JP2000336217A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物

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JP2000336217A
JP2000336217A JP14730099A JP14730099A JP2000336217A JP 2000336217 A JP2000336217 A JP 2000336217A JP 14730099 A JP14730099 A JP 14730099A JP 14730099 A JP14730099 A JP 14730099A JP 2000336217 A JP2000336217 A JP 2000336217A
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polypropylene resin
propylene
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JP14730099A
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Toshiyuki Iwashita
敏行 岩下
Tasuke Kinoshita
太助 木下
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Japan Polyolefins Co Ltd
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Japan Polyolefins Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融張力が高く、かつ着色がなく機械的強度
あるいは剛性が高く成形性良好なポリプロピレン系樹脂
の組成物。 【解決手段】 (A)動的粘弾性測定による貯蔵弾性率
の周波数ω依存性曲線G'(ω)と損失弾性率の周波数
ω依存性曲線G''(ω)との交点Gcの貯蔵弾性率の値
(単位;Pa)の逆数の105倍であるPIが4以上
で、アイソタクチックペンタッド分率(IP)が0.9
8以上で、メルトフローレートが0.01g/10分〜
300g/10分であるポリプロピレン系樹脂を97重
量部〜20重量部と、(B)メルトフローレートが5g
/10分未満で、次式を満たすポリプロピレン系樹脂を
電離性放射線照射処理したポリプロピレン系樹脂を3重
量部〜80重量部とを有する。IP≧0.0428×l
og(MFR)+0.965

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高溶融張力、剛性、
成形性等に優れたポリプロピレン系樹脂組成物に関す
る。さらに詳しくは、動的粘弾性に関する指数がある特
定の関係にあるポリプロピレン系樹脂に電離性放射線照
射したポリプロピロピレン系樹脂を配合し溶融混練した
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂は一般に安価であ
り、軽量性、耐薬品性、耐酸性、耐熱性などの特徴を生
かして自動車部品、電気・電子部品などの工業材料およ
び各種の包装材料として広く用いられている。近年、包
装材料は環境問題から包装分野での高機能化あるいはコ
スト競争力に伴い、ポロプロピレン系材料に対する特性
向上が強く要求されている。しかし、ポリプロピレン樹
脂は、一般に溶融張力が小さいため押出成形、発泡成
形、ブロー成形などの成形性に劣るという欠点を有す
る。この問題を解決する方法として、例えば、溶融状態
で有機過酸化物と架橋助剤を反応させる方法(特開昭5
9−93711号公報、特開昭61−152754号公
報など)、低分解温度過酸化物を不活性雰囲気で反応さ
せる方法(特開平2−298536号公報)および不活
性雰囲気中で電子線を照射し熱処理する方法(特開昭6
2−121704号公報)などが提案されている。ま
た、剛性を高める方法については、ポリプロピレンの特
徴である結晶性に着目し、結晶性ポリプロピレンについ
てその結晶化度を高める提案がなされている。結晶を高
める目的で、結晶核剤を添加する組成物(例えば、特開
昭62−209151号公報)、繊維等各種充填材を添
加する組成物(例えば、特開平2−77459号公
報)、成形後熱処理する方法(例えば、特開昭62−2
56837号公報)等の試みが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶融張
力に関しては上記方法はいずれも特性の一部を改良する
ものではあるが溶融張力が不十分であり、方法によって
は臭気が残溜するばかりでなく、添加剤処方によっては
着色するという問題もあった。また、剛性に関しては、
通常用いられている成形条件で結晶化させる場合、ポリ
プロピレンの結晶化速度が遅いため、高い結晶化度が得
られず、ポリプロピレンの機械的強度あるいは剛性が十
分に改良されたとは言い難い。
【0004】同様な目的で特開平8−325327号公
報には立体規則性に着目し特定の立体規則性を持つポリ
プロピレンが示されているが、分子量分布(Mw/M
n)が1.5〜3.8と小さく、射出成形等の高速粘性流
動を経る加工法にはフローマーク等の不具合が発生する
ので適さない。さらに、この不利益を解消するために、
分子量の異なるポリマーを組み合わせて分子量分布を制
御する方法として、粘弾性指数として固有粘度[η]を用
い、この値が0.55〜1.2dI/gであるポリプロピ
レンと固有粘度[η]が1.4〜5dI/gであるポリプ
ロピレンとからなる組成物(特公昭50−37696号
公報)、固有粘度[η]が各々0.6〜1.2dI/g及び
1.8〜10dI/gであるポリプロピレンを2段階に
わけて重合する方法(特開昭59−172507号公
報)、結晶性の高い低分子量成分の分子量とその添加量
を固有粘度[η]で規定したポリプロピレン(特開平4−
356511号公報)、粘弾性指数ではなく分子量か
ら、分子量分布としてMw/Mnを用い、この値が1.
8〜4.0で、かつ重量平均分子量Mwが各々1000
〜5万と10万より大きいポリプロピレン(及びポリオ
レフィン)を組み合わせた組成物(特開平6−9829
号公報)等が示されている。しかし、これらのポリプロ
ピレンの剛性は十分改良されたとは言い難く、また、固
有粘度が高すぎるため成形加工には適さない。また、分
子量分布を低分子成分の分子量とその添加量で調製する
方法では、低分子量に起因するシルバーマークが発生す
るなど成形性に問題があり、剛性に関しても十分に改良
されたとは言い難い。
【0005】溶融粘弾性に関する指数として、WO97
/45463には、特定の周波数領域で測定される損失
正接等で規定されるポリプロピレンが示されているが、
物理的ニュートン粘性を示す従来の固有粘度による制御
と何ら変わりなく、これも十分に剛性及び成形性が改善
されたとは言い難い。重量分子量に関して、一般的に非
ニュートン性を示す分子量の高い領域を用いて、分子量
を制御する方法で剛性を改良する試みがなされている。
例えば、特開平3−7704号公報には、重量平均分子
量を150万から700万にする方法が記載されている
が、このように分子量が大きいと流動性が低く、本来ポ
リプロピレンが有している成形加工の容易性を著しく損
失し、切削加工しかできなくなる。また、単に重量分子
量が大きいと結晶性が低下する要因となり、当該ポリプ
ロピレンでは、本来の易成形性と十分な剛性を両立させ
たとは言い難い。
【0006】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、溶融張力が高く、かつ着色がなく機械的強度
あるいは剛性が高く成形性良好なポリプロピレン系樹脂
の組成物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、非ニュートン性高分子溶融体の粘弾性挙
動において応力と正弦的歪みの比として定義される複素
弾性率の実数部(動的弾性率G')と虚数部(損失弾性
率G'')のそれぞれの周波数依存性曲線の交点(Gc)
より105/Gc(MPa)の関係式により求められる
PI値が一定以上あり、アイソタクチックペンタッド分
率が0.98以上のポリプロピレン系樹脂97重量部〜
20重量部と、メルトフローレートが5g/10分未満
で、IP≧0.0428×log(MFR)+0.965
を満足するポリプロピレン系樹脂を電離放射線照射した
処理物3重量部〜80重量部を配合し溶融混練りし組成
物化することにより本発明の目的を達成することも見出
し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
【0008】すなわち、本発明のポリプロピレン系樹脂
組成物は、(A)動的粘弾性測定による貯蔵弾性率の周
波数ω依存性曲線G'(ω)と損失弾性率の周波数ω依
存性曲線G''(ω)との交点Gcの貯蔵弾性率の値(単
位;Pa)の逆数の105倍であるPIが下記要件
(a)を満たし、アイソタクチックペンタッド分率(I
P)が下記要件(b)を満足し、メルトフローレートが
0.01g/10分〜300g/10分であるポリプロ
ピレン系樹脂を97重量部〜20重量部と、(B)下記
要件(c)および(d)を満たすポリプロピレン系樹脂
を電離性放射線照射処理したポリプロピレン系樹脂を3
重量部〜80重量部とを有することを特徴とするもので
ある。 PI≧4.0 ・・・ (a) IP≧0.98 ・・・ (b) メルトフローレートが5g/10分未満 ・・・ (c) IP≧0.0428×log(MFR)+0.965 ・・・ (d) その際、電離性放射線の照射線量は1kGy以上80k
Gy以下のγ線であることが望ましい。また、樹脂分1
00重量部に対して、(C)造核剤が0.01重量部〜
20重量部配合されていることが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂組成物において、
(A)成分であるポリプロピレン系樹脂は、動的粘弾性
測定による貯蔵弾性率の周波数ω依存性曲線G'(ω)
と損失弾性率の周波数ω依存性曲線G''(ω)との交点
Gcの貯蔵弾性率の値(単位;Pa)の逆数の105
であるPIが4以上である。動的粘弾性測定とは、高分
子溶融体の動的粘弾性を測定することをいい、通常の動
的粘弾性を測定する装置で測定できる。動的粘弾性を測
定する装置としては、例えばレオメトリックス社製や岩
本製作所製のメカニカルスペクトルレオメーターと呼ば
れるものが挙げられるが、これらのものに限定されな
い。
【0010】動的粘弾性の測定は溶融状態で行われ、一
般にギャップ負荷法と呼ばれる歪みと応力を測定する。
ギャップとしては円筒型、円錐と円板型、平行円板型な
どがあり、特に限定されるものではないが、一般的に高
分子溶融体は粘弾性体として取り扱かわれるので、平行
円板で測定ができる。高分子溶融体の粘度が低分子のそ
れと同じ程度に低いものは、測定試料が流失しないよう
な、円筒型、円錐と円板型などを用いて測定することが
できる。
【0011】一般に、高分子材料を製品に仕上げる工
程、すなわち成形加工に関しては、この高分子溶融体の
成形加工温度での粘弾性挙動が重要である。例えば高速
で引張ると細く長く伸びることや、細管から押し出すと
この液体が流線方向に縮むバラス効果が観察されること
があるが、これは射出成形においてシルバーやフローマ
ーク等の不良として現われる。このような現象は、レオ
ロジー的性質、特に弾性、長い緩和時間、さらに著しい
非ニュートン性に由来すると考えられる。この粘弾性現
象論においては、二枚の平行板の間に高粘度の高分子溶
融体の液体を詰めてずらす場合(ずり歪み)を考える。
時間:t=0で、一定歪み:γ=γ0を与えたのち、こ
の一定歪み量を保つ応力G(t)は時間と共に指数関数
的に減少する。この時間は、この高粘度液体に固有の応
力が緩和する速さを示し、緩和時間τと呼ばれその物質
固有の値を示す。緩和する応力σ(t)のはじめに与え
た一定歪みγ0に対する比は時間と共に変化する。弾性
率G(t)=σ(t)/γ0は、緩和弾性率といわれ
る。一定歪みを角周波数ωで正弦的に振動する歪みにす
ると、応力と正弦的歪みの比として定義される弾性率G
*(ω)は複素数となり、複素弾性率といわれる。その
実数部を動的弾性率もしくは貯蔵弾性率G'、虚数部を
損失弾性率G''といい、これにより高分子溶融体の非ニ
ュートン性を評価することができる。すなわち、粘弾性
体に正弦的歪みを与えると応力は同じ振動数であるが、
位相がかわることを意味する。tanδ=G'/G''=
1/ωτで示される、δだけ応力の位相が歪みに対して
進んでいる。
【0012】一般的なポリプロピレンの粘弾性性を、正
弦的歪みの周波数ωを横軸にとり、測定した貯蔵弾性率
および損失弾性率を縦軸にプロットした周波数依存曲線
G'(ω)と周波数依存曲線G''(ω)を図1に示す。
周波数範囲が0.01rad/secから150rad
/secにおいて測定した動的粘弾性率の周波数依存曲
線G'(ω)と損失弾性率の周波数依存曲線G''(ω)
の交点Gcとしたとき、Gcにおける貯蔵弾性率の値
(単位;Pa)の逆数を105倍した値を粘弾性に関し
てのPIと定めた(参考文献:エドワード・P・ムーア
・Jr・編著、安田ら説、ポリプロピレンハンドブッ
ク、1998年刊、工業調査会)。なお、本発明におい
て、貯蔵弾性率および損失弾性率の周波数依存曲線は直
線を含むものとする。
【0013】本発明において、Gcは通常210℃で測
定するが、MFRが2g/10分以下のポリプロピレン
系樹脂サンプルは230℃で測定する。また、低分子量
体の含有量が多く非ニュートン的粘性を示す場合やポリ
プロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFR
ともいう。)(測定温度230℃、荷重2.16kg
f)が100g/10分を超えるような分子量の低いも
のは、より低温で、例えば、180℃で測定する。周波
数範囲が0.01rad/secにおいてG'(ω)と
G''(ω)の各曲線が交点を持つようにすることができ
る。さらに粘弾性が低い場合は、円錐型もしくは円筒型
を用いて測定することにより、複素弾性率の周波数を求
められる。ここで、ニュートン性とは図1のようなプロ
ットをした場合に直線的になることを示す(参考文献:
レオロジー学会編、講座・レオロジー(1992年
刊);根本ら、レオロジー学会誌、119巻、181項
(1991年))。
【0014】本発明での(A)ポリプロピレン系樹脂を
規定するPIは、より広範囲で複雑な分子量分布を簡便
に表現することができるので有用な指数である。すなわ
ち、分子量分布の異なるポリマーを組み合わせて分子量
分布を制御する場合、例えば一般的なゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(以下、GPCともいう)では
測定しにくい分子量5000程度以下の分子量体と、カ
ラムの排除限界体積からの限界のためのGPC測定には
なじまない分子量数百万以上の超高分子量体とを組み合
わせような場合、この指数PIを分子量の代わりに用い
ることは有用である。また、例えば、GPC等の分子量
分布曲線における「双山になる」、「ハイモーダルであ
る」、「ショルダーである」、「裾を引く」、「キャメ
ル型の分布」等の表現を避けることができるので有用で
ある。
【0015】本発明における、(A)成分のポリプロピ
レン系樹脂は、上記要件(a)及び(b)を満たす。通
常のポリプロピレン系樹脂では、動的粘弾性測定におい
て大きな非ニュートン粘弾性特性を示さず、周波数の増
加に対しG''が直線的に増加し、G'との交点のG'の値
が高くなるのでそのPIは3程度である。(a)および
(b)を満たすポリプロピレン系樹脂は、動的粘弾性測
定においても大きな非ニュートン性を示し、G'の周波
数依存性が小さくなるか、もしくは負になるためG'と
G''との交点のGc値が低くなるので、PI値は大きく
なる。
【0016】このポリプロピレン系樹脂は、長緩和時間
を有し、低周波数領域での損失弾性率が高くなる(平衡
コンプライアンスが高くなる)ため、より低周波数領域
でGcを有するので、指数PI値が高くなると考えられ
る。本発明においてPI値は大きい方がよく、具体的に
は通常4以上、より好ましくは5以上が好適である。4
未満では、剛性、成形性及び耐熱性も不十分となること
がある。この際、温度範囲が180℃〜230℃、周波
数範囲が0.01〜150rad/secで測定した時
のPI値が4以上であることが好ましい。
【0017】本発明における指数PIは、ポリプロピレ
ン系樹脂全体の性質を表すものであり、従来技術で記載
したような低分子量体と高分子量体の組成比率やそれぞ
れの分子量によるバイモーダル制御のみに限定されるも
のではない。また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成
物は、フローマーク、シルバーなどの不良、機械的性質
の低下、高分子量体が多すぎたり粘性が高すぎたりする
ことによる成形性の困難さを示すようなことはない。
【0018】本発明の(A)ポリプロピレン系樹脂は、
立体規則性の高いアイソタクチックポリプロピレンを含
むものが好ましく、全ポリマーに占めるキシレン抽出不
溶分の割合(XI)が98.0重量%以上であることが
望ましい。ここでXIとは25℃のキシレンに不溶なポ
リマーの重量%であり、具体的には135℃のオルトキ
シレンに溶解させた後、25℃で析出したポリマーの重
量%である。好ましいXIは99.0重量%以上であ
り、XIが98.0重量%未満の場合は、本発明の効果
が低減する傾向にある。
【0019】本発明の(A)ポリプロピレン系樹脂は、
13C核磁気共鳴スペクトルによるアイソタクチックペン
タッド分率(IP)が0.98以上、アイソタクチック
平均連鎖長(N)が500以上、かつキシレン抽出不溶
分のカラム分別法による各フラクションの平均連鎖長
(Nf)が800以上のものの合計が全フラクションの
10重量%以上であることが望ましい。IPが0.98
未満であるとキシレンに対する溶解性が高くなるためX
Iが98.0重量%以上とならず、本発明の効果が低減
する傾向がある。また、Nが500未満であるか、Nf
800以上のものの合計が10重量%未満であると、ポ
リプロピレン系樹脂全体における結晶可能なアイソタク
チック連鎖長が短くなり、ラセミ構造が多い結晶構造に
なるため、本発明の効果が低減する傾向がある。Nが5
00以上であり、Nfが800以上でもその重量分率が
10重量%未満であると、PIが高くても剛性の向上が
小さいことがある。著しくNおよびNfが低い場合も本
発明の効果が低減する傾向がある。また、アイソタクチ
ックペンタッド分率(IP)が0.98未満では、XI
も98重量%未満になり、本発明の効果が低減する傾向
がある。
【0020】ここで言及したIPは、マクロモレキュー
ルズ(Macrmolecules)6巻、925頁(1973年
刊)に記載の方法によるもである。すなわち、IPとは
同位体炭素による核磁気共鳴スペクトル(13C−NM
R)を使用して測定されるプロピレン重合体分子鎖中の
ペンタッド単位でのアイソタクチック分率をいう。な
お、本発明でいうIPは重合で得られたポリプロピレン
そのものの測定であつて、前記キシレン抽出、その他の
抽出、分別等を行なった後のポリプロピレンの測定値で
はない。ピークの帰属は、マクロモレキュールズ(Macr
omolecules)8巻、687頁(1975年刊)記載して
ある上記文献の改訂版に基づいて、13C−NMRスペク
トルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中mmmmピーク
の強度分率をもってIPを測定した。
【0021】アイソタクチック平均連鎖長Nは、ポリプ
ロピレン分子内のメチル基のアイソタクチック平均連鎖
長であり、ポリマー・シーケンス・ディストリビューシ
ョン(polymer Sequence Distribution)第2章(19
77年刊)(アカデミックプレス・ニューヨーク(Academ
ic Press,New York))に記載のJ.C.ランドール
(J.C.Randall)の方法に従った。具体的には、ポリ
プロピレンを1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼ
ンの混合溶媒にポリマー濃度が約10重量%となるよう
に温度120℃に加温して溶解する。この溶液を内径1
0mmΦのガラス製試験管にいれ、先のアイソタクチッ
クペンタッド分率(IP)と同一の測定条件で13C−N
MRを測定する。
【0022】ポリマー・ジャーナル(Polymer Journa
l)15巻(No.12)859〜868頁(1983年)に記載されて
いる2サイトモデルの定義、すなわち重合時の活性点が
2種類あると仮定する。その1種類は触媒支配重合、も
う一方は末端支配重合とよばれるものである(この触媒
支配重合と末端支配重合については、吉川淳二;高分子
のエッセンスとトピックス2,「高分子合成」,73頁,
(株)化学同人発行(1986年)に詳細に述べれてい
る。)。2サイトモデルは、 α:触媒支配重合(アイソタクチック成分中の乱れの程
度の指標)によるD体及びL体が付加する確率; σ:末端支配重合(ベルヌーイ過程)重合末端と同じも
のが付加メソ体ができる確率; ω:αサイトの割合;で整理できる。プロピレン重合体
は、メチル基が立体規則性によりペンタッド単位で10
ピークに分裂するが、実際の測定値と計算強度が一致す
るようにα、σ、ωを最小二乗法で求め、表1に記載の
式によって各ペンタッド単位を求める。
【0023】
【表1】
【0024】次に前述のランドールの文献に記載されて
いるアイソタクチック平均連鎖長(N)式の定義 N=メソ体の連鎖長/メソ体のユニット数 に上記で求めたA1〜A7の各ペンタッド単位を当てはめ
ると N=(A1+A2+A3+0.5(A4+A5+A6+A7))
/0.5(A4+A5+A6+A7) によって平均連鎖長(N)を求めることができる。な
お、本発明におけるN値は、重合で得られたポリプロピ
レンそのものの測定値であって、前記キシレン抽出、分
別を行なった後のポリプロピレンの測定値ではない。
【0025】一般にポリプロピレンの13C−NMRシグ
ナルはメチレン、メチン、メチルの3つの主なピークが
得られ、このメチル領域のピークから不整合の形がわか
る。結晶化可能なアイソタクチック平均連鎖長は不整合
の数と逆数関係にあると考えてよい。不整合の数が多い
ほど、つまりmmmmの構造を切っているラセミ構造が
多いほど、平均連鎖長(N)は短くなる。このようにし
て求められる平均連鎖長(N)は、前述のように結晶化
可能なアイソタクチック構造のシーケンスの長さを表す
ので、この長さが長いほど(つまり不整合が少ないほ
ど)、プロピレン系重合体の剛性等の物性が向上するも
のと考えられる。
【0026】キシレン抽出不溶分のカラム分別法による
各フラクションのアイソタクチック平均連鎖長(Nf)
とは、XI測定時に得られるキシレン抽出不溶部のポリ
プロピレンをパラキシレンに温度130℃で溶解し、セ
ライトに入れ、10℃/時間の降温速度で30℃まで下
げ、セライトに付着させ、これをカラムに充填し、温度
70℃から130℃まで2.5℃ごとに昇温して、フラ
クション別に分取し、分取された各フラクションごとに
アイソタクチック平均連鎖長を先の方法で求め、これを
各フラクションのアイソタクチック平均連鎖長(Nf)
とした。
【0027】本発明の(A)ポリプロピレン系樹脂は、
下記条件を満たすと、本発明の効果をより一層高めるこ
とができる。本発明の(A)ポリプロピレン系樹脂の数
平均分子量(Mn)は、特に限定されるものではない
が、30000以上が好ましく、重量平均分子量(M
w)は、特に限定されるものではないが、20万以上1
00万未満であり、Z平均分子量(Mz)は、特に限定
されるものではないが、200万以上が好ましい。ま
た、Mw/Mnは、特に限定されるものではないが、
7.0以上が好ましく、Mz/Mwは、特に限定される
ものではないが、7.0以上が好ましい。
【0028】本発明の(A)ポリプロピレン系樹脂にお
いて、全分子中に占める分子量が100万以上のものの
割合は、特に限定されるものではないが、5.0重量%
以上が好ましい。また、固有粘度(極限粘度ともいい、
[η]で示される。)は、特に限定されるものではない
が、テトラリン中、135℃で測定して得られる値が
4.0dl/gを超えることが好ましい。
【0029】本発明での(A)ポリプロピレン系樹脂の
メルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg
f「MFR」という)は、0.01g/10分〜300g
/10分が好ましく、0.1g/10分〜150g/1
0分が好適である。
【0030】本発明での(A)ポリプロピレン系樹脂
は、上記の要件(a)および(b)を満足するするよう
に調製できれば、その製造方法は特に限定されない。例
えば、チーグラーナッタ触媒を用いてプロピレンの重合
によって製造することができる。特に、アイソタクチッ
クポリプロピレンを与える触媒を用いて、重合条件を調
整することにより得ることができる。また、個別に重合
して得られたものを少なくとも2種類混合することによ
り得ることもできる。
【0031】本発明での(A)ポリプロピレン系樹脂に
用いられる触媒は、特に限定されるものではないが、例
えば以下の調製方法によって得られるオレフィン重合用
触媒成分に有機金属成分を組み合わせたものを用いるこ
とができる。オレフィン系重合触媒成分は、(1)塩化
マグネシウム・アルコキシシレン付加物、四塩化チタン
・電子供与性化合物錯体、チタン化合物及び電子供与性
化合物を共粉砕する方法、(2)塩化マグネシウム・ア
ルコキシシラン付加物と四塩化チタン・電子供与性化合
物錯体とを接触させた後、チタン化合物及び電子供与性
化合物を逐次的に接触させる方法等により調製すること
ができる。このようにして得られたオレフィン系重合用
触媒成分は、そのままオレフィン系重合体の製造に用い
てもよいが、ろ過及び洗浄等の操作により未反応物及び
副生成物を除去した後用いることもできる。
【0032】上記チタン化合物としては、四塩化チタ
ン、三塩化チタン、四臭化チタン等のハロゲン化チタン
が好ましく、より好ましくはハロゲンを含む4価のチタ
ン化合物であり、特に好ましくは、四塩化チタンであ
る。
【0033】上記電子供与性化合物としては、アルコキ
シ基を有する有機ケイ素化合物、窒素含有化合物、リン
含有化合物及び酸素含有化合物の中から選ばれる化合物
を少なくとも一種類以上用いることが好ましい。これら
のうち、特にアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物を
用いることが好ましい。電子性供与性の使用量は、有機
アルミニウム化合物に対するモル比が0.001〜5、
好ましくは0.01〜1の範囲内である。
【0034】本発明での(A)ポリプロピレン系樹脂
は、プロピレンの単独で重合させることによって得られ
るが、プロピレンとエチレンまたはα−オレフィンを共
重合させることによって得ることができる。α−オレフ
ィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メ
チル−1−ペンテンを例示することができる。これら2
種以上のコモノマーを混合してプロピレンとの共重合に
用いることもできる。
【0035】本発明での(A)プロピレン系樹脂は、単
段重合、多段重合、連続多段重合で製造することができ
る。重合はスラリー重合法、気相重合法、またはスラリ
ー重合法と気相重合法との組み合わせ等によって行うこ
とができる。また、ポリプロピレン系樹脂は単段重合品
同士、単段重合品と多段重合品、または、多段重合品同
士を組み合わせて、各成分を混合することにより得るこ
とができる。該混合は、2種またはそれ以上の複素成分
を組み合わせることにより行うことができる。
【0036】このポリプロピレン系樹脂を連続多段重合
により製造する場合の具体的な製造方法を例示すると、
一段目はスラリー法重合または気相法にて、チーグラー
ナッタ触媒で、分子制御剤として水素を使用し、水素濃
度0〜0.008mol%、重合圧力30〜50kg/
cm2、重合温度70℃〜80℃でハイロードメルトフ
ローレート(温度230℃、荷重21.6kgfのMF
R:以下、「HLMFR」と記す)が0.1g/10分
〜20g/10分のポリプロピレン系重合体を得、二段
目で分子量制御剤として水素を使用し、重合圧力30〜
50kg/cm 2、重合温度70℃〜80℃で、MFR
が5〜300g/10分のポリプロピレン系樹脂を得、
さらに、三段目で、スラリー法重合または気相法重合に
て、チーグラーナッタ触媒で、分子量制御剤として水素
を使用し、水素濃度0〜0.01mol%、重合圧力3
0〜50℃kg/cm2、重合温度70℃〜80℃で、
HLMFRが1〜50g/10分のプロピレン系重合体
が得られる。また、重合温度、分子量制御剤を任意の場
所時間で添加および除去できる重合設備でも当該重合体
が得られる。
【0037】また、ポリプロピレン系樹脂を複数の重合
成分を混合して製造する場合には、公知の技術をそのま
ま利用することができる。例えば,重合して得られた粉
体および造粒ペレットをミキサーやタンブラー等のバッ
チ式に混合する方法や計量装置を活用しニューマー搬送
装置など連続的に添加して混合する方法があげられる。
混合割合いを高めるため溶融混合方法が利用される。例
えば、粉体および造粒ペレットを溶融混練り機、例え
ば、ニーダー、ロール、ブラベンダー、押出機などで溶
融混合して、造粒機でペレット化する方法がある。特に
限定されるものではないが、生産性を向上するために押
出機が一般的に用いられ、特に好ましくは、ローター部
分を有する二軸押出機、さらに分子量や溶融粘度が著し
く異なるものを溶融混合する場合、2台の押出機を直列
に連結した形式のタンデム押出機がより好ましい。
【0038】混合する場合の具体的な各成分比の一例と
して、成分(1):重量平均分子量Mwが5.0×104
〜15.0×104、より好ましくは7.0×104〜1
3.0×104のポリプロピレン系重合体を70重量%〜
97重量%、成分(2):重量平均分子量Mwが100
×104〜900×104、より好ましくは150×10
4〜500×104、のポリプロピレン系重合体を3重量
%〜30重量%、および成分(3):重量平均分子量M
wが15.0×104を超え100×104未満、より好
ましくは18.0×104〜80.0×104のポリプロピ
レン系重合体を0〜10重量%が挙げられる。このよう
な各成分で混合することで、本発明の効果を十分発揮で
きる。なお、上記成分は単段重合、連続重合で製造する
ことができる。
【0039】本発明での(B)成分であるポリプロピレ
ン系樹脂は、(c)MFR<5g/10分で、(d)I
P≧0.0428logMFR+0.965を満たすもの
を用いる。
【0040】上記(c)および(d)を満足するポリプ
ロピレン系樹脂を得るためには、高立体規則性をもつ程
よく、これを得る触媒系は特に限定しないが、上記
(A)のポリプロピレン系樹脂を得るための触媒を用い
ることが好ましい。
【0041】(B)のポリプロピレン系樹脂は、プロピ
レンの単独で重合体、プロピレンと他のα−オレフィ
ン、例えば、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘ
キセン−1、ヘプタン−1、4−メチルペンテン−1、
オクテン−1などとのランダム共重合体およびブロック
共重合体などが挙げられる。これらは2種以上のコモノ
マーを混合してプロピレンとの共重合に用いてもよく、
これらの樹脂は1種でもよく二種以上を併用してもよ
い。
【0042】(B)のポリプロピレン系樹脂はMFRが
5g/10分未満であって、アイソタクタクチックペン
タッド分率(IP)とMFRの関係が、IP≧0.04
28logMFR+0.965を満たすものを電離性放
射で照射処理したものである。電離性放射線照射は、不
活性ガス下または空気雰囲気下で行ってもよいが作業性
およびコストの面から空気雰囲気下で行うことが望まし
い。また、上式のMFRとIPの関係は、MFR=4g
/10分ではIP=0.991以上、MFR=3.0g/
10分ではIP=0.985以上、MFR=2.0g/1
0分ではIP=0.978以上、MFR=1g/10分
ではIP=0.965以上であれば、上記関係式を満足
する。
【0043】電離性放射線としては電子線、X線、α線
およびγ線があげられるが透過能力および作業性の観点
からγ線が好ましい。照射線量は一般に1kGy以上8
0kGy以下であり、2kGyから70kGyが好まし
く、特に5kGyから60kGyが好ましい。1kGy
未満では(A)のポリプロピレン系樹脂と溶融混練りし
ても溶融張力および剛性の向上が期待できない。一方、
80kGy以上ではポリプロピレン系樹脂にもよるがゲ
ル化が見られ(A)のポリプロピレン系樹脂との溶融混
練が均一にできないばかりでなく分散不良を起こし綺麗
なストランドが得られないばかりでなく、成形性が悪
い。
【0044】本発明において電離性放射線照射した
(B)のポリプロピレン系樹脂は、溶融張力の向上、機
械的強度、剛性の向上のために配合されるものである。
これらのポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重
合体、プロピレンと20重量%以下の他のα−オレフィ
ン、例えば、エチレン、ブテン−1、4−メチルペンテ
ン−1オクテン−1などとのランダム共重合体およびブ
ロック共重合体などがあげられる。なお、上記コモノマ
ーは2種以上を混合してプロピレンとの共重合体にした
ものを用いてもよい。これらの樹脂は1種でもよく二種
以上を併用してもよい。(B)成分のポリプロピレン系
樹脂の製造は、上記の触媒を用いて製造されるものであ
り、前記(a)および(b)を限定するものではない。
【0045】本発明において電離性放射線照射処理した
(B)のポリプロピレン系樹脂の配合量は、3〜80重
量部、とくに5重量部〜70重量部が好ましい。電離性
放射照射処理したポリプロピレン系樹脂の配合量が3重
量部未満では溶融張力の向上、機械的強度および剛性の
向上が期待できない。また、80重量部以上でも効果は
発揮するが、平衡でありそれ以上ある必要はない。
【0046】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の溶
融張力は、ブロー成形、発泡成形および真空成形(シー
ト成形含む)等の分野は3g以上であることが望まし
く、特に、4g以上が望ましい。一方、射出成形等は特
に限定しない。
【0047】また、本発明は、造核剤を配合することに
より更なる剛性の向上が期待できる。造核剤は合成分野
おいてポリプロピレンなどの結晶性樹脂に添加して結晶
の核となって結晶を成長させる効果のある物質をいい、
各種の物質が知られている。例えば、カルボン酸の金属
塩、ジベンジリデンソルビトール誘導体、フォスフェー
トアルカリ金属塩、タルク等の無機化合物など挙げられ
る。具体例としては、安息香酸ナトリウム、アジピン酸
アルミニウム、アルミニウムーp−t−ブチルベンゾエ
ート、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,
3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4
−ビスー(p−エチルベンジルデン)ソルビトール、
1,3−p−クロルベンジリデン2,4−p−メチルベン
ジリデンソルビトール、ソジウムービスー(4−t−メ
チルフェニルフォスフェート、カリウムービスー(4,
6−ジーt−ブチルフェニル)フォスフェート、ソジウ
ムー2−2'−メチレンービスー(4,6−ジーt−ブチ
ルフォスフェート、ソジウムー2−2'エチリデンービ
スー(4,6−ジーtブチルフェニル)フォスフェート
ならびにタルク、炭酸カルシウムなども挙げられる。ま
た、高密度ポリエチレンも造核剤として使用可能であ
る。これらの造核剤は1種でもよく2種以上を併用する
こともできる。
【0048】これらの造核剤の添加量は、上記ポリプロ
ピレン系樹脂組成物の樹脂分100重量部に対して、
0.01重量部〜20重量部とするとよい。好ましく
は、0.05重量部〜15重量部、特に好ましくは、0.
05〜10重量部の範囲である。結晶核剤が、0.01
重量部未満では、剛性の改善効果が乏しく好ましくな
い。20重量部を超えると、効果が飽和する場合があ
り、コスト高となる。なお、高密度ポリエチレンについ
ては0.1重量部〜10重量部、好ましくは1重量部〜
5重量部である。0.1重量部未満では剛性の改善効果
が乏しく、10重量部以上では逆に剛性が低下する場合
がある。
【0049】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
上記成分を従来の公知の混合方法を用いて得られる。例
えば、ドライブレンド、ヘンシェルミキサー、リボンミ
キサー等を用いて混合した後、ミキシングロール、バン
バリーミキサー、ニーダー、押出機などの混練り装置を
用いて溶融混合する方法などが挙げられる。溶融する際
の温度は一般に170℃〜280℃であり、180℃〜
260℃の範囲で行うことが望ましい。
【0050】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
合成樹脂分野で一般に実施されている公知の成形加工技
術を用いて所望の形状の製品に供することができる。成
形加工技術は特に限定されるものではないが、成形機械
形状により射出成形、中空成形、押出成形があり、さら
に成形樹脂製品の形状により、フィルム成形、テンター
成形、シート成形、真空成形、押出ラミネート成形、プ
ロファイル成形、繊維紡糸、不織布、圧縮成形、発泡成
形等が挙げられる。これらを一種またはそれ以上複数の
成形加工技術を組み合わせて、所望の形状の製品に供す
ることができる。
【0051】例えば射出成形の場合、公知の技術として
用いられている方法であれば特に限定されないが、加熱
スクリュー内で可塑化した樹脂を所定の金型内に充填
し、保圧を経て型内で冷却固化させることによって行う
ことができる。射出成形としては、プランジャー式射出
成形機、スクリュー式射出成形機、スクリュー式予備可
塑化式成形機、インラインスクリュー式射出成形機、ベ
ント式射出成形機、ガスアシスト式成形機、射出圧縮成
形機、射出延伸成形機、射出中空成形機等が挙げられ
る。一般に射出成形機は、寸法成形に優れ、成形サイク
ルが短く、複雑な形状の製品を大量生産するのに適し、
当該成形加工に使用するポリプロピレン系樹脂組成物と
しては、充填時の樹脂流動に起因するフローマークやシ
ルバー等を発生しないものがより好まれる。
【0052】複数の成形加工技術を組み合わせるものし
ては、例えば真空成形では、Tダイ押出成形、カレンダ
ー成形等で製造したシートを両端をクランプしたまま加
熱軟化させ、雌型とクランプとの隙間を真空にしプラグ
及び圧空等を利用して、可塑化したシートを金型に密着
させて賦形し、冷却後金型から成形品を取り出すことに
より成形品を安価大量生産することができる。当該成形
加工に使用するポリプロピレン系樹脂組成物としては、
加熱軟化時にシートの自重によるたれや変形等のドロー
ダウンの発生を避けるため、エチレン系樹脂を添加する
ことが一般的に好まれているが、エチレン系樹脂を添加
すると剛性や耐熱性の低下が避けられないので、ポリプ
ロピレン系樹脂のみでドローダウンの発生を押えること
が最も望ましい。
【0053】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
所望により慣用の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐
候性安定剤、帯電防止剤、滑剤、防曇剤、電気特性改良
剤、加工改良剤、顔料、発泡剤、柔軟剤などを本発明の
目的を損なわない範囲で添加することもできる。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。なお、物性は以下の方法で測定した。 動的粘弾性:ポリプロピレン系樹脂を気泡が入らないよ
うに230℃で5分間プレスで圧縮成形し、厚さ1.5
mm、直径25mmの円盤状の測定サンプルとした。測
定は、レオメトリック(Rhcometics)社製のレオメータ
ー(Rhemeter)(RMS800)を使用して行った。
1.4mmの間隙をおいて配置された直径25mmの平
行円板を使用して、MFRが2g/10分以下のサンプ
ルは230℃で、MFRが2g/10分を超えるサンプ
ルは210℃で、かつ、周波数範囲が0.01rad/
sec〜150rad/secにて貯蔵弾性率(G')
と損失弾性率(G'')を測定した。曲線G'(ω)と
G''(ω)とが交わる点Gcにおける貯蔵弾性率(単
位:Pa)の逆数の105倍をPIとした。
【0055】MFR及びHLMFRの測定:JIS K
7210に準拠し、230℃で測定した。
【0056】コモノマー含量:核磁気共鳴(13C−NM
R)及び赤外分光度計で求めた。
【0057】溶融張力(MT):東洋製作所製メルトテ
ンション2型を用いて、温度230℃の条件でノズル
(口径:2.095mm、L/D=3.8)から速度15
mm/分で23℃の空気中に押出したストランドを引取
速度6.4m/分で引き取った際にかかる荷重(g)で
表した。
【0058】曲げ弾性率:射出成形にて試験片をJIS
K6758記載の方法に従って調製した。曲げ弾性率
は、JIS K7203により測定した。 耐熱性:耐熱性は、荷重たわみ温度(HDT)として、
JIS K7207により測定した。
【0059】キシレン抽出不溶分の割合(XI):粉体
状のポリプロピレン系樹脂2g精秤しサンプルとする。
アリーン冷却器と温度計を備えた300mlフラスコに
サンプルとO−キシレンを250mlを入れ加熱した。
加熱は温度153℃で30分実施した。その後25℃ま
で放置冷却した。その固形物をろ過し、固形物を窒素雰
囲気下で140℃30分加熱乾燥した。十分放冷した
後、秤量し、キシレン不溶分の割合(重量%)を求め
た。
【0060】キシレン抽出不溶分のカラム分別法による
各フラクション重量分析:上記のキシレン抽出不溶分を
p−キシレンに温度130℃で溶解し、セライトを加
え、温度勾配10℃/hrで30℃まで冷却し、キシレ
ン抽出不溶分をセライトに吸着させた。この吸着物を円
筒状のカラムに充填し、展開液としてp−キシレンを流
しながら温度を70℃から130℃まで、2.5℃ごと
に昇温し、各温度ごとのフラクションに分別した。展開
液をエバポレートし、固形物を窒素雰囲気下で140℃
30分間加熱乾燥した。十分放冷した後、秤量し、各フ
ラクションの重量割合(重量%)を求めた。
【0061】アイソタクチックペンタッド分率(IP)
及びアイソタクチック平均連鎖長(N)と各フラクショ
ンのアイソタクチック平均連鎖長(Nf)の測定:測定
は日本電子(株)JNM−GSX400(13C核磁気共
鳴周波数100MHz)を用いて、以下の測定条件で行
なった。IPはマクロモレキュールズ(Macrmolecule
s)6巻、925頁(1973年刊)に記載の方法に従
い、N及びNfはポリマーシーケンス・ディストリビュ
ーション(Polmer Sequence Distribution)第2章
(1977年刊)(アカデミックプレス・ニューヨーク
(Academic Preess,New York)に記載のJ.C.ランド
ール(J.C.Randall)の方法に従って算出した。 測定モード:プロトンデカップリング法、 パルス幅:8.0μs、 パルス繰返時間:3.0μs、 積算回数:20000回、 溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼ
ン混合溶媒(75/25重量比)、 内部標準化合物:ヘキサメチルジシロキサン、 試料温度:300mg/3.0ml(溶媒)、 測定温度:120℃
【0062】分子量(Mw):GPCを用いて測定し
た。 検量線の作製 0.1重量%の2,6−ジ−t−ブチルーp−クレゾール
(BHT)を含む1,2,4−トリクロロベンゼン10m
olに、分子量の異なる3種の標準ポリスチレン試料
(昭和電工(株)社製)をそれぞれ2mg入れ、室温、
暗所で1時間溶解し、その後GPC測定によりピークト
ップの溶出時間の測定を行った。この測定を繰り返し、
計12点(分子量580から850万)の分子量とピー
クトップの溶出時間より、1次式近似で検量線を作製し
た。 サンプルの測定 0.1重量%のBHTを含む1,2,4−トリクロロベン
ゼン5mlに、試料を2mg入れ、160℃で2時間撹
拌しながら溶解を行い、その後GPC測定を行った。 その他の測定条件 装置:ウォーターズ(Waters)社製 150℃、 移動層:1,2,4−トリクロロベンゼン(BHT0.1
重量%を含む)、 カラム:昭和電工(株)社製ショウデックスHT−G
(1本)、ショウデックスHT−806(2本)、 測定温度:140℃、 サンプル調製:約2mgを3.5mlの1,2,4−トリ
クロロベンゼン(BHT0.1重量%含む)に160℃
で2時間かけて溶解させた。
【0063】成形性の評価:メルトフローレートが2g
/10分以下の場合は、真空成形性を評価した。真空成
形性は、50mmΦTダイにて幅50mm厚さ50μm
長さ150mmシートを作製し、簡易型真空成形装置に
てコップ形状金型にて、ドローダウン性と成形品の外観
を評価した。メルトフローレートが2g/10分より大
きい場合は、射出成形性を評価した。射出成形への適合
性は、流動アスペクトが大きい大型平板(600×15
0×0.5mm)を東芝機械製の500Tの射出成形機
を用いて成形し、成形品の外観を評価した。 外観評価;MFRのストランドまたはペレタイズ時のス
トランドを目視により次の3段階で評価した。 〇:荒れがなく奇麗である。 △:ストランドがザラザラしている。 ×:ストランドが荒れており原形を保っていない。
【0064】[オレフィン系重合用触媒成分の調製] (1)固体成分の調製 無水塩化マグネシウム568g(5.97mol)を無
水エタノール1.0kg(1.74mol)、出光興産
(株)製のワセリンオイル「CP15N」5.0リット
ルおよび信越シリコーン(株)のシリコーン油「KF9
6」5.0リットル中に、窒素雰囲気下、120℃で完
全に溶解させた。この混合物を特殊機化工業(株)製の
TKホモミキサーを用いて120℃、3000回転/分
で3分間撹拌した。撹拌を保持しながら、20リットル
の無水ヘプタン中に0℃を超えないように移送した。得
られた白色固体を無水ヘプタンで十分に洗浄し室温下で
真空乾燥した。得られたMgCl2・2.5C25OHの
球状固体300gを無水ヘプタン2.0リットル中に懸
濁させた。0℃で撹拌しながら、四塩化チタン5.0リ
ットル(45mol)を1時間かけて滴下した。次に加
熱を始めて、40℃になったところで、フタル酸ジブチ
ル49.6g(178mmol)を加えて、100℃ま
で約1時間で昇温させた。100℃で2時間反応させた
後、熱時ろ過にて固体部分を採取した。次いで60℃の
ヘキサン10リットルで7回、室温のヘキサン10リッ
トルで3回洗浄し、固体成分をえた。
【0065】(2)TiCl4[C64(COOiC
492]の調製 四塩化チタン190g(1.0mol)を含むヘキサン
10リットルの溶液にフタル酸ジブチル278g(1.
0mol)を0℃に保持しながら、約30分間で滴下し
た。滴下終了後、40℃に昇温し30分間反応させた。
反応終了後、固体部分を採取しヘキサン5.0リットル
で3回洗浄し目的物を得た。
【0066】(TiCl4[C64(COOiC492]
による処理 上記(1)で得られた固体成分400gをトルエン6.
0リットルに懸濁させ、25℃で、TiCl4[C64
(COOiC492]を103g(220mmol)
と1時間処理して担持させた。担持終了後、ろ過にて固
体部分を採取し、その後、この反応物にトルエン6.0
リットル、四塩化チタン200ml(1.8mol)を
懸濁させた後、90℃で2時間反応させた。反応終了
後、再度熱時ろ過にて固体部分を採取した。次いで、9
0℃トルエン10リットルで5回、室温のヘキサン10
リットルで3回洗浄し、オレフィン重合用固体触媒成分
を得た。
【0067】予備重合:窒素雰囲気下、内容積50リッ
トルのオートゲレーブ中に、n−ヘプタン10リット
ル、トリエチルアルミニウム120g(1.6mo
l)、ジシクロペンチルジメトキシシラン78g(34
0mml)、及び上記(3)で得られたオレフィン重合
用固体触媒成分200gを投入し、0〜5℃の温度範囲
で5分間撹拌した。次に、固体触媒成分1gあたり10
gのプロピレンが重合するようにプロピレンをオートグ
レーブ中に供給し、0〜5℃の温度範囲で1時間予備重
合した。得られた予備重合触媒は、n−ヘプタン10リ
ットルで3回洗浄を行い、以下のポリプロピレン系樹脂
の製造に使用した。
【0068】[(A)成分のポリプロピレン系樹脂の重
合] 〔製造例1〕 一段目のプロピレンの重合:内容積290リットルの撹
拌機付き反応器に、プロピレン95kg/時間、上記予
備重合触媒10g/時間、トリエチルアルミニウム59
g/時間(520mmol/時間)、ジシクロペンチル
ジメトキシシラン35.3g/時間(155mmo
l)、重合調整用水素を0.0030mol%でHLM
FRが1g/10分になるように調節しながら連続的に
供給した。反応器は80℃に保持し、液化プロピレンに
よる塊状スラリー重合を行いプロピレンを重合した。一
部サンプリングしたところ、予定どうり、HLMFRが
1g/10分のポリプロピレン系重合体(P−1−1)
が得られた。
【0069】二段目のプロピレンの重合:内容積580
リットルの撹拌付き反応器に、上記の一段目重合体を供
給しつつ、プロピレン95kg/時間、重合調整用水素
を1.3mol%で二段目のみにおけるポリプロピレン
系重合体(P−1−2)のMFRが10g/10分にな
るように調節しながら供給した。反応は80℃に保持
し、液化プロピレンによる塊状スラリー重合を行い、一
段目の重合体と二段目における重合体を含む、二段重合
体における重合体(P−1)(MFRが0.48g/1
0分)を得た。該二段重合体における重合体(P−1)
100重量部に対して、テトラキス[3−(3,5−ジー
t−ブチルー4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタン0.05重量部、ステアリン酸カルシウム0.
08重量部の添加剤を加えブレンド後、溶融混練りしペ
レタイズ化し、ポリプロピレン系樹脂(P−1−R)と
した。得られたポリプロピレン系樹脂(P−1−R)
は、一段目のポリプロピレン系重合体が33重量部、二
段目のポリプロピレン系重合体が67重量部含まれるも
のであった。表2に各成分の重合体及び全体の樹脂のM
FR、Mw、組成割合、PI、IPを示す。
【0070】〔製造例2〕 一段目のプロピレンの重合:上記製造例1と同様に行な
い、ポリプロピレン系重合体(P−2−1)を得た。 二段目のプロピレンの重合:内容積580リットルの撹
拌付き反応器に、上記の一段目の重合体を供給しつつ、
プロピレン95kg/時間、重合調整用水素を1.4m
ol%で二段目のみにおけるポリプロピレン系重合体
(P−2−2)のMFRが20g/10分になるように
調節しながら供給した。反応器は80℃に保持し、液化
プロピレンによる塊状スラリー重合を行ない、一段目と
重合体と二段目における重合体を含む、二段重合全体に
おける重合体(P−2)(MFRが0.8g/10分)
を得た。該二段重合体(P−2)100重量部にテトラ
キス[3−(3,5−ジーt−ブチルー4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]メタン0.05重量部、ス
テアリン酸カルシウム0.08重量部の添加剤を加えブ
レンド後、溶融混練りしペレタイズ化し、ポリプロピレ
ン系樹脂(P−2−R)とした。得られたポリプロピレ
ン系樹脂(P−2−R)は、一段目のポリプロピレン系
樹脂37重量部、二段目のポリプロピレン重合体63重
量部含まれるものであった。表2に各成分の重合体及び
全体の樹脂のMFR、Mw、組成割合、PI、IPを示
す。
【0071】〔製造例3〕内容積290リットルの撹拌
機付き反応器に、プロピレン95kg/時間、上記予備
重合触媒10g/時間、トリエチルアルミニウム59g
/時間(520mmol/時間)、ジシクロペンチルジ
メトキシシラン35.3g/時間(155mmol/時
間)、重合調整用水素0.04mol%でMFRが1g
/10分になるように調節しながら連続的に供給した。
反応器は75℃に保持し、液化プロピレンによる塊状ス
ラリー重合を行ないプロピレンを重合し、ポリプロピレ
ン系重合体(P−3−1)を得た。次に、上記ポリプロ
ピレン系重合体(P−3−1)50重量部、上記製造例
1のポリプロピレン系樹脂(P−1)を50重量部、テ
トラキス[3−(3,5−ジーt−ブチルー4−ヒドロ
キシフェニル)プロピネート]メタン0.05重量部、
ステアリン酸カルシウム0.08重量部の添加剤を加え
ブレンド後、二軸押出機(神戸製鋼所製、KTXシリー
ズ)を用いて、210℃、回転数300rpmで溶融混
練りし、MFRが0.7g/10分であるポリプロピレ
ン系樹脂(P−3−R)を得た。表2に各成分の重合体
の及び全体の樹脂のMFR、Mw、組成割合、PI、I
Pを示す。
【0072】〔製造例4〕内容積290リットルの撹拌
付き反応器に、プロピレン95kg/時間、上記予備重
合触媒10g/時間、トリエチルアルミニウム59g/
時間(520mmol/時間)、ジシクロペンチルジメ
トキシシラン35.3g/時間(155mmol/時
間)、重合調整用水素を1.0mol%でMFRが10
0g/10分になるように調節しながら連続的に供給し
た。反応器は80℃に保持し、液化プロピレンによる塊
状スラリー重合を行ないプロピレン重合し、プロピレン
重合体(P−4−1)を得た。次に、上記プロピレン重
合体(P−4−1)85重量部、上記製造例1の一段目
のみの重合により得られたプロピレン重合体(P−1−
1)15重量部、テトラキス[3−(3,5−ジーt−ブ
チルー4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン0.05重量部、ステアリン酸カルシウム0.08重量
部を配合しブレンド後、二軸押出機(神戸製鋼所製、K
TXシリーズ)を用いて、210℃、回転数300rp
mで溶融混練りし、MFRが11.7g/10分である
ポリプロピレン系樹脂(P−4−R)を得た。表2に各
成分の重合体及び全体樹脂のMFR、Mw、組成割合、
PI、IPを示す。
【0073】〔製造例5〕内容積290リットルの撹拌
機付き反応器に、プロピレン95kg/時間、上記予備
重合触媒10g/時間、トリエチルアルミニウム59g
/時間(520mmol/時間)、ジシクロペンチルジ
メトキシシラン35.3g/時間(155mmol/時
間)、重合調整用水素を1.9mol%でMFRが20
3g/10分になるように調節しながら連続的に供給し
た。反応器は70℃に保持し、液化プロピレンによる塊
状スラリー重合を行いプロピレンを重合し、プロピレン
系重合体(P−5−1)を得た。次に、上記プロピレン
系重合体(P−5−1)80重量部、上記製造例1のプ
ロピレン重合体(P−1)20重量部、テトラキス[3
−(3,5−ジーt−ブチルー4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]メタン0.08重量部、ステアリン
酸カルシウム0.08重量部を配合しブレンド後、二軸
押出機(神戸製鋼所製、KTXシリーズ)を用いて、2
10℃回転数、300rpmで溶融混練りし、MFRが
31.9g/10分であるポリプロピレン系樹脂(P−
5−R)を得た。表2に各成分の重合体および全体の樹
脂のMFR、Mw、組成割合、PI、IPを示した。
【0074】〔製造例6〕上記(1)固体成分の調製で
得られた固体成分を重合触媒として用い、上記同様に予
備重合を実施した。次に、一段目のプロピレンの重合に
おける重合調整用水素を0.18mol%として、一段
目のプロピレン系重合体(Q−1−1)のMFRが9.
7g/10分になるように調整し、二段目のプロピレン
の重合における重合調整用水素を0.2mol%とし
て、二段目のみのプロピレン系重合体(Q−1−2)の
MFRが300g/10分になるように調整し、一段目
の重合体(Q−1−1)と二段目における重合体(Q−
1−2)を含む、二段重合全体における重合体のMFR
が23.2g/10分であるポリプロピレン系樹脂(Q
−1)を得た。上記製造例1と同様の添加剤を配合しブ
レンド溶融混練りで加え上記製造例1と同様にペレタイ
ズ化し、ポリプロピレン系樹脂(Q−1−R)とした。
表2に各成分の重合体および全体の樹脂のMFR、M
w、組成割合、PI、IPを示した。
【0075】〔製造例7〕窒素雰囲気下、内容積60リ
ットルの撹拌付きオートクレーブに東ソー・アクゾ
(株)製AA型三塩化チタン6.0g、ジエチルアルミ
ニウムクロライド23.5g(195mmol)を入
れ、次いでプロピレン18kgを導入し、重合調整用水
素をプロピレンに対し0.40mol%になるように装
入し、80℃まで昇温させ1時間重合を行った。1時間
後、未反応のプロピレンを除去し、重合を終結させた。
その結果、MFRが12.1g/10分のポリプロピレ
ン系樹脂(Q−2)が得られた。次に、ポリプロピレン
系樹脂(Q−2)上記製造例1と同様の添加剤を配合し
ブレンド後ペレタイズ化しポリプロピレン系樹脂(Q−
2−R)とした。表2にポリプロピレン系樹脂のMF
R、Mw、組成割合、PI、IPを示した。
【0076】〔製造例8〕窒素雰囲気下、内容積60リ
ットルの撹拌機付きオートクレーブに東ソー・アクゾ
(株)製AA型三塩化チタン6.0g、ジエチルアルミ
クロライド23.5g(195mmol)を入れ、次い
で、プロピレン18kg、プロピレンに対して0.01
6mol%になるように水素を装入し、80℃まで昇温
させ1時間の重合を行った。1時間後、未反応のプロピ
レンを除去し、重合を終結させた。その結果、MFRが
0.7g/10分のポリプロピレン系樹脂(Q−3)が
得られた。上記製造例1と同様の添加剤を配合しブレン
ド後溶融混練りを加え上記製造例1と同様にペレタイズ
化し、ポリプロピレン系樹脂(Q−3−R)とした。表
2にポリプロピレン系樹脂のMFR、Mw、組成割合、
PI、IPを示した。
【0077】〔製造例9〕実施例(1)の固体成分の調
製で得られた固体成分を重合触媒として用い、上記製造
例1と同様に予備重合を実施した。次に、一段目のプロ
ピレンの重合における重合調整用水素を0.02mol
%として、一段目のプロピレン重合体(Q−4−1)の
HLMFRが50g/10分になるように調整し、二段
目のプロピレンの重合における重合調整用水素を0.2
0mol%として、二段目のみのプロピレン重合体(Q
−4−2)として、二段目のみのプロピレン重合体(Q
−4−2)のMFRが10g/10分になるように調整
し、一段目の重合体(Q−4−1)と二段目における
(Q−4−2)を含む、二段重合体のMFRが0.52
g/10分であるポリプロピレン系樹脂(Q−4)を得
た。上記製造例1同様の添加剤を溶融混練りで加え上記
製造例1と同様にペレタイズ化し、ポリプロピレン系樹
脂(Q−4−R)とした。表2に各成分の重合体及び全
体のMFR、Mw、組成割合、PI、IPを示した。
【0078】
【表2】
【0079】[(B)のポリプロピレン系樹脂] 〔製造例10〕上記製造例1の290リットルの撹拌機
付き反応器を用い、プロピレン95kg/時間、上記予
備重合触媒10g/時間、トリエチルアルミニウム59
g/時間(520mmol/時間)、ジシクロペンチル
ジメトキシシラン35.3g/時間(155mmol/
時間)、重合調整用水素を0.016mol%でMFR
が0.5g/10分になるように調節しながら連続的に
供給した。反応器は70℃に保持し液化プロピレンによ
る塊状スラリー重合を行ないプロピレンを重合し、MF
Rが0.58g/10分でIPが0.992のポリプロピ
レン系樹脂(R−1)を得た。
【0080】〔製造例11〕上記製造例1の290リッ
トルの撹拌付き反応器を用い、プロピレン95kg/時
間、上記予備重合触媒10g/時間、トリエチルアルミ
ニウム59g/時間(520mmol/時間)、ジシク
ロペンチルジメトキシシラン35.3g/時間(155
mmol/時間)、重合調節用水素を0.06mol%
でMFRが1.5g/10分になるように調節しながら
連続的に供給した。反応器は70℃に保持し液化プロピ
レンによる塊状スラリー重合を行ないプロピレンを重合
し、MFRが1.8g/10分でIPが0.994のポリ
プロピレン系樹脂(R−2)を得た。
【0081】〔製造例12〕上記製造例1の290リッ
トルの撹拌付き反応器を用い、プロピレン95kg/時
間、上記予備重合触媒10g/時間、トリエチルアルミ
ニウム59g/時間(520mmol)、ジシクロペン
チルジメトキシシラン35.3g/時間(155mmo
l/時間)、重合調節用水素0.69mol%でMFR
が13g/10分になるように調節しながら連続的に供
給した。反応器は70℃に保持し液化プロピレンによる
塊状スラリー重合を行ないプロピレンを重合し、MFR
が1.4g/10分でIPが0.992のポリプロピレ
ン系樹脂(R−3)を得た。 〔製造例13〕上記製造例1の290リットルの撹拌機
付き反応器を用い、プロピレン95kg/時間、上記予
備重合触媒10g/時間、トリエチルアルミニウム59
g/時間(520mmol)、ジシクロペンチルジメト
キシシラン35.3g/時間、重合調節用水素0.06
2mol%でMFRが1.5g/10分およびエチレン
含量が2.0重量%になるように連続的に供給した。反
応器は70℃に保持し液化プロピレンによる塊状スラリ
ー重合を行ないプロピレンを重合し、MFRが1.6g
/10分でエチレン含量2.2重量%でIPが0.991
のポリプロピレン系樹脂(R−4)を得た。
【0082】〔製造例14〕窒素雰囲気下、内容積60
リットルの撹拌機付きオートクレーブに東ソー・アクゾ
(株)型AA型三塩化チタン6.0g、ジエチルアルミ
ニウムクロライド23.5g(195mmol)を入
れ、次いで、プロピレン18kg、プロピレンに対して
0.01mol%になるように重合調節用水素0.01m
ol%装入し、75℃まで昇温させ1時間の重合を行っ
た。1時間後、未反応のプロピレンを除去し、重合を終
結させた。その結果、MFRが0.71g/10分でI
Pが0.954であるポリプロピレン系樹脂(R−5)
を得た。
【0083】製造例10〜14で得られたR−1〜R−
4に添加剤としてテトラキス[3−(3,5−ジーt−ブ
チルー4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ンを0.03重量部、カルシウムステアレート0.08重
量部ブレンドし、中谷機械製作所製の40mmΦの押出
機で温度220℃、回転数80rpmでペレタイズし
た。ペレタイズ後のMFRは僅に向上したがIPは変わ
らなかった。このペレタイズ化したR−1〜R−4を
(株)コーガアイソトープで空気雰囲気下で表3に示す
照射線量でγ線を照射した。照射後のMFRおよびサン
プル名を表3に示す。
【0084】
【表3】
【0085】[実施例1〜8、比較例1〜8](A)の
ポリプロピレン系樹脂と(B)のγ線照射処理したポリ
オレフィン系樹脂にトリス(2,4−ジーt−ブチルフ
ェニル)フォスファイトのみ0.03重量部追加し表4
に示す組成割合でブレンド後、二軸押出機(神戸製鋼所
製、KTX−37)を使用して温度210℃、回転数3
00rpmで溶融混練りしペレット状の樹脂組成物を作
製した。このサンプルのMFR、溶融張力、剛性、実施
例5〜8の射出成形および実施例1〜4の真空成形の適
合性を調べたところ、射出成形性についてはフローマー
クシルバーなどの問題はなく外観の美しい平板が得ら
れ、真空成形性への適合性もドローダウンが少なく充分
に成形可能であった。比較例1〜3の射出成形への適合
性および比較例4〜6の真空成形の適合性を調べたとこ
ろ射出成形についてはフローマークシルバーなどが激し
く発生したものしか得られず、真空成形についてはドロ
ーダウンが激しく成形不可能であった。また、比較例7
および8の真空成形は比較例4〜6より良好であった
が、実施例より劣り、充分とは言えない。
【0086】
【表4】
【0087】[実施例9〜10、比較例9〜10]上記
実施例1、7のポリプロピレン系樹脂組成物に、造核剤
としてナトリウム2,2'−メチレンビス(4,6−ジー
t−ブチルフェニル)フォスフェート(旭電化工業株式
会社製、商品名「NA11」)を0.2重量部配合し、
ドライブレンド後、吉井製作所(株)製、40mmΦの
単軸押出機を使用し、温度220℃、回転数80rpm
でペレタイズ化した。この実施例9,10サンプルのM
FR、溶融張力、射出成形および真空成形性への適合性
を調べたところ、外観の美しいものが得られ、真空成形
性への適合性の評価もドローダウンが少なく充分成形可
能であった。また、剛性、耐熱性も高い。同様に、上記
比較例2、6に同造核剤を0.2重量部配合し、実施例
9および10と同様にペレタイズし、射出成形または真
空成形性への適合性を調べた。射出成形への適合性はフ
ローマークシルバーなど激しく発生したものが得られ、
真空成形性への適合性はドローダウンが激しく成形不能
であった。また、剛性および耐熱性も実施例と比較し低
い。
【0088】
【表5】
【0089】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物
は、成形性および高溶融張力、高剛性で耐熱性の優れた
ポリプロピレン系樹脂組成物である。特に、造核剤を配
合することにより、剛性をさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 動的粘弾性測定における貯蔵弾性率の周波数
依存曲線G'(ω)と損失弾性率の周波数ω依存曲線
G''(ω)の一例を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F201 AA11 AR15 AR17 BA04 BC02 BC12 BC37 BN41 4J002 BB10W BB10X BB12W BB12X BB15W BB15X BP02X BP03X GN00 GQ00 4J100 AA03P CA01 CA11 DA43 DA49 GC00 JA58

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)動的粘弾性測定による貯蔵弾性率
    の周波数ω依存性曲線G'(ω)と損失弾性率の周波数
    ω依存性曲線G''(ω)との交点Gcの貯蔵弾性率の値
    (単位;Pa)の逆数の105倍であるPIが下記要件
    (a)を満たし、アイソタクチックペンタッド分率(I
    P)が下記要件(b)を満足し、メルトフローレートが
    0.01g/10分〜300g/10分であるポリプロ
    ピレン系樹脂を97重量部〜20重量部と、 (B)下記要件(c)および(d)を満たすポリプロピ
    レン系樹脂を電離性放射線照射処理したポリプロピレン
    系樹脂を3重量部〜80重量部とを有することを特徴と
    するポリプロピレン系樹脂組成物。 PI≧4.0 ・・・ (a) IP≧0.98 ・・・ (b) メルトフローレートが5g/10分未満 ・・・ (c) IP≧0.0428×log(MFR)+0.965 ・・・ (d)
  2. 【請求項2】 電離性放射線の照射線量が1kGy以上
    80kGy以下のγ線であることを特徴とする請求項1
    記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 樹脂分100重量部に対して、(C)造
    核剤が0.01重量部〜20重量部配合されていること
    を特徴とする請求項1または2記載のポリプロピレン系
    樹脂組成物。
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