JPH1017646A - 高分子化合物の製造方法、新規高分子化合物及び樹脂組成物 - Google Patents

高分子化合物の製造方法、新規高分子化合物及び樹脂組成物

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JPH1017646A
JPH1017646A JP17793196A JP17793196A JPH1017646A JP H1017646 A JPH1017646 A JP H1017646A JP 17793196 A JP17793196 A JP 17793196A JP 17793196 A JP17793196 A JP 17793196A JP H1017646 A JPH1017646 A JP H1017646A
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triazine
epoxy
resin
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JP17793196A
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Shiro Sakatani
史郎 酒谷
Takehiko Suwa
剛彦 諏訪
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化物の機械的強度に優れ、而も硬化温度を
低くできる新規高分子化合物、並びにその樹脂組成物を
提供する。 【解決手段】 ビスフェノールAのシアン酸エステルを
3量化反応させてトリアジン化合物を得、次いで、これ
とビスフェノールA型エポキシ樹脂とを反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多価フェノール類
のシアン酸エステル類から、生成するトリアジン系化合
物とエポキシ化合物との反応により得られるオキサゾジ
ノン構造を有する高分子化合物とその製造方法に関する
もので、とくに、高耐熱性の成型品、接着材用途に用い
られる。
【0002】
【従来の技術】ビスフェノール類のシアン酸エステル類
(シアネート)は、触媒存在下で加熱により3量化しト
リアジン構造をとり、多官能のシアネートにおいては、
ポリトリアジン樹脂として、耐熱性の樹脂を生成するこ
とが知られている。
【0003】このポリトリアジン樹脂は、高耐熱性を有
する反面硬化物が脆いという難点をもっている。この欠
点を解決すべく、ビスマレイミド化合物を少量用いてシ
アネートを反応させてポリトリアジン樹脂を製造する方
法、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との反応させて、こ
れをマトリックス樹脂としてシアネートを反応させてポ
リトリアジン樹脂を製造する方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のビスマ
レイミド化合物と予備反応したシアネートを用いる場
合、多量のビスマレイミドをシアネートと反応させる
と、溶媒への溶解性が低下し、粘度が高くなるため、濃
度を低くしたり、高沸の極性溶媒を用いる必要が生じ、
それに伴って、硬化温度を高くしなければならないとい
う問題があった。
【0005】また、多官能のエポキシ樹脂及びエポキシ
樹脂硬化剤を併用する場合には、硬化温度を低くする効
果は得られるが、エポキシ樹脂骨格を含有するため、硬
化物の機械的強度が低下するという課題を有していた。
【0006】本発明が解決しようとする課題は、硬化物
の機械的強度に優れ、而も硬化温度を低くできる新規高
分子化合物、並びに該化合物を用いた熱硬化性の樹脂組
成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討の
結果、シアネートを3量化して、トリアジン骨格を得た
後、エポキシ化合物を反応させて、オキサゾリジノン骨
格を導入した新規高分子化合物が、その硬化反応におい
て硬化温度を高温にする必要がなく、また、硬化物の機
械的強度に優れることを見いだし本発明を完成するに至
った。
【0008】即ち、本発明は多官能性フェノールのシア
ン酸エステルを3量化させてトリアジン系化合物として
後、これと多官能性エポキシ化合物とを反応させること
を特徴とする高分子化合物の製造方法、ビスフェノール
型ポリエーテル化合物であって、かつ、分子構造中にオ
キサゾリドン構造を有することを特徴とする新規高分子
化合物、及び、ビスフェノール型ポリエーテル化合物で
あって、かつ、分子構造中にオキサゾリドン構造を有す
る樹脂と、硬化触媒とを必須成分とすることを特徴とす
る樹脂組成物に関する。
【0009】
【発明実施の形態】本発明の製造方法において使用され
る、多官能性フェノールのシアン酸エステルとは、多価
フェノールに塩基性物質存在下、塩化シアン、臭化シア
ンなどのハロゲン化シアンを反応させて得ることができ
るが、具体的には以下の方法で製造することができる。
【0010】先ず、多官能性フェノールに塩基性化合物
を混合して水に溶解する。その際の混合比は、多官能性
フェノールの重量/フェノール性水酸基ク゛ラム当量=A、
塩基性化合物の重量/塩基性化合物のク゛ラム当量数=Bに
おいてA/B=Cの値が1をこえるように選ぶことが好
ましい。
【0011】この上記水溶液に、塩化シアン、臭化シア
ンのようなハロゲン化シアンの、水との溶解度が0〜5
0VOL%である有機溶媒溶液を滴下する。この際、混
合溶液の温度が反応時の発熱による昇温が10℃/時間
以下になるような滴下を行うことが好ましい。また、液
温は、0−50℃以下に保持する。昇温が10℃/時間
以下の場合や、液温が50℃以下においては、ハロゲン
化シアンの単独重合や生成したシアネート類の重合を抑
制することができ好ましい。一方、反応温度を0℃以上
にすることにより反応を容易に進行させることができ
る。
【0012】上記の、多官能性フェノールに塩基性化合
物を混合した水溶液と、ハロゲン化シアンの有機溶媒溶
液の濃度は、撹拌状態、冷却能力により最適条件は決定
されるが、概して30重量%以下が好ましい。
【0013】多官能性フェノールとハロゲン化シアンと
の反応は、特に制限されるものではないが、混合後、5
時間以内に終了させることが好ましい。
【0014】反応終了後、必要に応じて、トルエン、キ
シレン等の炭化水素を反応溶液中の水と同重量以上投入
し、分離した有機溶媒相を分液する。この後、有機溶媒
相を水で、シアンイオンが検出がしなくなるまで洗浄す
る。
【0015】洗浄後、有機溶媒相を、合成ゼオライト、
硫酸ナトリウム等で乾燥する。乾燥後、溶液を冷却する
か、濃縮することで、シアネートを析出させる。析出さ
せた結晶は、炭素数4以下のアルコールで洗浄後、空
気、窒素、アルゴンなとの乾燥気体、乾燥することによ
り、目的とする多官能性フェノールのシアン酸エステル
を得ることができる。
【0016】本発明で用いる、多官能性フェノールとし
ては、特に限定されるものではないが、代表的なものと
しては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4−4’
−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノール等のビ
スフェノール類、フェノールノボラック、クレゾールノ
ボラック等のノボラック型フェノール化合物が挙げられ
る。
【0017】これらのなかでも硬化温度の低温化、組成
物にした場合の流動性の点からビスフェノール類が好ま
しい。特に、とくにビスフェノールAやビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンが反応性、
反応物の溶解性の点で好ましい。
【0018】シアン酸エステル製造時の塩基性物質とし
ては、エステル化時に発生するハロゲン化合物をトラッ
プすることができる物質として、アルカリ(土類)金属
水酸化物、アミン類などが挙げられる。
【0019】本発明で用いられる多官能性フェノールの
シアン酸エステルは、上記の物質以外でも、一部が3量
化されていても使用可能である。たとえば、チバ・ガイ
ギー製AroCyB−30、B−40(ビスフェノール
Aのシアン酸エステルとその3量体の混合物)、同社製
AroCyM−30(ビス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)メタンのシアン酸エステルとその3
量体の混合物)なとが挙げられる。
【0020】本発明の製造方法は、この様にして得られ
る多官能性フェノールのシアン酸エステルを加熱によ
り、3量化して、トリアジン化合物を形成させる。
【0021】また、ここで用いられる多官能性フェノー
ルのシアン酸エステルの3量化反応の触媒としては、加
熱により無触媒でも進行するが、エポキシ基含有化合
物、トリアジン骨格含有化合物、フェノール類、アミン
類、ルイス酸等の化合物、3級スルホニウム塩、4級ア
ンモニウム塩、4級ホスホニウム塩などを用いることが
できる。この中でも、特にノニルフェノール、2,4,
6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベン
ジルジメチルアミン、銅、鉛、スズ、マンガン、ニッケ
ル、鉄、亜鉛、コバルト等のカルボン酸塩(ナフテン酸
塩など)、チタン(〓)テトラブトキシドのモノマー及
びそのポリマー、銅、ニッケル、コバルト等のペンタジ
オナート塩、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化テト
ラブチルホスホニウムなどが、反応時の樹脂との相溶性
が高く反応が円滑に進行する上で好ましい。また、シア
ン酸エステルの3量化反応においては、エポキシ基が強
い触媒作用を示す為、引き続き行われるトリアジン化合
物と多官能性エポキシ化合物との反応において使用する
多官能性エポキシ化合物を予め、3量化反応の触媒とし
て共存させることが好ましい。この場合の多官能性エポ
キシ化合物の使用量としては、特に制限されないが、引
き続きトリアジン化合物との反応を行うには、多官能性
フェノールのシアン酸エステル1モル当たり、エポキシ
基が4〜0.16モルであることが好ましい。
【0022】この反応における温度条件としては、特に
限定されるものではないが、120〜180℃であるこ
とが好ましい。即ち、120℃以上においては、3量化
反応の反応速度を高めることができ、一方、180℃以
下にすることによりゲル化を防止することができる。
【0023】また、多官能性エポキシ樹脂を触媒として
使用し、かつ、そのままトリアジン化合物との反応にも
使用する場合には、この段階において180℃を越える
場合には、多官能性フェノールのシアン酸エステルのゲ
ル化によりオキサゾリジノンの生成が困難になる。
【0024】次いで、得られたトリアジン化合物を、多
官能性エポキシ化合物と反応させることにより、分子構
造内にオキサゾリジノン骨格を有する高分子化合物を得
ることができる。
【0025】このトリアジン化合物と、多官能性エポキ
シ化合物との反応条件としては、特に限定されるもので
はないが、先ず、反応割合として、トリアジン系化合物
と多官能性エポキシ化合物とをトリアジン骨格1モル当
たり、エポキシ基が12〜0.5モルである範囲が好ま
しい。
【0026】また、この反応において、トリアジン化合
物中にシアネート基が未反応で残留していても、加熱に
よりトリアジン骨格に転化するので、本発明の効果は変
わらない。エポキシ基をトリアジン骨格1モル当たり1
2モル以下にすることにより、架橋が程度が高まり、強
靭な樹脂を形成でき、また、0.5モル以上において
は、高分子化合物中のエポキシ基骨格の含有量を高めら
れ、ポリトリアジン樹脂の欠点である脆さや、高い吸水
率を改善できる。これらの性能バランスの点からなかで
もエポキシ基0.5〜3.0であることが好ましい。ま
た、3量化反応の段階で多官能性エポキシ化合物を多官
能性フェノールのシアン酸エステル1モル当たり、エポ
キシ基が4〜0.16モルとなる割合で用いた場合に
は、特に多官能性エポキシ化合物の使用量を調節するこ
となく、そのまま反応を行うことができる。
【0027】また、このトリアジン化合物と多官能性エ
ポキシ化合物との反応温度は、180〜220℃である
ことが好ましい。即ち、当該温度範囲においては、後述
する樹脂組成物として適度な流動性を保持させることが
でき、作業性が良好なものとなる。
【0028】また、トリアジン化合物と多官能性エポキ
シ化合物との反応は上記温度条件にて反応を完結させて
もよいが、得られる高分子化合物を後述する樹脂組成物
として使用する場合には、反応を完結させず、得られる
高分子化合物中のトリアジン環数が、原料トリアジン化
合物中の全トリアジン環数に対して2〜30%の割合に
なる様に残存させることが、樹脂組成物の流動性、硬化
性の点から好ましい。
【0029】ここで用いる多官能性エポキシ化合物とし
ては、特に限定されるものではないが、ビスフェノール
型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、アルコー
ルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、
芳香族ポリエーテル型エポキシ樹脂としてビスフェノー
ルA型、ビスフェノールF型、クレゾールノボラック型
エポキシ樹脂が好ましい。また、この多官能性エポキシ
化合物のエポキシ当量は、156〜4000の範囲であ
ることが望ましい。エポキシ当量が156以上におい
て、架橋点間の分子量が適正範囲になり、剛性、可撓性
等のバランスに優れたものとなり、また、エポキシ当量
が4000以下においては、樹脂中のオキサゾリジノン
骨格の含有率が高まり、本発明の効果が顕著なものとな
る。
【0030】また、この多官能性エポキシ化合物の数平
均分子量としては、300〜10000の範囲にあるこ
とが好ましい。当該範囲においては、樹脂の粘度、エポ
キシ基密度、オキサゾリジノン構造含有率のバランスに
優れたものとなり好ましい。
【0031】本発明におけるトリアジン化合物と多官能
性エポキシ化合物との反応に用いられる触媒としては、
上記したシアン酸エステルの3量化反応で使用し得る触
媒がそのまま使用できる。尚、当該触媒の内、エポキシ
基含有化合物はそれ自体触媒としては作用し難いので、
それ以外のものが好ましい。
【0032】本発明の反応時には、種々の溶媒を用いる
ことができる。3量化反応時には、トルエン、キシレン
等の炭化水素、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類、ジエチレングリコール−ジメチルエーテ
ル等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、N−メチル
−2−ピロリドン等のアミド類が適している。また、エ
ポキシ樹脂との反応時にも、上記の溶媒を溶解性、沸点
等を考慮に入れて、適宜使用できる。
【0033】次に、本発明の新規高分子化合物は、既述
の通り、ビスフェノール型ポリエーテル化合物であっ
て、かつ、分子構造中にオキサゾリドン構造を有するこ
とを特徴とする新規高分子化合物であるが、上記した本
発明の製造方法によって容易に製造することができる。
また、前述した通り、その製造方法において、反応を完
結させることなく、未反応トリアジン環を残存させるこ
とが好ましく、具体的には、原料トリアジン化合物中の
全トリアジン環数に対して、2〜30%のトリアジン環
が残存していることが好ましい。
【0034】この様な新規高分子化合物はその構造が特
定されるものではないが、例えば、下記一般式1で示さ
れるものが好ましく挙げられる。
【0035】一般式1
【0036】
【化7】
【0037】一般式1の2
【0038】
【化8】
【0039】一般式1の3
【0040】
【化9】
【0041】(一般式1中、Xはハロゲン原子又は水素
原子、Rはメチレン基、イソプロピリデン基又はカルボ
ニル基をそれぞれ表し、Yは、上記一般式1の2又は一
般式1の3、nは0〜20の整数を、mは1〜10の整
数をそれぞれ表す。また、一般式1の2中のZ1は原料
エポキシ基残基、一般式1の3中のZ2、Z3及びZ4
は原料トリアジン化合物残基を表す。)
【0042】また、分子量は特に制限されるものではな
いが、流動性、硬化性の点から、数平均分子量が300
〜10000であることが好ましい。
【0043】この様な本発明の新規高分子化合物は、特
にその使用方法が特定されるものではないが、以下に詳
述する本発明の樹脂組成物として用いることが好まし
い。
【0044】本発明の樹脂組成物は、ビスフェノール型
ポリエーテル化合物であって、かつ、分子構造中にオキ
サゾリドン構造を有する樹脂と、硬化剤とを必須成分と
するものである。ここで、当該樹脂は、前記した本発明
の新規高分子化合物が何れも使用できるが、特に流動
性、硬化性の点から、数平均分子量が300〜1000
0であることが好ましい。
【0045】また、当該樹脂は、その硬化性の点から分
子構造内にトリアジン環を含有していることが好まし
く、その割合としては、原料トリアジン化合物の全トリ
アジン環数の2〜30%が残存している範囲が好まし
い。
【0046】また、硬化触媒としては、特に限定されな
いが、例えば4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、3
級スルホニウム塩、アミン類、ホスフィン類、スルフィ
ド類、典型金属または遷移金属の脂肪酸塩、アートコン
プレックス類、窒素又はリンのイリド類、アミド類等が
挙げられる。また、前記したシアン酸エステルの3量化
触媒、及び、トリアジン化合物と多官能性エポキシ樹脂
との反応触媒として例示したものも何れも使用できる。
【0047】本発明の樹脂組成物においては、必要に応
じさらに、充填剤、添加剤等を併用してもよい。充填剤
としては、例えば、カーボンブラックシリカ、アルミ
ナ、酸化チタン、ベリリア、マイカ、窒化ケイ素、窒化
ホウ素、チラノ繊維、などの無機化合物、また、添加剤
としてはフッ素樹脂ゴム、ポリアミド、ポリイミド、ポ
リエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテル
エーテルケトン、ポリエーテルエステルケトン、ポリエ
ステル等の有機化合物。また、その他、有機、無機顔料
類を適宜併用してもよい。
【0048】本発明の樹脂組成物は、既述の通り、従来
の熱硬化性樹脂組成物に対して硬化温度を低くすること
ができる。具体的な温度条件としては、例えば、200
℃以上において容易に硬化させることができ、特に硬化
速度の点から200〜240℃であることが好ましい。
【0049】この様な樹脂組成物は、耐熱接着剤、積層
板、成型材料(高温用軸受け、その他摺動部品)等の用
途において極めて有用である。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。な
お、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。
【0051】参考例1 <ビスフェノールAのシアン酸
エステルの製造例> 0℃に保った臭化シアンの10%トルエン溶液530部
にビスフェノールA228部と10%水酸化ナトリウム
水溶液400部を混合して溶解した溶液を滴下した。こ
のとき、滴下は液温が15℃以下になるように、冷却し
ながら行った。滴下が終了したら、1時間程度撹拌した
後、静置して有機相を分離した。分離した有機相を蒸留
水500部で洗浄した後、有機相の容積が1/2になる
まで濃縮した。その後、0℃で再び静置すると白色の結
晶が析出する。この結晶をロ別し265部のビスフェノ
ールAのシアン酸エステルを得た。
【0052】実施例1 参考例1で製造したビスフェノールAのシアン酸エステ
ル(以下BPACNと略記)139部とEPICLON
850 (大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂 エポキシ当量190)190部
を100℃で溶解混合した後、ナフテン酸マンガンミネ
ラルスピリット8%溶液4部を加え、撹拌しながら14
0℃まで加熱し、2時間140℃で反応を続けた。その
後、この溶液を赤外吸収スペクトル(以下IRスペクト
ルと記す)で測定しトリアジン環を確認した。この際、
エポキシ基は、反応せず全量残存していた。また、シア
ネート基はすべてトリアジン環に転化していた。
【0053】ついで、温度を180℃に加熱し、 時間
反応後、室温まで冷却して、オキサゾリジノン骨格を持
つ樹脂を得た。得られた樹脂のトリアジン環の残存率は
10%であった。(ここで、「トリアジン環の残存率」
とは、原料として使用したトリアジン化合物中に含まれ
る全トリアジン環数に対する、生成樹脂中のトリアジン
環数の割合である。) なお、構造は、NMRとIRスペクトルより確認した。
測定結果のチャート図を図1及び図2に示す。
【0054】NMRとIRスペクトルの測定条件を以下
に記す。
【0055】[NMR測定条件] 測定装置 C13−NMR 日本電子(株) JSX-270型高分解能核磁気共鳴吸収装置 SCM(超伝導磁石)6.35T(13C;68MHz) 固体高分解能NMR装置 NM-CSH 27MU/VT [IR測定条件] FT/IR測定装置 日本分光(株)Herschel FT/IR-500 光学系:シンク゛ルヒ゛ーム 分解能:0.5、1、2、3、4、8 (1/cm) SN比:2500:1
【0056】実施例2 ビスフェノールAのシアン酸エステルとその3量化物の
混合物 AroCyB−30(チバガイギー製、全量の
30%が3量体)600部とEPICLON850
(大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂 エポキシ当量190)190部を120℃
で混合し、触媒としてチタン(IV)テトラブトキシド
のテトラマー4部を混合し、150℃ 時間混合した。
その後、シアネート基が100%トリアジン環に転化し
ていることを確認後、さらに190℃3時間加熱後、冷
却して、オキサゾリジノン骨格を持つ樹脂を得た。得ら
れた樹脂のトリアジン環残存率は8%であった。
【0057】実施例3〜8 第1表の組成、反応条件で、それぞれのオキサゾリジノ
ン骨格を有する樹脂を製造した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】 *1:大日本インキ化学工業(株)製BPA型エポキシ
樹脂 エホ゜キシ当量475 *2:銅(II)2,4−ペンタジオナート *3:大日本インキ化学工業(株)製BPA型エポキシ
樹脂 エホ゜キシ当量920 *4:ヒ゛ス(3,5-シ゛メチル-4-ヒト゛ロキシフェニル)メタンのシアン酸エステル *5:コバルト(II)2,4−ペンタジオナート *6:ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンKシアン
酸エステル *7:8%ミネラルスヒ゜リット溶液 *8:8%ミネラルスヒ゜リット溶液
【0060】実施例9〜16 実施例1〜8で得られた樹脂に硬化触媒として、2,
4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを
樹脂重量の1/100部添加した後、フッ素樹脂をコー
ティングしたステンレス板に挟み、220℃2時間加熱
した後冷却して、厚さ2mmの成形体を製造した。
【0061】比較例1 参考例1で製造したビスフェノールAのシアン酸エステ
ルに実施例9と同一の配合、温度条件で成形体を製造し
た。
【0062】比較例2 参考例1で製造したビスフェノールAのシアン酸エステ
ルに、硬化触媒を用いることなく加熱温度を260℃と
した以外は実施例9と同一の配合、条件で成形体を製造
した。
【0063】比較例3 ジフェニルメタン−4,4’−ビスマレイミド:DPB
M(エイ・シー・アイ・ジャパン・リミテッド製)10
部、BPAのジシアネート:M−10(チバガイギー
製)90部触媒として、銅アセトアセテート0.5部、ノニルフェノール
0.5部に、N−メチルピロリドン300部を加え、1
50℃で3時間加熱した後、フッ素樹脂をコーティンク゛した
ステンレス板にキャストし、205℃で真空下3時間保
持し、溶媒を留去し、フッ素樹脂をコーティングしたス
テンレス板にはさみ、260℃4時間加熱後冷却し取り
出した。
【0064】比較例4 メタフェニレンビスマレイミド:M−PBM(エイ・シ
ー・アイ・ジャパン・リミテッド製)10部、BPAの
ジシアネート:M−10(チバガイギー製)90部触媒
として、銅アセトアセテート0.5部、ノニルフェノール0.5部を、15
0℃で3時間加熱した後、混合液を200℃に加熱して
フッ素樹脂をコーティンク゛したステンレス板にキャストし、
フッ素樹脂をコーティングしたステンレス板にはさみ、
260℃4時間加熱後冷却し取り出した。
【0065】比較例5 ジフェニルメタン−4,4’−ビスマレイミド:DPB
M(エイ・シー・アイ・ジャパン・リミテッド製)10
部、BPAのジシアネート:M−10(チバガイギー
製)90部触媒として、銅アセトアセテート0.5部、ノニルフェノール
0.5部、BPA型エポキシ樹脂として、EPICLO
N 850 100部、フェノールノボラック樹脂として
フェノライト TD2093(大日本インキ化学工業
製)50部、トリフェニルホスフィン1部を加え、N−
メチルピロリドン300部を加え、150℃で3時間加
熱した後、フッ素樹脂をコーティングしたステンレス板
にキャストし、205℃で真空下3時間保持し、溶媒を
留去し、フッ素樹脂をコーティングしたステンレス板に
はさみ、230℃4時間加熱後冷却し取り出した。
【0066】比較例6 メタフェニレンビスマレイミド:M−PBM(エイ・シ
ー・アイ・ジャパン・リミテッド製)10部、BPAの
ジシアネート:M−10(チバガイギー製)90部触媒
として、銅アセトアセテート0.5部、ノニルフェノール0.5部を、15
0℃で3時間加熱した後、BPA型エポキシ樹脂とし
て、EPICLON 850 100部、フェノールノボ
ラック樹脂としてフェノライト TD2093(大日本
インキ化学工業製)50部、トリフェニルホスフィン1
部を加えた後、フッ素樹脂をコーティンク゛したステンレス板
にキャストし、フッ素樹脂をコーティングしたステンレ
ス板にはさみ、200℃4時間加熱後冷却し取り出し
た。
【0067】実施例9〜16及び比較例1〜6の評価結
果を以下の第3表から第5表に示した。
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】 (尚、上記第3表〜第6表における、測定条件は以下の
通りである。
【0072】 ガラス転移温度 : 単位℃ 分解開始温度 : 単位℃(昇温速度5℃/分) 曲げ強度 : 単位 MPa 誘電率、誘電正接: 1GHz
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、硬化物の機械的強度に
優れ、而も硬化温度を低くできる新規高分子化合物、並
びに該化合物を用いた熱硬化性の樹脂組成物を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】
【図2】図1は実施例1で得られた新規高分子化合物の
NMRのチャート図である。図2は実施例1で得られた
新規高分子化合物のIRスペクトルのチャート図であ
る。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多官能性フェノールのシアン酸エステル
    を3量化させてトリアジン化合物として後、これと多官
    能性エポキシ化合物とを反応させることを特徴とする高
    分子化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 多官能性フェノールが、ビスフェノール
    類である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 トリアジン化合物と多官能性エポキシ化
    合物との反応割合が、トリアジン骨格1モルに対してエ
    ポキシ基12〜0.5モルとなる割合である請求項1又
    は2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 多官能性エポキシ化合物が、ビスフェノ
    ール型エポキシ樹脂である請求項1、2又は3記載の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 ビスフェノール型エポキシ樹脂が、エポ
    キシ当量156〜4000のものである請求項4記載の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 トリアジン化合物と多官能性エポキシ化
    合物との反応を180〜220℃の温度条件で行う請求
    項1〜5の何れか1つに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 トリアジン化合物中の全トリアジン環数
    に対して2〜30%残存するまで反応を行う請求項1〜
    6の何れか1つに記載の製法方法。
  8. 【請求項8】 ビスフェノール型ポリエーテル化合物で
    あって、かつ、分子構造中にオキサゾリドン構造を有す
    ることを特徴とする新規高分子化合物。
  9. 【請求項9】 下記一般式1で示される請求項6記載の
    新規高分子化合物。 一般式1 【化1】 一般式1の2 【化2】 一般式1の3 【化3】 (一般式1中、Xはハロゲン原子又は水素原子、Rはメ
    チレン基、イソプロピリデン基又はカルボニル基をそれ
    ぞれ表し、Yは、上記一般式1の2又は一般式1の3、
    nは0〜20の整数を、mは1〜10の整数をそれぞれ
    表す。また、一般式1の2中のZ1は原料エポキシ基残
    基、一般式1の3中のZ2、Z3及びZ4は原料トリア
    ジン化合物残基を表す。)
  10. 【請求項10】 ビスフェノール型ポリエーテル化合物
    であって、かつ、分子構造中にオキサゾリドン構造を有
    する樹脂と、硬化触媒とを必須成分とすることを特徴と
    する樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 樹脂が、下記一般式1で示される請求
    項10記載の樹脂組成物。 一般式1 【化4】 一般式1の2 【化5】 一般式1の3 【化6】 (一般式1中、Xはハロゲン原子又は水素原子、Rはメ
    チレン基、イソプロピリデン基又はカルボニル基をそれ
    ぞれ表し、Yは、上記一般式1の2又は一般式1の3、
    nは0〜20の整数を、mは1〜10の整数をそれぞれ
    表す。また、一般式1の2中のZ1は原料エポキシ基残
    基、一般式1の3中のZ2、Z3及びZ4は原料トリア
    ジン化合物残基を表す。)
  12. 【請求項12】 樹脂が、数平均分子量300〜100
    00のものである請求項10又は11記載の組成物。
  13. 【請求項13】 樹脂が、分子構造中にトリアジン環を
    原料トリアジン化合物中の全トリアジン環数に対して2
    〜30%残存する割合で含有しているものである請求項
    10、11又は12記載の組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015117300A (ja) * 2013-12-18 2015-06-25 日立化成株式会社 熱硬化性樹脂組成物ワニスの製造方法及び、それを用いたプリプレグ、積層板、配線板
JP2015196780A (ja) * 2014-04-02 2015-11-09 スリーボンドファインケミカル株式会社 硬化性樹脂組成物
JP2016199644A (ja) * 2015-04-08 2016-12-01 日立化成株式会社 変性シアネートエステルワニスの製造方法、それを用いたプリプレグ、積層板及び配線板

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