JP2001176810A - 半導体ウェハ熱処理装置 - Google Patents

半導体ウェハ熱処理装置

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JP2001176810A
JP2001176810A JP35581599A JP35581599A JP2001176810A JP 2001176810 A JP2001176810 A JP 2001176810A JP 35581599 A JP35581599 A JP 35581599A JP 35581599 A JP35581599 A JP 35581599A JP 2001176810 A JP2001176810 A JP 2001176810A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は半導体ウェハに熱処理を施すための
熱処理装置に関し、少数キャリアのライフタイムを短縮
することなく熱処理を行うことを目的とする。 【解決手段】 反応管11の中に反応ガスを導いく反応
ガス導入管7を設ける。反応管11の内部に、ウェハボ
ート8に支持された複数の半導体ウェハ12を挿入す
る。それぞれの半導体ウェハ12に冷却ガスを直接吹き
付けるための冷却ガス導入管6と、反応管11の内部に
導かれた冷却ガスを排気するための冷却ガス排出管3と
を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウェハ熱処
理装置に係り、特に、少数キャリアのライフタイムを劣
化させることなく半導体ウェハに熱処理を施すための熱
処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の製造過程では、半導体ウェ
ハに熱処理が施されることがある。このような熱処理
は、例えば、半導体ウェハの表面にシリコン酸化膜を形
成するために行われる。
【0003】図16は、半導体ウェハに熱処理を施すた
めの従来の反応管の透視図を示す。従来の反応管は、そ
の内部にウェハボート8を収納することができる。ウェ
ハボート8には、複数の半導体ウェハ12が水平姿勢で
多段に保持される。反応管には、その内部の空間に反応
ガスを導くための反応ガス導入管7、およびその内部空
間から反応ガスを排出させるための反応ガス排気口5が
設けられている。
【0004】反応ガス導入管7は、ウェハボート8の上
部から反応管の内部に反応ガスを供給することができ
る。反応管の上部には、反応ガスを均等に内部空間に分
配するためのシャワーヘッド14が設けられている。シ
ャワーヘッド14を通過した反応ガスは、シリコンウェ
ハ12の周囲を通過して、反応管の下部に設けられてい
る反応ガス排出口5から排気される。
【0005】反応管には、また、その内部の温度を監視
するための熱電対16,17,18を備えている。熱電
対16は、反応管の上端部近傍の温度が検出できるよう
に設けられている。熱電対17は、反応管の中央部近傍
の温度が検出できるように設けられている。また、熱電
対18は、反応管の下端部近傍の温度が検出できるよう
に設けられている。
【0006】従来の反応管は、熱処理の際に所定の温度
に加熱される。例えば、半導体ウェハ12にシリコン酸
化膜を成膜するための熱処理の際には、反応管が所定の
酸化膜生成温度に加熱される。この状態で反応管の内部
に反応ガスを導入すると、半導体ウェハ12に適正に熱
処理を施すことができる。
【0007】半導体ウェハに熱処理を施す装置として
は、例えば、特開平6−216056号公報に開示され
るように、上述した反応管の周囲に冷却ガスを導くこと
のできるものが知られている。このような装置によれ
ば、半導体ウェハに熱処理を施した後に、反応管と、そ
の内部に収納されている半導体ウェハとを速やかに冷却
することができる。従って、このような熱処理装置によ
れば、半導体ウェハの熱処理を効率的に行うことができ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図17は、上記の手法
(冷却ガスで反応管を冷却する手法)で熱処理された半
導体ウェハについて、少数キャリアのライフタイムを測
定した結果を示す。より具体的には、図17(A)はそ
のライフタイムの平均値、最少値、最大値、偏差、およ
び中央値を示す。また、図17(B)はライフタイムの
分布を表すヒストグラムを示す。更に、図17(C)は
ライフタイムの累積分布を百分率で表した図を示す。
【0009】上記の手法による熱処理が施されると、半
導体ウェハに含まれている少数キャリアのライフタイム
は、図17に示すように平均値で127.8μsec程度
となる。この値は、熱処理前のライフタイムに比して著
しく短く、また、半導体ウェハに対する通常の要求値
(例えば350μsec)に比しても短い時間である。こ
のように、半導体ウェハに対する熱処理は、半導体ウェ
ハに含まれている少数キャリアのライフタイムを短縮す
る場合がある。
【0010】半導体装置が適正に機能するためには、少
数キャリアが十分なライフタイムを有していることが必
要である。従って、半導体装置の機能を安定に確保する
ためには、少数キャリアのライフタイムを短縮すること
のない手法で半導体ウェハを熱処理することが必要であ
る。
【0011】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、少数キャリアのライフタイムを短
縮することなく半導体ウェハに熱処理を施すことのでき
る半導体ウェハ熱処理装置を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記の目的を達成するため、反応管の中に反応ガスを導
いて半導体ウェハに熱処理を施す熱処理装置であって、
反応管の内部に保持されている半導体ウェハに冷却ガス
を吹き付けるための冷却ガス導入管と、反応管の内部に
導かれた冷却ガスを排気するために、前記冷却ガス導入
管と対向する位置に設けられる冷却ガス排出管と、を備
えることを特徴とする。
【0013】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の半導体ウェハ熱処理装置であって、前記冷却ガスと
して、酸素、オゾン、および水蒸気の少なくとも1つを
含むガスを用いることを特徴とする。
【0014】また、請求項3記載の発明は、請求項1ま
たは2記載の半導体ウェハ熱処理装置であって、前記反
応管の内部には、その長手方向に、所定間隔毎に複数の
半導体ウェハが保持され、前記冷却ガス導入管は、前記
反応管の長手方向に伸びるガス噴出部を備え、前記ガス
噴出部は、前記複数のウェハのそれぞれと対応する位置
に冷却ガス噴出孔を備え、前記冷却ガス排出管は、前記
反応管の長手方向に伸びるガス排出部を備え、前記ガス
排出部は、前記複数のウェハのそれぞれと対応する位置
に冷却ガス排出孔を備えることを特徴とする。
【0015】また、請求項4記載の発明は、請求項1乃
至3の何れか1項記載の半導体ウェハ熱処理装置であっ
て、前記冷却ガス噴出孔は、冷却ガスの供給源に近い側
から遠い側に向けて徐々に大きくなるように設けられて
おり、前記冷却ガス排出孔は、冷却ガスの排気口に近い
側から遠い側に向けて徐々に大きくなるように設けられ
ていることを特徴とする。
【0016】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の
何れか1項記載の半導体ウェハ熱処理装置であって、前
記反応管の一端から、その内部に前記反応ガスを導入す
る反応ガス導入管と、前記反応ガス導入管のガス噴出孔
と前記反応管の内部空間との間に介在するシャワーヘッ
ドと、前記シャワーヘッドの全面に形成されたシャワー
ヘッド孔とを備え、前記シャワーヘッド孔は、前記反応
管の中心部から周縁部に向かって徐々に大きくなるよう
に形成されていることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
実施の形態について説明する。尚、各図において共通す
る要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略す
る。
【0018】実施の形態1.図1は、本発明の実施の形
態1の半導体ウェハ熱処理装置の主要部を表す断面図を
示す。本実施形態の熱処理装置は反応管11を備えてい
る。反応管11の周囲は、円筒状のヒータ1で囲まれて
いる。ヒータ1の底部には空気供給口2が設けられてい
る。また、ヒータ1の上部には冷却器9を介してブロワ
ー10が接続されている。
【0019】ヒータ1と反応管11との間の空間には、
ブロワー10を回転させることにより冷却空気を貫流さ
せることができる。従って、本実施形態の熱処理装置に
よれば、ブロワー10を回転させることにより、反応管
11を強制的に冷却することができる。尚、冷却器9お
よびブロワー10は、空気供給口2側に設けてもよい。
【0020】反応管11の内部には、キャップ4に搭載
されたウェハボート8が挿入されている。ウェハボート
8は、図示しないボートエレベータにより、反応管11
の内部に挿入され、また、その内部から引き出される。
ウェハボート8が反応管11に挿入されると、反応管1
1の開口部はキャップ4によって閉塞される。
【0021】図2は、反応管11を拡大して表した斜視
図を示す。反応管11は、その内部にウェハボート8を
収納することができる。ウェハボート8には、複数の半
導体ウェハ12が水平姿勢で多段に保持される。反応管
11には、その内部空間に反応ガスを導くための反応ガ
ス導入管7、およびその内部空間から反応ガスを排出さ
せるための反応ガス排気口5が設けられている。
【0022】反応ガス導入管7は、ウェハボート8の上
部から反応管の内部に反応ガスを供給することができ
る。反応管の上部には、反応ガスを均等に内部空間に分
配するためのシャワーヘッド14が設けられている。シ
ャワーヘッド14には、その全面にシャワーヘッド孔が
設けられている。反応管11の内部に反応ガスが均一に
導入されるように、シャワーヘッド孔は、シャワーヘッ
ド14の中心部から周縁部に向かって徐々にその開口径
が大きくなるように設けられている。シャワーヘッド1
4を通過した反応ガスは、シリコンウェハ12の周囲を
通過して、反応管11の下部に設けられている反応ガス
排出口5から排気される。
【0023】反応管11は、また、冷却ガス導入管6お
よび冷却ガス排出管3を備えている。冷却ガス導入管6
は、反応管11の内部をウェハボート8に沿って上下方
向に延在するガス噴出部を有している。冷却ガス導入管
6のガス噴出部には、ウェハボート8に保持されている
半導体ウェハ12の位置と対応するように、複数の冷却
ガス噴出孔13が設けられている。冷却ガス排出管3
は、反応管11の内部をウェハボート8に沿って上下方
向に延在するガス排出部を有している。冷却ガス排出管
6のガス排出部には、ウェハボート8に保持されている
半導体ウェハ12の位置と対応するように、複数の冷却
ガス排出孔15が設けられている。
【0024】冷却ガス噴出孔13および冷却ガス排出孔
15は、何れも、反応管11の内部を冷却ガスが均一に
流通するように、反応管11の底部側から上部側に向か
って徐々にその開口径が大きくなるように設けられてい
る。冷却ガス噴出孔13から供給される冷却ガスは、半
導体ウェハ12を直接的に冷却した後、冷却ガス排出孔
15から排出される。従って、本実施形態の熱処理装置
によれば、半導体ウェハ12を反応管11の内部で直接
的に冷却することができる。
【0025】反応管11は、その内部の温度を監視する
ための熱電対16,17,18を備えている。熱電対1
6は、反応管の上端部近傍の温度が検出できるように設
けられている。熱電対17は、反応管の中央部近傍の温
度が検出できるように設けられている。また、熱電対1
8は、反応管の下端部近傍の温度が検出できるように設
けられている。熱電対16,17,18による測定の結
果は、ヒータ1の制御などに用いられる。尚、反応管1
1に組み込む熱電対の本数は3本に限定されるものでは
なく、ヒータ1の制御方式等に応じてより多数の熱電対
を装着してもよい。
【0026】本実施形態の熱処理装置では、ヒータ1を
発熱させることにより半導体ウェハ12を所定の温度に
加熱することができる。また、その状態で反応管11の
内部に反応ガスを供給することで半導体ウェハ12に所
定の熱処理を施すことができる。具体的には、例えば、
ヒータ1により反応管11の内部を900℃程度に加熱
して、反応管11の中に反応ガスとして水蒸気や酸素を
供給することで、半導体ウェハ12の表面にシリコン酸
化膜を形成するための熱処理を行うことができる。
【0027】また、本実施形態の熱処理装置は、上記の
如く、ヒータ1と反応管11との間に冷却ガスを流通さ
せることにより反応管11を効率的に冷却し、かつ、反
応管11の内部に冷却ガスを流通させることにより半導
体ウェハ12を直接的に冷却することができる。このた
め、本実施形態の装置によれば、熱処理の過程で加熱さ
れた半導体ウェハ12を、熱処理の終了後に速やかに冷
却することができる。
【0028】熱処理の終了後に、半導体ウェハ12を速
やかに冷却することは、半導体ウェハ12に含まれる少
数キャリアのライフタイムが短くなるのを防ぐ上で重要
である。この点、本実施形態の熱処理装置は、少数キャ
リアのライフタイムの短縮を抑制しつつ、所望の熱処理
を効率的に実行し得るという優れた効果を有している。
【0029】本発明の効果の根拠.以下、半導体ウェハ
12に含まれる少数キャリアのライフタイムに影響する
因子を見つけ出すために行った種々の実験の結果に基づ
いて、半導体ウェハ12の冷却速度が少数キャリアのラ
イフタイムに大きな影響を与えることを説明する。
【0030】表1は、上記目的の実験において、試料を
作成するために用いられた熱処理条件の一覧を示す。表
1に示す条件に従う熱処理は、シリコン単結晶の面上に
50nm程度の膜厚でシリコン酸化膜を有する半導体ウェ
ハに対して施される。以下、上記の熱処理が施される前
の半導体ウェハを「処理前ウェハ」と称し、また、上記
の熱処理が施された後の半導体ウェハを「処理後ウェ
ハ」と称す。
【0031】
【表1】
【0032】表1において、「Push Temp.」は半導体ウ
ェハ12を反応管11の中に挿入する際の管内温度を示
す。「Anneal Temp.」および「Anneal Time」は半導体
ウェハ12が反応管11の内部に保持される際の管内温
度、およびその保持時間を示す。また、「Pullout Tim
e」は半導体ウェハ12を反応管11の中から引き出す
際の管内温度を示す。尚、条件B-01〜B-03におけるAn
neal Temp.は、−2.5℃/minの速度で管内温度を7
00℃からそれぞれの表示温度に降温させたことを表し
ている。
【0033】実験1.小数キャリアのライフタイムが劣
化する原因としては、サーマルドナーの影響が考えられ
る。このため、小数キャリアのライフタイムと、サーマ
ルドナーとの関係を確認するための実験を行った。
【0034】図3は、処理前ウェハと、条件B-01、B-
02またはB-03で熱処理された処理済みウェハとを試料
としてシート抵抗を測定した結果を示す。シート抵抗
は、各試料の表面に形成されているシリコン酸化膜をB
HFを用いたウェット処理により除去した後に、国際電
気社製のVR−120を用いて、49point/waferの密
度で測定した。
【0035】図3に示すように、熱処理の温度を700
℃から600℃まで降温させた場合(条件B-03)、お
よびその温度を500℃まで降温させた場合(条件B-0
2)は、熱処理が施されていない場合とほぼ同等のシー
ト抵抗(約290Ω/□)を示す。一方、熱処理の温度
が700℃から400℃まで降温される場合(条件B-0
1)は、他の場合に比してシート抵抗が大きな値(約4
30Ω/□)となる。半導体ウェハ12のシート抵抗
は、サーマルドナーが発生して、キャリアがサーマルド
ナーに捕獲される状態が形成されることにより上昇す
る。従って、上記の結果は、サーマルドナーが450℃
付近の温度帯で発生したために生じたものと考えられ
る。
【0036】図4は、処理前ウェハと、そのウェハを条
件B-03(熱処理温度を700℃→600℃とする条
件)で熱処理して作成した処理済みウェハとについて、
少数キャリアのライフタイムを測定した結果を示す。よ
り具体的には、図4(A)乃至図4(C)は、処理前ウ
ェハについての測定結果(ライフタイムの平均値、最少
値、最大値、偏差、および中央値)、ライフタイムの分
布、およびライフタイムの累積分布を示す。また、図4
(D)乃至図4(F)は、処理済みウェハについての測
定結果、ライフタイムの分布、およびライフタイムの累
積分布を示す。図4に示すように、条件B-03で熱処理
された処理済みウェハでは、ライフタイムに劣化は生ず
るものの、ライフタイムの最大値は依然として熱処理前
の値と同等レベルに維持される。
【0037】小数キャリアのライフタイムは、Semilab
社製のWT-85XAを用いて、raster2mmの範囲(2mm□の
範囲)で測定した。ライフタイムの測定機および測定範
囲は、以下の全ての試料について共通である。上記の測
定機によれば、図4に示す各種結果の他に、測定範囲内
におけるライフタイムの平面分布を得ることができる。
【0038】図5は、処理前ウェハと、そのウェハを条
件B-02(熱処理温度を700℃→500℃とする条
件)で熱処理して作成した処理済みウェハとについて、
少数キャリアのライフタイムを測定した結果を示す。図
5(A)乃至図5(F)の内容は、それぞれ図4(A)
乃至図4(F)の内容に対応している。図5に示すよう
に、条件B-02による熱処理の前後では、小数キャリア
のライフタイムが、約1200μsecから約30μsecに
急激に劣化する。
【0039】図6は、処理前ウェハと、そのウェハを条
件B-01(熱処理温度を700℃→400℃とする条
件)で熱処理して作成した処理済みウェハとについて、
少数キャリアのライフタイムを測定した結果を示す。図
6(A)乃至図6(F)の内容は、それぞれ図4(A)
乃至図4(F)の内容に対応している。図6に示すよう
に、条件B-01による熱処理の前後では、小数キャリア
のライフタイムが、約1200μsecから約40μsecに
急激に劣化する。
【0040】図7は、図4乃至図6に示す結果から、ラ
イフタイムの平均時間に関する結果を抽出し、その結果
を対比して表した図を示す。図7に示すように、小数キ
ャリアのライフタイムは、熱処理温度の下限が500℃
または400℃である場合に、その下限が600℃であ
る場合に比して顕著に劣化している。また、そのライフ
タイムは、熱処理温度の下限が500℃である場合と、
その下限が400℃である場合とで、ほぼ同等に劣化し
ている。
【0041】上述の如く、半導体ウェハ12には、45
0℃程度の温度帯でサーマルドナーが発生すると考えら
れる(図3参照)。一方、小数キャリアのライフタイム
には、熱処理の下限が500℃である場合にも顕著な劣
化が生じている。従って、熱処理の前後で小数キャリア
を顕著に劣化させる原因は、サーマルドナーではないと
考えることができる。
【0042】実験2.次に、熱処理の温度と小数キャリ
アのライフタイムとの関係を把握するために行った実験
の内容と結果とを説明する。図8は、処理前ウェハを試
料とするライフタイムの測定結果と、その処理前ウェハ
を単一の温度(A-01〜A-03、A-05、A-07〜A-09の
何れかの条件)で熱処理して作成した処理済みウェハに
ついてのライフタイムの測定結果とを対比して表した図
を示す。本実験において、各資料の熱処理は、N2雰囲
気中で実行した。
【0043】図8に示すように、熱処理の温度が700
℃である場合は、少数キャリアのライフタイムに劣化は
見られない。熱処理の温度が650℃、600℃と低下
するに伴ってライフタイムの劣化は段々と顕著となり、
その温度が550℃である場合に最も顕著となる。そし
て、熱処理の温度が更に500℃、450℃、400℃
と低下すると、再び劣化の程度が小さくなる。
【0044】図9は、処理前ウェハを試料とするライフ
タイムの測定結果と、その処理前ウェハをA-04〜A-06
の何れかの条件で、すなわち、ライフタイムを最も劣化
させる550℃の温度で熱処理することにより作成した
処理済みウェハについてのライフタイムの測定結果とを
対比して表した図を示す。条件A-04〜A-06は、それぞ
れ熱処理時間が相違している。従って、図9に示す測定
結果は、熱処理の時間に対するライフタイムの依存性を
示している。
【0045】図9に示すように、少数キャリアのライフ
タイムは、熱処理の時間が長いほど顕著に劣化する。し
かし、熱処理温度が単一温度(550℃)に固定されて
いる場合は、熱処理時間が長期化されても、処理条件B
-01〜B-03が用いられた場合のようにライフタイムが劣
化すること、すなわち、ライフタイムが20〜40μse
cの範囲に集中するように劣化することはない。また、
熱処理温度が単一温度である場合は、試料である半導体
ウェハ12の周辺部分からライフタイムの劣化が進行す
る。
【0046】実験3.次に、劣化したライフタイムが熱
処理により回復するか否かを確認するために行った実験
について説明する。図10(A)乃至図10(C)は、
処理前ウェハを対象として少数キャリアのライフタイム
を測定した結果を示す。また、図10(D)乃至図10
(F)は、その処理前ウェハを条件B-01で熱処理した
後にライフタイムを測定した結果を示す。更に、図10
(G)乃至図10(I)は、条件B-01で処理された処
理済みウェハを条件A-09で再び熱処理した後にライフ
タイムを測定した結果を示す。
【0047】今回の実験では、図10に示すように、条
件B-01による熱処理、すなわち、熱処理温度を700
℃から400℃に降温させる条件による熱処理が行われ
ることにより少数キャリアのライフタイム(平均値)は
606μsecから26,29μsecに劣化した。以下、こ
のように劣化した後のライフタイムを「劣化後ライフタ
イム」と称す。
【0048】そして、今回の実験では、ライフタイムの
劣化した処理済みウェハに、条件A-09による熱処理、
すなわち、単一温度700℃での熱処理を施したとこ
ろ、少数キャリアのライフタイム(平均値)は、初期値
と同レベルである673.4μsecにまで回復した。ま
た、条件A-09による熱処理の後は、ライフタイムの平
面分布も、ほぼ初期の状態(処理前ウェハの状態)と同
じ分布に戻ることが確認された。
【0049】このように、少数キャリアのライフタイム
は、熱処理の実行に伴って一旦劣化しても、その後適正
な熱処理を再び行うことにより初期の値にまで回復させ
ることができる。以下、劣化後ライフタイムの回復を目
的として行われる熱処理を「回復用熱処理」と称し、ま
た、回復用熱処理を受けた処理済みウェハで測定される
ライフタイムを「回復後ライフタイム」と称す。
【0050】次に、回復用熱処理で用いられる温度と、
回復後ライフタイムとの関係を把握するための実験を行
った。図11は、複数の半導体ウェハについて、ライフ
タイムの初期値と、劣化後ライフタイムと、回復後ライ
フタイムとを対比して表した図を示す。図11におい
て、横軸に示される熱処理温度は、回復用熱処理で用い
られた温度である。すなわち、図11に示す回復後ライ
フタイムは、劣化後ライフタイムを、A-01〜A-03、A
-05、A-07〜A-09の何れかの条件を用いた回復用熱処
理(N2雰囲気)で回復させた後の値である。
【0051】図11に示すように、回復用熱処理で用い
られる温度が400℃または450℃である場合は、劣
化後ライフタイムと回復後ライフタイムとの間に殆ど差
は見られない。回復用熱処理で用いられる温度が500
℃を越えると、徐々に回復の効果が生じ始め、その温度
が600℃を越える条件では、回復後ライフタイムがラ
イフタイムの初期値と同等レベルにまで回復する。上記
の実験では、また、ライフタイムの回復は、半導体ウェ
ハ12の中心部付近から進行することが確認された。
【0052】実験4.半導体ウェハ12の小数キャリア
は、そのウェハのシリコン部分に発生する。また、少数
キャリアのライフタイムは、シリコン部分の内部に発生
するキャリア(以下、「内部キャリア」と称す)のライ
フタイムと、シリコン部分の表面に発生するキャリア
(以下、「表面キャリア」と称す)のライフタイムとに
よって決定される。以下、熱処理に伴うライフタイムの
劣化に対して、内部キャリアが与える寄与度、および表
面キャリアが与える寄与度を把握するために行った実験
について説明する。
【0053】図12は、複数の半導体ウェハについて、
ライフタイムの初期値と、熱処理後のライフタイムと、
酸化膜除去状態でのライフタイムとを対比して表した図
を示す。図12において、横軸に示される温度は熱処理
の条件(熱処理無し、または、A-01〜A-03、A-05、
A-07〜A-09、B-01、およびB-02の何れか)を表して
いる。また、「酸化膜除去状態でのライフタイム」は、
処理済みウェハの表面を覆っているシリコン酸化膜をB
HF処理で除去した直後に測定したライフタイムであ
る。
【0054】処理済みウェハの表面がシリコン酸化膜で
覆われている場合は、シリコン部分の表面(シリコン酸
化膜との界面)に、シリコンダングリングボンドが多数
存在している。それらのシリコンダングリングボンド
は、表面キャリアを捕獲して消滅させる。このため、表
面キャリアのライフタイムは、シリコン部分とシリコン
酸化膜との境界面の状態に大きく影響される。
【0055】換言すると、処理済みウェハの表面がシリ
コン酸化膜で覆われている場合は、シリコン部分とシリ
コン酸化膜との境界面の状態に応じて、表面キャリアの
ライフタイムが大きく変化する。従って、この場合は、
表面キャリアのライフタイムが、ライフタイムの平均値
に対して寄与度を有している。
【0056】処理済みウェハの表面を覆っていたシリコ
ン酸化膜がBHF処理により除去された直後は、露出し
たシリコン部分の表面がBHFで覆われている。この場
合、シリコン部分の表面に存在するダングリングボンド
が水素によって終端(terminate)されるため、試料間
でシリコン部分の表面状態が異なっていても、表面キャ
リアのライフタイムは全ての試料においてほぼ同じにな
ると考えられる。従って、このような状況下では、表面
キャリアのライフタイムがライフタイムの平均値に与え
る寄与度は極めて小さいと考えられる。つまり、酸化膜
除去状態でのライフタイムに対して、内部キャリアのラ
イフタイムが大きな寄与度を有すると考えられる。
【0057】図12に示すように、熱処理後(酸化膜除
去前)のライフタイム、すなわち、表面キャリアのライ
フタイムと内部キャリアのライフタイムとの双方から寄
与を受けるライフタイムには、熱処理条件の違いに応じ
た差違が生じている。一方、内部キャリアのライフタイ
ムだけが大きな寄与度を有する酸化膜除去状態でのライ
フタイムは、処理前ウェハを含む全てのウェハについて
ほぼ同じ値(150μsec〜250μsec)となってい
る。従って、熱処理に伴って生ずるライフタイムの差
は、表面キャリアのライフタイムの差、すなわち、シリ
コン部分とシリコン酸化膜との境界部分の状態の差に起
因していると考えられる。
【0058】実験5.次に、熱処理の過程で半導体ウェ
ハ12から脱離するガスの影響と、小数キャリアのライ
フタイムとの関係を把握するために行った実験について
説明する。図14は、膜厚100nmの酸化膜を有する半
導体ウェハを試料として行ったTDS(Thermal Desorp
tion Spectrometry)の結果を示す。TDSの試料は、
シリコンウェハの表面を、いわゆるパイロ酸化(Pyro酸
化)の手法で酸化させることにより、すなわち、シリコ
ンウェハの表面を、水素と酸素とを反応させて生成した
水蒸気で酸化させることにより作成した。この際、酸化
温度は900℃とした。
【0059】TDSは、電子科学社製のEMD-WA1000を用
いて、昇温レート1℃/secで試料を室温から1000
℃まで昇温させながら行った。また、本実験では、
2、NH、O、HO、H2O、およびN2をTDSの測
定元素とし、試料が昇温する過程で、それらの測定元素
に対応する脱離スペクトルの強度を測定した。
【0060】図13に示す脱離スペクトルには、400
℃付近に、H2の小さなスペクトルピークと、H2Oの顕
著なスペクトルピークとが認められる。ライフタイムの
劣化が水素の脱離に起因するものであれば、それらのピ
ークの前後でライフタイムに大きな差が生ずるはずであ
り、また、ライフタイムの回復には水素の存在が必要と
されるはずである。
【0061】実験2の結果(図8参照)が示すように、
小数キャリアのライフタイムには、熱処理の温度が40
0℃〜450℃程度である場合には劣化が生じない。ま
た、実験4の結果(図11参照)が示すように、劣化し
たライフタイムは、N2雰囲気中での熱処理(処理温度
600℃)が行われるだけで、ほぼ初期値に回復する。
従って、ライフタイムの劣化は、シリコン部分とシリコ
ン酸化膜との境界面からの水素脱離によるものではない
と考えられる。
【0062】ライフタイム劣化原因を説明するための仮
説.少数キャリアのライフタイムτは、内部キャリアの
ライフタイム(以下、「バルクライフタイムτb」と称
す)と、表面キャリアのライフタイム(以下、「表面ラ
イフタイムτs」と称す)とを用いて、次式のように表
すことができる。 1/τ=1/τb+1/τs
【0063】実験1の結果(図3および図7参照)よ
り、ライフタイムτの劣化にはサーマルドナーが影響し
ないことが確認されている。また、実験4の結果(図1
2参照)より、熱処理の実行に伴ってライフタイムτが
劣化している場合でも、バルクライフタイムτb(酸化
膜除去状態でのライフタイムに相当)には劣化が生じて
いないと考えられる。従って、ライフタイムτの劣化
は、シリコン部分とシリコン酸化膜との境界面(以下、
「Si/SiO2界面」と称す)においてキャリアが再結合に
より消滅するまでの時間、すなわち、表面ライフタイム
τsの変化に起因するものと考えられる。
【0064】Si/SiO2界面における表面ライフタイムτ
sに影響を及ぼす要因としては、その界面におけるシリ
コンと水素との結合状態、およびその界面におけるシリ
コンと酸素との結合状態が考えられる。実験5の結果
(図13参照)より、ライフタイムτの劣化は水素の影
響によるものではないことが確認されている。従って、
ライフタイムτが劣化する原因は、熱処理の実行に伴っ
てSi/SiO2界面においてシリコンと酸素との結合状態が
変化することと考えられる。
【0065】ライフタイムτの劣化がSi/SiO2界面にお
けるシリコンと酸素の結合状態の変化に起因していると
考えて、ライフタイムτの熱処理温度に対する依存性
(実験2:図8および図9参照)を、以下のモデルを用
いて定性的に説明する。
【0066】図14は、以下の説明に用いるモデルの概
念を表す状態遷移図を示す。図14に示すように、Si/S
iO2界面においてシリコンと酸素とが結合している状態
(以下、「状態A」と称す)の状態密度をnA、両者が
分離している状態(以下、「状態B」と称す)の状態密
度をnBとする。また、状態Aから状態Bに遷移する確
率、および状態Bから状態Aに遷移する確率を、それぞ
れ温度Tの関数としてP1(T)およびP2(T)とす
る。この場合、状態Bで生じる界面トラップ密度Itr
は、次式で与えられると考えられる。尚、次式において
T1およびT2は、熱処理の開始温度、および終了温度
である。
【0067】
【数1】
【0068】半導体ウェハ12の表面にシリコン酸化膜
が成膜された直後は、Si/SiO2界面に、シリコンと酸素
の良好な結合状態が形成されている。この場合、状態密
度n Aは状態密度をnBに比して高いので、Eq.1におけ
る被積分関数は正となり、界面トラップ密度Itrは熱処
理の実行に伴って増加する。従って、上記のモデルによ
れば、熱処理の実行に伴って小数キャリアのライフタイ
ムτが劣化する現象を説明することができる。
【0069】上記のモデルにおいて、単一温度の熱処理
に対するライフタイムτの温度依存性は、遷移確率P1
(T)の温度依存性に帰着される。上記のモデルは、遷
移確率P1(T)が550℃付近で極大値を持つ分布を
有していれば、実験2の結果(図8参照)と整合する。
また、熱処理温度が徐々に降温される場合は、界面トラ
ップ密度Itrに各温度での寄与が加えられ、その値は、
熱処理温度が単一である場合に比して大きくなる。従っ
て、上記のモデルによれば、条件B-01や条件B-02でラ
イフタイムが大きく劣化する現象も説明することができ
る。
【0070】処理温度を徐々に降温させる熱処理(条件
B-01による熱処理など)が半導体ウェハ12に施され
た後は、Si/SiO2界面でシリコンと酸素とが分離してお
り、シリコン部分の表面に形成されるシリコンダングリ
ングボンドが表面キャリアとの再結合中心として働いて
いると考えられる。この状態では、状態密度をnBは状
態密度nAに比して高いので、Eq.1における被積分関数
は負となり、界面トラップ密度Itrは熱処理の実行に伴
って減少する。従って、上記のモデルによれば、適正な
熱処理が行われることで劣化したライフタイムτが初期
値と同等の値に回復する現象を説明することができる。
このように、図14に示すモデルによれば、ライフタイ
ムの劣化に関係する種々の現象(実験結果)を適正に説
明することができる。
【0071】熱処理に伴うシリコンと酸素との乖離は、
熱処理温度の降温スピードが早くなるほど生じ難くなる
と考えられる。従って、熱処理の後に高い降温スピード
で温度が下げられるほど、少数キャリアのライフタイム
には劣化が生じ難いと考えられる。また、酸素雰囲気中
では、状態Aから状態Bへの遷移確率P1(T)に比し
て状態Bから状態Aへの遷移確率P2(T)が大きくな
る。従って、酸素が存在する雰囲気中ではシリコンと酸
素との乖離が生じ難くなり、ライフタイムの劣化が生じ
難くなると考えられる。
【0072】実験6.次に、上記の仮説の下に、ライフ
タイムの劣化を抑制するうえで好適な熱処理条件を決め
るために行った実験について説明する。本実験では、第
1乃至第3の試料を作成し、それらについて小数キャリ
アのライフタイムを測定した。
【0073】第1の試料は以下の手順で作成した。先
ず、半導体ウェハ12を反応管11の中で900℃の温
度で酸化する。次に、反応管11内部の雰囲気をN2と
し、反応管11とヒータ1との間にのみ冷却ガスを導い
て半導体ウェハ12を冷却する。冷却速度は平均で15
℃/minとし、反応管11の内部温度が400℃となる
まで冷却する。上記の手順で作成した第1の試料につい
てライフタイムを測定したところ、25μsecであっ
た。
【0074】第2の試料は以下の手順で作成した。先
ず、半導体ウェハ12を反応管11の中で900℃の温
度で酸化する。次に、反応管11内部を酸素雰囲気とし
たまま、反応管11とヒータ1との間にのみ冷却ガスを
導いて半導体ウェハ12を冷却する。冷却速度は平均で
15℃/minとし、反応管11の内部温度が400℃と
なるまで冷却する。上記の手順で作成した第2の試料に
ついてライフタイムを測定したところ、128.8μse
cであった。
【0075】第3の試料は以下の手順で作成した。先
ず、半導体ウェハ12を反応管11の中で900℃の温
度で酸化する。次に、反応管11内部を酸素雰囲気とし
たまま、反応管11とヒータ1との間に冷却ガスを導
き、かつ、反応管11の中にもN 2の冷却ガスを導入し
て半導体ウェハ12を冷却する。冷却速度は平均で15
℃/minとし、反応管11の内部温度が400℃となる
まで冷却する。上記の手順で作成した第3の試料につい
てライフタイムを測定したところ、818.9μsecで
あった。尚、試料3についての各種の測定を図15に示
す。
【0076】上記の実験において、冷却速度は、熱電対
16〜18によるモニタ値に基づいて制御されている。
熱電対16〜18のモニタ値は半導体ウェハ12自身の
温度ではないため、試料3の作成工程における半導体ウ
ェハ12の降温速度は、試料2の作成工程における半導
体ウェハ12の降温速度に比して高速であると考えられ
る。この結果より、ライフタイムを劣化させない降温速
度の下限値は、15℃/min付近であることが判る。更
に、ライフタイムの劣化を防止するうえでは、反応管1
1の内部に冷却ガスを導くことが重要であることが判
る。
【0077】本実施形態の熱処理装置は、上記の如く、
半導体ウェハ12に熱処理を施した後、ヒータ1と反応
管11との間、および反応管11の内部に冷却ガスを流
通させて半導体ウェハ12を直接的に冷却する。より具
体的には、半導体ウェハ12に酸化処理を施す場合に
は、上述した試料3の作成手順に従って半導体ウェハ1
2の冷却を行う。このため、本実施形態の熱処理装置に
よれば、小数キャリアのライフタイムを劣化させること
なく、半導体ウェハ12に適正な熱処理を施すことがで
きる。
【0078】ところで、上記の実施形態では、反応管1
1に導く冷却ガスがN2ガスに限定されているが、冷却
ガスはこれに限定されるものではなく、酸素や水蒸気、
或いはオゾンなども冷却ガスとして用いることができ
る。これらのガスを冷却ガスとすると、シリコンと酸素
との乖離を更に防止することが可能となり、小数キャリ
アのライフタイムを更に長期化すること、場合によって
は、1msec程度のライフタイムを確保することが可能と
なる。
【0079】
【発明の効果】この発明は以上説明したように構成され
ているので、以下に示すような効果を奏する。請求項1
記載の発明によれば、反応管の内部に冷却ガスを導いて
熱処理の施された半導体ウェハを直接的に冷却すること
ができる。このため、本発明によれば、半導体ウェハの
降温過程で少数キャリアのライフタイムに生ずる劣化の
程度を十分に小さく抑制することができる。
【0080】請求項2記載の発明によれば、半導体ウェ
ハの表面に酸素を豊富に供給しながら冷却工程を進める
ことができる。半導体ウェハの表面に酸素が豊富に存在
すると、シリコンと酸素との結合が乖離するのを効果的
に防止することができる。このため、本発明によれば、
少数キャリアのライフタイムが劣化するのを有効に防止
することができる。
【0081】請求項3記載の発明によれば、反応管の内
部に導かれた冷却ガスを、半導体ウェハに対して直接吹
き付けることができる。従って、本発明によれば、半導
体ウェハを効果的に冷却して、ライフタイムの劣化を十
分に抑制することができる。
【0082】請求項4記載の発明によれば、冷却ガス噴
出口の大きさ、および冷却ガス排出孔の大きさを、それ
らの場所に応じて変化させることにより、反応管の内部
を流れる冷却ガスの流量を均一化することができる。従
って、本発明によれば、反応管に収納される複数の半導
体ウェハを、均一に冷却することができる。
【0083】請求項5記載の発明によれば、シャワーヘ
ッドの大きさを、反応管の中心部から周縁部に向かって
大きくすることで、反応管の内部を流れる反応ガスの流
量を均一化することができる。従って、本発明によれ
ば、反応管に収納される複数の半導体ウェハに対して、
均一な熱処理を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の半導体ウェハ熱処理
装置の主要部を表す図である。
【図2】 本発明の実施の形態1の半導体ウェハ熱処理
装置が備える反応管の斜視図である。
【図3】 処理条件の異なる複数の半導体ウェハのシー
ト抵抗値を比較して表した図である。
【図4】 条件B-03で熱処理される前後で少数キャリ
アのライフタイムに関する測定を行った結果である。
【図5】 条件B-02で熱処理される前後で少数キャリ
アのライフタイムに関する測定を行った結果である。
【図6】 条件B-01で熱処理される前後で少数キャリ
アのライフタイムに関する測定を行った結果である。
【図7】 処理条件の異なる複数の半導体ウェハについ
て、少数キャリアのライフタイムを比較して表した図で
ある。
【図8】 単一温度の熱処理が施される前後で測定され
た少数キャリアのライフタイムを比較して表した図であ
る。
【図9】 単一温度の熱処理に対するライフタイムの処
理時間依存性を表した図である。
【図10】 ライフタイムの初期値、劣化後ライフタイ
ム、および回復後ライフタイムを比較して表した図であ
る。
【図11】 ライフタイムの回復に関する処理温度依存
性を表した図である。
【図12】 ライフタイムの初期値と、熱処理後のライ
フタイムと、シリコン酸化膜を除去した状態でのライフ
タイムとを比較して表した図である。
【図13】 シリコン酸化膜を備える半導体ウェハを対
象として行ったTDSの結果である。
【図14】 ライフタイムの劣化原因を説明するために
仮定したモデルの概念図である。
【図15】 本発明の実施の形態1の熱処理装置で処理
された半導体ウェハのライフタイムに関する測定結果で
ある。
【図16】 従来の熱処理装置が備える反応管の斜視図
である。
【図17】 従来の熱処理装置で処理された半導体ウェ
ハのライフタイムに関する測定結果である。
【符号の説明】
1 ヒータ 2 空気供給口 3 冷却ガス排出管 5 反応ガス排気口 6 冷却ガス導入管 7 反応ガス導入管 8 ウェハボート 11 反応管 13 冷却ガス噴出孔 14 シャワーヘッド 15 冷却ガス排出孔 16〜18 熱電対

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応管の中に反応ガスを導いて半導体ウ
    ェハに熱処理を施す熱処理装置であって、 反応管の内部に保持されている半導体ウェハに冷却ガス
    を吹き付けるための冷却ガス導入管と、 反応管の内部に導かれた冷却ガスを排気するために、前
    記冷却ガス導入管と対向する位置に設けられる冷却ガス
    排出管と、 を備えることを特徴とする半導体ウェハ熱処理装置。
  2. 【請求項2】 前記冷却ガスとして、酸素、オゾン、お
    よび水蒸気の少なくとも1つを含むガスを用いることを
    特徴とする請求項1記載の半導体ウェハ熱処理装置。
  3. 【請求項3】 前記反応管の内部には、その長手方向
    に、所定間隔毎に複数の半導体ウェハが保持され、 前記冷却ガス導入管は、前記反応管の長手方向に伸びる
    ガス噴出部を備え、 前記ガス噴出部は、前記複数のウェハのそれぞれと対応
    する位置に冷却ガス噴出孔を備え、 前記冷却ガス排出管は、前記反応管の長手方向に伸びる
    ガス排出部を備え、 前記ガス排出部は、前記複数のウェハのそれぞれと対応
    する位置に冷却ガス排出孔を備えることを特徴とする請
    求項1または2記載の半導体ウェハ熱処理装置。
  4. 【請求項4】 前記冷却ガス噴出孔は、冷却ガスの供給
    源に近い側から遠い側に向けて徐々に大きくなるように
    設けられており、 前記冷却ガス排出孔は、冷却ガスの排気口に近い側から
    遠い側に向けて徐々に大きくなるように設けられている
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の半
    導体ウェハ熱処理装置。
  5. 【請求項5】 前記反応管の一端から、その内部に前記
    反応ガスを導入する反応ガス導入管と、 前記反応ガス導入管のガス噴出孔と前記反応管の内部空
    間との間に介在するシャワーヘッドと、 前記シャワーヘッドの全面に形成されたシャワーヘッド
    孔とを備え、 前記シャワーヘッド孔は、前記反応管の中心部から周縁
    部に向かって徐々に大きくなるように形成されているこ
    とを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の半導
    体ウェハ熱処理装置。
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