JP2001162162A - 金属含有組成物及びエステル化合物の製造方法 - Google Patents

金属含有組成物及びエステル化合物の製造方法

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JP2001162162A
JP2001162162A JP34771999A JP34771999A JP2001162162A JP 2001162162 A JP2001162162 A JP 2001162162A JP 34771999 A JP34771999 A JP 34771999A JP 34771999 A JP34771999 A JP 34771999A JP 2001162162 A JP2001162162 A JP 2001162162A
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metal
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Yuichi Sato
裕一 佐藤
Jun Tatsumi
準 辰巳
Muneharu Kishida
宗春 岸田
Senju Tatsuya
千寿 立谷
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ベンジル化合物又はアルデヒド化合物を原料と
して用い、酸素の存在下にエステル化合物を効率的に製
造できる方法、及びこの方法において有効に使用できる
触媒を提供する。 【解決手段】Pd及び周期表IB族に属する元素からな
る金属粒子が担体上に担持された担持物であって、透過
型電子顕微鏡により測定したPdと周期表IB族に属す
る元素とからなる金属粒子の粒径が全て5nm未満であ
ることを特徴とする金属含有組成物からなるエステル化
反応用触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Pdと周期表IB
族に属する元素を含む新規な金属含有組成物、該金属含
有組成物からなるエステル化反応用触媒、及びエステル
化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、p−メチルベンジルアセテート
やp−キシリレンジアセテート等の芳香族ベンジルエス
テル類は、ポリエステル樹脂等の合成樹脂の原料や、香
料や溶剤等の各種化学薬品、或いは、これら化学薬品の
原料等として用いられている。これら芳香族ベンジルエ
ステル類の製造方法として、例えば、特開昭63−17
4950号公報には、パラジウム−ビスマス化合物およ
び/またはパラジウム−鉛化合物を触媒として用いて、
p−キシレンと酢酸とを酸素の存在下で反応させること
により、p−メチルベンジルアセテートおよびp−キシ
リレンジアセテートを製造する方法が開示されている。
また、例えば、特開昭62−273927号公報には、
パラジウムおよびビスマスを含む触媒を用いて、p−キ
シレンと酢酸とを酸素の存在下で反応させることによ
り、p−キシリレンジアセテートを製造する方法が開示
されている。
【0003】さらに、例えば、特開平8−231466
号は、パラジウムおよび金を担体に担持してなる触媒を
用いて、p−キシレンと酢酸とを酸素の存在下で反応さ
せることにより、p−キシリレンジアセテートを製造す
る方法が開示されている。
【0004】しかしながら、特開昭63−174950
号公報や特開昭62−273927号公報に記載されて
いる触媒は、触媒活性が低く(触媒におけるパラジウム
単位当たりの、単位時間当たりのターンオーバー数は1
5程度)、従って、生産効率を向上させるためには、反
応基質であるp−キシレンに対して触媒を多量に用いな
ければならない。つまり、貴金属であるパラジウムを多
量に用いなければならない。また、反応時にパラジウム
が反応液中に溶出することも考えられ、この場合には、
触媒活性がさらに低下すると共に、溶出したパラジウム
を分離・回収する必要がある。このため、上記の触媒
は、工業的な製造方法に対して好適な触媒であるとは言
い難い。
【0005】さらに、特開平8−231466号公報に
記載されている触媒もまた、触媒活性が低く、従って、
生産効率を向上させるためには、反応基質であるp−キ
シレンに対して触媒を多量に用いなければならないの
で、工業的な製造方法に対して好適な触媒であるとは言
い難い。
【0006】即ち、上記従来の触媒は、触媒活性が低
く、工業的な製造方法に対して不適であり、それゆえ、
ベンジルエステル類を効率的にかつ安価に製造すること
ができないという問題点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
ベンジル化合物又はアルデヒド化合物を原料として用
い、酸素の存在下にエステル化合物を効率的に製造でき
る方法、及びこの方法において有効に使用できる触媒を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した如
き目的に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の方法で周
期表IB族に属する元素とPdを担体上に担持させる場
合には、Pdと周期表IB族に属する元素が全て粒径5
nm未満の微粒子状態で高分散した新規な組成物が得ら
れることを見出した。そして、このような状態でPdと
周期表IB族に属する元素を担体上に担持した組成物
は、従来のパラジウム触媒と比べて活性種が高度に分散
しており、ベンジル化合物又はアルデヒド化合物を原料
として用い、酸素の存在下にエステル化合物を合成する
反応において、非常に高い触媒活性を示すことを見出
し、ここに本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、下記の金属含有組成物、
エステル化反応用触媒、及びエステル化合物の製造方法
を提供するものである。 1.Pd及び周期表IB族に属する元素からなる金属粒
子が担体上に担持された担持物であって、透過型電子顕
微鏡により測定したPdと周期表IB族に属する元素と
からなる金属粒子の粒径が全て5nm未満であることを
特徴とする金属含有組成物。 2.周期表IB族に属する元素が金である上記項1に記
載の金属含有組成物。 3.担体がAl、TiおよびZrからなる群から選ばれ
た少なくとも一種の元素を含む酸化物である上記項1に
記載の金属含有組成物。 4.Pd化合物と周期表IB族に属する元素の化合物を
溶解した水溶液中に、担体を添加して該担体上にPdと
周期表IB族に属する元素を含む沈殿物を析出させた
後、残留イオンが実質的になくなるまで該担体を洗浄
し、次いで焼成することを特徴とする上記項1〜3のい
ずれかに記載された金属含有組成物の製造方法。 5.酸素の存在下に、ベンジル化合物類とカルボン酸を
反応させるか、或いは、アルデヒド化合物とアルコール
とを反応させてエステル化合物を合成する反応に用い
る、上記項1〜3のいずれかに記載された金属含有組成
物からなるエステル化反応用触媒。 6.上記項5に記載の触媒と酸素の存在下に、ベンジル
化合物類とカルボン酸とを反応させることを特徴とする
エステル化合物の製造方法。 7.上記項5に記載の触媒と酸素の存在下に、アルデヒ
ド化合物とアルコールとを反応させることを特徴とする
エステル化合物の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の金属含有組成物は、Pd
及び周期表IB族に属する元素からなる金属粒子が担体
上に担持された担持物であって、透過型電子顕微鏡によ
り測定したPdと周期表IB族に属する元素とからなる
金属粒子の粒径が全て5nm未満、好ましくは4nm以
下である新規な組成物である。
【0011】従来、Pd及びAuを含む組成物として、
透過型電子顕微鏡により測定したPdとAuの粒径が全
て5nm未満のものは知られていない。本発明の組成物
では、担体上に担持されたPdと周期表IB族に属する
元素は、透過型電子顕微鏡により測定した粒径が全て5
nm未満であり、担体上に微粒子状態で高度に分散して
いるため、従来のパラジウム触媒より活性点が多く、ベ
ンジル化合物又はアルデヒド化合物を原料として用い、
酸素の存在下にエステル化合物を合成する反応における
触媒として用いた場合に、高い反応活性を示すものであ
る。
【0012】本発明の金属含有組成物は、例えば、Pd
化合物と周期表IB族に属する元素の化合物を溶解した
水溶液に、担体を添加して該担体上にPdと周期表IB
族に属する元素を含む沈殿物を析出させた後、残留イオ
ンが実質的になくなるまで該担体を洗浄し、次いで、焼
成することによって得ることができる。
【0013】周期表IB族に属する元素(以下、「IB
族元素」という)としては、Au、Ag、Cu等を例示
でき、周期表IB族に属する元素を含む化合物(以下、
「IB族化合物」という)としては、上記したIB族元
素を含む水溶性の化合物であれば、特に限定なく使用で
きる。この様な化合物の具体例としては、テトラクロロ
金(III) 酸「H〔AuCl4 〕」、テトラクロロ金(II
I) 酸ナトリウム「Na〔AuCl4 〕」、ジシアノ金
(I) 酸カリウム「K〔Au(CN)2 〕」、ジエチルア
ミン金(III) 三塩化物「(C252 NH・〔AuC
3 〕」等の錯体;シアン化金(I) 「AuCN」;等の
金化合物、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、炭酸銀、酢酸
銀、シアン化銀、硝酸銀、硫酸銀、酒石酸銀、リン酸
銀、アセチルアセトナート銀等の水溶性の銀化合物、酢
酸銅、アセチルアセトナート銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ
化銅、シアン化銅、水酸化銅、硝酸銅、蓚酸銅、リン酸
銅、硫酸銅、テトラアンミン銅錯体等の水溶性の銅化合
物等が挙げられる。IB族化合物は、一種単独又は二種
以上混合して用いることができる。
【0014】Pd化合物としては、Pdを含む水溶性の
化合物であれば、特に限定なく使用できる。Pd化合物
の具体例としては、金属パラジウム、酸化パラジウム、
硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、ヘ
キサクロロパラジウム酸アンモニウム、ヘキサクロロパ
ラジウム酸ナトリウム、ヘキサクロロパラジウム酸カリ
ウム、テトラクロロパラジウム酸アンモニウム、テトラ
クロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウ
ム酸カリウム、テトラブロモパラジウム酸カリウム、テ
トラシアノパラジウム酸カリウム、塩化パラジウム、臭
化パラジウム、ヨウ化パラジウム、クロロカルボニルパ
ラジウム、ジニトロサルファイトパラジウム酸カリウ
ム、ジニトロジアミンパラジウム、テトラアンミンパラ
ジウム塩化物、テトラアンミンパラジウム硝酸塩、cis-
ジクロロジアミンパラジウム、trans-ジクロロジアミン
パラジウム、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジ
クロライド、ジクロロ(エチレンジアミン)パラジウム
等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これ
らパラジウム化合物は、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を併用してもよい。上記例示のパラジウ
ム化合物のうち、水溶性のパラジウム化合物が好まし
く、酢酸パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物
が特に好ましい。尚、パラジウム化合物は、水和物とな
っていてもよい。
【0015】本発明の組成物を製造するには、まず、I
B族化合物とPd化合物を水に溶解して水溶液を調製す
る。IB族化合物とPd化合物を溶解する方法について
は、特に限定はなく、IB族化合物とPd化合物を同時
に溶解させてもよく、或いは、いずれか一方を溶解させ
た後、他方を溶解させても良い。この際の液温は、例え
ば、30〜80℃程度とすればよい。
【0016】IB族化合物の使用量は、担体の種類や比
表面積、形状、使用量等にもよるが、水溶液中のIB族
化合物の濃度が0.01ミリモル/l〜10ミリモル/
lの範囲内となる量が好ましい。上記の濃度範囲であれ
ば、IB族化合物の沈澱物の析出量が充分となり、ま
た、IB族化合物粒子の凝集を防止することができるた
めに沈澱物を超微粒子の状態で析出させることができ
る。従って、IB族化合物の沈澱物を担体上に担持させ
た後の水溶液中に残存する化合物の量を極めて少なくす
ることができる。
【0017】パラジウム化合物の使用量は、担体の種類
や比表面積、形状、使用量等にもよるが、水溶液中のパ
ラジウム化合物の濃度が0.01ミリモル/l〜10ミ
リモル/lの範囲内となる量が好ましい。上記の濃度範
囲であれば、パラジウム沈澱物の析出量が充分となる。
また、パラジウム沈澱物を担体上に担持させた後の水溶
液中に残存するパラジウム化合物の量を、極めて少なく
することができる。
【0018】IB族化合物とPd化合物を含有する水溶
液のpHは、特に限定的ではないが、6〜10程度の範
囲とすることが好ましい。該水溶液のpHを上記範囲に
調整するには、アルカリ性を呈する化合物を適宜添加す
ればよい。この様な化合物としては、特に限定的ではな
いが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等を用いるこ
とができる。これらの化合物は、固体状態として添加し
てもよく、或いは、水に溶解して添加しても良い。
【0019】IB族化合物とPd化合物を含有する水溶
液には、該水溶液中に含まれる成分の分散性を向上させ
るために、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤と
しては、例えば、長鎖アルキルスルホン酸およびその
塩、長鎖アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩、長
鎖アルキルカルボン酸およびその塩、アリールカルボン
酸およびその塩等のアニオン性界面活性剤;長鎖アルキ
ル四級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;ポリ
アルキレングリコール、ポリオキシエチレンノニルフェ
ノール等のノニオン性界面活性剤;等が挙げられるが、
特に限定されるものではない。これら界面活性剤は、一
種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用して
もよい。上記例示の界面活性剤のうち、アニオン性界面
活性剤およびノニオン性界面活性剤がより好ましく、ア
ニオン性界面活性剤が特に好ましい。また、アニオン性
界面活性剤のうち、炭素数が8以上の長鎖アルキルスル
ホン酸およびその塩、炭素数が8以上の長鎖アルキルベ
ンゼンスルホン酸およびその塩、炭素数8以上の長鎖ア
ルキルカルボン酸およびその塩、アリールカルボン酸お
よびその塩等がより好ましい。
【0020】界面活性剤の使用量は、該界面活性剤やI
B族化合物、パラジウム化合物、担体の種類、組み合わ
せ等に応じて設定すればよく、特に限定されるものでは
ないが、水溶液中の界面活性剤の濃度が0.1ミリモル
/l〜10ミリモル/lの範囲内となる量がより好まし
い。
【0021】その後、該水溶液中に担体を添加し、撹拌
することによって、担体が水溶液中に分散されて懸濁
し、担体上にIB族元素の沈殿物及びパラジウム沈殿物
が析出する。
【0022】担体としては、特に限定はなく、例えば、
酸化チタン(チタニア)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化
アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコ
ニア)、シリカ・アルミナ、シリカ・チタニア、ゼオラ
イト、シリカゲル、マグネシア、シリカ・マグネシア、
活性炭、粘土、ボーキサイト、珪藻土、軽石等を用いる
ことができる。これら担体は、一種類のみを用いてもよ
く、また、二種類以上を併用してもよい。
【0023】特に、担体としては、多孔質の無機化合物
(無機酸化物)が好ましく、比表面積50m2 /g以上
の酸化物からなるものがより好ましい。担体として、各
種形状の成形体も用いることができる。この場合に、成
形体の形状や大きさ、成形方法等は、特に限定されるも
のではない。
【0024】上記した担体のうち、Al、TiおよびZ
rからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を含む
酸化物担体が好ましい。
【0025】次いで、沈殿物が表面に付着した担体を洗
浄する。この際、担体上に残留イオン(特に塩化物イオ
ン)が実質的になくなるまで洗浄することが必要であ
る。洗浄方法としては、例えば、担体上に沈殿物を付着
させた後、濾過又はデカンテーションにより水洗すれば
良く、好ましい方法として、沈殿を付着させた直後に担
体重量の10〜50重量倍の水を用いて、2〜5回程度
デカンテーション又は濾過により洗浄する方法を挙げる
ことができる。
【0026】その後、焼成することによって、目的とす
る組成物を得ることができる。焼成温度は、150〜8
00℃程度、好ましくは300〜800℃程度とすれば
よい。焼成方法は、特に限定されるものではない。例え
ば、焼成雰囲気は、特に限定されるものではなく、空気
中であってもよく、窒素ガスやヘリウムガス、アルゴン
ガス等の不活性ガス中であってもよく、或いは、水素ガ
ス等の還元性ガス中であってもよい。また、加熱時間
は、加熱温度に応じて設定すればよく、特に限定される
ものではない。焼成することにより、IB族元素とパラ
ジウムが担体表面に強固に固定化されて、本発明の組成
物が調製される。
【0027】上記した方法によって、Pd及びIB族元
素が担体上に担持された担持物を得ることができる。該
担持物におけるPdと周期表IB族に属する元素は、透
過型電子顕微鏡により測定した粒径が全て5nm未満、
さらには4nm以下となる。洗浄が不十分で担体上に残
留イオンが存在する場合には、静電的な効果でIB族元
素が凝集し易く、その結果、焼成した際に粒径が大きく
なり、触媒活性に劣るものとなる。
【0028】担持されるPdとIB族元素との比は、特
に限定されるものではないが、該組成物に占めるPdの
割合(担持量)は、0.001重量%〜10重量%の範
囲内が好ましく、0.1重量%〜5重量%の範囲内がよ
り好ましい。該組成物に占めるIB族元素の割合(担持
量)は、0.001重量%〜10重量%の範囲内が好ま
しく、0.1重量%〜5重量%の範囲内がより好まし
い。PdとIB族元素が上記割合よりも少ない場合に
は、触媒活性が低くなるので好ましくない。一方、Pd
とIB族元素が上記割合よりも多い場合には、製造コス
トが高くなり、このため目的とするエステル化合物を安
価に製造することができなくなる。従って、該組成物を
調製する際に用いるPd化合物とIB族化合物の組成が
上記範囲内となるような割合で使用すればよい。
【0029】本発明のエステル化合物の製造方法では、
上記した金属含有組成物を触媒として用い、この触媒と
酸素の存在下に、ベンジル化合物類又はアルデヒド化合
物を原料として用いてエステル化合物を製造することが
できる。具体的には、該触媒と酸素の存在下に、ベンジ
ル化合物類とカルボン酸を反応させるか、或いは、アル
デヒド化合物とアルコールとを反応させることによっ
て、エステル化合物を得ることができる。
【0030】原料とするベンジル化合物類は、分子内に
ベンジル基を有する化合物であればよく、また、分子内
にベンジル基を有する化合物におけるベンゼン環の代わ
りに縮合環や複素環を有する化合物であっても良い。ま
た、ベンジル化合物類は、エステル化合物の製造反応に
おける酸化反応に対して不活性な官能基を有していても
よい。該ベンジル化合物類としては、例えば、下記一般
式(1)
【0031】
【化1】
【0032】(式中、R1、R2 及びR3は、それぞれ独
立して、水素原子、アルキル基、アリール基、水酸基、
ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アルキル
オキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボキシル
基、アリールカルボキシル基、アルキルカルボニル基、
アリールカルボニル基、アルキルカルボキシアルキル基
又はアリールカルボキシアルキル基を示し、nはR3
個数を示す1〜5の整数である)で表される化合物が挙
げられる。
【0033】ベンジル化合物類としては、より具体的に
は、例えば、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピル
ベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼ
ン、 sec−ブチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の、
アルキルベンゼン;キシレン、エチルトルエン、n−プ
ロピルトルエン、イソプロピルトルエン、n−ブチルト
ルエン、 sec−ブチルトルエン等の、o−,m−,p−
ジアルキルベンゼン;4,4’−ジメチルビフェニル等
のアリール置換アルキルベンゼン;クレゾール等の、o
−,m−,p−ヒドロキシ置換アルキルベンゼン;クロ
ロトルエン等の、o−,m−,p−ハロゲン置換アルキ
ルベンゼン;o−,m−,p−ニトロトルエン等のニト
ロ基置換アルキルベンゼン;メチルアニリン等の、o
−,m−,p−アミノ基置換アルキルベンゼン;メチル
ベンズアミド等の、o−,m−,p−アミド基置換アル
キルベンゼン;メチルアニソール等の、o−,m−,p
−アルキルオキシ置換アルキルベンゼン;フェノキシト
ルエン等の、o−,m−,p−アリールオキシ置換アル
キルベンゼン;酢酸トリル、プロピオン酸トリル、ブタ
ン酸トリル、安息香酸トリル等の、o−,m−,p−カ
ルボキシ置換アルキルベンゼン(カルボン酸トリルエス
テル);メチルアセトフェノン、メチルベンゾフェノン
等の、o−,m−,p−カルボニル置換アルキルベンゼ
ン;メチルベンジルアセテート等の、o−,m−,p−
カルボキシアルキル置換アルキルベンゼン;等が挙げら
れる。上記例示のベンジル化合物類のうち、アルキルベ
ンゼン、ジアルキルベンゼン、および、カルボキシアル
キル置換アルキルベンゼンがより好ましく、o−,m
−,p−キシレン、および、o−,m−,p−メチルベ
ンジルアセテートが特に好ましい。
【0034】また、前記一般式(1)中におけるベンゼ
ン環の代わりに縮合環又は複素環を有する化合物とし
て、メチルナフタレンやジメチルピリジン等もベンジル
化合物類として用いることができる。
【0035】本発明のエステル化合物の製造方法で用い
るカルボン酸としては、モノカルボン酸が好適である。
具体的には、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸等
の脂肪族カルボン酸;安息香酸等の芳香族カルボン酸等
が挙げられるが、特に限定されるものではない。上記例
示のカルボン酸のうち、酢酸およびプロピオン酸がより
好ましく、酢酸が特に好ましい。
【0036】ベンジル化合物類とカルボン酸との反応割
合は、ベンジル化合物類が有するベンジル基に対するカ
ルボン酸のモル比が化学量論比よりも大きければよく、
特に限定されるものではないが、等倍モル〜20倍モル
の範囲内がより好ましく、等倍モル〜10倍モルの範囲
内がさらに好ましい。上記のモル比が等倍モル未満であ
ると、カルボン酸が不足することになるので、ベンジル
エステル化合物を効率的に製造することができなくなる
場合がある。一方、上記範囲を越えるモル比でカルボン
酸を用いても、上記範囲内のモル比で用いた場合と比較
して、収率等の更なる向上は殆ど期待できない。また、
カルボン酸を多量に用いることになるので、反応装置
や、過剰のカルボン酸を回収するための回収装置の大型
化を招来すると共に、回収コストを含む製造コストが嵩
む場合がある。
【0037】上記したベンジル化合物類とカルボン酸
を、前記触媒の存在下で酸化反応させることにより、エ
ステル化合物を得ることができる。該酸化反応は、酸素
(分子状酸素)の存在下、液相若しくは気相で行われ
る。つまり、本発明においては、酸化反応を液相若しく
は気相で行うことができる。酸素ガスは、窒素ガスやヘ
リウムガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の不活性
ガスによって希釈されていてもよい。また、酸素ガスと
して空気を用いることもできる。酸素ガスの反応系への
供給方法は、特に限定されるものではない。
【0038】また、本発明のエステル化合物の製造方法
では、上記したしたPd及びIB族元素が担体上に担持
された金属含有組成物からなる触媒に加えて、触媒活性
をより一層向上させるためや、反応時における反応液中
へのPd及び周期表IB族元素の溶出を防止するため
に、必要に応じて、周期表IIA族、IIIA族、IVA族、I
IB族、VB族、VIII族及びアルカリ金属のいずれかに
属する元素の少なくとも一種(以下、第二元素群と記
す)を含む化合物を触媒添加成分として更に用いても良
い。これらの第二元素群としては、具体的には、ビスマ
ス、砒素、アンチモン、テルル、モリブデン、鉄、ニッ
ケル、錫、鉛、亜鉛、カドミウム、水銀、タリウム、ラ
ンタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が挙げられ
る。これら第二元素群は、一種類のみを用いてもよく、
また、二種類以上を併用してもよい。これら第二元素群
を含む化合物しては、特に限定的ではないが、具体的に
は、例えば、酢酸ビスマス、酢酸酸化ビスマス、塩化ビ
スマス、臭化ビスマス、よう化ビスマス、酸化ビスマ
ス、水酸化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、硝酸ビスマ
ス、塩基性炭酸ビスマス等のビスマス化合物;モリブデ
ン酸、モリブデン酸ナトリウム、塩化モリブデン、酸化
モリブデン、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、酸
化モリブデンアセチルアセトナート、モリブデンヘキサ
カルボニル等のモリブデン化合物;硝酸鉄、硫酸鉄、リ
ン酸鉄、塩化鉄、臭化鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、鉄アセ
チルアセトナート等の鉄化合物;酢酸ニッケル、硫酸ニ
ッケル、炭酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケ
ル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、シアン化ニッケル、
ニッケルアセチルアセトナート等のニッケル化合物;酢
酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、よう化亜鉛、炭酸亜鉛、
酸化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、りん酸亜鉛、シアン化
亜鉛、亜鉛アセチルアセトナート等の亜鉛化合物;酢酸
ランタン、シュウ酸ランタン、塩化ランタン、臭化ラン
タン、炭酸ランタン、酸化ランタン、硝酸ランタン、ラ
ンタンアセチルアセトナート等のランタン化合物;酢酸
水銀、臭化水銀、塩化水銀、シアン化水銀、よう化水
銀、硝酸水銀、酸化水銀、硫酸水銀、水銀アセチルアセ
トナート等の水銀化合物;亜ひ酸、三塩化砒素等の砒素
化合物;酸化カドミウム、酢酸カドミウム、臭化カドミ
ウム、炭酸カドミウム、塩化カドミウム、水酸化カドミ
ウム、よう化カドミウム、硝酸カドミウム、硫酸カドミ
ウム、カドミウムアセチルアセトナート等のカドミウム
化合物;酸化錫、塩化錫、臭化錫、よう化錫、酢酸錫、
リン酸錫、シュウ酸錫、硫酸錫、錫アセチルアセトナー
ト等の錫化合物;酸化鉛、塩化鉛、臭化鉛、よう化鉛、
酢酸鉛、炭酸鉛、クエン酸鉛、硝酸鉛、シュウ酸鉛、硫
酸鉛、鉛アセチルアセトナート等の鉛化合物;酸化テル
ル、塩化テルル、酢酸テルル等のテルル化合物;酢酸タ
リウム、酸化タリウム、塩化タリウム等のタリウム化合
物;酒石酸アンチモン、酢酸アンチモン、酸化アンチモ
ン、塩化アンチモン、アンチモンアセチルアセトナート
等のアンチモン化合物;アルカリ金属の酢酸塩、硝酸
塩、硫酸塩、ハロゲン化物、酸化物、アルカリ金属アセ
チルアセトナート等のアルカリ金属化合物;アルカリ土
類金属の酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、酸化
物、アルカリ土類金属アセチルアセトナート等のアルカ
リ土類金属化合物等が挙げられる。
【0039】これらの化合物の内で、ビスマス化合物、
アルカリ金属化合物、アルカリ土類化合物等がより好ま
しく、酢酸ビスマス、酢酸酸化ビスマス、硝酸ビスマ
ス、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸セシウム、硝
酸カリウム、酢酸バリウム、硝酸バリウム等が特に好ま
しい。尚、第二元素群を含む化合物は、水和物となって
いても良い。
【0040】以上の様に、本発明のエステル化合物の製
造方法では、触媒としては、Pd及びIB族元素が担体
上に担持された金属含有組成物に加えて、必要に応じ
て、上記した第二元素群を含む化合物を更に用いても良
い。尚、第二元素群を含む化合物は、反応液中に化合物
の形で添加しても良く、或いは、Pd及びIB族元素を
担持した担体上に更に担持されていても良い。
【0041】第二元素群を含む化合物の使用量は、特に
限定的ではないが、活性種であるパラジウム金属に対す
る第二元素群の元素のモル比として、第二元素群の元素
/パラジウム=0.0001〜100/1程度とするこ
とが好ましい。
【0042】上記酸化反応の形態は、連続式、回分式、
半回分式の何れであってもよく、特に限定されるもので
はない。触媒は、反応形態として例えば回分式を採用す
る場合には、反応装置に原料と共に一括して仕込めばよ
く、また、反応形態として例えば連続式を採用する場合
には、反応装置に予め充填しておくか、或いは、反応装
置に原料と共に連続的に仕込めばよい。従って、触媒
は、固定床、流動床、懸濁床の何れの形態で使用しても
よい。
【0043】ベンジル化合物類に対する触媒の使用量
は、ベンジル化合物類とカルボン酸の種類や組み合わ
せ、触媒の組成、反応条件等に応じて設定すればよく、
特に限定されるものではないが、例えば、固定床の場合
には、単位時間当たり、単位触媒体積当たりの原料液の
供給速度として、0.01〜100h-1程度とすること
が好ましく、また、懸濁床の場合には、反応基質である
ベンジル化合物類100重量部に対して、パラジウム金
属量を0.01〜30重量部程度とすることが好まし
い。
【0044】反応温度や反応圧力、反応時間等の反応条
件は、ベンジル化合物類とカルボン酸の種類や組み合わ
せ、触媒の組成等に応じて設定すればよく、特に限定さ
れるものではないが、反応温度は80℃〜200℃の範
囲内が好適である。反応温度が80℃未満である場合に
は、反応速度が遅くなりすぎ、エステル化合物を効率的
に製造することができなくなるおそれがある。一方、反
応温度が200℃を越える場合には、燃焼を含めた副反
応が起こり易くなるので、エステル化合物を効率的に製
造することができなくなるおそれがある。また、カルボ
ン酸類による反応装置の腐食を招来するおそれもある。
【0045】反応圧力は、減圧、常圧(大気圧)、加圧
の何れであってもよいが、酸化反応に酸素ガス(希釈さ
れていない酸素ガス)を用いる場合には、常圧〜4.9
×106Pa(ゲージ圧)の範囲内が好適であり、酸化
反応に空気を用いる場合には常圧〜9.8×106Pa
(ゲージ圧)の範囲内が好適である。9.8×106
aを越える反応圧力は、反応設備等の工業的な観点から
好ましくない。
【0046】酸化反応は、上記反応条件下において、原
料として用いるベンジル化合物類および/またはカルボ
ン酸が液体状である場合には、特に溶媒を用いる必要が
無いが、両者を均一に混合することができない場合や、
反応が激しい場合には、反応に対して不活性な溶媒を用
いて希釈することができる。
【0047】また、アルデヒド化合物とアルコールとを
反応させてエステル化合物を製造する方法では、原料と
するアルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プ
ロパナール、ブタナール、アクロレイン、メタクロレイ
ン、ベンズアルデヒド等の鎖状又は環状アルデヒド化合
物を用いることができる。また、アルコール化合物とし
ては、メタノール、エタノール、ブタノール、シクロヘ
キサノール、ベンジルアルコール等の炭素数1〜8程度
の鎖状又は環状アルコール化合物を用いることができ
る。
【0048】アルデヒド化合物とアルコールとの反応割
合は、アルデヒド化合物が有するアルデヒド基に対する
アルコールのモル比が化学量論比よりも大きければよ
く、特に限定されるものではないが、等倍モル〜20倍
モルの範囲内がより好ましく、等倍モル〜10倍モルの
範囲内がさらに好ましい。上記のモル比が等倍モル未満
であると、アルコールが不足することになるので、アル
デヒド化合物を効率的に製造することができなくなる場
合がある。一方、上記範囲を越えるモル比でアルコール
を用いても、上記範囲内のモル比で用いた場合と比較し
て、収率等の更なる向上は殆ど期待できない。また、ア
ルコールを多量に用いることになるので、反応装置や、
過剰のアルコールを回収するための回収装置の大型化を
招来すると共に、回収コストを含む製造コストが嵩む場
合がある。
【0049】アルデヒド化合物とアルコールとを反応さ
せる方法における反応条件、反応方法等については、上
記したベンジル化合物類とカルボン酸との反応と同様で
よい。
【0050】上記した方法により、ベンジル化合物類と
カルボン酸又はアルデヒド化合物とアルコールを原料と
して、酸化的にエステル化合物を合成することによっ
て、効率的にエステル化合物を合成できる。得られたエ
ステル化合物は、慣用されている分離精製手段に従っ
て、反応混合物から容易に単離、精製できる。
【0051】本発明の製造方法によって得られるエステ
ル化合物の内で、例えばp−メチルベンジルアセテート
やp−キシリレンジアセテートは、ポリエステル樹脂等
の合成樹脂の原料や、香料や溶剤等の各種化学薬品、或
いは、これら化学薬品の原料等として好適な化合物であ
る。
【0052】また、例えば、p−キシリレンジアセテー
トを加水分解して得られるp−キシリレングリコール
は、合成繊維や合成樹脂、可塑剤等の原料として、或い
は、ポリウレタンや炭素繊維等との複合材料を形成する
際の原料として好適な化合物であり、特に、耐熱性高分
子の原料として有用である。尚、ベンジルエステル類を
加水分解する方法は、特に限定されるものではない。
【0053】また、本発明方法で得られるエステル化合
物の内で、例えば、酢酸ベンジルは、香料、染料、溶剤
等として好適な化合物であり、また、酢酸ベンジルを加
水分解して得られるベンジルアルコールは、塗料、香
料、溶剤、或いは、これらの化学品の原料等として好適
な化合物である。この場合にも、酢酸ベンジルを加水分
解する方法については特に限定は無く、常法に従えばよ
い。
【0054】
【発明の効果】本発明のエステル化合物の製造方法は、
上記した新規な触媒を用いるものであり、この様な触媒
の存在下に酸化的にエステル化合物を合成することによ
って、効率的にエステル化合物を製造することができ
る。
【0055】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。 実施例1 IB族化合物であるテトラクロロ金酸・4水和物0.1
0gを水200mlに溶解し、60℃に加温して金水溶
液を調製した。この水溶液を水酸化ナトリウム水溶液を
用いてpH8.5に調節した後、パラジウム成分として
テトラアンミンパラジウムジクロライド0.062gを
溶解させた。更に、この水溶液に界面活性剤としてラウ
リン酸ナトリウム0.14gを添加して溶解させた後、
60℃で酸化ジルコニウム粉体(ノートン社製)5gを
添加し、さらに同温で1時間攪拌することで、その表面
にパラジウム沈殿物及び金沈殿物を固定化した。その
後、100gの脱イオン水で3回デカンテーションを行
ってパラジウム−金固定化物を洗浄し、更に、100g
の脱イオン水で洗浄し、濾過によりパラジウム−金固定
化物を得た。最後の水洗時の濾液について蛍光X線分析
を行ったが、塩化物イオン等の該固定化物調製時の残留
イオンは検出されなかった。
【0056】その後、得られたパラジウム−金固定化物
を120℃で8時間乾燥させ、空気中で400℃で3時
間焼成することにより、酸化ジルコニウム上にパラジウ
ム−金が担持された担持物(ジルコニア担持パラジウム
−金)を得た。該担持物におけるパラジウムの担持量は
0.5wt%、金の担持量は0.86wt%であった。
【0057】得られたジルコニア担持パラジウム−金に
ついて、透過型電子顕微鏡(TEM日立HF−200
0、加速電圧200kV)にて担体表面の金属種の状態
分析を行ったところ、担体上に金属種が全て4nm以下
の粒径で高分散していることが分かった。更に、粒子1
個毎の組成分析を行ったところ、パラジウムと金の両方
の成分が検出された。
【0058】このジルコニア担持パラジウム−金を触媒
として用い、下記の方法により、p−キシレンと酢酸を
原料として酸化的エステル化反応によるp−キシリレン
ジアセテート合成を行なった。
【0059】まず、100ml回転式オートクレーブ
に、ジルコニア担持パラジウム−金(パラジウム含有量
0.047mmol)1g、酢酸酸化ビスマス(和光
純薬工業社製)0.02g及び酢酸カリウム(和光純薬
工業社製)0.2gを触媒成分として充填し、さらに、
酢酸12gとp−キシレン10gを加えて密封した。そ
の後系内を空気で6.9×105Pa(ゲージ圧)に加
圧し、700rpmで攪拌しながら140℃に加熱し
た。所定温度に達した後、内圧を9.8×105Pa
(ゲージ圧)に調整し、内圧が9.8×105Pa(ゲ
ージ圧)で一定となるように消費酸素分を酸素で補充し
ながら、2時間反応させた。
【0060】反応後、反応液をガスクロマトグラフィー
で分析したところ、p−キシレンの転化率は39.7モ
ル%であり、モノエステルであるp−メチルベンジルア
セテートが2.8g(収率:18.1モル%、選択率:
45.6モル%)、ジエステルであるp−キシリレンジ
アセテートが2.05g(収率:9.8モル%、選択
率:24.6モル%)得られ、エステル化物のトータル
の選択率は70.3%であった。この時の触媒活性種で
あるパラジウムの時間当たりのターンオーバー数は37
7であった。
【0061】尚、Pdについての時間当たりのターンオ
ーバー数は、下記の式で表されるものである。 ターンオーバー数=(生成モノエステルのモル数+生成
ジエステルのモル数×2)/(Pdのモル数×反応時間
(hr)) 比較例1 IB族化合物であるテトラクロロ金酸・4水和物0.1
0gと塩化パラジウム0.08gを水50mlに溶解し
て、水溶液を調製した。活性炭(和光純薬製)5gに水
10mlを加えてスラリーとし、攪拌しながら上記した
塩化パラジウムとテトラクロロ金酸を含む水溶液を滴下
して、活性炭にパラジウムと金を固定化した。得られた
固体を濾別し、空気中で90℃で8時間乾燥させた。次
いで、該パラジウム−金固定化物を窒素中で400℃で
2時間焼成することにより、活性炭上にパラジウム−金
が担持された担持物(活性炭担持パラジウム−金)を得
た。該担持物におけるパラジウムの担持量は0.8wt
%、金の担持量は0.8wt%であった。
【0062】この活性炭担持パラジウム−金について、
実施例1と同様にして透過型電子顕微鏡にて担体表面の
金属種の状態分析を行ったところ、担体上の金属種とし
て粒径5〜20nmの微粒子と、100nm以上の粒子
が観察された。更に、粒子1個毎の組成分析を行ったと
ころ、パラジウムと金の両方の成分が検出されたもの
と、金のみが観察されたものが存在した。
【0063】実施例1で用いたジルコニア担持パラジウ
ム−金に代えて、上記活性炭担持パラジウム−金(パラ
ジウム含有量 0.047mmol)0.625gを用
い、p−キシレン量を5.0g、酢酸量を24.0gと
し、空気に代えて酸素ガスで1.5×106Pa(ゲー
ジ圧)に加圧し、反応時間を5時間としたこと以外は実
施例1と同様の条件で、酸化的エステル化反応によるp
−キシリレンジアセテート合成を行なった。
【0064】ガスクロマトグラフィーによる反応液の分
析の結果、p−キシレンの転化率は2.44モル%であ
り、モノエステルであるp−メチルベンジルアセテート
が115.8mg(収率:1.5モル%、選択率:6
1.5モル%)、ジエステルであるp−キシリレンジア
セテートが31.1mg(収率:0.3モル%、選択
率:12.2モル%)得られ、エステル化物のトータル
の選択率は73.8%であった。また、副生成物である
p−トルアルデヒド、p−トルイル酸などの酸化生成物
の生成が顕著に認められた。この時のエステル化反応生
成物に対する触媒活性種であるパラジウムの時間当たり
のターンオーバー数は4.3であった。 比較例2 IB族化合物であるテトラクロロ金酸・4水和物0.1
0gと塩化パラジウム0.08gを水50mlに溶解し
て、水溶液を調製した。この水溶液中に酸化ジルコニウ
ム5g(ノートン社製)を投入し、室温で30分攪拌し
た後、ロータリーエバポレーターにて水分を減圧除去
し、強制的に担体上にパラジウムと金を含浸担持させ
た。この乾固物を、空気中90℃で8時間乾燥させた
後、空気中で400℃で2時間焼成することにより、ジ
ルコニア担持パラジウム−金を得た。該担体におけるパ
ラジウムの担持量は0.5wt%、金の担持量は1.0
wt%であった。
【0065】このジルコニア担持パラジウム−金につい
て、実施例1と同様に透過型電子顕微鏡にて担体表面の
状態分析を行なったところ、担体上には、粒径100n
m以上の金が凝集した大粒子が観察された。
【0066】実施例1で用いたジルコニア担持パラジウ
ム−金に代えて、上記ジルコニア担持パラジウム−金
(パラジウム含有量 0.047mmol)0.625
gを用い、p−キシレン量を5.0g、酢酸量を24.
0gとし、空気に代えて酸素ガスで1.5×106Pa
(ゲージ圧)に加圧し、反応時間を6時間としたこと以
外は実施例1と同様の条件で、酸化的エステル化反応に
よるp−キシリレンジアセテート合成を行なった。
【0067】得られた反応液をガスクロマトグラフィー
で分析した結果、エステル化物であるモノエステル、ジ
エステルは共に認められなかった。 比較例3 実施例1と同様の方法でジルコニア上にパラジウム沈殿
物と金沈殿物を固定化させた後、上澄み液をデカンテー
ションで分離し、100gの脱イオン水で1回デカンテ
ーションで洗浄し、ろ過によりパラジウム−金の固定化
物を得た。
【0068】その後、実施例1と同様の方法で乾燥し、
焼成することによって、ジルコニア担持パラジウム−金
を調製した。最後のろ液をXPS分析したところ、塩化
物イオン、ナトリウムイオンなどの残留イオンが検出さ
れた。
【0069】このジルコニア担持パラジウム−金につい
て、透過型電子顕微鏡(TEM,日立HF−2000、
加速電圧 200kV)を用いて、担体表面の状態分析
を行なったところ、担体上には、粒径は3nm〜7nm
の粒子が高分散していたが、一部10nmの粒径のもの
も認められた。また、粒子1個ごとの組成分析では、パ
ラジウムと金の両方の成分が検出された。
【0070】このジルコニア担持パラジウム−金を用い
て、実施例1と同様にしてp−キシレンと酢酸による酸
化的エステル化反応によるp−キシリレンジアセテート
合成を行なった。
【0071】ガスクロマトグラフィーによる反応液の分
析の結果、p−キシレンの転化率は36.5モル%であ
り、モノエステルであるp−メチルベンジルアセテート
が2.65g(収率:17.2モル%、選択率:47.
1モル%)、ジエステルであるp−キシリレンジアセテ
ートが1.76g(収率:8.4モル%、選択率:2
3.0モル%)得られ、エステル化物トータルの選択率
は70.1%であった。また、副生成物であるp−トル
アルデヒド、p−トルイル酸の生成が顕著に認められ
た。この時のエステル化反応生成物に対する触媒活性種
であるパラジウムの時間当たりのターンオーバー数は3
41であった。 実施例2 実施例1で得たチタニア−ジルコニア担持パラジウム−
金を触媒として用い、下記表1に示す条件を採用する以
外は、実施例1と同様にして、エステル化反応を行っ
た。
【0072】
【表1】
【0073】反応生成物の分析結果を下記表2に示す。
【0074】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 69/157 C07C 69/157 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 岸田 宗春 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 立谷 千寿 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA01A BA04A BA05A BA05B BB02A BB02B BC30A BC33A BC33B BC72A BC72B CB25 CB75 EA01Y EB18X EB18Y EB19 FA02 FB14 FB20 FB27 FB30 4H006 AA02 AC48 BA02 BA05 BA06 BA13 BA25 BA34 BA37 BA39 BA41 BA42 BA45 BA48 BB61 BC10 BC11 BC31 BE30 BJ50 KA35 4H039 CA66 CC30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Pd及び周期表IB族に属する元素からな
    る金属粒子が担体上に担持された担持物であって、透過
    型電子顕微鏡により測定したPdと周期表IB族に属す
    る元素とからなる金属粒子の粒径が全て5nm未満であ
    ることを特徴とする金属含有組成物。
  2. 【請求項2】周期表IB族に属する元素が金である請求
    項1に記載の金属含有組成物。
  3. 【請求項3】担体がAl、TiおよびZrからなる群か
    ら選ばれた少なくとも一種の元素を含む酸化物である請
    求項1に記載の金属含有組成物。
  4. 【請求項4】Pd化合物と周期表IB族に属する元素の
    化合物を溶解した水溶液中に、担体を添加して該担体上
    にPdと周期表IB族に属する元素を含む沈殿物を析出
    させた後、残留イオンが実質的になくなるまで該担体を
    洗浄し、次いで焼成することを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載された金属含有組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】酸素の存在下に、ベンジル化合物類とカル
    ボン酸を反応させるか、或いは、アルデヒド化合物とア
    ルコールとを反応させてエステル化合物を合成する反応
    に用いる、請求項1〜3のいずれかに記載された金属含
    有組成物からなるエステル化反応用触媒。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の触媒と酸素の存在下に、
    ベンジル化合物類とカルボン酸とを反応させることを特
    徴とするエステル化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項5に記載の触媒と酸素の存在下に、
    アルデヒド化合物とアルコールとを反応させることを特
    徴とするエステル化合物の製造方法。
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