JP4413325B2 - バルジ塩基認識分子及びそれを含有するdna - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DNA中のバルジ塩基を特異的に認識することができるバルジ塩基認識分子、バルジ塩基認識用組成物、及びそれを用いたバルジ塩基を測定する方法に関する。また、本発明は、バルジ塩基認識分子がバルジ塩基と水素結合を形成し、かつ近傍の塩基対によりスタックされることによりバルジ塩基が安定化されたDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】
DNA及びRNA中に存在するバルジ構造は、蛋白質による核酸の認識に重要な役割を果たしている。これらの構造に特異的に結合する分子は、バルジ構造を認識する蛋白質の阻害剤としての可能性を有しているため、医薬開発の見地からも注目されている。
バルジDNA認識分子は、二本鎖DNA中に生成する不対塩基(バルジ塩基)を持つDNA(バルジDNA)に特異的に結合し、安定化する分子である。この認識分子が標的とするバルジDNAは、DNAの複製エラーや、DNA損傷の結果として生じる。また、遺伝子の異常であるバルジ塩基の有無は、遺伝病などの診断に利用されている。従って、このバルジDNA認識分子は、1)遺伝子欠損の有無を調べる診断薬、2)DNA損傷の検出薬、3)遺伝子損傷の安定化剤、4)DNA修復酵素の阻害剤などへの利用が期待されているのみならず、遺伝子の損傷や遺伝子の複製ミスなどの研究開発において重要な物質である。
【0003】
図1にバルジ塩基の例を示す。この例では、グアニン(G)がバルジ塩基として塩基対を形成することができない状態になっている。図1のバルジ塩基となっているグアニン(G)は、いずれの塩基とも水素結合をしておらず、図1に示されるように、バルジ塩基のグアニン(G)が塩基対の内側に入ることもできるし、また、図2に示すように塩基対の外側にくることもできる。いずれの場合においても、塩基対の中にバルジ塩基の存在による空間が生じることになる。図1及び図2には、このような空間部分を斜線を入れた四角形で示している。
【0004】
このようなバルジ塩基を有するDNAを検出する方法として、平面構造を持ちかつDNAをアルキル化出来るDNAインターカレーターがバルジに優先的に結合することを利用する方法が知られているが、この方法は図1又は図2に示されるバルジ塩基の存在により生じてくる空間に、芳香環とバルジ近傍の塩基とのスタッキング相互作用を利用してインターカーレーションするものである。
しかしながら、このような方法では、空間が生じた場合にインターカーレーションするものであり、バルジ塩基の種類にかかわらずインターカーレーションが起こり、バルジ塩基の種類に特異的なものではなかった。
さらに、この方法による従来のものは、図3に示されるようにDNA対の外側においてインターカーレーションを起こすものが多く、バルジ内に存在する塩基を区別することはできなかった。
【0005】
また、バルジ塩基を有するDNAを検出する方法として、MutS等のDNA修復蛋白が遺伝子損傷箇所に選択的に結合することを利用する方法も知られているが、この方法もバルジ塩基の種類に特異的なものではなかった。
このように、バルジ塩基を有するDNAを検出する方法は数多く開発されているが、バルジ塩基に対する選択性は全くなく、バルジ塩基を選択的に認識、検出することはできなかった。さらに、バルジ内に安定にかつ確実にスタッキングされるものでもなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、二本鎖DNA鎖中に存在するバルジ塩基を選択的にかつ高感度で認識、検出することができるバルジ塩基認識分子を提供する。
より詳細には、本発明は、バルジ構造に結合するのみでなく、水素結合を介し、バルジ内に存在する塩基を認識する機能を持ち、さらにバルジ塩基の前後の塩基対によりスタックされ二本鎖内に安定に取り込まれる新規なバルジ塩基認識分子を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、バルジ塩基と水素結合するインターカレーターを用いて、バルジ塩基とインターカレーターの水素結合複合体が、二本鎖DNAにスタックして安定な複合体を形成することを見出した。これにより、バルジ塩基を選択的に認識し、検出することができた。
即ち、本発明は、バルジ塩基と特異的に水素結合を形成することができ、かつバルジ塩基の近隣に存在する塩基対によりスタックされ二本鎖内に安定に取り込まれ得るバルジ塩基認識分子、バルジ塩基認識剤、及びそれを用いたバルジ塩基を認識する方法に関する。
また、本発明は、バルジ塩基認識分子が、特定のバルジ塩基と水素結合を形成し、当該バルジ塩基の近隣に存在する塩基対にスタックされることによりバルジ塩基が安定化されたDNAに関する。
【0008】
本発明者らは、バルジ構造にインタカレートし、相補鎖側の塩基をワトソン−クリック(Watson-Click)型の塩基対形成により認識させることを考え、芳香環と水素結合部位を合わせ持つ次式(I)で示される水溶性の1,8−ナフチリジン誘導体を合成した。
【0009】
【化1】
Figure 0004413325
このナフチリジン誘導体(I)は図4に示されるように、グアニン(G)とワトソン−クリック(Watson-Click)型の塩基対を形成する。そして、このナフチリジン誘導体(I)は、図5に示されるようにDNAの塩基対の内部にインターカーレートし、隣接する塩基によりスタックされることがわかった。
【0010】
本発明者らは、5’−32Pでラベルした52塩基からなる次の塩基配列
GTC GTA GAA TCA GGC AGA ACT AAT AGG CTT AAC ATT CAG GCT TAC CAG TGT C
を有するDNAと、その相補的な配列を有する5’−32Pでラベルした54塩基からなる次の塩基配列、
GAC ACT GGT AAG CCT GAA TGT TAA GCA CTA TTA GTT CTG CGC TGA TTC TAC GAC
を有するDNAを用いて、DNase1フットプリンティング滴定により調べた。
この54塩基からなるDNAは、前記した52塩基からなるDNAと相補的な配列を有しているが、27番目のアデニン(A)と41番目のグアニン(G)と(前記した配列において、塩基の右肩に*印が付されている。)がバルジ塩基となっている。
【0011】
このグアニンおよびアデニンバルジを持つ二本鎖DNAにナフチリジン誘導体(I)を種々の濃度で加え、DNase1(DNA加水分解酵素)による切断の阻害場所を調べた。結果を図6の図面に代わる写真で示す。
DNase1による切断が阻害されたところが、白く見える。ナフチリジン誘導体(I)の濃度を変化させたときに、グアニン(G)バルジサイトで選択的に切断が阻害されていることが判る。そして、アデニンバルジサイトにおいては切断されていないことも判る。
切断バンドの強度と加えたナフチリジンの濃度の比から、グアニンバルジサイトへの結合常数が3.4×10−1と求められた。
【0012】
また、各バルジ構造を含むDNAを設計し、ナフチリジン誘導体(I)の存在下における各バルジDNAの熱力学的安定性を融解温度より測定した。その結果、ナフチリジン誘導体(I)の存在下ではグアニンバルジDNAの融解温度が上昇することが確認され、ナフチリジン誘導体(I)がグアニンバルジDNA選択的に結合する分子であることが明らかとなった。
【0013】
この結果、ナフチリジン誘導体(I)は、バルジ塩基と特異的にワトソン−クリック(Watson-Click)型の塩基対を形成することができ、かつバルジ塩基に隣接する塩基対によりスタックされ二本鎖内に安定に取り込まれ得るという、全く新しいタイプのバルジ塩基認識分子であることが見出された。
したがって、本発明は、バルジ塩基と特異的にワトソン−クリック(Watson-Click)型の塩基対を形成することができ、かつバルジ塩基に隣接する塩基対によりスタックされ二本鎖内に安定に取り込まれ得るという、全く新しいタイプのバルジ塩基認識分子を提供することができるというコンセプトを確立したものである。
【0014】
前記した例では、グアニンバルジを例に取り、グアニン塩基と安全な水素結合を形成するナフチリジンを用いたバルジDNAの認識を示したが、バルジの認識はグアニンバルジに限られるものではない。本発明は、バルジ塩基を特異的に認識し得るバルジ塩基認識分子という概念を提供するものであり、バルジ塩基とワトソン−クリック(Watson-Click)型の塩基対を形成することができる分子種を選択することにより、例示したグアニンに限らず、各種の塩基と特異的に塩基対を形成し得る本発明のバルジ塩基認識分子を得ることが可能である。
例えば、バルジ塩基がシトシンの場合には、2−アミノナフチリジン−4−オン又はその誘導体などが、バルジ塩基がアデニンの場合には、2−キノロン誘導体、例えば3−(2−アミノエチル)−2−キノロン又はその誘導体などが、また、バルジ塩基がチミンの場合には、2−アミノナフチリジン−7−オン又はその誘導体などが用いられる。
【0015】
特定のバルジ塩基に特異的に認識される本発明のバルジ塩基認識分子は、水素結合を形成するための水素結合部位と、近傍の塩基対にスタッキングされるための平面構造を有しているが、さらに、塩基に対する選択性を増強するためにある程度の立体障害を有する置換基を有するものが好ましい。
また、本発明のバルジ塩基認識分子はこれを単独で使用することもできるが、分子中の適当な位置に放射性元素を導入したり、化学発光又は蛍光を発する分子種を導入するなどして、標識化して使用することもできる。さらに、本発明のバルジ塩基認識分子の適当な位置においてポリスチレンなどの高分子材料と直接又はリンカーなどを用いて結合させて、これを固定化して使用することもできる。
【0016】
本発明のバルジ塩基認識分子は低分子有機化合物であり、通常の有機合成法により適宜製造することができる。例えば、前記したナフチリジン誘導体(I)は、2−アミノ−1,8−ナフチリジン又は2−アミノ−7−メチル−1,8−ナフチリジンをN−保護−4−アミノ−酪酸の反応性誘導体、例えば酸塩化物を反応させて、2位のアミノ基をアシル化した後、アミノ基を保護基を脱保護して製造することができる。この際の保護基としては、塩酸塩やアシル基やアルコキシカルボニル基などのペプチド合成において使用されるアミノ保護基を使用することができる。
【0017】
本発明のバルジ塩基認識分子は、これをバルジ塩基認識剤として使用することができ、また、適当な担体と組み合わせることによりバルジ塩基認識用組成物とすることができる。
さらに、本発明のバルジ塩基認識分子又は標識化若しくは固定化されたバルジ塩基認識分子を使用してDNA中のバルジ塩基を検出、同定又は定量するための測定をすることができる。
【0018】
本発明のバルジ塩基認識分子を用いることにより、1個又は2個以上のバルジ塩基を有するDNAにおいて、特定のバルジ塩基、例えば、グアニン、アデニン、シトシン又はチミンの特定のバルジ塩基と水素結合を形成させてこれを安定化させ、バルジ塩基を含有するDNAを安定化させることができる。特に本発明のバルジ塩基認識分子は、特定のバルジ塩基と水素結合を形成するのみならず、近傍、好ましくは隣接する塩基対にスタックされ(図5参照)、バルジ塩基が存在しているにもかかわらず比較的安定なDNAを得ることができる。
したがって、本発明は、バルジ塩基認識分子が、特定のバルジ塩基と水素結合を形成し、当該バルジ塩基の近隣に存在する塩基対にスタックされることによりバルジ塩基が安定化されたバルジ塩基を含有するDNAを提供するものである。
本発明のDNAは、バルジ塩基が本発明のバルジ塩基認識分子と水素結合により塩基対と同様な「対」を形成し、かつバルジ塩基と「対」を形成している本発明のバルジ塩基認識分子が近傍、好ましくは隣接の塩基対を形成している塩基にサンドイッチ状に挟まれてスタックされていることを特徴とするものである。
【0019】
本発明のバルジDNA認識分子を用いることにより、従来の技術では達成できないバルジDNA認識分子を高感度で検出することが出来、バルジ塩基に特異的でかつ安定なバルジDNAを形成することから、DNA損傷に伴う各種疾患の治療、予防又は診断に有用である。
また、本発明のDNAはバルジ塩基を有した状態で比較的安定に存在することができることから、バルジ塩基を含有するDNAの安定化や、バルジ塩基の発生原因やバルジ塩基の修復機構の解明などの研究材料として重要である。
【0020】
【実施例】
次に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
実施例1(2−(4−アミノブチロイルアミノ)−7−メチル−1,8−ナフチリジンの製造)
(1) 2−アミノ−7−メチル−1,8−ナフチリジン260mg(1.63mモル)のクロロホルム溶液中に、室温でN−Boc−4−アミノ−酪酸スクシンイミジルエステル736mg(2.45mモル)を加えた。室温で12時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、目的の2−(N−Boc−4−アミノブチロイルアミノ)−7−メチル−1,8−ナフチリジン299mg(収率53%)を白色個体として得た。
【0022】
H−NMR(CDCl,400MHz) δ:
8.58 (s,1H) , 8.43 (d,1H,J=8.8Hz) , 8.12 (d,1H,J=8.8Hz) ,
7.99 (d,1H,J=8.4Hz) , 7.26 (d,1H,J=8.4Hz) , 4.72 (s,1H) ,
3.23 (m,2H) , 2.74 (s,3H) , 2.51 (t,2H,J=7.6Hz) , 1.93 (m,2H) ,
1.42 (s,9H) .
13C−NMR(CDCl,100MHz) δ:
172.2 , 163.4 , 156.1 , 154.1 , 153.4 , 139.2 , 136.5 , 121.7 ,
118.5 , 114.3 , 79.3 , 39.8 , 34.9 , 28.4 , 25.6 , 25.5
FABMS(NBA),m/e(%):
345[(M+H)](100),261(40)
Figure 0004413325
【0023】
(2) 2−(N−Boc−アミノブチロイルアミノ)−7−メチル−1,8−ナフチリジン100mg(0.29mモル)のクロロホルム溶液に、室温で4M塩酸酢酸エチル溶液1.5mLを加えた。室温で3時間撹拌した後、溶媒を留去し、目的の2−(4−アミノブチロイルアミノ)−7−メチル−1,8−ナフチリジン塩酸塩81mg(収率100%)を白色個体として得た。
【0024】
H−NMR(CDCl,400MHz) δ:
8.92 (d,1H,J=8.4Hz) , 8.70 (d,1H,J=8.8Hz) , 8.63 (d,1H,J=8.8Hz),
7.83 (d,1H,J=8.4Hz) , 3.06 (t,2H,J=8.0Hz) , 2.97 (s,3H) ,
2.78 (t,2H,J=6.8Hz) , 2.06 (m,2H).
13C−NMR(CDCl,100MHz) δ:
174.2 , 161.2 , 158.6 , 148.7 , 147.4 , 141.4 , 123.5 , 121.4 ,
118.8 , 40.2 , 34.6 , 23.5 , 20.7
FABMS(NBA),m/e(%):
245[(M+H)](100)
Figure 0004413325
【0025】
実施例2(DNase1 フットプリンティング滴定)
5’端を32Pでラベルした次の塩基配列を有する52−merのDNAと、
GTC GTA GAA TCA GGC AGA ACT AAT AGG CTT AAC ATT CAG GCT TAC CAG TGT C5’端を32Pでラベルした次の塩基配列を有する54−merのDNA
GAC ACT GGT AAG CCT GAA TGT TAA GCA CTA TTA GTT CTG CGC TGA TTC TAC GAC
からなるDNA対(4nM、10×10cpm)を、種々の濃度のナフチリジン誘導体(I)(0−500μM)の存在下に、NaCl(100mM)及びMgCl(5mM)を含有するトリス−HClバッファー(10mM、pH7.6)中で、4℃で12時間インキュベートした。
この混合物中にDNase1(0.2ユニット)を加え、さらに25℃で8分インキュベートした。エタノールでDNAを沈殿させて、DNAを回収し、12%ポリアクリルアミド及び7Mの尿素を含有する変性ゲルによる電気泳動で分析した。
結果を図6に示す。レーン1はマキサム−ギルバードのA+G切断反応(Sequencing reaction )を、レーン2−12は各々、0.0、1.0、2.0、3.9、7.8、16、31、63、125、250、500μMのナフチリジン誘導体(I)を加えた場合ものを示す。バルジサイトが図6の左側に示されている。
【0026】
切断バンドの強度と加えたナフチリジンの濃度の比から、グアニンバルジサイトへの結合常数が3.4×10−1と求められた。
【0027】
実施例3(バルジDNAの融解温度の測定)
次の表1に示されるDNAを用いて、トータル塩基濃度100μMのDNA(2本鎖)を、ナフチリジン誘導体の存在下及び非存在下に、NaCl(100μM)を含有するカコジル酸バッファー中で、90℃で5分間インキュベートし、1時間かけて室温まで冷却した。
この混合物の融解温度を260nmの吸収の変化としてUVスペクトルを用いて測定した。結果を次の表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0004413325
表1中のドラッグ1は本発明のナフチリジン誘導体(I)を示し、Tm(−)はドラッグを加えない場合の融解温度を示し、Tm(+)はドラッグを加えた場合の融解温度を示す。ドラッグの濃度は100μMである。( )で示した融解温度はドラッグが300μMの場合を示す。
この結果、融解温度はナフチリジン誘導体を加えることにより、グアニンバルジで5.0度上昇した。なお、グアニン以外の塩基がバルジ塩基となっている場合及び正常なDNAでは、ナフチリジン誘導体(I)を加えても融解温度に変化はみられなかった(表1参照)。
【0029】
【発明の効果】
本発明のバルジ塩基認識分子を用いることにより、従来の技術では達成できないバルジ塩基認識分子を高感度で検出することが出来る。
本発明のバルジ塩基認識分子は、塩基に特異的で且つ安定性にすぐれており、DNA損傷などに起因する各種疾患の治療、予防又は診断に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、塩基対の内側に向いているバルジ塩基(図ではグアニン)を模式的に示したものである。
【図2】図2は、塩基対の外側に向いているバルジ塩基(図ではグアニン)を模式的に示したものである。
【図3】図3は、塩基対の外側に向いているバルジ塩基(図ではグアニン)に、塩基対の外側からインターカーレーションする様子を模式的に示したものである。
【図4】図4は、本発明のナフチリジン誘導体(I)とグアニンとの水素結合の様子を示したものである。
【図5】図5は、本発明のナフチリジン誘導体(I)とグアニンとが水素結合し、塩基対の内部において隣接する塩基にスタッキングされている様子を模式的に示したものである。
【図6】図6は、DNase1フットプリンティング滴定の結果を示す図面に代わる写真である。レーン1はマキサム−ギルバードのA+G切断反応(Sequencing reaction )を、レーン2−12は各々、0.0、1.0、2.0、3.9、7.8、16、31、63、125、250、500μMのナフチリジン誘導体(I)を加えた場合ものを示す。左側はバルジサイトを示す。

Claims (8)

  1. 2−(4−アミノブチロイルアミノ)−7−メチル−1,8−ナフチリジンである、バルジ塩基がグアニンであるバルジ塩基と特異的に水素結合を形成することができ、かつバルジ塩基の近隣に存在する塩基対によりスタックされ二本鎖内に安定に取り込まれ得るバルジ塩基認識分子。
  2. 標識化されている請求項1に記載のバルジ塩基認識分子。
  3. 請求項1又は2に記載のバルジ塩基認識分子を含有してなるバルジ塩基認識用組成物。
  4. 請求項1又は2に記載のバルジ塩基認識分子を用いて、DNA中のバルジ塩基を測定する(ただし人間の体内への適用を除く)方法。
  5. 2−(4−アミノブチロイルアミノ)−7−メチル−1,8−ナフチリジンであるバルジ塩基認識分子が、バルジ塩基がグアニンであるバルジ塩基と水素結合を形成し、当該バルジ塩基の近隣に存在する塩基対にスタックされることによりバルジ塩基が安定化されたDNA。
  6. バルジ塩基の近隣に存在する塩基対が、バルジ塩基に隣接する塩基対である請求項5に記載のDNA。
  7. 水素結合が、ワトソン−クリック(Watson-Click)型の塩基対を形成し得る水素結合である請求項5又は6に記載のDNA。
  8. バルジ塩基認識分子が標識化されている請求項5〜のいずれかに記載のDNA。
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