JP2001152274A - 二次加工用タングステン素材 - Google Patents

二次加工用タングステン素材

Info

Publication number
JP2001152274A
JP2001152274A JP33307999A JP33307999A JP2001152274A JP 2001152274 A JP2001152274 A JP 2001152274A JP 33307999 A JP33307999 A JP 33307999A JP 33307999 A JP33307999 A JP 33307999A JP 2001152274 A JP2001152274 A JP 2001152274A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tungsten
tungsten material
secondary working
secondary processing
diameter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP33307999A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3569182B2 (ja
Inventor
Motoaki Ezaki
元昭 江崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP33307999A priority Critical patent/JP3569182B2/ja
Publication of JP2001152274A publication Critical patent/JP2001152274A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3569182B2 publication Critical patent/JP3569182B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Metal Extraction Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】コイリングなどの二次加工工程に供した場合に
おいても、脆性が高まるおそれが少なく、二次加工工程
において曲げ,圧縮,ねじり,引張応力等が作用した場
合においても断線や破損が少なく優れた耐久性を有し、
二次加工での歩留りを大幅に改善することが可能な二次
加工用タングステン素材を提供する。 【解決手段】タングステン(W)を主成分とし、コイリ
ングなどの二次加工工程を経て製品に加工される二次加
工用タングステン素材1において、タングステン素材1
の直径Dの1/3を基準長さLとしたときの粗さ曲線の
凹凸の平均間隔(Sm)が√D/5以上であり、かつ粗
さ曲線の山頂線と谷底線との間隔(Ry)がD/50以
下であることを特徴とする二次加工用タングステン素材
1である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は二次加工用タングス
テン素材に係り、特にコイリングなどの二次加工工程に
供した場合においても、脆性が高まるおそれが少なく、
二次加工工程において曲げ,圧縮,ねじり,引張応力等
が作用した場合においても断線や破損が少なく優れた耐
久性を有し、二次加工での歩留りを大幅に改善すること
が可能な二次加工用タングステン素材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からTV用電子銃のカソードヒータ
や自動車ランプ,家電機器の照明ランプのフィラメント
材,蒸着用素子,放電電極,電子管用ヒータ,溶接用電
極棒,等の構成材として各種タングステン線やタングス
テン棒が使用されている。
【0003】上記のタングステン線等は、一般に以下の
ような製造プロセスを経て製造されていた。すなわち、
タングステンのアンモニウム塩を水素または大気中で分
解しタングステン酸化物にAl,Si,Kなどのドープ
剤を添加し、水素中で還元した後に酸洗浄を行ってドー
プタングステン原料粉末を調製する。次に得られた原料
粉末を金型プレス機等で成形後、2700〜3000℃
程度の温度で焼結してタングステン焼結体を形成する。
そして、最終製品の径や寸法が比較的大きな場合もしく
は板形状である場合には、上記タングステン焼結体を鍛
造加工したり、圧延加工することにより直接的に最終製
品とされる。
【0004】一方、最終製品がランプ用フィラメントの
ように線径が極めて微細である場合には、まず転打・伸
線(線引き)加工等の一次加工処理を施して、ある程度
小径のタングステン素材までに加工処理される。しかる
後に、得られたタングステン素材について、さらに転
打,線引きなどの加熱加工および再結晶化熱処理などの
加工工程を段階的に繰り返して微細直径のタングステン
線を作成している。また、従来はタングステン素材の表
面を平滑にするために、電解研磨法などが採用されてい
た。
【0005】こうして得られたタングステン線を巻回
(コイリング)する二次加工処理を実施してフィラメン
トを作製し、さらに熱処理(フラッシング)して二次再
結晶化されて、ランプ等に装着している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなタングステンを主成分とし、一次加工して形成さ
れた従来のタングステン素材を、さらに二次加工処理し
て、より細径の線材を製作したり、コイリングする場合
には、二次加工処理工程において素材の脆性が高くなる
ことが多く、曲げ,圧縮,ねじり,引張等の応力が作用
したときに破損や欠けを生じ易く、最終製品の製造歩留
りが大幅に低下する問題点があった。
【0007】また連続処理運転を基本とする現在の加工
処理設備において、素材の断線事故が発生すると、その
素材の交換や設備の復旧作業に多大な労力負荷が運転員
にかかり、製品のコストが上昇し製造効率が低下して大
きな損失に直結する問題点もあった。
【0008】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、コイリングなどの二次加工工程に供し
た場合においても、脆性が高まるおそれが少なく、二次
加工工程において曲げ,圧縮,ねじり,引張応力等が作
用した場合においても断線や破損が少なく優れた耐久性
を有し、二次加工での歩留りを大幅に改善することが可
能な二次加工用タングステン素材を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本願発明者は従来の二次加工用タングステン素材を二
次加工した場合に、素材が脆化したり、破断事故が多発
する原因を鋭意究明した。その結果、タングステン素材
の表面性状や潤滑剤の存在の有無が二次加工時における
脆化や欠陥の発生に大きな影響を及ぼすことが判明し
た。
【0010】すなわち、タングステン焼結体を転打・線
引き加工等の一次加工を施し二次加工用のタングステン
素材を調製する際に必須となる、グラファイト(カーボ
ン)を含む潤滑剤が二次加工用素材表面に残留してお
り、このカーボン成分が高温度の線引き加工時や熱処理
時にタングステン素材を脆化させることが判明した。こ
のとき、タングステン素材の表面粗さが大きいと上記カ
ーボンの汚染も大きくなり脆化への影響がより顕著にな
る。一方、タングステン素材の表面粗さが小さい場合に
は、水素気流中での熱処理等により、カーボン成分が揮
散し易くなるため、脆化は小さくなることも判明した。
【0011】上記問題点を解決する手段として、例えば
タングステン素材表面を電解研磨して潤滑剤や酸化物層
を予め除去したタングステン素材とすることも考えられ
る。また一次加工後に化学処理を施したり、表面にめっ
き層を形成してタングステン素材とすることも考えられ
る。
【0012】しかしながら、上記研磨処理,化学処理,
めっき処理を追加することは製品コストの上昇を招き得
策ではない。また上記潤滑剤層および酸化物層は、一次
加工を施す際に必ず形成されるものであり、上記脆化や
欠陥の原因となる反面、防錆効果や素材のさらなる酸化
を防止する上で有効である面を考慮すると、一概に完全
に除去することが必要であるものではない。
【0013】本願発明者はさらに検討を進めた結果、次
のような知見も得た。すなわち、タングステン焼結体を
一次加工して二次加工用タングステン素材を調製する際
に、特に線引き(伸線)加工時の条件等を変えることに
よりタングステン素材の表面性状を適正化したときに、
潤滑剤層および酸化物層が残留している場合において
も、二次加工時にタングステン素材の脆化や欠陥が少な
い安価な二次加工用タングステン素材が得られ、製品の
製造歩留り,製造効率が大幅に改善されるという知見を
得た。本発明は上記知見に基づいて完成されたものであ
る。
【0014】すなわち、本発明に係る二次加工用タング
ステン素材は、タングステン(W)を主成分とし、コイ
リングなどの二次加工工程を経て製品に加工される二次
加工用タングステン素材において、タングステン素材の
直径Dの1/3を基準長さとしたときの粗さ曲線の凹凸
の平均間隔(Sm)が√D/5以上であり、かつ粗さ曲
線の山頂線と谷底線との間隔(Ry)がD/50以下で
あることを特徴とする。
【0015】また、タングステン素材表面にグラファイ
トを主成分とする潤滑剤層が形成されて構成してもよ
い。さらに、タングステン素材表面に酸化物層が形成さ
れて構成してもよい。
【0016】また、タングステン素材の直径Dが0.0
1〜0.5mmの範囲であることが好ましい。
【0017】本発明に係る二次加工用タングステン素材
は、タングステン(W)を主成分とするものであるが、
再結晶温度を高め、特にWフィラメント製品のノンサグ
性を高めるために、Al,Si,Kなどのドープ剤を微
量に含有させてもよい。さらに、酸化トリウム(ThO
)の分散強化によりWフィラメントの高温強度を高め
るために0.5〜5重量%のThOを従成分として含
有してもよい。またノンサグ性および耐振性を高めるた
めに所定量のコバルト(Co)を含有してもよい。さら
に、高温強度および再結晶後の延性を高めるために2〜
27重量%レニウム(Re)を含有してもよい。
【0018】本発明に係る二次加工用タングステン素材
の表面性状は、日本工業規格(JIS B 0601−
1994)の規定に準拠して表示されている。すなわ
ち、凹凸の平均間隔(Sm)は、図1に示すように直径
がDである二次加工用タングステン素材1の表面性状を
示す粗さ曲線から、その平均線mの方向に、素材の直径
Dの1/3に相当する基準長さLだけを抜き取り、この
抜き取り部分において一つの山およびそれに隣合う一つ
の谷に対応する平均線mの長さの和(凹凸の間隔)を求
め、この多数の凹凸の間隔(Sm,Sm,…,Sm
,…Sm)の算術平均値を下記(1)式で算出しミ
リメートル(mm)で表したものである。
【0019】
【数1】
【0020】また、山頂線は粗さ曲線から抜き取った基
準長さLの中の最も高い山頂を通る平均線に平行な線で
あり、谷底線は粗さ曲線から抜き取った基準長さLの中
の最も低い谷底を通る平均線に平行な線であり、上記抜
き取り部分の山頂線と谷底線との間隔をマイクロメート
ル(μm)で表わしたものがRy(最大高さ)である。
【0021】本発明に係る二次加工用タングステン素材
において、タングステン素材の直径Dの1/3を基準長
さLとしたときの粗さ曲線の凹凸の平均間隔(Sm)
は、タングステン素材の直径Dの平方根の1/5以上、
すなわち√D/5以上に設定される。この凹凸の平均間
隔(Sm)が素材直径Dの平方根の1/5未満となるよ
うに素材表面の凹凸の出現頻度が増加すると、この素材
をさらに二次加工に供し、圧縮,折曲げ,ねじりその他
の応力を付加した際に、凹部を起点として亀裂が伝播し
易くなり、線材製品の破断事故が増加してしまう。ある
いは、素材表面に付着していた潤滑剤のグラファイト成
分(カーボン)に起因する素材の脆性が高まり、最終製
品に至る前に破断したり、製品の強度特性を大きく損な
うことになる。したがって、上記凹凸の平均間隔(S
m)は素材直径Dの平方根の1/5以上とされるが、1
/3以上がより好ましい。
【0022】また、本発明において、粗さ曲線の山頂線
と谷底線との間隔(Ry)はタングステン素材の直径D
の1/50以下とされる。この山頂線と谷底線との間
隔、すなわち最大高さ(Ry)がタングステン素材の直
径の1/50を超えるように、タングステン素材表面の
谷底が深くなると、前記凹凸が増加した場合と同様に、
さらなる二次加工をタングステン素材に施したときに、
谷底を起点として亀裂が伝播し易くなり、線材製品の破
断事故が急増してしまう。
【0023】また、谷底に付着していた潤滑剤のグラフ
ァイト成分(カーボン)がタングステンと反応して、脆
化領域を素材のより深部まで拡大することになり、破断
事故の頻発や製品特性の劣化を招き易い。したがって、
上記最大高さ(Ry)は、素材直径Dの1/50以下と
されるが、1/70以下がより好ましい。
【0024】さらに、タングステン素材の直径Dが0.
01〜0.2mmの範囲であるときに、二次加工時にお
ける破断や脆化が少なくなり、二次加工後における歩留
りが向上する。すなわち、素材の直径Dが0.01mm
未満と過小になる場合には表面性状を平滑に仕上げるこ
とが困難になり潤滑剤の影響を受け易くなる。一方、素
材の直径Dが0.2mmを超えるように過大になると、
二次加工性が低下し易くなり、素材の破断が生じ易くな
る。
【0025】上記のような表面性状を有する二次加工用
タングステン素材であれば、グラファイトを主成分とす
る潤滑剤が残存したままの線引き上り線、いわゆるブラ
ック線であっても二次加工時における破断や脆化のおそ
れは少なく、特性劣化が少ない製品が得られる。
【0026】すなわち、本発明に係るタングステン素材
表面には、グラファイトを主成分とする潤滑剤層が形成
されていてもよい。上記潤滑剤層は、転打された棒材を
線引き加工して二次加工用タングステン素材を調製する
際に使用される潤滑剤が素材に付着して必然的に形成さ
れるものである。
【0027】しかしながら、二次加工用タングステン素
材が本発明で規定するように良好な表面性状を有する場
合には、たとえ二次加工工程において高温度に加熱され
ても、潤滑剤層のカーボンは揮散し易いため、素材を脆
化させるおそれが少ない。この事実から、本発明のタン
グステン素材は改めて電解研磨処理や化学処理などの表
面処理を施す必要がなく、潤滑剤が付着した線引き上り
線(ブラック線)のままで製品とすることが可能であ
り、上記表面処理を必要とする従来の二次加工用タング
ステン素材と比較して製造コストを大幅に低減ことがで
きる。
【0028】また、本発明において、タングステン素材
表面にグラファイトを主成分とする潤滑剤層が形成され
ていてもよい。本来、タングステンは酸化し易く素材表
面に形成された酸化物層は、延性などの加工特性および
製品特性を劣化させるものである。特に表面処理仕上げ
線である場合に、この傾向は顕著である。
【0029】しかしながら、上記酸化物層の厚さが2μ
m以上5μm以下であれば、グラファイト(カーボン)
による汚染を防ぎつつタングステン素材の酸化の進展を
抑制する防錆効果も発揮されるので有効である。
【0030】上記のような表面性状,潤滑剤層および酸
化物層を有する二次加工用タングステン素材は、具体的
には、φ0.175mmの線径となるまで12〜27%
の減面率で650〜950℃の加熱温度で加熱しながら
伸線後、一旦電解により2〜12%電解した後、再度表
面を酸化させ、さらに潤滑剤を塗布した後に伸線を行う
ことによって製造される。この後、通常の方法にて二次
加工して所定の製品サイズまで伸線を行って最終製品と
される。
【0031】上記構成に係る二次加工用タングステン素
材によれば、素材表面の凹凸の平均間隔(Sm)および
最大高さ(Ry)を所定範囲に調整しているため、二次
加工処理時に圧縮,曲げ,ねじり,その他の応力を受け
た場合においても亀裂の進展等による破断が少なく、二
次加工処理における加工処理効率を大幅に改善すること
ができる。
【0032】また、素材の表面形状が適正に調整されて
いるため、一次加工時に付着した潤滑剤が残存していて
も、二次加工における加熱処理や水素炉処理時に、潤滑
剤のカーボン成分等が揮散し易く、カーボン成分等によ
る素材の汚染や脆化が効果的に防止でき、二次加工時に
おける破断事故が解消され、製品特性の劣化も防止でき
る。
【0033】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について、
以下の実施例および比較例に基づいて具体的に説明す
る。
【0034】実施例1〜6および比較例1〜6 ドープ剤としてAlを0.08重量%,Siを0.5重
量%,Kを0.7重量%含有するタングステン原料粉末
を調製し、このタングステン原料粉末を常法により圧粉
成形し、得られた成形体を水素炉にて1200℃で30
分間仮焼結後、2700〜3000℃で30分間通電焼
結を行いタングステン焼結体とした。
【0035】さらに得られたタングステン焼結体を転打
処理,再結晶処理,伸線処理等の一次加工を実施した。
具体的には転打機を使用してタングステン焼結体を温度
1300〜1500℃で線径が2〜4mm程度になるま
で鍛延した。さらに鍛延したW線材を温度900℃で超
硬合金・焼結ダイヤモンドダイスにより線径が0.18
mm位になるまで伸線し、さらに電解研摩を2〜4%実
施した。さらに各線材をダイヤモンドダイスにより、さ
らに線引きした。各伸線(線引き)工程では、グラファ
イトを主成分とする潤滑剤を使用した。上記処理を実施
することにより、最終的に表1に示す線径(直径)Dを
有する各実施例および比較例に係る二次加工用タングス
テン素材をそれぞれ調製した。
【0036】上記のように調製された各実施例および比
較例のタングステン素材の表面には一次加工時に付着し
たグラファイトからなる潤滑剤層が形成されていた。各
タングステン素材から試料を採取し、潤滑剤層を除去し
た後に、各試料の表面粗さを、エリオニクス社製ERA
−8000にて測定し、それぞれ図1に示すように、表
面に数ミクロンの不規則な凹凸が形成されていることを
示す粗さ曲線を得た。そして各粗さ曲線から凹凸の間隔
(Sm)を測定し、前記(1)式に基づいて粗さ曲線の
凹凸の平均間隔(Sm)を算出するとともに、粗さ曲線
における山頂線と谷底線との間隔である最大高さ(R
y)を測定した。さらに上記Sm値およびRy値の、素
材直径Dに対する比を算出して表1に示す結果を得た。
【0037】また、各実施例および比較例に係る二次加
工用タングステン素材の二次加工性を評価するために、
次のような衝撃試験を実施した。すなわち、グラファイ
トを主成分とする潤滑剤層が形成されたままの各実施例
および比較例に係るタングステン素材をコイリングした
後に水素気流中で温度1200℃で加熱して形付け処理
を施し、表1に示す重量を有する鋼球錘を、コイルの上
方で表1に示す落下高さから自由落下させてコイルに衝
突せしめ、コイルが脆化して変形能がなくなり粉々に砕
け破損するコイルの割合を測定し、表1に示す結果を得
た。
【0038】なお、上記衝撃試験によりコイルに付加さ
れる衝撃力および前処理として水素気流中で加熱して形
付け処理される際の温度条件は、このタングステン素材
をさらに二次加工する際に、素材に付加される温度環境
条件および衝撃力に相当するものと考えられている。
【0039】
【表1】
【0040】上記表1に示す結果から明らかなように、
一次加工した後における素材表面の凹凸の平均間隔(S
m)および最大高さ(Ry)の素材直径Dに対する比を
所定の範囲内に調整した各実施例に係るタングステン素
材は、脆化することが少なく、衝撃試験によって付加さ
れる温度や衝撃力に対して優れた耐久性を有し、二次加
工性が良好であることが確認できた。
【0041】これは、各実施例に係るタングステン素材
の表面粗さが小さいため、表面に付着していた潤滑剤の
カーボン成分等が水素気流中での熱処理によって容易に
揮散する結果、カーボンとW,Moとの反応による脆化
が少ないためであると考えられている。
【0042】一方、凹凸の平均間隔(Sm)が小さく、
また最大高さ(Ry)が相対的に高く、表面粗さが大き
い各比較例に係るタングステン素材においては、衝撃試
験により破損する割合が大きく、二次加工性が低下する
ことが確認できた。これは、各比較例のタングステン素
材の表面粗さが大きいため、付着していた潤滑剤のカー
ボン成分の揮散が十分ではなく、素材のカーボンによる
汚染が素材組織の深部まで進展し脆化を促進するためで
あると考えられる。
【0043】また、各実施例に係る二次加工用タングス
テン素材によれば、潤滑剤が付着したままの線引き上が
り線(ブラック線)をそのまま二次加工用のタングステ
ン素材として使用できる。すなわち、潤滑剤の悪影響を
回避するために、予め電解研磨処理や化学的な表面処
理、またはめっき処理等を施工する必要がない。したが
って、フィラメントなどの最終製品を製造する際の工程
数を削減することができ、製品原価を低減することもで
きる。
【0044】さらに、潤滑剤層を形成したままのブラッ
ク線としてのタングステン素材を、そのまま二次加工に
供した場合でも、潤滑剤成分による脆化が少なく断線も
少ないため、二次加工設備を長時間に亘って連続的に稼
動させることができ、タングステン製品の製造効率を高
め、設備の運転管理のための労力を大幅に低減すること
もできる。
【0045】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る二次加工
用タングステン素材によれば、素材表面の凹凸の平均間
隔(Sm)および最大高さ(Ry)を所定範囲に調整し
ているため、二次加工処理時に圧縮,曲げ,ねじり,引
張,その他の応力を受けた場合においても亀裂の進展等
による破断が少なく、二次加工処理における加工処理効
率を大幅に改善することができる。
【0046】また、素材の表面形状が適正に調整されて
いるため、一次加工時に付着した潤滑剤が残存していて
も、二次加工における加熱処理や水素炉処理時に、潤滑
剤のカーボン成分等が揮散し易く、カーボン成分等によ
る素材の汚染や脆化が効果的に防止でき、二次加工時に
おける破断事故が解消され、製品特性の劣化も防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る二次加工用タングステン素材の表
面性状の規定法を説明する部分断面図。
【符号の説明】
1 二次加工用タングステン素材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タングステン(W)を主成分とし、コイ
    リングなどの二次加工工程を経て製品に加工される二次
    加工用タングステン素材において、タングステン素材の
    直径Dの1/3を基準長さとしたときの粗さ曲線の凹凸
    の平均間隔(Sm)が√D/5以上であり、かつ粗さ曲
    線の山頂線と谷底線との間隔(Ry)がD/50以下で
    あることを特徴とする二次加工用タングステン素材。
  2. 【請求項2】 タングステン素材表面にグラファイトを
    主成分とする潤滑剤層が形成されていることを特徴とす
    る請求項1記載の二次加工用タングステン素材。
  3. 【請求項3】 タングステン素材表面に酸化物層が形成
    されていることを特徴とする請求項1記載の二次加工用
    タングステン素材。
  4. 【請求項4】 タングステン素材の直径Dが0.01〜
    0.2mmの範囲であることを特徴とする請求項1記載
    の二次加工用タングステン素材。
JP33307999A 1999-11-24 1999-11-24 二次加工用タングステン素材 Expired - Lifetime JP3569182B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33307999A JP3569182B2 (ja) 1999-11-24 1999-11-24 二次加工用タングステン素材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33307999A JP3569182B2 (ja) 1999-11-24 1999-11-24 二次加工用タングステン素材

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004062412A Division JP3803675B2 (ja) 2004-03-05 2004-03-05 二次加工用タングステン素材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001152274A true JP2001152274A (ja) 2001-06-05
JP3569182B2 JP3569182B2 (ja) 2004-09-22

Family

ID=18262044

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33307999A Expired - Lifetime JP3569182B2 (ja) 1999-11-24 1999-11-24 二次加工用タングステン素材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3569182B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009066659A1 (ja) * 2007-11-21 2009-05-28 Kabushiki Kaisha Toshiba タングステンワイヤの製造方法
CN102847225A (zh) * 2011-06-30 2013-01-02 朝日英达科株式会社 导线
JP5611589B2 (ja) * 2007-07-24 2014-10-22 株式会社東芝 マグネトロン用フィラメントカソード部材の製造方法およびマグネトロン用フィラメントカソード部材
CN108149103A (zh) * 2017-12-29 2018-06-12 中国科学院合肥物质科学研究院 一种钾碳化锆共掺杂钨合金及其制备方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110257745B (zh) * 2019-07-26 2021-01-05 廊坊市华星钨钼工业有限公司 一种白钨丝及其制备方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5611589B2 (ja) * 2007-07-24 2014-10-22 株式会社東芝 マグネトロン用フィラメントカソード部材の製造方法およびマグネトロン用フィラメントカソード部材
WO2009066659A1 (ja) * 2007-11-21 2009-05-28 Kabushiki Kaisha Toshiba タングステンワイヤの製造方法
CN102847225A (zh) * 2011-06-30 2013-01-02 朝日英达科株式会社 导线
EP2540336A1 (en) 2011-06-30 2013-01-02 Asahi Intecc Co., Ltd. Guidewire
US8740814B2 (en) 2011-06-30 2014-06-03 Asahi Intecc Co., Ltd. Guidewire
CN108149103A (zh) * 2017-12-29 2018-06-12 中国科学院合肥物质科学研究院 一种钾碳化锆共掺杂钨合金及其制备方法
CN108149103B (zh) * 2017-12-29 2019-11-05 中国科学院合肥物质科学研究院 一种钾碳化锆共掺杂钨合金及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3569182B2 (ja) 2004-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6499159B2 (ja) 銅合金線材及びその製造方法
JP5766833B2 (ja) 医療用針
JP6639908B2 (ja) 銅合金線材及びその製造方法
CN103341520B (zh) 一种tb9矩形截面钛合金丝材制备工艺
KR101719889B1 (ko) 구리합금 선재 및 그의 제조방법
JP4248790B2 (ja) メカニカルデスケーリング性に優れた鋼線材およびその製造方法
JP2004002989A (ja) プレス性の良好な銅合金素材およびその製造方法
JP5578852B2 (ja) タングステンワイヤの製造方法
JP2001152274A (ja) 二次加工用タングステン素材
JP3769008B2 (ja) 二次加工用タングステン素材
JP3769009B2 (ja) 二次加工用タングステン素材
JP3803675B2 (ja) 二次加工用タングステン素材の製造方法
JP3769000B2 (ja) 二次加工用タングステン素材の製造方法
JP4987181B2 (ja) レニウムタングステン線、それを用いたプローブピン、コロナ放電用チャージワイヤ、蛍光表示管用フィラメントおよびその製造方法
JPH0665642A (ja) 高耐食性極細鋼線の製造方法
JP2006257528A (ja) 深絞り加工性に優れた純モリブデンまたはモリブデン合金からなる薄板の製造方法
WO2022176766A1 (ja) タングステン線およびそれを用いたタングステン線加工方法並びに電解線
JP3490376B2 (ja) タングステン線およびその製造方法
JP2000233295A (ja) ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ
JP5068986B2 (ja) モリブデン材料とその製造方法
JP2004308827A (ja) ぜんまいの製造方法
JPH0976008A (ja) 密着性スケールを有する鋼線材
JPS63238251A (ja) モリブデン線材の製造方法
JP2001025814A (ja) 冷間圧造用黄銅線の製造方法
JP2000129395A (ja) 高速加工性に優れた線材及びその製造方法及び高速伸線性の評価方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031125

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040305

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040415

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20040524

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040615

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040617

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 3569182

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090625

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100625

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100625

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110625

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120625

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130625

Year of fee payment: 9

EXPY Cancellation because of completion of term