JP2008125425A - 核酸の増幅反応に用いる繰返し配列結合プライマー及びその利用 - Google Patents

核酸の増幅反応に用いる繰返し配列結合プライマー及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】核酸増幅反応後に、迅速、簡便、安価かつ高感度に核酸増幅を確認する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る繰返し配列結合プライマーは、XGG(XはA、T、C及びGのうち、いずれか一つの塩基)を繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNA断片の3’末端に、核酸増幅反応に用いるプライマーを結合している。さらに、本発明に係る核酸増幅確認方法は、上記繰返し配列結合プライマーを用いて、PCRなどの核酸増幅反応を行なった後、繰返し配列検出分子を用いて、当該繰返し配列結合プライマーの量を測定する。また、例えば、アレル特異的PCRに上記核酸増幅確認を適用することで、迅速、簡便、安価かつ高感度にSNPを検出することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、核酸の増幅反応に用いる繰返し配列結合プライマー、及びその利用に関するものである。さらに詳しくは、核酸の増幅を容易に確認するために、繰返し配列からなる一本鎖DNAを結合した繰返し配列結合プライマー、及び、これを利用した核酸増幅確認方法、SNP検出方法及び当該DNA断片を含む試薬キットに関するものである。
PCR(Polymerase Chain Reaction)などの、特定の核酸を増幅する手法はバイオテクノロジーにおける様々な分野で応用されている(以下、本明細書において、PCR等の、核酸を増幅する反応を「核酸増幅反応」と表記する。)。
一般に、PCRなどの核酸増幅反応では、標的とする核酸が特異的に増幅されたか否かを確認する工程が必要である。(なお、本明細書において、PCRなどの核酸増幅手段による核酸の増幅を、単に「核酸増幅」と表記する。)
核酸増幅を確認する方法としては、例えば、PCRなどの核酸増幅反応に供した後の反応液を、ポリイミドなどのゲルを用いてゲル電気泳動に供した後、PCR増幅により得られたDNA断片を染色することにより行なう方法がある。
また、核酸増幅反応に供した後の反応液の濁度を測定することにより増幅を確認する方法、増幅対象の核酸に特異的に結合するプローブを備えたマイクロアレイを用いる方法、二本鎖DNAに結合する蛍光標識プローブや、目的とするPCR産物に特異的に結合する蛍光標識プローブを用いて、リアルタイムに増幅を確認するリアルタイムPCR等も、従来、核酸増幅反応における核酸増幅の確認を行なう方法として用いられている。
PCR等の核酸増幅反応は、例えば、一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism;以下「SNP」と表記する。)の解析にも用いられており、上述のような核酸増幅の確認方法が用いられている。
特許文献1では、解析対象のSNP部位を含む染色体又はその断片に、野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマーを、同時に又は別々にDNAポリメラーゼと共に作用させ、プライマーに基づく伸長の有無を調べる解析方法が提案されており、増幅した核酸を確認する方法として、電気泳動が用いられている。
また、特許文献2では、SNP部位を含む基準配列用及び変異配列用の2種の特異的プライマーとユニバーサルプライマーとを用いて、目的配列部分を増幅するSNP解析方法が提案されており、特許文献1と同様に、得られた反応液を電気泳動に供することで、増幅産物の有無を確認している。
特許文献3では、解析対象のゲノムDNAと複数対のプライマーとを用いて、SNP部位を含む核酸を増幅し、タイピングを行なう方法が提案されている。そして、得られた増幅産物に対して、標識化したプローブ等を用いてハイブリダイゼーションすることなどにより、上記タイピングが行われている。
SNP解析を迅速かつ簡便に行なうことができれば、例えば、患者のベッドサイド等で最適な治療法、投薬法などを診断するテーラーメード医療が可能となり、有力なPOC(Point Of Care)技術となるため、そのためにも、さらに迅速かつ簡便に核酸増幅反応後の核酸増幅を確認する方法が望まれている。
国際公開第01/042498号パンフレット(平成13年6月14日公開) 特開2003−52372号公報(平成15年2月25日公開) 特開2002−300894号公報(平成14年10月15日公開)
上述したPCRなどの核酸増幅反応において、核酸の増幅が得られたか否かの確認は、煩雑な作業や長時間を要し、高コストであるという問題を有している。
核酸増幅反応に供された後の反応液を電気泳動した後、増幅した核酸断片を染色するという方法は、電気泳動および染色に長時間を要する。また、電気泳動装置、電気泳動に用いるゲル、染色用試薬等が必要であるため、高コストである。
また、核酸増幅反応に供した後の反応液の濁度を測定することにより増幅を確認する方法は、極めて大量に核酸増幅産物を得る必要があるため、増幅条件の設定が煩雑であり、微量のサンプルに対して適用できないなどの課題がある。
DNAマイクロアレイを用いる方法は、マイクロアレイ上のプローブに蛍光標識等を施す必要があり、また高価なチップを作製する必要がある。
リアルタイムPCRにおいても蛍光標識したプローブ等が必要であり、さらに、リアルタイムPCRを実施するための装置や試薬も高価である。
例えば、上記特許文献1及び2に係る方法においても、電気泳動した後、PCRで増幅したDNA断片を染色することにより、PCR増幅の確認を行なう必要がある。このため、上述したように長時間を要するという問題や高コストであるとの問題がある。また、特許文献3においては、プライマーの他に、別途、標的ゲノムにハイブリダイズさせるプローブが必要であり、さらに当該プローブを蛍光標識させるなどの化学修飾が必要であるなど、タイピングのための条件の検討が複雑である。
核酸増幅反応を用いないSNP解析方法も提案されているが、もともと、SNPを解析する方法は、莫大な数のサンプル(被検体)のSNPを網羅的に探索する技術の延長として開発が進められてきた。そのため、患者から採取した血液を、SNP解析する設備がある検査センターなどの検査施設まで持ち帰ることが必要となる。これでは、長時間を要し、簡易かつ迅速にSNP解析をすることは不可能であり、POC技術としては全く不十分である。さらに、近年脅威となりつつあるウィルス感染の診断の場合、感染後いかに短時間で診断できるかが、治療による患者の回復に極めて重要となる。このような場合は、採血後すぐに診断することが必要となる。
以上のように、PCRなどの核酸増幅反応は、その増幅の確認に煩雑な作業や長時間を要する。そのため、迅速、簡便、安価にその増幅の確認を行なうことが可能な方法が望まれている。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、核酸増幅反応における増幅を、迅速、簡便、安価に確認する方法を実現し、ひいては迅速、簡便、安価なSNP解析方法を提供することにある。
発明者らは、上記課題の解決のため、鋭意検討を行なった。その結果、核酸増幅反応に用いるプライマーとして、XGG(XはA、T、C及びGのうち、いずれか一つの塩基)からなる繰返し配列結合プライマーを用いて核酸増幅反応を行なえば、繰返し配列結合プライマーは相補鎖の伸長により、繰返し配列からなる一本鎖DNAが二本鎖DNAを形成し、その結果、繰返し配列検出分子を用いて反応前後の当該繰返し配列からなる一本鎖DNAの量を検出、比較することで核酸の増幅を容易に確認することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
つまり、上記繰返し配列結合プライマーに結合している、繰返し配列からなる一本鎖DNAは、核酸増幅反応により好適に伸長され、かつ、当該一本鎖DNAが、繰返し配列結合分子に結合するという条件が要求される。本発明者らは鋭意検討した結果、その条件を新たに見出した。本発明はこの新たな知見に基づいて成されたものである。
即ち、本発明に係る繰返し配列結合プライマーは、上記課題を解決するために、XGG(XはA、T、C及びGのうち、いずれか一つの塩基)を繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNA断片の3’末端に、核酸増幅反応に用いるプライマーを結合していることを特徴としている。
本発明に係る繰返し配列結合プライマーでは、上記繰返し単位は、TGGであることがより好ましい。
本発明に係る繰返し配列結合プライマーでは、上記繰返し配列中には、TGGが5〜15回繰返されていることがより好ましい。
本発明に係る核酸増幅確認方法は、上記課題を解決するために、核酸増幅反応における核酸増幅を確認する方法であって、上記の本発明に係る繰返し配列結合プライマーを、少なくとも一方のプライマーとするプライマーセットを含む核酸増幅反応液を調製する工程と、繰返し配列検出分子を用いて、核酸増幅反応前の当該繰返し配列結合プライマーの量を測定する反応前繰返し配列結合プライマー測定工程と、核酸増幅反応を行なう工程と、繰返し配列検出分子を用いて、核酸増幅反応終了後の当該繰返し配列結合プライマーの量を測定する反応後繰返し配列結合プライマー測定工程とを含むことを特徴としている。
本発明に係る核酸増幅確認方法では、上記繰返し配列検出分子は、下記式(1)
((1)中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、あるいは炭素数1〜5の炭化水素基の1つ以上の炭素原子が窒素原子および/または酸素原子で置換されている有機基を示し、Rは炭素数1〜5の炭化水素基を置換基として有するまたは有しない炭素数4〜6のアルキレン基あるいは炭素数1〜5の炭化水素基を置換基として有するまたは有しない炭素数4〜6のアルキレン基であって該アルキレン基骨格を構成する1つ以上の炭素原子が酸素原子若しくはイオウ原子で置換されている有機基を示す。)
で表される化合物であることがより好ましい。
本発明に係る核酸増幅確認方法では、上記繰返し配列検出分子は、下記式(2)
で表される化合物であることがより好ましい。
本発明に係る核酸増幅確認方法では、上記繰返し配列結合プライマーの量の測定は、上記繰返し配列検出分子で表面を修飾したSPR用金属固体基板を備えるSPR装置を用いることがより好ましい。
本発明に係る核酸増幅確認方法では、上記核酸増幅反応はPCRであることがより好ましい。
本発明に係るSNP検出方法は、上記課題を解決するために、上記の本発明に係る核酸増幅確認方法を用いることを特徴としている。
本発明に係るSNP検出方法では、上記プライマーセットに含まれるプライマーの内、いずれか一方のプライマーの3’末端の位置が、検出対象のSNPの位置になるように設計されていることがより好ましい。
本発明に係るSNP検出方法では、上記3’末端の位置が検出対象のSNPの位置になるように設計されているプライマーに繰返し配列結合プライマーを用いることがより好ましい。
本発明に係るSNP検出方法では、上記核酸増幅反応液には、コンペティタープライマーを含み、当該コンペティタープライマーの3’末端は、検出対象のSNPの位置になるように設計されており、かつ、3’末端には、上記繰返し配列結合プライマーにより、野生型核酸の増幅を目的とする場合は、変異型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基、又は、上記繰返し配列結合プライマーにより、変異型核酸の増幅を目的とする場合は、野生型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基、を有することがより好ましい。
本発明に係る試薬キットでは、核酸増幅反応における核酸の増幅を確認するための試薬キットであって、少なくとも本発明に係る繰返し配列結合プライマーを含むことを特徴としている。
本発明に係る繰返し配列結合プライマーは、以上のように、XGG(XはA、T、C及びGのうち、いずれか一つの塩基)を繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNA断片の3’末端に、核酸増幅反応に用いるプライマーを結合している。
本発明に係る繰返し配列結合プライマーを、核酸増幅反応に供し標的の核酸が増幅されれば、当該繰返し配列結合プライマーが有する繰返し配列からなる一本鎖DNAは、二本鎖DNAを形成する。
そのため、公知の繰返し配列検出分子等を用いて、繰返し配列からなる一本鎖DNAを検出することで、核酸増幅反応前後における、本発明に係る繰返し配列結合プライマーの量を比較することができ、核酸の増幅の確認を行なうことができる。従って、電気泳動や増幅されたPCR産物の染色による方法に比べて短時間で核酸の増幅を確認でき、また、電気泳動装置や得られたPCR産物の染色用試薬などが不要となる。
即ち、本発明を用いれば、核酸増幅反応における核酸の増幅を、迅速、簡便、安価かつ高感度に確認することができるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更して実施することができる。
〔本発明に係る繰返し配列結合プライマー〕
本発明に係る繰返し配列結合プライマーは、XGG(XはA、T、C及びGのうち、いずれか一つの塩基)(以下、単に「XGG」と表記する)を繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNA断片の3’末端に、核酸増幅反応に用いるプライマーを結合していればよい。
後述する繰返し配列検出分子は、本発明に係る繰返し配列結合プライマーが有する繰返し配列からなる一本鎖DNAに結合して、これを検出することができる。そして本発明に係る繰返し配列結合プライマーが核酸増幅反応に供されると、当該一本鎖DNAは二本鎖DNAを形成するが、繰返し配列検出分子は当該二本鎖DNAに結合することができない。
従って、核酸増幅反応の前後で、本発明に係る繰返し配列結合プライマーの量を測定して比較することによって、核酸増幅が得られたか否かを確認することができる。
本明細書において「繰返し配列結合プライマー」とは、核酸増幅反応に用いるプライマーの5’末端に、特定の塩基配列の繰返し配列からなる一本鎖DNA断片を結合したものを意図する。即ち、本発明に係る繰返し配列結合プライマーは、増幅の標的となる核酸にアニールする領域と、XGGの繰返し配列からなる一本鎖DNAの領域とから構成されている。
本明細書において「繰返し配列」とは、特定の塩基配列が複数存在する塩基配列を意図し、当該特定の塩基配列は、連続して直列していてもよく、散在していてもよい。また、本明細書において「繰返し単位」とは、繰返し配列中に、複数存在する塩基配列のうち、個々の塩基配列を意図する。
つまり、本発明に係る繰返し配列結合プライマーの有する繰返し配列中には、繰り返し単位が、連続して直列していてもよく、散在していてもよいが、連続していることが好ましい。換言すれば、繰返し配列には、繰り返し単位以外の塩基を含んでいてもよいが、当該繰り返し単位以外の塩基を含まないことが好ましい。後述するナフチリジンダイマーは、XGGからなる繰り返し単位が、連続して繰返す繰返し配列からなる一本鎖DNAに好適に結合する。なお、当該繰り返し単位以外の塩基を含む場合、その数は、当該繰り返し単位以外の塩基の種類及び位置、並びにXの種類に応じて適宜設定すればよいが、1〜3であることが好ましい。この範囲であれば核酸増幅反応に影響を及ぼさない。
本発明に係る繰返し配列結合プライマーが有する繰返し単位は、XGGであればよいが、AGG、TGG、GGGが好ましく、TGGがさらに好ましい。AGG、TGG又はGGGを繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNAは、当該一本鎖DNA内で対合することが無く、そのため核酸増幅反応を阻害することが無い。よって、より高感度に、核酸増幅の確認を行なうことができる。さらに、TGGを繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNA断片は、後述するナフチリジンカーバメートと好適に結合する。よって、さらに高感度に、核酸増幅の確認を行なうことができる。
本発明に係る繰返し配列結合プライマーが有する繰返し単位の数は、2以上である限り特に限定されるものではないが、5〜15が好ましく、さらに好ましくは8〜12である。5以上であれば、後述する繰返し配列検出分子と好適に結合することができ、15以下であれば、核酸増幅反応に影響を及ぼさない。
つまり、本発明に係る繰返し配列結合プライマーが有する繰返し配列中には、TGGが8〜12回繰返されていることが最も好ましい。
本発明に係る繰返し配列結合プライマーは、標的とする核酸を増幅可能なように、任意に設計した塩基配列の5’末端に、上述の繰返し配列が連結するように設計すればよい。なお、設計した配列に基づく、繰返し配列結合プライマーの合成は、従来公知の方法、装置を用いて行なえばよく、例えば化学合成により合成すればよい。
また、予め、上述の繰返し配列からなる一本鎖DNA断片を合成しておき、別途合成した核酸増幅反応に用いるプライマーに、当該一本鎖DNA断片を結合してもよい。なお、核酸増幅反応に用いるプライマーに、繰返し配列からなる一本鎖DNA断片を結合する方法は、従来公知のDNAリガーゼを用いればよい。
本発明に係る繰返し配列結合プライマーは、様々な核酸増幅反応に好適に用いることができる。上記核酸増幅反応としては、例えば、Nested−PCR、逆転写PCR、ホットスタートPCR、Taq Man PCR等のPCR、ICAN法、UCAN法、LAMP法等が挙げられる。中でもPCRに好適に用いることができる。PCRは核酸増幅反応の中でも簡便に行なうことができるため、PCRに本発明に係る繰返し配列結合プライマーを用いることで、標的となる核酸の増幅から、増幅の確認までを迅速かつ簡便に行なうことができる。
〔本発明に係る核酸増幅確認方法〕
本発明に係る核酸増幅確認方法は、本発明に係る繰返し配列結合プライマーを、少なくとも一方のプライマーとするプライマーセットを含む核酸増幅反応液を調製する工程と、繰返し配列検出分子を用いて、核酸増幅反応前の当該繰返し配列結合プライマーの量を測定する反応前繰返し配列結合プライマー測定工程と、核酸増幅反応を行なう工程と、繰返し配列検出分子を用いて、核酸増幅反応終了後の当該繰返し配列結合プライマーの量を測定する反応後繰返し配列結合プライマー測定工程とを含めばよい。
後述する繰返し配列検出分子は、本発明に係る繰返し配列結合プライマーが有する繰返し配列からなる一本鎖DNAに結合して、これを検出することができる。そして本発明に係る繰返し配列結合プライマーが核酸増幅反応に供されると、当該一本鎖DNAは二本鎖DNAを形成するが、繰返し配列検出分子は当該二本鎖DNAに結合することができない。
そのため、繰返し配列検出分子を用いれば、核酸増幅反応前後における、上記反応液中の本発明に係る繰返し配列結合プライマーの量を比較することができる。即ち、当該繰返し配列結合プライマーの量が、当該増幅反応前に比べて当該増幅反応後で減少していれば、核酸の増幅が生じたことが確認でき、減少していなければ、核酸の増幅が生じなかったことが確認できる。
ここで、XGGを繰り返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNAに、繰返し配列結合分子が結合する原理について図1に基づいて説明する。
図1は、XGGを繰り返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNAに、繰返し配列結合分子が結合する原理を模式的に表す図であり、繰返し配列結合分子として、後述するナフチリジンカーバメートダイマー(以下、「NC」と表記する。)を用いた場合について示している。
図1(1)に示すように、XGGからなるDNAを複数有する当該一本鎖DNAが形成する立体構造中では、XGGとXGGとが対向することが可能である。より詳細には、一方のXGGのXに、他方のXGGの3位のGが近接する。これにより、XGGとGGXとで、あたかも塩基対を形成するような位置関係で存在する。
そして、図1(2)に示すように、NCは、対向しているXGG同士を繋ぐようにして結合する。
つまり、NCが備える二つのナフチリジン環のうち、一方のナフチリジン環は、対向しているXGG同士のうち、一方のXGGの2位のGと擬似的に塩基対を形成して対合する。さらに当該NCが備える他方のナフチリジン環は、他方のXGGの3位のGと擬似的に塩基対を形成して対合する。これにより、NCは、二つのXGGのG同士を繋ぐように結合する。
一方で、XGGが、YCC(YはXに相補的な塩基)と二本鎖DNAを形成した場合、XGG中のGは、Cと対合して塩基対を形成しており、当該Gと擬似塩基を形成することができない。よって、核酸増幅反応に供された本発明に係る繰返し配列結合プライマーは、繰返し配列検出分子で検出することができない。
ナフチリジンダイマーが、対向するXGG同士を繋ぐように結合する詳細な原理は、T. Peng, C. Dohno, and K. Nakatani,Mismatch-Binding Ligands Function as a Molecular Glue for DNA, Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 5623-5626、及び、T. Peng and K. Nakatani, Binding of Naphthyridine Carbamate Dimer to the (CGG)n Repeat Results in the Disruption of the G-C Base Pairing, Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 7280-7283に説明されている。
次に、本発明に係る核酸増幅確認方法の一実施形態を、図2に基づいて説明する。
図2は、本実施の形態に係る核酸増幅確認方法の原理を模式的に表した図である。なお、図2では核酸増幅反応としてPCRを用いた場合を示している。
図2(1)において、下側の線分は増幅対象の核酸を含むDNAを示している。即ち、図2(1)は、PCR前の、当該核酸を増幅可能なプライマーの5’末端に、TGGを繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNA断片を結合した、本発明に係る繰返し配列結合プライマー、及び、解析対象の核酸を含む反応液を示している。そして、当該反応液をPCRに供すると、伸長反応により破線方向に相補鎖が合成される。なお、図2においてnは、当該繰返し配列中に、TGGがn回繰返されていることを示している。
次いで、図2(2)に示すように、(1)で合成されたDNA鎖にリバースプライマーがアニールし、破線方向、つまり(1)と逆方向にDNA鎖が合成される。
(1)、(2)のようにPCRが進行した結果、図2(3)に示すようにフォワード側のTGGを繰返し単位とする繰返し配列に相補的な、ACCを繰返し単位とする繰返し配列からなるDNA鎖が合成され、当該DNA断片と、当該TGGを繰返し単位とする繰返し配列からなるDNA断片とが対合して二本鎖DNAを形成する。
図2(4)は、(1)のように、PCR前の、TGGを繰返し単位とする繰返し配列からなるDNA断片を結合した、本発明に係る繰返し配列結合プライマー、及び、解析対象の核酸を含む反応液を示している。
ここで、当該反応液を、繰返し配列検出分子2で表面修飾したSPR用金属固体基板1を備える表面プラズモン共鳴(以下、「SPR」と表記する)装置に供すると、上述のように、繰返し配列検出分子2は、当該繰返し配列結合プライマー中の、近接しているTGG同士を繋ぐように結合する。そのため、当該SPR装置により、PCR前の反応液に含まれる繰返し配列結合プライマーを検出することができる。
図2(5)は、PCR終了後の反応液を示している。ここで、本発明に係る繰返し配列結合プライマー中のTGGは、二本鎖DNAを形成している。そのため、当該反応液を、繰返し配列検出分子2で表面修飾したSPR用金属固体基板1を備えるSPR装置に供しても、繰返し配列検出分子2は、TGG同士を繋ぐように結合することができず、当該二本鎖DNAに結合することができない。よって、当該SPR装置では、核酸増幅反応に供された繰返し配列結合プライマーを検出することができない。
このようにPCRの前後において、本発明に係る繰り返し配列結合プライマーの量を測定し、これが減少すれば、目的の核酸領域が増幅されたことが確認できる。
なお、核酸増幅反応は、従来公知の方法、装置を用いて行なえばよく、反応条件は、用いる試料やプライマー等に応じて適宜設定すればよい。
また、本発明に係る核酸増幅確認方法に適用可能な試料は、核酸を含むものであれば特に限定されることはない。例えば、血液、リンパ液、鼻水、喀痰、尿、糞便、腹水等の体液類、皮膚、粘膜、各種臓器、骨等の組織、鼻腔、気管支、皮膚、各種臓器、骨等を洗浄した後の洗浄液、植物、微生物を挙げることができる。
上記試料に由来する核酸は特に限定されるものではなく、DNAでもRNAでもよい。DNAとしてはゲノムDNA、cDNAなどを挙げることができる。RNAとしては、mRNA、rRNA、tRNAなどを挙げることができる。RNAの場合には、逆転写反応によりDNAを合成する工程を含むことが好ましい。
(繰返し配列検出分子)
反応前繰り返し配列結合プライマー測定工程及び反応後繰返し配列結合プライマー測定工程は、繰返し配列検出分子を、本発明に係る繰り返し配列結合プライマーが有する、繰返し配列からなるDNA断片に結合させて行なう。
本発明に係る核酸増幅確認方法に用いる繰返し配列検出分子は、XGGを繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNAに結合可能である限り限定されるものではないが、下記式(1)
((1)中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、あるいは炭素数1〜5の炭化水素基の1つ以上の炭素原子が窒素原子および/または酸素原子で置換されている有機基を示し、Rは炭素数1〜5の炭化水素基を置換基として有するまたは有しない炭素数4〜6のアルキレン基あるいは炭素数1〜5の炭化水素基を置換基として有するまたは有しない炭素数4〜6のアルキレン基であって該アルキレン基骨格を構成する1つ以上の炭素原子が酸素原子若しくはイオウ原子で置換されている有機基を示す。)
で示されるナフチリジンダイマーを用いることが好ましく、ナフチリジンダイマーの中でも下記式(2)
で示されるNCがさらに好ましい。ナフチリジンダイマーは、本発明に係る繰返し配列結合プライマーが有する、繰返し配列からなる一本鎖DNA断片に好適に結合することができる。NCは、特にCGGとTGGを繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNA断片に好適に結合することができる。
ナフチリジンダイマーは、従来公知の方法により合成すればよく、例えば特開2006−104159号公報に記載の方法により合成すればよい。
なお、ナフチリジンダイマーを用いて、本発明に係る繰返し配列結合プライマーを検出するときのpHは、特に限定されるものではないが、好ましくは5〜9である。この範囲であれば、DNAは安定であるため、ナフチリジンダイマーは、好適に本発明に係る繰返し配列検出分子に結合する。よって、さらに高精度に核酸増幅の確認を行なうことができる。
ナフチリジンダイマーの使用量は、本発明に係る繰返し配列結合プライマーが有する繰返し単位からなるDNAの個数によって適宜設定すればよいが、例えばTGGを10回繰返した繰返し配列からなる一本鎖DNAを有する繰返し配列結合プライマー1モルに対して、1モル以上であることが好ましく、2モル以上であることがさらに好ましい。また、当該使用量の上限は、特に限定されるものではなく、検出条件等に応じて適宜設定すればよい。
(繰返し配列検出分子の使用方法)
本発明に係る核酸増幅確認方法の、反応前繰返し配列結合プライマー測定工程、及び反応後繰返し配列結合プライマー測定工程で、繰返し配列検出分子を用いて繰返し配列結合プライマーの量を測定する方法は、特に限定されるものではない。例えば、アフィニティクロマトグラフィーの担体に固定して用いてもよいが、繰返し配列検出分子によって表面を修飾したSPR装置用金属固定基板を備えたSPR装置を用いることが好ましい。この場合、核酸増幅反応の反応液をSPR装置用金属固定基板表面に流すだけで、本発明に係る繰返し配列結合プライマーの検出が可能となる。即ち、簡便かつ高感度に、核酸増幅を確認することができる。
SPR装置用金属固定基板としては、従来公知のSPR装置に用いられる、ガラスに金属薄膜を貼り付けたチップ等の担体を用いればよい。そして、当該担体の表面上に、化学結合等によって、繰返し配列検出分子を固定すればよい。
SPR装置用金属固定基板の表面に、繰返し配列検出分子を結合する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、繰返し配列検出分子を、直接、担体に共有結合させもよく、アルキレン基、ポリエチレンオキシ基等を有するリンカー化合物を介して結合させてもよい。なお、SPR装置用の金属固定基板の表面は、繰返し配列検出分子を固定化しやすいように、表面処理してもよい(例えば、カルボキシメチルデキストラン化処理等)。
SPR装置としては、従来公知の装置を用いればよい。例えば本発明者らは、ビアコア社製(Biacore2000)のSPR装置を用いた。
〔SNP検出方法〕
本発明に係るSNP検出方法は、本発明に係る核酸増幅確認方法を用いればよい。
検出対象のSNP部位の塩基の種類に応じて、核酸増幅反応による核酸が増幅されるか否かの結果が異なるように増幅条件を設定した核酸増幅反応に、本発明に係る核酸増幅確認方法を用いることで、当該核酸におけるSNP部位の塩基の種類を、迅速、簡便、安価かつ高感度に検出できる。
つまり、本発明に係るSNP検出方法で用いるプライマーは、SNP検出対象の核酸の、SNP部位の塩基に応じて、核酸が増幅されるか否かの結果が異なるように設計されれば、限定されるものではないが、上記プライマーセットに含まれるプライマーの内、いずれか一方のプライマーの3’末端の位置が、検出対象のSNPの位置になるように設計されていることが好ましい。
プライマーの3’末端に位置する塩基と、核酸増幅反応に供する核酸とで、正常な塩基対を形成するか否かは、核酸増幅反応の進行に大きな影響を与える。よって、上記プライマーセットに含まれるプライマーの内、いずれか一方のプライマーの3’末端の位置を、検出対象のSNPの位置になるように設計することで、SNP部位の塩基の種類に応じて、核酸が増幅されるか否かの結果が異なる増幅条件を、容易に見出すことができる。
本発明に係るSNP検出方法で用いる、3’末端が検出対象のSNPの位置になるように設計されたプライマーの、当該3’末端の塩基の種類は、SNP検出の目的や、SNP部位における検出対象の塩基に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、SNP部位の塩基が、特定の塩基か、他の塩基に変異しているかを検出する場合は、当該3’末端の塩基を当該特定の塩基に相補的な塩基とすればよい。これにより、核酸が増幅されれば、当該SNP部位の塩基は当該特定の塩基であることが判定でき、核酸が増幅されなければ、当該SNP部位の塩基が当該特定の塩基とは異なる塩基に変異していることが判定できる。
また、予め、SNP部位の塩基の種類が予測可能な場合は、3’末端の塩基を当該予測される種類に相補的な塩基としたプライマーを、それぞれ用意して、それぞれのプライマーを用いた核酸増幅反応を行なえば、さらに検出結果の信頼性を向上させることができる。つまり、いずれかのプライマーを用いた核酸増幅反応では、核酸が増幅され、他のプライマーを用いた核酸増幅反応では核酸が増幅されないため、よって、さらに確実にSNP部位の塩基の種類を特定することができる。
以下に、本発明に係るSNP検出方法の一実施形態を、図3に基づいて説明する。
図3は、本実施の形態に係るSNP検出方法の原理を模式的に表した図である。なお、図3では核酸増幅反応としてPCRを用いた場合を示している。
図3(1)においてG(グアニン)が含まれている直線は、Gの位置にSNPを有する解析対象の核酸を示している。即ち、図3(1)は、3’末端に当該Gに相補的な塩基であるC(シトシン)を備えるプライマーの5’末端に、TGGを繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNAが結合した本発明に係る繰返し配列結合プライマー、及び、解析対象の核酸を含む、PCR前の反応液を示している。そして、当該反応液をPCRに供すると、伸長反応により破線方向に相補鎖が合成される。なお、図3においてnは、当該繰返し配列中に、TGGがn回繰返されていることを示している。
次いで、図3(2)に示すように、(1)で合成されたDNA鎖にリバースプライマーがアニールし、破線方向、つまり(1)と逆方向にDNA鎖が合成される。なお、ここで用いるリバースプライマーは、SNPの位置より下流側に設計されていればよい。
(1)、(2)のようにPCRが進行した結果、図3(3)に示すように、TGGを繰返し単位とする繰返し配列に相補的な、ACCを繰返し単位とする繰返し配列からなるDNA鎖が合成され、TGGを繰返し単位とする繰返し配列からなるDNAは二本鎖DNAを形成する。
図3(4)は、(1)のように、PCR前の、TGGを繰返し単位とする繰返し配列からなるDNA断片を結合した、本発明に係る繰返し配列結合プライマー、及び、解析対象の核酸を含む反応液を示している。
ここで、当該反応液を、繰返し配列検出分子2で表面修飾したSPR用金属固体基板1を備えるSPR装置に供すると、上述のように、繰返し配列検出分子2は、当該繰返し配列結合プライマー中の、近接しているTGG同士を繋ぐように結合する。そのため、PCR前の反応液に含まれる繰返し配列結合プライマーを検出することができる。
図3(5)は、PCR終了後の反応液を示している。ここで、元の繰返し配列結合プライマー中のTGGは、二本鎖DNAを形成している。そのため、当該反応液を、繰返し配列検出分子2で表面修飾したSPR用金属固体基板1を備えるSPR装置に供しても、繰返し配列検出分子2は、TGG同士を繋ぐように結合することができず、当該二本鎖DNAに結合することができない。よって、当該SPR装置では、核酸増幅反応に供された繰返し配列結合プライマーを検出することができない。従って、SPR装置により測定される繰返し配列結合プライマーの量は、図3(4)の場合に比べて少なくなる。
これにより、解析対象の核酸が有するSNPの位置の塩基は、Gであることが判定できる。
図3(6)は、3’末端にA(アデニン)を備え、3’末端に当該Gに相補的な塩基であるC(シトシン)を備えるプライマーの5’末端に、TGGを繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNAが結合した本発明に係る繰返し配列結合プライマーを、フォワードプライマーとして用いたPCRに、(1)と同じ核酸を解析対象として供した状態を表している。当該Aは、解析対象の核酸がSNPを有しており、当該SNPの位置にある塩基がT(チミン)である場合に、PCRが進行するように設計されたものである。
しかし、(6)の場合、PCRに供した核酸のSNPの位置にある塩基はTではなくGである。そのため、PCRは進行せず、当該PCR後の反応液中には、未反応の繰返し配列結合プライマーが多量に残存することとなる。
図3(7)は、(6)に示したPCRが行なわれた後の状態を表している。上述の通り、(6)においてPCRは進行していないため、本発明に係る繰返し配列結合プライマーは、未反応のまま残存している。このため、SPR用金属固体基板1上の繰返し配列検出分子2は、当該繰返し配列結合プライマー中のTGGからなる塩基配列を繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNA断片と結合し、当該SPR用金属固体基板1を備えるSPR装置によって検出される。従って、(6)に示したPCRの前後において、当該SPR装置により検出される繰返し配列結合プライマーの量はほとんど変化しない。
これにより、解析対象の核酸が有するSNPの位置の塩基は、Tではないことが判定できる。
このように、例えば、アレル特異的PCRのように、標的とする核酸がSNP等の変異を有するか否かにより、核酸が増幅されるか否かの結果が異なるように増幅条件を設定した核酸増幅反応に、本発明に係る繰返し配列結合プライマーを用いることで、当該核酸における変異の有無を、迅速、簡便、安価かつ高感度に検出できる。
(コンペティタープライマー)
本発明に係るSNP検出方法では、上述した3’末端の位置が検出対象のSNPの位置になるように設計されているプライマーに、本発明に係る繰返し配列結合プライマーを用いればよい。さらに、上記核酸増幅反応液には、コンペティタープライマーを含み、当該コンペティタープライマーの3’末端は、検出対象のSNPの位置になるように設計されており、かつ、3’末端には、上記繰返し配列結合プライマーにより、野生型核酸の増幅を目的とする場合は、変異型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基、又は、上記繰返し配列結合プライマーにより、変異型核酸の増幅を目的とする場合は、野生型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基、を有することが好ましい。
これにより、例えば、野生型核酸の増幅を目的とした繰返し配列結合プライマーを用いる場合、変異型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基を3’末端に備えたコンペティタープライマーが、優先して変異型核酸にアニールする。よって、当該繰返し配列結合プライマーが、変異型核酸にアニールすることを防ぐことができる。つまり、野生型核酸の増幅を目的とした繰返し配列結合プライマーが変異型核酸の増幅に用いられることを防ぐので、変異型核酸の増幅を、野生型核酸の増幅と誤認することを防ぐことができる。従って、SNP検出の検出結果の信頼性が向上する。
また、例えば、変異型核酸の増幅を目的とした繰返し配列結合プライマーを用いる場合、野生型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基を3’末端に備えたコンペティタープライマーが、優先して野生型核酸にアニールする。よって、上述の野生型核酸の増幅を目的とした繰返し配列結合プライマーを用いる場合と同様に、野生型核酸の増幅を、変異型核酸の増幅と誤認することを防ぐことができる。従って、SNP検出の検出結果の信頼性が向上する。
なお、本明細書において「コンペティタープライマー」とは、核酸増幅反応に用いるプライマーが、非増幅確認対象核酸にアニールする可能性があるとき、非増幅確認対象核酸に対して、当該プライマーより優先的にアニールするプライマーをいう。
また、本明細書において「野生型核酸」とは、検出対象のSNPの位置に、高い頻度で現れる塩基を有する核酸をいい、「変異型核酸」とは、検出対象のSNPの位置に、低い頻度で現れる塩基を有する核酸をいう。
本発明に係るSNP検出方法に用いるコンペティタープライマーの塩基配列の設計は、3’末端の塩基を、野生型核酸の増幅を目的とした繰返し配列結合プライマーを用いる場合は、変異型核酸のSNPの位置の塩基に相補的な塩基とし、変異型核酸の増幅を目的とした繰返し配列結合プライマーを用いる場合は、野生型核酸のSNPの位置の塩基に相補的な塩基とすればよい。
例えば、上述の図3(6)に示した繰返し配列結合プライマーであって、Aに相補的な塩基であるTを3’末端に備えた以外は、当該繰返し配列結合プライマー中のTGGの繰返し配列からなる一本鎖DNAを除いた部分と同一の塩基配列からなるように設計したプライマーは、図3(6)に示すPCRにおいてコンペティタープライマーとして用いることができる。そして、当該コンペティタープライマーは、当該繰返し配列結合プライマーより優先して、図3(6)に示したPCRに供した核酸にアニールする。よって、図3(6)に示した繰返し配列結合プライマーの一部が、図3(6)において、検出対象ではない塩基であるAを有する核酸にアニールして、PCRが進行することを防ぎ、当該SNP部位の塩基がCであるという誤認を防ぐことができる。
なお、リアルタイムPCRでは、増幅を目的としない核酸が増幅されても蛍光が検出されるため、これをSNP検出に用いても、結果の信頼性に欠ける。そのため、信頼性を向上させるために、別途、SNP部位の塩基の種類に応じて特異的にハイブリダイズする蛍光標識プローブなどを用いる必要があり、作業も煩雑となる。
しかし、コンペティタープライマーを用いた本発明に係るSNP検出方法によれば、SNP部位の塩基が、検出対象ではない塩基に変異した核酸の増幅に、繰返し配列結合プライマーが用いられることを防ぐことができる。よって、確認される核酸増幅の結果の信頼性が向上し、リアルタイムPCRよりも信頼性の高いSNP検出を、簡便に行なうことができる。
なお、コンペティタープライマーを用いれば、SNP検出のみに限らず、PCR等の核酸増幅反応において、本発明に係る繰返し配列結合プライマーが、増幅確認対象ではない核酸に、アニールすることを防ぐことができる。つまり、増幅確認対象ではない核酸の増幅を、目的の核酸増幅が得られたものと誤認することを防ぐことができる。
この場合、コンペティタープライマーの塩基配列は、増幅確認対象ではない核酸に対して、本発明に係る繰返し配列結合プライマーがアニールする恐れのある領域を含む領域に、アニールするように設計し、かつ、当該コンペティタープライマーが、当該増幅確認対象ではない核酸にアニールする領域における、当該増幅確認対象ではない核酸に対する相同性が、当該繰返し配列結合プライマーより高くなるように、設計すればよい。なお、当該繰返し配列結合プライマーがアニールする恐れのある領域の塩基配列は、既知であることが必要である。
これにより、増幅確認対象ではない核酸の増幅に、本発明に係る繰返し配列結合プライマーが用いられることを防ぐことができる。つまり、誤った核酸増幅反応に起因する、上述したバルジ構造結合蛍光分子の蛍光強度の低下を防ぐことができ、増幅確認の特異性が向上する。
〔本発明に係る試薬キット〕
本発明に係る試薬キットは、少なくとも本発明に係る繰返し配列結合プライマーを含めばよい。
さらに、本発明に係る試薬キットには、既知のSNP情報に基づき、特定のSNPを検出可能な、本発明に係る繰返し配列結合プライマーを含んでいてもよいし、上述したNC等の繰返し配列検出分子を含んでもよい。また、上述したコンペティタープライマーを含んでもよい。
また、キットの構成としては上記挙げたものに限定されるものではなく、他の試薬や器具を含んでもよい。例えば、PCR関連試薬・器具(DNAポリメラーゼ、dNTP、PCR用バッファー、PCR用チューブ等)、増幅核酸精製用試薬・器具を含んでもよいし、繰返し配列結合プライマーを安定的に保持するための試薬や緩衝液、繰返し配列検出分子を安定的に保持するための試薬や緩衝液を含んでもよい。
上記の何れの構成であっても、核酸増幅反応における核酸増幅の確認を行なうために好ましい薬剤等が含まれている。そのため、本発明に係る試薬キットを用いることで、核酸増幅反応における核酸増幅の確認を容易かつ迅速に実施することができ、本発明を臨床検査産業や医薬品産業等の産業レベルで利用することが可能となる。
また、本発明に係る試薬キットの提供形態は、本発明に係る繰返し配列検出分子、繰返し配列検出分子、その他の試薬全てを、適切な容量及び/又は形態で含有した一つの容器として提供してもよいし、それぞれ別の容器により提供してもよい。また、本発明に係る試薬キットには、核酸増幅反応における核酸増幅の確認を行なうための手順等を記載した説明書を含んでもよい。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
〔実施例1;NCによるTGG繰返し配列の検出〕
本実施例では、NCが、TGGの繰返し配列からなる一本鎖DNA断片に結合することを確認した。
一本鎖DNA断片としては、TGGが、連続して10回繰返した塩基配列のみからなる一本鎖DNA断片を用いた。なお、以下、TGGが、連続してn回繰返した塩基配列のみからなる一本鎖DNA断片を「d(TGG)」と表記する。即ち、本実施例では、d(TGG)10を用いた。また、以下の実施例に示す「d(TGG)」は、全てビアコア社製のものを用いており、予めHBS緩衝液に溶解されている。
まず、d(TGG)10 10μM、塩化ナトリウム 100mMを含むカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に、NCを、d(TGG)10の3倍量(30μM)となるように添加した溶液、及び、d(TGG)10の6倍量(60μM)となるように添加した溶液を調製した。
次に、25℃で、それぞれの溶液のCDスペクトルを測定した。その結果を図4に示す。図4において、実線は、NCを添加する前の溶液を、CDスペクトルに供した結果を示し、TGG10−3NCと付した破線は、d(TGG)10の3倍量のNCを添加した溶液をCDスペクトルに供した結果を示し、TGG10−6NCと付した破線は、d(TGG)10の6倍量のNCを添加した溶液をCDスペクトルに供した結果を示す。なお、CDスペクトルの測定には、日本分光社製J−725を用いた。
図4に示すように、二つの破線で示すスペクトルは共に、実線で示すスペクトルと比べて大きく変化した。これにより、NCがd(TGG)10に結合することが確認された。
〔実施例2;結合したNC及びTGGの繰返し配列からなるDNA断片の融解温度〕
本実施例では、結合したNC及びTGGの繰返し配列からなるDNA断片の融解温度を、d(TGG)、d(TGG)、d(TGG)10を用いて確認した。
まず、d(TGG)、d(TGG)、d(TGG)10を、それぞれ、5μMとなるように、塩化ナトリウム 100mMを含むカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に溶解した。得られた溶液のそれぞれに、NCが100μMとなるように添加した。次に、それぞれの溶液を、1分間に1℃の割合で昇温させながら、260nmの吸光度を測定した。同様に、NCを添加する前の、それぞれの溶液についても、1分間に1℃の割合で昇温させながら、260nmの吸光度を測定した。
この結果を図5に示す。図5において、縦軸は吸光度を示し、横軸は温度(℃)を示す。また、TGG4、TGG6、TGG10と付した実線又は破線は、それぞれ、NCを添加する前の、d(TGG)、d(TGG)、d(TGG)10の溶液の吸光度を示し、TGG4−NC、TGG6−NC、TGG10−NCと付した破線は、それぞれ、NCを添加したd(TGG)、d(TGG)、d(TGG)10の溶液の吸光度を示す。
図5に示すように、NCを添加した溶液では融解温度が観測された。観測された融解温度は、NCを添加したd(TGG)、d(TGG)、d(TGG)10で、それぞれ、77.6℃、85℃、92℃であった。
〔実施例3;SPRチップへのNCの固定〕
本実施例では、NCにリンカー化合物を結合した上で、NCをSPRチップ(SPR用金属固体基板)に固定した。
図6に、NCをリンカー化合物に結合するまでの反応を模式的に示す。
図6に示すように、まず、NCと、Boc基で保護したリンカー化合物及びシアノホウ素化ナトリウムとを反応させた。具体的には、NC0.01mmolを含むメタノール溶液を、少量の酢酸を用いてpH7に調整した後、リンカー化合物0.013mmol、シアノホウ素化ナトリウム5mg(0.065mmol)を添加して攪拌した。
次に、当該攪拌後の溶液を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離した。当該分離により得た物質を酢酸エチルに溶解後、4M塩酸の酢酸エチル溶液を添加して攪拌することで、Boc基を外して、NC−リンカー化合物を得た。
得られたNC−リンカー化合物を、SPRチップ(ビアコア社製;CM5)に、アミンカップリングキット(ビアコア社製)を用いて、固定化した。これによりNC固定化SPRチップを得た。なお、当該SPRチップは、予め、表面がカルボキシメチルデキストランで修飾された状態で市販されていた。
〔実施例4;NC固定化SPRチップを用いた、TGG繰返し配列の検出〕
本実施例では、実施例3で得たNC固定化SPRチップを用いて、TGG繰返し配列からなる一本鎖DNA断片の検出を行なった。実施例3で得たNC固定化SPRチップは、SPR装置(ビアコア社製;Biacore2000)に設置して用いた。
まず、d(TGG)、d(TGG)、d(TGG)10を100nM含むHBS緩衝液、及び、d(TGG)、d(TGG)、d(TGG)10を1μM含むHBS緩衝液を調製した。
次に、SPR装置による測定開始後90秒後から210秒後までの間、調製したそれぞれのHBS緩衝液を、NC固定化SPRチップの表面上に流した。その後、d(TGG)、d(TGG)、d(TGG)10を含まない新鮮なHBS緩衝液を、当該NC固定化SPRチップ上に流した。この結果を図7及び図8に示す。
図7及び図8において、縦軸はNCと結合した物質の量を示し、横軸は測定開始から経過した時間を示す。また、図7及び図8において、TGG4と付した破線、TGG6と付した破線、TGG10と付した実線は、それぞれ、d(TGG)、d(TGG)、d(TGG)10を含むHBS緩衝液を、当該SPR装置に供した結果を示す。また、図7は100nM、図8は1μMの濃度の、d(TGG)、d(TGG)、d(TGG)10を含むHBS緩衝液を、当該SPR装置に供した結果を示す。
図7及び図8に示すように、d(TGG)10を用いた場合に、最も検出感度が良いことが示された。また、図8に示すように、d(TGG)10は、100nMで検出可能であることが示された。なお、測定開始後210秒後から、NCと、d(TGG)、d(TGG)、又はd(TGG)10とが解離していく様子が確認された。
〔実施例5;PCR前後の、NCによるTGG繰返し配列の検出〕
本実施例では、TGG繰返し配列からなる一本鎖DNA断片を結合したプライマーを用いたPCR前後に、NCを用いて当該TGG繰返し配列の検出を行なった。
PCRの条件は、以下の通りである。
PCR反応液は全量を50μlとし、PCRの鋳型DNAとしてpUC18(GenBank Accession Number L09136)を2pg、フォワードプライマーを1μM、リバースプライマーを2μM、Taq PCR Master Mix Kit(QIAGEN社製)に付属のTaq DNA Polymerase 2μlを混合し、残部はHOとした。リバースプライマーとしては、配列番号1に示される塩基配列からなるDNAを用いた。フォワードプライマーについては後述する。
PCRの温度条件は、95℃で5分間静置した後、95℃6秒、55℃15秒、75℃30秒のサイクルを35回繰り返し、75度で7分間静置して、その後4℃で保存した。
NCによるTGG繰返し配列の検出には、実施例3で得たNC固定化SPRチップを備えたSPR装置(ビアコア社製;Biacore2000)を用いた。
SPR装置には、PCR反応液を、HBS緩衝液で4倍に希釈した溶液を供した。具体的には、測定開始後90秒後から210秒後までの間、4倍に希釈したPCR反応液を、NC固定化SPRチップの表面上に滴下した。その後、新鮮なHBS緩衝液を、当該NC固定化SPRチップ上に滴下した。
(TGG繰返し配列を含まない塩基配列からなるプライマーを用いた検討)
フォワードプライマーとして、配列番号2に示される塩基配列からなるDNA(以下、当該プライマーを「WT」と表記する)を用いて、上述の条件にてPCRを行なった。
PCR前後のPCR反応液を、それぞれ、上述の方法でSPR装置に供した。その結果を図9に示す。図9において、縦軸はNCと結合した物質の量を示し、横軸は測定開始後に経過した時間を示す。また、図9において、Tと付した実線は、PCR前のPCR反応液を、T−PCRと付した破線は、PCR後のPCR反応液を、それぞれ、当該SPR装置に供した結果を示す。
図9に示すように、PCRの前後で、SPR装置による測定の結果は、ほとんど変化しなかった。
(TGG繰返し配列を含む塩基配列からなるプライマーを用いた検討−1)
フォワードプライマーとして、配列番号3に示される塩基配列からなるDNA(以下、当該プライマーを「WT(TGG)10」と表記する)を用いて、pUC18を混合しなかった以外は、上述の条件にてPCRを行なった。なお、WT(TGG)10は、WTの5’末端に、TGGを10回連続して繰返した塩基配列からなるDNAを連結したものである。
PCR前後のPCR反応液を、それぞれ、上述の方法でSPR装置に供した。その結果を図10に示す。図10において、縦軸はNCと結合した物質の量を示し、横軸は測定開始後に経過した時間を示す。また、図10において、TGG10−0と付した実線は、PCR前のPCR反応液を、TGG10−0−PCRと付した破線は、PCR後のPCR反応液を、それぞれ、当該SPR装置に供した結果を示す。
図10に示すように、PCRの前後で、SPR装置による測定の結果は、ほとんど変化しなかった。
(TGG繰返し配列を含む塩基配列からなるプライマーを用いた検討−2)
フォワードプライマーとして、WT(TGG)10を用いて、上述の条件にてPCRを行なった。
PCR前後のPCR反応液を、それぞれ、上述の方法でSPR装置に供した。その結果を図11に示す。図11において、縦軸はNCと結合した物質の量を示し、横軸は測定開始から経過した時間を示す。また、図11において、実線は、PCR前のPCR反応液を、破線は、PCR後のPCR反応液を、それぞれ、当該SPR装置に供した結果を示す。
図11に示すように、PCRの前に比べて、PCRの後の方が、NCと結合した物質の量が少ないことが確認された。これは、PCRが進行したことにより、当該フォワードプライマー中のTGGの繰返し配列からなる一本鎖DNAが、二本鎖DNAを形成したことで、NC固定化SPRチップ上のNCと結合しなかったことを示している。
(PCRの進行の確認)
8重量%未変性ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動により、PCRの進行を確認した。
電気泳動には、フォワードプライマーとしてWTを用い、PCR反応液にpUC18を混合せずにPCRを行なった後のPCR反応液(サンプル1)、フォワードプライマーとしてWT(TGG)10を用いてPCRを行なった後のPCR反応液(サンプル2)、フォワードプライマーとしてWTの5’末端に、TGGを6回連続して繰返した配列からなるDNA断片を結合したDNA(以下、当該プライマーを「WT(TGG)」と表記する)を用いて、PCR反応液にpUC18を混合せずにPCRを行なった後のPCR反応液(サンプル3)、フォワードプライマーとしてWT(TGG)を用いてPCRを行なった後のPCR反応液(サンプル4)、フォワードプライマーとしてWT(TGG)10を用いて、PCR反応液にpUC18を混合せずにPCRを行なった後のPCR反応液(サンプル5)、フォワードプライマーとしてWT(TGG)10を用いてPCRを行なった後のPCR反応液(サンプル6)を、それぞれ供した。なお、ここに示した構成以外のPCR条件は、上述のPCR条件と同じ条件でとした。
電気泳動は、トリスほう酸EDTA緩衝液中で行ない、電圧100Vを5分間印加した後、150Vを35分間印加した。また、電気泳動後のゲルの染色には、SYBR Green(登録商標) lを用いた。染色後、デジタルビデオカメラにより撮影した。結果を図12に示す。図12において、0を付したレーンはDNAラダー(ladder)を示し、1〜6を付したレーンは、それぞれ、上述のサンプル1〜6に対応している。また、7、8と付したレーンは、共に、WT(TGG)のみを、電気泳動に供した結果を示す。
図12に示すように、レーン2、4、6に供したサンプルでは、PCRが進行していたことが確認された。
〔実施例6;アレル特異的PCR〕
本実施例では、本発明に係る核酸増幅確認方法を、アレル特異的PCRに適用することで、鋳型DNA上の一塩基の変異を検出した。
フォワードプライマーとして、配列番号2〜5に示される塩基配列からなるDNAを、それぞれ用いた以外は、実施例5に記載の方法と同様にしてPCRを行ない、SPR装置に供した。結果を図13〜15に示す。
図13は配列番号2、図14は配列番号4、図15は配列番号3、図16は配列番号5に示される塩基配列からなるDNAを、それぞれフォワードプライマーとして用いたPCRの前後の、PCR反応液をSPR装置に供した結果を示す。なお、図13〜16において、縦軸はNCと結合した物質の量を示し、横軸は測定開始後に経過した時間を示す。また、図13〜16において、実線は、PCR前のPCR反応液を、破線は、PCR後のPCR反応液を、それぞれ、当該SPR装置に供した結果を示す。
なお、配列番号4に示される塩基配列は、配列番号2に示される塩基配列の3’末端の塩基をCからAに置換した以外は同じ塩基配列である(以下、当該塩基配列からなるプライマーを「MU」と表記する)。また、配列番号5に示される塩基配列は、配列番号3に示される塩基配列の3’末端の塩基をCからAに置換した以外は同じ塩基配列である(以下、当該塩基配列からなるプライマーを「MU(TGG)10」と表記する)。
図13、14、16では、PCRの前後でSPR装置による測定の結果が、ほとんど変化しなかったことに対し、図15では、PCRの前に比べて、PCRの後の方が、NCと結合した物質の量が少ないことが確認された。この結果から、フォワードプライマーとして、WT(TGG)10を用いたPCRの結果と、MU(TGG)10を用いたPCRの結果とを比較することで、それぞれのプライマーの3’末端に相当する位置の、pUC18上の塩基が、Gであることが確認できた。
なお、WT、WT(TGG)10、MU、MU(TGG)10を、それぞれフォワードプライマーとして用いたPCRを行なった後の、PCR反応液を、実施例5に記載の方法と同様にして電気泳動に供した。結果を図17に示す。図17において、0を付したレーンはDNAラダー(ladder)を示し、1〜4を付したレーンは、それぞれ、WT、WT(TGG)10、MU、MU(TGG)10を、それぞれフォワードプライマーとして用いたPCRを行なった後の、PCR反応液を、電気泳動に供した結果を示している。
図17に示したように、フォワードプライマーとしてWT及びWT(TGG)10を用いたPCRでは、PCRが進行していたことが示された。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係る核酸増幅確認方法は、遺伝子解析や遺伝子をモニタリングすることにより行われるバイオアッセイなど、PCRを用いるあらゆる産業で利用可能である。また、本発明に係るSNP解析方法は、テーラーメード医療における臨床検査産業や医薬品産業等などに利用可能である。
本発明の一実施の形態の、XGGの繰返し配列からなる一本鎖DNAとNCとが結合する原理を模式的に表した図である。 本発明の一実施の形態の核酸増幅確認方法の原理を模式的に表した図である。 本発明の一実施の形態のSNP解析方法の原理を模式的に表した図である。 実施例において、NCとTGGの繰返し配列からなる一本鎖DNA断片との結合を、CDスペクトルにより測定した結果を示す図である。 実施例において、結合した、NC及びTGGの繰返し配列からなる一本鎖DNA断片の融解温度を観測した結果を示す図である。 実施例において、NC−リンカー化合物を得るまでの、反応を模式的に示す図である。 実施例において、NC固定化SPRチップを用いて、TGG繰返し配列からなる一本鎖DNA断片を検出した結果を示す図である。 実施例において、NC固定化SPRチップを用いて、TGG繰返し配列からなる一本鎖DNA断片を検出した結果を示す図である。 実施例において、TGG繰返し配列からなる一本鎖DNA断片を結合していないプライマーを用いたPCR前後に、NCを用いて当該プライマーの検出を試みた結果を示す図である。 実施例において、TGG繰返し配列からなる一本鎖DNA断片を結合したプライマーを用いたPCR前後に、NCを用いて当該プライマーの検出を試みた結果を示す図である。 実施例において、TGG繰返し配列からなる一本鎖DNA断片を結合したプライマーを用いたPCR前後に、NCを用いて当該プライマーの検出を試みた結果を示す図である。 実施例において、電気泳動によりPCRの進行を確認した結果を示す図である。 実施例において、本発明に係る核酸増幅確認方法を、アレル特異的PCRに適用することで、鋳型DNA上の一塩基の変異を検出した結果を示す図である。 実施例において、本発明に係る核酸増幅確認方法を、アレル特異的PCRに適用することで、鋳型DNA上の一塩基の変異を検出した結果を示す図である。 実施例において、本発明に係る核酸増幅確認方法を、アレル特異的PCRに適用することで、鋳型DNA上の一塩基の変異を検出した結果を示す図である。 実施例において、本発明に係る核酸増幅確認方法を、アレル特異的PCRに適用することで、鋳型DNA上の一塩基の変異を検出した結果を示す図である。 実施例において、電気泳動によりPCRの進行を確認した結果を示す図である。
符号の説明
1 SPR用金属固体基板
2 繰返し配列検出分子

Claims (13)

  1. XGG(XはA、T、C及びGのうち、いずれか一つの塩基)を繰返し単位とする繰返し配列からなる一本鎖DNA断片の3’末端に、核酸増幅反応に用いるプライマーを結合していることを特徴とする繰返し配列結合プライマー。
  2. 上記繰返し単位は、TGGであることを特徴とする請求項1に記載の繰返し配列結合プライマー。
  3. 上記繰返し配列中には、TGGが5〜15回繰返されていることを特徴とする請求項1に記載の繰返し配列結合プライマー。
  4. 核酸増幅反応における核酸増幅を確認する方法であって、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の繰返し配列結合プライマーを、少なくとも一方のプライマーとするプライマーセットを含む核酸増幅反応液を調製する工程と、
    繰返し配列検出分子を用いて、核酸増幅反応前の当該繰返し配列結合プライマーの量を測定する反応前繰返し配列結合プライマー測定工程と、
    核酸増幅反応を行なう工程と、
    繰返し配列検出分子を用いて、核酸増幅反応終了後の当該繰返し配列結合プライマーの量を測定する反応後繰返し配列結合プライマー測定工程とを含むことを特徴とする核酸増幅確認方法。
  5. 上記繰返し配列検出分子は、下記式(1)
    ((1)中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、あるいは炭素数1〜5の炭化水素基の1つ以上の炭素原子が窒素原子および/または酸素原子で置換されている有機基を示し、Rは炭素数1〜5の炭化水素基を置換基として有するまたは有しない炭素数4〜6のアルキレン基あるいは炭素数1〜5の炭化水素基を置換基として有するまたは有しない炭素数4〜6のアルキレン基であって該アルキレン基骨格を構成する1つ以上の炭素原子が酸素原子若しくはイオウ原子で置換されている有機基を示す。)
    で表される化合物であることを特徴とする請求項4に記載の核酸増幅確認方法。
  6. 上記繰返し配列検出分子は、下記式(2)
    で表される化合物であることを特徴とする請求項4に記載の核酸増幅確認方法。
  7. 上記繰返し配列結合プライマーの量の測定は、上記繰返し配列検出分子で表面を修飾したSPR用金属固体基板を備えるSPR装置を用いることを特徴とする請求項4に記載の核酸増幅確認方法。
  8. 上記核酸増幅反応はPCRであることを特徴とする請求項4に記載の核酸増幅確認方法。
  9. 請求項4〜8のいずれか1項に記載の核酸増幅確認方法を用いることを特徴とするSNP検出方法。
  10. 上記プライマーセットに含まれるプライマーの内、いずれか一方のプライマーの3’末端の位置が、検出対象のSNPの位置になるように設計されていることを特徴とする請求項9に記載のSNP検出方法。
  11. 上記3’末端の位置が検出対象のSNPの位置になるように設計されているプライマーに繰返し配列結合プライマーを用いることを特徴とする請求項10に記載のSNP検出方法。
  12. 上記核酸増幅反応液には、コンペティタープライマーを含み、
    当該コンペティタープライマーの3’末端は、検出対象のSNPの位置になるように設計されており、かつ、3’末端には、
    上記繰返し配列結合プライマーにより、野生型核酸の増幅を目的とする場合は、変異型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基、又は、
    上記繰返し配列結合プライマーにより、変異型核酸の増幅を目的とする場合は、野生型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基、を有することを特徴とする請求項11に記載のSNP検出方法。
  13. 核酸増幅反応における核酸の増幅を確認するための試薬キットであって、少なくとも請求項1〜3のいずれか1項に記載の繰返し配列結合プライマーを含むことを特徴とする試薬キット。
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