JP2001179700A - 移動可能なマイクロマシンおよびその移動制御システム - Google Patents

移動可能なマイクロマシンおよびその移動制御システム

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JP2001179700A
JP2001179700A JP37424899A JP37424899A JP2001179700A JP 2001179700 A JP2001179700 A JP 2001179700A JP 37424899 A JP37424899 A JP 37424899A JP 37424899 A JP37424899 A JP 37424899A JP 2001179700 A JP2001179700 A JP 2001179700A
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賢一 荒井
Kazuyuki Ishiyama
和志 石山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自律して移動可能なマイクロマシンを目的の
位置まで到達させること。 【解決手段】 回転磁界を発生する磁界発生部12X,
12Y,12Zと、前記磁界発生部12X,12Y,1
2Zが発生した回転磁界を受け、回転して推力を得るロ
ボット本体11と、前記ロボット本体11の位置を検出
する位置検出部5’と、前記位置検出部5’が検出した
前記ロボット本体11の位置に基づき、前記ロボット本
体11を目的地へ到達させる方向へ向けるべく前記磁界
発生部12X,12Y,12Zによる回転磁界の向きを
変更する磁界変向手段55と、から構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、広汎な産業に用い
られるマイクロマシンを対象としており、特に医療用と
して有用な生体内を移動可能なマイクロマシンの移動制
御システムおよびそのためのマイクロマシンに関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロマシン技術は従来の機械では困
難であった局部領域や極限領域での作業を可能とするも
のであり、発電および工場施設のメンテナンスシステム
や医療用システム等への応用が期待されている。
【0003】特に、磁気力を駆動源とする磁気マイクロ
マシンは、エネルギー供給のためのケーブルを必要とし
ないという特筆すべき特徴を持つ。このことから磁気マ
イクロマシンはケーブルや電源等の制約から離れ、シン
プルな構造で所望の運動を実現することが出来る。すで
にこれまでに、以上のような特長を生かした自律して移
動可能な磁気マイクロマシンの試作・検討が行われてお
り、本発明者らによって、既にワイヤレスで自律的に走
行、飛行、および泳動が可能なマイクロマシンが開発さ
れ、かつ論文(仙道雅彦ら;電気学会マグネティックス
研究会資料 MAG-98-238、島崎克彦ら;電気学
会マグネティックス研究会資料 MAG-97-180)
等で紹介している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このワイヤレスの泳動
機構は、微生物の運動を模倣し、外部回転磁界によって
微小磁石に働く磁気トルクを利用したものであり、マイ
クロマシンの医療への応用を考えた際、生体の主成分が
血液や体液といった液体であることから、その運動方法
としてこれらワイヤレスによる液体中の泳動の検討は不
可欠といえる。
【0005】そこで、スパイラル形状のワイヤと微小磁
石から構成されるマイクロマシンを基礎として、様々な
粘性の液体中を泳動可能なスパイラル型磁気マイクロマ
シンの泳動特性を詳しく調べた結果、これらのマイクロ
マシンが静水中や流水中で良好な移動特性を示し、医用
マイクロロボットへの応用上極めて有望なマイクロマシ
ンであることが判明した。
【0006】また、生体中に限らず、これら自律して移
動可能なマイクロマシンを目的の部位まで到達させるに
は、その進行方向を制御する必要があることは言うまで
もない。
【0007】本発明の目的は、このような要求に応える
べく移動可能なマイクロマシンの移動制御システム並び
にその移動制御システムに適したマイクロマシンとを提
供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の移動可能なマイクロマシンの移動制御シス
テムは、回転磁界を発生する磁界発生部と、前記磁界発
生部が発生した回転磁界を受け、回転して推力を得るロ
ボット本体と、前記ロボット本体の位置を検出する位置
検出部と、前記位置検出部が検出した前記ロボット本体
の位置に基づき、前記ロボット本体を目的地へ到達させ
る方向へ向けるべく前記磁界発生部による回転磁界の向
きを変更する磁界変向手段と、からなることを特徴とし
ている。上記構成の本発明によれば、投入されたロボッ
ト本体の位置は位置検出部で把握されており、回転磁界
の向きを変えることで、進行しているロボットの方向制
御を行いながらロボットを目的地へ確実に導くことがで
きる。
【0009】本発明の移動可能なマイクロマシンの移動
制御システムは、前記位置検出部が検出したロボット本
体の位置と、ロボット本体を到達させたい目的位置との
情報に基づいて、ロボット本体が進行する最適条件での
方向を割出し、前記磁界変向手段による回転磁界の向き
の変更を制御する制御部を有してなることが好ましい。
このようにすれば、ロボット本体を到達させたい目的位
置のみを入力しておくだけで、自動的にロボット本体を
目的位置に到達させることが可能となる。
【0010】本発明の移動可能なマイクロマシンの移動
制御システムは、回転磁界を発生させる磁界発生部と、
前記磁界発生部が発生した回転磁界を受け、回転して推
力を得るロボット本体とを有し、前記磁界発生部にて形
成される回転磁界面が三次元空間内で所定方向に変向可
能になっていることを特徴としている。このようにすれ
ば、前記ロボット本体は、外部から印加される回転磁界
の回転面に垂直の姿勢を保ちながら推進を行う。このこ
とから、磁界の回転面を変えることでマシンの推進方向
も変えることができる。
【0011】本発明の移動可能なマイクロマシンは、上
記装置において、長手方向の軸と直角方向に磁化方向を
有する磁石が搭載された棒状の本体に、回転運動を推進
力に変換する推力発生部が設けられ、外部から回転磁界
を与えることによって本体が軸方向へ移動可能になって
いるマイクロマシンであって、このマイクロマシン本体
の長手方向端部にドリル部が設けられていることを特徴
としている。この特徴によれば、回転することによって
推進力を得る推力発生部としてらせん、スクリュー等の
メカ的手段が考えられる。この推力発生部は流体中の推
進には好適であるが、本発明のマイクロマシンの進行先
端にはドリル部が設けられているため、例え進行方向に
固体ゲル状体が存在したとしても、マイクロマシンは移
動可能であり、目的地に確実に到達できることになる。
【0012】本発明の移動可能なマイクロマシンは、マ
イクロマシン本体の長手方向である先端、後端に、ドリ
ル部が設けられていることが好ましい。このようにすれ
ば、先端のドリル部を利用して進入した固体やゲル状体
に対して、後端のドリル部を利用することによって後進
推力が得られ、確実に目的地から離れることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の移動可能なマイク
ロマシンの移動制御システムを図面に基づき説明する。
【0014】まず図1は、本発明の実施の一形態である
マイクロマシンの移動制御システム構成を示すブロック
図である。本実施形態の移動制御システムは、図1に示
すように、後述するマイクロマシン本体11に非接触に
て回転力を付与するための回転磁界を形成する3対の磁
界生成コイル12X,12Y,12Zと、各磁界生成コ
イル12X〜12Zに後述するコンピュ−タ5より出力
される制御出力に基づいて電力を供給する電源装置13
と、前記マイクロマシン本体11が形成する磁界を検出
する磁気センサーユニット2および3と、該磁気センサ
ーユニット2および3にて検出された磁界より、マイク
ロマシン本体11の3次元的な現在位置を算出するとと
もに、その現在位置と目標の位置とから、最適な進行経
路を割出し、その進行経路上をマイクロマシン本体11
が移動するように、その進路方向を決定して前記電源装
置13により印加される各磁界生成コイル12X〜12
Zの電力を制御して各磁界生成コイル12X〜12Zに
より形成される回転磁界を変更してマイクロマシン本体
11の進路を前記決定した進路方向へ変更させるコンピ
ュ−タ5と、から構成されている。
【0015】この本実施形態に用いたマイクロマシン本
体11は、図2に示すような外観とされ、直径約2mm
で長さが約7.5mmの円柱形磁石の先端部に長さ約4
mmのら旋構造を有する円錐型のドリル部を有する構造
とされており、前記円柱形磁石としてはネオジウム鉄ボ
ロン系磁石を使用し、その直径方法に磁化方向を有する
ように着磁されている。
【0016】このように、マイクロマシン本体11に装
着される磁石として前記ネオジウム鉄ボロン系磁石を用
いることは、比較的軽量でかつ着磁力の大きなものが好
ましが、本発明はこれに限定されるものではなく、その
他の磁石を用いるようにしても良い。
【0017】まず、本実施形態において、マイクロマシ
ン本体11が自律して移動可能となる原理について以下
に説明すると、前記のようにマイクロマシン本体11に
はその直径方法に磁化方向を有するように着磁された円
柱形磁石が搭載されており、前記磁界生成コイル12X
〜12Zに適宜に電力が印加されて磁界が形成される
と、磁石の磁化方向と磁界方向とが平行になるような回
転力が発生し、マイクロマシン本体11が回転するよう
になる。この回転運動は、前記円錐型のドリル部に伝達
され、該ドリル部に形成されたら旋構造により円柱軸方
向の推力に変換されてマイクロマシン本体11が移動す
るようになる。
【0018】これらマイクロマシン本体11の構造は、
これらマイクロマシン本体11を液体より固い固体ゲル
質内を移動可能なものとするためには、マイクロマシン
本体11が周りの体ゲル質より受ける摩擦抵抗を低減で
きるように、全体の表面積が小さくなるような構造を有
し、かつ前記ら旋構造をマイクロマシン本体11が1回
転する間に進む距離を比較的小さくするようにすること
が好ましく、この観点から前記図2に示すような構造の
マイクロマシン本体11が好ましいが、本発明はこれに
限定されるものではなく、これらマイクロマシン本体の
構造として、図9(a)に示すように、液体中をも効率
良く移動できるように、円柱状の磁石の側面部分にもら
旋構造を有するものや、図9(c)方向転換や目的位置
からの離脱を行い易くする目的で、その両端に円錐型の
ドリル部が形成されたものであっても良い。
【0019】また、これらドリル部の形状も前記円錐形
に限定されるものではなく、図9(b)に示すように、
その他のドリル形状としても良い。
【0020】次いで、これらマイクロマシン本体11の
位置検出の方法について以下に説明する。まず、本実施
形態のマイクロマシンの移動制御システムは1個のマイ
クロマシン本体11の位置を検出する場合を例示してい
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】本発明のマイクロマシンの移動制御システ
ムは、視覚的に遮蔽され、かつ測定空間(大域範囲)R
内に存在するマイクロマシン本体11の位置を検出する
場合の例である。ここで、測定空間Rは例えば約30c
m×30cm×30cm立方体の空間に設定してある。
【0022】なお、マイクロマシン本体11は実際には
視覚的に遮蔽されていて目視することはできないが、図
1においてはこれを透視した状態を図示しており、かつ
移動によって3次元磁気センサーユニット(以下、単に
磁気センサーユニットとも記す)2および3に対向した
位置にある状態を示している。なお、図1において波線
はマイクロマシン本体11に装着された前記ネオジウム
鉄ボロン系磁石による磁力線を模式的に示している。
【0023】本発明のマイクロマシンの移動制御システ
ムには、位置検出されるマイクロマシン本体11に対し
て、一対の例えばフラックゲートからなる磁気センサー
ユニット2および3が所定間隔、例えば10cmの間隔
で磁気センサーユニット装着板1に装着してある。ここ
で、磁気センサーユニット装着板1は測定空間Rの一面
の面積を有していて、この例では30cm×30cmの
面積に設定されており、左隅位置0を測定位置の原点に
設定してある。
【0024】磁気センサーユニット2,3は磁界の強さ
および方向を検出する。磁気センサーユニット2,3か
らの出力は、A/D変換器群41およびインターフェー
ス回路群42からなる信号前処理回路4に供給され、磁
気センサーユニット2,3からの出力がA/D変換器群
41にてデジタルデータに変換され、インターフェース
回路群42を介してコンピュ−タ5へ出力される。
【0025】この信号前処理回路4からの出力データ
は、コンピュ−タ5内部のデータバスに装着された位置
検出処理基板5’に供給され、マイクロマシン本体11
の位置がコンピュ−タ5へ出力されて、該マイクロマシ
ン本体11の位置が、例えば3次元ワイヤフレームにて
表示装置6に表示される。
【0026】この位置検出処理基板5’は、比較的高速
の演算回路からなり、前記磁気センサーユニット2,3
からの各出力信号に基づく出力データに基づいてマイク
ロマシン本体11による磁気モーメントを算出する磁気
モーメント演算手段51と、マイクロマシン本体11が
測定空間R内で区分した予め定めた所定サイズのどの局
所範囲内に存在するか否か、たとえば5cm×5cm×
5cmの立方体の空間の範囲内に存在するか否かを判別
する局所範囲判別手段52と、マイクロマシン本体11
が存在すると判別された局所範囲内におけるマイクロマ
シン本体11の位置および移動方向を検出するマイクロ
マシン本体位置算出手段53とを機能的に備えている。
【0027】磁気センサーユニット2,3はそれぞれ一
対のフラックスゲートセンサから構成されている。磁気
センサーユニット2,3について、磁気センサーユニッ
ト2を例に説明する。
【0028】磁気センサーユニット2を構成する一対の
フラックスゲートセンサ中の一方のフラックスゲートセ
ンサは、図3に示すように、基板20と、基板20上に
設けたリング状コア22と、リング状コア22に巻回さ
れた励磁コイル23と、励磁コイル23が巻回されたリ
ング状態コア22に互いに直交して巻回された磁界検出
コイル24および25とを備えている。
【0029】磁界検出コイル24はY軸に直交し、磁界
検出コイル25はX軸に直交して、磁界検出コイル25
によってX軸方向磁界成分の強さおよび方向を検出し、
磁界検出コイル24によってY軸方向磁界成分の強さお
よび方向を検出する。
【0030】さらに、キャリア周波数fcの発振を行う
キャリア発振器30からの発振出力を受けてキャリア周
波数fcを分周器21によって2分周し、該2分周出力
によって励磁コイル23を励磁する。
【0031】磁界検出コイル25からの出力信号とキャ
リア発振器30からの発振出力を乗算することにより同
期検波回路28にて同期検波し、同期検波回路26から
の出力をローパスフィルタ27にて積分して、X軸方向
磁界検出出力を得る。同様に、磁界検出コイル24から
の出力信号とキャリア発振器30からの発振出力を乗算
することにより同期検波回路28にて同期検波し、同期
検波回路28からの出力をローパスフィルタ29にて積
分して、Y軸方向磁界検出出力を得る。
【0032】磁気センサーユニット2の他方のフラック
スゲートセンサは、磁気センサーユニット2の一方のフ
ラックスゲートセンサと同様の構成であるが、一方のフ
ラックスゲートセンサにおけるコイル24、同期検波回
路28およびローパスフィルタ29を除去した構成であ
り、図1および後記の図6に模式的に示すように、磁気
センサーユニット2の他方のフラックスゲートセンサを
形成する基板は、磁界検出コイルがZ軸と直交するよう
に磁気センサーユニット2の一方のフラックスゲートセ
ンサを形成する基板20の下面に直交してT字状に一体
に設けてあって、磁界検出コイルからの出力を同期検波
および積分してZ軸方向磁界の強さおよび方向に基づく
Z軸方向磁界検出出力を得る。
【0033】したがって、磁気センサーユニット2から
X、Y、Z軸方向磁界の強さに基づく出力が送出され
る。
【0034】ここで、フラックスゲートセンサからは、
磁界検出コイルの巻線直交する方向からの外部磁界の強
さに応じて出力電圧が出力され、この電圧の周波数はフ
ラックスゲートセンサの励磁周波数fc/2の2倍のキ
ャリア周波数fcである。
【0035】次に、同期検波回路26,28について、
図3に示す同期検波回路26を例にして、同期検波回路
を説明すれば、同期検波回路26はキャリア発振器30
の出力を反転するインバータ261と、キャリア発振器
30の出力によって磁界検出コイル25からの出力をオ
ン・オフするスイッチ262と、インバータ261の出
力によって磁界検出コイル25の出力をオン・オフする
スイッチ263と、スイッチ262の出力とスイッチ2
63の出力を増幅する演算増幅器264とからなり、演
算増幅器264の出力をローパスフィルタ27へ送出す
る。
【0036】分周器21の出力は図4(a)に示す波形
であり、磁界検出コイル25の出力は図4(b)に示す
如くキャリア周波数fcの信号であって正負の極性を有
している。スイッチ262のオン・オフの波形は図4
(c)に示す如くであり、スイッチ263のオン・オフ
の波形は図4(d)に示す如くであって、スイッチ26
2および263によって実質的に両波整流を行っている
ことになり、演算増幅器264の出力は図4(e)に示
す如くになる。Y軸およびZ軸方向磁界検出出力につい
ても同様の処理がなされる。
【0037】なお、磁気センサーユニット3についても
磁気センサーユニット2と同様に構成してあり、同様に
3軸方向磁界の強さに基づく出力が得られる。
【0038】次に、磁気センサーユニット2を構成する
磁界検出コイルから出力されるX軸、Y軸、Z軸方向磁
界の強さおよび方向の出力について図5により説明す
る。図5において波線はマイクロマシン本体11による
磁力線を示している。
【0039】磁気センサーユニット2の位置Cにおける
磁界の強さおよび方向をAとし、磁界の強さおよび方向
AのX軸方向磁界の強さ、Y軸方向磁界の強さ、Z軸方
向磁界の強さをそれぞれAx、Ay、Azとし、cos
α、cosβ、cosyを磁界の強さおよび方向Aの方
向余波とすれば、Ax=Acosα、Ay=Acos
β、Az=cosyであり、磁界検出コイル25からは
Axの出力が、磁界検出コイル24からはAyの出力
が、Z軸方向の磁界検出コイルからはAzの出力が送出
される。磁界の強さおよび方向Aは、A=√(Ax
Ay+Az)で与えられる。
【0040】磁気センサーユニット3についても磁気セ
ンサーユニット2の場合と同様であって、磁気センサー
ユニット3の位置Dにおける磁界の強さおよび方向をB
として示してある。
【0041】図6は、磁気センサーユニット2と、磁気
センサーユニット2の出力を処理する信号前処理回路4
の構成を示している。
【0042】磁気センサーユニット2から出力されるX
軸、Y軸、Z軸方向磁界の強さに基づく信号は、各別に
A/D変換器411、412、413にて同時にA/D
変換され、A/D変換器411、412、413からの
A/D変換出力は各別にインターフェース回路421、
422、423を介して位置検出処理基板5’へ出力さ
れる。磁気センサーユニット3から出力されるX軸、Y
軸、Z軸方向磁界の強さに基づく信号も同様に処理され
て、位置検出処理基板5’へ出力される。
【0043】次に、位置検出処理基板5’における視覚
的に遮蔽された状態のマイクロマシン本体11の位置検
出処理について図7および図8のフローチャートに基づ
いて説明する。
【0044】信号前処理回路4において信号処理された
磁気センサーユニット2,3からの出力データを受けた
位置検出処理基板5’では、マイクロマシン本体11を
遠ざけて磁気センサーユニット2,3にて地磁気を検出
する状態にして地磁気を計測し、地磁気の補正を行う等
の初期設定を行って、続いて、磁気センサーユニット2
からの出力を読み込む磁界計測が行われる(ステップS
1)。
【0045】この磁界計測においてZ軸方向磁界の強さ
を求める磁界検出コイルは基板20の表面に位置してい
ないため、基板20からZ軸方向磁界検出コイルの巻回
中心位置までの長さの補正を行って磁界計測を行う。
【0046】ステップS1に続いて、同期検波および積
分された磁気センサーユニット2からの出力がA/D変
換され(ステップS2)、A/D変換された各磁気セン
サーユニット2,3からの出力を一旦記憶し、(ステッ
プS3)、磁気センサーユニット3からの出力について
実行されたか否かがチェックされ、全磁気センサーユニ
ット2,3からの出力についてA/D変換がなされ、記
憶がなされるまで繰り返す(ステップS4)。
【0047】ステップS4において全磁気センサーユニ
ット2、3からの出力についてA/D変換がなされ、記
憶されたとき、ステップS4に続いてマイクロマシン本
体11の位置およびその方向を算出する後記のステップ
S5が実行される。磁気センサーユニット2,3からの
出力に基づきマイクロマシン本体11の位置を求めるた
めに、本明細書および図7のステップS5その他におい
て、「逆問題を解き」、と記載してある。
【0048】ステップS5においてマイクロマシン本体
11の位置および移動方向が算出されると、算出された
マイクロマシン本体11の位置および移動方向が表示装
置6に、3次元ワイヤーフレーム表示される(ステップ
S6)。
【0049】次に逆問題の演算ルーチンを図8のフロー
チャートによって説明する。ステップS4に続いて逆問
題を解く逆問題演算ルーチンに入ると、磁気センサーユ
ニット2,3からの出力に基づいて、マイクロマシン本
体11の磁気モーメントが演算される(ステップS5
1)。次いで、測定空間Rを所定の空間(局所範囲)に
分割、例えば5cm×5cm×5cmの立方体の空間に
分割して、その分割されたいずれかの局所範囲内に逆問
題の解が存在するか否かをチェックすることによってな
される(ステップS52)。
【0050】ステップS52における解の存在は、局所
範囲を形成する6面体の各面における評価関数を磁気モ
ーメントに基づき算出し、局所範囲を形成する6面体の
うち1面でも評価関数の値の極性が異なる値の面が存在
するか否かによって判別される。すなわち、局所範囲内
にマイクロマシン本体11が存在するときは、局所範囲
を形成する6面体のうち1面でも評価関数の値の極性が
異なる極性になったとき、局所範囲内にマイクロマシン
本体11が存在しないときは、局所範囲を形成する6面
体の総ての面の評価関数の値の極性が同一極性になるこ
とからマイクロマシン本体11の存否、すなわち解が存
在するか否かが判別される。
【0051】ステップS52におけるチェックによっ
て、局所範囲内に逆問題の解が存在しないと判別された
とき、すなわち局所範囲内にマイクロマシン本体11が
存在しないと判別されたときは隣の局所範囲に移動して
(ステップS53)、測定空間Rの全部にわたって実行
したか否かがチェックされ(ステップS54)、測定空
間R内の全部にわたって実行していないときは、ステッ
プS54に続いてステップS52が実行される。
【0052】ステップS54において測定空間R内の全
部にわたって実行したときは測定空間Rに解が存在する
局所空間が見つからなかったときであって、ステップS
54に続いて解なしの表示が表示装置6になされる(ス
テップS55)。
【0053】ステップS52において解が存在する局所
範囲が見つかったときは、ステップS52に続いて解が
存在する局所範囲において、ニュートンラプソン法を適
用して解を求め、求めた解が収束するか否かがチェック
される(ステップS56)。ここで、収束は例えば評価
関数の値が10−3を閾値として、評価関数の値が10
−3以下になったら収束したと判別する。これは評価関
数の値が0のとき真に収束であるからである。
【0054】ステップS56において解が収束すると判
別されたときは初期値の設定がなされる(ステップS5
7)。ステップS56において解が収束しないと判別さ
れたときは、評価関数の最小値(>0)を解とし(ステ
ップS58)、ステップS58に続いて初期値の設定が
なされる(ステップS57)。この場合において初期値
は、解が存在する局所範囲が求まったとき、その局所範
囲内の中心位置を初期値とすることが好都合である。
【0055】上記のステップS51〜ステップS58で
は予め定めた領域内において解の存在を求め、その解が
収束するか否かをチェックして初期値を設定しており、
この解法を本明細書においては、局所解法とも記してい
る。これは測定空間Rの領域より小さな空間内、すなわ
ち5cm×5cm×5cmの立方体の空間内におけるマ
イクロマシン本体11の存在を求めているためである。
【0056】ステップS57に続いて初期値に基づき解
が存在した局所範囲においてニュートンラプソン法によ
って解を求め(ステップS59)、ステップS6が実行
される。ステップS59を本明細書では局所解法とも記
している。局所範囲内において解を求めているためであ
る。
【0057】このように解が内部に存在する局所領域を
求め、解が存在する局所領域内で解を求めるために、す
なわち局所解法によってマイクロマシン本体11の位置
および方向を検出するために、測定空間R内を区分しな
いで順次解を求めていく場合に比較してきわめて早く解
が得られ、すなわちマイクロマシン本体11の位置およ
び方向が得られる。
【0058】なお、マイクロマシン本体11の数が増加
しても、それぞれのマイクロマシン本体11位置が、異
なる局所範囲内に存在するときは、それぞれのマイクロ
マシン本体11に対して順次収束解が求められる。
【0059】また、2つのマイクロマシン本体11が同
一の局所範囲内に存在するような場合は、2つのマイク
ロマシン本体11による合成磁界のX軸、Y軸、Z軸の
成分に基づいてマイクロマシン本体11の位置が測定さ
れる。
【0060】上記した本発明の実施の一形態にかかるマ
イクロマシンの移動制御システムにおいて、測定空間R
を、例えば30cm×30cm×30cmの立方体とし
て説明したが、この測定空間Rは使用するフラックスゲ
ートセンサの感度および誤差とマイクロマシン本体11
の磁気モーメントによって定められる。
【0061】また分割した所定の範囲、すなわち局所範
囲を5cm×5cm×5cmの立方体としたが、この局
所範囲はニュートンラプソン法による演算時に収束する
程度の範囲に選択すればよく、マイクロマシン本体11
の数、マイクロマシン本体11と磁気センサーユニット
との距離、磁気センサーユニットの感度、マイクロマシ
ン本体11の磁気モーメントに基づいて設定すればよ
い。
【0062】なお、上記した本発明の実施の一形態にか
かるマイクロマシンの移動制御システムにおいては、視
覚的に遮蔽されたマイクロマシン本体11の位置および
方向を検出する場合を例示したが、視覚的に遮蔽されて
いないマイクロマシン本体11の位置および方向を測定
する場合も同様である。
【0063】このようにして、前記位置検出処理基板
5’により検出されたマイクロマシン本体11の位置と
移動方向(向き)とは、その座標データとして前記コン
ピュータ5に出力され、その現在位置の座標データとコ
ンピュータ5において予め設定されている目的位置の座
標データとから、目的位置への最適な経路がコンピュー
タ5の処理プログラムにより形成された経路決定手段5
4により選出され、該選出された経路上をマイクロマシ
ン本体11が移動するように、逐次その方向が経路決定
手段54により決定されてその決定された方向へマイク
ロマシン本体11が誘導される。
【0064】このマイクロマシン本体11の誘導(方向
変更)の手法は、前記マイクロマシン本体11が前述の
ように磁界生成コイル12X〜12Zにより形成される
回転磁界により発生する磁気トルク(回転)を利用して
移動するが、この回転磁界の回転面を適宜に変更制御す
ることでマイクロマシン本体11の進行方向である向き
を変更することができる。すなわち、回転磁界回転面に
対して垂直方向に進行する本マイクロマシン本体11の
特徴を利用し、前記回転面を傾けることによりマイクロ
マシン本体11の進行方向が変更される。このため、本
実施形態では、これら回転磁界の回転面を変更するため
に、X方向,Y方向,Z方向の各方向に磁界を形成する
ための3組の磁界生成コイル12X〜12Zを用い、前
記経路決定手段54により決定された方向へマイクロマ
シン本体11が向くような回転面となるように、各磁界
生成コイル12X〜12Zに印加される電流の強さと位
相とを演算により算出して制御する回転磁界制御手段5
5が、プログラムにより形成されており、該回転磁界制
御手段55にて算出された電流の強さと位相情報とが前
記電源装置13に出力され、これら制御情報に基づき電
源装置13により磁界生成コイル12X〜12Zに印加
される電流の強さと位相とが制御されて、マイクロマシ
ン本体11が目的の位置へ適宜に誘導されていく。
【0065】以下、本実施形態のマイクロマシンの移動
制御システムを用い、移動する固体媒体として細菌培養
用の培地寒天を用いた際の実験結果を示す。前記図2に
示すマイクロマシン本体11に、磁界強度150Oeの
回転磁界を印加すると回転運動を行い前記寒天培地中を
移動した。その移動速度は、回転磁界の回転周波数に大
きく依存し、周波数1Hzでは、毎秒2mm、周波数5
0Hzでは、毎秒20mmの速度で進行した。さらに、
回転磁界の磁界回転面を変化させることによりマイクロ
マシン本体11は寒天中でその進行方向を変えることが
可能であった。図10はマイクロマシン本体11の進行
方向制御実験の一例であり、磁界回転周波数0.5H
z、磁界強度150Oeにおいて、半径50mmで転回
することが可能であり、スタート地点からゴール地点ま
での経路を、障害壁を回避しながら進行することが可能
であった。
【0066】また、前記マイクロマシン本体11を図9
(c)に示すような、円柱形磁石の両端にら旋形状を有
するドリル部を有するものを用いることで、前記回転磁
界を変更することにより、マイクロマシン本体11の回
転方向を容易に逆転でき、それによりロボットは後退で
きるので、適宜に切り返しを実施してより小さな回転半
径で進行方向を変えることも可能である。
【0067】以上、説明したような本実施形態のマイク
ロマシンの移動制御システムを用いれば、例えば医療等
へのマイクロマシンの応用を考えた場合においては、こ
れらマイクロマシン本体11を患部へ的確な経路を通じ
て誘導することが必須となるが、これらマイクロマシン
本体11を非接触にてその目的位置へ的確に誘導するこ
とが可能となり、本発明のマイクロマシンの移動制御シ
ステムはマイクロマシンの医療等への応用を考えた場合
に、非常に重要な技術と成り得るものである。
【0068】以上、本発明の実施形態を図面により前記
実施例にて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限
定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲
における変更や追加があっても本発明に含まれることは
言うまでもない。
【0069】
【発明の効果】本発明は次の効果を奏する。
【0070】(a)請求項1の発明によれば、投入され
たロボット本体の位置は位置検出部で把握されており、
回転磁界の向きを変えることで、進行しているロボット
の方向制御を行いながらロボットを目的地へ確実に導く
ことができる。
【0071】(b)請求項2の発明によれば、ロボット
本体を到達させたい目的位置のみを入力しておくだけ
で、自動的にロボット本体を目的位置に到達させること
が可能となる。
【0072】(c)請求項3の発明によれば、前記ロボ
ット本体は、外部から印加される回転磁界の回転面に垂
直の姿勢を保ちながら推進を行う。このことから、磁界
の回転面を変えることでマシンの推進方向も変えること
ができる。
【0073】(d)請求項4の発明によれば、回転する
ことによって推進力を得る推力発生部としてらせん、ス
クリュー等のメカ的手段が考えられる。この推力発生部
は流体中の推進には好適であるが、本発明のマイクロマ
シンの進行先端にはドリル部が設けられているため、例
え進行方向に固体ゲル状体が存在したとしても、マイク
ロマシンは移動可能であり、目的地に確実に到達できる
ことになる。
【0074】(e)請求項5の発明によれば、先端のド
リル部を利用して進入した固体やゲル状体に対して、後
端のドリル部を利用することによって後進推力が得ら
れ、確実に目的地から離れることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のマイクロマシンの移動制御
システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に用いたマイクロマシン本体
の構造を示す外観図である。
【図3】本発明の実施形態に用いた磁気センサーユニッ
トの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に用いた磁気センサーユニッ
トにおける同期検波回路の作用の説明に供する模式説明
図である。
【図5】本発明の実施形態に用いた磁気センサーユニッ
トによる磁界強さの検出の説明図である。
【図6】本発明の実施形態に用いた磁気センサーユニッ
トと信号前処理回路と位置検出処理基板との接続図であ
る。
【図7】本発明の実施形態に用いた位置検出処理基板に
おける処理内容を示すフロー図である。
【図8】本発明の実施形態に用いた位置検出処理基板に
おける作用の説明に供するフロー図である。
【図9】本発明の好適なその他の形状のマイクロマシン
本体の構造を示す外観図である。
【図10】本発明の実施形態における進路変更の実験状
況を示す図である。
【符号の説明】
1 磁気センサーユニット装着板 2,3 磁気センサーユニット 4 信号前処理回路 5 コンピュータ 5’ 位置検出処理基板 6 表示装置 11 マイクロマシン本体 12X,Y,Z 磁界生成コイル 20 基板 22 リング状コア 23 励磁コイル 24,25 磁界検出コイル 26,28 同期検波回路 27,29 ローパスフィルタ 41 A/D変換器群 42 インタフェース回路群 51 磁気モーメント演算手段 52 局所範囲判別手段 53 マイクロマシン位置算出手段 54 経路決定手段 55 回転磁界制御手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転磁界を発生する磁界発生部と、前記
    磁界発生部が発生した回転磁界を受け、回転して推力を
    得るロボット本体と、前記ロボット本体の位置を検出す
    る位置検出部と、前記位置検出部が検出した前記ロボッ
    ト本体の位置に基づき、前記ロボット本体を目的地へ到
    達させる方向へ向けるべく前記磁界発生部による回転磁
    界の向きを変更する磁界変向手段と、からなることを特
    徴とする移動可能なマイクロマシンの移動制御システ
    ム。
  2. 【請求項2】 前記位置検出部が検出したロボット本体
    の位置と、ロボット本体を到達させたい目的位置との情
    報に基づいて、ロボット本体が進行する最適条件での方
    向を割出し、前記磁界変向手段による回転磁界の向きの
    変更を制御する制御部を有してなる請求項1に記載の移
    動可能なマイクロマシンの移動制御システム。
  3. 【請求項3】 回転磁界を発生させる磁界発生部と、前
    記磁界発生部が発生した回転磁界を受け、回転して推力
    を得るロボット本体とを有し、前記磁界発生部にて形成
    される回転磁界面が三次元空間内で所定方向に変向可能
    になっていることを特徴とする移動可能なマイクロマシ
    ンの移動制御システム。
  4. 【請求項4】 長手方向の軸と直角方向に磁化方向を有
    する磁石が搭載された棒状の本体に、回転運動を推進力
    に変換する推力発生部が設けられ、外部から回転磁界を
    与えることによって本体が軸方向へ移動可能になってい
    るマイクロマシンであって、このマイクロマシン本体の
    長手方向端部にドリル部が設けられていることを特徴と
    する移動可能なマイクロマシン。
  5. 【請求項5】 マイクロマシン本体の長手方向である先
    端、後端に、ドリル部が設けられている請求項4に記載
    の移動可能なマイクロマシン。
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