JP6537128B2 - フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物 - Google Patents
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Description
本発明者らは、このような特性が期待できるベンゾキサンテン構造を有するフェノール樹脂、エポキシ樹脂の開発を進めてきており(特許文献1を参照。)、さらなる改良のため、ベンゾキサンテン構造を有する新しいフェノール樹脂、エポキシ樹脂を提供することを目的として鋭意検討を重ねた。
[1]下記一般式(1)で表されるフェノール樹脂、
[2]下記一般式(2)で表されるフェノール化合物と下記一般式(3)で表される化合物との反応により得られる前項[1]に記載のフェノール樹脂、
[3]ジヒドロキシナフタレン類とケトン類と上記一般式(3)で表される化合物を反応させることにより得られる前項[1]または[2]に記載のフェノール樹脂、
[4]ジヒドロキシナフタレン類とアルデヒド類と上記一般式(3)で表される化合物を反応させることにより得られる前項[1]または[2]に記載のフェノール樹脂、
[5]前項[1]〜[4]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂とエピハロヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂、
[6]前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂を少なくとも1種とエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、
[7]前項[5]に記載のエポキシ樹脂と硬化剤及び/または硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物、
[8]前項[6]または[7]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物、
を、提供するものである。
本発明のフェノール樹脂(A)は下記一般式(1)で表されるフェノール樹脂である。
nの平均値は0.1〜8.0であることが好ましく、0.4〜7.0のフェノール樹脂であることが特に好ましい。ここで、得られたフェノール樹脂中のnが0でないフェノール化合物の含有割合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定により算出される含有割合は、5〜80面積%が好ましく、20〜70面積%がより好ましい。
本発明のフェノール樹脂(A)は下記一般式(2)で表されるベンゾピラン型のフェノール樹脂(a)と下記一般式(3)で表される化合物のうち、少なくとも1種類以上を縮合することにより得ることができる。
前記式(23)で表される化合物は前記式(22)で表される化合物1モルに対して0.25〜5.0モル、好ましくは0.3〜2.5モルを使用する。
塩基性条件下で縮合反応を行う場合も同様に行うことができ、使用する塩基性触媒は公知のものであれば特に限定されない。
用いることができる溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルアセテートなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の非プロトン性極性溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素等が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、単独でも2種以上併用してもよい。
溶媒を使用する場合の使用量は特に制限されないが、例えば、式(22)で表される化合物1モルに対し5〜500重量部、好ましくは10〜400重量部の範囲である。
ここで、R1、R2は炭素数1〜6のアルキル基であると吸水性に優れ、置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基であると耐熱性に優れるため好ましい。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定により算出されるベンゾピラン型フェノール樹脂(a)の含有割合は、60〜100面積%が好ましく、75〜99面積%がより好ましい。
また、水酸基当量は100〜500g/eqであることが好ましく、120〜450g/eqであることが特に好ましい。軟化点は30〜300℃であることが好ましく、70〜250℃であることが特に好ましい。
あるいは、前述の一般式(22)と一般式(23)を反応させた後、水洗等の精製、取り出しを行わずに一般式(3)で表される化合物のうち少なくとも1種以上とを反応させることによっても得ることもできる。
また、縮合反応を行う際、必要に応じて酸性または塩基性の触媒を用いることもできる。
用いることができる触媒としては、基本的には酸性触媒が好ましい。触媒を使用する場合、酸性触媒の具体例としては、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸類;シュウ酸、トルエンスルホン酸、酢酸等の有機酸類;タングステン酸等のヘテロポリ酸、活性白土、無機酸、塩化第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄等、その他酸性を示す有機、無機酸塩類、等のノボラック樹脂製造用に通常使用される酸性触媒などが挙げられる。これら触媒は、前述に挙げた物に限定されるものではなく、単独でも2種以上を併用してもよい。触媒の使用量は、フェノール化合物(a)に対し、通常0.005〜2.0倍モル、好ましくは0.01〜1.1倍モルの範囲、もしくはフェノール化合物(a)100gに対し0.1〜10g、より好ましくは0.3〜7gである。触媒量が少ないと反応の進行が遅くなる。また高温での反応が必要になる、反応が最後まで進まない等の課題が生じ、好ましく無い。また、触媒量が多すぎる場合、中和・精製等の後処理において多大な労力がかかることから好ましく無い。
なお、反応により腐食性ガスが生成する場合は、引圧、もしくは窒素等の不活性ガスを送り込むことにより、系内から排出させることが好ましい。
またジベンゾピラン型フェノール樹脂(a)が90%を超える場合、本発明の特徴である高耐熱性が損なわれるため、好ましくない。
本発明のエポキシ樹脂は本発明のフェノール樹脂(A)とエピハロヒドリンを反応させることで得られる。反応の手法としては特に限定しないが、以下に本発明のエポキシ樹脂の合成方法の一例を記載する。
R1、R2、R3は炭素数1〜6のアルキル基であると吸水性に優れ、置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基であると耐熱性に優れるため好ましい。kは0〜4が好ましく、特に0〜2が好ましい。pは0〜4が好ましく、特に0〜2が好ましい。
また、エポキシ樹脂に残存している全塩素としては5000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下、特に2000ppm以下であることが好ましい。塩素量による悪影響については前述同様である。なお、塩素イオン、ナトリウムイオンについては各々5ppm以下が好ましく、より好ましくは3ppm以下である。塩素イオンは先に記載し、いうまでも無いが、ナトリウムイオン等のカチオンも、特にパワーデバイス用途においては非常に重要なファクターとなり、高電圧がかかった際の不良モードの一因となる。
1モルを下回るとエポキシ当量が大きくなる恐れがあり、また、できたエポキシ樹脂の作業性が悪くなる可能性が高いため好ましくなく、20モルを超えると溶剤量が多量であり、産業上好ましくない。
アルカリ金属水酸化物の使用量は本発明のフェノール樹脂(A)の水酸基1モルに対して通常0.90〜3.0モルであり、好ましくは0.95〜2.5モルであり、より好ましくは0.99〜2.0モルであり、特に好ましくは0.99〜1.5モルである。
系中の水分が多い場合には、得られたエポキシ樹脂において電気信頼性が悪くなるため好ましくなく、水分は5%以下にコントロールして合成することが好ましい。また、非極性プロトン溶媒を使用してエポキシ樹脂を得た際には、電気信頼性に優れるエポキシ樹脂が得られるため、非極性プロトン溶媒は好適に使用できる。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂を炭素数4〜7のケトン化合物(たとえば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。)を溶剤として溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した本発明のフェノール樹脂の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
またエピハロヒドリンとの反応においては反応初期から窒素等の不活性ガスで置換されていることが好ましく、空腔内の酸素濃度は10%以下であることが好ましい。酸素の残留は着色に影響する。手法としては本発明のフェノール樹脂を仕込む前に窒素等不活性ガスを吹き込み(気中、もしくは液中)、もしくは、いったん減圧で真空にした後、不活性ガスで置換する方法が挙げられる。不活性ガスでの置換が無い場合、得られる樹脂に着色が生じる場合がある。不活性ガスの吹き込みを行う場合、その量はその釜の容積によっても異なるが、0.5〜10時間でその釜の容積の1〜3倍量が置換できる量の不活性ガスの吹き込みが好ましい。
他のエポキシ樹脂を併用する場合、本発明のエポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分に占める本発明のエポキシ樹脂の割合は30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、特に好ましくは100質量%(他のエポキシ樹脂を併用しない場合)である。ただし、本発明のエポキシ樹脂をエポキシ樹脂組成物の改質剤として使用する場合は、全エポキシ樹脂中で1〜30質量%となる割合で添加する。
(a)アミン系化合物 ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン及びナフタレンジアミン等
(b)酸無水物系化合物 無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルヘキサヒドロ無水フタル酸等
(c)アミド系化合物 ジシアンジアミド、若しくはリノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂等、
(e)その他イミダゾール類、BF3 −アミン錯体、グアニジン誘導体
他の硬化剤は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。他の硬化剤を併用する場合、本発明のエポキシ樹脂組成物中の全硬化剤成分に占める本発明のフェノール化合物の割合は20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、特に好ましくは100質量%(他の硬化剤を併用しない場合)である。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のフェノール樹脂を含む全硬化剤の使用量は、全エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜2.0当量が好ましく、0.6〜1.5当量が特に好ましい。
硬化促進剤の使用量は、エポキシ樹脂100重量部当たり、通常0.2〜5.0重量部、好ましくは、0.2〜4.0重量部である。
本発明のエポキシ樹脂組成物が含有する無機充填材は、公知のものであれば何ら制限はない。無機充填材の具体例としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、酸化亜鉛、炭化タングステン、アルミナ、酸化マグネシウム等の無機粉末充填材、合成繊維、セラミックス繊維等の繊維質充填材、着色剤等が挙げられる。これら無機充填材の形状は、粉末(塊状、球状)、単繊維、長繊維等いずれであってもよいい。
本発明のエポキシ樹脂組成物における無機充填材の使用量は、エポキシ樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して通常2〜1000質量部である。これら無機充填材は1種のみを使用しても、2種類以上を併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られているのと同様の方法で容易にその硬化物とすることが出来る。例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物の必須成分であるエポキシ樹脂、硬化剤、並びに必要により硬化促進剤、配合剤、各種熱硬化性樹脂や各種熱可塑性樹脂等を、必要に応じて押出機、ニーダ又はロール等を用いて均一になるまで充分に混合して得られた本発明のエポキシ樹脂組成物を、溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更にその融点以上で2〜10時間加熱することにより本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得ることが出来る。前述の方法でリードフレーム等に搭載された半導体素子を封止することにより、本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体封止用途に用いることができる。
上記のようにして得られるワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維及び紙などの繊維基材に含浸させた後に加熱によって溶剤を除去すると共に、本発明のエポキシ樹脂組成物を半硬化状態とすることにより、本発明のプリプレグを得ることが出来る。尚、ここで言う「半硬化状態」とは、反応性の官能基であるエポキシ基が一部未反応で残っている状態を意味する。該プリプレグを熱プレス成型して硬化物を得ることが出来る。
なお、水酸基当量、エポキシ当量、軟化点、ICI溶融粘度は以下の条件で測定した。
・水酸基当量
JIS K−7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
・エポキシ当量
JIS K−7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
・軟化点
JIS K−7234に準拠した方法で測定し、単位は℃である。
・ICI溶融粘度
JIS K 7117−2に準拠した方法で測定し、単位はPa・sである。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置、ディーンシュタークを備えたフラスコに、窒素パージを施しながらジヒドロキシナフタレン150部、アセトン49部、メチルイソブチルケトン235部、p−トルエンスルホン酸1.78部を加え、撹拌下で溶解し、脱水をしながら120℃まで昇温した。10時間加熱還流した後、冷却して洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでフェノール樹脂(a)145部を得た。得られたフェノール樹脂(a)の水酸基当量は167g/eq.であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置、塩酸トラップを備えたフラスコに、窒素パージを施しながらフェノール樹脂(a)20部(水酸基当量167g/eq.)、メタノール20部、トルエン30部を加え、撹拌下で溶解し、50℃まで昇温した。そこにp−キシリレングリコール2部を加え、50℃で5時間反応した後、110℃まで昇温し、脱水しながら5時間加熱還流した。その後、室温まで冷却して洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて減圧下でトルエン等を留去することで本発明のフェノール樹脂(A)(P−1)を17部得た。得られたフェノール樹脂の水酸基当量は213g/eq.であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置、塩酸トラップを備えたフラスコに、窒素パージを施しながらフェノール樹脂(a)20部(水酸基当量167g/eq.)、メタノール20部、トルエン30部を加え、撹拌下で溶解し、50℃まで昇温した。そこに4,4´−ビスクロロメチルビフェニル3部を加え、脱塩酸しながら50℃で10時間加熱還流した。その後、室温まで冷却して洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて減圧下でトルエン等を留去することで本発明のフェノール樹脂(A)を18部得た。得られたフェノール樹脂の水酸基当量は274g/eq.であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置、塩酸トラップを備えたフラスコに、窒素パージを施しながらフェノール樹脂(a)20部(水酸基当量167g/eq.)、メタノール22部、トルエン90部を加え、撹拌下で溶解し、70℃まで昇温した。そこに4,4´−ビスクロロメチルビフェニル1部を加え、脱塩酸しながら70℃で10時間加熱還流した。その後、室温まで冷却して洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて減圧下でトルエン等を留去することで本発明のフェノール樹脂(A)(P−2)を16部得た。得られたフェノール樹脂の水酸基当量は219g/eq.であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置、塩酸トラップを備えたフラスコに、窒素パージを施しながらジヒドロキシナフタレン20部、アセトン11部、メチルイソブチルケトン50部、p−トルエンスルホン酸1部を加え、撹拌下で溶解し、70℃まで昇温し、10時間加熱還流した。その後、反応温度を110℃まで昇温し、脱水をしながらさらに6h加熱還流した。その後、p−キシリレングリコール0.8部を加え、脱水しながら110℃で6時間加熱還流した。その後、室温まで冷却して洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて減圧下でメチルイソブチルケトン等を留去することで本発明のフェノール樹脂(A)を25部得た。得られたフェノール樹脂の水酸基当量は197g/eq.であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置、塩酸トラップを備えたフラスコに、窒素パージを施しながらジヒドロキシナフタレン50部、アセトン18部、メチルイソブチルケトン50部、p−トルエンスルホン酸6部を加え、撹拌下で溶解し、70℃まで昇温し、10時間加熱還流した。その後、反応温度を110℃まで昇温し、脱水をしながらさらに6h加熱還流した。その後、p−キシリレングリコール2部を加え、脱水しながら110℃で6時間加熱還流した。その後、室温まで冷却して洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて減圧下でメチルイソブチルケトン等を留去することで本発明のフェノール樹脂(A)を55部得た。得られたフェノール樹脂の水酸基当量は225g/eq.であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置、塩酸トラップを備えたフラスコに、窒素パージを施しながらジヒドロキシナフタレン20部、アセトン11部、メチルイソブチルケトン50部、p−トルエンスルホン酸1.2部を加え、撹拌下で溶解し、70℃まで昇温し、10時間加熱還流した。その後、反応温度を110℃まで昇温し、脱水をしながらさらに6h加熱還流した。70℃まで冷却した後、4,4´−ビスクロロメチルビフェニル1部を加え、脱塩酸しながら70℃で10時間加熱還流した。その後、室温まで冷却して洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて減圧下でメチルイソブチルケトン等を留去することで本発明のフェノール樹脂(A)を21部得た。得られたフェノール樹脂の水酸基当量は230g/eq.であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら本発明のフェノール樹脂(P−1水酸基当量213g/eq.)63部、エピクロロヒドリン190部(7モル当量対フェノール樹脂)、メタノール57部を加え、撹拌下で溶解し、70〜75℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム13部を90分かけて分割添加した後、更に75℃で75分反応を行った。反応終了後,水40部で水洗を行い、油層からロータリーエバポレーターを用いて減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤類を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン150部を加え溶解し、75℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液4.7部を加え、1時間反応を行った後、油層の洗浄水が中性になるまで水洗を行った。得られた溶液をロータリーエバポレーターを用いて減圧下、メチルイソブチルケトン等を留去することで本発明のエポキシ樹脂(EP−1)70部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は318g/eq.、軟化点121℃であった。
(実施例8)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら本発明のフェノール樹脂(P−2水酸基当量219g/eq.)20部、エピクロロヒドリン59部(7モル当量対フェノール樹脂)、メタノール18部を加え、撹拌下で溶解し、70〜75℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム4部を90分かけて分割添加した後、更に75℃で75分反応を行った。反応終了後,水12部で水洗を行い、油層からロータリーエバポレーターを用いて減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤類を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン48部を加え溶解し、75℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液1.5部を加え、1時間反応を行った後、油層の洗浄水が中性になるまで水洗を行った。得られた溶液をロータリーエバポレーターを用いて減圧下、メチルイソブチルケトン等を留去することで本発明のエポキシ樹脂(EP−2)22部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は312g/eq.、軟化点114℃であった。
前記で得られたエポキシ樹脂(EP−1、EP−2)及び比較用のエポキシ樹脂(EP−3)を硬化剤(P−3)、フィラー、ワックス、カップリング剤、硬化促進剤を表1の割合(当量)で配合し、ミキシングロールを用いて均一に混合・混練し、硬化性樹脂組成物を得た。この硬化性樹脂組成物をミキサーにて粉砕し、更にタブレットマシーンにてタブレット化した。このタブレット化された硬化性樹脂組成物をトランスファー成型(175℃×60秒)し、更に脱型後160℃×2時間+180℃×6時間の条件で硬化、評価用試験片を得た。試験結果も表1に示す。なお、物性値の測定は以下の方法で行った。
・ガラス転移温度(DMA):JISK−7244に準拠
P−3:三井化学社製ミレックスXLC−3L
C1:トリフェニルフォスフィン(北興化学株式会社製TPP)
溶融シリカ:瀧森工業社製MSR−2212
硬化促進剤使用量:1phr対エポキシ樹脂
エポキシ樹脂・硬化剤比率:1.0等当量
架橋密度を上げずに高耐熱化しているため、架橋密度の向上によって高Tg化したときに通常低下する難燃性、吸水性、誘電特性が本発明のエポキシ樹脂では低下しないことがわかる。したがって、本発明のエポキシ樹脂は耐熱性、難燃性、吸水性、誘電特性に優れることがわかる。
Claims (8)
- 1,4−ジヒドロキシナフタレンとケトン類と前記一般式(3)で表される化合物を反応させることにより得られる請求項1または請求項2に記載のフェノール樹脂。
- 1,4−ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類と前記一般式(3)で表される化合物を反応させることにより得られる請求項1または請求項2に記載のフェノール樹脂。
- 請求項1及至請求項4のいずれか一項に記載のフェノール樹脂とエピハロヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂。
- 請求項1及至請求項4のいずれか一項に記載のフェノール樹脂を少なくとも1種とエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
- 請求項5に記載のエポキシ樹脂と硬化剤及び/または硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物。
- 請求項6または請求項7のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
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