JP3725405B2 - テロメアなどに結合し得る分子、それを用いた方法 - Google Patents

テロメアなどに結合し得る分子、それを用いた方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、次の一般式(I)、
A−L−B (I)
(式中、Aは正常な塩基対を形成することができない塩基の対の片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Bは正常な塩基対を形成することができない塩基の対のもう一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lは化学構造部分A及びBを結合するリンカー構造を示す。)
で表される塩基対のミスマッチ認識分子化合物を用いて、1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖における相互の塩基の対において、正常な塩基対を形成することができない塩基の対(ミスマッチの塩基対)に擬似的な塩基対を形成させて当該1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖にヘアピン構造のような自己結合的な構造を形成させる方法、当該方法により1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖におけるヘアピン構造や4本鎖構造などのような自己結合的な構造を安定化させる方法、そのための安定化剤、前記方法により1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖におけるヘアピン構造のような自己結合的な構造を形成させて当該1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖の相補鎖を合成する酵素の活性を阻害する方法、その酵素活性阻害剤、及び前記一般式(I)で表される化合物からなる医薬組成物に関する。
より具体的には、染色体の3’末端における1本鎖DNAの部分に本発明の一般式(I)で表される塩基対のミスマッチ認識分子を作用させて、当該1本鎖DNAの部分に安定なヘアピン構造のような自己結合的な構造を形成させて、テロメラーゼによるテロメアの伸長反応を阻害することからなるガン細胞における細胞分裂を抑制する方法、及びそのための医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
テロメアは染色体の末端に存在するDNAの部分で、ヒト染色体遺伝子の場合にはTTAGGGの繰り返し配列が続く初期の状態では約10kbほどの長さのDNAである。テロメアには種々の結合蛋白質が結合して、DNAの末端同士が結合して環状のDNAになることを抑制したり、核膜との結合などの働きをしている。このうちの大部分は2本鎖であるが、最末端の数十塩基は3’末端側が1本鎖で突出している。
細胞分裂の場合にはDNAが複製されるが、この複製機構において複製のたびに、複製の際のRNAプライマー部分がDNAに置換されないために、5’末端側のテロメアが短縮する。そして同時に複製の鋳型になった親DNAも含めて5’末端が修正される結果、DNAの複製後は親DNAも子DNAもテロメア部分の短縮が起こることになる。このことは理論的には1972年に報告されていたが、1989年になってDNAが複製されるたびに約50〜150塩基程度のテロメア部分が短縮されることがわかってきた。そして、テロメア部分の長さが約5kb程度になると細胞は分裂寿命を迎え(M1期)、細胞の分裂を停止する。正常細胞においてはテロメアの2本鎖部分にテロメア結合蛋白質の1種であるTRF1が結合して、テロメアの延長を抑制しており、分裂寿命を迎えた細胞は、テロメアDNAが次第に不安定となり、遂に染色体の安定性を保つことができなくなり、そして自然死(アポトシス)(M2期)する。
【0003】
一方、ガン細胞では、テロメア配列を伸張させる酵素「テロメラーゼ」が存在し、細胞分裂により短くなったテロメア配列を長くするために、無限に細胞増殖を繰り返すことができるとされている。これが、ガン細胞が正常細胞とは異なり、前記したM1期やM2期を迎えることなく異常に増殖を繰り返すことができる理由だと考えられている。このことから、ガン細胞に特有のテロメラーゼによるテロメア配列の伸長反応を阻害する化合物が、次世代の抗ガン剤として注目されてきている。
テロメラーゼは、テロメアDNAの1本鎖部分を延長する逆転写酵素であり、TTAGGGの1.5回分に相当する相補鎖の鋳型RNAを内在しており、これをプライマーとして伸長反応を行う。
【0004】
テロメア配列は、4本のDNAが集まり四重鎖(クアドラプレックス)を形成することが知られており、このクアドラプレックス構造を安定化できれば、テロメラーゼによるテロメア配列の伸張を阻害できると考え世界で多くの研究グループがこの方面での研究を進めている。
また、テロメラーゼは、結果として前記したようにテロメアDNAの1本鎖部分を延長するものであるから、テロメアDNAの1本鎖部分をヘアピン構造などにより2本鎖として安定化させることによりテロメラーゼの作用を阻害することができるのではないかと本発明者らは考えた。このような考え方は前記したクアドラプレックス構造の安定化とは根本的に異なる新規な発想である。
【0005】
しかし、1本鎖のテロメア配列において、ヘアピン構造を形成するのに必要な相補的な配列はTAの部分しかなく、次に示すようにこの「TA」の部分において相補鎖を形成してもその前後においてG−Gミスマッチなどの塩基のミスマッチが生じることになる。
5’−・・・TTAGGGTTAGGG・・・・・
|| ||
3’−・・・GATTGGGATTGGGATT・・・
前記した配列は、テロメアの3’末端側の1本鎖の部分がヘアピン構造を形成した場合を模式的に示したものであり、上図の右側はヘアピン構造のループ部分で全体としては1本鎖である。この1本鎖のテロメア末端の5’側が2本鎖DNAになっており、3’側はテロメアの末端、即ち染色体の末端である。上図の縦線は相補的な配列であることを示すが、その余はミスマッチの配列となっていることを示す。
【0006】
このように、テロメアの1本鎖部分において安定なヘアピン構造を形成させることは通常は困難であり、ガン細胞においてはここにテロメラーゼが作用してテロメアの伸長反応が生起することになる。しかしながら、テロメアの1本鎖部分におけるG−Gミスマッチなどの塩基のミスマッチを解消することができれば、テロメアの1本鎖部分において安定なヘアピン構造を形成させることができ、テロメラーゼの作用を阻害することができる。
【0007】
ところで、本発明者らは、2本鎖DNA中に生成する不対塩基(バルジ塩基)を持つDNA(バルジDNA)に特異的に結合し、安定化する分子であるバルジDNA認識分子を開発してきた(特願平11−262205号)。このバルジ認識分子は、不対塩基と水素結合をするだけでなく、バルジ塩基の存在により生じてくる空間に、芳香環とバルジ近傍の塩基とのスタッキング相互作用を利用してインターカーレーションし、安定化されているものである。
さらに、本発明者らは、このような周辺の塩基の存在によるスタッキング効果を利用した不対塩基に対する作用についてさらに研究を行ってきたところ、塩基対のミスマッチが生じている箇所においても、塩基と対を形成し得る分子種を2個有する化合物がこのようなスタッキング効果により比較的安定に取り込まれる得ることを見出し、ミスマッチの塩基配列を検出、同定できる試薬を提供してきた(特願平11−336620号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような塩基対のミスマッチを検出、同定し得る試薬を用いてミスマッチの配列を有する1本鎖のDNAやRNAなどの核酸類に安定なヘアピン構造や4本鎖構造などを形成させる方法を提供するものである。
また、本発明は、1本鎖のテロメア配列に安定なヘアピン構造や4本鎖構造などを形成させてテロメラーゼの活性を阻害する方法、そしてガン細胞の増殖を抑制する方法及びガン増殖抑制剤を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、テロメアDNAの1本鎖部分をヘアピン構造などにより2本鎖として安定化させることによりテロメラーゼの作用を阻害することができるのではないかとの新規な発想に基づいて、テロメアDNAの1本鎖部分がヘアピン構造や4本鎖構造などをとった場合の塩基のミスマッチ、特にG−Gミスマッチの安定化に着目し、先に報告したG−Gなどの塩基のミスマッチ認識分子がテロメア配列に高い親和力で結合するのではないかと考え実験した。その結果、G−Gミスマッチ認識分子であるナフチリジン二重対は予想通りテロメア配列に高い結合を示すと同時に、テロメア配列の構造が大きく変化することを見いだした。
【0010】
本発明は、次の一般式(I)、
A−L−B (I)
(式中、Aは正常な塩基対を形成することができない塩基の対の片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Bは正常な塩基対を形成することができない塩基の対のもう一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lは化学構造部分A及びBを結合するリンカー構造を示す。)
で表される、その各々の塩基と対を形成し得る化学構造部分A及び化学構造部分B、並びに当該化学構造部分A及びBを結合するリンカー部分Lを有する化合物を用いて、1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖における相互の塩基の対において、正常な塩基対を形成することができない塩基の対に擬似的に塩基対を形成させる方法に関する。さらに、本発明は、1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖に前記した擬似的な塩基対を形成させることにより正常な塩基対を形成することができない不安定な塩基の対を安定化させる方法、及び当該化合物からなる正常な塩基対を形成することができない不安定な塩基の対を安定化させる安定化剤に関する。
【0011】
また、本発明は、1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖における相互の塩基の対において、正常な塩基対を形成することができない塩基の対に擬似的な塩基対を形成させ得る、次の一般式(I)、
A−L−B (I)
(式中、Aは正常な塩基対を形成することができない塩基の対の片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Bは正常な塩基対を形成することができない塩基の対のもう一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lは化学構造部分A及びBを結合するリンカー構造を示す。)
で表される化合物からなる、オリゴヌクレオチド鎖の相補鎖を合成する酵素の活性阻害剤、及び当該酵素阻害剤を用いた酵素活性を阻害する方法に関する。
【0012】
さらに、本発明は、1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖における相互の塩基の対において、正常な塩基対を形成することができない塩基の対に擬似的な塩基対を形成させ得る、次の一般式(I)、
A−L−B (I)
(式中、Aは正常な塩基対を形成することができない塩基の対の片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Bは正常な塩基対を形成することができない塩基の対のもう一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lは化学構造部分A及びBを結合するリンカー構造を示す。)
で表される化合物、及び薬学的に許容される担体とからなる医薬組成物、好ましくはオリゴヌクレオチド鎖の相補鎖を合成する酵素の活性を阻害することにより治療、予防又は処置することができる疾患を治療、予防又は処置するための医薬組成物に関する。
なお、以下の説明においては、前記した「正常な塩基対を形成することができない塩基の対の片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分(一般式(I)におけるA及び/又はBの部分)」のことを単に「塩基認識部位」ということもある。
【0013】
本発明者らは、2本鎖DNA中に生成する不対塩基(バルジ塩基)を持つDNA(バルジDNA)に特異的に結合し、安定化する分子であるバルジDNA認識分子を開発してきた(特願平11−262205号)。このバルジ認識分子は、バルジ塩基の存在により生じてくる空間に、芳香環とバルジ近傍の塩基とのスタッキング相互作用を利用してインターカーレーションし、安定化されているものであるが、本発明者らはこのようなバルジ認識分子を2分子、リンカーのような結合鎖で結合させることにより各々のバルジ認識分子が、塩基対のミスマッチ部分においてバルジ塩基と同様な塩基対を形成し、しかもこれらのバルジ認識分子の両者が2本鎖を形成しているDNAやRNAの鎖の中に比較的安定に取り込まれることを見出し、この特性を利用することにより、ハイブリダイズしている核酸の中で塩基対がミスマッチを生じている箇所を簡便に特定し得るミスマッチ認識分子を開発してきた(特願平11−336620号)。
【0014】
本発明は、本発明者らが開発してきたこのミスマッチ認識分子の応用に関するものであり、本発明は当該ミスマッチ認識分子を用いて1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖において、正常な塩基対を形成することができない塩基の対が存在するために安定なヘアピン構造のような2本鎖構造をとることができない1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖の正常な塩基対を形成することができない塩基の対(ミスマッチの塩基対)を安定化させて安定な擬似的な塩基対を形成させる方法を提供するものである。さらに、このような擬似的な塩基対を形成させて比較的安定なヘアピン構造のような2本鎖構造を形成させることにより、当該1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖の相補的なオリゴヌクレオチド鎖を合成する酵素の活性を阻害する方法を提供するものである。そして、当該相補的なオリゴヌクレオチド鎖を合成する酵素の活性を阻害することにより、それに関連する各種の疾患を治療、予防、処置するための医薬組成物を提供するものである。
【0015】
次に、本発明の方法を説明するが、その前にミスマッチ認識分子について説明しておく。
例えば、本発明者らはグアニンと水素結合を形成し、かつ周囲の塩基とスタッキング効果により安定化され得る1,8−ナフチリジン誘導体を用いて、これをリンカーにより結合させた次式(III)で示される二量体を合成した。
【0016】
【化2】
Figure 0003725405
【0017】
この化合物は、1,8−ナフチリジン部分においてグアニンと対を形成する。グアニンがバルジ塩基となっている場合には、当該グアニンと1,8−ナフチリジン誘導体とが対を形成するための空間が充分にあるので、この1,8−ナフチリジン誘導体とバルジ塩基との対の形成は両者の安定性を検討すれば足りるのであるが、ミスマッチの場合には、対を形成するための場所に他の塩基が既に存在していることから空間的な余裕が充分ではなく、塩基と隣接する塩基との僅かな空間にこのような比較的大きな分子種が安定に入り込めるか否かが大きな問題となる。
したがって、核酸の2本鎖中においてグアニン−グアニンのミスマッチが存在している場合において、このような1,8−ナフチリジン部分を2個有する化合物がミスマッチしている各々のグアニンと対を形成して核酸の鎖の中に取り込まれるか否かを検討した。
【0018】
2本鎖のDNA中にGC塩基対、GAミスマッチ塩基対、及びGGミスマッチ塩基対を有する5’−32Pでラベルした52メル(mer)の2本鎖DNAを調製した。その該当する部分の部分配列を次に示す。
Figure 0003725405
上記の2本鎖DNAにおいて、*1で示した部分は正常なG−Cの塩基対であり、*2で示した部分はG−Aのミスマッチ部分であり、*3の部分はG−Gのミスマッチの部分である。
【0019】
この2本鎖のDNAを用いて、種々の濃度における式(III)の化合物の存在下における、DNaseI(DNA加水分解酵素)フットプリンティング滴定により、DNaseIによるDNAの切断の阻害場所を調べた。
この結果を図1に示す。図1は、電気泳動の結果を示す図面に代わる写真である。
図1の左から右に行くに従って、式(III)の化合物の濃度が0から500μMまで徐々に高くなっている。DNaseI(DNA加水分解酵素)によって切断された場合には黒く示され、DNaseIによる切断が阻害されたところが白くなって見えている。
【0020】
例えば、G−Cの正常な塩基対である場合には、式(III)の化合物の濃度を高くしていっても黒いまま、即ちDNaseIによって切断が生じていることが示される。ところが、G−Gのようなミスマッチのサイトでは、式(III)のナフチリジン誘導体の濃度を高くしていった場合には、次第に白く、即ちその切断が阻害されてきていることがわかる。このような変化は、G−Aミスマッチのサイトにおいても高濃度の部分において生じてきていることもわかる。
このようなDNA加水分解酵素に対するDNAの切断阻害作用は、式(III)の化合物の存在(濃度を含めて)に依存しており、式(III)の化合物による特異的な作用であると考えられる。
【0021】
図1における切断バンドの強度と加えたナフチリジンの濃度との関係をグラフにしたものが図2である。図2の縦軸は切断バンドの強度から得られた切断の阻害比であり、0.0はほぼ完全に切断されている状況であり、1.0はほぼ完全に切断が阻害されている状況を示している。図2の横軸は加えられた式(III)の化合物の濃度(M)を示している。図2のグラフ中の黒丸印(●)はG−Gのミスマッチサイトのものであり、黒三角印(▲)はG−Aのミスマッチサイトのものである。
この図2のグラフからも明らかなように、式(III)の化合物によるG−Gのミスマッチサイトに対する切断阻害作用は比較的低濃度から生じ、約10−5Mの濃度以上でほぼ完全にG−Gミスマッチに対する切断が阻害されていることがわかる。また、G−Aミスマッチサイトにおいても、約10−6Mの濃度付近から切断の阻害作用が始まり、5×10−3M(500μM)付近では約90%の切断阻害が生じていることがわかる。
【0022】
この結果、式(III)の化合物のG−Gのミスマッチへの結合常数(Ka(GGmis))は、1.13×10−1と求められ、同様にG−Aのミスマッチへの結合常数(Ka(GAmis))は、1.63×10−1と求められた。
両者の結合常数の比((Ka(GGmis))/(Ka(GAmis)))は、696であり、式(III)がG−Gミスマッチに対して特異的に作用していることがわかる。また、式(III)の化合物のG−Gミスマッチ塩基対に対する結合常数が10のオーダーと比較的大きいということは、式(III)の化合物が想像以上に安定にG−Gミスマッチ塩基対部分に取り込まれていることを示している。
そして、DNAの2本鎖に取り込まれた本発明のミスマッチ塩基認識分子は、比較的安定な対を形成し、このような対の形成により天然の酵素が認識することができない塩基の配列を新たに形成していると考えられる。
【0023】
本発明の一般式(I)で示される化合物(ミスマッチ認識分子)が比較的安定に塩基のミスマッチ部分に取り込まれる様子を模式的に示したものが図3である。
図3の左側は、2本鎖のDNAにおいてG−Aのミスマッチがある部分を示している。他の箇所では正常な塩基対が形成されており、G−Aの部分においてミスマッチがあるにもかかわらず全体としてはハイブリダイズしているDNAである。これに、N−Nで示される本発明のミスマッチ認識分子が加えられると、図3の右側のような状態になるものと考えられる。即ち、ミスマッチしている塩基のグアニン(G)はミスマッチ認識分子のグアニン認識部位(N)と対を形成し、ミスマッチしている他方の塩基のアデニン(A)はミスマッチ認識分子のアデニン認識部位(N)と対を形成し、そしてミスマッチ認識分子のグアニン認識部位(N)とアデニン認識部位(N)とは、適当な長さでかつ適当な自由度のあるリンカー(−)で結合されており、2本鎖のDNAの鎖の中にほぼ他の正常な塩基対と同様な形で取り込まれていると考えられる(図3の右側参照)。
【0024】
そして、本発明のミスマッチ認識分子が2本鎖のDNAの鎖の中に比較的安定に取り込まれるもうひとつの大きな理由は、ミスマッチ認識分子の塩基認識部位(例えば、先程の例におけるグアニン認識部位(N)やアデニン認識部位(N))が、前後の塩基によるスタッキング効果(塩基同士間の分子間力のようなもの)により安定化されているということである。図3の右側における点線はこのような塩基によるスタッキング効果を示している。このようなスタッキング効果が生じる要因のひとつとして、π電子系の相互作用(パイスタッキング効果)が考えられることから、前後の塩基の種類によりスタッキングの効果には程度の差が生じることもあるが、本発明の分子とミスマッチサイトの結合を極端に低下させることはない。
したがって、本発明のミスマッチ認識分子の塩基認識部位(一般式(I)におけるA及びBの化学構造部分)は、単に目的の塩基と水素結合ができるということのみではなく、前後又は周囲の塩基によるスタッキング効果が得られる化学構造であることが必要である。
【0025】
このように、本発明の一般式(I)で表される化合物は、2個の塩基認識部位を適当な長さでかつ適当な自由度を有するリンカーで結合させた化合物であり、前記で例示したG−Gミスマッチに限定されるものではない。
前記した例では、グアニン(G)−グアニン(G)のミスマッチを例に取り、グアニン塩基と安全な水素結合を形成する1,8−ナフチリジン誘導体を塩基認識部位に用いたミスマッチ認識分子を示したが、ミスマッチの認識はG−Gミスマッチに限定されるものではない。本発明にミスマッチ認識分子における塩基認識部位は、ミスマッチの塩基の片方を認識し当該塩基とワトソン−クリック(Watson-Crick)型の塩基対を形成することができ、周囲の塩基によるスタッキング効果を得られる分子種を選択することにより、例示したグアニンに限らず、各種の塩基と塩基対を形成し得るものであればよい。
例えば、ミスマッチの塩基がシトシンの場合には、塩基認識部位として2−アミノナフチリジン−4−オン又はその誘導体などが、ミスマッチの塩基がアデニンの場合には、2−キノロン誘導体、例えば3−(2−アミノエチル)−2−キノロン又はその誘導体などが、また、ミスマッチの塩基がチミンの場合には、2−アミノナフチリジン−7−オン又はその誘導体などが用いられる。
【0026】
特定のミスマッチの塩基に特異的に認識される本発明のミスマッチ認識分子における塩基認識部位は、水素結合を形成するための水素結合部位と、近傍の塩基にスタッキングされるための平面構造を有している複素環式芳香族基を有するものが好ましいが、さらに、塩基に対する選択性を増強するためにある程度の立体障害を有する置換基を有する複素環式芳香族基が好ましい。
このような置換基としては、例えば、炭素数1〜15、好ましくは1〜10より好ましくは1〜7の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数1〜15、好ましくは1〜10より好ましくは1〜7の直鎖状又は分枝状のアルキル基からなるアルコキシ基、炭素数1〜15、好ましくは1〜10より好ましくは1〜7の直鎖状又は分枝状のアルキル基でモノ又はジ置換されているモノ若しくはジアルキルアミノ基などが挙げられる。
これらのアルキル基、アルコキシ基又はモノ若しくはジアルキルアミノ基における1個又はそれ以上の炭素原子は、酸素原子又は窒素原子で置換されていてもよい。
【0027】
また、本発明の一般式(I)で表される化合物におけるリンカー部Lとしては、2個の塩基認識部位を適当な長さで適当な自由度を与えるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、炭素数1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜12の直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和のアルキレン基であって、当該アルキレン基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子、窒素原子又はカルボニル基で置換されてもよいアルキレン基が挙げられる。好ましいリンカーとしては、前記した式(III)の化合物のように両端がアミド結合の部分を有し、中央部に窒素原子を有するものが挙げられる。
このリンカー部分は、2個の塩基認識部位を結合させるだけでなく、このリンカー部分から担体に固定化するための枝を結合させることもできる。例えば、リンカー中央部付近の窒素原子の箇所からさらに末端に担体と結合するための官能基などを有するアルキレン基のような枝を延ばして、必要に応じて担体に固定化することもできる。
【0028】
本発明の一般式(I)における塩基認識部位A又はBとリンカー部Lとの結合は、炭素−炭素結合であってもよいが合成の簡便さから官能基による結合が好ましい。官能基による結合としては、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、リン酸による結合など種々のタイプのものを選択することができるが、アミド結合が好ましい。
本発明のミスマッチ塩基認識分子における、G−Gミスマッチに対する好ましい一般式(I)の化合物として、次の一般式(II)、
【0029】
【化3】
Figure 0003725405
【0030】
(式中、R、Rは、水素原子、炭素数1〜15のアルキル基であって当該アルキル基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換されてもよいアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基であって当該アルコキシ基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換されてもよいアルコキシ基、又は、炭素数1〜15のモノ若しくはジアルキルアミノ基であって当該アルキルアミノ基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換されてもよいモノ若しくはジアルキルアミノ基を示し、
は、炭素数1〜20のアルキレン基であって当該アルキレン基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子、窒素原子又はカルボニル基で置換されてもよいアルキレン基を示す。)
で表される化合物又はその固定化物が挙げられる。ここにおける「固定化物」とは、前記した化合物が担体に固定化されている状態のもの又は固定化され得るように前記した「枝」をのばした状態の化合物をいう。
なお、Rにおけるアルキレン基は、一般式(II)に示されているように2価のアルキレン基である。
【0031】
また、本発明のミスマッチ塩基認識分子はこれを単独で使用することもできるが、分子中の適当な位置に、例えばリンカー部分やリンカーから固定化のためなどのための延ばされた枝などに、放射性元素を導入したり、化学発光又は蛍光を発する分子種を導入するなどして、標識化して使用することもできる。なお、測定手段としての標識化は、検出対象のDNAやRNAなどの核酸部分の標識化によることもできる。
さらに、本発明のミスマッチ塩基認識分子の適当な位置においてポリスチレンなどの高分子材料と直接又はアルキレン基などを用いて結合させて、これを固定化して使用することもできる。
【0032】
本発明のミスマッチ塩基認識分子は低分子有機化合物であり、通常の有機合成法により適宜製造することができる。例えば、前記した1,8−ナフチリジン誘導体は、2−アミノ−1,8−ナフチリジン又は2−アミノ−7−メチル−1,8−ナフチリジンをN−保護−4−アミノ−酪酸の反応性誘導体、例えば酸塩化物を反応させて、2位のアミノ基をアシル化した後、アミノ基を保護基を脱保護して製造することができる。この際の保護基としては、塩酸塩やアシル基やアルコキシカルボニル基などのペプチド合成において使用されるアミノ保護基を使用することができる。
このようにして得られた塩基認識部位を、両末端にカルボキシル基又はその反応性誘導体基を有するリンカー用の化合物と反応させることにより目的のミスマッチ塩基認識分子を得ることができる。この際に、リンカー用化合物の分子中に窒素原子などの反応性の基が存在している場合には、前記した保護基などで適宜保護して使用することができる。
【0033】
本発明は、当該ミスマッチ認識分子を用いて1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖において、正常な塩基対を形成することができない塩基の対が存在するために安定なヘアピン構造のような2本鎖構造をとることができない1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖の正常な塩基対を形成することができない塩基の対(ミスマッチの塩基対)を安定化させて安定な擬似的な塩基対を形成させる方法を提供するものである。当該1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖としては、mRNAやrRNAなどの全体が1本鎖のものであってもよいし、その一部においてヘアピン構造のような2本鎖部分を有するものであってもよいし、末端が平滑端でない2本鎖DNAの末端部分の1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖であってもよい。
【0034】
例えば、真核細胞における染色体の末端部分であるテロメア領域においては、その末端の数十塩基が1本鎖の状態にあり、この部分を本発明における1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖として使用することができる。
この1本鎖のテロメア配列において、ヘアピン構造を形成するのに必要な相補的な配列はTAの部分しかなく、次に示すようにこの「TA」の部分において相補鎖を形成してもその前後においてG−Gミスマッチなどの塩基のミスマッチが生じることになる。
Figure 0003725405
前記した配列は、テロメアの3’末端側の1本鎖の部分がヘアピン構造を形成した場合を模式的に示したものであり、上図の右側はヘアピン構造のループ部分で全体としては1本鎖である。この1本鎖のテロメア末端の5’側が2本鎖DNAになっており、3’側はテロメアの末端、即ち染色体の末端である。上図の縦線は相補的な配列であることを示すが、その余はミスマッチの配列となっていることを示す。
【0035】
このテロメア配列の1本鎖部分において、ミスマッチとなっているG−Gミスマッチ及び/又はG−Tミスマッチにおいて前記したミスマッチ認識分子を用いて擬似的な塩基対を形成させることができれば、このテロメア配列の1本鎖部分において安定なヘアピン構造を形成させることが可能となると本発明者らは考えた。そこで、ヒトテロメアを用いて、前記式(III)のミスマッチ認識分子をによる実験を行った。
【0036】
1本鎖のヒトテロメア配列のDNAを用いて、種々の濃度における式(III)の化合物(以下、ナフチリジン二量体又は単にNDの存在下における、DNaseI(DNA加水分解酵素)フットプリンティング滴定により、DNaseIによるDNAの切断の阻害場所を調べた。
この結果を図4に示す。図4は図2と同様な実験の結果を示すものであり、図4の縦軸は切断バンドの強度から得られた切断の阻害比であり、0.0はほぼ完全に切断されている状況であり、1.0はほぼ完全に切断が阻害されて状況を示している。図2の横軸は加えられた式(III)の化合物の濃度(M)とG−Gミスマッチの濃度の比([GG]/[ND])(NDは式(III)の化合物を示す。)を示している。
この図4のグラフからも明らかなように、式(III)の化合物によるG−Gのミスマッチサイトに対する切断阻害作用は比較的低濃度([GG]/[ND]=0.5)から生じ、濃度比[GG]/[ND]が約3以上でほぼ完全にG−Gミスマッチに対する切断が阻害されていることがわかる。
【0037】
この結果、式(III)の化合物のG−Gのミスマッチへの結合常数(Ka(GGmis))は、4.2×10−1と求められた。
そして、この結果は、式(III)の化合物が想像以上に安定にG−Gミスマッチ塩基対部分に取り込まれていることを示し、1本鎖のテロメアにおいてG−Gミスマッチ部分において比較的安定な対を形成し、このような対の形成により天然の酵素が認識することができない塩基の対を形成したことがわかった。
【0038】
次にCDスペクトルにより、式(III)の化合物(ナフチリジン二量体)の添加によるテロメアの構造変化を測定した。結果を図5に示す。図5に1はヒトテロメア単独の場合のCDスペクトルであり、2はヒトテロメアにナフチリジン二量体を添加した場合のCDスペクトルである。縦軸は角度θ(度・cm・dmol−1)であり、横軸は波長(nm)である。
図5に示されるようにヒトテロメアにナフチリジン二量体を添加することによりCDスペクトルが大きく変化し、これはナフチリジン二量体の添加によりテロメアの構造が大きく変化したことをしめすものである。
【0039】
ヒトテロメアの構造、特に1本鎖の部分が通常はどのような構造となっているのかということは充分には解析されてきていないが、ヘアピン構造のような形態や四重鎖構造(クアドプレックス)のような形態をしていると考えられている。しかし、このような構造においても、このような構造を安定に保つために必要な充分な塩基対を形成することはできず、テロメラーゼなどの作用により簡単に1本鎖構造に戻ることができ、テロメラーゼにより末端のテロメアの伸長反応が進行することになる。
前述してきたようにテロメアの末端部分に、本発明のミスマッチ認識分子を添加することにより通常はミスマッチである塩基対においても(例えば、G−Gミスマッチ)、擬似的に塩基対を形成させることができ、一部の塩基対により形成されているヘアピン構造や四重鎖構造(クアドプレックス)を当該擬似的な塩基対の形成により酵素が作用できない程度に安定な構造にすることができる。そして、その結果としてテロメラーゼによるテロメア末端の伸長反応を阻害することができ、テロメアの伸長が行われない細胞はやがて増殖の寿命が尽きることになる。その結果ガン細胞も通常細胞と同様に増殖が停止して死滅することになる。
【0040】
以上の説明では、本発明におけるミスマッチ認識分子としてG−Gミスマッチの場合を具体的に説明してきたが、一般式(I)で表されるミスマッチ認識分子のA及びBの部分を他の塩基と対を形成できるものに代えることにより、T−Gミスマッチについても同様な手法により行うことができる。
本発明における一般式(I)で表されるミスマッチ認識分子が比較的安定に塩基のミスマッチ部分に取り込まれる様子を模式的に示したものが図3である。
図3の左側は、2本鎖のDNAにおいてG−Aのミスマッチがある部分を示している。他の箇所では正常な塩基対が形成されており、G−Aの部分においてミスマッチがあるにもかかわらず全体としてはハイブリダイズしているDNAである。これに、N−Nで示される本発明のミスマッチ認識分子が加えられると、図3の右側のような状態になるものと考えられる。即ち、ミスマッチしている塩基のグアニン(G)はミスマッチ認識分子のグアニン認識部位(N)と対を形成し、ミスマッチしている他方の塩基のアデニン(A)はミスマッチ認識分子のアデニン認識部位(N)と対を形成し、そしてミスマッチ認識分子のグアニン認識部位(N)とアデニン認識部位(N)とは、適当な長さでかつ適当な自由度のあるリンカー(−)で結合されており、2本鎖のDNAの鎖の中にほぼ他の正常な塩基対と同様な形で取り込まれていると考えられる(図3の右側参照)。
なお、本明細書において使用している「擬似的な塩基対」というのは、天然に存在する塩基の対とは異なる塩基の対であるという意味であり、塩基対の強度を意味するものではない。また、本明細書において使用される「正常な塩基対」とは天然に存在する塩基の対であって、G−C、A−T、又はA−Uの塩基対をいう。
【0041】
本発明は、テロメアの末端のように1本鎖の状態のオリゴヌクレオチド鎖において、通常の状態では生起しない擬似的な塩基対を形成させることにより、1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖の相補鎖を合成する酵素の活性を阻害しようという新規な考え方に基づくものである。相補鎖を合成する酵素の活性を阻害できるのであれば、1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖のどの部分に擬似的な塩基対を形成させてもよい。例えば、プライマー領域や伸長反応が進行する領域であってもよい。また、相補鎖を合成する酵素としてはDNAポリメラーゼのようなDNA合成酵素であってもよいし、RNAポリメラーゼのようなRNA合成酵素であってもよいし、さらに逆転写酵素であってもよい。
【0042】
本発明の酵素活性阻害剤としては、前記した一般式(I)で表される化合物の1種又は2種以上をそのまま使用してもよいし、適当な担体と共に使用することもできる。また、標的細胞に特異的に作用するように、標的細胞に親和性を有する物質で修飾して使用することもできる。さらに、使用状況を計測するために適当なマーカーで修飾して使用することもできる。
また、本発明の医薬組成物としては、前記した一般式(I)で表される化合物の1種又は2種以上をそのまま使用してもよいし、適当な担体と共に使用することもできる。担体としては薬学的に許容される担体であればよい。本発明の医薬組成物は、経口又は非経口投与される。
【0043】
本発明は、塩基対のミスマッチにより安定な2本鎖又は4重鎖の構造をとることができない1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖において、当該ミスマッチ部分に一般式(I)で表されるミスマッチ認識分子を用いて「擬似的な塩基対」を形成させて、安定な2本鎖又は4重鎖の構造を形成させて、1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖が有する機能、例えばその相補鎖を合成する酵素による相補鎖の合成などを阻害することにより、当該1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖の機能に起因する各種の疾患を治療、予防及び/又は処置することができるという新規なコンセプトを提供するものであり、本発明は当該コンセプトを利用する各種の具体的な手法を包含するものであり、本発明は個々の具体的な手法に限定されるものではない。
【0044】
【実施例】
次に、具体的な試験例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0045】
実施例1(式(III)の化合物の合成)
次式に示す化学反応に従って標記の化合物を合成した。
【0046】
【化4】
Figure 0003725405
【0047】
(式中のBocは、t−ブトキシカルボニル基を示す。)
N−Boc化ジカルボン酸のスクシンイミジルエステル(313mg、0.74mmol)をクロロホルム(15mL)に溶かし、2−アミノ−7−メチル−1,8−ナフチリジン(294mg、1.85mmol)を加えた。室温で48時間反応後、後処理によりBoc化ジナフチリジンアミドを得た。これを4Nの塩酸を含む酢酸エチルに溶解し、室温で2時間反応すると、標記のジナフチリジンアミドが通算収率13%で得られた。
Figure 0003725405
【0048】
実施例2
5’端を32Pでラベルした52塩基のDNAをG−G及びG−Aのミスマッチが生じるようにハイブリダイズさせて2本鎖DNAとした(図1の右側参照)。
この2本鎖のDNAに種々の濃度の実施例1で得られた化合物を加えて、DNaseIフットプリンティング滴定により調べた。
即ち、この2本鎖のDNA(<4nMストランド濃度)を、NaCl(100mM)及びMgCl(5mM)を含むトリス塩酸緩衝液(10mM,pH7.6)で種々の濃度に調整した実施例1で得られた化合物と共に、4℃で12時間インキュベートした。これに、0.2UのDNaseI(DNA加水分解酵素)を加え、25℃で8分間インキュベートした。その後、エタノール沈殿によりDNAを回収し、これを、12%ポリアクリルアミド及び7M尿素を含有するゲルを用いて電気泳動した。
この結果を図1に示す。
【0049】
実施例3
次の塩基配列を有する22メル(mer)のオリゴヌクレオチド、
5’−AGGGTTAGGGTTAGGGTTAGGG−3’
を含むカコジル酸ナトリウムバッファー(10mM、pH7.0、NaCl100mM)溶液を、70℃5分加熱して、オリゴマーが4重鎖を組むようにゆっくり冷却した(Structure, 263, 1 (1993))。この溶液に種々の濃度のナフチリジン二量体の溶液を滴下し、360nmの吸光度変化に基づいてナフチリジン二量体の結合量を求めた。
その結果を図4に示す。また、スキャッチャードプロットから結合定数を求めた結果、結合定数が4.2×10−1であることがわかった。
【0050】
実施例4
次の塩基配列を有する22メル(mer)のオリゴヌクレオチド、
5’−AGGGTTAGGGTTAGGGTTAGGG−3’
を含むカコジル酸ナトリウムバッファー(10mM、pH7.0、NaCl100mM)溶液を、70℃5分加熱して、オリゴマーが4重鎖を組むようにゆっくり冷却した(Structure, 263, 1 (1993))。この溶液に種々の濃度のナフチリジン二量体の溶液(0〜50μM)を加えた後、7℃で5分間放置して、その温度で円二色性スペクトル(CDスペクトル)を測定した。
結果を図5に示す。得られたスペクトルは、ナフチリジン二量体の添加により図5の矢印の方向に大きく変化することがわかった。このスペクトル変化から、ナフチリジン二量体を添加しない場合に4重鎖構造をとっていたオリゴマーDNAが、ナフチリジン二量体を添加することにより、その構造を大きく変化させることがわかった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の方法により、一般式(I)で表されるミスマッチ認識分子を用いて、1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖に擬似的な塩基対を形成させることにより、当該1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖中に比較的安定な2本鎖又は4本鎖の構造を簡便に形成させることができる。1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖中にこのような比較的安定な構造を形成させることにより、当該1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖が有する機能を阻害することができ、例えば、染色体の末端のテロメア領域の伸長反応を阻害することができ、当該1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖が有する機能に起因する各種の疾患、例えばガンなどの治療、予防、処置に有用となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のミスマッチ認識分子によるミスマッチ部位の、DNaseIによる切断の阻害効果を示す、図面に代わる写真である。
【図2】図2は、本発明のミスマッチ認識分子を用いた場合のDNaseIによる切断の阻害効果を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明のミスマッチ認識分子のミスマッチ部分における作用を模式的に示したものである。
【図4】図4は、テロメア配列を有する1本鎖DNAを用いて、本発明のミスマッチ認識分子を添加した場合のDNaseIによる切断の阻害効果を示すグラフである。
【図5】図5は、テロメア配列を有する1本鎖DNAを用いて、種々の濃度の本発明のミスマッチ認識分子を添加した場合及び無添加の場合の、CDスペクトルの変化を示す。図5の1は無添加の場合を、2は添加した場合を示し、矢印は添加した場合のスペクトルの変化する方向を示している。

Claims (10)

  1. 1本鎖のオリゴヌクレオチド鎖における相互の塩基の対において、正常な塩基対を形成することが出来ない塩基の対に擬似的な塩基対を形成させ得る、次の一般式(I)、
    A−L−B (I)
    (式中、Aは正常な塩基対を形成することができない塩基の対の片方の塩基と対を形成し得るナフチリジン又はその誘導体からなる化学構造部分、Bは正常な塩基対を形成することができない塩基の対のもう一方の塩基と対を形成し得るナフチリジン又はその誘導体からなる化学構造部分、Lは化学構造部分A及びBを結合するリンカー構造を示す。)
    で表される化合物からなる、オリゴヌクレオチド鎖の相補鎖を合成する酵素の活性阻害剤。
  2. 一般式(I)で表される化合物における化学構造部分A及びBとリンカー部分Lとの結合が、カルボン酸アミド結合である請求項1に記載の活性阻害剤。
  3. 一般式(I)で表される化合物が次の一般式(II)、
    Figure 0003725405
    (式中、R、Rは、水素原子、炭素数1〜15のアルキル基であって当該アルキル基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換されてもよいアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基であって当該アルコキシ基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換されてもよいアルコキシ基、又は、炭素数1〜15のモノ若しくはジアルキルアミノ基であって当該アルキルアミノ基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子又は窒素原子で置換されてもよいモノ若しくはジアルキルアミノ基を示し、Rは、炭素数1〜20のアルキレン基であって当該アルキレン基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子、窒素原子又はカルボニル基で置換されてもよいアルキレン基を示す。)
    で表される化合物である請求項1又は2に記載の活性阻害剤。
  4. 擬似的に塩基対を形成させる領域が、オリゴヌクレオチド鎖の相補鎖を合成する酵素におけるプライマー領域である請求項1に記載の活性阻害剤。
  5. オリゴヌクレオチド鎖の相補鎖を合成する酵素が、DNAの合成酵素である請求項1〜4のいずれかに記載の活性阻害剤。
  6. オリゴヌクレオチド鎖の相補鎖を合成する酵素が、テロメラーゼである請求項1〜5のいずれかに記載の活性阻害剤。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の活性阻害剤、及び薬学的に許容される担体からなる医薬組成物。
  8. オリゴヌクレオチド鎖の相補鎖を合成する酵素の活性化による疾患の治療、処置又は予防のための請求項7に記載の医薬組成物。
  9. オリゴヌクレオチド鎖の相補鎖を合成する酵素が、テロメラーゼである請求項8に記載の医薬組成物。
  10. オリゴヌクレオチド鎖の相補鎖を合成する酵素の活性化による疾患が癌である請求項7〜9のいずれかに記載の医薬組成物。
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