JP2007203351A - クラッド板ならびにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マグネシウム合金と純アルミニウムまたはアルミニウム合金とのクラッド板において、簡便で安価に製造することができ、接合強度に優れ、しかも、クラッド板としても優れた加工性を有するものを提供する。
【解決手段】六方最密構造を有する展伸用マグネシウム合金が用いられてなるマグネシウム板の表面に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられてなるアルミニウム板が接合されてマグネシウム層とアルミニウム層とが形成され、マグネシウム層とアルミニウム層との接合界面の中間層厚さが5μm以下であり、マグネシウム層の平均結晶粒径が10μm以下であることを特徴とするクラッド板とその製造方法とを提供する。
【選択図】図1
【解決手段】六方最密構造を有する展伸用マグネシウム合金が用いられてなるマグネシウム板の表面に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられてなるアルミニウム板が接合されてマグネシウム層とアルミニウム層とが形成され、マグネシウム層とアルミニウム層との接合界面の中間層厚さが5μm以下であり、マグネシウム層の平均結晶粒径が10μm以下であることを特徴とするクラッド板とその製造方法とを提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、クラッド板に関し、より詳しくは、六方最密構造を有する展伸用マグネシウム合金が用いられてなるマグネシウム板の表面に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられてなるアルミニウム板が接合されてなるクラッド板に関する。
マグネシウム合金は、一般に実用化されている金属材料の中でも特に軽量であり、しかも比強度および比剛性においても優れている。そのため、このようなマグネシウム合金は、一般的な他の金属材料からは得ることができない軽量性と高剛性との両立を可能とさせ、板材や箔材などとして広く用いられている。また、軽量性と高剛性とを両立させ得ることから、種々の部材に用いられて優れた効果を奏する。
近年、携帯家電などを中心とした電気機器についての小型軽量化の傾向には目覚しいものがあり、この携帯家電などを構成する部材には、薄肉化、軽量化、高剛性化が求められている。
また、このような特性を有することで、部材の強制回転や強制振動を含む駆動に際してエネルギーロスを抑制しつつ、しかも、応答性に優れたものとすることができ、省電力化の観点からも上記特性が求められている。
近年、携帯家電などを中心とした電気機器についての小型軽量化の傾向には目覚しいものがあり、この携帯家電などを構成する部材には、薄肉化、軽量化、高剛性化が求められている。
また、このような特性を有することで、部材の強制回転や強制振動を含む駆動に際してエネルギーロスを抑制しつつ、しかも、応答性に優れたものとすることができ、省電力化の観点からも上記特性が求められている。
上記のように、マグネシウム合金は、軽量性と高剛性とを両立させ得ることから、この携帯家電機器や駆動用部材などのような用途に好適なものといえる。また、マグネシウム合金は、小型機器における保護筐体や仕切り板、小型バネ、気体攪拌用羽根材などに用いられたりもしている。
しかし、一般にマグネシウム合金は、アルミニウムや鋼に比べて電気化学的に卑な金属であることから、特に、塩水環境下での耐食性に乏しく、実使用にあたっては暴露表面に化成処理や塗装などといった表面処理を施すことが必要となる。特に、薄板などの薄肉の部材においては単位体積に対する表面積の割合が大きいため、この薄肉部材の素材費用に対する表面処理費用の割合も高くなり部材をコストアップさせてしまうという問題がある。
しかし、一般にマグネシウム合金は、アルミニウムや鋼に比べて電気化学的に卑な金属であることから、特に、塩水環境下での耐食性に乏しく、実使用にあたっては暴露表面に化成処理や塗装などといった表面処理を施すことが必要となる。特に、薄板などの薄肉の部材においては単位体積に対する表面積の割合が大きいため、この薄肉部材の素材費用に対する表面処理費用の割合も高くなり部材をコストアップさせてしまうという問題がある。
特許文献1乃至5には、マグネシウム合金の表面にアルミニウムを被覆させたクラッド材(クラッド板)が記載されている。しかし、マグネシウム合金の表面にアルミニウムを被覆させると、前述したような携帯家電機器用の部材を形成すべく延伸加工、折り曲げ加工、絞り加工などといった加工を行った際にマグネシウム合金とアルミニウムとの界面に剥離が生じたりするという問題がある。
しかも、これらの特許文献にはクラッド板の製造工程が複雑なものが多く、接合強度の低下を抑制しつつクラッド板を簡便に製造する方法は、記載されていない。
しかも、これらの特許文献にはクラッド板の製造工程が複雑なものが多く、接合強度の低下を抑制しつつクラッド板を簡便に製造する方法は、記載されていない。
例えば、特許文献1には、マグネシウム合金の表面にアルミニウムを被覆させたクラッド材が記載され、マグネシウム合金ビレットの表層をアルミニウム合金材で緊密な機械的接触により被覆したビレットを400℃以下に加熱して押出してマグネシウム合金/アルミニウムのクラッド材とすることが記載されている。しかし、単にマグネシウム合金の表面にアルミニウムを被覆させるだけでは、接合強度の低下を抑制することが困難である。また、この特許文献1ではクラッド材の製造方法として押出し法が用いられていることから薄肉のクラッド材(クラッド板)を得ることが困難で、得られたとしても表面の平坦性、厚みの均一性に乏しいものとなる。
また、特許文献2にはマグネシウム合金とアルミニウムまたはその合金からなるクラッド材において、接合界面の中間層として銀もしくは銅またはその合金を用いるクラッド材や、マグネシウム側に金、白金またはパラジウムを用い、アルミニウム側に銀もしくは銅またはその合金を用いるという二層の中間層を用いるクラッド材が記載されており、このクラッド材を押出し法や圧延法により加工することが記載されている。
この圧延法は、押出し法などに比べて簡便にクラッド板を得ることができる方法ではあるがこの特許文献2のクラッド板の中間層には上記のようなマグネシウムやアルミニウムに比べて軟化熱処理温度が高い金属が用いられていることから、例えば、再圧延により薄肉化させようとすると極端な硬化が起こって内部での破断を生じさせてしまうという問題を有している。すなわち、再圧延時の接合強度の低下が抑制されているとはいえないものである。
さらに異種金属を用いることはリサイクル性の観点からも好ましいものではない。
この圧延法は、押出し法などに比べて簡便にクラッド板を得ることができる方法ではあるがこの特許文献2のクラッド板の中間層には上記のようなマグネシウムやアルミニウムに比べて軟化熱処理温度が高い金属が用いられていることから、例えば、再圧延により薄肉化させようとすると極端な硬化が起こって内部での破断を生じさせてしまうという問題を有している。すなわち、再圧延時の接合強度の低下が抑制されているとはいえないものである。
さらに異種金属を用いることはリサイクル性の観点からも好ましいものではない。
また、特許文献3には、マグネシウム層に対して所定の厚さで被覆されたアルミニウム層を有するクラッド板が記載されている。また、このクラッド板のマグネシウムとアルミニウムとの接合を真空または無酸化雰囲気で実施させることが記載されている。
この特許文献3に記載のクラッド板も単にマグネシウム層とアルミニウム層との厚さの関係が所定の範囲内に定められているのみでは、接合強度の低下を抑制することは困難で、しかも、この特許文献3においては、マグネシウムとアルミニウムとの接合を真空または無酸化雰囲気で実施させることから製造工程が煩雑なものとなる。
この特許文献3に記載のクラッド板も単にマグネシウム層とアルミニウム層との厚さの関係が所定の範囲内に定められているのみでは、接合強度の低下を抑制することは困難で、しかも、この特許文献3においては、マグネシウムとアルミニウムとの接合を真空または無酸化雰囲気で実施させることから製造工程が煩雑なものとなる。
また、特許文献4には、マグネシウム板をアルミニウム板で挟んでロールによる加熱、加圧によって接合することが記載されている。しかし、その条件などについては記載されてはおらずクラッド板の接合強度の低下については検討されてはいない。
さらに、特許文献5には、リチウムを含有したマグネシウム合金(Mg−Li合金)を純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられてなるアルミニウム板で挟んだクラッド板が冷間圧延性に優れていることが記載され、このクラッド板を圧延接合法という簡便な方法により製造し得ることが記載されている。
しかし、このMg−Li合金は、Mg−Zn−Al合金などの六方最密構造を有する一般的な展伸用マグネシウム合金に比べて高価であり、このようなMg−Li合金を用いたクラッド板も高価なものとなってしまう。
しかし、このMg−Li合金は、Mg−Zn−Al合金などの六方最密構造を有する一般的な展伸用マグネシウム合金に比べて高価であり、このようなMg−Li合金を用いたクラッド板も高価なものとなってしまう。
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、マグネシウム合金と純アルミニウムまたはアルミニウム合金とのクラッド板において、簡便で安価に製造することができ、接合強度に優れ、しかも、クラッド板としても優れた加工性を有するものを提供することにある。
本発明者らは、六方最密構造を有する展伸用マグネシウム合金が用いられてなるマグネシウム板の表面に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられてなるアルミニウム板が接合されてマグネシウム層とアルミニウム層とが形成されてなるクラッド板について鋭意検討を行った結果、クラッド板の接合強度がマグネシウム層とアルミニウム層との間の中間層の厚さに影響され、これらを所定内の値とすることによって接合強度に優れたクラッド板が得られることを見出した。また、さらにマグネシウム層の結晶粒径の大きさを制御することによりマグネシウム合金自体の加工性を向上させ、接合強度に優れることとあわせてクラッド板の加工性を向上させ得ることを見出し本発明の完成に至ったのである。
すなわち、本発明は、前記課題を解決すべく、六方最密構造を有する展伸用マグネシウム合金が用いられてなるマグネシウム板の表面に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられてなるアルミニウム板が接合されてマグネシウム層とアルミニウム層とが形成され、前記マグネシウム層と前記アルミニウム層との接合界面の中間層厚さが5μm以下であり、前記マグネシウム層の平均結晶粒径が10μm以下であることを特徴とするクラッド板と、該クラッド板の製造方法として、前記マグネシウム板と前記アルミニウム板とを200℃以上350℃以下の温度においてマグネシウム板とアルミニウム板との合計厚さに対して20%以上40%以下の圧延率で圧延して接合した後に200℃未満の温度となるまで1℃/秒以上の冷却速度で冷却することを特徴とするクラッド板製造方法とを提供する。
なお、この中間層厚さが5μm以下とは、中間層が形成されている場合のみを意図するものではなく、中間層が形成されていない場合も本発明の意図する範囲である。
なお、この中間層厚さが5μm以下とは、中間層が形成されている場合のみを意図するものではなく、中間層が形成されていない場合も本発明の意図する範囲である。
本発明によれば、クラッド板のマグネシウム層とアルミニウム層との接合界面の中間層厚さが5μm以下であることからクラッド板を接合強度に優れたものとさせ得る。
また、クラッド板のマグネシウム層の平均結晶粒径が10μm以下であることから、マグネシウム合金自体の加工性を向上させることができ、クラッド板としても優れた加工性を有するものとさせ得る。
しかも、このようなクラッド板を製造するためにMg−Li合金などの高価な材料を用いたり、真空あるいは無酸素状態にさせるための設備など特別な設備を用いたりすることを必要とせず、本発明のクラッド板は、簡便で安価に製造することができるという効果も奏する。
すなわち、本発明によれば、クラッド板を簡便で安価に製造することができ、接合強度に優れ、しかも、優れた加工性を有するものとさせ得る。
また、クラッド板のマグネシウム層の平均結晶粒径が10μm以下であることから、マグネシウム合金自体の加工性を向上させることができ、クラッド板としても優れた加工性を有するものとさせ得る。
しかも、このようなクラッド板を製造するためにMg−Li合金などの高価な材料を用いたり、真空あるいは無酸素状態にさせるための設備など特別な設備を用いたりすることを必要とせず、本発明のクラッド板は、簡便で安価に製造することができるという効果も奏する。
すなわち、本発明によれば、クラッド板を簡便で安価に製造することができ、接合強度に優れ、しかも、優れた加工性を有するものとさせ得る。
また、クラッド板を製造するにあたり、マグネシウム板とアルミニウム板とを200℃以上350℃以下の温度においてマグネシウム板とアルミニウム板との合計厚さに対して20%以上40%以下の圧延率で圧延して接合した後に200℃未満の温度となるまで1℃/秒以上の冷却速度で冷却する方法を用いる場合には、上記のようなクラッド板を容易に製造することができ、さらに押出法などに比べて表面の平坦性、厚みの均一性に優れた薄肉のクラッド板を得ることができるという効果も奏する。
以下に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本実施形態のクラッド板は、六方最密構造を有する展伸用マグネシウム合金が用いられてなるマグネシウム板の表面に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられてなるアルミニウム板が接合されてマグネシウム層とアルミニウム層とが形成されている。
このマグネシウム層と前記アルミニウム層との接合界面の中間層厚さは5μm以下であり、前記マグネシウム層の平均結晶粒径は10μm以下である。
本実施形態のクラッド板は、六方最密構造を有する展伸用マグネシウム合金が用いられてなるマグネシウム板の表面に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられてなるアルミニウム板が接合されてマグネシウム層とアルミニウム層とが形成されている。
このマグネシウム層と前記アルミニウム層との接合界面の中間層厚さは5μm以下であり、前記マグネシウム層の平均結晶粒径は10μm以下である。
前記マグネシウム層とアルミニウム層の各層の厚さはクラッド板の用途によって異なるが例えば、マグネシウム層を数mm厚さ、アルミニウム層を1mm以下の厚さなどとすることができ、前記アルミニウム層は、マグネシウム層を両面から挟み込むようにマグネシウム層の両面側に形成させたり、あるいはマグネシウム層の片面側にのみ形成させたりすることができる。
また、前記マグネシウム層の六方最密構造を有する展伸用マグネシウム合金にはJISにMP1、MP4、MP5、MP7として区分されたものを用いることができる。
このマグネシウム層の平均結晶粒径が10μm以下であるのは、マグネシウム層の平均結晶粒径が10μmを超えている場合には、クラッド板の加工性が大きく低下してしまうためである。
このマグネシウム層の平均結晶粒径が10μm以下であるのは、マグネシウム層の平均結晶粒径が10μmを超えている場合には、クラッド板の加工性が大きく低下してしまうためである。
なお、この平均結晶粒径とは、クラッド板の断面を平滑に研磨した後に化学エッチングして金属組織を現出させて、顕微鏡を用いて観察し、この顕微鏡により観察される視野内に面積がAとなる特定の正方形を規定し、その正方形の中に完全に含まれる結晶粒の数をn1とし、正方形に一部が含まれる結晶粒の数をn2として下記式により求められる値を意図している。
平均結晶粒径=2×〔A/{n1+(n2/2)}/π〕0.5
なお、この際の顕微鏡の倍率は、{n1+(n2/2)}の値が50以上となるように選択することとし、また、面積Aは、測定試料上での実寸面積を表す。
平均結晶粒径=2×〔A/{n1+(n2/2)}/π〕0.5
なお、この際の顕微鏡の倍率は、{n1+(n2/2)}の値が50以上となるように選択することとし、また、面積Aは、測定試料上での実寸面積を表す。
前記アルミニウム層は、JISの1100、1050などの純アルミニウムや、3003、5052、6061、7075などのアルミニウム合金により形成させることができる。
前記中間層の厚さが5μm以下であるのは、中間層の厚さが5μmを超えている場合には、クラッド板の接合強度が低下してしまうためである。
なお、中間層厚さとは、例えば、マグネシウム層、アルミニウム層との界面を1000倍の倍率でSEM観察して、アルミニウム層側の終端とマグネシウム層側の終端との距離を、界面上の無作為に選定した1個所と、この測定個所から界面と並行に20μmづつ移動して測定した4個所との合計5箇所において測定し、この5箇所の距離を平均して求めることができる。
なお、中間層厚さとは、例えば、マグネシウム層、アルミニウム層との界面を1000倍の倍率でSEM観察して、アルミニウム層側の終端とマグネシウム層側の終端との距離を、界面上の無作為に選定した1個所と、この測定個所から界面と並行に20μmづつ移動して測定した4個所との合計5箇所において測定し、この5箇所の距離を平均して求めることができる。
次いで、このようなマグネシウム層とアルミニウム層とが形成されたクラッド板の製造方法について六方最密構造を有する展伸用マグネシウム合金が用いられてなるマグネシウム板の表面に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられてなるアルミニウム板を重ね合わせて圧延することによりマグネシウム板とアルミニウム板とを接合させる場合を例に説明する。
まず、製造設備について説明する。
本実施形態のクラッド板の製造設備には、マグネシウム板とアルミニウム板とを圧延して接合させるための圧延機構と、この圧延機構にマグネシウム板とアルミニウム板とを加熱状態で供給するための素材板加熱機構と、圧延機構に供給するマグネシウム板とアルミニウム板との表面酸化膜や汚れを除去するための酸化膜除去機構が備えられている。
本実施形態のクラッド板の製造設備には、マグネシウム板とアルミニウム板とを圧延して接合させるための圧延機構と、この圧延機構にマグネシウム板とアルミニウム板とを加熱状態で供給するための素材板加熱機構と、圧延機構に供給するマグネシウム板とアルミニウム板との表面酸化膜や汚れを除去するための酸化膜除去機構が備えられている。
前記圧延機構としては、一般的な圧延ロールの備えられた圧延機を用いることができる。また、要すれば、加熱手段が内蔵された圧延ロールを用いることもできる。また、この加熱手段が内蔵された圧延ロールに代えて、油浴などに圧延ロールを浸漬させて加熱する手段を別途設けることもできる。
前記素材板加熱機構としては、バッチ式のものやインラインのものなどとして一般に用いられているものを使用することができ、バッチ式のものとしては、例えば、電気炉を用いることができ、インラインのものとしては、例えば、誘導加熱装置や加熱手段が内蔵されたジャケット加熱ロールなどを用いることができる。
前記酸化膜除去機構としては、例えば、ワイヤーブラッシング装置などを用いることができる。
次いで、切板材あるいはコイル材とされたマグネシウム板とアルミニウム板とを上記のような設備を用いて接合しクラッド板を製造する方法について説明する。
本実施形態のクラッド板の製造方法としては、例えば、マグネシウム板とアルミニウム板との両方に対して接合面の表面酸化膜をワイヤーブラッシング装置にて除去し、誘導加熱装置によりマグネシウム板とアルミニウム板とを圧延時に200℃以上350℃以下の温度となるよう加熱して、圧延ロールによりマグネシウム板とアルミニウム板との合計厚さに対して20%以上40%以下の圧延率で圧延して接合し、該接合されたものを200℃未満の温度となるまで1℃/秒以上の冷却速度で冷却する方法を用いることができる。
本実施形態のクラッド板の製造方法としては、例えば、マグネシウム板とアルミニウム板との両方に対して接合面の表面酸化膜をワイヤーブラッシング装置にて除去し、誘導加熱装置によりマグネシウム板とアルミニウム板とを圧延時に200℃以上350℃以下の温度となるよう加熱して、圧延ロールによりマグネシウム板とアルミニウム板との合計厚さに対して20%以上40%以下の圧延率で圧延して接合し、該接合されたものを200℃未満の温度となるまで1℃/秒以上の冷却速度で冷却する方法を用いることができる。
上記の製造方法においては、製造するクラッド板にもよるが、用いるアルミニウム板の板厚は、圧延ロール入口近傍で板面の外に座屈して圧延絞りが発生してしまうことを防止し得る点から0.3mm以上であることが好ましい。
また、上記の製造方法において、圧延接合時の温度が200℃以上350℃以下とされているのは、200℃未満の温度では、マグネシウム板の加工性が低い状態となって、得られるクラッド板のマグネシウム層に亀裂状の割れを発生させるおそれがあるためである。
一方、350℃を超える温度にて圧延接合を行った場合には、前記中間層が5μmを超えて形成されやすくなる。
一方、350℃を超える温度にて圧延接合を行った場合には、前記中間層が5μmを超えて形成されやすくなる。
なお、圧延ロールの抜熱により、誘導加熱装置などで加熱したマグネシウム板とアルミニウム板との温度が圧延時に200℃を下回るおそれがあるときには、前述の加熱手段が内蔵された圧延ロールや、油浴などを用いて予め加熱された圧延ロールを用いることでマグネシウム板とアルミニウム板との温度が圧延時に200℃を下回るおそれを低減させることができる。
また、圧延率が20%以上40%以下とされているのは、20%未満の圧延率の場合には、マグネシウム板とアルミニウム板との接合が十分なものとならないおそれを有し、40%を超えた圧延率とした場合にはマグネシウム板に過大な加工が加えられることとなって、得られるクラッド板のマグネシウム層に亀裂状の割れを発生させるおそれがあるためである。
さらに、圧延後に200℃未満の温度となるまで1℃/秒以上の冷却速度で冷却するのは、1℃/秒よりも遅い冷却速度で冷却すると前記中間層が5μmを超えて形成されやすくなり、マグネシウム層の結晶粒径が粗大化して平均結晶粒径が10μmを超えてしまうおそれがあるためである。
このようなクラッド板の製造において、前述したように圧延ロール入口近傍で板面の外に座屈して圧延絞りが発生してしまうおそれを抑制すべくアルミニウム板として0.3mmの板厚のものを用いた場合には、40%の圧延率でクラッド板の製造を実施したとしても、通常、アルミニウム層が0.2mm程度に形成されてしまう。
したがって、マグネシウム層の厚さをクラッド層の厚さの50%以上とすると、マグネシウム層の片面側にのみアルミニウム層の形成されたクラッド板で約0.4mm以上の板厚となり、マグネシウム層の両面側にアルミニウム層の形成されたクラッド板では、約0.8mm以上の板厚に形成されることとなる。
したがって、マグネシウム層の厚さをクラッド層の厚さの50%以上とすると、マグネシウム層の片面側にのみアルミニウム層の形成されたクラッド板で約0.4mm以上の板厚となり、マグネシウム層の両面側にアルミニウム層の形成されたクラッド板では、約0.8mm以上の板厚に形成されることとなる。
そのため、さらに薄い板厚のクラッド板を形成させる場合には、一旦上記のごとく接合圧延したクラッド板を再圧延工程により薄肉化させることが好ましい。
その場合には、クラッド板を150℃以上250℃以下の温度に再び加熱して、該加熱された状態において1パスあたり25%以下の圧延率で圧延することが好ましい。
その場合には、クラッド板を150℃以上250℃以下の温度に再び加熱して、該加熱された状態において1パスあたり25%以下の圧延率で圧延することが好ましい。
この再圧延工程での圧延において、クラッド板の温度が150℃以上250℃以下とされているのは、再圧延の加工温度が150℃よりも低い温度の場合には、マグネシウム層の加工性が低い状態となって、再圧延による薄肉化後のクラッド板のマグネシウム層に亀裂状の割れを発生させるおそれがあるためである。
一方、250℃を超える温度にて圧延接合を行った場合には、前記中間層が5μmを超えて形成されやすくなる。また、250℃を超える温度にするとクラッド板のマグネシウム層の結晶粒径が粗大化するおそれも有している。
さらに、再圧延工程での圧延において、圧延率が1パスあたり25%以下とされるのは、マグネシウム層に過大な加工が加えられることとなって、薄肉化後のクラッド板のマグネシウム層に亀裂状の割れを発生させるおそれがあるためである。
一方、250℃を超える温度にて圧延接合を行った場合には、前記中間層が5μmを超えて形成されやすくなる。また、250℃を超える温度にするとクラッド板のマグネシウム層の結晶粒径が粗大化するおそれも有している。
さらに、再圧延工程での圧延において、圧延率が1パスあたり25%以下とされるのは、マグネシウム層に過大な加工が加えられることとなって、薄肉化後のクラッド板のマグネシウム層に亀裂状の割れを発生させるおそれがあるためである。
なおこの再圧延工程においては、圧延後のクラッド板の温度が200℃以上の場合には、クラッド板の温度が200℃未満の温度となるまで1℃/秒以上の冷却速度で冷却することが好ましい。この冷却速度が1℃/秒以上であるのが好ましいのは、1℃/秒よりも遅い冷却速度で冷却すると前記中間層が5μmを超えて形成されやすくなり、マグネシウム層の結晶粒径が粗大化して平均結晶粒径が10μmを超えてしまうおそれがあるためである。
このクラッド板の薄肉化では、そのパス数や再圧延の回数に制限が加えられるものではなく、例えば、150℃以上250℃以下の温度において1パスあたり25%以下の圧延率で少なくとも1回以上の圧延を実施することができる。このとき圧延後のクラッド板の温度が200℃以上の場合には、クラッド板の温度が200℃未満の温度となるまで1℃/秒以上の冷却速度で冷却して中間層が5μmを超えて形成されることを防止した再圧延工程を実施することが好ましい。また、目的とする厚さのクラッド板を形成させるべく、この再圧延工程を複数回実施することもできる。
このような再圧延による圧延率としては、全てのパスを総合した総圧延率で、例えば、98%以上とすることもできる。
また、逆に、板厚調整などのための1%以下の僅かな圧延率で再圧延することも可能である。
この再圧延における加熱には、前述のアルミニウム板とマグネシウム板との接合圧延において説明した素材板加熱機構と同様の機構を用いることができる。
このような再圧延による圧延率としては、全てのパスを総合した総圧延率で、例えば、98%以上とすることもできる。
また、逆に、板厚調整などのための1%以下の僅かな圧延率で再圧延することも可能である。
この再圧延における加熱には、前述のアルミニウム板とマグネシウム板との接合圧延において説明した素材板加熱機構と同様の機構を用いることができる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜15、比較例1〜5)
表1に示すマグネシウム板とアルミニウム板とを用いてクラッド板を製造した。なお、各実施例、比較例のクラッド板の製造に用いたマグネシウム板とアルミニウム板とは、完全焼鈍した質別記号O相当の市販品を用いている。
また、このクラッド板の断面を平滑に研磨した後に化学エッチングして金属組織を現出させて、顕微鏡を用いて観察しマグネシウム層の平均結晶粒径を求めた。また、マグネシウム層、アルミニウム層との界面を1000倍の倍率でSEM観察して、中間層厚さを求めた。なお、マグネシウム層の両面側にアルミニウム層が形成されているクラッド板については、その両方の界面について中間層厚さを求めて得られた大きい方の値をそのクラッド板の中間層厚さとした。結果を、表1に示す。
(実施例1〜15、比較例1〜5)
表1に示すマグネシウム板とアルミニウム板とを用いてクラッド板を製造した。なお、各実施例、比較例のクラッド板の製造に用いたマグネシウム板とアルミニウム板とは、完全焼鈍した質別記号O相当の市販品を用いている。
また、このクラッド板の断面を平滑に研磨した後に化学エッチングして金属組織を現出させて、顕微鏡を用いて観察しマグネシウム層の平均結晶粒径を求めた。また、マグネシウム層、アルミニウム層との界面を1000倍の倍率でSEM観察して、中間層厚さを求めた。なお、マグネシウム層の両面側にアルミニウム層が形成されているクラッド板については、その両方の界面について中間層厚さを求めて得られた大きい方の値をそのクラッド板の中間層厚さとした。結果を、表1に示す。
(評価)
(接合性評価)
各実施例、比較例のクラッド板から25mm幅×50mm長さの試験片を採取し、200℃で、曲げ角度90度、曲げ半径5mmにて繰り返し数5回の曲げ試験を実施し、接合界面の剥離状況を目視により観察し接合性の評価を実施した。結果を表1に示す。
(接合性評価)
各実施例、比較例のクラッド板から25mm幅×50mm長さの試験片を採取し、200℃で、曲げ角度90度、曲げ半径5mmにて繰り返し数5回の曲げ試験を実施し、接合界面の剥離状況を目視により観察し接合性の評価を実施した。結果を表1に示す。
(曲げ加工性評価)
各実施例、比較例のクラッド板から25mm幅×50mm長さの試験片を採取し、200℃で、曲げ角度90度、曲げ半径5mmにて繰り返し数5回の曲げ試験を実施し、マグネシウム層の曲げ破断に起因する内部割れの発生状況を目視により観察し曲げ加工性の評価を実施した。結果を表1に示す。
各実施例、比較例のクラッド板から25mm幅×50mm長さの試験片を採取し、200℃で、曲げ角度90度、曲げ半径5mmにて繰り返し数5回の曲げ試験を実施し、マグネシウム層の曲げ破断に起因する内部割れの発生状況を目視により観察し曲げ加工性の評価を実施した。結果を表1に示す。
この表1からも、六方最密構造を有する展伸用マグネシウム合金が用いられてなるマグネシウム板の表面に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられてなるアルミニウム板が接合されてマグネシウム層とアルミニウム層とが形成され、前記マグネシウム層と前記アルミニウム層との接合界面の中間層厚さが5μmであり、前記マグネシウム層の平均結晶粒径が10μm以下であるクラッド板は接合性に優れ、クラッド板としての加工性に優れていることがわかる。
(クラッド板の製造方法の検討)
表2に示すマグネシウム板(Mg板)とアルミニウム板(Al板)とを用いて表2に示す構成のクラッド板の製造を実施した。
このマグネシウム板とアルミニウム板としては、質別記号O相当の市販品を用い、接合圧延前には、接合面をステンレスワイヤーブラシでブラッシングして用いた。
このブラッシングされた面同士を合わせてマグネシウム板とアルミニウム板とを積層した状態で電気炉にて3分間加熱し、表3の加工温度ならびに圧延率となるように接合圧延を実施した。また、接合圧延後には表3に示す冷却速度にて冷却を行った。
なお、この製造例9、10、25においては、コイルを用いてクラッド板の製造を行った。すなわち、インラインのジャケット加熱ロールにより個別に加熱して連続的に接合圧延を行った。
表2に示すマグネシウム板(Mg板)とアルミニウム板(Al板)とを用いて表2に示す構成のクラッド板の製造を実施した。
このマグネシウム板とアルミニウム板としては、質別記号O相当の市販品を用い、接合圧延前には、接合面をステンレスワイヤーブラシでブラッシングして用いた。
このブラッシングされた面同士を合わせてマグネシウム板とアルミニウム板とを積層した状態で電気炉にて3分間加熱し、表3の加工温度ならびに圧延率となるように接合圧延を実施した。また、接合圧延後には表3に示す冷却速度にて冷却を行った。
なお、この製造例9、10、25においては、コイルを用いてクラッド板の製造を行った。すなわち、インラインのジャケット加熱ロールにより個別に加熱して連続的に接合圧延を行った。
このとき、製造例14、16では接合圧延ができなかった。また、製造例17では、接合圧延後のクラッド板の表面にシワ状の肌荒れが見られた。
この、製造例14、16、17と製造例9、21、22を除くものは、さらに、表3に示す条件により1パス以上の圧延を実施して最終の厚さが表3の通りとなるよう再圧延を実施した。
この、製造例14、16、17と製造例9、21、22を除くものは、さらに、表3に示す条件により1パス以上の圧延を実施して最終の厚さが表3の通りとなるよう再圧延を実施した。
この再圧延後のクラッド板の表面状態を目視にて観察したところ製造例1乃至13、15、19については良好なる表面状態であったが、製造例18、20においては内部割れによるクラッド板の表面にシワ状の肌荒れが見られた。
また、この製造例1乃至13、15、19、21乃至25のクラッド板から25mm幅×50mm長さの試験片を採取し、200℃で、曲げ角度90度、曲げ半径5mmにて繰り返し数5回の曲げ試験を実施し、接合界面の剥離状況を目視により観察し接合性の評価を実施したところ、表3に示すように、製造例15、19、22、24では剥離が生じた。
また、同様に製造例1乃至13、15、19、21乃至25のクラッド板から25mm幅×50mm長さの試験片を採取し、200℃で、曲げ角度90度、曲げ半径5mmにて繰り返し数5回の曲げ試験を実施し、曲げ加工性の評価を実施したところ、表3に示すように、製造例15、19、22、24、25では内部割れが生じた。
なお、製造例1乃至13、21および23のクラッド板においては、良好なる接合がなされており、優れた曲げ加工性を有していることが確認された。
また、同様に製造例1乃至13、15、19、21乃至25のクラッド板から25mm幅×50mm長さの試験片を採取し、200℃で、曲げ角度90度、曲げ半径5mmにて繰り返し数5回の曲げ試験を実施し、曲げ加工性の評価を実施したところ、表3に示すように、製造例15、19、22、24、25では内部割れが生じた。
なお、製造例1乃至13、21および23のクラッド板においては、良好なる接合がなされており、優れた曲げ加工性を有していることが確認された。
この表3からもマグネシウム板とアルミニウム板とを200℃以上350℃以下の温度においてマグネシウム板とアルミニウム板との合計厚さに対して20%以上40%以下の圧延率で圧延して接合した後に200℃未満の温度となるまで1℃/秒以上の冷却速度で冷却することにより、クラッド板の中間層厚さを5μm以下にすることならびにマグネシウム層の平均結晶粒径を10μm以下とさせることができて、接合強度に優れ、しかも、優れた加工性を有するクラッド板を製造させ得ることがわかる。
また250℃の温度において再圧延する場合であっても圧延後に1℃/秒以上の冷却速度で冷却することでクラッド板の中間層厚さを5μm以下にすることならびにマグネシウム層の平均結晶粒径を10μm以下とさせ得ることがわかる。
また250℃の温度において再圧延する場合であっても圧延後に1℃/秒以上の冷却速度で冷却することでクラッド板の中間層厚さを5μm以下にすることならびにマグネシウム層の平均結晶粒径を10μm以下とさせ得ることがわかる。
(圧延条件の検討)
(熱処理温度と、結晶粒径、中間層の関係調査)
次に、材質がJIS MP1で質別記号O相当の1.0mm厚さのマグネシウム板と、JIS A1100で質別記号O相当の1.0mm厚さのアルミニウム板とを温度250℃、圧延率37%の条件で接合圧延を実施したクラッド板を用いて、100〜350℃の温度で3分間保持した後に冷却して断面観察を行いクラッド板のマグネシウム層の平均結晶粒径の大きさと、中間層の厚さとを調査したところ、図1のとおりであった。
この図からもわかるように、マグネシウム合金の結晶粒の粗大化は、250℃を超える温度に保持されることで進行するが、一旦粗大化しても引き続き圧延加工と熱処理を行うことによって再結晶化させることができるため、製品の結晶粒径は製造工程の最後に行う熱処理の条件によって主に決定される。しかし、最終熱処理前の圧延工程における加工率が小さい場合には、再結晶化が進行せず粗大な結晶粒がそのまま残ってしまう可能性があることから、製造工程の前段においても結晶粒の粗大化を避けることが好ましい。
(熱処理温度と、結晶粒径、中間層の関係調査)
次に、材質がJIS MP1で質別記号O相当の1.0mm厚さのマグネシウム板と、JIS A1100で質別記号O相当の1.0mm厚さのアルミニウム板とを温度250℃、圧延率37%の条件で接合圧延を実施したクラッド板を用いて、100〜350℃の温度で3分間保持した後に冷却して断面観察を行いクラッド板のマグネシウム層の平均結晶粒径の大きさと、中間層の厚さとを調査したところ、図1のとおりであった。
この図からもわかるように、マグネシウム合金の結晶粒の粗大化は、250℃を超える温度に保持されることで進行するが、一旦粗大化しても引き続き圧延加工と熱処理を行うことによって再結晶化させることができるため、製品の結晶粒径は製造工程の最後に行う熱処理の条件によって主に決定される。しかし、最終熱処理前の圧延工程における加工率が小さい場合には、再結晶化が進行せず粗大な結晶粒がそのまま残ってしまう可能性があることから、製造工程の前段においても結晶粒の粗大化を避けることが好ましい。
また、300℃の温度で3分間保持した後に冷却したクラッド板の断面をSEM観察するとともにX線回折装置による化合物同定を行ったところ中間層のマグネシウム層側にはAl12Mg17の金属間化合物が観測され、アルミニウム層側にはAl3Mg2の金属間化合物が観測された。
この300℃の温度で3分間保持した後に冷却されたクラッド板を再加熱して200℃の加工温度で1パスあたり15%の圧延率となるように再圧延を実施した。
その結果、3パス後には、中間層が劈開状に破砕して周囲に空隙を生じさせ、切断などの軽微な加工によっても接合面で剥離するものとなった。
この300℃の温度で3分間保持した後に冷却されたクラッド板を再加熱して200℃の加工温度で1パスあたり15%の圧延率となるように再圧延を実施した。
その結果、3パス後には、中間層が劈開状に破砕して周囲に空隙を生じさせ、切断などの軽微な加工によっても接合面で剥離するものとなった。
(冷却速度の検討)
さらに、この図1に示されている結果からも200℃未満の熱処理温度であれば、中間層の成長(厚さの増大)が無視できると考えられる。このことから、冷却温度の目標を200℃未満として350℃の温度で接合圧延を行った後に、強制空冷装置により3分間(180秒)でクラッド板が200℃の温度となる冷却を行い平均結晶粒径と中間層厚さとを測定した。結果、平均結晶粒径が8μmで、中間層厚さが5.0μmであった。
さらに、このクラッド板の接合性、曲げ加工性を実施例、比較例のクラッド板と同様に評価したところ良好に接合されており、曲げ加工性に優れたものであることもわかった。
さらに、この図1に示されている結果からも200℃未満の熱処理温度であれば、中間層の成長(厚さの増大)が無視できると考えられる。このことから、冷却温度の目標を200℃未満として350℃の温度で接合圧延を行った後に、強制空冷装置により3分間(180秒)でクラッド板が200℃の温度となる冷却を行い平均結晶粒径と中間層厚さとを測定した。結果、平均結晶粒径が8μmで、中間層厚さが5.0μmであった。
さらに、このクラッド板の接合性、曲げ加工性を実施例、比較例のクラッド板と同様に評価したところ良好に接合されており、曲げ加工性に優れたものであることもわかった。
このことからも、接合圧延時の温度が350℃であっても、圧延完了後に1℃/秒以上の冷却速度で200℃未満の温度に冷却することで、クラッド板の中間層厚さを5μm以下にすることならびにマグネシウム層の平均結晶粒径を10μm以下とさせることができて、接合強度に優れ、しかも、優れた加工性を有するクラッド板を製造させ得ることがわかる。
Claims (3)
- 六方最密構造を有する展伸用マグネシウム合金が用いられてなるマグネシウム板の表面に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられてなるアルミニウム板が接合されてマグネシウム層とアルミニウム層とが形成され、前記マグネシウム層と前記アルミニウム層との接合界面の中間層厚さが5μm以下であり、前記マグネシウム層の平均結晶粒径が10μm以下であることを特徴とするクラッド板。
- 請求項1に記載のクラッド板を製造するクラッド板製造方法であって、前記マグネシウム板と前記アルミニウム板とを200℃以上350℃以下の温度においてマグネシウム板とアルミニウム板との合計厚さに対して20%以上40%以下の圧延率で圧延して接合した後に200℃未満の温度となるまで1℃/秒以上の冷却速度で冷却することを特徴とするクラッド板製造方法。
- 前記冷却後に、150℃以上250℃以下の温度において1パスあたり25%以下の圧延率で少なくとも1回以上の圧延を実施し、該圧延後のクラッド板の温度が200℃以上の場合には200℃未満の温度となるまで1℃/秒以上の冷却速度での冷却を行う再圧延工程を少なくとも1回以上実施する請求項2に記載のクラッド板製造方法。
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JP2006026533A JP2007203351A (ja) | 2006-02-03 | 2006-02-03 | クラッド板ならびにその製造方法 |
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-
2006
- 2006-02-03 JP JP2006026533A patent/JP2007203351A/ja not_active Withdrawn
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