JP2001149096A - ミスマッチ認識分子 - Google Patents

ミスマッチ認識分子

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JP2001149096A JP33662099A JP33662099A JP2001149096A JP 2001149096 A JP2001149096 A JP 2001149096A JP 33662099 A JP33662099 A JP 33662099A JP 33662099 A JP33662099 A JP 33662099A JP 2001149096 A JP2001149096 A JP 2001149096A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、DNAやRNAなどの核酸におけ
る塩基対のミスマッチを簡便でしかも高感度で検出しう
る方法及びそのための検出試薬を提供するものである。 【解決手段】 本発明は、正常な塩基対を形成すること
ができない塩基の対において、次の一般式(I)、 A−L−B (I) (式中、Aは正常な塩基対を形成することができない塩
基の対の片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、B
は正常な塩基対を形成することができない塩基の対のも
う一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lは化学
構造部分A及びBを結合するリンカー構造を示す。)で
表されるミスマッチ認識分子を用いて、当該正常な塩基
対を形成することができない塩基の対に疑似的に塩基対
を形成させ、当該疑似的な塩基対の形成を測定すること
からなる正常な塩基対を形成することができない塩基の
対を検出、同定する方法、そのためのキット、ミスマッ
チの検出用試薬及び遺伝子の塩基配列の異常を検出する
方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正常な塩基対を形
成することができない塩基の対において、当該正常な塩
基対を形成することができない塩基の対に擬似的に塩基
対を形成させ、当該擬似的な塩基対の形成を測定するこ
とからなる正常な塩基対を形成することができない塩基
の対を検出、同定する方法、そのための試薬、それを含
有するキット、その化合物、及びその方法を用いたDN
A又はRNAの塩基配列の異常を検出する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】DNAやRNAなどの核酸がハイブリダ
イズして2本鎖となる場合には、対をなす塩基が決まっ
ている。例えば、グアニン(G)にはシトシン(C)、
アデニン(A)にはチミン(T)という具合になってい
る。そして、通常は全ての塩基がこのような対を形成し
てハイブリダイズしているのであるが、ときとして塩基
配列の中の一部にこのような対を形成することができな
い場合がある。例えば、あるDNAと他のDNAをハイ
ブリダイズし得る条件下においた場合に、大部分の塩基
はこのような対を形成することができるが、1個又は数
個の一部の塩基はこのような対を形成することができな
い場合がある。このような通常の塩基対を形成すること
ができない塩基対のことを、以下ではミスマッチとい
う。
【0003】一方、最近1個又は2個以上の塩基が異な
ることに起因する各種の遺伝病についての研究が行われ
てきている。例えば、1個の塩基が通常のものとは異な
る遺伝子(SNP(Single Nucleotide Polymorphis
m))を有する遺伝病などがあり、係る遺伝病の解明が
注目されてきている。このような遺伝子を正常な遺伝子
とハイブリダイズさせると、大部分の塩基は正常な塩基
対を形成し得ることができるためにハイブリダイズする
ことはするが、1個の塩基対についてミスマッチが起こ
ることになる。現在、このようなミスマッチを検出する
方法は、2本鎖DNAのハイブリダイゼーション効率を
比較する手法が一般的である。しかし、この方法を用い
るためにはミスマッチを含むDNAの塩基配列をあらか
じめ知っておかなければならないために多大な労力が必
要となり、多くの検体を処理する方法としては不適当で
ある。また、MutS等のDNAの修復蛋白が遺伝子損
傷箇所に選択的に結合することを利用する手法もある
が、タンパクの活性を維持することが難しい。
【0004】このように、ハイブリダイズしたDNAな
どにおける一部のミスマッチを検出する方法は大変難し
く、またその感度も不十分なものであり、これを簡便に
且つ高感度で検出できる方法の確立が求められている。
ところで、本発明者らは、2本鎖DNA中に生成する不
対塩基(バルジ塩基)を持つDNA(バルジDNA)に
特異的に結合し、安定化する分子であるバルジDNA認
識分子を開発してきた(特願平11−262205
号)。このバルジ認識分子は、不対塩基と水素結合をす
るだけでなく、バルジ塩基の存在により生じてくる空間
に、芳香環とバルジ近傍の塩基とのスタッキング相互作
用を利用してインターカーレーションし、安定化されて
いるものである。本発明者らは、このような周辺の塩基
の存在によるスタッキング効果を利用した不対塩基に対
する作用についてさらに研究を行ってきたところ、塩基
対のミスマッチが生じている箇所においても、塩基と対
を形成し得る分子種を2個有する化合物がこのようなス
タッキング効果により比較的安定に取り込まれる得るこ
とを見出した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
塩基対のミスマッチを簡便でしかも高感度で検出しうる
方法を提供するものである。より詳細には、2本鎖DN
A鎖中に存在するミスマッチを高感度でしかも簡便に検
出しうる方法及びそのための検出試薬を提供するもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、正常な塩基対
を形成することができない塩基の対において、次の一般
式(I)、 A−L−B (I) (式中、Aは正常な塩基対を形成することができない塩
基の対の片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、B
は正常な塩基対を形成することができない塩基の対のも
う一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lは化学
構造部分A及びBを結合するリンカー構造を示す。)で
表される、その各々の塩基と対を形成し得る化学構造部
分A及び化学構造部分B、並びに当該化学構造部分A及
びBを結合するリンカー部分Lを有する化合物を用い
て、当該正常な塩基対を形成することができない塩基の
対に擬似的に塩基対を形成させ、当該擬似的な塩基対の
形成を測定することからなる正常な塩基対を形成するこ
とができない塩基の対を検出、同定する方法に関する。
【0007】また、本発明は、前記の正常な塩基対を形
成することができない塩基の対に擬似的に塩基対を形成
させ、当該擬似的な塩基対の形成を測定することからな
る正常な塩基対を形成することができない塩基の対を検
出、同定する方法において、正常な塩基対を形成するこ
とができない塩基の対に擬似的に塩基対を形成させるた
めの次の一般式(I)、 A−L−B (I) (式中、Aは正常な塩基対を形成することができない塩
基の対の片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、B
は正常な塩基対を形成することができない塩基の対のも
う一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lは化学
構造部分A及びBを結合するリンカー構造を示す。)で
表される化合物からなる、正常な塩基対を形成すること
ができない塩基の対に擬似的に塩基対を形成させるため
の試薬に関する。本発明は、前記した本発明の試薬、及
び検出、同定用の資材からなる正常な塩基対を形成する
ことができない塩基の対に擬似的に塩基対を形成させ、
当該擬似的な塩基対の形成を測定することからなる正常
な塩基対を形成することができない塩基の対を検出、同
定するためのキットに関する。
【0008】また、本発明は、次の一般式(II)、
【0009】
【化4】
【0010】(式中、R、Rは、水素原子、炭素数1
〜15のアルキル基であって当該アルキル基中の1個又
はそれ以上の炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換さ
れてもよいアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基
であって当該アルコキシ基中の1個又はそれ以上の炭素
原子が酸素原子又は窒素原子で置換されてもよいアルコ
キシ基、又は、炭素数1〜15のモノ若しくはジアルキ
ルアミノ基であって当該アルキルアミノ基中の1個又は
それ以上の炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換され
てもよいモノ若しくはジアルキルアミノ基を示し、R
は、炭素数1〜20のアルキル基であって当該アルキル
基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子、窒素原
子又はカルボニル基で置換されてもよいアルキル基を示
す。)で表される化合物又は当該化合物がプレートや機
器分析用の検出装置などに固定化され得る化学構造に修
飾された固定化物に関する。
【0011】さらに、本発明は、検体となる1本鎖のD
NA又はRNAと、それに対応する正常な塩基配列を有
するDNA又はRNAとをハイブリダイズさせ、次いで
当該ハイブリダイズしたDNA又はRNAにおける正常
な塩基対を形成することができない塩基の対を次の一般
式(I)、 A−L−B (I) (式中、Aは正常な塩基対を形成することができない塩
基の対の片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、B
は正常な塩基対を形成することができない塩基の対のも
う一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lは化学
構造部分A及びBを結合するリンカー構造を示す。)で
表される、その各々の塩基と対を形成し得る化学構造部
分A及び化学構造部分B、並びに当該化学構造部分A及
びBを結合するリンカー部分Lを有する化合物を用い
て、当該正常な塩基対を形成することができない塩基の
対に擬似的に塩基対を形成させ、当該擬似的な塩基対の
形成を測定することからなる正常な塩基対を形成するこ
とができない塩基の対を検出、同定することからなるD
NA又はRNAにおける塩基配列の異常を検出する方法
に関する。なお、以下の説明においては、前記した「正
常な塩基対を形成することができない塩基の対の片方の
塩基と対を形成し得る化学構造部分(一般式(I)にお
けるA及びBの部分)」のことを単に「塩基認識部位」
ということもある。
【0012】本発明者らは、2本鎖DNA中に生成する
不対塩基(バルジ塩基)を持つDNA(バルジDNA)
に特異的に結合し、安定化する分子であるバルジDNA
認識分子を開発してきた(特願平11−262205
号)。このバルジ認識分子は、バルジ塩基の存在により
生じてくる空間に、芳香環とバルジ近傍の塩基とのスタ
ッキング相互作用を利用してインターカーレーション
し、安定化されているものであるが、本発明者らはこの
ようなバルジ認識分子を2分子、リンカーのような結合
鎖で結合させることにより各々のバルジ認識分子が、塩
基対のミスマッチ部分においてバルジ塩基と同様な塩基
対を形成し、しかもこれらのバルジ認識分子の両者が2
本鎖を形成しているDNAやRNAの鎖の中に比較的安
定に取り込まれることを見出した。このような比較的大
きな分子種がDNAやRNAの鎖の中に比較的安定に取
り込まれることは驚くべきことであり、かつこのような
特性を利用することにより、ハイブリダイズしている核
酸の中で塩基対がミスマッチを生じている箇所を簡便に
特定し得ることを見出した。
【0013】例えば、グアニンと水素結合を形成し、か
つ周囲の塩基とスタッキング効果により安定化され得る
1,8−ナフチリジン誘導体を用いて、これをリンカー
により結合させた次式(III)で示される二量体を合成
した。
【0014】
【化5】
【0015】この化合物は、1,8−ナフチリジン部分
においてグアニンと対を形成する。グアニンがバルジ塩
基となっている場合には、当該グアニンと1,8−ナフ
チリジン誘導体とが対を形成するための空間が充分にあ
るので、この1,8−ナフチリジン誘導体とバルジ塩基
との対の形成は両者の安定性を検討すれば足りるのであ
るが、ミスマッチの場合には、対を形成するための場所
に他の塩基が既に存在していることから空間的な余裕が
充分ではなく、塩基と隣接する塩基との僅かな空間にこ
のような比較的大きな分子種が安定に入り込めるか否か
が大きな問題となる。したがって、核酸の2本鎖中にお
いてグアニン−グアニンのミスマッチが存在している場
合において、このような1,8−ナフチリジン部分を2
個有する化合物がミスマッチしている各々のグアニンと
対を形成して核酸の鎖の中に取り込まれるか否かを検討
した。
【0016】2本鎖のDNA中にGC塩基対、GAミス
マッチ塩基対、及びGGミスマッチ塩基対を有する5’
32Pでラベルした52マー(mer)の2本鎖DNA
を調製した。その該当する部分の部分配列を次に示す。 *1 *2 *3 ・・・・・ACCGT・・・・・ACAGT・・・・・TCGGA ・・・・・TGGCA・・・・・TGGCA・・・・・AGGCT 上記の2本鎖DNAにおいて、*1で示した部分は正常
なG−Cの塩基対であり、*2で示した部分はG−Aの
ミスマッチ部分であり、*3の部分はG−Gのミスマッ
チの部分である。
【0017】この2本鎖のDNAを用いて、種々の濃度
における式(III)の化合物の存在下における、DNa
seI(DNA加水分解酵素)フットプリンティング滴
定により、DNaseIによるDNAの切断の阻害場所
を調べた。この結果を図1に示す。図1は、電気泳動の
結果を示す図面に代わる写真である。図1の左から右に
行くに従って、式(III)の化合物の濃度が0から50
0μMまで徐々に高くなっている。DNaseI(DN
A加水分解酵素)によって切断された場合には黒く示さ
れ、DNaseIによる切断が阻害されたところが白く
なって見えている。
【0018】例えば、G−Cの正常な塩基対である場合
には、式(III)の化合物の濃度を高くしていっても黒
いまま、即ちDNaseIによって切断が生じているこ
とが示される。ところが、G−Gのようなミスマッチの
サイトでは、式(III)のナフチリジン誘導体の濃度を
高くしていった場合に、次第に白く、即ちその切断が阻
害されてきていることがわかる。このような変化は、G
−Aミスマッチのサイトにおいても高濃度の部分におい
て生じてきていることもわかる。このようなDNA加水
分解酵素に対するDNAの切断阻害作用は、式(III)
の化合物の存在(濃度を含めて)に依存しており、式
(III)の化合物による特異的な作用であると考えられ
る。
【0019】図1における切断バンドの強度と加えたナ
フチリジンの濃度との関係をグラフにしたものが図2で
ある。図2の縦軸は切断バンドの強度から得られた切断
の阻害比であり、0.0はほぼ完全に切断されている状
況であり、1.0はほぼ完全に切断が阻害されて状況を
示している。図2の横軸は加えられた式(III)の化合
物の濃度(M)を示している。図2のグラフ中の黒丸印
(●)はG−Gのミスマッチサイトのものであり、黒三
角印(▲)はG−Aのミスマッチサイトのものである。
この図2のグラフからも明らかなように、式(III)の
化合物によるG−Gのミスマッチサイトに対する切断阻
害作用は比較的低濃度から生じ、約10−5Mの濃度以
上でほぼ完全にG−Gミスマッチに対する切断が阻害さ
れていることがわかる。また、G−Aミスマッチサイト
においても、約10−6Mの濃度付近から切断の阻害作
用が始まり、5×10−3M(500μM)付近では約
90%の切断阻害が生じていることがわかる。
【0020】この結果、式(III)の化合物のG−Gの
ミスマッチへの結合常数(Ka(GGmis))は、
1.13X10−1と求められ、同様にG−Aのミ
スマッチへの結合常数(Ka(GAmis))は、1.
63X10−1と求められた。両者の結合常数の比
((Ka(GGmis))/(Ka(GAmis)))
は、696であり、式(III)がG−Gミスマッチに対
して特異的に作用していることがわかる。また、式(II
I)の化合物のG−Gミスマッチ塩基対に対する結合常
数が10のオーダーと比較的大きいということは、式
(III)の化合物が想像以上に安定にG−Gミスマッチ
塩基対部分に取り込まれていることを示している。そし
て、DNAの2本鎖に取り込まれた本発明のミスマッチ
塩基認識分子は、比較的安定な対を形成し、このような
対の形成により天然の酵素が認識することができない塩
基の配列を新たに形成していると考えられる。
【0021】本発明の一般式(I)で示される化合物
(ミスマッチ認識分子)が比較的安定に塩基のミスマッ
チ部分に取り込まれる様子を模式的に示したものが図3
である。図3の左側は、2本鎖のDNAにおいてG−A
のミスマッチがある部分を示している。他の箇所では正
常な塩基対が形成されており、G−Aの部分においてミ
スマッチがあるにもかかわらず全体としてはハイブリダ
イズしているDNAである。これに、N−Nで示さ
れる本発明のミスマッチ認識分子が加えられると、図3
の右側のような状態になるものと考えられる。即ち、ミ
スマッチしている塩基のグアニン(G)はミスマッチ認
識分子のグアニン認識部位(N)と対を形成し、ミス
マッチしている他方の塩基のアデニン(A)はミスマッ
チ認識分子のアデニン認識部位(N)と対を形成し、
そしてミスマッチ認識分子のグアニン認識部位(N
とアデニン認識部位(N)とは、適当な長さでかつ適
当な自由度のあるリンカー(−)で結合されており、2
本鎖のDNAの鎖の中にほぼ他の正常な塩基対と同様な
形で取り込まれていると考えられる(図3の右側参
照)。
【0022】そして、本発明のミスマッチ認識分子が2
本鎖のDNAの鎖の中に比較的安定に取り込まれるもう
ひとつの大きな理由は、ミスマッチ認識分子の塩基認識
部位(例えば、先程の例におけるグアニン認識部位(N
)やアデニン認識部位(N ))が、前後の塩基によ
るスタッキング効果(塩基同士間の分子間力のようなも
の)により安定化されているということである。図3の
右側における点線はこのような塩基によるスタッキング
効果を示している。このようなスタッキング効果が生じ
る要因のひとつとして、π電子系の相互作用(パイスタ
ッキング効果)が考えられることから、前後の塩基の種
類によりスタッキングの効果には程度の差が生じること
もあるが、本発明の分子とミスマッチサイトの結合を極
端に低下させることはない。したがって、本発明のミス
マッチ認識分子の塩基認識部位(一般式(I)における
A及びBの化学構造部分)は、単に目的の塩基と水素結
合ができるということのみではなく、前後又は周囲の塩
基によるスタッキング効果が得られる化学構造であるこ
とが必要である。
【0023】このように、本発明は、2個の塩基認識部
位を適当な長さでかつ適当な自由度を有するリンカーで
結合させた化合物が、2本鎖の核酸における塩基対のミ
スマッチ部分に特異的にかつ安定に対を形成するという
ことを見出したことを基本的なコンセプトとするもので
あり、前記したG−Gミスマッチに限定されるものでは
ない。前記した例では、グアニン(G)−グアニン
(G)のミスマッチを例に取り、グアニン塩基と安全な
水素結合を形成する1,8−ナフチリジン誘導体を塩基
認識部位に用いたミスマッチ認識分子を示したが、ミス
マッチの認識はG−Gミスマッチに限定されるものでは
ない。本発明にミスマッチ認識分子における塩基認識部
位は、ミスマッチの塩基の片方を認識し当該塩基とワト
ソン−クリック(Watson-Crick)型の塩基対を形成する
ことができ、周囲の塩基によるスタッキング効果を得ら
れる分子種を選択することにより、例示したグアニンに
限らず、各種の塩基と塩基対を形成し得るものであれば
よい。例えば、ミスマッチの塩基がシトシンの場合に
は、塩基認識部位として2−アミノナフチリジン−4−
オン又はその誘導体などが、ミスマッチの塩基がアデニ
ンの場合には、2−キノロン誘導体、例えば3−(2−
アミノエチル)−2−キノロン又はその誘導体などが、
また、ミスマッチの塩基がチミンの場合には、2−アミ
ノナフチリジン−7−オン又はその誘導体などが用いら
れる。
【0024】特定のミスマッチの塩基に特異的に認識さ
れる本発明のミスマッチ認識分子における塩基認識部位
は、水素結合を形成するための水素結合部位と、近傍の
塩基にスタッキングされるための平面構造を有している
複素環式芳香族基を有するものが好ましいが、さらに、
塩基に対する選択性を増強するためにある程度の立体障
害を有する置換基を有する複素環式芳香族基が好まし
い。このような置換基としては、例えば、炭素数1〜1
5、好ましくは1〜10より好ましくは1〜7の直鎖状
又は分枝状のアルキル基、炭素数1〜15、好ましくは
1〜10より好ましくは1〜7の直鎖状又は分枝状のア
ルキル基からなるアルコキシ基、炭素数1〜15、好ま
しくは1〜10より好ましくは1〜7の直鎖状又は分枝
状のアルキル基でモノ又はジ置換されているモノ若しく
はジアルキルアミノ基などが挙げられる。これらのアル
キル基、アルコキシ基又はモノ若しくはジアルキルアミ
ノ基における1個又はそれ以上の炭素原子は、酸素原子
又は窒素原子で置換されていてもよい。
【0025】また、本発明の一般式(I)で表される化
合物におけるリンカー部Lとしては、2個の塩基認識部
位を適当な長さで適当な自由度を与えるものであれ特に
制限されるものではないが、例えば、炭素数1〜20、
好ましくは1〜15、より好ましくは1〜12の直鎖状
又は分枝状の飽和又は不飽和のアルキル基であって、当
該アルキル基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原
子、窒素原子又はカルボニル基で置換されてもよいアル
キル基が挙げられる。好ましいリンカーとしては、前記
した式(III)の化合物のように両端がアミド結合の部
分を有し、中央部に窒素原子を有するものが挙げられ
る。このリンカー部分は、2個の塩基認識部位を結合さ
せるだけでなく、このリンカー部分から担体に固定化す
るための枝を結合させることもできる。例えば、リンカ
ー中央部付近の窒素原子の箇所からさらに末端に担体と
結合するための官能基などを有するアルキレン基のよう
な枝を延ばして、必要に応じて担体に固定化することも
できる。
【0026】本発明の一般式(I)における塩基認識部
位A又はBとリンカー部Lとの結合は、炭素−炭素結合
であってもよいが合成の簡便さから官能基による結合が
好ましい。官能基による結合としては、エーテル結合、
エステル結合、アミド結合、リン酸による結合など種々
のタイプのものを選択することができるが、アミド結合
が好ましい。本発明のミスマッチ塩基認識分子におけ
る、G−Gミスマッチに対する好ましい一般式(I)の
化合物として、次の一般式(II)、
【0027】
【化6】
【0028】(式中、R、Rは、水素原子、炭素数1
〜15のアルキル基であって当該アルキル基中の1個又
はそれ以上の炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換さ
れてもよいアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基
であって当該アルコキシ基中の1個又はそれ以上の炭素
原子が酸素原子又は窒素原子で置換されてもよいアルコ
キシ基、又は、炭素数1〜15のモノ若しくはジアルキ
ルアミノ基であって当該アルキルアミノ基中の1個又は
それ以上の炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換され
てもよいモノ若しくはジアルキルアミノ基を示し、R
は、炭素数1〜20のアルキル基であって当該アルキル
基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子、窒素原
子又はカルボニル基で置換されてもよいアルキル基を示
す。)で表される化合物又はその固定化物が挙げられ
る。ここにおける「固定化物」とは、前記した化合物が
担体に固定化されている状態のもの又は固定化され得る
ように前記した「枝」をのばした状態の化合物をいう。
なお、Rにおけるアルキル基は、一般式(II)に示さ
れているように2価のアルキル基である。
【0029】また、本発明のミスマッチ塩基認識分子は
これを単独で使用することもできるが、分子中の適当な
位置に、例えばリンカー部分やリンカーから固定化のた
めなどのための延ばされた枝などに、放射性元素を導入
したり、化学発光又は蛍光を発する分子種を導入するな
どして、標識化して使用することもできる。なお、測定
手段としての標識化は、検出対象のDNAやRNAなど
の核酸部分の標識化によることもできる。さらに、本発
明のミスマッチ塩基認識分子の適当な位置においてポリ
スチレンなどの高分子材料と直接又はアルキレン基など
を用いて結合させて、これを固定化して使用することも
できる。
【0030】本発明のミスマッチ塩基認識分子は低分子
有機化合物であり、通常の有機合成法により適宜製造す
ることができる。例えば、前記した1,8−ナフチリジ
ン誘導体は、2−アミノ−1,8−ナフチリジン又は2
−アミノ−7−メチル−1,8−ナフチリジンをN−保
護−4−アミノ−酪酸の反応性誘導体、例えば酸塩化物
を反応させて、2位のアミノ基をアシル化した後、アミ
ノ基を保護基を脱保護して製造することができる。この
際の保護基としては、塩酸塩やアシル基やアルコキシカ
ルボニル基などのペプチド合成において使用されるアミ
ノ保護基を使用することができる。このようにして得ら
れた塩基認識部位を、両末端にカルボキシル基又はその
反応性誘導体基を有するリンカー用の化合物と反応させ
ることにより目的のミスマッチ塩基認識分子を得ること
ができる。この際に、リンカー用化合物の分子中に窒素
原子などの反応性の基が存在している場合には、前記し
た保護基などで適宜保護して使用することができる。
【0031】本発明のミスマッチ塩基認識分子は、これ
をミスマッチの塩基の対の検出するための試薬又は検出
剤として使用することができ、また、適当な担体と組み
合わせることによりミスマッチの塩基の対を検出するた
めの組成物とすることができる。また、正常な塩基対を
形成することができない塩基の対に擬似的に塩基対を形
成させるための塩基対生成剤として使用することもでき
る。ここに、「擬似的な塩基対」というのは、天然に存
在する塩基の対とは異なる塩基の対であるという意味で
あり、塩基対の強度を意味するものではない。なお、本
明細書において使用される「正常な塩基対」とは天然に
存在する塩基の対であって、G−C、A−T、又はA−
Uの塩基対をいう。本発明は、さらに前記した本発明の
ミスマッチ塩基認識分子、及び検出、同定用の資材、例
えば化学発光や蛍光のための試薬や緩衝液などの資材か
らなる、正常な塩基対を形成することができない塩基の
対に擬似的に塩基対を形成させ、当該擬似的な塩基対の
形成を測定することからなる正常な塩基対を形成するこ
とができない塩基の対を検出、同定するためのキットを
提供するものである。さらに、本発明は、本発明のミス
マッチ塩基認識分子又は標識化若しくは固定化された本
発明のミスマッチ塩基認識分子を使用して、DNA中の
ミスマッチしている塩基の対を検出、同定又は定量する
ための方法を提供するものである。
【0032】本発明のミスマッチ認識分子の塩基認識部
位を用いることにより、1個又は2個以上のミスマッチ
の塩基の対を有するDNAにおいて、特定のミスマッチ
の塩基の対、例えば、G−Gミスマッチ、G−Aミスマ
ッチなどの特定のミスマッチをしている塩基と水素結合
を形成させてこれを安定化させるのみならず、近傍、好
ましくは隣接する塩基対にスタックされ、ミスマッチの
塩基の対が存在しているにもかかわらず比較的安定なD
NAを得ることができる。したがって、本発明は、本発
明のミスマッチ認識分子の塩基認識部位が、特定のミス
マッチの塩基の対における当該塩基の各々と水素結合を
形成し、当該塩基の近隣に存在する塩基対にスタックさ
れることによりミスマッチの塩基の対が安定化されたミ
スマッチ塩基対を含有するDNAを提供するものであ
る。本発明のこのDNAは、ミスマッチの塩基の対が本
発明のミスマッチ認識分子の塩基認識部位と水素結合に
より塩基対と同様な「対」(擬似的な塩基対)を形成
し、かつミスマッチの塩基と「対」を形成している本発
明のミスマッチ認識分子の塩基認識部位が近傍、好まし
くは隣接の塩基対を形成している塩基にサンドイッチ状
に挟まれてスタックされていることを特徴とするもので
ある。
【0033】本発明のミスマッチ認識分子を用いること
により、従来の技術では達成できないミスマッチの塩基
の対を高感度でかつ簡便に検出、同定又は定量すること
が出来、ミスマッチの塩基の対に特異的でかつ安定なD
NAを形成することから、DNA損傷に伴う各種疾患の
治療、予防又は診断に応用することも可能である。ま
た、本発明のDNAは、ミスマッチの塩基の対を有した
状態で比較的安定に存在することができることから、ミ
スマッチの塩基の対を含有するDNAの安定化や、ミス
マッチの発生原因やミスマッチの修復機構の解明などの
研究材料として利用することも可能である。
【0034】また、本発明は、検体となる1本鎖のDN
A又はRNAと、それに対応する正常な塩基配列を有す
るDNA又はRNAとをハイブリダイズさせ、次いで当
該ハイブリダイズしたDNA又はRNAにおける正常な
塩基対を形成することができない塩基の対を前記した本
発明のミスマッチ認識分子を用いて、当該正常な塩基対
を形成することができない塩基の対に擬似的に塩基対を
形成させ、当該擬似的な塩基対の形成を測定することか
らなる正常な塩基対を形成することができない塩基の対
を検出、同定することからなるDNA又はRNAにおけ
る塩基配列の異常を検出する方法を提供するものでもあ
る。この方法は、遺伝子の異常の有無を調べたいときな
どに利用することができる。例えば、異常の可能性があ
るDNA又はその転写産物であるRNAを採取し、これ
と正常な塩基配列を有する相補的なDNA又はRNAと
ハイブリダイズさせて2本鎖の核酸を生成させる。も
し、採取した遺伝子の塩基配列に異常があれば、当該異
常の箇所の塩基において塩基の対にミスマッチが生じる
ことになる。このミスマッチが生じている2本鎖の核酸
に本発明のミスマッチ認識分子を加えることにより前記
してきた擬似的な塩基の対が形成され、この新たな対が
形成された分子の有無を測定することにより採取された
遺伝子の異常を簡便かつ高感度で検出、同定することが
できる。
【0035】前記した新たな対(本発明のミスマッチ認
識分子とミスマッチの塩基との対)を測定するための手
段としては、化学発光や蛍光、放射性同位体などの標識
化によっても行うことができる。本発明のミスマッチ認
識分子は低分子有機化合物であり、新たな対を形成した
場合にはこの分子が核酸中に取り込まれるので、未反応
の本発明のミスマッチ認識分子と核酸類の両者を比較的
簡便に分離することができる。また、前記したように本
発明のミスマッチ認識分子を担体に固定化して使用する
こともできる。例えば、本発明の各種のミスマッチに特
異的なミスマッチ認識分子をタイタープレートなどのプ
レートに固定化し、これに前記の2本鎖の核酸、好まし
くは標識化された核酸を加え、数分間インキュベートし
た後、核酸類を除去すると本発明のミスマッチ認識分子
と特異的に反応した核酸は固定化された本発明のミスマ
ッチ認識分子にトラップされ、標識により検出、同定す
ることができることになる。
【0036】また、本発明のミスマッチ認識分子を表面
プラズモン共鳴(SPR)の検出用チップの金属薄膜上
に固定化することも可能である。このSPRによる場合
には、前記の2本鎖の核酸を含有する試料液を検出用チ
ップの表面に流すだけで、ミスマッチの有無を特異的に
検出することが可能となる。さらに、他のおおくの検出
手段に本発明のミスマッチ認識分子を応用することも可
能であり、本発明はこれらの特定の検出手段に限定され
るものではない。
【0037】
【実施例】次に、具体的な試験例により本発明を詳細に
説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるもの
ではない。 実施例1(式(III)の化合物の合成) 次式に示す化学反応に従って標記の化合物を合成した。
【0038】
【化7】
【0039】(式中のBocは、t−ブトキシカルボニ
ル基を示す。) N−Boc化ジカルボン酸のスクシンイミジルエステル
(313mg、0.74mmol)をクロロホルム(1
5mL)に溶かし、2−アミノ−7−メチル−1,8−
ナフチリジン(294mg、1.85mmol)を加え
た。室温で48時間反応後、後処理によりBoc化ジナ
フチリジンアミドを得た。これを4Nの塩酸を含む酢酸
エチルに溶解し、室温で2時間反応すると、標記のジナ
フチリジンアミドが通算収率13%で得られた。 H NMR(CDOD,400MHz) δ:8.26
(d,2H,J=8.8Hz), 8.14(d,2H,J=8.8Hz), 8.11(d,2H,J=8.
0Hz),7.34(d,2H,J=8.0Hz), 3.20(t,4H,J=6.0Hz), 2.84
(t,4H,J=6.0Hz),2.68(s,6H); FABMS(NBA)、m/e(%): 444[(M
+H),10),246(40),154(10
0); HRMS 計算値: C2426[(M+H)+]444.214 6, 実測値: 444.2148.
【0040】実施例2 5’端を32Pでラベルした52塩基のDNAをG−G
及びG−Aのミスマッチが生じるようにハイブリダイズ
させて2本鎖DNAとした(図1の右側参照)。この2
本鎖のDNAに種々の濃度の実施例1で得られた化合物
を加えて、DNaseIフットプリンティング滴定によ
り調べた。即ち、この2本鎖のDNA(<4nMストラ
ンド濃度)を、NaCl(100mM)及びMgCl
(5mM)を含むトリス塩酸緩衝液(10mM,pH
7.6)で種々の濃度に調整した実施例1で得られた化
合物と共に、4℃で12時間インキュベートした。これ
に、0.2UのDNaseI(DNA加水分解酵素)を
加え、25℃で8分間インキュベートした。その後、エ
タノール沈殿によりDNAを回収し、これを、12%ポ
リアクリルアミド及び7M尿素を含有するゲルを用いて
電気泳動した。この結果を図1に示す。
【0041】
【発明の効果】本発明のミスマッチ認識分子を用いるこ
とにより、従来の技術では達成できないグアニン−グア
ニンミスマッチなどのミスマッチしている塩基の対を高
感度でかつ簡便に検出することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のミスマッチ認識分子によるミ
スマッチ部位の、DNaseIによる切断の阻害効果を
示す、図面に代わる写真である。
【図2】図2は、本発明のミスマッチ認識分子を用いた
場合のDNaseIによる切断の阻害効果をしめすグラ
フである。
【図3】図3は、本発明のミスマッチ認識分子のミスマ
ッチ部分における作用を模式的に示したものである。
フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA20 CA01 CA11 HA19 4B063 QA01 QA13 QA17 QQ42 QQ52 QR14 QR41 QR54 QS02 QS16 QX01 QX07 4C065 AA04 BB09 CC01 DD02 EE02 HH01 JJ07 KK02 LL01 PP05

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正常な塩基対を形成することができない
    塩基の対において、次の一般式(I)、 A−L−B (I) (式中、Aは正常な塩基対を形成することができない塩
    基の対の片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、B
    は正常な塩基対を形成することができない塩基の対のも
    う一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lは化学
    構造部分A及びBを結合するリンカー構造を示す。)で
    表される、その各々の塩基と対を形成し得る化学構造部
    分A及び化学構造部分B、並びに当該化学構造部分A及
    びBを結合するリンカー部分Lを有する化合物を用い
    て、当該正常な塩基対を形成することができない塩基の
    対に疑似的に塩基対を形成させ、当該疑似的な塩基対の
    形成を測定することからなる正常な塩基対を形成するこ
    とができない塩基の対を検出、同定する方法。
  2. 【請求項2】 一般式(I)で表される化合物の化学構
    造部分A及びBが、塩基と水素結合を形成し、かつ周囲
    の塩基とのスタッキング効果により安定化されることに
    より塩基と対を形成することを特徴とする化合物である
    請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 一般式(I)で表される化合物の化学構
    造部分A及びBが、塩基との水素結合が可能な2個以上
    化学構造部分を含有する複素環式芳香族基を有するもの
    である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 一般式(I)で表される化合物の化学構
    造部分A及びBの少なくともひとつが、ナフチリジン又
    はその誘導体である請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 一般式(I)で表される化合物における
    化学構造部分A及びBとリンカー部分Lとの結合が、カ
    ルボン酸アミド結合である請求項1〜4のいずれかに記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 一般式(I)で表される化合物が次の一
    般式(II)、 【化1】 (式中、R、Rは、水素原子、炭素数1〜15のアル
    キル基であって当該アルキル基中の1個又はそれ以上の
    炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換されてもよいア
    ルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基であって当該
    アルコキシ基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原
    子又は窒素原子で置換されてもよいアルコキシ基、又
    は、炭素数1〜15のモノ若しくはジアルキルアミノ基
    であって当該アルキルアミノ基中の1個又はそれ以上の
    炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換されてもよいモ
    ノ若しくはジアルキルアミノ基を示し、 Rは、炭素数1〜20のアルキル基であって当該アル
    キル基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子、窒
    素原子又はカルボニル基で置換されてもよいアルキル基
    を示す。)で表される化合物である請求項1〜5のいず
    れかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 一般式(I)で表される化合物が担体に
    固定化されている請求項1〜6のいずれかに記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 一般式(I)で表される化合物が標識化
    されている請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の正常な
    塩基対を形成することができない塩基の対に疑似的に塩
    基対を形成させ、当該擬似的な塩基対の形成を測定する
    ことからなる正常な塩基対を形成することができない塩
    基の対を検出、同定する方法において、正常な塩基対を
    形成することができない塩基の対に擬似的に塩基対を形
    成させるための次の一般式(I)、 A−L−B (I) (式中、Aは正常な塩基対を形成することができない塩
    基の対の片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、B
    は正常な塩基対を形成することができない塩基の対のも
    う一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lは化学
    構造部分A及びBを結合するリンカー構造を示す。)で
    表される化合物からなる試薬。
  10. 【請求項10】 試薬が、正常な塩基対を形成すること
    ができない塩基の対に擬似的に塩基対を形成させるため
    の塩基対生成剤である請求項9に記載の試薬。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載の試薬、及び検出、同
    定用の資材からなる正常な塩基対を形成することができ
    ない塩基の対に擬似的に塩基対を形成させ、当該擬似的
    な塩基対の形成を測定することからなる正常な塩基対を
    形成することができない塩基の対を検出、同定するため
    のキット。
  12. 【請求項12】 次の一般式(II)、 【化2】 (式中、R、Rは、水素原子、炭素数1〜15のアル
    キル基であって当該アルキル基中の1個又はそれ以上の
    炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換されてもよいア
    ルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基であって当該
    アルコキシ基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原
    子又は窒素原子で置換されてもよいアルコキシ基、又
    は、炭素数1〜15のモノ若しくはジアルキルアミノ基
    であって当該アルキルアミノ基中の1個又はそれ以上の
    炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換されてもよいモ
    ノ若しくはジアルキルアミノ基を示し、 Rは、炭素数1〜20のアルキル基であって当該アル
    キル基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子又は
    窒素原子で置換されてもよいアルキル基を示す。)で表
    される化合物又はその固定化物。
  13. 【請求項13】 一般式(II)で表される化合物が次の
    一般式(III)、 【化3】 である請求項12に記載の化合物。
  14. 【請求項14】 検体となる1本鎖のDNA又はRNA
    と、それに対応する正常な塩基配列を有するDNA又は
    RNAとをハイブリダイズさせ、次いで当該ハイブリダ
    イズしたDNA又はRNAにおける正常な塩基対を形成
    することができない塩基の対を次の一般式(I)、 A−L−B (I) (式中、Aは正常な塩基対を形成することができない塩
    基の対の片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、B
    は正常な塩基対を形成することができない塩基の対のも
    う一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lは化学
    構造部分A及びBを結合するリンカー構造を示す。)で
    表される、その各々の塩基と対を形成し得る化学構造部
    分A及び化学構造部分B、並びに当該化学構造部分A及
    びBを結合するリンカー部分Lを有する化合物を用い
    て、当該正常な塩基対を形成することができない塩基の
    対に擬似的に塩基対を形成させ、当該擬似的な塩基対の
    形成を測定することからなる正常な塩基対を形成するこ
    とができない塩基の対を検出、同定することからなるD
    NA又はRNAにおける塩基配列の異常を検出する方
    法。
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