JP3556719B2 - ギヤ装置におけるベベルギヤとピニオンギヤとの噛合調整構造 - Google Patents
ギヤ装置におけるベベルギヤとピニオンギヤとの噛合調整構造 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両の終減速装置等におけるギヤ装置におけるベベルギヤとピニオンギヤとの噛合調整構造に関し、特に、歯当たり並びにバックラッシュの調整作業性を向上する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の終減速装置として、図5に示すように、後軸1が連結されたベベルギヤとしてのリングギヤ2に、プロペラシャフトに連結された第1のピニオンギヤ3を噛合すると共に、リングギヤ2に、前軸に動力伝達を行うための第2のピニオンギヤ4を噛合するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、単一のベベルギヤ(リングギヤ2)に複数のピニオンギヤ3,4が噛合するようなギヤ装置においては、ギヤ同士の歯当たり並びにバックラッシュは、1つ目のピニオンギヤ3とベベルギヤ(リングギヤ2)とを夫々軸方向に移動して調整するが、2つ目以降のピニオンギヤ4については、噛合するベベルギヤ(リングギヤ2)が最初に調整された位置に固定されているため、ピニオンギヤ4のみを軸方向に移動させて調整するが、従来の調整方法は、ピニオンギヤ4の傾角を利用したシム調整方式(シム5,6)であり、調整の度に部品をばらして、シム交換を行う必要がある等、調整作業に時間がかかるという問題点があった。
【0004】
又、従来、2つ目以降のピニオンギヤを該ピニオンギヤ軸部を支承するスリーブをベベルギヤケーシングに対して移動し、三次元的に調整する方法があるが(実開昭49−7404号公報参照)、このものでは、ピニオンギヤを支持するのがスリーブのフランジ面だけとなり、負荷の印加時にベベルギヤケーシング位置がずれる等、強度不足が懸念される。
【0005】
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、ベベルギヤにピニオンギヤが噛合するギヤ装置において、ギヤ同士の歯当たり並びにバックラッシュの調整作業を簡単に行えるようにすると共に、負荷の印加時の強度を確保することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の発明は、
ベベルギヤを収納するベベルギヤケーシングにピニオンギヤの軸部を回転自由に支持するピニオンギヤケーシングを挿入し、前記ベベルギヤケーシングの一方の取付フランジにピニオンギヤケーシングの取付フランジを締結すると共に、前記ベベルギヤケーシングの他方の取付フランジにベベルギヤの軸部に連結された回転軸を支承する回転軸ケーシングの取付フランジを締結するようにしたギヤ装置において、
前記ピニオンギヤの軸部の中心軸を水平に設定し、
ベベルギヤケーシングの取付フランジとピニオンギヤケーシングの取付フランジとの締結面に、ギヤ歯当たり調整用シムを介在させる一方、
前記ベベルギヤケーシングの取付フランジと回転軸ケーシングの取付フランジとの締結部に、ベベルギヤケーシングを回転軸ケーシングに対して、回転軸ケーシングにより支承される回転軸の軸方向にのみ所定長さスライド可能にするギヤバックラッシュ調整用スライド構造部を設け、
前記ベベルギヤケーシングをスライドさせて位置調整を行なうスライド手段を設け、
前記ベベルギヤケーシングの調整されたスライド位置で、該ベベルギヤケーシングの取付フランジを回転軸ケーシングの取付フランジに締結するようにした。
請求項2記載の発明は、
前記スライド手段は、前記回転軸ケーシングにより支承される回転軸の軸方向において、前記ベベルギヤケーシングを挟んで離間した回転軸ケーシングの2箇所に夫々設けるようにした。
【0007】
【作用】
請求項1記載の発明において、ピニオンギヤの軸部の中心軸を水平に設定して、ピニオンギヤの傾角を0にした上で、ベベルギヤケーシングの取付フランジとピニオンギヤケーシングの取付フランジとの締結面に、ギヤ歯当たり調整用シムを介在させることにより、ギヤ歯当たりの調整が容易に行われる。
【0008】
又、ベベルギヤケーシングを回転軸ケーシングに対して、回転軸ケーシングにより支承される回転軸の軸方向にのみ所定長さスライド可能にし、ベベルギヤケーシングをスライドさせて位置調整を行うようにしたことにより、ギヤバックラッシュ調整を、調整ボルトの調整作業のみにより簡単に行われる。
従って、ギヤ歯当たり並びにギヤバックラッシュの調整作業時間の短縮化を図れる。
請求項2記載の発明において、回転軸ケーシングにより支承される回転軸の軸方向において、ベベルギヤケーシングを挟んで離間した回転軸ケーシングの2箇所にスライド手段を夫々設けるようにしたから、ベベルギヤケーシングを両側から押さえ込むこととなり、負荷の印加時において位置がずれることがなく、強度向上が図られる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明に係るギヤ装置として、車両の終減速装置の構造を示している。
この終減速装置は、後軸10が連結されたベベルギヤとしてのリングギヤ11に、プロペラシャフトに連結された第1のピニオンギヤ(図示せず)を噛合すると共に、リングギヤ11に、前軸(図示せず)に動力伝達を行うための第2のピニオンギヤ12(以下、単にピニオンギヤと言う)を噛合するようにしたものである。
【0010】
前記リングギヤ11を収納するリングギヤケーシングとしてのカバー13には、ピニオンギヤ12の軸部12Aを一対のベアリング14,15を介して回転自由に支持するピニオンギヤケーシング16が挿入される。
前記カバー13の一方のリング状取付フランジ17にピニオンギヤケーシング16のリング状取付フランジ18が、周方向に沿って所定間隔に配設された複数のボルト19により締結される。
【0011】
又、カバー13の他方のリング状取付フランジ20には、リングギヤ11の軸部に連結された回転軸としての後軸10を支承する回転軸ケーシングとしてのアクスルハウジング21のリング状取付フランジ24(図3及び図4参照)が、周方向に沿って所定間隔に配設された複数のボルト22により締結される。
ここで、前記ピニオンギヤ12の軸部12Aの中心軸を水平に設定して、ピニオンギヤ12の傾角を0にする。
【0012】
そして、カバー13の取付フランジ17とピニオンギヤケーシング16の取付フランジ18との締結面に、ギヤ歯当たり調整用シム23を介在させる。
一方、カバー13の取付フランジ20とアクスルハウジング21の取付フランジ24との締結部に、カバー13をアクスルハウジング21に対して水平方向(後軸10の軸方向のことをいう。以下同様)にのみ所定長さスライド可能にするギヤバックラッシュ調整用スライド構造部Aと、カバー12をスライドさせて位置調整を行うスライド手段Bとが設けられている。
【0013】
かかるギヤバックラッシュ調整用スライド構造部Aとスライド手段Bの具体的構成について説明する。
前記ギヤバックラッシュ調整用スライド構造部Aは、カバー13の取付フランジ20とアクスルハウジング21の取付フランジ24との締結部において、カバー13とアクセルハウジング21の中心軸を通る水平線上に位置する左右部位に設けられている。
【0014】
即ち、図3に示すように、前記左右部位夫々のアクスルハウジング21の取付フランジ14外端面には、カバー13の取付フランジ20側に突出するピン25の一端部が夫々嵌入固定されている。
又、前記左右部位夫々のカバー13の取付フランジ20内端面には、アクスルハウジング21の取付フランジ24側に凹となるスライド用長溝26が形成されている。
【0015】
前記ピン25はスライド用長溝26に挿入位置され、スライド用長溝26は、ピン25に沿ってスライド移動可能であり、上下方向の移動はピン25により規制される。
尚、このギヤバックラッシュ調整用スライド構造部Aとしては、図4のような構成でも良い。
【0016】
即ち、前記左右部位夫々のアクスルハウジング21の取付フランジ24外端面には、カバー13の取付フランジ20側に突出するスタッドボルト27が夫々嵌合取付されている。
又、前記左右部位夫々のカバー13の取付フランジ20には、スライド用長孔28が形成されている。
【0017】
前記スタッドボルト27の上端部はスライド用長孔28に貫通位置され、取付フランジ20外端面からの突出端部にはワッシャ29を介してナット30が嵌合され、スライド用長孔28は、スタッドボルト27に沿ってスライド移動可能であり、上下方向の移動はスタッドボルト27により規制される。
前記スライド手段Bは、カバー13をその取付フランジ20の押圧によりスライド移動させる構成である。
【0018】
即ち、カバー13の取付フランジ20のカバー13とアクセルハウジング21の中心軸を通る水平線上に位置する左右部位よりも上部側の両側周面には、平坦な押圧面31が形成されている。
これらの押圧面31に対応するアクスルハウジング21の両側端壁には夫々水平方向に張り出すブラケット32が設けられている。
【0019】
各ブラケット32の上下に離間する2部位には夫々調整ボルト33が嵌合されており、各調整ボルト33の先端部は前記押圧面31に当接される。
又、各調整ボルト33のブラケット32の外端面近傍位置には固定用ナット34が嵌合されており、調整ボルト33のブラケット32への任意の嵌合位置にて、該調整ボルト33を固定できるようになっている。
【0020】
従って、左右の調整ボルト33の締め付け或いは緩めにより、該調整ボルト33により押圧面31を介してカバー13が水平方向に押圧されてスライド移動され、上記のように、調整ボルト33のブラケット32への任意の嵌合位置にて、ナット34を締めて調整ボルト33を固定することにより、カバー13位置の調整が完了する。
【0021】
このようにカバー13位置の調整完了後に、前記カバー13の取付フランジ20をアクスルハウジング21の取付フランジ24に締結する。
かかる構成によると、前記ピニオンギヤ12の軸部12Aの中心軸を水平に設定して、ピニオンギヤ12の傾角を0にした上で、カバー13の取付フランジ17とピニオンギヤケーシング16の取付フランジ18との締結面に、シム23を介在させることにより、ギヤ歯当たりの調整を容易に行うことができる。
【0022】
又、カバー13をアクスルハウジング21に対して水平方向に所定長さスライド可能にし、カバー13をスライドさせて位置調整を行うようにしたことにより、ギヤバックラッシュ調整を、調整ボルト33の調整作業のみにより簡単に行うことができる。
従って、ギヤ歯当たり並びにギヤバックラッシュの調整作業時間の短縮化を図れる。
【0023】
更に、かかる構成によると、カバー13の取付フランジ20とアクスルハウジング21の取付フランジ24との締結部に、カバー13をアクスルハウジング21に対して水平方向にのみ所定長さスライド可能にするギヤバックラッシュ調整用スライド構造部Aを設けるようにしたから、カバー13の上下方向の移動が規制され、調整作業をスムーズに行うことができる。
【0024】
又、特に、スライド手段Bとして、調整ボルト33によりカバー13を両側から押さえ込む構成としたから、負荷の印加時において、カバー13位置がずれることがなく、強度の向上を図ることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、ピニオンギヤの軸部の中心軸を水平に設定して、ピニオンギヤの傾角を0にした上で、ベベルギヤケーシングの取付フランジとピニオンギヤケーシングの取付フランジとの締結面に、ギヤ歯当たり調整用シムを介在させることにより、ギヤ歯当たりの調整を容易に行うことができると共に、ベベルギヤケーシングを回転軸ケーシングに対して水平方向にのみ所定長さスライド可能にし、ベベルギヤケーシングを水平方向にスライドさせて位置調整を行うようにしたことにより、ギヤバックラッシュ調整を簡単な作業で容易に行うことができ、もって、ギヤ歯当たり並びにギヤバックラッシュの調整作業時間の短縮化を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、回転軸ケーシングにより支承される回転軸の軸方向において、ベベルギヤケーシングを挟んで離間した回転軸ケーシングの2箇所にスライド手段を夫々設けるようにしたから、ベベルギヤケーシングを両側から押さえ込むこととなり、負荷の印加時において位置がずれることがなく、強度向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す側面断面図
【図2】同上実施例の正面図
【図3】同上実施例におけるギヤバックラッシュ調整用スライド構造部の一例を示す図で、図2中X−X矢視断面図
【図4】ギヤバックラッシュ調整用スライド構造部の他の例を示す図
【図5】従来のベベルギヤとピニオンギヤとの噛合調整構造を示す側面断面図
【符号の説明】
10 後軸
11 リングギヤ(ベベルギヤ)
12 ピニオンギヤ
13 カバー(リングギヤケーシング)
16 ピニオンギヤケーシング
17 リング状取付フランジ
18 リング状取付フランジ
20 リング状取付フランジ
21 アクスルハウジング(回転軸ケーシング)
23 ギヤ歯当たり調整用シム
24 リング状取付フランジ
A ギヤバックラッシュ調整用スライド構造部
B スライド手段
【産業上の利用分野】
本発明は、車両の終減速装置等におけるギヤ装置におけるベベルギヤとピニオンギヤとの噛合調整構造に関し、特に、歯当たり並びにバックラッシュの調整作業性を向上する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の終減速装置として、図5に示すように、後軸1が連結されたベベルギヤとしてのリングギヤ2に、プロペラシャフトに連結された第1のピニオンギヤ3を噛合すると共に、リングギヤ2に、前軸に動力伝達を行うための第2のピニオンギヤ4を噛合するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、単一のベベルギヤ(リングギヤ2)に複数のピニオンギヤ3,4が噛合するようなギヤ装置においては、ギヤ同士の歯当たり並びにバックラッシュは、1つ目のピニオンギヤ3とベベルギヤ(リングギヤ2)とを夫々軸方向に移動して調整するが、2つ目以降のピニオンギヤ4については、噛合するベベルギヤ(リングギヤ2)が最初に調整された位置に固定されているため、ピニオンギヤ4のみを軸方向に移動させて調整するが、従来の調整方法は、ピニオンギヤ4の傾角を利用したシム調整方式(シム5,6)であり、調整の度に部品をばらして、シム交換を行う必要がある等、調整作業に時間がかかるという問題点があった。
【0004】
又、従来、2つ目以降のピニオンギヤを該ピニオンギヤ軸部を支承するスリーブをベベルギヤケーシングに対して移動し、三次元的に調整する方法があるが(実開昭49−7404号公報参照)、このものでは、ピニオンギヤを支持するのがスリーブのフランジ面だけとなり、負荷の印加時にベベルギヤケーシング位置がずれる等、強度不足が懸念される。
【0005】
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、ベベルギヤにピニオンギヤが噛合するギヤ装置において、ギヤ同士の歯当たり並びにバックラッシュの調整作業を簡単に行えるようにすると共に、負荷の印加時の強度を確保することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の発明は、
ベベルギヤを収納するベベルギヤケーシングにピニオンギヤの軸部を回転自由に支持するピニオンギヤケーシングを挿入し、前記ベベルギヤケーシングの一方の取付フランジにピニオンギヤケーシングの取付フランジを締結すると共に、前記ベベルギヤケーシングの他方の取付フランジにベベルギヤの軸部に連結された回転軸を支承する回転軸ケーシングの取付フランジを締結するようにしたギヤ装置において、
前記ピニオンギヤの軸部の中心軸を水平に設定し、
ベベルギヤケーシングの取付フランジとピニオンギヤケーシングの取付フランジとの締結面に、ギヤ歯当たり調整用シムを介在させる一方、
前記ベベルギヤケーシングの取付フランジと回転軸ケーシングの取付フランジとの締結部に、ベベルギヤケーシングを回転軸ケーシングに対して、回転軸ケーシングにより支承される回転軸の軸方向にのみ所定長さスライド可能にするギヤバックラッシュ調整用スライド構造部を設け、
前記ベベルギヤケーシングをスライドさせて位置調整を行なうスライド手段を設け、
前記ベベルギヤケーシングの調整されたスライド位置で、該ベベルギヤケーシングの取付フランジを回転軸ケーシングの取付フランジに締結するようにした。
請求項2記載の発明は、
前記スライド手段は、前記回転軸ケーシングにより支承される回転軸の軸方向において、前記ベベルギヤケーシングを挟んで離間した回転軸ケーシングの2箇所に夫々設けるようにした。
【0007】
【作用】
請求項1記載の発明において、ピニオンギヤの軸部の中心軸を水平に設定して、ピニオンギヤの傾角を0にした上で、ベベルギヤケーシングの取付フランジとピニオンギヤケーシングの取付フランジとの締結面に、ギヤ歯当たり調整用シムを介在させることにより、ギヤ歯当たりの調整が容易に行われる。
【0008】
又、ベベルギヤケーシングを回転軸ケーシングに対して、回転軸ケーシングにより支承される回転軸の軸方向にのみ所定長さスライド可能にし、ベベルギヤケーシングをスライドさせて位置調整を行うようにしたことにより、ギヤバックラッシュ調整を、調整ボルトの調整作業のみにより簡単に行われる。
従って、ギヤ歯当たり並びにギヤバックラッシュの調整作業時間の短縮化を図れる。
請求項2記載の発明において、回転軸ケーシングにより支承される回転軸の軸方向において、ベベルギヤケーシングを挟んで離間した回転軸ケーシングの2箇所にスライド手段を夫々設けるようにしたから、ベベルギヤケーシングを両側から押さえ込むこととなり、負荷の印加時において位置がずれることがなく、強度向上が図られる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明に係るギヤ装置として、車両の終減速装置の構造を示している。
この終減速装置は、後軸10が連結されたベベルギヤとしてのリングギヤ11に、プロペラシャフトに連結された第1のピニオンギヤ(図示せず)を噛合すると共に、リングギヤ11に、前軸(図示せず)に動力伝達を行うための第2のピニオンギヤ12(以下、単にピニオンギヤと言う)を噛合するようにしたものである。
【0010】
前記リングギヤ11を収納するリングギヤケーシングとしてのカバー13には、ピニオンギヤ12の軸部12Aを一対のベアリング14,15を介して回転自由に支持するピニオンギヤケーシング16が挿入される。
前記カバー13の一方のリング状取付フランジ17にピニオンギヤケーシング16のリング状取付フランジ18が、周方向に沿って所定間隔に配設された複数のボルト19により締結される。
【0011】
又、カバー13の他方のリング状取付フランジ20には、リングギヤ11の軸部に連結された回転軸としての後軸10を支承する回転軸ケーシングとしてのアクスルハウジング21のリング状取付フランジ24(図3及び図4参照)が、周方向に沿って所定間隔に配設された複数のボルト22により締結される。
ここで、前記ピニオンギヤ12の軸部12Aの中心軸を水平に設定して、ピニオンギヤ12の傾角を0にする。
【0012】
そして、カバー13の取付フランジ17とピニオンギヤケーシング16の取付フランジ18との締結面に、ギヤ歯当たり調整用シム23を介在させる。
一方、カバー13の取付フランジ20とアクスルハウジング21の取付フランジ24との締結部に、カバー13をアクスルハウジング21に対して水平方向(後軸10の軸方向のことをいう。以下同様)にのみ所定長さスライド可能にするギヤバックラッシュ調整用スライド構造部Aと、カバー12をスライドさせて位置調整を行うスライド手段Bとが設けられている。
【0013】
かかるギヤバックラッシュ調整用スライド構造部Aとスライド手段Bの具体的構成について説明する。
前記ギヤバックラッシュ調整用スライド構造部Aは、カバー13の取付フランジ20とアクスルハウジング21の取付フランジ24との締結部において、カバー13とアクセルハウジング21の中心軸を通る水平線上に位置する左右部位に設けられている。
【0014】
即ち、図3に示すように、前記左右部位夫々のアクスルハウジング21の取付フランジ14外端面には、カバー13の取付フランジ20側に突出するピン25の一端部が夫々嵌入固定されている。
又、前記左右部位夫々のカバー13の取付フランジ20内端面には、アクスルハウジング21の取付フランジ24側に凹となるスライド用長溝26が形成されている。
【0015】
前記ピン25はスライド用長溝26に挿入位置され、スライド用長溝26は、ピン25に沿ってスライド移動可能であり、上下方向の移動はピン25により規制される。
尚、このギヤバックラッシュ調整用スライド構造部Aとしては、図4のような構成でも良い。
【0016】
即ち、前記左右部位夫々のアクスルハウジング21の取付フランジ24外端面には、カバー13の取付フランジ20側に突出するスタッドボルト27が夫々嵌合取付されている。
又、前記左右部位夫々のカバー13の取付フランジ20には、スライド用長孔28が形成されている。
【0017】
前記スタッドボルト27の上端部はスライド用長孔28に貫通位置され、取付フランジ20外端面からの突出端部にはワッシャ29を介してナット30が嵌合され、スライド用長孔28は、スタッドボルト27に沿ってスライド移動可能であり、上下方向の移動はスタッドボルト27により規制される。
前記スライド手段Bは、カバー13をその取付フランジ20の押圧によりスライド移動させる構成である。
【0018】
即ち、カバー13の取付フランジ20のカバー13とアクセルハウジング21の中心軸を通る水平線上に位置する左右部位よりも上部側の両側周面には、平坦な押圧面31が形成されている。
これらの押圧面31に対応するアクスルハウジング21の両側端壁には夫々水平方向に張り出すブラケット32が設けられている。
【0019】
各ブラケット32の上下に離間する2部位には夫々調整ボルト33が嵌合されており、各調整ボルト33の先端部は前記押圧面31に当接される。
又、各調整ボルト33のブラケット32の外端面近傍位置には固定用ナット34が嵌合されており、調整ボルト33のブラケット32への任意の嵌合位置にて、該調整ボルト33を固定できるようになっている。
【0020】
従って、左右の調整ボルト33の締め付け或いは緩めにより、該調整ボルト33により押圧面31を介してカバー13が水平方向に押圧されてスライド移動され、上記のように、調整ボルト33のブラケット32への任意の嵌合位置にて、ナット34を締めて調整ボルト33を固定することにより、カバー13位置の調整が完了する。
【0021】
このようにカバー13位置の調整完了後に、前記カバー13の取付フランジ20をアクスルハウジング21の取付フランジ24に締結する。
かかる構成によると、前記ピニオンギヤ12の軸部12Aの中心軸を水平に設定して、ピニオンギヤ12の傾角を0にした上で、カバー13の取付フランジ17とピニオンギヤケーシング16の取付フランジ18との締結面に、シム23を介在させることにより、ギヤ歯当たりの調整を容易に行うことができる。
【0022】
又、カバー13をアクスルハウジング21に対して水平方向に所定長さスライド可能にし、カバー13をスライドさせて位置調整を行うようにしたことにより、ギヤバックラッシュ調整を、調整ボルト33の調整作業のみにより簡単に行うことができる。
従って、ギヤ歯当たり並びにギヤバックラッシュの調整作業時間の短縮化を図れる。
【0023】
更に、かかる構成によると、カバー13の取付フランジ20とアクスルハウジング21の取付フランジ24との締結部に、カバー13をアクスルハウジング21に対して水平方向にのみ所定長さスライド可能にするギヤバックラッシュ調整用スライド構造部Aを設けるようにしたから、カバー13の上下方向の移動が規制され、調整作業をスムーズに行うことができる。
【0024】
又、特に、スライド手段Bとして、調整ボルト33によりカバー13を両側から押さえ込む構成としたから、負荷の印加時において、カバー13位置がずれることがなく、強度の向上を図ることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、ピニオンギヤの軸部の中心軸を水平に設定して、ピニオンギヤの傾角を0にした上で、ベベルギヤケーシングの取付フランジとピニオンギヤケーシングの取付フランジとの締結面に、ギヤ歯当たり調整用シムを介在させることにより、ギヤ歯当たりの調整を容易に行うことができると共に、ベベルギヤケーシングを回転軸ケーシングに対して水平方向にのみ所定長さスライド可能にし、ベベルギヤケーシングを水平方向にスライドさせて位置調整を行うようにしたことにより、ギヤバックラッシュ調整を簡単な作業で容易に行うことができ、もって、ギヤ歯当たり並びにギヤバックラッシュの調整作業時間の短縮化を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、回転軸ケーシングにより支承される回転軸の軸方向において、ベベルギヤケーシングを挟んで離間した回転軸ケーシングの2箇所にスライド手段を夫々設けるようにしたから、ベベルギヤケーシングを両側から押さえ込むこととなり、負荷の印加時において位置がずれることがなく、強度向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す側面断面図
【図2】同上実施例の正面図
【図3】同上実施例におけるギヤバックラッシュ調整用スライド構造部の一例を示す図で、図2中X−X矢視断面図
【図4】ギヤバックラッシュ調整用スライド構造部の他の例を示す図
【図5】従来のベベルギヤとピニオンギヤとの噛合調整構造を示す側面断面図
【符号の説明】
10 後軸
11 リングギヤ(ベベルギヤ)
12 ピニオンギヤ
13 カバー(リングギヤケーシング)
16 ピニオンギヤケーシング
17 リング状取付フランジ
18 リング状取付フランジ
20 リング状取付フランジ
21 アクスルハウジング(回転軸ケーシング)
23 ギヤ歯当たり調整用シム
24 リング状取付フランジ
A ギヤバックラッシュ調整用スライド構造部
B スライド手段
Claims (2)
- ベベルギヤを収納するベベルギヤケーシングにピニオンギヤの軸部を回転自由に支持するピニオンギヤケーシングを挿入し、前記ベベルギヤケーシングの一方の取付フランジにピニオンギヤケーシングの取付フランジを締結すると共に、前記ベベルギヤケーシングの他方の取付フランジにベベルギヤの軸部に連結された回転軸を支承する回転軸ケーシングの取付フランジを締結するようにしたギヤ装置において、
前記ピニオンギヤの軸部の中心軸を水平に設定し、
ベベルギヤケーシングの取付フランジとピニオンギヤケーシングの取付フランジとの締結面に、ギヤ歯当たり調整用シムを介在させる一方、
前記ベベルギヤケーシングの取付フランジと回転軸ケーシングの取付フランジとの締結部に、ベベルギヤケーシングを回転軸ケーシングに対して、回転軸ケーシングにより支承される回転軸の軸方向にのみ所定長さスライド可能にするギヤバックラッシュ調整用スライド構造部を設け、
前記ベベルギヤケーシングをスライドさせて位置調整を行なうスライド手段を設け、
前記ベベルギヤケーシングの調整されたスライド位置で、該ベベルギヤケーシングの取付フランジを回転軸ケーシングの取付フランジに締結するようにした
ことを特徴とするギヤ装置におけるベベルギヤとピニオンギヤとの噛合調整構造。 - 前記スライド手段は、前記回転軸ケーシングにより支承される回転軸の軸方向において、前記ベベルギヤケーシングを挟んで離間した回転軸ケーシングの2箇所に夫々設けられたことを特徴とする請求項1記載のギヤ装置におけるベベルギヤとピニオンギヤとの噛合調整構造。
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JP1771495A JP3556719B2 (ja) | 1995-02-06 | 1995-02-06 | ギヤ装置におけるベベルギヤとピニオンギヤとの噛合調整構造 |
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JP1771495A JP3556719B2 (ja) | 1995-02-06 | 1995-02-06 | ギヤ装置におけるベベルギヤとピニオンギヤとの噛合調整構造 |
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