JP2001200912A - ウォームギヤ装置 - Google Patents

ウォームギヤ装置

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JP2001200912A
JP2001200912A JP2000006536A JP2000006536A JP2001200912A JP 2001200912 A JP2001200912 A JP 2001200912A JP 2000006536 A JP2000006536 A JP 2000006536A JP 2000006536 A JP2000006536 A JP 2000006536A JP 2001200912 A JP2001200912 A JP 2001200912A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウォームギヤ装置において、バックラッシュ
調整の作業性が良好で、適正なバックラッシュが確実に
しかも容易に得られ、さらに部品点数およびコストの削
減が可能なバックラッシュの調整構造を提供する。 【解決手段】 ウォームギヤ装置は、ウォーム43が設け
られたウォーム軸44が回転自在に保持されたウォームハ
ウジング30と、ウォーム43と噛合するウォームホイール
45が回転自在に保持されたウォームホイールハウジング
20とを備え、両ハウジング20,30が合わせ面S1,S2で合
わされた状態でボルト40で相互に結合される。合わせ面
S1,S2は、ウォームホイール45の回転軸線と直交する仮
想平面上に位置するウォーム軸44の回転軸線L1に対して
傾斜しており、両ハウジング20,30は、合わせ面S1,S2
上での仮想平面と平行な方向における相対位置が連続的
に調整自在に結合される。そして、合わせ面S1,S2上
で、両ハウジング20,30の相対位置を調整することによ
り、ウォーム43およびウォームホイール45の歯面間のバ
ックラッシュが調整される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本出願発明は、例えば車両の
操舵力を軽減するための操舵補助力を発生する電動パワ
ーステアリング装置に使用されるウォームギヤ装置に関
し、さらに詳細にはウォームギヤ装置のバックラッシュ
を調整するための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】車両のステアリングホイールによる操舵
力を軽減するために、該操舵力に電動モータの発生する
操舵補助力を付加する電動パワーステアリング装置に
は、電動モータにより回転駆動されるウォームと、該ウ
ォームと噛合するウォームホイールとからなるウォーム
ギヤを使用した減速機構が備えられたものがある。
【0003】このウォームギヤにおいては、そのバック
ラッシュが適切に設定されないと、種々の不具合、例え
ば、バックラッシュが大きいことによる歯同士の衝突に
よる打音の発生、歯の早期摩耗、操舵の応答性の低下、
また、バックラッシュが小さいことによる回転の円滑性
の低下、が発生するため、その適切な設定が必須であ
る。一方、バックラッシュが適切に設定されていたとし
ても、長期に渡る使用の間に発生する歯面の摩耗によ
り、バックラッシュは増大する。
【0004】そのため、ウォームおよびウォームホイー
ルの歯面間のバックラッシュを調整するための種々の構
造が提案されている。例えば、特開平10−29750
5号公報で開示された電動式パワーステアリング装置で
は、ウォームホイールが連結された出力軸が回転自在に
支持された第1ハウジングに対して、電動モータに連結
されるとともにウォームが設けられた軸部材が回転自在
に支持されたウォームハウジングが、シムを介してボル
トにより取り付けられている。
【0005】そして、バックラッシュを調整するため
に、第1ハウジングからウォームハウジングが取り外さ
れた後、両ハウジング間に介在していたシムが適厚のシ
ムと交換され、再度ウォームハウジングが第1ハウジン
グに取り付けられる。その結果、第1ハウジングとウォ
ームハウジングとの取付間隔がシムにより調整され、出
力軸と軸部材との軸間距離が変わって、バックラッシュ
が調整される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、シムを使用
してバックラッシュを調整するものでは、ウォームハウ
ジングを外した後に、使用されていたシムを適厚のシム
と交換し、再度ウォームハウジングを取り付けるため、
その調整作業には時間がかかり、場合によっては適正な
バックラッシュを得るために、ウォームハウジングの取
外し・取付けおよびシムの交換を複数回繰り返さなけれ
ばならないこともあり、バックラッシュ調整の作業性は
良好とはいえないものであった。また、厚さの異なる複
数のシムを用意する必要があることから、部品点数が増
え、コスト高を招来していた。さらに、予め設定された
厚さを持つシムによる調整では、バックラッシュの調整
幅はシムの厚さに依存した段階的なものとなり、適正な
バックラッシュに調整する点では、改善の余地のあるも
のであった。
【0007】本出願発明は、このような事情に鑑みてな
されたものであって、ウォームギヤ装置において、バッ
クラッシュ調整の作業性が良好で、適正なバックラッシ
ュが確実にしかも容易に得られ、さらに部品点数および
コストの削減が可能なバックラッシュの調整構造を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本出願
の請求項1記載の発明は、ウォームが設けられたウォー
ム軸が回転自在に保持された第1ハウジングと、該ウォ
ームと噛合するウォームホイールが回転自在に保持され
た第2ハウジングとを備え、該第1ハウジングと該第2
ハウジングとが合わせ面で合わされた状態で相互に結合
されたウォームギヤ装置において、前記合わせ面は、前
記ウォームホイールの回転軸線と直交する仮想平面上に
位置する前記ウォーム軸の回転軸線に対して傾斜してお
り、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとは、該
合わせ面上での該仮想平面と平行な方向における相対位
置が連続的に調整自在に、相互に結合されたウォームギ
ヤ装置である。
【0009】この請求項1記載の発明によれば、バック
ラッシュの調整にあたり、第1ハウジングと第2ハウジ
ングとの結合が解除された状態で、第1および第2ハウ
ジングが、合わせ面上での仮想平面と平行な方向に相対
移動されて、両者の相対位置が連続的に調整されると、
合わせ面が仮想平面上に位置するウォーム軸の回転軸線
に対して傾斜しているため、ウォーム軸の回転軸線とウ
ォームホイールの回転軸線との距離が連続的に変化す
る。その結果、ウォームとウォームホイールとの歯面間
の距離が連続的に変化し、ウォームギヤのバックラッシ
ュの連続的な調整ができる。
【0010】そして、このバックラッシュの調整は、第
1および第2ハウジングを合わせ面上で相対移動させ
て、両者の相対位置を調整することによりなされるた
め、第2ハウジングから第1ハウジングを取外す必要は
なく、またバックラッシュ調整用部材(シム)の交換作
業は不要であることから、その調整の作業性は良好であ
り、さらに部品点数が少なくなり、コスト削減ができ
る。そのうえ、バックラッシュを連続的に可変調整でき
るため、適正なバックラッシュが確実に、しかも容易に
得られる。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載のウ
ォームギヤ装置において、前記第1ハウジングおよび前
記第2ハウジングには、該両ハウジングの結合時におけ
る前記ウォーム軸の回転軸線の前記ウォームホイールの
回転軸線方向での位置を維持しつつ前記平行方向に摺動
自在に相互に係合する第1係合部および第2係合部がそ
れぞれ設けられたものである。
【0012】この請求項2記載の発明によれば、第1お
よび第2係合部は、合わせ面上での仮想平面と平行な方
向に摺動自在に相互に係合しているので、バックラッシ
ュを調整する際に、前記平行方向への第1および第2ハ
ウジングの相対移動は、第1および第2係合部により案
内されることで容易に行われ、しかもこの移動の間、ウ
ォーム軸の回転軸線のウォームホイールの回転軸線方向
での位置は、第1ハウジングおよび第2ハウジングの結
合時における位置が維持された状態にある。
【0013】その結果、ウォームとウォームホイールと
の、ウォームホイールの回転軸線方向での噛合位置を変
化させることなくバックラッシュの調整ができるので、
その調整をより正確にかつ効率的に行うことができる。
【0014】
【発明の実施形態】以下、本出願発明の一実施形態を図
1ないし図6を参照して説明する。図1は、本出願発明
のウォームギヤ装置が適用される電動パワーステアリン
グ装置の概略全体図である。図1に示されるように、電
動パワーステアリング装置1は、車両の左右方向(図1
における左右方向と一致している)に略水平に延びる筒
状のラック軸ハウジング2と、ラック軸ハウジング2の
右端部に形成された主ピニオンハウジング3と、ラック
軸ハウジング2の左端部に形成された補助ピニオンハウ
ジング4とから構成されるステアリングギヤボックスを
備えている。
【0015】ラック軸ハウジング2内には、ラック軸5
がその軸方向である左右方向に移動自在に収容されてい
る。ラック軸ハウジング2の両端の開口から突出したラ
ック軸5の左右両端部は、それぞれ防塵用ブーツ6によ
り覆われたボールジョイント7を介してタイロッド8に
連結されている。
【0016】図2に図示されるように、ラック軸ハウジ
ング2に対して上下方向に延びている主ピニオンハウジ
ング3は、ラック軸ハウジング2と一体成形された下部
ハウジング3aと、下部ハウジング3aにボルト結合された
上部ハウジング3bとからなる。上部ハウジング3bには、
操舵力が加えられるステアリングホイールからの操舵ト
ルクが入力される入力軸9が軸受10により回転自在に保
持されて収容されており、下部ハウジング3aには、入力
軸9とトーションバー11を介して連結された第1出力軸
12が一対の軸受13,14を介して回転自在に保持されて収
容されている。したがって、入力軸9と第1出力軸12
は、トーションバー11に生じる捩れの範囲で、回転方向
の相対的な変位が可能である。また、上部ハウジング3b
内には、運転者がステアリングホイールに加えた操舵力
により発生するトーションバー11の捩れの大きさに基づ
いて操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ15が設けら
れている。
【0017】下部ハウジング3a内では、第1出力軸12に
形成されたピニオン12aが、ラック軸5に形成された一
連の第1ラック歯5aと噛合するようにされている。ま
た、下部ハウジング3aに形成された筒部内に摺動自在に
嵌合するラック軸ガイド16が、スクリュ17との間に装着
されたスプリング18に付勢されて、第1ラック歯5aがピ
ニオン12aと噛合する方向にラック軸5の背後を押圧し
ている。なお、19は、スクリュ17を設定位置に固定する
ためのロックナットである。
【0018】一方、ラック軸ハウジング2に対して上下
方向に延びている補助ピニオンハウジング4は、図3な
いし図5に図示されるように、ラック軸ハウジング2と
一体成形された第2ハウジングであるウォームホイール
ハウジング20と、ウォームホイールハウジング20に後述
する第1合わせ面S1において4本のボルト40により結合
された第1ハウジングであるウォームハウジング30と、
ウォームホイールハウジング20により形成される上端開
口を覆うべく、ウォームホイールハウジング20の上端面
にシールを介して装着されたカバー41とからなる。そし
て、補助ピニオンハウジング4内には、操舵補助力を発
生する電動モータ42の回転を減速するためのウォーム43
とウォームホイール45とで構成されるウォームギヤから
なる減速機構が収容されている。
【0019】図5を参照すると、ウォームホイールハウ
ジング20には、ラック軸5に形成された一連の第2ラッ
ク歯5bと噛合するピニオン46aが形成された第2出力軸4
6が一対の軸受47,48により回転自在に保持されて収容
されている。第2出力軸46において、ピニオン46aの形
成部分よりも上方の部分には、ウォームホイール45が圧
入されていて、ウォームホイール45は、第2出力軸46と
の間で設定滑りトルク以下のトルクが作用しているとき
は、第2出力軸46と一体に回転し、該設定滑りトルクよ
りも大きなトルクが作用したときは、両者の間で滑りが
生じるようにされている。
【0020】さらに、ウォームホイールハウジング20の
下部に形成された筒部内に摺動自在に嵌合するラック軸
ガイド49が、スクリュ50との間に装着されたスプリング
51により付勢されて、第2ラック歯5bがピニオン46aと
噛合する方向にラック軸5の背後を押圧している。な
お、52は、スクリュ50を設定位置に固定するためのロッ
クナットである。
【0021】図4を参照すると、ウォーム43および該ウ
ォーム43が設けられたウォーム軸44が収容されたウォー
ムハウジング30には、ウォーム軸44と連結された回転軸
42aを有する電動モータ42がボルト結合されている。そ
して、ウォーム軸44は、その先端部および回転軸42aと
の連結部近傍である基端部において、ウォームハウジン
グ30に第1および第2軸受53,54によりそれぞれ回転自
在に保持されている。さらに、ウォームハウジング30の
ウォーム43を収容している部分のウォームホイール45側
には開口部31が形成されている。
【0022】一方、ウォームホイールハウジング20のウ
ォーム43側に形成された開口部21から突出しているウォ
ームホイール45の一部が、ウォームハウジング30の開口
部31を経てウォームハウジング30内に収容され、ウォー
ムハウジング30内でウォーム43と噛合している。
【0023】そして、図3ないし図6を参照すると、ウ
ォームホイールハウジング20の開口部21の周縁部におい
て、ウォームハウジング30とウォームホイール45の回転
軸線L2の径方向に対向する端面であって、開口部21の左
側、右側および下側にそれぞれ位置する左側端面22L、
右側端面22Rおよび下側端面22Uは、回転軸線L2と平行な
平面を有する合わせ部22を形成している。このうち、左
側および右側端面22L,22Rは、ウォーム軸44の回転軸線
L1寄りに位置する第1左側端面22Laおよび第1右側端面
22Raと、第1左側および第1右側端面22La,22Raよりも
回転軸線L2寄りに位置する第2左側端面22Lbおよび第2
右側端面22Rbとからなる。したがって、左側および右側
端面22L,22Rにより左側凹部および右側凹部がそれぞれ
形成されている(図5および図6参照)。
【0024】また、ウォームハウジング30の開口部31の
周縁部において、ウォームホイールハウジング20とウォ
ームホイール45の回転軸線L2の径方向に対向する端面で
あって、開口部31の左側、右側および下側にそれぞれ位
置する左側端面32L、右側端面32Rおよび下側端面32U
は、合わせ部22と平行な平面を有して合わせ部22と対向
する合わせ部32を形成している。このうち、左側および
右側端面32L,32Rは、ウォーム軸44の回転軸線L1寄りに
位置する第1左側端面32Laおよび第1右側端面32Raと、
第1左側および第1右側端面32La,32Raよりも回転軸線
L2寄りに位置する第2左側端面32Lbおよび第2右側端面
32Rbとからなる。したがって、左側および右側端面32
L,32Rにより左側凸部および右側凸部がそれぞれ形成さ
れている(図5および図6参照)。
【0025】そして、ウォームホイールハウジング20の
第1左側および第1右側端面22La,22Raとウォームハウ
ジング30の第1左側および第1右側端面32La,32Raとが
合わされる第1合わせ面S1と、ウォームホイールハウジ
ング20の第2左側および第2右側端面22Lb,22Rbとウォ
ームハウジング30の第2左側および第2右側端面32Lb,
32Rbとが合わされる第2合わせ面S2とで、両ハウジング
20,30が合わせられた状態で、第1合わせ面S1において
両ハウジング20,30がボルト40により相互に結合されて
固定される。
【0026】このとき、ウォームホイール45の回転軸線
L2と直交する仮想平面P(図5参照)上にあるウォーム
軸44の回転軸線L1が、第1および第2合わせ面S1,S2に
対して傾斜するように、すなわち両合わせ面S1,S2とウ
ォーム軸44の回転軸線L1とが非平行な位置関係となるよ
うに、ウォーム軸44および両合わせ面S1,S2の配置が設
定されている。
【0027】そして、ウォームホイールハウジング20の
合わせ部22の第1左側および第1右側端面22La,22Raに
は、ボルト40が螺合するネジ孔が形成される一方、ウォ
ームハウジング30の合わせ部32の第1左側および第1右
側端面32La,32Raには、図3に図示されるように、第1
軸受53寄り、そして第2軸受54寄りにおいて、第1合わ
せ面S1に沿って仮想平面Pと平行な方向に長径を有する
長円の断面形状を有する長孔55がそれぞれ一つずつ開口
して形成されている。そして、各長孔55に挿通されるボ
ルト40が、対応するネジ孔に螺合して、ウォームホイー
ルハウジング20にウォームハウジング30が結合される。
それゆえ、この実施形態では、両合わせ部22,32の第1
左側および第1右側端面22La,22Ra,32La,32Raは、ウ
ォームホイールハウジング20にウォームハウジング30を
取り付けるための取付部ともなっており、したがって第
1合わせ面S1は取付面ともなっている。これにより、両
合わせ面S1,S2上での仮想平面Pと平行な方向における
両合わせ部22,32の相対位置が、長孔55の形成範囲にお
いて連続的に調整自在となっている。
【0028】さらに、図5および図6に図示されるよう
に、ウォームホイールハウジング20の合わせ部22の第1
左側端面22La、第1右側端面22Raおよび下側端面22Uに
おいて、ウォームホイール45の上方および下方にそれぞ
れ位置する上部および下部のそれぞれウォームホイール
45寄りの部分には、ウォームホイール45の径方向内方で
ある回転軸線L2寄りに第1合わせ面S1から後退した位置
に、仮想平面Pに対して平行に延びる径方向平面23a,2
4aと、該径方向平面23a,24aに連なり第1合わせ面S1に
対して平行に延びる軸方向平面23b,24bを有する段部2
3,24が形成されている。
【0029】一方、ウォームハウジング30の合わせ部32
において、ウォームホイール45の上方および下方にそれ
ぞれ位置する上部および下部のそれぞれウォームホイー
ル45寄りの部分には、ウォームホイール45の径方向内方
である回転軸線L2寄りに第1合わせ面S1から突出した位
置に、径方向平面23a,24aと対向して仮想平面Pに対し
て平行に延びる径方向平面33a,34aと、該径方向平面33
a,34aに連なり第1合わせ面S1に対して平行に延びる軸
方向平面33b,34bを有する段部33,34が形成されてい
る。
【0030】そして、ウォーム43とウォームホイール45
とが噛合した状態で、両ハウジング20,30が結合された
とき、ウォームホイールハウジング20に形成された段部
23,24の径方向平面23a,24aが、ウォームハウジング30
に形成された段部33,34の径方向平面33a,34aと面接触
することにより、これら段部23,24,33,34がウォーム
ホイール45の回転軸線L2方向に係合して、ウォーム43と
ウォームホイール45との回転軸線L2方向の噛合位置が、
最適な位置になるようにされている。また、ボルト40が
緩められて、ウォームホイールハウジング20に対してウ
ォームハウジング30が、両合わせ面S1,S2上で仮想平面
Pに平行な方向に移動されるとき、両合わせ面S1,S2上
で合わせ部32が合わせ部22に対して該移動方向に摺動す
ると同時に、径方向平面33a,34aが径方向平面23a,24a
に対して該移動方向に摺動するようになっている。この
とき、軸方向平面23b,24b,33b,34bは、この実施形態
では相互に接触していてもよいし、接触していなくても
よい。
【0031】それゆえ、両段部33,34の少なくとも一方
の段部および該一方の段部と係合する両段部23,24の少
なくとも一方の段部は、ウォームハウジング30およびウ
ォームホイールハウジング20の結合時におけるウォーム
軸44の回転軸線L1のウォームホイール45の回転軸線L2方
向位置、したがってウォーム43とウォームホイール45と
の該回転軸線L2方向の噛合位置を維持しつつ、前記移動
方向に摺動自在に相互に係合するウォームハウジング30
の第1係合部およびウォームホイールハウジング20の第
2係合部をそれぞれ構成している。
【0032】さらに、ウォームホイールハウジング20の
左側および右側端面22L,22Rに形成された前記左側およ
び右側凹部の仮想平面Pと平行な平面22Lc,22Rcと、ウ
ォームハウジング30の左側および右側端面32L,32Rに形
成された前記左側および右側凸部の仮想平面Pと平行な
平面32Lc,32Rcとが摺動自在に係合している。
【0033】このように、第1および第2合わせ面S1,
S2はウォーム軸44の回転軸線L1に対して傾斜するように
配置されているため、ウォームハウジング30が、ウォー
ムホイールハウジング20に対して、両合わせ面S1,S2上
で、長孔55に沿って仮想平面Pと平行な方向に連続的に
移動されることで、ウォーム軸44の回転軸線L1とウォー
ムホイール45の回転軸線L2との間の距離が連続的に変化
し、それによってウォームギヤのバックラッシュが連続
的に調整される。
【0034】すなわち、ウォームホイールハウジング20
に対して、ウォームハウジング30が、両合わせ面S1,S2
上で仮想平面Pと平行な方向で、ウォーム43とウォーム
ホイール45との噛合位置から見てウォーム軸44の先端側
に移動されることで、ウォーム軸44の回転軸線L1とウォ
ームホイール45の回転軸線L2との間の距離が大きくされ
て、バックラッシュが大きくなり、逆に、ウォームハウ
ジング30が、ウォーム43とウォームホイール45との噛合
位置から見てウォーム軸44の基端部側に移動されること
で、ウォーム軸44の回転軸線L1とウォームホイール45の
回転軸線L2との間の距離が小さくされて、バックラッシ
ュが小さくなる。
【0035】次に、このように構成された実施形態につ
いて、電動パワーステアリング装置1の動作およびウォ
ームギヤのバックラッシュの調整の仕方を説明する。運
転者が操舵すべくステアリングホイールを回転させる
と、その操舵力がステアリングホイールから入力軸9に
伝達される。入力軸9は、トーションバー11に捩りを生
じさせつつ第1出力軸12を回転させて、その回転が、ピ
ニオン12aとラック軸5の第1ラック歯5aとの噛合によ
り、ラック軸5に軸方向の移動を生じさせる。そして、
その移動がタイロッド8を介して転舵輪に伝達され、操
舵力に応じた転舵輪の転舵が行われる。
【0036】一方、操舵トルクセンサ15により検出され
た操舵トルクに応じた制御信号に基づいて電動モータ42
が駆動され、電動モータ42により回転駆動される回転軸
42aと連結されたウォーム軸44が回転駆動されて、ウォ
ーム43が回転し、さらにウォーム43と噛合するウォーム
ホイール45が所定の減速比で第2出力軸46と一体に回転
して、第2出力軸46の回転が、ピニオン46aと第2ラッ
ク歯5bとの噛合により、ラック軸5に軸方向の移動を生
じさせる。そして、その移動がタイロッド8を介して転
舵輪に伝達されて、ステアリングホイールからの操舵力
の補助を行う。
【0037】このとき、ウォーム43およびウォームホイ
ール45の歯面間のバックラッシュは、予め適正な値にな
るよう調整されたものとなっている。すなわち、ウォー
ムホイールハウジング20に対して、ウォームハウジング
30の長孔55に挿通されたボルト40が完全に締め付けられ
ていない状態で、ウォームハウジング30が、両合わせ面
S1,S2上で、長孔55の長径方向である仮想平面Pに平行
な方向に、段部23,24,33,34の径方向平面23a,24a,
33a,34aが相互に摺動する状態で移動される。このと
き、段部23,24,33,34の係合により、ウォーム43とウ
ォームホイール45とのウォームホイール45の回転軸線L2
方向の噛合位置は、最適な位置になるように設定されて
いるため、前記平行方向へのウォームハウジング30の移
動量が調整されることで、ウォームギヤのバックラッシ
ュが適正な値に調整される。さらに、前記左側および右
側凹部の仮想平面Pと平行な平面22Lc,22Rcと、ウォー
ムハウジング30の前記左側および右側凸部の仮想平面P
と平行な平面32Lc,32Rcとが係合していることにより、
ウォームハウジング30の移動が一層安定して行われる。
【0038】また、電動パワーステアリング装置1の長
期に渡る使用により、ウォーム43およびウォームホイー
ル45の歯面が摩耗してバックラッシュが増大したとき
は、ボルト40が緩められて、ウォームハウジング30とウ
ォームホイールハウジング20との結合が解除され、段部
23,24,33,34が係合した状態で、ウォームハウジング
30が、両合わせ面S1,S2上で仮想平面Pと平行に、ウォ
ーム43とウォームホイール45との噛合位置から見てウォ
ーム軸44の基端部側に移動されて、ウォーム軸44の回転
軸線L1とウォームホイール45の回転軸線L2との間の距離
が小さくされることにより、バックラッシュが小さくな
るように調整され、適正なバックラッシュが得られた
後、ボルト40が完全に締め付けられて両ハウジング20,
30が結合される。
【0039】以下、この実施形態の効果について説明す
る。電動パワーステアリング装置1の補助ピニオンハウ
ジング4において、減速機構を構成するウォーム43とウ
ォームホイール45からなるウォームギヤのバックラッシ
ュの調整にあたり、ボルト40が緩められてウォームハウ
ジング30とウォームホイールハウジング20との結合が解
除され、ウォームハウジング30とウォームホイールハウ
ジング20とが、第1および第2合わせ面S1,S2上での仮
想平面Pと平行な方向に移動されて、両者の相対位置が
連続的に調整されると、両合わせ面S1,S2が仮想平面P
上に位置するウォーム軸44の回転軸線L1に対して傾斜し
ているため、ウォーム軸44の回転軸線L1とウォームホイ
ール45の回転軸線L2との距離が連続的に変化する。その
結果、ウォーム43とウォームホイール45との歯面間の距
離が連続的に変化し、ウォームギヤのバックラッシュの
連続的な調整ができる。
【0040】このバックラッシュの調整は、ウォームハ
ウジング30およびウォームホイールハウジング20を両合
わせ面S1,S2上で相対移動させて、両者の相対位置を調
整することによりなされるため、ウォームホイールハウ
ジング20からウォームハウジング30を取外す必要はな
く、またバックラッシュ調整用部材(シム)の交換作業
は不要であることから、その調整の作業性は良好であ
り、さらに部品点数が少なくなり、コスト削減ができ
る。そのうえ、バックラッシュを連続的に可変調整でき
るため、適正なバックラッシュが容易に得られる。
【0041】また、ウォームハウジング30の段部33,34
およびウォームホイールハウジング20の段部23,24は、
両合わせ面S1,S2上での仮想平面Pと平行な方向に摺動
自在に相互に係合しているので、バックラッシュを調整
する際に、前記平行方向へのウォームハウジング30およ
びウォームホイールハウジング20の相対移動は、段部2
3,24,33,34の径方向平面23a,24a,33a,34aより案
内されることで容易に行われ、しかもこの移動の間、ウ
ォーム軸44の回転軸線L1のウォームホイール45の回転軸
線L2方向での位置は、ウォームハウジング30およびウォ
ームホイールハウジング20の結合時における位置が維持
された状態にある。
【0042】その結果、ウォーム43とウォームホイール
45との噛合部の、ウォームホイール45の回転軸線L2方向
の位置を変化させることなくバックラッシュの調整がで
きるので、その調整をより正確にかつ効率的に行うこと
ができる。
【0043】また、ウォームホイールハウジング20の前
記左側および右側凹部の平面22Lc,22Rcと、ウォームハ
ウジング30の前記左側および右側凸部の平面32Lc,32Rc
とが摺動自在に係合していることにより、両ハウジング
20,30の結合時におけるウォーム軸44の回転軸線L1のウ
ォームホイール45の回転軸線L2方向での噛合位置が維持
された状態で、両ハウジング20,30の相対移動が一層安
定して行われる。
【0044】以下、前述した実施形態の一部の構成を変
更した実施形態について、変更した構成に関して説明す
る。前記実施形態では、第1合わせ面S1は、ボルト40が
締結される取付面を兼ねていたが、該合わせ面S1と取付
面とを別個の面とすることもできる。さらに、合わせ面
とは別個の取付面を、ウォーム軸44の回転軸線L1と平行
な面であって、かつウォームハウジング30およびウォー
ムホイールハウジング20の合わせ面に沿っての相対移動
が許容できるように形成された面とすることもできる。
また、合わせ面は、ウォームホイール45の回転軸線L2と
平行であったが、平行でなくてもよい。さらに、前記実
施形態では、二つの合わせ面S1,S2が設けられたが、合
わせ面は一つであってもよい。
【0045】前記実施形態では、ウォームギヤは補助ピ
ニオンハウジング4に設けられていたが、補助ピニオン
ハウジング4を備えることなく、主ピニオンハウジング
3内にウォームギヤからなる減速機構を備えた電動パワ
ーステアリング装置にも本出願発明のウォームギヤ装置
は適用できる。
【0046】また、バックラッシュ調整時にウォームハ
ウジング30およびウォームホイールハウジング20が相対
移動される際、両ハウジング20,30の結合時におけるウ
ォーム軸44の回転軸線L1のウォームホイール45の回転軸
線L2方向での位置を維持しつつ、両合わせ面S1,S2上で
の仮想平面Pと平行な方向に摺動自在に相互に係合する
第1および第2係合部は、前記実施形態では、第1合わ
せ面S1の部分に形成された段部23,24,33,34であった
が、第1合わせ面S1以外の面、例えば合わせ面とは別個
に設けられた取付面、または両ハウジング20,30の外面
に形成された係合部とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本出願発明の一実施形態である電動パワーステ
アリング装置の概略全体図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【符号の説明】
1…電動パワーステアリング装置、2…ラック軸ハウジ
ング、3…主ピニオンハウジング、4…補助ピニオンハ
ウジング、5…ラック軸、6…防塵用ブーツ、7…ボー
ルジョイント、8…タイロッド、9…入力軸、10…軸
受、11…トーションバー、12…出力軸、13,14…軸受、
15…操舵トルクセンサ、16…ラック軸ガイド、17…スク
リュ、18…スプリング、19…ロックナット、20…ウォー
ムホイールハウジング、21…開口部、22…合わせ部、2
3,24…段部、30…ウォームハウジング、31…開口部、3
2…合わせ部、33,34…段部、40…ボルト、41…カバ
ー、42…電動モータ、43…ウォーム、44…ウォーム軸、
45…ウォームホイール、46…出力軸、47,48…軸受、49
…ラック軸ガイド、50…スクリュ、51…スプリング、52
…ロックナット、53,54…軸受、55…長孔、L1,L2…回
転軸線、P…仮想平面、S1,S2…合わせ面。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウォームが設けられたウォーム軸が回転
    自在に保持された第1ハウジングと、該ウォームと噛合
    するウォームホイールが回転自在に保持された第2ハウ
    ジングとを備え、該第1ハウジングと該第2ハウジング
    とが合わせ面で合わされた状態で相互に結合されたウォ
    ームギヤ装置において、 前記合わせ面は、前記ウォームホイールの回転軸線と直
    交する仮想平面上に位置する前記ウォーム軸の回転軸線
    に対して傾斜しており、前記第1ハウジングと前記第2
    ハウジングとは、該合わせ面上での該仮想平面と平行な
    方向における相対位置が連続的に調整自在に、相互に結
    合されたことを特徴とするウォームギヤ装置。
  2. 【請求項2】 前記第1ハウジングおよび前記第2ハウ
    ジングには、該両ハウジングの結合時における前記ウォ
    ーム軸の回転軸線の前記ウォームホイールの回転軸線方
    向での位置を維持しつつ前記平行方向に摺動自在に相互
    に係合する第1係合部および第2係合部がそれぞれ設け
    られたことを特徴とする請求項1記載のウォームギヤ装
    置。
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