JP6513372B2 - フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびそれらの硬化物 - Google Patents

フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびそれらの硬化物 Download PDF

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Description

本発明は耐熱性が要求される電気電子材料用途に好適なエポキシ樹脂組成物、およびその硬化物に関する。
エポキシ樹脂組成物は作業性及びその硬化物の優れた電気的特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
近年、電気・電子産業分野においてはその発展に伴い、樹脂組成物の高純度化をはじめ耐湿性、密着性、誘電特性、フィラー(無機または有機充填剤)を高充填させるための低粘度化、成型サイクルを短くするための反応性のアップ等諸特性の一さらなる向上が求められている。又、構造用複合材料としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途などにおいて軽量で機械的性質の優れた材料が求められている。特に半導体封止分野、プリント配線基板(基板自体、もしくはその周辺材料)においては、その半導体の変遷に従い、薄層化、スタック化、システム化、三次元化と複雑になっており、非常に高いレベルの耐熱性や高流動性といった特性が求められている。なお、特にプラスチックパッケージの車載用途への拡大に伴い、耐熱性の向上要求がいっそう厳しくなっている。具体的には、半導体の駆動温度の上昇により、150℃以上の耐熱性が求められるようになってきている。
一般に、エポキシ樹脂の耐熱性向上には官能基密度を向上することが有効であるが、その反面、難燃性、吸水率、誘電率などの特性が悪化する傾向にある。
"2008年 STRJ報告 半導体ロードマップ専門委員会 平成20年度報告"、第8章、p1−1、[online]、平成21年3月、JEITA (社)電子情報技術産業協会 半導体技術ロードマップ専門委員会、[平成24年5月30日検索]、<http://strj-jeita.elisasp.net/strj/nenjihoukoku-2008.cfm> 高倉信之他、松下電工技報 車関連デバイス技術 車載用高温動作IC、74号、日本、2001年5月31日、35−40頁 P.Livant他、J.Org.Chem.1997、Vol.62、737〜742頁
特開2010−275221号公報 特開2002−193970号公報 特開平10−60091号公報
そこで、従来から耐熱性および難燃性、吸水率、誘電率などの諸特性を両立するフェノール樹脂およびエポキシ樹脂が要求されていた。耐熱性が良好なエポキシ樹脂として、非特許文献3、特許文献1〜3ではアセトンとレゾルシンを反応させることにより、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂が開発されている。しかし、これらの樹脂は高い耐熱性を示す一方で、難燃性が十分でなく、吸水率、誘電率などの物性も十分でなかった。さらには非特許文献3では反応生成物が多様な構造をとることが示唆されており、反応の制御に課題が有る。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、レゾルシンとアセトンの反応時に生成するスピロクロマン構造は環状構造が立体的に拘束されるため、架橋密度に頼らず耐熱性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに到った。
すなわち本発明は、下記(1)〜(7)に関する。
(1)下記式(1)で表されるカルボニル類と下記式(2)で表されるジヒドロキシベンゼン類を触媒存在下、反応させて得られるフェノール樹脂であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定において、式(2)で表されるジヒドロキシベンゼン類のピークと下記式(3)で表される化合物のピークの間に現れるピークの面積の総量が5面積%以下であることを特徴とするフェノール樹脂、
Figure 0006513372
(式中Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。)
Figure 0006513372
(式中Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。kは1〜4の正数を示す。)
Figure 0006513372
(式中、R、Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。kは1〜4の正数を示す。)
(2)前記触媒としてヘテロポリ酸を用いた前項(1)に記載のフェノール樹脂、
(3)前項(1)または(2)に記載のフェノール樹脂にエピハロヒドリンを反応させて得られるエポキシ樹脂、
(4)前項(1)または(2)に記載のフェノール樹脂と、エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、
(5)前項(3)に記載のエポキシ樹脂と、硬化剤及び/または硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物、
(6)前項(4)または(5)に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物、
(7)下記式(1)で表されるカルボニル類と下記式(2)で表されるジヒドロキシベンゼン類を触媒存在下、反応させて得られるフェノール樹脂であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定において、式(2)のピークと下記式(3)で表される化合物のピークの間に現れるピークの面積の総量が5面積%以下であることを特徴とするフェノール樹脂の製造方法。
Figure 0006513372
(式中Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。)
Figure 0006513372
(式中Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。kは1〜4の正数を示す。)
Figure 0006513372
(式中、R、Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。kは1〜4の正数を示す。)
本発明のフェノール樹脂及びエポキシ樹脂は、スピロクロマンオリゴマー構造を選択的に製造することにより高い耐熱性と難燃性を両立することができる。
以下、本発明のフェノール樹脂を詳細に説明する。
本発明のフェノール樹脂は、下記一般式(1)で表されるカルボニル類と下記一般式(2)で表されるジヒドロキシベンゼン類を触媒存在下、反応させることにより得られる。
Figure 0006513372
(式中Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。)
Figure 0006513372
(式中Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。kは1〜4の正数を示す。)
一般式(1)で表されるカルボニル類の具体例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、3−メチル−2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、3−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンなどが好ましく挙げられ、アセトン、メチルエチルケトンがより好ましく、アセトンが特に好ましい。
一般式(2)で表されるジヒドロキシベンゼン類の具体例としては、カテコール、3−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール、3,5−Di−tert−ブチルカテコール、レゾルシン、2−メチルレゾルシン、5−メチルレゾルシン、2,5−ジメチルレゾルシン、4−ブチルレゾルシン、4−ヘキシルレゾルシン、ハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、2−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−Di−tert−ブチルハイドロキノンなどが好ましく挙げられ、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノンがより好ましく、レゾルシンが特に好ましい。ここで、下記一般式(3)においてオリゴマー構造を得るために、レゾルシンを特に好適に使用することができる。
本発明のフェノール樹脂は、触媒存在下で、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物の一種以上との縮合反応によって得られる。一般式(1)で表される化合物の使用量、は一般式(2)で表される化合物1モルに対して通常0.25〜5.0モルであり、好ましくは0.3〜2.5モルである。一般式(1)で表される化合物の使用量が一般式(2)で表される化合物1モルに対して0.25モルより少ないと、一般式(1)の化合物の残存が多くなり、耐熱性が低くなるため好ましくなく、5.0モルより多いとゲル化の恐れがあるため好ましくない。
用いることができる触媒としては、酸性条件、塩基性条件いずれでも使用できるが、反応性の観点から酸性の方が好ましい。酸性触媒としてはトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸触媒、塩酸、硫酸等の無機酸触媒、リンタングステン酸のほかに、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸、リンモリブデン酸ナトリウム、リンタングストモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸等のヘテロポリ酸が好ましく挙げられるがこれらに限定されるものではない。ヘテロポリ酸においては下記式(3)で表される化合物を選択的に得ることができるため、特に好適に用いることができる。
Figure 0006513372
(式中、R、R、kは前述と同じ意味を表す。)
また、これらの触媒は単独で使用してもよく、複数の種類を併用してもよい。
用いる触媒の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対して通常0.001〜15モルであり、好ましくは0.002〜10モルである。
本発明のフェノール樹脂を得る反応では、必要に応じて溶剤を使用することができる。用い得る溶剤としては、カルボニル類のように一般式(1)で表される化合物との反応性を有するものでなければ特に制限されないが、原料である一般式(2)で表される化合物を容易に溶解させる点ではアルコール類、芳香族炭化水素類を溶剤として用いるのが好ましい。
用いることができる溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の非プロトン性極性溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが好ましく挙げられるが、これらに限定されない。
溶剤を使用する場合の使用量は特に制限されないが、例えば、一般式(2)で表される化合物1モルに対し100〜500重量部を使用することができる。
反応温度は通常10〜150℃であり、好ましくは30〜130℃であり、特に好ましくは50℃〜120℃である。反応時間は通常0.5〜20時間であるが、原料化合物の種類によって反応性に差があるため、この限りではない。
反応終了後、公知の手法にて触媒のクエンチを行う。酸性触媒を用いた場合、一般的に塩基に中和する。塩基性化合物としては特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、炭酸ナトリウム、トリポリリン酸5ナトリウム、アンモニア等、炭酸カリウム等の金属炭酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなどのリン酸塩、イオン交換樹脂、アルミナ等の塩基性固体が好ましく挙げられる。この際、塩基を均一に分散させるために、水溶液として徐々に滴下することが好ましい。
反応終了後、樹脂として取り出す場合には、反応物を水洗後または水洗無しに、加熱減圧下で反応液から未反応物や溶媒等を除去する。未反応物を効率的に除去するために、水蒸気蒸留や塩基性条件下において水洗を行ってもよい。結晶で取り出す場合、大量の水中に反応液を滴下することにより結晶を析出させる。
このようにして得られる本発明のフェノール樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定において、前記一般式(2)と前記一般式(3)のピークの間に現れるピークの面積の総量が5面積%以下となり、スピロクロマン構造を高純度で含む。スピロクロマン構造は環状構造が立体的に拘束されるため、架橋密度に頼らずに高い耐熱性を有する。しかも、架橋密度の向上に伴う難燃性等の特性低下を抑えることができるため、耐熱性と難燃性等の特性を両立することができる。さらに、本発明のフェノール樹脂は一定の純度でスピロクロマン構造を含むことにより、難燃性に優れた硬化物を与えることができる。
本発明のフェノール樹脂の重量平均分子量は通常300〜2,000であり、好ましくは320〜1,500であり、より好ましくは340〜1,000である。水酸基当量は通常120〜500g/eqであり、好ましくは130〜400g/eqであり、より好ましくは140〜300g/eqである。軟化点は通常70〜200℃であり、好ましくは80〜180℃であり、より好ましくは100〜160℃である。
本発明のフェノール樹脂は耐熱性と難燃性に優れシアネート樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂原料、エポキシ樹脂硬化剤としても有用である。
次に、本発明のエポキシ樹脂について説明する。
本発明のエポキシ樹脂は、上記手法によって得られた本発明のフェノール樹脂を溶剤中において、エピハロヒドリンと反応させ、エポキシ化することにより得られる。
ここで、本発明のフェノール樹脂に、本発明のフェノール樹脂等以外のフェノール化合物を併用しても良い。
併用できる本発明のフェノール樹脂等以外のフェノール化合物としては、エポキシ樹脂の原料として通常用いられるフェノール化合物であれば特に制限なく用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂としては、優れた融点を示し、なおかつ高い耐熱性を有する硬化物が得られる。
本発明のエポキシ樹脂を得る反応において用いるエピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン等が好ましく挙げられ、特に、工業的に入手が容易なエピクロルヒドリンが好ましい。
エピハロヒドリンの使用量は、本発明のフェノール樹脂の水酸基1モルに対し通常2〜20モルであり、好ましくは2〜15モルであり、特に好ましくは2〜8モルである。通常エポキシ樹脂は、アルカリ金属酸化物の存在下でフェノール化合物とエピハロヒドリンとを付加させ、次いで生成した1,2−ハロヒドリンエーテル基を開環させてエポキシ化する反応により得られる。この際、エピハロヒドリンを上記のように通常より顕著に少ない量で使用することで、エポキシ樹脂の分子量を延ばすとともに分子量分布を広げることができる。この結果、得られるエポキシ樹脂は、比較的低い軟化点を有する樹脂状物として系中から取り出せ、優れた溶剤溶解性を示す。
また、エポキシ化する際に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが反応進行上好ましい。中でも、アルコール類が好ましく、アルコール溶剤の極性により、エポキシ化時のイオン反応を効率良く進行することができ、高純度でエポキシ樹脂を得ることができる。用い得るアルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。中でも、エポキシ樹脂との相溶性の観点から、メタノールを用いることが特に好ましい。
上記アルコール類を使用する場合、その使用量はエピハロヒドリンの使用量に対し通常2〜50質量%であり、好ましくは4〜35質量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの使用量に対し通常5〜100質量%であり、好ましくは10〜80質量%である。
エポキシ化反応に使用できるアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好ましく挙げられ、これらは固形物をそのまま使用しても、あるいはその水溶液を使用してもよい。水溶液を使用する場合は、該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に、減圧下または常圧下で連続的に留出させた水及びエピハロヒドリンの混合液から分液により水を除去し、エピハロヒドリンのみを反応系内に連続的に戻す方法でもよい。
アルカリ金属水酸化物の使用量は、本発明のフェノール樹脂等の水酸基1モルに対して通常0.9〜3.0モルであり、好ましくは1.0〜2.5モルであり、より好ましくは1.0〜2.0モルであり、特に好ましくは1.0〜1.3モルである。
また、エポキシ化反応において、特にフレーク状の水酸化ナトリウムを用いることで、水溶液とした水酸化ナトリウムを使用するよりも得られるエポキシ樹脂に含まれるハロゲン量を顕著に低減させることが可能となる。更にこのフレーク状の水酸化ナトリウムは、反応系内に分割添加されることが好ましい。分割添加を行なうことで、反応温度の急激な減少を防ぐことができ、これにより不純物である1,3−ハロヒドリン体やハロメチレン体の生成を防止することができる。
エポキシ化反応を促進するために、触媒を用いることができる。用いることができる触媒としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩が好ましく挙げることができる。
4級アンモニウム塩の使用量としては、本発明のフェノール樹脂の水酸基1モルに対し通常0.1〜15gであり、好ましくは0.2〜10gである。
反応温度は通常30〜90℃であり、好ましくは35〜80℃である。反応時間は通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜8時間である。中でも、アルコール溶剤を用いた場合、50℃〜90℃が好ましく、60〜85℃がより好ましく、70〜80℃が特に好ましい。
反応終了後、反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下で反応液からエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また得られたエポキシ樹脂中に含まれるハロゲン量をさらに低減させるために、回収した本発明のエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行ない、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は、本発明のフェノール樹脂等の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モルであり、好ましくは0.05〜0.2モルである。
反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下で溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。また、本発明のエポキシ樹脂が結晶として析出する場合は、大量の水に生成した塩を溶解した後に、本発明のエポキシ樹脂の結晶を濾取してもよい。
このようにして得られる本発明のエポキシ樹脂は、本発明のフェノール樹脂に含まれるヒドロキシル基がグリシジル化された構造を有するが、前記一般式(3)で表されるフェノール化合物のグリシジル化物も一定量混入しても良い。ここで、得られたエポキシ樹脂において、その樹脂中、前記一般式(3)で表されるフェノール化合物のグリシジル化物は液体クロマトグラフィー(HPLC)の274nmにおけるピーク面積において、通常10〜95面積%であり、好ましくは20〜80面積%であり、さらに好ましくは25〜70面積%含有する。一般式(3)で表される本発明のフェノール化合物のグリシジル化物の含有率が10面積%より少ないとゲル化が懸念され、95面積%より多いと耐熱性が劣る。
本発明のエポキシ樹脂の重量平均分子量は通常300〜2,000であり、好ましくは320〜1,500であり、より好ましくは340〜1,000である。エポキシ当量は通常180〜550g/eqであり、好ましくは190〜450g/eqであり、より好ましくは200〜350g/eqである。軟化点は通常50〜180℃、好ましくは60〜160℃、より好ましくは70〜150℃である。
上述の通りフレーク状の水酸化ナトリウムを使用して得られる本発明のエポキシ樹脂の全ハロゲン量は1800ppm以下が通常であり、1600ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1300ppm以下である。全ハロゲン量が多すぎるものは硬化物の硬化物性に悪影響を及ぼすことに加えて、未架橋の末端として残ることから、硬化時の融解状態時の分子同士の配向が進まずに硬化物性の低下につながる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について記載する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂及び本発明のフェノール樹脂の少なくともどちらか1つを必須成分として含有する。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。
他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD及びビスフェノールI等)やフェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン及びジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド及びシンナムアルデヒド等)との重縮合物、キシレン等の芳香族化合物とホルムアルデヒドの重縮合物とフェノール類との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン及びイソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン及びベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール及びビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン及びビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル及びビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、並びにアルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が好ましく挙げられるが、通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらは、1種類のみ使用しても、2種以上を併用してもよい。
他のエポキシ樹脂を併用する場合、本発明のエポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分に占める本発明のエポキシ樹脂の割合は30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、特に好ましくは100質量%(他のエポキシ樹脂を併用しない場合)である。ただし、本発明のエポキシ樹脂をエポキシ樹脂組成物の改質剤として使用する場合は、全エポキシ樹脂中で1〜30質量%となる割合で添加する。
本発明のエポキシ樹脂組成物において用い得る硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物及びフェノール系化合物等が挙げられる。これら他の硬化剤の具体例を下記(a)〜(e)に示す。ただし、本発明において用いることができる硬化剤はこれらの具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
(a)アミン系化合物 ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン及びナフタレンジアミン等
(b)酸無水物系化合物 無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルヘキサヒドロ無水フタル酸等
(c)アミド系化合物 ジシアンジアミド、若しくはリノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂等、
(d)フェノール系化合物 多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン及び1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等);フェノール類(例えば、フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン及びジヒドロキシナフタレン等)と、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド及びフルフラール等)、ケトン類(p−ヒドロキシアセトフェノン及びo−ヒドロキシアセトフェノン等)、若しくはジエン類(ジシクロペンタジエン及びトリシクロペンタジエン等)との縮合により得られるフェノール樹脂;前記フェノール類と、置換ビフェニル類(4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル及び4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル等)、若しくは置換フェニル類(1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン及び1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン等)等との重縮合により得られるフェノール樹脂;前記フェノール類及び/又は前記フェノール樹脂の変性物;テトラブロモビスフェノールA及び臭素化フェノール樹脂等のハロゲン化フェノール類
(e)その他イミダゾール類、BF アミン錯体、グアニジン誘導体
これら他の硬化剤の中ではジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン及びナフタレンジアミンなどのアミン系化合物、並びにカテコールとアルデヒド類、ケトン類、ジエン類、置換ビフェニル類又は置換フェニル類との縮合物などの活性水素基が隣接している構造を有する硬化剤がエポキシ樹脂の配列に寄与するため好ましい。
他の硬化剤は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。他の硬化剤を併用する場合、本発明のエポキシ樹脂組成物中の全硬化剤成分に占める本発明のフェノール樹脂等の割合は20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、特に好ましくは100質量%(他の硬化剤を併用しない場合)である。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のフェノール樹脂等を含む全硬化剤の使用量は、全エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜2.0当量が好ましく、0.6〜1.5当量が特に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要により硬化促進剤を添加しても良い。硬化促進剤の具体例としては、トリフェニルフォスフィン、ビス(メトキシフェニル) フェニルフォスフィン等のフォスフィン類、2―メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2―エチル,4―メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリスジメチルアミノメチルフェノール、ジアザビシクロウンデセン等の3級アミン類、テトラブチルアンモニウム塩、トリイソプロピルメチルアンモニウム塩、トリメチルデカニルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩などの4級アンモニウム塩、トリフェニルベンジルフォスフォニウム塩、トリフェニルエチルフォスフォニウム塩、テトラブチルフォスフォニウム塩などの4級フォスフォニウム塩(4級塩のカウンターイオンはハロゲン、有機酸イオン、水酸化物イオンなど、特に指定は無いが、特に有機酸イオン、水酸化物イオンが好ましい。)、オクチル酸スズ等の金属化合物等が例示される。
硬化促進剤の使用量は、エポキシ樹脂100重量部当たり、通常0.2〜5.0重量部、好ましくは、0.2〜4.0重量部である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要に応じて無機充填材を含有させることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物が含有する無機充填材は、公知のものであれば何ら制限はない。
無機充填材の具体例としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、酸化亜鉛、炭化タングステン、アルミナ、酸化マグネシウム等の無機粉末充填材、合成繊維、セラミックス繊維等の繊維質充填材、着色剤等が挙げられる。これら無機充填材の形状は、粉末(塊状、球状)、単繊維、長繊維等いずれであってもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物における無機充填材の使用量は、エポキシ樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して通常2〜1000質量部である。これら無機充填材は1種のみを使用しても、2種類以上を併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてシランカップリング剤、離型剤及び顔料等種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂並びに各種熱可塑性樹脂等を添加することができる。
熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の具体例としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、シアナート樹脂、イソシアナート化合物、ベンゾオキサジン化合物、ビニルベンジルエーテル化合物、ポリブタジエンおよびこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、インデン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ジシクロペンタジエン樹脂等が好ましく挙げられる。熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂は本発明のエポキシ樹脂組成物中において60質量%以下を占める量が用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られ、その好ましい用途としては半導体封止材やプリント配線版等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られているのと同様の方法で容易にその硬化物とすることが出来る。例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物の必須成分であるエポキシ樹脂、硬化剤、並びに必要により硬化促進剤、配合剤、各種熱硬化性樹脂や各種熱可塑性樹脂等を、必要に応じて押出機、ニーダ又はロール等を用いて均一になるまで充分に混合して得られた本発明のエポキシ樹脂組成物を、溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更にその融点以上で2〜10時間加熱することにより本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得ることが出来る。前述の方法でリードフレーム等に搭載された半導体素子を封止することにより、本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体封止用途に用いることができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は溶剤を含むワニスとすることもできる。該ワニスは、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤のうち、少なくとも一方に本発明のエポキシ樹脂、もしくは本発明のフェノール樹脂等の少なくとも一方を含み、必要に応じて熱伝導率が20W/m・K以上の無機充填材などのその他の成分を含む混合物を、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル等のエステル類、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ及びソルベントナフサ等の石油系溶剤等の有機溶剤と混合することにより得ることが出来る。溶剤の量はワニス全体に対し通常10〜95質量%、好ましくは15〜85質量%である。
上記のようにして得られるワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維及び紙などの繊維基材に含浸させた後に加熱によって溶剤を除去すると共に、本発明のエポキシ樹脂組成物を半硬化状態とすることにより、本発明のプリプレグを得ることが出来る。尚、ここで言う「半硬化状態」とは、反応性の官能基であるエポキシ基が一部未反応で残っている状態を意味する。該プリプレグを熱プレス成型して硬化物を得ることが出来る。
以下、本発明を実施例で更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。合成例、実施例、比較例において部は質量部を意味する。
なお、水酸基当量、エポキシ当量、軟化点、ICI溶融粘度は以下の条件で測定した。
・水酸基当量
JIS K−7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
・エポキシ当量
JIS K−7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
・軟化点
JIS K−7234に準拠した方法で測定し、単位は℃である。
・ICI溶融粘度
JIS K 7117−2に準拠した方法で測定し、単位はPa・sである。
実施例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらレゾルシン435部、トルエン664部、リンタングステン酸20部を加え、撹拌下で80℃にまで昇温した。この中にアセトンを229部滴下したところ、反応液は激しく発熱した。同温度で5時間反応を続けたところ、白色結晶が析出した。続いて、フラスコにディーンシュタークを設置し、共沸により脱水しながら、120℃まで昇温したところ、白色結晶は溶解し均一になり、この状態でさらに10時間反応させた。反応終了後、リン酸2水素ナトリウム0.2部、30%水酸化ナトリウム2.5部を用いて中和し、さらにメチルイソブチルケトン500部を加えて、樹脂を溶解させた。続けて洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することで本発明のフェノール樹脂(PH1)390部を得た。得られたフェノール樹脂(PH1)の水酸基当量は190g/eq.、軟化点は111℃、重量平均分子量は530であった。得られたフェノール樹脂(P1)のGPCの測定結果を下記図1に示す。一般式(2)と一般式(3)のピークの間に現れるピークの面積の総量は1.6面積%であった。
比較例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらレゾルシン253部、トルエン387部、98%硫酸113部を加え、撹拌下で80℃にまで昇温した。この中にアセトン134部を1時間かけて滴下し、同温度のまま3時間反応を続けた。反応終了後、10%水酸化ナトリウムを用いて中和し、メチルイソブチルケトンを500部加えて、樹脂を溶解させた。続けて洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでフェノール樹脂238部(PH2)を得た。得られたフェノール樹脂(PH2)の水酸基当量は212g/eq.、軟化点は108℃、重量平均分子量は586であった。得られたフェノール樹脂(P2)のGPCの測定結果を下記図2に示す。一般式(2)と一般式(3)のピークの間に現れるピークの面積の総量は8.0面積%であった。
実施例2
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら実施例1で得られたフェノール樹脂(P1)336部、エピクロロヒドリン652部(4モル当量 対 フェノール樹脂)、メタノール42部を加え、撹拌下で溶解し、70〜75℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム75.4部を90分かけて分割添加した後、更に75℃で75分反応を行った。反応終了後,水洗を行い、油層からロータリーエバポレーターを用いて減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤類を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン870部を加え溶解し、75℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液47.2部を加え、1時間反応を行った後、油層の洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することで本発明のエポキシ樹脂(E1)389部を得た。得られたエポキシ樹脂(E1)のエポキシ当量は254g/eq.、軟化点73℃、150℃におけるICI溶融粘度は0.12Pa・s、重量平均分子量は544であった。
比較例2
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら比較例1で得られたフェノール樹脂(P2)238部、エピクロロヒドリン953部(9.2モル当量 対 フェノール樹脂)、メタノール62部を加え、撹拌下で溶解し、70〜75℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム46.4部を90分かけて分割添加した後、更に75℃で75分反応を行った。反応終了後、水洗を行い、油層からロータリーエバポレーターを用いて減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤類を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン600部を加え溶解し、75℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液29.9部を加え、1時間反応を行った後、油層の洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでエポキシ樹脂(E2)272部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は276g/eq.、軟化点71℃、150℃におけるICI溶融粘度は0.15Pa・s、重量平均分子量は594であった。
実施例3、比較例3
表1の配合物の組成の欄に示す配合物を、ミキシングロールにて均一に混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。この組成物を粉砕し、タブレットマシンでタブレットを得た。得られたタブレットをトランスファー成型機で成形し、10×4×90mmの試験片を成形した。この試験片を180℃×6時間、後硬化を行った。この試験片をクランプに垂直に保持し、バーナーの炎を19mmの青色炎に調節し、試験片の下端中央部に炎の9.5mmを10秒接炎する。接炎後バーナーを離して、燃焼継続時間を測定した。消炎後、直ちに10秒接炎した後、バーナーを離し、燃焼継続時間を測定した。各サンプル10回分の燃焼時間合計値を表1にあわせて示す。
尚、耐熱性はDMA(動的粘弾性測定)により評価し、測定装置にはTA−instruments製DMA−2980を用いた。
Figure 0006513372
EP3:フェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製 NC−2000L)
TPP:トリフェニルホスフィン(純正化学株式会社製)
Filler:球場シリカフィラー(株式会社龍森製 MSR−2212)
表1の結果から明らかなとおり、本発明のエポキシ樹脂組成物からなる硬化物は、同様の骨格を有するフェノール樹脂を含むエポキシ樹脂組成物(比較例3)と比較して、スピロクロマン構造を有する化合物が一定純度以上、すなわち不純物が一定の割合以下である場合に、耐熱性を維持しながら、高い難燃性を示すことが確認できる。
(図1)実施例1のフェノール樹脂のGPC
Figure 0006513372
(図2)比較例1のフェノール樹脂のGPC
Figure 0006513372
本発明のフェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物は、耐熱性および難燃性が要求される半導体周辺材料において、これらの諸物性を両立することから、半導体封止材やプリント配線版材として有用である。



Claims (7)

  1. 下記式(1)で表されるカルボニル類と下記式(2)で表されるジヒドロキシベンゼン類を触媒存在下、反応させて得られるスピロクロマンオリゴマー構造を含有するフェノール樹脂であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定において、下記式(2)で表されるジヒドロキシベンゼン類のピークと下記式(3)で表される化合物のピークの間に現れるピークの面積の総量が5面積%以下であることを特徴とするスピロクロマンオリゴマー構造を含有するフェノール樹脂。
    Figure 0006513372
    (式中Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。)
    Figure 0006513372
    (式中Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。kは1〜の正数を示す。)
    Figure 0006513372
    (式中、Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。kは1〜の正数を示す。)
  2. 前記触媒としてヘテロポリ酸を用いた請求項1に記載のフェノール樹脂。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のフェノール樹脂にエピハロヒドリンを反応させて得られるエポキシ樹脂。
  4. 請求項1又は請求項2に記載のフェノール樹脂と、エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項3に記載のエポキシ樹脂と、硬化剤及び/または硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項4又は請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
  7. 下記式(1)で表されるカルボニル類と下記式(2)で表されるジヒドロキシベンゼン類をヘテロポリ酸触媒存在下、反応させて得られるスピロクロマンオリゴマー構造を含有するフェノール樹脂であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定において、下記式(2)で表されるジヒドロキシベンゼン類のピークと下記式(3)で表される化合物のピークの間に現れるピークの面積の総量が5面積%以下であることを特徴とするスピロクロマンオリゴマー構造を含有するフェノール樹脂の製造方法。
    Figure 0006513372
    (式中Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。)
    Figure 0006513372
    (式中Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。kは1〜の正数を示す。)
    Figure 0006513372
    (式中、Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。Rはそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基を表す。kは1〜の正数を示す。)
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