JP2001198202A - 消臭組成物 - Google Patents

消臭組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】悪臭を構成する種々の原因物質に対して広く脱
臭効果を有する消臭組成物を提供する。液体と接触する
ことによってより高い消臭効果が得られる消臭組成物を
提供する。 【解決手段】水中で酸化亜鉛と機能性粒子を平均粒径
0.1mm以上に顆粒化凝集させて調製される消臭組成
物。機能性粒子が二酸化ケイ素であることを特徴とする
消臭組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は消臭剤として有用な
消臭組成物に関する。より詳細には酸化亜鉛と機能性粒
子を有効成分とする消臭組成物であって、悪臭に対して
より改善された消臭効果を発揮する消臭組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】各家庭の便所や屎尿処理場から発散され
る悪臭、各家庭の塵芥捨場や都市の塵芥処理施設等から
発散される悪臭、各種工場から排泄される廃液等から発
散される悪臭など、悪臭は日常生活に常につきまとう問
題であり、ゆえにかかる悪臭問題を解決することが衛生
的且つ快適な生活環境を維持するためには必要且つ不可
欠である。
【0003】一般に悪臭の原因物質は単一ではなく、数
多くの物質が種々組合わさって構成される。このため、
単一の脱臭物質だけでは十分な脱臭効果を得ることがで
きない。例えば苛性ソーダ水溶液等のアルカリ剤は硫化
水素や低級脂肪酸の脱臭に有効であるが、塩基性物質の
悪臭原因であるアンモニアやトリメチルアミン等のアミ
ン類には殆ど効果がないことが知られている。
【0004】ところで消臭剤として知られている薬剤と
して、酸化亜鉛等の金属化合物、並びにシリカ等の多孔
性物質がある。当該酸化亜鉛などの金属化合物は多くの
悪臭物質と付加物と形成することによって、悪臭原因物
質の臭いを消臭するものであり、一方シリカなどの多孔
性物質は悪臭物質を孔内に包接することにより消臭する
ものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、第一に、液
体と接触することによってより高い消臭効果が得られる
消臭組成物を提供することを目的とするものである。ま
た本発明は、第二に、消臭機能だけでなく他の有用な機
能を効果的に発揮し得る消臭組成物を提供することを目
的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記金属
化合物や多孔性物質の消臭機能に着目して研究していた
ところ、金属化合物として酸化亜鉛を用い、これと無機
質の機能性粒子とを水中で撹拌混合することにより、と
くにバインダーなどを用いなくても、凝集化しある一定
の大きさ以上に顆粒化することを見出し、さらに当該顆
粒は乾燥後、液体に接して浸潤することによって、凝集
が崩れて再粒子化(再分散化)し、それに伴って機能性
粒子の表面積が拡大することによって消臭効果が向上す
ることを見出した。かかる凝集化による粒径の増大は、
比較的低密度な繊維構造物(シート)に対しても歩留り
がよく少量の機能性粒子の使用で所望の消臭機能を発揮
するため高品質な消臭シートの製造に有用である。ま
た、液体浸潤による消臭効果の増大は、本発明の消臭組
成物が制汗剤やフットスプレー等の消臭スプレー;おし
め、おりものシート、生理用ナプキン、汗とりパット、
絆創膏、おねしょシート、失禁パットなどの消臭成分と
して有用であることを示すものである。
【0007】さらに本発明者らは、酸化亜鉛とこれら機
能性粒子、特に二酸化ケイ素等の消臭性と吸湿性を兼ね
備えた粒子を配合した消臭組成物によれば、臭いや湿気
が効率よく吸着されるため、使用感に優れた消臭剤が調
製できることを確認したた。本発明はかかる知見に基づ
いて開発されたものである。
【0008】即ち、本発明は、下記のいずれかの態様か
らなる消臭組成物である。 (1)水中で酸化亜鉛と機能性粒子を平均粒径0.1m
m以上に顆粒化凝集させて調製される、消臭組成物。 (2)機能性粒子が二酸化ケイ素であることを特徴とす
る1記載の消臭組成物。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は前述するように酸化亜鉛
と機能性粒子が平均粒径0.1mm以上に顆粒化凝集し
てなる消臭組成物である。
【0010】本発明で用いられる酸化亜鉛は粒子形状
物、特に微粒子形状物であることが好ましい。特にその
粒子径は制限されないが、好ましくは平均粒子径として
10μm以下、具体的には0.01〜10μm、より好
ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以
下のものを挙げることができる。なお、酸化亜鉛そのも
のは、日本薬局方、化粧品原料基準に収載されているも
のであり、人体への安全性が極めて高いものである。
【0011】また本発明で用いられる機能性粒子として
は、吸水性、吸湿性、抗菌性又は消臭性などの、一般に
体液吸収材に求められる所望の機能を発揮するものであ
れば特に制限されない。好ましくは無機質粒子であり、
具体的にはシリカ、シリカゲル、ソディウム・テトラシ
リケート、炭化ケイ素等のケイ素類;塩化アルミニウム
などのアルミニウム類;塩化カリウム、塩素化石灰、塩
化カルシウムなどの塩素化合物;ヤシガラ炭などの活性
炭;酸化マグネシウム、酸化チタン、亜鉛華、カルシウ
ムオキサイド等の金属酸化物;塩化亜鉛などの亜鉛化合
物;窒素ホウ素、ホウ酸及びホウ砂等のホウ素化合物;
炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;トウ
モロコシデンプンなどの澱粉類;セルロースパウダー;
シルクパウダー、ゼオライト、モレキュラーシーブ等を
例示することができる。これらの中で、少なくとも消臭
機能を有するものとしては、活性炭、シリカゲルや二酸
化ケイ素などのケイ素類、塩化アルミニウムなどの塩素
化合物、カルシウムオキサイドなどの金属酸化物、塩化
アルミニウムなどのアルミニウム類、塩化亜鉛などの亜
鉛化合物、ホウ酸等のホウ素化合物等を例示することが
できる。好ましくはシリカなどの二酸化ケイ素である。
また、少なくとも吸湿性を有するものとしてはトウモロ
コシデンプンなどの澱粉類;セルロースパウダー;シル
クパウダー、ゼオライト、活性炭、炭酸カルシウムや炭
酸マグネシウムなどの炭酸塩;シリカ、シリカゲル等の
二酸化ケイ素類を例示することができる。また、抗菌性
を有するものとしては、ゼオライト、酸化亜鉛、酸化チ
タン、シリカゲル等を挙げることができる。
【0012】なお、これらの機能性粒子は一種単独で使
用しても、また二種以上を任意に組み合わせて使用する
こともできる。
【0013】本発明においては、かかる機能性粒子は、
破砕状、粉末状、顆粒状、微粉末状のいずれの形状を有
するものであってもよいが、好ましくは平均粒子径とし
て0.01〜1000μm、より好ましくは1〜100
μmの範囲にあるものをあげることができる。
【0014】また機能性粒子と上記の酸化亜鉛との混合
割合は、機能性粒子の種類や適用する体液吸収材の種類
に応じて異なり、一概に規定することはできないが、酸
化亜鉛100重量部に対する機能性粒子の混合割合とし
て通常0.5〜80重量部、好ましくは0.5〜40重
量部、より好ましくは1〜20重量部の範囲を例示する
ことができる。
【0015】上記酸化亜鉛と機能性粒子は、水中で撹拌
分散しながら混合することによって凝集し一定の大きさ
に造粒され顆粒状となる。かかる大きさは特に制限され
ないが、通常平均粒径として0.1mm以上、好ましく
は0.2mm以上、より好ましくは0.2〜0.4mm
である。
【0016】かくして得られる所謂機能性顆粒は、乾燥
状態では酸化亜鉛が機能性粒子を付着若しくは抱き込ん
で両者が凝集顆粒化状態で存在するが、液体、好ましく
は体液などの弱酸性の液体が接触すると両者の凝集が崩
壊して個々に分散して機能性粒子が表出することにより
該粒子の表面積が大きくなる現象が見られる。かかる現
象が当該消臭組成物の消臭効果及び機能性粒子に起因す
る各種機能の発揮及び増強に大きく寄与しているものと
考えられる。
【0017】本発明において酸化亜鉛と機能性粒子との
凝集顆粒化は、通常結合剤や接着剤等のバインダーを必
要とすることなく生じる現象である。よって本発明の消
臭組成物はバインダーによって酸化亜鉛や機能性粒子の
表面が被覆されず、かかる成分の機能を十分発揮するこ
とができるという利点を有するものである。
【0018】しかしながら、酸化亜鉛と機能性粒子との
凝集を抑制するものでない限り、本発明はバインダーの
使用を何ら制限するものではなく、例えばアクリルアミ
ド・ポリビニルアルコール共重合体、アクリル酸エステ
ル共重合体、アクリル酸エステル・酢酸ビニル共重合
体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチル
セルロースナトリウム、酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール
などのバインダーを水やアルコールなどの分散液に添加
配合して使用することもできる。
【0019】酸化亜鉛及び機能性粒子を配合した水性分
散液は、両者が凝集してなる機能性顆粒の分散性をより
均一にするために、ボールミル、アトライタ、サンドグ
ライダ、三本ロール、高速インペラーミル、ジェットミ
ル、ニーダ、ホモジナイザー、ペイントシーカ、超音波
分散機などを使用して調製されることが好ましい。
【0020】本発明の消臭組成物には、本発明の効果を
妨げない範囲で、他の成分として例えば着色剤、清澄
剤、着香剤、粘度調整剤、界面活性剤、防腐剤、殺菌抗
菌剤、植物エキス、精油、pH緩衝剤等の各種の成分を
配合することもできる。
【0021】本発明の消臭組成物は、液体状(スプレー
剤、噴霧剤を含む)、粉末・顆粒状、固形状(ゲル状を
含む)、シート状、フィルム状等の任意の形態の消臭剤
として調製することができ、かかる形態に応じて便所、
洗面所、風呂場、台所、流し台、排気口、排水溝、排水
口、塵芥処理場、ゴミ(生ゴミ、汚物)、汚泥などの悪
臭発生源に直接撒付したり、またこれらの悪臭を発生し
得る雰囲気内に配置するといった任意の態様で使用する
ことができる。また、制汗剤やフットスプレーなどの人
体に適用する消臭剤としても有用である。さらに本発明
の消臭組成物によれば、酸化亜鉛と機能性粒子から構成
されるいわゆる機能性顆粒が、その粒径と付着性に起因
して繊維構造物の各繊維間(間隙)及び表面に強く固定
化されるため、消臭性クロス、消臭性シート、消臭性衣
類等の各種繊維製品;おしめ、おりものシート、生理用
ナプキン、汗とりパット、絆創膏、おねしょシート、失
禁パット等の衛生品として調製することもできる。特に
おしめや汗とりパット等、浸潤する態様で使用されるも
のは消臭効果がより効果的に発揮するため、好ましい使
用態様である。
【0022】かかる繊維構造物への機能性顆粒の付着な
いし担持は、あらかじめシート状に調製した繊維構造物
を酸化亜鉛と機能性粒子を顆粒状態で含む水性分散液で
含浸、パディング、コーティング(塗布、噴霧等)、印
刷又はスプレーする方法、または繊維構造物を構成する
繊維、酸化亜鉛及び機能性粒子を含む水性分散液を用い
て湿式抄紙技術で不織布を抄造する方法等によって行う
ことができる。
【0023】この場合、酸化亜鉛は、それを担持させる
繊維構造物を構成する繊維全体に対して好ましくは0.
5〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%の割合
で担持されるように用いられるのが望ましい。また機能
性粒子は、それを担持させる繊維構造物を構成する繊維
全体に対して0.05〜40重量%、好ましくは0.0
5〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%
の割合で担持されるように用いられるのが望ましい。
【0024】なお、繊維構造物は特に制限されず、織
物、編物、不織布(非収束状のフィラメント群や短繊維
群から構成される不織布を含む。)又は紙等のパルプ製
品等から構成される、フィルム状もしくはシート状成形
物がいずれも包含される。
【0025】
【発明の効果】本発明の消臭組成物は、酸化亜鉛粒子と
機能性粒子を凝集状態(顆粒)で含むことを特徴とする
ものである。当該顆粒は液体によって濡れ浸潤すると凝
集がほぐれて個々に分散し、再粒子化してすることによ
って酸化亜鉛粒子及び機能性粒子そのものの機能(消臭
効果)をより有効に発揮する。
【0026】本発明の消臭組成物を例えば抄紙技術によ
って繊維構造物に担持させると、繊維構造物を構成する
各繊維の間隙に酸化亜鉛及び機能性粒子が、酸化亜鉛粒
子に機能性粒子が付着乃至は担持された凝集状態(顆
粒)で存在乃至は付着してなり、このため繊維間を体液
が通過しても脱落することなく、よって持続的に消臭機
能を発揮する繊維製品(シート、クロス、衣類、衛生
品)が提供できる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、本発明は当該実施例に何ら限定されるもので
はない。実施例1〜3 撹拌機に水60重量%、酸化亜鉛(平均粒径0.6μm
以下、比表面積4m2/g)30重量%、シリカパウダ
ー(平均粒径12μm、比表面積500m2/g、細孔
容積2ml/g)10重量%を入れてよく撹拌し、酸化
亜鉛とシリカパウダーを含有する水性分散液(表1)を
調製した。
【0028】実施例1及び2においては、この分散液と
繊維原料であるパルプ及びポリエステルを含む不織布原
料液を混合し、抄紙装置により不織布基材を調製した。
また、実施例3においては予めパルプ及びポリエステル
を用いて作成した不織布に、上記水性分散液(表1)を
含浸させて不織布基材を調製した。一方、比較例1とし
て、水性分散液として、キサンタンガムと界面活性剤を
配合することによって酸化亜鉛とシリカパウダーとの凝
集顆粒化を抑制させた分散液(表1)を用いて実施例3
と同様に不織布に含浸させて基材を調製した。
【0029】顕微鏡観察により、実施例1〜3の基材の
繊維間隙には酸化亜鉛とシリカパウダーが凝集した状態
で付着存在していることが観察されたが、比較例1の基
材には酸化亜鉛とシリカパウダーが凝集せずに、個々に
分散状態で付着存在していることが観察された。
【0030】次いで、これらの不織布基材を水の入った
容器に入れて水中で振盪し、酸化亜鉛粉末及びシリカパ
ウダーの脱落率を調べた。結果を表1に併せて示す。
【0031】
【表1】
【0032】また、実施例1〜3の不織布基材を汗取り
シートとして10名のモニターに使用してもらい、使用
後のシートを回収して酸化亜鉛とシリカパウダーとの凝
集顆粒の様子を顕微鏡で観察した。その結果、体液が触
れて浸潤した部分は顆粒の凝集がほどけて、酸化亜鉛と
シルクパウダーがばらばらに分散しているのが観察され
た。このことから体液による浸潤によって酸化亜鉛とシ
リカパウダーとの凝集顆粒が再粒子化し、全体として粒
子(機能性粒子)の表面積が広がってより高い機能(消
臭、吸湿、乾燥、抗菌)の発現に寄与することが示唆さ
れた。
【0033】試験例1 消臭試験 不織布(2×5cm)布片2枚の間に酸化亜鉛とシリカ
パウダーとの顆粒凝集体を挟んで消臭試験体1を調製し
た。また酸化亜鉛とシリカパウダーとの顆粒凝集体に代
えて同量の酸化亜鉛とシリカパウダーを凝集させること
なく分散混合したものを用いて、同様に消臭試験体2を
調製した。次いで、これらの試験体の消臭効果を比較し
て、顆粒凝集体と粒子体との消臭効果を評価した。具体
的には、消臭試験体1及び消臭試験体2のそれぞれに不
快臭成分である酪酸10μLをしみ込ませて、これをバ
イアル瓶にいれて密封して60分間加熱した後、シリン
ジでバイアル瓶中の空気を1mL採取し、当該不快臭を
ガスクロマトグラフィーで測定した。その結果、不織布
間に酸化亜鉛とシリカパウダーが顆粒状態で存在する消
臭試験体1の消臭率は50%であったのに対し、各成分
が凝集することなく粒子状態で分散して存在する消臭試
験体2の消臭率は79%と、高い結果が得られた。な
お、未加工布の消臭率は0%であった。このことから酸
化亜鉛とシリカパウダーは、粒子状態となることによっ
て消臭効果が増強することがわかった。
【0034】以上の実施例及び試験例から、本発明の消
臭組成物は、顆粒化した酸化亜鉛とシリカパウダーが、
バインダーを特に要しなくても、低密度な繊維構造物か
ら殆ど脱落することなく強く担持され、また体液等の溶
液による浸潤によって酸化亜鉛とシリカパウダーとの凝
集がほどけて再粒子化し、これによってより消臭効果が
向上することがわかる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水中で酸化亜鉛と機能性粒子を平均粒径
    0.1mm以上に顆粒化凝集させて調製される、消臭組
    成物。
  2. 【請求項2】機能性粒子が二酸化ケイ素であることを特
    徴とする請求項1記載の消臭組成物。
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