JP2004238501A - 結晶性フェノール樹脂、液状エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物 - Google Patents
結晶性フェノール樹脂、液状エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物 Download PDFInfo
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高信頼性半導体封止用を始めとする電気・電子部品絶縁材料用、及び積層板(プリント配線板)やCFRP(炭素繊維強化プラスティック)を始めとする各種複合材料用、接着剤、塗料等に有用な結晶性フェノール樹脂、これを原料とする液状エポキシ樹脂、これらを含むエポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来工業的に最も使用されている液状エポキシ樹脂としてはビスフェノールAにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物が知られている。また、耐熱性が要求される分野においてはオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂やトリフェニルメタン型エポキシ樹脂などが用いられている。
【0003】
しかし、近年電気・電子分野においてはその発展に伴い、高純度化を始め耐熱性、耐湿性、密着性、フィラー高充填のための低粘度性、低誘電性等、諸特性の一層の向上が求められている。また、構造材としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途等において軽量で機械特性の優れた材料が求められている。これらの要求に対しフェノール樹脂(エポキシ樹脂硬化剤)、エポキシ樹脂、及びそれらを含有するエポキシ樹脂組成物について多くの提案がなされているが、未だ充分とはいえない。
【0004】
近年、優れた難燃性、可とう性、接着性を持つエポキシ樹脂として、後記する式(2)で表されるエポキシ樹脂が提案されているが、これらは固体状の樹脂であり作業性の観点から問題がある。この問題を解決するためには、式(2)のエポキシ樹脂の原料である後記する式(1)で表されるフェノール樹脂組成物の分子量をなるべく小さくすることが考えられる。例えば特許文献1には式(1)のフェノール樹脂組成物において、n=1の化合物が50モル%以上であるフェノール樹脂が記載されている。しかしながらここで具体的に記載されているフェノール樹脂の分子量を考慮すると得られるエポキシ樹脂は、半固体状で作業性が十分確保されているとは言えない。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−238129号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた難燃性、可とう性、接着性を持つ後記する式(2)のエポキシ樹脂であって、液状のエポキシ樹脂およびその原料として使用できるフェノール樹脂を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記のような問題を解決するため鋭意研究した結果、本発明を完成させるに到った。
【0008】
すなわち本発明は
(1)式(1)
【0009】
【化4】
【0010】
(式(1)中、nは繰り返し数を表す。)
で表されるフェノール樹脂組成物であって、n=1でで表される成分の割合が80重量%以上である結晶性フェノール樹脂。
(2)前記式(1)においてn≧3である成分の割合が5重量%以下である上記(1)記載のフェノール樹脂、
(3)上記(1)または(2)記載のフェノール樹脂をエポキシ化してなる液状エポキシ樹脂、
(4)下記式(2)
【0011】
【化5】
【0012】
(式中Gはグリシジル基を表す。mは1〜7の整数を表す。)
で表される上記(3)記載のエポキシ樹脂、
(5)エポキシ樹脂および上記(1)または(2)記載のフェノール樹脂を含有してなるエポキシ樹脂組成物、
(6)上記(3)または(4)記載のエポキシ樹脂および硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物、
(7)上記(3)または(4)記載のエポキシ樹脂及び上記(1)または(2)記載のフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、
(8)下記式(3)
【0013】
【化6】
【0014】
(式中、Xはそれぞれ独立して存在し、水酸基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基またはハロゲン原子を表す。)
で表されるパラキシレン誘導体1モルに対して、フェノールを5.0〜20.0モル反応させて得られたフェノール樹脂組成物を80〜150℃で溶媒に溶解後、冷却、結晶化させることを特徴とする上記(1)記載のフェノール樹脂の製造方法、
(9)上記(5)〜(7)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物、
(10)上記(5)〜(7)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物を有する半導体装置
に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のフェノール樹脂はフェノールおよび下記式(3)
【0016】
【化7】
【0017】
(式中、複数あるXはそれぞれ独立して存在し、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メシル基、トシル基等のアルキルスルホニル基または塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を表す。)
で表されるパラキシレン誘導体と反応させることにより得ることができる。
用いることができるパラキシレン誘導体の具体例としては、パラキシリレングリコール、1,4−ジメトキシメチルベンゼン、1,4−ジエトキシメチルベンゼン、1,4−ジクロロメチルベンゼン、1,4−ジブロモメチルベンゼン、1,4−ジメタンスルホニルメチルベンゼン、1−メトキシメチル−4−ヒドロキシメチルベンゼン等があげられるが、式(3)で表されるキシレン誘導体であればこれに限定されるものではない。
【0018】
フェノールの使用量は前記式(3)の化合物1モルに対して通常2.0〜60モル、好ましくは5.0〜20モルである。
【0019】
本発明のフェノール樹脂の製造においては、必要により酸触媒もしくは塩基性触媒を用いる。
酸触媒としては種々のものが使用できるが硫酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機あるいは無機酸、塩化第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄等のフリーデルクラフツ型触媒等が挙げられる。なかでも塩化第二錫、硫酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。これら酸触媒の使用量は触媒の種類により異なるが、式(3)の化合物に対して0.01〜1.1重量%の範囲内で適正量を添加すれば良い。
【0020】
塩基性触媒を用いる場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸アルカリ金属塩、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソブチルアミン、ピリジン、ピペリジン等のアミン誘導体、およびジメチルアミノエチルアルコール、ジエチルアミノエチルアルコールなどアルコールアミン誘導体を用いることができる。金属水酸化物を用いる場合は固体のままを用いてもその水溶液を用いてもかまわないが、固体のままで用いることがより好ましい。これら塩基性触媒の使用量は触媒の種類により異なるが、式(3)の化合物中の基Xに対して通常0.1〜2.0当量、好ましくは0.3〜1.2当量の範囲内で適正量を添加すれば良い。
【0021】
反応温度は通常40〜200℃、好ましくは80〜150℃である。反応時間は0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間である。反応は、全原料を一括投入して昇温しながら行っても、フェノールを予め上記の範囲で一定の温度に保ちながら式(3)で示されるパラキシレン誘導体を逐次添加して行っても良い。また、反応は無溶媒でも実施できるが、反応に直接関与しないトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、あるいはメタノール、エタノールのような低級アルコール等の有機化合物を溶媒として用いることもできる。
前記式(3)においてXが水酸基、あるいはアルコキシ基である場合、反応を確実なものとするため、反応中生成する水、およびアルコールはディーンスターク管を備えた器具を使用し、共沸脱水により系外へ除去するか、反応に直接関与しない脱水剤を反応系内に共存させて除去しても構わない。
またXがハロゲン原子、特に塩素原子である場合、反応中生成する塩酸ガス等は窒素ガス等の不活性ガスを流すことによって系外へ除去するか、減圧状態にして除去しても構わない。
【0022】
反応終了後、酸、もしくは塩基性触媒等の不純物を水洗することによって取り除く。この時、酸もしくは塩基性触媒を中和した後、水洗を行うことが好ましい。その後、未反応のフェノールや溶媒を回収することにより式(1)のフェノール樹脂組成物を得ることができる。未反応のフェノールや溶媒の回収は常圧下または減圧下で留去するのが好ましい。また、水蒸気を吹き込んで、水蒸気蒸留で留去することも可能である。フェノールの蒸留回収の温度は通常100〜180℃であり、減圧度は通常0.1kPa〜25kPa程度とするのがよい。
【0023】
得られたフェノール樹脂組成物は有機溶媒を用い、再結晶によって結晶化物として析出させる。このとき用いることができる有機溶媒としては、トルエン、キシレン、クレゾールなど芳香族有機溶媒、またははアセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの有機溶媒の使用量としては通常反応物の重量に対して50〜400重量%、好ましくは50〜200重量%である。
【0024】
再結晶は、80〜150℃で、上記有機溶媒に溶解し放冷しながら結晶が出始めたのを確認後4℃まで5〜20時間かけて冷却して行う。
十分結晶が析出した後、常圧或いは減圧濾過器を用いて結晶を濾過し、本発明のフェノール樹脂を得ることができる。またより純度の高い結晶とするために、上記の有機溶剤で更に洗浄を行うことは好ましい。
本発明のフェノール樹脂は、式(1)におけるn=1で表される成分の割合が、上記フェノール樹脂組成物におけるそれに較べ高濃度になったものである。即ち、上記フェノール樹脂組成物中のn=1で表される成分の割合は、通常50〜80重量%程度であるが、本発明のフェノール樹脂では、80重量%以上となり、通常93重量%程度まで合成可能である。また、本発明のフェノール樹脂は、式(1)におけるn≧3で表される成分の割合が、上記フェノール樹脂組成物におけるそれに較べ低濃度になったものが好ましい。即ち、上記式(1)のフェノール樹脂組成物中のn≧3で表される成分の割合は、通常5〜20重量%程度であるが、本発明のフェノール樹脂では5重量%以下となる。これらnの値はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定可能である。また、本発明のフェノール樹脂の融点は、n=1である成分の濃度にもよるが通常130〜160℃である。
【0025】
本発明のエポキシ樹脂は、本発明のフェノール樹脂とエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物又は4級アンモニウム塩の共存下で反応させることにより得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂を得る反応において、アルカリ金属水酸化物は固形物を使用しても、その水溶液を使用してもよい。水溶液を使用する場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを流出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量は、本発明のフェノール樹脂の水酸基1当量に対して通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モルである。
【0026】
4級アンモニウム塩としてはテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。4級アンモニウム塩の使用量としては本発明のフェノール樹脂中の水酸基1当量に対し通常0.1〜15重量部、好ましくは0.2〜10重量部である。
【0027】
エピハロヒドリンの使用量はフェノール樹脂中の水酸基1当量に対し通常0.8〜12モル、好ましくは0.9〜11モルである。この際、フェノール樹脂の溶解性を高めるためにメタノール、エタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが好ましい。
【0028】
アルコール類を使用する場合、その使用量はエピハロヒドリンの量に対し通常2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの量に対し通常5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%である。
反応温度は通常30〜90℃であり、好ましくは35〜80℃である。反応時間は通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜8時間である。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化反応に使用したフェノール樹脂中の水酸基1当量に対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
【0029】
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。
本発明のエポキシ樹脂は、前記式(2)で表されるが、ここでm≧4である高分子量の成分が占める割合は、通常5重量%以下となる。本発明のエポキシ樹脂は、常温で液状でしかも低粘度であり、通常25℃における粘度が70Pa・s以下となる。これらmの値はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定可能である。
【0030】
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。
前記(6)または(7)記載のエポキシ樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂は単独でまた他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は10重量%以上が好ましく、特に20重量%以上が好ましい。
【0031】
本発明のエポキシ樹脂と併用し得る他のエポキシ樹脂の具体例としては、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール共縮合型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられるがこれらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。前記(5)記載のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂としては前記他のエポキシ樹脂等が使用できる。
【0032】
前記(5)または(7)記載の本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のフェノール樹脂は、単独でまた他の硬化剤と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のフェノール樹脂の全硬化剤中に占める割合は40重量%以上が好ましく、特に70重量%以上が好ましい。本発明のフェノール樹脂と併用できる他の硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。用い得る硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノ−ルノボラック、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。前記(6)記載の本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤としては前記他の硬化剤等が使用できる。
【0033】
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0034】
また本発明のエポキシ樹脂組成物においては硬化促進剤を使用しても差し支えない。用い得る硬化促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
【0035】
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要により無機充填材を含有しうる。用いうる無機充填材の具体例としてはシリカ、アルミナ、タルク等が挙げられる。無機充填材は本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜90重量%を占める量が用いられる。更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
【0036】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えばエポキシ樹脂と硬化剤並びに必要により硬化促進剤、無機充填材及び配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合してエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を溶融後注型あるいはトランスファ−成型機などを用いて成型し、さらに80〜200℃で2〜10時間加熱することにより硬化物を得ることができる。
【0037】
また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱半乾燥して得たプリプレグを熱プレス成型して硬化物を得ることもできる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%を占める量を用いる。
【0038】
本発明の半導体装置はの本発明のエポキシ樹脂組成物で封止されたもの等の本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を有する。半導体装置としては、例えばDIP(デュアルインラインパッケージ)、QFP(クワッドフラットパッケージ)、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、SOP(スモールアウトラインパッケージ)、TSOP(シンスモールアウトラインパッケージ)、TQFP(シンクワッドフラットパッケージ)等が挙げられる。
【0039】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。
【0040】
実施例1
撹拌機、還流冷却管、ディーンスターク管、温度計を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、フェノール470部、p−キシレングリコール69部を仕込み、80℃まで加温した後p−トルエンスルホン酸一水和物1.9部を添加し、撹拌・溶解させた。その後、反応系を130〜135℃に保ち、10時間撹拌した。反応終了後、メチルイソブチルケトン300部を加え、油層の水洗浄液が中性になるまで水洗し、加熱条件下に過剰なフェノール、溶剤等を減圧留去することで130部のフェノール樹脂組成物を得た。次いで得られた樹脂にトルエン145部を加え、十分加熱溶解後、室温でしばらく放置し、結晶が析出したところで系内の温度を4℃に保ったまま14時間放置した。得られた結晶を減圧下で濾過し、乾燥することで白色粉末状結晶として下記式(1)
【0041】
【化8】
【0042】
(式中、nは繰り返し数を表す。)
で表される本発明のフェノール樹脂110部が得られた。GPC分析(溶離液テトラヒドロフラン、UV254nmで検出;以下同様)の結果では前記式で表される樹脂中で、n=1で表される成分の含有割合は82.4重量%、n≧3で表される成分の含有割合は4.1重量%であった。また、得られた樹脂の融点を測定したところ135〜147℃であった。
【0043】
実施例2
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を備えたフラスコに窒素ガスパージを施しながら実施例1で得られたフェノール樹脂98部、エピクロルヒドリン366部、ジメチルスルホキシド91部を仕込み、撹拌下に45℃まで昇温し溶解させた。次いでフレーク状水酸化ナトリウム27部を90分かけて分割添加し、その後、更に45℃で2時間、70℃で1時間反応させた。ついで油層の水洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した後、油層から加熱減圧下に過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物に300部のメチルイソブチルケトンを添加し溶解した。
【0044】
このメチルイソブチルケトンの溶液を70℃に加熱し30重量%の水酸化ナトリウム水溶液6.7部を添加し、1時間反応させた後、洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した。更に水層は分離除去し、下記式(2)
【0045】
【化9】
【0046】
(式中、mは繰り返し数を表す。Gはグリシジル基を表す。)
で表される本発明のエポキシ樹脂(A)128部を得た。得られたエポキシ樹脂は黄色の液状であり25℃での粘度は54Pa・s、エポキシ当量は214g/eqであった。
【0047】
比較例1
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら前記式(1)で表されるフェノール樹脂組成物であって、式(1)のn=1である成分の含有量が70.7重量%、n≧3である成分の含有量が9重量%のフェノール樹脂100部、エピクロルヒドリン366部、ジメチルスルホキシド91部を仕込み、撹拌下で45℃まで昇温し、溶解させた。次いでフレーク状水酸化ナトリウム27部を90分かけて分割添加し、その後、更に45℃で2時間、70℃で1時間反応させた。ついで油層の水洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した後、油層から加熱減圧下に、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物に300部のメチルイソブチルケトンを添加し溶解した。
【0048】
このメチルイソブチルケトンの溶液を70℃に加熱し30重量%の水酸化ナトリウム水溶液6.7部を添加し、1時間反応させた後、油層の水洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した。更に水層は分離除去し、比較用のエポキシ樹脂(B)125部を得た。得られたエポキシ樹脂は黄色の液状であり25℃での粘度は121Pa・s、エポキシ当量は217g/eqであった。
【0049】
表1−1及び表1−2に実施例1、2および比較例1において得られたフェノール樹脂またはエポキシ樹脂のGPC分析結果およびその性状を示した。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例3、比較例2
エポキシ樹脂として実施例2、比較例1で得られたエポキシ樹脂(A)、(B)、硬化剤として無水メチルナジック酸(日本化薬(株)製、カヤハードMCD)、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(略号 2E4MZ)を表2に示す割合(部)で配合した。
【0052】
【表2】
【0053】
実施例3、比較例2で得られたエポキシ樹脂組成物について、注型法により樹脂成形体を調製し、120℃で2時間、更に150℃で6時間かけて硬化させた。
このようにして得られた硬化物の物性を測定した結果を表3に示す。
尚、物性値の測定は以下の方法で行った。
吸水率:直径5cm×厚み4mmの円盤状の試験片を100℃の水中で72時間煮沸した後の重量増加率(%)
【0054】
【表3】
【0055】
【発明の効果】
本発明のフェノール樹脂は結晶性であり、作業性に富み、かつそのエポキシ化物は高分子量の成分が少なく比較的粘度が低い化合物である。本発明のエポキシ樹脂は、その硬化物の物性は、高分子量物を含むエポキシ樹脂のそれと大差がなく、低粘度化による作業性の向上が見られ極めて有用である。本発明のエポキシ樹脂組成物は、これらの特性を生かして電気・電子材料分野、特に半導体封止用に有用である。
Claims (10)
- 前記式(1)においてn≧3である成分の割合が5重量%以下である請求項1記載のフェノール樹脂。
- 請求項1または2記載のフェノール樹脂をエポキシ化してなる液状エポキシ樹脂。
- エポキシ樹脂および請求項1または2記載のフェノール樹脂を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
- 請求項3または4記載のエポキシ樹脂および硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物。
- 請求項3または4記載のエポキシ樹脂及び請求項1または2記載のフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
- 請求項5〜7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
- 請求項5〜7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物を有する半導体装置。
Priority Applications (1)
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JP2003029188A JP2004238501A (ja) | 2003-02-06 | 2003-02-06 | 結晶性フェノール樹脂、液状エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物 |
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WO2006043524A1 (ja) * | 2004-10-21 | 2006-04-27 | Nippon Steel Chemical Co., Ltd. | インドール骨格含有樹脂、インドール骨格含有エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 |
JP2006249420A (ja) * | 2005-02-08 | 2006-09-21 | Nippon Steel Chem Co Ltd | インドール骨格含有エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 |
JP2017526765A (ja) * | 2014-07-08 | 2017-09-14 | ブローミン コンパウンズ リミテッド | 難燃剤として有用な臭素含有重合体の調製 |
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