JP4873427B2 - 核酸の増幅反応に用いるヘアピンプライマー及びその利用 - Google Patents

核酸の増幅反応に用いるヘアピンプライマー及びその利用 Download PDF

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Description

本発明は、核酸の増幅反応に用いるプライマーの5’末端に結合して用いるDNA断片、及びその利用に関するものである。さらに詳しくは、核酸の増幅を容易に確認するためにプライマーの5’末端に結合するDNA断片、それを利用したヘアピンプライマー、核酸増幅確認方法、SNP検出方法及び当該DNA断片を含む試薬キットに関するものである。
PCR(Polymerase Chain Reaction)などの、特定の核酸を増幅する手法はバイオテクノロジーにおける様々な分野で応用されている(以下、本明細書において、PCR等の、核酸を増幅する反応を「核酸増幅反応」と表記する。)。
一般に、PCRなどの核酸増幅反応では、標的とする核酸が特異的に増幅されたか否かを確認する工程が必要である。(なお、本明細書において、PCRなどの核酸増幅手段による核酸の増幅を、単に「核酸増幅」と表記する。)
核酸増幅を確認する方法としては、例えば、PCRなどの核酸増幅反応に供した後の反応液を、ポリイミドなどのゲルを用いてゲル電気泳動に供した後、PCR増幅により得られたDNA断片を染色することにより行なう方法がある。
また、核酸増幅反応に供した後の反応液の濁度を測定することにより増幅を確認する方法、増幅対象の核酸に特異的に結合するプローブを備えたマイクロアレイを用いる方法、二本鎖DNAに結合する蛍光標識プローブや、目的とするPCR産物に特異的に結合する蛍光標識プローブを用いて、リアルタイムに増幅を確認するリアルタイムPCR等も、従来、核酸増幅反応における核酸増幅の確認を行なう方法として用いられている。
PCR等の核酸増幅反応は、例えば、一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism;以下「SNP」と表記する。)の解析にも用いられており、上述のような核酸増幅の確認方法が用いられている。
特許文献1では、解析対象のSNP部位を含む染色体又はその断片に、野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマーを、同時に又は別々にDNAポリメラーゼと共に作用させ、プライマーに基づく伸長の有無を調べる解析方法が提案されており、増幅した核酸を確認する方法として、電気泳動が用いられている。
また、特許文献2では、SNP部位を含む基準配列用及び変異配列用の2種の特異的プライマーとユニバーサルプライマーとを用いて、目的配列部分を増幅するSNP解析方法が提案されており、特許文献1と同様に、得られた反応液を電気泳動に供することで、増幅産物の有無を確認している。
特許文献3では、解析対象のゲノムDNAと複数対のプライマーとを用いて、SNP部位を含む核酸を増幅し、タイピングを行なう方法が提案されている。そして、得られた増幅産物に対して、標識化したプローブ等を用いてハイブリダイゼーションすることなどにより、上記タイピングが行われている。
SNP解析を迅速かつ簡便に行なうことができれば、例えば、患者のベッドサイド等で最適な治療法、投薬法などを診断するテーラーメード医療が可能となり、有力なPOC(Point Of Care)技術となるため、そのためにも、さらに迅速かつ簡便に核酸増幅反応後の核酸増幅を確認する方法が望まれている。
国際公開第01/042498号パンフレット(公開日:2001年6月14日) 日本国公開特許公報「特開2003−52372号公報(公開日:2003年2月25日)」 日本国公開特許公報「特開2002−300894号公報(公開日:2002年10月15日公開)」
〔発明が解決しようとする課題〕
上述したPCRなどの核酸増幅反応において、核酸の増幅が得られたか否かの確認は、煩雑な作業や長時間を要し、高コストであるという問題を有している。
核酸増幅反応に供された後の反応液を電気泳動した後、増幅した核酸断片を染色するという方法は、電気泳動および染色に長時間を要する。また、電気泳動装置、電気泳動に用いるゲル、染色用試薬等が必要であるため、高コストである。
また、核酸増幅反応に供した後の反応液の濁度を測定することにより増幅を確認する方法は、極めて大量に核酸増幅産物を得る必要があるため、増幅条件の設定が煩雑であり、微量のサンプルに対して適用できないなどの課題がある。
DNAマイクロアレイを用いる方法は、マイクロアレイ上のプローブに蛍光標識等を施す必要があり、また高価なチップを作製する必要がある。
リアルタイムPCRにおいても蛍光標識したプローブ等が必要であり、さらに、リアルタイムPCRを実施するための装置や試薬も高価である。
例えば、上記特許文献1及び2に係る方法においても、電気泳動した後、PCRで増幅したDNA断片を染色することにより、PCR増幅の確認を行なう必要がある。このため、上述したように長時間を要するという問題や高コストであるとの問題がある。また、特許文献3においては、プライマーの他に、別途、標的ゲノムにハイブリダイズさせるプローブが必要であり、さらに当該プローブを蛍光標識させるなどの化学修飾が必要であるなど、タイピングのための条件の検討が複雑である。
核酸増幅反応を用いないSNP解析方法も提案されているが、もともと、SNPを解析する方法は、莫大な数のサンプル(被検体)のSNPを網羅的に探索する技術の延長として開発が進められてきた。そのため、患者から採取した血液を、SNP解析する設備がある検査センターなどの検査施設まで持ち帰ることが必要となる。これでは、長時間を要し、簡易かつ迅速にSNP解析をすることは不可能であり、POC技術としては全く不十分である。さらに、近年脅威となりつつあるウィルス感染の診断の場合、感染後いかに短時間で診断できるかが、治療による患者の回復に極めて重要となる。このような場合は、採血後すぐに診断することが必要となる。
以上のように、PCRなどの核酸増幅反応は、その増幅の確認に煩雑な作業や長時間を要する。そのため、迅速、簡便、安価にその増幅の確認を行なうことが可能な方法が望まれている。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、核酸増幅反応における増幅を、迅速、簡便、安価に確認する方法を実現し、ひいては迅速、簡便、安価なSNP解析方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
発明者らは、上記課題の解決のため、鋭意検討を行なった。その結果、核酸増幅反応に用いるプライマーの5’末端に、ヘアピン構造を形成し、かつヘアピン構造中にバルジ構造を有するDNA断片を結合したヘアピンプライマーを用いて核酸増幅反応を行なえば、ヘアピンプライマーは相補鎖の伸長によりヘアピン構造が解消され、その結果バルジ構造が消失することを見出し、バルジ構造結合分子を用いて反応前後のバルジ構造の量を検出、比較することで核酸の増幅を容易に確認することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係るDNA断片は、上記課題を解決するために、ヘアピン構造を形成する一本鎖DNA断片であって、ヘアピン構造中にバルジ構造を有し、核酸増幅反応に用いるプライマーの5’末端に結合して用いることを特徴としている。
また、本発明に係るDNA断片では、上記バルジ構造が、複数存在することがより好ましい。
また、本発明に係るDNA断片では、上記バルジ構造が、シトシンバルジ構造であることがより好ましい。
また、本発明に係るDNA断片では、上記シトシンバルジ構造が、上記シトシンバルジ構造が、上記一本鎖DNA断片中のチミン−シトシン−チミン配列におけるチミンと、アデニン−アデニン配列におけるアデニンとが、チミン−アデニン塩基対で分子内対合することにより形成されることがより好ましい。
また、本発明に係るDNA断片は、配列番号1〜5のいずれか1つに示される塩基配列からなることがより好ましい。
本発明に係るヘアピンプライマーは、上記課題を解決するために、上記の本発明に係るDNA断片の3’末端に、核酸増幅反応に用いるプライマーを結合していることを特徴としている。
また、上記核酸増幅反応は、PCRであることがより好ましい。
本発明に係る核酸増幅確認方法は、上記課題を解決するために、核酸増幅反応における核酸増幅を確認する方法であって、上記本発明に係るヘアピンプライマーを少なくとも一方のプライマーとするプライマーセットを含む核酸増幅反応液を調製する工程と、バルジ構造結合分子を用いて、上記核酸増幅反応液中のヘアピンプライマーの量を測定する反応前ヘアピンプライマー測定工程と、核酸増幅反応を行なう工程と、バルジ構造結合分子を用いて、核酸増幅反応終了後の上記核酸増幅反応液中のヘアピンプライマーの量を測定する反応後ヘアピンプライマー測定工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明に係る核酸増幅確認方法では、上記バルジ構造結合分子が、ナフチリジン環を有する化合物であることがより好ましい。
また、本発明に係る核酸増幅確認方法では、上記ナフチリジン環を有する化合物が、下記式(1)
(R、Rは、それぞれ独立して、第1級アミン残基、第2級アミン残基又は第3級アミン残基を示す。)で示される2,7‐ジアミノナフチリジン誘導体であることがより好ましい。
また、本発明に係る核酸増幅確認方法では、上記2,7‐ジアミノナフチリジン誘導体が、下記式(2)
で示される2,7−ジアミノ‐1,8‐ナフチリジンであることがより好ましい。
また、本発明に係る核酸増幅確認方法では、上記反応前ヘアピンプライマー測定工程は、上記核酸増幅反応液に上記バルジ構造結合分子を添加して行ない、さらに当該核酸増幅反応液をそのまま核酸増幅反応に供することがより好ましい。
本発明に係るSNP検出方法は、上記課題を解決するために、上記の本発明に係る核酸増幅確認方法を用いることを特徴としている。
また、本発明に係るSNP検出方法は、上記プライマーセットに含まれるプライマーの内、いずれか一方のプライマーの3’末端の位置が、検出対象のSNPの位置になるように設計されていることがより好ましい。
また、本発明に係るSNP検出方法は、上記3’末端の位置が検出対象のSNPの位置になるように設計されているプライマーにヘアピンプライマーを用いることが好ましい。
また、本発明に係るSNP検出方法は、上記核酸増幅反応液には、コンペティタープライマーを含み、当該コンペティタープライマーの3’末端は、検出対象のSNPの位置になるように設計されており、かつ、3’末端には、上記ヘアピンプライマーにより、野生型核酸の増幅を目的とする場合は、変異型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基、又は、上記ヘアピンプライマーにより、変異型核酸の増幅を目的とする場合は、野生型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基、を有することがより好ましい。
本発明に係る試薬キットは、上記課題を解決するために、核酸増幅反応における核酸の増幅を確認するための試薬キットであって、少なくとも本発明に係るDNA断片を含むことを特徴としている。
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明によって明白になるであろう。
本発明の一実施の形態の核酸増幅確認方法の原理を模式的に表した図である。 本発明の一実施の形態のSNP解析方法の原理を模式的に表した図である。 実施例において用いた本発明に係るヘアピンプライマーのプライマー名、塩基配列及びその構造を模式的に表す図である。 実施例において、PCR前後における蛍光強度を比較した図である。 実施例において、シトシンバルジ構造を形成する配列によって、バルジ構造結合蛍光分子が発光する蛍光強度の相違を比較した結果を表す図である。 実施例において、PCRサイクルの回数と、バルジ構造結合蛍光分子による蛍光強度との関係を比較した結果を表す図である。 実施例において、リバースプライマーとして、M13RV、takei 5、takei 18及びtakei 18-4をそれぞれ用いたPCRにより得られたPCR産物を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した結果を示す図である。 実施例において用いた本発明に係るヘアピンプライマーのプライマー名、塩基配列及びその構造を模式的に表す図である。 実施例において、本発明に係るヘアピンプライマーを用いたアレル特異的PCRによる、PCRサイクル数と核酸の増幅効率との関係を比較した結果を示す図である。 実施例において、リバースプライマーとして、takei18-4、takei18-4A、takei18-4G、takei18-4T、M13RVをそれぞれ用いたPCRにより得られたPCR産物を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した結果を示す図である。 実施例において、本発明に係るヘアピンプライマーを用いたアレル特異的PCRに、さらにコンペティタープライマーを用いた場合の、PCRサイクル数と核酸の増幅効率との関係を比較した結果を示す図である。 実施例において、リバースプライマー及びコンペティタープライマーとして、takei18-4及びM13RVA、takei18-4A及びM13RVを用いたPCRにより得られたPCR産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した結果を示す図である。
符号の説明
1 バルジ構造結合蛍光分子
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下のとおりである。しかし、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更して実施することができる。
〔本発明に係るDNA断片〕
本発明に係るDNA断片は、ヘアピン構造を形成する一本鎖DNA断片であって、ヘアピン構造中にバルジ構造を有するものであればよく、これを核酸増幅反応に用いるプライマーの5’末端に結合して用いればよい。
本発明に係るDNA断片が有するヘアピン構造は、一本鎖のDNAが分子内で対合して、DNAの弧状領域と二本鎖領域が形成されることによりなる。そして、本発明に係るDNA断片は、当該二本鎖領域中にバルジ構造を有する。
本発明に係るDNA断片の有するヘアピン構造を構成する塩基の数は、DNAの弧状領域及び二本鎖領域を形成し、さらに当該二本鎖領域中にバルジ構造を有する限り、限定されるものではないが、24〜33であることが好ましく、さらに好ましくは24〜28である。24以上であれば、DNAの弧状領域、二本鎖領域及びバルジ構造を好適に形成することができ、33以下であれば、核酸増幅反応に影響を及ぼさない。
また、上記弧状領域のDNAを構成するDNAの塩基配列は、弧状領域の形成が可能である限り、特に限定されるものではないが、構成する塩基の数は、3〜7が好ましく、さらに好ましくは4である。そして、4個の塩基により上記弧状領域が形成される場合、その配列は、TTTTからなる配列であることが好ましい。TTTTによる弧状領域を備えるヘアピン構造は、核酸増幅反応において良好に伸長されるからである。
本発明に係るDNA断片の塩基配列は、以下のようにして設計すればよい。
例えばCCAAXXXXTTGG(Xは任意の塩基)のように、任意の塩基配列の両端に、互いに対合可能な塩基配列を設計する。そして、CCAA又はTTGG中の任意の位置にバルジ塩基が含まれるように設計する。このように設計することにより、XXXXが湾曲して弧状領域を形成し、CCAAとTTGGとがハイブリダイズして二本鎖領域を形成し、当該バルジ塩基が含まれることでバルジ構造が形成される。
つまり、弧状領域を形成するDNAに対応する塩基配列の両端に、互いにハイブリダイズ可能な塩基配列を設計し、ハイブリダイズする領域の塩基配列にバルジ塩基が含まれるように設計する。このように設計した塩基配列に基づいてDNA断片を合成することで本願発明に係るDNA断片を得ることができる。なお、DNA断片の合成は、従来公知の方法、装置を用いて行なえばよく、例えば化学合成により合成すればよい。
なお、上の例では、本発明に係るDNA断片が、DNAの弧状領域と、バルジ構造を含む二本鎖領域とにより形成されるヘアピン構造のみからなる場合について説明した。この例のように、本発明に係るDNA断片はヘアピン構造のみからなることが最も好ましいが、ヘアピン構造の3’末端及び/又は5’末端に、さらなる核酸が連結していてもよい。当該さらなる核酸を含む場合は、その塩基の数は、3’末端、5’末端それぞれにおいて、1〜20であることが好ましい。この範囲であれば、核酸増幅反応に影響を及ぼさない。
本明細書において「バルジ構造」とは、DNAの二本鎖領域において、一方の鎖のDNAに、余剰の塩基が存在するために生じるふくらみ(バルジ)をいう。例えば、TCT部分とAA部分とを有するDNA断片が折れ曲がってヘアピン構造を形成し、上記TCT部分とAA部分とが向かい合う位置となった場合、TCT部分の二つのTとAA部分の二つのAとがそれぞれ対合する。その結果、当該二つのTの間に存在するCは対合する塩基が無いため、当該Cの部分が膨らむこととなる。この膨らんだ構造がバルジ構造である。なお、この例のように余剰の塩基がC(シトシン)であることにより形成されるバルジ構造を、本明細書において「シトシンバルジ構造」と表記する。A(アデニン)、G(グアニン)、T(チミン)についても同様に、「アデニンバルジ構造」等と表記する。また、本明細書において「バルジ塩基」とは、バルジ構造中の余剰の塩基をいう。
(バルジ構造の数)
本発明に係るDNA断片が有するバルジ構造の数は、1つのみでもよいが、複数であることが好ましく、さらに好ましくは、2〜4個である。バルジ構造を複数備えることで、後述するバルジ構造結合分子が結合可能な部位が増えるため、高感度な上記ヘアピンプライマーの検出が可能となる。
バルジ構造を複数備える場合、隣り合うバルジ塩基の間には、好ましくは3〜5、さらに好ましくは4の塩基が存在することが好ましい。バルジ構造が近接しすぎると、後述するバルジ構造結合分子がそれぞれのバルジ構造に良好に結合することが妨げられる。バルジ塩基間の間隔が広すぎると、ヘアピン構造が安定になり、ヘアピンの伸長が良好に行われない恐れがあり、また、本発明に係るDNA断片が大きくなり、合成コストが高くなる。
(バルジ構造の種類及びそれを形成する配列)
本発明に係るDNA断片が備えるバルジ構造は、アデニンバルジ構造、シトシンバルジ構造、チミンバルジ構造、グアニンバルジ構造のいずれでもよい。
チミンバルジ構造又はシトシンバルジ構造の場合、後述するナフチリジン環を有する化合物が結合すると、当該蛍光分子から発光される蛍光強度の吸収極大波長がシフトする。よって、核酸増幅反応の前後で、シフトした吸収極大波長における蛍光が弱くなれば、核酸増幅が得られたものと確認できる。
また、アデニンバルジ構造、グアニンバルジ構造の場合、後述するナフチリジン環を有する化合物が結合すると消光し、結合していない状態で蛍光を発光する。よって、核酸増幅反応後の蛍光が、核酸増幅反応前より強くなれば核酸増幅を得ることができたものと確認できる。
本発明に係るDNA断片が有するバルジ構造は、シトシンバルジ構造であることが好ましい。後述する2,7−ジアミノ−1,8−ナフチリジンは蛍光物質であり、シトシンバルジ構造に結合することで、蛍光の吸収極大波長がシフトし、シフトした波長において強い強度の蛍光を発光する。そのため、2,7−ジアミノ−1,8−ナフチリジンを用いることで、特異的かつ高感度な核酸増幅の検出が可能となるからである。
本発明に係るDNA断片が有するシトシンバルジ構造を形成するための塩基配列は、シトシンバルジ構造が形成される限り、限定されるものではないが、一本鎖DNA断片中のTCT配列における二つのTとAA配列における二つのAとが、T−A塩基対で、当該DNA断片の分子内で対合(分子内対合)し、TとTとの間に位置するCがバルジ塩基となることで、シトシンバルジ構造が形成されることが好ましい。DNAのTCT配列とAA配列におけるT−A塩基対の対合により形成されるシトシンバルジ構造を含むヘアピン構造は、安定であるためバルジ構造結合分子が良好に結合し、かつ、過度に安定ではないため、核酸増幅反応によるヘアピン構造の伸長が、良好に行なわれるからである。また、後述するナフチリジン環を有する化合物を用いた場合、得られる蛍光波長が、より長波長となるため、測定感度が向上するからである。
(本発明に係るDNA断片の塩基配列の具体例)
以上に述べた本発明に係るDNA断片の塩基配列の具体例としては、配列番号1〜5に示す塩基配列を挙げることができる。これらの中では、DNAのTCT部分とAA部分の対合によりシトシンバルジ構造が形成されていることから、配列番号1〜4に示す塩基配列が好ましく、さらに好ましくは、シトシンバルジ構造を複数形成する配列番号1〜3に示す塩基配列が好ましい。
〔本発明に係るヘアピンプライマー〕
本明細書において「ヘアピンプライマー」とは、核酸増幅反応に用いるプライマーの5’末端に、本発明に係るDNA断片を結合させたものが意図される。
本発明に係るヘアピンプライマーは、標的とする核酸を増幅可能なように、任意に設計した核酸増幅反応に用いるプライマーの5’末端に、本発明に係るDNA断片を結合させたものであればよい。
即ち、従来公知の設計手法により、核酸増幅反応に用いるプライマーを設計して、当該プライマーの5’末端に、上述の本発明に係るDNA断片を結合すればよい。
なお、核酸増幅反応に用いるプライマーに、本発明に係るDNA断片を結合する方法は、従来公知のDNAリガーゼを用いればよい。また、本発明に係るDNA断片と、核酸増幅反応に用いるプライマーとが連なった塩基配列に基づき連続して化学合成しても本発明に係るヘアピンプライマーを得ることができる。
本発明に係るヘアピンプライマーは、様々な核酸増幅反応に好適に用いることができる。上記核酸増幅反応としては、例えば、Nested−PCR、逆転写PCR、ホットスタートPCR、Taq Man PCR等のPCR、ICAN法、UCAN法、LAMP法等が挙げられる。中でもPCRに好適に用いることができる。PCRは核酸増幅反応の中でも簡便に行なうことができるため、PCRに本発明に係るヘアピンプライマーを用いることで、標的となる核酸の増幅から、増幅の確認までを迅速かつ簡便に行なうことができる。
〔本発明に係る核酸増幅確認方法〕
本発明に係る核酸増幅確認方法は、本発明に係るヘアピンプライマーを、少なくとも一方のプライマーとするプライマーセットを含む核酸増幅反応液を調製する工程と、バルジ構造結合分子を用いて、上記核酸増幅反応液中のヘアピンプライマーの量を測定する反応前ヘアピンプライマー測定工程と、核酸増幅反応を行なう工程と、バルジ構造結合分子を用いて、核酸増幅反応終了後の上記核酸増幅反応液中のヘアピンプライマーの量を測定する反応後ヘアピンプライマー測定工程とを含めばよい。
核酸増幅反応によって、本発明に係るヘアピンプライマーが備えるバルジ構造は伸長される。そのため、バルジ構造結合分子を用いれば、核酸増幅反応前後における、上記反応液中のバルジ構造の量、ひいてはヘアピンプライマーの量を比較することができる。即ち、ヘアピンプライマーの量が、当該増幅反応前に比べて当該増幅反応後で減少していれば、核酸の増幅が生じたことが確認でき、減少していなければ、核酸の増幅が生じなかったことが確認できる。
以下に、本発明に係る核酸増幅確認方法の一実施形態を、図1に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態に係る核酸増幅確認方法の原理を模式的に表した図である。なお、図1では核酸増幅反応としてPCRを用いた場合を示している。
図1の(1)において、下側の線分は増幅対象の核酸を含むDNAを示している。即ち、図1の(1)は、当該核酸を増幅可能なプライマーの5’末端に、シトシンバルジ構造を含むヘアピン構造を形成した本発明に係るDNA断片が結合した本発明に係るヘアピンプライマーと、解析対象の核酸とがアニールしている状態を示している。そして、伸長反応により破線方向に相補鎖が合成される。
次いで、図1の(2)に示すように、図1の(1)で合成されたDNA鎖にリバースプライマーがアニールし、破線方向、つまり図1の(1)と逆方向にDNA鎖が合成される。
図1の(1)、(2)のようにPCRが進行した結果、図1の(3)に示すようにフォワード側のヘアピンプライマーが形成していたヘアピン構造が伸長され、ヘアピン構造中に含まれていたバルジ構造が消失する。
図1の(4)は、図1の(1)のように、増幅対象の核酸にヘアピンプライマーがアニールした状態でバルジ構造結合蛍光分子1を反応液中に添加したときの状態を表している。すなわち、バルジ構造結合蛍光分子1はシトシンバルジ構造に結合し、シフトした吸収極大波長において蛍光を発する。なお、バルジ構造結合蛍光分子については後述するが、本実施の形態で用いられているバルジ構造結合蛍光分子1を端的に説明すれば、蛍光物質であってバルジ構造に結合することで発光する蛍光の吸収極大波長がシフトする物質である。
図1の(5)は、PCR終了後の反応液にバルジ構造結合蛍光分子1を添加したときの状態を表している。元のヘアピンプライマーはPCRによりヘアピン構造が伸長し、バルジ構造が消失したため、バルジ構造結合蛍光分子1は増幅された核酸と結合できない。したがって、蛍光強度は非常に小さくなる。
このようにPCRの前後において、本発明に係るヘアピンプライマーの量を測定し、これが減少すれば、目的の核酸領域が増幅されたことが確認できる。
なお、核酸増幅反応は、従来公知の方法、装置を用いて行なえばよく、反応条件は、用いる試料やプライマー等に応じて適宜設定すればよい。
また、本発明に係る核酸増幅確認方法に適用可能な試料は、核酸を含むものであれば特に限定されることはない。例えば、血液、リンパ液、鼻水、喀痰、尿、糞便、腹水等の体液類、皮膚、粘膜、各種臓器、骨等の組織、鼻腔、気管支、皮膚、各種臓器、骨等を洗浄した後の洗浄液、植物、微生物を挙げることができる。
上記試料に由来する核酸は特に限定されるものではなく、DNAでもRNAでもよい。DNAとしてはゲノムDNA、cDNAなどを挙げることができる。RNAとしては、mRNA、rRNA、tRNAなどを挙げることができる。RNAの場合には、逆転写反応によりDNAを合成する工程を含むことが好ましい。
(バルジ構造の検出)
反応前ヘアピンプライマー測定工程及び反応後ヘアピンプライマー測定工程は、バルジ構造結合分子を、本発明に係るヘアピンプライマーが有するバルジ構造に結合させて、バルジ構造を検出することにより行なう。
本発明に係る核酸増幅確認方法に用いるバルジ構造結合分子は、バルジ構造に結合可能である限り限定されるものではないが、蛍光物質であって、バルジ構造と結合することで、蛍光を発光、発光する蛍光の波長がシフト、又は、蛍光が消光する等、蛍光の発光状態が変化する物質を用いることが好ましい。これらの蛍光を検出することで、容易にバルジ構造を検出できるからである。なお、蛍光物質ではないバルジ構造結合分子を用いてもよく、この場合、バルジ構造結合分子を別途蛍光物質等により標識化したり、バルジ構造結合分子をアフィニティクロマトグラフィーのカラムに充填したりして用いればよい。
バルジ構造に結合して蛍光の発光状態が変化するバルジ構造結合分子としては、ナフチリジン環を有する化合物を挙げることができる。ナフチリジン環を有する化合物は、アデニンバルジ構造又はグアニンバルジ構造に結合すると、蛍光は消光する。また、ナフチリジン環を有する化合物は、シトシンバルジ構造又はチミンバルジ構造と結合すると、ナフチリジン環を有する化合物が発光する蛍光の吸収極大波長が、異なる波長にシフトする。この消光又はシフトした吸収極大波長における蛍光の検出により、簡便にバルジ構造を検出することができる。
さらに、ナフチリジン環を有する化合物は、核酸増幅反応に用いるDNAポリメラーゼ等の酵素を阻害しない。このため、ナフチリジン環を有する化合物を混合したまま核酸増幅反応に供することができる。よって、一つの反応容器に、核酸増幅反応液を調製し、これに予めナフチリジン環を有する化合物を混合することで、当該反応液の蛍光を測定し、当該反応液を、そのまま核酸増幅反応に供して、増幅反応終了後、同じ反応液の蛍光を測定することで、蛍光の変化を評価することができる。
従って、バルジ構造結合分子として、ナフチリジン環を有する化合物を用いることで、核酸増幅反応における核酸増幅の確認を、簡便に行なうことができる(以下、ナフチリジン環を有する化合物を「バルジ構造結合蛍光分子」と表記する)。
本発明に係る核酸増幅確認方法に用いるバルジ構造結合蛍光分子としては、下記式(1)
(R、Rは、それぞれ独立して、第1級アミン残基、第2級アミン残基又は第3級アミン残基を示す。)で示される2,7‐ジアミノナフチリジン誘導体を用いることが好ましい。上記第1級アミン残基としては、−NHが挙げられる。また、上記第2級アミン残基としては、例えば、−NH(CH)NH基、−NH(CH)2NH基、−NH(CH)NH(CH)基等が挙げられる。上記第3級アミン残基としては、例えば、−N(CH)(CHNH基等が挙げられる。中でも、R及びRの内、少なくとも片方が第2級アミン残基であることが好ましく、R及びRの両方が第2級アミン残基であることがさらに好ましい。上記バルジ構造結合蛍光分子が第2級アミン残基を備えることで、上記バルジ構造との結合がより安定するからである。
2,7‐ジアミノナフチリジン誘導体の中でも、下記式(2)
で示される2,7−ジアミノ−1,8−ナフチリジンが特に好ましい。上記2,7−ジアミノ−1,8−ナフチリジンは、シトシンバルジ構造に結合すると、発光する蛍光の吸収極大波長がシフトし、当該波長において強い強度の蛍光を発光するため、高感度かつ特異的に、シトシンバルジ構造、ひいては核酸増幅反応に用いた本発明に係るヘアピンプライマーを検出することが可能となるからである。
2,7−ジアミノ−1,8−ナフチリジンは、従来公知の方法により合成すればよく、例えば日本国公開特許公報「特開2004−262827号公報」に記載の方法により合成すればよい。上記2,7−ジアミノ−1,8−ナフチリジンは、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)の条件下において、単独では吸収極大が376nmで検出され、シトシンバルジ構造と結合することにより、396nmにシフトする。
なお、上記式(1)で示されるバルジ構造結合蛍光分子としては、下記式(3)
(R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はアミノ基であり、l、m、nはそれぞれ独立して1〜6の自然数を示す)で示される2,7−ジアミノ−1,8−ナフチリジン誘導体であってもよく、下記式(4)
(R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はアミノ基であり、o、pはそれぞれ独立して1〜6の自然数を示す)で示される2,7−ジアミノ−1,8−ナフチリジン誘導体であってもよい。
なお、バルジ構造結合蛍光分子を用いて、本発明に係るヘアピンプライマーを検出するときのpH条件は、好ましくはpHが5以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは6.5以上である。また、当該pHの上限は、好ましくは9以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは7.5以下である。pHが5以上、9以下であれば、DNAは安定であるため、バルジ構造結合蛍光分子は良好に本発明に係るヘアピンプライマー中のバルジ構造に結合する。これにより蛍光の検出を良好に行なうことができる。
バルジ構造結合蛍光分子は、核酸増幅反応に供する反応液に、直接添加してもよく、例えば、さらにリン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液等を用いてもよい。
バルジ構造結合蛍光分子の使用量は、核酸増幅反応の反応液に予め加えられるヘアピンプライマー1モルに対して、20モル〜100モルであることが好ましく、さらに好ましくは40モル〜60モルである。20モル〜100モルであれば、十分にヘアピンプライマー中のバルジ構造に結合し、さらにバックグラウンドシグナルによる測定誤差等も生じない。
バルジ構造結合蛍光分子が、バルジ構造に結合したときに発光する蛍光の検出は、これを検出可能である限り限定されるものではないが、400nm〜480nmの波長が好ましく、さらに好ましくは430〜460nmである。当該蛍光の蛍光強度は、400nm〜480nmの蛍光波長において、上記2,7−ジアミノ−1,8−ナフチリジンがバルジ構造に結合していない場合に発光する蛍光と明確に区別することができるからである。
以上に述べた蛍光強度の検出は、既存の蛍光プレートリーダーなど、公知の方法、装置により行なえばよい。
〔SNP検出方法〕
本発明に係るSNP検出方法は、本発明に係る核酸増幅確認方法を用いればよい。
検出対象のSNP部位の塩基の種類に応じて、核酸増幅反応による核酸が増幅されるか否かの結果が異なるように増幅条件を設定した核酸増幅反応に、本発明に係る核酸増幅確認方法を用いることで、当該核酸におけるSNP部位の塩基の種類を、迅速、簡便、安価かつ高感度に検出できる。
つまり、本発明に係るSNP検出方法で用いるプライマーは、SNP検出対象の核酸の、SNP部位の塩基に応じて、核酸が増幅されるか否かの結果が異なるように設計されれば、限定されるものではないが、上記プライマーセットに含まれるプライマーの内、いずれか一方のプライマーの3’末端の位置が、検出対象のSNPの位置になるように設計されていることが好ましい。
プライマーの3’末端に位置する塩基と、核酸増幅反応に供する核酸とで、正常な塩基対を形成するか否かは、核酸増幅反応の進行に大きな影響を与える。よって、上記プライマーセットに含まれるプライマーの内、いずれか一方のプライマーの3’末端の位置を、検出対象のSNPの位置になるように設計することで、SNP部位の塩基の種類に応じて、核酸が増幅されるか否かの結果が異なる増幅条件を、容易に見出すことができる。
本発明に係るSNP検出方法で用いる、3’末端が検出対象のSNPの位置になるように設計されたプライマーの、当該3’末端の塩基の種類は、SNP検出の目的や、SNP部位における検出対象の塩基に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、SNP部位の塩基が、特定の塩基か、他の塩基に変異しているかを検出する場合は、当該3’末端の塩基を当該特定の塩基に相補的な塩基とすればよい。これにより、核酸が増幅されれば、当該SNP部位の塩基は当該特定の塩基であることが判定でき、核酸が増幅されなければ、当該SNP部位の塩基が当該特定の塩基とは異なる塩基に変異していることが判定できる。
また、予め、SNP部位の塩基の種類が予測可能な場合は、3’末端の塩基を当該予測される種類に相補的な塩基としたプライマーを、それぞれ用意して、それぞれのプライマーを用いた核酸増幅反応を行なえば、さらに検出結果の信頼性を向上させることができる。つまり、いずれかのプライマーを用いた核酸増幅反応では、核酸が増幅され、他のプライマーを用いた核酸増幅反応では核酸が増幅されないため、よって、さらに確実にSNP部位の塩基の種類を特定することができる。
以下に、本発明に係るSNP検出方法の一実施形態を、図2に基づいて説明する。
図2は、本実施の形態に係るSNP検出方法の原理を模式的に表した図である。なお、図2では核酸増幅反応としてPCRを用いた場合を示している。
図2の(1)において、A(アデニン)が含まれている直線は、A(アデニン)の位置にSNPを有する解析対象の核酸を示している。即ち、図2の(1)は、3’末端に当該A(アデニン)に相補的な塩基であるT(チミン)を備えるプライマーの5’末端に、シトシンバルジ構造を含むヘアピン構造を形成した本発明に係るDNA断片が結合した本発明に係るヘアピンプライマーと、解析対象の核酸とがアニールしている状態を示している。そして、伸長反応により破線方向に相補鎖が合成される。
次いで、図2の(2)に示すように、図2の(1)で合成されたDNA鎖にリバースプライマーがアニールし、破線方向、つまり図2の(1)と逆方向にDNA鎖が合成される。なお、ここで用いるリバースプライマーは、SNPの位置より下流側に設計されていればよい。
図2の(1)、図2の(2)のようにPCRが進行した結果、図2の(3)に示すようにフォワード側のヘアピンプライマーが形成していたヘアピン構造が伸長され、ヘアピン構造中に含まれていたバルジ構造が消失する。
図2の(4)は、図2の(1)のように、解析対象の核酸にヘアピンプライマーがアニールした状態でバルジ構造結合蛍光分子1を反応液中に添加したときの状態を表している。すなわち、バルジ構造結合蛍光分子1はシトシンバルジ構造に結合し、シフトした吸収極大波長において蛍光を発する。
図2の(5)は、PCR終了後の反応液にバルジ構造結合蛍光分子1を添加したときの状態を表している。元のヘアピンプライマーはPCRによりヘアピン構造が伸長し、バルジ構造が消失したため、バルジ構造結合蛍光分子1は増幅された核酸と結合できない。したがって、蛍光強度は非常に小さくなる。
これにより、解析対象の核酸が有するSNPの位置の塩基は、A(アデニン)であることが判定できる。
図2の(6)は、3’末端にG(グアニン)を備え、5’末端にシトシンバルジ構造を含むヘアピン構造を形成した本発明に係るDNA断片を結合させた本発明に係るヘアピンプライマーを、フォワードプライマーとして用いたPCRに、(1)と同じ核酸を解析対象として供した状態を表している。当該G(グアニン)は、解析対象の核酸がSNPを有しており、当該SNPの位置にある塩基がC(シトシン)である場合に、PCRが進行するように設計されたものである。
しかし、図2の(6)の場合、PCRに供した核酸のSNPの位置にある塩基はC(シトシン)ではなくA(アデニン)である。そのため、PCRは進行せず、当該PCR後の反応液中には、シトシンバルジ構造を備えた未反応のヘアピンプライマーが多量に残存することとなる。
図2の(7)は、図2の(6)に示したPCRが行なわれた後の状態を表している。上述の通り、図2の(6)においてPCRは進行していないため、本発明に係るヘアピンプライマーは、未反応のまま残存している。このため、反応液中のバルジ構造結合蛍光分子1は、当該ヘアピンプライマー中のシトシンバルジ構造に結合し、シフトした吸収極大波長において蛍光を発光する。従って、図2の(6)に示したPCRの前後において、バルジ構造結合蛍光分子1が当該波長において発光する蛍光強度は、ほとんど変化しない。つまり図2の(7)では、図2の(5)の場合と比較して、当該波長における蛍光強度が大きい。
これにより、解析対象の核酸が有するSNPの位置の塩基は、C(シトシン)ではないことが判定できる。
このように、例えば、アレル特異的PCRのように、標的とする核酸がSNP等の変異を有するか否かにより、核酸が増幅されるか否かの結果が異なるように増幅条件を設定した核酸増幅反応に、本発明に係るヘアピンプライマーを用いることで、当該核酸における変異の有無を、迅速、簡便、安価かつ高感度に検出できる。
(コンペティタープライマー)
本発明に係るSNP検出方法では、上述した3’末端の位置が検出対象のSNPの位置になるように設計されているプライマーにヘアピンプライマーを用いればよい。さらに、上記核酸増幅反応液には、コンペティタープライマーを含み、
当該コンペティタープライマーの3’末端は、検出対象のSNPの位置になるように設計されており、かつ、3’末端には、上記ヘアピンプライマーにより、野生型核酸の増幅を目的とする場合は、変異型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基、又は、上記ヘアピンプライマーにより、変異型核酸の増幅を目的とする場合は、野生型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基、を有することが好ましい。
これにより、例えば、野生型核酸の増幅を目的としたヘアピンプライマーを用いる場合、変異型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基を3’末端に備えたコンペティタープライマーが、優先して変異型核酸にアニールする。よって、当該ヘアピンプライマーが、変異型核酸にアニールすることを防ぐことができる。つまり、野生型核酸の増幅を目的としたヘアピンプライマーが変異型核酸の増幅に用いられ、ヘアピン構造が消失することを防ぐので、変異型核酸の増幅を、野生型核酸の増幅と誤認することを防ぐことができる。従って、SNP検出の検出結果の信頼性が向上する。
また、例えば、変異型核酸の増幅を目的としたヘアピンプライマーを用いる場合、野生型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基を3’末端に備えたコンペティタープライマーが、優先して野生型核酸にアニールする。よって、上述の野生型核酸の増幅を目的としたヘアピンプライマーを用いる場合と同様に、野生型核酸の増幅を、変異型核酸の増幅と誤認することを防ぐことができる。従って、SNP検出の検出結果の信頼性が向上する。
なお、本明細書において「コンペティタープライマー」とは、核酸増幅反応に用いるプライマーが、非増幅確認対象核酸にアニールする可能性があるとき、非増幅確認対象核酸に対して、当該プライマーより優先的にアニールするプライマーをいう。
また、本明細書において「野生型核酸」とは、検出対象のSNPの位置に、高い頻度で現れる塩基を有する核酸をいい、「変異型核酸」とは、検出対象のSNPの位置に、低い頻度で現れる塩基を有する核酸をいう。
本発明に係るSNP検出方法に用いるコンペティタープライマーの塩基配列の設計は、3’末端の塩基を、野生型核酸の増幅を目的としたヘアピンプライマーを用いる場合は、変異型核酸のSNPの位置の塩基に相補的な塩基とし、変異型核酸の増幅を目的としたヘアピンプライマーを用いる場合は、野生型核酸のSNPの位置の塩基に相補的な塩基とすればよい。
例えば、上述の図2の(6)に示したヘアピンプライマーであって、Aに相補的な塩基であるTを3’末端に備えた以外は、当該ヘアピンプライマーのヘアピン構造を除いた部分と同一の塩基配列からなるように設計したプライマーは、図2の(6)に示すPCRにおいてコンペティタープライマーとして用いることができる。そして、当該コンペティタープライマーは、当該ヘアピンプライマーより優先して、図2の(6)に示したPCRに供した核酸にアニールする。よって、図2の(6)に示したヘアピンプライマーの一部が、図2の(6)において、検出対象ではない塩基であるAを有する核酸にアニールして、PCRが進行することを防ぎ、当該SNP部位の塩基がCであるという誤認を防ぐことができる。
なお、リアルタイムPCRでは、増幅を目的としない核酸が増幅されても蛍光が検出されるため、これをSNP検出に用いても、結果の信頼性に欠ける。そのため、信頼性を向上させるために、別途、SNP部位の塩基の種類に応じて特異的にハイブリダイズする蛍光標識プローブなどを用いる必要があり、作業も煩雑となる。
しかし、コンペティタープライマーを用いた本発明に係るSNP検出方法によれば、SNP部位の塩基が、検出対象ではない塩基に変異した核酸の増幅に、ヘアピンプライマーが用いられることを防ぐことができる。よって、確認される核酸増幅の結果の信頼性が向上し、リアルタイムPCRよりも信頼性の高いSNP検出を、簡便に行なうことができる。
なお、コンペティタープライマーを用いれば、SNP検出のみに限らず、PCR等の核酸増幅反応において、本発明に係るヘアピンプライマーが、増幅確認対象ではない核酸に、アニールすることを防ぐことができる。つまり、増幅確認対象ではない核酸の増幅を、目的の核酸増幅が得られたものと誤認することを防ぐことができる。
この場合、コンペティタープライマーの塩基配列は、増幅確認対象ではない核酸に対して、本発明に係るヘアピンプライマーがアニールする恐れのある領域を含む領域に、アニールするように設計し、かつ、当該コンペティタープライマーが、当該増幅確認対象ではない核酸にアニールする領域における、当該増幅確認対象ではない核酸に対する相同性が、当該ヘアピンプライマーより高くなるように、設計すればよい。なお、当該ヘアピンプライマーがアニールする恐れのある領域の塩基配列は、既知であることが必要である。
これにより、増幅確認対象ではない核酸の増幅に、本発明に係るヘアピンプライマーが用いられることを防ぐことができる。つまり、誤った核酸増幅反応に起因する、上述したバルジ構造結合蛍光分子の蛍光強度の低下を防ぐことができ、増幅確認の特異性が向上する。
〔本発明に係る試薬キット〕
本発明に係る試薬キットは、少なくとも本発明に係るDNA断片を含めばよい。さらに、本発明に係るDNA断片をキットの使用者が任意に設計した核酸増幅用プライマーの5’末端に結合するためのDNAリガーゼ等の試薬を含んでもよい。
さらに、本発明に係る試薬キットには、既知のSNP情報に基づき、特定のSNPを検出可能な、本発明に係るヘアピンプライマーを含んでいてもよいし、上述したバルジ構造結合分子又はバルジ構造結合蛍光分子を含んでもよい。また、上述したコンペティタープライマーを含んでもよい。
また、キットの構成としては上記挙げたものに限定されるものではなく、他の試薬や器具を含んでもよい。例えば、PCR関連試薬・器具(DNAポリメラーゼ、dNTP、PCR用バッファー、PCR用チューブ等)、増幅核酸精製用試薬・器具を含んでもよいし、DNA断片を安定的に保持するための試薬や緩衝液、バルジ構造結合分子又はバルジ構造結合蛍光分子を安定的に保持するための試薬や緩衝液を含んでもよい。
上記の何れの構成であっても、核酸増幅反応における核酸増幅の確認を行なうために好ましい薬剤等が含まれている。そのため、本発明に係る試薬キットを用いることで、核酸増幅反応における核酸増幅の確認を容易かつ迅速に実施することができ、本発明を臨床検査産業や医薬品産業等の産業レベルで利用することが可能となる。
また、本発明に係る試薬キットの提供形態は、本発明に係るDNA断片、バルジ構造結合蛍光分子、その他の試薬全てを、適切な容量及び/又は形態で含有した一つの容器として提供してもよいし、それぞれ別の容器により提供してもよい。また、本発明に係る試薬キットには、核酸増幅反応における核酸増幅の確認を行なうための手順等を記載した説明書を含んでもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔本発明のコストの優位性〕
本発明によれば、上述のSNP解析等を、従来の方法に比べて低コストで行なうことができる。
この点について、本発明に係るヘアピンプライマーを用いたPCRによってSNPを解析する方法と、従来、SNP解析に用いられてきたInvader法とを比較して説明する。なお、以下に述べるInvader法については、M.Olivier, The Invader assay for SNP genotyping, 2005, Mutation Research, 573, 103-110を参考としている。
まず、本発明に係るヘアピンプライマーを用いたPCRと、従来のInvader法とに用いられる主な試薬について表1に示す。
また、表2に、表1に示した試薬等に関するコストを定性的に比較した結果を示す。なお、表2において、バツ印はコストが極めて高いことを示し、三角印はコストが高いことを示し、丸印はコストが低いことを示し、二重丸印はコストが極めて低いことを示す。
表1及び表2に示すように、オリゴマーの数は、本発明に係るヘアピンプライマーを用いたPCRの方が、従来のInvader法に比べて少ないので、この点でコストが低くなる。
つまり、本発明に係るヘアピンプライマーを用いたPCRでは、オリゴマーは2又は3種類でよい。例えば、本発明に係るヘアピンプライマーをフォワードプライマーとして用い、さらに、別途作製したリバースプライマーを用いればPCRは可能であるのでオリゴマーは2種類でよい。なお、図2に説明したように、核酸増幅が起こる場合と起こらない場合とで比較検討する場合は、本発明に係るヘアピンプライマーの3’末端の塩基を他の塩基に変えたものを用いるが、リバースプライマーの配列を変える必要はないので、3種類のオリゴマー、即ち、3’末端の塩基がそれぞれ異なる2種類の本発明に係るヘアピンプライマーと、1つのプライマーとを用いればよい。
一方、従来のInvader法では、インベーダーオリゴ(Invader Oligo)、プライマリープローブ(Primary Probe)、フレットカセット(FRET Cassette)の少なくとも3種類のオリゴマーが必要となる。また、核酸増幅が起こる場合と起こらない場合とで比較検討する場合、プライマリープローブ、レットカセットがさらに1種類ずつ必要となるので、合計5種類のオリゴマーが必要になる。
つまり、必要なオリゴマーが少ない点で、本発明に係るヘアピンプライマーを用いたPCRは、従来法に比べて有利である。
また、表1及び表2に示すように、オリゴマーの化学修飾は、本発明に係るヘアピンプライマーでは不要であるが、従来のInvader法では必須である。よって、この点で、本発明に係るヘアピンプライマーを用いるPCRは、従来のInvader法に比べてコストが極めて低くなる。
具体的には、従来のInvader法では、フレットカセットを蛍光色素及び消光剤で2ヶ所化学修飾する必要がある。この化学修飾は極めて高価である。
なお、表1及び2に示すように、オリゴマー以外の試薬として、本発明に係るヘアピンプライマーを用いれば、DNAポリメラーゼ及びバルジ構造結合蛍光分子が必要となるが、従来のInvader法では酵素としてフラップエンドヌクレアーゼ(Flap Endnuclease)を用いればよい。しかし、DNAポリメラーゼのコストは、フラップエンドヌクレアーゼのコストと同程度であり、また、バルジ構造結合蛍光分子は極めて安価に得ることができる。そのため、オリゴマー以外の試薬については、本発明に係るヘアピンプライマーでは、従来のInvader法に比べて若干高くなるにとどまる。
例えば、後述の実施例で用いた2,7−ジアミノ−1,8−ナフチリジン等の多くのバルジ構造結合蛍光分子は、2,6−ジアミノピリジン及びDL−リンゴ酸を原料に製造することができる。いずれも、東京化成工業株式会社から購入可能であり、価格はそれぞれ25gで5900円、500gで2200円と安価である。しかも大量に購入する場合は、この10分の1の価格で購入できる。当該原料以外にも、1,3−ジアミノプロパン及びオキシ塩化リンを用いる場合もあるが、前者は500mlで5400円と安価あり、後者は工業原料として極めて安価に入手可能である。しかも、一回のPCRに必要なバルジ構造結合蛍光分子は、50μmol/L程度でもよく、使用するオリゴマーと比較すると、そのコストは全体のコストに比べて極めて小さく、無視できる程度である。
以上を総合的に評価すると、本発明によれば、上述のSNP解析等を、従来の方法に比べて極めて低コストで行なえるといえる。
本発明に係るDNA断片、及びバルジ構造結合蛍光分子を用いてPCRを行なった実施例について説明する。
以下の実施例では、図3に示すヘアピンプライマーを用いた。図3は、以下の実施例に用いた各ヘアピンプライマーのプライマー名、塩基配列及びその構造を模式的に表した図である。プライマー名takei5、takei18、takei18-4、takei2、takei2-2は、それぞれ、配列番号6〜10に示される塩基配列からなるDNAにより形成されるヘアピンプライマーである。具体的には、配列番号11に示される塩基配列からなるDNAの5’末端に、それぞれ、配列番号1〜5に示される塩基配列からなるDNAを結合させたものである。
なお、図3中「A_A」は、AA、つまりAが二つ連続した配列であり、対向するTCTに対して、当該2つのAとTとがそれぞれ対合しているが、当該Cに対合する塩基が無いため、当該AとAとの間を「_」で表している。「T_T」についても同様に、当該2つのTが対向するAとそれぞれ対合しており、2つのAの間に位置するCに対合する塩基が無いため、当該TとTとの間を「_」で表している。つまり、図3に示したヘアピンプライマーは、全てシトシンバルジ構造が形成されている。
〔実施例1〕
本実施例では、サンプルDNAとして公知のプラスミドであるpUC18(GenBank Accession Number L09136)を、以下に示す条件におけるPCRの鋳型に用いた。
本実施例におけるPCRには、リバースプライマーとしてtakei5を用い、フォワードプライマーとして配列番号12に示される塩基配列からなるDNA(以下、当該プライマーを「M13M3」と表記する。)を用いた。
PCR反応液は、全量を50μlとして、上記pUC18を5ng、上記フォワードプライマー0.5μM、上記リバースプライマー0.5μM、Taq PCR Master Mix Kit(QIAGEN社製)に付属のTaq DNA Polymerase 25μl混合し、残部はHOとした。さらに、バルジ構造結合蛍光分子として、上記式(2)で表される2,7−ジアミノ−1,8−ナフチリジン(以下、「DANP」と表記する)20μMを上記PCR反応液に添加した。
PCRの温度条件は、98℃で10秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間を40サイクル繰り返し、その後4℃で保持した。
蛍光強度の検出は、蛍光プレートリーダー(ベルトールドテクノロジー社製 Mithras LB940)を用いて、励起波長400nm、蛍光検出波長450nmで行った。
次に、PCR前における上記PCR反応液の蛍光強度を測定した後、当該PCR反応液をそのままPCRに供し、PCR終了後の反応液の蛍光強度を測定した。
PCR前後における蛍光強度を比較した結果を図4及び表3に示す。
図4は、PCR前後における蛍光強度を比較した図である。
表3及び図4に示すように、PCR後の反応液の蛍光強度は、PCR前に比べて約40%に減少していた。これは、PCRが進行し、核酸の増幅が行われたことを示している。
〔実施例2〕
本実施例では、takei2、takei2-2を用いて、シトシンバルジ構造を形成する塩基配列による、バルジ構造結合蛍光分子が発光する蛍光強度の相違について検討した。
本実施例に用いた反応液は、全量を400μlとして、DANP50μM、リン酸0.01M、NaCl0.1M、takei2又はtakei2-2を5μM混合し、残部はHOとした。
蛍光強度の測定は、蛍光測定機(株式会社島津製作所製 RF−5300PC)を用いて、蛍光検出波長を350nm〜600nmまで変化させた。その結果を図5に示す。
図5において、縦軸は蛍光強度、横軸は蛍光検出波長を示している。また、実線はtakei2を用いた結果であり、破線は、takei2-2を用いた結果である。図5に示すように、takei2を用いた場合、即ち、シトシンバルジ構造が、AAとTCTとの結合により形成される場合の方が、長波長側の蛍光波長を示した。これは、takei2を用いた場合に、バルジ構造に結合していないDANPが発光する蛍光強度から、バルジ構造に結合したDANPが発光する蛍光強度へのシフトが、より大きかったことを示す。つまり、この結果は、シトシンバルジ構造を、AAとTCTとの結合により形成することで、高感度な測定、すなわち高感度なPCR増幅の確認が可能であることを示している。
〔実施例3〕
本実施例では、PCRサイクル数と、バルジ構造結合蛍光分子による蛍光強度との関係を検討した。
本実施例において、リバースプライマーにはtakei5及びtakei18をそれぞれ用いた。また、フォワードプライマーにはM13M3を用いた。
PCR反応液は、全量を300μlとして、上記pUC18を30ng、上記フォワードプライマー0.5μM、上記リバースプライマー0.5μM、Taq PCR Master Mix Kit(QIAGEN社製)に付属のTaq DNA Polymerase 150μl混合し、残部はHOとした。さらに、バルジ構造結合蛍光分子として上記DANP20μMを添加した。
PCRは、98℃で10秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間で行なった。PCRに供する前に、上記PCR反応液の蛍光強度を測定し、次に当該PCR反応液をそのままPCRに供し、その後、5サイクル毎に、当該PCR反応液の蛍光強度を測定した。PCRは、40サイクルまで行った。
なお、蛍光強度の検出は、実施例1と同様に行なった。
各サイクルにおける蛍光強度の測定結果を図6に示す。
図6において、縦軸は相対蛍光強度、横軸はPCRのサイクル数を示す。ここで上記相対蛍光強度とは、0回目、即ちPCR前における反応液の蛍光強度の値を1としたときの、各サイクル数における蛍光強度の値である。また、丸印のシンボルはtakei5を用いたPCRの結果を表し、四角印のシンボルはtakei18を用いたPCRの結果を表す。
図6から、PCRサイクル数が増加すると、相対蛍光強度が低下することが分かる。これは、PCRにより、takei5及びtakei18が備えるヘアピン構造が伸長され、シトシンバルジ構造が無くなったためである。即ち、蛍光強度の減少を検出することによりPCR増幅の確認が可能であることを示している。また、takei5又はtakei18を用いた場合は、PCRを25サイクル以上行なうことで、好適に核酸の増幅を確認することが可能であることを示している。
〔実施例4〕
本実施例では、本発明に係るヘアピンプライマーと、ヘアピン構造を備えないプライマーとを、それぞれ用いたPCRの結果を比較した。
本実施例において、リバースプライマーには、takei5、takei18及びtakei18-4を、それぞれ用いた。また、ヘアピン構造を備えないリバースプライマーとして、配列番号11に示される塩基配列からなるDNA(以下、当該プライマーを「M13RV」と表記する。)を用いた。
フォワードプライマーは、上述したいずれのリバースプライマーに対しても、全てM13M3を用いた。
なお、本実施例におけるPCR反応液の組成を表4に示す。
なお、表4に示す組成に、さらにHOを加えて、全量を200μlとした。また、表4におけるTaq mixとは、Taq PCR Master Mix Kit(QIAGEN社製)に付属のTaq DNA Polymeraseである。また、さらに、バルジ構造結合蛍光分子として、実施例1と同様に上記DANP20μMを添加した。
PCRの温度条件は、98℃で10秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間を35サイクル繰り返し、その後4℃で保持した。
蛍光強度の検出は、実施例1と同様に行った。
PCR前に上記PCR反応液の蛍光強度を測定し、当該PCR反応液をそのままPCRに供して、PCR終了後、当該PCR反応液の蛍光強度を測定した。PCR前後における上記反応液の蛍光強度の測定結果を表5に示す。
ここで、表5において「ratio」とは、上述したPCR前の蛍光強度をFI(0)、PCR後の蛍光強度をFI(35)としたとき、FI(35)/FI(0)の値である。なお、M13RVを用いたPCRでは、蛍光強度が微増しているが、これは、PCRにより生成する二本鎖DNAに由来するものである。
次に、リバースプライマーとして、上記M13RV、takei5、takei18及びtakei18-4をそれぞれ用いたPCRにより得られたPCR産物を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を図7に示す。
図7に示されるバンドは、左から順に、M13RV、takei5、takei18、takei18-4をそれぞれリバースプライマーとして用いたPCRにより得られたDNA増幅断片によるバンドを示す。
図7に示されるように、リバースプライマーにM13RVを用いたときより、takei5、takei18、takei18-4を用いた方が、ヘアピン構造を形成する塩基配列に相当する長さの分だけ、PCR産物が長い。
〔実施例5〕
本実施例では、本発明に係るヘアピンプライマーを用いたアレル特異的PCRによる、PCRサイクル数と核酸の増幅効率との関係について検討した。
本実施例において、リバースプライマーには、本発明に係るヘアピンプライマーとしてtakei18-4、takei18-4の3’末端の塩基をAに置換したプライマー(takei18-4A)、takei18-4の3’末端の塩基をGに置換したプライマー(takei18-4G)、takei18-4の3’末端の塩基をTに置換したプライマー(takei18-4T)を用い、また、比較のためM13RVを用いた。なお、図8は、takei18-4、takei18-4A、takei18-4G、takei18-4Tの塩基配列及びその構造を模式的に示した図である。
フォワードプライマーは、上述したいずれのリバースプライマーに対しても、全てM13M3を用いた。
なお、本実施例におけるPCR反応液の組成を表6に示す。
表6におけるTaq mixとは、Taq PCR Master Mix Kit(QIAGEN社製)に付属のTaq DNA Polymeraseである。
PCRは、98℃で10秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間で行なった。PCRに供する前に、上記PCR反応液の蛍光強度を測定し、次に当該PCR反応液をそのままPCRに供し、その後、5サイクル毎に、当該PCR反応液の蛍光強度を測定した。PCRは、40サイクルまで行なった。
蛍光強度の検出は、実施例1と同様に行った。
takei18-4、takei18-4A、takei18-4G、takei18-4Tをリバースプライマーとして用いたPCRにおける蛍光強度の測定結果を表7及び図9に示す。
図9において、縦軸は相対蛍光強度、横軸はPCRのサイクル数を示し、丸印のシンボルはtakei18-4、四角印のシンボルはtakei18-4A、三角印のシンボルはtakei18-4G、×印のシンボルはtakei18-4Tを、それぞれ用いたPCRの結果を表す。
表7及び図9に示すように、takei18-4を用いた場合、他のリバースプライマーを用いた場合に比べて、少ないPCRサイクル数で、蛍光強度が低下することが分かる。takei18-4A、takei18-4G、takei18-4Tを用いた場合においても、PCRサイクル数が増えると蛍光強度が低下することが確認された。これは、増幅対象の核酸と非相補的な塩基を有するプライマーであっても、一旦、当該プライマーの一部が鋳型DNAにアニールして、DNAポリメラーゼがこれを認識して、PCRが進行しDNAが合成されると、当該DNAを鋳型として、PCRが進行することとなるという、従来から指摘されているアレル特異的PCRの欠点によるものである。
しかし、本実施例では、takei18-4を用いたPCRを20サイクル行なった結果、相対蛍光強度が0.75まで減少したことに比べ、他のリバースプライマーを用いた場合では、相対蛍光強度が約1のままであった。これは、takei18-4及びtakei18-4の3’末端の塩基を別の塩基に置換したプライマーを用いたアレル特異的PCRでは、PCRを20サイクル行なうことで、PCRに供する核酸の、当該3’末端に位置する塩基が変異しているか否かを判定できることを示している。
次に、takei18-4、takei18-4A、takei18-4G、takei18-4T、M13RVをリバースプライマーとして用いたPCRにより得られたPCR産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動は実施例4と同様に行なった。
図10にポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す。図10において、各レーンの上に記載の数値は、各リバースプライマーを用いたPCRにおけるPCRサイクル数を示し、「product」と付した位置にあるバンドは、当該PCRで得られたPCR産物に由来するバンドであり、「primer」と付した位置にあるバンドは、PCRに用いられずに残存したプライマーに由来するバンドである。
図10に示すように、takei18-4を用いた場合、他のリバースプライマーを用いた場合に比べて、少ないPCRサイクル数で、核酸増幅が得られたことが示された。また、リバースプライマーにM13RVを用いたときより、takei18-4、takei18-4A、takei18-4G、takei18-4Tを用いた方が、ヘアピン構造を形成する塩基配列に相当する長さの分だけ、PCR産物が長いことが確認できた。
〔実施例6〕
本実施例では、本発明に係るヘアピンプライマーを用いたアレル特異的PCRに、さらにコンペティタープライマーを用いた場合の、PCRサイクル数と核酸の増幅効率との関係について検討した。
本実施例において、リバースプライマーには、本発明に係るヘアピンプライマーとしてtakei18-4、takei18-4Aを用いた。
フォワードプライマーとして、上述したいずれのリバースプライマーに対しても、全てM13M3を用いた。
コンペティタープライマーとして、takei18-4Aをリバースプライマーとして用いたPCRにはM13RVを用い、takei18-4をリバースプライマーとして用いたPCRには、M13RVの3’末端の塩基をAに置換したプライマー(以下、「M13RVA」と表記する)を用いた。なお、当該PCRの鋳型DNAであるpUC18において、リバースプライマーの3’末端に相当する位置の塩基はGである。
本実施例におけるPCR反応液の組成を表8及び表9に示す。
表8が、コンペティタープライマーを用いずにPCRを行なったときのPCR反応液の組成を示し、表9が、コンペティタープライマーを用いてPCRを行なったときのPCR反応液の組成を示す。表9に示すように、リバースプライマーとコンペティタープライマーとのモル比は、1:5となるようにした。
なお、表8及び表9におけるTaq mixとは、Taq PCR Master Mix Kit(QIAGEN社製)に付属のTaq DNA Polymeraseである。
PCRは、まず95℃で1分間加温した後、95℃で10秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間のサイクルを繰り返した。PCRに供する前に、上記PCR反応液の蛍光強度を測定し、次に当該PCR反応液をそのままPCRに供し、その後、5サイクル毎に、当該PCR反応液の蛍光強度を測定した。PCRは、40サイクルまで行なった。
蛍光強度の検出は、実施例1と同様に行った。
当該PCRにおける蛍光強度の測定結果を図11に示す。
図11において、縦軸は相対蛍光強度、横軸はPCRのサイクル数を示し、四角印のシンボルはtakei18-4及びM13RVA、×印のシンボルはtakei18-4A及びM13RV、三角印のシンボルはtakei18-4、丸印のシンボルはtakei18-4Aを、それぞれ用いたPCRの結果を表す。
図11に示すように、takei18-4のみを用いた場合と、takei18-4及びM13RVAを用いた場合とでは、蛍光強度の減少に変化は確認されなった。これは、M13RVAは、takei18-4によるPCRの進行を阻害しなかったことが示している。また、takei18-4Aのみを用いた場合に比べ、takei18-4A及びM13RVを用いた場合の方が、蛍光強度の減少が遅くなった。つまり、蛍光強度を、同程度減少させるのに必要なPCRサイクル数が増えた。これは、M13RVが、takei18-4Aより優先的にPCRに用いられ、takei18-4AによるPCRの進行を防いだことを示す。
次に、takei18-4及びM13RVA、takei18-4A及びM13RVを用いたPCRにより得られたPCR産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動は実施例4と同様に行なった。
図12にポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す。図12において、各ポリアクリルアミドゲルの上に、用いたリバースプライマー及びコンペティタープライマー並びにそのモル比を示している。また、各ポリアクリルアミドゲルにおいて、最も左のレーンはDNAラダー(ladder)を示し、各レーンの下に記載の数値はPCRサイクル数を示す。
図12に示すように、Takei18-4及びM13RVAを用いたPCRでは、takei18-4による核酸増幅が得られたが、M13RVAによる核酸増幅は得られなかったことが示された。一方、takei18-4A及びM13RVを用いたPCRでは、M13RVによる核酸増幅は、少ないPCRサイクル数でも得られたが、takei18-4Aによる核酸増幅は、PCRサイクル数が増えてから得られたことが示された。この結果もM13RVが、takei18-4Aより優先的にPCRに用いられたことを示している。
本発明に係るDNA断片は、以上のように、ヘアピン構造を形成する一本鎖DNA断片であって、ヘアピン構造中にバルジ構造を有し、核酸増幅用プライマーの5’末端に結合して用いる。
本発明に係るDNA断片を結合させた核酸増幅用プライマーを、核酸増幅反応に供し標的の核酸が増幅されれば、当該DNA断片が有するヘアピン構造が伸長されて解消し、その結果バルジ構造が消失する。
そのため、公知のバルジ構造結合分子等を用いてバルジ構造を検出することで、核酸増幅反応前後における、本発明に係るDNA断片を結合した核酸増幅用プライマーの量を比較することができ、核酸の増幅の確認を行なうことができる。従って、電気泳動や増幅されたPCR産物の染色による方法に比べて短時間で核酸の増幅を確認でき、また、電気泳動装置や得られたPCR産物の染色用試薬などが不要となる。
即ち、本発明を用いれば、核酸増幅反応における核酸の増幅を、迅速、簡便、安価かつ高感度に確認することができるという効果を奏する。
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内において、いろいろと変更して実施することができるものである。
本発明に係る核酸増幅確認方法は、遺伝子解析や遺伝子をモニタリングすることにより行われるバイオアッセイなど、PCRを用いるあらゆる産業で利用可能である。また、本発明に係るSNP解析方法は、テーラーメード医療における臨床検査産業や医薬品産業等などに利用可能である。

Claims (14)

  1. ヘアピン構造を形成する一本鎖DNA断片の3’末端に、核酸増幅反応に用いるプライマーを結合しているヘアピンプライマーであって、
    ヘアピン構造中にバルジ構造を有し
    上記バルジ構造が複数存在し、
    上記バルジ構造がシトシンバルジ構造であることを特徴とするヘアピンプライマー
  2. 上記シトシンバルジ構造が、上記一本鎖DNA断片中のチミン−シトシン−チミン配列におけるチミンと、アデニン−アデニン配列におけるアデニンとが、チミン−アデニン塩基対で分子内対合することにより形成されることを特徴とする請求項1に記載のヘアピンプライマー。
  3. 配列番号1〜5のいずれか1つに示される塩基配列からなることを特徴とする請求項1に記載のヘアピンプライマー。
  4. 上記核酸増幅反応は、PCRであることを特徴とする請求項1に記載のヘアピンプライマー。
  5. 核酸増幅反応における核酸増幅を確認する方法であって、
    請求項1に記載のヘアピンプライマーを少なくとも一方のプライマーとするプライマーセットを含む核酸増幅反応液を調製する工程と、
    バルジ構造結合分子を用いて、上記核酸増幅反応液中のヘアピンプライマーの量を測定する反応前ヘアピンプライマー測定工程と、
    核酸増幅反応を行なう工程と、
    バルジ構造結合分子を用いて、核酸増幅反応終了後の上記核酸増幅反応液中のヘアピンプライマーの量を測定する反応後ヘアピンプライマー測定工程とを含むことを特徴とする核酸増幅確認方法。
  6. 上記バルジ構造結合分子が、ナフチリジン環を有する化合物であることを特徴とする請求項5に記載の核酸増幅確認方法。
  7. 上記ナフチリジン環を有する化合物が、下記式(1)
    (R 、R は、それぞれ独立して、第1級アミン残基、第2級アミン残基又は第3級アミン残基を示す。)
    で示される2,7‐ジアミノナフチリジン誘導体であることを特徴とする請求項6に記載の核酸増幅確認方法。
  8. 上記2,7‐ジアミノナフチリジン誘導体が、下記式(2)
    で示される2,7‐ジアミノ−1,8−ナフチリジンであることを特徴とする請求項7に記載の核酸増幅確認方法。
  9. 上記反応前ヘアピンプライマー測定工程は、上記核酸増幅反応液に上記バルジ構造結合分子を添加して行ない、さらに当該核酸増幅反応液をそのまま核酸増幅反応に供することを特徴とする請求項6に記載の核酸増幅確認方法。
  10. 請求項5〜9のいずれか1項に記載の核酸増幅確認方法を用いることを特徴とするSNP検出方法。
  11. 上記プライマーセットに含まれるプライマーの内、いずれか一方のプライマーの3’末端の位置が、検出対象のSNPの位置になるように設計されていることを特徴とする請求項10に記載のSNP検出方法。
  12. 上記3’末端の位置が検出対象のSNPの位置になるように設計されているプライマーにヘアピンプライマーを用いることを特徴とする請求項11に記載のSNP検出方法。
  13. 上記核酸増幅反応液には、コンペティタープライマーを含み、
    当該コンペティタープライマーの3’末端は、検出対象のSNPの位置になるように設計されており、かつ、3’末端には、
    上記ヘアピンプライマーにより、野生型核酸の増幅を目的とする場合は、変異型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基、又は、
    上記ヘアピンプライマーにより、変異型核酸の増幅を目的とする場合は、野生型核酸における、当該検出対象のSNPの位置の塩基に相補的な塩基、を有することを特徴とする請求項12に記載のSNP検出方法。
  14. 核酸増幅反応における核酸の増幅を確認するための試薬キットであって、少なくとも請求項1〜3のいずれか1項に記載のヘアピンプライマーを含むことを特徴とする試薬キット。
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