JP2001163233A - パワーステアリング装置 - Google Patents
パワーステアリング装置Info
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Abstract
パワーシリンダ8やステアリングバルブ9などの出力側
が要求する流量に近い値にして、ポンプの駆動トルクを
抑え、省エネ制御をする 【解決手段】 操舵角θによるソレノイド電流指令値I
1と、操舵角速度ωによるソレノイド電流指令値I2と、
スタンバイ流量を特定したソレノイド電流指令値I4と
に基づいて、ソレノイドSOLの励磁電流Iを特定する
ようにしている。
Description
側に導く流量を制御する流量制御弁を備えたパワーステ
アリング装置に関する。
込まれた流量制御弁は、本体にスプールを組み込み、こ
のスプールの一端を、ポンプポートに常時連通する一方
のパイロット室に臨ませ、スプールの他端を、スプリン
グを介在させた一方のパイロット室に臨ませている。そ
して、上記一方のパイロット室の下流側に固定オリフィ
スを設け、この固定オリフィスを介してパワーシリンダ
を制御するステアリングバルブに圧油を導くようにして
いる。
記一方のパイロット室のパイロット圧とし、下流側の圧
力を上記他方のパイロット室のパイロット圧とし、両パ
イロット室の圧力バランスでスプールの移動位置を制御
するようにしている。このスプールの移動位置によっ
て、ポンプの吐出量を上記ステアリングバルブ側に導く
制御流量QPと、タンクまたはポンプに還流させる戻り
流量QTとに分配する構成にしている。そして、上記ス
プールは、固定オリフィス前後の差圧を一定に保って、
パワーシリンダを制御するステアリングバルブ側には、
常に、一定の制御流量QPが供給されるようにしてい
る。
の装置では、流量制御弁から常に一定の制御流量QP
が、パワーシリンダを制御するステアリングバルブ側に
供給されることになる。言い換えると、この制御流量Q
Pは、車速や操舵状況に関わりなく、常に一定の制御流
量QPを上記ステアリングバルブ側に供給し続けること
になる。しかしながら、車速や操舵状況に関わりなく、
制御流量QPを特定すると、例えば、パワーシリンダが
必要とする流量QMに対して、QP>QMとなったと
き、その余剰流量を、上記ステアリングバルブを介して
タンクに戻さなければならない。
ルブを介してタンクに戻すということは、それだけ回路
の圧力損失を大きくしてしまう。言い換えると、ポンプ
はこの圧力損失分の駆動トルクを消費し続けなければな
らないことになる。そのために、ポンプの駆動トルクが
大きくなればなるほど、多量のエネルギーを消費するこ
とになる。
ンダの最大必要流量にあわせて設定しているので、ほと
んどの場合、何らかの余剰流量をタンクに還流させてい
るのが現状である。そのために、この従来の装置では、
そのエネルギー損失が大きくなるという問題があった。
この発明の目的は、車両の走行条件や操舵状況に応じ
て、制御流量QPを制御することによって、エネルギー
損失を最小限に抑えたパワーステアリング装置を提供す
ることである。
前提にする。本体にスプールを組み込み、このスプール
の一端を、ポンプポートに常時連通する一方のパイロッ
ト室に臨ませ、スプールの他端を、スプリングを介在さ
せた他方のパイロット室に臨ませている。そして、上記
一方のパイロット室の下流側にオリフィスを設け、この
オリフィスを介してパワーシリンダを制御するステアリ
ングバルブに圧油を導くようにしている。一方、上記オ
リフィスの上流側の圧力を上記一方のパイロット室のパ
イロット圧とし、下流側の圧力を上記他方のパイロット
室のパイロット圧とし、両パイロット室の圧力バランス
でスプールの移動位置を制御する。そして、スプールの
移動位置に応じて、ポンプの吐出量を上記ステアリング
バルブ側に導く制御流量QPと、タンクまたはポンプに
還流させる戻り流量QTとに分配する構成にしている。
は、次の点に特徴を有する。すなわち、上記オリフィス
を、ソレノイドの励磁電流Iに応じて開度を制御する可
変オリフィスとするとともに、この可変オリフィスのソ
レノイドの励磁電流Iを制御するコントローラを設けて
いる。しかも、このコントローラには舵角センサーを接
続し、この舵角センサーからの操舵角に応じた操舵角θ
と操舵角速度ωとを演算または記憶するようにしてい
る。一方、コントローラはこれら操舵角θに応じたソレ
ノイド電流指令値I1および操舵角速度ωに応じたソレ
ノイド電流指令値I2を記憶または演算するとともに、
これらソレノイド電流指令値I1とI2とを加算し、こ
の加算した値に、さらにスタンバイ用のソレノイド電流
指令値I4を加算し、これら合計指令値を基に可変オリ
フィスのソレノイドの励磁電流Iを制御する構成にして
いる。
ーを接続し、コントローラは、車速センサーからの車速
信号に応じたソレノイド電流指令値I3を演算または記
憶する一方、ソレノイド電流指令値I1とI2とを加算し
た値にソレノイド電流指令値I3を積算し、その積算値
にスタンバイ用のソレノイド電流指令値I4を加算する
構成にした点に特徴を有する。
ーを接続し、コントローラは、車速センサーからの車速
信号に応じたソレノイド電流指令値I3を演算または記
憶する一方、ソレノイド電流指令値I1とI2とを加算し
た値に対して、車速信号によるソレノイド電流指令値I
3を限界値とし、その限界値以内のソレノイド電流指令
値をスタンバイ用のソレノイド電流指令値I4に加算す
る構成にした点に特徴を有する。
ド電流指令値I1と、操舵角速度ωに応じたソレノイド
電流指令値I2とのうち、大きい方のソレノイド電流指
令値を選択する。そして、この選択した値に、さらにス
タンバイ用のソレノイド電流指令値I4を加算し、これ
ら合計指令値を基に可変オリフィスのソレノイドの励磁
電流Iを制御する構成にした点に特徴を有する。
ーを接続し、コントローラは、車速センサーからの車速
信号に応じたソレノイド電流指令値I3を演算または記
憶する一方、ソレノイド電流指令値I1あるいはI2のい
ずれか大きい方の値に、ソレノイド電流指令値I3を積
算し、その積算値をソレノイド電流指令値I4に加算す
る構成にした点に特徴を有する。
ーを接続し、コントローラは、車速センサーからの車速
信号に応じたソレノイド電流指令値I3を演算または記
憶する一方、ソレノイド電流指令値I1あるいはI2のい
ずれか大きい方の値に対して、車速信号によるソレノイ
ド電流指令値I3を限界値とし、その限界値以内のソレ
ノイド電流指令値をソレノイド電流指令値I4に加算す
る構成にした点に特徴を有する。
ドの励磁電流Iと可変オリフィスの開度で決まる制御流
量QPとの特性、および操舵角θとソレノイド指令値I
1との特性を積算して、操舵角θとソレノイド電流I1に
応じた可変ソレノイドの開度で決まる制御流量QPとが
リニアな特性になる構成にした点に特徴を有する。
ドの励磁電流Iと可変オリフィスの開度で決まる制御流
量QPとの特性、および操舵角速度ωとソレノイド指令
値I2との特性を積算して、操舵角ωとソレノイド電流
I2に応じた可変ソレノイドの開度で決まる制御流量Q
Pとがリニアな特性になる構成にした点に特徴を有す
る。
を示したものである。そして、まず、図1に基づいて、
パワーステアリング装置全体の構成を説明する。本体B
には、流量制御弁Vのスプール1とともにポンプPも一
体的に組み込んでいる。上記スプール1は、その一端を
一方のパイロット室2に臨ませ、他端を他方のパイロッ
ト室3に臨ませている。上記一方のパイロット室2は、
ポンプポート4を介してポンプPに常時連通している。
また、他方のパイロット室3にはスプリング5を介在さ
せている。このようにした両パイロット室2,3は、ソ
レノイドSOLの励磁電流Iに応じて開度を制御する可
変オリフィスaを介して、たがいに連通している。
6→可変オリフィスa→流路7を経由してパワーシリン
ダ8を制御するステアリングバルブ9の流入側に連通し
ている。また、他方のパイロット室は、流路10および
流路7を介してステアリングバルブ9の流入側に連通し
ている。したがって、上記両パイロット室2,3は、可
変オリフィスaを介して連通することになり、可変オリ
フィスaの上流側の圧力が一方のパイロット室に作用
し、下流側の圧力が他方のパイロット室3に作用するこ
とになる。
室2の作用力と、他方のパイロット室3の作用力とがバ
ランスした位置を保つが、そのバランス位置において、
前記ポンプポート4とタンクポート11との開度が決め
られる。今、エンジン等からなるポンプ駆動源12が停
止していると、ポンプポート4に圧油が供給されない。
ポンプポート4に圧油が供給されなければ、両パイロッ
ト室2,3には圧力が発生しないので、スプール1はス
プリング5の作用で図示のノーマル位置を保つ。
プポート4に圧油が供給されると、可変オリフィスaに
流れができるので、そこに圧力損失が発生する。この圧
力損失の作用で、両パイロット室2,3に圧力差が発生
し、この圧力差に応じてスプール1がスプリング5に抗
して移動し、上記バランス位置を保つ。このようにスプ
ール1がスプリング5に抗して移動することによって、
タンクポート11の開度を大きくするが、このときのタ
ンクポート11の開度に応じて、ステアリングバルブ9
側に導かれる制御流量QPと、タンクTあるいはポンプ
Pに還流される戻り流量QTの分配比が決まる。言い換
えれば、タンクポート11の開度に応じて制御流量QP
が決まることになる。
の移動位置で決まるタンクポート11の開度に応じて制
御されるということは、結局は、可変オリフィスaの開
度に応じて制御流量QPが決まることになる。なぜな
ら、スプール1の移動位置は、両パイロット室2,3の
圧力差で決まるとともに、この圧力差を決めているのが
可変オリフィスaの開度だからである。
御流量QPを制御するためには、可変オリフィスaの開
度、すなわちソレノイドSOLの励磁電流を制御すれば
よいことになる。なぜなら、可変オリフィスaは、ソレ
ノイドSOLが非励磁状態のときにその開度を最少に保
ち、励磁電流を大きくしていくにしたがってその開度を
大きくするからである。
していないステアリングホィールの入力トルク(操舵ト
ルク)に応じて、パワーシリンダ8への供給流量を制御
するものである。例えば、操舵トルクが大きければ、パ
ワーシリンダ8への供給量を大きくし、操舵トルクが小
さければそれに応じて供給流量も少なくするようにして
いる。この操舵トルクとステアリングバルブ9の切り換
え量は、図示していないトーションバーなどのねじれ反
力によって決まることになる。
ステアリングバルブ9の切り換え量を大きくすれば、そ
の分、パワーシリンダ8によるアシスト力が大きくな
る。反対に、ステアリングバルブ9の切り換え量を小さ
くすれば、上記アシスト力は小さくなる。そして、操舵
トルクによって決まるパワーシリンダ8の必要(要求)
流量QMと、流量制御弁Vで決められる制御流量QPと
を、なるべく等しくすれば、ポンプP側のエネルギー損
失を低く抑えることができる。なぜなら、ポンプP側の
エネルギーロスは、制御流量QPとパワーシリンダ8の
要求量QMとの差によって発生するからである。
ンダ8の要求量QMにできるだけ近づけるために、可変
オリフィスaの開度を制御するのが、ソレノイドSOL
に対する励磁電流であり、この励磁電流を制御するの
が、コントローラCである。このコントローラCには、
舵角センサー16と車速センサー17とを接続し、これ
ら両センサーの出力信号に基づいて、ソレノイドSOL
の励磁電流を制御するようにしている。
形成したスリットで、スプール1が図示の位置にあると
きにも、一方のパイロット室2が、このスリット18を
介して、流路7に常時連通するようにしている。言い換
えると、スプール1が図示の状態にあって、流路6を閉
じているようなときにも、ポンプPの吐出油が、このス
リット18を介して、ステアリングバルブ9側に供給さ
れるようにしている。このように微少流量であるが、ス
テアリングバルブ9側に圧油を供給するようにしたの
は、装置全体の焼き付きの防止、キックバック等の外乱
の防止、および応答性の確保を目的にしているからであ
る。ただし、これらの目的は、後で説明するスタンバイ
流量を確保することでも達成できるので、詳細な説明は
後に譲ることにする。
ノイドSOLとの間に接続したドライバーである。
2に示すとおりである。すなわち、コントローラCに
は、舵角センサー16からの舵角信号と車速センサー1
7からの車速信号とが入力する。そして、コントローラ
Cは、舵角信号から操舵角θと操舵角速度ωとを演算す
る。そして、これら操舵角θおよび操舵角速度ωに基づ
いて、上記要求量QMを推定するようにしているが、実
際には、操舵トルクに基づいて、上記要求流量QMを特
定した方が正確な制御できる。しかし、操舵トルクを検
出して、可変オリフィスaの開度を制御しようとする
と、現状のパワーステアリングシステムを大幅に変更し
なければならなくなる。
操舵角θおよび操舵角速度ωを基にして、要求流量QM
を推定するようにすれば、現状のパワーステアリングシ
ステムそのものを、ほとんど変更しなくてもよい。した
がって、この発明の特徴にもつながるが、操舵角θおよ
び操舵角速度ωを検出して、上記要求流量QMを推定す
る第1の実施態様の方が、操舵トルクを直接検出するシ
ステムよりも大幅にコストダウンできるという特徴があ
る。なお、この特徴は、後で説明する第2の実施態様に
もあてはまること当然である。
θと操舵角速度ωをもとして、ソレノイドSOLの励磁
電流を制御するようにしている。その制御特性は、図2
に示すとおりである。図2における操舵角θとソレノイ
ド電流指令値I1とは、その操舵角θと制御流量QPと
の関係がリニアな特性になる理論値を基にして決めてい
る。また、操舵角速度ωとソレノイド電流指令値I2と
の関係も、操舵角速度ωと制御流量QPとがリニアな特
性になる理論値を基にして決めている。
ある設定値以上にならなければ、上記指令値I1および
I2のいずれもゼロを出力するようにしている。つま
り、ステアリングホィールが中立あるいはその近傍にあ
る時には、上記指令値I1もI2もゼロになるようにして
いる。そして、これら操舵角θに対するソレノイド電流
指令値I1、および操舵角速度ωに対するソレノイド電
流指令値I2は、テーブル値としてコントローラCにあ
らかじめ記憶させておいてもよいし、操舵角θあるいは
操舵角速度ωを基にして、その都度、コントローラCに
演算させるようにしてもよい。
ノイド電流指令値I1と、操舵角速度ωを基にしてソレ
ノイド電流指令値I2とを求めたら、それら両者を加算
する。この加算値(I1+I2)に、今度は車速信号に基
づいたソレノイド電流指令値I3 を積算する。ただし、
上記車速信号に基づいたソレノイド電流指令値I3は、
車速が低速域では1を出力し、高速域ではゼロを出力す
るとともに、その間の中速域では1からゼロまでの小数
点以下の値を出力する。
速信号に基づいたソレノイド電流指令値I3を積算すれ
ば、低速域では(I1+I2)がそのまま出力されるし、
高速域では(I1+I2)がゼロになる。また、中速域で
は、速度が上がればそれに反比例した値が出力されるこ
とになる。上記のように(I1+I2)×I3 が求まった
ら、さらにそれにスタンバイソレノイド電流指令値I4
を加算する。つまり、{(I1+I2)×I3}+I4=I
(ソレノイド電流指令値)として、ドライバー19から
出力させる。
は、常に、所定の電流が可変オリフィスaのソレノイド
SOLに供給されるようにするためのものである。この
ようにスタンバイソレノイド電流指令値I4が供給され
た可変オリフィスaは、操舵角θ、操舵角速度ωおよび
車速を基にしたソレノイド電流指令値が、たとえゼロだ
ったとしても、その開度を一定に保つとともに、一定の
スタンバイ流量を確保する。
ワーシリンダ8およびステアリングバルブ9側の要求流
量QMがゼロなら、流量制御弁Vの制御流量QPもゼロ
にするのが理想的であるが、その理由は次のとおりであ
る。制御流量QPをゼロにするということは、ポンプP
の吐出量全量をタンクポート11からポンプPまたはタ
ンクTに還流させることを意味する。そして、タンクポ
ート11からポンプPまたはタンクTに還流する流路
は、本体B内にあって非常に短いので、その圧力損失が
ほとんどない。圧力損失がほとんどないので、ポンプP
の駆動トルクも最少に抑えられ、その分、省エネにつな
がることになる。このような意味から、要求流量QMが
ゼロのときに、制御流量QPもゼロにするのが、省エネ
という観点からは、絶対に有利になる。
でもスタンバイ流量QSを確保したのは、次の3つの理
由からである。 装置の焼き付き防止 ある程度の油を装置に循環させておいた方が、その油に
よる冷却効果が期待できるが、スタンバイ流量はこの冷
却機能を果たすことになる。
グトルクに対抗 タイヤに外乱やセルフアライニングトルク等による抗力
が作用すると、それがパワーシリンダ8のロッドに作用
する。もし、スタンバイ流量を確保しておかなければ、
この外乱やセルフアライニングトルクによる抗力で、タ
イヤがふらついてしまう。しかし、スタンバイ流量を確
保しておけば、たとえ上記抗力が作用したとしても、タ
イヤがふらついたりしない。すなわち、上記パワーシリ
ンダ8のロッドには、ステアリングバルブ9を切り換え
るためのピニオン等がかみ合っているので、上記抗力が
作用すると、ステアリングバルブも切り換わって、その
抗力に対抗する方向にスタンバイ流量を供給することに
なる。したがって、スタンバイ流量を確保しておけば、
上記キックバックによる外乱や、セルフアライニングト
ルクに対抗できることになる。
しておけば、それが全然ないときよりも、目的の制御流
量QPに到達する時間が短くてすむ。この時間差が応答
性になるので、結局、スタンバイ流量QSを確保した方
が、応答性を向上させることができる。
えば、車速が低速域にある状態で操舵すれば、そのとき
の操舵角θと操舵角速度ωによって、ソレノイド電流指
令値I1とI2とが決まる。そして、これら指令値を加算
するとともに、この加算値(I1+I2)に車速に応じた
ソレノイド電流指令値I3=1を積算する。その積算値
である(I1+I2)に、スタンバイ流量を確保するため
のソレノイド電流指令値I4をさらに加算する。すなわ
ち、低速域では、ソレノイド電流指令値Iは、I=I1
+I2+I4といいうことになる。
イド電流指令値I1と、操舵角速度ωによるソレノイド
電流指令値I2とを加算したのは、次の理由からであ
る。第1の理由は、応答性を確保することである。つま
り、パワーシリンダ8やステアリングバルブ9側の要求
流量QMに対して、常に、多めの制御流量QMを供給し
ている方が、パワーシリンダの応答性がよくなる。この
ような理由から、両電流値I1、I2を加算するようにし
ている。
ためである。例えば、ステアリングバルブ9側の要求流
量QMを推定するには、操舵トルクが最も適切であるこ
とは前記したとおりである。そして、この操舵トルクに
最も近似しているのが、操舵角速度ωである。したがっ
て、理論的には、操舵角速度ωによるソレノイド電流指
令値I2 だけでも、それなりの制御が可能になる。しか
し、操舵角速度ωは、ステアリングを操舵している最中
にしか発生しない。例えば、ステアリングをある角度操
舵して、その舵角の位置で、ステアリングを止めて保舵
している時には、操舵角速度ωはゼロになってしまう。
Pを確保できなければ、車両のセルフアライニングトル
クによる抗力に負けて、パワーシリンダ8が動いてしま
う。このようにパワーシリンダ8がその位置を保てずに
動いてしまえば、それこそ保舵そのものが不可能にな
る。しかし、上記のように操舵角θをパラメータにして
おけば、保舵時であっても操舵角θが保たれているの
で、ソレノイド電流指令値I1を確保できる。したがっ
て、この電流指令値I1で保舵に必要なパワーを維持で
きることになる。なお、上記の操舵角θと操舵角速度ω
との関係は、低速域、中速域および高速域での走行中に
もすべて同じようにあてはまることである。
どでステアリングホィールを中立位置近傍に保っている
ときには、操舵角θによるソレノイド電流指令値I1お
よび操舵角速度ωによるソレノイド電流指令値I2は、
ゼロになってしまう。しかし、この場合にも、ソレノイ
ド電流指令値I4だけは出力されるので、スタンバイ流
量は必ず確保されることになる。したがって、低速域で
の直進走行時であっても、装置の冷却効果を期待できる
とともに、キックバック等による外乱にも対抗できる。
しかも、スタンバイ流量を確保しているので、応答性も
良好に保てる。また、このスタンバイ流量の効能は、低
速域、中速域および高速域での走行中にもすべて同じよ
うにあてはまることである。
ソレノイド電流指令値I3がゼロになる。この電流指令
値I3 がゼロになれば、(I1+I2)I3=0となるの
で、制御流量QPは、スタンバイ流量QSだけとなり、
パワーアシスト力もほとんどなくなる。そして、中速域
での走行中には、その速度に応じて、車速によるソレノ
イド電流指令値I3 が小さくなっていくので、それにと
もなって制御流量QPも少なくなる。したがって、パワ
ーアシスト力もその分小さくなっていく。
アリングホィールを大きく切ることはない。ステアリン
グホィールを大きく切るのは、ほとんど低速域である。
その関係を示したのが、図4および図5である。これら
の図からも明らかなように、車速が高くなるにしたがっ
て、操舵角θおよび操舵角速度ωの範囲が、中立を中心
に狭くなっていく。したがって、車速と、操舵角θある
いは操舵角速度ωの範囲とは、相関性があるといえる。
このことから、車速センサー17の代わりに、操舵角を
代用することが可能になる。したがって、車速センサー
17を設けることと、車速に応じたソレノイド電流指令
値I3を考慮することとは、必ずしも必須の構成要素と
はならない。ただし、車速センサー17によってソレノ
イド電流指令値I3を考慮した方が、実際の走行により
適した制御が可能になる。
で、第1の実施態様と相違させている。すなわち、第1
の点は、操舵角θによるソレノイド電流指令値I1と、
操舵角速度ωによるソレノイド電流指令値I2とを、実
際の状況により近づけたことである。第2の点は、操舵
角θによるソレノイド電流指令値I1と、操舵角速度ω
によるソレノイド電流指令値I2 とを、第1の実施態様
のように加算するのではなく、いずれか大きい方の値を
選択するようにしたことである。
は、次のことを考慮している。ドライバーの操舵感覚を
基にすれば、図7に示すように、操舵角θとそれによっ
て特定される制御流量QPとは、リニアな特性を維持す
るのが理想的である。ところが、ソレノイド電流指令値
Iと、ソレノイドSOLによる可変オリフィスaの開度
で決まる制御流量QPとは、図8に示すように、二乗特
性に近いものになる。これは、可変オリフィスaを構成
するポペット等の質量とか、ソレノイドの性能とが相乗
的に作用した結果である。
舵角θによってソレノイド電流指令値I1を求め、この
指令値I1で制御流量QPを特定しようとしているの
で、そのままだと、操舵角θと制御流量QPとが、リニ
アな特性にならない。そこで、この第2の実施態様で
は、操舵角θによるソレノイド電流指令値I1を、図6
に示すように、制御流量QPが最大流量に達するまで
を、曲線状にしたものである。
操舵角θと制御流量QPとが、図7に示すリニアな特性
になるポイントを、実験によってプロットしていっても
よいし、図8の曲線と図7の曲線を数式化し、図7の値
を図8の値で除算して、θ=f(I)を求めてもよい。
なお、このことは、操舵角速度ωに関しても全く同じこ
とがいえる。
操舵角θおよび操舵角速度ωと、制御流量QPとがリニ
アな関係になるので、操舵感覚と出力とを一致させるこ
とができる。なお、上記のように制御流量QPと、操舵
角θあるいは操舵角速度ωとの相対関係を、リニアな特
性にする考え方は、前記した第1の実施態様にも適用で
きること当然である。
θによるソレノイド電流指令値I1と、操舵角速度ωに
よるソレノイド電流指令値I2 とのいずれか大きい方の
値を選択するようにした理由を次に説明する。例えば、
第1の実施態様では、ソレノイド電流指令値I1とI2と
を加算していたが、このように指令値I1とI2とを加算
すると、その値のふれ幅が大きくなってしまう。
イド電流指令値I1とI2とを加算すると、そのグラフの
曲線の中で、変化率が最も大きなところで、図9の斜線
で示すような幅ができてしまう。例えば、図9における
x点に注目すると、x=θ1+ω2のときもあるし、x=
θ2+ω2のときもある。このように加算される個々の値
が相違するにもかかわらず、xが同じ値になってしまう
と、ドライバーの操舵感覚は同じなのに、電流指令値
(I1+I2)がy1、y2の範囲で異なったものになる。
そのために、ドライバーの操舵感覚は同じなのに、出力
が異なるという結果になってしまう。このような理由か
ら、第1の実施態様の場合には、操舵感が多少悪くなる
ということがあった。
イド電流指令値I1 またはI2のうち、大きな方の値だ
けを選択するようにしたものである。このように一方の
値だけを選択することによって、図9の斜線の部分で示
したふれ幅を最小限に抑えることができる。なお、ソレ
ノイド電流指令値I1またはI2のうち、小さい値ではな
く、大きな値を選択するようにしたのは、応答性を確保
するためである。つまり、制御流量QPが少ない場合よ
りも多めの方が、応答性がよいことは前記したとおりで
ある。
るソレノイド電流指令値I3をリミッターとして利用し
た点も、第1の実施態様とは相違する。つまり、第1の
実施態様では、この指令値I3を、(I1+I2)に積算
していた。しかし、指令値I3を積算してしまうと、車
速が高くなればなるほど、実質的に係数が小さくなる。
係数が小さくなれば、グラフの傾きがそれだけ緩やかに
なる。傾きが緩やかになれば、応答性が悪くなる。そこ
で、この第2の実施態様では、上記のように車速による
ソレノイド電流指令値I3をリミッターとして利用し、
ソレノイド電流指令値Iの傾きを一定に保つようにした
ものである。
わずかなので、それを無視しても操舵感にそれほど大き
な影響を及ぼさない。したがって、この第2の実施態様
においても、車速によるソレノイド電流指令値I3を、
いずれか大きい方のソレノイド電流指令値I1またはI2
に積算してもよい。反対に、車速によるソレノイド電流
指令値I3をリミッターとして利用することは、第1の
実施態様においてもそのまま適用することができる。な
お、この第2の実施態様においても、スタンバイ流量を
確保するようにした点は、第1の実施態様と全く同様で
ある。
操舵角速度ωを検出することによって、操舵トルクによ
り近い値で制御流量QPを制御できる。したがって、上
記制御流量QPを適正に確保して、省エネ制御ができ
る。また、ステアリングホィールを止めた保舵時には、
操舵角θによって制御流量QPを適正に確保し、セルフ
アライニングトルクに対抗させることができる。さらに
また、直進走行時のように、操舵角θによるソレノイド
電流指令値I1や操舵角速度ωによるソレノイド電流指
令値I2がゼロであっても、スタンバイ流量を確保でき
る。したがって、装置の焼き付きを防止できるし、キッ
クバック等の外乱にも対応できる。さらには、良好な応
答性をも確保できる。
切っている操舵時、ステアリングホィールを止めている
保舵時、あるいは直進走行のいずれの場合にも、制御流
量QPを適正に確保し、ポンプを駆動するためのトルク
を必要以上大きくならないようにして、的確な省エネ制
御を実現できる。
出力側の操舵反力を制御したり、ステアリングバルブの
感度を制御したりするために、操舵角、操舵角速度ある
いは車速等の信号を利用することは、従来から行われて
いる。しかし、この発明のように、制御流量QPを制御
して、省エネをテーマにしたもので、操舵角、操舵角速
度あるいは車速等の信号を利用したものは従来にはな
い。この発明は、省エネをテーマにして、操舵角、操舵
角速度あるいは車速等の信号を利用した点に最大の特徴
を有する。
度感応タイプにしているので、車速に応じた省エネ制御
が可能になる。第3および第6の発明の装置によれば、
車速感応タイプではあるが、車速によるソレノイド電流
指令値I3を、リミッターとして利用しているので、応
答性をより良好に保つことができる。第7および第8の
発明の装置によれば、操舵角に対する制御流量QPの特
性をよりリニアにすることができるので、操舵フィーリ
ングを向上させることができる。
説明図である。
である。
る。
ある。
説明図である。
る。
したグラフである。
レノイド電流指令値とを加算した値との関係を示したグ
ラフである。
流指令値 QP 制御流量 QT 戻り流量 QM 必要流量(要求流量) QS スタンバイ流量 B 本体 1 スプール 2 一方のパイロット室 3 他方のパイロット室 4 ポンプポート P ポンプ SOL ソレノイド a 可変オリフィス 8 パワーシリンダ 9 ステアリングバルブ C コントローラー 16 舵角センサー 17 車速センサー T タンク
Claims (8)
- 【請求項1】 本体にスプールを組み込み、このスプー
ルの一端を、ポンプポートに常時連通する他方のパイロ
ット室に臨ませ、スプールの他端を、スプリングを介在
させた他方のパイロット室に臨ませ、上記一方のパイロ
ット室の下流側にオリフィスを設け、このオリフィスを
介してパワーシリンダを制御するステアリングバルブに
圧油を導く一方、上記オリフィスの上流側の圧力を上記
一方のパイロット室のパイロット圧とし、下流側の圧力
を上記他方のパイロット室のパイロット圧とし、両パイ
ロット室の圧力バランスでスプールの移動位置を制御す
るとともに、その移動位置に応じて、ポンプの吐出量を
上記ステアリングバルブ側に導く制御流量QPと、タン
クまたはポンプに還流させる戻り流量QTとに分配する
構成にしたパワーステアリング装置において、上記オリ
フィスは、ソレノイドの励磁電流Iに応じて開度を制御
する可変オリフィスとするとともに、この可変オリフィ
スのソレノイドの励磁電流Iを制御するコントローラを
設け、かつ、このコントローラには舵角センサーを接続
し、この舵角センサーからの操舵角に応じた操舵角θと
操舵角速度ωとを演算または記憶する一方、コントロー
ラはこれら操舵角θに応じたソレノイド電流指令値I1
および操舵角速度ωに応じたソレノイド電流指令値I2
を記憶または演算するとともに、これらソレノイド電流
指令値I1とI2とを加算し、この加算した値に、さら
にスタンバイ用のソレノイド電流指令値I4を加算し、
これら合計指令値を基に可変オリフィスのソレノイドの
励磁電流Iを制御する構成にしたパワーステアリング装
置。 - 【請求項2】 コントローラに車速センサーを接続し、
コントローラは、車速センサーからの車速信号に応じた
ソレノイド電流指令値I3を演算または記憶する一方、
ソレノイド電流指令値I1とI2とを加算した値にソレノ
イド電流指令値I3を積算し、その積算値にスタンバイ
用のソレノイド電流指令値I4を加算する構成にした請
求項1記載のパワーステアリング装置。 - 【請求項3】 コントローラに車速センサーを接続し、
コントローラは、車速センサーからの車速信号に応じた
ソレノイド電流指令値I3を演算または記憶する一方、
ソレノイド電流指令値I1とI2とを加算した値に対し
て、車速信号によるソレノイド電流指令値I3を限界値
とし、その限界値以内のソレノイド電流指令値をスタン
バイ用のソレノイド電流指令値I4に加算する構成にし
た請求項1記載のパワーステアリング装置。 - 【請求項4】 本体にスプールを組み込み、このスプー
ルの一端を、ポンプポートに常時連通する一方のパイロ
ット室に臨ませ、スプールの他端を、スプリングを介在
させた他方のパイロット室に臨ませ、上記一方のパイロ
ット室の下流側にオリフィスを設け、このオリフィスを
介してパワーシリンダを制御するステアリングバルブに
圧油を導く一方、上記オリフィスの上流側の圧力を上記
一方のパイロット室のパイロット圧とし、下流側の圧力
を上記他方のパイロット室のパイロット圧とし、両パイ
ロット室の圧力バランスでスプールの移動位置を制御す
るとともに、その移動位置に応じて、ポンプの吐出量を
上記ステアリングバルブ側に導く制御流量QPと、タン
クまたはポンプに還流させる戻り流量QTとに分配する
構成にしたパワーステアリング装置において、上記オリ
フィスは、ソレノイドの励磁電流に応じて開度を制御す
る可変オリフィスとするとともに、この可変オリフィス
のソレノイドの励磁電流Iを制御するコントローラを設
け、かつ、このコントローラには舵角センサーを接続
し、この舵角センサーからの操舵角によって操舵角θと
操舵角速度ωとを検出する一方、コントローラはこれら
操舵角θに応じたソレノイド電流指令値I1および操舵
角速度ωに応じたソレノイド電流指令値I2を記憶また
は演算するとともに、これらソレノイド電流指令値I1
とI2とのうち、大きい方のソレノイド電流指令値を選
択するとともに、この選択した値に、さらにスタンバイ
用のソレノイド電流指令値I4を加算し、これら合計指
令値を基に可変オリフィスのソレノイドの励磁電流Iを
制御する構成にしたパワーステアリング装置。 - 【請求項5】 コントローラに車速センサーを接続し、
コントローラは、車速センサーからの車速信号に応じた
ソレノイド電流指令値I3を演算または記憶する一方、
ソレノイド電流指令値I1あるいはI2のいずれか大きい
方の値に、ソレノイド電流指令値I3を積算し、その積
算値をソレノイド電流指令値I4に加算する構成にした
請求項4記載のパワーステアリング装置。 - 【請求項6】 コントローラに車速センサーを接続し、
コントローラは、車速センサーからの車速信号に応じた
ソレノイド電流指令値I3を演算または記憶する一方、
ソレノイド電流指令値I1あるいはI2のいずれか大きい
方の値に対して、車速信号によるソレノイド電流指令値
I3を限界値とし、その限界値以内のソレノイド電流指
令値をソレノイド電流指令値I4に加算する構成にした
請求項4記載のパワーステアリング装置。 - 【請求項7】 コントローラは、ソレノイドの励磁電流
Iと可変オリフィスの開度で決まる制御流量QPとの特
性、および操舵角θとソレノイド指令値I1との特性を
積算して、操舵角θとソレノイド電流I1に応じた可変
ソレノイドの開度で決まる制御流量QPとがリニアな特
性になる構成にした請求項1〜6のいずれか1に記載の
パワーステアリング装置。 - 【請求項8】 コントローラは、ソレノイドの励磁電流
Iと可変オリフィスの開度で決まる制御流量QPとの特
性、および操舵角速度ωとソレノイド指令値I2との特
性を積算して、操舵角ωとソレノイド電流I2に応じた
可変ソレノイドの開度で決まる制御流量QPとがリニア
な特性になる構成にした請求項1〜7のいずれか1に記
載のパワーステアリング装置。
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- 1999-12-13 JP JP35305999A patent/JP3524455B2/ja not_active Expired - Fee Related
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