JP2001146484A - セラミックス成形用バインダー - Google Patents

セラミックス成形用バインダー

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JP2001146484A
JP2001146484A JP32779299A JP32779299A JP2001146484A JP 2001146484 A JP2001146484 A JP 2001146484A JP 32779299 A JP32779299 A JP 32779299A JP 32779299 A JP32779299 A JP 32779299A JP 2001146484 A JP2001146484 A JP 2001146484A
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pva
structural unit
based polymer
vinyl
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Naoki Fujiwara
直樹 藤原
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼結前の成形物の機械的強度が大きく、成形
性や加工性に優れ、焼結体のワレ不良も少なくすること
ができ、しかも焼成時の温度が、従来のPVAのそれと
比べて、数十度以上低く、使用エネルギーを減らすこと
ができるセラミックス成形用バインダーを提供するこ
と。 【解決手段】下記の化1で示される構造単位(A)およ
び/または化2で示される構造単位(B)を有する、重
合度100〜5000、けん化度50〜99.95モル
%の変性ビニルアルコール系重合体から成ることを特徴
とするセラミックス成形用バインダー。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス成形
用バインダーに関するものである。通常セラミックスの
製造に際しては、セラミックス粉体とバインダーとを混
合してグリーン成形体を成形し、ついで加熱してバイン
ダーを分解除去した後、焼結する方法が行われている。
ビニルアルコール系重合体はセラミックスに対するバイ
ンダー力が強く、それ自体の強度も高く、水系で取り扱
いが容易なため、セラミックス成形用バインダーとして
好んで用いられている。
【0002】
【従来の技術】セラミックスは、近年その諸特性を生か
して電子材料、磁性材料、光学材料、高温材料など幅広
い用途に用いられている。これら種々の用途から、物性
・形状などの様々な面での改良が要望されている。例え
ば、熱的、電気的、機械的性質などの点では、より緻密
で均質な製品が望まれている。また、機械部品、電機部
品などの分野では、より複雑な形状の製品およびより大
型の製品が望まれている。これらの要望の実現のため
に、原料セラミックス粉体の面からも成形方法の面から
も種々の検討がなされている。
【0003】従来、セラミックス製品の熱的・電気的・
機械的・光学的諸性質を改善する方法として原料粉末の
純度を上げる方法あるいは微細な粒径の粉末を用いる方
法が提案されている。これらの方法を用いた場合には、
成形面から考えると原料不純物に由来する可塑性物質の
減少あるいは粒子表面積の増大を招き、より多量の有機
バインダーが必要とされる。
【0004】また、製品の大型化あるいは複雑化を成形
面から考えると成形体(未焼結品)の取扱い時あるいは
加工時に、より強度が高い成形体であることが必要とさ
れる。このような様々な要求に答えるために、種々の工
夫を懲らした有機バインダーが提案されており、セラミ
ックスの性能面ではほぼ満足しうる状況にある。また、
近年の環境問題、特に二酸化炭素の発生の抑制の点か
ら、使用するエネルギーを減らしたい要求が高まりつつ
ある。セラミックスの製造に際しては、加熱してバイン
ダーを完全に除去する焼成工程があり、焼成温度を下げ
ることで使用エネルギーを減らしたいといった要求が高
く、現行の性能を損なうことなく、かつ焼成し易いビニ
ルアルコール系重合体の登場が待ち望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の性能
を損なうことなく焼成し易い、すなわち、低添加量で高
強度、高密度、高均質性の成形体を与え、しかも熱減量
し易く、成形性、加工性、強度などに優れたセラミック
スの成形用バインダーを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来から
認められているビニルアルコール系重合体(以下「PV
A」と略記する)の有する無機固体への優れたバインダ
ー力などを保持しつつ、脱バインダー性に優れるPVA
系重合体について鋭意検討した結果、PVA系重合体と
して、下記の化3で示される構造単位(A)および/ま
たは化4で示される構造単位(B)を有し、かつ重合度
100〜5000、けん化度50〜99.95モル%の
PVA系重合体を用いることにより上記目的が達成され
ることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0007】
【化3】
【0008】
【化4】
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のPVA系重合体から成る
ことを特徴とするセラミックス成形用バインダーは、P
VA系重合体の分子内にビニルアルコール単位を有して
いることが必要である。本発明のセラミックス成形用の
水溶性バインダーに用いるPVA系重合体における構造
単位(A)は、上記式化3で表される構造単位であり、
構造単位(B)は、上記化4で表される構造単位であ
る。構造単位(B)はPVA系重合体の原料であるビニ
ルエステル系重合体のけん化反応時に、構造単位(A)
から生成される。本発明のセラミックス成形用のバイン
ダーに用いるPVA系重合体における構造単位(A)お
よび構造単位(B)のRはアルキル基であり、その炭素
数は、1〜3であり、1が好まい。炭素数が4以上にな
るとPVA系重合体の水溶性が損なわれる場合がある。
【0010】本発明のセラミックス成形用バインダーに
用いるPVA系重合体における構造単位(A)と構造単
位(B)の合計の含有量は、0.1〜20モル%が好適
であり、0.3〜18モル%が好ましく、0.5〜15
モル%がさらに好ましい。構造単位(A)と構造単位
(B)の合計の含有量が0.1モル%未満の場合には、
本発明の目的である熱減量し易いPVA系重合体が得ら
れず、20モル%より大きい場合には、 PVA重合体
のけん化度にもよるが、PVA重合体の水溶性が低下す
るのみならず、グリーン成形体強度が小さくなる。本発
明のセラミックス成形用バインダーに用いるPVA系重
合体のけん化度は、50〜99.95モル%であること
が、水溶性または水分散性であり、かつバインダー力に
優れている点から好適である。けん化度は、60〜9
9.9モル%がより好ましく、70モル〜99.8モル
%が特に好ましい。けん化度が50モル%より低い場
合、PVA系重合体をバインダーとして用いた場合の特
徴である成形物の強度が低下する。けん化度が99.9
5モル%より高い場合、該PVA系重合体の工業的な生
産に難がある。
【0011】本発明のセラミックス成形用バインダーに
用いるPVA系重合体の粘度平均重合度(以下「重合
度」と略記する)は、100〜5000が好ましく、1
50〜3500がより好ましく、200〜2500が特
に好ましい。重合度が100未満の場合には、得られる
グリーン成形体が脆くなるために好ましくなく、重合度
が5000より大きい場合には、PVA系重合体の水溶
液粘度が非常に高くなり、実用上の使用に難がある。
【0012】本発明のセラミックス成形用バインダーに
用いるPVA系重合体の製法としては、ビニルエステル
と構造単位(A)の原料となるα−アルキル置換のビニ
ルエステルとを共重合して得られたビニルエステル系重
合体を、アルコールあるいはジメチルスルホキシド溶液
中でけん化する方法などの公知の方法が挙げられる。ビ
ニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられる
が、その中でも酢酸ビニルが好ましい。
【0013】本発明のセラミックス成形用バインダーに
用いるPVA系重合体は、本発明の効果を損なわない範
囲で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合し
たものでもよい。エチレン性不飽和単量体としては、エ
チレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオ
レフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸な
どの不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18
のモノまたはジアルキルエステル類;アクリルアミド、
炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパ
ンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピル
ジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩な
どのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜
18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチ
ルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンス
ルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジ
メチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩など
のメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン,N−ビ
ニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−
ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキル
ビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、
アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテ
ル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フ
ッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル
類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類、
ポリアルキレンオキシド含有のアリルエーテル類、酢酸
アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリ
ルアルコール、3−ブテン−1−オール、7−オクテン
−1−オールなどのヒドロキシ基含有オレフィン類、ト
リメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピ
ル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸などが挙げられる。また、本発
明のセラミックス成形用バインダーに用いるPVA系重
合体は、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などの
チオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエ
ステル系単量体を、α−アルキル置換のビニルエステル
と共重合し、それをけん化することによって得られる末
端変生物でもよい。
【0014】ビニルエステルとα−アルキル置換のビニ
ルエステルとの共重合の方法としては、塊状重合法、溶
液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が
挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールな
どの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採
用され、高重合度のものを得る場合には、乳化重合法が
採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコ
ールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、
プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられ
る。共重合に使用される開始剤としては、例えば、α,
α'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビ
ス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、2,2’−
アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニト
リル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカ
ーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤
などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については
特に制限はないが、−30〜200℃の範囲が適当であ
る。
【0015】ビニルエステルとα−アルキル置換のビニ
ルエステルとの共重合体は公知の方法によってけん化さ
れる。例えば、アルコール、場合によっては含水アルコ
ールに溶解した状態でけん化される。けん化反応に使用
されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチル
アルコールなどの低級アルコールが挙げられ、メチルア
ルコールが特に好適に使用される。けん化反応に使用さ
れるアルコールには、40重量%以下であれば、アセト
ン、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、ベンゼ
ン等の溶剤を含有していてもよい。けん化反応に用いら
れる触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム
などのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラート
などのアルカリ触媒、あるいは鉱酸などの酸触媒が用い
られる。けん化反応の温度については特に制限はない
が、20〜60℃の範囲が適当である。けん化反応の進
行に伴って、ゲル状生成物が析出してくる場合には、そ
の時点で生成物を粉砕し、洗浄後、乾燥することによ
り、本発明のセラミックス成形用バインダーに用いるP
VA系重合体が得られる。
【0016】本発明のセラミックス成形用バインダーと
して用いる上記化3で表される構造単位(A)および/
または上記化4で表される構造単位(B)を有するPV
A系重合体のアルカリ金属およびアルカリ土類金属類の
含有量はナトリウム換算で、1〜5000ppmである
ことが好ましく、1〜4000ppmがさらに好まし
く、1〜3000ppmが特に好ましい。アルカリ金属
およびアルカリ土類金属類の含有量がナトリウム換算で
1ppm未満の場合には、該PVA系重合体の工業的な
製造が難しい。アルカリ金属およびアルカリ土類金属類
の含有量がナトリウム換算で5000ppmより大きい
場合には、焼結後の不純物が多く、得られる成形物の密
度が低下し電気特性や機械的強度が損なわれる。これら
の金属類は、主として酢酸やプロピオン酸などの低級脂
肪酸の塩として存在していても良いし、また金属として
存在していても良い
【0017】本発明のPVA系重合体の最大の特長は、
熱減量し易いことにある。一般にPVAはアルカリ金属
やアルカリ土類金属類の含有量によって熱減量性は異な
ることが知られており、含有量が増えると熱減量しやす
くなる。しかしながら、セラミックス成形物は先に述べ
た通り、セラミックス成形物の密度が低下し、成形物の
機械的強度や電気特性の低下から金属類の低減は必須で
ある。本発明のPVA系重合体は、金属の含有量が少な
い場合でも、熱減量性に優れている。
【0018】本発明は上記化3で表される構造単位
(A)および/または上記化4で表される構造単位
(B)を有するPVA系重合体をセラミックス成形用バ
インダーとして用いることに特徴があるが、解膠剤、潤
滑剤などと併用しても良い。解膠剤としては通常用いら
れているものが使用できる。例えば無機解膠剤としては
燐酸ソーダ、苛性ソーダ、クエン酸ソーダ等、有機解膠
剤としてはアミン類、ピリジン、ピペリジン、ポリアク
リル酸の金属塩あるいはアンモニウム塩、スチレンある
いはイソブテンと無水マレイン酸の共重合物の金属塩あ
るいはアンモニウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェ
ノールエーテル等が挙げられる。一方、潤滑剤としては
通常用いられるもので、例えばみつろう、木ろう等天然
ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリン
ワックス、低分子ポリエチレン及びその誘導体等合成ワ
ックス、ステアリン酸、ラウリル酸等脂肪酸、ステアリ
ン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等脂肪酸の
金属塩、マレイン酸イミド、ステアリン酸アミド等脂肪
酸アミド、ポリエチレングリコール等が挙げられ、これ
らが水系分散体になっていてもよい。
【0019】また、本発明に用いられるPVAと併用し
て用いられるバインダーは、本発明の効果を損なわない
範囲では何ら限定されない。例えば、各種澱粉類および
それらの誘導体、各種糖類およびそれらの誘導体、ゴム
類、可溶性蛋白質、セルロース誘導体や、合成高分子と
して、PVA、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルア
ミド、イソブテン−無水マレイン酸共重合体やアクリル
酸、メタクリル酸およびそれらのエステル化物の単独あ
るいは共重合物、水系分散体としてエチレン、プロピレ
ンなどのオレフィン、ブタジエン、イソプレンなどのジ
オレフィン、酢酸ビニルなどのビニルエステル、ラウリ
ルビニルエーテルなどのビニルエーテル、アクリル酸、
メタクリル酸およびそれらのエステル、スチレンなど単
量体の一種または二種以上からなるポリマーの水系分散
体などを用いることができる。また、可塑剤が併用され
る場合があり、可塑剤としては、エチレングリコール、
プロピレングリコール、グリセリン、マンニット、ソル
ビット等の多価アルコール類及びそれらの誘導体、フタ
ル酸ジエチル等エステル類等が使用できる。
【0020】本発明に用いるPVA系重合体が適応でき
るセラミックス粉末としては、セラミックス製造に使用
されうる金属または非金属の酸化物または非酸化物の粉
末が挙げられる。また、これらの粉末の組成は単一組
成、化合物の状態のものを単独または混合して使用して
もさしつかえない。なお、金属の酸化物または非酸化物
の構成元素はカチオンまたはアニオンともに単元素でも
複数の元素から成り立ってもよく、さらに酸化物または
非酸化物の特性を改良するために加えられる添加物を含
む系についても本発明に使用することができる。具体的
には、Li、K、Mg、B、Al、Si、Cu、Ca、Br、Ba、Zn、C
d、Ga、In、ランタノイド、アクチノイド、Ti、Zr、H
f、Bi、V、Nb、Ta、W、Mn、Fe、Co、Ni等の酸化物、炭
化物、窒化物、ホウ化物、硫化物等が挙げられる。ま
た、通常復酸化物と称される復巣の金属元素を含む酸化
物粉末の具体的なものを結晶構造から分類すると、ペロ
ブスカイト型構造をとるものとしてNaNbO3、SrZrO3、Pb
ZrO3、SrTiO3、BaZrO3、PbTiO3、BaTiO3等が、スピネル
型構造をとるものとしてMgAl2O4、ZnAl2O4、CoAl2O4、N
iAl2O4、MgFe2O4等が、イルメナイト型構造をとるもの
としてはMgTiO3、MnTiO3、FeTiO3等が、ガーネット型構
造をとるものとしてはGdGa5O12、Y6Fe5O12等が挙げられ
る。
【0021】本発明に用いるPVAは、上記セラミック
ス粉末の粒径および形状によらず有効であるが、粉末の
粒径が微細になるにつれて造粒上の問題が重要になるこ
とから特に20μ以下の平均粒子径を有する粉末に対し
てその有効性がより一層発揮される。これらのセラミッ
クス粉末のうち、酸化物粉末とりわけ電子材料、磁性材
料、光学材料、高温材料等を製造するための金属酸化物
粉末に対して本発明に用いられるPVA系重合体が好適
に使用される。また、シート成形後高温で熱処理するこ
とにより、金属または非金属の酸化物または非酸化物に
なりうる前駆体にも本発明に用いるPVA系重合体を好
適に使用することができる。上記前駆体としては、たと
えば、金属または非金属のアルコラート、およびそれら
から加水分解して得られる水酸化物のゾル、水ガラスか
ら得られるシリカゾル等、および塩基性塩化金属塩、硫
酸、硝酸、ギ酸、酢酸等の金属塩などが挙げられる。
【0022】本発明に用いるPVA系重合体は、セラミ
ックス粉末100重量部に対し、固形分で0.2〜20
重量部、好ましくは1〜15重量部の範囲で用いること
ができる。また、本発明に用いるPVA系重合体は通常
水溶液として取り扱われるが、セラミックスの水系スラ
リーに粉末添加するような粉末として取り扱うこともで
きる。本発明に用いるPVA系重合対はプレス成形、泥
翆鋳混成形、シート成形、押出成形等水を媒体とするセ
ラミックスの種々の成型方法において好適に使用され
る。
【0023】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例により詳
しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるも
のではない。なお実施例および比較例において「部」お
よび「%」は特に断りのない限り重量基準を意味する。
【0024】重合度はJIS K6726により測定し
た。ビニルアルコール系重合体中のビニルアルコール単
位、ビニルエステル単位およびコモノマー単位の含有量
は、500MHz 1H−NMRにより定量した。1H−
NMR測定時のPVA系重合体の溶媒は重水素化DMS
Oを用いた。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の含
有量は原子吸光法で求めた値をナトリウム換算した。P
VA系重合体の熱減量性および水溶性は下記の方法で測
定した。
【0025】(1)熱減量性 PVA系重合体について、窒素雰囲気下で、10℃/分
の昇温速度で、700℃まで昇温する条件で示差熱・熱
重量測定装置(セイコー電子(株)製、TG/DTA220U)を
用いて測定し、5%重量減少温度および50%重量減少
温度を求めた。
【0026】(2)水溶性 PVA系重合体の水溶性は濃度1%の水溶液を調製し
て、目視により評価した。その結果を下記の記号で示
す。 ○:ほとんど透明 △:分散状態 ×:未溶解分がある
【0027】成形物の評価方法を下記に示す。 (3)成形性 離型性は、プレス成形で得られたセラミックス成形体を
成形用型材から取り出す際、型材への付着の様子から判
定した。 ○:付着せず △:ほとんど付着せず ×:付着が激しい 均質性は、プレス成形で得られたセラミックス成形体の
表面を顕微鏡観察し、その様子から判定した。 ○:顆粒が十分つぶれて均質 △:顆粒のつぶれ残りが若干見られ、やや不均質 ×:顆粒のつぶれ残りが多い
【0028】(4)加工性 加工性はドリルによる孔開けを行いその難易度を評価し
た。 ○:加工が容易 △:加工が困難 ×:加工が非常に困難
【0029】(5)成形体強度(タフネス) 成形体強度は三点曲げ試験にて行い、成形物が折れるの
に必要なエネルギー(タフネス)をS・Sカーブの面積
から求め、比較例1の値を1.0とした時の相対値で求
めた。
【0030】(6)焼結体強度(ワレ不良率) 加圧成形で得られた成形物を1200℃の温度で2時間
かけて焼成して作成した焼結体についてワレ不良率につ
いて評価した。
【0031】実施例1 アルミナ(純度99.8%)100部、水50部、解膠
剤としてポリアクリル酸アンモニウム塩0.5部をボー
ルミルに入れ、90分間粉砕した後、バインダーとして
表1に示す重合体1の10%水溶液を固形分で3部添加
し均一に混合した。このスラリーを噴霧乾燥により造粒
し、顆粒(粒径100±20μ)を得た。この顆粒を幅
20mm、長さ100mm、厚さ10mmの直方体を金型で加
圧(1.3ton/cm2)して成形した。評価結果を表2に
示す。続いて、この成形体を電気炉中で1200℃の温
度で焼成し、焼結体を作成した。こうして得られた焼結
体についてワレ不良率を測定した。結果を表2に示す。
別途、使用したPVA系重合体1の熱減量性を前記の方
法で測定した。結果を表2に示す。用いたPVA系重合
体を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】実施例2〜7および比較例1〜6 実施例1でバインダーに用いた重合体1の代わりに重合
体2〜13を用いる以外は実施例1と同様にして成形物
および焼結体を調整し、評価を行った。また、比較例4
および5で用いたPVA系重合体−11(イソプロペニ
ルアルコールおよびイソプロペニルアセテートの含量が
多いもの)およびPVA系重合体−12(けん化度が低
いもの)は水不溶のためスラリーを調整することができ
なかった。結果を表2に示す。 実施例1と同様にして
PVA系重合体の熱減量性および水溶性を測定した。評
価結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2より明らかなように、イソプロペニル
アルコールおよびイソプロペニルアセテートを含有する
水溶性または水分散性である変性PVAを用いたもの
は、焼結前の成形物の機械的強度が大きく、成形性や加
工性に優れ、焼結体のワレ不良も少なくすることがで
き、さらには熱減少し易くことが分かる。 すなわち、
本発明のセラミックス成形用バインダーは環境に優しく
かつ作業性に優れ、高性能のセラミックスを得るのに有
効であることがわかる。
【0036】
【発明の効果】本発明は、セラミックスの成形用バイン
ダーとして、水系で用いることができ、従来のPVAを
セラミックス成形用バインダーに使用したものに比べ
て、焼結前の成形物の機械的強度が大きく、成形性や加
工性に優れ、焼結体のワレ不良も少なくすることができ
る。さらには、本発明で使用される変性PVAの焼成時
の温度は、従来のPVAのそれと比べて、数十度以上低
く、使用エネルギーを減らすことができるものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の化Iで示される構造単位(A)お
    よび/または化2で示される構造単位(B)を有し、か
    つ重合度100〜5000、けん化度50〜99.95
    モル%の変性ビニルアルコール系重合体から成ることを
    特徴とするセラミックス成形用バインダー。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 変性ビニルアルコール系重合体の構造単
    位(A)と構造単位(B)の合計の含有量が0.1〜2
    0モル%である請求項1記載のセラミックス成形用バイ
    ンダー。
  3. 【請求項3】 アルカリ金属および/またはアルカリ土
    類金属の合計含有量がナトリウム換算で1〜5000p
    pmである請求項1または2記載のセラミックス成形用
    バインダー。
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