JP2001204383A - 乳製品配合用マグネシウム強化剤及びマグネシウム強化乳製品 - Google Patents

乳製品配合用マグネシウム強化剤及びマグネシウム強化乳製品

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JP2001204383A
JP2001204383A JP2000014624A JP2000014624A JP2001204383A JP 2001204383 A JP2001204383 A JP 2001204383A JP 2000014624 A JP2000014624 A JP 2000014624A JP 2000014624 A JP2000014624 A JP 2000014624A JP 2001204383 A JP2001204383 A JP 2001204383A
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acid
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Yoshiyuki Moriya
芳行 森谷
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FUJIMI KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】乳製品はカルシウムの優れた供給源であるか
ら、それにマグネシウムを強化することができればより
優れた栄養食品となるが、風味が良くしかもタンパク質
の凝固や沈殿物の生成をもたらすことのないマグネシウ
ム強化乳製品は未だ製品化されていない。 【解決手段】マグネシウム源(例えば、炭酸マグネシウ
ム、ドロマイト等)と、有機酸(例えば、リンゴ酸、ク
エン酸等)と、グルコン酸、グルコノデルタラクトン、
グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム及びグルコ
ン酸カルシウムからなる群から選択される1種又は2種
以上と、クエン酸カリウム及び/又はクエン酸ナトリウ
ムとを、水媒質中で反応させてマグネシウム強化剤と
し、これを乳原料に配合してマグネシウム強化乳製品を
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳製品配合用マグ
ネシウム強化剤及びその製造方法、並びにマグネシウム
強化剤を配合してなるマグネシウム強化乳製品及びその
製造方法に関するものであり、特に、乳製品に配合した
ときに乳タンパクの熱による凝固を防止し、更に苦味や
マグネシウム特有のシゲキ性の味がなく、乳本来のマイ
ルドな味のマグネシウム強化乳製品を製造できる乳製品
配合用マグネシウム強化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】以前から、骨粗鬆症等の発病の増大に対
応してカルシウム製品の摂取が奨励されているが、摂取
したカルシウムを効率良く骨内に取り込むためには、バ
ランスの取れたカルシウムとマグネシウムの摂取が望ま
しいことが最近分かってきた。又、マグネシウムは体内
で、300種類以上の酵素反応に関係し、細胞のエネル
ギーの生成、脂肪、タンパク質、核酸等の合成等に重要
な役割を果たしていることや、マグネシウムの不足が心
疾患や脳梗塞を誘発することも分かってきた。更に、米
国では、凶悪犯罪を犯した少年の毛髪を分析すると、マ
グネシウムが不足していたという報告もある。
【0003】しかしながら、マグネシウムの摂取量は一
向に増加傾向にない。その原因の一つに、我々が主食と
している米、小麦等が呈味性を重視するあまり極度に精
白され、調味料の塩、砂糖等も極度に精製されてきたこ
とがあげられる。
【0004】乳製品はカルシウムの優れた供給源である
から、それにマグネシウムを強化することができればよ
り優れた栄養食品となる。ところが、マグネシウム添加
物として知られている塩化マグネシウムや硫酸マグネシ
ウムには強い苦味があり、又、乳原料との相互作用によ
りタンパク質の凝固や沈殿物の生成をもたらすことか
ら、満足できるマグネシウム強化乳製品は未だ製品化さ
れていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】それ故、本発明は、乳
製品に高濃度で配合してもマイルドな味のマグネシウム
強化乳製品を生成できる、乳製品配合用マグネシウム強
化剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
又、本発明は、乳原料との相互作用によるタンパク質の
凝固や沈殿物の生成をもたらすことのない、乳製品配合
用マグネシウム強化剤及びその製造方法を提供すること
を目的とする。更に、本発明は、上記マグネシウム強化
剤を配合してなるマグネシウム強化乳製品及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者は鋭意研究の結果、マグネシウム源の炭酸
マグネシウム等と乳酸等の有機酸とグルコン酸等のグル
コン酸類をクエン酸のカリウム塩及び/又はクエン酸の
ナトリウム塩の存在下で水媒質中で反応させて得られた
ものを、乳原料に高濃度で配合させても、マイルドな味
で、しかも乳原料中のタンパク質の熱凝固による変性を
起こさないことを見出し、本発明を開発するに至った。
【0007】請求項1の発明は、マグネシウム源と、乳
酸、酢酸、リンゴ酸、クエン酸、イタコン酸、アジピン
酸、酒石酸、フマール酸、コハク酸及びリン酸からなる
群から選択される1種又は2種以上の有機酸と、グルコ
ン酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸ナトリウ
ム、グルコン酸カリウム及びグルコン酸カルシウムから
なる群から選択される1種又は2種以上と、クエン酸カ
リウム及び/又はクエン酸ナトリウムとを、水媒質中で
反応させることにより調製することを特徴とする乳製品
配合用マグネシウム強化剤の製造方法である。
【0008】請求項2の発明は、請求項1に記載の乳製
品配合用マグネシウム強化剤の製造方法であって、マグ
ネシウム源が炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水
酸化マグネシウム、ドロマイト及びサンゴからなる群か
ら選択される1種又は2種以上であることを特徴とする
製造方法である。
【0009】請求項3の発明は、請求項1又は2に記載
の乳製品配合用マグネシウム強化剤の製造方法であっ
て、炭酸水素ナトリウムを更に添加して、水媒質中で反
応させることにより調製することを特徴とする製造方法
である。
【0010】請求項4の発明は、請求項1乃至3のいず
れかに記載の乳製品配合用マグネシウム強化剤の製造方
法であって、上記マグネシウム強化剤のpHを6.3〜
10.0に調整することを特徴とする製造方法である。
【0011】請求項5の発明は、請求項1乃至4のいず
れかに記載の乳製品配合用マグネシウム強化剤の製造方
法であって、反応液を乾燥粉末化することを特徴とする
製造方法である。
【0012】請求項6の発明は、請求項1乃至5のいず
れかに記載の方法により製造された乳製品配合用マグネ
シウム強化剤である。
【0013】請求項7の発明は、請求項6に記載のマグ
ネシウム強化剤を乳原料に配合してなるマグネシウム強
化乳製品である。
【0014】請求項8の発明は、請求項7に記載のマグ
ネシウム強化乳製品であって、pHが3.0〜8.0で
あることを特徴とするマグネシウム強化乳製品である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、乳製品配合用マグネシウ
ム強化剤の原料を説明する。マグネシウム源は、好まし
くは、炭酸マグネシウム(塩基性炭酸マグネシウムも含
む)、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ドロマ
イト及びサンゴからなる群から選択される1種又は2種
以上である。これらのマグネシウム源は、その形状、入
手方法を問わず利用することができ、又、摂取して問題
になるような不純物が含まれていなければ余り純度が高
くないものでも使用することができる。
【0016】上記マグネシウム源のうち、不純物を含ま
ない点で、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム及び水
酸化マグネシウムが好ましい。これらのうち、食品添加
物としての炭酸マグネシウムがより好ましい。ドロマイ
トやサンゴはマグネシウムの他カルシウムも豊富に含有
しているので、これらを使用した場合にはカルシウム・
マグネシウム強化剤が得られる。なお、ドロマイトやサ
ンゴを有機酸に溶解した場合には、カルシウムの沈殿を
生ずる場合もあるが、これらの生成が不都合な場合には
ろ過や遠心分離により除去すればよい。
【0017】有機酸としての乳酸、酢酸、リンゴ酸、ク
エン酸、イタコン酸、アジピン酸、酒石酸、フマール
酸、コハク酸及びリン酸(以下、単に「有機酸」と記載
する。)は、炭酸マグネシウム等のマグネシウム源を主
に溶解する。有機酸は、発酵により得られるものでも、
合成により得られるものでもよい。又、有機酸として、
有機酸を含有する果汁、即ち酸味果汁を使用してもよ
い。ライム、レモン、グレープフルーツ、夏みかん、ポ
ンカン、かぼす、ネーブルオレンジ、いよかん、温州み
かん、はっさく、リンゴ、日本なし、西洋なし、グア
バ、もも、あんず、うめ、スモモ、パインアップル、ぶ
どう、いちご、メロン、キウイフルーツ等の果汁が好ま
しい。酸味果汁に含まれる有機酸としては、リンゴ酸、
クエン酸、酒石酸が最も多く含まれているが、その他に
乳酸、酢酸、コハク酸等も含まれる。従って、酸味果汁
も有機酸とみなす。又、乳酸発酵により得られた発酵乳
もその酸成分が乳酸であるので、本発明の有機酸とみな
す。
【0018】果汁を用いると、単にマグネシウム源の溶
解用に有機酸が利用されるのみでなく、果汁の風味がマ
グネシウム強化乳製品の風味を好ましいものとする。好
ましい果実は柑橘類、日本なし、西洋なし及びレモンで
あり、より好ましい果実はレモンである。レモンの香り
は乳特有の臭みを更に好ましい風味に改善する効果があ
り、牛乳嫌いの人にも好感をもって飲食されるものとな
る。乳酸等の有機酸と果汁は併用してもよい。
【0019】グルコン酸、グルコノデルタラクトン、グ
ルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム及びグルコン
酸カルシウム(以下、「グルコン酸類」と記載する。)
は、水媒質中で遊離のマグネシウムイオンと結合して可
溶性錯塩(キレート)を形成し、結果としてマグネシウ
ムを安定化させる作用を有する。従って、本発明のマグ
ネシウム強化剤を乳原料に配合すると、熱処理に対する
安定性が高まる。又、グルコン酸類を添加しなかった場
合に見られた苦味及びのどの粘膜に対するシゲキ感を、
グルコン酸類を添加することにより取り除くことがで
き、結果として呈味性を改善できた。なお、このグルコ
ン酸類の中で更に好ましいのはグルコン酸ナトリウムと
グルコン酸カリウムである。これらは、pH値が7以上
であることから、上記のキレート効果をより効果的に発
揮させることができる。
【0020】上記のように、有機酸と、グルコン酸類
は、マグネシウムの効率的な溶解及びキレート化並びに
味覚上の観点から、必要不可欠な成分であり、特にグル
コン酸類を添加すると、有機酸とマグネシウムの反応組
成物では充分な苦味とのどの粘膜に対するシゲキを除去
することが不可能であった欠点を解決することができ
た。
【0021】本発明の有機酸はその酸度を無水クエン酸
として換算し、又本発明のグルコン酸類はそのグルコン
酸部分をグルコノデルタラクトンに換算した場合につい
て以下に述べる。有機酸とグルコン酸類とは、有機酸:
グルコン酸類=約1モル:0.03〜30.0モルの割
合で併用するのが好ましい。グルコン酸類が0.03モ
ル未満ではグルコン酸のキレート効果が弱くなり、一
方、30.0モル超ではマグネシウム強化剤中のマグネ
シウム含量が少なくなり、乳製品に配合するマグネシウ
ム強化剤の量が多くなるからである。
【0022】マグネシウム源と、有機酸及びグルコン酸
類とからなる酸類との割合は、マグネシウムの溶解性が
pHによって影響されることから、目的とするマグネシ
ウム強化剤のpHによって定まる。マグネシウム含量が
少な過ぎると、マグネシウム強化剤中のマグネシウム含
量が少なくなり、一方、マグネシウム含量が多すぎる
と、風味に問題が生ずる。風味に問題のないマグネシウ
ム強化剤を得るためには、製造されたマグネシウム強化
剤を水に溶解させたときにpHが6.3〜10.0にな
るように調整するのが好ましく、pHが6.5〜9.5
になるように調製するのがより好ましい。
【0023】更に、クエン酸カリウムやクエン酸ナトリ
ウムを添加すると、一層乳原料の熱安定性が増す。特に
中性乳を用いた場合はその傾向が顕著である。また、味
覚の一層のまろやかさに大きく影響した。この中では、
クエン酸三カリウム(K3657、正塩)やクエン酸
三ナトリウム(Na3657、正塩)が好ましい。
又、酸類(有機酸+グルコン酸類)100重量部に対し
て、クエン酸カリウム及び/又はクエン酸ナトリウムは
合計して約0.5〜30重量部で併用するのが好まし
い。なお、これらのカリウム塩及び/又はナトリウム塩
は無水物でも結晶水を含んだものでもよい。
【0024】炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を添
加すると、乳原料の熱安定性が増し、乳のミセル構造を
安定化させることができる。特に中性乳を用いた場合は
その傾向が顕著である。更に特筆すべきことは、炭酸水
素ナトリウムを添加すると、乳が本来有している良好な
熱安定性のpHの範囲が大きく拡がることである。市乳
や還元脱脂乳等に関して本来常識とされていた熱安定性
pHの範囲は6.5〜6.7であるが、炭酸水素ナトリ
ウムを添加した場合にはこのpHの範囲が6.5〜7.
3に拡大されることを発見した。この乳に対する耐熱安
定性を高めた効果により、本発明のマグネシウム強化剤
を乳製品中に高濃度で添加することを可能にした。意外
なことに、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムを添加し
た場合には上記現象が見られなかった。
【0025】酸類(有機酸+グルコン酸類)100重量
部に対して、マグネシウム源(酸化マグネシウムで換
算)は約5〜50重量部で併用するのが好ましく、約7
〜40重量部で併用するのがより好ましい。又、酸類
(有機酸+グルコン酸類)100重量部に対して、炭酸
水素ナトリウムは約2〜40重量部で併用するのが好ま
しく、約2〜30重量部で併用するのがより好ましい。
【0026】本発明の方法により製造されたマグネシウ
ム強化剤を配合した乳製品においては、本発明の有機酸
とグルコン酸類に対し、マグネシウムとカリウムやナト
リウム等のアルカリ金属塩、更には乳中のカルシウムを
始めとするミネラル類及び乳中のアミノ酸やペプタイド
や乳タンパク等がそれぞれのキレート特性を相互に補い
合いながら、乳タンパクに対する熱安定性を高めると共
にマグネシウムの味覚及びシゲキ性の影響を一層マイル
ドなものとし、高含有のマグネシウムを添加したにもか
かわらず、乳本来のさわやかな呈味性と乳タンパクへの
熱安定性を保つことができたものと推測する。
【0027】以下に、乳製品配合用マグネシウム強化剤
の製造方法を説明する。上記の原料である炭酸マグネシ
ウム等のマグネシウム源と、乳酸等の有機酸と、グルコ
ン酸類と、クエン酸カリウム及び/又はクエン酸ナトリ
ウムとを、水媒質中で反応させる。好ましくは、炭酸水
素ナトリウムを併用して、反応させる。これらの原料は
水に一度に添加しても又別々に添加してもよく、原料の
添加順序については特に制限はないが、有機酸とマグネ
シウム源とを当初添加溶解させ、次にクエン酸塩及びグ
ルコン酸類を添加し、次に残りの全原料を添加するのが
更に好ましい。必要とあれば、溶液を加熱してもよく、
加熱温度についても特に制限はない。更に好ましくは、
反応を促進するために撹拌する。
【0028】マグネシウム源はそれ以上溶解できなくな
るまで過剰に添加してもよい。又必要があれば、溶解後
に溶液をろ過するか遠心分離することにより、清澄な液
体とすることもできる。炭酸マグネシウム等のマグネシ
ウム源と、乳酸等の有機酸と、グルコン酸類と、クエン
酸ナトリウム及び/又はクエン酸カリウムと、更には場
合により炭酸水素ナトリウムとを添加して、水媒質中で
反応させると、目的とするマグネシウム強化剤(有機酸
マグネシウム)が液状で得られる。
【0029】マグネシウム源としてドロマイト及び/又
はサンゴを使用した場合には、得られた液状のマグネシ
ウム強化剤には、カルシウムの沈殿物等の不溶解物が生
じる場合もあるが、必要に応じて除去することもでき
る。なお、マグネシウム強化剤を水に溶解させたときに
コロイド状に乳濁するものであっても、乳製品の製造に
は何ら支障はなく、又、乳製品の品質にも問題はない。
【0030】本発明のマグネシウム強化剤は、液状の他
に、それを濃縮したもの、更に、例えば噴霧乾燥機でス
プレードライすることにより乾燥粉末化したものでもよ
い。マグネシウム源として、ドロマイトやサンゴを主に
使用した場合には、カルシウムが沈澱する場合があるの
で、粉末化するのが好ましい。粉末化したものは、品質
が安定化するだけでなく、正確に計量できるので、乳原
料に正確な量を添加でき、所望のマグネシウム含量のマ
グネシウム強化乳製品を製造できる。カルシウムとマグ
ネシウムの摂取割合は、2:1が推奨されているが、本
発明の乳製品は、カルシウムとマグネシウムを2:1の
割合で含有する乳製品を製造できる。
【0031】以下に、マグネシウム強化剤を添加してな
るマグネシウム強化乳製品の製造方法を説明する。使用
される乳原料には、生乳、生脱脂乳、還元乳、還元脱脂
乳等の中性乳や乳酸発酵により得られた発酵乳等の酸性
乳が含まれる。これに本発明のマグネシウム強化剤を配
合する。
【0032】乳原料への本発明のマグネシウム強化剤の
配合割合は、乳製品の風味への影響やタンパク質との相
互作用を考慮すると、pHが3.0〜8.0になるよう
に添加するのが好ましい。酸性乳を使用して得られたマ
グネシウム強化乳製品は、当然低pHの製品となる。
又、上記中性乳を使用した場合のpHは6.5〜8.0
になるようにするのが好ましい。なお、配合後に、果汁
若しくは酸又はアルカリ剤等を添加して飲食に適したp
Hに調節してもよい。又、トレハロース等の糖類を添加
して味を整えてもよい。
【0033】本発明のマグネシウム強化乳製品は、pH
に対して強いバッファー作用(緩衝作用)があるので、
これを比較的高濃度で原料乳に配合しても、原料乳のp
Hを大きく変化させることはない。従って、配合後の中
性乳を用いた原料乳は、低温殺菌処理や高温殺菌処理を
通常通り行った後、通常の製造方法に従って加工乳、乳
飲料、クリーム、発酵乳、アイスクリーム、チーズ、練
乳、濃縮乳、粉乳等の乳製品を製造することができる。
【0034】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例を記載する
が、本発明はこれ等の実施例に限定されるものではな
い。以下に、本発明のマグネシウム強化乳製品の殺菌の
ための熱処理に対する安定性向上効果(目視評価)と風
味(官能評価)を調べた。 1.マグネシウム強化剤の製造 あらかじめ充分な量の水媒体(2,000g)を用意
し、この中に表1と表2と表3に示す各原料のうち有機
酸とマグネシウム源を溶解させ、次にクエン酸塩及びグ
ルコン酸類を添加溶解させ、次に残りの全原料を添加し
て、表4の条件下で常温又は加熱しながら撹拌して、各
原料を反応させ、その後、スプレードライして乾燥粉末
化させた。なお、試料No.12と試料No.13は遠
心分離機にて不溶解部分を除去した後にスプレードライ
して乾燥粉末化させた。試料No.1〜13は本発明品
であり、試料No.14は比較品である。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】表中、ドロマイトはカルシウム:マグネシ
ウム=約2:1として食品用に販売されたものであり、
サンゴはマグネシウム含有量が比較的多いものとして食
品用に販売されたものである。炭酸マグネシウム等のマ
グネシウム源は、酸化マグネシウムで換算したときの重
量がカッコ内に記載されている。
【0040】表中のレモン果汁は全てレモン果汁400
GPLである。レモン果汁400GPLは、レモン果汁
を大略1/5に濃縮したもので、25リットル中にクエ
ン酸が約10kg含有されている。なお、カッコ内の数
値はレモン果汁400GPL中に含まれる無水クエン酸
の重量を示している。又リンゴ酸等の有機酸は、無水ク
エン酸で換算したときの重量がカッコ内に記載されてい
る。又グルコン酸類はグルコノデルタラクトンで換算し
たときの重量がカッコ内に記載されている。なお、有機
酸を1モルとした場合のグルコン酸類のモルは、表5の
通りであった。
【0041】
【表5】
【0042】2.マグネシウム強化乳製品の製造 (1)マグネシウム強化乳の製造 上記のようにして得られた粉末状のマグネシウム強化剤
(試料No.1〜14を、乳原料(中性乳としての生脱
脂乳又は酸性乳としての発酵乳)100重量部に対して
種々の割合で配合させ、均質化させ、130℃で2秒間
殺菌処理した。表6と表7は、それぞれの配合割合と、
乳製品のpHとを示す。
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】表中、試料No.14の比較品は、乳原料
に配合した後、アルカリ調整剤として食品添加物用2.
0Nカセイソーダを添加している。従って、表中のpH
はカセイソーダ添加後のものである。
【0046】本発明のマグネシウム強化乳(液状)は、
pHが6.7以上のものはいずれも、良好な味覚で添加
前より飲み易く、フレッシュ感があった。又、pHが
4.7以下のものはいずれもさわやかな発酵乳であっ
た。特に、レモン果汁を含むマグネシウム強化乳製品
は、風味が良かった。又、本発明のマグネシウム強化乳
(液状)は、中性乳に限らず酸性乳を原料乳として用い
た場合でも、加熱殺菌処理前と同じ均一な乳の状態であ
り、その品質は通常の飲用乳の保存期間を通じて保持さ
れた。特に、炭酸水素ナトリウムが添加されて製造され
たマグネシウム強化剤が配合された乳製品は、熱安定性
が良く、タンパク質の凝固や沈殿が阻止された。
【0047】レモン果汁400GPLの代わりに他の、
もも、ぶどう、いちご等の果汁と無水クエン酸を用い
て、酸度と濃度と量をレモン果汁400GPLと概略同
じになるように調整したものを使用して製造したマグネ
シウム強化剤を乳原料に配合したものも、上記のマグネ
シウム強化乳と同様の良好な結果が得られた。又、レモ
ン果汁400GPLの代わりに発酵乳又はその濃縮物を
使用したものでも同様の良好な結果が得られた。又、無
水クエン酸の代わりに他の乳酸等の有機酸を酸度が概略
同じになるように調整したものを使用して製造したマグ
ネシウム強化剤を乳原料に配合したものも、上記のマグ
ネシウム強化乳と同様な良好な結果が得られた。
【0048】一方、比較品のマグネシウム強化剤を配合
したマグネシウム強化乳は、pHが6.7のものは、乳
が凝固し豆腐状であった。又、苦味があった。pHが
4.2と3.5のものは、乳がつぶ状に凝固し、苦味が
あった。
【0049】(2)マグネシウム強化プレーンヨーグル
トの製造 上記の液状乳(試料No.1〜13のマグネシウム強化
剤を中性乳に配合したもの)に、スターター乳酸菌を接
種して温度37℃に維持しながら10時間発酵させて、
マグネシウム強化プレーンヨーグルトを製造した。製品
中には、沈殿物は見られず風味も良好であった。
【0050】(3)マグネシウム強化粉乳の製造 上記の液状乳(試料No.1〜13のマグネシウム強化
剤を中性乳に配合したもの)を減圧濃縮機により固形濃
度35.0%にまで濃縮してから、熱風乾燥装置により
噴霧乾燥してマグネシウム強化粉乳を製造した。製品の
粉末は溶解時の分散性や溶解性において、通常の脱脂粉
乳等の粉乳とほぼ同じ特性を示した。又、溶解後に加熱
処理してもタンパク質の凝固や沈殿は発生しなかった。
【0051】
【発明の効果】本発明のマグネシウム強化剤は、pHに
対して強いバッファー作用(緩衝作用)があり、グルコ
ン酸類を添加していないものと比較すると、熱安定性及
び呈味上遥かに優れたものである。従って、本発明のマ
グネシウム強化剤を配合してなる乳製品は、殺菌のため
の熱処理をしたものであっても、タンパク質の凝固や沈
殿は生じず、又、マイルドな味であった。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マグネシウム源と、乳酸、酢酸、リンゴ
    酸、クエン酸、イタコン酸、アジピン酸、酒石酸、フマ
    ール酸、コハク酸及びリン酸からなる群から選択される
    1種又は2種以上の有機酸と、グルコン酸、グルコノデ
    ルタラクトン、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリ
    ウム及びグルコン酸カルシウムからなる群から選択され
    る1種又は2種以上と、クエン酸カリウム及び/又はク
    エン酸ナトリウムとを、水媒質中で反応させることによ
    り調製することを特徴とする乳製品配合用マグネシウム
    強化剤の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の乳製品配合用マグネシウ
    ム強化剤の製造方法であって、マグネシウム源が炭酸マ
    グネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、
    ドロマイト及びサンゴからなる群から選択される1種又
    は2種以上であることを特徴とする製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の乳製品配合用マグ
    ネシウム強化剤の製造方法であって、炭酸水素ナトリウ
    ムを更に添加して、水媒質中で反応させることにより調
    製することを特徴とする製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載の乳製品
    配合用マグネシウム強化剤の製造方法であって、上記マ
    グネシウム強化剤のpHを6.3〜10.0に調整する
    ことを特徴とする製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかに記載の乳製品
    配合用マグネシウム強化剤の製造方法であって、反応液
    を乾燥粉末化することを特徴とする製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかに記載の方法に
    より製造された乳製品配合用マグネシウム強化剤。
  7. 【請求項7】請求項6に記載のマグネシウム強化剤を乳
    原料に配合してなるマグネシウム強化乳製品。
  8. 【請求項8】請求項7に記載のマグネシウム強化乳製品
    であって、pHが3.0〜8.0であることを特徴とす
    るマグネシウム強化乳製品。
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