JP4637601B2 - 高強度高導電性銅合金の製造方法及び高強度高導電性銅合金 - Google Patents

高強度高導電性銅合金の製造方法及び高強度高導電性銅合金 Download PDF

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Description

本発明は高強度高導電性銅合金の製造方法及び高強度高導電性銅合金に関する。
端子、コネクタ、スイッチ、リレー等の電気・電子機器用のばね材(コネクタ用材)には優れたばね特性、曲げ加工性、導電性が要求され、従来からりん青銅等が用いられてきたが、近年では電子部品の一層の小型化の要請から高強度高導電性の合金が開発されている。
一般に、Cuに強化元素を添加して高強度化すると導電率が低下し、一方で導電率を上昇させるためCu純度を高めると低強度となる関係がある。そこで、Cu母相中に第二相を晶出させた合金系(複相合金)が開発された。この合金は、強加工することにより第二相がファイバ状に分散され、りん青銅と同等以上の強度を持ちつつ、母相はCuであるため、導電率が60%IACS(international annealed copper standard:焼鈍標準軟銅に対する電気伝導度の比)を超える高導電性が得られている。この複相合金系としては、Cu−Cr、Cu−Fe、Cu−Nb、Cu−W、Cu−Ta、Cu−Agなどが知られている(例えば、特許文献1〜7参照)。
上記従来技術の場合、第二相をファイバ状に延伸するための加工法として、線引き、圧延等の手段が用いられている。例えば、上記特許文献1、2には複相合金を圧延して製造すると、第二相が圧延方向に充分延伸されて繊維状になり、圧延直角方向(圧延材の長手方向に圧延が進むとして、圧延材の幅方向をいう)の強度も向上することが記載されている。
ところで、圧延は各種板材等を連続的に生産できる加工法であるが、加工前後の材料寸法の制約等から加工度をあまり大きくすることができないという問題がある。つまり、加工度は、真歪η=ln(A/A)で表されるが(A:加工前の断面積、A:加工後の断面積)、加工度が増加すると板厚が減少するため、製品厚に至るとそれ以上の加工ができなくなる。例えば、通常の圧延材の加工度は、η=1〜6程度に過ぎず、これ以上大きなηを得るには非常に大きな寸法の材料が必要となり、複相合金の強度を向上することは難しい。
加工前後の材料寸法の制約を受けても加工度を上げるための手法として、繰り返し重ね接合圧延(Accumulative Roll-Bonding:以下、適宜「ARB」と称する)が提案されている(例えば、特許文献8参照)。この技術は、圧延後の材料を切断後に積層して元の板厚とした後、再圧延するサイクルを繰り返すことにより、最終板厚を減少させずに圧延を施し、強加工を行う方法である。
特開平6-192801号公報 特開平6-279894号公報 特開平9-104935号公報 特開平9-235633号公報 特開平9-249925号公報 特開平10-53824号公報 特開平10-140267号公報 特許第2961263号公報
しかしながら、ARB法を複相合金に用いた例はなく、高強度高導電性の複相合金を得るためには第二相の組織制御が必要となるが、上記従来技術には第二相の組織制御について検討がされていない。
そこで、本発明者らは、高強度高導電性の銅合金にARBを適用した際の合金組成、第二相の組織等について検討した結果、第二相を所定の形態とすることにより、強度と導電性に共に優れることを見出した。
また、上記従来技術には、曲げ加工性についての記載はない。例えば、コネクタを上記圧延材から採取する場合、コネクタの並ぶ方向を圧延材長手方向とし、各ピンが圧延材の幅方向に延びるようにしてコネクタを打ち抜くのが通例ではあるが、上記圧延直角方向に曲げる場合には、この方向の曲げ加工性が低いと、コネクタへ曲げ加工する際、クラックが発生することがある。このような複相合金での問題は、本発明者らが始めて着目したものであり、従来の複相合金について本発明者らが圧延直角方向の曲げ加工性を調査した結果、曲げ加工性が非常に悪いことが判明した。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、強度と導電性に共に優れ、圧延直角方向の曲げ加工性が良好な高強度高導電性銅合金の製造方法及び高強度高導電性銅合金の提供を目的とする。
本発明者らは種々検討した結果、Cu母相中に第二相を晶出させた合金系(以下、「複相合金」と称する)をARB法で圧延して製造し、圧延直角断面から見たときの第二相の平均アスペクト比を規定することにより、圧延直角方向の曲げ加工性が改善し、合金としてすべての方向の曲げ加工性も向上することを突き止めた。なお、第二相は圧延直角方向よりも圧延平行方向に充分に延伸されるので、一般に圧延平行方向より圧延直角方向の曲げ加工性が劣ると考えられる。
圧延直角断面から見たときに圧延直角方向に第二相を延伸させる方法としては、例えば、圧延時の圧延張力を低くする、等が挙げられる。
ここで、アスペクト比について説明する。図1は、本発明によって得られた合金の圧延材組織を模式的に示したものである。アスペクト比は、(第二相の伸長長さ)/(第二相の圧延厚み方向での厚さ)で定義されるので、圧延直角方向に沿う断面(圧延直角断面)から見たアスペクト比Atは、この図のt2/t1で表される。t2、t1は第二相の断面像から求めることができる。第二相におけるt2、t1は、通常、圧延直角断面について得られたSEMのBSE像からt2、t1の最大値を採用すればよい。
一つの第二相のt2、t1から算出されるAtを複数個(たとえば100個)の第二相について測定し、得られたAtの平均値を平均アスペクト比Atとすればよい。
なお、隣接する第二相の間隔(圧延厚み方向の距離)をdとする。Cu−Fe合金、Cu−Cr合金、Cu−Ag合金の場合、dが小さくなるほど、強度が高くなる。dは、圧延加工度を高くすることで小さくすることができる。ARBを行う回数を増やすとdは小さくなってより高い強度が得られる。つまり、dの大きさはARBの回数に依存する。
上記の目的を達成するために、本発明の高強度高導電性銅合金の製造方法は、質量%でFe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金の圧延素材を2枚以上積層する第1工程と、前記積層された圧延素材をその積層方向の厚みが減じるよう圧延する第2工程とをこの順序で1回以上繰り返し、かつ該圧延時の1パスあたりの加工度をη=0.16〜0.36とし、圧延直角方向(板幅方向)に沿う圧延直角断面から見たとき、最終圧延材における前記添加元素を含む第二相の平均アスペクト比Atを10以上とすることを特徴とする。
前記圧延素材はさらに、質量%でAg,Sn,Si,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有することが好ましい。
又、本発明の高強度高導電性銅合金の製造方法は、質量%で添加元素としてAgを4%以上20%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金の圧延素材を2枚以上積層する第1工程と、前記積層された圧延素材をその積層方向の厚みが減じるよう圧延する第2工程とをこの順序で1回以上繰り返し、かつ該圧延時の1パスあたりの加工度をη=0.16〜0.36とし、圧延直角方向(板幅方向)に沿う圧延直角断面から見たとき、最終圧延材における前記添加元素を含む第二相の平均アスペクト比Atを10以上とすることを特徴とする。
前記圧延素材はさらに、質量%でCr,Sn,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有することが好ましい。
又、本発明の高強度高導電性銅合金の製造方法は、質量%で、Fe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金;Fe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し、さらにAg,Sn,Si,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金;添加元素としてAgを4%以上20%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金;並びに、添加元素としてAgを4%以上20%以下含有し、さらにCr,Sn,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金から選ばれる圧延素材のうち、成分の異なる2種以上の圧延素材を2枚以上積層する第1工程と、前記積層された圧延素材をその積層方向の厚みが減じるよう圧延する第2工程とをこの順序で1回以上繰り返し、かつ該圧延時の1パスあたりの加工度をη=0.16〜0.36とし、圧延直角方向(板幅方向)に沿う圧延直角断面から見たとき、最終圧延材における前記添加元素を含む第二相の平均アスペクト比Atを10以上とすることを特徴とする。
本発明の高強度高導電性銅合金は、質量%で、Fe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金;Fe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し、さらにAg,Sn,Si,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金;添加元素としてAgを4%以上20%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金;並びに、添加元素としてAgを4%以上20%以下含有し、さらにCr,Sn,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金のうち、成分の異なる2種以上の銅合金が積層された圧延材であって、積層方向の厚みが減じるよう圧延され、圧延直角方向(板幅方向)に沿う圧延直角断面から見たとき、前記添加元素を含む第二相の平均アスペクト比Atが10以上であることを特徴とする。
本発明によれば、強度と導電性に共に優れた高強度高導電性銅合金が得られる。
以下、本発明に係る高強度高導電性銅合金の製造方法の実施の形態について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
<第1の実施形態:Cu−bcc系合金の圧延>
本実施形態の高強度高導電性銅合金の製造方法は、以下の化学成分からなる銅とbcc(体心立方)系元素からなる銅合金(以下、「Cu−bcc系合金」と称する)の圧延素材にARB法を施し、最終圧延材を圧延直角断面から見たときの第二相の平均アスペクト比Atを所定の範囲とする。
[化学成分]
上記銅合金は、質量%でFe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる。これらの添加元素は、合計で7%以上含有されるとCu母相中に第二相として晶出し、いわゆる「複相合金」を構成する。上記添加元素の合計含有量が7%未満であると、第二相による複相合金としての強化の効果が少なく、50%を超えると鋳造が困難になり生産性が低下し、得られた合金の導電性が低下する。なお、上記添加元素が1%未満含有されていても第二相が晶出する場合もあるが、その量が非常に少ないため複相合金の強化としては不充分であり、複相合金の強化として利用する場合に最低限必要な含有量が7%である。好ましくは、上記添加元素の合計含有量を7〜20%とする。
[不可避的不純物]
上記銅合金中の不可避的不純物の含有量は、JISに規格する無酸素銅と同一であるのが好ましい。例えば、JIS H2123に規格する無酸素形銅C1011における、不純物の含有量と同等にすることができる。
[微量元素]
上記銅合金は、さらに第三元素(微量元素)として、Ag,Sn,Si,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上を合計で0.05%以上1%以下含有することが好ましい。上記微量元素は、上記銅合金を固溶強化または析出強化し、耐熱性を向上させ、又は上記銅合金鋳造時の第二相の晶出物を微細化し、合金の強度を向上させる。微量元素の含有量が0.05%未満であると、これらの効果が認められないことがあり、1%を超えると合金の導電率を著しく低下させる場合がある。
[第二相]
第二相は、Cu及び上記化学成分を含む合金溶湯から鋳造時に上記添加元素が晶出したものである。通常は、第二相は上記添加元素を主に含む。第二相は、母相であるCuマトリクス内に例えば針状に晶出するが、晶出形態はこれに限定されない。なお、上記微量元素を含む場合、微量元素は母相と第二相との所定割合で分配される。
第二相は、最終工程終了後の圧延組織の断面を研磨した後、SEM(走査型電子顕微鏡)のBSE(反射電子)像により、母相と異なる組成として観察することができる。組織が観察しにくい場合は、エッチング又は電解研磨を行ってもよい。
[圧延:繰り返し重ね接合圧延(ARB)]
本発明の製造方法においては、上記銅合金の圧延素材を繰り返し重ね接合圧延(ARB)し、最終圧延材を得る。図2は、ARBの一例の概略を模式的に示した工程図である。
この図において、まず、2枚の圧延素材1A、1Bの表面S、Sをそれぞれ清浄化する。圧延素材としては、銅合金のインゴット、インゴットを適宜均質化焼鈍してから熱間圧延又は熱間鍛造したもの、及び冷間圧延したものを用いることができる。圧延素材の厚みは、インゴット等の肉厚のものでもよく、最終製品厚に近い板厚が薄い冷間圧延材でもよい。又、清浄化は、圧延素材が圧延によって接合されるよう、表面の油分や酸化膜等を除去するためのものであり、例えば、脱脂、研磨、洗浄等を行うことができる。なお、ARBにおいて、清浄化する工程は現在必須であるが、焼鈍、圧延等により圧延素材の表面粗さ等を厳密に制御できるようになれば、将来省略することも可能である。
次に、圧延素材1A、1Bを積層し(I:第1工程)、先端部J同士を接合する。圧延素材は2枚以上であれば何枚積層してもよい。又、接合は必須ではないが、圧延時に先端部が開いて接合できなくなったり、積層した素材間に隙間が生じて表面酸化等が生じたりすることを防止するために行うことが好ましい。接合方法は、溶接の他、機械的接合(ボルト等による締結、ワイヤ等による緊縛)であってもよい。又、先端に加え、圧延素材の後端(圧延出側)を接合してもよい。
次に、圧延素材1A、1Bをロール10、10間に通し、その積層方向(図の上下方向)に圧延する(II:第2工程)。なお、圧延素材の加工性に応じて、圧延前に圧延素材を熱処理してもよく、又、熱処理しなくともよい。
次に、カッター20を用い、圧延材1Cを例えば短手方向(圧延平行方向)に切断し、長手方向が分断された2つの圧延材1D、1Eを得る。各圧延材は圧延素材の場合と同様にして第1工程に供され、圧延される。
また、本発明においては、圧延の前後やその途中、及び最終圧延後に各種の熱処理や焼鈍を行ってもよい。
本発明の製造方法においては、上記第1,2工程をこの順序で1回以上繰り返す。2回以上繰り返す場合は、圧延材を切断し第1工程に供する工程を行う。例えば、第2工程の圧下率を50%とした場合、圧延前の圧延素材の厚みはそれぞれtであるが、圧延後の圧延材1Cの厚みもt(0.5t+0.5t)となり、実際の材料厚みを減少させずに圧延することができる。又、図2の圧延素材1A、1Bにおける第二相1xの間隔をdとすると、圧延後の第二相1xの間隔d=0.5dとなり(圧下率50%の場合)、圧延材の組織は強加工を受けて微細化することがわかる。
ところで、複相合金の強化機構は複合則を利用したものであり、Cu母相中に固溶せずに晶出した第二相を強加工により分散することにより強化される。又、通常の複合則では、強度σは各成分1,2の体積分率V ,Vに依存するが(σ=Vσ+Vσ)、本発明における複相合金においては、第二相の強度や体積分率が大きくなることよりも、第二相の間隔dが加工によって小さくなること、つまりCu母相の厚みが薄くなることの方が高強度化に最も寄与する。つまり、複相合金を高強度化するためには、Cu母相と第二相との界面の面積を増大させて合金の強度を向上させる点から、第二相の初期晶出物を微細化し、冷間加工度を大きくとり、さらに第二相が変形しやすいことが重要である。
このような複相合金の強化機構を考慮すると、ARB法で圧延して加工度ηを大きくするほど、Cu母相の間隔が狭まって厚みが薄くなり、Cu母相と第二相との界面の面積が増加して高強度化される。ARB法の繰返し回数が多いほど、加工度を大きくすることができ、繰返し回数に上限はないが、合金の組成に応じて圧延による割れが生じない範囲に設定すればよい。必要な最終板厚によるが、例えば、繰返し回数として4〜5回程度が例示される。
なお、第2工程において、圧延1回毎の圧下率を50%とすると、n回繰返し後の圧延材の厚みは圧延素材の厚みの1/2となる。従って、元厚1mmのとき、繰返し回数がそれぞれ4,5回の場合、ARBでの加工度はそれぞれη=2.77(93.8%),3.47(96.9%)となる。
なお、第2工程の圧延前に圧延素材を熱処理する場合、圧延素材の第二相が熱により分断される温度以下の温度に保持すれば、圧延加工により第二相が分断されず、強度の大幅な低下を防ぐことができる。一方で圧延によって導入された転位が消滅し、延性が回復するので割れにくくなる。又、上記したCu−bcc系合金は延性が高い場合、割れが生じない加工率の範囲内で室温で圧延してもよく、圧延終了後の圧延材を第二相が熱により分断される温度以下の温度に保持すれば、上記と同様、圧延によって導入された転位が消滅し、延性が回復するので割れにくくなる。
[第二相の平均アスペクト比At]
以上のようにして得られた最終圧延材を圧延直角断面から見たとき、前記添加元素を含む第二相の平均アスペクト比Atを10以上とする。
図1において、圧延材組織は、Cu母相2のマトリクス中に第二相4が分散されている。板幅方向を「圧延直角方向」とし、板の長手方向を「圧延平行方向」とする。従来の複相合金の場合、第二相は圧延直角方向には殆ど延伸されずファイバ状である。一方、本発明においては、第二相は圧延直角方向にも延伸され、例えばリボン状(舌片状)の形態を示す。なお、従来から公知の他の複相合金において、圧延直角方向にも第二相が延伸されてリボン状(舌片状)になったものが存在する場合があっても、本発明においては、好ましくは第二相の圧延直角方向の長さは従来の複相合金より長く、以下に規定するアスペクト比も本発明の方が大きい。
[Atの規制範囲]
本発明において、Atは10以上とし、好ましくは10〜110とする。Atが10未満であると、圧延直角方向に第二相があまり延伸されず、この方向でCu母相と第二相の界面で割れが生じるため曲げ加工性が劣る。一方、本発明においてはARBを行うときのAtは特に上限を設けないが、Atが110以下であれば、製造が容易である。たとえば、インゴット(鋳塊)を鍛造して幅出しを行えば、Atが100程度の合金が得られる。
[Atの調整方法]
通常、圧延を行うと組織は圧延平行方向に延伸されるが、圧延直角方向にはあまり延伸されない。そこで、最終的に管理されるAtの値を考慮し、圧延直角方向に第二相の幅t2が伸びるよう、圧延前に晶出物(第二相)をある程度の大きさまで成長させるなどの方法がある。また、圧延時の圧延厚み方向張力を低くすることにより、圧延平行方向への組織の延伸を弱めて圧延直角方向に第二相を延伸させることができる。又、1パス当りの加工度を減らし、パス回数を増やすことによっても、圧延直角方向に第二相を延伸させることができる。


たとえば、まず、熱間圧延後、総加工度η=1.39(75.1%)程度の冷間圧延を施し、その後600〜1000℃の温度域で1〜3時間以上の熱処理を行う(最も好ましくは、800℃,1時間以上)。熱処理温度が高いほど、又、熱処理時間が長いほど、Atを大きくすることができる。熱処理前の圧延張力は特に限定されない。
次に、熱処理後に冷間圧延を行うが、Atを大きくするには冷間圧延時の1パスあたりの加工度η=0.16〜0.36(15〜30%)、好ましくはη=0.29(25%)以下程度と低くし、冷間圧延時にかける張力を80〜300MPa、好ましくは200MPa以下に抑えるとよい。
[製造]
以下、本発明の製造方法の一例を挙げる。まず、電気銅又は無酸素銅を主原料とし、上記化学成分その他を添加した組成を溶解炉にて溶解し、インゴット(鋳塊)を作製する。このインゴットを均質化焼鈍した後、熱間(温間)圧延又は熱間(温間)鍛造を行い、冷間圧延したものをARB用の圧延素材とする。圧延素材は、上記冷間圧延の途中で脱脂、研磨、洗浄して表面を清浄化後、第二相が熱により分断される温度以下で焼鈍する。次に、圧延素材を重ね(上記第1工程)、先端の隅2ヶ所又は先端及び後端の隅の計4ヶ所を溶接し、ARBを行う(上記第2工程)。
以上のようにして、導電性、強度が共に良好な銅合金を得ることができ、電子機器類の小型化、軽量化や性能向上に大きく寄与し得るなど、産業上きわめて有効な効果がもたらされる。又、本発明により得られる合金は、半導体素子と同等の熱膨張係数を有する場合があり、ヒートシンク、ヒートスプレッタなどの放熱用部品としても用いられる可能性がある。
<第2の実施形態:共晶系合金の圧延>
本実施形態の高強度高導電性銅合金の製造方法は、化学成分として、添加元素であるAgを4%以上20%以下含む銅合金を圧延素材として用いること以外は、上記第1の実施形態と同様(ARBの方法、平均アスペクト比Atの規定範囲等)であるので、説明を省略する。上記銅合金がAgを4〜20%含有すると、複相合金としての強化が著しくなる。Agが4%未満であると、複相合金としての強化による効果が低く、20%を超えると熱間加工性及び耐熱性を低下させる。好ましくはAgの含有量を4〜15%とする。
なお、第2の実施形態において、第二相はAgを50%以上含む。たとえば、本実施形態の第二相の組成としては、凝固が非平衡状態であることから、CuとAgの共晶組織となっており、例えば共晶組成であるAg−28.1%Cuが挙げられる。又、Cu母相中へのAg固溶限となる8%未満の組織も挙げられる。
又、本実施形態の合金の圧延前組織(鋳造組織)については、銅母相が先に晶出するか、Ag以外の第二相が先に晶出するか(Cu−Ag合金の場合Cu相)により、その組織形態が大きく異なる特徴がある。
[不可避的不純物]
上記銅合金中の不可避的不純物の含有量は、JISに規格する無酸素銅と同一であるのが好ましい。例えば、JIS H2123に規格する無酸素形銅C1011における、不純物の含有量と同等にすることができる。
[微量元素]
上記銅合金は、さらに第三元素(微量元素)として、Cr,Sn,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上を合計で0.05%以上1%以下含有することが好ましい。上記微量元素は、上記銅合金を固溶強化または析出強化し、耐熱性を向上させ、又は上記銅合金鋳造時の第二相の晶出物を微細化し、合金の強度を向上させる。微量元素の含有量が0.05%未満であると、これらの効果が認められないことがあり、1%を超えると合金の導電率を著しく低下させる場合がある。
<第3の実施形態:異種合金同士の圧延>
本実施形態の高強度高導電性銅合金の製造方法は、第1及び第2の実施形態で用いる圧延素材のうち、成分の異なる2種以上の圧延素材を積層してARBを施すこと以外は、上記第1の実施形態と同様(ARBの方法、平均アスペクト比Atの規定範囲等)であるので、説明を省略する。
本実施形態において、圧延素材に用いられる銅合金の組合せは以下のようになる。
C1)Fe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金
C2)Fe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し、さらにAg,Sn,Si,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金
C3)添加元素としてAgを4%以上20%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金
C4)添加元素としてAgを4%以上20%以下含有し、さらにCr,Sn,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金
これらC1〜C4の組成の銅合金を用いた圧延素材のうち、成分の異なる2種以上の圧延素材が組み合わされる。
具体的には、例えば、C1〜C4の組成から任意の2種を組み合わせる場合(C1とC2等);C1〜C4の組成から任意の3種を組み合わせる場合(C1とC2とC3等);C1〜C4の組成から4種を組み合わせる場合(C1とC2とC3とC4);C1の組成範囲であるが成分の異なる2種以上を組み合わせる場合(Cu−Fe合金材とCu−Cr合金材)等が挙げられるが、これに限られない。
このように、異種合金の圧延素材をARBする場合、製造が難しくなるので、各圧延素材の伸び、変形抵抗、硬度等が同程度となるよう、圧延前に所定の条件で焼鈍すると、圧延が可能となる。本実施形態で得られた高強度高導電性銅合金として、例えば、表層側に高強度の合金を配するようにすれば、撓み難い材料が得られる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。又、本発明の作用効果を奏する限り、上記実施形態における銅合金が他の成分を含有してもよい。
本発明は電子機器、例えばコネクタに適用可能である。コネクタは、端子が上記高強度高導電性銅合金の製造方法で構成されている。コネクタは公知のあらゆる形態、構造のものに適用でき、通常はオス(ジャック、プラグ)とメス(ソケット、レセプタクル)からなる。端子は、例えば串状の多数のピンが並設され、他のコネクタと嵌合した際に端子同士が電気的に接触するよう、適宜折り曲げられてバネのようになっていることがある。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.試料の製造
<実験例1〜18:Cu−bcc系合金>
電気銅に表1に示す組成の元素を添加して真空溶解してインゴットを鋳造し、これを均質化焼鈍後、熱間圧延を施し、冷間圧延したものをARB用の圧延素材とした。圧延素材の板厚は0.1mm、0.2mm、0.4mm又は0.8mmとした。
圧延素材は、上記冷間圧延の途中で脱脂、研磨、及び洗浄して表面を清浄化した後、第二相が熱により分断される温度以下で焼鈍した。次に、圧延素材を重ね、先端及び後端の隅の計4ヶ所を溶接し、繰返し回数を1又は2〜3回とするARBを行った。なお、同一組成の圧延素材を2枚重ね合わせてARBに用いた。ARBの1パスあたりの加工度はη=0.16〜0.80(15〜55%)とした。
なお、以下の各表において、例えば実験例13の「Cu−15Fe−1Ag」の各元素記号の前の数字が合金中の各元素の含有率(%)を示し、該数字が1以下のものを第三元素(微量元素)とした。例えば、上記実験例13の場合、添加元素がFeで、微量元素がAgとなる。
<実験例19〜32:共晶系合金>
電気銅に表2に示す組成の元素を添加して真空溶解してインゴットを鋳造し、これを均質化焼鈍後、熱間圧延を施し、冷間圧延したものをARB用の圧延素材とし、実験例1〜18と同一の条件でARBを行った。なお、同一組成の圧延素材を2枚重ね合わせてARBに用いた。
<実験例33〜55:異種合金>
上記実験例1〜18、及び実験例19〜32で準備した圧延素材のうち、合金組成が異なるものを表3に示す組合せで2種選び、ARBを行った。ARBの条件は、実験例1〜18と同一である。例えば、実験例33は、実験例1と実験例20に用いた圧延素材をそれぞれ1枚づつ重ね合わせてARBを行った。
2.試料の評価
(1)平均アスペクト比Atの算出
ARB後の試料の圧延直角断面を研磨後(1μmダイヤモンドペースト、但し、第二相が小さく観察し難い場合は電解研磨後)、SEMを用いてBSE像を得た。像においてCu母相と色調が異なる部分を第二相とみなし、第二相の厚みt1、伸長長さt2を求めた。t1、t2は個々の第二相の最大値を採った。像において測定したt1、t2からAtを求め、100個の第二相についてそれぞれAtを求め、平均したものを平均アスペクト比として採用した。なお、実験例33〜55は、組成が異なる2種の合金それぞれについて平均アスペクト比を求めた。
(2)強度の測定
JIS Z2241に従い、圧延平行方向の試料の引張強度を測定し、0.2%耐力(YS:yielding strength)を求めた。試料はJISに従って作製した。
(3)導電率の測定
四端子法にて、試料の導電率を求めた。
(4)耐熱性
実験例24〜32の試料について、150℃で1時間の焼鈍を行い、焼鈍後の強度(0.2%耐力)を測定した。焼鈍後の強度低下が5%未満であるものを評価○、5%以上であるものを評価△とした。
<比較例1〜20>
電気銅に表4に示す組成の元素を添加して真空溶解してインゴットを鋳造し、これを均質化焼鈍後、熱間圧延を施し、冷間圧延した。ARBは行わず、冷間圧延後の最終板厚が上記各実施例のARB後の最終板厚と同一になるようにした。但し、比較例20については、上記各実験例と同一条件でARBを行った。各比較例について、実験例と同様の評価を行った。
<実験例56〜59>
電気銅に表5に示す組成の元素を添加して真空溶解してインゴットを鋳造し、これを均質化焼鈍後、熱間圧延を施し、冷間圧延したものをARB用の圧延素材とし、実験例1〜18と同一の条件でARBを行った。なお、同一組成の圧延素材を2枚重ね合わせてARBに用いた。
ARB後の試料について、上記評価の他、JIS H3110及びH3130に従い、W曲げ試験を行い、圧延直角方向及び圧延平行方向にそれぞれ延びる10mm幅の試料(t:試料厚さ)の最小曲げ半径(MBR)を求めた。そして、以下の基準で曲げ加工性を評価した。
○:MBR/t≦2.5であるもの
△:MBR/tが2.5を超え4未満であるもの
×:MBR/t≧4であるもの
<比較例21〜24>
実験例56〜59と同一組成の圧延素材について、ARBは行わず、冷間圧延後の最終板厚が上記各実施例のARB後の最終板厚と同一になるようにした。実験例56〜59と同様にして試料を評価し、平均アスペクト比Atと曲げ加工性の関係を比較した。
得られた結果を表1〜表5に示す。
各表から明らかなように、各実験例においては、強度(耐力)と導電率が共に優れていた。又、平均すると、Agを添加元素とした実験例19〜32の方が、bcc系合金を用いた実験例1〜18より強度が高かった。特に、微量元素を添加した実験例24〜32は、耐熱性に優れていた。
なお、Cu−bcc系合金を用いた実験例1〜18の場合、同一組成の比較例に比べ、0.2%耐力が向上し、導電率も比較例と同等であった。この実験例はいずれも0.2%耐力が700MPaを超えた。これより、強度と導電率を両立できることが判明した。
又、共晶系合金を用いた実験例19〜32の場合も、同一組成の比較例に比べ、0.2%耐力が向上し、導電率も比較例と同等であった。この実験例はいずれも0.2%耐力が800MPaを超え、導電率も50%IACS以上であり、強度と導電率を両立できることが判明した。
又、異種合金を用いた実験例33〜55の強度と導電率は、個々の合金のみを用いた実験例1〜18や実験例19〜32の間の値となる傾向にあった。
一方、ARBを行わなかった比較例1〜18の場合、同一組成の実験例に比べ、0.2%耐力が低下した。又、圧延素材の合金組成が本発明の範囲外である比較例19、20の場合、ARBの有無に関わらず、0.2%耐力が大幅に低下した。
又、表5から明らかなように、平均アスペクト比Atが10以上である実験例56〜59の場合、圧延直角方向の曲げ加工性が良好であった。一方、平均アスペクト比Atが10未満である比較例21〜24の場合、圧延直角方向の曲げ加工性が低下した。
本発明の合金の圧延材組織を模式的に示した図である。 ARBの一例の概略を模式的に示した工程図である。
符号の説明
1A、1B 圧延素材
1C、1D、1E 圧延材
2 Cu母材
1x、4 第二相

Claims (6)

  1. 質量%でFe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金の圧延素材を2枚以上積層する第1工程と、前記積層された圧延素材をその積層方向の厚みが減じるよう圧延する第2工程とをこの順序で1回以上繰り返し、かつ該圧延時の1パスあたりの加工度をη=0.16〜0.36とし、圧延直角方向(板幅方向)に沿う圧延直角断面から見たとき、最終圧延材における前記添加元素を含む第二相の平均アスペクト比Atを10以上とすることを特徴とする、高強度高導電性銅合金の製造方法。
  2. 前記圧延素材はさらに、質量%でAg,Sn,Si,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有することを特徴とする、請求項1に記載の高強度高導電性銅合金の製造方法。
  3. 質量%で添加元素としてAgを4%以上20%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金の圧延素材を2枚以上積層する第1工程と、前記積層された圧延素材をその積層方向の厚みが減じるよう圧延する第2工程とをこの順序で1回以上繰り返し、かつ該圧延時の1パスあたりの加工度をη=0.16〜0.36とし、圧延直角方向(板幅方向)に沿う圧延直角断面から見たとき、最終圧延材における前記添加元素を含む第二相の平均アスペクト比Atを10以上とすることを特徴とする、高強度高導電性銅合金の製造方法。
  4. 前記圧延素材はさらに、質量%でCr,Sn,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有することを特徴とする、請求項3に記載の高強度高導電性銅合金の製造方法。
  5. 質量%で、Fe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金;Fe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し、さらにAg,Sn,Si,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金;添加元素としてAgを4%以上20%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金;並びに、添加元素としてAgを4%以上20%以下含有し、さらにCr,Sn,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金から選ばれる圧延素材のうち、成分の異なる2種以上の圧延素材を2枚以上積層する第1工程と、前記積層された圧延素材をその積層方向の厚みが減じるよう圧延する第2工程とをこの順序で1回以上繰り返し、かつ該圧延時の1パスあたりの加工度をη=0.16〜0.36とし、圧延直角方向(板幅方向)に沿う圧延直角断面から見たとき、最終圧延材における前記添加元素を含む第二相の平均アスペクト比Atを10以上とすることを特徴とする、高強度高導電性銅合金の製造方法。
  6. 質量%で、Fe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金;Fe,Cr,Ta,V,Nb,Mo及びWの群から選ばれる1種の添加元素を7%以上50%以下含有し、さらにAg,Sn,Si,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金;添加元素としてAgを4%以上20%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金;並びに、添加元素としてAgを4%以上20%以下含有し、さらにCr,Sn,Mg及びZrの群から選ばれる1種又は2種以上の微量元素を合計で0.05%以上1%以下含有し残部Cu及び不可避的不純物からなる銅合金のうち、成分の異なる2種以上の銅合金が積層された圧延材であって、積層方向の厚みが減じるよう圧延され、圧延直角方向(板幅方向)に沿う圧延直角断面から見たとき、前記添加元素を含む第二相の平均アスペクト比Atが10以上であることを特徴とする高強度高導電性銅合金。
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