JP2008208306A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】フローマークの発生が抑制され、面衝撃特性に優れるポリオレフィン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供する。
【解決手段】下記のプロピレン系重合体(A)70〜90重量%と、無機充填材(B)10〜30重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であり、プロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体または、プロピレンと含有量が1モル%以下のエチレンまたは炭素数4以上のα-オレフィンとの共重合体である結晶性ポリプロピレン部分60〜75重量%と、プロピレンとエチレンの重量比(プロピレン/エチレン(重量/重量))が75/25〜35/65であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分25〜40重量%とを含有し、特定の下記要件(1)および特定の要件(2)を満足するプロピレン−エチレンブロック共重合体であるポリプロピレン系樹脂組成物、および、該樹脂組成物からなる射出成形体。
【選択図】図1
【解決手段】下記のプロピレン系重合体(A)70〜90重量%と、無機充填材(B)10〜30重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であり、プロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体または、プロピレンと含有量が1モル%以下のエチレンまたは炭素数4以上のα-オレフィンとの共重合体である結晶性ポリプロピレン部分60〜75重量%と、プロピレンとエチレンの重量比(プロピレン/エチレン(重量/重量))が75/25〜35/65であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分25〜40重量%とを含有し、特定の下記要件(1)および特定の要件(2)を満足するプロピレン−エチレンブロック共重合体であるポリプロピレン系樹脂組成物、および、該樹脂組成物からなる射出成形体。
【選択図】図1
Description
本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体に関するものである。さらに詳細には、成形体にした場合、フローマーク外観に優れた成形体を得ることができ、低温衝撃強度、特に高速面衝撃強度に優れ、かつ、高い剛性と表面硬度の良好なバランスを有するポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体に関するものである。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、剛性や耐衝撃性等に優れる材料であり、自動車内外装材や電気部品箱体等の成形体として、広範な用途に利用されている。
例えば、特開平5−51498号公報には、寸法安定性を改良できる熱可塑性樹脂組成物として、結晶性ポリプロピレン50〜75重量%、ブテン−1含量、固有粘度およびムーニー粘度のそれぞれが特定の範囲にあるエチレン−ブテン−1共重合体ゴム15〜35重量%、平均粒子径が特定の範囲にあるタルク5〜20重量%からなる熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
また、特開平7−157626号公報には、延性を改良できる熱可塑性樹脂組成物として、多段重合により得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体とポリオレフイン系ゴムとを含む熱可塑性樹脂組成物が記載されており、前記プロピレン−エチレンブロック共重合体として、エチレン含有量が5重量%以上50重量%であり、極限粘度が4.0〜8.0dl/gであるプロピレン−エチレンランダム共重合相を含むブロック共重合体と、エチレン含有量が50重量%を超え98重量%以下であり、極限粘度が2.0dl/g以上4.0dl/g未満であるプロピレン−エチレンブロック共重合相を含むブロック共重合体と、からなるブロック共重合体を用いることが記載されている。
そして、特開平9−157492号公報には、複雑な形状の大型成形品を製造する場合に、機械的強度、成形性を改善できる熱可塑性樹脂組成物として、多段重合により得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体と、エチレン−ブテン共重合体ゴムと、タルクとを含む熱可塑性樹脂組成物が記載されており、プロピレン−エチレンブロック共重合体として、メルトフローレートが特定の範囲にあり、示差走査熱量測定から求められる融解熱量とメルトフローレートとが特定の関係を満たすホモポリプロピレン部分と、
低エチレン濃度のプロピレン−エチレン共重合部分と、高エチレン濃度のプロピレン−エチレン共重合部分と、からなるブロック共重合体を用いることが記載されている。
低エチレン濃度のプロピレン−エチレン共重合部分と、高エチレン濃度のプロピレン−エチレン共重合部分と、からなるブロック共重合体を用いることが記載されている。
しかし、上記の公報等に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたとしても、さらに高い品質が望まれている自動車内外装部品等の分野では、更なる改良が必要で、ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体については、成形体にした場合、フローマーク外観に優れた成形体を得ることができ、低温衝撃強度、特に高速面衝撃強度の改良、かつ、剛性と表面硬度のバランスの改良が求められていた。
かかる状況の下、本発明の目的は、成形体にした場合、フローマーク外観に優れた成形体を得ることができ、低温衝撃強度、特に高速面衝撃強度に優れ、かつ、高い剛性と表面硬度の良好なバランスを有するポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、本発明が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
ポリプロピレン樹脂(A)89〜25重量%と、
炭素数4〜12のα−オレフィンとエチレンとを含有し、密度が0.850〜0.875g/cm3であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)1〜25重量%と、
無機充填剤(C)5〜25重量%、及び、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EP-Eが5〜9dl/g、エチレン含有量[(C2’)EP-E]が20〜50重量%である結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)5〜40重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%とする)であって、
前記ポリプロピレン樹脂(A)が、下記の要件(1)、(2)、(3)および(4)とを満足する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)、または、前記ブロック共重合体(A−1)と結晶性プロピレン単独重合体(A−2)とを含有する重合体混合物(A−3)であるポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体に係るものである。
要件(1):
前記ブロック共重合体(A−1)は、結晶性ポリプロピレン部分55〜85重量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分15〜45重量%とを含有する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体である(ただし、前記ブロック共重合体の全量を100重量%とする)。
要件(2):
前記ブロック共重合体(A−1)の結晶性ポリプロピレン部分が、
プロピレン単独重合体、または、
エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体であり、
前記エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体である場合、エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンの含有量が1モル%以下である(ただし、前記エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体の全量を100モル%とする)。
要件(3):
前記ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分に含有されるプロピレンとエチレンの含有量の比(プロピレン/エチレン(重量/重量))が、75/25〜35/65である。
要件(4):
前記ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分が、
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)とを含有し、
共重合体成分(EP−A)の極限粘度[η]EP-Aが1.5dl/g以上4dl/g未満、エチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であり、
共重合体成分(EP−B)の極限粘度[η]EP-Bが0.5dl/g以上3dl/g未満、エチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下である。
すなわち、本発明は、
ポリプロピレン樹脂(A)89〜25重量%と、
炭素数4〜12のα−オレフィンとエチレンとを含有し、密度が0.850〜0.875g/cm3であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)1〜25重量%と、
無機充填剤(C)5〜25重量%、及び、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EP-Eが5〜9dl/g、エチレン含有量[(C2’)EP-E]が20〜50重量%である結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)5〜40重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%とする)であって、
前記ポリプロピレン樹脂(A)が、下記の要件(1)、(2)、(3)および(4)とを満足する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)、または、前記ブロック共重合体(A−1)と結晶性プロピレン単独重合体(A−2)とを含有する重合体混合物(A−3)であるポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体に係るものである。
要件(1):
前記ブロック共重合体(A−1)は、結晶性ポリプロピレン部分55〜85重量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分15〜45重量%とを含有する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体である(ただし、前記ブロック共重合体の全量を100重量%とする)。
要件(2):
前記ブロック共重合体(A−1)の結晶性ポリプロピレン部分が、
プロピレン単独重合体、または、
エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体であり、
前記エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体である場合、エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンの含有量が1モル%以下である(ただし、前記エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体の全量を100モル%とする)。
要件(3):
前記ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分に含有されるプロピレンとエチレンの含有量の比(プロピレン/エチレン(重量/重量))が、75/25〜35/65である。
要件(4):
前記ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分が、
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)とを含有し、
共重合体成分(EP−A)の極限粘度[η]EP-Aが1.5dl/g以上4dl/g未満、エチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であり、
共重合体成分(EP−B)の極限粘度[η]EP-Bが0.5dl/g以上3dl/g未満、エチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下である。
本発明によれば、成形体にした場合、フローマーク外観に優れた成形体を得ることができ、低温衝撃強度、特に高速面衝撃強度に優れ、かつ、高い剛性と表面硬度の良好なバランスを有するポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を得ることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A)89〜25重量%と、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)1〜25重量%と、無機充填剤(C)5〜25重量%、及び、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)5〜40重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%とする)である。
前記ポリプロピレン樹脂(A)は、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)、または、前記ブロック共重合体(A−1)と結晶性プロピレン単独重合体(A−2)とを含有する重合体混合物(A−3)である。
前記結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)は、結晶性ポリプロピレン部分55〜85重量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分15〜45重量%とを含有する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体である(要件(1)、ただし、前記ブロック共重合体の全量を100重量%とする)。
好ましくは、結晶性ポリプロピレン部分55〜80重量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分20〜45重量%であり、より好ましくは、結晶性ポリプロピレン部分60〜75重量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分25〜40重量%である。
結晶性ポリプロピレン部分が55重量%未満の場合(すなわちプロピレン−エチレンランダム共重合体部分が45重量%を超えた場合)、剛性や硬度が低下したり、メルトフローレート(MFR)が低下して十分な成形性が得られない場合があり、結晶性ポリプロピレン部分が85重量%を超えた場合(すなわちプロピレン−エチレンランダム共重合体部分が15重量%未満の場合)、靭性や耐衝撃性が低下する場合がある。
前記ブロック共重合体(A−1)の結晶性ポリプロピレン部分は、
プロピレン単独重合体、または、
エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体であり、
前記エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体である場合、エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンの含有量が1モル%以下である(要件(2)、ただし、前記エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体の全量を100モル%とする)。
プロピレン単独重合体、または、
エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体であり、
前記エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体である場合、エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンの含有量が1モル%以下である(要件(2)、ただし、前記エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体の全量を100モル%とする)。
前記ブロック共重合体(A−1)の結晶性ポリプロピレン部分が、前記エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体である場合、エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンの含有量が1モル%を超えると、剛性、耐熱性または硬度が低下する場合がある。
前記ブロック共重合体(A−1)の結晶性ポリプロピレン部分として、好ましくは、剛性、耐熱性または硬度の観点から、プロピレン単独重合体であり、より好ましくは、13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率が0.97以上であるプロピレン単独重合体である。
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である(ただし、NMR吸収ピークの帰属に関しては、その後、発刊されたMacromolecules, 8,687(1975)に基づいて行った)。具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定した。この方法によって、英国 NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14 Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
前記ブロック共重合体(A−1)の結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度[η]Pは、溶融時の流動性と成形体の靭性とのバランスを良好にするという観点から、好ましくは0.6〜1.5dl/gであり、より好ましくは0.7〜1.2dl/gである。
また、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定された分子量分布Q値(Mw/Mn)として、好ましくは3以上7未満であり、より好ましくは3〜5である。
また、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定された分子量分布Q値(Mw/Mn)として、好ましくは3以上7未満であり、より好ましくは3〜5である。
前記ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分に含有されるプロピレンとエチレンの含有量の比(プロピレン/エチレン(重量/重量))が、75/25〜35/65であり(要件(3))、好ましくは70/30〜40/60である。
プロピレンとエチレンの含有量の比(プロピレン/エチレン(重量/重量))が、75/25〜35/65の範囲にない場合、十分な耐衝撃性が得られない場合がある。
プロピレンとエチレンの含有量の比(プロピレン/エチレン(重量/重量))が、75/25〜35/65の範囲にない場合、十分な耐衝撃性が得られない場合がある。
前記ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分は、
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)とを含有し、
共重合体成分(EP−A)の極限粘度[η]EP-Aが1.5dl/g以上4dl/g未満、エチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であり、
共重合体成分(EP−B)の極限粘度[η]EP-Bが0.5dl/g以上3dl/g未満、エチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下である(要件(4))。
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)とを含有し、
共重合体成分(EP−A)の極限粘度[η]EP-Aが1.5dl/g以上4dl/g未満、エチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であり、
共重合体成分(EP−B)の極限粘度[η]EP-Bが0.5dl/g以上3dl/g未満、エチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下である(要件(4))。
前記ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分に含有される共重合体成分(EP−A)のエチレン含有量[(C2’)EP-A]は20重量%以上50重量%未満であり、好ましくは25〜45重量%である。エチレン含量[(C2’)EP-A]が上記の範囲にない場合、靭性や耐衝撃性が低下する場合がある。
また、共重合体成分(EP−A)の極限粘度[η]EP-Aは、1.5dl/g以上4dl/g未満であり、好ましくは2dl/g以上4dl/g未満である。
極限粘度[η]EP-Aが1.5dl/g未満の場合、剛性や硬度が低下したり、靭性や耐衝撃性も低下する場合がある。
また、極限粘度[η]EP-Aが4dl/g以上の場合、成形品にブツが多発することがあり、そして、前記ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の含有量が多い場合、前記ブロック共重合体(A−1)のメルトフローレート(MFR)が低下し、流動性が低下することがある。
極限粘度[η]EP-Aが1.5dl/g未満の場合、剛性や硬度が低下したり、靭性や耐衝撃性も低下する場合がある。
また、極限粘度[η]EP-Aが4dl/g以上の場合、成形品にブツが多発することがあり、そして、前記ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の含有量が多い場合、前記ブロック共重合体(A−1)のメルトフローレート(MFR)が低下し、流動性が低下することがある。
前記ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分に含有される共重合体成分(EP−B)のエチレン含量[(C2’)EP-B]は50〜80重量%であり、好ましくは55〜75重量%である。エチレン含量[(C2’)EP-B]が上記範囲にない場合、低温での耐衝撃性が低下する場合がある。
また、共重合体成分(EP−B)の極限粘度[η]EP-Bは、0.5dl/g以上3dl/g未満であり、好ましくは1dl/g以上3dl/g未満である。
極限粘度[η]EP-Bが0.5dl/g未満の場合、剛性や硬度が低下したり、靭性や耐衝撃性も低下する場合がある。
また、極限粘度[η]EP-Bが3dl/g以上の場合、前記ブロック共重合体(A−1)のメルトフローレート(MFR)が低下し、流動性が低下することがある。
極限粘度[η]EP-Bが0.5dl/g未満の場合、剛性や硬度が低下したり、靭性や耐衝撃性も低下する場合がある。
また、極限粘度[η]EP-Bが3dl/g以上の場合、前記ブロック共重合体(A−1)のメルトフローレート(MFR)が低下し、流動性が低下することがある。
ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分に含有される共重合体成分(EP−A)の極限粘度[η]EP-Aは、低温衝撃性を高めるという観点から、共重合体成分(EP−B)の極限粘度[η]EP-B以上であることが好ましい。
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)のメルトフローレート(MFR)として、好ましくは、成形性や耐衝撃性を高めるという観点から、好ましくは5〜120g/10分であり、より好ましくは10〜100g/10分である。
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)の製造方法としては、例えば、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物、および(c)電子供与体成分を接触させて得られる触媒系を用い、公知の重合方法によって製造する方法が挙げられる。この触媒の製造方法は例えば、特開平1−319508号公報、特開平7−216017号公報、特開平10−212319号公報等に詳しく記載されている。
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)の重合方法としては、例えば、
(1)少なくとも3段階の重合工程からなり、第1工程で結晶性ポリプロピレン部分を重合した後、第2工程で、エチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)を重合し、第3工程で、エチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)を重合する方法、
(2)第1工程で結晶性ポリプロピレン部分を重合した後、第2工程で、エチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)を重合し、第3工程で、エチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)を重合する方法、等が挙げられる。
(1)少なくとも3段階の重合工程からなり、第1工程で結晶性ポリプロピレン部分を重合した後、第2工程で、エチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)を重合し、第3工程で、エチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)を重合する方法、
(2)第1工程で結晶性ポリプロピレン部分を重合した後、第2工程で、エチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)を重合し、第3工程で、エチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)を重合する方法、等が挙げられる。
重合方法としては、例えば、バルク重合法、溶液重合法、スラリー重合法、気相重合法等が挙げられる。これらの重合方法は、バッチ式、連続式のいずれでも可能であり、また、これらの重合方法を任意に組合せもよい。工業的かつ経済的に有利であるという観点から、好ましくは、連続式の気相重合法、連続式のバルク−気相重合法である。
より具体的な重合方法としては、
(3)前述の固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)および電子供与体成分(c)を接触させて得られる触媒系の存在下に、少なくとも3槽からなる重合槽を直列に配置し、1槽目の重合槽で結晶性ポリプロピレン部分を重合した後、生成物を第2槽目の重合槽に移し、第2槽目の重合槽でエチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)を重合した後、生成物を第3槽目の重合槽に移し、第3槽目の重合槽でエチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)を連続的に重合して製造する方法、
(4)前述の固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)および電子供与体成分(c)を接触させて得られる触媒系の存在下に、少なくとも3槽からなる重合槽を直列に配置し、1槽目の重合槽で結晶性ポリプロピレン部分を重合した後、生成物を第2槽目の重合槽に移し、第2槽目の重合槽でエチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)を重合した後、生成物を第3槽目の重合槽に移し、第3槽目の重合槽でエチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)を連続的に重合して製造する方法、
等が挙げられる。
(3)前述の固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)および電子供与体成分(c)を接触させて得られる触媒系の存在下に、少なくとも3槽からなる重合槽を直列に配置し、1槽目の重合槽で結晶性ポリプロピレン部分を重合した後、生成物を第2槽目の重合槽に移し、第2槽目の重合槽でエチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)を重合した後、生成物を第3槽目の重合槽に移し、第3槽目の重合槽でエチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)を連続的に重合して製造する方法、
(4)前述の固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)および電子供与体成分(c)を接触させて得られる触媒系の存在下に、少なくとも3槽からなる重合槽を直列に配置し、1槽目の重合槽で結晶性ポリプロピレン部分を重合した後、生成物を第2槽目の重合槽に移し、第2槽目の重合槽でエチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)を重合した後、生成物を第3槽目の重合槽に移し、第3槽目の重合槽でエチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)を連続的に重合して製造する方法、
等が挙げられる。
上記の重合方法における固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)および電子供与体成分(c)の使用量や、各触媒成分を重合槽へ供給する方法は、公知の触媒の使用方法によって、適宜、決めることができる。
重合温度は、通常、−30〜300℃であり、好ましくは20〜180℃である。重合圧力は、通常、常圧〜10MPaであり、好ましくは0.2〜5MPaである。また、分子量調整剤として、例えば、水素を用いても良い。
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)の製造において、本重合を実施する前に、公知の方法によって、予備重合を行っても良い。公知の予備重合の方法としては、例えば、固体触媒成分(a)および有機アルミニウム化合物(b)の存在下、少量のプロピレンを供給して溶媒を用いてスラリー状態で実施する方法が挙げられる。
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)には、必要に応じて、各種添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤等が挙げられる。これらの添加剤の中でも、耐熱性、耐候性、耐酸化安定性を向上させるためには、酸化防止剤や紫外線吸収剤を添加することが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に含有されるポリプロピレン樹脂(A)としては、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)を単独で用いてもよく、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)と結晶性プロピレン単独重合体(A−2)とを含有する重合体混合物(A−3)を用いても良い。
重合体混合物(A−3)に含有される結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)の含有量は、通常、30〜99重量%であり、結晶性プロピレン単独重合体(A−2)の含有量は、通常、1〜70重量%であり、好ましくは、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)の含有量が50〜90重量%であり、結晶性プロピレン単独重合体(A−2)の含有量が50〜10重量%である。
結晶性プロピレン単独重合体(A−2)として、好ましくは、アイソタクチック・ペンタッド分率が0.97以上の単独重合体であり、より好ましくは0.98以上の単独重合体である。
結晶性プロピレン単独重合体(A−2)のメルトフローレート(MFR:230℃、荷重2160g)は、通常、20〜500g/10分であり、好ましくは80〜300g/10分である。
結晶性プロピレン単独重合体(A−2)の製造方法としては、前記結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)と同様の触媒を用いる製造方法が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に含有されるポリプロピレン樹脂(A)の含有量は、89〜25重量%であり、好ましくは80〜40重量%であり、より好ましくは70〜50重量%である(ただし、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%とする)。
ポリプロピレン樹脂(A)の含有量が25重量%未満である場合、衝撃強度が低下することがある。
ポリプロピレン樹脂(A)の含有量が25重量%未満である場合、衝撃強度が低下することがある。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)とは、炭素数4〜12のα−オレフィンとエチレンとを含有し、密度が0.850〜0.875g/cm3であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムである。
炭素数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられ、好ましくは、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1である。
炭素数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられ、好ましくは、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1である。
共重合体ゴム(B)に含有されるα−オレフィンの含有量は、衝撃性強度、特に低温衝撃強度を高めるという観点から、通常、20〜50重量%であり、好ましくは、24〜50重量%である(ただし、共重合体ゴム(B)の全量を100重量%とする)。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴム、エチレン−ヘキセン−1ランダム共重合体ゴム、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴム等が挙げられ、好ましくは、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴムまたはエチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴムである。また、少なくとも2種のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴムを併用しても良い。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)の密度は、0.850〜0.875g/cm3であり、好ましくは0.850〜0.870g/cm3でる。エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)の密度が0.875g/cm3を超えると本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の衝撃性強度、特に低温衝撃強度が低下することがある。
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)としては、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の衝撃性強度、特に低温衝撃強度を高めるという観点から、好ましくは、0.05〜30g/10分であり、より好ましくは、0.05〜15g/10分である。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴム(B)の製造方法としては、公知の触媒と公知の重合方法を用いて、エチレンと各種のα−オレフィンを共重合させることによって製造する方法が挙げられる。
公知の触媒としては、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物からなる触媒系、チーグラーナッタ触媒系又はメタロセン触媒系等が挙げられ、公知の重合方法としては、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法又は気相重合法等が挙げられる。
公知の触媒としては、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物からなる触媒系、チーグラーナッタ触媒系又はメタロセン触媒系等が挙げられ、公知の重合方法としては、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法又は気相重合法等が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)の含有量は、1〜25重量%であり、好ましくは3〜22重量%であり、より好ましくは5〜20重量%である(ただし、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%とする)。
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)の含有量が1重量%未満である場合、衝撃強度が低下することがあり、25重量%を超えると、剛性が低下することがある。
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)の含有量が1重量%未満である場合、衝撃強度が低下することがあり、25重量%を超えると、剛性が低下することがある。
本発明で用いられる無機充填剤(C)とは、通常、ポリプロピレン系樹脂組成物の剛性を向上させるために用いられるものであり、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、結晶性ケイ酸カルシウム、タルク、硫酸マグネシウム繊維等が挙げられ、好ましくはタルクまたは硫酸マグネシウム繊維である。これらの無機充填剤は、少なくとも2種を併用しても良い。
無機充填剤(C)として用いられるタルクとして、好ましくは、含水ケイ酸マグネシウムを粉砕したものである。含水ケイ酸マグネシウムの分子の結晶構造は、パイロフィライト型三層構造であり、タルクはこの構造が積み重なったものである。タルクとして、より好ましくは、含水ケイ酸マグネシウムの分子の結晶を単位層程度にまで微粉砕した平板状のものである。
上記のタルクの平均粒子径として、好ましくは3μm以下である。ここでタルクの平均粒子径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水またはアルコールである分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
上記のタルクは、無処理のまま使用しても良く、または、ポリプロピレン樹脂(A)との界面接着性や、ポリプロピレン樹脂(A)に対する分散性を向上させるために、公知の各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類、または、他の界面活性剤で表面を処理して使用しても良い。
無機充填剤(C)として用いられる硫酸マグネシウム繊維の平均繊維長として、好ましくは5〜50μmであり、より好ましくは10〜30μmである。また、硫酸マグネシウム繊維の平均繊維径として、好ましくは0.3〜2μmであり、より好ましくは0.5〜1μmである。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に含有される無機充填剤(C)の含有量は、5〜25重量%であり、好ましくは7〜23重量%であり、より好ましくは10〜21重量%である(ただし、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%とする)。
無機充填剤(C)の含有量が5重量%未満である場合、剛性が低下することがあり、25重量%を超えると、衝撃強度が低下することがある。
無機充填剤(C)の含有量が5重量%未満である場合、剛性が低下することがあり、25重量%を超えると、衝撃強度が低下することがある。
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)は、結晶性ポリプロピレン部分と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分とを含有する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体である。
好ましくは、結晶性ポリプロピレン部分60〜90重量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分10〜40重量%とを含有するブロック共重合体であり、より好ましくは、結晶性ポリプロピレン部分70〜80重量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分20〜30重量%とを含有するブロック共重合体である。
前記ブロック共重合体(E)の結晶性ポリプロピレン部分として、好ましくは、剛性、耐熱性または硬度の観点から、プロピレン単独重合体であり、より好ましくは、13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率が0.97以上のプロピレン単独重合体である。さらに好ましくは、アイソタクチック・ペンタッド分率が0.98以上のプロピレン単独重合体である。
前記ブロック共重合体(E)の結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度[η]Pは、溶融時の流動性と成形体の靭性とのバランスを良好にするという観点から、好ましくは0.7〜1.3dl/gであり、より好ましくは0.8〜1.1dl/gである。
前記ブロック共重合体(E)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分に含有されるプロピレンとエチレンの含有量の比(プロピレン/エチレン(重量/重量))は、フローマークの発生を防止し、良好な剛性と耐衝撃性のバランスを得るという観点から、70/20〜50/50であり、好ましくは75/25〜55/45である。
前記ブロック共重合体(E)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EP-Eは、フローマークの発生を防止し(フローマーク外観に優れ)、さらに良好な剛性と耐衝撃性のバランスを得るという観点から、5dl/g以上9dl/g以下であり、好ましくは5.5dl/g以上7.5dl/g以下である。
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)のメルトフローレート(MFR)は、成形性やフローマーク外観を高めるという観点から、好ましくは3〜120g/10分であり、より好ましくは8〜100g/10分である。
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)の製造方法としては、前記結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)と同様の触媒を用いる製造方法が挙げられる。
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)の重合方法としては、例えば、少なくとも2段階の重合工程からなり、第1工程で結晶性ポリプロピレン部分を製造した後、第2工程で、エチレン含有量が20重量%以上50重量%以下であり、極限粘度が5dl/g以上9dl/g以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分を製造する方法等が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、各成分を溶融混練する方法が挙げられ、例えば、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等の混練機を用いる方法等が挙げられる。混練の温度は、通常、170〜250℃であり、時間は、通常、1〜20分である。また、各成分の混練は同時に行なっても良く、分割して行なっても良い、
各成分を分割して混練する方法としては、例えば、次の(1)、(2)、(3)の方法が挙げられる。
(1)結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)及び(E)をそれぞれ事前に混練してペレット化し、同ペレットとエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)と無機充填剤(C)とを一括して、混練する方法。
(2)結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)及び(E)をそれぞれを事前に混練してペレット化し、同ペレットと結晶性プロピレン単独重合体(A−2)とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)と無機充填剤(C)とを一括して、混練する方法。
(3)結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)及び(E)とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)を混練した後、無機充填剤(C)を添加し、混練する方法。
(4)結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)及び(E)と無機充填剤(C)を混練した後、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)を添加し、混練する方法。
なお、上記(3)または(4)の方法において、結晶性プロピレン単独重合体(A−2)を、任意に添加しても良い。
(1)結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)及び(E)をそれぞれ事前に混練してペレット化し、同ペレットとエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)と無機充填剤(C)とを一括して、混練する方法。
(2)結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)及び(E)をそれぞれを事前に混練してペレット化し、同ペレットと結晶性プロピレン単独重合体(A−2)とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)と無機充填剤(C)とを一括して、混練する方法。
(3)結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)及び(E)とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)を混練した後、無機充填剤(C)を添加し、混練する方法。
(4)結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)及び(E)と無機充填剤(C)を混練した後、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)を添加し、混練する方法。
なお、上記(3)または(4)の方法において、結晶性プロピレン単独重合体(A−2)を、任意に添加しても良い。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、各種添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤等が挙げられる。耐熱性、耐候性、耐酸化安定性を向上させるためには、酸化防止剤または紫外線吸収剤を添加することが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、機械物性のバランスをさらに改良するために、ビニル芳香族化合物含有ゴムを添加しても良い。
ビニル芳香族化合物含有ゴムとしては、例えば、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体等が挙げられ、その共役ジエン部分の二重結合の水素添加率として、好ましくは80重量%以上であり、より好ましくは85重量%以上である(ただし、共役ジエン部分に含有される二重結合の全量を100重量%とする)。
ビニル芳香族化合物含有ゴムとしては、例えば、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体等が挙げられ、その共役ジエン部分の二重結合の水素添加率として、好ましくは80重量%以上であり、より好ましくは85重量%以上である(ただし、共役ジエン部分に含有される二重結合の全量を100重量%とする)。
上記のビニル芳香族化合物含有ゴムのGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)法によって測定される分子量分布(Q値)として、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは1.0〜2.3以下である。
上記のビニル芳香族化合物含有ゴムに含有されるビニル芳香族化合物の含有量として、好ましくは10〜20重量%であり、より好ましくは12〜19重量%である(ただし、ビニル芳香族化合物含有ゴムの全量を100重量%とする)。
上記のビニル芳香族化合物含有ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、230℃)として、好ましくは0.01〜15g/10分であり、より好ましくは0.03〜13g/10分である。
上記のビニル芳香族化合物含有ゴムとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系ゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ゴム(SEPS)、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム(SIS)等のブロック共重合体、または、これらのブロック共重合体を水添したブロック共重合体等が挙げられる。さらに、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴム(EPDM)にスチレン等のビニル芳香族化合物を反応させたゴムも挙げられる。また、少なくとも2種のビニル芳香族化合物含有ゴムを併用しても良い。
上記のビニル芳香族化合物含有ゴムの製造方法としては、例えば、オレフィン系共重合体ゴムまたは共役ジエンゴムに対し、ビニル芳香族化合物を、重合または反応等によって結合させる方法等が挙げられる。
本発明の射出成形体は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を、公知の射出成形方法によって、射出成形して得られる射出成形体である。
本発明の射出成形体の用途として、特に好ましくは自動車用射出成形体であり、例えば、ドアートリム、ピラー、インストルメンタルパネル、バンパー等が挙げられる。
本発明の射出成形体の用途として、特に好ましくは自動車用射出成形体であり、例えば、ドアートリム、ピラー、インストルメンタルパネル、バンパー等が挙げられる。
以下、実施例および比較例によって、本発明を説明する。実施例および比較例で用いた重合体および組成物の物性の測定方法を、以下に示した。
(1)極限粘度(単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定した。
(1)極限粘度(単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定した。
(1−1)結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の極限粘度
(1−1a)結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度:[η]P
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体に含有される結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度[η]Pは、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造時に、第1工程である結晶性ポリプロピレン部分の重合後に、重合槽内より重合体パウダーを取り出し、上記(1)の方法で測定して求めた。
(1−1a)結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度:[η]P
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体に含有される結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度[η]Pは、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造時に、第1工程である結晶性ポリプロピレン部分の重合後に、重合槽内より重合体パウダーを取り出し、上記(1)の方法で測定して求めた。
(1−1b)プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度:[η]EP
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPは、プロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]Pとプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の極限粘度[η]Tを、それぞれ上記(1)の方法で測定し、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率Xを用いて、次式から算出して求めた。(プロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率Xは、下記(2)の測定方法によって求めた。)
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]T:プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPは、プロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]Pとプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の極限粘度[η]Tを、それぞれ上記(1)の方法で測定し、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率Xを用いて、次式から算出して求めた。(プロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率Xは、下記(2)の測定方法によって求めた。)
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]T:プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分を2段階の重合で得た場合は、最初のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(EP−1)の極限粘度[η]EP-1と、2段階目に重合されたプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(EP−2)の極限粘度[η]EP-2と、EP−1とEP−2を含む最終的に得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPを、それぞれ、以下の(b−1)、(b−2)および(b−3)の方法で求めた。
(b−1)極限粘度:[η]EP-1
2段階の重合で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のうち、最初に得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−1)を重合した後に、重合槽内より取り出したサンプルの極限粘度([η](1))を測定し、上記(1−1b)と同様の方法で、最初に得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−1)の極限粘度[η]EP-1を求めた。
[η]EP-1=[η](1)/X(1)−(1/X(1)−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η](1):EP−1重合後のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
X(1):EP−1のEP−1重合後のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率
2段階の重合で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のうち、最初に得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−1)を重合した後に、重合槽内より取り出したサンプルの極限粘度([η](1))を測定し、上記(1−1b)と同様の方法で、最初に得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−1)の極限粘度[η]EP-1を求めた。
[η]EP-1=[η](1)/X(1)−(1/X(1)−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η](1):EP−1重合後のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
X(1):EP−1のEP−1重合後のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率
(b−2)極限粘度:[η]EP
EP−1とEP−2を含む最終的に2段階の重合で得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPは、上記(1−1b)と同様の方法で求めた。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]T:最終的に得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
X:最終的に得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の最終的に得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率
EP−1とEP−2を含む最終的に2段階の重合で得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPは、上記(1−1b)と同様の方法で求めた。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]T:最終的に得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
X:最終的に得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の最終的に得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率
(b−3)極限粘度:[η]EP-2
2段階の重合で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のうち、2段階目に重合されたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−2)の極限粘度[η]EP-2は、最終的に得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPと、最初に得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−1)の極限粘度[η]EP-1と、それぞれの重量比率から求めた。
[η]EP-2=([η]EP×X−[η]EP-1×X1)/X2
X1:EP−1の最終的に得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率
X1=(X(1)−X×X(1))/(1−X(1))
X2:EP−2の最終的に得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率
X2=X−X1
2段階の重合で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のうち、2段階目に重合されたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−2)の極限粘度[η]EP-2は、最終的に得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPと、最初に得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−1)の極限粘度[η]EP-1と、それぞれの重量比率から求めた。
[η]EP-2=([η]EP×X−[η]EP-1×X1)/X2
X1:EP−1の最終的に得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率
X1=(X(1)−X×X(1))/(1−X(1))
X2:EP−2の最終的に得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率
X2=X−X1
(2)プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率:X、および、プロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量:[(C2’)EP]
下記の条件で測定した13C−NMRスペクトルから、Kakugoらの報告(Macromolecules 1982,15,1150−1152)に基づいて求めた。
10mmΦの試験管中で約200mgのプロピレン−エチレンブロック共重合体を3mlのオルソジクロロベンゼンに均一に溶解させて試料を調整し、その試料の13C−NMRスペクトルを下記の条件下で測定した。
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:10秒
パルス幅:45°
積算回数:2500回
下記の条件で測定した13C−NMRスペクトルから、Kakugoらの報告(Macromolecules 1982,15,1150−1152)に基づいて求めた。
10mmΦの試験管中で約200mgのプロピレン−エチレンブロック共重合体を3mlのオルソジクロロベンゼンに均一に溶解させて試料を調整し、その試料の13C−NMRスペクトルを下記の条件下で測定した。
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:10秒
パルス幅:45°
積算回数:2500回
(3)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従って、測定した。特に断りのない限り、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgで測定した。
JIS−K−6758に規定された方法に従って、測定した。特に断りのない限り、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgで測定した。
(4)曲げ弾性率(FM、単位:MPa)
JIS−K−7203に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが3.2mmであり、スパン長さが60mmである試験片を用いて、荷重速度は5mm/分で、測定温度は23℃で測定した。
JIS−K−7203に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが3.2mmであり、スパン長さが60mmである試験片を用いて、荷重速度は5mm/分で、測定温度は23℃で測定した。
(5)アイゾット衝撃強度(Izod、単位:kJ/m2)
JIS−K−7110に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが6.4mmであり、成形の後にノッチ加工されたノッチ付きの試験片を用いて、測定温度は23℃または−30℃で測定した。
JIS−K−7110に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが6.4mmであり、成形の後にノッチ加工されたノッチ付きの試験片を用いて、測定温度は23℃または−30℃で測定した。
(6)加熱変形温度(HDT、単位:℃)
JIS−K−7207に規定された方法に従って、測定した。ファイバーストレスは4.6kg/cm2で測定した。
JIS−K−7207に規定された方法に従って、測定した。ファイバーストレスは4.6kg/cm2で測定した。
(7)ロックウェル硬度(Rスケール)
JIS−K−7202に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが3.0mmである試験片を用いて測定した。測定値はRスケールで表示した。
JIS−K−7202に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが3.0mmである試験片を用いて測定した。測定値はRスケールで表示した。
(8)高速面衝撃試験
レオメトリックス社(米国)製 High Rate Impact Tester(RIT−8000型)を用い射出成形された100×400×3(mm)の平板から切りだした100×100×3(mm)の平板試験機片を1インチの円形保持具で固定し、直径1/2インチ(先端球面の半径1/4インチ)のインパクトプローブを用い、該インパクトプローブを速度5m/秒で試験片にあて、試験片の変形量と応力を検出し、図1に示すような曲線を描かせ、この面積積分値を算出することによって面衝撃強度を評価した。
レオメトリックス社(米国)製 High Rate Impact Tester(RIT−8000型)を用い射出成形された100×400×3(mm)の平板から切りだした100×100×3(mm)の平板試験機片を1インチの円形保持具で固定し、直径1/2インチ(先端球面の半径1/4インチ)のインパクトプローブを用い、該インパクトプローブを速度5m/秒で試験片にあて、試験片の変形量と応力を検出し、図1に示すような曲線を描かせ、この面積積分値を算出することによって面衝撃強度を評価した。
材料が降伏するまでに要するエネルギー値である降伏点エネルギー(YE)、破壊するまでに要するエネルギー値である全エネルギー(TE)を計測し、(TE)と(YE)の差である降伏後の塑性変形に要するエネルギー(ΔE)で評価した。
一般に(ΔE)が大きい場合、脆性破壊しにくい傾向にあり好ましい。単位はいずれもジュール(J)で表示した。状態調整は装置に付属の恒温槽によって行った。あらかじめ所定温度に調節された恒温槽に試験片を入れ、2時間状態調整をした後に上記試験を行った。この所定温度をもって測定温度とした。図1に面衝撃強度の例を示した。横軸は試験片の変形量であり、縦軸はある変形量に対する応力である。両方の値を連続的に検出してX−Yプロッターに連続的にプロットすることによって該測定チャートが得られた。検出応力の立ち上がり部分から材料が降伏する点までの変位量と応力の面積積分を行って降伏点エネルギー(YE)を求め、立ち上がり部分から材料が破壊するまでの変位量と応力の面積積分を行って全エネルギー(TE)を求めた。さらに(TE)と(YE)の差から(ΔE)を算出した。1材料につきn=15の試験を行い、その平均値である(平均ΔE)を求めた。
材料の破壊状態は、実際の材料の破壊試験片を見て、延性破壊(D)、脆性破壊(B)、半延性破壊(SD)(延性破壊に類似しているがインパクトプローブが貫通した穴の周囲から亀裂が一部発生している状態)を判定した。
(9)アイソタクチック・ペンタッド分率
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて行った。
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて行った。
具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定した。この方法により英国 NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14 Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
(10)分子量分布(Q値、Mw/Mn)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によって、下記条件で測定した。
機種:150CV型(ミリポアウォーターズ社製)
カラム:Shodex M/S 80
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン
サンプル濃度:5mg/8mL
検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。この条件で測定された標準ポリスチレン(NBS706:Mw/Mn=2.0)のMw/Mnは1.9〜2.0であった。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によって、下記条件で測定した。
機種:150CV型(ミリポアウォーターズ社製)
カラム:Shodex M/S 80
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン
サンプル濃度:5mg/8mL
検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。この条件で測定された標準ポリスチレン(NBS706:Mw/Mn=2.0)のMw/Mnは1.9〜2.0であった。
〔射出成形体の製造−1〕
上記(4)〜(7)の物性評価用の射出成形体である試験片は、東芝機械製IS150E−V型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型冷却温度50℃、射出時間15秒、冷却時間30秒で射出成形を行って得た。
上記(4)〜(7)の物性評価用の射出成形体である試験片は、東芝機械製IS150E−V型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型冷却温度50℃、射出時間15秒、冷却時間30秒で射出成形を行って得た。
〔射出成形体の製造−2〕
上記(8)の高速面衝撃強度評価用の射出成形体である試験片は、次の方法に従って作成した。
住友重機械製SE180D型射出成形機用い成形温度220℃、金型冷却温度50℃、射出時間15秒、冷却時間30秒で射出成形を行って得た。
上記(8)の高速面衝撃強度評価用の射出成形体である試験片は、次の方法に従って作成した。
住友重機械製SE180D型射出成形機用い成形温度220℃、金型冷却温度50℃、射出時間15秒、冷却時間30秒で射出成形を行って得た。
(11)フローマーク外観評価用射出成形体の製造
フローマークの発生状況の評価用試験片である小型の射出成形体は、次の方法に従って作成した。
射出成形機として、住友重機械工業製 SE180D 型締力180トン、金型として、100mm×400mm×3.0mmt、1点ゲートを用いて、成形温度220℃で成形を実施し、図1に示した平板成形体を得た。図1において、1はゲート、2は端面側に発生したフローマークA、3は中央部に発生したフローマークBを表す。
フローマークの発生状況の評価用試験片である小型の射出成形体は、次の方法に従って作成した。
射出成形機として、住友重機械工業製 SE180D 型締力180トン、金型として、100mm×400mm×3.0mmt、1点ゲートを用いて、成形温度220℃で成形を実施し、図1に示した平板成形体を得た。図1において、1はゲート、2は端面側に発生したフローマークA、3は中央部に発生したフローマークBを表す。
(12)フローマークの発生状況
前記(11)の方法で作成した平板成形体を用いて、目視によりフローマークを観察した。図1に示したフローマークが発生し始めるゲート端面からの距離(フローマーク発生位置A(端面側の発生位置)、単位:mm)と目立ちの程度を観察した。この場合、フローマーク発生位置が長いほど、また目立ちにくいほど、外観性能が良好であることを示す。
前記(11)の方法で作成した平板成形体を用いて、目視によりフローマークを観察した。図1に示したフローマークが発生し始めるゲート端面からの距離(フローマーク発生位置A(端面側の発生位置)、単位:mm)と目立ちの程度を観察した。この場合、フローマーク発生位置が長いほど、また目立ちにくいほど、外観性能が良好であることを示す。
実施例および比較例で用いた重合体の製造に用いた2種類の触媒(固体触媒成分(I)、(II))の合成方法を以下に示した。
(1)固体触媒成分(I)
攪拌機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリドのジ−n−ブチルエーテル溶液50Lを、反応容器内の温度を20℃に保ちながら4時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後20℃でさらに1時間攪拌した後、室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.4Kg/Lになるようにトルエンを抜出した後、ジ−n−ブチルエーテル8.9モルと四塩化チタン274モルの混合液を加えた後、更にフタル酸クロライドを20.8モル加え110℃で3時間反応を行った。反応終了後、95℃でトルエンで3回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.4Kg/Lに調整した後、フタル酸ジイソブチル3.13モル、ジ−n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン109モルを加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離した後、95℃でトルエン90Lで2回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.4Kg/Lに調整した後、ジ−n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン109モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで2回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.4Kg/Lに調整した後、ジ−n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン109モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った後、さらにヘキサン90Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固体触媒成分12.8Kgを得た。固体触媒成分はチタン原子2.1重量%、マグネシウム原子18重量%、塩素原子60重量%、フタル酸エステル7.15重量%、エトキシ基0.05重量%、ブトキシ基0.26重量%を含有し、微粉のない良好な粒子性状を有していた。この固体触媒成分を、以下、固体触媒成分(I)と呼ぶ。
攪拌機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリドのジ−n−ブチルエーテル溶液50Lを、反応容器内の温度を20℃に保ちながら4時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後20℃でさらに1時間攪拌した後、室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.4Kg/Lになるようにトルエンを抜出した後、ジ−n−ブチルエーテル8.9モルと四塩化チタン274モルの混合液を加えた後、更にフタル酸クロライドを20.8モル加え110℃で3時間反応を行った。反応終了後、95℃でトルエンで3回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.4Kg/Lに調整した後、フタル酸ジイソブチル3.13モル、ジ−n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン109モルを加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離した後、95℃でトルエン90Lで2回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.4Kg/Lに調整した後、ジ−n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン109モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで2回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.4Kg/Lに調整した後、ジ−n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン109モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った後、さらにヘキサン90Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固体触媒成分12.8Kgを得た。固体触媒成分はチタン原子2.1重量%、マグネシウム原子18重量%、塩素原子60重量%、フタル酸エステル7.15重量%、エトキシ基0.05重量%、ブトキシ基0.26重量%を含有し、微粉のない良好な粒子性状を有していた。この固体触媒成分を、以下、固体触媒成分(I)と呼ぶ。
(2)固体触媒成分(II)
200リットルの円筒型反応器(直径0.35mの攪拌羽根を3対持つ撹拌機および幅0.05mの邪魔板4枚を備えた直径0.5mのもの)を窒素置換し、ヘキサン 54リットル、ジイソブチルフタレート 100g、テトラエトキシシラン 20.6kg及びテトラブトキシチタン 2.23kgを投入、撹拌した。次に、前記攪拌混合物に、ブチルマグネシウムクロリドのジ−n−ブチルエーテル溶液(濃度2.1モル/リットル)51リットルを反応器内の温度を7℃に保ちながら4時間かけて滴下した。この時の攪拌回転数は150rpmであった。滴下終了後、20℃で1時間撹拌したあと濾過し、得られた固体について室温下トルエン 70リットルでの洗浄を3回実施し、トルエンを加え、固体触媒成分前駆体スラリーを得た。該固体触媒成分前駆体は、Ti:1.9重量%、OEt(エトキシ基):35.6重量%、OBu(ブトキシ基):3.5重量%を含有していた。その平均粒径は39μmであり、16μm以下の微粉成分量は0.5重量%であった。次いでスラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、80℃で1時間攪拌し、その後、スラリーを40℃以下となるように冷却し、攪拌下、テトラクロロチタン 30リットルと、ジ−n−ブチルエーテル 1.16kgとの混合液を投入、さらにオルトフタル酸クロライド 4.23kgを投入した。反応器内の温度を110℃として3時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン 90リットルでの洗浄を3回実施した。トルエンを加え、スラリーとし、静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、攪拌下、テトラクロロチタン 15リットルと、ジ−n−ブチルエーテル 1.16kgと、ジイソブチルフタレート 0.87kgとの混合液を投入した。反応器内の温度を105℃として1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン 90リットルでの洗浄を2回実施した。トルエンを加え、スラリーとし、静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、攪拌下、テトラクロロチタン 15リットルと、ジ−n−ブチルエーテル 1.16kgとの混合液を投入した。反応器内の温度を105℃として1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン 90リットルでの洗浄を2回実施した。トルエンを加え、スラリーとし、静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、攪拌下、テトラクロロチタン 15リットルと、ジブチルエーテル 1.16kgとの混合液を投入した。反応器内の温度を105℃として1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン 90リットルでの洗浄を3回、ヘキサン 90リットルでの洗浄を2回実施した。得られた固体成分を乾燥し、固体触媒成分を得た。該固体触媒成分は、Ti:2.1重量%、フタル酸エステル成分:10.8重量%を含有していた。この固体触媒成分を、以下固体触媒成分(II)と呼ぶ。
200リットルの円筒型反応器(直径0.35mの攪拌羽根を3対持つ撹拌機および幅0.05mの邪魔板4枚を備えた直径0.5mのもの)を窒素置換し、ヘキサン 54リットル、ジイソブチルフタレート 100g、テトラエトキシシラン 20.6kg及びテトラブトキシチタン 2.23kgを投入、撹拌した。次に、前記攪拌混合物に、ブチルマグネシウムクロリドのジ−n−ブチルエーテル溶液(濃度2.1モル/リットル)51リットルを反応器内の温度を7℃に保ちながら4時間かけて滴下した。この時の攪拌回転数は150rpmであった。滴下終了後、20℃で1時間撹拌したあと濾過し、得られた固体について室温下トルエン 70リットルでの洗浄を3回実施し、トルエンを加え、固体触媒成分前駆体スラリーを得た。該固体触媒成分前駆体は、Ti:1.9重量%、OEt(エトキシ基):35.6重量%、OBu(ブトキシ基):3.5重量%を含有していた。その平均粒径は39μmであり、16μm以下の微粉成分量は0.5重量%であった。次いでスラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、80℃で1時間攪拌し、その後、スラリーを40℃以下となるように冷却し、攪拌下、テトラクロロチタン 30リットルと、ジ−n−ブチルエーテル 1.16kgとの混合液を投入、さらにオルトフタル酸クロライド 4.23kgを投入した。反応器内の温度を110℃として3時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン 90リットルでの洗浄を3回実施した。トルエンを加え、スラリーとし、静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、攪拌下、テトラクロロチタン 15リットルと、ジ−n−ブチルエーテル 1.16kgと、ジイソブチルフタレート 0.87kgとの混合液を投入した。反応器内の温度を105℃として1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン 90リットルでの洗浄を2回実施した。トルエンを加え、スラリーとし、静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、攪拌下、テトラクロロチタン 15リットルと、ジ−n−ブチルエーテル 1.16kgとの混合液を投入した。反応器内の温度を105℃として1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン 90リットルでの洗浄を2回実施した。トルエンを加え、スラリーとし、静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、攪拌下、テトラクロロチタン 15リットルと、ジブチルエーテル 1.16kgとの混合液を投入した。反応器内の温度を105℃として1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン 90リットルでの洗浄を3回、ヘキサン 90リットルでの洗浄を2回実施した。得られた固体成分を乾燥し、固体触媒成分を得た。該固体触媒成分は、Ti:2.1重量%、フタル酸エステル成分:10.8重量%を含有していた。この固体触媒成分を、以下固体触媒成分(II)と呼ぶ。
〔重合体の重合〕
(1)プロピレン単独重合体(HPP)の重合
(1−1)HPP−1の重合
(1−1a)予備重合
SUS製3L攪拌機付きオートクレーブにおいて、充分に脱水,脱気したヘキサン1Lにトリエチルアルミニウム(以下TEAと略す)25mmol/L、電子供与体成分としてt−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン(以下tBunPrDMSと略す。)をtBunPrDMS/TEA=0.1(mol/mol)および固体触媒成分(II)を19.5g/Lを添加し、15℃以下の温度を保持しながらプロピレンを固体触媒当たり2.5g/gに達するまで連続的に供給し予備重合を実施した。得られた予備重合体スラリーは120LのSUS製攪拌機付きの希釈槽へ移送し充分に精製された液状ブタンを加えて希釈し10℃以下の温度で保存した。
(1)プロピレン単独重合体(HPP)の重合
(1−1)HPP−1の重合
(1−1a)予備重合
SUS製3L攪拌機付きオートクレーブにおいて、充分に脱水,脱気したヘキサン1Lにトリエチルアルミニウム(以下TEAと略す)25mmol/L、電子供与体成分としてt−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン(以下tBunPrDMSと略す。)をtBunPrDMS/TEA=0.1(mol/mol)および固体触媒成分(II)を19.5g/Lを添加し、15℃以下の温度を保持しながらプロピレンを固体触媒当たり2.5g/gに達するまで連続的に供給し予備重合を実施した。得られた予備重合体スラリーは120LのSUS製攪拌機付きの希釈槽へ移送し充分に精製された液状ブタンを加えて希釈し10℃以下の温度で保存した。
(1−1b)本重合
内容積1m3の攪拌機付き流動床反応器において、重合温度83℃、重合圧力1.8MPa−G、気相部の水素濃度を対プロピレン比で17.9vol%を保持するようにプロピレンと水素を供給し、TEAを43mmol/h、CHEDMSを6.3mmol/hおよび(1−1a)で作成した予備重合体スラリーを固体触媒成分として1.80g/hを連続的に供給して連続の気相重合を行い、18.6Kg/hの重合体を得た。得られたポリマーの極限粘度[η]Pは0.78dl/g、アイソタクチック・ペンタッド分率は0.985、分子量分布Q値(Mw/Mn)は4.3であった。得られた重合体の分析結果を表1に示した。
内容積1m3の攪拌機付き流動床反応器において、重合温度83℃、重合圧力1.8MPa−G、気相部の水素濃度を対プロピレン比で17.9vol%を保持するようにプロピレンと水素を供給し、TEAを43mmol/h、CHEDMSを6.3mmol/hおよび(1−1a)で作成した予備重合体スラリーを固体触媒成分として1.80g/hを連続的に供給して連続の気相重合を行い、18.6Kg/hの重合体を得た。得られたポリマーの極限粘度[η]Pは0.78dl/g、アイソタクチック・ペンタッド分率は0.985、分子量分布Q値(Mw/Mn)は4.3であった。得られた重合体の分析結果を表1に示した。
(2)プロピレン−エチレンブロック共重合体(BCPP)の重合
(2−1)BCPP−1の重合
(2−1a)予備重合
SUS製3L攪拌機付きオートクレーブにおいて、充分に脱水,脱気したヘキサン1Lにトリエチルアルミニウム(以下TEAと略す)65mmol/L、電子供与体成分としてt−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン(以下tBnPDMSと略す)をtBnPDMS/TEA=0.2(mol/mol)および固体触媒成分(I)を22.5g/L分を添加し、15℃以下の温度を保持しながらプロピレンを固体触媒当たり2.5g/gに達するまで連続的に供給し予備重合を実施した。得られた予備重合体スラリーは200LSUS製攪拌機付きの希釈槽へ移送し充分に精製された液状ブタンを加えて希釈し10℃以下の温度で保存した。
(2−1)BCPP−1の重合
(2−1a)予備重合
SUS製3L攪拌機付きオートクレーブにおいて、充分に脱水,脱気したヘキサン1Lにトリエチルアルミニウム(以下TEAと略す)65mmol/L、電子供与体成分としてt−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン(以下tBnPDMSと略す)をtBnPDMS/TEA=0.2(mol/mol)および固体触媒成分(I)を22.5g/L分を添加し、15℃以下の温度を保持しながらプロピレンを固体触媒当たり2.5g/gに達するまで連続的に供給し予備重合を実施した。得られた予備重合体スラリーは200LSUS製攪拌機付きの希釈槽へ移送し充分に精製された液状ブタンを加えて希釈し10℃以下の温度で保存した。
(2−1b)本重合
内容積1m3の攪拌機付き流動床気相反応器を2槽直列に配置し、第1槽目においてプロピレン重合体部分を重合し、生成ポリマーを失活することなく第2槽目に連続的に移送し、第2槽目においてプロピレン−エチレン共重合体部分を連続的に重合する気相重合法で実施した。
前段第1槽目において、重合温度80℃、重合圧力1.8MPa、気相部の水素濃度16vol%を保持するようにプロピレンおよび水素を供給した条件下、TEAを20.4mmol/h、tBnPDMSを4.2mmol/hおよび(2−1a)で作成した予備重合体スラリーを固体触媒成分として1.23g/h供給し連続重合を行い、15.6Kg/hのポリマーが得られ、ポリマーの極限粘度[η]Pは0.93dl/gで、アイソタクチック・ペンタッド分率は0.983であった。
内容積1m3の攪拌機付き流動床気相反応器を2槽直列に配置し、第1槽目においてプロピレン重合体部分を重合し、生成ポリマーを失活することなく第2槽目に連続的に移送し、第2槽目においてプロピレン−エチレン共重合体部分を連続的に重合する気相重合法で実施した。
前段第1槽目において、重合温度80℃、重合圧力1.8MPa、気相部の水素濃度16vol%を保持するようにプロピレンおよび水素を供給した条件下、TEAを20.4mmol/h、tBnPDMSを4.2mmol/hおよび(2−1a)で作成した予備重合体スラリーを固体触媒成分として1.23g/h供給し連続重合を行い、15.6Kg/hのポリマーが得られ、ポリマーの極限粘度[η]Pは0.93dl/gで、アイソタクチック・ペンタッド分率は0.983であった。
排出された生成ポリマーは失活することなく後段第2槽目に連続的に供給した。後段第2層目は重合温度65℃、重合圧力1.4MPa、気相部の水素濃度1.64vol%、エチレン濃度13.0vol%を保持するようにプロピレン、エチレンおよび水素を連続的に供給した条件下に、6.0mmol/hのテトラエトキシシラン(以下TESと略す)を供給しながら連続重合を継続し、21.1Kg/hのポリマーが得られた。得られたポリマーの極限粘度[η]Tは1.33dl/gであり、後段部での重合体含量(EP含量)は25重量%であったので、後段部(EP部)で生成したポリマーの極限粘度[η]EPは2.5dl/gであった。又、分析の結果EP部でのエチレン含量は30重量%であった。得られた重合体の分析結果を表1に示した。
(2−2)BCPP−2の重合
予備重合における固体触媒成分を固体触媒成分(II)とし、本重合における気相部の水素濃度、エチレン濃度および固体触媒成分の供給量を、表1に示した重合体が得られるように調整した以外はBCPP−1と同様の方法で実施した。得られた重合体の分析結果を表1に示した。
予備重合における固体触媒成分を固体触媒成分(II)とし、本重合における気相部の水素濃度、エチレン濃度および固体触媒成分の供給量を、表1に示した重合体が得られるように調整した以外はBCPP−1と同様の方法で実施した。得られた重合体の分析結果を表1に示した。
(2−3)BCPP−3の重合
(2−3a)予備重合
BCPP−1と同様の方法で行った。
(2−3b)本重合
内容積1m3の攪拌機付き流動床気相反応器を2槽直列に配置し、第1槽目においてプロピレン重合体部分を連続重合し、生成ポリマーを失活することなく第2槽目にポリマー移送し、第2槽目においてプロピレン−エチレン共重合体部分をバッチ重合するセミバッチ式気相重合法で実施した。
(2−3a)予備重合
BCPP−1と同様の方法で行った。
(2−3b)本重合
内容積1m3の攪拌機付き流動床気相反応器を2槽直列に配置し、第1槽目においてプロピレン重合体部分を連続重合し、生成ポリマーを失活することなく第2槽目にポリマー移送し、第2槽目においてプロピレン−エチレン共重合体部分をバッチ重合するセミバッチ式気相重合法で実施した。
前段第1槽目において、重合温度80℃、重合圧力1.8MPa、気相部の水素濃度10vol%を保持するようにプロピレンおよび水素を供給した条件下、TEAを30mmol/h、tBnPDMSを4.5mmol/hおよび(2−3a)で作成した予備重合体スラリーを固体触媒成分として1.2g/h供給し連続重合を行い、20.3Kg/hのポリマーが得られ、ポリマーの極限粘度[η]Pは1.04dl/gであった。
後段第2槽目は窒素ガス、0.3MPa状態で待機し、1槽目から連続的に移送されるポリマーを受け込み後、テトラエトキシシラン(以下TESと略す)22mmolを添加した。その後、重合温度65℃、重合圧力1.2MPa、気相部の水素濃度2.1vol%、エチレン濃度20vol%を保持するようにプロピレン、エチレンおよび水素を連続的に供給した条件下でバッチ重合(EP−1重合とする)を実施し、41.7Kgのポリマーが得られた。2槽目から一部系外に抜き出し、得られたポリマーの分析の結果、極限粘度[η]Tは1.27dl/gであり、後段部での重合体含量(EP1含量)は14.7重量%であったので、後段部で生成したポリマー(EP−1部分)の極限粘度[η]EP-1は2.6dl/gであった。又、EP−1部でのエチレン含量は35重量%であった。
後段第2槽目は窒素ガス、0.3MPa状態で待機し、1槽目から連続的に移送されるポリマーを受け込み後、テトラエトキシシラン(以下TESと略す)22mmolを添加した。その後、重合温度65℃、重合圧力1.2MPa、気相部の水素濃度2.1vol%、エチレン濃度20vol%を保持するようにプロピレン、エチレンおよび水素を連続的に供給した条件下でバッチ重合(EP−1重合とする)を実施し、41.7Kgのポリマーが得られた。2槽目から一部系外に抜き出し、得られたポリマーの分析の結果、極限粘度[η]Tは1.27dl/gであり、後段部での重合体含量(EP1含量)は14.7重量%であったので、後段部で生成したポリマー(EP−1部分)の極限粘度[η]EP-1は2.6dl/gであった。又、EP−1部でのエチレン含量は35重量%であった。
更に、後段2槽目で重合温度65℃、重合圧力1.4MPa、気相部の水素濃度9.1vol%、エチレン濃度45.8vol%を保持するようにプロピレン、エチレンおよび水素を連続的に供給した条件下でバッチ重合(EP−2重合とする)を実施し、最終的に50.9Kgのポリマーが得られた。回収したポリマーの分析の結果、極限粘度[η]Tは1.48dl/gであり、後段部(EP)での重合体含量は29重量%であったので、後段部で生成したポリマー(EP部分)の極限粘度[η]EPは2.6dl/gであった。又、EP部でのエチレン含量は52重量%であった。
したがって、EP−2重合において生成したプロピレン−エチレン共重合体部分(EP―2部分)の極限粘度[η]EP-2は2.6dl/gで、EP−2部分のエチレン含量は65重量%と求められた。得られた重合体の分析結果を表1に示した。
したがって、EP−2重合において生成したプロピレン−エチレン共重合体部分(EP―2部分)の極限粘度[η]EP-2は2.6dl/gで、EP−2部分のエチレン含量は65重量%と求められた。得られた重合体の分析結果を表1に示した。
BCPP−4の重合
予備重合における固体触媒成分を固体触媒成分(II)とし、本重合における気相部の水素濃度、エチレン濃度および固体触媒成分の供給量を、表1に示した重合体が得られるように調整した以外はBCPP−1と同様の方法で実施した。得られた重合体の分析結果を表1に示した。
予備重合における固体触媒成分を固体触媒成分(II)とし、本重合における気相部の水素濃度、エチレン濃度および固体触媒成分の供給量を、表1に示した重合体が得られるように調整した以外はBCPP−1と同様の方法で実施した。得られた重合体の分析結果を表1に示した。
実施例1
プロピレン−エチレンブロック共重合体パウダー(BCPP―3)100重量部に対して、安定剤としてステアリン酸カルシウム(日本油脂製)0.05重量部、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(スミライザーGA80、住友化学製)0.05重量部、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト(ウルトラノックスU626、GEスペシャリティーケミカルズ製)0.05重量部を添加しドライブレンドした後、40mmφ単軸押し出し機(220℃)で造粒した。
プロピレン−エチレンブロック共重合体パウダー(BCPP―3)100重量部に対して、安定剤としてステアリン酸カルシウム(日本油脂製)0.05重量部、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(スミライザーGA80、住友化学製)0.05重量部、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト(ウルトラノックスU626、GEスペシャリティーケミカルズ製)0.05重量部を添加しドライブレンドした後、40mmφ単軸押し出し機(220℃)で造粒した。
このBCPP―3ペレット48重量%、プロピレン単独重合体(HPP―1)パウダー10重量%、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)としてエチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴム EOR−1(デュポンダウエラストマー製Engage8200:密度0.870g/cm3、MFR11g/10分)を11重量%、無機充填材(C)として平均粒子径2.7μmのタルク(林化成社製、商品名:MWHST)16重量%、BCPP−3ペレットと同様に処理したBCPP−4ペレット15重量%の組成割合で配合し、タンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44SS−30BW−2V型)を用いて、押し出し量50kg/hr、230℃、スクリュー回転数を350rpmで混練押出して、ポリプロピレン系樹脂組成物を製造した。
表2に各成分の配合割合と造粒して得られたポリプロピレン系樹脂組成物のMFR、物性の評価結果を示した。
表2に各成分の配合割合と造粒して得られたポリプロピレン系樹脂組成物のMFR、物性の評価結果を示した。
比較例−1〜比較例−3
表2に示したプロピレン−エチレンブロック共重合体(BCPP)に変更し、実施例−1と同様の処理を行いMFRと射出成形品の物性を測定した。表2にMFR、物性を示す。
表2に示したプロピレン−エチレンブロック共重合体(BCPP)に変更し、実施例−1と同様の処理を行いMFRと射出成形品の物性を測定した。表2にMFR、物性を示す。
本発明の要件を満足する実施例−1であるポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体は、フローマーク外観に優れ、低温衝撃強度、特に高速面衝撃強度(ΔE)に優れ、かつ、高い剛性と表面硬度の良好なバランスを有するものであることが分かる。
比較例−1は、本発明の要件である結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)を含有しないため、フローマーク外観が十分でないことが分かる。
比較例−2は、ポリプロピレン樹脂のエチレンランダム共重合体部分が本発明の要件であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)とを含有しないため、剛性と表面硬度が十分でなく耐衝撃性とのバランスが十分でないことが分かる。
比較例−3は、本発明の要件である結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)を含有せず、フローマーク外観が十分でないことが分かる。また、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)とを含有しないため、耐衝撃性と剛性及び表面硬度とのバランスが十分でないことが分かる。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、自動車内外装部品等の高い品質が望まれる分野に使用することが出来る。
1 ゲート1
2 フローマークA
3 フローマークB
2 フローマークA
3 フローマークB
Claims (7)
- ポリプロピレン樹脂(A)89〜25重量%と、炭素数4〜12のα−オレフィンとエチレンとを含有し、密度が0.850〜0.875g/cm3であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)1〜25重量%と、無機充填剤(C)5〜25重量%、及び、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EP-Eが5〜9dl/g、エチレン含有量[(C2’)EP-E]が20〜50重量%である結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)5〜40重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%とする)であって、
前記ポリプロピレン樹脂(A)が、下記の要件(1)、(2)、(3)および(4)とを満足する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)、または、前記ブロック共重合体(A−1)と結晶性プロピレン単独重合体(A−2)とを含有する重合体混合物(A−3)であるポリプロピレン系樹脂組成物。
要件(1):
前記ブロック共重合体(A−1)は、結晶性ポリプロピレン部分55〜85重量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分15〜45重量%とを含有する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体である(ただし、前記ブロック共重合体の全量を100重量%とする)。
要件(2):
前記ブロック共重合体(A−1)の結晶性ポリプロピレン部分が、
プロピレン単独重合体、または、
エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体であり、
前記エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体である場合、エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンの含有量が1モル%以下である(ただし、前記エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体の全量を100モル%とする)。
要件(3):
前記ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分に含有されるプロピレンとエチレンの含有量の比(プロピレン/エチレン(重量/重量))が、75/25〜35/65である。
要件(4):
前記ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分が、
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)とを含有し、
共重合体成分(EP−A)の極限粘度[η]EP-Aが1.5dl/g以上4dl/g未満、エチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であり、
共重合体成分(EP−B)の極限粘度[η]EP-Bが0.5dl/g以上3dl/g未満、エチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下である。 - ブロック共重合体(A−1)のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分に含有される共重合体成分(EP−A)の極限粘度[η]EP-Aが、共重合体成分(EP−B)の極限粘度[η]EP-B以上である請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- ブロック共重合体(A−1)の結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度[η]Pが0.6dl/g以上1.5dl/g以下であり、GPCで測定した分子量分布Q値(Mw/Mn)が3以上7未満である請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- ブロック共重合体(A−1)の結晶性ポリプロピレン部分のアイソタクチック・ペンタッド分率が0.97以上である請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.05〜30g/10分である請求項1〜4いずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 無機充填剤(C)が、タルクである請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体。
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