JP2001163972A - シアン酸エステルプレポリマーの製造方法 - Google Patents

シアン酸エステルプレポリマーの製造方法

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JP2001163972A
JP2001163972A JP34444999A JP34444999A JP2001163972A JP 2001163972 A JP2001163972 A JP 2001163972A JP 34444999 A JP34444999 A JP 34444999A JP 34444999 A JP34444999 A JP 34444999A JP 2001163972 A JP2001163972 A JP 2001163972A
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cyanate ester
cyanate
bis
cyanato
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Miyoshi Shirasaki
美佳 白崎
Hisashi Watabe
久 渡部
Satoshi Okamoto
敏 岡本
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】操作性の良いシアン酸エステルプレポリマーの
製造方法を提供すること。 【解決手段】下記一般式(I) 【化1】 [式中、Aは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは単
結合、炭素数1〜20の有機基等を表し、iは0〜4の
数を表し、jは0〜3の数を表し、nは0または1の数
を表す。同一または異なる核上の各Aは互いに異なって
いてもよい。各Xは互いに異なっていてもよい。各iは
互いに異なっていてもよい。]で示されるシアン酸エス
テルのシアナート基を部分的に3量化反応させてシアン
酸エステルプレポリマーを製造する方法において、該シ
アン酸エステル中のフェノール類、部分置換シアン酸エ
ステル類およびイミノカーボネート類の各含有量の合計
が4%以下であり、水分含有量が0.1%以下であるシ
アン酸エステルプレポリマーの製造方法、または該シア
ン酸エステルの示差走査熱量分析による発熱ピーク温度
が300℃以上であるシアン酸エステルプレポリマーの
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シアン酸エステル
プレポリマーの製造方法に関する。詳しくは、シアン酸
エステルのシアナート基を部分的に3量化反応させてシ
アン酸エステルプレポリマーを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シアン酸エステルは、その硬化物が高い
耐熱性と優れた機械的特性を有することから、電気、電
子部品の封止材料、積層板材料、塗料材料、複合材料、
成型材料、接着剤材料等として用いられている。シアン
酸エステルを上記用途に用いる場合は、操作性の点か
ら、適当な溶媒に溶解して用いるのが好ましいが、通
常、シアン酸エステルの溶媒への溶解性が低いことか
ら、シアン酸エステルをプレポリマー化して溶解性を向
上させるのが好ましい。ここで、プレポリマーとは、シ
アン酸エステルのシアナート基を部分的に3量化反応
(トリアジン環形成)させて得られる反応混合物のこと
を意味し、通常、未反応シアン酸エステルの残存率が2
0〜50%、すなわち、シアン酸エステルの反応率(=
100−残存率)として、50〜80%のものである。
該反応率は、プレポリマーの用途、使用方法等に応じ
て、適宜調整される。通常、プレポリマー化反応は、反
応性や混合性の観点から、100〜250℃程度の高温
条件下にてシアン酸エステルを溶融させて行われ、所望
の反応率が得られた時点で、冷却して反応を停止させる
必要がある。しかしながら、原料として用いるシアン酸
エステルの性状によっては、プレポリマー化反応の進行
がかなり速く、短時間で反応停止を行う必要が生じ、除
熱、温度調整、反応制御等の操作性の点で問題が生じる
ことが分かった。これら操作上の問題点は、規模の大き
い工業的生産において、より顕著となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決して、操作性の良いシアン酸エステルプレ
ポリマーの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、原料として特定のシアン酸エステルを用いるこ
とにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記一般式
(I)
【化3】 [式中、Aは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは単
結合、炭素数1〜20の有機基、カルボニル基、スルホ
ン基、2価の硫黄原子または酸素原子を表し、iは0〜
4の数を表し、jは0〜3の数を表し、nは0または1
の数を表す。同一または異なる核上の各Aは互いに異な
っていてもよい。各Xは互いに異なっていてもよい。各
iは互いに異なっていてもよい。]で示されるシアン酸
エステルのシアナート基を部分的に3量化反応させてシ
アン酸エステルプレポリマーを製造する方法において、
該シアン酸エステル中のフェノール類、部分置換シアン
酸エステル類およびイミノカーボネート類の各含有量の
合計が4%以下であり、水分含有量が0.1%以下であ
るシアン酸エステルプレポリマーの製造方法に係るもの
である。また、本発明は、下記一般式(I)
【化4】 [式中、A、X、i、jおよびnは前記と同じ意味を表
す。]で示されるシアン酸エステルのシアナート基を部
分的に3量化反応させてシアン酸エステルプレポリマー
を製造する方法において、該シアン酸エステルの示差走
査熱量分析による発熱ピーク温度が300℃以上である
シアン酸エステルプレポリマーの製造方法に係るもので
ある。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で用いるシアン酸エステルは、下記一般式
(I)
【化5】 [式中、A、X、i、jおよびnは前記と同じ意味を表
す。]で示されるものである。式(I)中、nは0である
のが好ましく、例えば、4,4’−ジシアナートビフェ
ニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−
ジシアナートビフェニル、ビス(4−シアナートフェニ
ル)メタン、ビス(4−シアナート−3−メチルフェニ
ル)メタン、ビス(4−シアナート−3−t−ブチルフ
ェニル)メタン、ビス(4−シアナート−3−i−プロ
ピルフェニル)メタン、ビス(4−シアナート−3,5
−ジメチルフェニル)メタン、ビス(2−シアナート−
3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、1,1
−ビス(4−シアナートフェニル)エタン、1,1−ビ
ス(4−シアナート−3−メチルフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−シアナート−3−t−ブチルフェニ
ル)エタン、1,1−ビス(4−シアナート−3−i−
プロピルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−シアナ
ート−3,5−ジメチルフェニル)エタン、1,1−ビ
ス(2−シアナート−3−t−ブチル−5−メチルフェ
ニル)エタン、2,2−ビス(4−シアナートフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナート−3−メ
チルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナー
ト−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−シアナート−3−i−プロピルフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−シアナート−3,5−ジメチル
フェニル)プロパン、2,2−ビス(2−シアナート−
3−t−ブチル−5−メチルフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−シアナート−3−t−ブチル−6−メチ
ルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4
−シアナートフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
シアナートフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−シ
アナートフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−シアナ
ート−3−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(4
−シアナート−3−t−ブチルフェニル)ブタン、1,
1−ビス(4−シアナート−3−i−プロピルフェニ
ル)ブタン、1,1−ビス(4−シアナート−3,5−
ジメチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−シアナ
ート−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)ブタン、
1,1−ビス(4−シアナート−3−t−ブチル−6−
メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(3−アリル−
4−シアナートフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−
シアナートフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(4−シアナート−3−メチルフェニル)シクロヘキサ
ン、ビス(4−シアナートフェニル)スルフィド、ビス
(4−シアナート−3−メチルフェニル)スルフィド、
ビス(4−シアナート−3−t−ブチルフェニル)スル
フィド、ビス(4−シアナート−3−i−プロピルフェ
ニル)スルフィド、ビス(4−シアナート−3,5−ジ
メチルフェニル)スルフィド、ビス(2−シアナート−
3−t−ブチル−5−メチルフェニル)スルフィド、ビ
ス(4−シアナートフェニル)スルホン、ビス(4−シ
アナート−3−メチルフェニル)スルホン、ビス(4−
シアナート−3−t−ブチルフェニル)スルホン、ビス
(4−シアナート−3−i−プロピルフェニル)スルホ
ン、ビス(4−シアナート−3,5−ジメチルフェニ
ル)スルホン、ビス(2−シアナート−3−t−ブチル
−5−メチルフェニル)スルホン、ビス(4−シアナー
トフェニル)エーテル、ビス(4−シアナート−3−メ
チルフェニル)エーテル、ビス(4−シアナート−3−
t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(4−シアナート
−3−i−プロピルフェニル)エーテル、ビス(4−シ
アナート−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、ビス
(2−シアナート−3−t−ブチル−5−メチルフェニ
ル)エーテル、ビス(4−シアナートフェニル)カルボ
ニル、ビス(4−シアナート−3−メチルフェニル)カ
ルボニル、ビス(4−シアナート−3−t−ブチルフェ
ニル)カルボニル、ビス(4−シアナート−3−i−プ
ロピルフェニル)カルボニル、ビス(4−シアナート−
3,5−ジメチルフェニル)カルボニル、ビス(2−シ
アナート−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)カル
ボニル、等が挙げられ、必要に応じてその2種以上を用
いることもできる。中でも、ビス(4−シアナートフェ
ニル)メタン、ビス(4−シアナート−3,5−ジメチ
ルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナートフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナート−
3,5−ジメチルフェニル)プロパンが好ましく、2,
2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン[下記式
(II)]が特に好ましい。
【化6】
【0006】本発明で用いるシアン酸エステルは、下記
一般式(III)
【化7】 [式中、A、X、i、jおよびnは前記と同じ意味を表
す。]で示されるフェノール類とクロロシアンやブロモ
シアン等のハロゲン化シアン類とを、溶媒中、脱ハロゲ
ン化水素剤存在下に反応させて合成することができる。
【0007】本発明で用いることができるシアン酸エス
テルは、該シアン酸エステル中のフェノール類、部分置
換シアン酸エステル類およびイミノカーボネート類の各
含有量の合計が4%以下、好ましくは3%以下、さらに
好ましくは2%以下であり、また、水分含有量が0.1
%以下、好ましくは0.05%以下である。
【0008】ここで、フェノール類とは、シアン酸エス
テルの合成の際に原料として用いたフェノール類を意味
し、部分置換シアン酸エステル類とは、フェノール類の
フェノール性水酸基が部分的にシアナート基に置き換わ
った化合物を意味し、イミノカーボネート類とは、シア
ナート基を有する化合物にフェノール性水酸基等の水酸
基を有する化合物が付加して生成したイミノカーボネー
ト構造を有する化合物を意味する。
【0009】例えば、シアン酸エステルが、2,2−ビ
ス(4−シアナートフェニル)プロパン[上記式(I
I)]である場合、フェノール類とは、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[下記式(I
V)]のことであり、部分置換シアン酸エステル類と
は、2−(4−シアナトフェニル)−2−(4−ヒドロ
キシフェニル)−プロパン[下記式(V)]のことであ
り、イミノカーボネート類としては、下記式(VI)〜
(VIII)で示される化合物等が挙げられる。
【0010】
【化8】
【0011】シアン酸エステル中のフェノール類、部分
置換シアン酸エステル類およびイミノカーボネート類の
各含有量の合計は、液体クロマトグラフィー(LC)等
により測定することができる。具体的な測定条件は、シ
アン酸エステルの種類等により異なるが、例えば実施例
で示したような条件を、シアン酸エステルの種類に応じ
て適宜選択すればよい。また、シアン酸エステル中の水
分含有量は、カールフィッシャー法(KF法)等により
測定することができる。
【0012】シアン酸エステル中のフェノール類、部分
置換シアン酸エステル類およびイミノカーボネート類の
各含有量の合計を4%以下にし、水分含有量を0.1%
以下にする方法としては、用いるシアン酸エステルの種
類等により異なるが、例えば、晶析、洗浄、乾燥、等の
通常の処理方法が挙げられる。したがって、例えば、購
入や製造により入手したシアン酸エステル中のフェノー
ル類、部分置換シアン酸エステル類およびイミノカーボ
ネート類の各含有量の合計が4%を越える場合および/
または水分含有量が0.1%を越える場合は、上記方法
により、それぞれ4%以下および0.1%以下に調整し
て、本発明の反応に用いることができる。また、製造に
よりシアン酸エステルを得る場合は、上記方法を製造の
工程に組み入れることにより、それぞれ4%以下および
0.1%以下に調整することができる。本発明で用いる
ことができるシアン酸エステルは、該シアン酸エステル
の示差走査熱量分析による発熱ピーク温度が300℃以
上であり、好ましくは320℃以上である。なお、上限
については特に限定されないが、通常350℃程度であ
る。
【0013】示差走査熱量分析による発熱ピーク温度
は、市販の示差走査熱量分析器を用いて測定することが
でき、通常、サンプル10±2mgを、室温から10℃
/分で昇温させた場合に見られる熱履歴中の発熱ピーク
温度のうち、最も低い温度を意味する。
【0014】シアン酸エステルの示差走査熱量分析によ
る発熱ピーク温度を300以上にする方法としては、用
いるシアン酸エステルの種類等により異なるが、例え
ば、晶析、洗浄、乾燥、等の通常の処理方法が挙げられ
る。したがって、例えば、購入や製造により入手したシ
アン酸エステルの示差走査熱量分析による発熱ピーク温
度が300℃未満の場合は、上記方法により、300℃
以上に調整して、本発明の反応に用いることができる。
また、製造によりシアン酸エステルを得る場合は、上記
方法を製造の工程に組み入れることにより、300℃以
上に調整することができる。
【0015】本発明で用いるシアン酸エステルとして
は、該シアン酸エステル中のフェノール類、部分置換シ
アン酸エステル類およびイミノカーボネート類の各含有
量の合計が4%以下であり、水分含有量が0.1%以下
であり、かつ、該シアン酸エステルの示差走査熱量分析
による発熱ピーク温度が300以上であるものが好まし
い。
【0016】本発明において、シアン酸エステルプレポ
リマーとは、シアン酸エステルのシアナート基を部分的
に3量化反応させたものであり、該3量化反応の進行度
合いは、未反応シアン酸エステルの残存率で把握するこ
とができる。残存率は、プレポリマーの低粘性の観点か
ら、通常20%以上、好ましくは30%以上[シアン酸
エステルの反応率(=100−残存率)として、通常8
0%以下、好ましくは70%以下]であり、また、プレ
ポリマーの溶媒への溶解性の観点から、通常50%以
下、好ましくは40%以下[シアン酸エステルの反応率
として、通常50%以上、好ましくは60%以上]であ
る。
【0017】プレポリマー中の未反応のシアン酸エステ
ルの残存率は、例えば、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)、液体クロマトグラフィー(L
C)、等で分析して求めることができる。また、分析の
際の検出器としては、例えば、紫外吸光光度計(UV)
または示差屈折計(RI)等が挙げられる。具体的な分
析条件は、シアン酸エステルの種類等に応じて、適宜選
択すればよい。
【0018】本発明のプレポリマー化反応においては、
溶媒を共存させてもよい。該溶媒としては、活性プロト
ンを含有しないものが好ましく、例えば、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;トル
エン、キシレン、等の芳香族炭化水素類;クロロホル
ム、塩化メチレン、クロロベンゼン、等のハロゲン化炭
化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジ
メチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、等
の非プロトン性極性溶媒;等が挙げられ、必要に応じて
2種以上を用いることもできる。中でも経済性、取り扱
い性の観点から芳香族炭化水素系溶媒が好ましい。ま
た、溶媒の水分含有量は、0.1%以下程度に十分乾燥
されていることが好ましい。
【0019】また、本発明のプレポリマー化反応におい
ては、触媒を用いてもよい。該触媒としては、例えば、
ナフテン酸亜鉛、オクチル酸スズ等の有機金属化合物;
トリエチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等
の第3級アミン類;2−エチル−4−メチルイミダゾー
ル等のイミダゾール類;水酸化ナトリウム等が挙げられ
る。
【0020】さらに、本発明のプレポリマー化反応にお
いては、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱硬化
性樹脂;ポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテルサ
ルホン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;アンチモン、リ
ン、トリアジン系の難燃剤;シリカ等の無機充填剤、等
を添加してもよい。
【0021】本発明のプレポリマー化反応は、シアン酸
エステルを単独で、または必要に応じて溶媒、触媒、他
成分の存在下、加熱して行う。反応温度は、反応性や混
合性の観点から、通常100℃以上、好ましくは120
℃以上であり、また、反応制御の観点から、通常250
℃以下、好ましくは200℃以下である。反応時間は、
通常、設定した反応温度において、所望のシアン酸エス
テルの反応率が得られる様に決められるが、除熱や反応
制御の観点から、通常4時間以上、好ましくは8時間以
上となるのがよい。また、生産性の観点から、通常24
時間以内、好ましくは20時間以内となるのがよい。所
望のシアン酸エステルの反応率が得られるまでの時間
が、4時間未満の場合または24時間を越える場合は、
可能な範囲で反応温度を調整するのがよい。
【0022】得られたプレポリマーを、反応器から取り
出す方法としては、例えば、冷却板上に冷却しながら固
形物として取り出す方法、メチルエチルケトン、エーテ
ル類、トルエン、等の溶媒を添加して溶液として取り出
す方法、等が挙げられる。
【0023】本発明の製造方法で得られるシアン酸エス
テルプレポリマーの用途としては、電気、電子部品の封
止材料、積層板材料、塗料材料、複合材料、成型材料、
接着剤材料、等が挙げられる。
【0024】
【実施例】以下、実施例を示すが、本発明はこれらに限
定されるものではない。なお、実施例中、LC分析、示
差走査熱量分析、GPC分析、水分分析の各条件は以下
の通りである。 ・LC分析(面積百分率法) 試料溶液:試料100mgを採取し、アセトニトリル20mlに溶解した。 装置:島津LC−6A型 検出器:SPD−6A型 ガードカラム:SUMIPAX PG−ODS カラム:Wakosil−II 3C18HG (3μm、4.6mmφ×15cm) カラム温度:40℃ 移動相:A液 水 B液 アセトニトリル(LC用) グラジエント法:B液=50%→(30分) →100%(10分保持) 流量:1.0ml/分 検出波長:UV254nm 注入量:試料溶液5μl ・示差走査熱量分析 装置:セイコーインスツルメンツ社製 DSC220C 昇温条件:10℃/分 試料量:10mg リファレンス:アルミナ10mg ・GPC分析(面積百分率法) 試料溶液:試料100mgを採取し、THF40mlに
溶解した。 装置:島津LC−7A型 カラム:TSK−GEL G3000HXL、G2000
HXL、G1000HXL (東ソー製) カラム温度:40℃ 移動相:THF 流量:1ml/分 検出器:RI 注入量:試料溶液30μl ・水分分析(KF法) 装置:京都電子製MKA−210 脱水溶剤:脱水溶剤OL II 滴定液:カールフィッシャー試薬SS−X(力価0.7
〜1.0mgH2O/ml) 試料量:1.0g
【0025】合成例1 攪拌機、温度計を装着した1L4つ口フラスコに、冷却
下、クロロシアン89g(1.45mol)およびトル
エン100gを入れ、この中に、攪拌下、10℃以下に
保ちながら、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン150g(0.657mol)、トリエチルア
ミン146.3g(1.45mol)およびトルエン2
50gの混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了
後、10℃以下に保ちながら、さらに1時間攪拌した。
反応液に水200gを添加、混合後、分液し、油層を水
洗した(2×200g)。得られた2,2−ビス(4−
シアナートフェニル)プロパンのトルエン溶液を減圧濃
縮して、トルエンを留去した。得られた残渣に15%イ
ソプロピルアルコール水150gを加えて5℃まで冷却
した後、析出物を濾取し、乾燥して2,2−ビス(4−
シアナートフェニル)プロパンを得た。得られた2,2
−ビス(4−シアナートフェニル)プロパンのLC分析
の結果、フェノール類、部分置換シアン酸エステル類お
よびイミノカーボネート類の各含有量の合計は、1.5
%であり、水分分析(KF法)の結果、水分含有量は、
検出限界値(0.05%)以下であった。また、得られ
た2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパンの
示差走査熱量分析の結果、発熱ピーク温度は、335℃
であった。
【0026】合成例2 攪拌機、温度計を装着したフラスコに、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン114g(0.5
mol)、トリエチルアミン111.1g(1.1mo
l)およびメチルイソブチルケトン684gを入れ、こ
の中に、攪拌下、3〜6℃に保ちながら、クロロシアン
68g(1.1mol)を、2時間かけて滴下した。滴
下終了後、3〜6℃に維持しながら、さらに1時間攪拌
した。反応液に水150gを添加、混合後、分液し、油
層を水洗した(2×150g)。得られた2,2−ビス
(4−シアナートフェニル)プロパンのメチルイソブチ
ルケトン溶液を減圧濃縮して、メチルイソブチルケトン
を留去した。得られた残渣にイソプロピルアルコール2
50gを加えて5℃まで冷却した後、析出物を濾取し、
水洗、乾燥して2,2−ビス(4−シアナートフェニ
ル)プロパンを得た。得られた2,2−ビス(4−シア
ナートフェニル)プロパンのLC分析の結果、フェノー
ル類、部分置換シアン酸エステル類およびイミノカーボ
ネート類の各含有量の合計は、2.1%であり、水分分
析(KF法)の結果、水分含有量は、検出限界値(0.
05%)以下であった。また、得られた2,2−ビス
(4−シアナートフェニル)プロパンの示差走査熱量分
析の結果、発熱ピーク温度は、320℃であった。
【0027】合成例3 攪拌機、温度計を装着したフラスコに、冷却下、2−プ
ロパノール1Lおよびクロロシアン136g(2.21
mol)を入れ、この中に、攪拌下、0〜5℃に保ちな
がら、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン228g(1.0mol)、トリエチルアミン210
g(2.08mol)および2−プロパノール1Lの混
合溶液を1時間かけて滴下した。反応液中の析出物を濾
別後、水洗、乾燥して2,2−ビス(4−シアナートフ
ェニル)プロパンを得た。得られた2,2−ビス(4−
シアナートフェニル)プロパンのLC分析の結果、フェ
ノール類、部分置換シアン酸エステル類およびイミノカ
ーボネート類の各含有量の合計は、5.0%であり、水
分分析(KF法)の結果、水分含有量は、検出限界値
(0.05%)以下であった。また、得られた2,2−
ビス(4−シアナートフェニル)プロパンの示差走査熱
量分析の結果、発熱ピーク温度は、290℃であった。
【0028】実施例1 攪拌機、温度計を装着した1Lセパラブルフラスコに、
合成例1で得られた2,2−ビス(4−シアナートフェ
ニル)プロパン500gを入れ、攪拌下、180℃で溶
融加熱して、プレポリマー化を行った。未反応のシアン
酸エステルの割合がGPC分析で35%となるまでの所
要時間は、15時間をであった。
【0029】実施例2 攪拌機、温度計を装着した1Lセパラブルフラスコに、
合成例2で得られた2,2−ビス(4−シアナートフェ
ニル)プロパン500gを入れ、攪拌下、150℃で溶
融加熱して、プレポリマー化を行った。未反応のシアン
酸エステルの割合がGPC分析で35%となるまでの所
要時間は、18時間であった。
【0030】比較例1 攪拌機、温度計を装着した1Lセパラブルフラスコに、
合成例3で得られた2,2−ビス(4−シアナートフェ
ニル)プロパン500gを入れ、攪拌下、180℃にて
プレポリマー化を行おうとしたところ、180℃に到達
するとただちに異常発熱し、炭化した。
【0031】比較例2 攪拌機、温度計を装着した1Lセパラブルフラスコに、
合成例1で得られた2,2−ビス(4−シアナートフェ
ニル)プロパン500gおよび水1.0gを入れ(水分
含有量=0.20%)、攪拌下、180℃で溶融加熱し
て、プレポリマー化を行った。未反応のシアン酸エステ
ルの割合がGPC分析で35%となるまでの所要時間
は、3時間であった。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、操作性良くシアン酸エ
ステルプレポリマーを工業的に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 敏 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 Fターム(参考) 4J043 PA14 PA19 QC14 RA47 SA13 SA43 SA44 SA49 UA041 UA131 UB011 UB121 UB151 UB281 UB301 VA041 VA101 ZA60 ZB01 ZB02 ZB03 ZB51 ZB58

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) 【化1】 [式中、Aは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは単
    結合、炭素数1〜20の有機基、カルボニル基、スルホ
    ン基、2価の硫黄原子または酸素原子を表し、iは0〜
    4の数を表し、jは0〜3の数を表し、nは0または1
    の数を表す。同一または異なる核上の各Aは互いに異な
    っていてもよい。各Xは互いに異なっていてもよい。各
    iは互いに異なっていてもよい。]で示されるシアン酸
    エステルのシアナート基を部分的に3量化反応させてシ
    アン酸エステルプレポリマーを製造する方法において、
    該シアン酸エステル中のフェノール類、部分置換シアン
    酸エステル類およびイミノカーボネート類の各含有量の
    合計が4%以下であり、水分含有量が0.1%以下であ
    ることを特徴とするシアン酸エステルプレポリマーの製
    造方法。
  2. 【請求項2】下記一般式(I) 【化2】 [式中、Aは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは単
    結合、炭素数1〜20の有機基、カルボニル基、スルホ
    ン基、2価の硫黄原子または酸素原子を表し、iは0〜
    4の数を表し、jは0〜3の数を表し、nは0または1
    の数を表す。同一または異なる核上の各Aは互いに異な
    っていてもよい。各Xは互いに異なっていてもよい。各
    iは互いに異なっていてもよい。]で示されるシアン酸
    エステルのシアナート基を部分的に3量化反応させてシ
    アン酸エステルプレポリマーを製造する方法において、
    該シアン酸エステルの示差走査熱量分析による発熱ピー
    ク温度が300℃以上であることを特徴とするシアン酸
    エステルプレポリマーの製造方法。
  3. 【請求項3】シアン酸エステルの示差走査熱量分析によ
    る発熱ピーク温度が300以上である請求項1記載のシ
    アン酸エステルプレポリマーの製造方法。
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