JP2002507434A - 検出複合体に関する方法、キットおよび組成物 - Google Patents

検出複合体に関する方法、キットおよび組成物

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、目的の試料中の標的分子の有無または量を検出または同定するための、検出複合体を利用する方法、キットおよび組成物に関する。検出複合体は、少なくとも2つの成分ポリマーと少なくとも1つのセットのドナー残基とアクセプター残基とを含む。試料中の目的の標的配列および/または標的分子の有無または量に相関付けられる検出可能なシグナルの変化を、測定法で生成する形で、複合体の生成が、各セットのドナー残基とアクセプター残基との間のエネルギーの移動を促進するように、少なくとも2つの成分ポリマーのそれぞれに、ドナー残基とアクセプター残基のセットの少なくとも1つの残基が結合している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) 1.技術分野 本発明は、プローブに基づくかまたはプライマーに基づく標的配列検出、分析
および定量の分野に関する。さらに詳しくは本発明は、検出複合体に関する新規
な方法、キットおよび組成物に関し、ここで該方法、キットおよび組成物は、試
料中の1つまたはそれ以上の標的配列または目的の標的分子の有無または量を示
す検出可能なシグナルを生成するために使用される。
【0002】 2.背景技術 蛍光シグナルの消光は、蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance E
nergy Transfer)「FRET」(非放射性エネルギー移動としても知られている
;ヤロン(Yaron)ら, Analytical Biochemistry 95: 228-235 (1979) p.232, 第1欄, 32-39行を参照)または非FRET相互作用(無放射エネルギー移動とし
ても知られている;ヤロン(Yaron)ら, Analytical Biochemistry 95: p.229,
第2欄, 7-13行を参照)のいずれかにより起こりうる。FRETと非FRET消
光の間の決定的に重要な識別因子は、非FRET消光が、「衝突」または「接触
」による短距離相互作用を必要とし、このためドナーとアクセプター対の残基の
間にスペクトルの重複を必要としないことである(ヤロン(Yaron)ら, Analyti
cal Biochemistry 95: p.229, 第1欄, 22-42行を参照)。逆に、FRET消光 は、ドナー残基とアクセプター残基間のスペクトルの重複を必要とし、消光の効
率は、FRET対のドナー残基とアクセプター残基間の距離に比例する(ヤロン
(Yaron)ら, Analytical Biochemistry 95: p.232, 第1欄, 46行から第2欄,
29行を参照)。FRET現象の詳細な総説は、クレッグ,アール・エム(Clegg,
R.M.), Methods Enzymol., 221: 353-388 (1992)およびセルビン、ピー・アー
ル(Selvin, P.R.), Methods Enzymol., 246: 300-334 (1995)に記載されてい る。ヤロン(Yaron)らもまた、そこに記載される原理が、オリゴヌクレオチド の加水分解にも適用されることを示唆した(ヤロン(Yaron)ら, Analytical Bi
ochemistry 95: p.234, 第2欄, 14-18行を参照)。
【0003】 FRET現象は、検出前に標識核酸ハイブリダイゼーションプローブまたはプ
ライマーをハイブリダイゼーション複合体から分離する必要のない、核酸標的配
列の直接検出に利用されてきた(リバック(Livak)ら, US 5,538,848参照)。 閉鎖管形式のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅核酸を分析するためのFRE
Tを利用する1つの方法は、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)から市販され
ている。タックマン(TaqMan)(登録商標)測定法は、完全なプローブ内の蛍光
の消光を引き起こす配置で、蛍光レポーターと消光残基により標識されている核
酸ハイブリダイゼーションプローブを利用する。PCR増幅中、プローブ配列は
増幅核酸に特異的にハイブリダイズする。ハイブリダイズすると、Taqポリメ
ラーゼのエキソヌクレアーゼ活性が、プローブを分解し、これによって完全なプ
ローブにより維持された分子内消光が排除される。プローブは増幅核酸に特異的
にハイブリダイズするように設計されるため、プローブの酵素分解により引き起
こされる試料の蛍光強度の上昇は、増幅プロセスの活性と相関しうる。
【0004】 それにもかかわらず、本方法は好ましくは、蛍光物質と消光残基のそれぞれが
、最適なシグナル対ノイズ比が達成されるように、プローブの3’および5’末
端に位置することを必要とする(ナザレンコ(Nazarenko)ら, Nucl. Acids Res
. 25: 2516-2521 (1997) p.2516, 第2欄, 27-35行を参照)。しかし、蛍光物質
と消光残基が距離で分離しており、エネルギーの移動はこれらが接近している時
に最も効率的であるため、この配向では必然的に最適な蛍光消光には至らない。
従って、非ハイブリダイズプローブからのバックグラウンド蛍光は、タックマン
(TaqMan)(登録商標)測定法ではかなり高いものになりうる(ナザレンコ(Na
zarenko)ら, Nucl. Acids Res. 25: p.2516, 第2欄, 36-40行を参照)。
【0005】 核酸分子ビーコン(Molecular Beacon)は、標的核酸配列を検出するためにF
RET現象を利用する別の作製体である(ティアギ(Tyagi)ら, Nature Biotec
hnology, 14: 303-308 (1996)を参照)。核酸分子ビーコンは、2つの相補的ア ーム配列中に埋め込まれたプローブ用配列を含んでなる(ティアギ(Tyagi)ら,
Nature Biotechnology, 14: p.303, 第1欄, 22-30行を参照)。プローブ用配 列の各末端に、蛍光物質または消光残基のいずれかの1つを結合させる。核酸標
的の非存在下では、アーム配列は、相互にアニーリングすることにより、蛍光物
質と消光物質を結合させるループとヘアピンステム構造を形成する(ティアギ(
Tyagi)ら, Nature Biotechnology, 14: p.304, 第2欄, 14-25行を参照)。標 的核酸と接触すると、相補的プローブ用配列と標的配列はハイブリダイズする。
ヘアピンステムは、ハイブリダイゼーションにより形成される強固な二重らせん
と共存しえないため、生じるコンホメーション変化が、アーム配列を分離させ、
蛍光物質と消光物質の分離を引き起こす(ティアギ(Tyagi)ら, Nature Biotec
hnology, 14: p.303, 第2欄, 1-17行を参照)。蛍光物質と消光物質が分離され
ると、ドナー蛍光物質のエネルギーは、アクセプター残基に移動せず、そして蛍
光シグナルが検出可能になる。非ハイブリダイズ「分子ビーコン」は、非蛍光性
であるため、測定系から過剰プローブをすべて除去する必要がない。従って、テ
ィアギ(Tyagi)らは、分子ビーコンが、均一測定系および生存細胞における標 的核酸の検出のために使用できることを述べている。(ティアギ(Tyagi)ら, N
ature Biotechnology, 14: p.303, 第2欄, 15-77行を参照)。
【0006】 開示された核酸分子ビーコン作製体のアーム配列は、プローブ用配列に関係し
ない(ティアギ(Tyagi)ら, Nature Biotechnology, 14: p.303, 第1欄, 30行
を参照)。ティアギ(Tyagi)らの分子ビーコンは核酸分子を含むため、適正な ステム形成および安定性は、ステムの長さ、アーム配列のG:C含量、溶解され
る塩の濃度、およびプローブが溶解されるマグネシウムの有無に依存する(ティ
アギ(Tyagi)ら, Nature Biotechnology, 14: p.305, 第1欄, 1-16行を参照)
。さらに、ティアギ(Tyagi)らの核酸分子ビーコンは、エンドヌクレアーゼと エキソヌクレアーゼによる分解に感受性である。
【0007】 ドナー残基とアクセプター残基が接近してもはや保持されないため、プローブ
分解によりバックグラウンド蛍光シグナルは上昇する。従って、ヌクレアーゼ活
性を有することが知られている酵素を利用する測定法は、核酸分子ビーコンが分
解されるにつれてバックグラウンド蛍光の連続的上昇を示す(ティアギ(Tyagi )らの図7を参照:(○)と(□)と関連したデータは、プローブ分解により引
き起こされたと考えられる蛍光バックグラウンドが、各増幅サイクルと共に上昇
することを証明している)。さらに核酸分子ビーコンはまた、少なくとも部分的
には、細胞がヌクレアーゼ活性を含有するため、生存細胞中で分解される。
【0008】 ティアギ(Tyagi)らにより報告された作製体は、WO 95/13399(本明細書では
以後「ティアギ2(Tyagi2)ら」と呼ぶ)により広く開示されているが、ティア
ギ2(Tyagi2)らはまた、核酸分子ビーコンが二分子{ここで彼らは、二分子と
は、2つの分子(例えば、オリゴヌクレオチド)を含む本発明の単一プローブと
定義している}であってもよいことも開示している(ここで、標的相補配列の半
分またはおよそ半分、親和性対の1つのメンバーおよび標識対の1つのメンバー
が各分子に存在する)(ティアギ2(Tyagi2)ら, p.8, 25行からp.9, 3行を参 照)。しかしティアギ2(Tyagi2)らは、PCR反応において使用するための単
一プローブを設計する際に、PCRプライマーの1つに相補的でない標的相補配
列を当然ながら選択するであろうことを特に述べている(ティアギ2(Tyagi2)
ら, p.41, 27行を参照)。本発明の測定法は、核酸合成反応の特異的な1本鎖ま
たは二本鎖産物の即時および終点の検出を含むが、もし単一プローブが融解また
は他の変性に付されるならば、このプローブは単分子である必要がある(ティア
ギ2(Tyagi2)ら, p.37, 1-9行を参照)。さらにティアギ2(Tyagi2)らは、 本発明の単一プローブは、増幅または他の核酸合成反応と共に使用することがで
きるが、二分子プローブ(ティアギ2(Tyagi2)らに定義されるようなもの)は
、親和性対が標的に独立に分離されるような任意の反応(例えばPCR)におい
て使用するのに適していないことを明記している(ティアギ2(Tyagi2)ら, p.
13, 9-12行)。また、ティアギ(Tyagi)らもティアギ2(Tyagi2)らも、PN Aに関しては何も開示、示唆または教示していない。
【0009】 さらに最近の開示において、ティアギ(Tyagi)らの核酸分子ビーコンに類似 しているが、ポリメラーゼ伸長用のプライマーとして適している、修飾ヘアピン
作製体が開示されている(ナザレンコ(Nazarenko)ら, Nucleic Acids Res. 25
: 2516-2521 (1997)を参照)。閉鎖系でのPCR増幅DNAの直接検出に適した
方法もまた開示されている。この方法により、ナザレンコ(Nazarenko)らのプ ライマー作製体は、PCR法の操作により、増幅産物に組み込まれる。PCR増
幅産物への組み込みによって、ドナー残基とアクセプター残基を分離する配置に
変化が生じる。従って、この測定法における蛍光シグナルの強度の上昇は、PC
R増幅産物に組み込まれるプライマーの量に直接相関しうる。著者らは、この方
法が、閉鎖管形式中のPCR増幅核酸の分析に特に適していると結論する。
【0010】 ナザレンコ(Nazarenko)らのプライマー作製体は核酸であるため、実際ヌク レアーゼ消化を受けやすく、そのためPCR法のバックグラウンドシグナルの上
昇を引き起こす(ナザレンコ(Nazarenko)ら, Nucleic Acids Res. 25: p.2519
, 第1欄, 28-39行を参照)。この方法のさらなる欠点は、プライマー作製体の ような分子ビーコンは、増幅中に線状化する必要があることである(ナザレンコ
(Nazarenko)ら, Nucleic Acids Res. 25: p.2519, 第1欄, 7-8行を参照)。 従って、蛍光シグナルを生成しようとすれば、ポリメラーゼは、プライマー作製
体のようなヘアピン修飾分子ビーコンのステムを読んで、これを解離させる必要
がある。従って、ステムは、その安定性がポリメラーゼ活性を阻害しないように
、設計しなければならない。ナザレンコ(Nazarenko)らは、PNAに関して何 も示唆、教示または開示していない。
【0011】 標的核酸配列検出へのFRETのさらに別の適用では、エキソヌクレアーゼ消
化に対して抵抗性にした二重に標識した蛍光オリゴヌクレオチドプローブもまた
、PCR反応およびイン・サイツPCRにおいて標的核酸を検出するために使用
されている(メイランド(Mayrand), US 5,691,146を参照)。メイランド(May
rand)のオリゴヌクレオチドプローブは、オリゴヌクレオチドの第1末端に結合
した蛍光物質(レポーター)分子およびオリゴヌクレオチドの反対側末端に結合
した消光物質分子を含む(メイランド(Mayrand)、要約(Abstract)を参照) 。メイランド(Mayrand)は、先行技術が、蛍光物質と消光物質の間の距離が重 要な特性であり、これを最小化する必要があり、従ってDNAプローブのレポー
ターと消光残基間の好適な間隔は、6〜16ヌクレオチドであるはずであること
を教示していると示唆している(第7欄, 8-24行を参照)。しかしメイランド(
Mayrand)は、レポーター分子と消光残基が、最適なシグナル対ノイズ比を達成 するために、好ましくは18ヌクレオチド(第3欄, 35-36行を参照)または2 0塩基(第7欄, 25-46行を参照)の距離に位置することを教示している。従っ て、メイランド(Mayrand)とそこに引用されている先行技術は、蛍光物質と消 光物質を含む核酸プローブ(DNAまたはRNA)の検出可能な性質は、プロー
ブの長さに強く依存することを教示している。
【0012】 ヌクレアーゼ消化に対する抵抗もまた、本発明の重要な側面であり(US5,691,
146, 第6欄, 42-64行を参照)、このためメイランド(Mayrand)は、オリゴヌ クレオチドの5’末端が、1つまたはそれ以上の修飾ヌクレオチド間結合を含め
ることにより、ヌクレアーゼ消化に抵抗性になると示唆している(US 5,691,146
, 第6欄, 45-50行を参照)。さらにメイランド(Mayrand)は、ポリアミド核酸
(PNA)またはペプチドをヌクレアーゼ抵抗性結合として使用し、それによっ
て本発明のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端を修飾し、ヌクレアーゼ消化
に抵抗性にすることができることを示唆している(US 5,691,146, 第6欄, 53-
64行を参照)。しかしメイランド(Mayrand)は、その存在を明らかに知ってい たにもかかわらず、PNAプローブ作製体が、本発明の実施のための適切な代用
品であることは、開示、示唆または教示していない。さらにメイランド(Mayran
d)は、蛍光物質または消光残基によりどのようにPNAを調製および/または 標識するかを当業者に教示していない。
【0013】 オリゴヌクレオチドの長さ(距離)により影響されるドナー残基とアクセプタ
ー残基間のエネルギー移動の効率は、さらに検討され、特に蛍光核酸配列決定に
適用されている(マシーズ(Mathies)ら, US 5,707,804を参照)。マシーズ(
Mathies)らは、2つの蛍光物質が、2つの蛍光物質の距の離が変化しうる基本 骨格または鎖により結合されることを述べている(US 5,707,804, 第4欄, 1-3 行を参照)。すなわち、この距離は、周知のフォアスター(Foerster)機作によ
るドナーからアクセプターへのエネルギー移動を提供するように選択する必要が
ある(US 5,707,804, 第4欄, 7-9行を参照)。好ましくは約3〜10ヌクレオ チドが、1本鎖核酸の蛍光物質を分離する(US 5,707,804, 第7欄, 21-25行を 参照)。マシーズ(Mathies)らは、PNAに関して何も示唆、教示または開示 していない。
【0014】 2本鎖DNAの分析から、1:FET(または本明細書で定義されるFRET
)の効率は、オリゴヌクレオチドの核塩基配列に幾らか依存すると考えられるこ
と;2:ドナーの蛍光は、色素−DNA相互作用がFETの効率に影響すること
を示唆するように変化すること;および3:フォースター(Forster)式は、観 察されるエネルギー移動を定量的に説明せず、このためオリゴヌクレオチドに結
合したドナー残基とアクセプター残基間の長さは、定性的には使用できるが、定
量できないことが観察されている(プロミセル(Promisel)ら, Biochemistry,
29: 9261-9268 (1990)を参照)。プロミセル(Promisel)らは、非フォースター
(non-Forster)効果が、観察されたが本来は説明不能な結果の一部を説明しう ることを示唆している(プロミセル(Promisel)ら, Biochemistry, 29: p.9267
, 第1欄, 43行からp.9268, 第1欄, 13行を参照)。プロミセル(Promisel)ら
の結果は、FRET現象は、核酸において利用する時完全には予測できず、また
充分に理解もされてないことを示唆している。プロミセル(Promisel)らは、P
NAに関して何も示唆、教示または開示しておらず、実際その書類はPNAの発
明より先である。
【0015】 これまで考察したバックグラウンドは、ドナー残基とアクセプター残基の対が
直接結合しているPNAオリゴマーに関して何も開示、示唆または教示していな
い。実際、核酸の検出に適用されるFRET現象は、標的核酸配列に相補的なプ
ローブの一部が、それ自体単に核酸からなる作製体の調製に限定されていると考
えられる。
【0016】 FRETはまたペプチドの分野においても利用されている。(ヤロン(Yaron )ら, Analytical Biochemistry 95, p.232, 第2欄, 30行からp.234, 第1欄,
30行を参照)。確かに酵素基質として適切に標識したペプチドは、ドナーとアク
セプター対で標識されたペプチドの主要な利用法であると考えられる(ツィンマ
ーマン(Zimmerman)ら, Analytical Biochemistry, 70: 258-262 (1976)、カー
メル(Carmel)ら, Eur. J. Biochem., 73: 617-625 (1977)、ウング(Ng)ら,
Analytical Biochemistry, 183: 50-56 (1989)、ワン(Wang)ら, Tett. Lett.,
31: 6493-6496 (1990)、およびメルダル(Meldal)ら, Analytical Biochemis
try, 195: 141-147 (1991)を参照)。初期の研究は、ドナーとアクセプター対の
消光効率が、ペプチドの長さに依存することを示唆した(ヤロン(Yaron)ら, A
nalytical Biochemistry 95, p.233, 第2欄, 36-40行)。しかし後の研究では 、効率的な消光はペプチドの長さに依存しないことを示唆した(ウング(Ng)ら
, Analytical Biochemistry, 183: p. 54, 第2欄23行からp. 55, 第1欄12行;
ワン(Wang)ら, Tett. Lett., 31(ここで、ペプチドは長さが8アミノ酸であ る);およびメルダル(Meldal)ら, Analytical Biochemistry, 195, p.144, 第1欄, 33-37行を参照)。ウング(Ng)らにより、長いペプチドにおいて観察 された消光が、未だ決定されていない機作により起こることが示唆された(ウン
グ(Ng)ら, Analytical Biochemistry 183, p.55, 第1欄, 13行から第2欄, 7
行を参照)。
【0017】 その名称にもかかわらず、ペプチド核酸(PNA)は、ペプチドでも核酸でも
なく、さらに酸でさえない。ペプチド核酸(PNA)は、配列特異的に核酸(D
NAおよびRNA)にハイブリダイズしうる非天然のポリアミド(偽ペプチド)
である(米国特許第5,539,082号、5,527,675号、5,623,049号、5,714,331号、5,
736,336号、5,773,571号、5,786,461号、およびエグホルム(Egholm)ら, Natur
e 365: 566-568 (1993)を参照)。PNAは、現在市販されている形式で標準的 ペプチド合成法の適応して合成される。(PNAモノマーおよびオリゴマーの調
製の総説については、デュエホルム(Dueholm)ら, New J. Chem., 21: 19-31 (
1997)またはハイラップ(Hyrup)ら, Bioorganic & Med. Chem. 4: 5-23 (1996)
を参照)。あるいは、標識および非標識PNAオリゴマーは購入することができ
る(パーセプティブ・バイオシステムズの宣伝用文献(PerSeptive Biosystems
Promotional Literature):BioConcepts, Publication No.NL612, Practical P
NA, Review and Practical PNA, Vol.1, Iss.2を参照)。
【0018】 非天然の分子であるため、PNAは、ペプチドまたは核酸を分解することが知
られている酵素の基質であることは知られていない。従って、非修飾PNAは生
物学的試料中で安定であり、さらに長い貯蔵寿命を持つ。同様に、核酸と複合体
を形成すると、PNAは核酸を分解から防御する(WIPO特許出願:スタンレ
イ(Stanley)ら、WO 95/15974を参照)。イオン強度に非常に依存性である核酸
ハイブリダイゼーションとは異なり、PNAと核酸とのハイブリダイゼーション
は、イオン強度からはかなり独立性であり、かつ核酸に対する核酸のハイブリダ
イゼーションにはまるで適さない低イオン強度条件でも好都合である(エグホル
ム(Egholm)ら, Nature, p.567)。PNA複合体の安定性とコンホメーション に及ぼすイオン強度の効果は、多数研究されている(トマック(Tomac)ら, J.
Am. Chem. Soc. 118: 5544-5552 (1996))。配列の識別は、DNAがDNAを認
識するよりもPNAがDNAを認識する方がより効率的である(エグホルム(Eg
holm)ら, Nature, p.566)。しかし、ハイブリダイゼーション測定法において 、DNAプローブと比較した時、PNAプローブによる点変異識別における利点
は、多少配列依存性であると考えられる(ニールセン(Nielsen)ら, Anti-Canc
er Drug Design 8: 53-65, (1993)、およびウェイラー(Weiler)ら、Nucl. Aci
ds Res. 25: 2792-2799 (1997))。さらなる利点として、PNAは、平行と逆平
行の向きの両方で核酸にハイブリダイズするが、逆平行の向きが好ましい(エグ
ホルム(Egholm)ら, Nature, p.566を参照)。
【0019】 配列特異的に核酸にハイブリダイズする能力にもかかわらず、PNAプローブ
と標準的な核酸プローブの間には多くの相違点がある。これらの相違点は、便宜
上、生物学的、構造的、および物理化学的相違点に分類することができる。以下
でさらに詳細に考察するように、これらの生物学的、構造的、および物理化学的
相違点によって、典型的には核酸が利用される応用においてPNAプローブの使
用を試みると、予測不能な結果を招きうる。異なる組成のこの不等性は、化学に
おいてしばしば観察される。
【0020】 生物学的相違点に関して、核酸は、遺伝子の伝達と発現の物質として生存種の
生命において中心的役割を担う生物学的物質である。これらのインビボの性質は
、充分に理解されている。これに反してPNAは、最近になって開発された全く
人工の分子であり、化学者の頭で理解されるものであり、そして合成有機化学を
用いて作られるものである。PNAは既知の生物学的機能を持たず、未変性(未
修飾)PNAは、どのポリメラーゼ、リガーゼ、ヌクレアーゼまたはプロテアー
ゼの基質であるとも知られていない。
【0021】 構造的には、PNAはまた、核酸とは劇的に異なる。両方とも普通の核塩基(
A、C、G、T、およびU)を利用しうるが、これらの分子の基本骨格は構造的
に別種である。RNAとDNAの基本骨格は、反復ホスホジエステルリボースお
よび2−デオキシリボース単位から構成される。これに対して、最も普通のPN
Aの基本骨格は、N−[2−(アミノエチル)]グリシンサブユニットに基づい
て構成される。さらにPNAにおいて核塩基は、追加のメチレンカルボニル残基
により基本骨格に結合される。
【0022】 PNAは酸ではなく、このためDNAやRNAに存在するような荷電酸性基を
含まない。PNAは形式電荷を欠いているため、一般にこれらの同等な核酸分子
よりも疎水性が高い。PNAの疎水性によって、核酸では観察されない非特異的
(疎水性/疎水性相互作用)相互作用の可能性が生じる。さらに、PNAはアキ
ラルであることによって、同等なものがRNA/DNA領域には存在しない、構
造的コンホメーションをとる能力が与えられる。
【0023】 PNAのユニークな構造的特色によって、溶液中で高度に組織化されたポリマ
ー、特に高プリンポリマーが生じる(デュエホルム(Dueholm)ら, New J. Chem
., 21: 19-31 (1997) p.27, 第2欄, 6-30行を参照)。逆に、1本鎖核酸は、二
次構造をほとんど示さないランダムコイルである。PNAは高度に組織化されて
いるため、代替の二次構造(例えば、ヘアピンステムおよび/またはループ)を
とることには抵抗が高いはずである。
【0024】 PNAとDNAまたはRNAとの間の物理/化学的相違点もまた大きい。PN
Aは、その相補的核酸に、核酸プローブが同じ標的配列に結合するよりも、より
迅速に結合する。この作用は、少なくとも部分的には、PNAがその基本骨格に
電荷を欠いているという事実によるものと考えられる。さらに、最近の刊行物は
、PNAへの正に荷電した基の組み込みが、ハイブリダイゼーションの速度論を
改善することを証明している(アイヤー(Iyer)ら, J. Biol. Chem. 270: 1471
2-14717 (1995)を参照)。PNAは基本骨格に電荷を欠いているため、PNA/
核酸複合体の安定性は、類似したDNA/DNAまたはRNA/DNA複合体の
それよりも高い。ある状況では、PNAは、「鎖置換」と呼ばれるプロセスによ
り非常に安定な三重らせん複合体を形成する。同等な鎖置換プロセスまたは構造
は、DNA/RNA世界では知られていない。
【0025】 最近、「ペプチド核酸(PNA)オリゴマーアレイ上のスクリーニングに基づ
くハイブリダイゼーション」が、報告されているが、ここでは、個々の配列の数
千個のPNAオリゴマーのアレイがポリマー膜上で合成された(ワイラー(Weil
er)ら, Nucl. Acids Res. 25: 2792-2799 (1997)を参照)。アレイは、明確な 組成の多くのプローブに対する、特異的配列または試料に関する親和性結合(ハ
イブリダイゼーション)情報を作成するために、一般に単一測定法で使用する。
すなわち、PNAアレイは、診断応用において、または治療上有用性を示すリー
ド化合物のライブラリーをスクリーニングするために、有用であろう。しかしワ
イラー(Weiler)らは、固定化PNAオリゴマーへのDNAハイブリダイゼーシ
ョンの親和性と特異性が、予測される以上にハイブリダイゼーション条件に依存
したことに注目している。さらに、低いイオン強度では非特異的結合に向かう傾
向が見られた。さらに、より厳密な洗浄条件により排除することができない、あ
る種の非常に強力な結合ミスマッチが同定された。これらの予想外の結果は、こ
れら新しく発見された分子(すなわちPNA)の完全な理解の欠如していること
を例示している。
【0026】 要約すると、PNAは、配列特異的に核酸にハイブリダイズするため、プロー
ブに基づくハイブリダイズ測定法を開発する時、代用プローブとして、研究のた
めの有用な候補である。しかしPNAプローブは、構造または機能の両方におい
て核酸プローブの同等物ではない。その結果、PNAのユニークな生物学的、構
造的、および物理化学的性質によって、普通は核酸プローブが利用される応用に
おいて、PNAが適しているかどうかを検討するためには、実験を行うことが必
要である。
【0027】 (発明の開示) 1.要約 本発明は、目的の試料中の標的配列および/または標的分子の有無または量を
検出するために使用される方法、キット、および組成物に関する。本発明の好適
な組成物は、少なくとも2つの成分ポリマーのハイブリッドである、検出複合体
(Detection Complexes)、PCR検出複合体(PCR Detection Complexes)、お
よび基質検出複合体(Substrate Detection Complexes)である。検出複合体の 成分ポリマーの少なくとも2つは、ドナーおよびアクセプター残基のセットから
の少なくとも1つの残基を含むが、検出複合体は、2つ以上のドナーおよびアク
セプター残基および/または3つ以上の成分ポリマーを含有してもよい。成分ポ
リマーは、相互作用性の基の相互作用により、検出複合体を形成するように設計
される。さらに検出複合体は、特定の用途に適した検出複合体を作製するのに有
用な、1つまたはそれ以上のリンカーおよび/または1つまたはそれ以上のスペ
ーサー残基を含有してもよい。
【0028】 検出複合体、PCR検出複合体、または基質検出複合体が形成されると、1つ
の成分ポリマーの少なくとも1つのドナー残基が、第2の成分ポリマーの少なく
とも1つのアクセプター残基に、距離上充分に近づけられる。集合した検出複合
体のセットのドナーおよびアクセプター残基は、距離上近接して位置しているた
め、セットの残基の間でエネルギーの移動が起きる。検出複合体が解離すると、
ドナーおよびアクセプター残基は、セットのドナー残基とアクセプター残基から
実質的なエネルギーの移動を引き起こすのに充分なほど相互作用しない。従って
検出複合体形成/解離は、検出複合体、PCR検出複合体、または基質検出複合
体の成分ポリマーが独立に存在し会合していない時と比較して、複合体が形成さ
れる時検出可能な形で異なるセットの、少なくとも1つのメンバーの少なくとも
1つの物理的性質を測定することにより、決定することができる。
【0029】 本発明の検出複合体およびPCR検出複合体は主に、標的分子の標的配列への
成分ポリマーの1つまたはそれ以上のセグメントのハイブリダイゼーションの直
接または間接的結果として解離するように、設計される。従って検出複合体およ
びPCR検出複合体は、目的の試料中に存在する可能性のある目的の標的分子の
有無または量を検出するのに使用することができる。標的分子の有無または量は
、検出複合体またはPCR検出複合体の解離を標的配列またはプライミング部位
への成分ポリマーのハイブリダイゼーションと、直接または間接に相関させるこ
とにより決定することができる。検出複合体の成分ポリマーは好ましくは解離す
るため、異なるポリマーに独立に結合したドナーおよびアクセプター残基は、分
子ビーコン(PNAまたは核酸)またはリニアビーコンのような単分子「ビーコ
ン」プローブと比較して、距離がさらに離れる。その結果、ドナー残基とアクセ
プター残基の間の距離に比例するエネルギー移動の効率は、ドナー残基とアクセ
プター残基が同じポリマーに結合していて距離が無限に離れることがない単分子
プローブと比較して、はるかに大きく変化する。従って本発明の検出複合体およ
びPCR検出複合体は、単分子「ビーコン」プローブに対して大きな利点を有す
る。
【0030】 検出複合体のプローブ用ポリマーのプローブ用セグメントは、主に解離するよ
うに設計されているが、検出複合体が解離するかどうかにかかわらず、標的配列
にハイブリダイズするためだけにより、ドナー残基とアクセプター残基との間の
距離は変化する。従って、完全な検出複合体が標的分子の標的配列とさらに複合
体を形成する時と比較して、未変性の検出複合体中で検出可能な形で異なるセッ
トの少なくとも1つのメンバーの少なくとも1つの物理的性質の検出可能な変化
があるなら、検出複合体が解離しなくてもセットのドナー残基とアクセプター残
基の間のエネルギー移動は影響を受ける。すなわち、本発明の検出複合体はまた
、たとえ検出複合体が解離しなくても、試料中の標的配列または標的分子の有無
または量を決定するのに使用することができる。
【0031】 すなわち1つの実施態様において本発明は、ある測定法において目的の標的配
列および/または標的分子の有無または量を検出または同定するのに適した検出
複合体に関する。検出複合体は少なくとも1つのプローブ用ポリマーを含有し、
ここでプローブ用ポリマーは、検出複合体が解離するかどうかにかかわらず、適
当なハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズするプローブ用
セグメントを有する。プローブ用ポリマーはまた、少なくとも1つの他の成分ポ
リマーとの複合体の形成に適した1つまたはそれ以上の相互作用性の基を有する
。検出複合体はまた、少なくとも、2つまたはそれ以上の成分ポリマーの相互作
用性の基の相互作用が複合体を形成しかつこれを安定化させる、1つまたはそれ
以上の相互作用性の基を有する少なくとも1つのアニーリングポリマーも含む。
検出複合体はまた、ドナーとアクセプター残基の少なくとも1つのセットを含む
。目的の標的分子の標的配列とさらに複合体を形成している時と比較して、成分
ポリマーが独立してまたは結合しないで存在するか、または複合体が溶液中でフ
リーで存在する時は検出可能な形で異なるように、複合体の形成が、セットのド
ナー残基とアクセプター残基との間のエネルギー移動を促進するように、少なく
とも2つの成分ポリマーのそれぞれに、少なくとも1つのドナーと1つのアクセ
プター残基が結合している。検出複合体の成分ポリマーの少なくとも1つは、非
核酸ポリマーである。検出複合体は、溶液中で存在しても、支持体に固定化され
ても、またはアレイに並べられた2つまたはそれ以上の検出複合体の1つでもよ
い。
【0032】 さらに別の実施態様において本発明は、消光物質でのみ標識されドナー残基で
は標識されていない非核酸ポリマーに関する。好ましくは消光物質はダブシルで
ある。好適な実施態様において非核酸ポリマーは、消光物質で末端標識され、最
も好ましくは非核酸ポリマーは、ダブシルでC末端標識されている。いくつかの
C末端ダブシル標識PNAの非限定例を表1に示す。表1に記載の例について、
ダブシル残基は、C末端リジンアミノ酸のN−ε−アミノ基に便利に結合してい
るが、他の末端結合法も存在するため、これは限定的ではない。
【0033】 さらに別の実施態様において本発明は、基質検出複合体に関する。基質検出複
合体は酵素の基質として機能し、従って標的非依存性に、検出可能なシグナルの
変化を引き起こす。基質検出複合体は、これまで説明してきた検出複合体によく
似ているが、これは、目的の標的分子の標的配列またはプライミング部位にハイ
ブリダイズするプローブ用セグメントを含有しないという点で、検出複合体また
はPCR検出複合体とは異なる。すなわち基質検出複合体は、目的の標的配列ま
たは標的分子とは直接相互作用しない。しかし、少なくとも基質検出複合体は、
少なくとも2つのアニーリングポリマーを含み、ここでアニーリングポリマーの
少なくとも1つは、測定でそれ自身、別のアニーリングポリマーまたは別の分子
と相互作用することができ、従って酵素の基質を形成する。2つまたはそれ以上
のアニーリングポリマーは、基質検出複合体を形成しかつこれを安定化させる相
互作用性の基、ならびに結合ドナーおよびアクセプター残基をさらに含む。
【0034】 本発明の検出複合体、PCR検出複合体、および基質検出複合体は、標的分子
の標的配列の有無または量を検出または同定するのに適している。従って本発明
はまた、試料中の標的配列および/または標的分子の検出、同定、または定量法
に関する。
【0035】 1つの実施態様において本発明は、試料を検出複合体またはPCR検出複合体
に接触させ、次に、ハイブリダイゼーションによるビーコンセットのドナー残基
とアクセプター残基の間のエネルギー移動、標的配列へのプローブ用ポリマーの
プローブ用セグメントの結合、または複合体の直接または間接的解離に起因する
、検出可能なシグナルの変化を検出または同定することからなる。検出されるシ
グナルは次に、試料中の標的配列および/または標的分子の有無または量と相関
付けられる。一般に定量では、標準的測定法と代表的試料中の既知量の標的配列
および/または標的分子を使用して作成した標準曲線とシグナルとを比較する。
【0036】 さらに別の実施態様において本発明は、プローブ用ポリマーを目的の標的配列
または標的分子と相互作用させた後に、検出複合体を形成させることを含む。こ
の実施態様において検出複合体の形成の程度は、検出複合体の形成前後のビーコ
ンセットの少なくとも1つのメンバーの検出可能なシグナルの変化により測定す
ることができる。試料に加えたプローブ用ポリマーおよびアニーリングポリマー
の量は、制御し計算することができるため、検出複合体の形成の程度、およびこ
れに由来する検出可能なシグナルの測定可能な変化は、目的の試料中の標的配列
または標的分子の有無または量を測定するために使用することができる。
【0037】 さらに別の実施態様において、検出複合体は酵素の基質であり、ここで、基質
検出複合体に対する酵素の作用は、試料中の標的分子の存在下でまたは存在もし
くは量に比例した検出可能なシグナルを生成するため、目的の標的分子が検出さ
れる。この方法は、標的依存性酵素活性を発生するように作成されたプローブと
酵素に、試料を接触させることを含んでなる。一般に、この測定法は、標的分子
と複合体を形成するプローブの少なくとも1つはプローブ−酵素結合体である、
プローブベースの測定法として設計される。次に試料を基質検出複合体と接触さ
せ、複合体の酵素触媒解離によるビーコンセットのドナー残基とアクセプター残
基との間のエネルギー移動に起因する検出可能なシグナルの変化を測定する。一
般に定量では、標準的測定法と代表的試料中の既知量の標的配列および/または
標的分子を使用して作成した標準曲線とシグナルとを比較する。
【0038】 さらに別の実施態様において本発明は、検出複合体、PCR検出複合体または
基質検出複合体の形成法に関する。検出複合体、PCR検出複合体または基質検
出複合体は、その相互作用と組み立てに適した条件下で、2つまたはそれ以上の
成分ポリマーを混合することにより形成される。
【0039】 さらに別の実施態様において本発明は、本発明の有用な実施を促進するキット
に関する。すなわち、本発明の好適なキットは、検出複合体、PCR検出複合体
または基質検出複合体の1つまたはそれ以上の成分ポリマー、および本発明の方
法の実施に有用な他の試薬を随時含む。従って本発明のキットは、目的の試料中
に存在する可能性のある標的配列または標的分子の有無または量を検出または同
定するのに適している。最終ユーザーが受け取る場合、検出複合体、PCR検出
複合体または基質検出複合体は、あらかじめ組み立てられているか、または最終
ユーザーは、2つまたはそれ以上の成分ポリマーを混合して、キットとともに使
用される複合体を作成してもよい。
【0040】 さらに別の実施態様において本発明は、支持体に結合した検出複合体、または
2つまたはそれ以上の支持体に結合した検出複合体のアレイの再生法に関する。
この再生法は、表面からハイブリダイズした標的分子を除去し、次に、支持体ま
たはアレイの1つまたは多くの検出複合体を再生する必要に応じて、少なくとも
1つの共通の標識成分ポリマーの一定量に表面を接触させることを含んでなる。
【0041】 2.本発明の好適な実施態様の説明: I.定義: a.本明細書において使用される時、「核塩基」という用語は、核酸技術を利
用するかまたはペプチド核酸技術を利用することにより、核酸に配列特異的に結
合しうるポリマーを作成する当業者には一般に知られている、天然のおよび非天
然の複素環残基を含む。
【0042】 b.本明細書において使用される時、「核塩基配列」という用語は、核塩基含
有サブユニットを含むポリマーの任意のセグメントである。適切なポリマーまた
はポリマーセグメントの非限定例として、オリゴヌクレオチド、オリゴリボヌク
レオチド、ペプチド核酸およびこれらの類似体またはキメラを含む。
【0043】 c.本明細書において使用される時、「標的配列」という用語は、測定法で検
出されるかまたは、測定法中の目的の標的分子の検出に使用される任意の核塩基
の配列である。「標的配列」は、目的の全配列を含むか、または目的の標的分子
のサブ配列またはサブユニットであってもよい。本明細書において使用される時
、「標的配列」はまた、本発明の検出複合体またはPCR検出複合体(本明細書
で定義される)のプライミング部位を意味する。
【0044】 d.本明細書において使用される時、「目的の標的分子」という用語は、目的
の核酸分子、非核酸ポリマー、PNA、または任意の他の二次的組成物でもよい
が、ただし、標的配列は二次的組成物に結合している。二次的組成物の非限定例
は、ペプチド、酵素、抗体、抗体断片などがある。
【0045】 e.本明細書において使用される時、「非核酸プローブ」または「非核酸ポリ
マー」という用語は、標的配列の少なくとも1部にハイブリダイズするように設
計されるプローブ用セグメントを含むオリゴマーを意味し、ここで、該オリゴマ
ーのプローブ用セグメントは、適当なハイブリダイゼーション条件下で中性の基
本骨格を含むというさらなる特徴を有する。非核酸プローブの好適な非限定例は
、ペプチド核酸(PNA)プローブである。
【0046】 f.本明細書において使用される時、「ペプチド核酸」または「PNA」という
用語は、米国特許第5,539,082号、5,527,675号、5,623,049号、5,714,331号、5,
736,336号、5,773,571号または5,786,571号(これら全ては、参照することより 本明細書の一部とする)にペプチド核酸として参照されているかまたは特許請求
されている任意の化合物を含む、2つまたはそれ以上のPNAサブユニット(残
基)を含む、任意のオリゴマー、結合ポリマーまたはキメラオリゴマーとして定
義される。「ペプチド核酸」または「PNA」という用語はまた、以下の刊行物
に記載される核酸擬似物の2つまたはそれ以上のサブユニットを含むポリマーに
も適用される:ディダリッシェン(Diderichsen)ら, Tett. Lett. 37: 475-478
(1996);フジイ(Fujii)ら, Bioorg. Med. Chem. Lett. 7: 637-627 (1997);
ジョーダン(Jordan)ら, Bioorg. Med. Chem. Lett. 7: 687-690 (1997);クロ
ッツ(Krotz)ら, Tett. Lett. 36: 6941-6944 (1995);ラグリフォウル(Lagri
ffoul)ら, Bioorg. Med. Chem. Lett. 4: 1081-1082 (1994);ロウ(Lowe)ら,
J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, (1997) 1: 539-546;ロウ(Lowe)ら, J. Ch
em. Soc. Perkin Trans. 1 1: 547-554 (1997);ロウ(Lowe)ら, J. Chem. Soc
. Perkin Trans. 1 1: 555-560 (1997);ピーターセン(Petersen)ら, Bioorg.
Med. Chem. Lett. 6: 793-796 (1996);ディーデリクセン、ユー(Diederichse
n, U.)Bioorg. & Med. Chem. Lett. 8: 165-168 (1998);カンチン(Cantin) ら、Tett. Lett., 38: 4211-4214 (1998):チアペッチ(Ciapetti)ら、Tetrahe
dron, 53: 1167-1176 (1997)およびラグリフォウレ(Lagriffoule)ら、Chem. E
ur. J., 3: 912-919 (1997)。
【0047】 好適な実施態様において、PNAは、式: [式中、各Jは、同一であるかまたは異なって、H、R1、OR1、SR1、NH R1、NR1 2、F、Cl、BrおよびIよりなる群から選択される。各Kは、同 一であるかまたは異なって、O、S、NHおよびNR1よりなる群から選択され る。各R1は、同一であるかまたは異なって、場合によりヘテロ原子または置換 もしくは非置換アリール基を含有してもよい、1〜5個の炭素原子を有するアル
キル基である。各Aは、単結合、式:−(CJ2s−の基および式:−(CJ2sC(O)−の基よりなる群から選択される(ここで、Jは、上記と同義であ り、そして各sは、1〜5の整数である)。整数tは、1または2であり、そし
て整数uは、1または2である。各Lは、同一であるかまたは異なって、J、ア
デニン、シトシン、グアニン、チミン、ウリジン、5−メチルシトシン、2−ア
ミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキ
サンチン、シュードイソシトシン、2−チオウラシル、2−チオチミジン、他の
天然の核塩基類似体、他の非天然の核塩基、置換および非置換芳香族残基、ビオ
チン、フルオレセイン、およびダブシルよりなる群から独立に選択される。]の
2つまたはそれ以上のPNAサブユニットを含むポリマーである。最も好適な実
施態様において、PNAサブユニットは、メチレンカルボニル結合により、N−
[2−(アミノエチル)]グリシン基本骨格のアザ窒素に結合している天然のま
たは非天然の核塩基よりなる。
【0048】 g.本明細書において使用される時、「標識物」または「検出可能な残基」と
いう用語は、互換性があり、核酸ポリマー、非核酸プローブ、またはPNAプロ
ーブに結合されて、プローブまたはオリゴマーを装置または方法で検出可能にす
ることができる残基を意味する。
【0049】 h.本明細書において使用される時、「キメラ」または「キメラオリゴマー」
という用語は、異なるクラスのサブユニットから選択される2つまたはそれ以上
の結合サブユニットを含むオリゴマーを意味する。例えばPNA/DNAキメラ
は、少なくとも1つの2’−デオキシリボ核酸サブユニットに結合した少なくと
も2つのPNAサブユニットを含むであろう(PNA/DNAキメラ調製物に関
する方法および組成物の例については、WO 96/40709を参照されたい)。キメラ の成分サブユニットの例は、PNAサブユニット、天然のアミノ酸サブユニット
、DNAサブユニット、RNAサブユニット、および核酸の類似体もしくは擬似
物のサブユニットよりなる群から選択される。
【0050】 i.本明細書において使用される時、「結合ポリマー」という用語は、リンカ
ーにより結合される2つまたはそれ以上のポリマーセグメントを含むポリマーを
意味する。結合して結合ポリマーを生成するポリマーセグメントは、オリゴデオ
キシヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、ペプチド、ポリアミド、ペプチド
核酸(PNA)およびキメラよりなる群から選択される。
【0051】 j.本明細書において使用される時、「成分ポリマー」という用語は、集合し
て検出複合体を形成する2つまたはそれ以上のポリマーを意味する。適当なポリ
マーの非限定例は、オリゴデオキシヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、ペ
プチド核酸、核酸類似体、核酸擬似物、結合ポリマーまたはキメラを含む。
【0052】 II.一般 PNA合成: PNAの化学的組立のための方法は周知である(米国特許第5,539,082号、5,5
27,675号、5,623,049号、5,714,331号、5,736,336号、5,773,571号または5,786,
571号(これら全ては、参照することより本明細書の一部とする)を参照)。ペ プチド核酸(Peptide Nucleic Acids)の支持体結合の自動化された化学的組立 のための化学物質および器具類は現在市販されている。PNAの化学的組立は、
固相ペプチド合成に類似しており、ここで、組立の各サイクルでオリゴマーは、
反応性アルキルアミノ末端を有し、これが、成長するポリマーに付加すべき次の
シントン(synthon)と縮合する。標準的ペプチド化学が利用されるため、天然 のおよび非天然のアミノ酸がごく普通にPNAオリゴマー中に取り込まれる。P
NAは、ポリアミドであるため、C末端(カルボキシル末端)とN末端(アミノ
末端)を有する。標的配列への逆平行の結合(好適な向き)に適したハイブリダ
イゼーションプローブの設計のためには、PNAプローブのプローブ用核塩基配
列のN末端が、同等なDNAまたはRNAオリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキ
シル末端の同等物である。
【0053】 PNA標識: 本発明の検出複合体は、少なくとも1つのドナー残基と少なくとも1つのアク
セプター残基を含む。好ましくはドナー残基は、蛍光物質であり、アクセプター
残基は、消光残基である。ドナーおよびアクセプター残基は、好ましくは(しか
し必ずしも必要ではない)、検出複合体の成分ポリマーの末端に結合している。
【0054】 PNAの標識は、ペプチド標識に類似している。組立の合成化学は、本質的に
同一であるため、ペプチドを標識するために一般に使用される任意の方法をPN
Aを標識するために適合させることができる。すなわち、PNAは無数の検出可
能な残基で標識される。一般に、核酸またはペプチドに結合させることができる
任意の検出可能な残基を、PNAに結合することができる。
【0055】 典型的にはPNAのN末端は、カルボン酸基または活性化カルボン酸基を有す
る残基との反応により標識される。1つまたはそれ以上のスペーサー残基を、標
識残基とオリゴマーの間に導入することができる。一般に、スペーサー残基は、
標識反応を行う前に取り込まれる。しかしスペーサーは、標識物内に埋め込まれ
、こうして標識反応の間に取り込まれる。特殊な試薬をPNAに結合することが
できる。例えば、適当に保護した4−アミノ安息香酸誘導体をPNAオリゴマー
のアミノ末端と縮合させて、末端アリールアミン残基を作成することができる。
【0056】 ある実施態様において、PNAのC末端は、その上で標識PNAを組み立てる
支持体で標識残基をまず縮合することにより標識される。次にPNAの第1のシ
ントンを標識残基で縮合する。あるいは、1つまたはそれ以上のスペーサー残基
を、標識残基とPNAオリゴマー(例えば、8−アミノ−3,6−ジオキサオク
タン酸)との間に導入することができる。PNAが完全に組み立てられ標識され
た後、標準的方法を使用してPNAを支持体から切断し、脱保護し、精製される
【0057】 例えば、標識残基は、ε−アミノ基が検出可能な残基(例えば5(6)−カル
ボキシフルオレセイン)で標識されたリジン誘導体であってよい。あるいは、標
識残基は、ε−アミノ基が4−((4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安
息香酸(ダブシル)で誘導体化されたリジン誘導体であってよい。このリジン誘
導体と合成支持体との縮合は、標準的縮合(ペプチド)化学を使用して行われる
。次にリジン誘導体のα−アミノ基を脱保護して、PNA組立は、第1のPNA
シントンとリジンアミノ酸のα−アミノ基との縮合により開始されるであろう。
完全な組み立て後、周知の方法を使用してPNAオリゴマーを支持体から切断し
、脱保護し、精製される。
【0058】 あるいは、組立られたまたは部分的に組立られたポリマー上の官能基は、なお
支持体に結合したまま標識される。本方法は、適切な保護基をオリゴマー中に組
み込むことにより、ドナーまたは検出可能な残基が結合している反応性官能基を
得ることを必要とするが、標識物(例えば、蛍光物質または消光残基)を、プロ
ーブ用セグメントに含まれるポリマー中の任意の位置に結合させることができる
という利点を有する。例えば、リジンのε−アミノ基は、4−メチル−トリフェ
ニルメチル(Mtt)、4−メトキシ−トリフェニルメチル(MMT)または4
,4’−ジメトキシトリフェニルメチル(DMT)保護基で保護することができ
る。Mtt、MMTまたはDMT基は、穏やかな酸性条件下で樹脂で処理して、
PNA(市販のFmoc PNAモノマーとPALリンカーを有するポリスチレ
ン支持体を使用して組立られる;パーセプティブ・バイオシステムズ社(PerSep
tive Biosystems, Inc.)、フレーミングハム、マサチューセッツ州)から脱離 することができる。従って、次に標識試薬は、リジンアミノ酸のε−アミノ基と
縮合することができる。完全な組立および標識後、次にポリマーは周知の方法を
使用して支持体から切断し、脱保護して、精製される。
【0059】 あるいは、標識物は、完全に組立てられて支持体から切断され随時精製された
後に、PNAに結合される。この方法は、標識物が、PNAを製造するために一
般に使用される切断、脱保護または精製法と両立しない場合に、好ましい。この
方法により、PNA上の官能基と標識物上の官能基との反応により、PNAは一
般に溶液中で標識される。当業者は、結合溶液の組成が、PNAと標識試薬の性
質に依存することを、認識するであろう。溶液は、有機溶媒、水またはこれらの
任意の組合せを含んでよい。一般に、有機溶媒は、極性非求核性溶媒であろう。
適切な有機溶媒の非限定例として、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、およびN,N’−ジメチルホルムアミドがある。
【0060】 一般にPNA上の官能基はアミンであり、標識試薬上の官能基はカルボン酸ま
たは活性化カルボン酸である。活性化カルボン酸官能基の非限定例として、N−
ヒドロキシスクシンイミジルエステルを含む。標識物が酵素なら、PNA上のア
ミンは好ましくはアリールアミンである。水溶液中で、PNAまたは標識物のい
ずれか(選択される成分の性質に依存する)のカルボン酸基は、水溶性カルボジ
イミドで活性化することができる。試薬、1−(3−ジメチルアミノプロピル)
−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)は、水性アミド形成縮合反応用に
特定して販売されている市販試薬である。
【0061】 一般に、水溶液のpHは、縮合反応中の緩衝液で調節される。好ましくは、縮
合中のpHは、4〜10の範囲にある。アリールアミンをカルボン酸と縮合する
時、好ましくはpHは4〜7の範囲にある。アルキルアミンをカルボン酸と縮合
する時、好ましくはpHは7〜10の範囲にある。一般に非水性反応の塩基性は
、非求核性有機塩基の添加により調節される。適切な塩基の非限定例として、N
−メチルモルホリン、トリエチルアミンおよびN,N−ジイソプロピルエチルア
ミンを含む。あるいは、pHは、(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−
N’−[2−エタンスルホン酸)(HEPES)または4−モルホリンエタン−
スルホン酸(MES)のような生物学的緩衝液、または重炭酸ナトリウムのよう
な無機緩衝液を使用して調節される。
【0062】 核酸合成と標識: 核酸オリゴマー(オリゴヌクレオチドとオリゴリボヌクレオチド)合成は、日
常的になっている。核酸合成の詳細な説明については、ゲイト,エム・ジェイ(
Gait, M.J.)、オリゴヌクレオチド合成:実際的方法(Oligonucleotide Synthe
sis: a Practical Approach)、アイアールエル・プレス(IRL Press)、オック
スフォード、イングランドを参照されたい。好ましくは、核酸オリゴマーは、固
相合成として知られている支持体上で合成される。あるいは、これらは溶液中で
合成される。標識、非標識および/または修飾オリゴヌクレオチド(DNA、R
NAおよびこれらの合成類似体)のいずれも容易に入手できることを、当業者は
理解できるであろう。これらは、市販の装置と試薬を使用して合成されるか、ま
たは注文製造オリゴヌクレオチドの市販業者から購入できる。種々の組成物、支
持体および合成と標識方法を記載する特許には、第5,476,925号、5,453,496号、
5,446,137号、5,419,966号、5,391,723号、5,391,667号、5,380,833号、5,348,8
68号、5,281,701号、5,278,302号、5,262,530号、5,243,038号、5,218,103号、5
,204,456号、5,204,455号、5,198,527号、5,175,209号、5,164,491号、5,112,96
2号、5,071,974号、5,047,524号、4,980,460号、4,923,901号、4,786,724号、4,
725,677号、4,659,774号、4,500,707号、4,458,066号、および4,415,732号(こ れらは、参照により本明細書に組み込まれる)がある。
【0063】 標識物 本発明の検出複合体に結合する標識物は、少なくとも1つのドナーと少なくと
も1つのアクセプター残基を含む1セット(本明細書において以後「ビーコンセ
ット」)のエネルギー移動残基を含む。典型的には、ビーコンセットは、単一の
ドナー残基と単一のアクセプター残基を含む。それにもかかわらず、ビーコンセ
ットは、1個を超えるドナー残基および/または1個を超えるアクセプター残基
を含有してもよい。例えば、セットは、3つの残基を含むことができる。残基1
は、励起され、残基2に近接して位置する時、ビーコンセットの残基2にエネル
ギーを移動させることができるドナー蛍光物質でもよい。次に、残基2は、励起
され、残基3に近接して位置する時、ビーコンセットの残基3にエネルギーを移
動させることができる。従って、このビーコンセットのすべての3つの残基の間
でエネルギーが移動される。このセットでは、残基2は、残基1からのエネルギ
ーのアクセプターであり、かつ残基3へのエネルギーのドナーである。ビーコン
セットの2つまたはそれ以上の残基の間のエネルギーのこのような移動は、本発
明の実施に包含される。
【0064】 ドナー残基とアクセプター残基は、1つまたはそれ以上のアクセプター残基が
、1つまたはそれ以上のドナー残基から移動したエネルギーを受け入れるか、そ
うでなければドナー残基からのシグナルを消滅させるように作用する。エネルギ
ーの移動は、ビーコンセット(非FRET)の密接に結合した残基の衝突により
、または蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer)
(FRET)のような非放射性プロセスにより、起こりうる。FRETが起こる
には、ドナー残基とアクセプター残基間のエネルギーの移動は、残基が距離的に
接近しており、かつドナーの発光スペクトルがアクセプターの吸収スペクトルと
かなり重複していることを必要とする(ヤロン(Yaron)ら, Analytical Bioche
mistry 95: 228-235 (1979)、そして特にp.232, 第1欄からp.234, 第1欄を参 照)。あるいは、非FRETエネルギー移動は、ドナー残基の発光スペクトルが
、アクセプター残基の吸収スペクトルと大きく重複していようといまいと、非常
に密接に結合したドナー残基とアクセプター残基の間に起こりうる(ヤロン(Ya
ron)ら, Analytical Biochemistry 95: 228-235 (1979)そして特にp.229, 第1
欄からp.232, 第1欄を参照)。このプロセスは、消光が、ドナー残基とアクセ プター残基の直接接触により引き起こされると考えられるため、分子内衝突と呼
ばれる(ヤロン(Yaron)らを参照)。
【0065】 好適なドナーおよびアクセプター残基は、それぞれ蛍光物質と消光残基である
。多くのアミン反応性標識試薬が市販されている(例えば、モレキュラープロー
ブズ(Molecular Probes)、ユージーン、オレゴン州のもの)。好適な標識試薬
は、カルボン酸またはカルボン酸のN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルと
して供給される。好適な蛍光色素(蛍光物質)には、5(6)−カルボキシフル
オレセイン(Flu)、6−((7−アミノ−4−メチルクマリン−3−アセチ
ル)アミノ)ヘキサン酸(Cou)、5(および6)−カルボキシ−X−ローダ
ミン(Rox)、シアニン2(Cy2)色素、シアニン3(Cy3)色素、シア
ニン3.5(Cy3.5)色素、シアニン5(Cy5)色素、シアニン5.5(
Cy5.5)色素、シアニン7(Cy7)色素、およびシアニン9(Cy9)色
素(シアニン色素2、3、3.5、5、および5.5は、アマシャム(Amersham
)(アーリントンハイツ、イリノイ州)からNHSエステルとして入手できる)
、またはアレクサ(Alexa)色素シリーズ(モレキュラープローブズ(Molecular
Probes)、ユージーン、オレゴン州)がある。最も好ましい蛍光物質は、フル オレセインの誘導体、および特に5(6)−カルボキシフルオレセインである。
アクセプター残基は、第2の蛍光物質でもよいが、好ましくはアクセプター残基
は消光残基である。消光残基は、ドナー残基(例えば、蛍光物質)からの検出可
能なシグナルを消光することができる残基である。最も好ましくは、消光残基は
、1つまたはそれ以上のアゾまたはニトロ基で置換された芳香族または複素芳香
環残基である。最も好ましい消光残基は、4−((4−(ジメチルアミノ)フェ
ニル)アゾ)安息香酸(ダブシル)である。
【0066】 エネルギー移動の検出: 検出複合体が形成される時、1つの成分ポリマーの少なくとも1つのドナー残
基は、第2の成分ポリマーの少なくとも1つのアクセプター残基に、距離が充分
近づく。セットのドナー残基とアクセプター残基の距離が近いため、ビーコンセ
ットの残基の間でエネルギーの移動が起きる。検出複合体が解離すると、ドナー
残基とアクセプター残基は、ビーコンセットのドナー残基とアクセプター残基か
らの大きなエネルギーの移動を引き起こすのに充分な相互作用をせず、セットの
ドナーおよび/またはアクセプター残基からのシグナルの検出可能な相関する変
化がある。従って、検出複合体の形成/解離は、ビーコンセットの少なくとも1
つのメンバーの少なくとも1つの物理的性質(これは、検出複合体の成分ポリマ
ーが独立にかつ結合しないで存在する時と比較して、異なって検出される)を測
定することにより決定することができる。
【0067】 あるいは、まだ完全な検出複合体が、標的分子の標的配列とさらに複合体を形
成する時と比較して、未変性の検出複合体中の検出可能な形で異なるビーコンセ
ットの少なくとも1つのメンバーの少なくとも1つの物理的性質の検出可能な変
化があるなら、複合体解離を引き起こさないハイブリダイゼーションにのみ起因
するシグナルの検出可能な変化は、試料中の標的配列および標的分子の有無また
は量と相関付けられる。ハイブリダイゼーションまたは複合体解離に起因する検
出可能なシグナルの変化を、我々は、本発明の検出複合体とPCR検出複合体(
前記で定義した)の自己暗示性と呼ぶ。
【0068】 非結合ポリマーの結合ドナー残基とアクセプター残基の間の平均距離は、まだ
複合体を形成しているポリマーと比較して非常に大きいため、好ましくは検出複
合体は解離する。距離の大きさのため、解離したポリマーのドナー残基とアクセ
プター残基の間に基本的にエネルギーの移動はないが、まだ複合体を形成してい
るポリマーの残基の間には実質的なエネルギーの移動があるであろう。従って、
ハイブリダイゼーションのみが検出可能な変化を引き起こす時と比較して、検出
複合体が解離する時は、実質的により大きい検出可能なシグナルの変化がある。
同様に、単分子プローブの結合ドナー残基とアクセプター残基は、無限の距離に
離れることはできないため、本発明の検出複合体は、単分子プローブと比較して
より大きな検出可能なシグナルの変化を発生するはずである。
【0069】 エネルギー移動標識物以外に、本発明のドナー残基とアクセプター残基は電子
移動残基であり、ここで検出可能なシグナルは、これらが密接に位置する時残基
間で電子の移動から検出可能なシグナルが発生するが、距離がより離れている時
はあまり効率的ではない。
【0070】 検出可能なかつ独立に検出可能な残基/多重分析: 本発明の好適な実施態様において、多重ハイブリダイゼーション測定法が行わ
れる。多重測定法では、目的の多くの条件が同時に調べられる。多重分析は、測
定法の間または測定法が終了後に、関連する試料成分データを分類する能力に依
存する。本発明の好適な実施態様において、2つまたはそれ以上の異なる検出複
合体の成分ポリマーを標識するために、明確に独立した検出可能な残基が使用さ
れる。標的配列への明確に(独立に)標識された検出複合体のそれぞれのハイブ
リダイゼーションと相関するデータは、試料中の検出すべき標的配列または標的
分子のそれぞれの有無または量に相関付けることができるため、独立に検出可能
な残基のそれぞれを区別および/または定量する能力は、ハイブリダイゼーショ
ン測定法を多重化する手段を提供する。従って本発明の多重測定法は、同じ試料
および同じ測定法中の2つまたはそれ以上の標的配列または標的分子の2つまた
はそれ以上の有無または量を同時に検出するのに使用してもよい。検出複合体は
自己暗示性であり、かつ独立に検出可能なため、本発明の多重測定法は、閉鎖管
フォーマットで行い、同じ測定法中の目的の2つまたはそれ以上の標的配列また
は標的分子について、試料の同時のリアルタイムおよび終点分析ためのデータを
提供することができる。さらにこの測定法は、単分子「ビーコン」プローブの取
り込みによりさらに多重化することができ、こうして測定法の性能を確認するか
、または目的の標的配列または標的分子の特異的な特徴を同定するのに使用する
ことができる。
【0071】 スペーサー/リンカー残基: 一般に、スペーサーは、かさ高い標識試薬が、非核酸プローブのハイブリダイ
ゼーション性に及ぼす有害作用をできるだけ小さくするために使用される。リン
カーは典型的には、プローブに柔軟性と無作為性を誘導するか、さもなければプ
ローブまたは成分ポリマーの2つまたはそれ以上の核塩基配列を結合させる。本
発明の検出複合体の非核酸成分ポリマーのための好適なスペーサー/リンカー残
基は、1つまたはそれ以上のアミノアルキルカルボン酸(例えば、アミノカプロ
ン酸)、アミノ酸の側鎖(例えば、リジンまたはオルニチンの側鎖)、天然のア
ミノ酸(例えば、グリシン)、アミノオキシアルキル酸(例えば、8−アミノ−
3,6−ジオキサオクタン酸)、アルキル二酸(例えば、コハク酸)、アルキル
オキシ二酸(例えば、ジグリコール酸)、またはアルキルジアミン(例えば、1
,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン)からなる。スペーサー/リンカー
残基はまた、偶然または意図的にプローブの水溶性を改良するようにも作製され
る(例えば、ギルデア(Gildea)ら、Tett. Lett. 39: 7255-7258 (1998))。好
ましくはスペーサー/リンカー残基は、式:−Y−(Om−(CW2no−Z−
を有する1つまたはそれ以上の結合化合物を含む。Y基は、式:単結合、−(C
2p−、−C(O)(CW2p−、−C(S)(CW2p−および−S(O2 )(CW2pを有する。Z基は、式:NH、NR2、SまたはOを有する。各W は、独立にH、R2、−OR2、F、Cl、BrまたはIである(ここで、各R2 は、−CX3、−CX2CX3、−CX2CX2CX3、−CX2CX(CX32、お よび−C(CX33よりなる群から独立に選択される)。各Xは、独立にH、F
、Cl、BrまたはIである。各mは、独立に0または1である。各n、oおよ
びpは、独立に0〜10の整数である。
【0072】 ハイブリダイゼーション条件/厳密性: 核酸ハイブリダイゼーション分野の当業者であれば、ハイブリダイゼーション
の厳密性を負荷または制御するのに一般に使用される因子には、ホルムアミド濃
度(または他の化学変性試薬)、塩濃度(すなわち、イオン強度)、ハイブリダ
イゼーション温度、界面活性剤濃度、pHおよびカオトロープ(chaotropes)の
存在または非存在があることを認識するであろう。プローブ/標的の組合せに最
適な厳密性はしばしば、上述の厳密性因子の幾つかを固定して、次に単一の厳密
性因子の変化の効果を測定する周知の方法により、見い出される。非核酸ポリマ
ー(例えば、PNA)のハイブリダイゼーションがイオン強度からはかなり独立
していることを除いて、同じ厳密性因子を調節して標的配列への検出複合体のプ
ローブ用セグメントのハイブリダイゼーションの厳密性を制御することができる
。ある測定法のための最適な厳密性は、所望の程度に識別できるまで、各厳密性
因子を検討して実験的に求めることができる。
【0073】 本発明の検出複合体はアニーリングする2つまたはそれ以上の成分ポリマーを
含むため、前記の厳密性因子は、本発明の検出複合体を安定化または解離するの
にも応用される。従って厳密性因子の制御は、制御された方法で検出複合体およ
び/または標的分子の安定性を優先的に調節することを可能にし、こうして追加
の利点および利益が達成される。例えば、本来は高度な構造の核酸は、低塩濃度
中では実質的に解離し、ここで、少なくとも1つの成分ポリマーは非核酸ポリマ
ー(例えば、PNA)であるため、検出複合体は安定性を保持するように設計す
ることができる。これらの条件下で、検出複合体のPNAプローブ用セグメント
は、標的配列(通常、高度な構造領域中に埋められており、核酸プローブが近づ
くことはできない)と、より容易に相互作用するであろう。
【0074】 適切なハイブリダイゼーション条件 一般に、バックグランドを引き起こす核酸汚染物質が標的配列により密接に関
連するほど、厳密性はより注意深く制御しなければならない。ブロッキングプロ
ーブはまた、厳密性因子の最適化のみで可能な限界を超えて、区別を改良するた
めの手段として使用される。従って適切なハイブリダイゼーション条件は、測定
法が正確(測定法の所望の許容範囲内)かつ再現性のある結果を与えるように、
所望の程度の区別が達成される条件を含むであろう。ルーチンの実験と本明細書
の開示内容のみから、当業者は、本明細書に記載の方法、キットおよび組成物を
使用して、測定を行うのに適切なハイブリダイゼーション条件を決定することが
できるであろう。
【0075】 ブロッキングプローブ: ブロッキングプローブは、プローブ用ポリマーのプローブ用セグメントが、非
標的配列に結合することを抑制するのに使用することができるPNA、核酸また
は非核酸プローブである。好適なブロッキングプローブはPNAプローブである
(コウル(Coull)ら, WIPO公報、WO 98/24933を参照)。典型的にはブロッ
キングプローブは、プローブ用セグメントに密接に関連しており、好ましくはこ
れらは、プローブ用セグメントの点突然変異を含む。ブロッキングプローブは非
標的配列にハイブリダイズすることにより、プローブ用セグメントと非標的配列
の間のハイブリダイゼーションにより形成される複合体よりも熱力学的に安定な
複合体を形成すると考えられている。より安定で好適な複合体の形成は、プロー
ブ用セグメントと非標的配列の間のより安定性の低い好適ではない複合体の形成
を阻止する。すなわち、ブロッキングプローブは、検出複合体のプローブ用ポリ
マーのプローブ用セグメントが非標的配列に結合することを抑制するために、本
発明の方法、キットおよび組成物とともに使用することができる。
【0076】 III.本発明の組成物 A.プローブおよびプライマー検出複合体(検出複合体): ある実施態様において本発明は、検出複合体に関する。検出複合体は、少なく
とも2つの成分ポリマーのハイブリッドである。検出複合体の成分ポリマーの少
なくとも2つは、ドナー残基とアクセプター残基のセット(ビーコンセット)か
ら少なくとも1つの残基を含むが、検出複合体は2つ以上のビーコンセットを含
有してもよい。成分ポリマーは、相互作用性の基の相互作用により検出複合体を
形成するように設計される。検出複合体は、特定の用途に適した検出複合体を作
製するのに有用な、1つまたはそれ以上のリンカーおよび/または1つまたはそ
れ以上のスペーサー残基を含有してもよい。
【0077】 各検出複合体は、少なくとも1つのプローブ用ポリマーと少なくとも1つのア
ニーリングポリマーを含む。プローブ用ポリマーは、プローブ用セグメントが標
的配列またはプライミング部位にハイブリダイズした結果として標的分子を検出
するのに適した、サブユニットの配列を含有する。典型的には、アニーリングポ
リマーの主要な有用性は、検出複合体を形成することであるが、ある実施態様に
おいてアニーリングポリマーはまた、目的の異なる標的分子を検出するのに適し
た核塩基配列を含有してもよい。相互作用性の基は、プローブ用ポリマーをアニ
ーリングポリマーにアニーリングさせ、こうして検出複合体を形成しこれを安定
化させる。プローブ用ポリマーとアニーリングポリマーの任意の組合せが、適当
な相互作用性の基を用いて作製される。さらにプローブ用ポリマーとアニーリン
グポリマーは、PNA、DNA、RNA、キメラオリゴマー、または結合ポリマ
ーでもよいが、ただし、成分ポリマーの少なくとも1つは非核酸ポリマーである
。好ましくは非核酸ポリマーはペプチド核酸(PNA)である。
【0078】 図1Aは、単一のドナーと単一のアクセプター残基を含む検出複合体の単純な
例を例示する。検出複合体はドナー残基とアクセプター残基()の単一の
セットを含み、その各々は、異なる成分ポリマー(すなわち、単一のビーコンセ
ット)に結合している。図示したように、相互作用性の基(2021と相互作
用する)は、プローブ用ポリマー(30)とアニーリングポリマー(31)の核
塩基配列を含む。検出複合体が形成され、相互作用性の基の相互作用により安定
化される。図示したように、アニーリングポリマー(31)は、プローブ用ポリ
マー(30)と安定な複合体を形成するのに必要な相互作用性の基(21)を含
み、従ってアニーリングポリマー(31)は、プローブ用ポリマー(30)より
短い。プローブ用ポリマー(30)は、標的配列またはプライミング部位と安定
なハイブリッドを形成しなければならないため、しばしばプローブ用ポリマー( 30 )は、アニーリングポリマー(31)より長くなるように設計されるであろ
う。
【0079】 図1Bは、検出複合体のより複雑な例を例示する。図示したように、検出複合
体は、ドナー残基とアクセプター残基の2つのセット(すなわち、2つのビーコ
ンセット)を含む。1つのビーコンセットは残基を含み、第2のビーコン
セットは残基を含む。図示したように、各ポリマーは2セットの相互作用
性の基(2223と相互作用し;2425と相互作用する)を含み、1つの
相互作用性の基は、プローブ用ポリマー(32)とアニーリングポリマー(33 )のそれぞれの各末端に位置している。相互作用性の基は検出複合体を形成しこ
れを安定化させる。図示したように、プローブ用ポリマー(32)とアニーリン
グポリマー(33)の中心のセグメントは相互作用せず、従って各成分ポリマー
の非相互作用性の基は隆起していることが示される(26)。
【0080】 図1Cは、検出複合体のより複雑な例を例示する。図示したように、検出複合
体は、ドナー残基とアクセプター残基の3つのセット(すなわち、3つのビーコ
ンセット)を含む。1つのビーコンセットは残基10を含み、第2のビーコ
ンセットは残基11を含み、第3のビーコンセットは残基12を含む。
この検出複合体は、3つのポリマーを含み、そのうちの1つのみがプローブ用ポ
リマー(34)として設計される。この図で他の2つのポリマーはアニーリング
ポリマー(3536)である。図示したように、各ポリマーは2セットの相互
作用性の基(4041と相互作用し;4243と相互作用し;4445
相互作用する)を含み、1つの相互作用性の基は、プローブ用ポリマー(34
とアニーリングポリマー(3536)のそれぞれの各末端に位置している。相
互作用性の基の相互作用により、検出複合体が形成され安定化される。図示した
ように、プローブ用ポリマー(34)とアニーリングポリマー(3536)の
中心のセグメントは相互作用せず、従って各成分ポリマーの非相互作用性の基は
隆起していることが示される(26)。
【0081】 本発明の検出複合体は主に、標的配列またはプライミング部位への成分ポリマ
ーの1つまたはそれ以上のセグメントのハイブリダイゼーションの直接または間
接の結果として解離するように設計される。従って検出複合体は、目的の試料中
に存在する可能性のある目的の標的分子の有無または量を検出するのに使用する
ことができる。目的の試料中に存在する可能性のある目的の標的分子の有無また
は量は、標的配列への成分ポリマーのハイブリダイゼーションを、検出複合体の
解離と直接または間接に相関付けることにより決定することができる。検出複合
体の成分ポリマーは、好ましくは解離し、結合したドナー残基とアクセプター残
基(これらは、異なるポリマーに独立に結合している)は、分子ビーコン(PN
Aまたは核酸)またはリニアビーコンのような単分子「ビーコン」プローブと比
較して、さらに距離が離れる(単分子「ビーコン」の例には、ヘアピン形成性核
酸分子ビーコン(ティアギ(Tyagi)ら、ティアギ(Tyagi)2ら、およびティア
ギ(Tyagi)3らを参照)、PNA分子ビーコン(USSN08/958,532)(認可)お よび同時係属USSN09/179,298を参照、いずれも参照により本明細書に組み込まれ
る)およびリニアビーコン(同時係属USSN09/179,162、参照により本明細書に組
み込まれる)がある。その結果、ドナー残基とアクセプター残基の間の距離に比
例するエネルギー移動の効率は、単分子「ビーコン」プローブ(ここでは、ドナ
ー残基とアクセプター残基は同じポリマーに結合しており、従って距離が無限に
離れることができない)と比較して、大きく変化する。すなわち、本発明の検出
複合体は、単分子作製体に対して大きな相対的利点を有する。
【0082】 主に解離するように設計されているが、ドナー残基とアクセプター残基の間の
距離は、検出複合体が解離するかどうかにかかわらず、検出複合体のプローブ用
ポリマーのプローブ用セグメントが標的配列にハイブリダイズするためだけによ
り、変化してもよい。まだ完全な検出複合体が標的分子の標的配列と複合体を形
成する時と比較して、未変性の検出複合体中の検出可能な形で異なるセットの少
なくとも1つのメンバーの少なくとも1つの物理的性質に変化があるなら、本発
明の検出複合体はまた、検出複合体は解離しなくても、試料中の標的配列または
標的分子の有無または量を決定するために使用される。
【0083】 例えば、本発明で行われる典型的な測定法は、測定法中の蛍光の上昇を測定し
、ここで蛍光の上昇は、検出複合体が解離するかどうかにかかわらず、プローブ
用セグメントの標的配列へのハイブリダイゼーションと相関する。従って蛍光強
度の変化は、試料中に存在する標的配列の有無または量と相関付けられる。さら
に、標的配列の有無または量は次に、目的の標的分子の有無または量と相関付け
られる。典型的には標的配列または標的分子の定量は、標準的測定法と代表的試
料中の既知量の標的配列または標的分子を使用して作成した標準曲線と比較して
行われるであろう。
【0084】 プローブ用ポリマー: プローブ用ポリマーは少なくとも1つのプローブ用セグメントを含む。検出複
合体のプローブ用セグメントは、作製体の配列特異的認識部分である。従ってプ
ローブ用セグメントは、適当なハイブリダイゼーション条件下で特異的標的配列
またはプライミング部位にハイブリダイズするように設計されたサブユニットを
含有する核塩基配列である。核酸分子ビーコンとは異なり、検出複合体の一部が
自己ハイブリダイゼーションのために、特異的に設計される必要性はない。従っ
て全プローブ用ポリマーは、プローブ用セグメントを含み、ここで相互作用性の
基はプローブ用セグメントに必須である。あるいはプローブ用ポリマーは、プロ
ーブ用セグメントと1つまたはそれ以上の相互作用性の基を含有してもよく、こ
こで相互作用性の基は、標的配列またはプライミング部位とハイブリダイズまた
は相互作用しない。
【0085】 プローブ用セグメント: プローブ用ポリマーの要件を考慮すると、プローブ用セグメントの長さは一般
に、プローブ用セグメントと標的配列またはプライミング部位の間に安定な複合
体が形成されるように選択される。本発明の実施に適したプローブ用セグメント
は一般に、5〜50サブユニットの長さを有する。好ましくはプローブ用セグメ
ントは、7〜25サブユニットの長さである。最も好ましくはプローブ用セグメ
ントは、12〜20サブユニットの長さである。
【0086】 検出複合体のプローブ用セグメントは一般に、標的配列に相補的な核塩基配列
を有する。あるいは、プローブと標的配列の間に単一の点突然変異(塩基ミスマ
ッチ)が存在するプローブを利用する時、より大きな配列の差が得られることが
証明されているため、実質的に相補的なプローブ用セグメントを使用してもよい
(グオ(Guo)ら、Nature Biotechnology 15: 331-335 (1997))。
【0087】 アニーリングポリマー 1つまたはそれ以上のアニーリングポリマーはプローブ用ポリマーにアニーリ
ングし、こうして検出複合体を形成する。すなわちある実施態様において、アニ
ーリングポリマーは、検出複合体を形成するために使用されるだけである。ある
いは、アニーリングポリマーは、それ自身が第2のプローブ用ポリマーのような
情報含有ポリマーでもよい。従って2つ以上のプローブ用ポリマーについて検出
複合体が作製され、ここで各プローブ用ポリマーはまた、他のプローブ用ポリマ
ーのためのアニーリングポリマーである。少なくとも、プローブ用ポリマーにア
ニーリングした時、検出複合体の形成に必要な相互作用性の基を含むが、検出複
合体の少なくとも1つのアニーリングポリマーは、ビーコンセットの少なくとも
1つの結合メンバーを有する必要がある。
【0088】 相互作用性の基: 相互作用性の基は、検出複合体を形成しこれを安定化させる成分ポリマーの残
基である。相互作用性の基は、プローブ用ポリマーおよび/またはアニーリング
ポリマーの全体を含有してもよい。あるいは相互作用性の基は、プローブ用ポリ
マーおよび/またはアニーリングポリマーのそれぞれのサブユニットのサブセッ
トのみを含有してもよい。
【0089】 相互作用性の基は、蛍光物質や消光物質のような疎水性残基でもよく、または
他の脂溶性残基とともに蛍光物質や消光物質の両方を含有してもよい。他の実施
態様では、相互作用性の基は、塩の対を形成するイオン化された基でもよい。こ
のような塩の対の1つの例は、1つまたはそれ以上のリジン残基の陽性荷電ε−
アミノ基と1つまたはそれ以上のアスパラギン酸またはグルタミン酸残基の陰性
荷電側鎖カルボキシル基との対になった相互作用を含む(電荷は、生理学的pH
に基づく)。別の実施態様では、相互作用性の基は、成分ポリマーの核塩基配列
のすべてのまたは一部の相補的な核塩基である。検出複合体の形成と安定性は、
成分ポリマーのすべての残基の疎水結合性、イオン結合性および水素結合性のす
べてにより影響を受けるであろう。
【0090】 相互作用性の基は、プローブ用ポリマーおよびアニーリングポリマーのそれぞ
れの1つの末端にのみ位置してもよい(例えば、図1Aを参照)。あるいは相互
作用性の基は、成分ポリマーのそれぞれの両方の末端に結合する(例えば、図1
Bと1Cを参照)。さらに別の実施態様では、相互作用性の基は、1つまたはそ
れ以上の成分ポリマーの内部にあってもよい(例えば、1つまたはそれ以上の成
分ポリマー内の中心にある)。
【0091】 好適な実施態様では、検出複合体は、単一のプローブ用ポリマーと単一のアニ
ーリングポリマーから形成される。さらに好ましくは、アニーリングポリマーの
すべてのサブユニットは、プローブ用ポリマーのサブユニットの一部にのみ相互
作用する(例えば、図1Aを参照)。最も好適な実施態様では、検出複合体の形
成と安定性は、主に成分ポリマーのサブユニットの相補的な核塩基の相互作用に
より決定される。
【0092】 図1Bと1Cは、成分オリゴマーのセグメントはリンカーにより結合している
ため、検出複合体の2つまたはそれ以上の隆起(26)が発生することを示す。
リンカーは典型的には相互作用性の基を含有しないため、成分ポリマーのこれら
の部分は、設計上は相互作用しない。例えば本明細書の例13と14に記載の検
出複合体の1つは、2つの結合オリゴマーセグメントを有するPNA成分ポリマ
ーから形成される。あるいは隆起は、成分ポリマーの核塩基が非相補的であり、
従って相互作用しないためだけによって発生する。
【0093】 塩基対合モチーフ: 相互作用性の基が核塩基を含む時、検出複合体の少なくとも2つの成分ポリマ
ーの安定な複合体を形成する塩基対合モチーフは、検出複合体を形成するのに使
用することができる。適当な塩基対合モチーフの非限定例には、2本鎖、3本鎖
、および他のマルチマーや高次構造物(核酸、核酸類似体、核酸擬似物、キメラ
および/または結合ポリマーが、複合体を形成するために取る構造)がある。
【0094】 平衡因子: 検出複合体、PCR検出複合体および基質検出複合体は、複合体形成に好まし
い条件下で成分ポリマーを混合して、溶液中で形成されるハイブリッドである。
検出複合体、PCR検出複合体、または基質検出複合体を形成するために加えた
各成分ポリマーの量は、計算し制御できるため、複合体形成/解離の程度は、測
定法中に存在する2つまたはそれ以上の成分ポリマーの量と濃度を調整すること
により操作または制御でき、こうしてビーコンセットの両方のメンバーが結合し
ている単分子プローブでは不可能な方法でバックグランドを低下させることがで
きる。
【0095】 例えば、単一の蛍光物質を含有するプローブ用ポリマーおよび消光残基を含有
するアニーリングポリマーが、1:1(一定の濃度)の比の時95%結合してお
り、1:5(一定の濃度)の比で混合されている時99.9%結合しているなら
、1:1比を含有する試料は、溶液中で遊離の5%蛍光標識したプローブ用ポリ
マーに起因する大きなバックグランド蛍光を有するであろう。しかしポリマーを
含有する実質的にすべての蛍光は、アニーリングポリマーを含有する消光残基と
完全に複合体を形成しているため、1:5比を含有する試料は、内因性蛍光はは
るかに小さいであろう。従って検出複合体、PCR検出複合体または基質検出複
合体を含有する任意の溶液のバックグランド蛍光は、成分ポリマーの相対的比率
と濃度を変化させることにより調整でき、こうしてハイブリッド形成の程度を調
整することができる。
【0096】 本発明の検出複合体またはPCR検出複合体を利用する測定法のバックグラン
ド蛍光はまた、好ましくは成分ポリマーの1つを標的配列に結合させることによ
り調節される。上記例の分析を延長して、標的配列について試料を分析するのに
使用される溶液は、1:1の比他のプローブ用ポリマーとアニーリングポリマー
を含み、こうして95%の検出複合体を含有する溶液を産生すると、我々は仮定
する。もし80%のプローブ用ポリマーが優先的に試料の標的配列にアニーリン
グし、従って検出複合体またはPCR検出複合体が解離すると仮定すると、検出
複合体またはPCR検出複合体を形成するために溶液中に遊離で存在するプロー
ブ用ポリマーとアニーリングポリマーの相対比は1:5である(すべての蛍光物
質含有プローブは、99.9%が消光物質含有プローブに結合している)。平衡
の移動により、系のバックグランド蛍光が大きく低下するであろう。従って、検
出複合体またはPCR検出複合体の形成のための組成物と方法を適切に選択する
ことにより、本発明の実施が向上するであろう。さらに未変性のPNAのような
非核酸ポリマーは、核酸が結合するより強く核酸に結合するため、検出複合体の
本質的に完全な形成に、平衡を移動させるのに必要なポリマーの過剰は少ないた
め、検出複合体の成分ポリマーとして1つまたはそれ以上のPNAポリマーを使
用することは、特に有効である。
【0097】 検出複合体、PCR検出複合体および基質検出複合体の形成と安定性 複数のタイプの相互作用性の基が存在し、検出複合体、PCR検出複合体また
は基質検出複合体の安定性/不安定性に寄与するように、成分ポリマーが作製さ
れる(「相互作用性の基」のセクションの考察を参照されたい)。典型的には、
検出複合体、PCR検出複合体または基質検出複合体があらかじめ決められた条
件下で安定であり、あらかじめ決められた条件下で解離するように、成分ポリマ
ーの組成は適切に選択される。2つまたはそれ以上のポリマーのハイブリッドの
形成と解離のΔH、ΔSおよびΔG値を決定するのにTm分析が利用できること
を、当業者は認識するであろうから、一般に、検出複合体、PCR検出複合体ま
たは基質検出複合体の安定性および不安定性の熱力学的パラメータは、融点を調
べることにより決定することができる。この方法は一般的であり、自動化装置に
付随するソフトウェアは、典型的にはTmを行った後にΔH、ΔSおよびΔG値
を得るようになっている。正しい安定性を有する検出複合体、PCR検出複合体
または基質検出複合体を選択することは、試料のリアルタイムおよび終点分析の
ための測定法を設計するために必須である。しかし、検出複合体、PCR検出複
合体または基質検出複合体が自由に形成され、その結果検出可能なシグナルは、
標的配列または標的分子の存在に正しく起因する条件下で実施し、標的に依存し
ない解離を誘発する条件(例えば、複合体のTmの近辺またはそれ以上)では、
リアルタイム分析を実施しないことを注目されたい。本明細書の開示内容を使用
して、当業者は、特定用途に適した安定性/不安定性の検出複合体、PCR検出
複合体または基質検出複合体を形成するためのポリマーを設計するのに、通常の
実験以上のものは必要としないであろう。
【0098】 相互作用性の基の組成は、複合体の安定性/不安定性に影響を与えるのに使用
される主要な因子であるため、プローブ用ポリマーの長さと組成は複合体の安定
性に影響を与える。特にハイブリダイゼーションは協同事象であるため、標的配
列またはプライマー部位へのプローブ用セグメントのハイブリダイゼーションは
、そこに結合した相互作用性の基の相互作用に、立体的または機能的に影響を与
える。従って検出複合体、PCR検出複合体または基質検出複合体の成分ポリマ
ーの組成を選択する時は、これらのタイプの二次的作用も考慮されるであろう。
【0099】 好ましくは、プローブ用セグメントと標的配列またはプライマー部位との相互
作用が直接または間接に複合体を解離させる時まで、安定な作製体として存在す
るように検出複合体またはPCR検出複合体は設計される。従って、プローブ用
セグメントと標的配列またはプライマー部位との間のハイブリッドの形成が、直
接複合体の解離を引き起こすように、検出複合体は設計される。あるいは標的配
列またはプライマー部位とプローブ用セグメントとの間の安定なハイブリッドの
形成が、検出複合体を直接解離させないが、二次「引き金」事象の働きにより起
きるように、検出複合体またはPCR検出複合体を設計してもよい。
【0100】 プローブ用セグメントが標的配列にハイブリダイズすると、検出複合体が直接
解離することが目的である時は、一般に複合体は、プローブ用セグメントと標的
配列またはプライミング部位の間のハイブリッドが、検出複合体を安定化させる
組成物の性質より熱力学的に安定であるように、設計される。本実施態様では、
検出複合体は一般に、プローブ用ポリマーの相互作用性の基を含むサブユニット
の少なくとも一部も、プローブ用セグメントと標的配列とのハイブリッドの形成
に寄与するように、作製される。好ましい熱力学的考えと組合せた時、同じ基が
何らかのハイブリッドを含む必要があることは、直接検出複合体の解離を引き起
こす。この実施態様は、直接解離と見なされ、検出複合体がプライマーとして使
用される時と比較して、プローブとして使用される時に最も好ましい。
【0101】 プローブ用セグメントが標的配列またはプライミング部位にハイブリダイズし
た後にも、検出複合体またはPCR検出複合体が無傷で残ることが目的である時
は、プローブ用セグメントとプライマー部位または標的配列との間のハイブリッ
ドの形成にも寄与するプローブ用ポリマーの相互作用性の基は典型的には存在し
ない。このため、プローブ用セグメントと標的配列またはプライマー部位から形
成されるハイブリッドの熱力学的安定性は典型的には、検出複合体を形成する相
互作用性の基の熱力学的安定性とは無関係である。従って一般に検出複合体は、
第2の「引き金」事象が相互作用性の基の相互作用を破壊し、こうして検出複合
体の解離を引き起こすように、作製される。検出複合体は、二次「引き金」事象
が起きるまで、あらかじめ決められた測定条件下で熱力学的に安定であり、この
ため、二次事象の性質が、二次「引き金」事象の活性を標的配列の有無または量
と正確に相関付けるために使用できる方法で、複合体の解離を引き起こす。この
実施態様は本明細書では、間接的解離と見なされ、検出複合体がプローブとして
使用される時と比較して、プライマーとして使用される時に最も好ましい。
【0102】 例えば、検出複合体の一般的作製を図2に示す。検出複合体は、プローブ用ポ
リマーの組成に依存して、標的配列またはプライミング部位にプローブ用セグメ
ントがハイブリダイズすると、解離するかまたは集合したままであり得る。図2
Aについて、残基またはのいずれかは、ドナーまたはアクセプター残基とし
て独立に選択されるが、ただし:1.がドナー残基なら、はアクセプターで
ある;そして2.がアクセプターなら、はドナー残基である。つなぎ13 14 は、ドナーとアクセプター残基を各成分ポリマーに結合させるスペーサー残 基である。相互作用性の基1516は相互作用して、検出複合体を形成しこれ
を安定化させる。結合部17は、プローブ用ポリマー(37)のセグメント18 と相互作用性の基15を区別するためにのみ使用される。図示したように、検出
複合体は、セグメント18が標的配列またはプライミング部位とハイブリッドを
形成するのに適した条件下で、目的の標的分子(19)の標的配列と接触させら
れる。
【0103】 図では、検出複合体の解離は、プローブ用セグメントがプローブ用ポリマー( 37 )のセグメント1518の両方を含むか、またはプローブ用セグメントが
セグメント18のみを含むかに依存する。経路Iでは、検出複合体またはPCR
検出複合体は標的配列またはプライマー部位(ハイブリダイゼーション事象)に
ハイブリダイズするが、プローブ用セグメントはセグメント18のみを含むため
解離しない。セグメント15の1つまたはそれ以上のサブユニットは、標的配列
またはプライマー部位と相互作用するように設計されていないため、相互作用性
の基にストレスは加えられず、従って複合体解離を引き起こす。それにもかかわ
らず、ハイブリダイゼーション事象に起因するビーコンセットの少なくとも1つ
のメンバーからの検出可能なシグナルの変化が伴うなら、検出複合体は、二次「
引き金」事象を検出するために使用されるか、または標的配列へのプローブ用セ
グメントのハイブリダイゼーションの尺度として使用することができる。本明細
書の例15は、PCR反応により産生される核酸の量とハイブリダイゼーション
事象とを相関付ける現実性と有用性を証明している(すなわち、二次「引き金」
事象はPCRである)。
【0104】 経路IIでは、プローブ用セグメントはセグメント1518の両方を含むため
、ハイブリダイゼーション事象の結果として、検出複合体は解離する。設計によ
り、プローブ用セグメントと標的配列またはプライマー部位との間に形成される
複合体は、熱力学的に好ましい。セグメント18と標的との最初の相互作用によ
り、プローブ用ポリマーの全相補的な配列の協同的結合が起きるため、相互作用
により必ず、アニーリングポリマー(38)の放出と検出複合体の解離が起きる
。従って本実施態様の検出複合体の解離は、目的の試料中に存在する標的配列ま
たは標的分子の有無または量の検出のための、より直接的な方法として使用する
ことができる。本明細書の例14は、検出複合体がプローブとして使用できるこ
とを証明する。
【0105】 経路Iスキームは、核酸分子ビーコンや関連する単分子「ビーコン」プローブ
に対していくつかの利点を有する。WO 95/13399やWO 97/06208に記載の作製体は
、測定法へのハイブリダイゼーションの直接的かつ特異的検出のために、特異的
に利用される(9〜10頁にまたがる段落を参照されたい)。さらにWO 95/1339
9の作製体は、PCR反応においてプライマーの1つとして設計されていない( 41〜42頁にわたる段落を参照)。具体的には測定法で検出可能なシグナルが
産生される前に二次「引き金」事象が起きることの必要性は、第2のレベルの区
別を測定法に加える。この第2のレベルの区別が、非標的分子および非標的配列
へのプローブ用ポリマーの非特異的結合のような非特異的事象により引き起こさ
れるシグナルの発生を低下するはずである。その結果、二次「引き金」事象の発
生と共役してハイブリダイゼーションに応答してシグナルを産生するように設計
されている検出複合体またはPCR検出複合体を利用する測定法は、より信頼で
き、正確で正確性のある結果を与えるはずである。さらに検出複合体またはPC
R検出複合体の1つまたはそれ以上の成分ポリマーとしての1つまたはそれ以上
の非核酸ポリマーの使用は、特に有利である。なぜなら、これらは:1)酵素分
解を受けない;2)ハイブリダイズされる核酸ポリマーを酵素分解から防御する
;3)低イオン強度で作用する;4)ハイブリッドを形成するのにマグネシウム
を必要としない;5)非常に急速かつ効率的にハイブリッドを改良する;そして
6)より高い配列区別を示す;かつ、従って核酸分子ビーコンおよび核酸のみか
らなる関連作製体の限界と欠点を克服している。
【0106】 二次「引き金」事象: 二次「引き金」事象には、標的配列またはプライマー部位へのプローブ用セグ
メントのハイブリダイゼーションを必要とする任意の作用、および従って間接的
に検出複合体またはPCR検出複合体の解離を引き起こす任意の作用を含む。二
次「引き金」事象の非限定例には、核酸合成と核酸増幅反応を含む。好適な実施
態様において、二次「引き金」事象は、ポリメラーゼ伸長反応である。好適な実
施態様において、プローブ用セグメントと標的配列(プライミング部位)との間
で形成される複合体は、ポリメラーゼの基質である。最も好適な実施態様におい
て、ポリメラーゼ伸長反応は、PCR増幅反応で行われる。
【0107】 ある実施態様において、形成されるプローブ用ポリマー/標的配列複合体は、
ポリメラーゼ、転写酵素またはリガーゼのような酵素の基質でもよい(例えば、
図2に示す作製体を参照されたい)。すなわちプローブ用ポリマーまたは標的配
列はまたプライマーとして機能し、従って適当な酵素の存在下と適当な条件下で
のハイブリダイゼーションにより、プローブ用ポリマー/標的配列複合体は触媒
的形質転換を受ける(例えば、重合、転写、または結合反応など)。従ってこの
用途のために、ポリメラーゼ、転写酵素およびリガーゼは、2本鎖核酸複合体上
で機能することが知られているため、プローブ用ポリマーは一般に核酸であろう
。しかし、修飾PNAまたはキメラPNAはまた、それらが必要な官能基(例え
ば、3’−ヒドロキシル基;ルッツ(Lutz)ら、J. Am. Chem. Soc., 119: 3171
-3178 (1997)を参照)を含むなら、いくつかの酵素の基質であることが知られて
いる。従ってプローブ用ポリマーは修飾PNAまたはPNAキメラ分子でもよい
。好適な実施態様において、検出複合体またはPCR検出複合体は、1つの核酸
プローブ用ポリマーと1つの非核酸アニーリングポリマーから作製される。最も
好ましくは、非核酸アニーリングポリマーは、PNAである。
【0108】 ドナー残基とアクセプター残基の複数のセット 個々の成分ポリマーは複数の標識物を取り込むことができる(ここで、各異な
るレベルの個々の成分ポリマーは、異なるビーコンセットのメンバーに関する)
ため、複数のビーコンセットは、本発明の検出複合体、PCR検出複合体または
基質検出複合体に容易に取り込まれる。例えば1つのアニーリングポリマーと1
つのプローブ用ポリマーのそれぞれは、ビーコンセットのドナー蛍光物質または
消光物質アクセプター残基のいずれかで、両末端で標識物される。従って単一の
検出複合体中に2つのビーコンセットが存在してもよい。2つの同じ蛍光物質と
2つの同じ消光残基が存在すると仮定すると、検出複合体には少なくとも3つの
組合せが存在する。ある組合せでは、両方の蛍光物質がプローブ用ポリマーに結
合し、両方の消光物質がアニーリングポリマーに結合する。第2の組合せでは、
両方の消光物質がプローブ用ポリマーに結合し、両方の蛍光物質がアニーリング
ポリマーに結合する。第3の組合せでは、組み立てられた検出複合体中で各ビー
コンセットのメンバーが相互作用するなら、1つの蛍光物質と1つの消光残基が
プローブ用ポリマーに結合し、1つの蛍光物質と1つの消光残基がアニーリング
ポリマーに結合する。
【0109】 他の実施態様において、蛍光物質は異なる。好ましくは、各ビーコンセットで
使用される異なる蛍光物質は、独立に検出可能である。従って、2つまたはそれ
以上の独立に検出可能なドナー残基とアクセプター残基を含有する複数のビーコ
ンセットは、検出複合体またはPCR検出複合体の有用な応用に、より大きな多
様性を与える。好適な実施態様において、これらの検出複合体とPCR検出複合
体は多重測定法での使用に特に有用であり、ここで、独立に検出可能な蛍光物質
のそれぞれは、同じ測定法中の異なる標的配列の有無または量と相関付けること
ができる。
【0110】 複数の蛍光物質を含む検出複合体のいくつかの代表例を、図3A〜3Cに示す
。図3A〜3Cでは、各検出複合体の成分ポリマーは、両端に存在する相互作用
性の基で示してあり、ここで各ポリマーの中間のセグメントは相互作用せず、従
って隆起として示される(26)。
【0111】 本例について、検出複合体は一般に図1Bに示すタイプであるが、検出複合体
の他の例も使用される。図3Aと3Bでは、各検出複合体は2つの消光残基(Q
)を含有し、ここで各消光物質は同じかまたは異なってもよい。また第1のドナ
ー蛍光物質(F1)と第2のドナー蛍光物質(F2)も示す。成分ポリマーの相
互作用性の基(50)は、検出複合体を形成しこれを安定化させ、従ってドナー
蛍光物質と消光物質との相互作用を引き起こす。これらの例について、複合体の
プローブ用ポリマーとアニーリングポリマーは区別する必要がない。
【0112】 図3Aに記載の実施態様では、第1のドナー蛍光物質(F1)と第2のドナー
蛍光物質(F2)は、1つの成分ポリマーの反対の末端で結合している。従って
各ビーコンセットの消光残基は、他の成分ポリマーの末端に結合しており、こう
して、組み立てられた検出複合体中の適当なドナー/アクセプターセットのドナ
ー蛍光物質と相互作用する。
【0113】 図3Bに示す実施態様では、第1のドナー蛍光物質(F1)と第2のドナー蛍
光物質(F2)は、それぞれ2つの異なる成分ポリマーに結合している。消光残
基(Q)はまた、各F1とF2の消光を提供する配向で、2つの成分ポリマーの
それぞれに結合している。2つの異なる成分ポリマーがそれぞれプローブ用セグ
メント(これは、目的の標的分子の異なる標的配列に向けられる)を含み、プロ
ーブ用セグメント/標的配列ハイブリッドに起因するシグナルが、ハイブリダイ
ズしていないが解離した成分ポリマーから発生するシグナルと区別できるなら、
この作製体は有用である。一般に、これは、マトリックス(例えば、陰イオン交
換マトリックス)上で核酸を非特異的に濃縮し、次に各ビーコンセットの独立に
検出可能な残基の片方または両方からの検出可能なシグナルについて、マトリッ
クスのみを測定することにより行われる。好適な実施態様において、成分ポリマ
ーのプローブ用セグメントは、隆起する検出複合体(26)の一部を含む。
【0114】 さらに別の実施態様において、3つのセットのドナー残基とアクセプター残基
が使用される。図3Cに示す実施態様では、検出複合体は3つの消光残基(Q)
を含み、ここで各消光物質は同じかまたは異なってもよい。検出複合体はまた、
第1のドナー蛍光物質(F3)、第2のドナー蛍光物質(F4)、および第3の
ドナー蛍光物質(F5)を含む。図示したように、3つのポリマーの相互作用性
の基(50)は検出複合体を形成してこれを安定化させ、こうしてセットのドナ
ー蛍光物質と消光物質の相互作用を引き起こした。これらの例について、ドナー
とアニーリングポリマーは区別する必要はないが、上記考察から、各セットの成
分ドナー残基とアクセプター残基の適切な選択と位置により、所望の検出複合体
が産生される。3つの独立に検出可能な残基のそれぞれを使用すると、最も好適
な検出複合体が形成され、同じ測定法中の3つの異なる標的配列の検出に有用で
あろう。
【0115】 上記の原理を使用して、複数の成分ポリマーと複数のセットのドナー残基とア
クセプター残基を取り込んだ検出複合体とPCR検出複合体の多くの代替例を調
製することができる。独立に検出可能な蛍光物質の組合せは、本発明の検出複合
体の多重応用に特に有用である。複数の独立に検出可能な残基と組合せた検出複
合体の多くの代替例は、本発明の一部として包含される。
【0116】 B.基質検出複合体: 本発明はまた、酵素の基質として作用することができ、従って標的非依存性に
検出可能なシグナルの変化を生成する検出複合体に関する。適当な酵素の非限定
例には、転写酵素、リガーゼまたはポリメラーゼがある。基質検出複合体は、2
つまたはそれ以上の成分ポリマーの複合体である。基質検出複合体の少なくとも
2つの成分ポリマーは、ドナー残基とアクセプター残基のセット(ビーコンセッ
ト)の少なくとも1つの残基を含むが、検出複合体は、2つ以上のビーコンセッ
トを含有してもよい。成分ポリマーは、相互作用性の基との相互作用により検出
複合体を形成するように設計される。検出複合体は、特定の応用に適した基質検
出複合体を作製するのに有用な、1つまたはそれ以上のリンカーおよび/または
1つまたはそれ以上のスペーサー残基を含んでもよい。
【0117】 基質検出複合体は、目的の標的分子の標的配列またはプライミング部位にハイ
ブリダイズするプローブ用セグメントを含有しないという点で、検出複合体また
はPCR検出複合体とは異なる以外には、前記した検出複合体に似ている。すな
わち、基質検出複合体は、目的の標的配列または標的分子とは直接相互作用しな
い。しかし、少なくとも基質検出複合体は、少なくとも2つのアニーリングポリ
マーを含み、ここで少なくとも1つのアニーリングポリマーは、それ自身、別の
アニーリングポリマーまたは測定法中の別の分子(これは標的配列ではない)と
相互作用して、こうして酵素の基質を形成することができる。この2つまたはそ
れ以上のアニーリングポリマーはさらに、基質検出複合体を形成し安定化させる
相互作用性の基を含む。適当な相互作用性の基とともに、アニーリングポリマー
の任意の組合せが作製される。さらにアニーリングポリマーは、PNA、DNA
、RNA、キメラオリゴマー、または結合ポリマーでもよい。好ましくは成分ポ
リマーの少なくとも1つは、非核酸ポリマーである。最も好ましくは、非核酸ポ
リマーはペプチド核酸(PNA)である。
【0118】 図20では、基質検出複合体の2つの非限定例を図示する。図20Aでは、基
質検出複合体(90)は、2つのアニーリングポリマー8081からなる。残
またははいずれも、ドナーまたはアクセプター残基として独立に選択され
るが、ただし:1)がドナー残基なら、はアクセプターである;そして2) がアクセプターなら、はドナー残基である。つなぎ8384は、ドナー残 基とアクセプター残基を各成分ポリマーに結合させるスペーサー残基である。相
互作用性の基8586は相互作用して、基質検出複合体を形成しこれを安定化
させる。図示したように、成分アニーリングポリマー81はヘアピンループ( )を含有し、従って、セグメント8687の核塩基の間の相補的塩基対合の
結果としてステムを形成する。さらに、転写酵素、リガーゼまたはポリメラーゼ
のような酵素が利用できる遊離の3’または5’−ヒドロキシル末端(89)が
ある。適当な条件下でポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)が基質検出
複合体に作用して、3’−ヒドロキシル基から伸長すると仮定すると、ポリメラ
ーゼはアニーリングポリマー81の末端まで読み、こうして成分ポリマー80
置換し、基質検出複合体を解離させる。
【0119】 図20Bでは、別の基質検出複合体例(91)は、3つの成分アニーリングポ
リマー8092,および93からなってよい。残基またはのいずれかは、
ドナーまたはアクセプター残基として独立に選択されるが、ただし:1)がド
ナー残基なら、はアクセプターである;そして2)がアクセプターなら、 はドナー残基である。つなぎ8384は、ドナー残基とアクセプター残基を各 成分ポリマーに結合させるスペーサー残基である。相互作用性の基8586
相互作用して、基質検出複合体を形成しこれを安定化させる。図示したように、
成分アニーリングポリマー92は、成分ポリマー8093の両方にハイブリダ
イズするが、8093は直接相互作用しない。基質検出複合体90と比較して
、ステムは、異なる成分ポリマー9293のそれぞれセグメント9495
間の相補的塩基対合から生じるため、この例はヘアピンループを含まない。基質
検出複合体91は、転写酵素、リガーゼまたはポリメラーゼのような酵素が利用
できる遊離の3’または5’−ヒドロキシル末端(96)がある。適当な条件下
でポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)が基質検出複合体に作用して、
3’−ヒドロキシル基を伸長すると仮定すると、ポリメラーゼはアニーリングポ
リマー92の末端まで読み、こうして成分ポリマー80を置換し、基質検出複合
体を解離させる。
【0120】 基質検出複合体は解離するように誘導できるため、これらはシグナル増幅法に
おいて特に有用である。好適な実施態様において、シグナル増幅法は、標的依存
性酵素活性に関連しており、このため基質検出複合体により生成するシグナルを
使用して、測定法中の目的の標的配列および/または標的分子の有無または量を
検出または同定することができる。好適な実施態様において、標的依存性酵素活
性は、目的の標的配列または標的分子の検出に適したプローブベースのハイブリ
ダイゼーション測定法に関係しているであろう。
【0121】 図21では、標的分子を検出するためにプローブベースのハイブリダイゼーシ
ョン測定法で基質検出複合体を使用する例が例示される。基質検出複合体(90 )を使用して検出されるプローブ/標的複合体(99)は、非標識プローブ10 107がハイブリダイズする標的配列101を有する標的分子(100)か
ら形成される。次に、酵素残基(102)を含む酵素標識プローブ103を、非
標識プローブ106107のアームにさらに複合体形成させる(このような複
合体の形成と利用の説明については、ヨーロッパ特許出願EPA849,363を参照され
たい)。図では、酵素(102)が、次に基質検出複合体(90)に作用して、
こうしてヘアピンステムの末端を伸長し、2本鎖108を形成する。2本鎖10 の形成により、成分ポリマー80が放出され、基質検出複合体が解離される。
解離すると、ビーコンセットの少なくとも1つのメンバーから検出可能な測定可
能なシグナルの変化があり、これを利用して、測定法中の標的配列または標的分
子の有無または量を検出または同定する。さらに、ポリメラーゼ酵素が多くの基
質検出複合体を何回転もさせて、こうして多くの解離した基質検出複合体に起因
するシグナルの莫大な検出可能な変化を産生するため、シグナル増幅が起きる。
【0122】 表面への検出複合体の固定化: 本発明の検出複合体、基質検出複合体またはPCR検出複合体を含む1つまた
はそれ以上の成分ポリマーは、支持体結合検出複合体を形成することを目的とし
て、随時表面に固定化されてよい。成分ポリマーは、公知のUV架橋プロセスを
使用して、表面に固定化することができる。あるいは成分ポリマーは、脱保護に
適しているが合成支持体からの切断には適さない方法で、表面上で合成される(
ウェイラー・ジェイ(Weiler J.)ら、「ペプチド核酸(PNA)オリゴマーア レイ上のハイブリダイゼーションベースのDNAスクリーニング」、Nucl. Acid
s Res. 25: 2792-2799 (1997)を参照)。さらに別の実施態様において、プロー ブ上の適当な官能基と表面上の官能基との反応によって、1つまたはそれ以上の
成分ポリマーを表面に共有結合させる(レスター・エー(Lester A.)ら、PN Aアレイテクノロジー。アナポリスのバイオチップテクノロジーズ会議で発表さ
れた(1997年10月)を参照)。
【0123】 表面にポリマーを結合させる方法は一般に、固定化されるポリマーの求核性基
(例えば、アミンまたはチオール)と、修飾される支持体上の求電子性基との反
応を用いる。あるいは、求核性物質が支持体上に存在して、求電子性物質(例え
ば、活性化カルボン酸)がポリマー上に存在してもよい。未変性のPNAと他の
非核酸プローブは、典型的にはアミノ末端を有するため、これらは表面に固定化
されるのに必ずしも修飾を必要としない(レスター(Lester)ら、「PNAアレ
イテクノロジー」という表題のポスター)。逆に、もし支持体に固定化されるな
ら、核酸プローブは一般に、市販の試薬および/または支持体を使用して修飾さ
れた型で調製される(例えば、アミンまたはチオール修飾ポリヌクレオチドとし
て調製される)。
【0124】 表面への核酸またはPNAの固定化に適した条件は一般に、ポリマーの標識に
適した条件に似ている。固定化反応は基本的に、標識法と同等であり、ポリマー
が共有結合的に固定化される表面で標識物が置換される。アミノ基、カルボン酸
基、イソシアネート、イソチオシアネートおよびマリミド基で誘導体化した多く
のタイプの表面が市販されている。適当な表面の非限定例には、膜、ガラス、制
御された多孔性ガラス、ポリスチレン粒子(ビーズ)、シリカゲルおよび金ナノ
粒子がある。
【0125】 単一成分ポリマーが表面に固定化されると、複合体が集合するのに適した条件
下で、他の成分ポリマーを含有する溶液に表面を接触させることにより、検出複
合体、PCR検出複合体または基質検出複合体が形成される。表面に固定化され
ると、検出複合体、PCR検出複合体または基質検出複合体は、成分ポリマーが
解離するまで、ほとんどまたはまったく検出可能なシグナルを示さない。他の成
分ポリマーを溶液中に放出しながら表面上に成分ポリマーの1つを保持する能力
は、成分ポリマーを分離する迅速な手段を提供し、こうして測定での検出を単純
化する。
【0126】 すなわち、2つまたはそれ以上の成分ポリマー(ここで、1つの成分ポリマー
のみが支持体に結合している)から形成された検出複合体、PCR検出複合体お
よび基質検出複合体は、単分子「ビーコン」プローブ(例えば分子ビーコン)に
はない利点を有する。具体的には、単分子「ビーコン」プローブは、ドナー残基
とアクセプター残基を単一の分子につなぎ、従ってビーコンセットのドナー残基
とアクセプター残基を完全に分離することが不可能である。これと比較して、検
出複合体、PCR検出複合体または基質検出複合体のハイブリダイゼーション誘
導解離は、ビーコンセットの残基の間の無限の距離の分離を有効に引き起こし、
従って検出可能なシグナルの実質的により強い変化を導く。
【0127】 例えば、固定化検出複合体の解離により、つながれていないポリマーは溶液中
に放出され、つながれている成分ポリマーは、表面に結合したまま残る。支持体
に結合したポリマーは、ビーコンセットの消光残基を含むと仮定すると、蛍光標
識した成分ポリマーの溶液への放出は、すべての消光残基から単純に分離した後
、蛍光について溶液を分析することを可能にする。あるいは、支持体に結合した
ポリマーは、ビーコンセットの蛍光残基を含み、成分ポリマー含有消光物質の溶
液への放出は、蛍光についての支持体の分析を単純化する。
【0128】 本発明の支持体結合検出複合体は、表面からハイブリダイズした標的分子を除
去するだけで容易に再生することができる。これは、通常表面を変性条件に暴露
するだけで行われる(例えば、表面をホルムアルデヒドおよび/または塩基(例
えば、水酸化ナトリウム)含有溶液で処理するか、または表面を高温で洗浄する
)。次に、適当な条件下で支持体結合検出複合体を再生する必要に応じて、一定
量の標識成分ポリマーに表面を接触させる。
【0129】 検出複合体のアレイ プローブのアレイは最近、多くの標的配列について試料を同時に調べる手段と
して知られてきている(US5,556,752号、US5,837,832号、US5,744,305号、US5,8
43,655号、US5,631,734号、US5,770,722号、US5,874,219号、およびUS5,856,174
号を参照、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。一般に、このような
アレイ装置を使用して生成される情報は、選択された表面および検出法に適する
異なる配列の数によってのみ制限される。
【0130】 さらに別の実施態様において、本発明の多くの異なる検出複合体とPCR検出
複合体は、表面上の特定の位置で固定化することができ、こうして検出複合体の
アレイが形成され、ここで固定化検出複合体の成分プローブ用ポリマーのプロー
ブ用セグメントが適切に選択されて、1つまたはそれ以上の目的の標的分子を含
有する可能性のある試料を調べることができる。検出複合体またはPCR検出複
合体の位置と組成は公知であるため、検出複合体のアレイを使用して、同じ試料
中に存在する2つまたはそれ以上の標的分子を同時に検出、同定または定量する
ことができる。すなわち検出複合体アレイは、診断応用、治療的有用性(例えば
、薬物開発)を示すリード化合物のスクリーニング、または薬物の有害作用(例
えばファーマコジェノミクス(pharmacogenomics))に対する感受性について患
者の監視に有用な因子についての試料のスクリーニングに、特に有用であろう。
【0131】 例えば、各検出複合体について、試料中で検出すべき異なる標的分子のそれぞ
れについて蛍光標識プローブ用ポリマーが表面に固定化されるように、検出複合
体のアレイが形成される。次に少なくとも1つの消光物質含有アニーリングポリ
マーを各プローブ用ポリマーにハイブリダイズさせ、こうして各固定化検出複合
体を形成する。最も好ましくは同じアニーリングポリマーを使用して、アレイの
多くの異なる検出複合体を形成する。アレイを試料と接触させると、特定のプロ
ーブ用ポリマーへの標的配列のハイブリダイゼーションにより、特定の検出複合
体が直接または間接に解離され、従って放出されたアニーリングポリマーは、容
易に測定法から除去される。従ってアレイ上の特定の位置での蛍光シグナルの検
出は、既知のプローブ用配列の位置でハイブリダイズした、試料中の標的配列の
存在および/または量を示す。従って、アレイ上の蛍光の分析を使用して、同じ
試料中に存在する可能性のある目的の2つまたはそれ以上の標的分子の有無また
は量を同時に決定することができる。
【0132】 このような検出複合体のアレイの1つのさらなる利点は、再生/再利用のし易
さである。具体的には、試料の1回の分析が完了すると、試料からのハイブリダ
イズした核酸は、ハイブリッドを解離する条件(例えば、変性条件)を使用して
、試料から除去することができる。検出複合体のアレイは次に、適当なハイブリ
ダイゼーション条件下で、支持体に結合したプローブ用ポリマーに消光物質含有
アニーリングポリマーを再ハイブリダイズさせることにより、再生することがで
きる。好適な実施態様において、すべてのプローブ用ポリマーは、単一の消光物
質含有アニーリングポリマーがすべての異なる支持体結合プローブ用ポリマーの
蛍光の消光に有用なように、共通の相互作用性の基を含有する。それぞれが異な
るプローブ用ポリマーを含む複数の異なる検出複合体の組み立てに有用な、共通
の消光物質含有アニーリングポリマーの設計の例は、本明細書の例15,16,
および17に記載されている。
【0133】 IV 検出複合体、PCR検出複合体および基質検出複合体の使用と応用方法: 標的配列の検出方法: 本発明の検出複合体、PCR検出複合体および基質検出複合体は、標的分子の
標的配列の有無または量を検出または同定するのに適している。従って、本発明
はまた、試料中の標的配列および/または標的分子の検出、同定または定量方法
に関する。
【0134】 ある実施態様において、本方法は、検出複合体またはPCR検出複合体に試料
を接触させ、次に標的配列にプローブ用ポリマーのプローブ用セグメントがハイ
ブリダイズした時、または複合体が直接または間接に解離した時に起きる、ビー
コンセットのドナー残基とアクセプター残基の間のエネルギーの移動に起因する
検出可能なシグナルの変化を、検出または同定することを含んでなる。検出され
るシグナルは次に、試料中の標的配列および/または標的分子の有無または量と
相関付けられる。一般に定量では、標準的測定法と代表的試料中の既知量の標的
配列および/または標的分子を使用して作成した標準曲線と、シグナルとを比較
する。
【0135】 別の実施態様において、本方法は、プローブ用ポリマーのプローブ用ポリマー
を、目的の標的配列または標的分子と相互作用させた後に、検出複合体を形成さ
せることを含んでなる。この実施態様では、検出複合体の形成の程度は、検出複
合体の形成前後のビーコンセットの少なくとも1つのメンバーの検出可能なシグ
ナルの変化により測定することができる。試料に加えられたプローブ用ポリマー
およびアニーリングポリマーの量は制御し計算できるため、検出複合体の形成の
程度およびこれに起因する検出可能なシグナルの測定可能な変化は、目的の試料
中の標的配列または標的分子の有無または量を決定するために使用することがで
きる。
【0136】 さらに別の実施態様において、検出複合体は酵素の基質であり、ここで、基質
検出複合体に対する酵素の作用は、試料中の標的分子の存在下でまたは存在もし
くは量に比例した検出可能なシグナルを生成するため、目的の標的分子が検出さ
れる。この方法は、標的依存性酵素活性を発生するように作成されたプローブと
酵素に試料を接触させることを含んでなる。一般にこの測定法は、標的分子と複
合体を形成するプローブの1つはプローブ−酵素結合体である、プローブベース
の測定法として設計される。次に試料を基質検出複合体と接触させ、複合体の酵
素触媒解離によるビーコンセットのドナー残基とアクセプター残基との間のエネ
ルギー移動に起因する検出可能なシグナルの変化を測定する。一般に定量では、
標準的測定法と代表的試料中の既知量の標的配列および/または標的分子を使用
して作成した標準曲線と、シグナルとを比較する。
【0137】 本発明の方法の使用例: 本発明の方法を実施する時、検出複合体はプローブ、プライマーまたは酵素の
基質として使用される。検出複合体のいくつかの実施態様は、解離されるまでほ
とんど内因性のシグナルを示さないため、本方法はまた、細胞、組織または生物
(生きているかどうかに関係なく)中の標的配列または標的分子の検出に特に適
している。適当な方法には、細胞、組織または生物から抽出される標的分子を含
有する試料について行われるin-situ測定法がある。in-situハイブリダイゼーシ
ョン法ならびに分析のための抽出法と核酸処理法は、当該分野で公知である。
【0138】 例えば本発明は、生物またはウイルスに関連する標的核酸の検出により、試料
中の生物またはウイルスの存在または量を検出、同定または定量するのに有用で
ある。(米国特許第5,641,631号、標題「生物とウイルスの検出、同定および定 量方法」を参照。これは参照により本明細書に組み込まれる)。同様に本発明は
、試料中の1つまたはそれ以上の生物種を検出、同定または定量するのに有用で
ある(米国特許第5,288,611号、標題「生物とウイルスの検出、同定および定量 方法」を参照。これは参照により本明細書に組み込まれる)。本発明はまた、試
料中の1つまたはそれ以上の微生物の増殖に及ぼす抗菌剤の作用を測定するのに
有用である(米国特許第5,612,183号、標題「リボゾーム核酸サブユニットサブ 配列特異的プローブを使用する増殖に及ぼす抗菌剤の作用の測定方法」を参照。
これは参照により本明細書に組み込まれる)。本発明はまた、試料中のある分類
群の生物の存在または量を測定するのに有用である(米国特許第5,601,984号、 標題「特異的r−RNAサブ配列をプローブとして使用するある分類群の生物の
存在または量の検出方法」を参照。これは参照により本明細書に組み込まれる)
。本明細書において、生物の非限定例には、微生物、酵母、真菌、細菌、ミクロ
バクテリア、藻類、ウイルスおよび胞子がある。
【0139】 本発明の方法はまた、食物、飲料、水、医薬品、個人的ケア製品、酪農製品ま
たは環境試料中の細菌や真核生物の検出に特に有用である。好適な飲料には、ソ
ーダ、瓶詰めの水、フルーツジュース、ビール、ワインまたはリキュール製品が
ある。適切な方法はまた、食物、飲料、水、医薬品、個人的ケア製品、酪農製品
または環境試料を製造または保存するのに使用される原料、装置、製品またはプ
ロセスの分析に特に有用であろう。
【0140】 あるいは、本法は、医学的状態を診断するのに行われる。例えば、本発明の方
法、キットおよび組成物は、臨床検体または装置、ヒトまたは動物を治療するた
めに使用される器具または製品の分析に特に有用であろう。ある実施態様におい
て、この測定法は、遺伝ベースの疾患に特異的なまたは遺伝ベースの疾患への素
因に特異的な標的配列を検出するのに使用してもよい。疾患の非限定例にはβ−
タラセミア、鎌形血球貧血、第5因子ライデン、嚢胞性繊維症、および癌関連標
的(例えば、p53、p10、BRC−1、およびBRC−2)がある。さらに
別の実施態様において、標的配列は、染色体DNAに関連し、ここで標的配列の
検出、同定または定量は、法医学的技術(例えば、出生前スクリーニング、親子
鑑定検査、個人の確認または犯罪捜査)に関連して使用することができる。
【0141】 本発明の方法の他の非限定使用例には、植物およびそこから得られる遺伝物質
、ならびに生物戦争試薬の分析または操作がある。検出複合体はまた、診断応用
、治療的有用性(例えば、薬物開発)を示すリード化合物のスクリーニング、ま
たは薬物の有害作用(例えばファーマコジェノミクス(pharmacogenomics))に
対する感受性について患者の監視に有用な因子についての試料のスクリーニング
に、特に有用であろう。
【0142】 表面およびアレイでの本法の作用: 本発明の方法は、1つまたはそれ以上の測定成分が表面に固定化されている時
に行ってもよい。本発明において、標的配列は、検出複合体、PCR検出複合体
または基質検出複合体を含む他の測定成分に表面を接触させることにより測定が
行われるように、表面に固定化されてよい(共有結合、静電結合、または吸着)
。あるいは、検出複合体、PCR検出複合体または基質検出複合体は、1つまた
はそれ以上の成分ポリマーを介して、表面に固定化されているかまたはつながれ
ている。さらに別の実施態様において、試料は、少なくとも2つの固定化されて
いるかまたはつながれている検出複合体またはPCR検出複合体を含むアレイに
接触させられる。アレイは典型的には、2つまたはそれ以上の目的のユニークな
標的配列の有無または量について、試料を同時に調べるために使用される。標的
配列または標的分子の存在に応答して、表面からの少なくとも1つの成分ポリマ
ーの放出を制御することができるため、表面結合標的または検出複合体は、いく
つかの応用において特に有用である。
【0143】 ある実施態様において、標的配列を含む標的分子は表面に固定化される。検出
複合体、PCR検出複合体または基質検出複合体が解離して、蛍光標識ポリマー
を溶液中に放出すると仮定すると、固定化された標的配列または標的分子の有無
または量を測定するための手段として、蛍光の存在と量について、溶液を測定す
ることができる。あるいは消光物質標識アニーリングポリマーが溶液に放出され
洗い流されて、こうして表面にハイブリダイズした濃縮された検出可能な蛍光で
標識されたプローブ用ポリマーが生成され、ここでシグナル強度を使用して、試
料中の標的配列または標的分子を検出または定量することができる。
【0144】 同様に検出複合体、PCR検出複合体または基質検出複合体は表面に固定化さ
れてよい。この実施態様において、標的配列または標的分子の存在は、溶液への
蛍光標識ポリマーまたは消光物質標識ポリマーの放出を引き起こす。従ってこの
検出方法では、試料中の標的配列または標的分子の有無または量を測定するため
の手段として、表面から放出された溶液の分析、または表面上で濃縮されたシグ
ナルの分析が行われる。
【0145】 共通のアニーリングポリマーを使用する利点: 表面に固定化されているかまたは溶液中で使用されるかに無関係に、検出複合
体、PCR検出複合体または基質検出複合体を単一の測定法で使用する時、同じ
アニーリングポリマーを使用して、2つまたはそれ以上の異なるプローブ用ポリ
マーと複合体を形成する(ここで、2つまたはそれ以上の異なるプローブ用ポリ
マーは、目的の2つまたはそれ以上のユニークな標的配列または標的分子にハイ
ブリダイズする)ことは、本発明の重要な特徴である。異なる検出複合体、PC
R検出複合体または基質検出複合体(それぞれが、異なるおよびユニークな標的
の検出に適している)の生成において、1つの共通の成分ポリマーを利用する能
力は、測定法の確立に特に有利である。具体的には、異なる独立に検出可能な残
基を含む多くの異なる単一で標識されたプローブ用ポリマーは、共通アニーリン
グポリマー(これは、大量に製造され、多くの異なるプローブ用ポリマーと混合
される)の存在下で検出複合体を生成するため、製造プロセスは大幅に単純化さ
れる。好適な実施態様において、多くの異なるプローブ用ポリマーは、1つの管
中で単一のアニーリングポリマーと混合することができ、こうして単一の多重測
定法で有用な多くの異なる検出複合体、PCR検出複合体または基質検出複合体
を生成することができる。
【0146】 さらに、複数の標識物で核酸とPNAオリゴマーを調製し精製することは、面
倒で手間がかかる。ビーコンセットの2つの標識物は、検出複合体、PCR検出
複合体または基質検出複合体のそれぞれ異なるポリマーに結合できるため、それ
ぞれ単一の標識物を含む成分ポリマーの調製は、ビーコンセットの2つまたはそ
れ以上の残基が同じポリマーにつながれている単分子「ビーコン」プローブの調
製と比較して、はるかに簡単で手間がかからず、かつさらに安価である。
【0147】 好適な測定フォーマット: 検出複合体、PCR検出複合体または基質検出複合体は自己暗示性のため、本
発明の方法は、閉鎖管測定フォーマットで行われる分析に特に適している。閉鎖
管測定フォーマットとは、結果を決定するために、測定法の途中または後に測定
試料を操作(例えば、測定成分の分離)する必要がない測定法を意味する。例え
ば、測定試料の少なくとも1つの検出可能なパラメータが容器の壁を介して測定
(例えば、蛍光)できるなら、測定容器は、密封されてもよい(しかし必ずしも
その必要はない)。好適な実施態様では、高性能の装置の助けを借りなくても、
結果は肉眼で見ることができる。例えば、試料を含有する管に紫外線が当たると
、蛍光が見える。最も好適な実施態様において、試料はリアルタイムにおよび測
定の終点で分析することができる。閉鎖管測定法のリアルタイムならびに終点測
定が可能な市販の装置の例には、アイダホテクノロジーズ(Idaho Technologies
)のライトサイクラー(Light Cycler)とパーキン・エルマー(Perkin-Elmer)
のプリズム(Prism)7700がある。これらの装置は、管を開いたりまたは反 応の中身を見せなくても、リアルタイムならびに測定の終点で、装置中の任意の
試料の蛍光を測定することができる。
【0148】 好適な閉鎖管測定法は、測定で産生される標的配列の検出を含む。標的配列は
転写または結合により産生されるが、好ましくは核酸増幅反応で増幅される。転
写、結合またはポリメラーゼ伸長反応(例えば、PCR)で使用される時は、検
出複合体は、新に合成されるかまたは増幅される核酸内の標的配列に対するもの
である。あるいは検出複合体は、核酸合成または増幅反応にプライマーとして参
加してもよい。適当な核酸合成または増幅反応の非限定例には、ポリメラーゼ連
鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(Strand Displac
ement Amplification)(SDA)、転写介在性増幅(Transcription-Mediated
Amplification)(TMA)、Q−ベータレプリカーゼ増幅(Q-beta)および回 転環増幅(Rolling Circle Amplification)(RCA)がある。核酸を合成また
は増幅するための他の新しい方法は、当業者に公知になり、利用されるようにな
ることが予測される。核酸の合成および/または増幅法(新しいかまたは古いも
の)を監視するための本発明の検出複合体の使用は、本発明の開示内容から予測
される。
【0149】 PCRは、本発明を実施するために使用される好適な測定フォーマットである
。PCR触媒性プロセスは反復性であり、従って標的配列を含む核酸標的分子の
多くのコピーが、PCR反応で急速に生成される。好ましくは1つまたはそれ以
上の検出複合体は、PCR反応で前進プライマーおよび/または逆進プライマー
として作用する。プライマーとして使用される時は、1つまたはそれ以上の検出
複合体のプローブ用ポリマーは、増幅した核酸中に取り込まれる。検出複合体が
プライマーであるかどうかに無関係に、PCRは検出複合体の解離を引き起こす
二次「引き金」事象である。すなわち、新に生成された核酸(すなわち、アンプ
リコン)の量に比例して、シグナルが生成する。従って検出複合体は、試料中の
標的分子の標的配列の有無または量を検出するのに使用される。PCRプライマ
ーとして検出複合体を使用することの有用性は、本明細書の例15、16、17
、および18で証明される。
【0150】 PCR応用におけるプライマーとしての検出複合体の使用: 好適な実施態様において、本発明の方法と組成物は、1つまたはそれ以上のP
CR検出複合体が、PCR反応の前進プライマーおよび/または逆進プライマー
の1つまたは両方として使用されるPCR反応で、使用される(ただし、従来の
技術は、このような複合体はPCR反応で使用に適さないことを教示しているた
め(ティアギ(Tyagi)ら、WIPO特許出願 WO 95/13399と、本明細書の背景 のセクションを参照)、本発明のPCR検出複合体は少なくとも1つの非核酸ポ
リマーを含む必要はない。従って本発明のPCR検出複合体は、核酸ポリマーの
みからなる複合体ならびに1つまたはそれ以上の非核酸ポリマーを使用して形成
した複合体を含有した。しかし好ましくは、少なくとも1つの成分ポリマーは、
非核酸ポリマーであり、最も好ましくはPNAである。本法は、試料中の目的の
核酸標的分子の検出または同定のために使用され、ここで核酸標的分子は、PC
R検出複合体のプローブ用ポリマーのプローブ用セグメントがハイブリダイズし
てプライマー伸長反応を開始させる、1つまたはそれ以上のプライミング部位を
含む。プライマー伸長反応は、管のような人工的システム、またはプリンス(PR
INS)(セレラキンチ(Serakinci)ら、Nature Biotechnology, 17: 200-201 (
1997年2月)を参照)として知られている技術とともに細胞(in-situ)中 で開始することができる。
【0151】 蛍光ベースのPCR測定法の例を図4〜7に示す。図4Aでは、2本鎖プラス
ミド鋳型(60)が例示される。図示したように、PCR反応の前進プライマー
61)または逆進プライマー(62)1つまたは両方が、PCR検出複合体で
あってもよい。
【0152】 前進プライマー(61)により開始されるポリメラーゼ反応の伸長を図4Bに
示す。図示したように、標的配列(64)を含むプラスミド(63)の1本鎖を
示す。こうしてポリメラーゼ(65)は、プラスミドの相補鎖を生成する。図示
したように、プローブ用セグメント(66)とプローブ用ポリマー(68)は、
標的配列(64)にハイブリダイズする。アニーリングポリマー(69)はプロ
ーブ用ポリマー(68)の相互作用性の基(67)にハイブリダイズし、こうし
て検出複合体を形成する。図示したように、プローブ用ポリマーの相互作用性の
基(67)は標的配列(64)にハイブリダイズしないため、標的配列へのハイ
ブリダイゼーションによっては、検出複合体は解離しない。図示したPCR検出
複合体は、第1の蛍光物質(F)と消光物質(Q)とを含む。
【0153】 第1のラウンドのPCRを図5に示す。図示したように、前進プライマー( )と逆進プライマー(71)の両方はPCR検出複合体である。プラスミドの
相補鎖を7374として示す。ポリメラーゼ(65)は、プラスミドを離れる
までコピーする。図示したように、PCR検出複合体はまだ解離されない。従っ
て各蛍光物質F6とF7は、それぞれ消光残基Q2とQ3により消光される。
【0154】 第2のラウンドのPCRを図6に示す。図6では、ポリメラーゼ酵素は、1つ
の重合生成物(75)を逆方向に巡回してコピーする。鋳型鎖の末端に達すると
、ポリメラーゼ(65)は鋳型からアニーリングポリマー(77)を追い出し、
こうしてPCR検出複合体を解離させ、溶液中にアニーリングポリマーを放出す
る。従ってPCR検出複合体の間接的な解離は、測定法の検出可能なシグナルの
生成を引き起こす二次「引き金」事象である。
【0155】 図6では、プローブ用ポリマーが核酸であり、相互作用性の基(76)がヌク
レオチドを含むなら、ポリメラーゼは、PCR検出複合体のプローブ用セグメン
トのハイブリダイゼーション部位を通過してコピーし、こうして鋳型の元々のプ
ライミング部位を超えてアンプリコンを伸長することが明らかである。以後のP
CRラウンドでは、プローブ用ポリマーの全ヌクレオチド配列はアンプリコンの
末端に相補的であり、一方プローブ用ポリマーのプローブ用セグメントのみが標
的配列に相補的であるため、鋳型上のプライミング部位の末端の間の距離より長
いアンプリコンの生成は、アンプリコンの好適な(濃縮した)増殖を引き起こす
(「検出複合体、PCR検出複合体および基質検出複合体の形成と安定性」とい
う標題のセクション中の図2の説明を参照されたい)。従って、アンプリコンと
プローブ用ポリマーの間で形成された複合体の熱力学的安定性の上昇は、以後の
PCRラウンドで鋳型の増殖よりアンプリコンの濃縮された増幅を引き起こす。
【0156】 同様に、鋳型上でハイブリダイゼーション部位を超えてアンプリコンが伸長さ
れると、相互作用性の基の組成はカスタマイズされるため、本来は不可能なアン
プリコンの操作が可能になる。例えば、PCR検出複合体を形成し安定化するの
に使用される相互作用性の基は、鋳型内に存在しない末端制限部位を含むであろ
う。すなわち、PCR反応がいったん完了すると、アンプリコンを直接クローン
化することができる。
【0157】 図7では、最後のPCR増幅が例示される。図示したように、検出複合体が解
離され、従って消光残基(Q2とQ3)を含むアニーリングポリマー(77 )が溶液中に放出されるため、アンプリコン(7980)の各末端の各蛍光
物質(F6とF7)の蛍光を検出することができる。前記したように、蛍光物質
と消光残基は同じかまたは異なってもよい。さらに単一の測定法を多重化して、
2つまたはそれ以上のユニークな標的配列を同定または定量してもよい。多重化
する時は、2つまたはそれ以上の標的分子について消光残基と核酸ポリマーを含
む共通のPNAアニーリングポリマーを使用することが好ましく、ここで各セッ
トのプライマーの1つまたは両方は、各ユニークな標的分子についてアンプリコ
ンの産生が独立に検出可能であるように、独立に検出可能な残基で標識される。
多重PCR測定法の例は、本明細書の例16に示す。
【0158】 A.PCRクランピング(clamping): PCR反応の作用は、PCRクランピング(clamping)として知られているプ
ロセス(エルム(Oerum)ら、Nucl. Acids Res. 21: 5332-5336 (1993)およびW
IPO特許出願WO 93/25706を参照)を使用して改良することができ、こうして 点突然変異区別に適した測定法を作成することができる。従って前記PCR検出
複合体は、PCRクランピング(clamping)と組合せて使用して、終点かつリア
ルタイム点突然変異区別が可能な閉鎖管測定法を作成することができる。点突然
変異区別を実現するために、PCRクランピング(clamping)と組合せてPCR
検出複合体を使用する例は、本明細書の例17に存在する。
【0159】 B.内部測定法監視/独立した特徴の同定: 検出複合体は、ヘアピン形成性核酸分子ビーコン(ティアギ(Tyagi)ら、テ ィアギ2(Tyagi2)ら、およびティアギ3(Tyagi3)らを参照)、PNA分子ビ
ーコン(USSN08/958,532(認可)および同時係属USSN09/179,298を参照、いずれ
も参照により本明細書に組み込まれる)およびリニアビーコン(同時係属USSN09
/179,162を参照、参照により本明細書に組み込まれる)のような単分子「ビーコ
ン」プローブとともに同時に使用することができる。同じ反応物中で単分子「ビ
ーコン」プローブとPCR検出複合体を混合することは、各プローブの活性が独
立に検出可能な多重測定法において特に有用である。例えば、正しい測定法の性
能を監視するためか、または測定法で生成されるアンプリコンの特徴を独立に同
定または測定するの内部手段として、同時使用は非常に有用かも知れない。
【0160】 i.内部測定法監視: ある実施態様において、PCR検出複合体がPCR測定法のプライマーとして
機能し、独立に検出可能な残基を含む単分子「ビーコン」プローブ(例えば、ヘ
アピン形成性核酸分子ビーコン、PNA分子ビーコンまたはリニアビーコン)が
アンプリコン内でハイブリダイゼーション部位にハイブリダイズして、独立に検
出可能なシグナルを生成するように、測定法が設計される。PCR検出複合体と
単分子プローブの両方から、予測される独立に検出可能なシグナルの組合せを使
用して、測定法を監視することができる。例えば、測定法でPCR検出複合体ま
たは単分子ビーコンからのシグナルの1つのみが検出されるか、または優勢であ
る場合、この結果は、ミスプライミングまたはプライマーダイマー形成のような
問題を示している。しかしPCR検出複合体と単分子「ビーコン」プローブの活
性の両方について各独立に検出可能なシグナルの検出を使用して、正確な測定法
の性能を確保することができる。
【0161】 ii.独立した特徴の同定: さらに別の実施態様において、試料中の目的の一般的特徴の存在を確認し、な
らびにアンプリコンの1つまたはそれ以上の特異的な特徴(非種特異的標的を増
幅し次に増幅産物の群特異的または種特異的検出を行う測定法については、ニク
ズ(Nycz)ら、ヨーロッパ特許出願第725,148号を参照)を、同時にかつ独立に 決定するための手段として、増幅の使用に応用できる。例えば、本発明の方法は
、ある属の生物の存在を検出するために、および1つまたはそれ以上の種の生物
も存在するかどうかを同時に決定するために、使用することができる。あるいは
この測定法は、一般的標的が試料中に存在するかどうかを決定し、および同時に
、もし野生型と突然変異体の差異が単一の点突然変異を含むなら、野生型、突然
変異体、またはその両方が存在するかどうかを決定するために、使用することが
できる。測定法の例は、本明細書の例18に存在する。
【0162】 例えば、試料中のすべての細菌の核酸を増幅し、こうして緑のシグナルを生成
(例えば、1つまたはそれ以上のフルオレセイン標識PCR検出複合体を使用し
て)するために、PCR検出複合体を選択することができる。従って、適当なP
CR検出複合体プライマーを選択することにより、測定法中の緑のシグナルの生
成は細菌の存在を示すであろう。さらに、例えば細菌のある種が存在するかどう
かを決定するために、1つまたはそれ以上の単分子「ビーコン」プローブを測定
法中に含めることができる。例えば、ある単分子「ビーコン」プローブを青い蛍
光物質で標識し、もし大腸菌(E. coli)の核酸が試料中に存在するなら、アン プリコン中に存在する可能性のある標的配列に向けられる。赤い蛍光物質で標識
し、もし黄色ブドウ球菌(S. aureus)の核酸が試料中に存在するならアンプリ コン中に存在する可能性のある標的配列に向けられた別の単分子「ビーコン」プ
ローブを添加することにより、測定法はさらに多重にできるであろう。すなわち
、シグナルが存在しないことは、試料中に細菌がいないことを示す。緑のシグナ
ルは、細菌が存在することを示すが、大腸菌(E. coli)も黄色ブドウ球菌(S.
aureus)も存在しないことを示す。同様に青と緑のシグナルは、大腸菌(E. col
i)が存在することを示し、赤と緑のシグナルは、黄色ブドウ球菌(S. aureus)
が存在することを示し、そして青、緑および赤のシグナルは、試料中に大腸菌(
E. coli)と黄色ブドウ球菌(S. aureus)の両方が存在することを示す。従って
本発明は、ある集団全体の性質ならびにある集団に特異的な性質の両方の同時検
出に適した、閉鎖管多重測定法を包含する。本出願人は、閉鎖管測定フォーマッ
トを使用する単一の測定法で、属と種の両方の情報を同時に与えるのに適した方
法を知らない。従ってこれは、本発明の方法と組成物の最もユニークで有用な応
用である。
【0163】 さらに、本発明の単分子「ビーコン」プローブ(同時係属USSN09/179,162を参
照)とPCR検出複合体(例17を参照)はそれぞれ、閉鎖管測定フォーマット
で点突然変異を検出するのに独立に使用することができる。従って単一の測定法
でPCR検出複合体と単分子「ビーコン」プローブを混合すると、属と種の同定
のそれぞれを区別する因子が核酸の点突然変異にあっても、リアルタイムまたは
終点分析に適した単一の閉鎖管測定フォーマット中で、属と種の両方の情報を集
めることが容易になる。
【0164】 多重応用 前記例で説明したように、検出複合体とPCR検出複合体は、各ビーコンセッ
トが少なくとも1つの独立に検出可能な残基を含有する、複数のビーコンセット
が関与する応用に特に有用である。好ましくは、独立に検出可能な残基は、独立
に検出可能な蛍光物質である。例えば、4つの異なる検出複合体の混合物は、4
つの異なる標的配列のそれぞれを検出するのに使用してもよく、ここで各検出複
合体は、1つまたは4つの独立に検出可能な蛍光物質を含む。この例について、
4つの異なる標的配列の有無または量の検出は、混合物を目的の試料とインキュ
ベートした後、4つの異なる独立に検出可能な蛍光物質のそれぞれを検出および
/または定量することにより可能になる。前記したように、検出複合体はまた、
独立に検出可能な残基が同じ測定法中に存在する、同じかまたは異なるプロセス
の機能を区別するのに使用することができる。このような多重測定法は、検出複
合体をプローブとしてまたはプライマーとして使用しても可能である。本明細書
の例16と18は、検出複合体または単分子「ビーコン」プローブとともに検出
複合体を使用する多重応用の例である。
【0165】 V.検出複合体の形成方法: さらに別の実施態様において本発明は、検出複合体の形成方法に関する。本法
は、複合体形成を促進する条件下で2つまたはそれ以上の成分ポリマーを混合す
ることを含んでなる。いくつかの実施態様において、測定法中に存在するビーコ
ンセットの少なくとも1つのメンバーからの検出可能なシグナルの変化が、試料
中の目的の標的配列または標的分子の有無または量と相関付けることができるな
ら、測定法の他のプロセスの一部またはすべてを行う前、最中またはその後に、
検出複合体を形成することが好ましい。本発明の方法により生成される検出複合
体は、「本発明の組成物」中に記載されている。本法により形成される検出複合
体には、PCR検出複合体ならびに基質検出複合体を含む。
【0166】 VI.本発明のキット: 本発明はさらに、本発明の方法の実施に有用な検出複合体の成分ポリマーおよ
び他の試薬を含むキットに関する。本発明のキットは、目的の試料中に存在する
可能性のある標的配列または標的分子の有無または量を検出または同定するのに
適している。最終ユーザーが受け取る場合、検出複合体は、あらかじめまとめら
れているか、または最終ユーザーは、2つまたはそれ以上の成分ポリマーを混合
して、検出複合体を生成してもよい。添付の請求の範囲は、成分ポリマーが個々
に存在するキット、ならびにあらかじめまとめられている検出複合体を含有する
キットに応用されることを意図する。本発明のキットに適した検出複合体は、「
本発明の組成物」に記載してある。キットで使用するのに適した検出複合体には
、PCR検出複合体ならびに基質検出複合体がある。
【0167】 本発明の好適なキットは、PCR反応を行うためのすべての試薬を含み、ここ
でキットの1つまたはそれ以上の検出複合体またはPCR検出複合体は、目的の
標的配列または標的分子の有無または量について試料を監視するために使用され
る。好適な実施態様において、キットの1つまたはそれ以上の検出複合体は、P
CR反応のプライマーとして作用する。検出複合体がPCRでプライマーとして
作用するためには、少なくとも1つの検出複合体のプローブ用ポリマーは、3’
−ヒドロキシル基を有するプローブ用セグメントを含む必要がある。好ましくは
プローブ用ポリマーは、標的配列と配列特異的に相互作用しないが、アニーリン
グポリマーの相互作用性の基の核塩基とのみ相互作用する相互作用性の基を含有
する核塩基を含む。さらに、好ましくは、アニーリングポリマーは、プローブ用
ポリマーの相互作用性の基の正確な相補体である相互作用性の基を含有する核塩
基を含む。
【0168】 典型的なPCRキットは、少なくとも2つのプライマー(ここで、少なくとも
1つはPCR検出複合体でもよい)、少なくとも1つの検出複合体またはPCR
検出複合体、ヌクレオチド三リン酸、ポリメラーゼ酵素(好ましくは熱安定性ポ
リメラーゼ)および緩衝液(調節したイオン強度、調節したマグネシウム含量お
よびpH調節物質を含む)を含有するであろう。
【0169】 本発明の好適な実施態様を説明したため、本明細書に記載の概念を導入する他
の実施態様が使用できることは、当業者には明らかであろう。従って、これらの
実施態様は、開示した実施態様に限定されるものではなく、請求の範囲によって
のみ限定されるものである。
【0170】 (本発明を実施するための方法) 例1.N−α−(Fmoc)−N−ε−(NH2)−L−リジン−OHの合成 20mmolのN−α−(Fmoc)−N−ε−(t−boc)−L−リジン−O
Hに60mlの2/1ジクロロメタン(DCM)/トリフルオロ酢酸(TFA)を
加えた。N−α−(Fmoc)−N−ε−(t−boc)−L−リジン−OHか
ら、tert−ブチルオキシカルボニル(t−boc)基が完全に除去されるま
で、この溶液を攪拌する。次に溶液を蒸発乾固し、残渣を15mlのDCMで再溶
解する。次に、溶液を350mlのエチルエーテルに滴下して、生成物の沈殿を試
みる。生成物が溶解したため、エチルエーテルをデカントし、油状物を高真空に
入れると白色の泡状物が得られた。白色の泡状物を250mlの水に溶解し、飽和
リン酸ナトリウム(二塩基性)で溶液をpH4に中和した。白色の固形分が生成
し、真空ろ過により集めた。生成物を35〜40℃の真空オーブン中で一晩乾燥
した。収量17.6mmol、88%。
【0171】 例2.N−α−(Fmoc)−N−ε−(ダブシル)−L−リジン−OH(「F
moc)−K(ダブシル)−OH)の合成 1mmolのN−α−(Fmoc)−N−ε−(NH2)−L−リジン−OHに、 N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)5mlと1.1mmolのTFAを加えた
。アミノ酸が完全に溶解するまでこの溶液を攪拌した。
【0172】 1.1mmolの4−((4−ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸、スク
シンイミジルエステル(ダブシル−NHS;モレキュラープローブズ(Molecula
r Probes)、P/N D−2245)に、4mlのDMFと5mmolのジイソプロピ
ルエチルアミン(DIEA)を加えた。この攪拌溶液に、上記のように調製した
N−α−(Fmoc)−N−ε−(NH2)−L−リジン−OH溶液を滴下して 加えた。反応物を一晩攪拌し、次に処理した。
【0173】 溶媒を真空で留去し、残渣を50mlのDCMと50mlの10%クエン酸水溶液
に分配した。層を分離し、有機層を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、再度10
%クエン酸水溶液で洗浄した。次に有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、
溶媒を留去して橙色の泡状物を得た。泡状物をアセトニトリル(ACN)から結
晶化し、結晶を真空ろ過により集めた。収量0.52mmol、52%。
【0174】 例3.ビス−(2−メトキシエチル)アミジル−ジクリコール酸の合成 800mlのジクロロメタン(DCM)中で攪拌している無水ジクリコール酸5
00mmolに、1.1molのビス(2−メトキシエチル)アミン(アルドリッチケ ミカル(Aldrich Chemical))を滴下して加えた。反応物を2時間攪拌し、次に
280mlの6N HClを滴下して加えた。次に内容物を分液ロートに移し、分
離させた。DCM層を除去し水層を100mlのDCMで抽出した。合わせたDC
M層を次に、100mlの10%クエン酸水溶液で抽出した。次にDCM層を分離
し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し溶媒を留去して、73.8g(296mmol;
収率59%)を得た。クーゲルロー(kugelrorh)を使用して微量の溶媒を除去 した(生成物を約180μM Hgで60℃に加熱したが、蒸留しなかった)。
【0175】 例4.N−[N''−Fmoc−(2''−アミノエチル)]−N−[N,N’−(
2−メトキシエチル)アミジル−ジクリコリル]グリシン(「Fmoc−「E」
aeg−OH」)の合成 60mmolのFmoc−aeg−OH(パーセプティブバイオシステムズ社(Pe
rSeptive Biosystems, Inc.))に、360mlのミリQ水、180mlのアセトン 、120mmolのNaHCO3、および60mmolのK2CO3を加えた。Fmoc− aeg−OHが完全に溶解するまで(約2時間)この溶液を攪拌し、次に後述す
るように調製した溶液を加えた。
【0176】 70mmolのビス−(2−メトキシエチル)アミジル−ジクリコール酸に、12
0mlの無水アセトニトリル(フルカケミカル(Fluka Chemical))、240mmol
のN−メチルモルホリン(NMM;フルカケミカル(Fluka Chemical))および
75mmolのトリメチルアセチルクロリド(アルドリッチケミカル(Aldrich Chem
ical))を加えた。溶液を室温で30分攪拌し、次に前記したように調製したF
moc−aeg−OHの溶液に滴下して加えた。
【0177】 合わせた溶液を1時間攪拌し、TLC分析が反応の完了を示した後、pH紙で
pHが2以下になるまで反応物に6N HClを加えた。次に真空下で有機溶媒
を留去した。次に残存する水溶液を分液ロートに移し、250mlの酢酸エチルで
2回抽出した。合わせた酢酸エチル層を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、溶媒を
留去して、41.5gの油状物を得た。
【0178】 粗生成物を、カラムクロマトグラフィーで逆相固定相(C18)とアセトニト
リル水溶液の勾配を使用して、生成物を溶出し、ピバル酸を除去した。TLCで
は見えなかったが、ピバル酸の溶出はにおいで追跡できる。生成物の溶出の前に
、ピバル酸はほとんど完全にカラムから溶出できる。生成物の溶出は、TLCに
より追跡することができる。収率26.8g(47mmol;78%)。PNAの「
E」修飾またはポリアミドは以下の式を有する:
【0179】 例5:N,N’−(2−メトキシエチル)−グリシン−tert−ブチルエステ
ルの合成 1.1molのビス(2−メトキシエチル)アミン(アルドリッチケミカル(Ald
rich Chemical))に、500mmolのtert−ブチルクロロアセテート(アル ドリッチケミカル(Aldrich Chemical))を滴下して加えた。反応物を3日間攪
拌し、次に処理した。
【0180】 最終反応内容物に、250mlのDCMと200mlの水を加えた。この攪拌溶液
に、300mmolの固体炭酸カリウム(K2CO3)を少しずつ加えた。完全に混合
後、層を分離した。DCM層を1部の水で1回洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、
ろ過し、溶媒を留去して、66.3gの非常に薄い黄色の油状物を得た。この粗
生成物を60℃(200〜500μM Hg)でクーゲルロー(Kugerrorh)蒸留
して、58.9gの清澄な無職の油状物を得た(238mmol;95%)。
【0181】 例6:N,N’−(2−メトキシエチル)−グリシンの合成 精製した(攪拌)N,N’−(2−メトキシエチル)−グリシン−tert−
ブチルエステルに、12.1mlの濃塩酸をゆっくり加えた。反応物を一晩攪拌し
、次に副生成物(例えば、水、HCl、イソブチレン)を、真空蒸発により除去
した。1H−NMR分析は、t−ブチルエステルが加水分解されたことを示した が、水とHClがまだ残っているようであった。粗生成物をACNから2×同時
蒸発させたが、水とHClはまだ残っていた。
【0182】 不純物を除去するために、4.4gの試料を粗生成物から除去し、135〜1
55℃でクーゲルロー(Kugelrorh)蒸留した(100〜200μM Hg、蒸留
が始まると圧力が急速に低下)。収率4.2g(18.4mmol;粘性の清澄な無
色の油状物を95%回収)。蒸留した生成物は水もHClも含有していなかった
【0183】 例7.N−[N''−Fmoc−(2''−アミノエチル)]−N−[N,N’−(
2−メトキシエチル)グリシル]グリシン(「Fmoc」+「aeg−OH」)
の合成 8mmolのFmoc−aeg−OH(パーセプティブバイオシステムズ社(PerS
eptive Biosystems, Inc.))に、24mlのアセトンと40mlのミリQ水を加え た。この攪拌溶液に、16mmolのNaHCO3、および8mmolのK2CO3を加え た。Fmoc−aeg−OHが完全に消失するまで(約1時間)この溶液を攪拌
し、次に後述するように調製した溶液を加えた。
【0184】 9mmolのN,N’−[ビス−(2−メトキシエチル)−グリシンに、20mlの
無水アセトニトリル(フルカケミカル(Fluka Chemical))、9mmolのジイソプ
ロピルエチルアミン(DIEA、アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical))
、27mmolのN−メチルモルホリン(NMM;フルカケミカル(Fluka Chemical
))および9.3mmolのトリメチルアセチルクロリド(アルドリッチケミカル(
Aldrich Chemical))を加えた。溶液を室温で30分攪拌し、前記したように調
製したFmoc−aeg−OHの溶液に滴下して加えた。
【0185】 合わせた溶液を1時間攪拌し、TLC分析が反応の完了を示した後、真空蒸発
により有機溶媒を除去した。クエン酸を少しずつ加えて、残りの水溶液をpH7
.0に酸性化した。次に溶液を分液ロートに移し、35mlの酢酸エチルで2回抽
出した。有機層中に生成物は存在しなかったため、これを捨てた。
【0186】 水溶液がpH約8(pH紙)で曇ってくるまで、水溶液のpHを上下して調整
した。次に溶媒を分液ロートに戻し、水層を25mlのDCMで抽出した。有機層
中に生成物が存在したため、水層をDCMで3回抽出した。すべてのDCM層を
合わせ、5%重炭酸ナトリウム溶液で逆抽出した。pHを再度約8.0に調整し
た。水層をDCMで数回抽出し、すべてのDCM層を合わせ、乾燥(Na2SO4 )し、ろ過し、溶媒を留去して、約5.0gの白色の固体を得た。
【0187】 粗生成物を、DCMに溶解し、2/1ヘキサン/ジエチルエーテル混合物中に
沈殿させた。最終生成物を真空ろ過により回収した。収率2.97g(5.8mm
ol;収率72%)。PNAの「+」修飾またはポリアミドは以下の式を有する:
【0188】 例8:C末端修飾を有するポリアミドの調製に適したPAL−Peg/PS合成
支持体の合成のための一般的方法 Fmoc−K(ダブシル)−OH、Fmoc−「E」aeg−OH、およびF
moc−「+」aeg−OHシントンを使用して、1つまたはそれ以上のC末端
「ダブシル」、「E」または「+」残基を有するオリゴマーの調製に有用な合成
支持体を調製した。Fmoc−K(ダブシル)−OH、Fmoc−「E」aeg
−OH、およびFmoc−「+」aeg−OHシントンは、自動化装置中で直接
使用できるし、かつ使用したが、バルクの支持体を調製するのに必要なシントン
が少ないため、あらかじめ誘導体化した支持体の調製が好ましい。
【0189】 第1工程で、市販のFmoc−PAL−Peg−PS合成支持体(パーセプテ
ィブバイオシステムズ社(PerSeptive Biosystems, Inc.);P/N GEN9 13384)のフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基を、フロースル
ー容器中で、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)中の20%ピペリジン
で30分処理して除去した。次に支持体をDCMで洗浄した。最後に支持体をD
MFで洗浄し、アルゴンのフラッシュ流で乾燥した。
【0190】 第2の工程で、DMF中に0.15Mモノマー、0.14Mの[O−(7−ア
ザベンゾトリアオル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘ
キサフルオロホスフェート(HATU)、0.15M DIEAおよび0.22
5 2,6−ルチジンを含有する溶液を、試薬の連続的混合により調製した。次
に溶液を合成支持体に加え、2時間反応させた。次に溶液にアルゴン流を吹き付
け溶液をフラッシュし、支持体をDMF、DCMおよびDMFで順番に洗浄した
。次に樹脂をアルゴン流で乾燥した。
【0191】 第3の工程で、支持体を標準的な市販のPNAキャッピング試薬(パーセプテ
ィブバイオシステムズ社(PerSeptive Biosystems, Inc.);P/N GEN0 63102)5mlで処理した。次にキャッピング試薬を容器からフラッシュし、
支持体をDMFとDCMで順番に洗浄した。次に工程をアルゴン流で乾燥した。
【0192】 2つの「E」残基を含む支持体について、3つの工程サイクルを繰り返した(
ただし、ビス−(2−メトキシエチル)アミジル−ジグリコール酸残基の移行が
起き得るため、「E」のFmoc脱保護は短時間にした)。支持体を正しく誘導
体化した時、これを高真空で乾燥した。支持体の最終的負荷量は、Fmoc負荷
を分析して決定した。
【0193】 次に合成支持体を、必要に応じて、空のPNA合成カラムに充填し、C末端修
飾残基を有するPNAオリゴマーの調製に使用した。
【0194】 例9:PNAの合成 PNAは、パーセプティブバイオシステムズ社(PerSeptive Biosystems, Inc
.)から得た市販の試薬と装置を使用して合成した。C末端修飾を有するPNA は、修飾合成支持体を使用して合成を行うか、またはFmoc−K(ダブシル)
−OH、Fmoc−「E」aeg−OH、およびFmoc−「+」aeg−OH
シントンを直接自動化装置中で使用して合成して、調製した。
【0195】 例10:5(6)−カルボキシフルオレセイン−NHSまたは5(6)−カルボ
キシフルオレセインを用いる支持体結合PNAのN末端標識のために一般的方法 完全に組み立てたPNAのアミノ末端フルオレニルメトキシカルボニル(Fm
oc)基を、ピペリジン処理により除去し、合成支持体を洗浄し、真空下で乾燥
した。次に合成支持体を、0.1M 5(6)−カルボキシフルオレセイン−N
HS(モレキュラープローブズ(Molecular Probes)、P/N C−1311)
、0.3M DIEAおよび0.3M2,6−ルリジンを含有する溶液約300
μlを用いて、37℃で4〜5時間処理した。処理後合成支持体を洗浄し、高真 空下で乾燥した。次にPNAオリゴマーを切断し、脱保護し、精製した。
【0196】 あるいは、リンカーで正しく反応し、末端アミン保護基を除去した後、樹脂を
DMF中に0.5M 5(6)−カルボキシフルオレセイン、0.5M N,N
’−ジイソプロピルカルボジイミド、0.5M 1−ヒドロキシ−7−アザベン
ゾトリアゾール(HOAt)を含有する溶液250μlで処理した(ウェーバー (Weber)ら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 8: 597-600 (1998)
を参照)。処理後合成支持体を洗浄し、高真空下で乾燥した。次にPNAオリゴ
マーを切断し、脱保護し、後述するように精製した。
【0197】 フルオレセイン標識についての注意:本明細書に記載のフルオレセイン標識PN
Aを、異なる方法を使用して調製した。異なる方法は、フルオレセイン標識条件
を最適化させて得た。この時、ほとんどのフルオレセイン標識操作のために、ウ
ェーバー(Weber)らの方法を使用することが好ましい。
【0198】 例11:PNAのCy3標識 PNAを含有する精製アミンを1/1 DMF/水中に0.05 OD/μl の濃度で溶解して、ストックPNA溶液を調製する。ストックから、約30nmol
のPNAを試験管に加える。この試験管に125μlの0.1Mヘペス(pH8 .5)と充分量の1/1 DMF/水を加えて、総量を250μlにした。この 溶液を完全に混合する。Cy3色素(アマシャム(Amersham))のあらかじめパ
ッケージした試験管に、上記のように調製した250μlの溶液すべてを加える 。試験管をよく混合し、周囲温度で1時間反応させる。
【0199】 反応後、スピード−バック(speed-vac)中で溶媒を留去する。次にペレット を、3:1の1%TFA水溶液/ACNを含有する溶液400μlに溶解する。 次に溶液を5000MWのウルトラフリー(Ultrafree)(ミリポア社(Millipore
Corp.)、P/N UFC3LCC25)または3000MWアミコン(Amicon) (マイクロコン・マイクロコンセントレーター(Microcon microconcentrator)
、P/N42404)スピンカートリッジに移して、過剰の色素を除去する。次
に、回収した生成物をHPLCを使用して再精製した。
【0200】 例12:切断、脱保護および精製の一般的方法 合成支持体(Fmoc−PAL−PEG/PS;P/N、GEN91338
4)を、合成カートリッジから除去し、ウルトラフリー(Ultrafree)スピンカ ートリッジ(ミリポア社(Millipore Corp.)、P/N SE3P230J3) に移し、TFA/m−クレゾール溶液(7/3または8/2(好ましい))で1
〜3時間処理した。再度溶液を、支持体ベッドを通して遠心分離し、支持体をT
FA/m−クレゾール溶液で1〜3時間処理した。再度溶液を、支持体ベッドを
通して遠心分離した。次に、一緒にした溶出液(TFA/m−クレゾール)を、
約1mlのエチルエーテルを加えて沈殿させた。沈殿物を遠心分離によりペレット
化した。次にペレットをエチルエーテルに再懸濁し、さらに2回ペレット化した
。次に、乾燥したペレットを、0.1%TFAを含有する20%アセトニトリル
(ACN)水溶液に再懸濁した(ペレットを溶解するために、必要に応じてさら
にACNを加えた)。生成物を分析し、逆相クロマトグラフィー法を使用して精
製した。
【0201】 注意:パーセプティブバイオシステムズ社(PerSeptive Biosystems, Inc.)か ら入手できる新しい製品Fmoc−XAL−PEG/PS合成支持体(P/N
GEN913394)を使用して、数種類のPNAを調製した。この支持体は、
より迅速にかつより穏和な酸性条件下でPNAを除去することができるという利
点を有する。Fmoc−XAL−PEG/PSを用いて調製したPNAについて
、支持体は前記したように処理したが、一般にTFA/m−クレゾール9/1の
溶液を10〜15分間使用した(2×)。
【0202】 調製したPNAオリゴマー:
【0203】 すべてのPNA配列は、アミン(N−)末端からカルボキシル(C−)末端に
書いてある。略号:Ac=アセチル、「E」と「+」は上記で定義、Flu=5
(6)−カルボキシフルオレセイン、ダブシル=4−((4−(ジメチルアミノ
)フェニル)アゾ)安息香酸、O=8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸、
K=アミノ酸L−リジン、およびCy3はCy3色素(アマシャム(Amersham)
)。
【0204】 例13.熱プロフィールの解析 一般的実験法: 蛍光測定は、水ジャケットセルホルダー(P/N206−15439、シマズ
(Shimadzu))を取り付けたRF−5000分光蛍光光度計(シマズ(Shimadzu
))を使用して、1.6mlの10mm光路長のキュベット(スタルナセルズインク
(Starna Cells, Inc.))を使用して行った。循環水浴(ネスラブ(Neslab))
を使用して、キュベット温度を調節した。キュベット内容物の温度は、プローブ
の先端をキュベット(カスタム製造)上のキャップを通して液体レベルより下に
挿入した熱伝対プローブ(バーナント(Barnant);モデルNo.600−00 00)を直接使用して監視した。
【0205】 PNAを50%N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)水溶液に溶解して
、精製したPNAプローブのストック溶液を調製した。各PNAストックから、
ダブシル−PNAとFlu−PNAを、それぞれ1.6mlのHyb.緩衝液中に
10mmolの濃度で調製した。PNA/PNA2本鎖を形成するために、ヒーティ
ングブロック中で管を95℃で12分加熱した。蛍光測定を記録する前に、加熱
後、溶液を周囲温度で2時間放置した。
【0206】 試料を493nmで励起し、521nmで蛍光を測定した。キュベットを加熱し次
にキュベットが冷却する時に、多くの温度でデータ点を採取した。一般的に浴温
度は連続的に5℃ずつ増加させ、次に平衡化させてから各データ点を記録した。
同様に冷却プロフィールを作成するために、浴温度を連続的に5℃ずつ低下させ
平衡化させてから、各データ点を記録した。
【0207】 データ考察: 全般: 2つのPNAプローブを混合して、検出複合体を形成した。蛍光物質と消光物
質(2つの個々のポリマーに共有結合しているが)は、その各核塩基配列の設計
により、近づいて、蛍光シグナルのほとんどまたは実質的にすべてが、蛍光物質
と消光残基の相互作用により消光されるため、複合体が形成されると、検出複合
体を含有する溶液の蛍光強度は比較的低くなる。いったん複合体が形成されると
、検出複合体は加熱されて、熱的に変性され、こうして検出複合体の安定性が決
定される。個々のポリマーが物理的に分離されると、蛍光物質と消光残基はもう
近接していないため、消光残基は蛍光シグナルのほとんどまたは実質的にすべて
を消光することができないため、検出複合体の熱変性により、より強い蛍光シグ
ナルが生成する。すなわち蛍光シグナルの強度は、試料中に存在する検出複合体
のパーセントに正比例する。紫外線吸収(典型的には260nm)の代わりに蛍光
強度が使用されるが、データは、A260分析を使用して核酸2本鎖の熱融点(T m)を決定する時に観察されるものと類似のS字型プロフィールを示すはずであ
る。理論的には両方の方法とも同じTmを与えるはずである。さらにこのプロセ
スは逆転が可能であり、検出複合体が再生成(再アニーリング)されて温度が低
下すると、蛍光強度が低下するはずである。
【0208】 データ: a.図8Aでは、1.6mlのハイブリダイゼーション緩衝液中で1:1の2つ
のPNAプローブ(10pmolのAc-TGG-AG-OO-GG-CGT-K(タ゛フ゛シル)-NH2(アニーリ ングポリマー:表1のプローブNo.2)を10pmolのFlu-O-ACG-CCA-CCA-GCT-
CCA-NH2(プローブ用ポリマー:表1のプローブNo.1)と混合した)を混合 して生成した検出複合体について、熱プロフィールの結果をグラフ表示する。設
計により、検出複合体は、複合体の各端に2つの5bpのステム領域と、ポリマー
の中心(ここには、相補的な核塩基はない)に5bpの隆起を有する(図1Bを参
照)。すなわち、検出複合体が生成するには、2つの5bpセグメントを結合させ
るリンカーは、各ポリマーの末端で核塩基の適当な相互作用を提供するのに充分
長ければよい。
【0209】 本例では、検出複合体は、加熱(融解)による蛍光強度の上昇と冷却(再アニ
ーリング)による蛍光強度の関連する低下により示されるように、融解と再アニ
ーリングに一致する熱プロフィールを示す。データは、検出複合体の融点(Tm
)が約55℃であることを示す。
【0210】 b.図9では、1.6mlのハイブリダイゼーション緩衝液中で1:1の2つの
PNAプローブ(10pmolのAc-「E」-TGG-TGG-CGT-K(タ゛フ゛シル)-NH2(アニーリング ポリマー:表1のプローブNo.5)を10pmolのFlu-O-ACG-CCA-CCA-GCT-CCA-
NH2(プローブ用ポリマー:表1のプローブNo.1)と混合した)を混合して 生成した検出複合体について、熱プロフィールの結果をグラフ表示する。設計に
より、この検出複合体は、異なる長さの2つのPNAを含む。より短いアニーリ
ングポリマーは、プローブ用ポリマーの末端の一部に相補的なため、検出複合体
は9bpの隆起と6bpのテイリング配列を含む(図1Aを参照)。
【0211】 再度、検出複合体は、加熱(融解)による蛍光強度の上昇と冷却(再アニーリ
ング)による蛍光強度の関連する低下により示されるように、ポリマーの融解と
再アニーリングに一致する熱プロフィールを示す。データは、検出複合体の融点
が約67℃であることを示す。
【0212】 例14.ハイブリダイゼーション測定データの解析 一般的実験法: この試験のために、標的配列として適しているビオチン標識wt k−ras
DNAオリゴヌクレオチドを合成した。DNAは5’から3’に例示する。 wt k-ras ヒ゛オチン-GTG-GTA-GTT-GGA-GCT-GGT-GCC-GTA 配列番号1
【0213】 すべてのハイブリダイゼーション測定データは、F485CW−ランプフィル
ターとF535発光フィルターを備えたワラック(Wallac)マルチラベルカウン
ターを使用して測定した。ヌンクマキシソープ(NUNC MaxiSorp)分割型マイク ロタイタープレートを、反応容器として使用した。各マイクロタイタープレート
を、Hyb.緩衝液で室温で15分あらかじめ洗浄した後、反応成分を加えた。
総反応容量は、Hyb.緩衝液中100μlであった。
【0214】 精製DNAをTE(10mMトリス−塩酸(pH8.0);0.1mM EDTA
、シグマケミカル(Sigma Chemical))に溶解して、精製したWT K−ras
DNA(ゲノシス(Genosys))のストック溶液を調製した。DNAストック をhyb.緩衝液を連続希釈して、このDNAストックから、WT K−ras
DNAの溶液を100pmol/μlで調製した。
【0215】 各測定には、100μlの総容量でWT K−ras DNAと検出複合体を 図8Bに示す相対的量で含有した。各試料は、検出複合体(1Eq.について2μl
5Eq.について10μl)、標的としてのWT K−ras DNA(1Eq.につ いて1μl5Eq.について5μl)、および100μlの試料を調製するのに必要な
ハイブリダイゼーション緩衝液の必要な量を組合せて調製した。
【0216】 試料を混合し、蛍光強度を、ワラック・ビクター(Wallac VICTOR)装置を使 用して、時間の関数として追跡した。採取したデータをプロットして図を作成し
た。
【0217】 データ考察: 全般: アニーリングポリマーとプローブ用ポリマーを混合して、検出複合体を形成し
た。複合体が形成されると、検出複合体を含有する溶液の蛍光強度は比較的低く
なる。いったん複合体が形成されると、プローブ用ポリマーが標的核酸(TNA
)にハイブリダイズするのに適した条件下で、検出複合体は標的核酸に接触させ
られる。標的配列とプローブ用セグメントの間の複合体の安定性が、検出複合体
の安定性と比較して熱力学的により好ましいものなら、プローブ用ポリマーが標
的核酸にハイブリダイズすると、検出複合体の解離を引き起こす。蛍光物質と消
光残基はもう近接しておらず、消光残基は蛍光シグナルのほとんどまたは実質的
にすべてを消光することができないため、検出複合体の解離により、より蛍光強
度の大きいシグナルが生成する。従って、標的核酸が存在しない試料と比較して
、蛍光強度が増加することによりハイブリダイゼーションが検出される。
【0218】 データ: 図8Bでは、ハイブリダイゼーション測定法の結果をグラフで示す。この例で
は、1:1のPNAポリマー(Ac-TGG-AG-OO-GG-CGT-K(タ゛フ゛シル)-NH2(表1のプ ローブNo.2)をFlu-O-ACG-CCA-CCA-GCT-CCA-NH2(表1のプローブNo.1 ))から、検出複合体を形成する。この例では、1:5、5:1、および1:1
の標的核酸/検出複合体の混合物が分析されている。対照は、それぞれ0:5お
よび0:1標的核酸/検出複合体である。データは、対照試料(蛍光強度の経時
的変化はほとんどない)と比較して、標的核酸を含有するする試料の蛍光強度は
、時間とともに上昇し、対照で観察される蛍光より大幅に大きくなる。すなわち
、このデータは、本発明の検出複合体がプライマーの代わりにプローブとして使
用できることを証明している。
【0219】 例13と14で行った分析は、表1に示した他のPNAに応用でき、こうして
同様の結果を得ることができる。結果は、予測できる形で安定な検出複合体が形
成/解離することを証明している。さらにこれらの検出複合体は、試料中の標的
配列および/または標的分子の有無または量を検出するためのプローブとして使
用することができる。
【0220】 例15:PCRのプライマーとしての検出複合体の使用 概観 本例に記載の測定法は、最初は暗い(非蛍光性)PCR反応物から、予測可能
な蛍光シグナルを生成することが証明された。測定中に生成する検出可能な蛍光
シグナルは、増幅反応により産生される核酸の量に正比例していた。
【0221】 実験A 本実験を使用して、PNA消光物質と3’および5’DNAプライマーのそれ
ぞれとのハイブリダイゼーションにより形成される検出複合体は、環境中の熱的
変化に応答して、検出複合体が解離する場合は検出可能な蛍光シグナルを生成す
る形で、逆の融解と再アニーリングが可能であることを証明した。
【0222】 実験B この実験では、鋳型濃度を固定し、増幅反応により生成する蛍光強度が、増幅
サイクルの数に相関付けられるようにした。PCR反応は、反応あたり1fmolの
鋳型を用いて、17、20、23、26、29、32、および35増幅サイクル
行った。次にPCR反応の蛍光シグナルを定量し、核酸増幅産物の有無と長さを
、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用して試料成分を分離して行った。陰性
対照(鋳型無し)も行った(35サイクル)。蛍光定量データは、PCRのサイ
クル数によく相関した。定量した蛍光シグナルはまた、ポリアクリルアミドゲル
分析で観察された蛍光性出発材料と生成物の量とよく相関した。
【0223】 実験C この実験では、鋳型濃度を変化させ、一定のサイクル数で起きる増幅反応によ
り生成する蛍光強度を、各PCR反応中の鋳型の量に相関付けられるようにした
。測定により生成する定量した蛍光シグナルは、7対数範囲の標的(1fmole〜 1zmole)で一定であった。この実験は、この方法を使用して標準曲線を作成し 、次にこれを使用して、測定結果を標準曲線と比較して未知試料中の標的配列ま
たは標的分子の量を測定することの有効性を証明している。
【0224】 材料と方法
【0225】 プローブ、プライマーおよび鋳型: PNA消光物質: 3’および5’DNAプライマーの両方の5’末端の13核塩基に相補的にな
るように、PNA消光物質を設計した。この好適な実施態様を使用すると、3’
および5’DNAプライマーの両方の蛍光を消光するのに、1つのPNA消光物
質のみが必要であった。PNA消光物質(表1、No.7と8を参照)のより短
いもの(11および9核塩基の長さ)は、検出複合体の蛍光シグナルを消光させ
ることがわかった(データは示していない)。しかし、最も安定な検出複合体を
形成したため、最も長いPNA消光物質を選択した。 PNA消光物質(表1,No.6)C タ゛フ゛シル(K)-AGTAAGCGTTAGT-OO-+-Ac N C=カルボキシ末端、N−アミノ末端、「Ac」、「K」、「+」、「ダブシル
」および「O」は前記で定義した。
【0226】 DNAプライマー: 5’DNAプライマーと3’DNAプライマーは両方とも、プライミング配列
(下線で示す)(これは、目的の標的核酸上のプライミング部位に相補的である
)と共通の複合体形成セグメント(CFS)(ここにPNA消光物質がハイブリ
ダイズする(太字で示す))を有する。共通の複合体形成セグメントは、PNA
消光物質にハイブリダイズする相互作用性の基を含む。
【0227】 DNAプライマーは、市販の試薬と装置を使用して調製し、当業者に公知の方
法を使用して精製した。アミノヘキサノール結合を介してプライマーに、Flu
=5(6)カルボキシフルオレセイン標識をつけた。
【0228】 dsDNA K−ras鋳型(プライミング部位に下線を引いて、増幅した領
域のみを示す)
【0229】 PNA消光物質を水で希釈し、4℃で保存した。プライマーとDNA鋳型をT
E(10mM トリス(pH8.0)、1mM EDTA)で希釈し、4℃で保存し
た。
【0230】 PCR測定法: PCR反応は、パーキン・エルマー(Perkin-Elmer)2400サーモサイクラ
ー中で、個々のミニエッペンドルフチューブで油やロウ無しで行った。PCRプ
ロトコールは、5秒94℃に加熱(第1ラウンドのみ)、次に94℃で5秒変性
、55℃で1分アニーリング、そして74℃で1分伸長、であった。変性−アニ
ーリング−伸長サイクルを、実験Bでは35サイクル、そして実験Cでは40サ
イクル行った。実験Cでのみ、サイクル40の後にさらに74℃で7分の伸長工
程を行った
【0231】 各PCR反応物には、2pmolの5’および3’DNAプライマー、2mMのMg
Cl2、125μMのATP、125μMのCTP、125μMのGTP、125μ
MのTTP、1単位のアンプリタク(AmpliTaq)DNAポリメラーゼ、50mMの KCl、そして10mMのトリス(pH8.3)を含有した。実験Bは、反応あた
り12pmolのPNA消光物質を使用し、従って3:1のPNA消光物質対DNA
プライマーを生成した。実験Cは反応あたり16pmolのPNA消光物質を使用し
、従って4:1のPNA消光物質対DNAプライマーを生成した。
【0232】 DNAプライマーとPNA消光物質の間のハイブリダイゼーションを完全にす
るために、PCR反応の成分を、まず丸底マイクロタイタープレート中で混合し
、室温で約5分静かに振盪してインキュベートした。次にプレートをワラック(
Wallac)マルチラベルカウンターに入れ、ウェルあたり1秒間蛍光を測定した。
蛍光は、485nmの励起フィルターと535nmの発光フィルターを使用して測定
した。反応前蛍光を測定した(「RLU前」測定)後、試料をミニエッペンドル
フチューブに移し、PCRを行った。
【0233】 PCR後、試料を、「RLU後」蛍光測定用の新しいマイクロタイタープレー
トに移した。各反応のPCR後蛍光を測定後、2μlの5×ローディング色素を 各試料に加え、次に全反応試料をポリアクリルアミドゲル電気泳動(条件:10
〜20%ポリアクリルアミドゲルと100V、40mAで約1.5時間電気泳動)
を使用して分離した。臭化エチジウム染色の前に、トランスイルミネーター(紫
外線302nm;例えば、図12Aと14Aを参照)を使用して、ゲルに含有され
た蛍光性産物の写真画像を得た。500μMの臭化エチジウム溶液中で周囲温度 で2分間静かに振盪しながらゲルを染色し、次に水中で約15分間脱染色し、ト
ランスイルミネーターからの紫外線にあてて再度写真を撮った(図12Bと14
B)。次にゲルを、高pH緩衝液に2分間入れて、完全なPNA消光物質−DN
Aプライマー複合体を変性させ、次にトランスイルミネーターからの紫外線にあ
てて3回目の写真を撮った(図12Cと14C)。
【0234】 試薬: ヒトDNAからDNA鋳型をPCR増幅(クロンテク(Clontech)から購入し
たキットを使用)し、pCR2.1プラスミド(インビトロゲン(Invitrogen)
)中にクローン化した。制限断片解析によりクローンをスクリーニングし、次に
配列決定した。プラスミドの大きい調製物を作成し、標準的方法を使用して定量
した。クローン化配列は、いくつかの疾患で点突然変異が起きることが知られて
いるヒトK−ras遺伝子中の領域に隣接する。増幅したK−ras領域は11
1bpの長さであるが、上記DNAプライマーの両方を使用して増幅すると、プラ
イマー中に存在する2つの13bp複合体形成セグメントが取り込まれるため13
7bpのアンプリコンが調製される(111+13+13=137)。
【0235】 10×緩衝液、塩化マグネシウム溶液、アンプリタク(AmpliTaq)DNAポリ
メラーゼ、およびヌクレオチド三リン酸を含むPCR試薬は、パーキン・エルマ
ー(Perkin-Elmer)から得た。
【0236】 10%〜20%勾配プレ−キャストミニゲル(Pre-Cast Mini-Gels)、10×
流動緩衝液、および5×試料色素は、イーエスエー・インク(ESA, Inc.)(チ ェルムスフォード(Chelmsford)、マサチューセッツ州)から得た。
【0237】 高pH緩衝液:0.4M NaOH、0.6M NaCl、pH〜13. TE:10mMトリス(pH8.0)、1mM EDTA。 PhiX174/HaeIIIは、ニューイングランドバイオラボズ(New Engla
nd Biolabs)から購入した。これはTE中で1μg/μlで供給された。
【0238】 結果 全般: 以下の結果と考察では、元々のデータ点のすべては、得られた番号に含まれる
。すべてのデータからバックグランドを引いた。
【0239】 実験A: 測定法の説明: 蛍光測定は、水ジャケットセルホルダー(P/N206−15439、シマズ
(Shimadzu))を取り付けたRF−5000分光蛍光光度計(シマズ(Shimadzu
))を使用して、1.6mlの10mm光路長のキュベット(スタルナセルズ・イン
ク(Starna Cells, Inc.))を使用して行った。循環水浴(ネスラブ(Neslab)
)を使用して、キュベット温度を調節した。キュベット内容物の温度は、プロー
ブの先端をキュベット(カスタム製造)上のキャップを通して液体レベルより下
に挿入した熱伝対プローブ(バーナント(Barnant);モデルNo.600−0 000)を直接使用して監視した。
【0240】 PNAを50%N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)水溶液に溶解して
、精製したPNA消光物質のストック溶液を調製した。DNAを10mMトリス(
pH8.0)、1mM EDTA(TE)に溶解して、精製したDNAプライマー
のストック溶液を調製した。各ハイブリッドについて、20pmolのPNA消光物
質と10pmolの3’および5’DNAプライマーのいずれかを混合し、次にハイ
ブリダイゼーション緩衝液(50mMトリス−塩酸、pH8.3、100mM Na
Cl)で1.6mlに希釈した。室温(21℃)で10分間検出複合体を生成させ
た後、熱プロフィールについてのデータを採取した。
【0241】 試料を495nmで励起し、520nmで蛍光を測定した。キュベットを加熱し次
にキュベットが冷却する時に、多くの温度でデータ点を採取した。
【0242】 考察: PNA消光物質にハイブリダイズした3’および5’DNAプライマーのそれ
ぞれについて、蛍光対温度データから作成した熱プロフィールを、図10Aと図
10Bに示す。図10Aと図10Bの両方とも、PNA/核酸ハイブリッドの融
解とアニーリングについて予測されるタイプの、S字型の加熱冷却曲線を示す。
両方の加熱曲線について、曲線の変曲点は約60℃(ほぼTm値)であり、約5
0℃と70℃でそれぞれより低温でそしてより高温で平坦化する。5’DNAプ
ライマーの冷却曲線は、若干ヒステリシスを示すが、データは、複合体が環境中
の熱変化に応答して容易に解離と再形成をすることを示している。さらに検出複
合体の解離により、蛍光が何倍にも上昇する。
【0243】 実験B: 測定法の説明: マイクロタイタープレートに試薬を加える前に、マイクロタイタープレートの
各ウェルについてバックグランド蛍光を記録した。PCR反応のすべての試薬を
含有するマスター混合物(鋳型、DNAプライマー、およびPNA消光物質は除
く)を作成した。6μlのこのマスター混合物を、マイクロタイタープレート中 の8つの反応ウェルのそれぞれに加えた。次に各ウェルに、1μlの3’および 5’DNAプライマー(2pmol/μl)、1,5μlのPNA消光物質(8pmol/μ
l)、および1μlの鋳型(1fmol/μl)を総容量10.5μlで加えた。陰性対 照について、鋳型の代わりに1μlのTEを加えた。各反応のすべての試薬を組 合せた後、RLU前測定値を記録し、試料をミクロチューブに移して、前記した
ようにPCR反応を行った。
【0244】 サイクル17、20、23、26、29および32で1分間74℃の伸長工程
後に、PCRを一時的に停止して、分析のための試料を採取した。これらの試料
を、サーモサイクラーから取り出した後4℃の冷蔵庫に入れた。プロトコールの
各サイクルは約1分と15秒続き、従ってサイクル17で試料を採取からサイク
ル35で試料を採取までの時間は、ほぼ正確に60分であった。すべてのPCR
反応を完了後、サイクル35の試料を冷蔵庫で5分冷却した。すべての試料を室
温で短時間遠心分離した後、PCR後蛍光測定のために清澄なマイクロタイター
プレートに移した。PCR後蛍光測定を行う時間までに、試料は室温で約10分
経過していた。
【0245】
【0246】 考察: 実験Bについて得られたデータを、表2と図11および12に示す。表2では
、実験データと誘導されたデータの両方を示す。試料タイプ(陽性または陰性)
をA列に示す。PCRサイクルの数をB列に示す。PCRの前に取った蛍光測定
値をC列に示す(「RLU前」)。PCRの後に取った蛍光測定値をD列に示し (「RLU後」)、計算したシグナル対ノイズ比をE列に示す。シグナル対ノイ ズ比は、「RLU後」値を「RLU前」値で割って得た。図11は、表2のB列と
E列に示したデータのグラフ表示である。図12は、トランスイルミネーター上
に置いたゲルの蛍光について撮った写真のコンピューターで作成した3つの合成
ネガ画像(A、BおよびC)である。すべての3つの写真は、材料と方法(前記
)に記載の操作をそれぞれを行った後の、同じゲルのものである。さらに詳しく
は、写真Aでは、分離した試料成分のすべての未変性の蛍光が見える。写真Bで
は、臭化エチジウムで染色可能なすべての成分が見える。写真Cでは、変性条件
下で蛍光性のすべての試料成分が見える。
【0247】 前記したように、「RLU前」値は、PCR前の反応の蛍光の測定値である。
表2では、C列の「RLU前」値は非常に低く、すべての試料でよく似ている。
これは、PNA消光物質と3’および5’DNAプライマーの間で形成された複
合体については、蛍光消光が非常に効率的であることを示している。
【0248】 PCR増幅により、検出複合体が解離して、こうして、「RLU後」値(D列 )を鋳型を含有したすべての試料についての「RLU前」値(C列)と比較して
得られる検出可能な蛍光シグナルが生成する。このデータは、蛍光性の3’およ
び5’PNAプライマーのdsDNAへの取り込みに一致する。1より大きいシ
グナル対ノイズ比(S/N、E列)は、PCR反応が完了した後の蛍光の上昇を
示す。
【0249】 表2のB列とE列では、1fmolの鋳型を含有するすべての試料について、PC
Rサイクル数とS/N比が明らかに相関している。S/N比は、サイクル17の
2.0値(3行、E列)からサイクル35の10.2値(9行、E列)に着実に
増加している。この着実な増加は、データのグラフ表示から明らかである(図1
1)。陰性対照は、PCRの35サイクルから得られる蛍光から増加しない。マ
イクロタイタープレートとミニエッペンドルフチューブの間の移動で試料の喪失
が観察された(約1〜2μl)。この試料の喪失は、少なくとも1部は、対照に ついてS/N比が1.0未満の原因であろう。
【0250】 図12に示す写真画像は、表2と図11に関して考察した蛍光の観察された増
加が、PCR反応によるdsDNAの産生と相関付けられることの、決定的な証
拠を提供する。
【0251】 写真画像は、上の試料ウェルとともに示す。レーン番号1は、陰性対照、レー
ン2から8は、順にPCRの17、20、23、26、29、32、および35
サイクルの反応である。レーン9は、サイズマーカーPhiX174/HaeII
Iである。
【0252】 図12の写真Aでは、ゲルを流した直後に蛍光が観察される。写真では、蛍光
dsDNAが、レーン2から8で画像の中点のすぐ下で見られた。蛍光強度は、
より大きい数のPCRサイクルにより産生されるdsDNAの量の増加から予測
されるように、左から右に増加した。陰性対照(レーン1)またはPCR検出複
合体では、蛍光は観察されなかった。
【0253】 図12の写真Bでは、ゲルを臭化エチジウムで染色した後に蛍光が観察される
。写真AとBの間で画像にほとんど差はないが、写真Bでは、レーン9にdsD
NAサイズマーカーPhiX174/HaeIIIが見られる。137bpの増幅し たPCR断片の位置は、198bpと118bp断片の間の位置(2つの黒い矢印で
マークする)と一致する。
【0254】 図12の写真Cでは、臭化エチジウムで処理したゲルを、次に水酸化ナトリウ
ム溶液で処理してdsDNAならびにプライマー/PNA消光物質複合体を変性
した後に、蛍光が観察される。この図は、dsDNAバンドと色素の前端(色素
の前端は、写真画像では見えない)の間に、取り込まれていない蛍光プライマー
の存在を示している。プライマーバンドの蛍光強度は、dsDNAアンプリマー
の強度に反比例する。詳細には、レーン1でプライマーバンドが顕著であり、3
5ラウンドのPCRの間dsDNAは形成されなかった。しかしレーン2から8
に行くに従って、蛍光強度が低下して、dsDNAアンプリコン中に蛍光プライ
マーが取り込まれた(大きく動いているバンドの強度と比較)。
【0255】 これらのプライマーはPNA消光物質に結合(写真A)していたため、写真A
とBでは見えなかった。変性条件下では、プライマーはPNA消光物質から解離
するため、蛍光を発する。興味深いことに、おそらく変性条件下では臭化エチジ
ウムは非蛍光性であるため、dsDNAサイズマーカーは写真Cでは消失する。
【0256】 要約: 1fmolの初期鋳型を用いて、17、20、23、26、29、32、および3
5サイクルのPCR反応を行った。鋳型の無い陰性対照は、35ラウンドのPC
Rを行った。PCRのサイクル数と、鋳型を含有する反応物で生成された蛍光シ
グナルの強度との間に、正の関係が確立された。シグナル対ノイズ比は、サイク
ル17の2.0からサイクル35の10.2まで増加し、陰性対照は検出可能な
蛍光シグナルを生成しなかった。フルオロメーターで測定した蛍光シグナルは、
ポリアクリルアミドゲルで見られた蛍光性dsDNAの量および各PCR反応で
消費された蛍光性プライマーの量と、よく相関した。全体的に、この実験は、P
CRの総サイクル数、従ってPCRプロセスにより生成するdsDNAアンプリ
コンの量と一致して、各PCR反応で蛍光シグナルが増加することを決定的に証
明している。
【0257】 実験C: 測定法の説明: 実験Cは、鋳型レベルを1.0E−15mol(1フェトモル)から1.0E− 21(1ゼプトモル)の間で変動した時の、PCR反応からの蛍光シグナルの生
成を監視するために設計した。
【0258】 マイクロタイタープレートに試薬を加える前に、マイクロタイタープレートの
各ウェルについてバックグランド蛍光を記録した。PCR反応のすべての試薬を
含有するマスター混合物(鋳型、DNAプライマー、およびPNA消光物質は除
く)を作成した。6μlのマスター混合物を、マイクロタイタープレート中の8 つの反応ウェルのそれぞれに加えた。次に各ウェルに、1μlの各DNAプライ マー(2pmol/μl)、2.0μlのPNA消光物質(8pmol/μl)を総容量10 .0μlで加えた。最後に、あらかじめ調製した希釈シリーズのプラスミド鋳型 1μlアリコートを加えた。希釈シリーズは、TE緩衝液中で1fmol/μlから1z
mol/μlまでの7対数工程からなっていた。陰性対照について、鋳型の代わりに 1μlのTEを加えた。各反応のすべての試薬を組合せた後、「RLU前」測定 値を記録し、試料をミクロチューブに移して、前記したようにPCR反応を行っ
た。
【0259】 PCRの前と40サイクルの後に、各反応物の蛍光強度を測定した。すべての
試料を室温で短時間遠心分離した後、「RLU後」蛍光測定のために清澄なマイ クロタイタープレートに移した。
【0260】 考察: 実験Bについて得られたデータを、表3と図13および14に示す。表3では
、実験データと誘導されたデータの両方を示す。表3では、鋳型濃度をA列に示
す。PCRの前に測定した蛍光をB列に示し、PCR後に測定した蛍光をC列に
示す。(実験Aで計算したように)計算したシグナル対ノイズ比をD列に示す。
D列に示すデータを図13にグラフで表示する。図14は、材料と方法(前記)
で説明したように処理した同じゲルの写真のコンピューターで作成した3つの合
成ネガ画像(A、BおよびC)を含む。さらに詳しくは、写真Aでは、分離した
試料成分のすべての未変性の蛍光が見える。写真Bでは、臭化エチジウムで染色
可能なすべての成分が見える。写真Cでは、変性条件下で蛍光性のすべての試料
成分が見える。
【0261】
【0262】 表3のB列では、「RLU前」値は非常に低く、すべての試料でよく似ていた
。これは、PNA消光物質と3’および5’DNAプライマーの間で形成された
複合体については、蛍光消光が非常に効率的であることを示している。
【0263】 表3のA列とD列では、PCR反応に加えられた鋳型の量(A列)と、40サ
イクルのPCR後の試料についてのS/N比(D列)が明らかに相関している。
詳細には、S/N比は、1E−21モルの鋳型の3.4値(3行、D列)から1
E−15モル鋳型の17.6値(9行、D列)に、一定の予測できる形で増加し
た。この蛍光強度の一定の増加は、図13に示すデータにより容易に見える。陰
性対照は、S/N比0.6(2行、D列)に示されるように、PCRの間蛍光は
増加しない。マイクロタイタープレートとミニエッペンドルフチューブの間の移
動で試料の喪失が観察された(約1〜2μl)。この試料の喪失は、少なくとも 1部は、対照についてS/N比が1.0未満の原因であろう。
【0264】 図14に示す写真画像は、表3と図13に関して考察した蛍光の観察された増
加が、PCR反応によるdsDNAの産生と相関付けられることの、決定的な証
拠を提供する。さらにdsDNAの産生は、予測できる形で、PCR反応に加え
られた鋳型の量と相関付けられる。
【0265】 写真画像は、上の試料ウェルとともに示す。レーン番号1は、HaeIIIで消 化した1μgのPhiX174 dsDNAを含有する。レーン2から8は、順
位鋳型DNAの量が対数的に連続増加する反応物である。
【0266】 図14の写真Aでは、ゲルを流した直後に蛍光が観察された。写真では、蛍光
dsDNAが、レーン3から9で画像の中点のすぐ下で見られた。蛍光強度は、
PCR反応の初期サイクルでより多くの鋳型を有することにより産生されるds
DNAアンプリコンの量の増加から予測されるように、左から右に増加した。鋳
型を含有しない試料(陰性対照、レーン2)では、蛍光は観察されなかった。
【0267】 図14の写真Bでは、ゲルを臭化エチジウムで染色した後に蛍光が観察された
。写真AとBの間で画像にほとんど差はないが、写真Bでは、レーン1にdsD
NAサイズマーカーPhiX174/HaeIIIが見られる。ウェルに詰まりが あったためサイズマーカーは少ししかのせられず、その結果、写真で見ることが
困難であった。レーン3〜9で見られるバンドに最も近いサイズの2つの断片は
、198bp断片と118bp断片であり、これらは黒い矢印で示す。137bpの増
幅したPCR断片は、198bpと118bp断片の間の位置と一致する(2つの黒
い矢印でマークする)。
【0268】 図14の写真Cでは、臭化エチジウムで処理したゲルを、次に水酸化ナトリウ
ム溶液で処理してdsDNAならびにプライマー/PNA消光物質複合体を変性
した後に、蛍光が観察される。この図は、dsDNAバンドと色素の前端(色素
の前端は、写真画像では見えない)の間に、取り込まれていない蛍光プライマー
の存在を示している。プライマーバンドの蛍光強度は、dsDNAアンプリマー
の強度に反比例する。詳細には、レーン2でプライマーバンドが顕著であり、d
sDNAは形成されなかった。しかしレーン3から9に行くに従って、蛍光強度
が低下して、dsDNAアンプリマー中に蛍光プライマーが取り込まれた(大き
く動いている137bpバンドの強度に対する各レーン中のプライマーの蛍光強度
と比較)。
【0269】 これらのプライマーはPNA消光物質に結合(写真A)していたため、図14
の写真AとBでは見えなかった。変性条件下では、プライマーはPNA消光物質
から解離するため、蛍光を発する。興味深いことに、おそらく変性条件下では臭
化エチジウムは非蛍光性であるため、dsDNAサイズマーカーは図14の写真
Cでは消失する。
【0270】 要約: 鋳型DNAの連続希釈物を作成し、次にPCR増幅反応で使用した。PCR反
応で生成した蛍光シグナルの強度は、7対数範囲(1fmol〜1zmol)にわたって
投入鋳型の量と正比例することが証明された。分光光度計で測定した蛍光シグナ
ルは、ポリアクリルアミドゲルで見られた蛍光性dsDNAの量および各PCR
反応で消費された蛍光性プライマーの量と、よく相関した。全体的に、この実験
は、各PCR反応で生成した蛍光シグナルが、投入鋳型の量、従ってPCRプロ
セスにより生成するdsDNAアンプリコンの量と相関することを決定的に証明
している。従って、この測定法は、未知試料中の標的配列または標的分子の量を
測定するのに使用できる閉鎖管測定法について、標準曲線を作成することの現実
性を証明している。さらにこれは、バックグランドの上から下にゼプトモル(約
600分子)(調べた最も低い標的レベル)まで検出可能なシグナルを産生する
ため、非常に高感度である。
【0271】 例16:多重PCRにおける検出複合体の使用 概観 この例では、2セットの独立に検出可能なPCR検出複合体プライマーを使用
して、多重PCR測定を行い、ここで各セットのプライマーは、測定法中に存在
するなら、2つの異なるDNA標的分子の1つを増幅するように設計される。第
1のプライマーセットはフルオレセイン(緑)で標識され、K−rasプラスミ
ドのK−ras遺伝子配列を特異的に増幅する(例15に記載したように)。第
2のプライマーセットはローダミン(赤)で標識され、BR322プラスミド中
の領域を特異的に増幅する。両方のPCR検出複合体プライマーは、増幅が起き
て検出複合体が解離されるまでフルオレセインとローダミン標識物の両方の蛍光
を消光するダブシル消光残基を含む、同じ共通のPNAアニーリングポリマー(
PNA消光物質)を利用する。
【0272】 材料と方法 プローブ、プライマーおよび鋳型:
【0273】 PNA消光物質: PNA消光物質(表1、No.6)C タ゛フ゛シル(K)-AGTAAGCGTAGT-OO-+-aC N C=カルボキシ末端、N−アミノ末端、「Ac」、「K」、「+」、「ダブシル
」および「O」は前記で定義した。
【0274】 DNAプライマー: 3’DNAプライマーは、目的の標的核酸上のプライミング部位に相補的なプ
ライミング配列と、PNA消光物質がハイブリダイズする共通の複合体形成セグ
メント(CFS;太字で示す)の両方を含む。5’プライマーは標識されていな
い。
【0275】 プライマーセットA(K−rasプライマーセット):
【0276】 プライマーセットB(BR322プライマーセット):
【0277】 プライマーセットC(K−rasとBR322プライマーセット): このプライマーセットは、プライマーセットAとプライマーセットBの混合物
を含む。このプライマーセットは、K−rasプラスミドとBR322プラスミ
ド鋳型の1つまたは両方の同時多重同定に有用である。
【0278】 テトラメチルローダミン(Rho)で標識したBR322 3’プライマー(
配列番号8)は、ゲノシス(Genosys)(ザ・ウッドランズ(The Woodlands)、
テキサス州)から得た。3’K−rasプライマーは、市販の試薬と装置を使用
して作成した。PNA消光物質は50%DMF水溶液で希釈し、4℃で保存し、
DNAプライマーとDNA鋳型をTEで希釈し、4℃で保存した。
【0279】 dsDNA鋳型 K−rasプラスミド:このプラスミドの調製とプラスミドの増幅領域の配列
を例15に記載する。
【0280】 BR322プラスミド:このプラスミドは市販されており、ニューイングラン
ドバイオラボズ(New England Biolabs)から部品#303−3Sとして得た。 このプラスミドの増幅した領域の配列を以下に示す。
【0281】 dsDNA鋳型(増幅した領域のみ;プライミング部位に下線を引く)
【0282】 例15に記載したように、プライマーにより増幅したされたK−rasプラス
ミドの領域は111bpの長さである。しかし、本例16に記載のDNAプライマ
ーの両方を使用して増幅すると、3’プライマーからの13bpの複合体形成セグ
メント(CFS)の取り込みは、アンプリコンを13bp伸長するため、124bp
のアンプリコンが生成する(111+13=124)。
【0283】 同様に、BR322プラスミドは共通に使用され広く入手できるクローニング
ベクターである。本例16に記載のプライマーを使用して増幅すると、3’プラ
イマー中に1つの13bpCFSが取り込まれて、274bpのアンプリコンが伸長
される。従って予測されるアンプリコンの長さは287bpである(274+13
=287bp)。
【0284】 記載していない他の試薬は例15で説明した。
【0285】 PCR測定法: PCR反応は、パーキン・エルマー(Perkin-Elmer)2400サーモサイクラ
ー中で、個々のミニエッペンドルフチューブ中で行った。各50μlのPCR反 応物には、3mMのMgCl2、250μMのATP、250μMのCTP、250 μMのGTP、250μMのTTP、2単位のアンプリタク(AmpliTaq)DNAポ
リメラーゼ、50mMのKCl、そして10mMのトリス(pH8.3)を含有した
。各反応物はまた、プライマーセットA、B、またはCとPNA消光物質を含有
した。標的を含有する反応物に、1μl(6E+09分子/μl)の適当なプラス
ミドを加えた。
【0286】 プライマーセットAは、0.1μM K−ras 3’プライマー、0.2μM
K−ras 5’プライマー、および0.4μM PNA消光物質を含有した 。プライマーセットBは、0.05μM BR322 3’プライマー、0.1 μM BR322 5’プライマー、および0.4μM PNA消光物質を含有し
た。プライマーセットCを使用する反応物は、0.1μM K−ras 3’プ ライマー、0.2μM K−ras 5’プライマー、0.05μM BR322
3’プライマー、0.1μM BR322 5’プライマー、および0.6μM
PNA消光物質を含有した。増幅反応の間、2本鎖アンプリコンからのすべて
のPNA消光物質の置換を促進すると予測されたため、この例のために非対象P
CR増幅を選択して、過剰の非標識鎖を生成した。
【0287】 PCRプロトコールは、20秒95℃に加熱(第1ラウンドのみ)、次に95
℃で20秒変性、55.0℃で30秒アニーリング、そして74℃で30秒伸長
、であった。変性−アニーリング−伸長サイクルを、35サイクル繰り返した。
サイクル35の後にさらに74℃で5分の伸長工程を行った
【0288】 例15で行ったように、各反応の蛍光はワラック(Wallac)マルチラベルカウ
ンターで調べた。各測定のために、10μlの各試料を50mMトリス−塩酸(p H8.3)、100mMのNaClを含有する溶液90μlで希釈した。フルオレ セイン(緑)を検出する時は、試料を485nmフィルターを通過する光で励起し
、535nmフィルターを通過する光から発光を得た(緑フィルターセット)。ロ
ーダミン(赤)を検出する時は、試料を530nmフィルターを通過する光で励起
し、590nmフィルターを通過する光から発光を得た(赤フィルターセット)。
【0289】 PCR後、10μlの各試料を2.5μlの5×ローディング色素と混合し、次
に粗反応生成物を10〜20%勾配ポリアクリルアミドゲルで分離した。本例で
は、ゲルを観察し、臭化エチジウム染色の前後にトランスイルミネーターを使用
して写真を撮った。図16を含む写真の2つのネガ画像は、未染色ゲル(画像A
)と臭化エチジウム染色ゲル(画像B)である。
【0290】 結果 例16で得られたデータを表4と図15および16に示す。表4では、種々の
測定成分とワラック(Wallac)マルチラベルカウンターから得られた処理データ
の両方について、データを要約する。詳細には、試料番号を、A列に示し;反応
物中に存在する標的の性質をB列に示し;プライマーセットをC列に示し;各試
料のローダミンPCR後蛍光データをD列に示し;各試料のフルオレセインPC
R後蛍光データをE列に示す。
【0291】
【0292】 表4のF列とG列に示した処理したデータを作成するために、各プライマーセ
ットの標的無し対照を、ローダミンまたはフルオレセイン標識についての「PC
R後」蛍光の値から引いた。例えば、1行のF列とG列の値は、263−263
は0(1行、F列)で917−917は0(1行、G列)であるため、いずれも
0である。2行目のデータ値も同様に得られた(280−263=17(2行、
F列)および1768−917=850(2行、G列))。各プライマーセット
内で、F列とG列のすべての他の値も同様に得られた。
【0293】 表4,1〜3行目のF列とG列では、プライマーセットA(K−rasプライ
マーセット−緑蛍光物質)を使用した時は、K−rasプラスミドの存在とフル
オレセイン標識物からのシグナルの増加との間に明瞭な相関があった。詳細には
、BR322プラスミドを使用した時は負の値(3行、F列とG列)が得られた
が、K−rasプラスミドが存在した時は、緑のフィルターセットで強い値の8
50(2行、G列)が得られた。2行目F列のわずかに陽性の値は、マルチラベ
ルカウンターで使用されたフィルターセットが、カットオフで必ずしも完全では
なく、値は実際は、赤フィルターセットで測定されるフルオレセイン標識物から
なるシグナルであるためだけによって、説明される。この解釈は、ポリアクリル
アミドゲル分析で見られる増幅された生成物がないことと一致する(以下の考察
を参照)。しかし、2行目と3行目のF列とG列のデータ間のシグナル強度の差
は驚くべきものであり、K−rasプラスミドが測定中に存在すると強い陽性結
果が得られることを明瞭に示している。
【0294】 同様にかつ表4の4〜6行目のF列とG列では、プライマーセットB(BR3
22プライマーセット−赤蛍光物質)を使用した時は、BR322プラスミドの
存在とローダミン標識物からのシグナルの増加との間に明瞭な相関があった。詳
細には、K−rasプラスミドを使用した時は小さいかまたは負の値(5行、F
列とG列)が得られたが、BR322プラスミドが存在した時は、赤のフィルタ
ーセットで強い値の920(6行、F列)が得られた。5行目F列のわずかに陽
性の値は、BR322プライマーセットを用いたK−rasプラスミドの非特異
的プライミングによるものと思われる。この解釈は、ポリアクリルアミドゲル分
析で見られる非特異的アンプリマー生成物の生成と一致する(以下の考察を参照
)。しかし、5行目と6行目のF列とG列のデータ間のシグナル強度の差は驚く
べきものであり、BR322プラスミドについて陽性結果が得られることを明瞭
に示している。この陽性結果は、非特異的プライミングにより生じる疑陽性から
明瞭に区別することができた。
【0295】 同様にかつ表4の7〜10行目のF列とG列では、1つまたはそれ以上の標的
が存在したすべての増幅反応物で、BR322プラスミドの存在とローダミン標
識物からのシグナルの増加との間に明瞭な相関が、そしてK−rasプラスミド
の存在とフルオレセイン標識物からのシグナルの増加との間に明瞭な相関があっ
た。8行目では、ローダミン標識物についてはシグナルは検出されず、フルオレ
セイン標識物では非常に強いシグナルがあった。これは、それぞれBR322プ
ラスミドの欠如とK−rasプラスミドの存在に一致する。同様に9行目では、
フルオレセイン標識物についてはシグナルは検出されず、ローダミン標識物では
非常に強いシグナルがあった。これは、それぞれK−rasプラスミドの欠如と
BR322プラスミドの存在に一致する。最後に10行目では、フルオレセイン
とローダミン標識物の両方について強いシグナルが検出される。これは、K−r
asとBR322プラスミド標的の存在に一致する。
【0296】 興味深いことに、測定法中に両方のプライマーセットとK−rasプラスミド
が存在する時は、ミスプライミングは観察されなかった(5行目のF列とG列の
データを、8行目と10行目のF列とG列のデータと比較されたい)。多重測定
法でミスプライミングがないことは、理由は不明であるが、単一のPCR反応で
2つまたはそれ以上のプライマーセットを使用することが有利であり、従ってミ
スプライミングを低下または排除することを示唆している。
【0297】 表4のF列とG列に示す表のデータはまた、図15で棒グラフフォーマットで
示した。グラフで示すと、測定法で生成した蛍光シグナルの相対的強度の大きな
差がわかり、従って真の陽性と真の陰性結果を同定することが容易である。
【0298】 前記したように、各増幅反応の生成物は、ポリアクリルアミドゲルで分析し、
臭化エチジウム染色前後のゲルの2つの写真を撮った。図16(AとB)は、同
じポリアクリルアミドゲルの2つの写真のそれぞれの画像のネガのデジタル合成
である。図16に示す写真画像は、試料5を除いて、PCR増幅反応で観察され
る蛍光の増加は、目的のプラスミドの特異的増幅が、予測されたサイズと予測さ
れた本質的蛍光性を有するアンプリコンが得られたことにより、生じたことの決
定的な証拠を示す。
【0299】 写真画像を、12レーンを含む各ゲル画像とともに、試料ウェルを上にして示
す。レーン1と12は、HaeIIIで消化した1μgのPhiX174 dsD NAを含有する。レーン2〜11は、PCR反応試料番号1〜10である。
【0300】 図16の写真Aでは、ゲルとトランスイルミネーター上に置いて流した直後に
ゲルの本来の蛍光が観察された。PCR検出複合体中の標識物の性質を考えると
、予測された色の蛍光バンドがレーン3(緑)、7(赤)、9(緑)、10(赤
)および11(緑と赤)で見えた。
【0301】 図16の画像Bでは、ゲルを臭化エチジウムで処理後、トランスイルミネータ
ー上で蛍光が観察された。画像Bで見えたバンドは、本質的に蛍光性であるかま
たは臭化エチジウムで染色されたポリマーまたはPCR産物である。再度、バン
ドは、レーン3、7、9、10および11ならびに、サイズマーカーを含有する
レーン1と12で見える。画像Bのレーン3と9中の主要なバンド(これは、画
像Aでも見えた)は、サイズマーカーの118bpと194bpバンドの間に位置す
る。この蛍光とサイズデータは、K−rasプラスミドについてのアンプリコン
(124bp)の予測された性質と一致する。画像Bのレーン7と10の主要なア
ンド(これは、画像Aでも見えた)は、サイズマーカーの234bpと310bpバ
ンドの間に位置する。従って蛍光とサイズデータは、BR322プラスミド(2
87bp)のアンプリコンの予測された性質と一致する。同様に、BR322とK
−rasアンプリコンの両方の予測された性質を有するバンドが、画像AとBの
レーン11中に存在した。
【0302】 画像Bのレーン6(試料No.5)では、K−rasまたはBR322のいず
れについても予測されたアンプリコンとは思われないゲル中で弱いバンドが観察
される。試料番号5では、反応物はK−rasプラスミドとBR322プラスミ
ドセットを含有した。従って増幅は予測されなかった。複数の弱いバンドが存在
するため、データは、ミスプライミングが起き、このため非特異的生成物が生成
したことを示唆している。このデータは、表4の5行目F列で記録されたわずか
に陽性の蛍光シグナルと一致する。興味深いことに、K−rasプラスミドとB
R322プライマーセットの両方が存在する試料8または10(レーン8と11
)では、ミスプライミングは起きていないようである。
【0303】 レーン3、7、9、10および11では、エチジウム染色ゲル(画像B)でわ
ずかに高い泳動するバンドが見える。このアーチファクトは、非対象PCRと関
連しているようであり、従って、非対象PCR反応のために過剰に発現される1
本鎖核酸生成物であると考えられる。
【0304】 注意: この実験の試料番号5は、プライマーダイマー生成および標的ミスプライミン
グのような非特異的ハイブリダイゼーション事象から、疑陽性結果が得られるこ
とを証明している。これらは、PCR反応に関連する典型的な問題であり、従っ
て本明細書に記載の検出複合体は、あまり最適ではない条件下で増幅反応が行わ
れると、これらの好ましくない性質も示す可能性がある。しかしルーチンの実験
を使用して、これらの問題を最小にまたは排除する増幅条件を、当業者は認識す
るであろう。一般に増幅条件は、プライマーを修飾するか、または測定法が行わ
れる「適切なハイブリダイゼーション条件」を変化させることにより最適化され
る(明細書22頁を参照されたい)。また閉鎖管測定法の正確性を確保するリア
ルタイムまたは終点法としての「内部測定法監視」の原理を示す例18を参照さ
れたい。
【0305】 要約: 多重測定法の個々の成分のデータは、非特異的増幅から生じるシグナルとは区
別される明らかに陽性の結果を与えることが証明された。成分を多重測定法と組
合せると、結果は同様に驚くべきものである。全体的に、本例は、2つまたはそ
れ以上の標的配列または標的分子の有無または量を同時に決定するための、単一
の試料の閉鎖管多重測定法を行う現実性を証明している。
【0306】 例17:PCRクランピング(clamping)と組合せたPCR検出複合体を使用す
る点突然変異検出 概観 本例17は、例15で使用されるK−ras系の変法を使用する。具体的には
、プライマーを修飾し、こうしてPCRクランピング(clamping)を本明細書に
記載のPCR検出複合体と組合せると、点突然変異区別が達成されることを証明
する。
【0307】 材料と方法 プローブ、プライマーおよび鋳型:
【0308】 PNA消光物質: PNA消光物質(表1、No.6) C タ゛フ゛シル(K)-AGTAAGCGTTAGT-OO-+-Ac N C=カルボキシ末端、N−アミノ末端、「Ac」、「K」、「+」、「ダブシル
」および「O」は前記で定義した。
【0309】 DNAプライマー: 5’K−rasプライマーは、目的の野生型(WT)または変異体(MU)標
的核酸上のプライミング部位に相補的な15ヌクレオチドプライミング配列、な
らびにPNA消光物質がハイブリダイズする共通の複合体形成セグメント(CF
S;太字で示す)を含む。野生型(WT)または変異体(MU)標的の5’K−
rasプライマーは、プライミングセクションの中間の1つのヌクレオチドが異
なり、従って点突然変異と見なされる(太字と下線の文字)。3’プライマーは
標識されていない。
【0310】 5’プライマー:
【0311】 3’プライマー:
【0312】 M13−40プライマーは市販されており、ニューイングランドバイオラボズ
(New England Biolabs)から部品#1212として得た。PNAクランピング (clamping)プローブとPNA消光物質は、50%DMF水溶液で希釈し、4℃
で保存した。DNAプライマーとDNA鋳型はTEで希釈し、4℃で保存した。
【0313】 PNAクランピング(clamping)プローブ: 2つのPNAクランピング(clamping)プローブは、オリゴマーの中間に存在
する1つの核塩基(太字と下線の文字)で異なる。すなわちこれらは、単一の核
塩基ミスマッチとして関連している。 N−アミノ末端、C=カルボキシ末端、「O」は前記で定義した。
【0314】 dsDNA鋳型 K−ras: このプラスミドは例15に記載のように調製した。 K−rasMU: このプラスミドは、ヒトK−ras遺伝子の塩基129に
GからTへの変異を有する、細胞株からのサブクローン化配列を含有する。変異
体の取り込みのために、このプラスミドを同じ方法で、かつ同時に例15に記載
の野生型プラスミドとして作成した。すなわち、K−rasとK−rasMUは
、K−ras遺伝子の点突然変異を含有するプラスミドとして関連している。M
13−40プライマーは、K−rasおよびK−rasMUプラスミドの両方を
作成するために使用される、クローニングベクターpCR2.1中の領域にハイ
ブリダイズする。クランピング(clamping)プローブの非存在下では、M13−
40プライマーとK−rasWTプライマーまたはK−rasMUプライマーの
いずれかとの使用すると、K−rasまたはK−rasMuプラスミドが増幅反
応中に存在するかどうかに無関係に、183塩基対アンプリコンを生成するであ
ろう。
【0315】 dsDNA WTとMU鋳型(増幅した領域のみ;点突然変異を、太字で下線
を引いて示す)。 記載していない他の試薬は例15で説明した通りである。
【0316】 PCR測定法: PCR反応は、パーキン・エルマー(Perkin-Elmer)2400サーモサイクラ
ー中で、個々のミニエッペンドルフチューブ中で行った。各30μlのPCR反 応物には、2.25mMのMgCl2、200μMのATP、200μMのCTP、 200μMのGTP、200μMのTTP、166nMのM13−40プライマー、
166nMのPNA消光物質、1単位のアンプリタク(AmpliTaq)DNAポリメラ
ーゼ、50mMのKCl、そして10mMのトリス(pH8.3)を含有した。各反
応物はまた、83nMのK−rasWTまたは83nMのK−rasMUプライマー
、ならびに1μlの10nM K−rasプラスミド、1μlまたは10nMのK−r
asMUプラスミド、または1μlの水(「標的無し」対照)を含有した。さら に反応物はまた、1.25μlの20μM PNA−WT、1.25μlの20μM
PNA−MU、または1.25μlの50%DMF水溶液(「PNAクランプ 無し」対照)を含有した。各PCR反応物に加えられた種々の試薬のまとめを表
5に示す。
【0317】 PCRプロトコールは、20秒95℃に加熱(第1ラウンドのみ)、次に95
℃で5秒変性、30秒アニーリング、そして74℃で30秒伸長、であった。変
性−アニーリング−伸長サイクルを、25サイクル行った。PCRプロトコール
のアニーリング温度は、どのプライマーを使用したかに依存し、K−rasMU
プライマー(試料6〜10)では54℃、そしてK−rasWTプライマー(試
料1〜5)では56℃であった。
【0318】 PCR反応が完了後、チューブをトランスイルミネーターの上に置き、チュー
ブに目に見える蛍光を発生させ、写真を撮った。写真の合成デジタルネガ画像を
図18に示す。
【0319】 さらに、各反応物の蛍光を、ワラック(Wallac)マルチラベルカウンターで調
べた。各測定のために、5μlの各試料を50mM KCl、3mM MgCl2、お
よび10mMトリス−塩酸(pH8.3)を含有する溶液45μlで希釈した。緑 フィルターセットを使用して蛍光を調べた(例16を参照)。蛍光の生データを
記録し、表5のE列に記載した。
【0320】 同様に、10μlの各試料を2.5μlの5×ローディング色素と混合し、次に
10〜20%勾配ポリアクリルアミドゲルで分離した。本例では、ゲルを観察し
、臭化エチジウム染色の前後にトランスイルミネーターを使用して写真を撮った
。図17を含む写真の2つのネガ画像は、未染色ゲル(画像A)と臭化エチジウ
ム染色ゲル(画像B)である。
【0321】 結果 例17で得られたデータを表5と図17および18に示す。表5では、試料番
号を、A列に示し;5’プライマーの性質をB列に示し;標的の存在または本体
をC列に示し;PNAクランピング(clamping)プローブの存在または本体をD
列に示し、そして個々の試料のPCR後蛍光生データをE列に記録する。
【0322】 全体に、表は、試料1〜5(ここでは、反応物中にK−rasWT 5’プラ
イマーが存在した)と試料6〜10(ここでは、反応物中にK−rasMU 5
’プライマーが存在した)に分けられる。これらの2つの群のそれぞれで、標的
無し対照とPNAクランプ無し対照を行った(1行目と6行目を参照)。この陰
性対照は、すべての他の試料と比較してベースラインを与える。これらの2つの
群のそれぞれで、野生型(2、4、7および9行目)または変異体(3、5、8
および10行目)K−rasプラスミドの1つを使用して;適当なPNAクラン
プ有り(4、5、9、および10行目)および無し(2、3、7および8行目)
で、測定を行った。
【0323】
【0324】 表5のE列では、標的無し対照とPNAクランピング(clamping)プローブ無
し対照(E列、1行目と6行目を参照)の蛍光強度は非常に低い(各データ点は
、1000相対的光単位(RLU)のはるかに下である)。このデータは、反応
物中で増幅が無いことと一致する。この数は、この系のバックグランド蛍光を示
す。
【0325】 2行目と3行目では、マルチラベルカウンターで測定した両方の試料の相対的
蛍光は、陰性対照(試料1)で測定した蛍光の明らかにはるかに上であり、基本
的に両方の反応で同じである(それぞれ2774と2652)。このデータは、
この測定法の条件下でかつPNAクランプの非存在下で、5’プライマーは、野
生型と突然変異体プラスミドをほぼ同等の効率で増幅することを示している(D
列を参照)。
【0326】 比較して、4行目と5行目では、変異体PNAクランプを含有する試料(PN
A−MU)の相対的蛍光は、マルチラベルカウンターで測定すると実質的に異な
っていた。PNA−MUと変異体プラスミド鋳型(K−rasMU)が反応物中
に存在すると、蛍光シグナルは、標的の非存在下で観察されたもの(1行目、E
列と5行目のE列から3行目のE列と比較)とほぼ同等であった。このデータは
、この反応物中には、実質的に増幅はなかったことを示している。比較して、野
生型プラスミド(K−ras)が存在すると(4行目、E列と2行目のE列から
1行目のE列と比較)、PNAクランプの非存在下で観察されたものと、蛍光強
度はほぼ同等であった。このデータは、PNAクランピング(clamping)をPC
R検出複合体と組合せて、こうして点突然変異区別に適した閉鎖管測定法を達成
することができることを示した。
【0327】 同様に、7行目と8行目では、マルチラベルカウンターで測定した両方の試料
の相対的蛍光は、陰性対照(試料6)で測定した蛍光の明らかにはるかに上であ
り、基本的に両方の反応で同じである(それぞれ2878と3030)。このデ
ータは、この測定法の条件下でかつPNAクランプの非存在下で、5’プライマ
ーは、野生型と突然変異体プラスミドをほぼ同等の効率で増幅することを示して
いる(D列を参照)。
【0328】 比較して、9行目と10行目では、野生型PNAクランプを含有する試料(P
NA−WT)の相対的蛍光は、マルチラベルカウンターで測定すると実質的に異
なっていた。PNA−WTと野生型プラスミド鋳型(K−ras)が反応物中に
存在すると、蛍光シグナルは、標的の非存在下で観察されたもの(9行目、E列
と6行目のE列から7行目のE列と比較)とほぼ同等であった。このデータは、
この反応物中には、実質的に増幅はなかったことを示している。比較して、変異
体プラスミド(K−rasMU)が存在すると、PNAクランプの非存在下で観
察されたものと、蛍光強度はほぼ同等であった(10行目、E列と8行目のE列
から6行目のE列と比較)。このデータは再度、PNAクランピング(clamping
)を本発明のPCR検出複合体と組合せて、こうして点突然変異区別に適した閉
鎖管測定法を達成することができることを示した。
【0329】 前記したように、各増幅反応の生成物を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で
分析し、臭化エチジウム染色前後のゲルの2つの写真を撮った。図17(AとB
)は、同じポリアクリルアミドゲルの2つの写真のそれぞれの画像のネガのデジ
タル合成である。図17に示す写真画像は、PCR増幅反応で観察される蛍光の
増加は、反応物中のプラスミドが特異的に増幅されて、こうして予測されたサイ
ズと予測された本質的蛍光性を有するアンプリコンが得られたことにより生じた
ことの、決定的な証拠を示す。
【0330】 写真画像を、12レーンを含む各ゲル画像とともに、試料ウェルを上にして示
す。レーン1と12は、HaeIIIで消化した1μgのPhiX174 dsD NAを含有する。レーン2〜11は、PCR反応試料番号1〜10である。
【0331】 図17の画像Aでは、レーン3、4、5、8、9および11に強い緑の蛍光バ
ンドが観察された。これは、それぞれ試料2、3、4、7、8および10に一致
する。ゲル中の強い緑の蛍光バンドの存在は、表5に示したデータと一致し、こ
れは、試料2、3、4、7、8、および10で増幅が起きたことを示す。
【0332】 図17の画像Bでは、ゲルを臭化エチジウムで処理後、トランスイルミネータ
ー上で蛍光が観察された。画像Bで見えたバンドは、本質的に蛍光性であるかま
たは臭化エチジウムで染色されたポリマーまたはPCR産物である。再度、同じ
強い蛍光性バンドは、臭化エチジウムゲルのレーン3、4、5、8、9、および
11で見られた。さらに臭化エチジウム染色後に、レーン1と12中にサイズマ
ーカーが見られる。このバンドは、サイズマーカーの118bpと194bp断片の
間に泳動した。これは、183bpアンプリコンと一致する。従って蛍光と断片サ
イズデータは、本明細書に記載の鋳型とプライマーの組合せを使用すると、アン
プリコンの予測された性質と一致する。
【0333】 図18では、トランスイルミネーター上のPCR後反応チューブの写真のネガ
画像のデジタル合成を示す。試料は図中の1〜10である。画像を分析すると、
チューブ2、3、4、7、8および10では、蛍光シグナルが肉眼で見えた。こ
のデータは、マルチラベルカウンターならびにポリアクリルアミドゲルで得られ
たデータと一致し、従って、本明細書の閉鎖管測定法を分析するのに装置もヒト
の目も使用できることを確認している。
【0334】 要約: 全体に、データは、本発明のPCR検出複合体はPCRクランピング(clampi
ng)と組合せて、点突然変異のリアルタイムおよび終点分析の両方に適した閉鎖
管測定法を作成できることを証明している。さらに、この方法は簡便であり、結
果は、紫外線下で試料チューブを見るだけで解釈することができる。
【0335】 例18:多重測定法における検出複合体と単分子「ビーコン」プローブの同時使
用 概観 本例は、単一の多重測定法で独立に検出可能な検出複合体を単分子「ビーコン
」プローブ(本例ではリニアビーコンを使用する)と混合することの現実性を証
明するために行った。本測定法フォーマットの使用の非限定例には、アンプリコ
ンの特徴の内部PCR測定法監視および独立した同定を含む。
【0336】 材料と方法 プローブ、プライマーおよび鋳型: PNAオリゴマー:
【0337】 PNAフルオール(Fluor): リニアビーコン: C=カルボキシ末端、N−アミノ末端、「K」、「Flu」、「Ac」、「+」
、「Cy3」および「O」は前記で定義した。
【0338】 DNAプライマー: 3’DNAプライマーは、目的の標的核酸上のプライミング部位に相補的なプ
ライミング配列と、PNAフルオールがハイブリダイズする共通の複合体形成セ
グメント(CFS;太字で示す)との両方を含む。前例と比較すると、ドナー蛍
光物質とアクセプター消光物質は逆転しており、検出複合体の蛍光性ポリマーが
、増幅反応の作用により溶液中に放出される。この変化はまた、両方の配向が作
用することを証明している。5’プライマーは標識されていない。
【0339】 5’プライマー: 3’プライマー: プライマーDNAは、市販の試薬と装置を使用して調製し、当業者に公知の条
件を使用して調製した。リンカーは、市販のアミノヘキシルリンカーである。プ
ライマーのアミンは、ダブシル−NHSで標識してから、フルオレセイン標識支
持体結合PNAで使用した条件を使用して、5(6)カルボキシフルオレセイン
−NHSを用いて、合成支持体から切断する(例10を参照)。
【0340】 dsDNAプラスミド鋳型: K−ras: このプラスミドの調製を例15に示すが、これは、制限エンド
ヌクレアーゼSpeIで消化して線状化した。SpeIはプラスミドを、この実
験で増幅した領域から35塩基(5’)を一度切断する。
【0341】
【0342】 PNAフルオールは、50%DMF水溶液で希釈して4℃で保存し、一方DN
AプライマーとDNA鋳型は、TEで希釈して4℃で保存した。記載していない
他の試薬は、例15で説明したものである。
【0343】 PCR測定法: PCR反応は、パーキン・エルマー(Perkin-Elmer)2400サーモサイクラ
ー中で、個々のミニエッペンドルフチューブ中で行った。各25μlのPCR反 応物には、2.5mMのMgCl2、200μMのATP、200μMのCTP、2 00μMのGTP、200μMのTTP、1.0μMの5’プライマー、0.2μM
の3’プライマー、0.1μMのCy3−PNA、2単位のアンプリタク(Ampli
Taq)DNAポリメラーゼ、50mMのKCl、そして10mMのトリス(pH8. 3)を含有した。反応物はまた、1μlの1nM K−ras/SpeI(Spe Iで消化したK−rasプラスミド)、または水(「標的無し」対照)を含有し
た。さらに反応物はまた、1.0μlの5μM LBK.003、または水(「リ
ニアビーコン無し」対照)を含有した。各PCR反応物は、二重測定で流した。
各PCR反応物に加えられた種々の試薬のまとめを表5に示す。
【0344】 PCRプロトコールは、20秒95℃に加熱(第1ラウンドのみ)、次に95
℃で5秒変性、55℃で30秒アニーリング、そして74℃で30秒伸長、であ
った。変性−アニーリング−伸長サイクルを、25サイクル行った。
【0345】 各反応物の蛍光分析のために、PCR反応実施の前と後に5μlの試料を取っ た。各試料を95μlの50mM KCl、3mM MbCl2および10mM トリス
(pH8.3)で希釈した。次に各試料を、ワラック(Wallac)マルチラベルカ
ウンターを使用し、例16に記載のように緑のフィルターセットと赤のフィルタ
ーセットを使用して分析した。マルチラベルカウンターで得られたデータを表6
に示し、一部を図19Aにグラフで示す。
【0346】 PCR後蛍光分析以外に、10μlの各試料を2.5μlの5×ローディング色
素と混合し、次に10%〜20%勾配ポリアクリルアミドゲルで分離した。臭化
エチジウム染色後のゲルの写真のデジタル合成ネガ画像を図19Bに示す。
【0347】 結果 例18で得られたデータを表6と図19Aおよび19Bに示す。表6では、試
料番号を、A列に示し;増幅用のプラスミド鋳型の性質をB列に示し;リニアビ
ーコン(単分子「ビーコン」プローブ)の有無をC列に示し;緑フィルターセッ
トを使用したPCR前蛍光生データをD列に示し;緑フィルターセットを使用し
たPCR後蛍光生データをE列に示し;赤フィルターセットを使用したPCR前
蛍光生データをF列に示し、赤フィルターセットを使用したPCR後蛍光生デー
タをG列に示す。これらの反応物中にフルオレセインは存在しないため、緑フィ
ルターセットを使用したリニアビーコン無し対照のデータは表に示さない。
【0348】
【0349】 表6のH列とI列のデータは、蛍光物質のPCR後測定値をPCR前測定値で
割って作成した。例えば3行目I列のデータ(1.1)は、460(3行目E列
)を406(3行目D列)で割って得た。すなわち、H列とI列のデータは、P
CR反応の実施の結果として存在する、フルオレセイン(Flu)とシアニン(
Cy3)の蛍光強度の相対的増加倍数である。D列とE列でデータが提供されて
いないH列ではデータがない。
【0350】 表6では、試料1〜試料4の組成は、試料5〜試料8と同じものである。試料
1〜4と試料5〜8のデータは、非常によく似ており、試料1〜4のデータのみ
を以下に考察する。しかし、データが一貫していることは再現性を示している。
【0351】 PCR反応の結果として存在するで蛍光強度の相対的増加倍数は、測定法がう
まく機能していることを示し、表6のH列とI列のデータについて注目して分析
する。視覚的に調べるために、図19Aにデータを棒グラフでも示す。I列では
、1行目と2行目のデータは、それぞれ3列と4列のデータに匹敵する。Cy3
標識物からのシグナルは、検出複合体の解離を示すため、プラスミド鋳型の非存
在下(1行目と3行目)に比較してプラスミドの存在下(2行目と4行目)での
赤い蛍光の3倍の増加は、反応物中にリニアビーコンが存在するかどうかに無関
係にPCR反応が起きたことを示唆する。
【0352】 H列では、プラスミド鋳型の非存在下(3行目)と比較してプラスミド鋳型の
存在下(4行目)での緑の蛍光の2倍の増加は、リニアビーコン(LBK.00
3)がハイブリダイズ(従って、検出可能なシグナルを生成)するアンプリコン
の生成を示している。従ってこのデータは、所望のアンプリコンの生成と一致す
る。
【0353】 図19Bの臭化エチジウム染色ゲルの画像では、適切なサイズの強いバンドが
、試料2と4と記したレーンに存在するが、プラスミド鋳型が欠如した試料1と
3(陰性対照)と記したレーンについてはバンドは観察されなかった。すなわち
、試料2と4で増幅が起きて所望のアンプリコンが生成し、試料1と3では増幅
は起きなかったことを、決定的に証明している。このデータは、表6と図19A
に示した蛍光データとよく相関するであろう。
【0354】 要約: このデータは、PCR増幅が、検出複合体と単分子リニアビーコンプローブの
両方から、陽性の独立に検出可能なシグナルを生成することを示した。従ってデ
ータは、独立に検出可能な検出複合体と単分子「ビーコン」プローブが、同じ多
重閉鎖管測定法で混合できることを証明している。この測定法フォーマットの使
用の非限定例には、PCR測定法監視とアンプリコンの特徴の独立の同定がある
。 同等物 特に好適な実施態様を参照して本発明を証明かつ説明したが、添付の請求の範
囲に規定される本発明の精神と範囲を逸脱することなく、本明細書の形式および
詳細を種々変更することができることは、当業者は容易に理解するであろう。通
常の実験を使用して、本明細書に記載の本発明の具体的な実施態様の多くの同等
物が可能であることを、当業者は理解するであろう。このような同等物は、請求
の範囲に包含されると考えられる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 検出複合体のいくつかの異なる実施態様を例示する。
【図2】 検出複合体のプローブ用配列と標的配列のハイブリダイゼーションのいくつか
の異なる実施態様を例示する。
【図3】 検出可能な残基の複数のセットを含む検出複合体のいくつかの異なる実施態様
を例示する。
【図4】 PCRプライマーとして検出複合体を使用するPCRの初期作用を例示する。
【図5】 前進プライマーと逆進プライマーの両方が検出複合体である、第1ラウンドの
PCRの作用を例示する。
【図6】 前進プライマーと逆進プライマーの両方が検出複合体である、第2ラウンドの
PCRの作用を例示する。
【図7】 前進プライマーと逆進プライマーの両方が検出複合体である、PCR増幅で調
製されるアンプリコンを例示する。
【図8A】 2つのPNAから組み立てた検出複合体の蛍光対温度熱プロフィールのグラフ
表示である。
【図8B】 2つのPNAから組み立てた検出複合体のハイブリダイゼーション測定データ
のグラフ表示である。
【図9】 2つのPNAから組み立てた検出複合体の蛍光対温度熱プロフィールのグラフ
表示である。
【図10】 検出複合体はPCR反応の前進プライマーおよび逆進プライマーとして機能し
た、PNAおよびDNAオリゴマーから組み立てた検出複合体の蛍光対温度熱プ
ロフィールのグラフ表示である。
【図11】 PCR反応について得られた表データのグラフ表示である。
【図12】 PCR反応産物を蛍光について分析するために使用したポリアクリルアミドゲ
ルから撮った写真の電子合成画像である。
【図13】 PCR反応について得られた表データのグラフ表示である。
【図14】 PCR反応産物を蛍光について分析するために使用したポリアクリルアミドゲ
ルから撮った写真の電子合成画像である。
【図15】 独立に検出可能なPCR検出複合体を使用して、多重PCR測定法について作
成したデータのグラフ表示である。
【図16】 PCR反応産物を蛍光について分析するために使用したポリアクリルアミドゲ
ルから撮った写真の電子合成ネガ画像である。
【図17】 PCR反応産物を蛍光について分析するために使用したポリアクリルアミドゲ
ルから撮った写真の電子合成ネガ画像である。
【図18】 トランスイルミネーター上の未開封のPCR反応試料管から撮った2つの写真
の電子合成ネガ画像である。
【図19A】 多重PCR測定法について得られた表データのグラフ表示である。
【図19B】 臭化エチジウム染色ゲルの写真の画像の電子合成ネガである。
【図20】 基質検出複合体の2つの異なる実施態様を例示する。
【図21】 標的分子の存在を検出するためにシグナル増幅プロセスとして基質検出複合体
を使用した、プローブベースのハイブリダイゼーション測定法を例示する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AU,BA,BB,BG,BR,CA ,CN,CU,CZ,EE,GE,HU,IL,IS, JP,KP,KR,LC,LK,LR,LT,LV,M G,MK,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,SG ,SI,SK,TJ,TR,UA,US,UZ,VN, YU (72)発明者 ヒルディグ − ニールセン、イエンス、 ジェイ アメリカ合衆国 マサチューセッツ、ホリ ストン、 ハイランド ストリート 1460 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA12 CA01 CA09 CA11 CA20 DA05 DA11 DA12 HA08 HA11 HA14 HA19 4B063 QA01 QA06 QA13 QA18 QA19 QQ05 QQ06 QQ07 QQ10 QQ16 QQ17 QQ18 QQ21 QQ42 QQ52 QQ79 QQ96 QR08 QR20 QR31 QR41 QR48 QR55 QR62 QR63 QR66 QR84 QS02 QS03 QS24 QS25 QS34 QX02 4H045 AA30 BA10 EA50 EA51 FA10 【要約の続き】

Claims (152)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つまたはそれ以上の成分ポリマーから形成される組成物で
    あって、該組成物は、 a.成分プローブ用ポリマーは、標的配列にハイブリダイズするプローブ用セ
    グメントと、少なくとも1つの他の成分ポリマーと複合体を形成するのに適した
    1つまたはそれ以上の相互作用性の基とを含んでなる、少なくとも1つの成分プ
    ローブ用ポリマー; b.少なくとも、1つまたはそれ以上の相互作用性の基を含む、少なくとも1
    つの成分アニーリングポリマー(この成分ポリマーの相互作用性の基は、複合体
    を形成しこれを安定化させる);および c.複合体の形成が、セットのドナー残基とアクセプター残基との間のエネル
    ギー移動を促進するように、少なくとも2つの成分ポリマーの各々は、そのセッ
    トの少なくとも1つの残基で結合している、ドナー残基とアクセプター残基の少
    なくとも1つのセット; を含むが、ただし、組成物の成分ポリマーの少なくとも1つは、非核酸ポリマ
    ーである、上記組成物。
  2. 【請求項2】 すべての成分ポリマーは非核酸ポリマーである、請求項1に
    記載の組成物。
  3. 【請求項3】 成分ポリマーの少なくとも1つはPNAである、請求項1に
    記載の組成物。
  4. 【請求項4】 すべての成分ポリマーはPNAである、請求項1に記載の組
    成物。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の組成物であって、成分ポリマーのPNAサ
    ブユニットは、式: [式中、 各Jは、同一であるかまたは異なり、かつH、R1、OR1、SR1、NHR1
    NR1 2、F、Cl、BrおよびIよりなる群から選択され; 各Kは、同一であるかまたは異なり、かつO、S、NHおよびNR1よりなる 群から選択され; 各R1は、同一であるかまたは異なり、かつ場合によりヘテロ原子または置換 もしくは非置換アリール基を含有してもよい、1〜5個の炭素原子を有するアル
    キル基であり; 各Aは、単結合、式:−(CJ2s−の基、および式(CJ2sC(O)−の
    基(ここで、Jは、上記と同義であり、そして各sは、1〜5の整数である)よ
    りなる群から選択され; 各tは、1または2であり; 各uは、1または2であり;そして 各Lは、同一であるかまたは異なり、かつJ、アデニン、シトシン、グアニン
    、チミン、ウリジン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6
    −クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、シュードイソシト
    シン、2−チオウラシル、2−チオチミジン、他の天然の核塩基類似体、他の非
    天然の核塩基、置換および非置換芳香族残基、ビオチン、フルオレセイン、およ
    びダブシル(dabcyl)よりなる群から独立に選択される]を有する、上記組成物
  6. 【請求項6】 各PNAサブユニットは、メチレンカルボニル結合によりN
    −[2−(アミノエチル)]グリシン基本骨格のアザ窒素に結合している天然の
    核塩基からなる、請求項5に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 ドナー残基は、蛍光物質である、請求項1に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 蛍光物質は、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6−(
    (7−アミノ−4−メチルクマリン−3−アセチル)アミノ)ヘキサン酸、5(
    および6)−カルボキシ−X−ローダミン、シアニン2色素、シアニン3色素、
    シアニン3.5色素、シアニン5色素、シアニン5.5色素、シアニン7色素お
    よびシアニン9色素よりなる群から選択される蛍光物質である、請求項7に記載
    の組成物。
  9. 【請求項9】 アクセプター残基は、消光物質である、請求項1に記載の組
    成物。
  10. 【請求項10】 消光物質は、4−((−4−(ジメチルアミノ)フェ)ア
    ゾ)安息香酸(ダブシル)である、請求項9に記載の組成物。
  11. 【請求項11】 スペーサー残基は、1つまたはそれ以上のドナー残基とア
    クセプター残基を成分ポリマーにつないでいる、請求項1に記載の組成物。
  12. 【請求項12】 少なくとも1つのリンカーは、成分ポリマーの2つのセグ
    メントを結合させるのに使用される、請求項1に記載の組成物。
  13. 【請求項13】 アニーリングポリマーは、1つまたはそれ以上のリンカー
    により結合した相互作用性の基の2つのセグメントを含む、請求項12に記載の
    組成物。
  14. 【請求項14】 複合体の少なくとも1つの成分ポリマーは、表面に固定化
    されているかまたはつながれている、請求項1に記載の組成物。
  15. 【請求項15】 相互作用性の基は、疎水性残基、イオン性残基、および水
    素結合性残基よりなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
  16. 【請求項16】 イオン性残基は塩の対を含む、請求項15に記載の組成物
  17. 【請求項17】 水素結合性残基は、2つまたはそれ以上の成分ポリマーの
    サブユニットに結合した相補的核塩基を含む、請求項15に記載の組成物。
  18. 【請求項18】 相互作用性の基は、1つまたはそれ以上の成分ポリマーの
    1つの末端に位置している、請求項1に記載の組成物。
  19. 【請求項19】 相互作用性の基は、1つまたはそれ以上の成分ポリマーの
    両方の末端に位置している、請求項1に記載の組成物。
  20. 【請求項20】 相互作用性の基は、1つまたはそれ以上の成分ポリマー内
    の中心に位置している、請求項1に記載の組成物。
  21. 【請求項21】 複合体は、1つのみのプローブ用ポリマーと1つのアニー
    リングポリマーとを含む、請求項1に記載の組成物。
  22. 【請求項22】 複合体は、少なくとも3つの成分ポリマーを含む、請求項
    1に記載の組成物。
  23. 【請求項23】 複合体は、少なくとも2つのビーコンセット(Beacond Se
    ts)を含む、請求項1に記載の組成物。
  24. 【請求項24】 各ビーコンセットは、独立に検出可能な残基を含む、請求
    項23に記載の組成物。
  25. 【請求項25】 各ビーコンセットの独立に検出可能な残基は、独立に検出
    可能なドナー蛍光物質であり、各ビーコンセットのアクセプター残基は、同一で
    あるかまたは異なる消光残基である、請求項24に記載の組成物。
  26. 【請求項26】 すべてのアクセプター残基は、同一の消光残基である、請
    求項25に記載の組成物。
  27. 【請求項27】 消光残基はダブシルである、請求項26に記載の組成物。
  28. 【請求項28】 成分ポリマーの少なくとも1つは、消光残基で標識された
    PNAポリマーである、請求項1に記載の組成物。
  29. 【請求項29】 PNAポリマーは、ダブシルでC末端が標識されている、
    請求項28に記載の組成物。
  30. 【請求項30】 プローブ用ポリマーは、プローブ用セグメントが標的配列
    にハイブリダイズすると、伸長反応のプライマーとして作用する、請求項1に記
    載の組成物。
  31. 【請求項31】 プローブ用ポリマーは、核酸およびポリメラーゼ伸長を促
    進するように修飾されているPNAよりなる群から選択される、請求項30に記
    載の組成物。
  32. 【請求項32】 請求項31に記載の組成物であって、 (i)プローブ用ポリマーは、標的配列と配列特異的に相互作用しない相互作
    用性の基を含有する核塩基を含み;ここで (ii)アニーリングポリマーは、プローブ用ポリマーの相互作用性の基の正確
    な相補体である相互作用性の基を含有する核塩基を含む、上記組成物。
  33. 【請求項33】 プローブ用ポリマーは、5’−蛍光物質を有する核酸であ
    り、アニーリングポリマーは、C末端消光残基を有するPNAポリマーである、
    請求項32に記載の組成物。
  34. 【請求項34】 複合体の少なくとも1つの成分ポリマーは、表面に固定化
    されているかまたはつながれている、請求項33に記載の組成物。
  35. 【請求項35】 少なくとも1つの結合したアクセプター残基を有し、結合
    したドナー残基は有さない、非核酸ポリマー。
  36. 【請求項36】 ポリマーはPNAである、請求項35に記載の非核酸ポリ
    マー。
  37. 【請求項37】 アクセプター残基はダブシルである、請求項35に記載の
    非核酸ポリマー。
  38. 【請求項38】 消光残基はダブシルである、請求項36に記載のPNA。
  39. 【請求項39】 2つまたはそれ以上の異なる複合体のアレイであって、ア
    レイの少なくとも2つの複合体のそれぞれは、 a.プローブ用ポリマーは、ユニークな標的配列にハイブリダイズするプロー
    ブ用セグメントと、少なくとも1つの他の成分ポリマーと複合体を形成するのに
    適した1つまたはそれ以上の相互作用性の基とを含んでなる、少なくとも1つの
    成分プローブ用ポリマー; b.少なくとも、1つまたはそれ以上の相互作用性の基を含む、少なくとも1
    つの成分アニーリングポリマー(この成分ポリマーの相互作用性の基は、複合体
    を形成しこれを安定化させる);および c.複合体の形成が、セットのドナー残基とアクセプター残基との間のエネル
    ギー移動を促進するように、少なくとも2つの成分ポリマーは、そのセットの少
    なくとも1つの残基で結合している、ドナー残基とアクセプター残基の少なくと
    も1つのセット; を含むが、ただし、複合体の成分ポリマーの少なくとも1つは、非核酸ポリマ
    ーであり、各異なる複合体の成分ポリマーの少なくとも1つは、アレイの表面に
    固定化されているかまたはつながれている、上記アレイ。
  40. 【請求項40】 すべての成分ポリマーは非核酸ポリマーである、請求項3
    9に記載のアレイ。
  41. 【請求項41】 少なくとも1つの成分ポリマーはPNAである、請求項3
    9に記載のアレイ。
  42. 【請求項42】 すべての成分ポリマーはPNAである、請求項39に記載
    のアレイ。
  43. 【請求項43】 請求項41に記載のアレイであって、成分ポリマーのPN
    Aサブユニットは、式: [式中、 各Jは、同一であるかまたは異なり、かつH、R1、OR1、SR1、NHR1
    NR1 2、F、Cl、BrおよびIよりなる群から選択され; 各Kは、同一であるかまたは異なり、かつO、S、NHおよびNR1よりなる 群から選択され; 各R1は、同一であるかまたは異なり、かつ場合によりヘテロ原子または置換 もしくは非置換アリール基を含有してもよい、1〜5個の炭素原子を有するアル
    キル基であり; 各Aは、単結合、式:−(CJ2s−の基、および式(CJ2sC(O)−の
    基(ここで、Jは、上記と同義であり、そして各sは、1〜5の整数である)よ
    りなる群から選択され; 各tは、1または2であり; 各uは、1または2であり;そして 各Lは、同一であるかまたは異なり、かつJ、アデニン、シトシン、グアニン
    、チミン、ウリジン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6
    −クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、シュードイソシト
    シン、2−チオウラシル、2−チオチミジン、他の天然の核塩基類似体、他の非
    天然の核塩基、置換および非置換芳香族残基、ビオチン、フルオレセイン、およ
    びダブシルよりなる群から独立に選択される]を有する、上記アレイ。
  44. 【請求項44】 各PNAサブユニットは、メチレンカルボニル結合により
    N−[2−(アミノエチル)]グリシン基本骨格のアザ窒素に結合している天然
    の核塩基からなる、請求項43に記載のアレイ。
  45. 【請求項45】 各複合体のドナー残基は、蛍光物質である、請求項39に
    記載のアレイ。
  46. 【請求項46】 各複合体のアクセプター残基は、消光残基である、請求項
    39に記載のアレイ。
  47. 【請求項47】 相互作用性の基は、疎水性残基、イオン性残基、および水
    素結合性残基よりなる群から選択される、請求項39に記載のアレイ。
  48. 【請求項48】 アレイの少なくとも1つの複合体は、少なくとも3つのポ
    リマーを含む、請求項39に記載のアレイ。
  49. 【請求項49】 アレイの少なくとも1つの複合体は、少なくとも2つのビ
    ーコンセットを有し、各ビーコンセットは独立に検出可能な残基を含む、請求項
    39に記載のアレイ。
  50. 【請求項50】 各セットの独立に検出可能な残基は、独立に検出可能なド
    ナー蛍光物質であり、各セットのアクセプター残基は、同一であるかまたは異な
    る消光残基である、請求項49に記載のアレイ。
  51. 【請求項51】 すべてのアクセプター残基は、同一の消光残基である、請
    求項50に記載の組成物。
  52. 【請求項52】 アレイの少なくとも1つの複合体のアニーリングポリマー
    は、消光残基を含むPNAポリマーである、請求項39に記載のアレイ。
  53. 【請求項53】 同一のPNAアニーリングポリマーは、アレイの異なる複
    合体の少なくとも2つの異なる固定化成分ポリマーの共通の相互作用性の基にア
    ニーリングする、請求項52に記載のアレイ。
  54. 【請求項54】 少なくとも1つの複合体のプローブ用ポリマーは、プロー
    ブ用セグメントが標的配列にハイブリダイズすると、増幅反応のプライマーとし
    て作用する、請求項39に記載のアレイ。
  55. 【請求項55】 プローブ用ポリマーは、核酸およびポリメラーゼ伸長を促
    進するように修飾されているPNAよりなる群から選択される、請求項54に記
    載のアレイ。
  56. 【請求項56】 請求項55に記載のアレイであって、 (i)プローブ用ポリマーは、標的配列と配列特異的に相互作用しない相互作
    用性の基を含有する核塩基を含み;ここで (ii)アニーリングポリマーは、プローブ用ポリマーの相互作用性の基の正確
    な相補体である相互作用性の基を含有する核塩基を含む、上記組成物。
  57. 【請求項57】 プローブ用ポリマーは、5’−蛍光物質を有する核酸ポリ
    マーであり、アニーリングポリマーは、C末端消光残基を有するPNAポリマー
    である、請求項56に記載のアレイ。
  58. 【請求項58】 試料中の少なくとも1つの標的配列を含む標的分子の有無
    または量の検出または同定方法であって、 a.試料を少なくとも1つの複合体と接触させ(ここで該複合体は、 (i)プローブ用ポリマーは、標的配列にハイブリダイズするプローブ用セグ
    メントと、少なくとも1つの他の成分ポリマーと複合体を形成するのに適した1
    つまたはそれ以上の相互作用性の基とを含んでなる、少なくとも1つの成分プロ
    ーブ用ポリマー; (ii)少なくとも、1つまたはそれ以上の相互作用性の基を含む、少なくとも
    1つの成分アニーリングポリマー(この成分ポリマーの相互作用性の基の相互作
    用は、複合体を形成しこれを安定化させる);および (iii)成分ポリマーが複合体を形成している時またはプローブ用セグメント が標的配列にハイブリダイズしている時と比較して検出可能な形で異なるように
    、複合体の形成が、セットのドナー残基とアクセプター残基との間のエネルギー
    移動を促進するように、少なくとも2つの成分ポリマーのそれぞれは、そのセッ
    トの少なくとも1つの残基で結合している、ドナー残基とアクセプター残基の少
    なくとも1つのセット; を含むが、ただし、組成物の成分ポリマーの少なくとも1つは、非核酸ポリマ
    ーである)、そして b.複合体の解離またはプローブ用セグメントの標的配列へのハイブリダイゼ
    ーションによる、セットのドナー残基とアクセプター残基の間のエネルギー移動
    の変化に起因する検出可能なシグナルの変化を検出、同定または定量し、シグナ
    ルの変化を試料中の標的分子の有無または量と相関付ける、 ことを含んでなる、上記方法。
  59. 【請求項59】 すべての成分ポリマーは非核酸ポリマーである、請求項5
    8に記載の方法。
  60. 【請求項60】 成分ポリマーの少なくとも1つはPNAである、請求項5
    8に記載の方法。
  61. 【請求項61】 すべての成分ポリマーはPNAである、請求項58に記載
    の方法。
  62. 【請求項62】 方法は、閉鎖管測定法中に存在するかまたは産生される目
    的の核酸標的分子を検出するために使用される、請求項58に記載の方法。
  63. 【請求項63】 方法は、核酸増幅反応を実施する結果として産生されるア
    ンプリコンを検出するために使用される、請求項62に記載の方法。
  64. 【請求項64】 標的分子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ
    連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification)(S DA)、転写介在性増幅(Transcription-Mediated Amplification)(TMA)
    、Q−ベータレプリカーゼ増幅(Q-beta)および回転環増幅(Rolling Circle A
    mplification)(RCA)よりなる群から選択される、請求項62に記載の方法
  65. 【請求項65】 方法は、細胞または組織が生存しているか否かにかかわら
    ず細胞または組織中の標的配列を検出するために使用される、請求項58に記載
    の方法。
  66. 【請求項66】 試料は、1つまたはそれ以上のブロッキングプローブと接
    触させられ、こうして非標的配列へのプローブ用セグメントの結合を抑制する、
    請求項58に記載の方法。
  67. 【請求項67】 方法は、試料中の生物またはウイルスを検出、同定、また
    は定量するために使用される、請求項58に記載の方法。
  68. 【請求項68】 方法は、試料中の生物の1つまたはそれ以上の種を検出、
    同定、または定量するために使用される、請求項58に記載の方法。
  69. 【請求項69】 方法は、試料中の1つまたはそれ以上の微生物の増殖に及
    ぼす抗菌性物質の効果を測定するために使用される、請求項58に記載の方法。
  70. 【請求項70】 方法は、試料中のある分類群の生物の存在または量を測定
    するために使用される、請求項58に記載の方法。
  71. 【請求項71】 方法は、医学的状態を診断するために使用される、請求項
    58に記載の方法。
  72. 【請求項72】 標的分子は、表面に固定化されている、請求項58に記載
    の方法。
  73. 【請求項73】 複合体の成分ポリマーの少なくとも1つは、目的の試料が
    接触させられる表面に固定化されているかまたはつながれている、請求項58に
    記載の方法。
  74. 【請求項74】 複合体は、解離して少なくとも1つの標識成分ポリマーを
    溶液中に放出する、請求項73に記載の方法。
  75. 【請求項75】 複合体の成分ポリマーの少なくとも1つは、目的の試料が
    接触している少なくとも2つの固定化されているかまたはつながれている複合体
    の1つである、請求項58に記載の方法。
  76. 【請求項76】 複合体は、解離して少なくとも1つの標識された成分ポリ
    マーを溶液中に放出する、請求項75に記載の方法。
  77. 【請求項77】 標識された成分ポリマーは、アレイの2つまたはそれ以上
    の異なる固定化されているかまたはつながれている複合体から放出される、請求
    項76に記載の方法。
  78. 【請求項78】 同一の共通の標識された成分ポリマーは、アレイの2つま
    たはそれ以上の異なる固定化されているかまたはつながれている複合体のいずれ
    かから放出される、請求項77に記載の方法。
  79. 【請求項79】 放出される成分ポリマーは、消光残基で標識されたPNA
    ポリマーである、請求項78に記載の方法。
  80. 【請求項80】 アレイの複合体は、表面上で、 a.表面からハイブリダイズした標的分子を除去し、そして b.アレイのすべての複合体を再生する必要に応じて、ある量の共通の標識さ
    れた成分ポリマーに表面を接触させる、 ことにより再生される、請求項78に記載の方法。
  81. 【請求項81】 共通の標識された成分ポリマーは、消光残基で標識された
    PNAポリマーである、請求項80に記載の方法。
  82. 【請求項82】 少なくとも2つの固定化されているかまたはつながれてい
    る成分ポリマーはPNAポリマーである、請求項80に記載の方法。
  83. 【請求項83】 検出可能なシグナルは、プローブ用ポリマーのプローブ用
    セグメントが、複合体の直接または間接的解離なしに、標的分子の標的配列にハ
    イブリダイズした結果として産生される、請求項58に記載の方法。
  84. 【請求項84】 検出可能なシグナルは、プローブ用ポリマーのプローブ用
    セグメントが、標的分子の標的配列にハイブリダイズした結果(これが、複合体
    の直接の解離を引き起こす)として産生される、請求項58に記載の方法。
  85. 【請求項85】 検出可能なシグナルは、プローブ用ポリマーのプローブ用
    セグメントが、標的分子の標的配列にハイブリダイズした結果(これが、複合体
    の間接的解離を引き起こす二次引き金事象を促進する)として産生される、請求
    項58に記載の方法。
  86. 【請求項86】 試料中の目的の核酸標的分子を検出、同定、または定量す
    る方法であって、該標的分子は少なくとも1つのプライミング部位を有し、該方
    法は、 a.試料を I.2つまたはそれ以上の成分ポリマーから形成される少なくとも1つの複
    合体(ここで該複合体は、 (i)プライマー伸長反応でプライマーとして作用することができる、少な
    くとも1つの成分プローブ用ポリマー(ここで、プローブ用ポリマーは、少なく
    とも、 1.第1のプライミング部位にハイブリダイズするプローブ用セグメン
    ト;および 2.少なくとも1つの他の成分ポリマーと複合体を形成するのに適した
    1つまたはそれ以上の相互作用性の基とを含む); (ii)少なくとも、1つまたはそれ以上の相互作用性の基を含む、少なくと
    も1つの成分アニーリングポリマー(この成分ポリマーの相互作用性の基は、複
    合体を形成しこれを安定化させる);および (iii)成分ポリマーが独立に存在するかまたは結合していない時とは、検 出可能な形で異なるように、複合体の形成が、セットのドナー残基とアクセプタ
    ー残基との間のエネルギー移動を促進するように、少なくとも2つの成分ポリマ
    ーのそれぞれは、そのセットの少なくとも1つの残基で結合している、ドナー残
    基とアクセプター残基の少なくとも1つのセット; を含む)と II.プライマー伸長反応を行うのに必要なすべての他の成分、 と接触させ; b.プライマー伸長反応を行い、こうしてプライマー伸長反応により産生され
    る核酸の量に比例して複合体の解離を引き起こし;そして c.複合体の解離によるセットのドナー残基とアクセプター残基の間のエネル
    ギー移動に起因する検出可能なシグナルの変化を検出、同定または定量し、そし
    てシグナルを試料中の目的の核酸標的分子の有無または量と相関付ける、 ことを含んでなる、上記方法。
  87. 【請求項87】 複合体のすべての成分ポリマーは、標識された核酸である
    、請求項86に記載の方法。
  88. 【請求項88】 複合体の少なくとも1つの成分ポリマーは、非核酸ポリマ
    ーである、請求項86に記載の方法。
  89. 【請求項89】 複合体の少なくとも1つの成分ポリマーは、PNAである
    、請求項86に記載の方法。
  90. 【請求項90】 アニーリングポリマーは、消光残基を有するPNAポリマ
    ーである、請求項86に記載の方法。
  91. 【請求項91】 消光残基はダブシルである、請求項90に記載の方法。
  92. 【請求項92】 プローブ用ポリマーは、核酸、およびポリメラーゼ伸長を
    促進するように修飾されているPNAよりなる群から選択される、請求項86に
    記載の方法。
  93. 【請求項93】 請求項92に記載の方法であって、 (i)プローブ用ポリマーは、第1のプライマー部位と配列特異的に相互作用
    しない相互作用性の基を含有する核塩基を含み;ここで (ii)アニーリングポリマーは、プローブ用ポリマーの相互作用性の基の正確
    な相補体である相互作用性の基を含有する核塩基を含む、上記方法。
  94. 【請求項94】 複合体の少なくとも1つの成分ポリマーは、表面に固定化
    されているかまたはつながれている、請求項86に記載の方法。
  95. 【請求項95】 伸長反応分子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガ
    ーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification) (SDA)、転写介在性増幅(Transcription-Mediated Amplification)(TM
    A)、Q−ベータレプリカーゼ増幅(Q-beta)および回転環増幅(Rolling Circ
    le Amplification)(RCA)よりなる群から選択されるプロセスの成分である
    、請求項86に記載の方法。
  96. 【請求項96】 プライマー伸長反応は、核酸増幅プロセスの一部である、
    請求項86に記載の方法。
  97. 【請求項97】 方法は、PCRの鋳型である目的の核酸標的分子を検出す
    るのに使用される、請求項96に記載の方法。
  98. 【請求項98】 複合体解離は、増幅プロセスの活性の結果として起き、複
    合体の解離により産生されるシグナルは、終点測定またはリアルタイム測定の両
    方を促進する閉鎖管測定法で監視される、請求項97に記載の方法。
  99. 【請求項99】 増幅プロセスはPCRである、請求項98に記載の方法。
  100. 【請求項100】 他の測定成分には、緩衝液、無機塩、マグネシウム、ヌ
    クレオチド三リン酸、ポリメラーゼ酵素、および第2のプライマー(ここで、第
    2のプライマーと複合体は、PCR反応の前進プライマーと逆進プライマーを含
    む)を含む、請求項99に記載の方法。
  101. 【請求項101】 第2のプライマーは標的分子の第2のプライマー部位に
    ハイブリダイズする第2の複合体である、請求項100に記載の方法であって、
    該第2の複合体は、 (a)少なくとも 1.PCRプロセスにおける第2のプライマーとして作用するプローブ用成
    分;および 2.少なくとも1つの他の成分ポリマーと第2の複合体を形成するのに適し
    た1つまたはそれ以上の相互作用性の基 とを含んでなる、少なくとも1つの第2の成分プローブ用ポリマー; (b)少なくとも、1つまたはそれ以上の相互作用性の基を含む、少なくとも
    1つの第2の成分アニーリングポリマー(ここで、成分ポリマーの相互作用性の
    基は、第2の複合体を形成しこれを安定化させる);および (c)第2の複合体の成分ポリマーが独立に存在するかまたは結合していない
    時とは、検出可能な形で異なるように、第2の複合体の形成が、セットのドナー
    残基とアクセプター残基との間のエネルギー移動を促進するように、第2の複合
    体の少なくとも2つの成分ポリマーのそれぞれは、第2のセットの少なくとも1
    つの残基で結合している、ドナー残基とアクセプター残基の少なくとも1つの第
    2のセット; を含んでなる、上記方法。
  102. 【請求項102】 第2の複合体のすべての成分ポリマーは、適切に標識さ
    れた核酸である、請求項101に記載の方法。
  103. 【請求項103】 複合体の少なくとも1つの成分ポリマーは、非核酸ポリ
    マーである、請求項101に記載の方法。
  104. 【請求項104】 複合体の少なくとも1つの成分ポリマーは、PNAであ
    る、請求項101に記載の方法。
  105. 【請求項105】 第2の複合体のアニーリングポリマーは、消光残基を有
    するPNAポリマーである、請求項101に記載の方法。
  106. 【請求項106】 同一の共通のアニーリングポリマーは、第1の複合体と
    第2の複合体の両方に共通である、請求項101に記載の方法。
  107. 【請求項107】 共通のアニーリングポリマーは、消光アクセプター残基
    を有するPNAである、請求項106に記載の方法。
  108. 【請求項108】 第2の複合体のプローブ用ポリマーは、核酸、およびポ
    リメラーゼ伸長を促進するように修飾されているPNAよりなる群から選択され
    る、請求項101に記載の方法。
  109. 【請求項109】 プローブ用ポリマーは、5(6)−カルボキシフルオレ
    セイン、6−((7−アミノ−4−メチルクマリン−3−アセチル)アミノ)ヘ
    キサン酸、5(および6)−カルボキシ−X−ローダミン、シアニン2色素、シ
    アニン3色素、シアニン3.5色素、シアニン5色素、シアニン5.5色素、シ
    アニン7色素およびシアニン9色素よりなる群から選択されるドナー蛍光物質を
    含む、請求項108に記載の方法。
  110. 【請求項110】 請求項101に記載の方法であって、 (i)第2の複合体のプローブ用ポリマーは、第2のプライミング部位と配列
    特異的に相互作用しない相互作用性の基を含有する核塩基を含み;そして (ii)第2の複合体のアニーリングポリマーは、プローブ用ポリマーの相互作
    用性の基の正確な相補体である相互作用性の基を含有する核塩基を含む、上記方
    法。
  111. 【請求項111】 第1および第2の複合体は、同一のドナー蛍光物質とア
    クセプター消光物質とを含む、請求項101に記載の方法。
  112. 【請求項112】 アクセプター消光物質はダブシルである、請求項111
    に記載の方法。
  113. 【請求項113】 試料は1つまたはそれ以上のブロッキングプローブとさ
    らに接触させれれて、こうして1つまたはそれ以上の複合体のプローブ用ポリマ
    ーのプローブ用セグメントが標的分子上のプライミング部位に結合することを抑
    制する、請求項86または101のいずれか1項に記載の方法。
  114. 【請求項114】 リアルタイムにまたは終点で監視することができる閉鎖
    管点突然変異分析を行うのに適するように、測定法を修飾するのにPCRクラン
    ピング(clamping)が使用される、請求項86または101のいずれか1項に記
    載の方法。
  115. 【請求項115】 方法は、医学的状態を診断するために使用される、請求
    項86または101のいずれか1項に記載の方法。
  116. 【請求項116】 少なくとも1つの独立に検出可能な単分子「ビーコン」
    プローブは、PCR測定法にも含まれ、アンプリコン内でハイブリダイゼーショ
    ン部位にハイブリダイズし、こうして、PCR増幅の正しい作用を監視するため
    に使用することができるか、または測定法で生成されるアンプリコンの特徴を独
    立に同定するために使用することができる独立に検出可能なシグナルを生成する
    、請求項97または101のいずれか1項に記載の方法。
  117. 【請求項117】 測定法により決定される具体的特徴は、試料中に野生型
    、変異体、または野生型と変異体標的分子の両方が存在するかどうかである、請
    求項116に記載の方法。
  118. 【請求項118】 野生型と変異体標的分子のハイブリダイゼーション部位
    は、点突然変異として関連している、請求項117に記載の方法。
  119. 【請求項119】 具体的特徴は、リアルタイムにまたは測定法の終点で閉
    鎖管フォーマットで独立に検出することができる、請求項117に記載の方法。
  120. 【請求項120】 1つまたはそれ以上のPCR検出複合体から、および測
    定法中に存在する1つまたはそれ以上の単分子「ビーコン」プローブからのシグ
    ナルは、リアルタイムまたは測定法の終点で閉鎖管フォーマットで独立に検出さ
    れる、請求項119に記載の方法。
  121. 【請求項121】 測定法により決定される具体的特徴は、試料中に1つま
    たはそれ以上の特定の種の生物が存在するかどうかである、請求項117に記載
    の方法。
  122. 【請求項122】 少なくとも2つまたはそれ以上の独立に検出可能な複合
    体は、同一の試料中かつ同一の測定法中の目的の2つまたはそれ以上の標的分子
    を検出、同定または定量するために使用される単一の多重測定法中に存在する、
    請求項86または101のいずれか1項に記載の方法。
  123. 【請求項123】 独立に検出可能な複合体は、閉鎖管フォーマットで使用
    され、各独立に検出可能な複合体からのシグナルの検出可能な変化は、リアルタ
    イムにまたは測定の終点で監視することができる、請求項122に記載の方法。
  124. 【請求項124】 複合体形成を促進する条件下で2つまたはそれ以上の成
    分ポリマーを一緒に混合することを含んでなる、複合体の形成方法であって、該
    複合体は、 a.プローブ用ポリマーは、標的配列にハイブリダイズするプローブ用セグメ
    ントと、少なくとも1つの他の成分ポリマーと複合体を形成するのに適した1つ
    またはそれ以上の相互作用性の基とを含んでなる、少なくとも1つの成分プロー
    ブ用ポリマー; b.少なくとも、1つまたはそれ以上の相互作用性の基を含む、少なくとも1
    つの成分アニーリングポリマー(この成分ポリマーの相互作用性の基の相互作用
    は、複合体を形成しこれを安定化させる);および c.成分ポリマーが複合体形成していないか、またはプローブ用セグメントが
    標的配列にハイブリダイズしている時と比較して、検出可能な形で異なるように
    、複合体の形成が、セットのドナー残基とアクセプター残基との間のエネルギー
    移動を促進するように、少なくとも2つの成分ポリマーのそれぞれは、そのセッ
    トの少なくとも1つの残基で結合している、ドナー残基とアクセプター残基の少
    なくとも1つのセット; を含むが、ただし、複合体の成分ポリマーの少なくとも1つは、非核酸ポリマ
    ーである、上記方法。
  125. 【請求項125】 すべての成分ポリマーは非核酸ポリマーである、請求項
    124に記載の方法。
  126. 【請求項126】 少なくとも1つの成分ポリマーはPNAである、請求項
    124に記載の方法。
  127. 【請求項127】 請求項124に記載の方法であって、成分ポリマーのP
    NAサブユニットは、式: [式中、 各Jは、同一であるかまたは異なり、かつH、R1、OR1、SR1、NHR1
    NR1 2、F、Cl、BrおよびIよりなる群から選択され; 各Kは、同一であるかまたは異なり、かつO、S、NHおよびNR1よりなる 群から選択され; 各R1は、同一であるかまたは異なり、かつ場合によりヘテロ原子または置換 もしくは非置換アリール基を含有してもよい、1〜5個の炭素原子を有するアル
    キル基であり; 各Aは、単結合、式:−(CJ2s−の基、および式(CJ2sC(O)−の
    基(ここで、Jは、上記と同義であり、そして各sは、1〜5の整数である)よ
    りなる群から選択され; 各tは、1または2であり; 各uは、1または2であり;そして 各Lは、同一であるかまたは異なり、かつJ、アデニン、シトシン、グアニン
    、チミン、ウリジン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6
    −クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、シュードイソシト
    シン、2−チオウラシル、2−チオチミジン、他の天然の核塩基類似体、他の非
    天然の核塩基、置換および非置換芳香族残基、ビオチン、フルオレセイン、およ
    びダブシルよりなる群から独立に選択される]を有する、上記方法。
  128. 【請求項128】 各PNAサブユニットは、メチレンカルボニル結合によ
    りN−[2−(アミノエチル)]グリシン基本骨格のアザ窒素に結合している天
    然の核塩基からなる、請求項127に記載の方法。
  129. 【請求項129】 ドナー残基は、蛍光物質である、請求項124に記載の
    方法。
  130. 【請求項130】 蛍光物質は、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6
    −((7−アミノ−4−メチルクマリン−3−アセチル)アミノ)ヘキサン酸、
    5(および6)−カルボキシ−X−ローダミン、シアニン2色素、シアニン3色
    素、シアニン3.5色素、シアニン5色素、シアニン5.5色素、シアニン7色
    素およびシアニン9色素よりなる群から選択される、請求項129に記載の方法
  131. 【請求項131】 アクセプター残基は、消光残基である、請求項124に
    記載の方法。
  132. 【請求項132】 消光残基は、4−((4−ジメチルアミノ)フェニル)
    アゾ)安息香酸(ダブシル)である、請求項131に記載の方法。
  133. 【請求項133】 少なくとも1つの成分ポリマーは、支持体に結合してい
    る、請求項124に記載の方法。
  134. 【請求項134】 少なくとも1つの複合体の形成に適した2つまたはそれ
    以上の成分ポリマーを含んでなるキットであって、該キットは、 a.プローブ用ポリマーは、標的配列にハイブリダイズするプローブ用セグメ
    ントと、少なくとも1つの他の成分ポリマーと複合体を形成するのに適した1つ
    またはそれ以上の相互作用性の基とを含んでなる、少なくとも1つの成分プロー
    ブ用ポリマー; b.少なくとも、1つまたはそれ以上の相互作用性の基を含む、少なくとも1
    つの成分アニーリングポリマー(この成分ポリマーの相互作用性の基は、複合体
    を形成しこれを安定化させる);および c.成分ポリマーが複合体形成していないか、またはプローブ用セグメントが
    標的配列にハイブリダイズしている時と比較して、検出可能な形で異なるように
    、複合体の形成が、セットのドナー残基とアクセプター残基との間のエネルギー
    移動を促進するように、少なくとも2つの成分ポリマーのそれぞれは、そのセッ
    トの少なくとも1つの残基で結合している、ドナー残基とアクセプター残基の少
    なくとも1つのセット; を含むが、ただし、複合体の成分ポリマーの少なくとも1つは、非核酸ポリマ
    ーである、上記キット。
  135. 【請求項135】 すべての成分ポリマーは非核酸ポリマーである、請求項
    134に記載のキット。
  136. 【請求項136】 少なくとも1つの成分ポリマーはPNAである、請求項
    134に記載のキット。
  137. 【請求項137】 請求項136に記載のキットであって、成分ポリマーの
    PNAサブユニットは、式: [式中、 各Jは、同一であるかまたは異なり、かつH、R1、OR1、SR1、NHR1
    NR1 2、F、Cl、BrおよびIよりなる群から選択され; 各Kは、同一であるかまたは異なり、かつO、S、NHおよびNR1よりなる 群から選択され; 各R1は、同一であるかまたは異なり、かつ場合によりヘテロ原子または置換 もしくは非置換アリール基を含有してもよい、1〜5個の炭素原子を有するアル
    キル基であり; 各Aは、単結合、式:−(CJ2s−の基、および式(CJ2sC(O)−の
    基(ここで、Jは、上記と同義であり、そして各sは、1〜5の整数である)よ
    りなる群から選択され; 各tは、1または2であり; 各uは、1または2であり;そして 各Lは、同一であるかまたは異なり、かつJ、アデニン、シトシン、グアニン
    、チミン、ウリジン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6
    −クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、シュードイソシト
    シン、2−チオウラシル、2−チオチミジン、他の天然の核塩基類似体、他の非
    天然の核塩基、置換および非置換芳香族残基、ビオチン、フルオレセイン、およ
    びダブシルよりなる群から独立に選択される]を有する、上記キット。
  138. 【請求項138】 成分ポリマーの各PNAサブユニットは、メチレンカル
    ボニル結合によりN−[2−(アミノエチル)]グリシン基本骨格のアザ窒素に
    結合している天然の核塩基からなる、請求項137に記載のキット。
  139. 【請求項139】 セットのドナー残基は、蛍光物質である、請求項134
    に記載のキット。
  140. 【請求項140】 蛍光物質は、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6
    −((7−アミノ−4−メチルクマリン−3−アセチル)アミノ)ヘキサン酸、
    5(および6)−カルボキシ−X−ローダミン、シアニン2色素、シアニン3色
    素、シアニン3.5色素、シアニン5色素、シアニン5.5色素、シアニン7色
    素およびシアニン9色素よりなる群から選択される、請求項136に記載のキッ
    ト。
  141. 【請求項141】 セットのアクセプター残基は、消光残基である、請求項
    134に記載のキット。
  142. 【請求項142】 消光残基は、4−((4−ジメチルアミノ)フェニル)
    アゾ)安息香酸(ダブシル)である、請求項141に記載のキット。
  143. 【請求項143】 プローブ用ポリマーは、プライマー伸長反応でプライマ
    ーとして作用することができるプローブ用セグメントを含む、請求項134に記
    載のキット。
  144. 【請求項144】 請求項143に記載のキットであって、 (i)プローブ用ポリマーは、標的配列と配列特異的に相互作用しない相互作
    用性の基を含有する核塩基を含み;ここで (ii)アニーリングポリマーは、プローブ用ポリマーの相互作用性の基の正確
    な相補体である相互作用性の基を含有する核塩基を含む、 上記キット。
  145. 【請求項145】 支持体結合複合体を再生する方法であって、 a.表面からハイブリダイズした標的分子を除去し;そして b.支持体に結合した複合体を再生する必要に応じて、ある量の標識された成
    分ポリマーに表面を接触させる、 ことを含んでなる上記方法。
  146. 【請求項146】 2つまたはそれ以上の複合体のアレイを再生する方法で
    あって、 a.アレイ表面からハイブリダイズした標的分子を除去し;そして b.アレイの異なる複合体を再生する必要に応じて、ある量の共通の標識され
    た成分ポリマーに表面を接触させる、 ことを含んでなる上記方法。
  147. 【請求項147】 a.成分ポリマーはそれぞれ、組成物を形成しこれを安
    定化させる相互作用性の基を含む、少なくとも2つの成分ポリマー;および b.成分ポリマーが複合体形成していない時と比較して、検出可能な形で異な
    るように、複合体の形成が、セットのドナー残基とアクセプター残基との間のエ
    ネルギー移動を促進するように、少なくとも2つの成分ポリマーは、そのセット
    の少なくとも1つの残基で結合している、ドナー残基とアクセプター残基の少な
    くとも1つのセット; を含む組成物であるが、ただし、酵素が作用すると解離する基質を形成するこ
    とをさらに特徴とする、上記組成物。
  148. 【請求項148】 少なくとも1つの成分ポリマーは、非核酸ポリマーであ
    る、請求項146の組成物。
  149. 【請求項149】 非核酸ポリマーは、PNAである、請求項147の組成
    物。
  150. 【請求項150】 標的分子の有無または量の検出または同定方法であって
    、 a.標的分子の標的配列に酵素を固定化し; b.試料を少なくとも1つの複合体と接触させ(ここで該複合体は、 (i)少なくとも2つの成分ポリマー(成分ポリマーのそれぞれは、複合体を
    形成しこれを安定化させる相互作用性の基を含む);および (ii)成分ポリマーが複合体形成していない時と比較して、検出可能な形で異
    なるように、複合体の形成が、セットのドナー残基とアクセプター残基との間の
    エネルギー移動を促進するように、少なくとも2つの成分ポリマーは、そのセッ
    トの少なくとも1つの残基で結合している、ドナー残基とアクセプター残基の少
    なくとも1つのセット;を含んでなる)、 ここで該複合体は、酵素が作用すると解離する基質を形成することをさらに特
    徴とし;そして c.複合体の解離によるセットのドナー残基とアクセプター残基の間のエネル
    ギー移動に起因する検出可能なシグナルの変化を検出、同定または定量し、シグ
    ナルを試料中の目的の標的分子の有無または量と相関付ける、 ことを含んでなる、上記方法。
  151. 【請求項151】 複合体の少なくとも1つの成分ポリマーは、非核酸ポリ
    マーである、請求項149に記載の方法。
  152. 【請求項152】 複合体の非核酸ポリマーは、PNAである、請求項15
    0に記載の方法。
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