JP2005120362A - 熱可塑性樹脂組成物及びその射出成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 流動性に優れて成形加工性に優れ、かつ、射出成形によって剛性、衝撃強度、および外観に優れた成形体を与え得る熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (A)35〜85重量%のポリプロピレン系樹脂、(B)1〜35重量%のエラストマー、(C)2〜30重量%の無機充填剤、および、(D)0.1〜5重量%の下記樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物。
樹脂(D):プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体であり、その135℃テトラリン溶液の固有粘度が5dl/g以上である第1セグメント60〜80重量%と、プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体であり、その135℃テトラリン溶液の固有粘度が0.8〜1.2dl/gである第2セグメント20〜40重量%とからなる樹脂。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物およびその熱可塑性樹脂組成物からなる射出成形体に関するものである。さらに詳しくは、流動性に優れて成形加工性に優れ、かつ、射出成形によって剛性、衝撃強度、および外観に優れた成形体を与え得る熱可塑性樹脂組成物、およびその熱可塑性樹脂組成物からなる射出成形体に関するものである。本発明において、成形体の外観は、主に成形体中のフローマークの状態に対応する。
ポリプロピレン系樹脂は、剛性、衝撃強度等が要求される材料に広く用いられている。近年、特に、自動車用材料にポリプロピレン系樹脂が用いられるようになり、中でもエチレン−プロピレンブロック共重合体が用いられるようになってきている。また、エチレン−プロピレンブロック共重合体は、従来は、溶媒法により製造されてきたが、製造工程が簡便であり、エチレン−プロピレンブロック共重合体を低価格で製造できる連続式の気相法により製造されるようになってきた。
ところが、一般に、気相法で製造されたエチレン−プロピレンブロック共重合体は、エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度が低いためにスウェリングレシオが低く、そのため、その成形体はフローマークが目立って外観が悪い。また、気相法で製造されるエチレン−プロピレンブロック共重合体のエチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度を高くすると、ブツが発生し、成形体の外観が悪くなる。
上述のような外観の問題を解決する方法としては、例えば、特開平7−286022号公報には、23℃n−デカン不溶成分の固有粘度が0.1〜20dl/gであり、23℃n−デカン可溶成分の固有粘度が5〜15dl/gである、外観にブツを発生することなく成形物を形成することができるバッチ式の溶媒法で製造されたプロピレン系ブロック共重合体が記載されている。しかし、同公開公報に比較例3に示されているように、エチレン−プロピレン共重合体部分に相当すると考えられる23℃n−デカン可溶成分の固有粘度が高いエチレン−プロピレンブロック共重合体は、ブツの原因となるゴム塊個数が多いものであった。
また、特開平7−286075号公報には、連続式で製造されたプロピレン重合体と23℃n−デカン可溶成分の固有粘度が5〜12dl/gであるエチレン−プロピレンブロック共重合体からなる、外観にブツを発生することのない成形物を形成することができるプロピレン重合体組成物が記載されている。しかし、そのエチレン−プロピレンブロック共重合体の配合量は12重量%以上で、多いものであった。
特開平7−286022号公報 特開平7−286075号公報 特開2002−12718号公報
本発明の目的は、流動性に優れて成形加工性に優れ、かつ、射出成形によって剛性、衝撃強度、および外観に優れた成形体を与え得る熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の一つの態様では、
(A)35〜85重量%のポリプロピレン系樹脂、(B)1〜35重量%のエラストマー、(C)2〜30重量%の無機充填剤、および、(D)0.1〜5重量%の下記樹脂(但し、成分(A)、(B)、(C)および(D)の前記量はそれぞれ、これらの合計重量を基準とする。)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
樹脂(D):プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体であり、その135℃テトラリン溶液の固有粘度が5dl/g以上である第1セグメント60〜80重量%と、プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体であり、その135℃テトラリン溶液の固有粘度が0.8〜1.2dl/gである第2セグメント20〜40重量%とからなる樹脂(但し、第1セグメント及び第2セグメントの前記量はそれぞれ、これらの合計重量を基準とする。)
一つの好ましい態様において、ポリプロピレン系樹脂(A)の量は56〜85重量%であり、エラストマー(B)の量は1〜9重量%である。
他の好ましい態様において、エラストマー(B)の量は10〜35重量%である。
また、本発明の他の態様では、上記の熱可塑性樹脂組成物からなる射出成形体が提供される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は流動性に優れており、これを射出成形すると、剛性、衝撃強度及び外観が良好で、特にフローマークが目立たない射出成形体を得ることができる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)とは、通常、結晶性を有するポリプロピレン系樹脂であり、例えば、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性エチレン−プロピレン共重合体、結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用しても良い。但し、ポリプロピレン系樹脂(A)は、後述する樹脂(D)とは異なる。
結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、炭素数が4以上のα−オレフィンであり、好ましくは炭素数が4〜20のα−オレフィンであり、より好ましくは炭素数が4〜12のα−オレフィンである。例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられる。結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、結晶性プロピレン−ブテン−1共重合体、結晶性プロピレン−ヘキセン−1共重合体等が挙げられる。
結晶性を有するポリプロピレン系樹脂として、樹脂組成物から得られる成形体の剛性、耐衝撃性と言った機械物性の観点から、好ましくは結晶性プロピレン単独重合体、結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体、又はそれらの混合物であり、特に好ましくは、結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体、又は結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体と結晶性プロピレン単独重合体の混合物である。
ポリプロピレン系樹脂(A)として用いられる結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体とは、プロピレン単独重合体部分(これを第1セグメントという。)とエチレン−プロピレンランダム共重合体部分(これを第2セグメントという。)とからなる結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体である。
第1セグメントのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比であるQ値として、樹脂組成物の成形性および剛性、耐衝撃性と言った樹脂組成物から得られる成形体の機械物性の観点から、好ましくは3.0〜5.0であり、より好ましくは3.5〜4.5である。
また、第1セグメントの13C−NMRを用いて測定されるアイソタクチックペンタッド分率として、樹脂組成物から得られる成形体の剛性の観点から、好ましくは0.98以上であり、より好ましくは0.99以上である。
そして、第1セグメントの135℃テトラリン溶液の固有粘度([η]P)として、樹脂組成物の成形性の観点から、好ましくは0.7〜1.2dl/gであり、より好ましくは0.8〜1.1dl/gである。
第2セグメントの135℃テトラリン溶液の固有粘度([η]EP)として、樹脂組成物の成形性、樹脂組成物から得られる成形体の機械物性、外観の観点から、好ましくは1.0以上8.0dl/g未満であり、より好ましくは1.5〜7.5dl/gである。
また、第2セグメントのエチレン含量[(C2’)EP]として、耐衝撃性などの樹脂組成物から得られる成形体の機械物性の観点から、好ましくは25〜55重量%であり、より好ましくは35〜45重量%である。
また、第2セグメントの第1セグメントに対する重量比として、樹脂組成物の成形性の観点から、好ましくは8/92〜35/65である。
上記の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体と結晶性プロピレン単独重合体との混合物に用いられる結晶性プロピレン単独重合体とは、結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分と同じ様な物性を有するものであって、そのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比であるQ値として、樹脂組成物の成形性、および剛性、耐衝撃性と言った樹脂組成物から得られる成形体の機械物性の観点から、好ましくは3.0〜5.0であり、より好ましくは3.5〜4.5である。
また、上記の混合物に用いられる結晶性プロピレン単独重合体の13C−NMRによって測定されるアイソタクチックペンタッド分率として、樹脂組成物から得られる成形体の剛性の観点から、好ましくは0.98以上であり、より好ましくは0.99以上である。アイソタクチックペンタッド分率の上限は1である。
そして、上記の混合物に用いられる結晶性プロピレン単独重合体の135℃テトラリン溶液の固有粘度([η]P)として、樹脂組成物の成形性の観点から、好ましくは0.7〜1.2dl/gであり、より好ましくは0.8〜1.1dl/gである。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)の製造方法としては、公知の立体規則性オレフィン重合触媒を用いて公知の重合方法によって製造する方法が挙げられる。公知の触媒としては、例えば、チーグラー・ナッタ触媒系、メタロセン触媒系、それらを組み合わせた触媒系等が挙げられ、公知の重合方法としては、例えば、バルク重合法、溶液重合法、スラリー重合法または気相重合法、あるいはこれらの重合法を任意に組み合わせた重合方法が挙げられ、好ましくは、連続式の気相重合法である。
特に、結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法として、好ましくは、第1セグメントである結晶性プロピレン単独重合体部分を得る第1工程で立体規則性オレフィン重合触媒の存在下にプロピレンを単独重合し、続いて、第2セグメントであるエチレン−プロピレンランダム共重合体部分を得る第2工程でエチレンとプロピレンを共重合する製造方法が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるポリプロピレン系樹脂(A)の含有量は、35〜85重量%であり、好ましくは40〜80重量%であり、さらに好ましくは、45〜75重量%である。ポリプロピレン系樹脂(A)の含有量は、後述するエラストマー(B)の配合量を考慮して適宜調節され、例えば、エラストマー(B)の量を1〜9重量%とする場合には、ポリプロピレン系樹脂(A)の量は56〜85重量%に調節する。
ポリプロピレン系樹脂(A)の含有量が、35重量%未満である場合、樹脂組成物から得られる成形体の剛性が低下することがあり、85重量%を超えると、樹脂組成物から得られる成形体の衝撃強度が低下することがある。
本発明で用いられるエラストマー(B)とは、ゴム成分を含有するエラストマーである。例えば、ビニル芳香族化合物含有ゴムを含有するエラストマー、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴムを含有するエラストマー、および、それらの混合物を含有するエラストマー等が挙げられる。
エラストマー(B)として用いられるビニル芳香族化合物含有ゴムとしては、例えば、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体等が挙げられ、その共役ジエン部分の水素添加されている二重結合の割合として、樹脂組成物およびそれから得られる成形体の耐候性の観点から、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上である。(但し、前記の量は、水添前の共役ジエン部分の全二重結合の数を基準とする。)
また、ビニル芳香族化合物含有ゴムのGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)法によって測定される分子量分布(Q値)として、樹脂組成物から得られる成形体の機械物性の観点から、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.3以下である。なお、ビニル芳香族化合物含有ゴムのQ値は、好ましくは1.8以上である。
また、ビニル芳香族化合物含有ゴム中のビニル芳香族化合物の平均含有量として、剛性や耐衝撃性等の樹脂組成物から得られる成形体の機械物性の観点から、好ましくは10〜20重量%であり、より好ましくは12〜19重量%である。
また、ビニル芳香族化合物含有ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、230℃)として、樹脂組成物の成形性の観点から、好ましくは1〜15g/10分であり、より好ましくは2〜13g/10分である。
エラストマー(B)として用いられるビニル芳香族化合物含有ゴムとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系ゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ゴム(SEPS)、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム(SIS)等のブロック共重合体、および、これらのゴム成分を水添したブロック共重合体等を挙げることができる。また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴム(EPDM)等のオレフィン系共重合体ゴムとスチレン等のビニル芳香族化合物を反応させて得られるゴムも好適に使用することができる。また、少なくとも2種類のビニル芳香族化合物含有ゴムを併用しても良い。
エラストマー(B)として用いられるビニル芳香族化合物含有ゴムの製造方法としては、例えば、オレフィン系共重合体ゴムもしくは共役ジエンゴムに、ビニル芳香族化合物を、重合や反応によって結合させる製造方法等が挙げられる。
エラストマー(B)として用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴムとは、エチレンとα−オレフィンからなるランダム共重合体ゴムである。α−オレフィンは炭素原子数3以上のα−オレフィンであり、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン等が挙げられ、好ましくは、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1である。
エラストマー(B)として用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン−プロピレンランダム共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴム、エチレン−ヘキセン−1ランダム共重合体ゴム、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴム等が挙げられ、好ましくは、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴム又はエチレン−プロピレンランダム共重合体ゴムである。また、少なくとも2種類のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴムを併用しても良い。
エラストマー(B)として用いられるエチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴムのGPC法によって測定される分子量分布(Q値)として、樹脂組成物から得られる成形体の機械物性の観点から、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.3以下である。なお、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴムのQ値は、好ましくは1.8以上である。
また、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴム中のオクテン−1の含有量として、樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性の観点から、好ましくは15〜45重量%であり、より好ましくは18〜42重量%である。
また、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、190℃)として、樹脂組成物の成形性や樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性の観点から、好ましくは1〜15g/10分であり、より好ましくは2〜13g/10分である。
エラストマー(B)として用いられるエチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴムのGPC法によって測定される分子量分布(Q値)として、樹脂組成物から得られる成形体の機械物性の観点から、好ましくは2.7以下であり、より好ましくは2.5以下である。なお、エチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴムのQ値は、好ましくは1.8以上である。
また、エチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴム中のブテン−1の含有量として、樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性の観点から、好ましくは15〜35重量%であり、より好ましくは17〜33重量%である。
また、エチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、190℃)として、樹脂組成物の成形性や樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性の観点から、好ましくは1〜15g/10分であり、より好ましくは2〜13g/10分である。
エラストマー(B)として用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体ゴムのGPC法によって測定される分子量分布(Q値)として、樹脂組成物から得られる成形体の機械物性の観点から、好ましくは2.7以下であり、より好ましくは2.5以下である。なお、エチレン−プロピレンランダム共重合体ゴムのQ値は、好ましくは1.8以上である。
また、エチレン−プロピレンランダム共重合体ゴム中のプロピレンの含有量として、樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性の観点から、好ましくは20〜30重量%であり、より好ましくは22〜28重量%である。
また、エチレン−プロピレンランダム共重合体ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、190℃)として、樹脂組成物の成形性や樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性の観点から、好ましくは1〜15g/10分であり、より好ましくは2〜13g/10分である。
エラストマー(B)として用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴムの製造方法としては、公知の触媒を用いて、公知の重合方法により、エチレンと各種のα−オレフィンを共重合させる方法が挙げられる。公知の触媒としては、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物からなる触媒系、チーグラー・ナッタ触媒系またはメタロセン触媒系等が挙げられ、公知の重合方法としては、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法または気相重合法等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるエラストマー(B)の含有量は、1〜35重量%である。樹脂組成物から得られる成形体の剛性と耐衝撃性とのバランスの観点からは、好ましくは1〜9重量%であり、より好ましくは3〜8重量%である。樹脂組成物から得られる成形体の衝撃強度や、剛性、耐熱性の観点からは、好ましくは10〜35重量%であり、より好ましくは12〜30重量%である。
本発明で用いられる無機充填剤(C)とは、樹脂組成物から得られる成形体の剛性を向上させることができるものであればよく、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、結晶性ケイ酸カルシウム、タルク及び硫酸マグネシウム繊維等が挙げられる。好ましくは、タルク、硫酸マグネシウム繊維、または、それらの混合物である。
無機充填剤(C)として用いられるタルクとしては、樹脂組成物から得られる成形体の剛性や耐熱性の観点から、含水ケイ酸マグネシウムを粉砕したものが好ましい。その分子の結晶構造はパイロフィライト型三層構造を示しており、タルクはこの構造が積み重なったものであり、特に結晶を単位層程度にまで微粉砕した平板状のものが好ましい。
無機充填剤(C)として用いられるタルクの平均粒子径として、樹脂組成物から得られる成形体の剛性や耐衝撃性等の機械物性の観点から、好ましくは3μm以下である。ここでタルクの平均粒子径とは遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
無機充填剤(C)として用いられるタルクは無処理のまま使用しても良く、または、ポリプロピレン系樹脂(A)との界面接着性を向上させ、また分散性を向上させる目的で公知の各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類あるいは他の界面活性剤で表面を処理したものを使用しても良い。
無機充填剤(C)として用いられる硫酸マグネシウム繊維の平均繊維長として、剛性や耐衝撃性等の樹脂組成物から得られる成形体の機械物性の観点から、好ましくは5〜50μmであり、より好ましくは10〜30μmである。
また、硫酸マグネシウム繊維の平均繊維径として、剛性や耐衝撃性等の樹脂組成物から得られる成形体の機械物性の観点から、好ましくは0.3〜2.0μmであり、より好ましくは0.5〜1.0μmである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における無機充填剤(C)の含有量は、2〜30重量%であり、好ましくは5〜30重量%であり、より好ましくは10〜30重量%である。無機充填剤の含有量が、2重量%未満である場合、樹脂組成物から得られる成形体の剛性が低下することがあり、30重量%を超えた場合、成形体の衝撃強度が不充分なことがあり、また、成形体の外観も悪化することがある。
本発明で用いられる樹脂(D)は、プロピレン単独重合体またはエチレン−プロピレンランダム共重合体であり、その135℃テトラリン溶液の固有粘度が5dl/g以上である第1セグメント60〜80重量%と、プロピレン単独重合体またはエチレン−プロピレンランダム共重合体であり、その135℃テトラリン溶液の固有粘度が0.8〜1.2dl/gである第2セグメント20〜40重量%とを含有する樹脂(但し、第1セグメント及び第2セグメントの前記量はそれぞれ、これらの合計重量を基準とする。)である。
樹脂(D)に含有される第1セグメントであるプロピレン単独重合体またはエチレン−プロピレンランダム共重合体の135℃テトラリン溶液の固有粘度は5dl/g以上であり、好ましくは5〜15dl/gであり、より好ましくは5〜12dl/gである。樹脂(D)の第1セグメントが固有粘度が5dl/g未満の重合体に置き換えられると、樹脂組成物から得られる成形体にフローマークが目立ち、外観が不充分となる。一方、樹脂(D)の第1セグメントが固有粘度が過度に高い重合体に置き換えられると、樹脂組成物中にブツが発生しやすくなり、樹脂組成物から得られる成形体の外観が損なわれ易い。
また、樹脂(D)に含有される第2セグメントであるプロピレン単独重合体またはエチレン−プロピレンランダム共重合体の135℃テトラリン溶液の固有粘度は0.8〜1.2dl/gであり、好ましくは0.8〜1.1dl/gであり、より好ましくは0.8〜1.0dl/gである。樹脂(D)の第2セグメントが固有粘度が0.8dl/g未満の重合体に置き換えられると、樹脂組成物から得られる成形体の機械物性が不充分なことがある。一方、樹脂(D)の第2セグメントが固有粘度が1.2dl/gを超える重合体に置き換えられると、樹脂組成物の流動性が不充分なことがある。
樹脂(D)に含有される第1セグメントの含有量が60重量%未満の場合、樹脂組成物から得られる成形体の外観が不充分ことがあり、80重量%を超えた場合、樹脂組成物の流動性が不十分なことがある。
また、樹脂(D)に含有される第2セグメントの含有量が20重量%未満の場合、樹脂組成物の流動性が不充分ことがあり、40重量%を超えた場合、樹脂組成物から得られる成形体の外観が不十分なことがある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における樹脂(D)の含有量は、0.1〜5重量%であり、好ましくは0.5〜4.5重量%であり、さらに好ましくは1.0〜4.5重量%である。樹脂(D)の含有量が0.1重量%未満である場合、樹脂組成物から得られる成形体の外観が不充分であることがあり、5重量%を超えた場合、樹脂組成物の流動性が低下することがある。
樹脂(D)の第1セグメントおよび第2セグメントの製造方法としては、公知の立体規則性オレフィン重合触媒を用いて公知の重合方法によって製造する方法が挙げられる。公知の触媒としては、例えば、チーグラー・ナッタ触媒系、メタロセン触媒系、それらを組合わせた触媒系等が挙げられ、公知の重合方法としては、例えば、バルク重合法、溶液重合法、スラリー重合法または気相重合法、あるいはこれらの重合法を任意に組み合わせた重合方法が挙げられ、好ましくは、連続式の気相重合法である。
そして、樹脂(D)の製造方法としては、プロピレンまたはプロピレンとエチレンを重合して、個別に第1セグメントと第2セグメントのそれぞれを製造し、その後、第1セグメントと第2セグメントを混合する方法や溶融混練する方法等が挙げられる。また、プロピレンまたはプロピレンとエチレンを重合して第1セグメントを製造する工程と第2セグメントを製造する工程によって、第1セグメントと第2セグメントを任意の順序で連続に製造する方法等が挙げられる。好ましくはプロピレンまたはプロピレンとエチレンを重合して第1セグメントを製造する工程と第2セグメントを製造する工程によって、第1セグメントと第2セグメントを任意の順序で連続に製造する方法である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロールなどの混練機を用いて混練する方法等が挙げられる。各成分の混練機への添加、混合は同時に行なっても良く、分割して行なっても良く、例えば下記の方法等が挙げられる。
(方法1)ポリプロピレン系樹脂(A)と無機充填剤(C)を混練した後、エラストマー(B)を添加し、その後、樹脂(D)を混練する方法。
(方法2)予めポリプロピレン系樹脂(A)に無機充填剤(C)を高濃度に混練してマスターバッチとし、それを別途ポリプロピレン系樹脂(A)やエラストマー(B)等で希釈した後、樹脂(D)を混練する方法。
(方法3)ポリプロピレン系樹脂(A)とエラストマー(B)を混練した後、無機充填剤(C)を添加し、その後、樹脂(D)を混練する方法。
(方法4)予めポリプロピレン系樹脂(A)にエラストマー(B)を高濃度に混練してマスターバッチとし、それにポリプロピレン系樹脂(A)、無機充填剤(C)を添加し、その後、樹脂(D)を混練する方法。
(方法5)予めポリプロピレン系樹脂(A)と無機充填剤(C)、ポリプロピレン系樹脂(A)とエラストマー(B)をそれぞれ混練しておき、最後にそれらを合わせた後、樹脂(D)を混練する方法。
混練温度は、通常、170〜250℃であり、より好ましくは190〜230℃である。混練時間は、通常、1〜20分であり、より好ましくは3〜15分である。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成分(A)〜(D)以外に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤等の添加剤を、必要に応じて、適宜含有してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、一般に公知の射出成形方法によって射出成形体に成形することができる。特に、ドアートリム、ピラー、インストルメントパネル、コンソールおよびバンパー等の自動車用射出成形体として好適に使用される。
以下、実施例および比較例によって、本発明を説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた各成分を、以下に示した。
(1)ポリプロピレン系樹脂(A)
エチレン−プロピレンブロック共重合体(A−1) (樹脂A−1)
樹脂A−1は、プロピレン単独重合体部分とエチレン−プロピレンランダム共重合部分とからなる結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体である。
[製造方法]
(1)予備重合
SUS製攪拌機付きオートクレーブにおいて、充分に脱水、脱気処理したヘキサンにトリエチルアルミニウム(以下、TEAと略す。)を25mmol/L、電子供与体成分としてシクロヘキシルエチルジメトキシシラン(以下、CHEDMSと略す。)をCHEDMS/TEA=0.1(mol/mol)、および特開平10−212319号公報に記載の固体触媒成分Iを触媒成分に含まれるTi含量で[TEA]/Ti=5となるように上記の順に仕込み、固体触媒成分あたりの重合体量比(以下PP/catと略す。)が2.5(g/g)になるように5〜15℃を維持しながらプロピレンを連続的に供給して予備重合体スラリーを得た。得られた予備重合体スラリーをSUS製攪拌機付きオートクレーブに移送した後、十分に精製された液状ブタンを加えて10℃以下の温度に保持して保存した。
(2)本重合
3槽からなる重合槽を直列に配置し、第1の、次いで第2の重合槽にて気相法で連続的にプロピレン単独重合体部分(第1セグメント)成分を重合した後、第2槽での生成物を次の重合槽(第3の重合槽)に移した。ついでその重合槽でプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の重合を気相法で連続的に行った。
前段1、2槽目において、リアクター内温度80℃、リアクター内圧力1.8MPaにおいて、気相部のプロピレンを90体積%、水素を7.4体積%に保持する条件下、(1)で作成した予備重合体スラリーを固体触媒成分としてTEAおよびCHEDMSを供給しながら連続気相重合を行った。各触媒成分は得られた重合体中の濃度として[TEA]=200ppm程度で行い、[CHEDMS]/[TEA]=0.1(mol/mol)、PP/cat=28000(g/g)になるように供給した。1、2槽合わせた平均滞留時間は5.3hrであった。得られたプロピレン単独重合体の固有粘度[η]Pは1.0dl/gであった。
後段3槽目においてはリアクター内温度65℃、リアクター内圧力1.4MPaにおいて、気相部のプロピレンを68体積%、エチレンを26体積%、水素を4体積%に保持する条件下で連続的に気相重合を行った。各触媒成分は得られた重合体中の濃度として[TEA]=270ppm、[CHEDMS]=48ppm、PP/cat=6000(g/g)になるように供給した。平均滞留時間は1.3hrであった。得られたエチレン−プロピレンランダム共重合部分の固有粘度[η]EPは2.2dl/gであり、エチレン含有量は45重量%であった。エチレン−プロピレンブロック共重合体におけるエチレン−プロピレンランダム共重合部分の含有量は18重量%であった。
エチレン−プロピレンブロック共重合体(A−2) (樹脂A−2)
プロピレン単独重合体部分とエチレン−プロピレンランダム共重合部分とからなる結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体であるCOSMOPLENE AZ864(The Polyolefin Company製;MFR=38g/10分)をパーオキサイド分解して得られた、MFR=55g/10分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体である。
エチレン−プロピレンブロック共重合体(A−3)(樹脂A−3)
樹脂A−3は、上記の樹脂A−1をパーオキサイド分解して得られた、MFR=50g/10分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体である。
(2)エラストマー(B)
エチレン−オクテン−1共重合体ゴム(エラストマーB−1)
デュポンダウエラストマー製、Engage EG8200
エチレン−1−ブテン共重合体ゴム(エラストマーB−2)
住友化学工業株式会社製、エスプレンSPO N0416
(3)無機充填剤(C)
タルク、林化成製、MW HS−T
(4)樹脂(D)
〔製造方法〕
(4−1)固体触媒成分(I)
攪拌機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55モル、フタル酸ジイソブチル2.8モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液51Lを、反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後5℃で1時間、室温でさらに1時間攪拌した後、室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.2kg/Lになるようにトルエン量を調整した後、105℃で1時間攪拌した。その後、95℃まで冷却し、フタル酸ジイソブチル47.6モル加え、95℃で30分間反応を行った。反応後固液分離し、トルエンで2回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度が0.4kg/Lになるようにトルエン量を調節後、フタル酸ジイソブチル3.1モル、ジ−n−ブチルエーテル8.9モル及び四塩化チタン274モルを加え、105℃で3時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離した後、同温度でトルエン90Lで2回洗浄を行った。スラリー濃度が0.4kg/Lになるようにトルエン量を調節後、ジ−n−ブチルエーテル8.9モル及び四塩化チタン137モルを加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った後、さらにヘキサン70Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固体触媒成分11.4kgを得た。固体触媒成分はチタン原子1.83重量%、フタル酸エステル8.4重量%、エトキシ基0.30重量%、ブトキシ基0.20重量%を含有していた。この固体触媒成分を、以下固体触媒成分(I)と呼ぶ。
(4−2)予備重合
SUS製3L攪拌機付きオートクレーブにおいて、充分に脱水,脱気したヘキサンにトリエチルアルミニウム(以下TEAと略す)25mmol/L、電子供与体成分としてt−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン(以下tBunPrDMSと略す)をtBunPrDMS/TEA=0.1(mol/mol)および固体触媒成分(I)を15g/Lを添加し、15℃以下の温度を保持しながらプロピレンを固体触媒1g当たり1gに達するまで連続的に供給し予備重合を実施した。得られた予備重合体スラリーは120L−SUS製攪拌機付きの希釈槽へ移送し充分に精製された液状ブタンを加えて希釈し10℃以下の温度で保存した。
(4−3)本重合
300L−SUS製攪拌機付き重合槽において、重合温度60℃、スラリー量95Lを維持するように液化プロピレンを35kg/h供給し、更に気相部のエチレン濃度を2.8vol%を保持するようにエチレン供給し、TEAを51mmol/h、tBunPrDMSを5mmol/hおよび上記(4−2)で作成した予備重合体スラリーを固体触媒成分として1.0g/h供給し、実質的に水素の不存在下でプロピレン−エチレンの連続共重合を行い、6.1kg/hの重合体を得た。得られた重合体は失活することなく第2槽目に連続的に移送した。第2槽目は内容積1m3のSUS製攪拌機付き流動床気相反応器において、重合温度70℃、重合圧力1.8MPaおよび気相部のエチレン濃度を1.9vol%を保持するように、プロピレンとエチレンを連続的に供給し、水素の実質的に不存在下で第1槽目より移送された固体触媒成分含有重合体で連続気相重合を継続し、15.7kg/hの重合体を得た。第1槽目と第2槽目で重合されたポリマー成分が、第1セグメントに相当し、その固有粘度[η]は8.7dl/gであり、エチレン含量は3.5重量%、融解温度ピークは144.8℃であった。次いで、得られた重合体は失活することなく第3槽目に連続的に移送した。第3槽目は内容積1m3のSUS製攪拌機付き気相流動床反応器において、重合温度85℃、重合圧力1.4MPaおよび気相部の水素濃度を11.7vol%に保持するようにプロピレンおよび水素を連続的に供給し、第2槽目より供給された固体触媒成分を含有する重合体でプロピレンを連続気相重合を継続する事により25.6kg/hの重合体を得た。第3槽目で重合されたポリマー成分が、第2セグメントに相当し、第1槽目から第3槽目を通して得られた重合体が、第1セグメントと第2セグメントからなる樹脂(D)であり、その固有粘度[η]は5.7dl/gであった。以上の結果から、第1槽目+第2槽目の重合量と第3槽目の重合体比は61:39であり、第3槽目で重合された重合体の固有粘度[η]は0.9dl/gと求められた。
(5)BCPP−1
エチレン−プロピレンブロック共重合体であるBCPP−1はプロピレン単独重合体部分の分子量分布(Q値)は4.0であり、その固有粘度[η]Pは0.91dl/gであり、そのアイソタクチックペンタッド分率は0.99であり、また、そのエチレン−プロピレンブロック共重合体のエチレン−プロピレンランダム共重合部分の固有粘度[η]EPは11.5dl/gであり、エチレン−プロピレンブロック共重合体におけるエチレン−プロピレンランダム共重合部分の含有量は25.1重量%であり、そのエチレン−プロピレンランダム共重合部分におけるエチレン含有量は23.1重量%であった。
実施例および比較例で用いた樹脂成分及び組成物の物性の測定法を以下に示した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従って測定した。特に断りのない限り、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgfで測定した。
(2)曲げ弾性率(FM、単位:MPa)
JIS−K−7203に規定された方法に従って測定した。射出成形により成形された厚みが6.4mmの試験片を用い、スパン間100mm、荷重速度は2.0mm/分で、測定温度は23℃で測定した。
(3)アイゾット衝撃強度(Izod、単位:kJ/m2
JIS−K−7110に規定された方法に従って測定した。射出成形により成形された厚みが6.4mmのノッチ付き試験片を用いて、測定温度は23℃および−30℃で測定した。
(4)加熱変形温度(HDT、単位:℃)
JIS−K−7207に規定された方法に従って測定した。射出成形により成形された厚みが6.4mmの試験片を用い、スパン間100mm、ファイバーストレスは1.82MPaで測定した。
(5)ロックウェル硬度(HR)
JIS−K−7202に規定された方法に従って測定した。射出成形により成形された厚みが3.0mmである試験片を用いて測定した。測定値はRスケールで表示した。
(6)脆化温度(BP、単位:℃)
JIS−K−7216に規定された方法に従って測定した。射出成形により成形された25mm×150mm×2mmの平板から所定の6.3mm×38mm×2mmの試験片を打ち抜き、測定を行った。
(7)固有粘度(単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。固有粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。
結晶性ポリプロピレンについては、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定した。
(7−1)結晶性エチレン−プロピレンブロックコポリマーの固有粘度
(7−1a)プロピレン単独重合体部分(第1セグメント)の固有粘度:[η]P
結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分の固有粘度:[η]Pはその製造時に、第1工程であるプロピ
レン単独重合体の重合後に重合槽内よりプロピレン単独重合体を取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体の[η]Pを測定して求めた。
(7−1b)エチレン−プロピレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の固有粘度:[η]EP
結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体の第2セグメントであるエチレン−プロピレンランダム共重合体部分の固有粘度:[η]EPは、プロピレン単独重合体部分の固有粘度:[η]Pとエチレン−プロピレンブロック共重合体全体の固有粘度:[η]Tをそれぞれ測定し、エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体に対する重量比率:Xを用いて次式から計算により求めた。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の固有粘度(dl/g)
[η]T:ブロック共重合体全体の固有粘度(dl/g)
(7−1c)エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体に対する重量比率:X
エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体に対する重量比率:Xはプロピレン単独重合体部分(第1セグメント)と結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体の結晶融解熱量をそれぞれ測定し、次式を用いて計算により求めた。結晶融解熱量は、示唆走査型熱分析(DSC)により測定した。
X=1−(ΔHfT/(ΔHfP
(ΔHfT:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHfP:プロピレン単独重合体部分の融解熱量(cal/g)
(8)結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体中のエチレン−プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量:(C2')EP
結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体のエチレン−プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量:(C2')EPは、赤外線吸収スペクトル法により結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体のエチレン含量(C2')Tを測定し、次式を用いて計算により求めた。
(C2')EP=(C2')T/X
(C2')T:ブロック共重合体全体のエチレン含量(重量%)
(C2')EP:エチレン−プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量(重量%)
X:エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体に対する重量比率
(9)アイソタクチック・ペンタッド分率
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,第6巻,第925頁(1973年)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピークの帰属に関しては、Macromolecules,第8巻,第687頁(1975年)に基づいて行った。
具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定した。 この方法により英国NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質CRM No.M19−14 Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
(10)分子量分布(Q値)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を、以下に示す条件で測定した。
GPC:Waters社製 150C型
カラム:昭和電工社製 Shodex 80 MA 2本
サンプル量:300μl(ポリマー濃度0.2wt%)
流 量:1ml/分
温 度:135℃
溶 媒:o−ジクロルベンゼン
東ソー社製の標準ポリスチレンを用いて溶出体積と分子量の検量線を作成した。検量線を用いて検体のポリスチレン換算の重量平均分子量、数平均分子量を求め、分子量分布の尺度であるQ値を、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)により算出して求めた。
(11)外観
射出成形により成形された試験片を用いて目視により外観を観察し、下記の基準に従って、良好と不良の判定を行なった。シマ模様状の外観不良が成形品の一部分に発生した場合、良好と判断した。成形品にシマ模様状の外観不良がほぼ全面に発生した場合、不良と判断した。
〔射出成形体の製造〕
上記(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および(11)の物性評価用の射出成形体である試験片は、次の方法に従って作成した。
組成物を熱風乾燥器で120℃で2時間乾燥後、東芝機械製IS150E−V型射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型冷却温度50℃、射出時間15sec、冷却時間30secで射出成形を行い、試験片を得た。
〔熱可塑性樹脂組成物の製造〕
熱可塑性樹脂組成物は次の方法に従って製造した。
各成分を所定量、計量し、タンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44SS 30BW−2V型)を用いて、押出量を30〜50kg/hrで、スクリュー回転数を350rpmで、ベント吸引下で混練押出して、組成物を製造した。スクリュ−は三条タイプのローターとニーディングディスクを混練ゾーンの2ヶ所に、すなわち、第1フィード口、第2フィード口、各々の次のゾーンに配置して構成した。
表1に実施例1〜4の熱可塑性樹脂組成物における各成分の含有量(重量%)を示した。
表2に実施例1〜4の熱可塑性樹脂組成物の物性及びその組成物を用いて得られた射出成形体の物性と外観の結果を示した。
Figure 2005120362
Figure 2005120362
実施例1〜4は、本発明の要件を満足する熱可塑性樹脂組成物であり、得られた射出成形体は、剛性(曲げ弾性率、加熱変形温度及びロックウェル硬度)と衝撃強度(アイゾット衝撃強度及び脆化温度)とのバランスに優れ、かつ、外観が良好であることが分かる。
表3に実施例5〜10の熱可塑性樹脂組成物における各成分の含有量(重量%)を示し、表4に比較例1〜3の熱可塑性樹脂組成物における各成分の含有量(重量%)を示した。
表5に実施例5〜10の熱可塑性樹脂組成物の物性及びその組成物を用いて得られた射出成形体の物性と外観の結果を示し、表6に比較例1〜3の熱可塑性樹脂組成物の物性及びその組成物を用いて得られた射出成形体の物性と外観の結果を示した。
Figure 2005120362
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Figure 2005120362
Figure 2005120362
実施例5〜10は、本発明の要件を満足する熱可塑性樹脂組成物であり、得られた射出成形体は、剛性(曲げ弾性率、加熱変形温度及びロックウェル硬度)と衝撃強度(アイゾット衝撃強度及び脆化温度)とのバランスに優れ、かつ、外観が良好である。
これに対して、比較例1は、樹脂(D)の代わりに、樹脂(D)の要件を満足しないBCPP−1を用いたものであって、射出成形体の外観が不良である。
また、比較例2及び3は、比較例1に比して多量のBCPP−1が配合されていることによって、成形体の外観は改善されているが流動性が低下した。

Claims (4)

  1. (A)35〜85重量%のポリプロピレン系樹脂、(B)1〜35重量%のエラストマー、(C)2〜30重量%の無機充填剤、および、(D)0.1〜5重量%の下記樹脂(但し、成分(A)、(B)、(C)および(D)の前記量はそれぞれ、これらの合計重量を基準とする。)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
    樹脂(D):プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体であり、その135℃テトラリン溶液の固有粘度が5dl/g以上である第1セグメント60〜80重量%と、プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体であり、その135℃テトラリン溶液の固有粘度が0.8〜1.2dl/gである第2セグメント20〜40重量%とからなる樹脂(但し、第1セグメント及び第2セグメントの前記量はそれぞれ、これらの合計重量を基準とする。)
  2. ポリプロピレン系樹脂(A)の量が56〜85重量%であり、エラストマー(B)の量が1〜9重量%である(但し、成分(A)及び(B)の前記量は、成分(A)、(B)、(C)および(D)の合計重量を基準とする。)ことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. エラストマー(B)の量が10〜35重量%である(但し、成分(B)の前記量は、成分(A)、(B)、(C)および(D)の合計重量を基準とする。)ことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物からなる射出成形体。
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