JP2004238437A - ナフトール系フェノール樹脂及びその製造法 - Google Patents
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- Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂やポリカーボネートなどの機能性プラスチックや感熱インキ材料として有用なフェノール系化合物、これを含むエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェノール系化合物は一般に、それ自体で、熱硬化性樹脂、レジスト、感熱材料など様々な分野に利用されている。またエポキシ樹脂やポリカーボネートなどの原料としても用いられている。エポキシ樹脂原料の分野ではビスフェノールAやフェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが一般に知られている。特にナフトール骨格を有する樹脂化合物は耐熱性、耐湿性の面で優れた硬化物を与えることが知られている。
【0003】
特許文献1には、ナフトールとフェノールを例えばメチレン結合を介して結合させたナフトール系フェノールアラルキル樹脂について記載されている。また特許文献2においては同様の樹脂において中和、水洗工程を必要としない効率的な製造方法について記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平03−90075号公報
【特許文献2】
特開平06−179740号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したナフトール系フェノールアラルキル樹脂は、耐熱性、吸水性、機械的な特性が優れており、有用な樹脂であることは知られているが、その粘度が高いことが原因で、例えば高フィラー充填を困難にしたり、フィラーの充填量が低くても作業性に劣ったりすることがある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記のような特性を持つ樹脂について特定の成分の含有量を高めると低粘度化が達成でき、更には結晶性フェノール樹脂とすることで更なる低粘度化が図れることを見出し、本発明を完成させるに到った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)下記式(1)
【0008】
【化5】
【0009】
(式中、複数あるRはそれぞれ独立して存在し、水素原子もしくは炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rが水素原子以外の場合、iは1〜3の整数を表す。複数あるQはそれぞれ独立して存在し、水素原子もしくは炭素数1〜4のアルキル基を表す。Qが水素原子以外の場合、jは1〜3の整数を示す。nは繰り返し数を表す。)
で表されるフェノール樹脂混合物において、n=1である成分が75重量%以上であるナフトール系フェノール樹脂、
(2)下記式(2)
【0010】
【化6】
【0011】
(式中、R、Q、i及びjは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で表される成分が90重量%以上であって、結晶性である上記(1)記載のナフトール系フェノール樹脂、
(3)上記(1)または(2)に記載のナフトール系フェノール樹脂及びエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
(4)上記(3)記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
(5)下記式(3)
【0012】
【化7】
【0013】
(式中、Q及びjは式(1)におけるのと同じ意味を示す。またXはヒドロキシル基、またはメトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜3のアルコキシ基、メシル基、トシル基などのスルホニル基、または塩素、および臭素などのハロゲン原子を示す。)
で表される化合物1モルに対し、下記式(a)
【化8】
【0014】
(式中R及びiは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で表されるナフトール類を4〜60モルの範囲で縮合反応させた後、加熱減圧下で過剰のナフトール類を除去することを特徴とするナフトール系フェノール樹脂の製造方法、
に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のナフトール系フェノール樹脂は、前記式(3)で表されるフェノール類と式(a)で表されるナフトール類を反応させ得ることができる。
式(3)で表される化合物の二つある−CR2Xの結合位は、オルト、メタ、パラ、いずれでも良いが好ましくはパラである。また式(3)において、置換基Qは、水素原子もしくはメチル基、エチル基、プルピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基を表すが、水素原子、もしくはメチル基が望ましい。
式(3)の化合物の具体例としては、p‐キシリレングリコール、2,5−ジメチル−p‐キシリレングリコール、2,3,4,5−テトラメチル−p‐キシリレングリコール等のキシリレングリコール誘導体;α,α’−ジメトキシ−p−キシレン、α,α’−ジエトキシ−p−キシレン、α,α’−ジメタンスルホニル−p−キシレン等のキシレン誘導体;1,4−ジ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジクロロメチルベンゼン、1,3−ジ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン等のベンゼン誘導体等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、単独で用いることが好ましい。
【0016】
縮合反応において使用されるナフトール類としては、式(a)で表されるβ−ナフトール誘導体であれば特に制限はなく、具体的にはβ−ナフトール;5−メチル−2−ナフトール、6−メチル−2−ナフトール、3−メチル−2−ナフトール、6−エチル−2−ナフトール、6−イソプロピル−2−ナフトール、5−エチル−2−ナフトール、等の1置換アルキルナフトール;3,6−ジメチルナフトール、3−メチル−6−プロピル−2−ナフトール、6,8−ジメチル−2−ナフトール、3,6−ジメチルナフトール、3−メチル−6−エチル−2−ナフトール等の2置換アルキルナフトール、3,6,8−トリメチルナフトール3置換アルキルナフトール等のアルキル置換β−ナフトールが挙げられる。また、これらナフトール誘導体は単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、単独で用いることが好ましい。
【0017】
ナフトール類の使用量は式(1)の化合物1モルに対して通常4〜60モル、好ましくは5〜20モルである。
【0018】
本発明においては、必要により酸触媒を用いる。
酸触媒としては種々のものが使用できるが硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、シュウ酸等の有機あるいは無機酸、塩化第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄等のフリーデルクラフツ型触媒等が挙げられる。なかでも塩酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。これら酸触媒の使用量は触媒の種類により異なるが、式(3)の化合物に対して0.005〜1.0当量の範囲内で適正量を添加すれば良い。
【0019】
反応温度は通常40〜200℃、好ましくは50〜150℃である。反応時間は0.5〜24時間、好ましくは1〜15時間である。反応は、全原料を一括投入して昇温しながら行っても、ナフトール類を予め一定の温度に保った状態で前記式(3)に示される化合物を逐次添加して行っても良い。また、反応は無溶媒でも実施できるが、反応に直接関与しないトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、あるいはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのような低級アルコール等の有機化合物を溶剤として用いることもできる。有機溶剤の使用量としては通常仕込んだナフトール類の重量の10〜300重量%であり、好ましくは20〜250重量%である。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。低温下での反応の場合はエタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールのようなアルコールを単独で用いるか、他の溶剤に添加することが好ましい。
【0020】
反応を確実なものとするため、反応中生成する水はディーンスターク管等を備えた器具を使用し、共沸脱水により系外へ除去するか、反応に直接関与しない脱水剤を反応系内に共存させても構わない。
【0021】
反応終了後、酸触媒等の不純物を水洗することによって取り除く。この時、酸触媒を炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等により中和した後、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン等の有機溶剤を加え、水洗を行うことが好ましい。その後、未反応ナフトール類、および溶媒を回収することにより目的とするナフトール系フェノール樹脂を得ることができる。なお、未反応のナフトール類や溶媒の回収は加熱減圧下で留去するのが好ましい。また水蒸気蒸留で留去することも可能である。ナフトール類の蒸留回収の温度は100〜220℃であり、減圧度は0.1kPa〜25kPa程度とするのがよい。
【0022】
例えば以上のようにして得られる本発明のナフトール系フェノール樹脂は、式(1)で表される。式(1)におけるnは繰り返し数であり、通常n=1〜15、好ましくは1〜4の値をとる。なお、nの値はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定可能である。
例えばこのようにして得られた本発明のナフトール系フェノールア樹脂は、通常式(1)中のn=1の成分が75重量%以上含有されるが、得られたナフトール系フェノール樹脂を精製処理(例えば溶媒に溶解した後、10℃以下に冷却し再結晶させる処理)し、式(2)の成分の濃度を90重量%以上とするとナフトール系フェノール樹脂を結晶として取り出すことも可能である。
【0023】
得られたナフトール系フェノール樹脂は、多種の用途に使用が可能である。エポキシ樹脂の原料、エポキシ樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物の構成成分、ポリカーボネート等の熱可塑性プラスチックの原料、感熱性インキ等の各種機能性物質の原料として用いことができる。
【0024】
以下、本発明のナフトール系フェノール樹脂の好ましい用途の具体例としてエポキシ樹脂組成物について以下説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と本発明のナフトール系フェノール樹脂を含有する。
【0025】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、使用できるエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)等のフェノール性水酸基を有する化合物とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、アルコール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0026】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のナフトール系フェノール樹脂はエポキシ樹脂の硬化剤として作用し、この場合本発明のナフトール系フェノール樹脂を単独で、または他の硬化剤と併用することができる。併用する場合、本発明のナフトール系フェノール樹脂の全硬化剤中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
【0027】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のナフトール系フェノール樹脂と併用しうる他の硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0028】
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量が好ましく、0.6〜1.2当量が特に好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは1.5当量を超える場合、いずれも硬化が不完全になり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0029】
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。硬化促進剤は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。
【0030】
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤やシランカップリング材、離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら充填剤は、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐湿性、力学的性質などの面から、エポキシ樹脂組成物中で50〜90重量%を占める割合で使用するのが好ましい。
【0031】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られ、従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば、エポキシ樹脂と本発明のナフトール系フェノール樹脂、並びに必要により硬化促進剤及び無機充填剤、配合剤、各種熱硬化性樹脂とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合することよりエポキシ樹脂組成物を得て、そのエポキシ樹脂組成物を溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。
【0032】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物の各成分をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノメチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に溶解または分散させることにより混合することもできる。そしてそのエポキシ樹脂組成物をガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して硬化物を得ることもできる。
【0033】
この際用いる希釈溶剤の使用量は得られたエポキシ樹脂組成物と該希釈溶剤の合計重量に対し通常10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%である。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例、比較例において部は重量部を意味する。なお、軟化点、溶融粘度は以下の条件で測定した。
・軟化点
JIS K−7234に準じた方法で測定した。
・溶融粘度
150℃におけるコーンプレート法における溶融粘度
測定器械:コーンプレート(ICI)高温粘度計
(RESEACH EQUIPMENT(LONDON)LTD.製)
コーンNo.:3(測定範囲0〜2.00Pa・s)
試料量:0.155±0.01g
【0035】
実施例1
撹拌機、還流冷却管、ディーンスターク管、温度計を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、β−ナフトール144部、p−キシリレングリコール14部、p−トルエンスルホン酸一水和物0.8部、トルエン288部、エタノール7部を仕込み、80℃まで加温し、撹拌、溶解した。その後、98〜105℃で24時間撹拌し反応を続けた。反応終了後、メチルイソブチルケトン300部を加え、油層の水洗浄液が中性になるまで水洗し、加熱条件下β−ナフトール、溶剤等を減圧下に留去した。次いで残査にイソプロピルアルコール100部を加え、溶媒等を減圧留去する作業を三回繰り返し、残存するβ−ナフトールを除去することにより38部の下記式(4)
【0036】
【化9】
【0037】
(式中nは繰り返し数を表す。)
で表される本発明のナフトール系フェノール樹脂が得られた。得られたナフトール系フェノール樹脂(A)の軟化点は84.0℃であった。GPC分析およびHPLC分析、NMRの測定結果から前記式(4)で表される構造式のうちn=1である化合物が80重量%であり、かつ下記式(5)
【0038】
【化10】
の構造式で表される成分の割合は53重量%であった。また、得られた樹脂の150℃における溶融粘度は0.14Pa・sであった。
【0039】
次いで、得られたフェノール樹脂(A)を加熱条件下50部のトルエンに溶解し、4℃まで冷却し、濾別して前記式(4)で表される構造式のうちn=1であるものが94重量%であり、かつ前記式(5)の構造で表される成分の割合が92重量%である本発明のナフトール系フェノール樹脂(A’)が白色粉末結晶として得られた。得られた樹脂の融点は151〜154℃であった。
【0040】
比較例1
撹拌機、還流冷却管、ディーンスターク管、温度計を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、β−ナフトール72部、p−キシリレングリコール14部、p−トルエンスルホン酸一水和物0.4部、トルエン144部を仕込み、80℃まで加温し、撹拌、溶解した。その後、115℃で5時間撹拌し反応を続けた。反応終了後、メチルイソブチルケトン150部を加え、油層の水洗浄液が中性になるまで水洗し、加熱条件下β−ナフトール、溶剤等を減圧下に留去することにより前記式(4)で表される構造式のうちn=1である化合物が62重量%であり、かつ前記式(5)の構造式で表される成分の割合が41重量%であるフェノール樹脂(B)が得られた。得られた樹脂の軟化点は91.4℃、また150℃における溶融粘度は0.32Pa・sであった。
【0041】
実施例2、3、比較例2
エポキシ樹脂としてオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂(日本化薬(株)製 EOCN−1020 エポキシ当量198g/eq. 軟化点65℃)100部、と実施例1で得られた本発明のナフトール系フェノール樹脂(A)を99部、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを0.5部配合し、二軸ロールにより混練し、粉砕、タブレット化後、175℃180秒の条件でトランスファー成型機により樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間かけて硬化させた(実施例2)。またナフトール系フェノール樹脂(A)の代わりにナフトール系フェノール樹脂(A’)100部(実施例3)、またはフェノール樹脂(B)107部(比較例2)用いた以外は、実施例2と同様にして硬化物を得た。このようして得られた硬化物の物性を測定した結果を表1に示す。なお、物性値の測定は以下の方法で行った。
【0042】
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
本発明のナフトール系フェノール樹脂は、同じ構造の樹脂その耐熱性をほとんど損なうことなく、低粘度化を達成でき、作業性に優れた樹脂である。本発明の樹脂は、低粘度であるため、エポキシ樹脂組成物の硬化剤として、作業性に優れ極めて有用である。
Claims (5)
- 請求項1または2に記載のナフトール系フェノール樹脂及びエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
- 請求3記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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