JPH0856568A - 乳糖分解甘性ホエー濃縮物及びその製造法 - Google Patents

乳糖分解甘性ホエー濃縮物及びその製造法

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JPH0856568A
JPH0856568A JP6214295A JP21429594A JPH0856568A JP H0856568 A JPH0856568 A JP H0856568A JP 6214295 A JP6214295 A JP 6214295A JP 21429594 A JP21429594 A JP 21429594A JP H0856568 A JPH0856568 A JP H0856568A
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信夫 市橋
Yasuhiro Takeda
安弘 武田
Itsuko Suzawa
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくとも蛋白質、脂肪、乳糖加水分解物、
糖類、灰分及び水分を構成成分として含有する乳糖分解
甘性ホエー濃縮物であって、蛋白質含量6.7%(重
量)以下、脂肪含量0.6%(重量)以下、乳糖含量0
〜7.7%(重量)、乳糖加水分解物含量38.4%
(重量)以下、ショ糖、果糖及び異性化糖からなる群よ
り選択される糖類の1種又は2種以上の混合物の含量5
0.6%(重量)以下、灰分含量3.8%(重量)以下
及び水分含量33%(重量)以下の組成からなる乳糖分
解甘性ホエー濃縮物、及びその製造法。 【効果】 甘性ホエー由来の不良な風味を感じさせず、
好ましい風味及び優れた特性を有する新しい食品素材と
して有用なものであり、15℃以上の温度における保存
により褐変せず、かつ風味を損なうことがなく、最終製
品である乳糖加水分解甘性ホエー濃縮物の熱安定性を顕
著に改善することができ、食品素材として広範な食品に
使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、牛乳からチーズを製造
する際に副産物として生じる甘性ホエーを出発原料とし
て、甘性ホエーに含有されている乳糖の少なくとも80
%(重量。以下特に断りのない限り同じ)を加水分解し
た分解物に所定量の特定の糖類を加えた乳糖分解甘性ホ
エー濃縮物及びその製造法に関するものであり、本発明
によって得られる乳糖分解甘性ホエー濃縮物は、従来、
問題点とされていた甘性ホエーに起因する風味の不良及
びそれを原因とする使用上の制約が全くなく、15℃以
上の温度で貯蔵した場合であっても褐変化せず、熱に安
定であり、かつ特有の甘味、風味を有し、新しい食品素
材として広範な用途に使用可能であり、しかも甘性ホエ
ー中の乳糖の大部分が加水分解され、乳糖含量が低いた
め乳糖不耐症患者にも十分許容される等の優れた特性を
具備した新規製品である。
【0002】
【従来の技術】チーズ等の製造時に副生するホエーは、
各種必須アミノ酸、蛋白質、ビタミン類、乳糖を含有し
ており、栄養価が高いことが一般に知られている。ホエ
ーをそのまま乾燥し、食品とすることも考えられている
が、ホエーを単に乾燥しただけでは風味が不良であり、
そのままでは食用として使用するには不適当である。
【0003】そのために、従来、ホエーに含有されてい
る乳糖を、乳糖分解酵素又は酸で加水分解し、乳糖をガ
ラクトースとグルコースの単糖に分解し、水分含量25
〜35%に濃縮し、甘味料又は製パン助剤として使用す
ることが知られている(酪農科学・食品の研究,第29
巻,第1号,第A−8ページ,1980年)。また、ホ
エーに含有されている乳糖を前記と同様にラクターゼに
より酵素分解した液を真空・バンド乾燥し、インスタン
ト乳清粉末化する技術も知られている(特開昭59−1
20049号公報)。しかしながら、これらの従来技術
には、次の「発明が解決しようとする課題」の欄に記載
するような不都合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ホエーに含有されてい
る乳糖を加水分解し、水分含量25〜35%に濃縮した
濃縮物は、ホエー特有の風味の不良が残り、食品原料と
して使用する場合、風味が問題とされる食品に使用する
には不適当であり、従って、従来製品は、例えば、蒸パ
ン、缶コーヒー等のような他の成分の強いフレーバーを
有する食品等に使用範囲が限定されていた。また、15
℃以上の温度で貯蔵する場合、乳糖の加水分解に起因す
る褐変を生じ、かつ風味も劣化してその貯蔵に限界があ
るので、チルド食品等の低温下での使用に使用範囲が限
定されるという問題点があった。
【0005】ホエーに含有されている乳糖を加水分解
し、乾燥してインスタント乳清粉末化した場合も前記と
同様にホエー特有の風味の不良が残り、その使用範囲が
限定される。更に、これらのいずれにおいても、例え
ば、レトルト食品等の原料の一部として使用した場合、
加熱時に蛋白質が変性し、固いカードを生成し、沈殿が
生じるという非熱安定性の問題点があった。
【0006】本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、従
来製品の有する前記各種問題点を確実に解決し得る新し
い製品を開発することを目標として鋭意研究を積み重ね
た結果、甘性ホエーに含有されている乳糖を酵素により
加水分解し、一定の比率でショ糖、果糖、異性化糖等の
特定の糖類を混合し、濃縮することにより、甘性ホエー
に起因する不良な風味が消失し、食品素材として使用上
の制約をうけることのない優れた特性を具備した乳糖分
解甘性ホエー濃縮物が得られることを見出した。
【0007】また、本発明者らは、従来、乳糖を加水分
解し、15℃以上の温度で貯蔵した場合に褐変を生じ、
かつ風味も劣化するという問題点があったが、クエン
酸、リンゴ酸等の有機酸又は有機酸塩によりpH3.0
〜5.0に調整することにより、褐変及び風味の劣化を
抑制できることを見出した。
【0008】本発明は、このような研究結果として見出
された新たな知見に基づいて確立されたものであり、本
発明の目的は、甘性ホエーに起因する風味の不良がな
く、15℃以上の温度で貯蔵した場合であっても褐変せ
ず、熱安定性が良好であり、食品素材として広範な用途
を有する乳糖分解甘性ホエー濃縮物を提供することにあ
る。
【0009】本発明の他の目的は、甘性ホエーに起因す
る風味の不良がなく、15℃以上の温度で貯蔵した場合
であっても褐変せず、熱安定性が良好であり、食品素材
として広範な用途を有する乳糖分解甘性ホエー濃縮物の
製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第1の発明は、少なくとも蛋白質、脂肪、乳糖加水
分解物、糖類、灰分及び水分を構成成分として含有する
乳糖分解甘性ホエー濃縮物であって、蛋白質含量6.7
%(重量)以下、脂肪含量0.6%(重量)以下、乳糖
含量0〜7.7%(重量)、乳糖加水分解物含量38.
4%(重量)以下、ショ糖、果糖及び異性化糖からなる
群より選択される糖類の1種又は2種以上の混合物の含
量50.6%(重量)以下、灰分含量3.8%(重量)
以下及び水分含量33%(重量)以下の組成からなるこ
とを特徴とする乳糖分解甘性ホエー濃縮物であり、蛋白
質含量が2.9〜6.7%(重量)、脂肪含量が0.2
〜0.6%(重量)、乳糖含量が0〜7.7%(重
量)、乳糖加水分解物含量が13.5〜38.4%(重
量)、糖類の1種又は2種以上の混合物の含量が22.
9〜50.6%(重量)、灰分含量が1.7〜3.8%
(重量)及び水分含量が25〜33%(重量)であるこ
とを望ましい態様としてもいる。
【0011】前記課題を解決する本発明の第2の発明
は、甘性ホエー、pHを6.6〜7.2に調整した甘性
ホエー又はこれらの濃縮物に、乳糖分解酵素を添加し、
甘性ホエーに含まれている乳糖の少なくとも80%(重
量)を加水分解したのち、乳糖分解酵素を失活させ、p
Hを3.0〜5.0に調整し、乳糖分解甘性ホエー固形
分含量に対して50〜200%(重量)のショ糖、果糖
及び異性化糖からなる群より選択される糖類の1種又は
2種以上の混合物を添加し、濃縮することを特徴とする
乳糖分解甘性ホエー濃縮物の製造法であり、乳糖分解甘
性ホエーのpHの調整が、有機酸又は有機酸塩の添加に
より行われることを望ましい態様としてもいる。
【0012】次に本発明について詳述するが、本発明の
理解を容易にするために、本発明の第2の発明から先に
記述する。本発明の乳糖分解甘性ホエー濃縮物の製造法
に使用する出発原料は、通常のチーズ製造において副産
物として生成する甘性ホエー又はこれを常法により濃縮
した濃縮甘性ホエー(以下これらをまとめて甘性ホエー
等と記載することがある)であり、これらの出発原料を
そのまま又はこれらの出発原料にクエン酸ナトリウム、
水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等の塩基性塩溶液を添
加し、pHを6.6〜7.2の範囲に調整する。尚、酸
性ホエーを使用した場合は、熱安定性及び風味が不良と
なり、望ましくない。
【0013】前記甘性ホエー等に、市販の乳糖分解酵素
(例えば、ラクターゼ等)を添加し、常法により甘性ホ
エーに含有されている乳糖の少なくとも80%を加水分
解する。通常、甘性ホエー等に含有されている乳糖1g
に対して200〜300Gu(この表示については後記
する)、望ましくは250〜280Gu、の乳糖分解酵
素を添加し、40〜45℃、望ましくは42〜44℃、
の温度で、1〜2.5時間、望ましくは1.5〜2.0
時間、保持して加水分解を行う。得られた乳糖分解甘性
ホエー溶液をそのまま又は乳糖分解甘性ホエー溶液に有
機酸又は有機酸塩を添加してpHを3.0〜5.0、望
ましくはpH3.0〜4.0、に調整することもでき
る。
【0014】次いで、乳糖分解甘性ホエー溶液又はpH
を調整した乳糖分解甘性ホエー溶液を70〜85℃に1
〜5分間加熱し、乳糖分解酵素を失活させる。得られた
乳糖分解甘性ホエー溶液に、ショ糖、果糖及び異性化糖
からなる群より選択される糖類の1種又は2種以上の混
合物を、乳糖分解甘性ホエー溶液に含有されている固形
分含量に対して重量比で50〜200%(固形分とし
て)、望ましくは80〜150%、の割合で添加し、均
一に混合し、混合溶液を常法により殺菌し、濃縮する。
濃縮の程度は水分含量が25〜33%、望ましくは26
〜32%、の範囲であり、最終製品である乳糖分解甘性
ホエー濃縮物を得ることができる。
【0015】前記製造法において、出発原料の甘性ホエ
ーのpHを6.6〜7.2の範囲に調整した場合、熱安
定性の良好な乳糖分解甘性ホエー濃縮物が得られ、例え
ば、最終製品である乳糖分解甘性ホエー濃縮物を3倍に
希釈した溶液を、120℃で20分間加熱殺菌してもホ
エー蛋白質由来のカードの発生は認められない。
【0016】また、前記製造法において、乳糖分解甘性
ホエー溶液のpHを3.0〜5.0に調整した場合、1
5℃以上の温度において保存性の良好な乳糖分解甘性ホ
エー濃縮物が得られ、pHを調整しない場合に比較して
15℃以上の条件での保存において褐変が遅延し、風味
の劣化も少ない。
【0017】以上の製造法により得られた乳糖分解甘性
ホエー濃縮物は、蛋白質含量が6.7%以下、即ち2.
9〜6.7%の範囲、望ましくは、3.6〜5.0%、
脂肪含量が0.6%以下、即ち0.2〜0.6%の範
囲、望ましくは、0.3〜0.4%、乳糖含量が0〜
7.7%の範囲、望ましくは、0〜6.3%、乳糖加水
分解物含量が38.4%以下、即ち13.5〜38.4
%の範囲、望ましくは、16.5〜31.4%、ショ
糖、果糖及び異性化糖からなる群より選択される糖類の
1種又は2種以上の混合物の含量が50.6%以下、即
ち22.9〜50.6%の範囲、望ましくは、30.8
〜45%、灰分含量が3.8%以下、即ち1.7〜3.
8%の範囲、望ましくは、2.1〜3.1%、及び水分
含量33%以下、即ち25〜33%の範囲、望ましく
は、26〜32%の組成を有している。
【0018】また、得られた乳糖分解甘性ホエー濃縮物
は、甘性ホエーの不良な風味が存在せず、良好な風味を
有し、15℃以上の温度で保存した場合においても褐変
化の発生が遅延され、加熱に対しても安定性を有し、広
範な食品素材として使用することができる。即ち、本発
明の乳糖分解甘性ホエー濃縮物は、風味、保存性、熱安
定性等の諸性質に関し、前記のような従来製品にない優
れた特性を具備していることから、食品素材として広範
な用途に使用することを可能にするものであり、例え
ば、スポーツ飲料、ゼリー等のように、従来、甘性ホエ
ーが使用されていなかった食品の素材としても利用で
き、食品素材として極めて優れた効果を奏するものであ
る。
【0019】前記乳糖分解酵素の表示は、次の方法によ
り測定した酵素の活性である。即ち、約1gの乳糖分解
酵素を精秤し、少量の10-3M MnCl2 を含む0.
1M KH2 PO4 −NaOH緩衝液(pH6.5)で
溶解し、精製水で100mlに調整し、十分混合し、そ
の1mlを更に100mlに希釈する。
【0020】37℃の恒温水中に保持した試験管に2m
lの基質溶液(2−ニトロフェニル−β−D−ガラクト
ピラノシド100mgを100mlの前記緩衝液に溶解
した溶液)及び1mlの前記緩衝液を添加し、数分後に
酵素溶液1mlを添加し、十分混合する。正確に1分
後、0.2M Na2 CO3 4mlを添加して、反応を
停止する。尚、基質溶液を添加せず、前記の操作を行っ
た溶液を対照として用いる。
【0021】黄色の反応液の420mμにおける吸光度
を対照溶液に対して1cmセルを用いて測定する。得ら
れた吸光度から次式により乳糖分解酵素の活性(Gu/
g)を算出する。 Gu/g=[E(OD)×10(分)]/[1(分)×
w(g)] (ただし、この式において、Eは420mμにおける吸
光度、wは1mlに含まれる乳糖分解酵素の重量であ
る。) ここで、1Gu/gは、前記条件下で10分間に1.0
の吸光度を増加させる酵素量を表す。
【0022】次に試験例を示して本発明を詳述する。 試験例1 この試験は、乳糖分解甘性ホエー濃縮物の保存性の相違
を調べるために行った。 1)試料の調製 甘性ホエー32.5kgに、市販のラクターゼ(合同酒
精社製。GODO−YNL)8.7gを添加し、43℃
で2時間保持して乳糖を加水分解させ、のち75℃で5
分間保持し、ラクターゼを失活させた。得られた乳糖分
解甘性ホエー溶液の乳糖の分解率(次の試験方法の項に
記載の方法により測定した)は97%であった。
【0023】次いで、グラニュー糖(大日本製糖社製)
2000gを添加して溶解し、3kgずつ容器に分取し
た。この時のpHは6.5であった。各容器中の溶液
を、pHを調整しない試料、及び10%クエン酸溶液を
添加してpHを6.3、5.8、5.3、4.8、4.
3、3.8、3.3及び2.8に調整した試料を調製し
た。のち各試料を75℃で5分間殺菌し、バッチ型濃縮
器(ヴィーガント社製)により全固形分含量72%に濃
縮した。尚、各試料の濃縮後のpHは、表1に示すとお
り若干低下した。
【0024】2)試験方法 各pHの試料を、それぞれ、50gずつ分取し、10
℃、15℃、20℃、25℃及び37℃の恒温室に保存
し、30日後の色調の変化を次の方法により測定した。
各試料を蒸留水で3倍に希釈(重量)し、3000rp
mで20分遠心分離し、不溶物を分離し、瀘過液を更に
0.45ミクロンの目開のペーパーフィルターで瀘過
し、得られた瀘過液を被験試料として420nmにおけ
る吸光値を測定して試験した。
【0025】また、風味については、男女各5名のパネ
ラーによる官能検査により5点法で採点し、最も好まし
いものを5点、最も劣るものを1点として評価し、その
平均値を表示した。尚、乳糖の分解率は、酵素法[オフ
ィシャル・メソーズ・オブ・アナリシス・オブ・ザ・ア
ソシエーション・オブ・オフィシャル・アナリティカル
・ケミスツ(Official Methods of Analysis of the As
sociation of Official AnalyticalChemists),第28
4ページ,第14版,アソシエーション・オブ・オフィ
シャル・アナリティカル・ケミスツ社(Association of
Official Analytical Chemists, Inc.) ,1984年]
により測定した。
【0026】3)試験結果 この試験の結果は表1のとおりである。表1から明らか
なように、乳糖分解甘性ホエー溶液のpHを3.0〜
5.0、望ましくはpH3.0〜4.0、の範囲に調整
することにより、15℃以上の温度における保存におい
て、褐変を防止し、かつ風味の劣化を防止することが認
められた。尚、他の製造法により製造した試料について
も、ほぼ同様の結果が得られた。
【0027】
【表1】
【0028】試験例2 この試験は、乳糖分解甘性ホエー濃縮物の熱安定性の相
違を調べるために行った。 1)試料の調製 甘性ホエー10.2kgを1.7kgずつ6つの容器に
入れ、pH未調整のもの、2%NaOH溶液によりpH
を6.6、6.8、7.0、7.2及び7.4に調整し
たもの、各々に市販ラクターゼ(合同酒精社製。GOD
O−YNL)0.45gずつ添加し、43℃で2時間乳
糖を加水分解させ、75℃で5分間保持してラクターゼ
を失活させた。次いで、各試料に果糖(日新製糖社製)
100gを添加して均一に混合し、各溶液を80℃で5
分間殺菌し、バッチ型濃縮器(ヴィーガント社製)によ
り全固形分含量70%に濃縮した。
【0029】2)試験方法 各濃縮試料16.7gを蒸留水で3倍に希釈(重量)
し、オートクレーブにより120℃で20分間加熱し、
遠沈管に入れ、3000rpmで20分間遠心分離し、
容器の底に残った沈殿物の容量(沈査量)を測定し、各
試料の熱安定性を試験した。
【0030】3)試験結果 この試験の結果は表2に示すとおりである。表2から明
らかなように、pH6.6〜7.2の範囲に調整した試
料の熱安定性は、極めて良好であることが認められた。
尚、他の製造法により製造した試料についても、ほぼ同
様の結果が得られた。
【0031】
【表2】
【0032】次に実施例を示して本発明を更に詳述する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
実施例1 エメンタール・チーズ製造時に副生した甘性ホエー13
3kgを、HTST殺菌機(日阪製作所製)により72
℃で40秒間加熱殺菌し、市販のラクターゼ(合同酒精
社製。GODO−YNL)35gを添加し、43℃で2
時間保持して加水分解させ、のち75℃で5分間加熱し
てラクターゼを失活させた。得られた乳糖分解甘性ホエ
ー溶液の乳糖の分解率(試験例1と同一の方法により測
定した)は99%であった。
【0033】次いで、ショ糖(大日本製糖社製)8kg
を添加して溶解し、バッチ型濃縮器(ヴィーガント社
製)により濃縮し、全固形分含量71%の乳糖分解甘性
ホエー濃縮物約21kgを得た。得られた乳糖分解甘性
ホエー濃縮物は、蛋白質4.6%、脂肪0.4%、乳糖
0.3%、乳糖分解物26.9%、ショ糖36.2%、
灰分2.6%及び水分29%を含んでいた。
【0034】実施例2 ゴーダ・チーズ製造時に副生した甘性ホエー71.1k
gを、HTST殺菌機(日阪製作所製)により72℃で
40秒間加熱殺菌し、市販のラクターゼ(合同酒精社
製。GODO−YNL)19.5gを添加し、43℃で
1.5時間保持して加水分解させ、のち75℃で5分間
加熱してラクターゼを失活させた。得られた乳糖分解甘
性ホエー溶液の乳糖の分解率(試験例1と同一の方法に
より測定した)は89%であった。
【0035】次いで、果糖(日新製糖社製)3.7kg
を添加して攪拌溶解した。このときのpHは5.80で
あった。この混合液に10%クエン酸溶液1200ml
を添加し、pHを4.3に調整し、バッチ型濃縮器(ヴ
ィーガント社製)により濃縮し、全固形分含量72%の
乳糖分解甘性ホエー濃縮物約10kgを得た。得られた
乳糖分解甘性ホエー濃縮物のpHは4.0であり、蛋白
質5.1%、脂肪0.4%、乳糖3.3%、乳糖分解物
27.0%、異性化糖33.3%、灰分2.9%及び水
分28%を含んでいた。
【0036】実施例3 エメンタール・チーズ製造時に副生した甘性ホエー1
2.8kg(pH6.0)に2%NaOH溶液415m
l添加してpHを6.8に調整し、HTST殺菌機(日
阪製作所製)により75℃で60秒間加熱殺菌し、市販
のラクターゼ(合同酒精社製。GKDK−YNL)8.
7gを添加し、43℃で2時間保持して加水分解させ、
のち80℃で2分間加熱してラクターゼを失活させた。
得られた乳糖分解甘性ホエー溶液の分解素(試験例1と
同一の方法により測定した)は97%であった。次い
で、異性化糖(参松工業社製)2kgを添加して攪拌溶
解し、バッチ型濃縮器(ヴィーガント社製)により濃縮
し、全固形分含量74%の乳糖分解甘性ホエー濃縮物約
5kgを得た。
【0037】得られた乳糖分解甘性ホエー濃縮物は、蛋
白質4.9%、脂肪0.4%、乳糖1.0%、乳糖分解
物27.3%、異性化糖37.5%、灰分2.9%及び
水分26%を含んでいた。この乳糖分解シロップ16.
7gを蒸留水で希釈(重量)し、均一に混合し、オート
クレーブにて120℃加熱し、のち遠沈管に入れ、30
00rpmで20分間遠心分離し、容器の底に残った沈
殿物の容量(沈査量)を測定した結果は、0.025m
l/50g以下であった。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の乳糖加水
分解甘性ホエー濃縮物及びその製造法により奏せられる
効果は次のとおりである。 1)甘性ホエー由来の不良な風味を感じさせず、好まし
い風味及び優れた特性を有する新しい食品素材として有
用なものである。 2)15℃以上の温度における保存により褐変せず、か
つ風味を損なうことがない。 3)最終製品である乳糖加水分解甘性ホエー濃縮物の熱
安定性を顕著に改善することができる。 4)従来製品で問題点とされていた甘性ホエーに起因す
る風味の不良がなく、食品素材として広範な食品に使用
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武田 安弘 神奈川県座間市東原5−1−83 森永乳業 株式会社栄養科学研究所内 (72)発明者 須澤 以津子 神奈川県座間市東原5−1−83 森永乳業 株式会社栄養科学研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも蛋白質、脂肪、乳糖加水分解
    物、糖類、灰分及び水分を構成成分として含有する乳糖
    分解甘性ホエー濃縮物であって、蛋白質含量6.7%
    (重量)以下、脂肪含量0.6%(重量)以下、乳糖含
    量0〜7.7%(重量)、乳糖加水分解物含量38.4
    %(重量)以下、ショ糖、果糖及び異性化糖からなる群
    より選択される糖類の1種又は2種以上の混合物の含量
    50.6%(重量)以下、灰分含量3.8%(重量)以
    下及び水分含量33%(重量)以下の組成からなること
    を特徴とする乳糖分解甘性ホエー濃縮物。
  2. 【請求項2】 蛋白質含量が2.9〜6.7%(重
    量)、脂肪含量が0.2〜0.6%(重量)、乳糖含量
    が0〜7.7%(重量)、乳糖加水分解物含量が13.
    5〜38.4%(重量)、糖類の1種又は2種以上の混
    合物の含量が22.9〜50.6%(重量)、灰分含量
    が1.7〜3.8%(重量)及び水分含量が25〜33
    %(重量)である請求項1に記載の乳糖分解甘性ホエー
    濃縮物。
  3. 【請求項3】 甘性ホエー、pHを6.6〜7.2に調
    整した甘性ホエー又はこれらの濃縮物に、乳糖分解酵素
    を添加し、甘性ホエーに含まれている乳糖の少なくとも
    80%(重量)を加水分解したのち、乳糖分解酵素を失
    活させ、pHを3.0〜5.0に調整し、乳糖分解甘性
    ホエー固形分含量に対して50〜200%(重量)のシ
    ョ糖、果糖及び異性化糖からなる群より選択される糖類
    の1種又は2種以上の混合物を添加し、濃縮することを
    特徴とする乳糖分解甘性ホエー濃縮物の製造法。
  4. 【請求項4】 乳糖分解甘性ホエーのpHの調整が、有
    機酸又は有機酸塩の添加により行われる請求項3に記載
    の乳糖分解甘性ホエー濃縮物の製造法。
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