JP2001166517A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

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JP2001166517A
JP2001166517A JP35325199A JP35325199A JP2001166517A JP 2001166517 A JP2001166517 A JP 2001166517A JP 35325199 A JP35325199 A JP 35325199A JP 35325199 A JP35325199 A JP 35325199A JP 2001166517 A JP2001166517 A JP 2001166517A
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Atsushi Ochi
敦 大地
Norihiro Kikuchi
憲裕 菊地
Hiroyuki Tanaka
博幸 田中
Michiyo Sekiya
道代 関谷
Shoji Amamiya
昇司 雨宮
Hironori Uematsu
弘規 植松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、耐傷性及び耐析出性が優れ、繰り
返し使用や環境の変動によらず安定して優れた電位特性
を示し、カブリ等の画像欠陥がなく、更に転写メモリー
やフォトメモリーが極めて小さく、優れた画像が得られ
る電子写真感光体、及びそれを用いたプロセスカートリ
ッジ及び電子写真装置を提供する。 【解決手段】 導電性支持体上に感光層を有する電子写
真感光体において、該感光体の最表面層が、同一分子内
に2つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合
物を熱または紫外線によって重合した化合物を含有し、
かつ該最表面層の示差走査熱分析での発熱量が60mJ
/mg以下である電子写真感光体、及び該電子写真感光
体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体、及
び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び
電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体に用いられる光導
電材料としては、セレン、硫化カドミウム及び酸化亜鉛
等の無機材料が知られていた。他方、有機材料であるポ
リビニルカルバゾール、フタロシアニン及びアゾ顔料等
は高生産性や無公害性等の利点が注目され、無機材料と
比較して光導電特性や耐久性等の点で劣る傾向にあるも
のの、広く用いられるようになってきた。これらの電子
写真感光体は電気的及び機械的特性の双方を満足するた
めに、電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型の
感光体として利用される場合が多い。一方、当然のこと
ながら電子写真感光体には適用される電子写真プロセス
に応じた感度、電気的特性、更には光学的特性を備えて
いることが要求される。特に、繰り返し使用される感光
体にあっては、その感光体表面には帯電、画像露光、ト
ナー現像、紙への転写やクリーニング処理といった電気
的及び機械的外力が直接加えられるため、それらに対す
る耐久性が要求される。具体的には、摺擦による表面の
摩耗や傷の発生に対する耐久性、帯電による表面劣化
(例えば転写効率や滑り性の低下)、更には感度低下及
び電位低下等の電気特性の劣化に対する耐久性も要求さ
れる。
【0003】一般に感光体の表面は薄い樹脂層であり、
樹脂の特性が非常に重要である。上述の諸条件をある程
度満足する樹脂として近年アクリル樹脂やポリカーボネ
ート樹脂等が実用化されているが、前述したような特性
の全てがこれらの樹脂で満足されるわけではなく、特に
感光体の高耐久化を計る上では該樹脂の被膜硬度は十分
高いとは言い難い。これらの樹脂を表面層形成用の樹脂
として用いた場合でも繰り返し使用時において表面層の
摩耗が起こり、更に傷が発生するという問題点があっ
た。更に、近年の有機電子写真感光体の高感度化に対す
る要求から電荷輸送物質等の低分子量化合物が比較的大
量に添加される場合が多いが、この場合それら低分子量
物質の可塑剤的な作用により膜強度が著しく低下し、一
層繰り返し使用時の表面層の摩耗や傷発生が問題となっ
ている。また、電子写真感光体を長期にわたって保存す
る際に前述の低分子量成分が析出してしまい、層分離す
るといった問題も発生している。
【0004】これらの問題点を解決する手段として、硬
化性の樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いる試みが、
例えば特開平2−127652号公報等に開示されてい
る。このように、電荷輸送層用の樹脂に硬化性の樹脂を
用い電荷輸送層を硬化、架橋することによって機械的強
度が増し、繰り返し使用時の耐削れ性及び耐傷性は大き
く向上する。しかしながら、硬化性樹脂を用いても、低
分子量成分はあくまでも結着樹脂中において可塑剤とし
て作用するので、先に述べたような析出や層分離の問題
は根本的な解決にはなっていない。また、有機電荷輸送
物質と結着樹脂とで構成される電荷輸送層においては電
荷輸送能の樹脂に対する依存度が大きく、例えば硬度が
十分に高い硬化性樹脂では電荷輸送能が十分ではなく繰
り返し使用時に残留電位の上昇が見られる等、両者を満
足させるまでには至っていない。また、特開平5−21
6249及び特開平7−72640号公報等において
は、電荷移動層に炭素−炭素二重結合を有するモノマー
を含有させ、電荷移動材の炭素−炭素二重結合と熱ある
いは光のエネルギーによって反応させて電荷移動層硬化
膜を形成した電子写真感光体が開示されているが、電荷
輸送材はポリマー主骨格にペンダント状に固定化されて
いるだけであり、先の可塑的な作用を十分に排除できな
いため機械的強度が十分ではない。また、電荷輸送能の
向上のために電荷輸送材の濃度を高くすると、架橋密度
が低くなり十分な機械的強度を確保する事ができない。
更には重合時に必要とされる開始剤類の電子写真特性へ
の影響も懸念される。
【0005】また、別の解決手段として例えば特開平8
−248649号公報等において、熱可塑性高分子主鎖
中に電荷輸送能を有する基を導入し電荷輸送層を形成さ
せた電子写真感光体が開示されており、従来の分子分散
型の電荷輸送層と比較して析出や層分離に対しては効果
があり、機械的強度も向上するが、あくまでも熱可塑性
樹脂であり、その機械的強度には限界があり、樹脂の溶
解性等を含めたハンドリングや生産性の面で十分である
とは言い難い。
【0006】以上述べたように、これまでの系では高い
機械的強度と電荷輸送能の両立が達成されていなかっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、膜強
度を高くすることによって耐摩耗性及び耐傷性を向上さ
せ、かつ耐析出性が良好な電子写真感光体を提供するこ
とにある。
【0008】また、本発明の別の目的は、繰り返し使用
や環境の変動によらず、安定して優れた電位特性を示
し、カブリ等の画像欠陥のない良好な画質を与え、更に
転写メモリーやフォトメモリーの極めて小さい優れた電
子写真感光体、及びそれを用いたプロセスカートリッジ
及び電子写真装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、導電性支持体
上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光体
の最表面層が、同一分子内に2つ以上の連鎖重合性官能
基を有する正孔輸送性化合物を熱または紫外線によって
重合した化合物を含有し、かつ該最表面層の示差走査熱
分析での発熱量が60mJ/mg以下であることを特徴
とする電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロ
セスカートリッジ及び電子写真装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】まず、本発明における連鎖重合性官能基に
ついて説明する。本発明における連鎖重合とは、高分子
化合物の生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた
場合の前者の重合反応形態を示し、詳しくは例えば技報
堂出版 三羽忠広著の「基礎合成樹脂の化学(新版)」
1995年7月25日(1版8刷)P.24に説明され
ているように、その形態が主にラジカルあるいはイオン
等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環
重合そして異性化重合等のことをいう。前記一般式
(1)における連鎖重合性官能基P1 及びP2 とは、前
述の反応形態が可能な官能基を意味するが、ここではそ
の大半を占め応用範囲の広い不飽和重合あるいは開環重
合性官能基の具体例を示す。
【0012】不飽和重合とは、ラジカル、イオン等によ
って不飽和基、例えばC=C、C≡C、C=O、C=N
及びC≡N等が重合する反応であるが、主にはC=Cで
ある。不飽和重合性官能基の具体例を表1に示すがこれ
らに限定されるものではない。
【0013】
【表1】
【0014】開環重合とは、炭素環、オクソ環及び窒素
ヘテロ環等のひずみを有した不安定な環状構造が触媒の
作用で活性化され、開環すると同時に重合を繰り返し鎖
状高分子物を生成する反応であるが、この場合基本的に
はイオンが活性種として作用するものが大部分である。
該開環重合性官能基の具体例を表2に示すがこれらに限
定されるものではない。
【0015】
【表2】
【0016】表中、Rは置換基を有してもよいメチル
基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル
基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基及
びナフチルメチル基等のアラルキル基、置換基を有して
もよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレ
ニル基等のアリール基または水素原子を示す。
【0017】上記で説明したような本発明に係わる連鎖
重合性官能基の中でも、下記一般式(11)〜(13)
で示されるものが好ましい。
【0018】
【化16】 (式中、Eは水素原子、フッ素原子、塩素原子及び臭素
原子等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル
基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル
基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、
ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のア
ラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチ
ル基、アンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基及び
フリル基等のアリール基、CN基、ニトロ基、メトキシ
基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基、−
COOR26またはCONR2728を示す。
【0019】Wは置換基を有してもよいメチレン、エチ
レン及びブチレン等のアルキレン基、置換基を有しても
よいフェニレン、ナフチレン及びアントラセニレン等の
アリーレン基、−COO−、−CH2 −、−O−、−O
O−、−S−または−CONR29−を示す。
【0020】R26〜R29は水素原子原子、フッ素原子、
塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子、置換基を有し
てもよいメチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキ
ル基、置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル
基等のアラルキル基または置換基を有してもよいフェニ
ル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基を示
し、R27とR28は互いに同一であっても異なってもよ
い。また、fは0または1を示す。)E及びW中で有し
てもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素
原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シア
ノ基;水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基及びブ
チル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基及びプ
ロポキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びナフト
キシ基等のアリールオキシ基;ベンジル基、フェネチル
基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等
のアラルキル基;及びフェニル基、ナフチル基、アンス
リル基及びピレニル基等のアリール基等が挙げられる。
【0021】
【化17】 (式中、R30及びR31は水素原子、置換基を有してもよ
いメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のア
ルキル基、置換基を有してもよいベンジル基及びフェネ
チル基等のアラルキル基または置換基を有してもよいフ
ェニル基及びナフチル基等のアリール基を示し、nは1
から10の整数を示す。)
【0022】
【化18】 (式中、R32及びR33は水素原子、置換基を有してもよ
いメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のア
ルキル基、置換基を有してもよいベンジル基及びフェネ
チル基等のアラルキル基または置換基を有してもよいフ
ェニル基及びナフチル基等のアリール基を示し、nは0
または1から10の整数を示す。)なお、一般式の(1
2)及び(13)のR30〜R33が有してもよい置換基と
してはフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子
等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基及
びブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基及
びプロポキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びナ
フトキシ基等のアリールオキシ基;ベンジル基、フェネ
チル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル
基等のアラルキル基;及びフェニル基、ナフチル基、ア
ンスリル基及びピレニル基等のアリール基等が挙げられ
る。
【0023】また、一般式(11)〜(13)の中で
も、特に好ましい連鎖重合性官能基としては、下記構造
式(14)〜(20)で示されるものが挙げられる。
【0024】
【化19】
【0025】更に、構造式(14)〜(20)の中で
も、(14)のアクリロイルオキシ基及び(15)のメ
タクリロイルオキシ基が、重合特性等の点から特に好ま
しい。
【0026】次に、本発明における正孔輸送性物質につ
いて説明する。
【0027】本発明で『連鎖重合性官能基を有する正孔
輸送性化合物』とは、上記で説明した連鎖重合性基が下
記で説明する正孔輸送性化合物に官能基として好ましく
は2つ以上化学結合している化合物を示す。この場合そ
れらの連鎖重合性官能基は全て同一でも異なったもので
あってもよい。
【0028】それらの連鎖重合性官能基を少なくとも2
つ有する正孔輸送性化合物としては下記一般式(1)で
ある場合が好ましい。
【0029】
【化20】 (式中、Aは正孔輸送性基を示す;P1 及びP2 は連鎖
重合性官能基を示す;P 1 とP2 は同一でも異なっても
よい;Zは置換基を有してもよい有機基を示す;a、b
及びdは0または1以上の整数を示し、a+b×dは2
以上の整数を示す;また、aが2以上の場合P1 は同一
でも異なってもよく、dが2以上の場合P 2 は同一でも
異なってもよく、またbが2以上の場合、Z及びP2
同一でも異なってもよい。)
【0030】一般式(1)中、『aが2以上の場合P1
は同一でも異なってもよく』とは、それぞれ異なるn種
類の連鎖重合性官能基をP11、P12、P13、P14、P15
・・・・P1nと示した場合、例えばa=3のとき正孔輸
送性基Aに直接結合する重合性官能基P1 は3つとも同
じものでも、2つ同じで1つは違うもの(例えば、P 11
とP11とP12とか)でも、それぞれ3つとも異なるもの
(例えば、P12とP15とP17とか)でもよいということ
を意味するものである(『dが2以上の場合P 2 は同一
でも異なってもよく』というのも、『bが2以上の場
合、Z及びP2 は同一でも異なってもよい』というのも
これと同様なことを意味するものである)。
【0031】上記一般式(1)のAは正孔輸送性基を示
し、正孔輸送性を示すものであればいずれのものでもよ
く、AとP1 及びZとの結合部位を水素原子に置き換え
た水素付加化合物(正孔輸送性化合物)として示せば、
例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、
イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリ
ールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルア
ミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチ
リルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、チアゾール誘
導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリ
ジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール
誘導体、チオフェン誘導体及びN−フェニルカルバゾー
ル誘導体等が挙げられる。
【0032】更に、上記正孔輸送化合物の中でも、下記
一般式(2)、(3)、(4)、(5)及び(7)で示
される化合物、下記一般式(8)で示される基を有する
縮合環炭化水素及び下記一般式(8)で示される基を有
する縮合複素環が好ましい。その中でも、下記一般式
(2)、(3)及び(4)で示される化合物が特に好ま
しい。
【0033】
【化21】 一般式(2)中、R1 〜R3 は置換基を有してもよいメ
チル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数
10以下のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル
基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及
びチエニル基等のアラルキル基または置換基を有しても
よいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナン
スリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル基、ピ
リジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリ
ル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基及びベンゾ
チオフェニル基等のアリール基を示す。
【0034】但し、R1 〜R3 のうち少なくとも2つは
アリール基を示し、R1 〜R3 はそれぞれ同一であって
も異なっていてもよい。
【0035】更に、その中でもR1 〜R3 の全てがアリ
ール基であるものが特に好ましい。
【0036】また、上記一般式(2)のR1 〜R3 のう
ち任意の2つはそれぞれ直接もしくは結合基を介して結
合してもよく、その結合基としては、メチレン、エチレ
ン及びプロピレン等のアルキレン基、酸素原子及び硫黄
原子等のヘテロ原子及びCH=CH基等が挙げられる。
【0037】
【化22】 一般式(3)中、R4 、R5 、R8 及びR9 は置換基を
有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチ
ル基等の炭素数10以下のアルキル基、置換基を有して
もよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、
フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基または置
換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリ
ル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル
基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリ
ル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフ
リル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基及び
ジベンゾチオフェニル基等のアリール基を示し、R4
5 、R8 及びR9 はそれぞれ同一であっても異なって
いてもよい。R6 及びR7 は置換基を有してもよいメチ
レン基、エチレン基及びプロピレン基等の炭素数10以
下のアルキレン基、または置換基を有してもよいアリー
レン基(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナ
ンスレン、ピレン基、チオフェン、ピリジン、キノリ
ン、ベンゾキノリン、カルバゾール、フェノチアジン、
ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン及び
ジベンゾチオフェン等より2個の水素原子を取り除いた
基)を示し、R6 及びR7 は同一であっても異なってい
てもよい。Qは置換基を有してもよい有機基を示す。
【0038】更に、その中でも、R4 、R5 、R8 及び
9 のうち2つ以上が置換基を有してもよいアリール基
であり、かつR6 及びR7 が置換基を有してもよいアリ
ーレン基である場合が好ましく、更にR4 、R5 、R8
及びR9 が4つとも全て置換基を有してもよいアリール
基である場合が特に好ましい。また、R4 、R5 及びR
6 のうち任意の2つあるいはR7 、R8 及びR9 のうち
任意の2つはそれぞれ直接もしくは結合基を介して結合
してもよく、その結合基としては、メチレン、エチレン
及びプロピレン等のアルキレン基、酸素及び硫黄原子等
のヘテロ原子及びCH=CH基等が挙げられる。
【0039】
【化23】 一般式(4)中、m1 は0または1を示し、m1 =1で
あることが好ましく、R10〜R13は置換基を有してもよ
いメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭
素数10以下のアルキル基、置換基を有してもよいベン
ジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル
基及びチエニル基等のアラルキル基または置換基を有し
てもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェ
ナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル
基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カル
バゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基、ベ
ンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチ
オフェニル基等のアリール基を示し、R10〜R13はそれ
ぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0040】Ar1 は置換基を有してもよいアリーレン
基(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンス
レン、ピレン基、チオフェン、フラン、ピリジン、キノ
リン、ベンゾキノリン、カルバゾール、フェノチアジ
ン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン
及びジベンゾチオフェン等より2個の水素原子を取り除
いた基)を示し、Ar2 はm1 =0の場合、置換基を有
してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フ
ェナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル
基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カル
バゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基、ベ
ンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチ
オフェニル基等のアリール基を示し、m1 =1の場合は
上記Ar1と同様なアリーレン基を示す。なお、m1
1の場合はAr1 とAr2 は同一であっても異なってい
てもよい。
【0041】更に、その中でも、R10及びR11が置換基
を有してもよいアリール基である場合が好ましく、R10
〜R13が4つとも全てアリール基である場合が特に好ま
しい。また、R10とR11、R12とR13及びAr1 とAr
2 はそれぞれ直接もしくは結合基を介して結合してもよ
く、その結合基としては、メチレン、エチレン及びプロ
ピレン等のアルキレン基、酸素原子及び硫黄原子等のヘ
テロ原子及びCH=CH基等が挙げられる。
【0042】
【化24】
【0043】但し、上記一般式(5)中、Ar3 、Ar
4 及びR14のうち少なくとも一つは、下記一般式(6)
の置換基を一つ以上有する。
【0044】
【化25】
【0045】上記一般式(5)及び(6)中、Ar3
Ar5 は置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル
基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チ
オフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベ
ンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル
基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾ
フリル基及びジベンゾチオフェニル基等のアリール基を
示し、R14〜R16は置換基を有してもよいメチル基、エ
チル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数10以下の
アルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネ
チル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル
基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル
基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピ
レニル基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キ
ノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノ
チアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル
基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等の
アリール基または水素原子を示す(但し、R14が水素原
子である場合は除く)。なお、Ar3 及びAr4 とR15
及びR16はそれぞれ同一であっても異なっていてもよ
い。
【0046】更に、その中でも、R14及びR16がアリー
ル基である場合が特に好ましい。
【0047】また、R14、Ar3 及びAr4 のうち任意
の2つ、またはAr5 及びR16はそれぞれ直接もしくは
結合基を介して結合してもよく、その結合基としては、
メチレン、エチレン及びプロピレン等のアルキレン基、
酸素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子及びCH=CH基
等が挙げられる。n1 は0または1〜2の整数を示す。
【0048】
【化26】
【0049】但し、上記一般式(7)中、Ar6 、R17
及びR18のうち少なくとも一つは、下記一般式(8)の
置換基を一つ以上有する。
【0050】
【化27】
【0051】上記一般式(7)及び(8)中、Ar6
びAr7 は置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル
基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チ
オフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベ
ンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル
基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾ
フリル基及びジベンゾチオフェニル基等のアリール基を
示し、R17〜R20は置換基を有してもよいメチル基、エ
チル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数10以下の
アルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネ
チル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル
基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル
基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピ
レニル基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キ
ノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノ
チアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル
基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等の
アリール基または水素原子を示す(但し、R17及びR18
が水素原子である場合は除く)。なお、R17とR18及び
19とR20はそれぞれ同一であっても異なっていてもよ
い。
【0052】その中でも、R20がアリール基である場合
が好ましく、更にR17とR18がアリール基である場合が
特に好ましい。
【0053】また、R17、R18及びAr6 のうち任意の
2つ、またはAr7 及びR20はそれぞれ直接もしくは結
合基を介して結合してもよく、その結合基としては、メ
チレン、エチレン及びプロピレン等のアルキレン基、酸
素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子及びCH=CH基等
が挙げられる。n2 は0または1〜2の整数を示す。更
に、上記一般式(8)で示される基を有する化合物とし
ては、置換基を有してもよいそれぞれ、ナフタレン、ア
ントラセン、フェナンスレン、ペレン、フルオレン、フ
ルオランセン、アズレン、インデン、ペリレン、クリセ
ン及びコロネン等の縮合環炭化水素、及び置換基を有し
てもよいそれぞれ、ベンゾフラン、インドール、カルバ
ゾール、ベンズカルバゾール、アクリジン、フェノチア
ジン及びキノリン等の縮合複素環が挙げられる。
【0054】また、上記一般式(1)中のZ及び上記一
般式(3)中のQは、置換基を有してもよいアルキレン
基、置換基を有してもよいアリーレン基、CR21=CR
22(R21及びR22はアルキル基、アリール基または水素
原子を示し、R21及びR22は同一でも異なってもよ
い)、C=O、S=O、SO2 、酸素原子及び硫黄原子
より一つあるいは任意に組み合わされた有機基を示す。
その中でも下記一般式(9)で示されるものが好まし
く、下記一般式(10)で示されるものが特に好まし
い。
【0055】
【化28】
【0056】上記一般式(9)中、X1 〜X3 は置換基
を有してもよいメチレン基、エチレン基及びプロピレン
基等の炭素数20以下のアルキレン基、(CR23=CR
24)m2 、C=O、S=O、SO2 、酸素原子または硫
黄原子を示し、Ar8 及びAr9 は置換基を有してもよ
いアリーレン基(ベンゼン、ナフタレン、アントラセ
ン、フェナンスレン、ピレン基、チオフェン、ピリジ
ン、フラン、キノリン、ベンゾキノリン、カルバゾー
ル、フェノチアジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェ
ン、ジベンゾフラン及びジベンゾチオフェン等より2個
の水素原子を取り除いた基)を示す。R23及びR24は置
換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基等
のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフ
チル基、チオフェニル基等のアりール基または水素原子
を示し、R23及びR24は同一でも異なってもよい。m2
は1から5の整数、p〜tは0または1から10の整数
を示す(但しp〜tは同時に0であることはない)。
【0057】上記一般式(10)中、X4 及びX5
(CH2 )m3 、(CH=CR25)m 4 、C=Oまたは
酸素原子を示し、Ar10は置換基を有してもよいアリー
レン基(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナ
ンスレン、ピレン基、チオフェン、フラン、ピリジン、
キノリン、ベンゾキノリン、カルバゾール、フェノチア
ジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラ
ン及びジベンゾチオフェン等より2個の水素原子を取り
除いた基)を示す。R25は置換基を有してもよいメチル
基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基、置換基を
有してもよいフェニル基、ナフチル基及びチオフェニル
基等のアリール基または水素原子を示す。m3 は1から
10の整数、m4 は1から5の整数、u〜wは0または
1〜10の整数を示す(特に0または1から5の整数の
時が好ましい。但し、u〜wは同時に0であることはな
い)。
【0058】なお、上述の一般式(3)〜(13)のR
4 〜R33、Ar1 〜Ar10、X1 〜X5 、Z及びQがそ
れぞれ有してもよい置換基としてはフッ素原子、塩素原
子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;ニトロ
基;シアノ基;水酸基;メチル基、エチル基、プロピル
基及びブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ
基及びプロポキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及
びナフトキシ基等のアリールオキシ基;ベンジル基、フ
ェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエ
ニル基等のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基、ア
ンスリル基及びピレニル基等のアリール基等が挙げられ
る。また、一般式(2)のR1 〜R3 が有してもよい置
換基としてはアリール基を除いた上記置換基及びジフェ
ニルアミノ基及びジ(p−トリル)アミノ基等のジアリ
ールアミノ基が挙げられる。
【0059】また、本発明における同一分子内に2つ以
上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、酸
化電位が1.2(v)以下であることが好ましい。つま
り、前記一般式(1)で示される連鎖重合性官能基を有
する正孔輸送性化合物及び正孔輸送性基Aの水素付加物
は、酸化電位が1.2(v)以下であることが好まし
く、特には0.4〜1.2(v)であることが望まし
い。それは、酸化電位が1.2(v)を超えると電荷発
生物質よりの電荷(正孔)の注入が起こりにくく残留電
位の上昇、感度低化及び繰り返し使用時の電位変動が大
きくなる等の問題が生じ、また0.4(v)未満では帯
電能の低下等の問題の他に、化合物自体が容易に酸化さ
れるために劣化し易く、それに起因した感度低化、画像
ボケ及び繰り返し使用時の電位変動が大きくなる等の問
題が生じるためである。
【0060】なお、ここで述べている酸化電位は、以下
の方法によって測定される。
【0061】(酸化電位の測定法)飽和カロメル電極を
参照電極とし、電解液に0.1N(n−Bu)4+
lO4 -アセトニトリル溶液を用い、ポテンシャルスイー
パによって作用電極(白金)に印加する電位をスイープ
し、得られた電流−電位曲線がピークを示したときの電
位を酸化電位とした。詳しくは、サンプルを0.1N
(n−Bu)4+ ClO4 -アセトニトリル溶液に5〜
10mmol%程度の濃度になるように溶解する。そし
て、このサンプル溶液に作用電極によって電圧を加え、
電圧を低電位(0v)から高電位(+1.5v)に直線
的に変化させた時の電流変化を測定し、電流−電位曲線
を得る。この電流−電位曲線において電流値がピーク
(ピークが複数ある場合には最初のピーク)を示したと
きのピークトップの位置の電位を酸化電位とした。
【0062】また更に、上記連鎖重合性官能基を有する
正孔輸送性化合物は正孔輸送能として1×10-7(cm
2 /v・sec)以上のドリフト移動度を有しているも
のが好ましい(但し、印加電界:5×104 v/c
m)。1×10-7(cm2 /v・sec)未満では電子
写真感光体として露光後現像までに正孔が十分に移動で
きないため見かけ上感度が低減し、残留電位も高くなっ
てしまう問題が発生する場合がある。
【0063】以下、表3に本発明に係わる、連鎖重合性
官能基を有する正孔輸送性化合物の代表例を挙げるがこ
れらに限定されるものではない。
【0064】表3:連鎖重合性官能基を有する正孔輸送
性化合物の具体例
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】
【表9】
【0072】
【表10】
【0073】
【表11】
【0074】
【表12】
【0075】
【表13】
【0076】
【表14】
【0077】
【表15】
【0078】
【表16】
【0079】
【表17】
【0080】
【表18】
【0081】
【表19】
【0082】
【表20】
【0083】
【表21】
【0084】
【表22】
【0085】
【表23】
【0086】
【表24】
【0087】
【表25】
【0088】
【表26】
【0089】
【表27】
【0090】
【表28】
【0091】
【表29】
【0092】
【表30】
【0093】
【表31】
【0094】
【表32】
【0095】
【表33】
【0096】
【表34】
【0097】
【表35】
【0098】
【表36】
【0099】
【表37】
【0100】
【表38】
【0101】
【表39】
【0102】
【表40】
【0103】
【表41】
【0104】
【表42】
【0105】
【表43】
【0106】
【表44】
【0107】
【表45】
【0108】
【表46】
【0109】
【表47】
【0110】
【表48】
【0111】
【表49】
【0112】
【表50】
【0113】
【表51】
【0114】
【表52】
【0115】
【表53】
【0116】
【表54】
【0117】
【表55】
【0118】
【表56】
【0119】
【表57】
【0120】
【表58】
【0121】
【表59】
【0122】
【表60】
【0123】
【表61】
【0124】
【表62】
【0125】
【表63】
【0126】
【表64】
【0127】
【表65】
【0128】
【表66】
【0129】
【表67】
【0130】
【表68】
【0131】
【表69】
【0132】
【表70】
【0133】
【表71】
【0134】
【表72】
【0135】
【表73】
【0136】
【表74】
【0137】
【表75】
【0138】
【表76】
【0139】
【表77】
【0140】
【表78】
【0141】
【表79】
【0142】
【表80】
【0143】
【表81】
【0144】
【表82】
【0145】
【表83】
【0146】
【表84】
【0147】
【表85】
【0148】
【表86】
【0149】
【表87】
【0150】
【表88】
【0151】
【表89】
【0152】
【表90】
【0153】
【表91】
【0154】本発明において連鎖重合性官能基を有する
正孔輸送性化合物の代表的な合成方法を以下に示す。
【0155】(合成例1:化合物No.6の合成)以下
のルートに従い合成した。
【0156】
【化29】
【0157】1(50g:0.47mol)、2(40
6g:1.4mol)、無水炭酸カリウム(193g)
及び銅粉(445g)を1,2−ジクロロベンゼン1.
2kgと共に180〜190℃で加熱撹拌を15時間行
った。反応液を濾過後、減圧下で溶媒を除去し、残留物
をシリカゲルカラムを用いカラム精製を行い3を132
g得た。
【0158】3(120g:0.28mol)をメチル
セルソルブ1.5kgに加え室温で撹拌しながらナトリ
ウムメチラート(150g)をゆっくり添加した。添加
終了後そのまま室温で1時間撹拌後更に70〜80℃で
10時間加熱撹拌を行った。反応液を水にあけ希塩酸で
中和後、酢酸エチルで抽出し有機層を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲ
ルカラムを用いカラム精製を行い4を78g得た。
【0159】4(70g:0.2mol)及びトリエチ
ルアミン(40g:0.4mol)を、乾燥THF40
0mlに加え0〜5℃に冷却後、塩化アクリロイル(5
5g:0.6mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後
ゆっくり室温に戻し室温でそのまま4時間撹拌を行っ
た。反応液を水にあけ中和後、酢酸エチルで抽出し有機
層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を除去した。残留
物をシリカゲルカラムを用いカラム精製を行い5(化合
物No.6)を42g得た。
【0160】(合成例2:化合物No.71の合成)上
記合成例1で得られた4(10g:29mmol)を乾
燥THF50mlに加え、0〜5℃に冷却後油性水素化
ナトリウム(約60%)3.5gをゆっくり添加した。
添加終了後室温に戻し1時間撹拌後再び0〜5℃に冷却
し、アリルブロマイド(17.5g:145mmol)
をゆっくり滴下した。滴下終了後そのまま1時間撹拌後
室温に戻し更に5時間撹拌を行った。反応液を水にあけ
中和後、トルエンで抽出し有機層を無水硫酸ナトリウム
で乾燥後溶媒を除去した。残留物をシリカゲルカラムを
用いカラム精製を行い目的化合物(化合物No.71)
を5.6g得た。
【0161】(合成例3:化合物No.55の合成)上
記合成例2で得られた化合物No.7 13.0gをジ
クロロメタン20mlに溶解後0〜5℃に冷却し、m−
クロロ過安息香酸(〜70%)5.2gをゆっくり添加
しそのまま1時間撹拌後室温に戻し12時間撹拌を行っ
た。反応液を水にあけジクロロメタンで抽出を行った。
有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を除去し、残
留物をシリカゲルカラムを用いカラム精製を行い目的化
合物(化合物No.55)を2.1g得た。
【0162】(合成例4:化合物No.152の合成)
以下のルートに従い合成した。
【0163】
【化30】
【0164】1(70g:0.35mol)、(98
g:0.42mol)、無水炭酸カリウム(73g)及
び銅粉(111g)を1,2−ジクロロベンゼン600
gと共に180〜190℃で加熱撹拌を10時間行っ
た。反応液を濾過後、減圧下で溶媒を除去し、残留物を
シリカゲルカラムを用いカラム精製を行い3を86.2
g得た。
【0165】3(80g:0.26mol)をN,N−
ジメチルフォルムアミド300gに加え室温で撹拌しな
がらエタンチオールナトリウム塩(約90%:62g)
をゆっくり添加した。添加終了後そのまま室温で1時間
撹拌後、更に還流下で3時間加熱撹拌を行った。冷却後
反応液を水にあけ希塩酸で弱酸性にし、酢酸エチルで抽
出し有機層を更に1.2Mの水酸化ナトリウム水溶液で
抽出し、水層を希塩酸で酸性にして酢酸エチルで抽出
し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧下で溶媒を除去し
た。残留物をシリカゲルカラムを用いカラム精製を行い
4を64g得た。
【0166】4を(60g:0.21mol)をN,N
−ジメチルフォルムアミド300gに加え室温で撹拌し
ながら苛性ソーダ(8.3g)をゆっくり添加した。添
加終了後そのまま室温で30分間撹拌後、1,2−ジヨ
ードエタン(31.7g:0.1mol)をゆっくり滴
下した。滴下終了後、30分間撹拌後、更に70℃で5
時間加熱撹拌を行った。反応液を水にあけトルエンで抽
出を行い、有機層を更に水洗後無水硫酸ナトリウムで乾
燥し減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲルカラ
ムを用いカラム精製を行い5を49.1g得た。
【0167】DMF182gを0〜5℃に冷却後、オキ
シ塩化リン63.6gを10℃を越えないようにゆっく
り滴下した。滴下終了後15分そのまま撹拌後、(4
2.2g:0.07mol)/DMF102g溶液をゆ
っくり滴下した。滴下終了後そのまま30分撹拌後室温
に戻し2時間撹拌し更に80〜85℃に加熱し15時間
撹拌を行った。反応液を約15%の酢酸ナトリウム水溶
液1.5kgにあけ12時間撹拌を行った。それを中和
後、トルエンを用い抽出し有機層を無水硫酸ナトリウム
で乾燥後溶媒を除去し、残留物をシリカゲルカラムを用
いカラム精製を行い6を23g得た。
【0168】乾燥THF100mlに水素化リチウムア
ルミニウム0.89gを加え室温で撹拌しているところ
へ6(15g:0.023mol)/乾燥THF100
ml溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で4時間
撹拌後、5%塩酸水溶液200mlをゆっくり滴下し
た。滴下終了後トルエンで抽出し有機層を無水硫酸ナト
リウムで乾燥後溶媒を除去し、残留物をシリカゲルカラ
ムを用いカラム精製を行い7を13.6g得た。
【0169】7(10g:0.015mol)及びトリ
エチルアミン(6.1g:0.06mol)を、乾燥T
HF120mlに加え0〜5℃に冷却後、塩化アクリロ
イル(4.1g:0.045mol)をゆっくり滴下し
た。滴下終了後ゆっくり室温に戻し室温でそのまま6時
間撹拌を行った。反応液を水にあけ中和後、酢酸エチル
で抽出し有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を除
去した。残留物をシリカゲルカラムを用いカラム精製を
行い8(化合物No.152)を6.4g得た(酸化電
位:0.88v)。
【0170】(合成例5:化合物No.263の合成)
以下のルートに従い合成した。
【0171】
【化31】
【0172】1(50g:0.123mol)、2(6
2.4g:0.369mol)、無水炭酸カリウム(2
5.5g)及び銅粉(32g)を1,2−ジクロロベン
ゼン200gと共に180〜190℃で加熱撹拌を18
時間行った。反応液を濾過後、減圧下で溶媒を除去し、
残留物をトルエン/メタノール混合溶媒で2回再結晶を
行い3を60.2g得た。
【0173】DMF242gを0〜5℃に冷却後、オキ
シ塩化リン(84.8g:553.2mmol)を10
℃を越えないようにゆっくり滴下した。滴下終了後15
分そのまま撹拌後、3(45.0g:92.2mmo
l)/DMF135g溶液をゆっくり滴下した。滴下終
了後そのまま30分撹拌後室温に戻し2時間撹拌し更に
80〜85℃に加熱し8時間撹拌を行った。反応液を約
15%の酢酸ナトリウム水溶液2.5kgにあけ12時
間撹拌を行った。それを中和後、トルエンを用い抽出し
有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を除去し、残
留物をシリカゲルカラムを用いカラム精製を行い4を4
0.5g得た。
【0174】乾燥THF100mlに水素化リチウムア
ルミニウム0.89gを加え室温で撹拌しているところ
へ4(37g:68mmol)/乾燥THF600ml
溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で4時間撹拌
後、5%塩酸水溶液500mlをゆっくり滴下した。滴
下終了後トルエンで抽出し有機層を無水硫酸ナトリウム
で乾燥後溶媒を除去し、残留物をシリカゲルカラムを用
いカラム精製を行い5を26.3g得た。
【0175】5(20g:36mmol)及びトリエチ
ルアミン(12.8g:126mol)を、乾燥THF
130mlに加え0〜5℃に冷却後、塩化アクリロイル
(9.8g:108mmol)をゆっくり滴下した。滴
下終了後ゆっくり室温に戻し室温でそのまま6時間撹拌
を行った。反応液を水にあけ中和後、酢酸エチルで抽出
し有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を除去し
た。残留物をシリカゲルカラムを用いカラム精製を行い
6(化合物No.263)を11.2g得た(酸化電
位:0.80v)。
【0176】本発明においては、前記同一分子内に2つ
以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重
合させることで、その感光層中において、正孔輸送能を
有する化合物は少なくとも2つ以上の架橋点をもって3
次元架橋構造の中に共有結合を介して取り込まれる。前
記正孔輸送性化合物はそれのみを重合・架橋させる、あ
るいは他の連鎖重合性基を有する化合物と混合させるこ
とのいずれもが可能であり、その種類/比率は全て任意
である。ここでいう他の連鎖重合性基を有する化合物と
は、連鎖重合性基を有する単量体あるいはオリゴマー/
ポリマーのいずれもが含まれる。正孔輸送性化合物の官
能基とその他の連鎖重合性化合物の官能基が同一の基あ
るいは互いに重合可能な基である場合には、両者は共有
結合を介した共重合3次元架橋構造をとることが可能で
ある。両者の官能基が互いに重合しない官能基である場
合には、感光層は少なくとも2つ以上の3次元硬化物の
混合物あるいは主成分の3次元硬化物中に他の連鎖重合
性化合物単量体あるいはその硬化物を含んだものとして
構成されるが、その配合比率/製膜方法をうまくコント
ロールすることで、IPN(Inter Penetr
ating Network)、即ち相互進入網目構造
を形成することも可能である。
【0177】また、前記正孔輸送性化合物の連鎖重合性
官能基以外の重合性基を有する単量体あるいはオリゴマ
ー/ポリマー等から感光層を形成してもよい。
【0178】更に、場合によっては3次元架橋構造に化
学結合的に組み込まれない、即ち連鎖重合性官能基を有
しない正孔輸送性化合物を含有することも可能である。
【0179】また、その他の各種添加剤及びフッ素原子
含有樹脂微粒子等の潤剤その他を含有してもよい。
【0180】本発明の感光体の構成は、導電性支持体上
に感光層として電荷発生物質を含有する電荷発生層及び
電荷輸送物質を含有する電荷輸送層をこの順に積層した
構成である。
【0181】電荷輸送層には、先の連鎖重合性官能基を
有する正孔輸送性化合物を重合・硬化した化合物を含有
しており、その電荷輸送層の膜厚は1〜50μmが好ま
しく、5〜30μmが特に好ましく、また後述の第2電
荷輸送層として使用する場合は、その保護層の膜厚は1
〜20μmが好ましく、1〜6μmが特に好ましい。
【0182】次に、本発明による電子写真感光体の製造
方法を具体的に示す。
【0183】電子写真感光体の支持体としては導電性を
有するものであればよく、例えばアルミニウム、銅、ク
ロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金を
ドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウム及
び銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートし
たもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等を
プラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単
独または結着樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、
またプラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
【0184】本発明においては導電性支持体の上にはバ
リアー機能と接着機能を持つ下引き層を設けることがで
きる。
【0185】下引き層は感光層の接着性改良、塗工性改
良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体から
の電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保
護等のために形成される。下引き層の材料としてはポリ
ビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポ
リエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−ア
クリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキ
シメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼ
ラチン等が挙げられる。これらはそれぞれに適した溶剤
に溶解されて支持体上に塗布される。その際の膜厚とし
ては0.1〜2μmであることが好ましい。
【0186】本発明の感光体は電荷発生層及び電荷輸送
層を積層する機能分離型感光体である。電荷発生層に用
いる電荷発生物質としては、セレン−テルル、ピリリウ
ム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結
晶系、具体的には例えばα、β、γ、ε及びX型等の結
晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン
顔料、ジベンズピレンキノン顔料、プラントロン顔料、
トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジ
ゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、
キノシアニン及び特開昭54−143645号公報に記
載のアモルファスシリコーン等が挙げられる。
【0187】電荷発生層は前記電荷発生物質を質量基準
で0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共にホモジナイ
ザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サン
ドミル、アトライター及びロールミル等の方法で良く分
散し、分散液を塗布し、乾燥されて形成されるか、また
は前記電荷発生物質の蒸着膜等の単独組成の膜として形
成される。その膜厚は5μm以下であることが好まし
く、特には0.1〜2μmであることが好ましい。
【0188】結着樹脂を用いる場合の例は、スチレン、
酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチ
レン、等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネ
ート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオ
キサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール
樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が
挙げられる。
【0189】本発明における前記連鎖重合性官能基を有
する正孔輸送性化合物を重合した化合物は、前述した電
荷発生層上の電荷輸送層の電荷輸送物質として、もしく
は電荷発生層上に連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送
物質と結着樹脂からなる電荷輸送層を形成した後に第2
の電荷輸送層として用いることができる。いずれの場合
も前記表面層の形成方法は、前記正孔輸送性化合物を含
有する溶液を塗布後、重合させるのが一般的であるが、
前もって該正孔輸送性化合物を含む溶液を反応させて硬
化物を得た後に再度溶剤中に分散あるいは溶解させたも
の等を用いて、表面層を形成することも可能である。こ
れらの溶液を塗布する方法は、例えば浸漬コーティング
法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法
及びスピンコーティング法等が知られているが、効率性
/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。ま
た、蒸着やプラズマその他の公知の製膜方法が適宜選択
できる。
【0190】本発明において連鎖重合性基を有する正孔
輸送性化合物は、熱または光により重合させることがで
きる。従って、本発明における感光層の形成は、感光層
用の塗工液に前記連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合
物と必要によっては重合開始剤を含有させ、該塗工液を
用いて形成した塗工膜に熱または光を照射することによ
って該連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物を重合さ
せる。
【0191】熱により重合反応を行う際には、熱エネル
ギーのみで重合反応が進行する場合と、重合開始剤が必
要となる場合があるが、より低い温度で効率よく反応を
進行させるためには、重合開始剤を添加することが好ま
しい。
【0192】この場合に用いられる重合開始剤として
は、室温以上で半減期を有するものであればよく、具体
的には過硫酸アンモン、ジクミルパーオキサイド、ベン
ゾイルパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイ
ド、t−ブチルハイドロパーオキサイド及びジt−ブチ
ルパーオキサイド等の過酸化物やアゾビスブチロニトリ
ル等のアゾ系化合物等である。添加量は連鎖重合性基を
有する化合物100質量部に対して0.01〜10質量
部程度であり、開始剤に応じて反応系の温度は室温から
200℃の間で適宜選択できる。
【0193】光により重合反応を行う際には、光として
紫外線を用いることが好ましい。また、光を用いた場合
は、光エネルギーのみで反応が進行することはごく希で
あり、一般には光重合開始剤が併用される。
【0194】この場合の重合開始剤とは、主には波長4
00nm以下の紫外線を吸収してラジカルやイオン等の
活性種を生成し、重合を開始させるものを指すが、それ
らの具体例はアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾフェ
ノン及びチオキサンソン系等のラジカル重合開始剤、ま
たジアゾニウム化合物、スルフォニウム化合物、ヨード
ニウム化合物及び金属錯体化合物等のイオン重合開始剤
等である。ただし近年では、波長400nm以上で赤外
・可視領域の光を吸収して先の活性種を生成する重合開
始剤も発表されており、それらの利用も可能である。開
始剤の添加量は連鎖重合性基を有する化合物100質量
部に対して0.01〜50質量部程度である。
【0195】なお、本発明においては上述した熱及び光
重合開始剤を併用することも可能である。
【0196】前記連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合
物を電荷輸送層に用いた場合の前記正孔輸送性化合物の
量は、重合後の電荷輸送層膜の全質量に対して、前記一
般式(1)で示される連鎖重合性官能基を有する正孔輸
送性基Aの水素付加物が分子量換算で20%以上である
ことが好ましく、40%以上であることがより好まし
い。20%未満であると電荷輸送能が低下し、感度低下
及び残留電位の上昇等の問題点が生ずる。
【0197】前記正孔輸送性化合物を電荷発生層/電荷
輸送層上に第2の電荷輸送層として用いた場合、その下
層に当たる電荷輸送層は適当な電荷輸送物質、例えばポ
リ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラ
セン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物
や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリア
ゾール及びカルバゾール等の複素環化合物、トリフェニ
ルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニ
ルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジ
アミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチ
ルベン誘導体及びヒドラゾン誘導体等の低分子化合物等
を適当な結着樹脂(前述の電荷発生層用樹脂の中から選
択できる)と共に溶剤に分散/溶解した溶液を前述の公
知の方法によって塗布し、乾燥して形成することができ
る。この場合の電荷輸送物質と結着樹脂の比率は、両者
の全質量を100とした場合に電荷輸送物質の質量が3
0〜100であることが好ましく、50〜100である
ことがより好ましい。電荷輸送物質の量が30未満であ
ると、電荷輸送能が低下し、感度低下及び残留電位の上
昇等の問題点が生ずる。
【0198】上記に記載したように、連鎖重合性官能基
を有する正孔輸送性化合物を重合・硬化した電荷輸送層
は下記の方法で示差熱分析を行った場合、発熱量が60
mJ/mg以下であることが好ましく、特には40mJ
/mg以下であることが好ましい。この発熱は主に電荷
輸送層中の未反応の連鎖重合性基の反応によるものと推
定されるが、この発熱量の値が感光体の耐摩耗性は勿
論、繰り返し使用や環境の変動による電位変動、更には
転写メモリーやフォトメモリー等の各種メモリーにも極
めて相関があり、上記値の場合が極めて良好な特性を発
現することが判明した。
【0199】(示差走査熱分析測定法)感光体ドラムの
電荷輸送層を、最表面からある特定の深さの成分に偏る
ことなく均等に削り取り、これを乳鉢等ですりつぶして
小さな均一な粒子としたものを試料とした。なお、試料
は感光体ドラムの任意の3ケ所からそれぞれ採取し、そ
れらを下記の方法で測定を行い、3点の平均を取って本
発明の発熱量とした。
【0200】示差走査熱量測定は、上記のように採取し
た試料数mgをアルミニウム製容器の底部に一様に入
れ、ふたをクリンプして測定サンプルを作成した。同様
に、何も入れていないアルミニウム製容器にふたをクリ
ンプしたものをリファレンスとした。これらを示差走査
熱量測定装置にセットし、1分間あたり10℃ずつ昇温
させ、50分間で500℃昇温させた(なお、サンプル
周辺の雰囲気を制御するために、測定中は窒素ガスを5
0ml/minでフローして行った)。このときに現れ
る発熱ピークを測定し、発熱ピーク面積から発熱量を決
定した。
【0201】なお、本発明における感光層には、各種添
加剤を添加することができる。該添加剤としては、酸化
防止剤及び紫外線吸収剤等の劣化防止剤や、フッ素原子
含有樹脂微粒子等の潤剤等が挙げられる。
【0202】図1に本発明の電子写真感光体を有するプ
ロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を
示す。図において、1はドラム状の本発明の電子写真感
光体であり、軸2を中止に矢印方向に所定の周速度で回
転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯
電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一
帯電を受け、次いでスリット露光やレーザービーム走査
露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光光4を受
ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成さ
れていく。形成された静電潜像は、次いで現像手段5に
よりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図
示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1
の回転と同期取り出されて給紙された転写材7に、転写
手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写
材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入さ
れて像定着を受けることにより複写物(コピー)として
装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体1の
表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの
除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)
からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し
画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ロ
ーラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は
必ずしも必要ではない。本発明においては、上述の電子
写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリー
ニング手段9等の構成要素のうち、複数のものをプロセ
スカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロ
セスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター
等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよ
い。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニ
ング手段9の少なくとも1つを感光体1と共に一体に支
持してカートリッジ化して、装置本体のレール12等の
案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカート
リッジ11とすることができる。また、画像露光光4
は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合に
は、原稿からの反射光や透過光、あるいはセンサーで原
稿を読みとり、信号化し、この信号に従って行われるレ
ーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャ
ッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0203】本発明の電子写真感光体は電子写真複写機
に利用するのみならず、レーザービームプリンター、C
RTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及
びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いるこ
とができる。
【0204】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。実施
例中、「部」は質量部を示す。
【0205】(実施例1)まず、導電層用の塗料を以下
の手順で調製した。10%の酸化アンチモンを含有する
酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フェ
ノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノー
ル5部及びシリコーン化合物(ポリジメチルシロキサン
ポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)
0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミ
ル装置で2時間分散して調製した。この塗料を30φの
アルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法で塗布
し、150℃で30分乾燥して、膜厚が18μmの導電
層を形成した。
【0206】次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部
をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調製し
た。この塗料を前記の導電層上に浸漬コーティング法で
塗布し、100℃で20分間乾燥して、膜厚が0.5μ
mの中間層を形成した。
【0207】CuKαのX線回折におけるブラック角2
θ±0.2度の9.0度、14.2度、23.9度及び
27.1度に強いピークを有するオキシチタニウムフタ
ロシアニンを3部、ポリビニルブチラール(商品名エス
レックBM2、積水化学工業(株)製)4.0部及びシ
クロヘキサノン35部をφ1mmガラスビーズを用いた
サンドミル装置で15時間分散して、その後に酢酸エチ
ル60部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。この塗
料を前記の中間層の上に浸漬コーティング法で塗布し、
90℃で10分間乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発
生層を形成した。
【0208】次に、表3の化合物例No.6の正孔輸送
性化合物60部及び下記構造式(A)
【0209】
【化32】 の光重合開始剤0.6部をモノクロロベンゼン30部及
びジクロロメタン30部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸
送層用塗料を調製した。この塗料を前記の電荷発生層上
に浸漬コーティング法で塗布し、メタルハライドランプ
を用いて300mW/cm2 の光強度で30秒間硬化さ
せ、膜厚が17μmの電荷輸送層を形成して、電子写真
感光体を得た。
【0210】この感光体をレーザービームプリンター
(Laser Writer 16/600PS:Ap
ple社製)の改造機に装着し、常温常湿下(23℃、
55%RH)(N/N)で、初期暗部電位(Vd)が−
700(V)になるように帯電設定をし、これに波長7
80(nm)のレーザー光を照射して−700(V)の
電位を−200(V)まで下げるのに必要な光量(EΔ
500 )を測定し感度とした。更に、20(μJ/cm
2 )の光量を照射した場合の電位を残留電位(Vr)と
して初期特性を測定した。なお、その他の条件は、転写
電流:+5.5μA、プロセススピード:96mm/s
ecで行った。
【0211】その後、環境を高温高湿下(32℃、85
%RH)(H/H)に変え、初期明部電位(Vl)の常
温常湿下からの変動量(ΔVl)を測定した。
【0212】次に、新たに上記と同様の方法で作成した
電子写真感光体を、上記と同様の改造機に装着して常温
低湿下(23℃、10%RH)(N/L)で連続500
0枚の通紙耐久試験を行って、初期と耐久直後の暗部電
位と明部電位の変動量ΔVd 1 とΔVl1 を測定した。
更に、その感光体の削れ量を、渦電流式膜厚測定器(F
ISCHER社製、PERMASCOPE TYPE
E111)を用いて測定した。
【0213】また更に、以下のようにして転写メモリー
及びフォトメモリーの測定を行った。
【0214】転写メモリーの測定は、新たに上記と同様
の方法で作成した電子写真感光体を、上記と同様の改造
機に装着しN/Nで、転写電流OFF時の一次帯電電位
をVd2 、転写電流ON時の一次帯電電位をVd3 とし
て、|Vd2 −Vd3 |を測定した。
【0215】更に、白色光に対するフォトメモリーの測
定として、新たに上記と同様の方法で作成した電子写真
感光体を上記と同様の改造機に装着しN/Nで、初期暗
部電位(Vd)/初期明部電位(Vl)が−700
(V)/−200(V)になるように帯電及び像露光光
量を設定し、次に、この電子写真感光体に暗部と明部が
できるようにマスキングし、蛍光灯下で3000Lu
x、20分間光照射した後、5分間放置し、同様に電位
を測定し暗部電位の初期との変化量の絶対値(ΔVd
4 )をフォトメモリーとして測定した。
【0216】更に、上記と同様にして作成した電子写真
感光体の電荷輸送層部分を先に示した方法でサンプリン
グして、示差走査熱量測定を行った。
【0217】上記のそれぞれの結果を表4−1に示す。
【0218】(実施例2〜17、比較例1〜11)実施
例1の正孔輸送性化合物及び紫外線の光強度を表4−1
及び4−2のように変えた以外は、実施例1と同様に電
子写真感光体を作成し、評価した。その結果を表4−1
及び4−2に示す。
【0219】(実施例18〜34、比較例12〜22)
実施例1における光重合開始剤(A)を下記構造式
(B)
【0220】
【化33】 の熱重合開始剤とし、紫外線硬化の代わりに140℃で
1時間の熱硬化とし、正孔輸送性化合物及び硬化温度を
表4−1及び4−2のように変えた以外は、実施例1と
同様に電子写真感光体を作成し、評価した。その結果を
表4−1及び4−2に示す。
【0221】(比較例23)実施例1において電荷発生
層までを形成した後、下記構造式のトリアリールアミン
化合物(C)
【0222】
【化34】 20部及びポリカーボネート樹脂Z型(平均分子量2
万)10部をモノクロロベンゼン50部及びジクロロメ
タン20部の混合溶媒中に溶解して調製した電荷輸送層
用塗料を用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層を形成
し感光体を得た。このときの電荷輸送層の膜厚は18μ
mであった。この感光体を実施例1と同様に評価し、結
果を表4−2に示す。
【0223】(比較例24)比較例21の電荷輸送化合
物を下記のスチリル系化合物(D)
【0224】
【化35】 に変えた以外は比較例21と同様な方法で感光体を作成
し同様な評価を行った。その結果を表4−2に示す。
【0225】(比較例25)実施例1において電荷発生
層までを形成した後、特開平8−248649号公報の
第10〜11頁に記載されている製造法に従って合成し
た下記構造式のポリカーボネート樹脂(E)
【0226】
【化36】 20部をテトラヒドロフラン80部に溶解して調製した
電荷輸送層用塗料を用いて、前記電荷発生層上に電荷輸
送層を形成した。このときの電荷輸送層の膜厚は18μ
mであった。この電子写真感光体を実施例1と同様に評
価した。その結果を表4−2に示す。
【0227】表4−1及び4−2より明らかなように、
本発明の感光体では高感度、低残留電位であり、各種環
境での電位変動も極めて小さく、安定した特性を有して
いる。更に、転写メモリーやフォトメモリー等も極めて
小さく優れた特性を発現することが明らかである。な
お、これらの特性は電荷輸送層の示差走査熱量測定の発
熱量と相関が見られ、発熱量が60mJ/mg以下の場
合が良好で、40mJ/mg以下の場合が特に良好であ
ることが明確である。
【0228】(実施例35)まず、導電層用の塗料を以
下の手順で調製した。10%の酸化アンチモンを含有す
る酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フ
ェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノ
ール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサ
ンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量300
0)0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサン
ドミル装置で2時間分散して調製した。この塗料を30
φのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法で
塗布し、140℃で30分乾燥して、膜厚が20μmの
導電層を形成した。
【0229】次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部
をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調製し
た。この塗料を前記の導電層上に浸漬コーティング法で
塗布し、100℃で20分間乾燥して、膜厚が0.65
μmの中間層を形成した。
【0230】次に、下記のビスアゾ顔料
【0231】
【化37】 5部、ポリビニルブチラール樹脂2部及びジクロヘキサ
ノン60部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル
装置で24時間分散し、更にテトラヒドロフラン60部
を加えて電荷発生層用塗料を調製した。この塗料を前記
の中間層の上に浸漬コーティング法で塗布し、100℃
で15分間乾燥して、膜厚が0.25μmの電荷発生層
を形成した。
【0232】次に、表3の化合物例No.263の正孔
輸送性化合物60部をモノクロロベンゼン50部及びジ
クロロメタン30部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸送層
用塗料を調製した、この塗料を前記の電荷発生層上に浸
漬コーティング法で塗布し、メタルハライドランプを用
いて400mW/cm2 の光強度で30秒間硬化させ
て、膜厚が13μmの電荷輸送層を形成して、電子写真
感光体を得た。
【0233】このようにして作成した電子写真感光体
を、パルス変調装置を搭載しているキヤノン製プリンタ
ーLBP−2000に装着し、以下の画像評価を行っ
た。
【0234】(ドット、文字再現性の評価)暗部電位V
d=−650V、明部電位Vl=−200Vに設定し、
1ドット1スペース画像と文字(5ポイント)画像の出
力を行った。
【0235】(ゴーストの評価)常温常湿下(23℃、
55%RH)(N/N)で、初期に、ドラム一周分適当
な文字パターンを印字し、その後全面ハーフトーン画像
を取りゴースト現象が出ているかどうかを確認した。次
に、下記耐久パターンを2000枚連続プリントし耐久
試験後に全面ハーフトーン画像を取りゴースト現象が出
ているかどうかを確認した。
【0236】耐久パターンは約2mm幅の線を縦横7m
mおきに印字した。画像サンプルは全面黒と、1ドット
1スペースのドット密度の画像を用い、機械の現像ヴォ
リューム、F5(中心値)とF9(濃度薄い)で各々サ
ンプリングした。
【0237】評価基準はゴーストが見えないものをラン
ク5とし、1ドット1スペースF9で見えるものをラン
ク4、1ドット1スペースF5で見えるものをランク
3、全面黒F9で見えるものをランク2、全面黒F5で
見えるものをランク1とした。
【0238】更に、上記と同様にして作成した電子写真
感光体の電荷輸送層部分を先に示した方法でサンプリン
グし示差走査熱量測定を行った。
【0239】上記の結果を以下の表5に示す。
【0240】(実施例36〜42、比較例26〜30)
実施例35の正孔輸送性化合物及び紫外線の照射線量を
表5のように変えた以外は、実施例35と同様に電子写
真感光体を作製し、同様に評価した。その結果を表5に
示す。
【0241】(比較例31)実施例35において電荷発
生層までを形成した後、比較例23と全く同じ処方で電
荷輸送層を形成して(但し、膜厚は13μm)電子写真
感光体を作成し、実施例35と同様な評価をした。その
結果を表5に示す。
【0242】(比較例32)実施例35において電荷発
生層までを形成した後、比較例25と全く同じ処方で電
荷輸送層を形成して(但し、膜厚は13μm)電子写真
感光体を作成し、実施例35と同様な評価をした。その
結果を表5に示す。
【0243】(実施例43〜50、比較例33〜37)
実施例35における光重合開始剤(A)を構造式(B)
の熱重合開始剤に代え、紫外線硬化の代わりに140℃
で1時間の熱硬化とし、正孔輸送性化合物及び硬化温度
を表5のように変えた以外は、実施例35と同様に電子
写真感光体を作製し、同様に評価した。その結果を表5
に示す。
【0244】
【表92】
【0245】
【表93】
【0246】
【表94】
【0247】
【表95】
【0248】
【表96】
【0249】これらの結果から、本発明の感光体は、ド
ットの再現性や文字の再現性に優れ高解像度の出力画像
が得られることが分かる。また、欠陥がなく鮮明な画像
が安定して得られた。これらの結果は電荷輸送層の示差
走査熱量測定の発熱量と相関が見られ、発熱量が60m
J/mg以下の場合が良好で、40mJ/mg以下の場
合が特に良好であることが明確である。
【0250】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体、及び該電子写
真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装
置は、耐摩耗性が極めて良好であるばかりか、繰り返し
使用や環境の変動によらず、安定して優れた電位特性を
示し、転写メモリーやフォトメモリー等のメモリーも小
さく、かつカブリ等の画像欠陥のない良好な画質を与え
ることを可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカー
トリッジを有する電子写真装置の概略構成の例を示す図
である。
フロントページの続き (72)発明者 田中 博幸 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 関谷 道代 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 雨宮 昇司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 植松 弘規 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA02 AA03 AA08 AA13 AA20 BA05 BA12 BA13 BA14 BA16 BA21 BB05 BB10 BB14 BB30 BB44 BB58 BB59 FA01 FA03 FA27

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に感光層を有する電子写
    真感光体において、該感光体の最表面層が、同一分子内
    に2つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合
    物を熱または紫外線によって重合した化合物を含有し、
    かつ該最表面層の示差走査熱分析での発熱量が60mJ
    /mg以下であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 最表面層の示差走査熱分析での発熱量が
    40mJ/mg以下である請求項1記載の電子写真感光
    体。
  3. 【請求項3】 連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化
    合物が、下記一般式(1)で示される化合物である請求
    項1または2に記載の電子写真感光体。 【化1】 (式中、Aは正孔輸送性基を示す;P1 及びP2 は連鎖
    重合性官能基を示す;P 1 とP2 は同一でも異なっても
    よい;Zは置換基を有してもよい有機基を示す;a、b
    及びdは0または1以上の整数を示し、a+b×dは2
    以上の整数を示す;また、aが2以上の場合P1 は同一
    でも異なってもよく、dが2以上の場合P 2 は同一でも
    異なってもよく、またbが2以上の場合、Z及びP2
    同一でも異なってもよい。)
  4. 【請求項4】 一般式(1)のAのAとP1 及びZとの
    結合部位を水素原子に置き換えた正孔輸送性化合物が下
    記一般式(2)で示される請求項3記載の電子写真感光
    体。 【化2】 (式中、R1 〜R3 は置換基を有してもよいアルキル
    基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を
    有してもよいアリール基を示す。但し、R1 〜R3のう
    ち少なくとも2つはアリール基を示す。また、R1 〜R
    3 は同一であっても異なっていてもよい。)
  5. 【請求項5】 一般式(1)のAのAとP1 及びZとの
    結合部位を水素原子に置き換えた正孔輸送性化合物が下
    記一般式(3)で示される請求項3記載の電子写真感光
    体。 【化3】 (式中、R4 、R5 、R8 及びR9 は置換基を有しても
    よいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基ま
    たは置換基を有してもよいアリール基を示し、R 4 、R
    5 、R8 及びR9 は同一であっても異なっていてもよ
    い。R6 及びR7 は置換基を有してもよいアルキレン基
    または置換基を有してもよいアリーレン基を示し、R6
    及びR7 は同一であっても異なっていてもよい。Qは置
    換基を有してもよい有機基を示す。)
  6. 【請求項6】 一般式(1)のAのAとP1 及びZとの
    結合部位を水素原子に置き換えた正孔輸送性化合物が下
    記一般式(4)で示される請求項3記載の電子写真感光
    体。 【化4】 (式中、R10〜R13は置換基を有してもよいアルキル
    基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を
    有してもよいアリール基を示し、R10〜R13は同一であ
    っても異なっていてもよい。Ar1 及びAr2 は置換基
    を有してもよいアリーレン基を示し、Ar1 及びAr2
    は同一であっても異なっていてもよい。m1は0または
    1を示す。)
  7. 【請求項7】 一般式(1)のAのAとP1 及びZとの
    結合部位を水素原子に置き換えた正孔輸送性化合物が下
    記一般式(5)で示される請求項3記載の電子写真感光
    体。 【化5】 (式中、Ar3 及びAr4 は置換基を有してもよいアリ
    ール基を示し、Ar3 及びAr4 は同一であっても異な
    っていてもよい。R14は置換基を有してもよいアルキル
    基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を
    有してもよいアリール基を示す。但し、Ar3 、Ar4
    及びR14のうち少なくとも1つは、下記一般式(6)の
    置換基を1つ以上有する。 【化6】 (式中、Ar5 は置換基を有してもよいアリール基を示
    す。R15及びR16は置換基を有してもよいアルキル基、
    置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有しても
    よいアリール基または水素原子を示し、R15及びR16
    同一であっても異なっていてもよい。n1 は0または1
    〜2の整数を示す。)
  8. 【請求項8】 一般式(1)のAのAとP1 及びZとの
    結合部位を水素原子に置き換えた正孔輸送性化合物が、
    縮合環炭化水素、縮合複素環または下記一般式(7)で
    示される請求項3記載の電子写真感光体。 【化7】 (式中、Ar6 は置換基を有してもよいアリール基を示
    す。R17及びR18は置換基を有してもよいアルキル基、
    置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有し
    てもよいアリール基を示し、R17及びR18は同一であっ
    ても異なっていてもよい。但し、縮合環炭化水素、縮合
    複素環及び一般式(7)の化合物は、下記一般式(8)
    の置換基を1つ以上有する。 【化8】 (式中、Ar7 は置換基を有してもよいアリール基を示
    す。R19及びR20は置換基を有してもよいアルキル基、
    置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有しても
    よいアリール基または水素原子を示し、R19及びR20
    同一であっても異なっていてもよい。n2 は0または1
    〜2の整数を示す。)
  9. 【請求項9】 一般式(1)のZ及び一般式(3)のQ
    が置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有して
    もよいアリーレン基、CR21=CR22(R21及びR22
    置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよ
    いアリール基または水素原子を示し、R21及びR22は同
    一であっても異なっていてもよい)、C=O、S=O、
    SO2 、または酸素原子及び硫黄原子より1つあるいは
    任意に組み合わされた有機基を示す請求項3〜8のいず
    れかに記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 一般式(1)のZ及び一般式(3)の
    Qが下記一般式(9)で示される請求項3〜9のいずれ
    かに記載の電子写真感光体。 【化9】 (式中、Ar8 及びAr9 は置換基を有してもよいアリ
    ーレンを示し、X1 〜X 3 は置換基を有してもよいアル
    キレン基、(CR23=CR24)m2 、C=O、S=O、
    SO2 、酸素原子または硫黄原子を示す。R23及びR24
    は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有しても
    よいアリール基または水素原子を示し、R 23及びR24
    同一であっても異なっていてもよい。m2 は1から5の
    整数、p〜tは0または1から10の整数を示す。但
    し、p〜tは同時に0であることはない。)
  11. 【請求項11】 一般式(1)のZ及び一般式(3)の
    Qが下記一般式(10)で示される請求項3〜9のいず
    れかに記載の電子写真感光体。 【化10】 (式中、Ar10は置換基を有してもよいアリーレン基を
    示す。X4 及びX5 は(CH2 )m3 、(CH=C
    25)m4 、C=Oまたは酸素原子を示す。R25は置換
    基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいア
    リール基または水素原子を示す。gは1から10の整
    数、hは1から5の整数、u〜wは0または1から10
    の整数を示す。但し,u〜wは同時に0であることはな
    い。)
  12. 【請求項12】 一般式(2)のR1 〜R3 が置換基を
    有してもよいアリール基である請求項4、9、10また
    は11に記載の電子写真感光体。
  13. 【請求項13】 一般式(3)のR4 、R5 、R8 及び
    9 のうち2つ以上が置換基を有してもよいアリール基
    であり、かつR6 及びR7 が置換基を有してもよいアリ
    ーレン基である請求項5、9、10または11に記載の
    電子写真感光体。
  14. 【請求項14】 一般式(3)のR4 、R5 、R8 及び
    9 が置換基を有してもよいアリール基である請求項1
    3記載の電子写真感光体。
  15. 【請求項15】 一般式(4)のR10及びR11が置換基
    を有してもよいアリール基である請求項6、9、10ま
    たは11に記載の電子写真感光体。
  16. 【請求項16】 一般式(4)のm1 が1であり、かつ
    10〜R13が置換基を有してもよいアリール基である請
    求項15記載の電子写真感光体。
  17. 【請求項17】 一般式(5)のR14が置換基を有して
    もよいアリール基である請求項7、9、10及び11に
    記載の電子写真感光体。
  18. 【請求項18】 一般式(6)のR16が置換基を有して
    もよいアリール基である請求項17記載の電子写真感光
    体。
  19. 【請求項19】 一般式(7)のR17及びR18が置換基
    を有してもよいアリール基である請求項8、9、10ま
    たは11に記載の電子写真感光体。
  20. 【請求項20】 一般式(8)のR20が置換基を有して
    もよいアリール基である請求項19記載の電子写真感光
    体。
  21. 【請求項21】 連鎖重合性官能基P1 及びP2 の一方
    または両方が下記式(11)で示される不飽和重合性官
    能基である請求項3〜20のいずれかに記載の電子写真
    感光体。 【化11】 (式中、Eは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有して
    もよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、
    シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR 26(R
    26は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいア
    ルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置
    換基を有してもよいアリール基)またはCONR2728
    (R27及びR28は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有
    してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキ
    ル基及び置換基を有してもよいアリール基を示し、R27
    及びR28は同一であっても異なっていてもよい)を示
    し、Wは置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
    有してもよいアリーレン基、−COO−、−CH2 −、
    −O−、−OO−、−S−、−CONR29−(R29は水
    素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル
    基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を
    有してもよいアリール基)を示す。fは0または1を示
    す。)
  22. 【請求項22】 連鎖重合性官能基P1 及びP2 の一方
    または両方が下記式(12)で示される環状エーテル基
    である請求項3〜20のいずれかに記載の電子写真感光
    体。 【化12】 (式中、R30及びR31は水素原子、置換基を有してもよ
    いアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基また
    は置換基を有してもよいアリール基を示し、nは1から
    10の整数を示す。)
  23. 【請求項23】 連鎖重合性官能基P1 及びP2 の一方
    または両方が下記式(13)で示される脂環式エポキシ
    基である請求項3〜20のいずれかに記載の電子写真感
    光体。 【化13】 (式中、R32及びR33は水素原子、置換基を有してもよ
    いアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、ま
    たは置換基を有してもよいアリール基を示し、nは0ま
    たは1から10の整数を示す。)
  24. 【請求項24】 連鎖重合性官能基P1 及びP2 の一方
    または両方が下記式(14)〜(20)のいずれかであ
    る請求項3〜20のいずれかに記載の電子写真感光体。 【化14】
  25. 【請求項25】 同一分子内に2つ以上の連鎖重合性官
    能基を有する正孔輸送性化合物の酸化電位が0.4〜
    1.2(v)である請求項3〜24のいずれかに記載の
    電子写真感光体。
  26. 【請求項26】 重合手段が熱であり、該熱の温度が5
    0℃〜250℃である請求項1〜25のいずれかに記載
    の電子写真感光体。
  27. 【請求項27】 重合手段が紫外線であり、該紫外線の
    光強度が1000mW/cm2 以下である請求項1〜2
    5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  28. 【請求項28】 紫外線の照射時間が120秒以下であ
    る請求項1〜25のいずれかまたは27記載の電子写真
    感光体。
  29. 【請求項29】 連鎖重合性官能基P1 及びP2 の一方
    または両方が下記式(14)または(15)である請求
    項3〜28のいずれかに記載の電子写真感光体。 【化15】
  30. 【請求項30】 請求項1〜29のいずれかに記載の電
    子写真感光体、及び帯電手段、現像手段及びクリーニン
    グ手段からなる群より選ばれた少なくともひとつの手段
    を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるこ
    とを特徴とするプロセスカートリッジ。
  31. 【請求項31】 請求項1〜29のいずれかに記載の電
    子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写
    手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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