JP2016069713A - 銅合金材、コネクタ端子、及び銅合金材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れる銅合金材及びその製造方法を提供する。【解決手段】CuとFeとを含有するCu−Fe合金からなる銅合金材であって、Feの含有量が20質量%以上50質量%以下であり、Cu相とFe相とを含む組織を有し、X線回折において、前記Cu相の(222)面の回折ピークの半価幅、及び前記Fe相の(220)面の回折ピークの半価幅が0.5以下である銅合金材。Feを20質量%以上50質量%以下含有するCu−Fe合金の素材を準備する準備工程と、前記素材を塑性加工して、最終形状の加工材を作製する加工工程と、前記加工工程の後、前記加工材を500℃以上600℃以下で最終熱処理する最終熱処理工程と、を備える銅合金材の製造方法。【選択図】図2
Description
本発明は、銅合金材、及び銅合金材の製造方法に関する。特に、高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れる銅合金材に関する。
自動車用ワイヤーハーネスや印刷回路基板(PCB)、その他の電気・電子機器のコネクタ端子に銅合金材が使用されている。従来、このような用途には、コルソン合金(Cu−Ni−Si合金)、リン青銅(Cu−Sn−P合金)、黄銅(Cu−Zn合金)などの銅合金が使用されている。
また、CuとFeとの2相合金であるCu−Fe合金をコネクタ端子に使用することも検討されている。(例えば、特許文献1〜3を参照。)
コネクタ端子用銅合金材には、端子として必要とされる高強度と高導電率とを両立するだけでなく、端子に加工するのに必要な曲げ加工性(絞り)も要求される。したがって、高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れる銅合金材の開発が望まれている。また、電気・電子機器の小型化への対応や、更なる低コスト化の要求もある。
一般に、コルソン合金やリン青銅は、Ni,SiやSn,Pなどの主な副成分の含有量が10質量%程度以下であり、Cuを90質量%以上含有し、銅合金中に占めるCuの割合が多い。そのため、コルソン合金やリン青銅は、高価なCuの使用量が多いことから、高コストになる上、銅相場の影響を受け易い。一方、黄銅は、Znの含有量が一般に30〜40質量%程度であり、Cuの使用量を削減できるため、コストを低減したり、銅相場の変動リスクを回避し易いといえる。
電気・電子機器の小型化に対応するためには、端子を構成する銅合金材の薄肉化が有効である。また、低コスト化の要求に対しても、材料自体の使用量を削減するため、銅合金材の薄肉化が有効である。銅合金材の薄肉化を実現するためには、その分、断面積が小さくなるので、銅合金材の強度及び導電率の向上が必要である。しかし、黄銅では、ある程度の導電率や曲げ加工性を確保しつつ、強度を向上することには限界がある。例えば、黄銅のZnの含有量を増やして強度の向上を図ることが考えられるが、その場合、導電率や加工性を維持することが難しい。
Cu−Fe合金は、黄銅に比較して、高い強度を有しており、強度の大幅な向上が可能である。また、Cu−Fe合金は、Cuの使用量を削減でき、コスト低減できる点でメリットがある。しかし、従来のCu−Fe合金は、十分な導電率を確保することが難しく、曲げ加工性の点でも難点がある。したがって、電気・電子機器の小型化や低コスト化の要求に対応するため、銅合金材にCu−Fe合金を用いるにしても、高強度と高導電率とを両立しつつ、曲げ加工性を向上する技術の確立が必要である。
そこで、本発明の目的の一つは、高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れる銅合金材を提供することにある。本発明の別の目的は、上記銅合金材が加工されたコネクタ端子を提供することにある。本発明の他の目的は、高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れる銅合金材を製造できる銅合金材の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様に係る銅合金材は、CuとFeとを含有するCu−Fe合金からなる銅合金材であって、Feの含有量が20質量%以上50質量%以下であり、Cu相とFe相とを含む組織を有し、X線回折において、前記Cu相の(222)面の回折ピークの半価幅、及び前記Fe相の(220)面の回折ピークの半価幅が0.5以下である。
本発明の一態様に係るコネクタ端子は、上記本発明の一態様に係る銅合金材が加工されたものである。
本発明の一態様に係る銅合金材の製造方法は、Feを20質量%以上50質量%以下含有するCu−Fe合金の素材を準備する準備工程と、前記素材を塑性加工して、最終形状の加工材を作製する加工工程と、前記加工工程の後、前記加工材を500℃以上600℃以下で最終熱処理する最終熱処理工程と、を備える。
上記銅合金材は、高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れる。上記コネクタ端子は、高強度と高導電率とを兼ね備える。上記銅合金材の製造方法は、高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れる銅合金材を製造できる。
[本発明の実施形態の説明]
本発明者らは、Cu−Fe合金の銅合金材において、高強度と高導電率とを両立しつつ、曲げ加工性(絞り)を向上する技術について検討した。その結果、本発明者らは、Cu−Fe合金の素材を伸線や圧延といった塑性加工した後、特定の温度範囲で最終熱処理することで、高強度と高導電率とを両立しながら、曲げ加工性に優れる銅合金材が得られることを見出した。そして、本発明者らは、得られた銅合金材が特定のX線回折パターンを有するとの知見を得た。最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明者らは、Cu−Fe合金の銅合金材において、高強度と高導電率とを両立しつつ、曲げ加工性(絞り)を向上する技術について検討した。その結果、本発明者らは、Cu−Fe合金の素材を伸線や圧延といった塑性加工した後、特定の温度範囲で最終熱処理することで、高強度と高導電率とを両立しながら、曲げ加工性に優れる銅合金材が得られることを見出した。そして、本発明者らは、得られた銅合金材が特定のX線回折パターンを有するとの知見を得た。最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る銅合金材は、CuとFeとを含有するCu−Fe合金からなる銅合金材であって、Feの含有量が20質量%以上50質量%以下であり、Cu相とFe相とを含む組織を有し、X線回折において、Cu相の(222)面の回折ピークの半価幅、及びFe相の(220)面の回折ピークの半価幅が0.5以下である。
上記銅合金材によれば、Feの含有量が20質量%以上50質量%以下であり、Cu相とFe相とを含む組織を有することで、Cu相中に析出しているFe相によって高い引張強度が得られる。また、上記銅合金材によれば、Cu相の(222)面及びFe相の(220)面の両方の回折ピークの半価幅が0.5以下であることで、加工歪が少なくなっており、絞りが向上する。更に、上記銅合金材によれば、十分な引張強度を確保しつつ、高い導電率を有することが可能である。したがって、上記銅合金材は、高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れる。
(2)上記銅合金材の一形態としては、引張強度が700MPa以上、絞りが60%以上、導電率が25%IACS以上であることが挙げられる。
上記機械的特性及び電気的特性を有することで、コネクタ端子としての要求特性を十分に満足することができる。例えば、強度が高く、高い導電率を有しているので、コネクタ端子の薄肉化が可能である。また、絞りが高く、曲げ加工性に優れるので、曲げ加工時に割れなどの欠陥が生じ難く、コネクタ端子に容易に加工できる。
(3)本発明の一態様に係るコネクタ端子は、上記(1)又は(2)に記載の本発明の一態様に係る銅合金材が加工されたものである。
上記コネクタ端子によれば、上記銅合金材が加工されたものであるので、高強度と高導電率とを兼ね備える。したがって、上記コネクタ端子によれば、従来のコネクタ端子に比較して薄肉化が可能である。また、曲げ加工性に優れる銅合金材を加工したものであるから、割れなどの欠陥が生じ難く、生産性が高い。
(4)本発明の一態様に係る銅合金材の製造方法は、Feを20質量%以上50質量%以下含有するCu−Fe合金の素材を準備する準備工程と、素材を塑性加工して、最終形状の加工材を作製する加工工程と、加工工程の後、加工材を500℃以上600℃以下で最終熱処理する最終熱処理工程と、を備える。
上記銅合金材の製造方法によれば、Feを20質量%以上50質量%以下含有するCu−Fe合金の素材を塑性加工した後、最終熱処理することで、高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れる銅合金材を製造できる。これは、次のように考えられる。Feを20質量%以上50質量%以下含有するCu−Fe合金の素材を塑性加工することで、加工によってCu相中に析出しているFe相が繊維状に引き伸ばされ、繊維状のFe相によって、高い引張強度が得られる。また、加工後に最終熱処理することで、加工によって生じた加工歪を低減(緩和)することができ、曲げ加工性(絞り)が向上する。加えて、最終熱処理によって、Cu相中に固溶しているFeが微細に析出して、導電率の向上を図ることができる。
最終熱処理の温度を500℃以上とすることで、高い絞りが得られ、曲げ加工性を大幅に改善できる。最終熱処理の温度を600℃以下とすることで、析出しているFe相の再固溶を抑制することができ、導電率の低下を抑制できる。また、最終熱処理の温度を600℃以下とすることで、軟化による強度低下も抑制できる。
(5)上記銅合金材の製造方法の一形態としては、上記加工工程において、塑性加工を繰り返すと共に、加工途中に800℃以上1100℃以下の少なくとも1回の中間熱処理することが挙げられる。
1回の塑性加工で最終形状まで加工することができない場合は、塑性加工を複数回に分けて繰り返し行う必要があるが、加工に伴う加工硬化によって加工材に破断や割れが発生するなど、次第に加工が困難になることがある。塑性加工を複数回繰り返して最終形状まで加工する場合、最終形状に至るまでの加工途中(即ち、加工と加工との間)に中間熱処理を挟むことで、中間熱処理前の加工による加工硬化を解消でき、中間熱処理後の次の加工が行い易くなる。中間熱処理の温度を800℃以上とすることで、加工硬化を十分に解消でき、1100℃以下とすることで、加工途中における加工材の過度な軟化や溶融を防止できる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る銅合金材及びその製造方法、並びにコネクタ端子の具体例を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施形態に係る銅合金材及びその製造方法、並びにコネクタ端子の具体例を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<銅合金材>
銅合金材は、CuとFeとを含有するCu−Fe合金からなり、Cu相とFe相とを含む組織を有する。具体的には、CuとFeとの2種の元素を主成分とし、マトリクスとなるCu相中に第2相を形成するFe相が分散した2相合金組織を有する。
銅合金材は、CuとFeとを含有するCu−Fe合金からなり、Cu相とFe相とを含む組織を有する。具体的には、CuとFeとの2種の元素を主成分とし、マトリクスとなるCu相中に第2相を形成するFe相が分散した2相合金組織を有する。
(Feの含有量)
銅合金材(Cu−Fe合金)は、20質量%以上50質量%以下含有する。一般に、Feの含有量が多いほど強度が向上し、Cuの含有量が多いほど導電率が向上する傾向がある。Feの含有量が20質量%以上であることで、Cuの使用量を削減できつつ、高い強度が得られる。一方、Feの含有量が50質量%以下であることで、コネクタ端子に必要な導電率(例、25%IACS以上、好ましくは30%IACS以上)を確保できる。Feの含有量が30質量%以上、更に40質量%以上であれば、Cuの使用量の削減効果が大きい。
銅合金材(Cu−Fe合金)は、20質量%以上50質量%以下含有する。一般に、Feの含有量が多いほど強度が向上し、Cuの含有量が多いほど導電率が向上する傾向がある。Feの含有量が20質量%以上であることで、Cuの使用量を削減できつつ、高い強度が得られる。一方、Feの含有量が50質量%以下であることで、コネクタ端子に必要な導電率(例、25%IACS以上、好ましくは30%IACS以上)を確保できる。Feの含有量が30質量%以上、更に40質量%以上であれば、Cuの使用量の削減効果が大きい。
(Fe以外の他の添加元素)
銅合金材は、Fe以外に、添加元素として、例えばMg,Sn,P,Si,Al及びMnから選択される少なくとも1種の元素を含有してもよい。
銅合金材は、Fe以外に、添加元素として、例えばMg,Sn,P,Si,Al及びMnから選択される少なくとも1種の元素を含有してもよい。
上記添加元素のうち、Mg及びSnは、Cu相中に固溶し、強度を向上させる効果が期待できる。Mg及びSnの含有量は、少な過ぎると、強度の向上効果が得られ難く、多過ぎると、導電率や曲げ加工性などが低下することから、例えば合計で0.2質量%以上2.0質量%以下とすることが挙げられる。より好ましいMg及びSnの含有量は、合計で0.4質量%以上1.2質量%以下である。また、上記添加元素のうち、P,Si,Al及びMnは、Cu−Fe合金の鋳造時にCu相中にFe相を微細に晶出させ、Fe相の微細化に効果がある。また、これら元素は、鋳造時に脱酸剤として機能することから、Cu相中に不純物として含有する酸素を低減して導電率の低下を抑制したり、合金中に巣などの欠陥が発生することによる機械的特性の低下を抑止して製造性を向上させる効果が期待できる。P,Si,Al及びMnの含有量は、少な過ぎると、製造性の向上効果が得られ難く、多過ぎると、導電率が低下することから、例えば合計で0.01質量%以上0.5質量%以下とすることが挙げられる。より好ましいP,Si,Al及びMnの含有量は、合計で0.03質量%以上0.2質量%以下である。
(形状)
銅合金材の形状は、用途に応じて、例えば線材、板材、棒材、管材など種々の形状を選択できる。線材としては、代表的には、断面正方形状の角線や断面矩形状の平角線、断面円形状の丸線が挙げられる。例えば角線や平角線の場合、厚さが0.5mm以上1mm以下程度、幅が0.5mm以上1.5mm以下程度、丸線の場合、直径が0.5mm以上1mm以下程度が挙げられる。
銅合金材の形状は、用途に応じて、例えば線材、板材、棒材、管材など種々の形状を選択できる。線材としては、代表的には、断面正方形状の角線や断面矩形状の平角線、断面円形状の丸線が挙げられる。例えば角線や平角線の場合、厚さが0.5mm以上1mm以下程度、幅が0.5mm以上1.5mm以下程度、丸線の場合、直径が0.5mm以上1mm以下程度が挙げられる。
(X線回折パターン)
銅合金材は、Cu相及びFe相のそれぞれが特定のX線回折パターンを有する。具体的には、X線回折において、Cu相の(222)面の回折ピークの半価幅、及びFe相の(220)面の回折ピークの半価幅が0.5以下である。Cu相の(222)面及びFe相の(220)面の両方の回折ピークの半価幅が0.5以下であることで、加工歪が少なくなっており、絞りが高い。これらの回折ピークの半価幅が小さいほど、絞りが高くなる傾向がある。Cu相の(222)面の回折ピークの半価幅は、例えば0.45以下、0.4以下が好ましく、Fe相の(220)面の回折ピークの半価幅は、例えば0.46以下、0.44以下が好ましい。これらの回折ピークの半価幅は、主として、銅合金材に導入された加工歪に依存する。そのため、これらの回折ピークの半価幅は、後述する製造工程における塑性加工後に施す最終熱処理の温度条件の影響を大きく受け、最終熱処理の温度によって変わる。具体的には、回折ピークの半価幅は、最終熱処理の温度が低いほど大きくなる傾向があり、最終熱処理の温度が高いほど小さくなる傾向がある。
銅合金材は、Cu相及びFe相のそれぞれが特定のX線回折パターンを有する。具体的には、X線回折において、Cu相の(222)面の回折ピークの半価幅、及びFe相の(220)面の回折ピークの半価幅が0.5以下である。Cu相の(222)面及びFe相の(220)面の両方の回折ピークの半価幅が0.5以下であることで、加工歪が少なくなっており、絞りが高い。これらの回折ピークの半価幅が小さいほど、絞りが高くなる傾向がある。Cu相の(222)面の回折ピークの半価幅は、例えば0.45以下、0.4以下が好ましく、Fe相の(220)面の回折ピークの半価幅は、例えば0.46以下、0.44以下が好ましい。これらの回折ピークの半価幅は、主として、銅合金材に導入された加工歪に依存する。そのため、これらの回折ピークの半価幅は、後述する製造工程における塑性加工後に施す最終熱処理の温度条件の影響を大きく受け、最終熱処理の温度によって変わる。具体的には、回折ピークの半価幅は、最終熱処理の温度が低いほど大きくなる傾向があり、最終熱処理の温度が高いほど小さくなる傾向がある。
回折ピークは、銅合金材の断面に対してX線回折を行って調べる。断面は、銅合金材が線材や板材などの場合は、加工による延伸方向(伸線方向や圧延方向など。代表的には銅合金材の長手方向)に直交する横断面とする。
(機械的・電気的特性)
銅合金材は、高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れる。例えば、引張強度が700MPa以上、絞りが60%以上、導電率が25%IACS以上である。引張強度及び導電率が高いほど、例えばコネクタ端子の薄肉化が可能である。引張強度は、800MPa以上、更に850MPa以上が好ましく、導電率は、30%IACS以上、更に32%IACS以上が好ましい。更に、絞りが高いほど、曲げ加工性に優れることから、例えばコネクタ端子に容易に加工できる。絞りは、60%以上あれば十分な曲げ加工性を有しているので、例えばコネクタ端子に加工するのに特段の問題は生じないが、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上である。
銅合金材は、高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れる。例えば、引張強度が700MPa以上、絞りが60%以上、導電率が25%IACS以上である。引張強度及び導電率が高いほど、例えばコネクタ端子の薄肉化が可能である。引張強度は、800MPa以上、更に850MPa以上が好ましく、導電率は、30%IACS以上、更に32%IACS以上が好ましい。更に、絞りが高いほど、曲げ加工性に優れることから、例えばコネクタ端子に容易に加工できる。絞りは、60%以上あれば十分な曲げ加工性を有しているので、例えばコネクタ端子に加工するのに特段の問題は生じないが、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上である。
(Snメッキ)
銅合金材は、表面にSn又はSn合金からなるSnメッキを有していてもよい。Snメッキを有することで、耐食性、半田付け性、電気接続性などの向上を図ることができる。Sn合金の場合、Snを80質量%以上含有することが好ましい。Snメッキの厚さは、例えば0.5μm以上2.5μm以下とすることが挙げられる。
銅合金材は、表面にSn又はSn合金からなるSnメッキを有していてもよい。Snメッキを有することで、耐食性、半田付け性、電気接続性などの向上を図ることができる。Sn合金の場合、Snを80質量%以上含有することが好ましい。Snメッキの厚さは、例えば0.5μm以上2.5μm以下とすることが挙げられる。
<銅合金材の製造方法>
銅合金材の製造方法は、準備工程と、加工工程と、最終熱処理工程とを備える。以下、各工程について詳しく説明する。
銅合金材の製造方法は、準備工程と、加工工程と、最終熱処理工程とを備える。以下、各工程について詳しく説明する。
(準備工程)
準備工程では、Feを20質量%以上50質量%以下含有するCu−Fe合金の素材を準備する。Cu−Fe合金の素材には、Cu−Fe合金の溶湯を鋳造した鋳造材を用いることができる。更に、鋳造材に熱間圧延や熱間鍛造、押出を行って、これを素材に用いてもよいし、素材に溶体化処理を行ってもよい。溶体化処理は、例えば、温度を800℃以上950℃以下とし、その温度の保持時間を0.5分以上60分以下とすることが挙げられる。
準備工程では、Feを20質量%以上50質量%以下含有するCu−Fe合金の素材を準備する。Cu−Fe合金の素材には、Cu−Fe合金の溶湯を鋳造した鋳造材を用いることができる。更に、鋳造材に熱間圧延や熱間鍛造、押出を行って、これを素材に用いてもよいし、素材に溶体化処理を行ってもよい。溶体化処理は、例えば、温度を800℃以上950℃以下とし、その温度の保持時間を0.5分以上60分以下とすることが挙げられる。
鋳造は急冷で行うことが好ましく、冷却速度が速いほど、Cu相中にFe相を微細に晶出させると共に、Fe相を均一に分散させることができ、銅合金材の強度の向上を図ることができる。鋳造時の冷却速度は、例えば2℃/秒以上、更に5℃/秒以上が好ましい。急冷は、空冷、水冷など種々の冷却方法を用いることができ、冷却方法としては、例えば、水や油、砂などの流動性のある冷媒を利用した直接冷却や、ウォータージャケットなどを利用した水冷間接冷却が挙げられる。鋳造材の作製には、連続鋳造を利用してもよい。
(加工工程)
加工工程では、上記素材を塑性加工して、最終形状の加工材を作製する。具体的には、Cu−Fe合金の素材を伸線や圧延といった塑性加工して、線材や板材などの加工材に加工する。これにより、Cu相中に分散して存在するFe相の粒子を針状又は帯状に延伸させると共に、Fe相の厚さやFe相同士の間隔を小さくすることができ、繊維分散強化によって、銅合金材の強度の向上を図ることができる。ここで、Fe相の厚さやFe相同士の間隔は、加工による延伸方向に平行な縦断面において、厚さ方向に沿って測定した値である。Fe相は、強度向上の観点から微細であることが好ましく、Fe相の平均厚さは、例えば0.3μm以上5μm以下、更に3μm以下、特に1μm以下が好ましい。塑性加工は、例えば伸線(引抜)、圧延、押出などが挙げられ、冷間で行うことが挙げられる。
加工工程では、上記素材を塑性加工して、最終形状の加工材を作製する。具体的には、Cu−Fe合金の素材を伸線や圧延といった塑性加工して、線材や板材などの加工材に加工する。これにより、Cu相中に分散して存在するFe相の粒子を針状又は帯状に延伸させると共に、Fe相の厚さやFe相同士の間隔を小さくすることができ、繊維分散強化によって、銅合金材の強度の向上を図ることができる。ここで、Fe相の厚さやFe相同士の間隔は、加工による延伸方向に平行な縦断面において、厚さ方向に沿って測定した値である。Fe相は、強度向上の観点から微細であることが好ましく、Fe相の平均厚さは、例えば0.3μm以上5μm以下、更に3μm以下、特に1μm以下が好ましい。塑性加工は、例えば伸線(引抜)、圧延、押出などが挙げられ、冷間で行うことが挙げられる。
上記加工工程において、塑性加工(例、伸線や圧延など)を繰り返すと共に、加工途中に800℃以上1100℃以下の少なくとも1回の中間熱処理してもよい。塑性加工を複数回に分けて繰り返し行うことで、1回の塑性加工で加工する場合に比較して、最終形状まで加工が行い易くなる。更に、最終形状に至るまでの加工途中(即ち、加工と加工との間)に中間熱処理することで、中間熱処理前の加工による加工硬化を解消でき、中間熱処理後の次の加工が行い易くなる。したがって、加工に伴う加工硬化によって加工材に破断や割れなどが発生することを防止できる。中間熱処理の温度を800℃以上とすることで、加工硬化を十分に解消でき、1100℃以下とすることで、加工途中における加工材の過度な軟化や溶融を防止できる。より好ましい中間熱処理の温度は、850℃以上1000℃以下である。中間熱処理の時間は、特に限定されないが、例えば30分以上120分以下とすることが挙げられる。
塑性加工(例、伸線や圧延など)の1回当たりの加工率は、例えば80%以上99%以下、85%以上95%以下とすることが挙げられる。塑性加工1回当たりの加工率を80%以上とすることで、加工回数を減らして、生産効率を上げることができ、99%以下とすることで、加工硬化による破断や割れなどの発生を抑えることができる。ここでいう加工率とは、伸線や押出の場合は減面率のことであり、圧延の場合は圧下率のことである。減面率(%)は、加工前の断面積をA0、加工後の断面積をAとするとき、式[{(A0−A)/A0}×100]で求めることができ、圧下率(%)は、加工前の厚さをh0、加工後の厚さをhとするとき、式[{(h0−h)/h0}×100]で求めることができる。また、塑性加工を繰り返すと共に加工途中に中間熱処理を施す場合は、塑性加工1回当たりの加工率とは、塑性加工を開始してから最初の中間熱処理を実施するまでの塑性加工の総加工率、中間熱処理してから次の中間熱処理を実施するまでの塑性加工の総加工率、又は、最後の中間熱処理を実施してから最終形状までの塑性加工の総加工率のことである。特に最後の塑性加工(最後の中間熱処理を実施後、最終形状までの塑性加工)の加工率は、80%以上、更に85%以上、特に90%以上とすることが好ましく、これにより、加工硬化による銅合金材の強度の向上を図ることができる。
(最終熱処理工程)
最終熱処理工程では、上記加工工程の後、加工材を500℃以上600℃以下で最終熱処理する。加工材を最終熱処理することで、加工によって生じた加工歪を低減することができ、銅合金材の曲げ加工性(絞り)が向上する。加えて、最終熱処理によって、Cu相中に固溶しているFeが微細に析出して、導電率の向上を図ることができる。最終熱処理の温度を500℃以上とすることで、高い絞りが得られ、曲げ加工性を大幅に改善できる。最終熱処理の温度を600℃以下とすることで、析出しているFe相の再固溶を抑制することができ、導電率の低下を抑制できる。また、最終熱処理の温度を600℃以下とすることで、軟化による強度低下も抑制できる。より好ましい最終熱処理の温度は、550℃以上である。最終熱処理の時間は、特に限定されないが、例えば0.5時間以上2時間以下とすることが挙げられる。
最終熱処理工程では、上記加工工程の後、加工材を500℃以上600℃以下で最終熱処理する。加工材を最終熱処理することで、加工によって生じた加工歪を低減することができ、銅合金材の曲げ加工性(絞り)が向上する。加えて、最終熱処理によって、Cu相中に固溶しているFeが微細に析出して、導電率の向上を図ることができる。最終熱処理の温度を500℃以上とすることで、高い絞りが得られ、曲げ加工性を大幅に改善できる。最終熱処理の温度を600℃以下とすることで、析出しているFe相の再固溶を抑制することができ、導電率の低下を抑制できる。また、最終熱処理の温度を600℃以下とすることで、軟化による強度低下も抑制できる。より好ましい最終熱処理の温度は、550℃以上である。最終熱処理の時間は、特に限定されないが、例えば0.5時間以上2時間以下とすることが挙げられる。
以上の製造工程によって、高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れる銅合金材を製造できる。製造された銅合金材は、例えば、引張強度が700MPa以上、絞りが60%以上、導電率が25%IACS以上を達成できる。
(Snメッキ工程)
最終熱処理工程後、得られた銅合金材の表面にSnメッキを形成するSnメッキ工程を加えてもよい。Snメッキの形成方法としては、例えば電解メッキや無電解メッキを利用できる。更に、Snメッキを形成した後、リフロー処理してもよく、これにより、ウィスカの発生・成長を抑制できる。リフロー処理は、温度をSnメッキの融点以上、例えば230℃以上300℃以下とし、その温度の保持時間を0.2分以上10分以下とすることが挙げられる。
最終熱処理工程後、得られた銅合金材の表面にSnメッキを形成するSnメッキ工程を加えてもよい。Snメッキの形成方法としては、例えば電解メッキや無電解メッキを利用できる。更に、Snメッキを形成した後、リフロー処理してもよく、これにより、ウィスカの発生・成長を抑制できる。リフロー処理は、温度をSnメッキの融点以上、例えば230℃以上300℃以下とし、その温度の保持時間を0.2分以上10分以下とすることが挙げられる。
<コネクタ端子>
コネクタ端子は、上述した本発明の実施形態に係る銅合金材が加工されたものである。したがって、コネクタ端子は、高強度と高導電率とを兼ね備えることから、薄肉化が可能である。また、曲げ加工性に優れる銅合金材を加工して製造するので、曲げ加工時に割れなどの欠陥が生じ難く、生産性が高い。コネクタ端子は、表面にSnメッキを有していてもよい。Snメッキを有する銅合金材を加工すれば、Snメッキ付きコネクタ端子が得られる。また、銅合金材をコネクタ端子に加工した後、Snメッキを形成することも可能である。
コネクタ端子は、上述した本発明の実施形態に係る銅合金材が加工されたものである。したがって、コネクタ端子は、高強度と高導電率とを兼ね備えることから、薄肉化が可能である。また、曲げ加工性に優れる銅合金材を加工して製造するので、曲げ加工時に割れなどの欠陥が生じ難く、生産性が高い。コネクタ端子は、表面にSnメッキを有していてもよい。Snメッキを有する銅合金材を加工すれば、Snメッキ付きコネクタ端子が得られる。また、銅合金材をコネクタ端子に加工した後、Snメッキを形成することも可能である。
[実施例1]
Cu−Fe合金の素材を準備し、この素材を塑性加工して加工材を作製し、得られた加工材に最終熱処理を施して、銅合金材を作製した。そして、作製した銅合金材について評価を行った。
Cu−Fe合金の素材を準備し、この素材を塑性加工して加工材を作製し、得られた加工材に最終熱処理を施して、銅合金材を作製した。そして、作製した銅合金材について評価を行った。
表1に示す組成のCu−Fe合金を鋳造し熱間鍛造して、直径φ20mmの丸棒状のロッド材を作製した。表1中、「Cu−50%Fe」とは、Feを50質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物の組成を有するCu−Fe合金のことであり、「Cu−30%Fe」とは、Feを30質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物の組成を有するCu−Fe合金のことである。作製したロッド材を素材とし、ロッド材に伸線を複数回繰り返して、最終形状が厚さ0.64mm×幅0.64mm(0.64mm角)の断面正方形状の角線に加工した。また、伸線の加工率が略90%になった時点で850℃×60分の中間熱処理を実施し、最後の中間熱処理を実施してから最終形状までの伸線の加工率(減面率)は90%とした。その後、得られた角線に表1に示す条件[温度(℃)×時間(hr)]で最終熱処理を実施して、表1に示す試料No.1−2〜1−6及び1−8の銅合金材を作製した。表1に示す試料No.1−1及び1−7の銅合金材は、加工後に最終熱処理を施しておらず、加工したままの状態である。
比較として、市販の黄銅(C2600)からなる0.64mm角の角線を用意し、この銅合金材を試料No.1−10とした。
作製した試料No.1−1〜1−8及び1−10の銅合金材について、引張強度、0.2%耐力、絞り、及び導電率を調べた。
引張強度及び0.2%耐力の測定は、各試料から試験片を採取し、JIS Z 2241:2011「金属材料引張試験方法」に準じて行った。また、絞り(%)は、引張試験前の試験片の断面積をS0、引張試験後の試験片の破断部(最もくびれている部分)の断面積をS1とするとき、式[{(S0−S1)/S0}×100]から求めた。その結果を表1に示す。
導電率の測定は、各試料から試験片を採取し、JIS H 0505:1975「非鉄金属材料の体積抵抗率及び導電率測定方法」に準じて行った。その結果を表1に示す。
また、試料No.1−1〜1−8について、90°曲げ試験を行い、曲げ加工性を調べた。曲げ加工性の評価は、次のようにして行った。各試料から採取した試験片を90°に曲げ、曲げ部の縦断面(試験片の中心を通り、曲げ部を平面で切断した断面)を光学顕微鏡で観察し、曲げ部での割れの有無を調べた。曲げ試験の条件は、曲げ部の内側の半径をR、試験片(銅合金材)の厚さをt(t=0.64mm)とするとき、[R/t=0.3]となる条件(即ち、R=0.2)とした。そして、割れが認められなかった場合を「A」、割れが認められた場合を「B」として、その結果を表1に示す。
図1は、表1の結果に基づいて、横軸に「絞り(%)」、縦軸に「引張強度(MPa)」をとり、各試料をプロットしたものである。図1中、○印は試料No.1−3〜1−5及び1−8、◆印は試料No.1−1、1−2、1−6及び1−7、×印は試料No.1−10を示す。
表1及び図1の結果から、最終熱処理の温度を500℃〜600℃とした試料No.1−3〜1−5、及び1−8は、引張強度が700MPa以上、絞りが60%以上、導電率が25%以上を満しており、高強度と高導電率とを有しつつ、曲げ加工性に優れることが分かる。そして、これら試料は、従来からコネクタ端子に多用されている黄銅(試料No.1−10)に比較して、同等程度又はそれ以上の絞り(曲げ加工性)及び導電率を維持しつつ、高い強度を有している。例えば、試料No.1−3,1−4は、試料No.1−10に対して、同等程度の曲げ加工性を有しながら、強度が大幅に向上している。一方、試料No.1−5,1−8は、試料No.1−10に対して、同等以上の強度を維持しつつ、曲げ加工性が大幅に向上している。
これに対し、最終熱処理を施していない、又は最終熱処理の温度を450℃とした試料No.1−1,1−2,1−7は、引張強度が高いというものの、絞りが低く、曲げ加工性に劣ることが分かる。中でも、最終熱処理を施していない試料は、導電率が低い。一方、最終熱処理の温度を850℃とした試料No.1−6は、絞り(曲げ加工性)が向上しているが、引張強度及び導電率が低下している。
次に、試料No.1−1,1−2,1−5について、伸線方向(銅合金材の長手方向)に直交する横断面をとり、この断面に対してX線回折を行って、Cu相の(222)面及びFe相の(220)面の回折ピークの半価幅をそれぞれ調べた。測定条件を以下に示す。
使用装置:SmartLab−2D−PILATUS(株式会社リガク製)
使用X線:Cu−Kα
励起条件:45kV,200mA
使用コリメータ:φ0.3mm
測定法:θ−2θ法
使用X線:Cu−Kα
励起条件:45kV,200mA
使用コリメータ:φ0.3mm
測定法:θ−2θ法
この例では、断面における中心近傍の中央部分を測定面としてX線回折を行った。そして、測定したX線回折パターンにおいて、Cu相及びFe相の主要ピークの回折線の半価幅(deg)を算出し、Cu相の(222)面及びFe相の(220)面の回折ピークの半価幅をそれぞれ求めた。その結果を表2に示す。
表2のX線回折結果から、試料No.1−5は、Cu相の(222)面及びFe相の(220)面の両方の回折ピークの半価幅が0.5以下である。これに対し、試料No.1−1は、Cu相の(222)面及びFe相の(220)面の両方の回折ピークの半価幅が0.5以下を満たしておらず、試料No.1−2は、Fe相の(220)面の回折ピークの半価幅が0.5以下を満たしていないことが分かる。
更に、試料No.1−5について、伸線方向(銅合金材の長手方向)に平行な縦断面をとり、この断面の金属組織を金属顕微鏡で観察した。断面の顕微鏡写真を図2に示す。図2は、同一試料について、異なる視野で撮影した2枚の断面顕微鏡写真(倍率1000倍)である。図2中、濃いグレーの部分がFe相である。この断面顕微鏡写真から、繊維状のFe相が分散していることが分かる。また、断面の顕微鏡写真から、Fe相の平均厚さを求めた。具体的には、顕微鏡写真において、厚さ方向(伸線方向に直交する方向)に直線を引いて、その直線上に存在するFe相の個々の厚さを測定し、その平均値をFe相の平均厚さとした。この例では、異なる5視野について、それぞれ3箇所測定し、合計15箇所の平均値とした。その結果、試料No.1−5におけるFe相の平均厚さは1μmであった。
本発明の銅合金材は、例えば、基板用コネクタ端子の材料に好適に利用できる。本発明のコネクタ端子は、自動車用ワイヤーハーネスや印刷回路基板(PCB)、その他の各種電気・電子機器のコネクタ端子に好適に利用できる。本発明の銅合金材の製造方法は、例えばコネクタ端子用銅合金材の製造に好適に利用できる。
Claims (5)
- CuとFeとを含有するCu−Fe合金からなる銅合金材であって、
Feの含有量が20質量%以上50質量%以下であり、
Cu相とFe相とを含む組織を有し、
X線回折において、前記Cu相の(222)面の回折ピークの半価幅、及び前記Fe相の(220)面の回折ピークの半価幅が0.5以下である銅合金材。 - 引張強度が700MPa以上、絞りが60%以上、導電率が25%IACS以上である請求項1に記載の銅合金材。
- 請求項1又は請求項2に記載の銅合金材が加工されたコネクタ端子。
- Feを20質量%以上50質量%以下含有するCu−Fe合金の素材を準備する準備工程と、
前記素材を塑性加工して、最終形状の加工材を作製する加工工程と、
前記加工工程の後、前記加工材を500℃以上600℃以下で最終熱処理する最終熱処理工程と、
を備える銅合金材の製造方法。 - 前記加工工程において、前記塑性加工を繰り返すと共に、加工途中に800℃以上1100℃以下の少なくとも1回の中間熱処理する請求項4に記載の銅合金材の製造方法。
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