超える高分子量のものであると、成形時にフローマークなどの成形外観の悪化を招き好ましくない。また、ゴム質重合体(ロ)〜(ハ)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.1〜3、さらに好ましくは1.15〜2.5である。Mw/Mnが1.1未満では、耐衝撃性と流動性のバランスが悪く好ましくなく、一方、3を超えると、フローマークの発生などにより、外観悪化の原因となるため好ましくない。
【0013】
ゴム質重合体(ロ)を構成する水添前のブロック共重合体を得るには、シクロヘキサンなどの不活性溶媒中で、重合触媒としてn−ブチルリチウムなどの有機リチウム化合物または他のアルカリ金属化合物を用い、必要に応じて、ビニル結合含量を調節するため、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルホスホリルトリアミド、チオエーテル、その他の第3級アミンなどの極性有機化合物を用い、例えば、芳香族ビニル化合物、共役ジエン系化合物、芳香族ビニル化合物、共役ジエン系化合物の順でブロック共重合を行う。
また、上記方法で得られた活性末端を有する重合体鎖を、4塩化ケイ素、四塩化スズなどの多官能性化合物によって、カップリングするなどして、分岐状の重合体を得てもよい。さらに、これらの分岐状重合体を、上記ブロック共重合体に混合してよい。
ゴム質重合体(ハ)を構成する水添前のブロック共重合体も、基本的には、上記ブロック共重合体と同様にして製造される。
また、ゴム質重合体(ロ)〜(ハ)を得るには、上記ブロック共重合体を、ジ−p−トリルビス(1−シクロペンタジエン)チタニウム/シクロヘキサン溶液などの水添触媒を加えて水素添加することによって得られる。
【0014】
上記ゴム質重合体(イ)と(ロ)の使用割合は、(イ)〜(ロ)成分中に、(イ)成分が90〜10重量%、好ましくは70〜30重量%、さらに好ましくは65〜40重量%、(ロ)成分が10〜90重量%、好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは35〜60重量%である。(イ)成分の使用割合が90重量%を超えると、耐ガソリン性に代表される耐薬品性が低下し、一方、10重量%未満では、耐衝撃性と外観のバランスが良好でなく好ましくない。
また、(イ)〜(ハ)成分中における、上記(イ)〜(ロ)成分と(ハ)成分の使用割合は、(イ)〜(ロ)成分が10〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、さらに好ましくは60〜90重量%、(ハ)成分が90〜0重量%、好ましくは80〜0重量%、さらに好ましくは50〜0重量%、特に好ましくは40〜10重量%である。(ハ)成分が90重量%を超えると、耐温灯油性などの耐薬品性が悪化し、また組成物とした場合、後記のポリオレフィン系樹脂との相溶性が悪化するため好ましくない。
【0015】
本発明のゴム変性熱可塑性樹脂は、上記ゴム質重合体(イ)〜(ロ)、およびこれらと必要に応じて用いられるゴム質重合体(ハ)の存在下に、芳香族ビニル化合物、および必要に応じてこれと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分をグラフト重合して得られる。
ここで、単量体成分を構成する芳香族ビニル化合物としては、ゴム質重合体(ロ)〜(ハ)を構成する芳香族ビニル化合物と同様であるが、好ましくはスチレンまたは芳香族ビニル化合物中のスチレンを50重量%以上含むものである。
【0016】
また、芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体としては、メチルメタクリレート、ブチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてはメチルメタクリレートが好ましく、シアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリルが好ましい。これらの他のビニル系単量体は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0017】
単量体成分の使用割合は、芳香族ビニル化合物が、好ましくは8〜85重量%、さらに好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは11〜75重量%、他のビニル系単量体が、好ましくは92〜15重量%、さらに好ましくは90〜20重量%、特に好ましくは89〜25重量%である。芳香族ビニル化合物が、8重量%未満では、樹脂の熱安定性が低下し好ましくなく、一方、85重量%を超えると、樹脂の靱性が低下し好ましくない。
【0018】
なお、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂中のゴム量、すなわち上記ゴム質重合体(イ)〜(ハ)の合計の使用量は、好ましくは12〜40重量%、さらに好ましくは15〜35重量%、特に好ましくは18〜32重量%である。12重量%未満では、耐衝撃性と外観のバランスが悪く、一方、40重量%を超えると、外観の悪化が著しく好ましくない。
【0019】
本発明のゴム変性熱可塑性樹脂のグラフト率は、20%以上、45%未満、好ましくは20〜43%、さらに好ましくは22〜40%である。グラフト率が45%以上では、外観と耐衝撃性のバランスが悪くなり好ましくない。
グラフト率は、重合開始剤、連鎖移動剤、溶媒の量などにより調整することができる。例えば、グラフト率を大きくするためには、重合開始剤の使用量を増やし、使用する溶媒の量を減らすことが効果的である。逆に、グラフト率を小さくするためには、重合開始剤の量を減らすほかに、連鎖移動剤の量を増やすことや、溶媒の量を増やすことが挙げられる。
ここで、グラフト率(%)は、ゴム変性熱可塑性樹脂1g中のゴム成分重量をx、アセトン不溶分重量をyとすると、次式により求められた値である。
グラフト率(%)=〔(y−x)/x〕×100
【0020】
また、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂のマトリックス成分であるアセトン可溶分の固有粘度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中で測定)は、0.2〜0.7dl/g、好ましくは0.22〜0.65dl/g、さらに好ましくは0.25〜0.6dl/gである。この固有粘度〔η〕が0.2dl/g未満では、耐衝撃性が低下し好ましくなく、一方、0.7dl/gを超えると、成形加工性が低下し好ましくない。
上記固有粘度〔η〕は、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さらに重合時間、重合温度などを変えることにより、容易に制御することができる。
【0021】
なお、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂は、その全光線透過率が、好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上である。20%未満では、着色性が低下し、外観も悪くなるので好ましくない。
ここで、全光線透過率は、使用するゴム質重合体(イ)、(ロ)のスチレン含量を増減することにより調整することができる。すなわち、スチレン含量を増やすと、ゴム質重合体の屈折率が高くなり、マトリックス成分の屈折率に近づけることができるため、全光線透過率を高くすることができる。
【0022】
本発明のゴム変性熱可塑性樹脂は、ゴム質重合体(イ)〜(ロ)、または(イ)〜(ハ)の存在下に、芳香族ビニル化合物を主成分とする上記単量体成分を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などでラジカルグラフト重合を行い、製造することができる。好ましくは、溶液重合、塊状重合、懸濁重合である。
なお、上記ラジカルグラフト重合には、重合開始剤、連鎖移動剤などが用いられる。
また、ゴム変性熱可塑性樹脂を製造するのに用いるゴム質重合体および単量体成分は、ゴム質重合体全量の存在下に、単量体成分を一括添加して重合してもよく、分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、これらを組み合わせた方法で、重合してもよい。さらに、ゴム質重合体の全量または一部を、重合途中で添加して重合してもよい。
【0023】
重合開始剤としては、クメンヒドロキシパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどで代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方などで代表される還元剤との組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物が使用される。好ましくは、油溶性開始剤であり、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドと含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方などで代表される還元剤との組み合わせによるレドックス系がよい。また、上記油溶性開始剤と水溶性開始剤とを組み合わせてもよい。組み合わせる場合の水溶性開始剤の添加比率は、全添加量の好ましく50重量%以下、さらに好ましく25重量%以下である。さらに、重合開始剤は、重合系に一括または連続的に添加することができる。重合開始剤の使用量は、単量体成分に対し、通常、0.1〜1.5重量%、好ましくは0.2〜0.7重量%である。
【0024】
また、連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィド、四塩化炭素、臭化エチレンおよびペンタフェニルエタンなどの炭化水素類、またはアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンのダイマーなどが挙げられる。これらの連鎖移動剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤の使用方法は、一括添加、分割添加、または連続添加のいずれの方法でも差し支えない。連鎖移動剤の使用量は、単量体成分に対し、通常、0.05〜2.0重量%程度である。
なお、ゴム変性熱可塑性樹脂は、重合温度10〜140℃、好ましくは30〜130℃の条件下で、溶液重合または懸濁重合することが望ましい。
【0025】
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記(I)ゴム変性熱可塑性樹脂と(II)ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じて(III)上記(I)成分以外の他の(ゴム変性)熱可塑性樹脂を主成分とする組成物である。
ここで、(II)ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1などのα−オレフィン単独重合体が挙げられる。代表例としては、高密度、中密度、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、プロピレン単独重合体、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1などが挙げられる。これらのうちでも、結晶性のポリエチレン、結晶性ポリプロピレンが好ましい。
【0026】
ここで、結晶性のポリプロピレンとしては、例えば結晶性を有するアイソタクチックポリプロピレン単独重合体が好ましく挙げられる。
【0027】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられることのある(III) 上記(I)成分以外の他の(ゴム変性)熱可塑性樹脂としては、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、アクリルゴム強化AS樹脂、AS樹脂など挙げられる。また、これらの樹脂を少量の官能基で変性された変性ゴム変性熱可塑性樹脂であってもよい。これらのなかでは、ABS樹脂、AES樹脂、アクリルゴム強化AS樹脂、AS樹脂が好ましい。
【0028】
本発明の熱可塑性樹脂組成物における、本発明の(I)ゴム変性熱可塑性樹脂の配合量は、(I)〜(III) 成分の合計量100重量部中、2〜70重量部、好ましくは5〜60重量部、さらに好ましくは10〜55重量部である。2重量部未満では、耐衝撃性の改良効果が発現せず、一方、60重量部を超えると、耐薬品性が低下し好ましくない。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物における(II) ポリオレフィン系樹脂の配合量は、(I)〜(III) 成分の合計量100重量部中、1〜50重量部、好ましくは5〜45重量部、さらに好ましくは10〜40重量部である。1重量部未満では、ポリオレフィン系樹脂の特徴である耐薬品性などの物性が発現せず好ましくない。一方、50重量部を超えると、耐衝撃性の低下を招き好ましくない。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物における、(III) 他の(ゴム変性)熱可塑性樹脂の配合量は、(I)〜(III) 成分の合計量100重量部中、0〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜35重量部である。50重量部を超えると、外観が悪化するため好ましくない。
【0029】
なお、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂や熱可塑性樹脂組成物には、目的に応じて上記以外の他の重合体をブレンドすることができる。
この他の重合体としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。これらの他の重合体は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0030】
また、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂や熱可塑性樹脂組成物には、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤や、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤、増強剤など、通常使用される添加剤を配合することができる。
【0031】
本発明のゴム変性熱可塑性樹脂に上記添加剤を配合したり、または本発明の熱可塑性樹脂組成物を得たり、もしくはこの組成物に上記添加剤をさらに配合するには、各種押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダーなどを用い、各成分を混練りすることにより得られる。好ましい製造方法は、押し出し機、バンバリーミキサーを用いる方法である。混練り温度は、好ましくは150〜270℃、さらに好ましくは170〜250℃、特に好ましくは200〜230℃である。270℃を超えると、樹脂の分解が起こり好ましくない。また、各成分を混練りするに際しては、各成分を一括して混練りしてもよく、数回に分けて添加混練りしてもよい。混練りは、押し出し機で多段添加式で混練りしてもよく、またバンバリーミキサー、ニーダーなどで混練りし、その後、押し出し機でペレット化することもできる。
【0032】
このようにして得られる本発明のゴム変性熱可塑性樹脂や熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、シート押し出し、真空成形、異形成形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、ブロー成形などによって、各種成形品に成形することができる。
本発明のゴム変性熱可塑性樹脂や熱可塑性樹脂組成物は、成形外観、耐候性、耐衝撃性、成形加工性、耐薬品性に優れており、これらの特性を生かして、OA・家電分野、電気・電子分野、雑貨分野、サニタリー分野、自動車分野などの各種パーツ、ハウジング、シャーシー、トレーなどに使用することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に何等制約されるものではない。
なお、実施例中、部および%は特に断らない限り重量基準である。また、実施例中の各種評価は、次のようにして測定したものである。
【0034】
水添率
四塩化エチレンを溶媒として用い、15%濃度で測定した100MHzの 1H−NMRスペクトルの不飽和結合部のスペクトル減少から算出した。
重量平均分子量(分子量)、Mw/Mn
竹内著、ゲルパーミエーションクロマトグラフ、丸善(株)刊に準じて、次のようにして測定した。
〔1〕分子量既知の標準ポリスチレン〔東洋ソーダ(株)製、単分散ポリスチレン〕を使用して、分子量MとそのGPC(Gel Permeation Chromatograph)カウントを測定し、分子量MとEV(溶出量)(Elution Volume)の相関図較正曲線を作図する。このときの濃度は、0.02%とする。標準ポリスチレンによる較正曲線を、ユニバーサル法により、EBM〔日本合成ゴム(株)製、EBM2041P〕の較正曲線に補正する。
〔2〕GPC測定法により、試料のGPCパターンをとり、上記〔1〕によりMを知る。その際のサンプル調整条件およびGPC測定条件は、以下のとおりである。
【0035】
サンプル調製;
(a)o−ジクロロベンゼン溶媒に、老化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−クレゾールを0.08%添加し、溶解する。
(b)試料を0.1%になるように、o−ジクロロベンゼン溶媒とともに三角フラスコに分取する。
(c)三角フラスコを120℃に加温し、約60分間攪拌し、試料を溶解させる。
(d)その溶液をGPCにかける。なお、GPC装置内で、自動的に0.5ミクロンの焼結フィルターでろ過させる。
【0036】
GPC測定条件;
(a)装置;Waters社製、150C型
(b)カラム;東洋ソーダ(株)製、Hタイプ
(c)サンプル量;500μl
(d)温度;120℃
(e)流速;1ml/分
(f)カラム総理論段数 1*10 2*1(アセトンによる測定値)
【0037】
スチレンブロック含有率
13C−NMRを用い、スチレン重合体ブロックと共役ジエン系化合物の水添重合体ブロックの組成比率を求めた。
エチレン含量
エチレン−α−オレフィン系共重合体を、 1H−NMR、13C−NMRを用いて、エチレン/α−オレフィン組成比を求め、これとあらかじめ求めておいた赤外分析の結果との関係を示す検量線を作製した。この検量線を基に、各実施例で得られる共重合体の組成を求めた。
【0038】
ヨウ素価
滴定法であらかじめヨウ素価を求めておいた標準試料の赤外吸収値を測定し、これを基にしてヨウ素価と赤外吸収値との関係を示す赤外分光検量線を作製し、この検量線を用いて、実施例で得られた共重合体の赤外吸収値から、そのヨウ素価を求めた。
【0039】
グラフト率
グラフト共重合体(ゴム変性熱可塑性樹脂)の一定量(z)をアセトン中に投入し、振とう機で2時間振とうし、遊離の共重合体を溶解させる。遠心分離器を用いて、この溶液を15,000rpmで30分間、遠心分離し、不溶分を得る。次に、真空乾燥により、120℃で1時間乾燥し、アセトン不溶分(y)を得る。グラフト率は、次式より算出した。
グラフト率(%)={〔(y)−(z)×グラフト共重合体のゴム分率〕/〔(z)×グラフト共重合体のゴム分率〕}×100
固有粘度
上記で得られたアセトン可溶分を乾燥後、メチルエチルケトンに溶解し、濃度0.5%の溶液としたのち、ウベローデ型粘度管を用い、30℃の流下時間を測定することにより求めた。
【0040】
全光線透過率(曇価)
ASTM D1003(3.2mm厚)の方法により測定した。
アイゾット衝撃強度
ASTM D256に準拠して測定した(断面1/4×1/2インチ、ノッチ付き)。
落錘衝撃強度
デュポンインパクトテスターを用い、打撃棒先端R=1/2″で、厚み1.6mmの成形品の落錘衝撃強度を測定した。
【0041】
耐候性
カーボンアークを光源とするサンシャインウェザオメーター〔スガ試験機(株)製、WEL−6XS−DC〕に1,000時間曝露し、アイゾット衝撃強度を測定し、保持率を算出した。
試験条件;
ブラックパネル温度 63±3℃
槽内湿度 60±5%RH
降雨サイクル 2時間毎に18分
カーボン交換サイクル 60時間
アイゾット衝撃強度 ASTM D256
【0042】
着色性
熱可塑性樹脂を下記配合処方で配合し、押し出し機を通して着色ペレットを得た。これをさらに成形して、色調評価プレートを得た。なお、黒色配合物の着色性については、色差計により明度を測定し、マンセル色数値(値が大きいほど、着色性が悪い)で表した。他の着色配合については、彩度を目視で判定した。
黒色配合;
樹脂 100部
カーボンブラック 0.5部
ステアリン酸カルシウム 0.3部
赤色配合;
樹脂 100部
ベンガラ 1.0部
ステアリン酸カルシウム 0.3部
判定基準;
◎;非常に鮮明である。
○;鮮明である。
△;○と×の間
×;鮮明さが不足
××;鮮明さがない。
【0043】
フローマーク
型締め圧力120トンの射出成形機を用い、肉厚2.5mm、縦横の長さがそれぞれ150×150mmの平板を成形し(成形温度210℃)、フローマークの発生状況を目視で判定した。
○;表面の光沢ムラがない。
×;表面の光沢ムラがある。
表面光沢
ASTM D523(450)の方法に準拠して測定した。
【0044】
耐温灯油性
黒色ペレット(配合処方;樹脂100部、カーボンブラック0.5部、ステアリン酸カルシウム0.3部)による成形品を、JIS 6号灯油(灯油温度80℃)に浸漬し、50℃で1時間放置したのち、表面を拭き取り、乾燥後、異常の有無を判断した。
◎;変色が全く見られない。
○;変色が若干認められる。
×;白化、光沢低下などの変化が認められる。
【0045】
表面外観
型締め圧力30トンの射出成形機を用いて、肉厚2.4mm、縦・横が80×50mmの成形品成形し、この成形品の表面外観を目視にて観察した。
○;艶ムラ、肌荒れ、表面の剥離がない。
△;一部に、艶ムラ、肌荒れがある。
×;艶ムラ、肌荒れ、表面の剥離がある。
【0046】
参考例1(水添ブロック共重合体b−1の製造)
オートクレーブ中に、シクロヘキサン400部、1,3−ブタジエン15部、テトラヒドロフラン0.05部、n−ブチルリチウム0.04部を加え、60℃で4時間重合したのち、スチレンを10部加え、60℃で4時間重合し、さらに1,3−ブタジエンを65部加え、60℃で4時間重合し、最後にスチレンを10部加え、60℃で4時間重合した。
得られた活性重合体を、メタノールで失活させ、重合体溶液をジャケット付きの反応器に移し、水添触媒として、ジ−p−トリルビス(1−シクロペンタジエニル)チタニウム/シクロヘキサン溶液(濃度1mmol/l)250mlと、n−ブチルリチウム溶液(濃度5mmol/l)50mlとを、0℃、2.0kg/cm2 の水素圧下で混合したものを添加し、水素分圧3.0kg/cm2 にて30分間、トルエンを重合体あたり0.2部添加して、溶剤を除去した。この方法により得られた水添ブロック共重合体(以下「水添ゴム」ともいう)をb−1とする。
【0047】
参考例2(水添ブロック共重合体b−2の製造)
参考例1で使用した方法により、1,3−ブタジエンをイソプレンに変更し、これに水素添加を行い、水添ブロック共重合体b−2を得た。
【0048】
参考例3(水添ブロック共重合体b−3の製造)
オートクレーブ中に、シクロヘキサン400部、スチレン15部、テトラヒドロフラン0.05部、n−ブチルリチウム0.04部を加え、60℃で4時間重合し、1,3−ブタジエンを70部加え、60℃で4時間重合し、最後にスチレンを15部加えて、60℃で4時間重合した。この重合体溶液を、参考例1と同様にして水素添加を行い、水添ブロック共重合体b−3を得た。
【0049】
参考例4〜6(水添ブロック共重合体b−4〜6の製造)
参考例1と同様の方法により、スチレン含有量、水素添加率、分子量、ブロック構造が異なる、水添ブロック共重合体b−4〜6を得た。
これらの水添ブロック共重合体の詳細を、表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 0004404969
【0051】
*)Sはスチレン重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、Iはイソプレン重合体ブロックを示す。
【0052】
参考例7(エチレン−α−オレフィン系共重合体c−1の製造)
内容積10リットルの連続重合装置を用いて、共重合を行った。窒素ガスで充分置換された重合容器に、エチルセスキ−アルミニウムクロライド6.5g/時間、三塩化オキシバナジウム0.15g/時間、n−ヘキサン7.2リットル/時間、ブテン−1を615g/時間の流量で連続供給し、温度20℃に維持し、水素を3Nリットル/時間の流量で、かつ圧力を3.0kg/cm2 ・Gになるようにエチレンを連続供給し、滞留時間1時間の条件で重合を行った。
反応器から抜き出された重合液に、反応停止剤として少量の水を加え、溶媒を水蒸気蒸留にて系外へ追い出し、仕上げ工程にて乾燥し、共重合体c−1を得た。
【0053】
参考例8(エチレン−α−オレフィン系共重合体c−2の調製)
市販のエチレン−オクテンゴム〔デュポンダウ(株)製、ENGAGE8200、オクテン含量24%、Mw/Mn=1.8〕を用いた。
参考例9〜12(エチレン−α−オレフィン系共重合体c−3〜6の製造)
共重合体c−1と同様の方法で、触媒量、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)供給量、水素供給量、重合温度を変え、さらに圧力を1.5〜8kg/cm2 ・Gの範囲で変えて、エチレンを連続供給し、重合を行った。
これらのエチレン−α−オレフィン系共重合体の詳細を、表2に示す。
【0054】
【表2】
Figure 0004404969
【0055】
調製例1(ゴム変性熱可塑性樹脂の製造)
リボン型攪拌翼を備えた内容積10リットルのステンレス製オートクレーブに、水添ブロック共重合体b−1と共重合体c−1を合計26部、スチレンを52部、アクリロニトリルを22部、トルエンを120部およびt−ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み、攪拌し、75℃で均一溶液にして、水添ブロック共重合体などの固形分が溶解したことを確認したのち、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートを添加し、さらに昇温し、95℃に一定に制御しながら、攪拌回転数200rpmにて重合反応を行った。反応開始後、6時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、さらに2時間反応を行って終了した。重合転化率は97%であった。
100℃まで冷却後、2,2−メチレンビス−4−メチル−6−ブチルフェノール0.2部を添加したのち、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により、未反応物と溶媒を留去し、細かく粉砕したのち、40mmφのベント付き押し出し機(220℃、700mmHg真空)にて、実質的に揮発分を留去するとともに、重合体をペレット化した。これを、樹脂A1とする。結果を表3に示す。
【0056】
調製例2〜8、比較調製例1〜10(ゴム変性熱可塑性樹脂の製造)
使用するゴム質重合体(水添ゴム、共重合体)の種類、量、使用する単量体成分の組成比率を変更して、調製例の樹脂A2〜A8、比較調製例の樹脂A9〜A18を得た。結果を表3〜4に示す。
【0057】
表3から、調製例1〜8のゴム変性熱可塑性樹脂A1〜A8は、塗装などの表面処理をしないことを前提とした耐候性樹脂に求められる要件、すなわち耐衝撃性、全光線透過率、成形外観(着色性、フローマークなど)、耐候性をすべて満足するものが得られる。
これに対し、表4から明らかなように、比較調製例1(樹脂A9)は、水添ゴムの水添率が低いため、耐候性が悪いものになっている。比較調製例2〜3(樹脂A10〜11)では、ブテン−1含量が本発明の範囲から外れる場合である。比較調製例2(樹脂A10)では、耐温灯油性が低下し、比較調製例3(樹脂A11)では、成形外観が低下した。比較調製例4(樹脂A12)では、エチレン−α−オレフィン系共重合体のみをゴム質重合体として用いたもので、外観の低下が著しかった。比較調製例5(樹脂A13)は、ゴム質重合体として、ゴム質重合体(ハ)のみを用いたものであり、耐温灯油性が悪化した。比較調製例6(樹脂A14)は、グラフト率が本発明の範囲を外れる場合であり、外観と衝撃強度のバランスが低い。比較調製例7(樹脂A15)は、エチレン−α−オレフィン系共重合体の分子量分布が広すぎるもので、耐温灯油性が低下した。比較調製例8(樹脂A16)は、本発明のゴム質重合体(ロ)を用いていない例であり、外観と衝撃強度のバランスが悪く、後記するように、ポリオレフィン系樹脂との相溶性が悪く、得られる組成物の耐衝撃性が低下する。比較調製例9〜10(樹脂A17〜18)は、グラフトする単量体成分が本発明を外れる例であり、透明性、耐衝撃性、耐温灯油性などのバランスが悪い。
【0058】
【表3】
Figure 0004404969
【0059】
【表4】
Figure 0004404969
【0060】
参考例13(ABS樹脂の製造)
常法により製造したポリブタジエンラテックスで、トルエンゲル分が80%、粒径(ラテックスを乾燥し、フィルム状にしたものを電子顕微鏡写真により測定)が200nmのものを固形分換算で40部、内容積10リットルのセパラブルフラスコに仕込んだ。これに、脱イオン水100部を加えて攪拌したのち、窒素置換を実施した。これに、スチレン15部とアクリロニトリル5部を加え、60℃に昇温した。昇温後、t−ドデシルメルカプタン0.2部を加え、さらにあらかじめ脱イオン水に溶解しておいたピロリン酸ナトリウム0.4部、硫酸鉄(II) 0.01部、ブドウ糖0.5部を加えた。そのまま攪拌を続け、クメンハイドロパーオキサイドを0.1部を加えて重合を開始した。重合開始1時間後から、スチレン45部とアクリロニトリル15部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、クメンハイドロパーオキサイド0.2部を3時間にわたって添加し続けた。重合終了後、常温まで冷却したのち、取り出した。このときの重合転化率は95%であった。この樹脂ラテックスを50リットルの凝固槽にて、95℃で凝固し、水洗、乾燥して、ABS樹脂を得た。なお、凝固槽には、前もって硫酸を2phr添加しておいた。
【0061】
実施例9〜16、比較例11〜17(熱可塑性樹脂組成物の製造)
上記調製例および比較調製例により得られたゴム変性熱可塑性樹脂を、ポリプロピレン〔三菱化学(株)製、MC01C〕、参考例13で製造したABS樹脂(グラフト率=55%、〔η〕=0.5dl/g、メチルエチルケトン、30℃で測定)、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン(重量比)=24/76、〔η〕=0.7dl/g、メチルエチルケトン、30℃で測定)と混合し、50mmφ、NVC型押し出し機により、220℃で混練りし、ペレットを得た。
これを、射出成形機〔新潟鉄工(株)製、NN30B成形機〕にて、平板を成形し、成形外観を目視で判定した。また、落錘衝撃強度は、上記の方法と同様の方法により測定した。結果を表5〜6に示す。
【0062】
表5から明らかなように、実施例9〜16(組成物P1〜8)の本発明の組成物は、落錘衝撃強度、表面外観のバランスに優れている。
これに対し、表6から明らかなように、比較例11〜17(組成物P9〜P15)は、ゴム変性熱可塑性樹脂が本発明の範囲を外れるものであり、良好な物性を示していない。また、比較例16(組成物P14)では、配合するポリプロピレンの配合割合が本発明の範囲を外れるため、良好な物性を示していない。
【0063】
【表5】
Figure 0004404969
【0064】
【表6】
Figure 0004404969
【0065】
【発明の効果】
本発明は、耐衝撃性、成形外観、耐薬品性に優れ、屋外で使用できる耐候性材料として必要な物性バランスに優れたゴム変性熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂組成物であり、落錘衝撃強度と表面外観とのバランスに優れる。

Claims (3)

  1. (I)下記ゴム変性熱可塑性樹脂2〜70重量部、(II)ポリオレフィン系樹脂1〜50重量部、および(III)上記(I)成分以外の他の(ゴム変性)熱可塑性樹脂0〜50重量部〔ただし、(I)+(II)+(III)=100重量部〕を主成分とする熱可塑性樹脂組成物。
    (I)ゴム変性熱可塑性樹脂;
    エチレン60〜95重量%、炭素数3〜18のα−オレフィン40〜5重量%および非共役ジエン0〜20重量%(ただし、エチレン+α−オレフィン+非共役ジエン=100重量%)からなり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.2〜5であるゴム質重合体(イ)90〜10重量%、芳香族ビニル化合物および共役ジエン系化合物からなるブロック共重合体の不飽和結合部分を95モル%以上水素添加した下記ゴム質重合体(ロ)10〜90重量%〔ただし、(イ)+(ロ)=100重量%〕を10〜100重量%、ならびに芳香族ビニル化合物および共役ジエン系化合物からなるブロック共重合体の不飽和結合部分を95モル%以上水素添加した下記ゴム質重合体(ハ)90〜0重量%〔ただし、(イ)+(ロ)+(ハ)=100重量%〕の存在下に、芳香族ビニル化合物8〜85重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/またはシアン化ビニル化合物からなる共重合可能な他のビニル系単量体92〜15重量%(ただし、芳香族ビニル化合物+共重合可能な他のビニル系単量体=100重量%)からなる単量体成分をグラフト重合してなり、グラフト率が20%以上45%未満、アセトン可溶分の固有粘度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中で測定)が0.2〜0.7dl/gであるゴム変性熱可塑性樹脂。
    ゴム質重合体(ロ);
    (A−B)nAm
    (式中、Aは芳香族ビニル化合物重合体ブロック、Bは共役ジエン系化合物の水添重合体ブロックを示し、n≧2、mは0または1である。)
    ゴム質重合体(ハ);
    A−B−Am
    (式中、A,B,mは上記に同じ。)
  2. (I)ゴム変性熱可塑性樹脂を構成するゴム質重合体(ロ)〜(ハ)のポリスチレン換算の重量平均分子量が、それぞれ、6万〜30万である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. (I)ゴム変性熱可塑性樹脂中のゴム質重合体重合体(イ)〜(ハ)の合計の使用量が12〜40重量%である請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
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