JP2001200119A - 塩素含有重合体用安定剤組成物 - Google Patents

塩素含有重合体用安定剤組成物

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JP2001200119A JP2000013338A JP2000013338A JP2001200119A JP 2001200119 A JP2001200119 A JP 2001200119A JP 2000013338 A JP2000013338 A JP 2000013338A JP 2000013338 A JP2000013338 A JP 2000013338A JP 2001200119 A JP2001200119 A JP 2001200119A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、微結晶カルシウムシリケート
を、熱安定剤として使用するときの初期着色傾向や加熱
による着色濃度増大傾向を解消し、耐熱持続性や塩化水
素捕捉性を一層増強した塩素含有重合体用安定剤を提供
するにある。 【解決手段】(A)微結晶カルシウムシリケート或いは
その多価アルコールとの複合物と、(B)アミノウラシ
ル乃至その誘導体の少なくとも1種とを (A):(B)=90:10乃至30:70、 特に80:20乃至40:60 の重量比で含有する塩素含有重合体用安定剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素含有重合体の
熱安定性の持続性や塩素捕捉性が延長され、初期配合時
及び熱履歴時の色相を顕著に改善することが可能な塩素
含有重合体用熱安定剤に関するものであり、本発明は更
に上記安定剤を含有する塩素含有重合体組成物にも関す
る。
【0002】
【従来の技術】ケイ酸カルシウム(カルシウムシリケー
ト、以下CSHと記載することがある)が、塩素含有重
合体の熱安定剤として優れていることは、古くから知ら
れており、特開平4−15237号公報には、特定のX
線回折像を有する微結晶カルシウムシリケートが、熱安
定化作用に優れた樹脂配合剤となることが記載されてい
る。
【0003】一方、アミノウラシル誘導体が塩素含有重
合体の熱安定剤となることも古くから知られており、特
開昭57−23647号公報、特開昭57−20043
6号公報及び特開平2−88655号公報には、アミノ
ウラシル誘導体のある種のものを塩素含有重合体に配合
することが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】微結晶カルシウムシリ
ケートは、塩素含有重合体に配合して耐熱試験に付した
とき、かなりの長時間加熱を続行しても、着色しても黒
変するまでに相当の時間の粘りがあり、耐熱持続性に優
れているという利点を有している。しかしながら、この
微結晶カルシウムシリケートは塩素含有重合体に配合し
たとき暖色系に初期着色する傾向があり、熱履歴に伴っ
てこの着色濃度が次第に高くなるという傾向があって、
その改善が望まれている。
【0005】従って、本発明の目的は、微結晶カルシウ
ムシリケートを、熱安定剤として使用するときの初期着
色傾向や加熱による着色濃度増大傾向を解消し、耐熱持
続性や塩化水素捕捉性を一層増強した塩素含有重合体用
安定剤を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(A)
微結晶カルシウムシリケート或いはその多価アルコール
との複合物と、(B)アミノウラシル乃至その誘導体の
少なくとも1種とを (A):(B)=90:10乃至30:70、 特に80:20乃至40:60 の重量比で含有することを特徴とする塩素含有重合体用
安定剤組成物が提供される。本安定剤においては、
(1)微結晶カルシウムシリケートが使用され、一般式
(1) CaO・xSiO・nHO ‥‥(1) 式中、xは0.5乃至5.0の数であり、nは2.5以
下の数である、で表される化学組成を有し且つ面間隔
3.01乃至3.08オングストローム、面間隔2.7
8乃至2.82オングストローム及び面間隔1.81乃
至1.84オングストロームにX線回折像を有する微結
晶カルシウムシリケートであること、(2)微結晶カル
シウムシリケートが下記式(2) I=tanθ/tanθ ‥‥(2) 式中、θは面間隔3.01乃至3.08オングストロ
ームのX線回折ピークにおけるピーク垂線と挟角側接線
とがなす角度、θは上記ピークにおいてピーク垂線と
広角側接線とがなす角度を示す、で定義される積層不整
指数(I)が1.75以上であること、(3)微結晶
カルシウムシリケートが60乃至200m/gの比表
面積、0.5ml/g以上の細孔容積、50乃至250
ml/100gの吸油量、及び0.1乃至10μmの平
均粒径を有するものであること、(4)微結晶カルシウ
ムシリケート或いはその多価アルコールとの複合物が、
微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールとを2
0:80乃至80:20の重量比で含有して成ること、
(5)上記多価アルコールがペンタエリスリトールまた
はジペンタエリスリトールであること、(6)アミノウ
ラシル乃至その誘導体が、下記式(3)
【化2】 式中、R及びRは炭素数1乃至8のアルキル基、ア
ラルキル基アルケニル基及び非置換或いはアルキル基、
ハロゲンで置換されたフェニル基を示し、同一か又は異
なった基である、で表される化合物であること、(7)
上記アミノウラシルが、1,3−ジメチル−4−アミノ
−ウラシルから成ること、が好ましい。
【0007】本発明によればまた、塩素含有重合体10
0重量部当たり0.1乃至20重量部、好ましくは1乃
至10重量部の安定剤とからなる塩素含有重合体組成物
において、安定剤が(A)微結晶カルシウムシリケート
或いはその多価アルコールと、(B)アミノウラシル乃
至その誘導体の少なくとも1種とを (A):(B)=90:10乃至30:70、 特に80:20乃至40:60 の重量比で含有するものであることを特徴とする塩素含
有重合体剤組成物が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】[作用]本発明は、(A)微結晶
カルシウムシリケートと、(B)アミノウラシル誘導体
とを特定の量比で組み合わせると、暖色系の初期着色傾
向やその後の加熱履歴に伴う着色濃度の増大傾向が顕著
に解消乃至低減されると共に、耐熱持続性や塩化水素捕
捉性を一層増強することが可能となるという知見に基づ
くものである。
【0009】後述する実施例及び比較例を参照された
い。即ち、微結晶カルシウムシリケートを他の助剤と共
に塩化ビニル系樹脂に配合した試料(比較例1)では、
暖色系の初期着色傾向があり、しかもこの着色は加熱時
間と共に濃度が増大していることが確認される。一方、
アミノウラシル乃至その誘導体を他の助剤と共に塩化ビ
ニル系樹脂に配合した試料(比較例7)では、暖色系の
初期着色傾向こそ小さいものの、短時間の加熱により暖
色系に着色し、比較的短い加熱時間で黒変することが認
められる。
【0010】これに対して、微結晶カルシウムシリケー
トとアミノウラシル乃至その誘導体とを組合せで塩化ビ
ニル系樹脂に配合した試料(実施例1)では、暖色系の
初期着色傾向や、加熱時間と共に着色濃度が増大する傾
向が顕著に抑制され、耐熱持続性も顕著に向上している
ことが確認される。
【0011】一般に、塩素含有重合体の初期着色傾向や
加熱による着色濃度の増大傾向を抑制するために、互い
に色相の異なる初期着色傾向を有する複数の安定剤、例
えば暖色系の着色傾向を有する安定剤と寒色系の着色傾
向を有する安定剤とを組み合わせて塩素含有重合体に配
合し、これにより着色傾向を抑制することはよく行われ
ている。この原理は、塩素含有重合体の着色物が、その
混合により灰色となって無彩化されることを利用するも
のである。
【0012】これに対して、本発明の安定剤組成物で
は、(A)微結晶カルシウムシリケート及び(B)アミ
ノウラシル乃至その誘導体の両方が暖色系の着色傾向を
示すにもかかわらず、これらの組合せ安定剤は顕著に解
消され或いは抑制された着色傾向を示すのであって、こ
れは、従来着色防止とは原理を異にし、全く予想外のも
のと認められる。
【0013】[安定剤成分] (1)微結晶カルシウムシリケート 本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートは、前記式
(1)の化学組成と、前記X線回折像とを有するもので
あり、そのX線回折像を図1に示す。本発明で使用する
微結晶カルシウムシリケートのX線回折像について、そ
の3強線を示すと、下記表1
【表1】 2θ 面間隔 相対強度 (deg) (オングストローム) 29.2 3.05 m 32.0 2.79 w 49.3 1.82 w 表中、mは中程に強い、wは弱い、をそれぞれ示してい
る、のとおりとなるが、その最強ピークがかなりブロー
ドなものとなっていることが明らかである。
【0014】結晶のX線回折では、下記のBraggの
式(4) nλ=2dhkl Sinθ ‥‥(4) 式中、nは次数であり、λはX線の波長であり、d
hkl は結晶の(hkl)の面間隔であり、θは回折
角である、を満足するとき、干渉に強度ピークが現れる
ことが知られており、この干渉ピークの鋭さと結晶の大
きさとの間にも、下記のScherrerの式(5) 式中、Lhkl は結晶の(hkl)面に垂直な方向の
寸法、Kは約0.9の定数、Hは干渉ピークの半価幅
(ラジアン)、λ及びθは前記式(4)と同一である、
で表される関係がある。
【0015】図1のX線回折像から、面指数(220)
の回折ピークの半価幅を求め、この半価幅から、前記式
(5)により、結晶子のサイズを算出すると、面指数
(220)の結晶子サイズは、60乃至120オングス
トロームの範囲に一般に抑制されており、この微結晶カ
ルシウムシリケートは熱安定化作用に優れている。
【0016】本発明に用いる微結晶カルシウムシリケー
トは、下記式(2) I=tanθ/tanθ ‥‥(2) 式中、θは面間隔3.01乃至3.08オングストロ
ームのX線回折ピークにおけるピーク垂線と挟角側接線
とがなす角度、θは上記ピークにおいてピーク垂線と
広角側接線とがなす角度を示す、で定義される積層不整
指数(I)が1.75以上、特に1.8乃至2.0の
範囲にあることが好ましい。本発明で用いる微結晶カル
シウムシリケートは、前述したX線回折像からも明らか
なとおり、層状の微細結晶であるが、上記の積層不整指
数とは、層のC軸方向の積み重ねが不規則である程度を
示すものであり、この値が大きいほど、不規則性が大き
いことを示している。本発明に用いる微結晶カルシウム
シリケートは、積層が不規則的であるため、活性表面が
大きく、塩素含有重合体の安定化作用に優れている。
【0017】本発明で用いる微結晶カルシウムシリケー
トは、一般に40μm以上の粒度のものが全体の10重
量%以下で且つ20μm以下の粒度のものが全体の70
重量%以上であるような粒度分布を有していることが、
塩素含有重合体への均一な分散と熱安定化効果の点で好
ましい。また、この微結晶カルシウムシリケートは、上
記の粒子構造に関連して、60乃至200m/g、特
に70乃至150m/gの比較的大きな比表面積、
0.5ml/g以上、特に1.0乃至4.0ml/gの
細孔容積、及び50乃至250ml/100g、特に8
0乃至200ml/100gの吸油量を有している。
【0018】この微結晶カルシウムシリケートは、非晶
質の活性ケイ酸を石灰乳中で微粉砕することにより製造
できるが、勿論この製造法に限定されない。
【0019】上記微結晶カルシウムシリケートと多価ア
ルコールとを20:80乃至80:20の重量比で含有
する複合物の形で用いるのが好ましく、この複合物は、
微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールとを湿式
及び乾式で共粉砕することにより得られる。この複合体
においては、塩化亜鉛に対しマスキング乃至キレート作
用を有するため、熱安定性及び初期着色傾向が改善され
る。
【0020】多価アルコールとしては、例えば、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、トリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグ
リセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリト
ール、マンニトール、ソルビトール、トリメチロールプ
ロパン、ジトリメチロールプロパン、トリスイソシアヌ
レート、ペンタエリスリトールアジペート、ジペンタエ
リスリトールアジペート等を挙げることができる。これ
らの内でも、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリ
スリトールが好適である。
【0021】(2)アミノウラシル乃至その誘導体 アミノウラシル乃至その誘導体が、下記式(3)
【化3】 式中、R及びRは炭素数1乃至8のアルキル基、ア
ラルキル基アルケニル基及び非置換或いはアルキル基、
ハロゲンで置換されたフェニル基を示し、同一か又は異
なった基である、で表される化合物であり、アルキル基
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、オクチル基が、アラルキル基としてはベンジル基、
フェネチル基、クミル基が、アルケニル基としては、ビ
ニル基、アリル基が、置換または未置換のフェニル基と
しては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クロロフ
ェニル基が挙げられる。具体的には、例えば1,3−ジ
メチル−4−アミノ−ウラシル、1,3−ジエチル−4
−アミノ−ウラシル、1,3−ジイソプロピル−4−ア
ミノ−ウラシルが挙げられ、更に1,3−ジメチル−4
−チオウラシル、1,3−ジエチル−4−チオウラシ
ル、1,3−ジイソプロピル−4−チオ−ウラシルも使
用できる。好ましくは1,3−ジメチル−4−アミノ−
ウラシルが使用される。
【0022】[塩素含有重合体組成物]塩素含有重合体
としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素
化ポリプロピレン、塩素化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニ
ル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合
体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−
塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水
マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アク
リロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合
体、塩素化ビニル−塩化プロピレン共重合体、塩化ビニ
ル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビ
ニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレ
イン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エ
ステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこれら
の塩素含有重合体とポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィ
ン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−プロピレン共重合体、などのポリオレフィン及びこれ
らの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン
と他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、ア
クリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル
−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体とのブレンド品など
を挙げることができる。
【0023】本発明では、上記塩素含有重合体に対し
て、微結晶カルシウムシリケート及びアミノウラシル乃
至その誘導体を前述した量比で配合する。これに加え
て、前述した補助成分を配合することが望ましい。以下
これらの補助成分についても説明する。
【0024】[可塑剤]本発明で用いる可塑剤として
は、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系
可塑剤等のエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、
燐酸エステル系可塑剤、塩素系可塑剤、テトラヒドロフ
タール酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸
系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤な
どがあげられる。
【0025】さらにポリエチレン系可塑剤、トリメリッ
ト酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤から選ばれる
一種または2種以上の組合せと他の可塑剤の併用も性能
を損なわない範囲で可能であり、フタル酸系、燐酸系、
脂肪酸系、アジピン酸系、エポキシ系、トリメリット系
等が用いられる。
【0026】ポリエステル系可塑剤としては、多価アル
コールと多価カルボン酸とから誘導されたポリエステル
であって、分子量が1000以上、特に1500以上の
ものが使用される。多価アルコールとしては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトー
ル、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコ
ール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA
のエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙
げられ、多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン
酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボ
ン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメ
リット酸、ピロメリット酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸等の芳香族ジカルボン酸;の1種又は2種以上の
組合せが挙げられる。
【0027】ポリエステル系可塑剤の具体的なものとし
ては、ポリ(プロピレングリコール、アジピン酸)エス
テル、ポリ(1,3−ブタンジオール、アジピン酸)エ
ステル、ポリ(1,3−ブタンジオール、セバチン酸)
エステル、ポリ(プロピレングリコール、セバチン酸)
エステル、ポリ(プロピレングリコール、フタル酸)エ
ステル、ポリ(1,3−ブタンジオール、フタル酸)エ
ステル、ポリ(エチレングリコール、アジピン酸)エス
テル、ポリ(エチレングリコール、セバチン酸)エステ
ル、ポリ(1,6−ヘキサンジオール、アジピン酸)エ
ステル、ポリ(ジエチレングリコール、アジピン酸)エ
ステル、ポリ(プロピレングリコール、テルペン無水マ
レイン酸付加物)エステル、アセチルポリ(ブタンジオ
ール、アジピン酸)エステル、等が挙げられる。
【0028】フタル酸系可塑剤としては、例えばフタル
酸ブチルベンジル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジイソデシル、フタ
ル酸ジイソノニル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フ
タル酸ジオクチル、フタル酸ジn−オクチル、テトラヒ
ドロフタルジ2−エチルヘキシル、ジトリデシルフタレ
ート、フタル酸ジウンデシル、ダイヤドール(711H
フタレート)、リポネール79フタレート、リポネール
911フタレート等がある。
【0029】燐酸系可塑剤としては、例えばクレジール
・ジフェニルフォスヘート、トリス・クロロエチルフォ
スヘート、トリス・ジクロロプロピルフォスヘート、ト
リクレジルフォスフェート、リン酸トリクレジル、リン
酸トリエチル、トリキシレニルホスヘート、キシレニル
ジフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォス
フェート、オクチルジフェニルフォスフェート、イソプ
ロピルフェニルジフェニルフォスフェート、ターシャリ
ーブチルフェニルジフェニルフォスフェート、トリス
(ベータクロロエチル)フォスフェート等があげられ
る。
【0030】脂肪酸系可塑剤としては、例えばブチルオ
レエート、セバシン酸ジブチル、ジブチルセバケート、
セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシ
ルセバケート、ジ(2エチルヘキシル)セバケート等が
あげられる。
【0031】アジピン酸系可塑剤としては、例えばジn
−アルキル(C6,8,10)アジペート、アジピン酸ジn−
アルキル、ジイソブチルアセテート、ジイソノニールア
ジペート、アジピン酸ジイソノニール、アジピン酸ジイ
ソノニール、アジピン酸ジイソデシル、ジイソデシルア
ジペート、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エ
チルヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、アジ
ピン酸ジオクチルジn−アルキル(C7-9)アジペー
ト、ジブトキシエトキシエチルアジペート、アジピン酸
ジエステル等があげられる。
【0032】エポキシ系可塑剤としては、例えばエポキ
シ化脂肪酸エステル、エポキシ化油、エポキシ化大豆
油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化亜麻仁油、エポキ
シ化ものエステル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2
エチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソ
デシル、エポキシ化ブチルステアレート、オクチル・エ
ポキシステアレート等があげられる。
【0033】トリメリット酸系可塑剤としては、例えば
トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリイソデ
シル、トリ2−エチルヘキシルトリメリテート、トリメ
リット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸ト
リオクチル、トリオクチルトリメリテート、トリメリッ
ト酸エステル、トリノルマルオクチルトリメリテート、
トリイソデシルトリメリテート等があげられる。
【0034】その他可塑剤としては、例えば塩素化パラ
フィン、塩素化ノルマルパラフィン、アセチルトリブチ
ルシトレート、アセチルクエン酸トリブチル、ブチルフ
タリルブチルグリコレート、2,2,4−トリメチル−
1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、フマル酸
ジブチル、マレイン酸ジブチル、ジn−ヘキシルアセテ
ート、ドデカン二酸ジオクチル、ジ2−エチルヘキシル
ドデカノエート、マレイン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ
2−エチルヘキシルマレエート、アゼライン酸ジ−2−
エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシルアゼレート、ジ
(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジペンタエリスリ
トールエステル、(メタ)アクリル酸エステル等があげ
られる。
【0035】これらの可塑剤は、塩素含有重合体100
重量部当たり0乃至200重量部、好ましくは、0乃至
100重量部配合することが好ましい。
【0036】[ハイドロタルサイト]本発明で補助成分
として用いるハイドロタルサイトは、炭酸アルミニウム
マグネシウム水酸化物に属する合成鉱物であり、一般式
(6) M2+ 3+ (OH)2x+3y−2z(A2−・aHO‥(6) 式中、M2+はMg等の2価金属イオンであり、M3+
はAl等の3価金属イオンであり、A2−はCO等の
2価アニオンであり、x,y及びzは8≧x/y≧1/4およ
びz/(x+y)>1/20を満足する正数であり、aは0.25≦a/x
+y ≦1.0 を満足する数である。を有する複合金属水酸
化物が使用される。
【0037】これらの複合金属水酸化物の内、式(7) MgAl(OH)16(CO)・4HO ‥(7) で表わされる化合物は、ハイドロタルサイトとして知ら
れる天然鉱物であり、この鉱物及び同族類は、協和化学
工業株式会社の出願に係る特公昭47−32198号、
特公昭48−29477号及び特公昭48−29478
号公報記載の方法等により合成されるものである。
【0038】これらのハイドロタルサイト類、特に式
(8) Mg4.5Al(OH)13(CO)・3HO ‥(8) で示される化合物が塩素イオンの捕捉性能に優れている
ことも既に知られており、このものを本発明の配合成分
として用いることもできる。
【0039】これらのハイドロタルサイト類が水に十分
に分散された状態において容易にイオン交換されるとい
う特性、即ち炭酸イオンが他のアニオンでイオン交換さ
れるという性質を利用して、過ハロゲン酸イオンを導入
したものを用いることもできる。
【0040】本発明では、通常のMg型のハイドロタル
サイトを使用できるのは勿論であるが、亜鉛変性のハイ
ドロタルサイトを使用することもできる。亜鉛変性ハイ
ドロタルサイトとしては、前記一般式(6)において、
2+の2価金属イオンがMgとZnとの組み合わせか
らなるものであり、Mg:Znの原子比が9:1乃至
1.8:1の範囲にあるものが、熱安定性と初期着色防
止の点で優れている。
【0041】[リチウムアルミニウム複合水酸化物塩]
本発明で補助成分として用いるリチウムアルミニウム複
合水酸化物塩が下記のX線回折像を有するリチウムアル
ミニウム複合水酸化物炭酸塩である。 面間隔d(A) ピーク強度 面指数 7.50乃至7.64 大 (002) 4.30乃至4.44 小 (110) 3.70乃至3.84 大 (004) 2.45乃至2.58 中 (006) 2.20乃至2.30 小 (016) 1.85乃至2.08 小 (017) 1.40乃至1.52 小 (330) 1.38乃至1.48 小 (600)
【0042】また、リチウムアルミニウム複合水酸化物
塩が、下記数式 I=tanθ/tanθ …(9) 式中、θは一定の面間隔のX線回折ピークにおけるピ
ーク垂線と狭角側ピーク接線とがなす角度を表し、θ
は該ピークにおけるピーク垂線と広角側ピーク接線とが
なす角度を表す、で定義される積層不整指数(I)が
面指数(016)のピークにおいて以下であり且つ面指
数(017)のピークにおいて1.0以下で、更に、リ
チウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、波数547、
735、1004、1375及び3443(cm−1
に大きな吸収のある赤外線吸収スペクトルを有する。
【0043】また、本発明に用いるリチウム・アルミニ
ウム水酸化物炭酸塩粒子は、レーザー散乱回折法で測定
して、一般に0.1乃至10μm、特に0.1乃至3μ
mの体積基準メジアン径(D50)を有していること、
JIS K6721で測定して、0.1乃至0.35g
/cm、特に0.25乃至0.35g/cmの嵩密
度を有すること、10乃至70m/gのBET比表面
積を有すること、吸油量も40乃至70ml/100g
と小さいことが好ましい。
【0044】上記リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸
塩は、勿論これに限定されるものではないが、非晶質乃
至擬ベーマイト型の水和アルミナゲルと、リチウムの炭
酸塩または重炭酸塩とを、水性媒体中で、アルミナ(A
)としての濃度が1乃至5重量%となり且つ反
応終結時のpHが7乃至11となる条件下に反応させる
方法(以下単に水和アルミナゲル法と呼ぶことがある)
により、或いは、ギブサイト型水酸化アルミニウムの微
粒子と、炭酸のリチウム塩または炭酸イオン及びリチウ
ムイオンを形成し得るリチウム化合物と炭酸塩との組合
せとを水の存在下に反応させる方法、即ちマイグレーシ
ョン法により製造される。
【0045】[他の補助成分]本発明の塩素含有重合体
組成物においては、塩素含有重合体100重量部当た
り、(C)高級脂肪酸亜鉛を0.01乃至10.0重量
部、特に0.1乃至5.0重量部及び(D)β−ジケト
ン或いはβ−ケト酸エステル0.01乃至5.0重量
部、特に0.02乃至2.0重量部更に含有させること
が、初期着色傾向の改善のために好適である。
【0046】高級脂肪酸亜鉛を構成する高級脂肪酸とし
ては、被覆の項で既に例示した高級脂肪酸が何れも使用
できる。
【0047】β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルと
しては、例えば、1,3−シクロヘキサジオン、メチレ
ンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−
1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パ
ルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベン
ゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2
−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3
−シクロヘキサンジオン、ビス(ベンゾイル)メタン、
ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−
メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベン
ゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイル
メタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベ
ンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウ
ロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス
(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−
3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセ
チルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベン
ゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイル
メタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビ
ス(シクロヘキサノイル)−メタン及びジピバロイルメ
タン等を用いることが出来る。
【0048】更に、本発明の塩素含有重合体組成物にお
いては、塩素含有重合体100重量部当たり(E)フェ
ノール系酸化防止剤を0.01乃至5.0重量部、特に
0.1乃至3.0重量部更に含有させることが、塩素含
有重合体の熱減成による劣化を防止する上で有効であ
る。
【0049】本発明に用いるフェノール系酸化防止剤と
しては、ビスフェノール型酸化防止剤、立体障害性フェ
ノール系酸化防止剤が何れも使用される。フェノール系
酸化防止剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビス
フェノールB、ビスフェノールF、2,6−ジフェニル
−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,
5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピ
オネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメ
チレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレン
ビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオン酸アミド〕、ビス〔3,3−ビス(4−
ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシ
ッド〕グリコールエステル、1,1,3−トリス(2−
メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブ
タン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒ
ドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレー
ト、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−
ヒドルキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレン
グリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられ
る。これらのフェノール系酸化防止剤は、単独でも組み
合わせでも使用することができ、更にフェノール系以外
の酸化防止剤と組み合わせて使用しても良い。
【0050】また、本樹脂組成物には必要に応じて錫系
安定剤を配合することもできる。例えば有機錫化合物と
しては、有機錫メルカプタイド類、有機錫サルファイド
類、有機錫メルカプタイド・サルファイド類、有機錫メ
ルカプトカルボキシレート類及び有機錫カルボキシレー
ト類が包含される。
【0051】(1)有機錫メルカプタイド類としては、
ジブチル錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、ジメチル
錫ビス(ステアリルメルカプタイド)、ジオクチル錫ビ
ス(メルカプトエチル・トール油脂脂肪酸エステル)、
ジオクチル錫ビス(2−メルカプトエチルカプリレー
ト)、ジブチル錫ビス(メルカプトエチル・トール油脂
脂肪酸エステル)、ジメチル錫ビス(メルカプトエチル
ステアレート)、ジオクチル錫ビス(イソオクチルチオ
グリコレート)、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシ
ルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ドデシルチ
オグリコレート)、ジオクチル錫ビス(テトラデシルチ
オグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ヘキサデシルチ
オグリコレート)、ジオクチル錫ビス(オクタデシルチ
オグリコレート)、ジオクチル錫ビス(C12−16
混合アルキルチオグリコレート)、ジブチル錫ビス(イ
ソオクチルチオグリコレート)、ジメチル錫ビス(イソ
オクチルメルカプトプロピオネート)、ビス(2−メル
カプトカルボニルエチル)錫ビス(イソオクチルチオグ
リコレート)、ビス(2−ブトキシカルボニルエチル)
錫ビス(ブチルチオグリコレート)等のジ有機錫メルカ
プタイド及びモノブチル錫トリス(ラウリルメルカプタ
イド)、モノブチルモノクロロ錫ビス(ラウリルメルカ
プタイド)、モノオクチル錫トリス(2−メルカプトエ
チルカプリレート)、モノブチル錫トリス(メルカプト
エチル・トール油脂肪酸エステル)、モノメチル錫トリ
ス(メルカプトエチル・トール油脂肪酸エステル)、モ
ノメチル錫トリス(メルカプトエチルラウレート)、モ
ノメチル錫トリス(メルカプトエチルステアレート)、
モノメチル錫トリス(メルカプトエチルオレート)、モ
ノオクチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)
モノオクチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコ
レート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコ
レート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコ
レート)、モノオクチル錫トリス(テトラデシルチオグ
リコレート)、モノオクチル錫トリス(ヘキサデシルチ
オグリコレート)、モノオクチル錫トリス(C12−1
6 混合アルキルチオグリコレート)、モノオクチル錫
トリス(オクタデシルチオグリコレート)、モノブチル
錫トリス(イソオクチルチオグレコレート)、モノブチ
ル錫トリス(イソオクチルメルカプトプロピオネー
ト)、モノメチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレ
ート)、モノメチル錫トリス(テトラデシルチオグリコ
レート)、2−メトキシカルボニルエチル錫トリス(イ
ソオクチルチオグリコレート)、2−ブトキシカルボニ
ルエチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコレー
ト)等のモノ有機錫メルカプタイドがあげられる。
【0052】(2)有機錫サルファイド類としては、メ
チルチオスタノイック酸、ブチルチオスタノイック酸、
オクチルチオスタノイック酸、ジメチル錫サルファイ
ド、ジブチル錫サルファイド、ジオクチル錫サルファイ
ド、ジシクロヘキシル錫サルファイド、モノブチル錫サ
ルファイド、オキサイド、2−メトキシカルボニルエチ
ル錫サルファイド、2−エトキシカルボニル錫サルファ
イド、2−ブトキシカルボニル錫サルファイド、2−イ
ソプロポキシカルボニルエチル錫サルファイド、ビス
(2−メトキシカルボニルエチル)錫サルファイド、ビ
ス(2−プロポキシカルボニルエチル)錫サルファイド
等があげられる。
【0053】(3)有機錫メルカプタイド・サルファイ
ド類としては、ビス〔モノブチル・ジ(イソオクトキシ
カルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ジ
ブチルモノ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)
錫〕サルファイド、ビス〔ビス(2−メトキシカルボニ
ルエチル)錫イソオクチルチオグリコレート〕スルファ
イド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレー
ト)ジサルファイド、ビス(メチル/ジメチル錫モノ/
ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビ
ス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサ
ルファイド、ビス(ブチル錫ジイソオクチルチオグリコ
レート)トリサルファイド、ビス〔メチル錫ジ(2−メ
チルカプトエチルカプリレート)サルファイド、ビス
〔メチル錫ジ(2−メルカプトエチルカプリレート)〕
ジサルファイド等があげられる。
【0054】(4)有機錫メルカプトカルボキシレート
類としては、ジブチル錫−β−メルカプトプロピオネー
ト、ジオクチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジ
ブチル錫メルカプトアセテート、ビス(2−メトキシカ
ルボニルエチル)錫チオグリコレート)錫チオグリコレ
ート、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫メルカ
プトプロピオネート等があげられる。
【0055】(5)有機錫カルボキシレート類として
は、モノ又はジメチル錫、モノ又はジブチル錫、モノ又
はジオクチル錫あるいはモノ又はビス(ブトキシカルボ
ニルエチル)錫のオクトエート、ラウレート、ミリステ
ート、パルミテート、ステレート、イソステアレート等
の脂肪族一価のカルボキシレート類:マレートポリマ
ー、ブチルマレート、ベンジルマレート、オレイルマレ
ート、ステアリルマレート等のマレート;及びこれらの
混合塩あるいは塩基性塩があげられる。
【0056】これらの錫系安定剤は、塩素含有重合体1
00重量部当たり0.1乃至2.0重量部配合すること
ができる。
【0057】本発明の塩素含有重合体組成物には、それ
自体公知の塩素含有重合体用配合剤を公知の処方に従っ
て、配合することができる。例えば、本発明の組成物に
は、滑剤、難燃剤、充填剤、着色剤、耐候安定剤、老化
防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、改質用
樹脂乃至ゴム、衝撃強化剤、その他有機配合剤等の公知
の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合でき
る。
【0058】滑剤としては、(イ)流動、天然または合
成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワック
ス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のも
の、(ロ)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のも
の、(ハ)ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、
オレイン酸アミド、エシル酸アミド、メチレンビスステ
アロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モ
ノアミド系またはビスアミド系のもの、(ニ)ブチルス
テアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノス
テアレート等のエステル系のもの、(ホ)セチルアルコ
ール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、
(ヘ)ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム等の金
属石ケンおよび(ト)それらの混合系が一般に用いられ
る。
【0059】紫外線吸収剤としては例えば、2,4−ジ
ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒ
ドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒド
ロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−
5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’
−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−
メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾ
リル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール類があげられる。
【0060】ヒンダードアミン系化合物としては例え
ば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、
1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セ
バケート、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデ
シル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(ト
リデシル)ブタンテトラカルボキシレートなどがあげら
れ、光安定剤や熱安定助剤として用いられる。
【0061】エポキシ化合物としては、エポキシ化大豆
油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化魚油、エポキシ化
トール油脂肪酸エステル、エポキシ化牛脂油、エポキシ
化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化アマ
ニ油脂肪酸ブチル、トリス8エポキシプロピル)イソシ
アヌレート、3−(2−キセノキシ)−1,2−エポキ
シプロパン、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテ
ル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペ
ンタジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘ
キシル−6−メチルエポキシシクロヘキサンカルボキシ
レートなどがあげられる。
【0062】これらの化合物は、塩素含有重合体100
重量部当たり0.1乃至5重量部、好ましくは、0.1
乃至1.0重量部配合することが好ましい。また、前記
(A)、(B)成分の合量で100重量部当たり2乃至
20重量部、好ましくは、5乃至10重量部配合するこ
とが好ましい。
【0063】有機配合剤としては、シリコーン系表面処
理剤、脂肪酸、脂肪酸塩が使用される。シリコーン系表
面処理剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチル
フェニルシリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイ
ル、環状ポリジメチルシロキサン、アルキル変性シリコ
ーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、シリコーン
ポリエーテル共重合体、拡散ポンプ用オイル、脂肪酸変
性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイル、樹脂改
質用オイル等が使用できる。特にジメチルシリコーンオ
イルを使用することが好ましい。
【0064】また、無機系の安定剤、例えば、水酸化マ
グネシウム、水酸化カルシウム、アルカリ金属及び/又
はアルカリ土類金属型ゼオライト乃至その熱処理物等を
配合することができる。これらの配合剤は、0.01乃
至30重量部の範囲から、目的に応じて適宜配合でき
る。
【0065】ゼオライトとしては、A型、X型、Y型、
L型、P型、T型等の他に、オフレタイト、エリオナイ
ト、モルデナイト、フェリエライト、クリノプチロライ
ト、チャバサイト、アナルサイム、ソーダライト族アル
ミノケイ酸塩等の各種結晶構造のものが何れも使用され
るが、塩化水素捕捉能の点で、特にA型ゼオライトが好
ましい。
【0066】[複合安定剤]本発明の安定剤は、粉粒体
の形で、即ち粉末の形で、或いは粒状物の形で、ワンパ
ックの安定剤として使用することができる。粒状物の製
造には、押出成形造粒法、噴霧造粒法、回転円盤造粒
法、転動造粒法、圧縮造粒法等のそれ自体公知の造粒法
を用いることができる。粉粒体の粒度は、粒度は目的に
応じて任意に調節することができ、一般に粒径が50μ
m乃至5mm特に70μm乃至2mmの範囲にあるのが
好適である。
【0067】衝撃強化剤としては、例えば30〜40%
の塩素を含有する塩素化ポリエチレン、アクリル酸エス
テルを主体とする共重合ゴムにメチルメタクリレート、
スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合
した多成分系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・ス
チレン樹脂、メタルメタクリエート・ブタジエン・スチ
レン樹脂、酢酸ビニル・エチレン共重合体樹脂などが挙
げられる。
【0068】難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤は勿
論、アンチモン、ジルコン、モリブデン、アルミニウ
ム、シリカ、チタンの酸化物、水酸化物、及び硫化物、
ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、これ
ら亜鉛化合物の金属水酸化物表面処理品などが挙げられ
る。
【0069】
【実施例】以下に実施例を示し本発明を説明する。な
お、本発明に用いる配合品の物性の測定方法は以下のと
おりである。
【0070】(測定方法) (1)XRD測定 理学電機(株)製のRAD−IBシステムを用いて、C
u−Kαにて測定した。 ターゲット Cu フィルター 湾曲結晶グラファイトモノクロメーター 検出器 SC 電圧 40KVP 電流 20mA カウントフルスケール 7000c/s スムージングポイント 25 走査速度 1°/min ステップサンプリング 0.02° スリット DS1°RS0.15mm SS1° 照角 6°
【0071】(2)積層不整指数(I) XRD測定で得られた回折ピークより、下記式(2) I=tanθ/tanθ ‥‥(2) 式中、θは面間隔3.01乃至3.08オングストロ
ームのX線回折ピークにおけるピーク垂線と挟角側接線
とがなす角度、θは上記ピークにおいてピーク垂線と
広角側接線とがなす角度を示す、で定義される式(2)
より積層不整指数(I)を求めた。
【0072】(3)BET比表面積 カルロエルバ社製Sorptomatic Serie
s 1800を使用し、BET法により測定した。
【0073】(4)細孔容積 カルロエルバ社製Sorptomatic Serie
s 1800を使用し、BET法により測定した。
【0074】(5)吸油量 JIS.K.5101に準拠して測定した。
【0075】(6)平均粒径 コールターカウンター(株)製レーザー回折方式粒子サ
イズ・アナライザーLS130粒度分布測定器により平
均粒径を求めた。
【0076】(7)化学組成 JIS.R.3101に準拠して測定した。
【0077】(配合品)本発明に用いた配合品について
は以下のものをそれぞれ使用し、それ以外の配合品は市
販品を用いた。
【0078】(A)微結晶カルシウムシリケートの調製 本発明に使用される微結晶カルシウムシリケート(CS
H)の合成は以下の方法で行った。石灰乳スラリー(C
aO分6%)498.8gと平均粒径5μmの活性ケイ
酸粉末42.8gを磁性ポットミルに入れ、54時間摩
砕反応を行い、pH10のスラリーを得た。これを濾過
・水洗後、110℃で乾燥し、次いで小型のサンプルミ
ルで粉砕してSiO/CaOモル比が1.25の微粉
末カルシウムシリカ複合水酸化物(これををCSH−1
とする)を得た。同様にSiO/CaOモル比が0.
625となるように微粉末カルシウムシリカ複合水酸化
物(これをCSH−2とする)を得た。得られた生成物
の化学組成及び物性を以下の表3に示し、CSH−1の
X線回折像を図1に示す。
【0079】本発明に使用される微結晶カルシウムシリ
ケートと多価アルコールの摩砕混合物(CASH)の合
成は以下の方法で行った。石灰乳スラリー(CaO分6
%)285gと平均粒径5μmの活性ケイ酸粉末24.
2gとジペンタエリスリトール40gを磁性ポットミル
に入れ、54時間摩砕反応を行い、pH10のスラリー
を得た。これを濾過・水洗後、110℃で乾燥し、次い
で小型のサンプルミルで粉砕して多価アルコール被覆微
粉末カルシウムシリカ複合水酸化物(これをCASHと
する)を得た。この物性を表3に示す。
【0080】
【表2】 CSH-1 CSH-2 CASH 化学組成(wt%) Ig-loss 13.54 16.1 63.41 CaO 36.62 50.3 15.48 SiO 48.95 33.6 20.69 SiO/CaOモル比 1.25 0.625 1.25 積層不整指数(I) 1.96 1.95 1.96 比表面積(m/g) 89 − − 細孔容積(ml/g) 3.10 − − 吸油量(ml/100g) 110 − − 平均粒径(μm) 4.1 − −
【0081】(可塑剤)市販のフタル酸ジオクチル(D
OPとする)を用いた。
【0082】(実施例1〜9及び比較例1〜7)表3〜
5にそれぞれ示す配合組成物(値は重量部)を温度15
0℃で5分間ロールミル混練を行い、厚さ0.5mmの
均一な軟質塩化ビニルシートを作成した。その結果を表
3〜5に示す。また、微結晶カルシウムシリケート(C
SH1)のX線回折像を図1に、積層不整指数(Is)
算出のためのθ、θの求め方を図3に示す。また、
ゾノトライトのX線回折像を図2に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】(実施例10〜15及び比較例8〜14)
表6及び7にそれぞれ示す配合組成物(値は重量部)を
温度165℃で5分間ロールミル混練を行い、厚さ0.
5mmの均一な硬質塩化ビニルシートを作成した。その
結果を表6及び表7に示す。
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】作成した塩化ビニルシートの評価方法は以
下のようにして行った。 (1)耐熱試験 180℃に設定したギアオーブンに試験片を入れ、10
分後及び黒化までの時間を測定した。
【0090】(2)熱安定性(H.T) JIS.K.6723に準拠し、配合した塩化ビニルシ
ートを1mm×1mmに裁断し、コンゴーレッド紙を装
着した試験管に試料チップ2gを充填、180℃に加熱
し、塩化ビニルの熱分解による塩化水素脱離時間を測定
した。
【0091】
【発明の効果】本発明によれば、(A)微結晶カルシウ
ムシリケートと、(B)アミノウラシル誘導体とを特定
の量比で組み合わせることにより、暖色系の初期着色傾
向やその後の加熱履歴に伴う着色濃度の増大傾向が顕著
に解消乃至低減され、更に耐熱持続性や塩化水素捕捉性
を一層増強する塩素含有重合体用安定剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微結晶カルシウムシリケート(CSH
1)のX線回折像である。
【図2】ゾノトライトのX線回折像である。
【図3】積層不整指数(Is)算出のためのθ、θ
の求め方を図示したものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月2日(2000.3.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正内容】
【0083】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3:34 C08K 3:34 9:04 9:04 5:3462) 5:3462) (72)発明者 斎藤 修 東京都中央区日本橋室町四丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内 (72)発明者 伊勢 敏晴 東京都中央区日本橋室町四丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内 Fターム(参考) 4G073 BA11 BA63 BB24 BB49 BD16 CC08 GA06 GA12 4J002 AC121 BB241 BD031 BD051 BD071 BD081 BD101 BD181 BN081 DJ006 EU137 FB086 FD016 FD067

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)微結晶カルシウムシリケート或い
    はその多価アルコールとの複合物、(B)アミノウラシ
    ル乃至その誘導体の少なくとも1種とを(A):(B)
    =90:10乃至30:70の重量比で含有することを
    特徴とする塩素含有重合体用安定剤組成物。
  2. 【請求項2】 (A)微結晶カルシウムシリケートが、
    下記式(1) CaO・xSiO・nHO ‥‥(1) 式中、xは0.5乃至5.0の数であり、nは2.5以
    下の数である、で表される化学組成を有し且つ面間隔
    3.01乃至3.08オングストローム、面間隔2.7
    8乃至2.82オングストローム及び面間隔1.81乃
    至1.84オングストロームにX線回折像を有する微結
    晶カルシウムシリケートから成る請求項1記載の安定剤
    組成物。
  3. 【請求項3】 微結晶カルシウムシリケートが下記式
    (2) I=tanθ/tanθ ‥‥(2) 式中、θは面間隔3.01乃至3.08オングストロ
    ームのX線回折ピークにおけるピーク垂線と挟角側接線
    とがなす角度、θは上記ピークにおいてピーク垂線と
    広角側接線とがなす角度を示す、で定義される積層不整
    指数(I)が1.75以上である請求項2に記載の安
    定剤組成物。
  4. 【請求項4】 微結晶カルシウムシリケートが60乃至
    200m/gの比表面積、0.5ml/g以上の細孔
    容積、50乃至250ml/100gの吸油量、及び
    0.1乃至10μmの平均粒径を有するものである請求
    項2または3に記載の安定剤組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の複合物が、微結晶カルシ
    ウムシリケートと多価アルコールとを20:80乃至8
    0:20の重量比で含有する複合物である請求項1乃至
    4の何れかに記載の安定剤組成物。
  6. 【請求項6】 多価アルコールがペンタエリスリトール
    またはジペンタエリスリトールである請求項1乃至5の
    何れかに記載の安定剤組成物。
  7. 【請求項7】 アミノウラシル乃至その誘導体が、下記
    式(3) 【化1】 式中、R及びRは炭素数1乃至8のアルキル基、ア
    ラルキル基アルケニル基及び非置換或いはアルキル基、
    ハロゲンで置換されたフェニル基を示し、同一か又は異
    なった基である、で表される化合物である請求項1に記
    載の安定剤組成物。
  8. 【請求項8】 アミノウラシルが、1,3−ジメチル−
    4−アミノ−ウラシルから成る請求項7記載の安定剤組
    成物。
  9. 【請求項9】 塩素含有重合体100重量部当たり、
    (A)微結晶カルシウムシリケート或いはその多価アル
    コールとの複合物と(B)アミノウラシル乃至その誘導
    体の少なくとも1種が(A):(B)=90:10乃至
    30:70の重量比で含有する安定剤を0.1乃至20
    重量部配合してなることを特徴とする塩素含有重合体剤
    組成物。
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