JP2001173762A - ドライブユニットの潤滑装置 - Google Patents

ドライブユニットの潤滑装置

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JP2001173762A
JP2001173762A JP2000201153A JP2000201153A JP2001173762A JP 2001173762 A JP2001173762 A JP 2001173762A JP 2000201153 A JP2000201153 A JP 2000201153A JP 2000201153 A JP2000201153 A JP 2000201153A JP 2001173762 A JP2001173762 A JP 2001173762A
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oil reservoir
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Ryuta Horie
竜太 堀江
Toshihisa Yoshida
寿久 吉田
Satoru Tanaka
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    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
    • F16H57/04Features relating to lubrication or cooling or heating
    • F16H57/042Guidance of lubricant
    • F16H57/0421Guidance of lubricant on or within the casing, e.g. shields or baffles for collecting lubricant, tubes, pipes, grooves, channels or the like

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オイルレベルを上げることなく、低速回転時
における少ないオイルの掻き上げ量に対しても、オイル
を充分に且つ素早く潤滑必要箇所に供給する。 【解決手段】 車輌の走行開始時にあっては、オイル溜
りBは、L2のオイルレベルにある。この状態で、電気
モータのロータが回転して始動すると、ロータ積層板1
5a、外周側鍔部19b等により、オイルが掻き上げら
れる。掻き上げられたオイルの一部は、滴下用リブ46
に当てられて滴下し、導入用リブ42に案内されて開口
41aからオイルリザーバ部Dに導入され、シャフト2
0に形成された潤滑孔43から必要潤滑箇所に供給され
る。この際、滴下用リブ46、回転位置センサの検出部
21aによる集中的なガイド用リブ42への滴下、及び
低い高さhのガイド用リブ42による効率のよいオイル
の収集、更に比較的小さい容量のオイルリザーバ部Dに
よる素早い潤滑孔43への供給等が相俟って、効率良く
充分なオイルを各歯面等の潤滑必要箇所に供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドライブユニット
の潤滑装置に係り、特にインホイールタイプのドライブ
ユニットに用いて好適な潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、電気モータを有するドライブユニ
ットを駆動輪の中に収めた、インホイールタイプの電気
自動車が提案されており、該インホイールタイプのドラ
イブユニットは、車体内にドライブユニットのための空
間を確保する必要がなく、車内有効スペースが増えるこ
と、及びディファレンシャル装置等の伝動系による効率
低下や重量増がない利点を有する反面、ドライブユニッ
トを、駆動車輪内に収めるための小型化及び単純化が要
求される。
【0003】反面、電気モータの冷却や、更に該モータ
を小型化すべく減速機構を用いる場合にはギヤやベアリ
ング等の潤滑も必要となってくるため、これら潤滑・冷
却を効率良く行なうように内部にオイルを備えたドライ
ブユニットが提案されている。
【0004】ここで、オイル引き摺りによるロス低減の
ためオイルポンプ等の装置を用いたり、ドライブユニッ
ト内の回転部材の回転を利用して、ドライブユニット内
に溜められたオイルを掻き上げて、必要箇所を潤滑する
方式等が考えられるが、上記インホイールタイプに要求
される小型化、単純化や低コスト性を考慮すると、後者
の方式が好ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記ドライブユニット
の潤滑装置は、低速回転においてもオイル掻き上げ量を
確保して確実に潤滑するためにオイルレベルを上げて調
整しているが、反面、高(中)速回転時には、上記高い
オイルレベルに起因して必要以上にオイルを掻き上げる
ことになり、オイルの撹拌ロスが増加して、ドライブユ
ニットの効率を低下してしまう。
【0006】そこで、本発明は、オイルレベルを上げる
ことなく、低速回転時における少ないオイルの掻き上げ
量に対しても、オイルを充分に且つ素早く潤滑必要箇所
に供給することのできる、ドライブユニットの潤滑装置
を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明
は、回転部材(15)及び該回転部材に連結されるシャ
フト(20)をケース(3)に収納し、該ケースの下方
に設けられたオイル溜り(B)のオイルを前記回転部材
にて掻き上げて潤滑してなる、ドライブユニットの潤滑
装置において、前記ケースの一側面(3b)に、前記シ
ャフト(20)の一端を包囲するボス(41)を形成
し、該ボス及び前記シャフトにて囲まれる前記ケース側
空部にて、上方に開口(41a)を有するオイルリザー
バ部(D)を形成し、該オイルリザーバ部を、潤滑必要
箇所に連通することを特徴とする、ドライブユニットの
潤滑装置にある。
【0008】請求項2に係る本発明は、前記ケース(3
b)は、前記ボスの開口(41a)から左右方向に拡が
るガイド用リブ(42)を有する、請求項1記載のドラ
イブユニットの潤滑装置にある。
【0009】請求項3に係る本発明は、前記ガイド用リ
ブ(42)は、所定勾配に設定される、請求項2記載の
ドライブユニットの潤滑装置にある。
【0010】請求項4に係る本発明は、前記ケース(3
b)は、その外径側の上部に内方に向けて放射状に形成
された滴下用リブ(46)を有する、請求項1ないし3
のいずれか記載のドライブユニットの潤滑装置にある。
【0011】請求項5に係る本発明は、前記ガイド用リ
ブ(42)及び/または前記滴下用リブ(46)は、左
右対称に形成される、請求項2ないし4のいずれか記載
のドライブユニットの潤滑装置にある。
【0012】請求項6に係る本発明は、前記シャフト
(20)は、ベアリング(22)を介して前記ボス(4
1)に支持されると共に、その軸方向に潤滑孔(43)
を有し、前記オイルリザーバ部(D)のオイルは、該ベ
アリング及び潤滑孔に供給されるものであって、前記ケ
ース(3b)には、前記オイルリザーバ部(D)の下方
側に位置して該ベアリングのインナーレース外径に沿っ
た小径部(54)と、前記開口(41a)を有すると共
に前記オイルリザーバ部の上方側に位置して該ベアリン
グのアウターレース内径に沿った大径部(55)と、該
小径部と大径部とを繋ぐ繋部(56)とが形成される、
請求項1ないし5のいずれか記載のドライブユニットの
潤滑装置にある。
【0013】請求項7に係る本発明は、前記ベアリング
(22)は、前記オイルリザーバ部(D)に面する側と
は反対面側に堰き止め部材(62)を有する、請求項6
記載のドライブユニットの潤滑装置にある。
【0014】請求項8に係る本発明は、前記ケース(3
b)は、その下方がテーパ形状とされる、請求項1ない
し7のいずれか記載のドライブユニットの潤滑装置にあ
る。
【0015】請求項9に係る本発明は、前記ドライブユ
ニット(11 ,12 )は、ケース(3)内に電気モータ
(5)及びプラネタリギヤユニット(6)を収納し、か
つ駆動車輪の内方に配置されるインホイールタイプであ
って、前記電気モータのロータ(15)の回転にて前記
オイル溜り(B)のオイルを掻き上げてなる、請求項1
ないし8のいずれか記載のドライブユニットの潤滑装置
にある。
【0016】[作用]上記構成に基づき、車輌の走行開
始時にあっては、オイル溜り(B)は、例えばL2(図
2、図3参照)のオイルレベルとなっている。この状態
で、回転部材、例えば電気モータ(5)のロータ(1
5)が回転して始動すると、該回転部材(15)によ
り、オイルが掻き上げられる。
【0017】上記回転部材にて掻き上げられたオイルの
一部は、飛散されて開口(41a)からオイルリザーバ
部(D)に導入され、該オイルリザーバ部(D)のオイ
ルが必要潤滑箇所に供給される。この際、各箇所は、大
きい駆動トルクに伴う充分な潤滑が必要であるが、低回
転時の少ないオイルの掻き上げ量に拘らず、集中的なオ
イルリザーバ部(D)へのオイルの収集、及び比較的小
さい容量のオイルリザーバ部(D)による素早い潤滑必
要箇所への供給等が相俟って、効率よく充分な潤滑を行
う。
【0018】なお、上記カッコ内の符号は図面と対照す
るためのものであるが、便宜的なものであって、特許請
求の範囲の構成に何等影響を与えるものではない。
【0019】
【発明の効果】請求項1に係る本発明によると、回転部
材の回転開始直後の低回転状態にあっては、該低回転時
の少ないオイルの掻き上げ量に拘らず、集中的なオイル
リザーバ部へのオイルの収集、及び比較的小さい容量の
オイルリザーバ部による素早い潤滑必要箇所への供給等
が相俟って、効率よく充分な潤滑を行うことができる。
更に、オイルリザーバ部は、ケースの一側に形成され
る、シャフトの一端を包囲するボス及びシャフトからな
るので、簡単な構成からなると共に、該オイルリザーバ
部用の特別なスペースが不用であり、ドライブユニット
をコンパクトに維持することができる。
【0020】請求項2に係る本発明によると、回転部材
で掻き上げられて飛散されたオイルをケースに当てて、
左右に拡がるガイド用リブに滴下し、該ガイド用リブに
案内されてボスの開口に導くことができるので、素早く
オイルをオイルリザーバ部に導入して溜めることがで
き、短時間にて必要潤滑箇所に供給することができる。
また、ガイド用リブが、開口から拡がるべく左右に設け
られるため、回転部材の回転が正逆に切換えられた場
合、あるいはドライブユニットが左右の車輪の駆動にそ
れぞれ独立に用いられて回転部材の回転方向が互いに異
なる場合でも、オイルを開口に導入できる。
【0021】請求項3に係る本発明によると、登降坂時
に車体が傾斜してもオイルを開口に導くことができる。
【0022】請求項4に係る本発明によると、ケースの
外径側上部で内方に向けて放射状に形成されるリブに、
回転部材で掻き上げられて飛散されたオイルを当てて、
集中的に滴下することができるので、例えば、該リブを
ボスの開口真上に形成すると直接オイルリザーバ内に滴
下でき、また、左右に拡がるガイド用リブ上に形成すれ
ば、該ガイド用リブに滴下し、該ガイド用リブに案内さ
れてボスの開口に導くことができるので、より素早くオ
イルをオイルリザーバ部に導入して溜めることができ、
極短時間にて必要潤滑箇所に供給することができる。
【0023】請求項5に係る本発明によると、回転部材
の回転が正逆に切換えられた場合、あるいはドライブユ
ニットが左右の車輪の駆動にそれぞれ独立に用いられて
回転部材の回転方向が互いに異なる場合でも、開口に導
入するオイルの量を同じにすることができる。
【0024】請求項6に係る本発明によると、繋部の高
さを上下させることによって、オイルリザーバ部におけ
る、ベアリングを潤滑するオイルと潤滑孔に供給される
オイルとの流量配分の調整を可能とすることができる。
また、小径部がベアリングのインナーレース外径に沿っ
て形成されるので、ベアリング下方において、オイルリ
ザーバ部のオイルがベアリングから逃げるのを防止する
ことができる。更に、オイルリザーバ部の容量を比較的
小さくできるので、より素早くベアリングや潤滑孔にオ
イルを導入することができる。
【0025】請求項7に係る本発明によると、堰き止め
部材によりベアリングを潤滑したオイルがベアリングか
ら逃げるのを防止して、ベアリング内をも2次的なオイ
ルリザーバとすることができ、ベアリング内に溜められ
たオイルがベアリングの潤滑と共にそのインナーレース
あるいはアウターレースの回転により攪拌され、再度オ
イルリザーバ部に戻って潤滑孔に導かれるので、オイル
リザーバ部に溜めたオイルを無駄なく潤滑として活用す
ることができる。
【0026】請求項8に係る本発明によると、回転部材
の端面とケース壁面との隙間を少なくして、オイルを連
れまわし易い構造とすることができる。
【0027】請求項9に係る本発明によると、インホイ
ールタイプのドライブユニットに適用して、コンパクト
で単純な構成を保持すると共に、潤滑性能を維持しつ
つ、オイル攪拌ロスを低減して伝達効率を向上すること
ができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面に沿って、本発明の実
施の形態について説明する。図1ないし図4は、ゴルフ
カート用電気自動車に用いて好適なインホイールタイプ
のドライブユニットを示す図であり、図1に示すよう
に、ドライブユニット11は、駆動車輪2のホイールリ
ム2a内に収められている。
【0029】該ドライブユニット11は、2つ割ケース
3a,3bからなる一体ケース3内に収納された電気モ
ータ(電気回転手段)5及びプラネタリギヤユニット6
を有しており、上記一体ケース3は、懸架装置7を介し
て車体9に懸架されている。また、外側ケース3aには
出力軸10がベアリング11を介して回転自在に支持さ
れてケース外に突出しており、該出力軸10にホイール
リム2a固定用のハブ12がスプライン係合してナット
14により抜止め・固定されている。
【0030】上記電気モータ5は、図2に詳示するよう
に、ブラシレスDCモータからなり、内側ケース3bに
固定されているステータ13と、該ステータ13と微小
間隔を存して回転自在に支持されているロータ15とを
有している。なお、該電気モータ(電気回転手段)5
は、モータとして回転力を出力すると共に、回生ブレー
キとしても機能し、上記ブラシレスDCモータに限ら
ず、他の同期式又は誘導式の交流モータ、更には直流モ
ータでもよい。更に、内側ケース3bには多穴形シール
コネクタ16のための開口17が穿設されており、車体
内のコントローラ及びバッテリと電気的(電力的及び信
号的)に連通している。前記ロータ15は、希土類磁石
等の永久磁石を埋込んだ積層板15a…を支持するハブ
19を有しており、該ハブは、その内側端にフランジ部
19aを有している。
【0031】該フランジ部19aはシャフト20に固定
されており、該シャフトは、その両端部にてそれぞれベ
アリング21,22を介して前記出力軸10及び内側ケ
ース3bに支持されている。また、ハブ19には内側方
向に突出して環状の凹溝を形成する2条の鍔部19b,
19bが一体に設けられており、これら鍔部の間には前
記内側ケース3bの外方から回転位置センサ21の検出
部21aが嵌挿されて、ロータの回転位置を検出してい
る。なお、該回転位置センサ21は、ホール素子からな
るものが好ましいが、シャフトエンコーダ等の光電式、
磁気式回転センサ、レゾルバ等の他の回転変位センサで
もよい。
【0032】一方、前記フランジ部19aの外側(図面
左側)におけるハブ19内には前記プラネタリギヤユニ
ット6が収納されている。該ギヤユニット6は、軸方向
に並べられた2個のシンプルプラネタリギヤ6a,6b
からなり、内側プラネタリギヤ6bのキャリヤCR1が
外側プラネタリギヤ6aのサンギヤS2に連結している
と共に、リングギヤR1,R2が一体に構成されてい
る。また、内側サンギヤS1は前記シャフト20に一体
に形成されて、入力部材を構成しており、外側サンギヤ
S2はシャフト20にニードルベアリング23を介して
回転自在に支持されており、そして外側キャリヤCR2
が前記出力軸10に一体に構成されている。なお、各キ
ャリヤCR1,CR2はそれぞれニードルベアリング2
4,25を介して複数のピニオンP1,P2を回転自在
に支持しており、また図中26はスラストベアリングで
ある。
【0033】そして、前記リングギヤR1,R2は、ド
ラム状部材27の内周面に形成された歯数の異なる内歯
ギヤからなり、該ドラム状部材27の外側外周面にはス
プライン27aが形成されている。また、外側ケース3
aの内面には、図3に詳示するように、ロータ15の中
心軸を中心とした所定半径上において環状に軸方向内方
に突出する鍔部29が一体に形成されており、該鍔部2
9には蓋板となる環状の円板30がボルト31(図2)
により固定されている。該円板30の内周面にはスプラ
イン30aが形成されており、該スプラインが前記ドラ
ム状部材27のスプライン27aに係合してスナップリ
ング28により抜止めされて、ドラム状部材27従って
リングギヤR1,R2がケース3aに一体に(回転不能
に)支持されている。なお、図中33は、外側ケース3
aの前記出力軸用ボス部、35は、該ボス部と前記鍔部
29のボルト孔部29aを連結するリブである。
【0034】上記ドラム状部材27固定用の環状円板3
0が、前記環状の鍔部29の先端に密接して固定される
ことにより、該円板30、外側ケース3a及びその環状
鍔部29の間で環状の空部Cが形成され、その底部分、
即ちドラム状部材27の内周面より下方部分が、オイル
を溜め得るオイルリザーバ室Aとなる。また、上記環状
の鍔部29と外側ケース3aの外周部分の間に多数のリ
ブ36…が放射状に形成されており、これらリブの内の
最上方のリブ36aの両側のリブ36b,36cが掻き
上げたオイルを導くオイルガイドを構成している。更
に、前記環状の鍔部29における上記リブ36b,36
cに接続する部分が一部切欠かれて開口37a,37b
を形成しており、これにより上記オイルガイドとなるリ
ブ36b,36cに導かれたオイルが上記開口37a,
37bから前記空部Cに導入され、前記オイルを一時的
に溜めるリサーバ室Aに溜められる。
【0035】更に、前記環状の鍔部29の最下部分に幅
狭の切溝(小開口)39が形成されており、該切溝39
は、上記オイルリザーバ室Aに溜められたオイルを所定
量ずつ絞って排出する排出路を構成している。一方、一
体ケース3の下部はオイル溜りBが形成されており、該
オイル溜りBは下方が小面積となるテーパ形状、特に内
側ケース3bがテーパ部40となっており、ロータ15
の端面とケース壁面との隙間を少なくして、オイルを連
れまわし易い構造となっている。そして、該オイル溜り
Bのオイルレベルは、前記オイルリザーバ室Aに溜めら
れるオイル量により変化し、例えばロータ15の外周面
が僅かに浸る位置L1と、ハブ19の外周側環状鍔部1
9bが浸る位置L2 等の間で変化し得る。
【0036】一方、内側ケース3bの内面側は、図4に
示すように、その中心部分に前記シャフト20の一端
(図面右側)を包囲するべく該シャフトを支持するベア
リング22用のボス41が形成されており、該ボス41
はその上部が一部切欠かれてオイル導入用の開口41a
が形成されている。また、該開口41aから左右方向に
拡がるようにオイルガイド用のリブ42,42が形成さ
れており、これらリブは、シャフト中心Oを通る水平線
l−lからリブ先端までの高さhができるだけ低くなる
ように、かつ登降坂時に車体が傾斜してもオイルが開口
41aに導かれるように、該水平線l−lに対して鋭角
となるような所定勾配aに設定されていると共に、ロー
タの回転が正逆に切換えられた場合、あるいはインホイ
ールタイプであるが故にロータの回転方向が左右の車輪
で互いに異なる場合でも、同じ量のオイルを導入できる
ように、左右対称に形成されている。更に、2条の鍔部
19b,19bが、オイルガイド用のリブ42,42に
当たらないように、これらリブの左右先端側には、根元
側に比べて高さを一段低くした段差42a,42aが設
けられている。また、前記ボス41内は、前記シャフト
20の端面との間でオイルリザーバ部Dとなっている
が、該オイルリザーバ部はシャフト20に形成される潤
滑孔43に素早くオイルを導入するため、比較的小さく
形成されていると共に、その下方はベアリング22から
オイルが逃げないように、ケース壁がベアリングのイン
ナレースに近接した構造となっている。具体的には、ケ
ース壁は、オイルリザーバ部Dの下方側に位置してベア
リング22のインナーレース外径に沿って形成された小
径部54と、オイルリザーバ部Dの上方側に位置して、
その最上部に開口41aを有すると共に、ベアリング2
2のアウターレース内径に沿って形成された大径部55
と、該小径部54と大径部55とを繋ぐ繋部56とから
構成されており、該繋部56と潤滑孔43の最下点と
が、ほぼ同じ高さに設定されている。
【0037】更に、内側ケース3bにおける外径部分に
て、前記電気モータのステータ13を収納すべく幅狭に
なっている部分45の上方部分には、ガイド用リブ4
2,42の水平方向における左右先端範囲内の所定間隔
で2本の滴下用リブ46,46が内方(斜め下方)に向
けて放射状に左右対称に形成されており、これらリブ
は、ロータの正転時及び逆転時において、該ロータに連
れ回されたオイルを当てて、前記ガイド用リブ42に滴
下する。同様に、前記ケース3bの扇状の貫通孔47を
通って内部に突出している回転位置センサ21の検出部
21aも、上記ロータに連れ回されたオイルを当てて、
前記ガイド用リブ42に滴下する。ここで、幅狭になっ
ている部分45の最上方部分に単一の滴下用リブを内方
(下方)に向けて形成し、ロータに連れ回されたオイル
を当てて、前記開口41aに直接、滴下することも可能
であるが、オイルが該最上方部分にまで到達しない場合
を考慮して、該最上方部分よりも若干、下がった位置に
て、該滴下用リブ46,46を形成している。なお、図
中49は、上記回転位置センサ21固定用ボルト50の
ためのボルト孔部である。また、上記開口41a、リブ
42,46は、切削等の機械加工によらず、すべてケー
ス3bを金型による鋳造加工により形成されており、ケ
ース3a,3bに油孔、油溝の加工をせずに、コストダ
ウンを図っている。
【0038】一方、シャフト20には軸方向中心部を貫
通する前記潤滑孔43の外に、該潤滑孔から所定必要箇
所に向って貫通する放射状の油孔43a…が多数形成さ
れており、またピニオンP2を支持する軸51にも潤滑
孔52が形成されている。
【0039】ついで、上述した実施例の作用について説
明する。運転者のアクセルペダルの踏込みに基づき、コ
ントローラからの信号により電気モータのロータ15が
回転する。該ロータ15の回転は、ハブ19及びシャフ
ト20を介して内側サンギヤS1に伝達され、内側リン
グギヤR1が固定されていることにより、内側キャリヤ
CR1が減速して同方向に回転する。更に、該内側キャ
リヤCR1は外側サンギヤS2を一体に回転し、外側リ
ングギヤR2が固定されていることにより、同様に外側
キャリヤCR2が減速して回転し、出力軸10に伝達さ
れる。即ち、上記ロータ15の回転は、内側プラネタリ
ギヤ6b及び外側プラネタリギヤ6aの2段にて減速さ
れて出力軸10に伝達され、駆動車輪2を走行駆動す
る。
【0040】これにより、ゴルフコース等の起伏の多い
道であっても、上記2段減速による大きなトルクによ
り、かつ運転者のアクセルペダル踏量に基づき、電気モ
ータ5は、始動時の低速回転から、中速、高速回転まで
制御されて、ゴルフカートは所望速度で走行する。ま
た、操縦者のブレーキ操作により、電気モータ5は回生
ブレーキとして機能すると共に、図示しない摩擦ブレー
キの作用により、カートは停止する。
【0041】そして、上記カートの始動時にあっては、
停止中にオイルリザーバ室A内のオイルは小開口39か
ら絞られた状態で滴下して、略々空状態にあり、ケース
3下部のオイル溜りBは、例えばレベルL2に示すよう
なオイルレベルにある。この状態で、電気モータのロー
タ15が回転すると、ロータ積層板15a、外周側鍔部
19b等により、オイルが掻き上げられる。
【0042】該掻き上げられたオイルの右方に飛散され
たオイルは、内ケース3bの滴下用リブ46又は回転位
置センサの検出部21aの端面に当てられて、オイルガ
イド用リブ42上に滴下する。そして、該ガイド用リブ
42に案内されて開口41aからボス41にて形成され
るオイルリザーバ部Dに導かれ、更にその一部がベアリ
ング22を潤滑すると共に、該オイルリザーバ部Dのオ
イルの残りは潤滑孔43から各油孔43a…を通って、
ベアリング21,26,23、そしてプラネタリギヤユ
ニット6の各歯面に供給される。この際、各ギヤ等は、
大きい駆動トルクに伴う充分な潤滑が必要であるが、低
回転時の少ないオイルの掻き上げ量に拘らず、上記滴下
用リブ46、回転位置センサの検出部21aによる集中
的なガイド用リブ42への滴下、及び低い高さhのガイ
ド用リブ42による効率のよいオイルの収集、更に比較
的小さい容量のオイルリザーバ部Dによる素早い潤滑孔
43への供給等が相俟って、効率よく充分なオイルをベ
アリングや各歯面等の潤滑必要箇所に供給する。ところ
で、繋部56の高さを上下させることによって、オイル
リザーバ部Dにおける、ベアリング22を潤滑するオイ
ルと潤滑孔43に供給されるオイルとの流量配分の調整
を可能にすることができる。具体的に、繋部56の高さ
を低くするにしたがって、ベアリング22を潤滑するオ
イルの流量を増加させることが可能になる。前述したよ
うに、本実施例では、繋部56と潤滑孔43の最下点と
をほぼ同じ高さとすることによって、オイルリザーバ部
D内のオイルがベアリング22と潤滑孔43に同時に導
かれるようにしている。
【0043】一方、上記掻き上げられたオイルの左方に
飛散されたオイルは、外側ケース3aのリブ36b又は
36cにガイドされて、開口37a又は37bから環状
鍔部29内の空部Cに導入される。そして、その一部は
ボス33等に沿って出力軸10用ベアリング11を潤滑
し、また油孔52からピニオン軸51のベアリング23
等を潤滑すると共に、その大部分は空部下方のオイルリ
ザーバ室Aに溜められる。該オイルリザーバ室A内のオ
イルは、一般に、排出路である小開口39から排出され
る量より上述した供給される量の方が多く、その量を増
加する。この際、前記リブ36b,36cにガイドされ
て、比較的大量のオイルがオイルリザーバ室Aに導入さ
れるので、該リザーバ室Aのオイル量は、比較的短時間
で増加する。
【0044】従って、上記電気モータロータ15の低速
回転による始動時から、ロータの回転が中速、そして高
速になる所定時間に伴い、オイルリザーバ室Aのオイル
量は増加し、これに伴い、メインのオイル溜りBのオイ
ルレベルは、例えばレベルL 1に示すように低下する。
この状態では、上述したようにロータ15が中速そして
高速回転しているが、上記オイルレベルの低下によりオ
イルの撹拌ロスが少なく、かつ高いロータ回転数により
必要な量のオイルが掻き上げられ、上述したように、モ
ータ5を冷却すると共に各潤滑必要箇所を充分に潤滑す
る。更に、オイルリザーバ室Aからオーバフローしたオ
イルは、ドラム状部材27の内周面を通って、両リング
ギヤR2,R1に導かれ、ピニオンP2,P1の噛合に
伴い各歯面を潤滑する。
【0045】そして、ブレーキが踏まれて、カートが停
止すると、この状態では電気モータ5も停止してロータ
によるオイルの掻き上げも停止されるので、オイルリザ
ーバ室Aへのオイル供給も中止される。従って、オイル
リザーバ室Aのオイルは、排出路39から徐々に排出さ
れることによりその量を減少し、これに伴いメインのオ
イル溜りBのオイルレベルが上昇する。カートの所定時
間の停止時により、オイルリザーバ室A内のオイルは空
になり、その分オイル溜りBのオイルレベルが例えばレ
ベルL2に上昇して、上述した始動回転に備える。
【0046】ついで、図5に沿って、一部変更した実施
例について説明する。本実施例は、宅配用等の小型の4
輪電気自動車に適用して好適なドライブユニット12
あり、プラネタリギヤユニットが1段である点を除き、
基本的に前述した実施例と同様であるので、該同様な部
分は、同一符号を付して説明を省略する。
【0047】プラネタリギヤユニット61 は1個のシン
プルプラネタリギヤ6aからなり、サンギヤS1がロー
タハブ19に連結されているシャフト20に形成され、
リングギヤR1がケース3に固定されているドラム状部
材27に形成され、キャリヤCR1が出力軸10に連結
されている。従って、電気モータロータ15の回転は、
サンギヤS1から減速されてキャリヤCR1に伝達さ
れ、該1段減速による回転が出力軸10、そして駆動車
輪2に伝達される。
【0048】内側ケース3bには、前述実施例と同様
に、シャフト20の一端を包囲し、上部に開口41aを
有するボス41が形成されており、該ボス41にシャフ
ト20が支持されている。そして、上記ボス41及びシ
ャフト20により形成される空部がオイルリザーバ部D
となっている。
【0049】従って、前記実施例と同様に、停止状態か
らの始動・低速時にあっては、オイル溜りBからの少な
いオイルの掻き上げ量に拘らず、集中的なオイルリザー
バ部Dへのオイルの収集、及び比較的小さい容量のオイ
ルリザーバ部Dによる素早い潤滑必要箇所への供給等が
相俟って、効率よく充分な潤滑を行う。
【0050】図6は、更に一部変更した実施例によるド
ライブユニット13の部分拡大図で、ベアリング22に
堰き止め部材62を付加したものである。即ち、ベアリ
ング22のオイルリザーバ部Dに面する側とは反対面側
に、断面を所定形状とされた堰き止め部材としてのリン
グ状金属板62がベアリング22のインナーレースとア
ウターレースとの間を塞ぐようにインナーレースと極小
の隙間を持ってアウターレースに固定されている。
【0051】従って、本実施例も、先の実施例と同様
に、停止状態からの始動・低速時における、集中的なオ
イルリザーバ部Dへのオイルの収集や比較的小さい容量
のオイルリザーバ部Dによる素早い潤滑必要箇所への供
給等により、効率よく充分な潤滑を行う他、更に、オイ
ルリザーバ部Dからベアリング22に供給されるオイル
が、ベアリングを潤滑すると共に堰き止め部材によって
ベアリングから逃げるのを防止され、ベアリング内をも
2次的なオイルリザーバとすることができる。従って、
ベアリング内に溜められたオイルはそのインナーレース
の回転により攪拌されることで、再度オイルリザーバ部
に戻って潤滑孔に導かれるため、オイルリザーバ部に溜
めたオイルを無駄なく潤滑として活用することができ
る。
【0052】なお、上述実施例は、4輪のすべてに又は
その内の2輪(後輪又は前輪)に配置したインホイール
タイプのドライブユニットについて説明したが、これに
限らず、車体側に配置したドライブユニットにも同様に
適用できることは勿論である。また、電気モータ、エン
ジン等の原動機をケース外部に設け、ケース内にギヤ等
の回転部材を収納したドライブユニットにも適用可能で
ある。また、上述した実施例では、オイルを掻き上げる
ことのみによる潤滑・冷却について説明したが、これ
は、オイル掻き上げと共に、補助的にオイルポンプを用
いてベアリング等を潤滑するものにも同様に適用可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るドライブユニットを示す
正面断面図。
【図2】その拡大した断面図。
【図3】その一方のケース(外側ケース)を示す側面
図。
【図4】その他方のケース(内側ケース)を示す側面
図。
【図5】他の実施例に係るドライブユニットを示す正面
断面図。
【図6】更に変更した実施例に係るドライブユニットの
部分拡大を示す正面断面図。
【符号の説明】
1 ,12 ,13 ドライブユニット 2 駆動車輪 3,3a,3b ケース(一体ケース、外側ケー
ス、内側ケース) 5 電気モータ 6,61 プラネタリギヤユニット 6a,6b プラネタリギヤ 13 ステータ 15 ロータ 21,22,23,26 ベアリング 41 ボス 41a 開口 42 オイルガイド用のリブ 43 潤滑孔 46 滴下用リブ 54 小径部 55 大径部 56 繋部 62 堰き止め部材 B オイル溜り D オイルリザーバ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16N 7/26 F16N 7/26 (72)発明者 吉田 寿久 愛知県安城市藤井町丸山60番地 株式会社 エィ・ダブリュ・エンジニアリング内 (72)発明者 田中 悟 東京都千代田区外神田2丁目19番12号 株 式会社エクォス・リサーチ内 Fターム(参考) 3D035 DA03 3J063 AA04 AB12 AC06 BA11 CA01 CD41 CD65 XD03 XD16 XD32 XD43 XD47 XE15 XF02 XF05 XF12

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転部材及び該回転部材に連結されるシ
    ャフトをケースに収納し、該ケースの下方に設けられた
    オイル溜りのオイルを前記回転部材にて掻き上げて潤滑
    してなる、ドライブユニットの潤滑装置において、 前記ケースの一側面に、前記シャフトの一端を包囲する
    ボスを形成し、該ボス及び前記シャフトにて囲まれる前
    記ケース側空部にて、上方に開口を有するオイルリザー
    バ部を形成し、 該オイルリザーバ部を、潤滑必要箇所に連通することを
    特徴とする、 ドライブユニットの潤滑装置。
  2. 【請求項2】 前記ケースは、前記ボスの開口から左右
    方向に拡がるガイド用リブを有する、 請求項1記載のドライブユニットの潤滑装置。
  3. 【請求項3】 前記ガイド用リブは、所定勾配に設定さ
    れる、 請求項2記載のドライブユニットの潤滑装置。
  4. 【請求項4】 前記ケースは、その外径側の上部に内方
    に向けて放射状に形成された滴下用リブを有する、 請求項1ないし3のいずれか記載のドライブユニットの
    潤滑装置。
  5. 【請求項5】 前記ガイド用リブ及び/または前記滴下
    用リブは、左右対称に形成される、 請求項2ないし4のいずれか記載のドライブユニットの
    潤滑装置。
  6. 【請求項6】 前記シャフトは、ベアリングを介して前
    記ボスに支持されると共に、その内部に潤滑孔を有し、 前記オイルリザーバ部のオイルは、該ベアリング及び潤
    滑孔に供給されるものであって、 前記ケースには、前記オイルリザーバ部の下方側に位置
    して該ベアリングのインナーレース外径に沿った小径部
    と、前記開口を有すると共に前記オイルリザーバ部の上
    方側に位置して該ベアリングのアウターレース内径に沿
    った大径部と、該小径部と大径部とを繋ぐ繋部とが形成
    される、 請求項1ないし5のいずれか記載のドライブユニットの
    潤滑装置。
  7. 【請求項7】 前記ベアリングは、前記オイルリザーバ
    部に面する側とは反対面側に堰き止め部材を有する、 請求項6記載のドライブユニットの潤滑装置。
  8. 【請求項8】 前記ケースは、その下方がテーパ形状と
    される、 請求項1ないし7のいずれか記載のドライブユニットの
    潤滑装置。
  9. 【請求項9】 前記ドライブユニットは、ケース内に電
    気モータ及びプラネタリギヤユニットを収納し、かつ駆
    動車輪の内方に配置されるインホイールタイプであっ
    て、 前記電気モータのロータの回転にて前記オイル溜りのオ
    イルを掻き上げてなる、 請求項1ないし8のいずれか記載のドライブユニットの
    潤滑装置。
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