JP2003144922A - 酸化反応用触媒及びその製造方法ならびに該触媒を用いた芳香族アルキルエステルの製造方法 - Google Patents

酸化反応用触媒及びその製造方法ならびに該触媒を用いた芳香族アルキルエステルの製造方法

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JP2003144922A
JP2003144922A JP2001345735A JP2001345735A JP2003144922A JP 2003144922 A JP2003144922 A JP 2003144922A JP 2001345735 A JP2001345735 A JP 2001345735A JP 2001345735 A JP2001345735 A JP 2001345735A JP 2003144922 A JP2003144922 A JP 2003144922A
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reaction
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Jun Tatsumi
準 辰巳
Yuichi Sato
裕一 佐藤
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】より触媒活性に優れた酸化反応用触媒を提供す
る。 【解決手段】周期表8〜10族の少なくとも1種の金属
成分と周期表11族の少なくとも1種の金属成分とを担
体に担持することにより酸化反応用触媒を製造する方法
であって、予め塩基性化合物で担体を処理した後、上記
金属成分を担持することを特徴とする酸化反応用触媒の
製造方法に係る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化反応用触媒及
びその製造方法に関する。さらに、本発明は、この触媒
を用いた芳香族置換アルキルエステルの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】一般に、p−メチルベンジルアセテート、
p−キシリレンジアセテート等の芳香族エステル(芳香
族置換アルキルエステル)は、a)ポリエステル樹脂等
の合成樹脂の原料、b)香料、溶剤等の各種化学薬品、
c)これら化学薬品の原料等として用いられている。
【0003】芳香族エステルの製造方法として、これま
でに種々の触媒を用いる方法が提案されている。例え
ば、パラジウム及び金を担体に担持してなる触媒の存在
下、p−キシレン及び酢酸を酸素と反応させることによ
り、p−キシリレンジアセテートを製造する方法が開示
されている(特開平8−231466号公報)。
【0004】しかしながら、かかる触媒は、触媒活性が
低い(触媒であるパラジウム単位当たりにおける単位時
間当たりのターンオーバー数は15程度)。このため、
生産効率を向上させるためには、反応基質であるp−キ
シレンに対してパラジウムを多量に用いなければなら
ず、生産コストの高騰を招く。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これに対し、本願出願
人は、塩基性化合物で触媒含有懸濁液を処理する方法を
採ることによって触媒活性を向上させることに成功して
いる(特開2000−70718)。
【0006】しかしながら、触媒活性をさらに高めるこ
とができれば、高品質な芳香族エステルを低コストで提
供することが可能となる。また、かかる方法をより簡便
な工程にすることができれば、さらなる低コスト化が実
現できるはずである。
【0007】従って、本発明の主な目的は、より触媒活
性に優れた酸化反応用触媒及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来技術の
問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の工程を経て
製造された材料が上記目的を達成できることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、下記の酸化反応用触
媒及びその製造方法ならびに該触媒を用いた芳香族アル
キルエステルの製造方法に係るものである。
【0010】1.周期表8〜10族の少なくとも1種の
金属成分と周期表11族の少なくとも1種の金属成分と
を担体に担持することにより酸化反応用触媒を製造する
方法であって、予め塩基性化合物で担体を処理した後、
金属成分を担持することを特徴とする酸化反応用触媒の
製造方法。
【0011】2.前記項1記載の製造方法により得られ
る酸化反応用触媒。
【0012】3.前記項2記載の触媒の存在下、アルキ
ル置換芳香族化合物、カルボン酸及び酸素を反応させる
ことによって、芳香族置換アルキルエステルを製造する
方法。
【0013】4.塩基性化合物がアミン化合物である前
記項1記載の製造方法。
【0014】5.金属成分がパラジウム及び金を含む前
記項1記載の製造方法。
【0015】6.単位パラジウムの時間当たりのターン
オーバー数(標準ターンオーバー数:TOF0)が60
0以上である前記項2記載の酸化反応用触媒。
【0016】
【発明の実施の形態】1.液相酸化反応用触媒の製造方
法 本発明の液相酸化反応用触媒の製造方法は、周期表
(「改訂4版 化学便覧 基礎編I」、第56頁、日本化
学会編、丸善(1993)(以下同じ。))の8〜10
族の少なくとも1種の金属成分(第一成分)と周期表1
1族の少なくとも1種の金属成分(第二成分)とを担体
に担持することにより酸化反応用触媒を製造する方法で
あって、予め塩基性化合物で担体を処理した後、金属成
分を担持することを特徴とする。
【0017】第一成分及び第二成分としては、具体的に
は、第一成分として鉄、ルテニウム、オスミウム、コバ
ルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム及
び白金の少なくとも1種、第二成分として銅、銀及び金
の少なくとも1種をそれぞれ用いることができる。本発
明では、これらの中でも、第一成分として少なくともパ
ラジウムを用い、第二成分として少なくとも金を用いる
ことが好ましい。
【0018】担体としては、アルキル置換芳香族化合物
等の酸化反応用触媒に使用されている公知の担体と同様
のものを使用できる。例えば、酸化チタン(チタニ
ア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化ケイ素
(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、シリカ・
アルミナ、シリカ・チタニア、ゼオライト、シリカゲ
ル、酸化マグネシウム(マグネシア)、シリカ・マグネ
シア、活性炭、粘土、ボーキサイト、珪藻土、軽石等が
挙げられる。これら担体は、1種又は2種以上を使用し
ても良い。本発明では、特に酸化チタン、酸化ジルコニ
ウム、酸化ケイ素、活性炭及び酸化アルミニウムの少な
くとも1種を含む担体が好ましい。なお、酸化チタン、
酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の
無機物は水和物であっても良い。これらの無機物は、多
孔質であることが望ましい。
【0019】担体の比表面積(BET法)は50m2
g以上であることが好ましい。比表面積を50m2/g
以上に設定することにより、金属成分をより多く担体上
に固定化でき、いっそう高い触媒活性を得ることができ
る。
【0020】担体の形状は、例えば成形体、顆粒体、粉
体、造粒物等のいずれであっても良い。また、これらの
大きさは、反応の種類、規模等によって適宜設定すれば
良い。これらの成形方法等も公知の方法に従って実施す
れば良い。 (1)塩基性化合物による処理 本発明では、金属成分を担持するに先立って予め塩基性
化合物で担体を処理する。担体は、pKa値(解離定数
の逆数の対数値(酸解離指数))が4.5以上の塩基性
化合物で処理されることが望ましい。上記pKa値4.
5以上の塩基性化合物は担体の表面酸点と相互作用し、
これにより担体の性質が第一成分又は第二成分を担持す
るのに適したものとなる。上記pKa値は、好ましくは
7.0以上、より好ましくは8.5以上とする。塩基性
化合物としては、具体的にはアミン化合物のほか、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物等を用いる
ことができる。本発明では、特にアミン化合物を好適に
用いることができる。アミン化合物としては、環状アミ
ン化合物又は非環状アミン化合物のいずれであっても良
い。
【0021】環状アミン化合物は、炭素数2〜12のも
のが好ましい。また、2つ以上の環が縮合したものであ
っても良い。本発明の環状アミン化合物としては、特に
ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、
ピリジン、ピロール、ピロリドン等をより好適に用いる
ことができる。これらは、置換基を有していても良い。
置換基としては、後記の非環状アミン化合物に示す置換
基と同様のものが適用できる。
【0022】非環状アミン化合物としては、下記一般式
(1) R123N …(1) (但し、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水
素、炭素数1〜18の鎖状若しくは環状の炭化水素基
であって置換基を有していても良いもの又は水酸基、
カルボニル基、カルボキシル基若しくはアミノ基(好ま
しくは水酸基若しくはアミノ基)を示す。)で示される
アミン化合物を好適に用いることができる。
【0023】上記の炭化水素基は、二重結合又は三重
結合を有していても良い。これら炭化水素基としては、
炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜18の芳香
族基が好ましい。
【0024】上記アルキル基としては、特にメチル基、
エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチ
ル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、
ベンジル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等が
好ましい。具体的には、上記アルキル基を有するアミン
化合物としては、エチルアミン、n−プロピルアミン、
n−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルア
ミン、トリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン
等がより好ましい。
【0025】上記芳香族基としては、2以上の芳香環が
縮合したものであっても良い。本発明では、フェニル
基、ナフチル基等が好ましい。上記芳香族基を有するア
ミン化合物としては、アニリン、N,N−ジメチルアニ
リン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジ
ン等がより好ましい。
【0026】また、上記置換基としては、炭素数1〜6
のものが好ましく、特に水酸基、アミノ基、エーテル
基、カルボニル基、カルボキシル基等がより好ましい。
【0027】水酸基を有する炭化水素基をもつ非環状ア
ミン化合物としては、例えばモノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノー
ルアミン、ブタノールアミン、N,N−ジメチルエタノ
ールアミン、N−メチルジエチルエタノールアミン等が
より好ましい。
【0028】アミノ基を有する炭化水素基をもつ非環状
アミン化合物としては、例えばエチレンジアミン、テト
ラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等がより
好ましい。
【0029】エーテル基を有する炭化水素基をもつ非環
状アミン化合物としては、例えばエチレングリコールア
ミノエチルエーテル、ジ(アミノエチル)エーテル等が
より好ましい。
【0030】上記の化合物としては、例えばヒドロキ
シルアミン、N−メチルヒドロキシアミン、ヒドラジ
ン、メチルヒドラジン等がより好ましい。
【0031】これらアミン化合物の中では、アンモニ
ア、鎖状炭化水素アミン類及び水酸基含有アルキルアミ
ンの少なくとも1種を好適に用いることができる。鎖状
炭化水素アミン類として、好ましくはトリエチルアミ
ン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミ
ン等が例示できる。水酸基含有アルキルアミンとして、
好ましくはモノエタノールアミン、N,N−ジメチルエ
タノールアミン、ジエタノールアミン等を例示できる。
【0032】担体を塩基性化合物で処理する方法として
は、担体と塩基性化合物とが接触できるようにすれば良
い。例えば、塩基性化合物の溶液を担体に含浸する方
法、塩基性化合物を気化させて担体に吸着させる方法等
のいずれであっても良い。
【0033】上記溶液を用いる方法をとる場合には、塩
基性化合物の溶液中の濃度は、担体上の酸点と塩基性化
合物が効率良く接触できる程度であれば限定的でない
が、特に0.2〜20ミリモル/Lとすることが好まし
い。また、溶液の温度は、通常10〜80℃程度とすれ
ば良い。塩基性化合物で処理された担体は、必要に応じ
て水洗し、乾燥しても良い。 (2)金属成分の担持 担体を塩基性化合物で処理した後、上記金属成分を担体
に担持する。担持方法は特に限定されず、沈澱法、イオ
ン交換法、含浸法、沈着法等の種々の方法を採用でき
る。また、第一成分及び第二成分の担持順序も限定的で
なく、1)第一成分を担持した後、第二成分を担持する
方法、2)第二成分を担持した後、第一成分を担持する
方法、3)第一成分及び第二成分を同時に担持する方法
等のいずれであっても良い。
【0034】本発明では、含浸法によって金属成分を好
適に担持することができる。例えば、金属成分を含む化
合物を溶媒に溶解して得られた溶液を担体に含浸した
後、その担体を焼成することによって担持することがで
きる。より具体的には、第一成分及び第二成分を含む溶
液(好ましくは水溶液)に上記担体を浸漬し、担体上に
各成分の沈殿物を析出させた後、熱処理(焼成)するこ
とによって第一成分及び第二成分を担体に担持させるこ
とができる。
【0035】金属成分を含む化合物としては、第一成分
及び/又は第二成分を含むものであれば良い。例えば、
第一成分及び第二成分の少なくとも1種を含む酸化物、
塩類(硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物等の無機酸塩、
ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩のほか、錯
塩、複塩等)、水酸化物等を用いることができる。これ
らは、溶媒の種類等に応じて適宜採択すれば良い。例え
ば、溶媒が水である場合は、これらの金属成分を含む水
溶性化合物を好適に用いることができる。
【0036】特に、本発明では、金属成分としてPd及
びAuを用いることが好ましい。従って、これらを含む
化合物を好適に用いることができる。
【0037】パラジウム化合物としては、例えば金属パ
ラジウム、酸化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラ
ジウム、酢酸パラジウム、ヘキサクロロパラジウム酸ア
ンモニウム、ヘキサクロロパラジウム酸ナトリウム、ヘ
キサクロロパラジウム酸カリウム、テトラクロロパラジ
ウム酸アンモニウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリ
ウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム、テトラブロ
モパラジウム酸カリウム、テトラシアノパラジウム酸カ
リウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラ
ジウム、クロロカルボニルパラジウム、ジニトロサルフ
ァイトパラジウム酸カリウム、ジニトロジアミンパラジ
ウム、テトラアンミンパラジウム塩化物、テトラアンミ
ンパラジウム硝酸塩、cis-ジクロロジアミンパラジウ
ム、trans-ジクロロジアミンパラジウム、ビストリフェ
ニルホスフィンパラジウムジクロライド、ジクロロ(エ
チレンジアミン)パラジウム等が挙げられる。これらの
パラジウム化合物は水和物であっても良い。パラジウム
化合物は、1種又は2種以上で用いることができる。
【0038】これらのパラジウム化合物のうち、水に溶
解する化合物が好ましく、硝酸パラジウム、硫酸パラジ
ウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム及びテトラアン
ミンパラジウム塩化物がより好ましく、酢酸パラジウム
及びテトラアンミンパラジウム塩化物が最も好ましい。
【0039】金化合物としては、水に溶解する化合物で
あれば良い。例えば、テトラクロロ金(III) 酸「H〔A
uCl4〕」、テトラクロロ金(III) 酸ナトリウム「N
a〔AuCl4〕」、ジシアノ金(I) 酸カリウム「K
〔Au(CN)2〕」、ジエチルアミン金(III) 三塩化
物「(C252NH・〔AuCl3〕」等の錯体;シア
ン化金(I) 「AuCN」等が挙げられる。金化合物は、
水和物であっても良い。これら金化合物は、1種又は2
種以上で使用できる。上記金化合物のうち、テトラクロ
ロ金(III) 酸が特に好ましい。
【0040】第一成分を含む化合物の使用量は、化合物
又は担体の種類、比表面積、形状又は使用量等に応じて
適宜設定できるが、通常は溶液中の第一成分の濃度が
0.01ミリモル/L〜1モル/L程度となるようにす
れば良い。
【0041】第二成分を含む化合物の使用量は、担体の
種類、比表面積、形状、使用量等によって変更できる
が、通常は溶液中の第二成分の濃度が0.01ミリモル
/L〜2.5モル/L程度となるようにすれば良い。
【0042】溶液の調製に用いる溶媒は、これらの化合
物を溶解させることができるものであれば良い。例え
ば、水のほか、メタノール、エタノール、i−プロパノ
ール等のアルコール類;テトラヒドロフラン(THF)
等のエーテル類等が使用できる。また、ジメチルスルフ
ォキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DM
F)等も使用することができる。
【0043】また、上記溶液には必要に応じて界面活性
剤等を配合しても良い。界面活性剤の使用によって担体
の分散性をより高めることができるとともに、担体上に
析出させる沈殿物の量を増やすことができる。界面活性
剤は特に限定されず、公知のもの又は市販品を用いるこ
とができる。例えば、長鎖アルキルスルホン酸及びその
塩、長鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、長鎖
アルキルカルボン酸及びその塩等のアニオン性界面活性
剤;長鎖アルキル四級アンモニウム塩等のカチオン性界
面活性剤;ポリアルキレングリコール、ポリオキシエチ
レンノニルフェノール等のノニオン性界面活性剤等が挙
げられる。これら界面活性剤は1種又は2種以上で用い
ることができる。
【0044】これらの界面活性剤のうち、アニオン性界
面活性剤及びノニオン性界面活性剤が好ましく、特にア
ニオン性界面活性剤がより好ましい。アニオン性界面活
性剤としては、炭素数が8以上の長鎖アルキル(アリー
ル)スルホン酸及びその塩、長鎖アルキル(アリール)
カルボン酸及びその塩等が好ましい。
【0045】界面活性剤の使用量は、用いる界面活性剤
の種類、金属成分を含む化合物、担体の種類、組み合わ
せ等に応じて設定することができるが、一般的には溶液
中の界面活性剤の濃度が0.1ミリモル/L〜10モル
/L程度、好ましくは0.5ミリモル/L〜8モル/L
となるようにすれば良い。
【0046】上記溶液は、そのpHを6〜10程度とす
ることが好ましい。溶液のpHを上記の範囲内に調節す
ることにより、金属成分を超微粒子状としてより確実に
担持させることができる。
【0047】pHを上記範囲内に調節する方法は限定的
でなく、公知の方法に従えば良い。一般的には、アルカ
リ性化合物を溶液に適宜添加すれば良い。アルカリ性化
合物としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙
げられる。これら化合物は、予め水に溶解させてから添
加しても良い。
【0048】上記溶液に担体を浸漬し、担体上に沈殿物
を析出させる際の析出温度は、その下限値及び上限値を
それぞれ個別に設定できる。すなわち、下限値は10
℃、好ましくは30℃とし、上限値は100℃、好まし
くは80℃とする。析出させる時間も、その下限値及び
上限値をそれぞれ個別に設定できる。すなわち、下限値
は10分間、好ましくは30分とし、上限値は5時間、
好ましくは3時間とする。析出の過程でpHが変動する
場合があるが、この場合は必要に応じて担体を処理した
塩基を加えてpHを所定値に保つことができる。また、
必要により、析出する沈澱物の粒子径が大きくなりすぎ
ない範囲内において、析出操作を繰り返し行うことによ
って、担体上に析出させる沈澱物の析出量を増加させる
こともできる。
【0049】一般には、上記溶液に浸漬された担体は、
溶液中で攪拌されることにより、溶液中に分散・懸濁さ
れ、その結果として担体上に各金属成分を含む沈澱物が
析出することとなる。これらの沈澱物は、通常は水酸化
物、超微粒子等の形態で析出する。
【0050】特に、上記溶液が界面活性剤を含んでいる
場合には、次のような効果も得られる。すなわち、例え
ば担体が成形体である場合、担体表面の等電位点が比較
的低い場合等においても、担体上に上記沈澱物を比較的
多量に析出させることができる。
【0051】沈殿物が析出した担体は、公知の固液分離
方法に従って回収し、必要に応じて水洗、乾燥等を施し
ても良い。例えば、ろ過によって担体を回収し、水洗し
た後、担体を10〜150℃程度で1〜10時間程度乾
燥すれば良い。
【0052】次に、回収された担体を熱処理(焼成)す
る。焼成温度は、通常100〜1000℃程度、好まし
くは150〜800℃とすれば良い。焼成雰囲気は、大
気中、酸化性雰囲気中、還元性雰囲気中、不活性ガス雰
囲気中、真空中等のいずれであっても良いが、通常は大
気中とすれば良い。焼成時間は、焼成温度等に応じて適
宜決定すれば良い。一般に、上記沈殿物が水酸化物であ
る場合には、焼成によって分解されて各金属成分の微粒
子となったり、あるいは金及びパラジウムの双方を含む
微粒子となる。 (3)第三成分の付与 本発明では、上記の第一成分及び第二成分のほかの成分
(第三成分)も必要に応じて含有させることができる。
第三成分としては、周期表1族、2族、3族、12族、
14族、15族、16族及びインジウムの少なくとも1
種の元素を含有させることが好ましい。これら第三成分
を含有させることにより、触媒活性をさらに向上させる
ことができる。第三成分は、含浸法等の公知の方法に従
って付与すれば良い。 2.酸化反応用触媒 本発明の酸化反応用触媒は、上記1.の本発明方法で製
造されるものである。ただし、本発明の酸化反応用触媒
は、本発明の製法で得られるものに限定されない。
【0053】本発明触媒における金属成分の含有量は、
触媒の用途、使用目的等に応じて適宜設定することがで
きる。触媒に占める第一成分の割合は0.001〜10
重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。
触媒に占める第二成分の割合は0.001〜20重量%
が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましい。ま
た、第三成分を含む場合は、触媒に占める第三成分の割
合は0.0001〜20重量%が好ましく、0.001
〜10重量%がより好ましい。かかる範囲内で各成分の
含有量を設定すれば、より高い触媒活性を得ることがで
きる。
【0054】本発明触媒では、いずれの金属成分も平均
粒子径10nm以下、好ましくは5nm以下の超微粒子
であることが好ましい。10nm以下の超微粒子として
金属成分が存在する場合には、いっそう優れた触媒活性
を得ることが可能となる。
【0055】また、上記の製造方法では、金及びパラジ
ウムの双方を含む微粒子(金及びパラジウムの複合微粒
子)が生成される場合もあるが、このような態様も本発
明に包含される。この場合、金及びパラジウムは合金化
されていても良いし、合金化されていなくても良い。
【0056】本発明の触媒は、酸化反応用触媒としての
触媒活性に優れているため、特に酸化反応用触媒(好ま
しくは液相酸化反応用触媒)として有効である。とりわ
け、アルキル置換芳香族化合物、カルボン酸及び酸素を
反応させて芳香族置換アルキルエステルを合成するため
の液相酸化反応用触媒として有利に用いることができ
る。この反応における単位パラジウムの時間当たりのタ
ーンオーバー数は、従来の触媒が5〜150程度である
のに対し、本発明触媒では600以上(好ましくは80
0以上)と従来品を超える性能を発揮することができ
る。
【0057】ここに、「単位パラジウムの時間当たりの
ターンオーバー数」とは、触媒の生産性を表す尺度であ
り、一般には下記式により標準ターンオーバー数(標準
TOF(TOF0))として算出される値をいう。
【0058】TOF0=(生成モノエステルのモル数+
生成ジエステルのモル数×2)/(反応に用いた触媒に
含まれるパラジウムのモル数×反応時間(hr)) TOF0は反応条件・原料によって変化するパラメータ
であるため、本発明における上記TOF0は、後記の実
施例1の反応条件下で実施例1の反応原料を反応させた
場合における値を基準として600以上、好ましくは8
00以上と規定するものである。 3.芳香族置換アルキルエステルの製造方法 本発明の製造方法は、本発明の酸化反応用触媒の存在
下、アルキル置換芳香族化合物、カルボン酸及び酸素を
液相中で反応させることによって、芳香族置換アルキル
エステルを製造することを特徴とする。
【0059】原料として用いられるアルキル置換芳香族
化合物は、少なくとも1つのアルキル基が芳香環に直接
結合している化合物であって、芳香環に直接結合した炭
素に少なくとも1つの水素原子が結合しているものであ
れば良く、従来より芳香族置換アルキルエステル合成で
使用されている化合物を採用することができる。また、
アルキル置換芳香族化合物は、本発明にかかる酸化反応
に対して不活性な官能基を有していても良い。アルキル
置換芳香族化合物は1種又は2種以上で用いることがで
きる。
【0060】アルキル置換芳香族化合物としては、例え
ば、下記一般式
【0061】
【化1】
【0062】(式中、R1及びR2は、それぞれ独立し
て、水素原子又はアルキル基を示し、X 1〜X5は、それ
ぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、水
酸基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カ
ルボキシル基、カルボニルオキシ基、アルキルオキシ
基、アリールオキシ基、アルキルカルボキシル基、アリ
ールカルボキシル基、アルキルカルボニル基、アリール
カルボニル基、アルキルカルボキシアルキル基、アリー
ルカルボキシアルキル基を示す)で表される化合物が挙
げられる。
【0063】具体的にはトルエン、エチルベンゼン、n
−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチ
ルベンゼン、 sec−ブチルベンゼン、トリメチルベンゼ
ン等のアルキルベンゼン;キシレン、エチルトルエン、
n−プロピルトルエン、イソプロピルトルエン、n−ブ
チルトルエン、 sec−ブチルトルエン等のo−,m−,
p−ジアルキルベンゼン;4,4’−ジメチルビフェニ
ル、メチルビフェニル等のアリール置換アルキルベンゼ
ン;クレゾール等のo−,m−,p−ヒドロキシ置換ア
ルキルベンゼン;クロロトルエン等のo−,m−,p−
ハロゲン置換アルキルベンゼン;o−,m−,p−ニト
ロトルエン等のニトロ基置換アルキルベンゼン;メチル
アニリン等のo−,m−,p−アミノ基置換アルキルベ
ンゼン;メチルベンズアミド等のo−,m−,p−アミ
ド基置換アルキルベンゼン;メチルアニソール等のo
−,m−,p−アルキルオキシ置換アルキルベンゼン;
フェノキシトルエン等のo−,m−,p−アリールオキ
シ置換アルキルベンゼン;トルイル酸(メチル安息香
酸)等のo−,m−,p−カルボキシル基置換アルキル
ベンゼン;酢酸トリル、プロピオン酸トリル、ブタン酸
トリル、安息香酸トリル等のo−,m−,p−カルボニ
ルオキシ置換アルキルベンゼン(カルボン酸(アルキ
ル)フェニルエステル);メチルアセトフェノン、メチ
ルベンゾフェノン等のo−,m−,p−カルボニル置換
アルキルベンゼン;メチルベンジルアセテート等のo
−,m−,p−カルボキシアルキル置換アルキルベンゼ
ン等が例示される。
【0064】さらに、アルキル置換芳香族化合物として
は、前記一般式におけるベンゼン環の代わりに、縮合環
又は複素環を有する化合物(例えば、α−又はβ−メチ
ルナフタレン、2,6−ジメチルナフタレン、2,7−
ジメチルナフタレン、ジメチルピリジン等)も含まれ
る。
【0065】これらアルキル置換芳香族化合物のうち、
アルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、カルボキシ置
換アルキルベンゼン及びカルボキシアルキル置換アルキ
ルベンゼンの少なくとも1種がより好ましく、特にo
−,m−,p−キシレン及びo−,m−,p−メチルベ
ンジルアセテート、4,4’−ジメチルビフェニル、
2,6−ジメチルナフタレン及び酢酸(2−メチル)フ
ェニルの少なくとも1種が最も好ましい。
【0066】原料として用いられるカルボン酸として
も、従来の芳香族置換アルキルエステル合成で使用され
ているカルボン酸を使用することができる。本発明で
は、特にモノカルボン酸が好適である。例えば、酢酸、
プロピオン酸、ブタン酸等の脂肪族カルボン酸;安息香
酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。これらのカル
ボン酸のうち、酢酸及びプロピオン酸が好ましく、酢酸
が最も好ましい。
【0067】アルキル置換芳香族化合物とカルボン酸と
の使用割合は、アルキル置換芳香族化合物が有するベン
ジル基に対するカルボン酸のモル比が化学量論比以上と
なるようにすれば良く、特に上記モル比が等倍モル〜2
0倍モルの範囲内とすることが好ましい。かかる範囲内
にモル比を設定する場合には、芳香族置換アルキルエス
テルをより効率的に製造することができる。
【0068】上記のアルキル置換芳香族化合物及びカル
ボン酸を、前記触媒の存在下で酸化反応させることによ
り芳香族置換アルキルエステルが得られる。酸化反応
は、酸素ガス(分子状酸素)の存在下、液相又は気相で
行われる。つまり、本発明方法では、上記酸化反応を液
相又は気相で行うことができるが、特に液相で行うこと
がより好ましい。
【0069】酸素ガスは、必要により窒素ガス、ヘリウ
ムガス、アルゴンガス等の不活性ガスによって希釈され
ていても良い。また、酸素含有ガスとして空気を用いる
こともできる。酸素ガスの反応系への供給方法は、特に
限定されるものではない。
【0070】酸化反応の形態は、連続式、回分式又は半
回分式のいずれであっても良く、特に限定されない。反
応形態として回分式を採用する場合には、反応装置に触
媒を原料とともに一括して仕込めば良い。また、連続式
を採用する場合には、反応装置に触媒を予め充填してお
くか、あるいは反応装置に触媒を原料とともに連続的に
仕込めば良い。従って、触媒は、固定床、流動床、懸濁
床のいずれの形態で使用しても良い。
【0071】触媒の使用量は限定的でなく、用いるアル
キル置換芳香族化合物及びカルボン酸の種類又は組み合
わせ、触媒の組成、反応条件等に応じて適宜設定すれば
良い。
【0072】反応温度、反応圧力、反応時間等の反応条
件も特に限定されず、アルキル置換芳香族化合物又はカ
ルボン酸の種類や組み合わせ、触媒の組成等に応じて適
宜設定することができるが、芳香族置換アルキルエステ
ルをより効率的に製造するためには、以下のように反応
温度及び反応圧力を設定することが好ましい。
【0073】反応温度は通常50℃〜200℃程度、好
ましくは80〜180℃とする。かかる反応温度に設定
することによって、生産効率の向上に加え、反応装置の
長寿命化にも寄与できる。
【0074】反応圧力は、減圧、常圧(大気圧)又は加
圧のいずれであっても良い。酸化反応に酸素ガス(希釈
されていない酸素ガス)を用いる場合には、常圧〜50
kg/cm2(ゲージ圧)の範囲内が好適である。酸化
反応に空気を用いる場合には、常圧〜200kg/cm
2(ゲージ圧)の範囲内が好適である。
【0075】酸化反応は、上記反応条件下においてアル
キル置換芳香族化合物及び/又はカルボン酸が液体状で
ある場合には、特に溶媒を用いる必要がないが、両者を
均一に混合することができない場合や、反応が激しい場
合には、反応に対して不活性な溶媒を用いて希釈するこ
とができる。
【0076】反応終了後は、公知の方法に従って分離・
精製し、生成した芳香族置換アルキルエステルを回収す
れば良い。
【0077】上記の芳香族置換アルキルエステルは、カ
ルボン酸のカルボキシル基と、アルキル置換芳香族化合
物のアルキル基において芳香環に直接結合した炭素とが
結合することにより形成したエステルである。具体的に
は、例えば原料としてトルエン及び酢酸を用いる場合、
得られる芳香族置換アルキルエステルは酢酸ベンジルで
ある。また、例えば、原料としてp−キシレン及び酢酸
を用いる場合、得られる芳香族置換アルキルエステルは
p−メチルベンジルアセテート及びp−キシリレンジア
セテートである。
【0078】本発明触媒を適用できる反応としては、第
一成分及び第二成分が主活性成分である触媒の関与する
酸化反応であれば良く、特に限定されるものではない。
例えば、1)オレフィン化合物類とカルボン酸類を酸素
の存在下で反応させて相応するカルボン酸のビニルエス
テル類又はアリルエステル類を合成する反応、2)芳香
族類とカルボン酸類を酸素の存在下で反応させて相応す
るカルボン酸の芳香族エステル類を合成する反応、3)
フェノール類と一酸化炭素を酸素の存在下で反応させて
フェニルカーボネート類を合成する反応、4)アミン類
又はアニリン類と一酸化炭素とを酸素の存在下で反応さ
せて相応する尿素類、ウレタン類又はイソシアネート類
を合成する反応、5)芳香族炭化水素の側鎖を酸素の存
在下酸化して相応する芳香族カルボン酸類又は芳香族ア
ルデヒド類を合成する方法、6)芳香族化合物を酸素の
存在下に反応させて相応する芳香族カップリング化合物
を合成する酸化カップリング反応、7)オレフィン化合
物類とアルコール類を酸素の存在下反応させて相応する
ビニルエーテル類又はアセタール類を合成する方法、
8)アルコール類を酸素の存在下反応させて相応するア
セタール類を合成する反応、9)その他にも、分子状酸
素が関与する反応、触媒活性成分の酸化数の変化を伴う
酸化反応等が挙げられる。
【0079】本発明の製造方法によって得られる芳香族
置換アルキルエステル(例えば、p−メチルベンジルア
セテート、p−キシリレンジアセテート)は、ポリエス
テル樹脂等の合成樹脂の原料、香料、溶剤等の各種化学
薬品、あるいはこれら化学薬品の原料等として好適な化
合物である。
【0080】また、例えばp−キシリレンジアセテート
を加水分解して得られるp−キシリレングリコールは、
合成繊維や合成樹脂、可塑剤等の原料として、あるいは
ポリウレタンや炭素繊維等との複合材料を形成する際の
原料として好適な化合物であり、特に耐熱性高分子の原
料として有用である。なお、芳香族置換アルキルエステ
ルを加水分解する方法は、特に限定されるものではな
い。
【0081】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、担体を予め
塩基性化合物で処理した後に第一成分及び第二成分を担
体に担持することから、金属成分を担持する工程におい
てpH調整して得られる従来品よりも触媒活性に優れた
酸化反応用触媒を得ることができる。
【0082】また、従来法のpH調整では、金属成分を
担持する工程の途中で行われることから、その制御が難
しく煩雑であったのに対し、本発明方法では担体を予め
処理するものであり、従来法のようなpH制御操作工程
を省略でき、金属成分の担持工程も容易に行うことがで
きる。特に、本発明のアミン処理された担体に周期表1
1族の金属成分を担持する場合には、従来法よりも高い
担持効率を達成することができ、この点においても触媒
活性の向上に寄与し得る。
【0083】本発明の酸化反応用触媒は、各種の酸化反
応用として工業的規模で好適に用いることができる。特
に、アルキル置換芳香族化合物、カルボン酸及び酸素を
反応させて芳香族置換アルキルエステルを合成する際の
触媒として有効である。
【0084】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明をよ
り具体的に説明する。ただし、本発明は、これら実施例
の範囲に限定されるものではない。
【0085】実施例1 (1)触媒の調製 水100mlに担体として酸化チタン粉体(サンゴバン
・ノルプロ社製)5gを加え、60℃に加温し、この温
度で29%アンモニア水(アンモニア:pKa(25
℃)=9.25)を用いてpH8.0に調整し、攪拌し
て懸濁液とすることにより、担体である酸化チタンのア
ンモニアによる処理を予め行った。
【0086】テトラクロロ金(III)酸4水和物0.8
4gを水200mlに溶解し、60℃に加温して金水溶
液を調製した。この水溶液を水酸化ナトリウム水溶液を
用いてpH8.5に調整した後、テトラアンミンパラジ
ウムジクロライド1水和物0.248gを加えて溶解し
た。次いで、この水溶液にラウリン酸ナトリウム0.3
gを添加し、溶解させて金・パラジウム水溶液を得た。
【0087】この金・パラジウム水溶液を前記懸濁液に
加え、60℃で1時間攪拌することにより、酸化チタン
表面上にパラジウム沈殿物及び金沈殿物を形成させ、ろ
過した後に水洗し、120℃で6時間乾燥させた。得ら
れた固定化物を空気中400℃で3時間熱処理すること
により、酸化チタン上にパラジウム及び金が担持された
担持体(酸化チタン担持パラジウム−金)を得た。担持
体におけるパラジウム及び金の担持量はそれぞれ1.5
3重量%及び7.84重量%であった。これより、担持
体上に固定化されたパラジウム及び金の仕込み量に対す
る割合はそれぞれ76.7%及び98.0%であった。 (2)芳香族置換アルキルエステルの合成 上記(1)で得られた触媒を用い、p−キシレン及び酢
酸を原料とする酸化的エステル化反応を行い、p−キシ
リレンジアセテートの合成を実施した。
【0088】容量100mlの回転攪拌式オートクレー
ブに上記触媒1g(パラジウム含有量0.188ミリモ
ル)、酢酸15.4g及びp−キシレン6.7gを加え
て密封した。その後、系内を窒素で置換し、さらに窒素
で9.8×105Pa(ゲージ圧)に加圧し、1000
rpmで攪拌しながら140℃に加熱した。この温度に
達した後、内圧を9.8×105Pa(ゲージ圧)に調
整し、さらに酸素で内圧2.45×106Pa(ゲージ
圧)まで加圧し、酸素の補充により反応中の圧力の低下
を防ぎながら25分間反応を行った。反応後、得られた
反応液の組成をガスクロマトグラフィーで分析した結
果、p−キシレンの転化率は86.0%、モノエステル
であるp−メチルベンジルアセテートが3.91g(収
率37.7モル%、選択率43.9モル%)、ジエステ
ルであるp−キシリレンジアセテートが3.48g(収
率24.8モル%、選択率28.8モル%)であり、エ
ステル化物のトータルの選択率は72.7モル%であっ
た。このときの触媒主活性種であるパラジウムの単位時
間当たりのターンオーバー数(TOF0)は939.2
5であった。
【0089】実施例2 担体の処理にアンモニア水に代えてモノエタノールアミ
ン(モノエタノールアミン:pKa(25℃)=9.5
2)を用いたほかは、実施例1と同様にして酸化チタン
担持パラジウム−金を得た。この担持体におけるパラジ
ウム及び金の担持量はそれぞれ0.63重量%及び7.
44重量%であった。これより、担持体上に固定化され
たパラジウム及び金の仕込み量に対する割合はそれぞれ
31.4%及び93.0%であった。
【0090】得られた触媒を用い、実施例1と同様にp
−キシレン及び酢酸を原料とする酸化的エステル化反応
を行い、p−キシリレンジアセテートの合成を実施し
た。反応後、得られた反応液の組成をガスクロマトグラ
フィーで分析した結果、p−キシレンの転化率は79.
2%、モノエステルであるp−メチルベンジルアセテー
トが4.13g(収率40.1モル%、選択率50.6
モル%)、ジエステルであるp−キシリレンジアセテー
トが3.11g(収率22.3モル%、選択率28.2
モル%)であり、エステル化物のトータルの選択率は7
8.8モル%であった。このときの触媒主活性種である
パラジウムの単位時間当たりのターンオーバー数(TO
0)は2205.3であった。
【0091】実施例3 担体の処理にアンモニア水に代えて1.0規定の水酸化
ナトリウム水溶液を用いたほかは、実施例1と同様にし
て酸化チタン担持パラジウム−金を得た。この担持体に
おけるパラジウム及び金の担持量はそれぞれ1.81重
量%及び6.44重量%であった。これより、担持体上
に固定化されたパラジウム及び金の仕込み量に対する割
合はそれぞれ90.5%及び80.5%であった。
【0092】得られた触媒を用い、実施例1と同様にp
−キシレン及び酢酸を原料とする酸化的エステル化反応
を行い、p−キシリレンジアセテートの合成を実施し
た。反応後、得られた反応液の組成をガスクロマトグラ
フィーで分析した結果、p−キシレンの転化率は79.
2%、モノエステルであるp−メチルベンジルアセテー
トが3.50g(収率34.3モル%、選択率43.3
モル%)、ジエステルであるp−キシリレンジアセテー
トが3.02g(収率21.8モル%、選択率27.5
モル%)であり、エステル化物のトータルの選択率は7
0.8モル%であった。このときの触媒主活性種である
パラジウムの単位時間当たりのターンオーバー数(TO
0)は698.7であった。
【0093】比較例1 (1)触媒の調製 テトラクロロ金(III)酸4水和物0.84gを水20
0mlに溶解し、60℃に加温して金水溶液を調製し
た。この水溶液を水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH
8.5に調整した後、テトラアンミンパラジウムジクロ
ライド0.258gを加えて溶解した。次いで、この水
溶液にラウリン酸ナトリウム0.3gを添加し、溶解さ
せて金・パラジウム水溶液を得た。
【0094】塩基性化合物による処理を施していない酸
化チタン粉体(サンゴバン・ノルプロ社製)5gを上記
水溶液に60℃で加え、60℃で1時間攪拌することに
より、酸化チタン表面上にパラジウム沈殿物及び金沈殿
物を形成させ、ろ過した後に水洗し、120℃で6時間
乾燥させた。得られた固定化物を空気中400℃で3時
間焼成することにより、酸化チタン上にパラジウム及び
金が担持された担持体(酸化チタン担持パラジウム−
金)を得た。担持体におけるパラジウム及び金の担持量
はそれぞれ1.89重量%及び5.90重量%であっ
た。 (2)芳香族置換アルキルエステルの合成 上記(1)で得られた触媒を用い、実施例1と同様にし
てp−キシリレンジアセテートの合成を実施した。反応
後、得られた反応液の組成をガスクロマトグラフィーで
分析した結果、p−キシレンの転化率は61.1%、モ
ノエステルであるp−メチルベンジルアセテートが3.
04g(収率29.3モル%、選択率47.9モル
%)、ジエステルであるp−キシリレンジアセテートが
1.61g(収率11.5モル%、選択率18.8モル
%)であり、エステル化物のトータルの選択率は66.
7モル%であった。このときの触媒主活性種であるパラ
ジウムの単位時間当たりのターンオーバー数(TO
0)は446であった。
【0095】実施例4 (1)触媒の調製 テトラクロロ金(III)酸4水和物0.84gを水20
0mlに溶解し、60℃に加温して金水溶液を調製し
た。この水溶液を水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH
8.5に調整した後、テトラアンミンパラジウムジクロ
ライド1水和物0.248gを加えて溶解した。次い
で、この水溶液にラウリン酸ナトリウム0.3gを添加
し、溶解させて金・パラジウム水溶液を得た。
【0096】一方、酢酸バリウム62.8mgを水10
0mlに溶解し、得られた溶液に担体として酸化チタン
粉体(サンゴバン・ノルプロ社製)13gを加え、懸濁
液を得た。この懸濁液をロータリーエバポレーターをて
攪拌しながら減圧下蒸発乾固した。得られた材料を50
0℃で2時間熱処理することにより第三成分担持体とし
て酸化チタン担持バリウムを得た。次いで、この酸化チ
タン担持バリウム5gを水100mlに分散させ、得ら
れた懸濁液を60℃に加温し、この温度下でモノエタノ
ールアミンを加えてpH8.0に調整した。この懸濁液
に上記金・パラジウム水溶液を加え、60℃で1時間攪
拌することにより、酸化チタン担持バリウム表面にパラ
ジウム沈殿物及び金沈殿物を析出させてパラジウム−金
固定化物を得た。その後、パラジウム−金固定化物をろ
過し、水洗した後、120℃で6時間乾燥させた。さら
に、パラジウム−金固定化物を空気中400℃で3時間
焼成することにより、本発明触媒を得た。この触媒にお
けるパラジウム及び金の担持量は、それぞれ0.68重
量%及び5.59重量%であった。 (2)芳香族置換アルキルエステルの合成 上記(1)で得られた触媒を用い、p−キシレン及び酢
酸を原料とする酸化的エステル化反応を行い、p−キシ
リレンアセテートの合成を実施した。
【0097】容量100mlの回転攪拌式オートクレー
ブに上記触媒1g(パラジウム含有量0.064ミリモ
ル)、酢酸15.4g及びキシレン6.7gを加えて密
封した。その後、実施例1と同様にして反応させた。反
応後、得られた反応液の組成をガスクロマトグラフィー
で分析した結果、p−キシレンの転化率は88.5%、
モノエステルであるp−メチルベンジルアセテートが
4.6g(収率44.4モル%、選択率50.2モル
%)、ジエステルであるp−キシリレンジアセテートが
3.6g(収率25.7モル%、選択率29.0モル
%)であり、エステル化物のトータルの選択率は79.
2モル%であった。このときの触媒主活性種であるパラ
ジウムの単位時間当たりのターンオーバー数(TO
0)は2267であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 69/16 C07C 69/16 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 AA09 BA04B BC33B BC72B CB07 CB75 DA08 EA01Y FA02 FB09 FC04 4H006 AA02 AA05 AC48 BA05 BA10 BA22 BA25 BA55 BA60 BE30 BJ50 KA13 4H039 CA66 CC30 CD30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周期表8〜10族の少なくとも1種の金属
    成分と周期表11族の少なくとも1種の金属成分とを担
    体に担持することにより酸化反応用触媒を製造する方法
    であって、予め塩基性化合物で担体を処理した後、上記
    金属成分を担持することを特徴とする酸化反応用触媒の
    製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造方法により得られる酸
    化反応用触媒。
  3. 【請求項3】請求項2記載の触媒の存在下、アルキル置
    換芳香族化合物、カルボン酸及び酸素を反応させること
    によって、芳香族置換アルキルエステルを製造する方
    法。
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