JPH0976008A - 密着性スケールを有する鋼線材 - Google Patents

密着性スケールを有する鋼線材

Info

Publication number
JPH0976008A
JPH0976008A JP25946795A JP25946795A JPH0976008A JP H0976008 A JPH0976008 A JP H0976008A JP 25946795 A JP25946795 A JP 25946795A JP 25946795 A JP25946795 A JP 25946795A JP H0976008 A JPH0976008 A JP H0976008A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scale
wire
less
wire rod
adhesion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP25946795A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichi Kodama
順一 児玉
Hachiro Yonetani
八郎 米谷
Hiromi Aramaki
広美 荒巻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP25946795A priority Critical patent/JPH0976008A/ja
Publication of JPH0976008A publication Critical patent/JPH0976008A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧延後の輸送、ハンドリング工程で剥離せ
ず、スケールを除去することなしに加工が可能な密着性
スケールを有する鋼線材を提供する。 【構成】 C含有量が0.35重量%以下の線材で、厚
さが7μm以下、FeO比率が30体積%以下のスケー
ルの面積率が50%以上あるいは平均直径が100μm
以下の気孔が15体積%以下であるスケールを形成した
鋼線材、さらに、深さと幅の比が2以上のくさび状のス
ケールが鋼表面の横断面内に10個以上存在し、かつ上
記スケール性状を有する鋼線材である。 【効果】 本発明の線材は圧延後のわずかの応力作用時
にスケールの剥離がほとんど無く、スケール処理が抑制
され、二次加工工程でスケールを除去することなく伸線
や溶接等が問題なく行え、錆の発生の無い品質の製品が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は線材表面に形成され
たスケールが剥離しがたい密着性スケールを有するC含
有量が0.35重量%以下の鋼線材に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延により製造されたC含有率が
0.35重量%以下の線材は二次加工メーカーでスケー
ルの除去を行った後に、表面潤滑処理、伸線または焼
鈍、めっき、平圧等を行いワイヤー、ネジ等の製品に製
造され、異形線材はスケール除去を行わずに矯直加工お
よび曲げ加工やメッシュ加工後に点溶接を行い鉄筋や金
網製品に製造されている。線材は熱間圧延時に表面に酸
化スケールが形成されているために直接加工することが
できず、通常の加工工程では加工前にスケールを除去す
る工程が必要となる。スケール除去が不十分で、厚いス
ケールが線材表面に残留した状態で伸線加工を行った場
合は、伸線ダイスの損傷や線材の断線が発生しやすく、
金網製造時のスポット溶接ではスパークの発生による電
極の損傷、接合強度の低下による品質の劣化となる。こ
のため線材のスケールには剥離性が良好なことが要求さ
れる。
【0003】線材のスケールを除去する場合はスケール
除去設備の設置や、多量の除去スケールの処理作業が必
要となるとともに素材歩留まりの低下をも招きコスト増
加の原因となる。さらに除去スケールが飛散し作業環境
の悪化も伴う。また、剥離性が良好なスケールは圧延後
のハンドリングや輸送過程の振動あるいは、わずかの外
力の作用により簡単にスケールが剥離する。このような
スケールの剥離部分では保管時に錆が発生し易くなり、
錆部の孔食を起点に伸線工程では断線が発生し、点溶接
工程では導通性の低下によりスパークの発生による電極
の損傷や、接合強度の低下および製品の外観の見栄えの
低下による商品価値の低下をもたらす問題があった。
【0004】このようなことから輸送過程や加工時にス
ケールの剥離がなく、かつ圧延後の各種処理工程におい
て事前にスケールを剥離せず直接使用可能で、作業性の
悪化や作業トラブルの発生しない密着性の高いスケール
の線材が要求されていた。
【0005】スケールの密着性を高めるためにはスケー
ルを薄くすることが有効であり、スケール量を少なくす
る製造方法として、特開昭54−46118号公報、特
開昭53−125210号公報のように線材を不活性雰
囲気で巻き取る方法、還元炉内で還元する方法が提案さ
れている。また、密着性の高いタイトスケールを得るた
めに特開昭63−47358号公報にはBを添加した成
分の鋼板を600℃以上の温度でコイルに巻き取り、3
00℃以下まで徐冷し、FeOのFe34 への変態を
促進させる方法が提案されている。
【0006】しかし、従来技術によるスケールの製造方
法には以下の問題があり、必ずしも満足すべき方法とは
いえないものである。不活性雰囲気で線材を巻き取りス
ケールを生成させる方法や、スケールを還元して得られ
るスケールはFeO比率が高く、スケール中で最も強度
が低いFeOが主体のスケール性状となる。このために
薄いスケールを生成したとしても外力の作用により局部
的に剥離しやすく、密着性スケールとしては不十分なも
のである。さらに、不活性雰囲気の制御や還元炉の設置
とその工程の管理に多大の費用がかかり必ずしも好まし
い方法ではない。
【0007】また、B添加と徐冷によりタイトスケール
を製造する方法は、Bを0.002%以上添加すること
が必須であり、Bを添加しない成分の鋼種ではその効果
が小さく、B添加を行わない鋼材には適用できない。さ
らに50℃/hr(0.014℃/s)以下の冷却速度
を達成するために、圧延後巻き取った線材を徐冷ポット
に保管するか、連続冷却を行うためには2000m以上
の徐冷ラインを設ける必要があり生産性の低下を招き、
線材への適用に際しては実用性に乏しい技術である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は線材圧延後の
ハンドリングや輸送過程および圧延後の矯直加工工程で
のスケールの剥離が少なく、事前にスケールを除去する
ことなく伸線やメッシュ加工後の点溶接の処理が問題な
く行え、スケール除去による歩留まりの低下や多量のス
ケール処理作業を必要としない上、スケールの飛散によ
る作業環境の悪化を伴わない密着性の高いスケールを有
する鋼線材を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らはCが0.3
5重量%以下の線材のスケール剥離性とスケール性状に
関して詳細に検討した結果、密着性の高いスケールが得
られるスケール性状を見いだした。
【0010】その要旨とするところは0.35重量%以
下のCを含有する線材表面の酸化スケールの厚さが7μ
m以下で、FeO比率が30体積%以下からなるスケー
ルが線材の全表面の50%以上の面積率を占ることを特
徴とする密着性スケールを有する鋼線材。
【0011】0.35重量%以下のCを含有する線材表
面の酸化スケール中に直径が100μm以下の微細気孔
を15体積%以下有することを特徴とする密着性スケー
ルを有する鋼線材。
【0012】0.35重量%以下のCを含有する線材の
地鉄スケール界面に鋼内部に向かって、深さと表面の幅
の比が2以上のくさび状のスケールが線材の横断面で1
0個以上存在し、線材表面の酸化スケールの厚さが7μ
m以下で、FeO比率が30体積%以下からなるスケー
ルが線材の全表面の50%以上の面積率を占るか、線材
表面の酸化スケール中に平均直径が100μm以下の微
細気孔が15体積%以下有することを特徴とする密着性
スケールを有する鋼線材である。
【0013】本発明のスケール性状に制御するための手
段として例えばスケール厚を薄くするための圧延方法
は、低温での仕上げ圧延・巻取を行う方法および、鉄よ
りも酸化しやすいSi,Cr等の元素を配合し、これら
の元素を優先酸化させることにより鉄の酸化を抑制する
方法がある。しかし、本発明のスケール性状の線材を得
るための方法は上記方法に限定されるものではない。
【0014】また、スケールを薄く、低FeO比率の組
成とするためにはFeOの変態点より高い温度域で生成
したFeO比率の高い線材のスケールを物理的に除去
し、FeOの変態点温度以下で再度スケールを生成させ
ることによって、Fe34 とFe23 を主体とする
スケールを生成することが可能である。物理的にFeO
の変態点温度以上で生成したスケールを除去する場合の
温度は、低ければ低いほどより薄くFeOが少ないスケ
ールを形成することができるが、酸化スケールを線材表
面に形成するためには、少なくとも再度スケールを生成
する温度は300℃以上とすることが好ましい。物理的
にスケールを除去する方法としては、例えばベンディン
グローラー、高圧水あるいは高圧気体を吹き付ける方
法、ショットブラストによりスケールを熱間で剥離する
方法等の利用が好適である。
【0015】また、巻取後のステルモア上での冷却速度
によってもスケール性状の制御は可能であり、強制的な
冷却を行わず、570℃以下の温度まで徐冷すれば線材
表面に生成したスケールのFeOが、Fe34 とFe
に変態するためにFeO比率が低下し、Fe34 比率
を増すことが可能となる。しかし、生成するスケールは
厚くなり本発明のスケール性状は達成できない。従っ
て、圧延条件、冷却速度の他、物理的なスケール制御技
術を駆使することによっても本発明の目的とするスケー
ル性状の線材が得られるものである。
【0016】スケールの気孔は巻取温度を高くすること
により多く形成される。このために気孔率が少ないスケ
ールとするためには巻取温度を低くし、低温でスケール
を生成することが好ましい。
【0017】くさび状のスケールは主に粒界の酸化によ
って生成するために粒界に偏析し易く、酸化されやすい
元素を鋼材に添加することにより容易に生成させること
ができる。例えば、Siの添加により容易にくさび状の
スケールは数多く生成し、冷却速度が4〜10℃/sと
比較的大きい線材の圧延で、粒界酸化を行うためにはS
iの添加量は0.5重量%以上とすることが好ましい。
【0018】
【作用】線材表面に生成するスケールは、地鉄に近い部
分からFeO、Fe34 ,Fe23 と層状に形成さ
れる。このスケール組成の体積比率は大気中での通常の
線材圧延では巻取温度800℃以上、冷却速度の4〜1
0℃/sの範囲であり、FeOが最も多くなる。
【0019】線材表面に形成されたスケールは熱間圧延
後のハンドリングや、輸送過程および曲げ加工等により
加えられる荷重やひずみにより部分的に剥離する。この
スケールの剥離特性を評価するために線材に6%の引張
ひずみを与えてスケールの性状との関係を調べた。その
結果、図1に示すようにスケール厚さの増加、FeO比
率の増加によりスケールの剥離が多くなり、密着性が低
下することがわかった。この傾向はC含有率が0.35
重量%以下の線材のどの鋼種においても同じ傾向であ
る。
【0020】熱間圧延においてスケールが生成し、冷却
される過程では冷却時に線材とスケールの熱膨張率の差
による熱応力や、鉄の酸化による体積膨張による応力の
発生により、スケールに亀裂が発生する。この亀裂の発
生状況によりスケールの破壊靭性が左右される。スケー
ル中に亀裂が大きく、数多く発生している場合は小さな
エネルギーで容易に剥離する。一方、スケール中の亀裂
が小さく、数が少ない場合はスケールを破壊するために
要するエネルギーは大きくなる。
【0021】スケール中に発生する亀裂はスケールの厚
さと密接な関係があり、薄いスケールでは亀裂が小さ
く、数も少ない。このため大きな歪みを与えないとスケ
ールが剥離しない。一方、厚いスケールは大きな亀裂が
数多く発生する。従って小さな歪みで容易に剥離するこ
とができる。スケール組成とスケール剥離性に関して実
験的に検証した結果、スケール厚さが7μm以上になる
と急激にスケールの剥離率が高くなることを知見した。
このような現象から本発明ではスケールの密着性を高
め、容易に剥離しないようにするためにスケールの厚さ
の上限を7μmとした。
【0022】スケール組成のFeOはFe34 ,Fe
23 に比べると強度が低く、FeOは0.4MPa、
Fe23 は10MPa、Fe34 は39MPaであ
る。このため、FeOはスケール剥離のための亀裂発生
の起点となり易い。従って、熱膨張や体積膨張による応
力の発生によりFeO中には亀裂が発生しやすい。この
ことから本発明では亀裂が発生し易く強度のネックとな
るFeO比率の上限を規定した。数値限定の理由は実験
的検証の結果、スケール厚さが7μmより薄い場合、F
eO比率が30体積%より高くなると急激にスケールの
剥離率が高くなることから、FeO比率を30体積%を
上限とした。その他のスケール組成は特に限定しない
が、FeO以外はFe34 ,Fe23 が主体の組成
であり、合金の添加等により金属酸化物が生成し、鉄酸
化物以外のものが存在してもその量はわずかであり、残
りをその他のスケール組成からなるものとした。
【0023】スケール厚さが7μm以下で、30体積%
以下のFeO比率のスケールは線材全体に形成されるこ
とがスケールの密着性を高めるためには好ましい。しか
し、圧延後のハンドリングや輸送および矯直および曲げ
加工時にほとんど剥離しない密着性のスケールを得るた
めには、図2に示すように線材全体の表面積の50%以
上の面積比率であれば密着性の低下はない。このような
スケール面積率を有する線材は事前にスケールを除去し
なくとも伸線や点溶接の処理が行え、処理後の保管時に
錆の発生もなく使用可能である。このようなことから上
記スケール性状の形成されている面積率として50%を
下限とした。FeO比率が10体積%以下のスケールの
色はFe34 が少ない場合はスケールの色は赤くなる
がFe34 が増えるにつれ、青色となる。通常のスケ
ールは黒っぽい色でありスケール組成の差はスケールの
色によっても判断は可能である。
【0024】スケールの剥離はスケールに外力が作用す
ることにより亀裂の発生、伝播により行われる。スケー
ル中にはスケールの生成時に発生する亀裂の他に空孔が
存在する。この空孔が集合した場合は気孔として存在が
確認される。この亀裂の存在により応力が作用した場合
スケール中での亀裂の発生場所となり易くさらに気孔を
伝わって亀裂がスケール中を伝播し、剥離しやすくする
作用がある。この気孔を亀裂が連続的に伝播してスケー
ル中に亀裂が進展しやすい場合は、僅かの応力の作用で
容易にスケールを剥離することができる。しかし、気孔
のサイズが大きい場合は亀裂がこの気孔部分に到達した
時点で亀裂の進展が停止するためにスケールの剥離性に
対してほとんど影響を及ぼさない。一方、100μmよ
り大きな気孔が多く存在するポーラスなスケールは外圧
により破壊し易くなる。このような作用から本発明では
亀裂の進展に影響を及ぼす100μm以下の小さな気孔
の気孔率を限定した。その気孔率とスケールの密着性の
関係を実験的に求め図3に示した。この結果から100
μm以下の微細気孔率の上限を15体積%とした。
【0025】また、スケールの剥離を抑制し密着性のス
ケールを形成するためにはスケールの地鉄界面での密着
性を改善することが有効である。スケールと地鉄界面の
境界が複雑に入り組んでいる場合はスケールを剥離する
ためのエネルギーは大きくなる。従って、スケールの密
着性を改善するためにはスケールを地鉄の内部にまで食
い込んで生成させることが有効である。このためには粒
界での酸化を促進させ、地鉄の内部に酸化層を形成し、
表層に形成したスケールを地鉄部分に強固に密着させる
ことによりスケールの密着性は高められる。
【0026】粒界酸化によるくさび状のスケールを形成
してスケールの密着性を高めるためには、スケールの深
さと幅の比が2以上でないとスケールの密着性改善効果
が得られず、2未満では粒界酸化スケールも剥離してし
まう。このためにくさび状スケールの形状の深さと幅の
比を2以上に限定した。さらにくさび状スケールは線材
の各部に均等に生成させることにより、スケールの密着
性を線材全表面のスケールの密着性改善に対して有効で
ある。このために線材の横断面内の円周表面に10個未
満しかくさび状スケールが生成しない場合は、くさび状
スケールとくさび状スケールの間で表面のスケールの剥
離が起こるために、本発明ではくさび状のスケールの数
を円周方向に10個以上に限定した。また、くさび状の
スケールは円周方向に均等に生成させることによりスケ
ールの密着性をさらに高めることができる。
【0027】さらに、くさび状スケールが多く存在した
としても表面に剥離しやすいスケールが形成されている
場合は、くさび状スケールを残して表面のスケールが剥
離してしまうために、くさび状スケールの存在のみでス
ケールの密着性を改善することは困難となる。そのため
に本発明では、くさび状スケールの存在とともにスケー
ルの厚さ、組成、気孔率も限定したスケールを形成する
ことによりスケールの密着性を改善するものである。
【0028】
【実施例】
(実施例1)JIS G 3505で規格されたSWR
M10の化学成分の軟鋼線材と、JIS G 3112
で規格されたSD295Aの化学成分の異径線材を、圧
延条件を種々変えてスケール厚さ、FeO比率、気孔率
の異なるスケールを生成させた。SWRM10は圧延後
の線材に6%の引張歪みを与え、スケールの剥離状況か
ら密着性を評価した。さらにSWRM10は5.5mm
φに圧延後スケールの除去を行わず直接2.6mmまで
伸線し、この時の加工特性を評価した。異径線材は呼び
名D−13、公称直径12.7mm、公称断面積1.2
67m2 のふし形状を有する異径線材に圧延した後に、
90度の曲げ加工を行ったときのスケールの密着性の評
価とスケールを除去せず点溶接を行い、金網に構成した
時の点溶接性と付着強度を評価した。
【0029】スケールの厚さは線材の軸芯方向に対して
直角に切断して樹脂に埋め込んだ後に研磨して、光学顕
微鏡にて円周方向に8等分して測定した。スケールの組
成は線材に応力を加え、完全にスケールを剥離した後に
X線回折によりFeO,Fe23 ,Fe34 のピ−
ク強度比から求めた。気孔率は剥離したスケールの実密
度を測定し、スケール組成から求められる真密度との比
の関係から次式により求めた。 気孔率(体積%)=1−(測定密度)/(親密度)×1
00
【0030】SWRM10のスケール性状、面積率とス
ケールの密着性および加工特性を表1に示した。加工性
は加工前にスケールを除去した線材との比較で評価し
た。本発明のNo.1〜3はスケール厚さが7μm以下
でかつFeO比率が30重量%以下のスケールが50%
以上の面積率で形成され、かつ気孔率が15体積%より
多いものである。このスケールは密着性が優れ、輸送過
程でのスケールの剥離やスケール剥離に伴う錆の発生は
なかった。この線材をスケールを除去しないでそのまま
伸線したが、線材の表面疵の発生やダイスの破損等は全
くなく良好に伸線ができた。No.4〜6はスケールの
厚さあるいはFeO比率のスケール性状は、本発明の範
囲外であるが気孔率が15体積%より少なく密着性に優
れ、本発明のNo.1〜3と同様の密着性および伸線性
が得られた。これに比較して比較例のNo.7のスケー
ル性状は本発明で限定している面積率が、46%で50
%より少なく、さらに気孔率が15体積%より多い。N
o.8〜11はすべて気孔率が15体積%より多い多孔
質で、さらにスケールの厚さおよびFeO比率が本発明
の範囲外である。これらの比較例はスケールの密着性が
悪く、輸送過程で簡単にスケールが剥離した。このため
加工前に錆が発生し、さらにスケールを除去せず伸線し
たところ剥離スケールがダイスと線材間に噛み込み表面
疵が多く発生し、製品としては使用できないものであっ
た。
【0031】
【表1】
【0032】SD295A D−13のスケール性状と
スケールの密着性および溶接性について表2に示した。
溶接性は溶接前にスケールを除去してから行ったものと
の溶接時のスパークの発生状況、溶接後の付着強度で評
価した。本発明のNo.1〜3はスケール厚が7μm以
下、FeO比率が30体積%以下でこの性状のスケール
の面積率が50%以上でかつ気孔率が15体積%より多
い。これらのスケールは密着性は良好であり、曲げ加工
時にスケールの剥離もなく溶接性も良好であった。ま
た、No.4〜6はスケールの厚さあるいはFeO比率
が本発明の範囲外であるが気孔率が15体積%以下であ
り、スケールの密着性、溶接性ともに良好であった。こ
れに対して比較例のNo.7はスケール性状は本発明の
範囲内であるが面積率が50%より少なく、かつ気孔率
も15体積%より多い。No.8〜11は気孔率が15
体積%以上であり、スケールの厚さあるいはFeO比率
が本発明の範囲外である。このためにスケールの密着性
が低く、曲げ加工時にスケールが剥離して作業環境を悪
化し、厚いスケールの比較例のNo.9では溶接時にス
パークが発生し、付着強度が低下した。さらに比較例で
は金網加工後の製品に錆が発生し、品質トラブルを発生
した。
【0033】
【表2】
【0034】(実施例2)実施例1と同様のSWRM1
0軟鋼線材とSD295A D−13の異径線材の2鋼
種について、0.2重量%と0.5重量%Siに調整し
て粒界酸化の発生状況を変えて熱間圧延によりスケール
を生成させた。この2鋼種について圧延条件を種々変え
てスケール厚さ、FeO比率、気孔率の異なるスケール
を生成させた。SWRM10は圧延後の線材に6%の引
張歪みを与え、剥離状況からスケールの密着性を評価し
た。さらにSWRM10は5.5mmφに圧延後スケー
ルの除去を行わず直接2.6mmまで伸線し、この時の
加工特性を評価した。異径線材は呼び名D−13、公称
直径12.7mm、公称断面積1.267m2 のふし形
状を有する異径線材に圧延した後に、90度曲げ加工を
行ったときのスケールの密着性の評価とスケールを除去
せずに点溶接を行い、金網に構成した時の点溶接性と付
着強度を評価した。スケール性状は実施例1と同様の条
件で測定した。
【0035】SWRM10のスケール性状とくさび状ス
ケールの生成状況およびスケールの密着性、加工特性を
表3に示す。本発明のNo.1はSiを0.5重量%添
加し、くさび状スケールの形状の深さと幅の比が2以上
のものが10個以上ある上、スケール厚さが7μm以下
でFeO比率が30体積%以下のスケール性状が形成さ
れている面積率が50%以上のものである。このスケー
ルはスケール性状のみが本発明の範囲のものに比べ密着
性がさらに良好である。本発明のNo.2はスケール性
状、くさび状スケールの形状、個数ともすべて本発明の
範囲内のもので、最もスケールの密着性が良好である。
本発明のNo.3〜5はスケール厚さあるいはFeO比
率が本発明の範囲外ではあるが気孔率が15体積%以下
で、さらにくさび状スケールの深さと幅の比が2以上の
くさび状スケールが円周方向に10個以上形成されてい
るために良好な密着性のスケールが得られた。このスケ
ールを有する本発明の線材を事前にスケールを除去せず
直接伸線加工を行ったところ、伸線前にスケールを除去
したものと何ら変わらず伸線ができダイスの破損や、線
材の表面疵等の発生はなかった。
【0036】
【表3】
【0037】これに対して比較例のNo.6はスケール
の性状は本発明の範囲内であるもののスケールの面積率
が50%より少なく、気孔率も15体積%より多い。比
較例のNo.7〜9はスケール性状および気孔率、くさ
び状スケールの形態、個数とも本発明の範囲外でありス
ケールの密着性が不良で、かつ伸線加工時に線材表面に
疵が発生し、伸線性が悪いものであった。比較例のN
o.10はくさび状スケールの形態、個数は本発明の範
囲内ではあるがスケール性状および気孔率が範囲外であ
り地鉄表面のくさび状スケールを残してスケールが剥離
し密着性が不良であり、この場合も伸線加工性が悪いス
ケールであった。
【0038】SD295A D−13の異径線材の場合
もSWRM10と同様にスケール性状とくさび状スケー
ルの生成状況およびスケールの密着性、溶接処理性の関
係を表4に示す。本発明のNo.1はスケール厚さが7
μm以下、FeO比率が30体積%以下であるが気孔率
は15体積%より多く、この性状のスケールが50%以
上の面積率を占るものである。また、くさび状スケール
の形状は深さと幅の比が2以上で線材の円周への形成個
数は10個以上であり、スケール性状のみが同等のもの
に比べさらに密着性が高いスケールとなった。本発明の
No.2はスケール性状、気孔率、くさび状スケールの
形状、個数ともすべて本発明の範囲内であり最も密着性
が良好なスケールが得られた。No.3〜5はスケール
の厚さか、FeO比率が本発明の範囲外であるが気孔率
が15体積%以下であり密着性が高いスケール性状であ
る。さらにくさび状スケールの形状の深さと幅の比は2
以上で、個数も10以上であるために気孔率のみが本発
明の範囲内のものよりスケールの密着性が良好なもので
ある。これらのスケール性状を有する異径線材を曲げ加
工および点溶接を行い金網に形成したところ曲げ加工時
にスケールの剥離も無く、作業環境の悪化や、製品に錆
の発生が無く良好な品質状態で使用することができた。
さらに事前にスケール除去を行ってから点溶接したもの
と同等の点溶接性、付着強度のものが得られ良好な品質
の金網が得られた。
【0039】
【表4】
【0040】比較例のNo.6はスケールの性状は本発
明の範囲内のものであるが面積率が50%より少なく、
気孔率も15体積%以上である。比較例のNo.7〜9
はスケールの厚さが7μm以上かFeO比率が30%以
上で、さらに気孔率が15体積%以上でありスケールの
密着性が低いものであるがくさび状スケールの深さと幅
の比も2以下で、この形状のくさび状スケールが円周方
向に10個より少ない数しか形成されないためにスケー
ルの密着性は低く、曲げ加工時にスケールが剥離した。
点溶接性はスケールが剥離している部分では問題なく行
えたが厚いスケールが残っている部分ではスパークが発
生し、溶接強度が低下した。さらに保管時にスケールの
剥離した部分から錆が発生し、品質劣化となった。比較
例のNo.10はくさび状スケールは本発明の範囲内で
あるがスケール性状が本発明の範囲外であり、くさび状
スケール部分を残してスケールが剥離して品質トラブル
が発生した。
【0041】
【発明の効果】以上述べたごとく本発明の線材は密着性
の良好なスケールが表面に形成されているために線材圧
延後のハンドリング、輸送過程および矯直、曲げ等によ
ってもスケールの剥離がほとんど無く、スケール除去に
よる歩留まりの低下、作業環境の悪化を抑制し、スケー
ル処理作業の省略が可能でる。さらに、二次加工時にス
ケールを除去することなく伸線や溶接等の加工が問題な
く行え、製品保管時に錆の発生がなく製品の品質劣化を
招かない密着性の高いスケールを有する鋼線材が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】6%の引張ひずみ付与時のスケールの密着性と
スケール厚さ、FeO比率の関係を示す図
【図2】本発明のスケール性状の生成面積率と密着性の
関係を示す図
【図3】100μm以下の気孔率とスケールの密着性を
示す図

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.35重量%以下のCを含有する線材
    表面の酸化スケールの厚さが7μm以下で、FeO比率
    が30体積%以下からなるスケールが線材の全表面の5
    0%以上の面積率を占ることを特徴とする密着性スケー
    ルを有する鋼線材。
  2. 【請求項2】 0.35重量%以下のCを含有する線材
    表面の酸化スケール中に直径が100μm以下の微細気
    孔を15体積%以下有することを特徴とする密着性スケ
    ールを有する鋼線材。
  3. 【請求項3】 0.35重量%以下のCを含有する線材
    の地鉄スケール界面に鋼内部に向かって、深さと表面の
    幅の比が2以上のくさび状のスケールが線材の横断面で
    10個以上存在することを特徴とする請求項1または2
    記載の密着性スケールを有する鋼線材。
JP25946795A 1995-09-13 1995-09-13 密着性スケールを有する鋼線材 Withdrawn JPH0976008A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25946795A JPH0976008A (ja) 1995-09-13 1995-09-13 密着性スケールを有する鋼線材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25946795A JPH0976008A (ja) 1995-09-13 1995-09-13 密着性スケールを有する鋼線材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0976008A true JPH0976008A (ja) 1997-03-25

Family

ID=17334487

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25946795A Withdrawn JPH0976008A (ja) 1995-09-13 1995-09-13 密着性スケールを有する鋼線材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0976008A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103028611A (zh) * 2012-12-13 2013-04-10 邢台钢铁有限责任公司 一种热轧线材表面氧化铁皮柔性化控制方法
CN104275366A (zh) * 2014-09-23 2015-01-14 南京钢铁股份有限公司 一种低碳钢热轧盘条表面氧化铁皮的控制方法
CN113042525A (zh) * 2021-02-24 2021-06-29 广西柳钢华创科技研发有限公司 提高高速棒材表面氧化铁皮厚度的方法和hrb400e直条螺纹钢筋的生产方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103028611A (zh) * 2012-12-13 2013-04-10 邢台钢铁有限责任公司 一种热轧线材表面氧化铁皮柔性化控制方法
CN104275366A (zh) * 2014-09-23 2015-01-14 南京钢铁股份有限公司 一种低碳钢热轧盘条表面氧化铁皮的控制方法
CN113042525A (zh) * 2021-02-24 2021-06-29 广西柳钢华创科技研发有限公司 提高高速棒材表面氧化铁皮厚度的方法和hrb400e直条螺纹钢筋的生产方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5215720B2 (ja) 鋼線材
JP4958998B1 (ja) 鋼線材及びその製造方法
JP4248790B2 (ja) メカニカルデスケーリング性に優れた鋼線材およびその製造方法
WO2013141030A1 (ja) アルミナバリア層を有する鋳造製品及びその製造方法
JP2007152398A (ja) 銅被覆アルミニウム線の製造方法
JP5297849B2 (ja) 伸線性に優れた高炭素鋼線材の製造方法
JP7126105B1 (ja) 排ガス浄化装置の触媒担体用ステンレス箔
JP2016135505A (ja) Fe−Ni系合金薄板の製造方法
JP4891709B2 (ja) メカニカルデスケーリング用鋼線材
JPH0976008A (ja) 密着性スケールを有する鋼線材
TWI627285B (zh) Titanium composite and titanium for hot rolling
JP2010184294A (ja) 酸洗性に優れたソリッドワイヤ用鋼線材およびその製造方法
JPH1030896A (ja) 高耐食性アルミニウムチューブの製造方法および前記方法により製造された高耐食性アルミニウムチューブ
JP6406481B1 (ja) 黒皮熱延鋼板およびその製造方法
JP6156596B2 (ja) チタン複合材および熱間加工用チタン材
JP7425373B2 (ja) 鋼板
JP3118342B2 (ja) チタンおよびチタン合金圧延素材の加熱方法
JP2003183730A (ja) 表層超微細粒材料
JP2000319758A (ja) メカニカルデスケーリング後の残留スケールの少ない線材
JP3569182B2 (ja) 二次加工用タングステン素材
JP2651761B2 (ja) メカニカルデスケーリング性に優れた冷間圧造用炭素鋼線材の製造法
JP3769008B2 (ja) 二次加工用タングステン素材
JP2003027189A (ja) 耐食性に優れる合金並びにそれを用いた半導体製造装置用部材およびその製造方法
JPH10180464A (ja) 銅−ステンレス鋼クラッド板の製造方法
JP7448859B2 (ja) チタン材

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20021203