JP2003183730A - 表層超微細粒材料 - Google Patents

表層超微細粒材料

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JP2003183730A
JP2003183730A JP2001388083A JP2001388083A JP2003183730A JP 2003183730 A JP2003183730 A JP 2003183730A JP 2001388083 A JP2001388083 A JP 2001388083A JP 2001388083 A JP2001388083 A JP 2001388083A JP 2003183730 A JP2003183730 A JP 2003183730A
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Nobuyasu Tsuji
伸泰 辻
Yoshitoshi Nanno
宜俊 南埜
Yuichiro Koizumi
雄一郎 小泉
Masahide Sato
正英 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属材料の疲労亀裂や破壊は、その多くが金
属材料の表層部を起点として発生し、耐食性向上のため
のコーティング膜の密着性等にも金属材料の結晶粒の超
微細化は効果があるが、5μm以下の超微細粒を持つ金
属材料を安価に生産することは困難であった。 【解決手段】 金属材料の表面3に機械加工を施し、該
機械加工により格子欠陥が表層部4の結晶粒内に導入さ
れるとともに、該機械加工時に発生する摩擦熱あるいは
外部からの加熱により、該金属材料の表面温度を再結晶
温度未満かつ回復が起こる温度域に制御して、金属材料
の表層部4を平均結晶粒径が5μm以下の超微細粒にす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄鋼、アルミニウ
ムおよびアルミニウム合金、銅および銅合金、ニッケル
およびニッケル合金、チタンおよびチタン合金、マグネ
シウムおよびマグネシウム合金、鉛合金その他の金属材
料において、該金属材料の表層部が、平均結晶粒径が5
μm以下の超微細結晶粒組織となるようにし、疲労亀裂
破壊特性、耐摩耗性、強度・延性(靭性)バランス、耐
腐食性、表面機能化皮膜形成特性、触媒機能化などを改
善する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】強度と延性および靭性とのバランスに優
れた構造用金属材料を設計する方法として、近年、多結
晶の金属材料の構成単位である結晶粒の微細化が盛んに
研究されている。これは、金属材料を強化する他の方法
(固溶強化、析出強化、転位強化等)が強度向上と同時
に延性や靭性の低下(脆化)を引き起こすのに対して、
結晶粒の微細化は延性や靭性が損なわれることなく強度
を向上できる点にある。結晶粒径dと材料の強度σとの
間にはHall−Petchの関係 σ=σ0+k×d(-1/2) が経験的に成り立つことが良く知られている。ここで、
σ0およびkは定数である。そもそもHall−Pet
chの関係は軟鋼の下降伏応力に対して見出されたもの
であるが、この関係は種々の金属材料において成り立
つ。またHall−Petchの関係は、降伏応力に限
らず、あるひずみ量の変形応力や引張強さ、あるいは延
性破壊応力や劈開破壊応力に対しても、経験的に成り立
つ。また、平均結晶粒径が10μm以下の金属材料を工
業的に製造する手法としては、繰り返し重ね接合圧延
(Accumulative Roll−Bondin
g、以下「ARB」と呼ぶ)と呼ばれる方法が研究され
ている。例えば、特許番号第2961263号の如くで
ある。このARBは、表面清浄化工程、積層工程、接合
圧延工程、切断工程からなる工程のサイクルを繰り返す
ことにより、1μm弱程度の平均結晶粒径を有する構造
用材料を工業的に得る方法である。この方法は、一般的
には従来のIF鋼などと同じく、加工性(延性)に優れ
た不純物濃度の低い金属材料の強度向上を目的として開
発されたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Hall−Petch
の関係より平均結晶粒径が小さい程機械的性質(強度と
延性・靭性のバランス)は改善されるが、平均結晶粒径
が小さい金属材料を得るには個々の金属材料に特有の相
変態や再結晶・回復などの現象と熱処理条件、加工条件
を組み合わせた複雑なプロセス(加工熱処理)を必要と
する。このことは金属材料の全体にわたって平均結晶粒
径が小さい超微細粒を得るには多大な熱エネルギー、塑
性変形エネルギーおよび時間を要することを意味する。
【0004】疲労破壊をはじめとする金属材料の破壊
は、その多くが金属材料の表面を起点として起こること
が知られており、表面近傍の結晶粒が微細であれば破壊
起点の発生が抑制される。一方、孔食や応力腐食割れと
いった腐食に対する耐性も、表面の性状にその多くが決
定され、やはり結晶粒微細化により耐食性が向上すると
いう報告がある。また耐食性や美観を向上させるために
行われるメッキをはじめとする表面膜形成等の表面処理
も、表層部の結晶粒微細化により、該膜の密着性、エピ
タキシー性、反応プロセス簡略化等に効果がある。さら
に材料全体を超微細粒とした材料は、優れた強度の反
面、延性に欠ける場合がある。したがって、多大な熱エ
ネルギーおよび塑性変形エネルギーを金属材料に与え、
材料全体を超微細粒化しなくても、材料の表層部にある
結晶粒のみを微細化することにより、材料の多くの特性
が改善され、あるいは優れた強度と延性を両立させた材
料が得られる。しかしながら、従来は材料の表層のみを
超微細化しようとする試みは行われておらず、その方法
も確立されていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとす
る課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するた
めの手段を説明する。
【0006】即ち、請求項1においては、多結晶の金属
材料において、該金属材料の表層部を、平均結晶粒径が
5μm以下の超微細粒にしたものである。
【0007】請求項2においては、前記金属材料の表層
部を、平均結晶粒径が5μm以下の超微細粒にする手段
として、金属材料の表面に機械加工を施し、該機械加工
により格子欠陥が表層部の結晶粒内に導入されるととも
に、該機械加工時に発生する摩擦熱あるいは外部からの
加熱により、該金属材料の表面温度を再結晶温度未満か
つ回復が起こる温度域に制御するものである。
【0008】請求項3においては、前記機械加工の手段
としてワイヤーブラシを使用するものである。
【0009】請求項4においては、前記機械加工の手段
としてショットピーニングを使用するものである。
【0010】請求項5においては、前記機械加工後の表
面に小圧下率の圧延を施し、表面性状および平坦度を改
善するものである。
【0011】請求項6においては、前記金属材料の表層
部を、平均結晶粒径が5μm以下の超微細粒にする手段
として、繰り返し重ね接合圧延を用いるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明す
る。図1は結晶粒径観察用試験片の採取位置を示す図、
図2はワイヤーブラシにより表層部機械加工を施した工
業用純アルミニウム(JIS―1050)H24材のT
D方向からのTEM像(明視野像)を示す図、図3はワ
イヤーブラシにより表層部機械加工を施したTi添加極
低炭素IF(Interstitial Free)鋼
の表層部のND方向からのTEM像(明視野像)および
制限視野電子線回折像を示す図、図4はワイヤーブラシ
により表層部機械加工を施した工業用純アルミニウム
(JIS―1050)H24材の表層部のND方向から
のTEM像(明視野像)および制限視野電子線回折像を
示す図、図5はワイヤーブラシにより表層部機械加工を
施した無酸素銅(OFHC−Cu)の表層部のND方向
からのTEM像(明視野像)および制限視野電子線回折
像を示す図、図6はワイヤーブラシにより表層部機械加
工を施したPb−0.01Ca−1.2Sn合金の表層
部のND方向からのTEM像(明視野像)および制限視
野電子線回折像を示す図、図7は表層部結晶粒微細化機
構を示す図、図8は繰り返し重ね接合圧延を示す図、図
9は超微細結晶粒金属板と通常の金属板との接合圧延を
示す図である。
【0013】金属材料表層部の超微細結晶粒を形成する
実施例として、Ti添加極低炭素IF(Interst
itial Free)鋼、工業用純アルミニウム(J
IS―1050)H24材、無酸素銅(OFHC−C
u)、Pb−0.01Ca−1.2Sn合金について、
板材表面をワイヤーブラシで機械加工した場合の組織観
察結果を図1から図6までを用いて説明する。なお、本
発明は金属材料の一般的な性質を利用したものであるか
ら、本実施例に限らず種々の金属材料に対して応用可能
である。
【0014】図1に示すように、種々の金属材料板材1
におけるND表面1a(図1中の斜線部)にワイヤーブ
ラシで機械加工を施した。その後、TD方向からの観察
用サンプル2aと、ND表面1a近傍の表層部のND方
向からの観察用サンプル2bを切り出し、透過型電子顕
微鏡(TEM)にて組織観察および制限視野電子線回折
像観察を行った。なお、IF鋼についてはND表面をワ
イヤーブラシによる機械加工後、真空雰囲気下にて50
0℃で600秒の焼鈍処理を行ってから、TD方向から
の観察用サンプル2aとND表面1a近傍の表層部のN
D方向からの観察用サンプル2bを切り出した。図2に
示すように、金属材料の表面に機械加工を施すと、表層
部4(本実施例ではND表面3から深さが約10μmの
領域)においては平均粒径0.1μmの微細結晶組織が
形成されており、それよりも深い位置では平均結晶粒径
が数10μmの粗大結晶組織を形成しているのがわか
る。なお、図2は工業用純アルミニウム(JIS―10
50)H24材のTEM像であるが、他の金属材料も同
様の組織を呈していた。また、図3から図6に示すよう
に、金属材料表面にワイヤーブラシで機械加工を施す
と、その表層部には格子欠陥が導入され、ワイヤーブラ
シの摩擦熱により表層部の温度が局所的に上昇して回復
が起こり、平均結晶粒径が1μmよりも小さい10nm
から数100nm程度の超微細結晶組織が形成されてい
るのが分かる。これらの粒径は金属・合金種により異な
る。また制限視野電子線回折像(制限視野の直径は約
1.6μm)はいずれもリング状となっており、超微細
粒同士が互いに大きな方位差を持つ多結晶であることを
示している。さらに母相が鉄、アルミニウム、銅および
鉛といった異なる元素からなる金属材料において同様の
超微細結晶組織が形成されることから、種々の金属材料
に広く利用可能であることが分かる。
【0015】以上の如く、金属材料表層部にワイヤーブ
ラシのような簡便な方法で機械加工および摩擦熱または
必要な場合は加熱手段による局所加熱を加えることによ
り、多大な熱エネルギーおよび塑性変形エネルギーを加
えて行う加工熱処理と同様のメカニズム(大ひずみ変形
による高密度の格子欠陥が導入され、再結晶温度以下か
つ回復が起こる温度域に保持されて超微細結晶粒が形成
される)が金属材料表層部において働き、金属材料の表
層部に超微細結晶粒を形成することが可能である。この
とき、ワイヤーブラシの材質は超微細結晶が形成される
金属材料よりも硬い材質である方が機械加工の効果が大
きく好ましい。また、ワイヤーブラシの線径やブラシに
植えられたワイヤーの本数(密度)、金属材料への押付
圧、ブラシと金属材料の相対的送り速度、および金属材
料表面の保持温度を制御することにより、表層部4の厚
さおよび該表層部4の超微細結晶粒の平均結晶粒径を制
御することが可能である。金属材料の表層部に超微細結
晶粒を形成する方法としては、前記ワイヤーブラシの
他、ショットピーニングによっても同様の効果がある。
【0016】また、図2に示すように、ワイヤーブラシ
等の機械加工を施すと、金属材料の表面(ここではND
表面3)には5μm程度の凹凸ができる場合がある。表
面の平坦度が重要視されるときは機械加工後に該凹凸を
ならす程度の小圧下率の圧延を行うことにより表面の平
坦度が改善される。
【0017】図7に示すように、金属材料の表層部の結
晶粒微細化を大量生産プロセスに応用する方法として
は、多数のワイヤーを表面に植設した機械加工ローラー
6・6が設置され、必要な場合は加熱炉7も併設され、
該機械加工ローラー6・6を金属材料5に押し付けつつ
軸中心に回転させて金属材料5表面に機械加工を施し、
該機械加工ローラー6・6の摩擦熱あるいは摩擦熱のみ
では温度が低い場合は加熱炉7により金属材料5表面の
温度を再結晶温度以下かつ回復が起こる温度域に保持
し、その後平坦化ローラー8・8で表面を平坦にする表
層部結晶粒微細化機構9を金属材料5がコイルに巻き取
られる直前等に設置することにより、表層部の機械的性
質や膜の密着性が改善された金属材料の板材を工業的に
生産することが可能である。
【0018】次に、金属材料表層部を平均結晶粒径が5
μm以下の超微細粒に制御する別実施例として、繰り返
し重ね接合圧延(ARB)の説明を行う。図8に示すよ
うに、ARBは表面清浄化工程、積層工程、接合圧延工
程、切断工程からなる4つの工程のサイクルで構成され
ている。なお、図8では圧下率50%の例を示してい
る。
【0019】表面清浄化工程では、出発材となる複数の
金属板12a・12bの表面を、例えばワイヤーブラシ
15でブラッシングして清浄化する。これは通常の圧延
により得られた金属板の表面には、圧延時のロール摩耗
低減、ロール負荷の低減、材料へのロール焼き付き防止
のためにロール表面に供給される潤滑材(油脂など)あ
るいは汚れ等が付着しており、これらを除去しないまま
以降の工程で積層、接合圧延すると、接合を阻害すると
ともに、仮に接合できたとしても接合後の金属バルク内
にこれら不純物が巻き込まれ汚染の原因となるからであ
る。またブラッシングされた金属板12a・12bの表
面は活性化され、以降の接合圧延が容易になるという利
点もある。
【0020】積層工程では、表面清浄化された複数(本
実施例では2枚)の金属板12a・12bを上下に重ね
合わせ、積層金属板13とする。積層金属板13の先端
部13a(圧延時にロール16・16間に最初に挿入さ
れる部位)は該積層工程で予め接合しておく。これは積
層金属板13の先端部13aを予め接合せずに接合圧延
すると、例えば温間圧延または冷間圧延する場合、先端
部13aの接合が不十分となり、残留応力により先端部
13aが鰐口状に剥離することがある。従って、先端部
13aをスポット溶接、ボルトナットあるいはワイヤー
などで接合することにより、接合圧延時の先端部13a
の剥離を防止することが可能である。また、温間で接合
圧延する際に、先端部13a以外にも積層金属板13の
周囲を何箇所か部分的に接合(仮止め)しておくと、重
ねた板の接合する面の密着性が保持され、接合を阻害す
る要因となる加熱時の接合面酸化を抑制し、接合を容易
にすることが可能である。
【0021】接合圧延工程では、前工程で先端部13a
が接合された積層金属板13を重ね接合圧延する。この
とき前記積層金属板13を再結晶温度(核生成・成長型
の再結晶が起こる下限温度)未満かつ回復(結晶内の結
晶欠陥が消滅すること)が起こる温度域にヒーター17
・17で加熱し、これを所定の圧下率(本実施例では5
0%)でロール16・16により圧延する。このような
温度で圧延をすると、圧延前の加熱時、および圧延後の
冷却時において核生成・成長型の再結晶による結晶粒の
粗大化が起こらず、圧延により結晶内の転位密度が上昇
し、回復による転位の再配列が繰り返される。結果とし
て結晶粒は薄く引き延ばされるとともに結晶粒内部には
微細な亜結晶(サブグレイン)または転位の絡み合った
セル構造が形成され、さらに隣接するサブグレインおよ
びセルの方位差が増大して、サブグレインおよびセルは
大傾角粒界に囲まれた微細な結晶粒となる。
【0022】室温で延性のある材料(室温で大きな圧下
率まで割れを生じることなく圧延可能な材料)の場合
は、前記積層金属板13の加熱を行わずに室温で接合圧
延をすることも可能である。室温で延性のある材料の場
合、圧延により転位密度が十分に高い状態になると、室
温であっても部分的な回復による転位の再配列が起こっ
て部分的にサブグレインが形成されるが大部分はセル構
造を有している。圧延を繰り返すと前記の加熱して圧延
する場合と同様、隣接するサブグレインおよびセルの方
位差は大きくなる。よって、ARBを数サイクル行った
後、最後に再結晶温度(核生成・成長型の再結晶が起こ
る下限温度)未満かつ回復(結晶内の結晶欠陥が消滅す
ること)が起こる温度域に加熱すると、隣接するセルと
の局所方位差の大きいセル壁は大傾角粒界に変化し、セ
ルは大傾角粒界に囲まれた微細結晶となる。
【0023】切断工程では、接合圧延後の金属板14を
二等分する位置で切断手段18にて金属板14a・14
bに切断し、次のサイクルの清浄化工程に送られる。本
実施例において50%の圧下率で板幅方向への板の伸張
がほとんどない場合、積層金属板13の板厚(2×t)
および圧延方向の長さ(L)が圧延後の金属板14では
板厚は半分(t)となり、圧延方向の長さは2倍(2×
L)となる。よって次サイクルの出発材である、金属板
14a・14bの外形は、1サイクル前の出発材である
金属板12a・12bと略同じとなる。他の実施例とし
ては圧下率67%(圧延後の板厚が3分の1になる)の
場合、圧延方向で三等分して切断する。このような圧下
率と切断枚数の組み合わせにより、同一の圧延機を使用
してARBを数サイクル行う場合においてロール16・
16間隔調節の簡略化ができ、理論上無限にARBサイ
クルを繰り返すことが可能である。
【0024】前述したように、ARBサイクルを一回実
施するたびに金属板内の平均結晶粒径は小さくなる。実
験の結果、鉄鋼のほか種々のアルミニウム合金、銅合金
において5サイクル以上のARBを施すことにより、平
均結晶粒径1μm以下の板形状の金属材料を得ることが
可能であった。このことから、圧下率、サイクル数およ
びヒーター温度等の組み合わせにより、本発明で必要と
なる平均結晶粒径5μm以下の金属材料を任意の平均結
晶粒径で得ることが可能である。
【0025】このようにして得られた平均結晶粒径が5
μm以下の超微細結晶粒金属板19・19と金属板20
を、図9に示すようにローラー21・21で温間又は冷
間において接合圧延することにより、表層部において平
均結晶粒径が5μm以下の超微細結晶粒をもつ金属板2
2を得ることが可能である。この方法の利点は平均結晶
粒径が5μm以下の超微細結晶粒をもつ表層部の厚さお
よび平均結晶粒径を任意に制御することが容易であるこ
と、バルク部の金属材料と異なる化学組成で、超微細結
晶粒を有する表層部を作製可能であることが挙げられ
る。なお、本実施例は金属板20の上下両面に超微細結
晶粒金属板19・19を接合圧延しているが、用途によ
っては金属板20の片面だけに超微細結晶粒金属板19
を接合圧延してもよい。
【0026】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
以下に示すような効果を奏する。
【0027】即ち、請求項1に示す如く、多結晶の金属
材料において、該金属材料の表層部を、平均結晶粒径が
5μm以下の超微細粒にしたので、多大な熱エネルギー
および塑性変形エネルギーを用いることなく、簡便な方
法で、疲労亀裂破壊特性、耐磨耗性、耐腐食性などが改
善され、機械的性質に優れた金属材料を得ることが可能
である。
【0028】請求項2に示す如く、前記金属材料の表層
部を、平均結晶粒径が5μm以下の超微細粒にする手段
として、金属材料の表面に機械加工を施し、該機械加工
により格子欠陥が表層部の結晶粒内に導入されるととも
に、該機械加工時に発生する摩擦熱あるいは外部からの
加熱により、該金属材料の表面温度を再結晶温度未満か
つ回復が起こる温度域に制御するので、該金属材料表面
の表層部における平均結晶粒径が小さい金属材料を、多
大な熱エネルギーおよび塑性変形エネルギーを用いるこ
となく簡便な方法で得ることが可能である。
【0029】請求項3に示す如く、前記機械加工の手段
としてワイヤーブラシを使用するので、簡便な方法で表
層部の平均結晶粒径が5μm以下の超微細粒である金属
材料を得ることができる。
【0030】請求項4に示す如く、前記機械加工の手段
としてショットピーニングを使用するので、簡便な方法
で表層部の平均結晶粒径が5μm以下の超微細粒である
金属材料を得ることができる。
【0031】請求項5に示す如く、前記機械加工後の表
面に小圧下率の圧延を施し、表面性状および平坦度を改
善するので、表層部の平均結晶粒径が5μm以下の超微
細粒であり、かつ表面の平坦度の高い金属材料を得るこ
とができる。
【0032】請求項6に示す如く、前記金属材料の表層
部を、平均結晶粒径が5μm以下の超微細粒にする手段
として、繰り返し重ね接合圧延を用いるので、表層部の
平均結晶粒径が5μm以下の超微細粒であり、該表層部
厚さを任意に制御可能である平坦度の高い金属材料を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶粒径観察用試験片の採取位置を示す図。
【図2】ワイヤーブラシにより表層部機械加工を施した
工業用純アルミニウム(JIS―1050)H24材の
TD方向からのTEM像(明視野像)を示す図。
【図3】ワイヤーブラシにより表層部機械加工を施した
Ti添加極低炭素IF(Interstitial F
ree)鋼の表層部のND方向からのTEM像(明視野
像)および制限視野電子線回折像を示す図。
【図4】ワイヤーブラシにより表層部機械加工を施した
工業用純アルミニウム(JIS―1050)H24材の
表層部のND方向からのTEM像(明視野像)および制
限視野電子線回折像を示す図。
【図5】ワイヤーブラシにより表層部機械加工を施した
無酸素銅(OFHC−Cu)の表層部のND方向からの
TEM像(明視野像)および制限視野電子線回折像を示
す図。
【図6】ワイヤーブラシにより表層部機械加工を施した
Pb−0.01Ca−1.2Sn合金の表層部のND方
向からのTEM像(明視野像)および制限視野電子線回
折像を示す図。
【図7】表層部結晶粒微細化機構を示す図。
【図8】繰り返し重ね接合圧延を示す図。
【図9】超微細結晶粒金属板と通常の金属板との接合圧
延を示す図。
【符号の説明】
3 ND表面 4 表層部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 630 C22F 1/00 630A 630B 630D 630G 630K 640 640A 640Z 685 685Z 1/04 1/04 A 1/06 1/06 1/08 1/08 A 1/10 1/10 A 1/12 1/12 1/16 1/16 A 1/18 1/18 H (72)発明者 佐藤 正英 大阪府吹田市山田西2−9 A1−711 Fターム(参考) 4E002 AD05 AD12 BC05 CB01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多結晶の金属材料において、該金属材料
    の表層部を、平均結晶粒径が5μm以下の超微細粒にし
    たことを特徴とする金属材料。
  2. 【請求項2】 前記金属材料の表層部を、平均結晶粒径
    が5μm以下の超微細粒にする手段として、金属材料の
    表面に機械加工を施し、該機械加工により格子欠陥が表
    層部の結晶粒内に導入されるとともに、該機械加工時に
    発生する摩擦熱あるいは外部からの加熱により、該金属
    材料の表面温度を再結晶温度未満かつ回復が起こる温度
    域に制御することを特徴とする請求項1に記載の金属材
    料。
  3. 【請求項3】 前記機械加工の手段としてワイヤーブラ
    シを使用することを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載の金属材料。
  4. 【請求項4】 前記機械加工の手段としてショットピー
    ニングを使用することを特徴とする請求項1または請求
    項2に記載の金属材料。
  5. 【請求項5】 前記機械加工後の表面に小圧下率の圧延
    を施し、表面性状および平坦度を改善することを特徴と
    する請求項2または請求項3または請求項4に記載の金
    属材料。
  6. 【請求項6】 前記金属材料の表層部を、平均結晶粒径
    が5μm以下の超微細粒にする手段として、繰り返し重
    ね接合圧延を用いることを特徴とする請求項1に記載の
    金属材料。
JP2001388083A 2001-12-20 2001-12-20 表層超微細粒材料 Pending JP2003183730A (ja)

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