JP2001172453A - プロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物

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JP2001172453A
JP2001172453A JP35497499A JP35497499A JP2001172453A JP 2001172453 A JP2001172453 A JP 2001172453A JP 35497499 A JP35497499 A JP 35497499A JP 35497499 A JP35497499 A JP 35497499A JP 2001172453 A JP2001172453 A JP 2001172453A
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Kazuto Abe
一登 阿部
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    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
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    • C08L23/02Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment
    • C08L23/10Homopolymers or copolymers of propene
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    • C08L23/02Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物性バランスが向上し、かつ均質な構造をも
ち、力学的強度も高い、耐熱性、剛性、耐衝撃性、成形
性等に優れたプロピレン系樹脂組成物を安価に提供す
る。 【解決手段】 プロピレン系樹脂と弾性体からなるプロ
ピレン系樹脂組成物において、超音波顕微鏡などで測定
されるプロピレン系樹脂組成物中に存在する特定の弾性
体の分布・分散形態をパーコレート構造を有する特定の
形態モルフォロジーにすることにより提供されるプロピ
レン系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレン系樹脂
組成物に関し、さらに詳しくは、物性バランスが向上
し、成形性に優れたプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】プロピレン系樹脂とエラストマーに代表
される弾性体からなるプロピレン系樹脂組成物は、安価
で機械的強度が大きく、使用できる温度が高く、耐薬品
性、電気絶縁性等に優れているなどの利点があり、フィ
ルム、シート、発泡、ブロー成形品、射出成形品などの
原料樹脂として有用なものである。しかしながら、用途
によっては、これらの特性が十分でない場合がある。と
りわけ、耐熱性や剛性及び耐衝撃性に関しては、耐衝撃
性ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン樹脂(ABS)、ポリカーボネート(PC)/AB
Sなどの非晶性樹脂に比べて劣るため、使用できる用途
分野が制限を受ける。この不利益を解消するため、現在
までにいくつかの提案がなされている。その改良を目的
として、ポリプロピレンに衝撃を吸収する低ヤング率の
弾性体を添加したり、耐熱性や剛性の強化剤として無機
フィラーを添加した種々のポリプロピレン樹脂組成物が
提案されている(特開昭58−168649号公報、特
開平3−172339号公報)。
【0003】弾性体として、たとえば、低密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重
合体ゴム、エチレン−ブテン共重合体ゴム、エチレンと
C2〜C20のオレフィンあるいは2種以上のこれらオ
レフィンを含むものとの共重合体ゴム、多段重合で得ら
れる結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体、オ
レフィン系以外の共重合体として、エチレン連鎖部ある
いは水素添加されたブタジエン連鎖部と、スチレン、メ
タクリル酸メチル、酢酸ビニル、塩化ビニルの連鎖部あ
るいは2種以上の共重合体を含むブロック共重合体、た
とえば、水素添加されたポリブタジエンとポリスチレン
からなるスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロ
ック共重合体からなるジブロック共重合体(SEBS)
などがポリプロピレンの上記改良目的に提案されてい
る。例えば、特開平1−149845号公報は、(a)
エチレン含有量20〜60重量%の沸騰キシレン可溶分
を5〜12重量%含み、重合体全体のエチレン含有量が
1〜7重量%で、かつメルトフローレートが15〜50
g/10分のプロピレン−エチレンブロック共重合体5
9〜74重量%と、(b)プロピレン含有量が20〜6
0重量%で、かつムーニー粘度ML1+4 (100℃)が
100〜150のエチレン−プロピレン共重合体ゴム3
5〜20重量%と、(c)比表面積が30000cm2
/g以上で、平均粒径0.5〜2.0μmであるタルク
3〜6重量%を配合してなるプロピレン系樹脂組成物を
開示している。しかし、衝撃性は十分としても、耐熱性
の低いエチレン成分が多く、耐熱性と剛性の観点から、
十分に改良したとは言い難い。さらに、このようなプロ
ピレン系樹脂組成物を射出成形すると、フローマーク
(虎模様)と呼ばれる、すなわち成形品の表面に光沢の
高い部分と低い部分とが交互に繰り返されることによる
縞模様が発生することにより、外観が著しく低下する場
合がある。
【0004】このような問題を解決するため、特開平7
−53838号公報(対応米国特許第5543454号
明細書)、特開平9−71712号公報には、ホモポリ
プロピレン部の分子量を低分子量化し、且つ結晶性エチ
レン−プロピレン共重合体に含まれる23℃パラキシレ
ン可溶分であるプロピレン−エチレンブロック共重合体
ゴムの分子量を高分子量化したプロピレン系樹脂組成物
を開示している。このプロピレン系樹脂組成物はフロー
マークは低減されているが、高分子量化した部分は難可
塑性の集合体(ゲル・フィッシュアイなど)を形成し、
成形品表面にブツとして現れ外観を悪化させるばかりで
なく、ブツによる非均質性に起因した、耐衝撃性を著し
く低下させる部分が発生する場合がある。
【0005】更にこのような問題を解決するために、高
分子量化が必須ではないスチレン−エチレン・ブチレン
−スチレンブロック共重合体からなる弾性体を用い、且
つ耐熱性と剛性を維持するため結晶性ポリプロピレン部
分のb軸配向構造を限定した、特開平11−18969
9号公報には、(A)MFRが60〜120g/10分
のエチレン−プロピレンブロック共重合体であって、そ
のホモポリプロピレン部分のアイソタクチックペンタッ
ド分率が96%以上、MFRが150〜250g/10
分であり、かつエチレン−プロピレン共重合体部分の割
合が5〜10重量%である結晶性エチレン−プロピレン
ブロック共重合体54〜65重量%と、(B)一種また
は複数種のスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブ
ロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー17〜2
4重量%と(C)タルク15〜25重量%からなり、A
STM法で測定した機械物性が下記の通りであり、 曲げ弾性率≧1800MPa 引張り降状強度≧20MPa 23℃Izod衝撃強度≧180J/m −30℃Izod衝撃強度≧30J/m ロックウェル硬度(Rスケール)≧74 熱変形温度(HDT18.5kg)≧73℃ 脆化温度≦−20℃ MFR=40〜60g/10分 かつ、射出成形によるASTM1号ダンベルの中心付近
の広角X線回折による回折ピーク強度比から求められる
b軸配向度が720以上であるポリプロピレン樹脂組成
物を開示している。しかし、必要な耐衝撃強度を得るた
め用いられるスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン
ブロック共重合体は、オレフィン系弾性体と比較し非常
に高価で、しかも大量に添加するためコストの上昇と剛
性低下を招き、さらに、スチレン−エチレン・ブチレン
−スチレンブロック共重合体が耐熱性にあまり優れてい
ないため、相対的にタルク含有量も多くなり均質性がそ
こなわれ易い。従って、開示プロピレン樹脂組成物は、
耐熱性や剛性と耐衝撃性が高い次元でバランスしている
とは言い難い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑
み、本発明の課題は、フローマークが発生せず、しかも
高分子量体の凝集体に起因するブツも発生せず、かつ全
体として均質な構造をもち、このため優れた外観を有す
る成形品を得ることができる成形性に優れた、従来のポ
リプロピレン系材料より大幅に物性バランスが向上し、
力学的強度も高い、剛性、耐熱性、耐衝撃性および成形
性等に優れたプロピレン系樹脂組成物を安価に提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、本発明のプロピレン系樹脂組成物の
構成成分である様々な弾性体と注目した弾性体の様々な
分布・分散形態について研究した結果、プロピレン系樹
脂組成物に存在する弾性体が、縦波として伝搬する音速
vが3000m/s 以下の成分であり、且つ超音波測定や原子
間力顕微鏡でのフォースモジュレーション手法などによ
り認識されるこの弾性体のプロピレン系樹脂組成物中に
おける分布・分散形態が、樹脂固体空間中で弾性体が無
限に連続しているパーコレート構造を有しているプロピ
レン系樹脂組成物であることで、剛性、耐熱性、耐衝撃
性、成形性等に優れたプロピレン系樹脂組成物が得られ
ることを見出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、プロピレン系
樹脂と弾性体からなるプロピレン系樹脂組成物であっ
て、組成物中に存在する弾性体が縦波として伝搬する音
速vが3000m/s 以下であり、かつ組成物中における弾性
体の分布・分散形態が、樹脂固体空間中で弾性体が無限
に連続しているパーコレート構造を有していることを特
徴とするプロピレン系樹脂組成物にある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明のプロピレン系樹脂組成物に含まれるプロ
ピレン系樹脂は、結晶性のプロピレン系樹脂であり、プ
ロピレンの単独重合体、またはプロピレンとエチレン、
ブテン−1等の他のα−オレフィン(炭素数20程度ま
で)との共重合体である。これら共重合体におけるα−
オレフィンの含有量は10モル%以下が好ましい。具体
的には立体規則性の高いアイソタクチックポリプロピレ
ンを含むものが好ましい。このアイソタクチックポリプ
ロピレンは、13C核磁気共鳴スペクトルによるアイソタ
クチックペンタッド分率(IP)が95.0%以上であるこ
とが望ましい。より好ましくは、アイソタクチックペン
タッド分率(IP)が98. 0%以上である。このIP
は、マクロモレキュールズ(Macromolecules)6巻、9
25頁(1973年刊)に記載の方法によるものである。す
なわち、IPとは同位体炭素による核磁気共鳴スペクト
ル(13C−NMR)を使用して測定されるプロピレン系
重合体分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック
分率をいう。なお、本発明でいうIPは、キシレン抽出
を行なった後のポリプロピレンの測定値である。ピーク
の帰属は、マクロモレキュールズ(Macromolecules)8
巻、687頁(1975年刊)に記載してある上記文献の改
訂版に基づいて、13C−NMRスペクトルのメチル炭素
領域の全吸収ピーク中mmmmピークの強度分率をもっ
てIPを測定した。ここでキシレン抽出とは25℃のキ
シレンに不溶なポリマーであり、具体的には135℃の
オルトキシレンに溶解させた後、25℃で析出したポリ
マーである。
【0010】プロピレン系樹脂の製造方法は特に限定さ
れないが、上記結晶性ポリプロピレンを得るための方法
として、たとえば特表95−31490公報に記載のチ
ーグラーナッタ触媒を用いてプロピレンを重合して製造
することができる。特に、アイソタクチックポリプロピ
レンを与える触媒を用いて、重合条件を調整することに
より得ることができる。また、個別に重合して得られた
ものを少なくとも2種類混合することにより得ることも
できる。
【0011】本発明において使用される弾性体は、プロ
ピレン系樹脂組成物に存在する弾性体が、縦波として伝
搬する音速vが3000m/s 以下の成分であり、ゴム状の性
質を示す高分子化合物である。好ましくはオレフィン系
弾性体であり、オレフィンとしてはエチレン、プロピレ
ン、ブテン−1等のα−オレフィン、スチレン、スチレ
ンの誘導体等が挙げられ、これらの単独あるいは共重合
体からなる弾性体、さらにはこれらオレフィンと、ジオ
レフィンや極性モノマーとの共重合体からなる弾性体を
用いることができる。
【0012】さらに好ましくはエチレンと他のα−オレ
フィン(炭素数3〜20)との共重合体からなるエチレ
ン系弾性体、たとえばエチレン・α−オレフィンランダ
ム共重合体もしくはエチレン・α−オレフィン・非共役
ポリエンランダム共重合体、またはスチレン含有量8〜
88wt%および共役ジエン含有量12〜92wt%のスチ
レン系エラストマーもしくはその水素添加物、たとえば
スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重
合体、などのスチレン系弾性体(SEBS)が好まし
い。特に好ましくは、エチレン・プロピレン共重合体あ
るいはエチレン・ブテン−1共重合体からなる弾性体で
ある。これら弾性体の製造方法、製造に必要な触媒系は
特に限定されない。
【0013】これらの弾性体の含有量は組成物の0.0
5〜50wt%程度であり、好ましくは1〜30wt%であ
り、さらに好ましくは5〜20wt%である。本発明にお
ける弾性体について重要なことは、前述のとおり縦波と
して伝搬する音速vが3000m/s 以下の成分であることで
ある。さらに詳しくは、2500m/s 以下である弾性体が好
ましい。本発明のプロピレン系樹脂組成物に使用される
弾性体の縦波として伝搬する音速vが3000m/s を超える
と、結晶性ポリプロピレンの音速との違いが小さく、ま
た一般的な密度を有する結晶性ポリプロピレンのヤング
率とほぼ同程度になり、弾性体としての衝撃吸収能力が
著しく損なわれる。本発明において、縦波として伝搬す
る音速vを測定し得る方法としては、測定したい弾性体
が単一成分バルク材で得られる場合は一般的定法によ
る。すなわち、正確に厚みを測定したサンプルの両端に
発信器と受信器をつけ、厚みに対して十分な分解能を有
する波長もしくは周波数を用い、送受信に要した時間を
測定することにより得られるが、これに限らない。ま
た、測定したい弾性体が単一成分バルク材で得られない
場合、たとえば、多段重合などで得られる重合過程で生
成するエチレン−プロピレン共重合体ゴムなどの弾性体
の音速測定においては、μm オーダーの微少領域で測定
可能な超音波顕微鏡などが好まれる。測定法は、表面弾
性波の干渉を用いた定法で可能である(西村ら、日本機
械学会第68期通常総会講演会講演論文集vol.A,910-1
7,19-21,1991 )。この方法を用いるとその分散形態と
その微少領域で音速が同時にわかるので利便性がある。
なお、そのほかに分散形態の観測においては、弾性的性
質の違いをイメージにする方法として、原子間力顕微鏡
でのフォースモジュレーション手法などがある。これ
は、局所部分の弾性的性質の違いを原子間力顕微鏡のプ
ローブを一定歪みで振動させその応力(振動位相の変化
など)変化をイメージ化したものである(米国特許52
37859号明細書)。この方法は、弾性体の分布形態
を観察するのに適しているが、音速は測定されない。
【0014】以上のような方法で、本発明のプロピレン
系樹脂組成物の中に存在する弾性体の音速を特定するこ
とができるが、これらの方法に限らない。本発明の弾性
体における、超音波の伝搬速度vと機械的強度特に耐衝
撃性の関係について以下に説明する。プロピレン系樹脂
組成物においてISO やJIS 等に規格化された力学的強度
の測定として、IZOD衝撃やシャルピー衝撃強度と呼ばれ
る一軸衝撃強度測定、および落垂衝撃やDUPONT衝撃すな
わち面衝撃と呼ばれる多軸衝撃強度測定があり、これら
は工業材料として使用される製品の重要な設計指針の一
部になっており、プロピレン系樹脂組成物において必要
十分な衝撃強度測定値と剛性を併せ持つことが、工業材
料製品が薄肉軽量化の傾向にある近年、特に求められて
いる。これらの衝撃強度測定に関し、IZOD衝撃や面衝撃
などの大変形による破壊波面(衝撃波)の進展速度は、
一般的に、樹脂組成物中における超音波の伝搬速度と同
じオーダーであると破壊力学的に云われている。そこ
で、耐衝撃性を向上させる意味から、亀裂や破壊波面の
実質的な進展速度(すなわち破壊波面の正味の速度低下
及び進展経路長の延長)を抑えることはプロピレン系樹
脂組成物にとって重要なことである。たとえば、空気中
を絶縁破壊しながら進む雷がどこにどの様な経路で落ち
るのか特定するのは困難なごとく、実際の破壊現象の波
面の進展状態を予想することは難しい。しかし、破壊波
面は、なるべく最短時間で伝搬する様に樹脂組成物固体
内部を進んでいるものと破壊力学的に推測されている。
このような破壊力学的観点から、プロピレン系樹脂組成
物の破壊波面の正味の速度低下及び進展経路長の延長
を、プロピレン系樹脂組成物において最適化し実現化す
ることが重要である。本発明にて弾性体を最適化し実現
化する方法に関し、超音波と弾性率すなわちヤング率の
関係について示すと、単一成分の樹脂バルク材における
固体中での超音波の伝搬速度vは、数式(1)で示した
ように、その固体のヤング率Eとその固体の密度ρで示
される(五十嵐寿一編 実験物理学講座 音響と振動共
立出版)。
【0015】 v=(固体のヤング率E/固体の密度ρ)1/2 (1) すなわち、伝搬速度vは樹脂の弾性率とその樹脂の密度
の関数である。たとえば、伝搬速度を遅くするには、弾
性体を低弾性率で高密度にすることが数式(1)から一
般的に要求されることが解る。次に、本発明のプロピレ
ン系樹脂組成物において、上記弾性体の分布・分散形態
が樹脂固体空間中でパーコレート構造を有することにつ
いて説明する。
【0016】本来、パーコレーションは浸透という意味
であったが、物理的な問題として、局所的(ミクロ)な
状態が適当に分布・分散している系の大局的(マクロ)
な結合度・浸透度を調べる問題として取り上げられてい
る。具体的なパーコレーションの問題として、局所的に
分布・分散している点に対して各点が結合する確率を与
えた時、点と点が結合したグループをクラスターと呼ぶ
と、各点が有限の大きさを持つクラスターに含まれる確
率を求めることができ、同様に無限の大きさをもつクラ
スターに含まれる確率が計算され得る(H.Scher and R.
Zallen, J.Chem.Phys.53,1421,1970)。たとえば、点が
有限の大きさで結合確率が距離の関数として与えられる
時、各点が無限クラスターに含まれる確率が0でなくな
る転移が生じる。これらは、局所的性質が大局的な性質
として外部に発現される相転移挙動や臨界挙動と関連づ
けられる問題などに応用されている(小田垣孝著 パー
コレーションの科学 裳華房 1993)。
【0017】本発明で「パーコレート構造」と呼ばれる
構造は、縦波として伝搬する音速vが3000m/s 以下の成
分の弾性体が、無限に広がった同一成分のクラスターに
含まれている確率が0でない時に現れるネットワークを
形成した入り組んだ連続構造を示している。図1にパー
コレート構造の二次元的模式図を示すが、黒い部分の面
積が少ないため網の目の様に細くなってネットワーク形
成した構造でも構わない。また、このようなパーコレー
ション構造を形成する場合のその他の名称としては、テ
トラポッド形状が連続的に繋がったOBDD構造(orde
red bicontinuous double diamond :H.Hasegawa, et a
l, Macromolecules,20,1651,1987)やジャイロイドおよ
び三次元ラメラ構造などが挙げられるがこれらに限定さ
れない。また、本発明における図1に示した周期構造サ
イズΛmは、プロピレン系樹脂組成物全体として均質な
構造で有ることを妨げ無い限り、どの様な大きさでも構
わない。押出成形や射出成形などでの成形品において、
一般的には、周期構造サイズΛmは、0.01μm から数百
μm までの大きさを有するものが好まれる。プロピレン
系樹脂組成物中における弾性体の分布・分散形態が、こ
のようなパーコレート構造を有する場合、全体としての
構造の均質性が高くしかも衝撃を吸収する性質を有する
弾性体の分布の連続性が高いため、破壊力学的構造の観
点から破壊波面の進展経路の延長の点で有利である。本
発明のプロピレン系樹脂組成物に存在する弾性体が、縦
波として伝搬する音速vが3000m/s 以下の成分であり、
且つ超音波測定や原子間力顕微鏡でのフォースモジュレ
ーション手法などにより認識されるこの弾性体のプロピ
レン系樹脂組成物中における分布・分散形態が、樹脂固
体空間中で弾性体が無限に連続しているパーコレート構
造を満たしていれば、全体として均質な構造で、成形性
に優れ、かつ機械物性も良好なバランスを達成すること
ができる。しかし、このようなパーコレート構造を有さ
ない構造としては、たとえば、球状分散構造、棒状構
造、積層ラメラ構造があげられる。球状分散では、分散
粒子の大きさによっては衝撃強度が著しく低下する。ま
た、棒状や積層ラメラでは、均質性が損なわれ物性バラ
ンスに異方性が生じ、同様に衝撃強度が低下する。
【0018】また、本発明のプロピレン系樹脂組成物の
温度230℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレ
ート(MFR)は、特に限定されるものではないが、そ
の成形加工及び用途により、様々なMFRのものに設定
することができる。シートや発泡などの押出成形におい
ては、MFR の範囲が0.01から10dg/minのものが一般的
に好まれる。中空成形では、MFR の範囲が0.1 から20
dg/minのものが一般的に好まれる。繊維や不織布など用
途では、MFR の範囲が10から70dg/minのものが一般
的に好まれる。射出成形用途では、MFR の範囲が5から
300dg/minのものが一般的に好まれる。しかし、本発
明のプロピレン系樹脂組成物はこれらに限定されない。
【0019】プロピレン系樹脂と弾性体からなる本発明
のプロピレン系樹脂組成物は、具体的に弾性体の縦波の
音速が3000m/s 以下で且つその弾性体がパーコレー
ト構造を有していれば、どの様なプロピレン系樹脂/弾
性体の組成および配合量でも構わないが、以下のような
様々な組成および配合量のものに設定することができ
る。たとえば具体的に、プロピレン系樹脂/オレフィン
系弾性体が本発明の構成要素になる場合において、さら
にたとえばこれらの溶融混合物が冷却される過程におい
て、プロピレン系樹脂の非晶部分からオレフィン系弾性
体が徐々に排斥されるような相溶性の組み合わせにする
このが好ましく、具体的には、 (1)弾性体は0.05wt%以上1wt%未満で有っ
てもパーコレート構造を有することができ、本発明のプ
ロピレン樹脂組成物として物性バランスと成形性に優れ
たものになる。更に、この弾性体の配合量を増やすこと
ができるが50wt%を超えると、結晶性を示すプロピ
レン系樹脂の量が少なくなり耐熱性と弾性率の低下を招
くので、本発明の効果が低減する傾向がある。好ましく
は、30wt%以下更に好ましくは20wt%以下であ
る。しかし、本発明はこれら組成の組み合わせおよび配
合量に限定されない。 (2)プロピレン系樹脂の立体規則性を高くすることが
あげられる。これらの非晶部は立体規則性が高いために
拘束された状態にあるので、たとえばこれらの溶融混合
物が冷却される過程において、弾性体を徐々に排斥する
能力に優れる。さらに、弾性体としてはエチレン/プロ
ピレンのモノマー組成は特に限定されないが、プロピレ
ン組成が55wt%を超えるものが、上記非晶部との特
定の相溶性に優れるため、容易にパーコレート構造に成
り得る。より好ましくは、60wt%以上のプロピレン
組成である弾性体が好適である。しかし、これら相溶性
は冷却過程およびそれぞれの重合度にも依存するので一
概にはプロピレン組成をこれらに限定するものではな
い。
【0020】以上のように、プロピレン系樹脂と弾性体
を溶融混合してプロピレン系樹脂を製造するに際して
は、溶融混合物が冷却される過程において、該弾性体が
該プロピレン系樹脂の非晶部分から排斥されて、該弾性
体の分布・分散形態が、樹脂固体空間中で弾性体が無限
に連続しているパーコレート構造を形成するように条件
を選定して行なう。
【0021】これ以外に、パーコレート構造にする手段
としては、共通溶媒であるトリクロロベンゼンなどを利
用した各組成の相分離を臨界組成近傍からのスピノーダ
ル分解する方法を例示することができる。共通溶媒を用
いる場合、プロピレン系樹脂と弾性体をその共通溶媒に
溶解し、ついで該溶媒を蒸発させる過程において、該弾
性体が該プロピレン系樹脂の非晶部分から徐々に排斥さ
れて、該弾性体の分布・分散形態がパーコレート構造を
形成するように条件を選定して行なう。
【0022】上記のように、溶融混合もしくは共通溶媒
による混合の場合において、上記のようなパーコレート
構造を得るために、プロピレン系樹脂と弾性体の重合
度、相溶性 (溶解パラメーター等の熱力学的相互作用)
、運動性(Tg、Tm等の動的相互作用)等を考慮し
た組合わせ並びに混合方法、等の諸条件を適宜選定する
ことが必要である。混合に際して、両成分を最初50/
50のように対称組成で混合し、予めパーコレート構造
を形成し、構造が破壊されないように少くとも1成分を
徐々に加えて偏組成とすることもできる。
【0023】本発明のプロピレン系樹脂組成物は、その
構成成分であるプロピレン系樹脂と弾性体を個々に重合
により得た後混合することもできる。この場合には本発
明のプロピレン系樹脂を複数の重合成分を混合して製造
する場合には、公知の技術をそのまま利用することがで
きる。例えば、重合して得られた粉体及び造粒ペレット
をミキサーやタンブラー等のバッチ式に混合する方法や
計量装置を活用しニューマー搬送装置などに連続的に添
加して混合する方法が挙げられる。混合度合いを高める
ため溶融混合法が利用される。例えば、粉体及び造粒ペ
レットを溶融混練り機、たとえば、ニーダー、ロール、
ブラベンダー、押出機などで溶融混合して、造粒機でペ
レット化する方法がある。特に限定されるものではない
が、生産性を向上するために押出機が一般的に用いら
れ、特に好ましくは、ローター部分を有する二軸押出
機、さらに分子量や溶融粘度が著しく異なるものを溶融
混合する場合、二台の押出機を直列に連結した形式のタ
ンデム押出機がより好ましい。
【0024】また、プロピレン系樹脂組成物を得る方法
としては、これら構成成分を、また重合系内でプロピレ
ン系樹脂を重合し、連続して弾性体を得る方法でも得ら
れる。この場合の具体的方法としては前記プロピレン系
樹脂を得るための重合用触及び重合方法により多段重合
などで得ることができる。より具体的には1段目でプロ
ピレン単独重合体を得、次いでプロピレンとエチレンま
たはα−オレフィンを共重合させることによって弾性体
を得ることができる。α−オレフィンとしては炭素数2
〜20のものが選択される。具体的には、エチレン、プ
ロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、
1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル
−1−ペンテンを例示することができる。これら2種以
上のコモノマーを混合してプロピレンとの共重合に用い
ることもできる。
【0025】本発明に関するプロピレン系樹脂組成物に
は、その特性を損なわない範囲で各種の添加剤、配合
剤、充填剤等を使用することができる。これらを具体的
に示せば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、光
安定剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、
滑剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、離
型剤、発泡剤、タルクやシリカ等のフィラー系無機充填
剤、ガラス繊維やカーボン繊維等のファイバー系無機充
填剤、有機充填剤、補強剤、着色剤、染料、顔料、香料
等が挙げら、液体や固体などの様々な性状および様々な
アスペクト比・粒径分布を有するものを使用することが
できる。また、各種熱可塑性樹脂等も添加することがで
きる。
【0026】本発明のプロピレン系樹脂または樹脂組成
物には、各種の造核剤を必要に応じて添加してもよい。
例えば、カルボン酸類の金属塩、ジベンジリデンソルビ
トール誘導体、フォスフェート金属塩、タルク、シリカ
などの無機化合物が挙げられる。具体例としては、安息
香酸ナトリウム、アジピン酸アルミニウム、チオフェネ
カルボン酸ナトリウム、1,3,2,4−ジベンジリデ
ンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−メチルベ
ンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジ
リデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトー
ル、ナトリウム−ビス−(4−t−ブチルフェニル)フ
ォスフェート、ナトリウム−ビス−(4−メチルフェニ
ル)フォスフェート、カリウム−ビス−(4−t−ブチ
ルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2' −
メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)
フォスフェート、ナトリウム−2,2' −エチリデン−
ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェー
トならびにタルク、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
これらの造核剤は1種でもよく2種以上を併用すること
もできる。
【0027】これら結晶核剤の添加量は、上記プロピレ
ン系樹脂または該プロピレン系樹脂を含む樹脂組成物1
00重量部に対して、0.01〜2.0 重量部とすると良い。
好ましくは、0.05〜1.0 重量部、特に好ましくは、0.06
〜0.4 重量部の範囲である。結晶核剤が、0.01重量部未
満では、剛性、耐熱性の改善効果が乏しく好ましくな
く、2.0 重量部を超えると、効果が飽和する場合があ
り、コスト高となる。
【0028】本発明のプロピレン系樹脂及び該プロピレ
ン系樹脂を含む組成物は、合成樹脂の分野で一般に実施
されている公知の成形加工技術を用いて所望の形状の製
品に供することができる。成形加工技術は特に限定され
るものではないが、成形機械形状により射出成形、中空
成形、押出成形があり、さらに成形樹脂製品の形状によ
り、フィルム成形、テンター成形、シート成形、真空成
形、押出ラミネート成形、カレンダー成形、プロファイ
ル成形、繊維紡糸、不織布、圧縮成形、発泡成形等があ
げられる。これらを一種またはそれ以上複数の成形加工
技術を組み合わせて、所望の形状の製品に供することが
できる。
【0029】例えば射出成形の場合、公知の技術として
用いられている方法であれば特に限定されないが、加熱
スクリュー内で可塑化した樹脂を所定金型内に充填し、
保圧を経て型内で冷却固化させることによって行なうこ
とができる。射出成形機としては、プランジャー式射出
成形機、スクリュー予備可塑化式成形機、インラインス
クリュー式射出成形機、ベント式射出成形機、ガスアシ
スト式射出成形機、射出圧縮成形機、射出延伸成形機、
射出中空成形機等が挙げられる。一般に射出成形は、寸
法精度に優れ、成形サイクルが短く、複雑な形状の製品
を大量生産するのに適し、当該成形加工に使用するプロ
ピレン系樹脂としては、充填時の樹脂流動に起因するフ
ローマークやシルバー等を発生しないものがより好まし
い。
【0030】複数の成形加工技術を組み合わせるものと
しては、例えば真空成形では、Tダイ押出成形、カレン
ダー成形等で製造したシートの両端をクランプしたまま
加熱軟化させ、雌型とクランプとの隙間を真空にしプラ
グ及び圧空等を利用して、可塑化軟化したシートを金型
に密着させて賦形し、冷却後金型から成形品を取り出す
ことにより成形品を安価大量生産することができる。当
該成形加工に使用するプロピレン系樹脂としては、加熱
軟化時にシートの自重によるたれや変形等のドローダウ
ンの発生を避けるため、エチレン系樹脂を添加すること
が一般的に好まれているが、エチレン系樹脂を添加する
と剛性や耐熱性の低下が避けられないので、プロピレン
系樹脂のみでドローダウンの発生を押さえることが最も
好ましい。
【0031】本発明のプロピレン系樹脂組成物は、この
組成物中に存在する弾性体が特定の分布・分散形態を有
するため、全体として均質な構造で、成形性に優れ、か
つ機械物性も良好なバランスを有するものである。従っ
て、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、工業材料等に
おいて、射出成形によって得られる製品、及び繊維・フ
ィルム・シート・発泡などの中空・押出成形等によって
得られる製品において有用である。
【0032】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。実施例及び比較例中の重合体の物性は以下の方法
で測定した。なお、本発明はこれらに限定されるもので
はない。 MFR及びHL(高荷重)MFR:JIS K7210
に準拠し、温度230℃で測定した(単位はg/10
分)。
【0033】曲げ弾性率:射出成形にて試験片をJIS
K6758記載の方法に従って調製した。曲げ弾性率
は、JIS K7203により測定した(単位はMP
a)。 一軸衝撃試験:Izod衝撃強度としてISO 180
により23℃及び−30℃で測定した(単位はJ/
m)。
【0034】多軸衝撃試験:落錘衝撃強度としてJIS
K7211により23℃で50%破壊エネルギー測定
した(単位はJ/m)。 耐熱性:耐熱性は、荷重たわみ温度(HDT)として、
JIS K7207により測定した。
【0035】成形性の評価:真空成形への適合性は、2
g/10分以下の低MFRのプロピレン系樹脂につい
て、50mmTダイにて幅50mm厚さ50μm長さ1
50mmのシートを作成し、弊社簡易型真空成形装置に
てコップ形状金型にて、ドローダウン性と成形品の外観
を評価した。
【0036】射出成形への適合性は、2g/10分を超
えるこのプロピレン系樹脂について、流動アスペクトが
大きい大型平板(600×150×0.5 mm)を東芝機
械製の500Tの射出成形機を用いて成形し、成形性を
評価した。充填性として、成形品の目視により、未充
填、ひけ、ばりを観察した。外観として目視にて、フロ
ーマーク、虎マーク、シルバーの有無を観察した。いず
れにも該当しないものを良好とした。
【0037】キシレン抽出不溶分(XI)の調製法:粉
体状のプロピレン系樹脂を約2g精秤しサンプルとす
る。アリーン冷却器と温度計を備えた300mlフラス
コにサンプルとo−キシレンを250mlを入れ加熱し
た。加熱は温度135℃で30分実施した。その後25
℃まで放置冷却した。その後固形物をろ過し、固形物を
窒素雰囲気下で140℃30分加熱乾燥した。十分放冷
した後、秤量し、キシレン不溶分とした。
【0038】アイソタクチックペンタッド分率(IP)
の測定:XIで調製したサンプルのIP測定は日本電子
(株)製のJNM−GSX400(13C核共鳴周波数1
00MHz)を用いて、以下の測定条件で行なった。I
Pはマクロモレキュールズ(Macromolecules)6巻,9
25頁(1973年刊)に記載の方法に従って算出した。
【0039】測定モード:プロトンデカップリング法、 パルス幅:8.0 μs、 パルス繰返時間:3.0 μs、 積算回数:20,000回、 溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベン
ゼン混合溶媒(75/25重量比)、 内部標準化合物:ヘキサメチルジシロキサン、 試料濃度:300mg/3.0 ml(溶媒)、 測定温度:120℃。
【0040】弾性体の縦波として伝搬する音速vの測定
法:測定は、日立建機(株)製の走査型超音波顕微鏡
(HSAM−200)を用いて、以下の測定条件で行っ
た。音速の求め方は、注目する弾性体に超音波焦点を当
てデフォーカス干渉縞を測定する日本機械学会材料力学
講演会講演予稿集No900−86、673頁(1990
年刊)に記載の方法に従って求めた。
【0041】測定モード:VZモード 周波数:600MHz サンプル:10mm×10mm 接触媒質:水 測定温度:23℃ 弾性体のモルフォロジー観察:プロピレン系樹脂組成物
中に存在する弾性体のモルフォロジー観察は、表面およ
び内部の弾性体の分散構造を日立建機(株)製の走査型
超音波顕微鏡(HSAM−200)を用いて、以下の測
定条件で分散構造を画像とした。
【0042】測定モード:Cモード 周波数:630MHz 観察サンプル領域:104μm×104μm 接触媒質:水 測定温度:23℃(図2 実施例1で得られた組成物の
超音波顕微鏡による表面測定例) モルフォロジーの同定法:得られた分散構造の画像は、
メディアサイバーネッティクスL.P.社製イメージア
ナライザー(Image−ProPlus)にて以下の
解像度条件で解析し、注目するプロピレン系樹脂組成物
中に存在する弾性体がパーコレート構造を有するか判断
した。
【0043】具体的な解析方法としては、得られた分散
構造の画像において、反射強度のヒストグラム解析をお
こなった。この解析は、測定した反射強度を16ピット
に分割して横軸とし測定画素の頻度を縦軸として反射強
度ヒストグラムに表すと、組成に依存した分布曲線が得
られる。すなわち、このヒストグラムは通常、二山など
の様に明らかに強度分布が異なる成分に分割できるの
で、プロピレン系樹脂組成物中に存在する弾性体とし
て、詳細に分類でき、それぞれをクラス分け(色分け)
した。クラス分けした弾性体部分の音速を超音波顕微鏡
にて同時に測定し、音速が3000m/s 以下の弾性体で
あることを確認した。
【0044】このクラス分けした弾性体の画素(色)が
画面において連続した時を、パーコレート構造が成立す
るとした(図3 実施例1)。 CPU:IBMPowerPC750 400MHz 観察画素数:512画素×512画素×8ビット 図3において、海部分がポリプロピレン、島部分が弾性
体を表わす。島部分内部(うすい色部分)(実際の画面
では黄色)は弾性体の一成分(プロピレン・リッチ)、
そして島部分を縁どりする濃色部分(実際の画面では赤
色)が別の弾性体成分(エチレン・リッチ)を表わし、
この濃色部分が連続していることがわかる。なお、上記
反射強度分布において、ポリプロピレンが最も高い強度
を示し、最も低いのはプロピレン・リッチの弾性体であ
った。実施例1 オレフィン重合用触媒成分の調製: (1) 固体成分の調製 無水塩化マグネシウム568g(5.97mol)を無水エ
タノール1.0 kg(1.74mol)、出光興産(株)製の
ワセリンオイル「CP15N」5.0 リットル及び信越シ
リコーン(株)製のシリコーン油「KF96」5.0 リッ
トル中に、窒素雰囲気下、120℃で完全に溶解させ
た。この混合物を特殊機化工業(株)製のTKホモミキ
サーを用いて120℃、3000回転/分で3分間撹拌し
た。撹拌を保持しながら、20リットルの無水ヘプタン
中に0℃を越えないように移送した。得られた白色固体
を無水ヘプタンで十分に洗浄し室温下で真空乾燥した。
得られたMgCl2 ・2.5 C2 5 OHの球状固体30
0gを無水ヘプタン2.0 リットル中に懸濁させた。0℃
で撹拌しながら、四塩化チタン5.0 リットル(45mo
l)を1時間かけて滴下した。次に加熱を始めて、40
℃になったところで、フタル酸ジイソブチル49.6g(1
78mmol)を加えて、100℃まで約1時間で昇温
させた。100℃で2時間反応させた後、熱時ろ過にて
固体部分を採取した。その後、この反応物に四塩化チタ
ン5.0 リットル(45mol)を懸濁させた後、120
℃で1時間反応させた。反応終了後、再度、熱時ろ過に
て固体部分を採取した。次いで60℃のヘキサン10リ
ットルで7回、室温のヘキサン10リットルで3回洗浄
し、固体成分を得た。 (2) TiCl4 [C6 4 (COOiC4 9 2 ]の
調製 四塩化チタン190g(1.0 mol)を含むヘキサン1
0リットルの溶液にフタル酸ジイソブチル278g(1.
0 mol)を0℃に維持しながら、約30分間で滴下し
た。滴下終了後、40℃に昇温し30分間反応させた。
反応終了後、固体部分を採取しヘキサン5.0 リットルで
3回洗浄し目的物を得た。 (3) TiCl4 [C6 4 (COOiC4 9 2 ]に
よる処理 上記(1) で得られた固体成分400gをトルエン6.0 リ
ットルに懸濁させ、25℃で、TiCl4 [C6
4 (COOiC4 9 2 ]を103g(220mmo
l)と1時間処理して担持させた。担持終了後、ろ過に
て固体部分を採取し、その後、この反応物にトルエン6.
0 リットル、四塩化チタン200ml(1.8mol)を
懸濁させた後、90℃で2時間反応させた。反応終了
後、再度熱時ろ過にて固体部分を採取した。次いで、9
0℃トルエン10リットルで5回、室温のヘキサン10
リットルで3回洗浄し、オレフィン重合用固体触媒成分
を得た。 予備重合:窒素雰囲気下のもと、内容積50リットルの
オートクレーブ中に、n−ヘプタン10リットル、トリ
エチルアルミニウム120g(1.6 mol)、ジシクロ
ペンチルジメトキシシラン78g(340mmol)、
及び上記(3) で得られたオレフィン重合用固体触媒成分
200gを投入し、0〜5℃の温度範囲で5分間撹拌し
た。次に、固体触媒成分1gあたり10gのプロピレン
が重合するようにプロピレンをオートクレーブ中に供給
し、0〜5℃の温度範囲で1時間予備重合した。得られ
た予備重合触媒は、n−ヘプタン10リットルで3回洗
浄を行ない、以下のプロピレン系樹脂の製造に使用し
た。 一段目のプロピレンの重合:内容積290リットルの撹
拌機付き反応器に、プロピレン95kg/時間、上記予
備重合触媒10g/時間、トリエチルアルミニウム59
g/時間(520mmol/時間)、ジシクロペンチル
ジメトキシシラン35.3g/時間(155mmol/時
間)、重合調整用水素を0.6mol%でMFRが30
g/10分になるように調節しながら連続的に供給し
た。反応器は80℃に保持し、液化プロピレンによる塊
状スラリー重合を行ないプロピレンを重合した。一部サ
ンプリングしたところ、予定どおり、MFRが30g/
10分のプロピレン系重合体(P−1−1)が得られ
た。 二段目のプロピレンの重合:内容積580リットルの撹
拌機付き反応器に、上記の活性触媒を含む一段目の重合
体を供給しつつ、エチレン60kg/時間、プロピレン
95kg/時間、重合調整用水素を0. 02mol%で
二段目のみにおけるエチレンープロピレン系共重合体
(P−1−2)のMFRが0.5g/10分になるよう
に調節しながら供給した。反応器は80℃に保持し、液
化プロピレンによる塊状スラリー重合を行ない、一段目
の重合体と二段目における重合体を含む、二段重合全体
における重合体(P−1)(MFRが18g/10分)
を得た。
【0045】該二段重合全体における重合体(P−1)
100重量部に対して、トリス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)フォスファイト0.09重量部、ペンタエリス
リチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.15重量
部、ステアリン酸カルシウム0.08重量部、ナトリウム
2,2' −メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェ
ニル)フォスフェート(旭電化工業株式会社製商品名
NA−11)0.2 重量部の添加剤を溶融混練で加えペレ
タイズ化し、プロピレン系樹脂(P−1−R)とした。
得られたプロピレン系樹脂(P−1−R)は、MFRが
19g/10分ものであり、その物性を表2に示した。
また、表1には、各成分の重合体及び全体の樹脂のMF
Rを示した(以下実施例も同様)。
【0046】このプロピレン系樹脂(P−1−R)を用
いて、射出成形への適合性を評価したところ、フローマ
ークシルバーなどの問題はなく外観の美しい平板が得ら
れた。実施例2 一段目のプロピレンの重合:内容積290リットルの撹
拌機付き反応器に、プロピレン95kg/時間、上記予
備重合触媒10g/時間、トリエチルアルミニウム59
g/時間(520mmol/時間)、ジシクロペンチル
ジメトキシシラン35.3g/時間(155mmol/時
間)、重合調整用水素を1.6mol%でMFRが12
0g/10分になるように調節しながら連続的に供給し
た。反応器は80℃に保持し、液化プロピレンによる塊
状スラリー重合を行ないプロピレンを重合した。一部サ
ンプリングしたところ、予定どおり、MFRが120g
/10分のプロピレン系重合体(P−2−1)を得た。 二段目のプロピレンの重合:内容積580リットルの撹
拌機付き反応器に、上記の活性触媒を含む一段目の重合
体を供給しつつ、エチレン50kg/時間、プロピレン
95kg/時間、重合調整用水素を0.06mol%で
二段目のみにおけるプロピレン系重合体(P−2−2)
のMFRが1g/10分になるように調節しながら供給
した。反応器は80℃に保持し、液化プロピレンによる
塊状スラリー重合を行ない、一段目の重合体と二段目に
おける重合体を含む、二段重合全体におけるプロピレン
系重合体(P−2−12)を得た。 プロピレンの重合:内容積290リットルの撹拌機付き
反応器に、プロピレンを95kg/時間、重合調整用水
素を2.0 mol%で1段目のみにおける重合体のMFR
が300g/10分になるように調節しながら供給し
た。反応器は80℃に保持し、液化プロピレンによる塊
状スラリー重合を行ない、その結果、プロピレン系重合
体(P−2−3)(MFRが300g/10分)を得
た。
【0047】さらに、同様に供給するモノマーと重合調
製用水素を調節してMFRが11.9g/10分である
エチレン−オクテン共重合体(P−2−4)5重量部、
MFRが5.2g/10分のSEBSトリブロック共重
合体(「DYNARON」E4600P、日本合成ゴム
(株)製)(P−2−5)7重量部、該二段重合全体に
おける重合体(P−2−12)58重量部、プロピレン
系重合体(P−2−3)30重量部に対して、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.
09重量部、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]0.15重量部、ステアリン酸カルシウム
0.08重量部、タルク(「MT5D」;富士タルク製)1
5重量部、ナトリウム2,2' −メチレンビス(4,6
−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート(旭電化工
業株式会社製「NA−11」)0.2 重量部の添加剤を溶
融混練で加えペレタイズ化し、プロピレン系樹脂(P−
2−R)とした。得られたプロピレン系樹脂(P−2−
R)は、表1に示した組成であり、その物性を表2に示
した。
【0048】このプロピレン系樹脂(P−2−R)を用
いて、射出成形への適合性を評価したところ、フローマ
ークシルバーなどの問題はなく外観の美しい平板が得ら
れた。実施例3 一段目のプロピレンの重合:内容積290リットルの撹
拌機付き反応器に、プロピレン95kg/時間、上記予
備重合触媒10g/時間、トリエチルアルミニウム59
g/時間(520mmol/時間)、ジシクロペンチル
ジメトキシシラン35.3g/時間(155mmol/時
間)、重合調整用水素を1.9 mol%でMFRが203
g/10分になるように調節しながら連続的に供給し
た。反応器は70℃に保持し、液化プロピレンによる塊
状スラリー重合を行ないプロピレンを重合し、プロピレ
ン系重合体(P−3−1)を得た。 二段目のプロピレンの重合:内容積580リットルの撹
拌機付き反応器に、上記の活性触媒を含む一段目の重合
体を供給しつつ、エチレン50kg/時間、プロピレン
95kg/時間、重合調整用水素を0.06mol%で
二段目のみにおけるプロピレン系重合体(P−3−2)
のMFRが1g/10分になるように調節しながら供給
した。反応器は80℃に保持し、液化プロピレンによる
塊状スラリー重合を行ない、一段目の重合体と二段目に
おける重合体を含む、二段重合全体におけるMFRが1
00g/10分であるプロピレン系重合体(P−3−1
2)を得た。
【0049】次に、上記プロピレン系重合体(P−3−
12)75重量部、MFRが0.7g/10分であるエ
チレン−プロピレン共重合体ゴム(P−3−3)25重
量部、タルク(MT5D;富士タルク製)7重量部、ト
リス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイ
ト0.09重量部、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]0.15重量部、ステアリン酸カルシウム
0.08重量部、ナトリウム2,2' −メチレンビス(4,
6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート(旭電化
工業株式会社製,「NA−11」)0.2 重量部を、二軸
押出機(神戸製鋼所製KTXシリーズ)を用いて、21
0℃回転数、300rpmで溶融混練し、MFRが31.9
g/10分であるプロピレン系樹脂(P−3−R)を得
た。得られたプロピレン系樹脂(P−3−R)の物性を
表2に示した。
【0050】このプロピレン系樹脂を用いて、射出成形
への適合性を評価したところ、フローマークシルバーな
どの問題はなく外観の美しい平板が得られた。実施例4 同様に、表1に記載した樹脂部の組成に、トリス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.09重量
部、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]0.15重量部、ステアリン酸カルシウム0.08重量
部、ナトリウム2,2' −メチレンビス(4,6−ジ−
t−ブチルフェニル)フォスフェート(旭電化工業株式
会社製,商品名:NA−11)0.2 重量部を、二軸押出
機(神戸製鋼所製,KTXシリーズ)を用いて、210
℃回転数、300rpmで溶融混練し、MFRが0.7 g
/10分であるプロピレン系樹脂(P−4−R)を得
た。得られたプロピレン系樹脂(P−4−R)の物性を
表2に示した。
【0051】このプロピレン系樹脂を用いて、真空成形
への適合性を評価したところ、ドローダウンが少なく充
分に成形可能であった。実施例5 同様に、表1に記載した樹脂部の組成に、トリス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.09重量
部、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]0.15重量部、ステアリン酸カルシウム0.08重量
部、ナトリウム2,2' −メチレンビス(4,6−ジ−
t−ブチルフェニル)フォスフェート(旭電化工業株式
会社製,商品名:NA−11)0.2 重量部を、二軸押出
機(神戸製鋼所製,KTXシリーズ)を用いて、210
℃回転数、300rpmで溶融混練し、MFRが0.7 g
/10分であるプロピレン系樹脂(P−5−R)を得
た。得られたプロピレン系樹脂(P−5−R)の物性を
表2に示した。
【0052】このプロピレン系樹脂を用いて、射出成形
への適合性を評価したところ、フローマークシルバーな
どの問題はなく外観の美しい平板が得られた。比較例1〜5 実施例1の(1) 固体成分の調整で得られた固体成分を重
合触媒として用い、実施例1と同様に予備重合を実施し
た。同様に、表1記載のMFRおよび重合体を同じく記
載の組成割合で実施例1と同様の添加剤を溶融混練で加
え実施例1と同様にペレタイズ化し、プロピレン系樹脂
(Q−1−R)とした。得られたプロピレン系樹脂(Q
−1−R)の物性を表2に示した。
【0053】これらは、全て添加した弾性体等注目する
弾性体においてパーコレート構造を形成しなかった。ま
た、衝撃強度が十分では無かった。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】パーコレート構造の二次元的模式図を示す。
【図2】実施例1で得られたポリプロピレン系樹脂組成
物を超音波顕微鏡写真(分散構造)を示す。
【図3】実施例1で得られたポリプロピレン系樹脂組成
物を超音波顕微鏡で観察し、その観察された画像(分散
構造)を反射強度のヒストグラム解析により画像処理し
た結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA08 AA13 AA15 AA16 FA03 FC06 4J002 AC082 AC112 BB052 BB121 BB141 BB151 BB152 BC052 BP032 FD010 FD200

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン系樹脂と弾性体からなるプロ
    ピレン系樹脂組成物であって、組成物中に存在する弾性
    体が縦波として伝搬する音速vが3000m/s 以下であり、
    かつ組成物中における弾性体の分布・分散形態が、樹脂
    固体空間中で弾性体が無限に連続しているパーコレート
    構造を有していることを特徴とするプロピレン系樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 音速vが2500m/s 以下である請求項1記
    載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 プロピレン系樹脂が、結晶性ポリプロピ
    レンであり、かつ、キシレン抽出不溶分(XI)におけ
    る13C核磁気共鳴スペクトル分析によるアイソタクチッ
    クペンタッド分率(IP)が95.0%以上である請求項1
    記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 弾性体がオレフィン系弾性体である請求
    項1記載のプロピレン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 弾性体が、スチレンと共役ジエンを含有
    するスチレン系エラストマーもしくはその水添物、エチ
    レン・α−オレフィンランダム共重合体、ならびにエチ
    レン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合
    体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の弾性体で
    ある請求項4記載のプロピレン系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 弾性体の含有量が、組成物の0.05〜50wt
    %である請求項3記載のプロピレン系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 プロピレン系樹脂と弾性体を溶融混合し
    てプロピレン系樹脂組成物を製造するに際し、溶融混合
    物が冷却される過程において、該弾性体が該プロピレン
    系樹脂の非晶部分から排斥されて、該弾性体の分布・分
    散形態が、樹脂固体空間中で弾性体が無限に連続してい
    るパーコレート構造を形成するように条件を選定して製
    造を行なうことを特徴とするプロピレン系樹脂組成物の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 プロピレン系樹脂と弾性体を混合してプ
    ロピレン系樹脂組成物を製造するに際し、プロピレン系
    樹脂と弾性体をその共通溶媒に溶解し、ついで該溶媒を
    蒸発させる過程において、該弾性体が該プロピレン系樹
    脂の非晶部分から排斥されて、該弾性体の分布・分散形
    態が、樹脂固体空間中で弾性体が無限に連続しているパ
    ーコレート構造を形成するように条件を選定して製造を
    行なうことを特徴とするプロピレン系樹脂組成物の製造
    方法。
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