JP4358579B2 - ミスマッチ検出分子およびミスマッチ検出方法、並びにその利用 - Google Patents

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本発明は、例えば、一本鎖の核酸がハイブリダイズして二本鎖を形成した場合に、正常な塩基対を形成することができない塩基対(以下、ミスマッチと称する)が生じたとき、当該ミスマッチに特異的に結合することが可能な化合物と、その利用方法に関するものであり、特に、シトシン−シトシンの間に擬似的に塩基対を形成することが可能な化合物(ミスマッチ検出分子)と、この化合物を用いたミスマッチの検出方法、当該方法に用いられるキット、並びに当該方法を用いたDNAまたはRNAにおける塩基配列の異常の検出方法に関するものである。
DNAやRNAなどの核酸(ポリヌクレオチド)がハイブリダイズして二本鎖となる場合には、対をなす塩基が決まっている。具体的には、グアニン(G)にはシトシン(C)、アデニン(A)にはチミン(T)が対をなす。それゆえ、核酸がハイブリダイズしている状態では、通常は、全ての塩基が上記のような対を形成しているが、状況によっては、当該核酸の塩基配列の一部が、このような対を形成することができない場合がある。
例えば、あるDNAと他のDNAをハイブリダイズし得る条件下においた場合に、これらDNA同士が全く相補的な塩基配列を有するものであれば、全ての塩基において上記のような対が形成される。これに対して、これらDNA同士は、ほぼ完全に相補的な塩基配列を有するものであれば、大部分の塩基はこのような対を形成することができるが、1個または数個の一部の塩基はこのような対を形成することができない。このように、通常の塩基対を形成することができない塩基対のことを、本発明ではミスマッチと称する。
ところで、最近、ゲノムの塩基配列中における微細な違い(1個または2個以上の塩基が異なること、多型)についての研究が行われてきている。上記多型の代表的な例としては、1個の塩基が通常のものとは異なっている多型、すなわち一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism、略称SNP)が挙げられる。このような多型は、各種遺伝病の原因となり得ることが明らかにされており、さらには、各生物の個体差を生じさせる要因の一つとなるとも考えられている。したがって、このような多型について研究することはポストゲノムシークエンスにおいて、非常に重要なものとなっている。
ここで、例えば、上記SNPを含む遺伝子を正常な遺伝子とハイブリダイズさせると、大部分の塩基は正常な塩基対を形成し得ることができるために、ハイブリダイズして二本鎖の状態を形成することは可能である。しかしながら、上記SNPの部分については、ミスマッチが生じることになる。
上記ミスマッチを検出する方法としては、従来から、様々な技術が提案されており、近年では、(1−1)二本鎖DNAのハイブリダイゼーション効率を比較する手法が一般的である。また、(1−2)MutS等のDNAの修復タンパク質(ミスマッチ認識酵素)が遺伝子損傷箇所に選択的に結合することを利用する手法も知られている。しかしながら、これらの方法は、それぞれ課題を抱えているため実用性に欠ける場合がある。
具体的には、(1−1)の方法では、ミスマッチを含むDNAの塩基配列をあらかじめ知っておかなければならないために多大な労力が必要となり、多くの検体を処理する方法としては不適当である。また、この方法では、ミスマッチを検出する感度が実用的に十分ではない場合がある。さらに、(1−2)の方法では、ミスマッチの種類を区別して認識することが可能であるが、熱安定性を維持したり、酵素活性を維持する構造(フォールディング)を維持したりすることが難しく、使用上の制約が多い。
ところで、本発明者らは、以前に、次に示す各化合物を開発し、これら化合物を用いることで、ミスマッチやバルジ塩基に擬似的な塩基対を形成する技術を提案している。
(2−1)二本鎖DNA中に生成する不対塩基(バルジ塩基)を持つDNA(バルジDNA)に特異的に結合し、安定化する分子であるバルジDNA認識分子(特許文献1参照)。
(2−2)A−L−Bの一般式で表され、Aが正常な塩基対を形成することができない塩基の対における片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Bが正常な塩基対を形成することができない塩基の対のもう一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lが上記AおよびBの化学構造部分を結合するリンカー構造を示すミスマッチ認識分子(特許文献2参照)。
上記(2−1)の化合物を用いれば、バルジ塩基の検出が可能となり、(2−2)の化合物を用いれば、ミスマッチ塩基の検出が可能となる。また、(2−2)の技術を応用することで、例えば、テロメアの一本鎖部分において安定なヘアピン構造を形成させ、染色体末端におけるテロメア領域の伸長反応を阻害することも提案している(特許文献3参照)。
特開2001−89478公報(平成13(2001)年4月3日公開) 特開2001−149096公報(平成13(2001)年6月5日公開) 特開2002−30094公報(平成14(2002)年1月29日公開)
上述したように、遺伝子のSNPを検出することは、ポストゲノムシークエンスにおいて一大トピックとなっているため、様々な方法が提案されているが、何れも十分な実用性を発揮できるレベルまで達していない。これに対して、上記(2−2)の化合物をミスマッチに結合する低分子リガンドとして用いる技術は、使用条件の制約も小さく、ミスマッチを簡便かつ高感度に検出することが可能となる。
ここで、上記(2−2)の化合物(低分子リガンド)としては、これまでミスマッチとしてグアニン−グアニンを認識する化合物と、グアニン−アデニンを認識する化合物とが開発されているが、他のミスマッチを有効に認識する化合物は未だ開発されていなかった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、その目的は、少なくともシトシン−シトシンのミスマッチを有効に認識する化合物を提案するとともに、この化合物を用いたミスマッチの検出方法、当該方法に用いられるキット、並びに当該方法を用いたDNAまたはRNAにおける塩基配列の異常の検出方法とを提案することにある。
本発明者らは、上記課題を鑑み鋭意検討した結果、特定の構造を有するアミノナフチリジンダイマーが、特にシトシン−シトシンのミスマッチにおいて擬似的な塩基対を形成して十分に安定化し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかるミスマッチ検出分子は、上記の課題を解決するために、次に示す一般式(I)
Figure 0004358579
(ただし、式中R1およびR2は水素原子または炭素数1〜5の有機基を示し、R1およびR2の有機基では1つ以上の炭素原子が窒素原子および/または酸素原子で置換されていてもよい。R3塩基認識部位とリンカー部をつなぐ有機アミノ結合の窒素原子の隣接する位置にカルボニル基(C=O)を含まない炭素数2〜20の有機基を示し、R3の有機基では1つ以上の炭素原子が窒素原子、硫黄原子および/または酸素原子で置換されていてもよい。)
で表される化合物であり、正常な塩基対を形成することができない塩基の対であるミスマッチに、疑似的に塩基対を形成する化合物であることを特徴としている。
また、上記一般式(I)で表される化合物が、次に示す構造式(I−1)または(III)
Figure 0004358579
Figure 0004358579
であることが好ましい。
上記ミスマッチ検出分子においては、擬似的な塩基対を形成可能とする上記ミスマッチが、シトシン−シトシン、シトシン−チミン、グアニン−グアニン、シトシン−アデニンのうちの少なくとも一つであり、中でも、シトシン−シトシンのミスマッチにおいて最も安定した擬似的な塩基対を形成する。
また、本発明にかかるミスマッチ検出方法は、上記一般式(I)で表される化合物を用いて、ハイブリダイズされた核酸に含まれる、正常な塩基対を形成することができない塩基の対であるミスマッチに疑似的に塩基対を形成させる工程と、当該ミスマッチに形成された疑似的な塩基対を検出する工程とを含むことを特徴としている。
上記ミスマッチ検出方法においては、上記一般式(I)に示す化合物が、担体に固定化されて用いられてもよいし、上記一般式(I)で表される化合物が、標識化されて用いられてもよい。
さらに、本発明の利用方法の一例としては、ミスマッチ検出キットが挙げられる。このミスマッチ検出キットは、例えば、少なくとも、正常な塩基対を形成することができない塩基の対であるミスマッチを検出するために用いられ、上記のミスマッチ検出分子を、擬似的な塩基対を生成させる擬似塩基対生成剤として用いるものであればよい。
あるいは、本発明の利用方法の他の例としては、塩基配列の異常の検出方法が挙げられる。この検出方法は、例えば、検体となる一本鎖のDNAまたはRNAと、それに対応する正常な塩基配列を有するDNAまたはRNAとをハイブリダイズさせる工程と、上記ミスマッチ検出方法を用いて、上記DNAまたはRNAにミスマッチが含まれるか否かを検出する工程とを含むものであればよい。
上記構成または方法によれば、例えば、SNP等の多型といった遺伝子の個人的な相違を迅速かつ安価に検出することが可能となる。その結果、本発明は、遺伝子科学(ゲノムサイエンス)、遺伝子タイピング技術、SNPタイピング技術等に有効に用いることができるという効果を奏する。
また、本発明にかかるミスマッチ検出装置(例えば、ミスマッチ検出センサー)は、上記一般式(I)で表される化合物を担体に固定化した固定化物を備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、例えば、表面プラズモン共鳴法(SPR)などを利用することにより、確実かつ簡便にミスマッチの検出を行うことができる。
以上のように、本発明では、特に、C−Cミスマッチに結合して、擬似的な塩基対を安定して形成するアミノナフチリジンダイマーをミスマッチ検出分子として用い、ハイブリダイズされた核酸中におけるミスマッチを検出するものである。それゆえ、本発明を利用すれば、例えば、SNP等の多型といった遺伝子の個人的な相違を迅速かつ安価に検出することが可能となる。その結果、本発明は、遺伝子科学(ゲノムサイエンス)、遺伝子タイピング技術、SNPタイピング技術等に有効に用いることができるという効果を奏する。
したがって、本発明は、ポストゲノムシークエンスに関わる各種研究用の試薬類等を生産または製造する産業に適用できるだけでなく、SNP等の多型を原因とする遺伝病の検査や、ハイブリダイズした核酸の安定化による各種疾患の治療等といった医薬品産業等にも適用することができる。
本発明における実施の一形態について図1ないし図3に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明にかかるミスマッチ検出分子(ミスマッチ認識分子)は、特に、シトシン−シトシンのミスマッチ(以下、説明の便宜上、C−Cミスマッチと略す)に結合して、擬似的な塩基対を安定して形成するアミノナフチリジンダイマーであり、例えば、このミスマッチ検出分子を用いて蛍光強度変化等を測定することで、C−Cミスマッチを簡便に検出することが可能となる。
なお、上記「擬似的な塩基対」とは、天然に存在する塩基対とは異なる塩基対を指すものであって、塩基対の結合強度の程度を指すものではない。すなわち、「擬似的な塩基対」とは、塩基対そのものの種類を示すものであって、「塩基対の結合強度が低く正常な塩基対を形成しているとは言いがたいが、塩基対を形成しているとみなすことができる」というような状態を示すものではない。
また、上記「擬似的な塩基対」に対応する「天然に存在する塩基対」とは、正常な塩基対であり、具体的には、グアニン−シトシン(G−C)、アデニン−チミン(A−T)あるいはアデニン−ウラシル(A−U)の各塩基対を指す。
また、本発明においては、「ハイブリダイズされた核酸」とは、互いに相補的な塩基配列を含んでおり、これら相補的な塩基配列によって一本鎖の核酸が二本鎖またはそれ以上の状態になっていることを指すものとする。上記核酸には、DNAもRNAも含まれる。
<アミノナフチリジンダイマー>
本発明にかかるミスマッチ検出分子は、次に示す一般式(I)
Figure 0004358579
で表される化合物であり、正常な塩基対を形成することができない塩基の対であるミスマッチに、疑似的に塩基対を形成する化合物である。なお、上記一般式(I)中R1およびR2は水素原子または炭素数1〜5の有機基を示し、R1およびR2の有機基では1つ以上の炭素原子が窒素原子および/または酸素原子で置換されていてもよい。R3は炭素数2〜20の有機基を示す。R3塩基認識部位とリンカー部をつなぐ有機アミノ結合の窒素原子の隣接する位置にカルボニル基(C=O)を含まない有機基では1つ以上の炭素原子が窒素原子、硫黄原子および/または酸素原子で置換されていてもよい。例えば、R3の有機基に硫黄原子が含まれている場合、すなわち上記一般式(I)の構造に−SH構造が含まれている場合、この構造を用いて、当該化合物を金属面に固定化することが可能となる。
この化合物は、ナフチリジン環とアミノ基とを含む構造を有している化合物(便宜上、アミノナフチリジンと称する)が二量体(ダイマー)を形成しているため、本発明では、上記一般式(I)に示す化合物を、説明の便宜上、アミノナフチリジンダイマーと称する。なお、本発明にかかるアミノナフチリジンダイマーの構造の一例を次の式(I−1)に示す。この構造では、一般式(I)におけるR1およびR2がメチル基であり、R3が−C36−NH−C36−である。
Figure 0004358579
上記アミノナフチリジンダイマーの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、図1に示す3段階の合成ステップを経る製造方法を挙げることができる。なお、図1では、説明の便宜上、上記式(I−1)に示すアミノナフチリジンダイマーの合成例を挙げる。具体的には、図1に示すように、まず、2−クロロ−7−メチルナフチリジン(図中、化合物1)を3,3−ジエトキシプロピルアミンと反応させることにより、2−クロロ−7−メチルナフチリジンにおける2位の塩素を3,3−ジエトキシプロピルアミンに置換した化合物(図中、化合物2)を合成する(図中(a)の矢印)。
次に、同じく2−クロロ−7−メチルナフチリジンを1,3−ジアミノプロパンと反応させ、2−クロロ−7−メチルナフチリジンにおける2位の塩素を1,3−プロピルアミンに置換した化合物(図中、化合物3)を合成する(図中(b)の矢印)。そして、上記化合物2と化合物3とを反応させることにより、アミノナフチリジンダイマー(図中、化合物4)を合成する(図中(c)・(d)の矢印)。
また、本発明にかかるアミノナフチリジンダイマーのその他の一例を次の式(III)に示す。この構造では、一般式(I)におけるR1およびR2がメチル基であり、R3が−C36−NH−CO−C24−NH−C24−CO−NH−C36−である。
Figure 0004358579
上記式(III)に示すアミノナフチリジンダイマーの合成例としては、図4に示すように、化合物3:N−(7−メチル〔1,8〕ナフチリジン−2−イル)−プロパン−1,3−ジアミン(N-(7-Methyl-[1,8]naphthyridin-2-yl)-propane-1,3-diamine )と、化合物5:N−(tert−ブトキシカルボニル)イミノ−3,3’−ビス(ペンタフルオロフェニルプロピオネート)(N-(tert-butoxycarbonyl)imino-3,3'-bis(pentafluorophenyl propionate)とを反応させ、化合物6:ビス−{2−〔3−(7−メチル〔1,8〕ナフチリジン−2−イルアミノ)−プロピルカルバモイル〕−エチル}−カルバミック酸−tert−ブチルエステル(Bis-[2-[3-(7-methyl-[1,8]naphthyridin-2-ylamino)-propylcarbamoyl]-ethyl]-carbamic acid tert-butyl ester)を生成した後、この化合物6をHCl処理することで、化合物7:N−〔3−(7−メチル〔1,8〕ナフチリジン−2−イルアミノ)−プロピル〕−3−{2−〔3−(7−メチル〔1,8〕ナフチリジン−2−イルアミノ)−プロピルカルバモイル〕−エチルアミノ}−プロピオンアミド(N-[3-(7-Methyl-[1,8]naphthyridin-2-ylamino)-propyl]-3-[2-[3-(7-methyl-[1,8]naphthyridin-2-ylamino) -propylcarbamoyl]-ethylamino]-propionamide)を合成することができる。
もちろん、本発明にかかるアミノナフチリジンダイマーの製造方法はこれらに限定されるものではなく、当該技術分野で公知の方法を用いることができる。また、上記製造方法における各種の条件についても特に限定されるものではなく、好ましい条件を適宜選択して用いることができる。なお、代表的な条件の一例については、後述する実施例にて詳細に説明する。
上記アミノナフチリジンダイマーは、少なくとも、C−Cミスマッチにおいて擬似的な塩基対を安定して形成することが可能となっている。ただし、上記アミノナフチリジンダイマーは、後述する実施例からも明らかなように、上記C−Cミスマッチだけでなく、シトシン−チミン、グアニン−グアニン、シトシン−アデニンの各ミスマッチ(それぞれ、説明の便宜上、C−Tミスマッチ、G−Gミスマッチ、C−Aミスマッチと称する)とも擬似的な塩基対を安定して形成する。
これらミスマッチにおける擬似的な塩基対の安定の程度は、C−Cミスマッチが最も高く、C−Tミスマッチがこれに次いで高く、G−Gミスマッチ、C−Aミスマッチが続く。なお、G−GミスマッチやC−Aミスマッチについては、実質的に同じレベルで安定化していると判断することも可能である。
<擬似的な塩基対の形成>
本発明にかかるアミノナフチリジンダイマーが、比較的安定にミスマッチに取り込まれる状態を、図2に模式的に示す。図2の左側では、二本鎖のDNAにおいてC−Cミスマッチがある部分を示している。このC−Cミスマッチ以外の箇所では正常な塩基対が形成されており、全体として見れば、それぞれのDNAがハイブリダイズした状態にある。
これに、本発明にかかるアミノナフチリジンダイマー(図中NC−NCで示す)が加えられると、図2の右側に示すように、ミスマッチを形成しているシトシン(図中Cで示す)は何れも、アミノナフチリジンダイマーのシトシン認識部位(図中NCで示す)と対を形成する。
このとき、それぞれのシトシン認識部位は、適当な長さでかつ適当な自由度のあるリンカー部(図中−で示す)で結合されており、二本鎖のDNAにおける鎖の中に、ほぼ他の正常な塩基対と同様な形で取り込まれていると考えられる。さらに、上記アミノナフチリジンダイマーの2つのシトシン認識部位は、前後の塩基によるスタッキング効果(塩基同士間の分子間力のようなもの)により安定化されているため、二本鎖のDNAおける鎖の間に比較的安定に取り込まれると考えられる。
このような擬似的な塩基対の形成の機構は、本発明者らが以前に提案した前記特許文献2の発明における化合物と同様である。ここで、本発明にかかるアミノナフチリジンダイマーは、特に、ナフチリジン環が中性バッファー中でプロトン化されることにより、図3に示すように、シトシンと相補的な水素結合が2ヶ所生成する。これにより、ハイブリダイズした二本鎖のDNAに含まれるC−Cミスマッチに結合して安定化することが可能となる。
特許文献2では、本発明にかかるアミノナフチリジンダイマーと類似した化合物(説明の便宜上、ナフチリジンダイマーとする)が開示されているが、これら各化合物を比較すると、塩基認識部位とリンカー部とをつなぐ有機アミノ結合にカルボニル基(C=O)が含まれているか否かが構造的に大きく相違する点となっている。
本発明にかかるアミノナフチリジンダイマーでは、上記有機アミノ結合に、カルボニル基が含まれていないため、ナフチリジン環の窒素が塩基性を示し、その結果プロトン付加受けやすく、図3に示すように、シトシンと相補的な水素結合が2ヶ所生成すると考えられる。これに対して、特許文献2に開示されている化合物では、上記有機アミノ結合にカルボニル基が含まれているため、2ヶ所生成する水素結合は、シトシンではなく、グアニン(あるいはアデニン)と相補的になると考えられる。
したがって、本発明では、類似する構造からカルボニル基を除外した構造を採用することで、塩基認識部位がグアニンでなくシトシンを認識できるという、特許文献2に示される化合物からは容易に想到できない作用を得ることが可能となっている。この点は、特許文献2に、「ミスマッチの塩基がシトシンの場合には、塩基認識部位として2−アミノナフチリジン−4−オン又はその誘導体などが用いられる」と記載されていることからも明らかである。
<ミスマッチ検出方法>
本発明にかかるミスマッチ検出方法は、ハイブリダイズされた核酸に擬似塩基対生成剤を加えて、これにより形成された擬似的な塩基対を検出する方法であって、上記擬似塩基対生成剤として、上記アミノナフチリジンダイマー(本発明にかかるミスマッチ検出分子)を少なくとも用いる方法であればよい。より具体的には、本発明にかかるミスマッチ検出方法は、少なくとも、擬似塩基対形成工程と、擬似塩基対検出工程とを有していればよい。
上記擬似塩基対形成工程は、ハイブリダイズされた核酸に擬似塩基対生成剤を加えて、当該核酸に含まれるミスマッチに擬似的な塩基対を形成させる工程であればよく、本発明では、上記擬似塩基対生成剤の主成分の一つとして、上記アミノナフチリジンダイマーを用いればよいが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明では、上記アミノナフチリジンダイマーに加えて、他の低分子リガンドを擬似塩基対生成剤として併用してもよい。
本発明において擬似塩基対生成剤として用いることが可能な低分子リガンドとしては、前述した(2−2)の化合物(特許文献2に開示されている、式(II)で表される化合物)を用いることができる。このような化合物としては、具体的には、例えば、次に示す式(II)
Figure 0004358579
で表される化合物(特許文献2に開示されている、式(III)で表される化合物、前述したナフチリジンダイマー)を挙げることができる。
上記ナフチリジンダイマーは、本発明者らが以前に開発した化合物であって、グアニン−グアニンおよびグアニン−アデニンのミスマッチ(それぞれ、説明の便宜上、G−Gミスマッチ、G−Aミスマッチと称する)に擬似的な塩基対を安定して形成する(詳細については、特許文献2参照)。
もちろん、本発明において擬似塩基対生成剤として用いられる化合物は、上記ナフチリジンダイマーに限定されるものではなく、G−GミスマッチやG−Aミスマッチ以外のミスマッチを認識する他の化合物を用いてもよいことは言うまでもない。また、同じC−Cミスマッチを認識する化合物であっても、安定化の程度の相違に応じて、異なる種類の化合物を用いても構わない。
上記擬似塩基対検出工程は、ハイブリダイズされた核酸のミスマッチに、上記アミノナフチリジンダイマー、あるいは必要に応じて用いられる他の擬似塩基対生成剤により形成された擬似的な塩基対を検出する工程であればよく、その具体的な検出方法等については特に限定されるものではない。具体的には、例えば、上記アミノナフチリジンダイマーを標識化して用いることにより、擬似的な塩基対を検出する方法が挙げられる。
上記標識化の具体的な方法は特に限定されるものではないが、例えば、上記一般式(I)で表される化学構造の適当な位置に、放射性元素を導入したり、化学発光または蛍光を発する分子種を導入したりする方法が挙げられる。また、上記化学構造の適当な位置としては、例えば、リンカー部や、当該リンカー部から固定化のためなどのために延ばされた枝(後述)等を挙げることができる。あるいは、上記標識化としては、アミノナフチリジンダイマー(あるいはナフチリジンダイマー)等の低分子リガンドを標識化するのではなく、ミスマッチの検出対象となる核酸(DNAやRNA等)の核酸部分を標識化する方法であってもよい。
上記ミスマッチの検出は、上記標識化のレベルを測定することにより達成されるが、上記標識化、すなわち放射線強度や発光または蛍光の強度の測定方法は特に限定されるものではなく、公知の方法や装置を用いて放射線強度や発光または蛍光強度を測定し、その強度の変化からミスマッチの有無を検出すればよい。
また、本発明にかかるアミノナフチリジンダイマーと、上記従来のナフチリジンダイマーとを併用する場合、あるいは他の低分子リガンドと併用する場合には、各化合物における標識の種類を変えておけばよい。このように標識の種類を変えておけば、擬似塩基対生成剤として、例えばアミノナフチリジンダイマーおよびナフチリジンダイマーを併用したとしても、それぞれの標識の種類が異なるため、アミノナフチリジンダイマーの標識からC−Cミスマッチの有無を検出することができ、ナフチリジンダイマーの標識からG−Gミスマッチの有無を検出することが可能となる。
なお、本発明にかかるミスマッチ検出方法では、上記擬似塩基対形成工程および擬似塩基対検出工程以外の工程が含まれていてもよい。
<アミノナフチリジンダイマーの固定化>
本発明にかかるアミノナフチリジンダイマーの使用方法は特に限定されるものではなく、前記一般式(I)の化学構造のままで用いてもよいし、修飾された化学構造を有するもの(例えば、上述したように、リンカー部等に化学発光または蛍光を発する分子種を導入したもの等)であってもよいが、さらには、担体に固定化されて用いられてもよい。
ここで言う「固定化」とは、上記アミノナフチリジンダイマーが、担体となる任意の化合物に固定化されている状態であればよいが、具体的には、例えば、担体となる化合物と化学的に結合した状態等を挙げることができる。なお、「固定化物」とは、担体に固定化された状態の化合物をいい、その固定化の方法は、特に限定されるものではない。
上記担体としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン等の高分子(樹脂)材料を挙げることができる。化学的な結合としては、担体と直接に共有結合した状態となっていてもよいし、リンカー部から固定化のためなどのために延ばされた枝を介して結合させてもよい。このような「枝」としては特に限定されるものではないが、例えば、アルキレン基等を用いることができる。
固定化のより具体的な例としては、本発明にかかるアミノナフチリジンダイマーをタイタープレートなどのプレートに固定化する。この場合、例えば、上記プレートに二本鎖の核酸、好ましくは標識化された核酸を加え、数分間インキュベートした後、核酸類を除去すると、変異を含む核酸はプレート上のアミノナフチリジンダイマーと擬似的な塩基対を形成するため、プレート表面にトラップされることになる。しかも、核酸が標識されていれば、容易に変異を検出・同定することが可能となる。
<ミスマッチ検出キット>
本発明には、上述したミスマッチ検出方法だけでなく、該検出方法を実施するための検出キットが含まれる。具体的には、上述したアミノナフチリジンダイマー(ミスマッチ検出分子)を擬似塩基対生成剤として用いる構成であればよいが、さらに、上記ナフチリジンダイマーのような他の擬似塩基対生成剤を併用してもよい。これら複数の擬似塩基対生成剤を併用する場合、各擬似塩基対生成剤は、前述したように異なる標識化がなされていることが好ましい。
さらに、上記検出キットには、標識化のレベルを測定するための薬剤や、標識化のレベルのコントロールとなる比較用の標本(核酸等)類や、各種バッファー等が含まれていてもよい。
上記何れの構成であっても、前述したミスマッチ検出方法を実施するために好ましい薬剤や標本等が含まれている。そのため、上記検出キットを用いることで、本発明にかかるミスマッチ検出方法を容易かつ簡素に実施することができ、本発明を臨床検査産業や医薬品産業等の産業レベルで利用することが可能となる。
<塩基配列の異常の検出方法>
本発明の代表的な利用方法としては、例えば、塩基配列の異常の検出方法を挙げることができる。この方法の具体的な構成は特に限定されるものではないが、例えば、ハイブリダイズ工程とミスマッチ検出工程とを含んでいればよい。
上記ハイブリダイズ工程は、検体となる一本鎖のDNAまたはRNAと、それに対応する正常な塩基配列を有するDNAまたはRNAとをハイブリダイズさせる工程である。
上記検体となる一本鎖のDNAやRNAとは、SNP等の変異の有無を検査したい遺伝子(DNA)またはその転写産物(mRNA)、あるいはmRNAから得られるcDNAであればよい。この遺伝子(DNA、RNA、cDNA等)は全長配列であってもよいし、一部の配列であってもよい。また、上記検体となる一本鎖のDNAまたはRNAの具体的な状態は、特に限定されるものではないが、例えば、取り扱いやすいように、二本鎖の状態で任意の制限酵素で消化して適当な長さに切断してから、一本鎖に解離させてもよい。また、物理的に切断してから一本鎖にしてもよい。
上記正常な塩基配列を有するDNAまたはRNAとは、検体となるDNAまたはRNAの野生型の塩基配列(多型等の変異の無い塩基配列)と相補的な塩基配列を有するものであればよいが、例えば、50塩基程度のオリゴマーを挙げることができる。このようなオリゴマーを用いることで、より効率的なハイブリダイズが可能となる。このとき、検体となるDNAやRNAも50塩基程度に切断したものであってもよい。
また、ハイブリダイズの条件も特に限定されるものではなく、従来公知の条件(各核酸の混合、加熱、冷却等の操作)でハイブリダイズさせればよい。このようにハイブリダイズさせることにより、検体となるDNAやRNAに多型等の変異が含まれていれば、ハイブリダイズされた二本鎖のDNAまたはRNAにミスマッチが生じる。
上記ミスマッチ検出工程は、前述したミスマッチ検出方法を用いて、上記DNAまたはRNAにミスマッチが含まれるか否かを検出する工程である。前段のハイブリダイズ工程により、得られる二本鎖のDNAやRNAにC−Cミスマッチが含まれていれば、当該ミスマッチに、本発明にかかるミスマッチ検出分子(アミノナフチリジンダイマー)を加えることで、ミスマッチを検出することが可能となる。なお、ミスマッチ検出工程については、<ミスマッチ検出方法>にて詳細に説明したので、ここではその説明を省略する。
このように、本発明では、上記ミスマッチ検出分子を加えることにより、ミスマッチに擬似的な塩基対が形成されるため、このような擬似的な塩基対が形成された分子の有無を測定することにより、採取された遺伝子にSNP等の変異が存在するか否かを簡便かつ高感度で検出・同定することができる。また、標識化のレベル(放射線量や発光・蛍光の程度)から、SNP等の変異を定量することも可能となる。
<本発明のその他の利用方法>
さらに、本発明にかかるミスマッチ検出分子は、低分子の有機化合物であり、擬似的な塩基対を形成した場合にはこの分子が核酸中に取り込まれるので、未反応のミスマッチ検出分子と核酸類とを比較的簡便に分離することができる。
加えて、本発明を用いれば、ハイブリダイズされた核酸にミスマッチが含まれている場合であっても、本発明にかかるミスマッチ検出分子とミスマッチを形成する各塩基との間に水素結合が形成される。その結果、ミスマッチ検出分子がミスマッチ間で安定化されるのみならず、ミスマッチの近傍、好ましくは隣接する塩基対にスタックされる。そのため、ミスマッチが存在している場合でもあって、比較的安定な二本鎖の核酸を得ることができる。したがって、本発明には、ミスマッチが安定化された状態にある、ハイブリダイズされた核酸が含まれていてもよい。
また、本発明を用いれば、従来の技術では達成できないミスマッチの塩基の対を高感度でかつ簡便に検出、同定または定量することができる。そのため、本発明は、DNA損傷に伴う各種疾患の治療、予防又は診断に応用することも可能である。さらに、本発明では、ミスマッチを有する状態でもハイブリダイズした状態を比較的安定に存在させることができるため、ミスマッチを含有するDNAの安定化を図る用途や、ミスマッチの発生原因やミスマッチの修復機構の解明等といった研究の材料として利用することも可能である。
あるいは、本発明にかかるミスマッチ検出分子を、表面プラズモン共鳴(SPR)の検出用チップの金属薄膜上に固定化することも可能である。この場合、二本鎖の核酸を含有する試料液を検出用チップの表面に流すだけで、ミスマッチの有無を特異的に検出することが可能となる。すなわち、上記ナフチリジンダイマーを、担体に固定化した場合、例えば、SPR(表面プラズモン共鳴)センサーに固定化した場合、このSPRを利用して、簡便かつ確実に塩基対のミスマッチを検出することができるミスマッチ検出装置(ミスマッチ検出センサー)を製造することができる。
このミスマッチ検出装置に用いる担体としては、従来のSPRに用いられるようなガラスに金属薄膜を貼り付けたチップなどの従来公知の担体を用いることができる。なお、かかるチップの表面は、物質を固定化しやすいように表面処理されていてもよい(例えば、カルボキシメチルデキストラン化処理など)。そして、この担体の金属薄膜の表面に上記ナフチリジンダイマーを結合させる(固定化させる)ことで、ミスマッチ検出装置として用いることができる。ナフチリジンダイマーを担体に固定化させる方法は、上述した方法を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、後述する実施例に示すように、ナフチリジンダイマーにリンカーを設けて、担体と結合させる方法が挙げられる。
このようにして調製したミスマッチ検出装置に対して、塩基対のミスマッチを検出したい検体を含む溶液を接触させ、ナフチリジンダイマーと検体とを相互作用させ、その相互作用の状態をSPR反応、すなわち、金属薄膜上の物質の質量に比例して反射光の干渉光の反射角度が小さくなる現象を利用し、その角度変化をもとに、金属薄膜表面に結合した物質に対する溶液中の物質の結合・解離を計測することにより、簡便かつ正確にミスマッチを検出することができる。なお、本発明にかかるミスマッチ検出装置は、このSPRを利用するものに限られるものではない。
以上、本発明の具体的な実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明は、公知の多くの検出手段に応用することが可能である。そのため、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者が有する知識に基づいて、種々の改良、変更、修正を加えた態様で実施することができる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例では、前記式(I−1)で示すアミノナフチリジンダイマーを例に挙げて本発明を詳細に説明する。
〔実施例1:アミノナフチリジンダイマーの合成〕
まず、2−クロロ−7−メチルナフチリジン(2-Chloro-7-methylnaphthyridine、化合物1、図1参照)1.79g(10mmolに相当)を、3,3−ジエトキシプロピルアミン(3,3-diethoxypropylamine)16.2mL(100mmolに相当)に加え、5時間還流した。得られた反応生成物をジエチルエーテルで希釈して、重曹水で洗浄、乾燥後濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成し、化合物2(図1参照)2.89g(定量的)を得た。なお、このときのプロトンNMRの結果を次に示す。
1H NMR(CD3OD,400MHz) δ7.90(d,1H,J=8.0Hz),7.77(d,1H,J=8.8Hz),7.06(d,1H,J=8.0Hz),6.72(d,1H,J=8.8Hz),4.68(t,1H,J=5.6Hz),3.51−3.71(6H),2.59(s,3H),2.65(s,6H),1.97(dt,2H,J=5.6Hz,J=6.8Hz)
次に、2−クロロ−7−メチルナフチリジン0.36g(2mmolに相当)を1.3−ジアミノプロパン(1,3-diaminopropane)1.67mL(20mmolに相当)に加え、5時間還流した。得られた反応生成物をクロロホルムで希釈して、重曹水で洗浄、乾燥後濃縮した。得られた粗生成物をゲルろ過クロマトグラフィーで生成して 化合物3(図1参照)119mg(55%) を得た。なお、このときのプロトンNMRの結果を次に示す。
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ7.73(d,1H,J=8.0Hz),7.66(d,1H,J=8.8Hz),6.98(d,1H,J=8.0Hz),6.57(d,1H,J=8.8Hz),3.71(m,2H),2.87(t,2H,J=6.4Hz),2.65(s,3H),1.80(dt,2H,J=6.4Hz,J=6.4Hz)
次に、上記化合物2を37.6mg(0.175mmolに相当)取り、これを80%のAcOH5mLに加え、80℃で30分反応させた後に、定法により後処理して粗生成アルデヒドを得た。これをメタノール5mLに溶かし、さらに化合物3を37.8mg(0.175mmol)、水素化シアノホウ素ナトリウムを56.6mg(0.9mmol)加え、室温で1時間反応させた。定法により後処理して、本発明にかかるアミノナフチリジンダイマー(化合物4、図1参照)13.8mg(19%)を得た。なお、このときのプロトンNMRの結果を次に示す。
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ7.73(d,2H,J=8.0Hz),7.63(d,2H,J=8.8Hz),6.9(d,2H,J=8.0Hz),6.61(d,2H,J=8.8Hz),3.72(dt,4H,J=6.0Hz,J=5.6Hz),2.78(t,4H,J=6.4Hz),2.65(s,6H),1.92(tt,4H,J=6.4Hz),HR−FABMS calcd for C24307 〔(M+H)+〕,416.2563;found,416.2690.
〔実施例2:アミノナフチリジンダイマーが認識するミスマッチの確認〕
次の各塩基配列を有し、ミスマッチを含む二本鎖DNAを準備し、これら二本鎖DNAを100mMの食塩を含むカコジル酸バッファー(pH7.0)溶液として調製した。二本鎖DNAの濃度は、100μM(塩基濃度)とした。なお、次の配列における(X,Y)の塩基は、それぞれ、(C,C)、(C,A)、(C,T)、(G,G)、(G,A)、(G,T)、(A,A)または(T,T)とした。
5'-CTAACXGAATG-3'(配列番号1)
5'-CATTCYGTTAG-3'(配列番号2)
なお、配列表においては、X,Yはともに、A又はC又はG又はTを示す「n」で表す。
上記二本鎖DNA溶液に、上記化合物4を100μM加え、温度変化に対する260nmの吸光度の変化を測定し、変曲点から融解温度Tm(drug(+))を算出した。次に、化合物4を加えない場合についても同様にして、融解温度Tm(drug(-))を測定し、これら融解温度の差(ΔΔTm=drug(+) − drug(-))を求めた。
さらに、上記二本鎖DNAにおいて、ミスマッチを含まない完全に相補的な配列のもの(Full Match)を準備し、上記と同様にして二本鎖DNA溶液を調製した。すなわち、上記塩基配列において、(X,Y)が(A,T)または(G,C)のものについて二本鎖DNA溶液を調製した。そして、これら二本鎖DNA溶液について、上記と同様にして、融解温度を測定し、その差を求めた。結果を次の表1に示す。
Figure 0004358579
上記表1の結果から明らかなように、化合物4はC−Cミスマッチを含む二本鎖DNAを最も安定化し、次にC−Tミスマッチを含む二本鎖DNAを安定化することが分かった。また、G−GミスマッチやC−Aミスマッチを含む二本鎖DNAも弱く安定化した。これに対して、他のミスマッチを含む二本鎖DNAや、Full Matchの二本鎖DNAは全く安定化しなかった。
これにより、本発明にかかるミスマッチ検出分子は、C−Cミスマッチにおいて十分安定した擬似的な塩基対を形成するだけでなく、C−Tミスマッチについても比較的安定した擬似的な塩基対を形成することがわかる。
〔実施例3:アミノナフチリジンダイマーである化合物7の合成(2)〕
まず、図5に示す化合物3:N−(7−メチル〔1,8〕ナフチリジン−2−イル)−プロパン−1,3−ジアミン(N-(7-Methyl-[1,8]naphthyridin-2-yl)-propane-1,3-diamine )を合成した。具体的には、2−クロロ−7−メチル−1,8−ナフチリジン(2-Chloro-7-methyl-1,8-naphthyridine (168mg、0.94mmol))を1,3−ジアミノプロパン(1,3-diaminopropane (1.5ml、9.4mmol))と混合し、80℃で5時間攪拌した。溶媒をエバポレートし、残留物をCHCl3に溶解させた。その後、有機層を1M NaOHで洗浄し、MgSO4にて乾燥させた後、エバポレートし、黄色の粘性物質として化合物3を得た(196mg、95%)。なお、このときのNMRの結果を次に示す。
1H NMR(CD3OD,400MHz) d=7.83(d,1H,J=8.0Hz)、7.71(d,1H,J=9.2Hz),7.01(d,1H,J=8.0Hz),6.71(d,1H,J=9.2Hz),3.61(T,2H,J=6.8Hz),2.78(T,2H,J=6.8 Hz),2.55(S,3H),1.84(tt,2H,J=6.8Hz J=6.8Hz);13C NMR(CDCl3,75MHz)d=161.8,161.5,157.4,138.3,137.9,116.6,114.4,39.1,38.6,32.5,24.6;ESI−TOFMS calcd for C12174 [(M + H)+] 217.1453, found 217.1487.
次に、図5に示す化合物6:ビス−{2−〔3−(7−メチル〔1,8〕ナフチリジン−2−イルアミノ)−プロピルカルバモイル〕−エチル}−カルバミック酸−tert−ブチルエステル(Bis-[2-[3-(7-methyl-[1,8]naphthyridin-2-ylamino)-propylcarbamoyl]-ethyl]-carbamic acid tert-butyl ester)を合成した。具体的には、無水CHCl3(2mL)にN−(tert−ブトキシカルボニル)イミノ−3,3’−ビス(ペンタフルオロフェニルプロピオネート)(N-(tert-butoxycarbonyl)imino-3,3'-bis(pentafluorophenyl propionate)(198mg,0.33mmol))を溶解させた溶液に対して、上記化合物5(144mg,0.67mmol)と、トリエチルアミン(triethylamine (139ml,1.0mmol))とを加えた。反応液を室温で、15時間攪拌した。溶媒をエバポレートして乾燥させた後、残留物を、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色の個体として化合物6を得た(148mg,67%)。なお、このときのNMRの結果を以下に示す。
1H NMR(CD3OD,300MHz) d=7.88(d,2H,J=7.8Hz),7.76(d,2H,J=8.7Hz),7.05(d,2H,J=7.8Hz),6.71 (d,2H,J=9.0Hz),3.55(T,4H,J=6.9Hz),3.51 (T,4H,J=6.9Hz),3.26(T,4H,J=6.9Hz),2.59(S,6H),2.47(T,4H,J=6.9Hz),1.83(tt,4H,J=6.9Hz,J=6.9Hz),1.40(S,9H);13C NMR(CDCl3,75MHz)d=174.3,162.3,161.8,158.1,157.4,138.7,138.3,119.4,117.0,114.9,81.7,77.9,48.6,46.0,39.6,38.4,36.9,36.4;ESI−TOFMS calcd for C354894 [(M + H)+] 658.3829, found 658.3813.
最後に、図5に示す化合物7:N−〔3−(7−メチル〔1,8〕ナフチリジン−2−イルアミノ)−プロピル〕−3−{2−〔3−(7−メチル〔1,8〕ナフチリジン−2−イルアミノ)−プロピルカルバモイル〕−エチルアミノ}−プロピオンアミド(N-[3-(7-Methyl-[1,8]naphthyridin-2-ylamino)-propyl]-3-[2-[3-(7-methyl-[1,8]naphthyridin-2-ylamino) -propylcarbamoyl]-ethylamino]-propionamide)を合成した。具体的には、CHCl3(1mL)に化合物6(76mg,0.133mmol)を溶解させた溶液に、4M HCl(2mL)を含む酢酸エチル(ethyl acetate)を加えて、反応液を室温にて0.5時間攪拌した。溶媒をエバポレートし乾燥させた後、白色固体として化合物7を得た(51mg,80%)。なお、このときのNMRの結果を以下に示す。また、ここでいう化合物7は、上述の式(III)の化合物と同一のものである。
1H NMR(CD3OD,300MHz) d=7.88(d,2H,J=7.8 Hz),7.75(d,2H,J=8.7Hz),7.05(d,2H,J=7.8Hz),6.71(d,2H,J=9.0Hz),3.51(T,4H,J=6.9 Hz),3.27(T,4H,J=6.9Hz),2.86(T,4H,J=6.9Hz),2.47(S,6H),2.43(T,4H,J=6.9Hz),1.82(tt,4H,J=6.9Hz,J=6.9Hz);13C NMR(CDCl3,75MHz)d=175.1,162.3,161.8,158.1,138.7,138.3,119.4,117.0,114.9,79.9,46.8,39.6,38.3,36.9,30.5,25.0;ESI−TOFMS calcd for C304092 [(M + H)+] 558.3305, found 558.3253.
〔実施例4:アミノナフチリジンダイマー化合物7が認識するミスマッチの確認〕
ミスマッチを有する二本鎖DNA検体の融解温度が、アミノナフチリジンダイマー化合物7の有無で変化するか否かを調べた。
具体的には、上記実施例2と同様に、次の各塩基配列を有し、ミスマッチを含む二本鎖DNAを準備し、これら二本鎖DNAを100mMの食塩を含むカコジル酸バッファー(pH7.0)溶液として調製した。二本鎖DNAの濃度は、100μM(塩基濃度)とした。なお、次の配列における(X,Y)の塩基は、それぞれ、(C,C)、(C,A)、(C,T)、(G,G)、(G,A)、(G,T)、(A,A)、または(T,T)とした。
5'-CTAACXGAATG-3'(配列番号1)
5'-CATTCYGTTAG-3'(配列番号2)
上記二本鎖DNA溶液に対して、化合物3(図1中の化合物3),化合物4(図1中の化合物4),化合物7(図5中の化合物7)を(それぞれ100mMとなるように)加え、温度変化に対する260nmの吸収変化を測定し、変曲点から融解温度(Tm)(drug(+))を算出した。化合物3、4、7を加えない場合の融解温度(drug(-))を測定し、融解温度の差(ΔTm = drug(+) ? drug (-))を求めた。また、ミスマッチ塩基を持たない完全に相補的な二本鎖DNA(Full Match)についても測定した。すなわち、上記塩基配列において、(X,Y)が(A,T)または(G,C)のものについて二本鎖DNA溶液を調製した。その結果を以下の表2に示す。なお、表2には、融解温度(Tm)と化合物の有無の場合の融解温度の差(ΔTm)のみを記載している。
Figure 0004358579
その結果、表2に示すように、化合物3,4,7は全て、C−Cミスマッチを含むDNAを最も安定化すること、次にC−Tミスマッチを安定化することが分かった。また、T−TミスマッチやC−Aミスマッチも弱く安定化した。なかでも、化合物7は、化合物3、4に比べて、強力にC−C、C−T、T−T,C−Aミスマッチを安定化することがわかった。しかし、他のミスマッチや、Full Match DNAは全く安定化しなかった。
これにより、上記化合物3,4,7は、C−Cミスマッチにおいて十分安定した擬似的な塩基対を形成するだけでなく、C−T、T−T、C−Aミスマッチについても比較的安定した擬似的な塩基対を形成することがわかり、ミスマッチ検出分子として機能することができることが明らかとなった。
〔実施例5:固定化用のアミノナフチリジンダイマーの合成〕
次に、SPRを利用したミスマッチ検出センサーを作製するために、固定化用のアミノナフチリジンダイマーを合成した。このため、まず、図6に示す化合物8:{3−〔3−(ビス−{2−〔3−(7−メチル〔1,8〕ナフチリジン−2−イルアミノ)−プロピルカルバモイル〕−エチル}−アミノ)−プロピルカルバモイル〕−プロピル}−カルバミック酸−tert−ブチルエステル([3-[3-(Bis-[2-[3-(7-methyl-[1,8]naphthyridin-2-ylamino)-propylcarbamoyl]-ethyl]-amino)-propylcarbamoyl]-propyl]-carbamic acid tert-butyl ester)を合成した。
具体的には、化合物7(11.7mg、0.021mmol)と4−((tert−ブトキシ)カルボニルアミノ)−N−(3−オキソプロピル)ブタンアミド(4-((tert-Butoxy)carbonylamino)-N-(3-oxopropyl)butanamide (11mg,0.042mmol))とをCH3OH(1mL)に溶解させた溶液に、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム(sodium cyanotrihydroborate (3.3mg,0.05mmol))を室温にて加えた。上記反応液を酢酸によって、1時間pH6に保った。上記反応液を、CHCl3により希釈し、飽和NaHCO3溶液により洗浄し、MgSO4により乾燥させた後、エバポレートにより乾燥させた。残留物をシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色固体として化合物8を得た(14.3mg、95%)。なお、このときのNMRの結果を以下に示す。
1H NMR(CD3OD,400MHz)d=7.85(d,2H,J=8.0Hz),7.73(d,2H,J=8.4Hz),7.04(d,2H,J=7.6Hz),6.70(d,2H,J=8.8Hz),3.54(T,4H,J=6.0Hz),3.26(T,4H,J=6.4Hz),3.11(T,2H,J=6.8Hz),3.01(T,2H,J=6.8Hz),2.74(T,4H,J=6.0Hz),2.58(S,6H),2.45(T,2H,J=6.4Hz),2.37(T,2H,J=6.4Hz),2.14(T,2H,J=7.6Hz),1.81(m,4H),1.70(m,2H),1.60(m,2H),1.40(S,6H);13C NMR(CDCl3,100MHz)d=175.1,169.3,161.9,161.3,157.6,138.3,137.9,133.6,132.4,129.9,118.9,116.6,114.5,79.9,69.1,52.0,51.1,40.3,40.2,39.3,38.6,34.7,34.4,31.6,30.2,28.8,27.4,24.9,24.0,14.4;ESI−TOFMS calcd for C4262115 [(M + H)+] 800.4935, found 800.4884.
次に、化合物8をチップ上に固定化した。具体的には、0.5mLのCHCl3に溶解させた化合物8(1.0mg、1.25μmol)に対して、4M HCl(1mL)を含む酢酸エチル(ethyl acetate)を加え、反応液を室温にて0.5時間攪拌した。溶媒をエバポレートした後、残留物をホウ酸塩バッファー(1mL、pH9.2)に溶解させた。その後、BIAcore2000システム(BIAcore, Uppsala, Sweden)に備えられたアミンカップリングキットを用いているCM5センサーチップ(カルボキシメチル化されたデキストランによって表面が覆われているもの)に固定化した。表面に固定化された化合物8の量は、SPRシグナルの増加としてモニターすることができる。SPRシグナルの変化、いわゆるレゾナンスユニット(resonance units (RU))で表されるSPR反応は、生体分子の表面濃度と直接的な相関関係がある。1000RUのSPR反応は、1ng/mm2の表面濃度の変化と等しい。それゆえ、表面に固定化されたリガンドの密度は、固定化の前後におけるSPR反応の差から計算することができる。
〔実施例6:上記アミノナフチリジンダイマー固定化チップを用いたミスマッチ検出〕
上記実施例5にて作製したアミノナフチリジンダイマー固定化チップを用いて、塩基対のミスマッチ検出を行った。
具体的には、図7に示すように、上記アミノナフチリジンダイマー固定化チップ(C-C mismatch Sensor)に対して、C−Cミスマッチを有する二本鎖DNA検体を作用させ、そのSPR反応を検出した。また、C−Cミスマッチ以外にも、C−T、C−A、T−Tミスマッチをそれぞれ有する二本鎖DNA検体、およびFull Match DNA検体(全ての塩基配列が相補的な二本鎖DNA)についても、SPR反応を検出し、ミスマッチ検出を行った。なお、二本鎖DNA検体としては、実施例2、4で用いた下記の塩基配列のDNAを用い、次の配列における(X,Y)の塩基は、それぞれ、(C,C)、(C,A)、(C,T)、または(T,T)とした。なお、Full Match DNA検体における(X,Y)の塩基は(C,G)とした。
5'-CTAACXGAATG-3'(配列番号1)
5'-CATTCYGTTAG-3'(配列番号2)
その結果を図8(a)(b)に示す。なお、図8(b)は、図8(a)の点線で囲んだ領域を拡大して表した図である。このグラフから、C−Cミスマッチを有する二本鎖DNA検体についてのS/N比は、Full Match DNA検体に対して、83であった。同様に、C−T、C−A、T−Tミスマッチを有する二本鎖DNA検体についてのS/N比は、Full Match DNA検体に対して、それぞれ、13、4、1.9であった。
以上の結果から、上記アミノナフチリジンダイマー固定化チップは、C−Cミスマッチを非常に感度よく検出することができることがわかった。
以上のように、本発明は、ポストゲノムシークエンスに関わる各種研究用の試薬類等を生産または製造する産業に適用できるだけでなく、SNP等の多型を原因とする遺伝病の検査や、ハイブリダイズした核酸の安定化による各種疾患の治療等といった医薬品産業等にも適用することができる。さらに、遺伝子の個人的な違い(遺伝子の一塩基多型、SNP)を迅速かつ安価に検出することができ、個人認証などのさまざまな領域に利用可能である。
本発明にかかるミスマッチ検出分子であるアミノナフチリジンダイマーの合成経路を示す図である。 本発明にかかるミスマッチ検出分子がミスマッチにおいて擬似的な塩基対を形成する作用を模式的に示す図である。 本発明にかかるミスマッチ検出分子がシトシン塩基と擬似的な塩基対を形成する状態を化学構造に基づいて模式的に示す図である。 本発明にかかるミスマッチ検出分子であるアミノナフチリジンダイマーの合成経路を示す図である。 本発明にかかるミスマッチ検出分子であるアミノナフチリジンダイマーの合成経路を示す図である。 本発明にかかるミスマッチ検出分子をチップに固定化するために、アミノナフチリジンダイマーにリンカー部分を付加する際の合成経路を示す図である。 本発明にかかるミスマッチ検出分子を固定化したチップ(C-C mismatch Sensor)に対してDNA検体を作用させ、SPR反応を検出する様子を模式的に示した図である。 (a)は、ミスマッチ検出分子を固定化したチップに対してDNA検体を作用させた際のSPR反応を検出した結果を示す図であり、(b)は、(a)の点線部分を拡大して示す図である。

Claims (8)

  1. 次に示す一般式(I)
    Figure 0004358579
    (ただし、式中R1およびR2は水素原子または炭素数1〜5の有機基を示し、R1およびR2の有機基では1つ以上の炭素原子が窒素原子および/または酸素原子で置換されていてもよい。R3は塩基認識部位とリンカー部をつなぐ有機アミノ結合の窒素原子の隣接する位置にカルボニル基(C=O)を含まない炭素数2〜20の有機基を示し、R3の有機基では1つ以上の炭素原子が窒素原子、硫黄原子および/または酸素原子で置換されていてもよい。)
    で表される化合物であり、正常な塩基対を形成することができない塩基の対であるシトシン−シトシンミスマッチに、疑似的に塩基対を形成する化合物であることを特徴とするミスマッチ検出分子。
  2. 上記一般式(I)で表される化合物が、次に示す構造式(I−1)または(III)
    Figure 0004358579
    Figure 0004358579
    であることを特徴とする請求項1に記載のミスマッチ検出分子。
  3. 次に示す一般式(I)
    Figure 0004358579
    (ただし、式中R1およびR2は水素原子または炭素数1〜5の有機基を示し、R1およびR2の有機基では1つ以上の炭素原子が窒素原子および/または酸素原子で置換されていてもよい。R3の塩基認識部位とリンカー部をつなぐ有機アミノ結合の窒素原子の隣接する位置にカルボニル基(C=O)を含まない有機基では1つ以上の炭素原子が窒素原子、硫黄原子および/または酸素原子で置換されていてもよい。)
    で表される化合物を用いて、ハイブリダイズされた核酸に含まれる、正常な塩基対を形成することができない塩基の対であるシトシン−シトシンミスマッチに疑似的に塩基対を形成させる工程と、
    当該シトシン−シトシンミスマッチに形成された疑似的な塩基対を検出する工程とを含むことを特徴とするミスマッチ検出方法。
  4. 上記一般式(I)に示す化合物は、担体に固定化されて用いられることを特徴とする請求項3に記載のミスマッチ検出方法。
  5. 上記一般式(I)で表される化合物は、標識化されて用いられることを特徴とする請求項3または4に記載のミスマッチ検出方法。
  6. 少なくとも、正常な塩基対を形成することができない塩基の対であるシトシン−シトシンミスマッチを検出するために用いられ、
    請求項1または2に記載のミスマッチ検出分子を、擬似的な塩基対を生成させる擬似塩基対生成剤として用いることを特徴とするミスマッチ検出キット。
  7. 検体となる一本鎖のDNAまたはRNAと、それに対応する正常な塩基配列を有するDNAまたはRNAとをハイブリダイズさせる工程と、
    請求項3〜5のいずれか1項に記載のミスマッチ検出方法を用いて、上記DNAまたはRNAにシトシン−シトシンミスマッチが含まれるか否かを検出する工程とを含むことを特徴とする塩基配列の異常の検出方法。
  8. 次に示す一般式(I)
    Figure 0004358579
    (ただし、式中R1およびR2は水素原子または炭素数1〜5の有機基を示し、R1およびR2の有機基では1つ以上の炭素原子が窒素原子および/または酸素原子で置換されていてもよい。R3は塩基認識部位とリンカー部をつなぐ有機アミノ結合の窒素原子の隣接する位置にカルボニル基(C=O)を含まない炭素数2〜20の有機基を示し、R3の有機基では1つ以上の炭素原子が窒素原子、硫黄原子および/または酸素原子で置換されていてもよい。)
    で表される化合物を担体に固定化した固定化物を備えていることを特徴とするシトシン−シトシンミスマッチ検出装置。
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